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JP2019021418A - 非水電解質二次電池の制御装置および制御方法、当該制御装置を有する非水電解質二次電池システム、並びに非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の制御装置および制御方法、当該制御装置を有する非水電解質二次電池システム、並びに非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の構造を有する固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池のサイクル耐久性の低下を抑制しうる手段を提供する。
【解決手段】本発明の一形態では、固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池を製造する際の活性化処理(発電要素に対して充電処理を施すことにより結晶構造の再編成を起こす処理)において、発電要素の充電状態の値が、当該発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように上記充電処理を制御する。また、本発明の他の形態では、固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池を使用する際に、発電要素の充電状態の値が、当該発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように当該発電要素の充放電を制御する。
【選択図】図3B

Description

本発明は、非水電解質二次電池の制御装置および制御方法、当該制御装置を有する非水電解質二次電池システム、並びに非水電解質二次電池の製造方法に関する。本発明に係る非水電解質二次電池は、例えば、電気自動車、燃料電池車およびハイブリッド電気自動車等の車両のモータ等の駆動用電源や補助電源に用いられる。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池などの電気デバイスの開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
従来、リチウムイオン二次電池の負極には充放電サイクルの寿命やコスト面で有利な炭素・黒鉛系材料が用いられてきた。しかし、炭素・黒鉛系の負極材料ではリチウムイオンの黒鉛結晶中への吸蔵・放出により充放電がなされるため、最大リチウム導入化合物であるLiCから得られる理論容量372mAh/g以上の充放電容量が得られないという欠点がある。このため、炭素・黒鉛系負極材料で車両用途の実用化レベルを満足する容量、エネルギー密度を得るのは困難である。
これに対し、Liと化合物を形成するSiO(0<x<2)材料や、ケイ素を含有する合金系材料などのケイ素含有負極活物質を用いた電池は、従来の炭素・黒鉛系負極材料と比較しエネルギー密度が向上するため、車両用途における負極材料として期待されている。例えば、SiOで表される化学組成を有するケイ素酸化物は、微視的にみると、Si(単結晶のナノ粒子)と非晶質(アモルファス)SiOとが相分離して存在する。
一方、正極材料の高エネルギー密度化への取り組みとして、層状化合物であるxLiMnO−(1−x)LiMe’O(式中、Me’は、Co、Mn、Ni、Cr等を表す)の固溶体を正極活物質として用いることが試みられている。この固溶体正極活物質は、Liの一部が遷移金属に置き換わっており、Li過剰な結晶構造を有している。そして、当該固溶体正極活物質に対して高電圧充電を行うと、結晶構造の再編成(層状構造(LiMnO)からスピネル構造(LiMn)への変化)による活性化が起こることで高容量化が達成されうる。
しかしながら、このような固溶体正極活物質においては、充電時に結晶構造の変化に伴う酸素ガスの放出が起こり、実際にリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いたときの酸素ガスによる電池の膨れが問題となっている。また、酸素ガスが発生すると、充分な充放電特性が発揮できないという問題もある。
このような問題に対して、特許文献1に記載の技術が提案されている。具体的に、特許文献1に記載の技術は、xLiMnO−(1−x)LiMnCoNi(式中、0.2≦x≦0.5、0.3≦a≦0.5、0.1≦b≦0.3、0.3≦c≦0.5、a+b+c=1である)で表される固溶体の表面の少なくとも一部を、Mn、CoおよびNi以外の遷移金属の酸化物または酸化物リチウム塩により被覆するというものである。これにより、充電時における酸素ガスの発生が抑制された、高容量の固溶体正極活物質が提供されるとされている。
特開2012−129166号公報
容量の小さい電池においては、特許文献1に記載の技術によって充電時における酸素ガスの発生の影響をある程度緩和することで、放電容量の低下を抑制することが一応可能である。しかしながら、本発明者らがさらに検討を進めたところ、例えば電気自動車等の駆動用電源として用いられうる、高容量かつ高密度(電池容量あたりの電池体積が小さい)の電池においては、充電時に酸素ガスが発生するとサイクル回数の増加に伴って放電容量が低下する(サイクル耐久性が低下する)ことが判明した。
そこで本発明は、固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池のサイクル耐久性の低下を抑制しうる手段を提供することを目的とする。
本発明の一形態では固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池を製造する際の活性化処理(活性化すべき固溶体正極活物質を含有する発電要素に対して充電処理を施すことにより結晶構造の再編成を起こす処理)において、発電要素の充電状態の値が、当該発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように上記充電処理を制御することで、上記課題を解決する。
また、本発明の他の形態では、固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池を使用する際に、発電要素の充電状態の値が、当該発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように当該発電要素の充放電を制御することで、上記課題を解決する。
本発明においては、固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池について、ガス発生量が少ない充電状態となるように制御して電池を製造または使用する。このため、ガス発生に起因する負極の酸化による容量低下やA/C比の不均衡が防止され、当該電池のサイクル耐久性の低下を抑制することができる。
本発明に係る製造方法によって製造され、本発明に係る制御方法および制御装置の制御対象である非水電解質二次電池の一例である、扁平型の(双極型でない)非水電解質二次電池を示す平面図である。 図1のIIA−IIA線に沿う断面図である。 図1のIIB−IIB線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法のうち、特に活性化処理を実施するための制御装置を含む構成を示すブロック図である。 図3Aの制御装置(の特に記憶部)に記憶される充電状態の上限値を設定する根拠となる充電状態(正極容量)と、正極電位(●)および酸素ガス発生量(○)との関係の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を搭載した電気自動車を示すブロック図である。 実施例3および比較例3について、サイクル耐久性試験の各サイクルにおける放電容量をプロットしたグラフである。 「電池の定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値が10cm/Ah以下であり、かつ、前記定格容量が3Ah以上である電池」ではない電池を用いて図5Aと同様の比較実験(サイクル耐久性試験)を行った場合の、サイクル耐久性試験の各サイクルにおける放電容量をプロットしたグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の形態のみに制限されない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明は、活性化された固溶体正極活物質を含有する正極と、ケイ素含有負極活物質を含有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する非水電解質を含む電解質層と、を備える発電要素を有する非水電解質二次電池の製造方法、並びに制御方法および制御装置に関する。
《非水電解質二次電池の構成例》
図1は、本発明に係る製造方法によって製造され、本発明に係る制御方法および制御装置の制御対象である非水電解質二次電池の一例である、扁平型の(双極型でない)非水電解質二次電池(以下、単に「積層型電池」とも称する)を示す平面図である。図2Aは、図1のIIA−IIA線に沿う断面図である。図2Bは、図1のIIB−IIB線に沿う断面図である。非水電解質二次電池(積層型電池)10としては、たとえば、リチウムイオン二次電池などのリチウム系二次電池などが挙げられる。ただし、以下に示す非水電解質二次電池は、本発明に係る製造方法によって製造され、本発明に係る制御方法および制御装置の制御対象である非水電解質二次電池の一例であって、これ以外の構造を有する非水電解質二次電池も本発明の技術的範囲に含まれる。
図1に示すように、本実施形態の積層型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体である電池外装体29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体12の両面に正極活物質層15が配置された構造を有する。負極は、負極集電体11の両面に負極活物質層13が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層15とこれに隣接する負極活物質層13とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図1に示す積層型電池10は、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層負極集電体には、いずれも片面のみに負極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層正極集電体が位置するようにし、該最外層正極集電体の片面または両面に正極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体12および負極集電体11には、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板27および負極集電板25がそれぞれ取り付けられ、電池外装体29の端部に挟まれるようにして電池外装体29の外部に導出される構造を有している。正極集電板27および負極集電板25はそれぞれ、必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体12および負極集電体11に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
また、図2Bに示すように、本実施形態の積層型電池10には、参照電極(リチウム金属参照電極)31が設けられている。参照電極31は、当該参照電極31の電位に対するこの積層型電池10の正極の電位を検出するためのものであり、正極活物質層15(または負極活物質層13)との間でリチウムイオンの移動が行われうるものである。換言すれば、正極と負極との間におけるイオン伝導性が確保されていることが必要である。そのため、本実施形態の参照電極31は、正極活物質層15と負極活物質層13とに挟まれ、充放電時にリチウムイオンの移動が行われる電解質層(本実施形態においてはセパレータ17の中)に設けられている。なお、参照電極31には参照電極リード33が接続され、さらに参照電極タブ35として積層型電池10(具体的には、電池外装体29)の外部に取り出されている。
[正極活物質層]
正極活物質層は、放電時にリチウムイオン等のイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオン等のイオンを放出できる正極活物質を含む。ここで、上述したように、本発明に係る非水電解質二次電池は、いわゆる高容量かつ高密度の電池である。このような高容量の電池を構成するため、本実施形態の正極活物質層は、活性化された固溶体正極活物質を含有する。固溶体正極活物質は、層状構造部位と、所定の電位範囲における充電または充放電を行うことによりスピネル構造に変化する部位(層状構造のLiMnO)とを有する。ここで、当該固溶体正極活物質の具体的な構成について特に制限はないが、好ましくは固溶体リチウム含有遷移金属酸化物からなるものである。また、固溶体正極活物質は、より好ましくは、下記化学式(1):
Li[NiCoMn[Li]]O ・・・(1)
式中、Liはリチウム、Niはニッケル、Coはコバルト、Mnはマンガン、Oは酸素を示し、zは原子価を満足する酸素数を表し、a、b、cおよびdは、0<a<0.94、0≦b<0.94、0<c<0.94、0.05≦d≦0.8、a+b+c=1の関係を満足する、
で表される組成を有する固溶体リチウム含有遷移金属酸化物を基本構造として有するものであることが好ましい。
このような固溶体正極活物質(好ましくは、固溶体リチウム含有遷移金属酸化物)をリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いた場合、高い放電容量および容量維持率を実現することが可能となる。特に、後述する活性化処理により当該固溶体正極活物質における層状構造のLiMnOをスピネル構造のLiMnに変化させることで、非常に高い放電容量を実現することができる。その結果、車両の駆動電源用や補助電源用のリチウムイオン二次電池として好適に利用できる。このほかにも、家庭用や携帯機器用のリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
式(1)において、Liはリチウム、Niはニッケル、Coはコバルト、Mnはマンガン、Oは酸素を示し、zは原子価を満足する酸素数を表し、a、b、cおよびdは、0<a<0.94、0≦b<0.94、0<c<0.94、0.05≦d≦0.8、a+b+c=1の関係を満足するものである。これにより、固溶体の構造は十分に安定であるという利点がある。なお、zで表される酸素数は「原子価を満足する」ものであるが、この「原子価を満足する」酸素数zは、化学式(1)で表される組成を有する固溶体リチウム含有遷移金属酸化物がLiMnOとLiMe’Oとをx:1−x(xは0<x<1)のモル比で含有する固溶体であるとしたときに、z=2+xを満足する値として求めることが可能である。また、この場合において、d=xとなる。
なお、本実施形態の固溶体リチウム含有遷移金属酸化物は、組成式(1)において、a、bおよびcが、0<a<0.9、0≦b<0.9、0<c<0.9の関係を満足するものであることが好ましく、0<a<0.87、0≦b<0.87、0<c<0.87の関係を満足するものであることがより好ましい。また、本実施形態の固溶体リチウム含有遷移金属酸化物は、活性化処理における発電要素の充電状態の上限値を定めたとしてもエネルギー密度の観点から優位性を確保できる組成として、組成式(1)において、dが、0.1≦d≦0.8の関係を満足するものであることが好ましく、0.2≦d≦0.7の関係を満足するものであることがより好ましく、0.2≦d≦0.6の関係を満足するものであることがさらに好ましい。言い換えれば、上述した組成式(1)におけるリチウム組成(1+dで表される)は、好ましくは1.1〜1.8であり、より好ましくは1.2〜1.7であり、さらに好ましくは1.2〜1.6である。
上述した固溶体正極活物質は、それ自体が正極活物質として用いられてもよいし、固溶体正極活物質が、固溶体正極活物質(好ましくは化学式(1)で表される組成を有する固溶体リチウム含有遷移金属酸化物)を由来とするものであることが確認できる程度に適宜改変されて用いられてもよい。ここで、固溶体正極活物質の改変の形態として、例えば以下の(A)〜(C)の3つの形態が例示される。
(A)上述した固溶体正極活物質(好ましくは化学式(1)で表される組成を有する固溶体リチウム含有遷移金属酸化物)の粒子表面に、Al、Zr、Ti、Nb、B、S、Sn、W、MoおよびVからなる群から選択される1種または2種以上の元素Mが存在する形態(この際、当該元素Mの存在量(a+b+c=1としたときの原子組成モル比)を[M]としたときに0.002≦[M]/[a+b+c]≦0.05を満たす量で存在することが好ましい);
(B)上述した固溶体正極活物質の粒子表面に、Al、ZrおよびTiからなる群から選択される金属の酸化物または複合酸化物からなる被覆層が形成される形態(この際、被覆後の固溶体正極活物質における前記酸化物または複合酸化物の含有量は酸化物換算で0.1〜3.0重量%であることが好ましい);並びに、
(C)上述した固溶体正極活物質に含まれるMn原子がTi、ZrおよびNbからなる群から選択される少なくとも1種によって置換されてなる形態。
また、正極活物質層は、上記所定の固溶体正極活物質以外の正極活物質をさらに含んでもよい。かような正極活物質の例としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、PbO、AgO、またはNiOOHなどが好ましく挙げられ、これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
前記リチウムと遷移金属との複合酸化物の例としては、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのLi−Mn系複合酸化物、LiCoOなどのLi−Co系複合酸化物、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)OなどのLi−Ni系複合酸化物、LiFeOなどのLi−Fe系複合酸化物、LiFePOなどのリチウムと遷移金属との複合リン酸化合物、またはリチウムと遷移金属との複合硫酸化合物などが好ましく挙げられる。前記遷移金属酸化物の例としては、V、MnO、VMoO、またはMoOなどが好ましく挙げられる。前記遷移金属硫化物の例としては、TiSまたはMoSなどが好ましく挙げられる。これら正極活物質は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
正極活物質層は、目的に応じて上記の任意成分(界面活性剤、導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩など)を含むことができる。
正極活物質層に用いられる任意成分のバインダとしては、疎水性であれば、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。
これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらバインダは、製造過程では、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)など、バインダが可溶な有機溶媒に溶解させたものを使用することもできる。
前記界面活性剤としては、公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。
前記導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。正極活物質層が導電助剤を含むと、正極活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
前記電解質としては、電解質塩(リチウム塩)が好ましく、具体的には、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
前記イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
また、本発明において、正極活物質層に含まれうる、導電助剤、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩などのその他の添加剤の配合比は、特に限定されない。それらの配合比は、非水電解質二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
[負極活物質層]
負極活物質層は、放電時にリチウムイオン等のイオンを放出し、充電時にリチウムイオン等のイオンを吸蔵できる負極活物質を含む。ここで、上述したように、本発明に係る非水電解質二次電池は、いわゆる高容量かつ高密度の電池である。このような高容量の電池を構成するため、本実施形態の負極活物質層は、ケイ素含有負極活物質を必須に含む。かようなケイ素含有負極活物質の具体的な形態について特に制限はないが、特に好ましくは、SiOxまたはケイ素含有合金(これらをまとめて「Si材料」とも称する)を必須に含むことが好ましく、特に高容量の負極を構成できるという観点から、ケイ素含有合金を必須に含むことがより好ましい。また、他の好ましい実施形態では、Si材料を炭素材料とともに含むことがより好ましく、ケイ素含有合金を炭素材料とともに含むことがさらに好ましい。以下では、好ましいケイ素含有負極活物質であるSi材料と、好ましく併用される炭素材料について、より詳細に説明する。
本明細書中、Si材料とは、アモルファスSiO粒子とSi粒子との混合体であるSiOx(xはSiの原子価を満足する酸素数を表す)およびケイ素含有合金を意味する。これらのうちの1種のみがSi材料として用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。以下、これらのSi材料について詳細に説明する。
(SiOx)
SiOxは、アモルファスSiO粒子とSi粒子との混合体であり、xはSiの原子価を満足する酸素数を表す。xの具体的な値について特に制限はなく、適宜設定されうる。
また、上記SiOxは、機械的表面融合処理によってSiOx粒子の表面が導電性物質で被覆されてなる導電性SiOx粒子であってもよい。かような構成とすることにより、SiOx粒子内のSiがリチウムイオンの脱離および挿入をしやすくなり、活物質における反応がよりスムーズに進行することができるようになる。この場合、導電性SiOx粒子における導電性物質の含有量は1〜30重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましい。
上記SiOxの平均粒子径は、既存の負極活物質層13に含まれる負極活物質の平均粒子径と同程度であればよく、特に制限されない。高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmの範囲であればよい。ただし、上記範囲に何ら制限されるものではなく、本実施形態の作用効果を有効に発現できるものであれば、上記範囲を外れていてもよいことは言うまでもない。なお、本明細書において「平均粒子径」は、レーザ回折法によって得られる体積基準のメジアン径(D50)をいうものとする。また、SiOxの形状としては、特に制限はなく、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、鱗片状、不定形などでありうる。
xの値は蛍光X線分析により求めることができる。例えば、O−Kα線を用いた蛍光X線分析でのファンダメンタルパラメータ法を用いて求めることができる。蛍光X線分析には、例えば、株式会社リガク製RIX3000を用いることができる。蛍光X線分析の条件としては、例えば、ターゲットにロジウム(Rh)を用い、管電圧50kV、管電流50mAとすればよい。ここで得られるx値は、基板上の測定領域で検出されるO−Kα線の強度から算出されるため、測定領域の平均値となる。
(ケイ素含有合金)
ケイ素含有合金は、ケイ素を含有する他の金属との合金であれば特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。ここでは、ケイ素含有合金の好ましい実施形態として、SiTiGe、SiTiZn、SiTiSn、SiSnAl、SiSn、SiSn、SiZn、SiZnSn、SiZnAl、SiZn、SiAlおよびSiAlNb(式中、Aは、不可避不純物である。さらに、x、y、z、およびaは、重量%の値を表し、0<x<100、0<y<100、0<z<100、および0≦a<0.5であり、x+y+z+a=100である)が挙げられる。これらのケイ素含有合金を負極活物質として用いることで、所定の第1添加元素および所定の第2添加元素を適切に選択することによって、Li合金化の際に、アモルファス−結晶の相転移を抑制してサイクル寿命を向上させることができる。また、これによって、従来の負極活物質、例えば炭素系負極活物質よりも高容量のものとなる。
(炭素材料)
本発明に用いられうる炭素材料は、特に制限されないが、天然黒鉛、人造黒鉛等の高結晶性カーボンである黒鉛(グラファイト);ソフトカーボン、ハードカーボン等の低結晶性カーボン;ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンフィブリル等の炭素材料が挙げられる。これらのうち、黒鉛を用いることが好ましい。炭素材料の形状としては、特に制限はなく、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、鱗片状、不定形などでありうる。
また、炭素材料の平均粒子径としては、特に制限されないが、5〜25μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましい。この際、上述のSiOxとの平均粒子径との比率については、炭素材料の平均粒子径は、SiOxの平均粒子径と同一であっても、異なっていてもよいが、異なることが好ましい。特に、前記SiOxの平均粒子径が、前記炭素材料の平均粒子径よりも小さいことがより好ましい。炭素材料の平均粒子径がSiOxの平均粒子径よりも相対的に大きいと、均一に炭素材料の粒子が配置され、当該炭素材料の粒子間にSiOxが配置した構成を有するため、負極活物質層内においてSiOxが均一に配置されうる。
炭素材料の平均粒子径とSiOxの平均粒子径との粒子径の比(SiOxの平均粒子径/炭素材料の平均粒子径)は、1/250〜1未満であることが好ましく、1/100〜1/4であることがより好ましい。
本実施形態では、負極活物質として、上記ケイ素含有負極活物質が用いられることにより、好ましくは上記Si材料が用いられることにより、さらに好ましくは上記ケイ素含有合金が用いられることにより、より高いサイクル耐久性を示しつつ、かつ、初期容量も高くバランスよい特性を示すことができる。また、これらのケイ素含有負極活物質が炭素材料と併用されることによっても、これらの特性を向上させることができる。
場合によっては、上述したケイ素含有負極活物質以外の負極活物質が併用されてもよい。併用可能な負極活物質としては、例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。これ以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
負極活物質層は上記所定の負極活物質を含み、必要に応じて、界面活性剤、導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩などのその他の添加剤をさらに含む。界面活性剤、導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩などのその他の添加剤については、上記正極活物質層の欄で述べたものと同様である。
[電解質層]
電解質層は、電解質を含む層であり、通常、セパレータに電解液が含浸されてなる構成を有する。
(セパレータ)
セパレータは、電解質を保持して正極と負極との間のリチウムイオン伝導性を確保する機能、および正極と負極との間の隔壁としての機能を有する。
セパレータの形態としては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
これらセパレータを構成する素材としては、微多孔質セパレータか不織布セパレータかに関わらず、有機電解液と親和性があり、これに対して膨潤しうるものであることが好ましい。このような素材としては、特に限定されないが、例えば、セルロース、ポリエチレングリコール、またはPVDF−HFPを主骨格とする素材が挙げられる。電解液によって膨潤することにより空孔が広がり、イオン伝導度を損なうことなく、分解生成物による閉塞を抑制することができる。また、これらの膨潤しうる素材を主骨格とするセパレータの平均空孔径は、0.5μm以上であることが望ましい。このような空孔径であれば、分解生成物によって空孔が閉塞しにくく、イオンの移動が阻害されにくいためサイクル特性を改善することができる。
セパレータに使用できる他の素材としては、ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータであれば、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。
不織布セパレータに使用する素材としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなどを用いることができ、これらを単独または混合して用いてもよい。
また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。
(電解質)
セパレータに浸潤する電解質としては、特に制限されないが、液体電解質またはゲルポリマー電解質が用いられる。ゲルポリマー電解質を用いることにより、電極間距離の安定化が図られ、分極の発生が抑制され、耐久性(サイクル特性)が向上する。
液体電解質は、リチウムイオンのキャリヤーとしての機能を有する。電解液層を構成する液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類が例示され、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。また、リチウム塩としては、Li(CFSON、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiCFSO等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。液体電解質は、上述した成分以外の添加剤をさらに含んでもよい。かような化合物の具体例としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートがより好ましい。これらの環式炭酸エステルは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ゲルポリマー電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマー(ホストポリマー)に、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。マトリックスポリマー(ホストポリマー)として用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HEP)、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)およびこれらの共重合体等が挙げられる。
ゲル電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
[集電体]
集電体を構成する材料に特に制限はないが、好適には金属が用いられる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅、その他合金等などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅が好ましい。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。集電体の厚さについても特に制限はない。集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。
[正極集電板および負極集電板]
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板27と負極集電板25とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
また、図示は省略するが、集電体と集電板との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[参照電極]
参照電極31を構成する材料としては、例えば、Li金属やSn−Li合金などが挙げられる。本実施形態の参照電極31は、参照電極端子リード33の先端部分に参照電極31を構成する材料をコーティングしたり、貼り付けたりすることによって形成してもよい。参照電極31をコーティングする形態では、参照電極端子リード33となるニッケルの細線の先端部に錫をめっきし、これをリチウム電解液中で還元してLiメッキした参照電極31として使用する形態などが例示できるが、これらに制限されるものではない。また、参照電極31は、高精度に電位を計測しうるだけの大きさがあればよく、電池反応に影響がないようにできるだけ小さなものを正極活物質層15と負極活物質層13との間に置くことが好ましい。
参照電極端子リード33は、参照電極31と参照電極タブ35とを結ぶものである。そのため、正極活物質層15および負極活物質層13から電子的に絶縁されている必要があり、参照電極端子リード33の一部も、正極活物質層15および負極活物質層13から電子的に絶縁された電解質層(セパレータ17)内部に設置されうる。なお、参照電極端子リード33は、参照電極31として機能させるものではなく、参照電極31の電位を外部に取り出す端子リードとして機能すればよい。以上のことから、参照電極端子リード33を構成する材料としては、例えば、Ni金属、ステンレス、Fe金属などが挙げられる。
参照電極タブ35は、電池外装体29を構成するラミネートシートの間で接合され、積層型電池10の外部に取り出した構造とされている。かかる構造とすることで、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止することができる。特に、電気自動車用の電池システムに用いる場合、外部からの衝撃により電池外部に取り出されている参照電極タブ33の部分が破断しない程度に、一定の厚さを有することが好ましい。参照電極タブ35としては、電極集電板27、25と同じ材料、厚さのものを、必要に応じて所定の幅にカットして用いることができる。参照電極タブ35を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。また参照電極タブ35の積層型電池10の外部への取り出しは、図1に示すように電極集電板27、25と異なる辺から取り出してもよいし、同じ辺から取り出してもよい。
[電池外装体]
電池外装体29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができ、所望の電解液層厚みへと調整容易であることから、外装体はアルミネートラミネートがより好ましい。
[セルサイズ]
図1並びに図2Aおよび図2Bに示すように、積層型電池10は、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板27および負極集電板25が引き出されている。発電要素21は、積層型電池10の電池外装体29によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、正極集電板27および負極集電板25を外部に引き出した状態で密封されている。
発電要素を外装体で覆った電池構造体は、昨今、自動車用途などにおいては、大型化された電池が求められていることから負極活物質層が矩形状(長方形状)であり、当該長方形の短辺の長さが100mm以上であることが好ましい。かような大型の電池は、車両用途に用いることができる。ここで、負極活物質層の短辺の長さとは、各電極の中で最も長さが短い辺を指す。電池構造体の短辺の長さの上限は特に限定されるものではないが、通常400mm以下である。さらに、矩形状の電極のアスペクト比は1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。なお、電極のアスペクト比は矩形状の正極活物質層の縦横比として定義される。アスペクト比をかような範囲とすることで、充電時に発生したガスが面方向に均一に排出されることが可能となるため、好ましい。その結果、長期間使用した場合のサイクル耐久性(放電容量維持率)を向上させることができる。
また、電極の物理的な大きさの観点とは異なる、高エネルギー密度電池の観点として、本発明に係る非水電解質二次電池においては、電池体積や電池容量の関係から電池が高密度のものであることが規定されている。具体的に、本発明に係る非水電解質二次電池において、定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値は、10cm/Ah以下である。また、本発明に係る非水電解質二次電池の定格容量は3Ah以上である。この大型化電池は、単位体積当たりの電池容量が大きく、言い換えれば、単位容量当たりの電池体積(定格容量に対する電池体積の比)が小さく(10cm/Ah以下)、かつ電池容量(定格容量)が大きい(3Ah以上)ものとして規定している。
定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と厚みとの積)の比の値が10cm/Ahを超える場合には、上述したように、そもそも本発明が解決すべき課題が生じないため、その解決手段を適用する必要もないといえる。また、定格容量が3Ah未満の場合には、容量が小さいために本発明の解決課題が生じないほか、大型化電池とするには不十分である。
上記定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と厚みとの積)の比の値の上限は、好ましくは8cm/Ah以下である。一方、定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と厚みとの積)の比の値の下限は特に制限されるものではないが、2cm/Ah以上であればよく、好ましくは3cm/Ah以上である。また、定格容量は、好ましくは5Ah以上であり、より好ましくは10Ah以上、さらに好ましくは15Ah以上、特に好ましくは20Ah以上、なかでも好ましくは25Ah以上である。このように高容量かつ高密度の電池とされて初めて、固溶体正極活物質から酸素ガスの発生に起因して、非水電解質二次電池のサイクル耐久性の低下という問題が顕在化するのである。一方、従来の民生型電池のような、上記のように高容量かつ高密度ではない電池においては、固溶体正極活物質から酸素ガスが発生したとしても、これに伴う非水電解質二次電池のサイクル耐久性の低下はみられない。
非水電解質二次電池の定格容量は、以下により求められる。
(定格容量の測定方法)
定格容量は、試験用電池について、電解液を注入した後で、10時間程度放置し、その後、温度25℃、3.0Vから4.15Vの電圧範囲で、次の手順1〜5によって測定される。
手順1:0.1Cの定電流充電にて4.15Vに到達した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
手順3:0.1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順4:0.1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順5:0.1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
定格容量:手順5における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。
電池体積は、電池外装体まで含めた電池の投影面積と厚みとの積により求める。このうち、電池外装体まで含めた電池の投影面積に関しては、正面、背面、右側面、左側面、平面、底面の6つの電池の投影面積が得られるが、このうちの最大の電池の投影面積を用いればよく、通常は、電池を平板上に最も安定した状態に置いた際の平面または底面の電池の投影面積である。また、電池外装体まで含めた電池の厚みは、満充電時の厚みを測定するものとする。また、電池外装体まで含めた電池の厚みは、測定箇所によるばらつきを考慮し、8か所以上を測定し、これらを平均した値とする。例えば、後述する実施例では、発電要素の2本の対角線をそれぞれ5等分した点(計9点)またはその近傍で電池外装体まで含めた電池の厚みを測定し、これらを平均した値とした。
《非水電解質二次電池の製造方法》
本発明の一形態は、非水電解質二次電池の製造方法に関する。ここで、本形態に係る非水電解質二次電池の製造方法においては、上記固溶体正極活物質およびケイ素含有負極活物質を用いた高容量かつ高密度の非水電解質二次電池を製造する際に、活性化すべき固溶体正極活物質を含有する発電要素に対して活性化処理(充電処理)を施す。この活性化処理(充電処理)により、上記固溶体正極活物質の結晶構造の再編成(層状構造(LiMnO)からスピネル構造(LiMn)への変化)が起こり、それによって固溶体正極活物質の高容量化が達成されうる。このように、活性化処理を経て高容量化された固溶体正極活物質を、本明細書においては「活性化された固溶体正極活物質」と称する。なお、活性化処理を行う前までの製造工程については、非水電解質二次電池の製造に関する従来公知の知見が適宜参照されうる。
本形態に係る非水電解質二次電池の製造方法において、固溶体正極活物質の活性化処理を行うには、セルを構成した後、活性化すべき固溶体正極活物質を含有する発電要素に対して充電処理(または充放電処理)を施せばよい。この際、結晶構造の再編成を生じさせるのに必要な具体的な条件(結晶構造の再編成が生じるのに必要な発電要素の充電状態の下限値など)については、従来公知の知見が適宜参照されうる。一例として、当該充電処理により充電される発電要素における正極の最高電位が、リチウム金属対極に対して4.3V以上となるような充電状態まで、充電処理(または充放電処理)を施すことが挙げられる。なお、「活性化すべき固溶体正極活物質」は、活性化処理によって結晶構造の再編成の余地のある固溶体正極活物質であれば特に制限はなく、まったく活性化処理を施されていない活物質であってもよいし、既に多少の活性化処理を施された活物質であってもよい。
ここで、本発明者らは、上述したような固溶体正極活物質を正極に用いた非水電解質二次電池について検討を行ったところ、新たな課題を知得した。すなわち、高容量かつ高密度(電池容量あたりの電池体積が小さい)の電池にこのような固溶体正極活物質を適用すると、当該正極活物質からの酸素ガス発生に起因して、サイクル耐久性が低下する場合があることが判明したのである。
このような課題を解決することを目的として、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、活性化処理における充電処理(または充放電処理)における充電状態の上限値を規定し、当該上限値を超えないように発電要素に対して充電処理(活性化処理)を施すことで上記課題が解決されうることを見出した。なお、従来技術においては、酸素ガスが発生するのが高充電状態領域に存在するとの認識はなかった。このため、固溶体正極活物質を可能な限り高容量化するという観点から、酸素ガスが発生する上限値の充電状態を超えて活性化処理を施すことが一般的であった。本発明者らが知得した上記解決手段は、従来技術におけるこのような常識に反するものである。すなわち、本形態に係る非水電解質二次電池の製造方法では、前記活性化処理において、発電要素の充電状態の値が当該発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように、活性化処理における充電処理(または充放電処理)を制御する。このような制御を行うことで、固溶体正極活物質からの酸素ガスの発生に起因する負極の酸化が防止される。その結果、処理の充放電容量を多少犠牲にしたとしても、負極の酸化に起因する容量低下やA/C比の不均衡が防止され、最終的には電池のサイクル耐久性の低下を抑制することができるのである。なかでも、好ましい実施形態においては、前記活性化処理において、発電要素の充電状態の値が上記所定の上限値に到達した場合に、当該活性化処理における充電処理を終了させる。このような構成とすることにより、酸素ガスの発生を最小限に抑制しつつ、可能な限り高容量を発現できるように活性化処理を施すことが可能となる。
図3Aは、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法のうち、特に活性化処理を実施するための制御装置を含む構成を示すブロック図である。図3Bは、図3Aの制御装置(の特に記憶部)に記憶される充電状態の上限値を設定する根拠となる充電状態(正極容量)と、正極電位(●)および酸素ガス発生量(○)との関係の一例を示す図である。
本実施形態に係る非水電解質二次電池の制御装置は、図3Aに示すように、上述した積層型電池10(活性化すべき固溶体正極活物質を含有する発電要素を備える)に含まれる固溶体正極活物質に対して活性化処理を施す際に充電装置200を制御する。そして、この制御装置は、充電装置200を制御するための構成として、制御部100と、電流センサ110と、電圧センサ120と、を備える。
本実施形態に係る制御部100は、充電装置200を制御することにより、積層型電池10を構成する発電要素21の活性化処理における充電処理(または充放電処理)を制御する。制御部100は、CPUまたはMPU等の制御ユニットと、ROM、RAM等の記憶部とを有している。制御部100は、電流センサ110により検出される積層型電池10に流れる充放電電流(=発電要素21に流れる充放電電流)や、電圧センサ120により検出される積層型電池10の端子電圧(=発電要素21の端子電圧)に基づいて、発電要素21の充電および放電の制御や発電要素21の充電状態、具体的にはSOC値(State of Charge)の算出を行う。本実施形態において、制御部100は、次に説明する活性化処理を含む積層型電池10の製造方法を実行するために、積層型電池10に流れる電流(発電要素21に流れる電流)を電流センサ110で検出する。また、制御部100は、積層型電池10の端子電圧(=発電要素21の端子電圧)を電圧センサ120で検出する。
本実施形態に係る制御部100が有する記憶部(図示せず)には、発電要素21を充電する際の充電状態の上限値が予め記憶される。制御部100は、この上限値を超えないように活性化処理(充電処理または充放電処理)を実行する。
ここで、充電状態の上限値は以下のようにして設定される。すなわち、具体的な例は実施例の項で詳述するが、本発明者らが検証したところ、積層型電池10の充電状態(=発電要素21の充電状態(正極容量))と酸素ガス発生量との関係は、図3Bの○印で示したグラフのようになる。つまり、種々の容量に充電したリチウムイオン二次電池について酸素ガス発生量を確認すると、正極容量Cを境界にして酸素ガスの発生量が急激に増加する。一方、積層型電池10の充電状態(=発電要素21の充電状態(正極容量))と正極電位(リチウム金属対極に対する電位)との関係は、図3Bの●印で示したグラフのようになる。したがって、充電状態(正極容量)−酸素ガス発生量のグラフにおいて酸素ガスの発生量が急激に増加する充電状態(正極容量C)に相当する正極電位EMAXを充電状態の上限値として設定し、活性化処理のための充電処理または充放電処理において正極電位Eが上限値EMAXを超えないようにすれば、発電要素21の正極を構成する固溶体正極活物質からの酸素ガスの発生を防止することができる。その結果、酸素ガスの発生に起因するサイクル耐久性の低下を効果的に防止することが可能となる。なお、本発明の制御を実施するための発電要素(正極容量)の上限値は、用いられる固溶体正極活物質の種類や配合量、各活物質層に含まれるその他の材料や配合量など、種々の要因によって変動しうる。しかしながら、図3Bに示すような予備検討を行っておくことで、本発明の制御を実施するための発電要素(正極容量)の上限値を帰納的に求めることが可能である。この上限値(酸素ガスの発生量が急激に増加する充電状態(正極容量C)に相当する正極電位EMAX)は、例えば、図3Bに示す正極容量−ガス発生量のグラフにおいて、その微分係数(容量をCとし、ガス発生量をAとしたときのΔA/ΔCについてのΔC→0の極限値)が200以上となる点における正極容量をC1とし、それに対応する正極電位をEMAXとすることにより決定することができる。
一方、本発明者らが推定しているところによれば、本発明の制御を実施するための発電要素(正極容量)の上限値は、演繹的にも算出可能であると考えられる。すなわち、固溶体正極活物質を構成するリチウム含有遷移金属酸化物の結晶構造において、活性カ処理の際の充電初期には3bサイトおよび4hサイトから優先的にリチウムイオンが放出される。そして、その後も充電処理を継続すると、2cサイトからもリチウムイオンが放出され、その結果、Li(2b)−O−Li(2c)間の軌道相互作用が低下し、酸素原子が分子状酸素(O)として結晶構造の外部に放出されるものと本発明者らは推定している。したがって、固溶体正極活物質を構成するリチウム含有遷移金属酸化物の結晶構造において、リチウムイオンが存在しうるすべてのサイト(3b、4h、2b、2c)のうち、3bサイトおよび4hサイトに存在するリチウムイオンのみが放出されるように活性化処理の際の充電処理を行えば、酸素ガスの発生は防止されるものと考えられる。ここで、例えば上述した化学式(1)で表される組成を有するリチウム含有遷移金属酸化物において、リチウムの組成比は(1+d)で表される。そして、本明細書においては、この(1+d)モルのリチウムのうち、活性化処理(充電処理)によって放出される(つまり、充電に寄与する)リチウムの量を「リチウム利用量」と称するものとする。そして、このリチウム利用量が3bサイトおよび4hサイトに存在するリチウム量以下であれば、酸素ガスの発生は防止されるものと考えられる。したがって、このことに基づけば、活性化処理(充電処理)におけるリチウム利用量が3bサイトおよび4hサイトに存在するリチウム量以下となるように、本発明の制御を実施するための発電要素(正極容量)の上限値を算出することが可能である。
ここで、一般的な充電状態SOCの算出には、電圧センサ120により積層型電池10(=発電要素21)の開回路電圧(無負荷状態における積層型電池10の両端子間電圧)を用いることができる。ただし、積層型電池10(すなわち、発電要素21)の正極を構成する固溶体正極活物質から酸素ガスの発生は、充電状態にある固溶体正極活物質からのリチウムイオンの放出による活物質の構造変化によって生じる。したがって、本実施形態のように酸素ガスの発生を抑制する制御においては、上述した正極電位Eを測定する参照電極31を用いて正極電位の上限値EMAXを超えないように制御することが好ましい。ここで、図3Aに示す電流センサ110および電圧センサ120、並びに図2B等に示す参照電極31は、充電状態検出センサとして機能する。
上記では、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法における固溶体正極活物質の活性化処理に本発明の制御を適用する場合について説明した。ただし、本発明の制御は、非水電解質二次電池の使用時(運転時)にも適用可能である。すなわち、上述した活性化処理を経て製造された非水電解質二次電池(正極は活性化された固溶体正極活物質を含有する)を使用する際の充電処理(または充放電処理)にも、本発明の制御は適用可能である。以下では、電気自動車に搭載された本発明に係る非水電解質二次電池の使用時(運転時)における制御について、説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を搭載した電気自動車を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係る電気自動車300は、上述した積層型電池10と、上述した制御装置(制御部100、電流センサ110および電圧センサ120を備える)と、インバータ310と、モータ320と、を備える。制御部100、電流センサ110および電圧センサ120は、図3Aに示す制御部100、電流センサ110および電圧センサ120と同様の構成であるため、説明を省略する。なお、図4に示す電気自動車300は、積層型電池10と、上述した制御装置とを備えていることから、非水電解質二次電池システムであるということもできる。
インバータ310は、積層型電池10が発生する直流電力を、交流電力に変換してモータ320に与え、モータ320を駆動させて電気自動車300を走行させる。また、インバータ310は、電気自動車300の制動時にモータ320が発生する交流電力である回生電力を、直流電力に変換して積層型電池10に与え、積層型電池10を充電する。
このようにしてモータ320が発生する回生電力によって積層型電池10が充電される際に、本発明の制御が適用可能である。すなわち、本実施形態において、制御部100は、積層型電池10の使用時(電気自動車300の走行時)における回生電力による充電処理(または充放電処理)を、上記と同様にして制御する。具体的には、図3Bに示す充電状態(正極容量)−酸素ガス発生量のグラフにおいて酸素ガスの発生量が急激に増加する充電状態(正極容量C)に相当する正極電位EMAXを充電状態の上限値として設定し、回生電力による充電処理(または充放電処理)において正極電位Eが上限値EMAXを超えないようにすれば、発電要素21の正極を構成する固溶体正極活物質からの酸素ガスの発生を防止することができる。その結果、酸素ガスの発生に起因するサイクル耐久性の低下を効果的に防止することが可能となる。もちろん、本実施形態におけるような制御においても、上記と同様に、正極電位Eを測定する参照電極31を用いて正極電位の上限値EMAXを超えないように制御することが好ましい。このような構成とすることにより、酸素ガスの発生を最小限に抑制しつつ、可能な限り多くの回生電力を発電要素21の充電に利用することが可能となる。
上記の説明では、積層型電池10の使用時における本発明の制御の適用例について、電気自動車の走行時における回生電力による充電処理の制御を例に挙げて説明した。ただし、本発明の制御は、これ以外にも、例えば充電装置を用いた積層型電池10の通常の充電処理にも適用可能である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[実施例1]
(正極サンプルの作製)
正極活物質として、LiMnOとLiNi0.375Co0.375Mn0.25とを1:9のモル比で含有する固溶体であるリチウム含有遷移金属酸化物を、従来公知の複合炭酸塩法を用いて調製した。このリチウム含有遷移金属酸化物の組成式は、
Li[Ni0.3375Co0.3375Mn0.325[Li]0.1]O2.1
であった。これを化学式(1)に当てはめると、z=2.1(原子価を満足する酸素数)、a=b=0.3375、c=0.325、d=0.1、a+b+c=1となる。
このようにして準備した固溶体正極活物質(リチウム含有遷移金属酸化物)90質量部と、導電助剤として燐片状黒鉛1質量部およびアセチレンブラック4質量部と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部と、粘度調整溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)74質量部とを準備した。そして、PVDF5質量部をNMP50質量部に溶解してバインダ溶液を調製した。次いで、燐片状黒鉛1質量部およびアセチレンブラック4質量部(合計5質量部)と、固溶体正極活物質(リチウム含有遷移金属酸化物)90質量部とを、上記バインダ溶液60質量部に加え、プラネタリーミキサー(プライミクス社製、ハイビスミックス2P−03型)にて混練し、その後、混練物にNMP24質重量部を加えて、正極活物質スラリー(固形分濃度60質量%)を得た。
その後、集電体として20μm厚の(シート状の)アルミニウム集電箔の片面に、上記正極活物質スラリーをバーコーターにより(乾燥後の正極活物質層の質量が概ね3.5mg/cmとなるように)塗布した。続いて、この正極活物質スラリーを塗布した集電箔を、ホットプレート上にて乾燥(120℃〜130℃、乾燥時間10分)させて、正極活物質層を形成した。なお、この乾燥処理により、正極活物質層に残留するNMP量を0.02質量%以下とした。このようにして、シート状正極を得た。
次に、上記シート状正極をローラープレスにかけて圧縮成形し、切断して、片面の正極活物質層の質量を約3.5mg/cmに、厚さを約50μmに、密度を2.70g/cmに調整した。
その後、このシート状正極に対して、真空乾燥炉にて乾燥処理を行った。乾燥炉内部にシート状正極を設置した後、室温(25℃)にて減圧(100mmHg(1.33×10Pa))して、乾燥炉内の空気を除去した。続いて、窒素ガスを流通(100cm/分)しながら、10℃/分で120℃まで昇温し、120℃で再度減圧して炉内の窒素を排気したまま12時間保持した後、室温まで降温した。こうして正極サンプルを完成させた。
(ガス発生測定用セルの作製)
上記で作製した正極サンプルを切り出し、正極活物質層が露出するように圧電型AEセンサ(Vallen systeme社製、VS900−M)の内部に入れ、さらにセパレータとして準備したポリプロピレン(PP)製微多孔膜(厚さ25μm)、および負極としてのリチウム金属箔(厚さ200μm)をこの順に積層した。次いで、電解液(エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DEC=1:2(体積比)の割合で混合した有機溶媒に、支持塩としてのLiPFを濃度が1M(mol/L)となるように溶解させたもの)をシリンジを用いて注入し、密閉して、ガス発生測定用セルを完成させた。
(ガス発生測定用セルに対する活性化処理)
上記で作製したガス発生測定用セルを恒温槽(25℃)の内部に載置して調温し、その状態で充放電試験機:HJ0501SM8A(北斗電工株式会社製)を用いてガス発生測定用セルに対して1回の充電処理を施した。なお、この充電処理では、0.1Cの充電電流の定電流方式で4.8Vまで充電を行った後、4.8Vの定電圧方式で正極の充電容量が320mAh/gとなるまで充電を行った。ここで、電流密度が1Cとは、公称容量値a[Ah]のセルを1時間定電流放電すると放電終了となる電流値をいい、この場合1C=a[A]となる。
この充電処理においては、ガス発生測定用セルの正負極間の端子電圧(開回路電圧)を、電圧センサを用いて経時的にモニターした。また、ガス発生測定用セルの内部におけるガス発生イベントを、圧電型AEセンサを作動させることによりやはり経時的にモニターした。これらの結果から、本実施例において用いたガス発生測定用セルの充電状態(正極容量)を横軸にプロットし、金属リチウムに対する正極電位(●)および酸素ガス発生量(酸素ガス発生イベント)(○)を縦軸にプロットすることにより、図3Bに示すグラフを得た。図3Bに示すように、正極容量として294mAh/gを境にして酸素ガス発生イベント(酸素ガス発生量)が急激に増加することがわかる。そして、294mAh/gの正極容量は、リチウム金属に対する正極電位として4.68Vに相当することもわかる。したがって、これらの正極容量(または正極電位)を上限値として設定し、これを超えないように固溶体正極活物質の活性化処理(充電処理)を行うことで、活性化処理の際における酸素ガスの発生を十分に抑制することができることが示された。また、ここで用いた正極を備える電池の通常使用時においても、上記で得られた正極容量(または正極電位)を上限値として設定し、これを超えないように当該電池の発電要素に対して充電処理を行うことで、やはり充電処理の際における酸素ガスの発生を十分に抑制することができることも示された。
(負極サンプルの作製)
ケイ素含有負極活物質として、以下の手法により、Si65SnTi30(組成比は質量比)の組成を有するケイ素含有合金を製造した。
具体的には、ドイツZOZ社製撹拌ボールミル装置C−01Mを用いて、SUS製粉砕ポットに1920gのジルコニア製粉砕ボール(φ5mm)および1gのカーボン(SGL)を投入し、その後1000rpmで10分間、プレ粉砕処理を実施した。その後、合金の各原料粉末(高純度金属Siインゴット(5N)、高純度Tiワイヤ(3N)、高純度Sn板(3N))を100g投入し、1500rpmで5時間かけて合金化させ(合金化処理)、その後400rpmで1時間、微粉砕処理を実施して、ケイ素含有合金(負極活物質)を得た。なお、本実施例において用いた撹拌ボールミル装置において、公転半径rs=0.070[m]、自転半径rpl=0[m]、回転数rpm=1500[回/分]であったことから、遠心力はGnl=176.0[G]と算出される。また、得られたケイ素含有合金(負極活物質)粉末の平均粒子径(D50)は5.4μmであった。
このようにして準備したケイ素含有負極活物質(Si65SnTi30粉末)80質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック5質量部と、バインダであるポリアミドイミド15質量部と、を混合し、N−メチル−2−ピロリドン適量に分散させて負極活物質スラリーを得た。次いで、得られた負極活物質スラリーを、銅箔(厚さ15μm)よりなる負極集電体の片面に負極活物質層の厚さが30μmとなるように均一に塗布し、真空中で24時間乾燥させて、負極サンプルを得た。
(試験用ラミネートセルの作製)
上記で得られた正極サンプルを、活物質層面積;縦2.5cm×横2.0cmになるように切り出し、これら2枚を集電体同士が向き合うようにして、未塗工面(アルミニウム集電箔のスラリーを塗工していない面)を合わせて集電体部分をスポット溶接した。これにより、外周部をスポット溶接により一体化された2枚重ねの集電箔の両面に正極活物質層を有する正極を形成した。その後、さらに集電体部分にアルミニウムの正極タブ(正極集電板)を溶接して正極を形成した。すなわち、正極は、集電箔の両面に正極活物質層が形成された構成である。
一方、上記で得られた負極サンプルを、活物質層面積;縦2.7cm×横2.2cmになるように切り出し、その後、さらに集電体部分に電解銅の負極タブを溶接して負極を形成した。すなわち、負極サンプルは、集電体の片面に負極活物質層が形成された構成である。
これらタブを溶接した負極と正極との間に多孔質ポリプロピレン製セパレータ(縦3.0cm×横2.5cm、厚さ25μm、空孔率55%)を挟んで5層からなる積層型の発電要素を作製した。積層型の発電要素の構成は、負極(片面)/セパレータ/正極(両面)/セパレータ/負極(片面)の構成とした。次いで、アルミラミネートフィルム製外装材(縦3.5cm×横3.5cm)で発電要素の両側を挟み込み、3辺を熱圧着封止して上記発電要素を収納した。この発電要素に、上記と同様の電解液0.8cm(上記5層構成の場合、2セル構成となり、1セル当たりの注液量0.4cm)を注入した後、残りの1辺を熱圧着で仮封止し、試験用ラミネートセルを作製した。電解液を電極細孔内に十分に浸透させるため、面圧0.5MPaで加圧しながら、25℃にて24時間保持した。
(発電要素の充電処理(活性化処理))
本実施例においては、上述したガス発生測定用セルを用いた予備検討により、294mAh/gの正極容量(リチウム金属に対する正極電位として4.68V)に対応する発電要素の充電状態を上限値として設定し、この上限値を超えないように活性化処理を施すことで発電要素(特に固溶体正極活物質)からの酸素ガスの発生が抑制されうることが判明している。そこで、本実施例では、上記で作製された試験用セルに対し、294mAh/gの正極容量(リチウム金属に対する正極電位として4.68V)となるまで活性化処理を施した。
具体的には、まず、25℃にて、定電流充電法で0.05C、4時間の充電(SOC約20%)を行った。次いで、25℃にて0.1Cレートで4.45Vまで充電した後、充電を止め、その状態(SOC約70%)で約2日間(48時間)保持した(エージング処理)。次いで、熱圧着で仮封止した一辺を開封し、10±3hPaで5分間ガス除去を行った後、再度、熱圧着を行い仮封止を行った。さらに、ローラーで加圧(面圧0.5±0.1MPa)成形し、電極とセパレータとを十分に密着させた。
その後、活性化処理として、上述した発電要素の充電状態の上限値を超えないように、0.1Cの充電電流の定電流方式で4.68Vまで充電を行った。そして10分間休止させた後、0.1Cの充電電流の定電流方式で2.0Vまで放電を行うことにより、活性化処理を行った。なお、本実施例での活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量は、0.941と算出された。
また、活性化処理の前後における試験用ラミネートセルの体積変化から、アルキメデス法により活性化処理の前後における酸素ガスの発生量を測定した。結果を下記の表1に示す。
(サイクル耐久性評価)
上記で活性化処理を施した試験用セルについて、サイクル耐久性評価を行った。具体的には、室温条件下において、0.1Cの充電電流で電池電圧が4.5Vとなるまで充電した後、約1時間〜1.5時間保持する定電流定電圧充電法とし、放電は、電池電圧が2.0Vとなるまで0.1Cの放電電流で放電する定電流方式で行った。このサイクルを50回繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を「容量維持率(%)」として評価した。結果を下記の表1に示す:
容量維持率(%)=50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100
なお、1サイクル目の充電容量および放電容量の値、試験用ラミネートセルの定格容量の値、並びに試験用ラミネートセルの定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値についても、下記の表1に併せて示す。
[実施例2]
正極活物質として、LiMnOとLiNi0.375Co0.375Mn0.25とを3:7のモル比で含有する固溶体であるリチウム含有遷移金属酸化物を、従来公知の複合炭酸塩法を用いて調製した。このリチウム含有遷移金属酸化物の組成式は、
Li[Ni0.2625Co0.2625Mn0.475[Li]0.3]O2.3
であった。これを化学式(1)に当てはめると、z=2.3(原子価を満足する酸素数)、a=b=0.2625、c=0.475、d=0.3、a+b+c=1となる。
このようにして得られた正極活物質を用いたこと以外は上述した実施例1と同様の手法により、ガス発生測定用セルを作製し、固溶体正極活物質からの酸素ガスの発生量が急激に増加する正極の充電状態の上限値を調べた。
次いで、本実施例で得られた正極活物質を用いたこと以外は上述した実施例1と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。なお、本実施例での活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量は、1.057と算出された。
[実施例3]
正極活物質として、LiMnOとLiNi0.375Co0.375Mn0.25とを5:5のモル比で含有する固溶体であるリチウム含有遷移金属酸化物を、従来公知の複合炭酸塩法を用いて調製した。このリチウム含有遷移金属酸化物の組成式は、
Li[Ni0.1875Co0.1875Mn0.625[Li]0.5]O2.5
であった。これを化学式(1)に当てはめると、z=2.5(原子価を満足する酸素数)、a=b=0.1875、c=0.625、d=0.5、a+b+c=1となる。
このようにして得られた正極活物質を用いたこと以外は上述した実施例1と同様の手法により、ガス発生測定用セルを作製し、固溶体正極活物質からの酸素ガスの発生量が急激に増加する正極の充電状態の上限値を調べた。
次いで、本実施例で得られた正極活物質を用いたこと以外は上述した実施例1と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。なお、本実施例での活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量は、1.088と算出された。
[実施例4]
正極活物質として、LiMnOとLiNi0.375Co0.375Mn0.25とを7:3のモル比で含有する固溶体であるリチウム含有遷移金属酸化物を、従来公知の複合炭酸塩法を用いて調製した。このリチウム含有遷移金属酸化物の組成式は、
Li[Ni0.1125Co0.1125Mn0.775[Li]0.7]O2.7
であった。これを化学式(1)に当てはめると、z=2.7(原子価を満足する酸素数)、a=b=0.1125、c=0.775、d=0.7、a+b+c=1となる。
このようにして得られた正極活物質を用いたこと以外は上述した実施例1と同様の手法により、ガス発生測定用セルを作製し、固溶体正極活物質からの酸素ガスの発生量が急激に増加する正極の充電状態の上限値を調べた。
次いで、本実施例で得られた正極活物質を用いたこと以外は上述した実施例1と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。なお、本実施例での活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量は、1.057と算出された。
[比較例1]
活性化処理における充電処理の際に、上述した発電要素の充電状態の上限値を超える充電状態まで充電を行った。具体的には、活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量が1.093となるように活性化処理(充電処理)を行った。それ以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。
[比較例2]
活性化処理における充電処理の際に、上述した発電要素の充電状態の上限値を超える充電状態まで充電を行った。具体的には、活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量が1.154となるように活性化処理(充電処理)を行った。それ以外は、上述した実施例2と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。
[比較例3]
活性化処理における充電処理の際に、上述した発電要素の充電状態の上限値を超える充電状態まで充電を行った。具体的には、活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量が1.176となるように活性化処理(充電処理)を行った。それ以外は、上述した実施例3と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。
[比較例4]
活性化処理における充電処理の際に、上述した発電要素の充電状態の上限値を超える充電状態まで充電を行った。具体的には、活性化処理における充電時の理論上のリチウム利用量が1.150となるように活性化処理(充電処理)を行った。それ以外は、上述した実施例4と同様の手法により、試験用ラミネートセルを作製し、活性化処理およびその際の酸素ガス発生量の測定、並びにサイクル耐久性評価を行った。結果を下記の表1に示す。
表1に示す結果からわかるように、実施例1〜4では、リチウムイオン二次電池の製造時における固溶体正極活物質の活性化処理(充電処理)に対して本発明の制御を適用したことにより、活性化処理の際の酸素ガスの発生が抑制されたこと、および、それによって電池のサイクル耐久性も格段に向上したことがわかる。一方、本発明の制御を適用しなかった比較例1〜4においては、活性化処理の際に酸素ガスが大量に発生したこと、および、それによって電池のサイクル耐久性が大幅に低下したことがわかる。
ここで、上述した実施例3および比較例3について、サイクル耐久性試験の各サイクルにおける放電容量をプロットしたグラフを図5Aに示す。図5Aに示すように、上述した実施例3および比較例3のように高容量かつ高密度の電池(電池の定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値が10cm/Ah以下であり、かつ、前記定格容量が3Ah以上である電池)においては、本発明の制御を行った場合(実施例3)と行わなかった場合(比較例3)との間でサイクル耐久性に大きな差が見られることがわかる。
一方、上述したような高容量かつ高密度の電池(電池の定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値が10cm/Ah以下であり、かつ、前記定格容量が3Ah以上である電池)ではない電池を用いて図5Aと同様の比較実験(サイクル耐久性試験)を行った場合の、サイクル耐久性試験の各サイクルにおける放電容量をプロットしたグラフを図5Bに示す。図5Bに示すように、「高容量かつ高密度」の条件を満たさない電池においては、本発明の制御を行った場合と行わなかった場合との間で、サイクル耐久性にはほとんど差が見られないことがわかる。
以上のことから、本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法や制御方法、制御装置、非水電解質二次電池システムは、固溶体正極活物質を正極に含む高容量かつ高密度の電池に特有の課題(高電位状態における酸素ガス発生に起因するサイクル耐久性の低下)を解決しうるものであることがわかる。
10 積層型電池、
11 負極集電体、
12 正極集電体、
13 負極活物質層、
15 正極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 負極集電板(負極タブ)、
27 正極集電板(正極タブ)、
29 電池外装体、
31 参照電極、
33 参照電極端子リード、
35 参照電極タブ、
100 制御部、
110 電流センサ、
120 電圧センサ、
200 充電装置、
300 電気自動車、
310 インバータ、
320 モータ。

Claims (8)

  1. 活性化された固溶体正極活物質を含有する正極と、ケイ素含有負極活物質を含有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する非水電解質を含む電解質層と、を備える発電要素を有する非水電解質二次電池の制御方法であって、
    前記非水電解質二次電池の定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値が10cm/Ah以下であり、かつ、前記定格容量が3Ah以上であり、
    前記発電要素の充電状態の値が前記発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように前記発電要素の充放電を制御する、非水電解質二次電池の制御方法。
  2. 前記発電要素の充電時に、前記発電要素の充電状態の値が前記上限値に到達した場合に、前記発電要素の充電を終了させる、請求項1に記載の非水電解質二次電池の制御方法。
  3. 請求項1または2に記載の非水電解質二次電池の制御方法に用いられる非水電解質二次電池の制御装置であって、
    前記発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を記憶する記憶部と、
    前記発電要素の充電状態を検出する充電状態検出センサと、
    前記検出された充電状態の値が前記上限値を超えないように前記発電要素の充放電を制御する制御部と、
    を有する、非水電解質二次電池の制御装置。
  4. 活性化された固溶体正極活物質を含有する正極と、ケイ素含有負極活物質を含有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する非水電解質を含む電解質層と、を備え、定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値が10cm/Ah以下であり、かつ、前記定格容量が3Ah以上である非水電解質二次電池と、
    請求項3に記載の非水電解質二次電池の制御装置と、
    を有する、非水電解質二次電池システム。
  5. 前記固溶体正極活物質が、下記化学式(1):
    Li[NiCoMn[Li]]O ・・・(1)
    式中、Liはリチウム、Niはニッケル、Coはコバルト、Mnはマンガン、Oは酸素を示し、zは原子価を満足する酸素数を表し、a、b、cおよびdは、0<a<0.94、0≦b<0.94、0<c<0.94、0.05≦d≦0.8、a+b+c=1の関係を満足する、
    で表される組成を有する固溶体リチウム含有遷移金属酸化物を基本構造として有するものである、請求項4に記載の非水電解質二次電池システム。
  6. 前記ケイ素含有負極活物質は、ケイ素含有合金を含む、請求項4または5に記載の非水電解質二次電池システム。
  7. 活性化された固溶体正極活物質を含有する正極と、ケイ素含有負極活物質を含有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する非水電解質を含む電解質層と、を備える発電要素を有する非水電解質二次電池の製造方法であって、
    前記非水電解質二次電池の定格容量に対する電池体積(電池外装体まで含めた電池の投影面積と電池の厚みとの積)の比の値が10cm/Ah以下であり、かつ、前記定格容量が3Ah以上であり、
    活性化処理すべき固溶体正極活物質を含有する発電要素に充電処理を施すことによって前記固溶体正極活物質における層状構造のLiMnOをスピネル構造のLiMnに変化させることで前記固溶体正極活物質を活性化処理することを含み、
    前記活性化処理において、前記発電要素の充電状態の値が前記発電要素の充電状態とガス発生量との関係から予め設定された充電状態の上限値を超えないように前記充電処理を制御することをさらに含む、非水電解質二次電池の製造方法。
  8. 前記活性化処理において、前記発電要素の充電状態の値が前記上限値に到達した場合に、前記活性化処理における充電処理を終了させる、請求項7に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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