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JP2019009403A - プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置 Download PDF

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JP2019009403A JP2017175364A JP2017175364A JP2019009403A JP 2019009403 A JP2019009403 A JP 2019009403A JP 2017175364 A JP2017175364 A JP 2017175364A JP 2017175364 A JP2017175364 A JP 2017175364A JP 2019009403 A JP2019009403 A JP 2019009403A
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Abstract

【課題】チャンバ内の部材の表面に緻密な保護膜をより均一に成膜する。【解決手段】プラズマ処理方法は、供給工程と成膜工程とを含む。供給工程では、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガスと、酸素含有ガスと、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含み、シリコン元素を含まない添加ガスとを含む混合ガスが、チャンバ内に供給される。成膜工程では、混合ガスのプラズマにより、チャンバ内の部材の表面に保護膜が成膜される。【選択図】図6

Description

本発明の種々の側面および実施形態は、プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置に関する。
半導体の製造プロセスでは、プラズマにより薄膜の積層またはエッチング等を行うプラズマ処理装置が広く用いられている。プラズマ処理装置としては、例えば、薄膜の積層処理を行うプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置や、エッチング処理を行うプラズマエッチング装置等がある。
ところで、プラズマ処理装置のチャンバ内に配置される部材(以下では、チャンバ内部材と記載する場合がある)は、各種のプラズマ処理の際に処理ガスのプラズマに曝されるため、プラズマからのダメージを受けにくい材料によって形成される。また、チャンバ内部材の耐プラズマ性をさらに高めるために、チャンバ内にシリコン含有ガスとO2ガスとを含む混合ガスを供給し、混合ガスのプラズマによってチャンバ内部材の表面をシリコン酸化膜で保護する技術が知られている。シリコン含有ガスとしては、例えばSiCl4やSiF4等が用いられる。
また、プラズマ処理装置のチャンバ内にウエハ(処理基板)を搬入し、チャンバ内にSiCl4ガスとO2ガスとを含む混合ガスを供給し、混合ガスのプラズマを用いてウエハを処理することにより、ウエハ上にシリコン酸化膜を形成(成膜)する技術が知られている。
特開2016−12712号公報 国際公開第2010/038887号
SiCl4やSiF4等のシリコン含有ガスは、反応性が高いため、ガスの供給口付近でプラズマによりシリコンが解離し、酸素と結びつき、シリコン酸化物を生成しやすい。これにより、生成されたシリコン酸化物は、ガスの供給口付近のチャンバ内部材の表面に多く降り積もる。そのため、チャンバ内では、シリコン酸化膜が厚く積層される箇所と薄く積層される箇所が発生してしまう。
チャンバ内においてシリコン酸化膜の厚さが異なると、プラズマを用いてシリコン酸化膜を除去する際、シリコン酸化膜が薄く積層された箇所では、チャンバ内部材の表面がプラズマによるダメージを受ける。一方、シリコン酸化膜が厚く積層された箇所では、シリコン酸化膜が十分に除去されない。シリコン酸化膜が厚く積層された箇所では、除去しきれなかったシリコン酸化膜の上にさらにシリコン酸化膜が積層されるうちに、シリコン酸化膜の厚さが増加する。そして、やがてチャンバ内部材の表面から剥がれ落ち、パーティクルとなって処理対象のウエハに混入してしまう。
また、SiCl4やSiF4等のシリコン含有ガスは、反応性が高いため、プラズマによりチャンバ内の気中でシリコン酸化物を生成しやすい。気中で生成されたシリコン酸化物は、チャンバ内部材の表面に降り積もることにより、チャンバ内部材の表面にシリコン酸化膜を形成する。しかし、気中で生成されたシリコン酸化物が降り積もることにより形成されたシリコン酸化膜は、もろく剥がれやすい。そのため、ウエハの処理時にパーティクルとなってチャンバ内に漂う場合がある。
さらに、SiCl4やSiF4等のシリコン含有ガスは、反応性が高いため、条件によっては、ガスの供給口の孔内にまで、気中で生成されたシリコン酸化物に入り込む場合がある。その場合、ガスの供給口の側壁にシリコン酸化膜が積層され、やがて、積層されたシリコン酸化膜によりガスの供給口が閉塞してしまう恐れがある。
本発明の一側面は、プラズマ処理方法であって、供給工程と成膜工程とを含む。供給工程では、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガスと、酸素含有ガスと、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含み、シリコン元素を含まない添加ガスとを含む混合ガスが、チャンバ内に供給される。成膜工程では、混合ガスのプラズマにより、チャンバ内の部材の表面に保護膜が成膜される。
本発明の種々の側面および実施形態によれば、チャンバ内の部材の表面に緻密な保護膜をより均一に成膜することができる。
図1は、プラズマ処理装置の概略の一例を示す断面図である。 図2は、スロット板の一例を示す平面図である。 図3は、誘電体窓の一例を示す平面図である。 図4は、図3のA−A断面図である。 図5は、図3に示した誘電体窓上に図2に示したスロット板が設けられた状態を示す平面図である。 図6は、プラズマ処理装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図7は、テストピースが配置されるチャンバ内の位置を示す図である。 図8は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜厚を示す図である。 図9は、保護膜の成膜状態の一例を示す模式図である。 図10は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜質を示す図である。 図11は、膜質の測定方法の一例を説明する図である。 図12は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各元素の発光強度を示す図である。 図13は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各元素の発光強度を示す図である。 図14は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜厚を示す図である。 図15は、実施例1において圧力を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜厚を示す図である。 図16は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜質を示す図である。 図17は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各元素の発光強度を示す図である。 図18は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各元素の発光強度を示す図である。 図19は、比較例2においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜厚を示す図である。 図20は、比較例2においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜質を示す図である。 図21は、実施例2において誘電体窓のガス吐出口からArガスを供給した場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜厚を示す図である。 図22は、実施例2において誘電体窓のガス吐出口からArガスを供給した場合の各位置のテストピースに積層された保護膜の膜質を示す図である。
開示するプラズマ処理方法は、1つの実施形態において、供給工程と成膜工程とを含む。供給工程では、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガスと、酸素含有ガスと、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まない添加ガスとを含む混合ガスを、チャンバ内に供給される。成膜工程では、混合ガスのプラズマにより、チャンバ内の部材の表面に保護膜が成膜される。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、添加ガスの流量は、化合物ガスの流量の5倍以上であってもよい。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、添加ガスの流量は、化合物ガスの流量の5倍以上25倍以下の範囲内の流量であってもよい。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、化合物ガスは、SiCl4ガスまたはSiF4ガスであってもよい。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、化合物ガスは、SiCl4ガスであってもよく、添加ガスには、Cl2ガス、HClガス、BCl3ガス、CCl4ガス、またはCH2Cl2ガスの少なくともいずれかが含まれていてもよい。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、化合物ガスは、SiF4ガスであってもよく、添加ガスには、NF3ガス、SF6ガス、HFガス、CF4ガス、またはCHF3ガスの少なくともいずれかが含まれていてもよい。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、酸素含有ガスには、O2ガス、COガス、またはCO2ガスの少なくともいずれかが含まれていてもよい。
また、開示するプラズマ処理方法は、1つの実施形態において、搬入工程と処理工程と搬出工程と除去工程とをさらに含んでもよい。搬入工程では、成膜工程の後に、チャンバ内に被処理基板が搬入される。処理工程では、搬入工程の後に、チャンバ内に処理ガスが供給され、処理ガスのプラズマにより被処理基板が処理される。搬出工程では、処理工程の後に、チャンバ内から被処理基板が搬出される。除去工程では、搬出工程の後に、チャンバ内にフッ素含有ガスが供給され、フッ素含有ガスのプラズマによりチャンバ内の保護膜が除去される。また、除去工程の後に、再び供給工程および成膜工程が実行されてもよい。
また、開示するプラズマ処理方法の1つの実施形態において、チャンバは、略円筒状の側壁と、側壁の上部に設けられた上部天板と有してもよい。また、供給工程では、化合物ガス、酸素含有ガス、および添加ガスが、側壁に沿って設けられた複数の側壁供給口からチャンバ内に供給され、略円筒状の側壁の軸線上であって、上部天板の下面に設けられた天板供給口からチャンバ内に希ガスがさらに供給されてもよい。
また、開示するプラズマ処理装置は、1つの実施形態において、チャンバと、供給部と、プラズマ生成部とを備える。供給部は、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガスと、酸素含有ガスと、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まない添加ガスとを含む混合ガスを、前記チャンバ内に供給する。プラズマ生成部は、チャンバ内において混合ガスのプラズマを生成する。
以下に、開示するプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示されるプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置が限定されるものではない。
[プラズマ処理装置10の構成]
図1は、プラズマ処理装置10の概略の一例を示す断面図である。プラズマ処理装置10は、例えば図1に示すように、チャンバ12を備える。チャンバ12は、被処理基板の一例であるウエハWを収容するための処理空間Sを提供する。チャンバ12は、側壁12a、底部12b、および天部12cを有する。側壁12aは、Z軸を軸線とする略円筒形状を有する。Z軸は、例えば、後述する載置台の中心を鉛直方向に通る。
底部12bは、側壁12aの下端側に設けられている。また、側壁12aの上端部は開口している。側壁12aの上端部の開口は、誘電体窓18によって閉じられている。誘電体窓18は、側壁12aの上端部と天部12cとの間に挟持されている。誘電体窓18と側壁12aの上端部との間には封止部材SLが介在していてもよい。封止部材SLは、例えばOリングであり、チャンバ12の密閉に寄与する。
チャンバ12内において、誘電体窓18の下方には、載置台20が設けられている。載置台20は、下部電極LEおよび静電チャックESCを含む。下部電極LEは、例えばアルミニウム等により形成された略円板状の第1プレート22aおよび第2プレート22bを含む。第2プレート22bは、筒状の支持部SPによって支持されている。支持部SPは、底部12bから垂直上方に延びている。第1プレート22aは、第2プレート22b上に設けられており、第2プレート22bと電気的に導通している。
下部電極LEは、給電棒PFRおよびマッチングユニットMUを介して、高周波電源RFGに電気的に接続されている。高周波電源RFGは、高周波バイアスを下部電極LEに供給する。高周波電源RFGによって発生される高周波バイアスの周波数は、ウエハWに引き込まれるイオンのエネルギーを制御するのに適した所定周波数、例えば、13.56MHzである。マッチングユニットMUは、高周波電源RFG側のインピーダンスと、主に電極、プラズマ、チャンバ12といった負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器を収容している。この整合器の中には、例えば、自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサ等が含まれる。
静電チャックESCは、第1プレート22a上に設けられている。静電チャックESCは、処理空間S側にウエハWを載置するための載置領域MRを有する。載置領域MRは、Z軸に略直交する略円形の領域であり、ウエハWの直径と略同一の直径またはウエハWの直径よりも若干小さい直径を有する。また、載置領域MRは、載置台20の上面を構成しており、当該載置領域MRの中心、即ち、載置台20の中心は、Z軸上に位置している。
静電チャックESCは、ウエハWを静電吸着力により保持する。静電チャックESCは、誘電体内に設けられた吸着用電極を含む。静電チャックESCの吸着用電極には、直流電源DCSがスイッチSWおよび被覆線CLを介して接続されている。静電チャックESCは、直流電源DCSから印加される直流電圧により発生するクーロン力によって、静電チャックESCの上面にウエハWを吸着保持する。静電チャックESCの径方向外側には、ウエハWの周囲を環状に囲むフォーカスリングFRが設けられている。
第1プレート22aの内部には、環状の流路24が形成されている。流路24には、チラーユニットから配管PP1を介して冷媒が供給される。流路24に供給された冷媒は、配管PP3を介してチラーユニットに回収される。さらに、プラズマ処理装置10では、伝熱ガス供給部からの伝熱ガス、例えばHeガス等が供給管PP2を介して静電チャックESCの上面とウエハWの裏面との間に供給される。
載置台20の外周の外側、即ち、載置台20と側壁12aとの間には、空間が形成されており、この空間は、平面視においては環形状を有する排気路VLとなっている。排気路VLと処理空間Sとの間には、複数の貫通孔が形成された環状のバッフル板26が設けられている。排気路VLは、排気口28hを介して排気管28に接続されている。排気管28は、チャンバ12の底部12bに取り付けられている。排気管28には、排気装置30が接続されている。排気装置30は、圧力調整器およびターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有する。排気装置30により、チャンバ12内の処理空間Sを所望の真空度まで減圧することができる。また、ウエハWに対して供給されたガスは、排気装置30により、ウエハWの表面に沿って当該ウエハWのエッジの外側に向けて流れ、載置台20の外周から排気路VLを介して排気される。
また、本実施形態におけるプラズマ処理装置10は、温度制御機構として、ヒータHT、HS、HC、およびHEを有する。ヒータHTは、天部12c内に設けられており、アンテナ14を囲むように、環状に延在している。ヒータHSは、側壁12a内に設けられており、環状に延在している。ヒータHCは、第1プレート22a内または静電チャックESC内に設けられている。ヒータHCは、上述した載置領域MRの中央部分の下方、即ちZ軸に交差する領域に設けられている。ヒータHEは、ヒータHCを囲むように環状に延在している。ヒータHEは、上述した載置領域MRの外縁部分の下方に設けられている。
また、プラズマ処理装置10は、アンテナ14、同軸導波管16、マイクロ波発生器32、チューナ34、導波管36、およびモード変換器38を有する。アンテナ14、同軸導波管16、マイクロ波発生器32、チューナ34、導波管36、およびモード変換器38は、チャンバ12内に供給されるガスを励起させるためのプラズマ生成部を構成している。
マイクロ波発生器32は、例えば2.45GHzの周波数のマイクロ波を発生する。マイクロ波発生器32は、チューナ34、導波管36、およびモード変換器38を介して、同軸導波管16の上部に接続されている。同軸導波管16は、その中心軸線であるZ軸に沿って延在している。
同軸導波管16は、外側導体16aおよび内側導体16bを含む。外側導体16aは、Z軸を中心に延在する円筒形状を有する。外側導体16aの下端は、導電性の表面を有する冷却ジャケット40の上部に電気的に接続されている。内側導体16bは、Z軸を中心に延在する円筒形状を有しており、外側導体16aの内側において、当該外側導体16aと同軸に設けられている。内側導体16bの下端は、アンテナ14のスロット板44に接続されている。
本実施形態において、アンテナ14は、RLSA(Radial Line Slot Antenna)である。アンテナ14は、載置台20と対面するように天部12cに形成された開口内に配置されている。アンテナ14は、冷却ジャケット40、誘電体板42、スロット板44、および誘電体窓18を含む。誘電体窓18は、上部天板の一例である。誘電体板42は、略円盤形状を有しており、マイクロ波の波長を短縮させる。誘電体板42は、例えば石英またはアルミナ等で構成され、スロット板44と冷却ジャケット40の下面との間に挟持されている。
図2は、スロット板44の一例を示す平面図である。スロット板44は、薄板状であって、円板状である。スロット板44の板厚方向の両面は、それぞれ平らである。スロット板44の中心CSは、Z軸上に位置している。スロット板44には、複数のスロット対44pが設けられている。複数のスロット対44pの各々は、板厚方向に貫通する二つのスロット孔44aおよび44bを含む。スロット孔44aおよび44bのそれぞれの平面形状は、例えば長丸形状である。各スロット対44pにおいて、スロット孔44aの長軸の延伸方向と、スロット孔44bの長軸の延伸方向とは、互いに交差または直交している。複数のスロット対44pは、スロット板44の中心CSを囲むように、中心CSの周囲に配列されている。図2に示す例では、二つの同心円に沿って、複数のスロット対44pが配列されている。各同心円上において、スロット対44pは略等間隔で配列されている。スロット板44は、誘電体窓18上の上面18u(図4参照)に設けられている。
図3は、誘電体窓18の一例を示す平面図であり、図4は、図3のA−A断面図である。例えば図3および図4に示すように、誘電体窓18は、石英等の誘電体によって略円盤状に形成されている。誘電体窓18の中央には、貫通孔18hが形成されている。貫通孔18hの上側部分は、後述する中央導入部50のインジェクタ50bが収容される空間18sであり、下側部分は、後述する中央導入部50のガス吐出口18iである。なお、本実施形態において、誘電体窓18の中心軸線は、Z軸と一致している。
誘電体窓18の上面18uと反対側の面、即ち下面18bは、処理空間Sに面している。下面18bは、種々の形状を画成している。具体的には、下面18bは、ガス吐出口18iを囲む中央領域において、平坦面180を有している。平坦面180は、Z軸に直交する平坦な面である。下面18bは、環状の第1凹部181を画成している。第1凹部181は、平坦面180の径方向における外側領域において環状に連なり、下方から上方に向かってテーパ状に窪んでいる。
また、下面18bは、複数の第2凹部182を画成している。複数の第2凹部182は、下方から上方に向かって窪んでいる。複数の第2凹部182の個数は、図3および図4に示す例では7個であるが、6個以下であってもよく、8個以上であってもよい。複数の第2凹部182は、周方向に沿って等間隔に配置されている。また、複数の第2凹部182は、Z軸に直交する面において円形の平面形状を有している。
図5は、図3に示した誘電体窓18上に図2に示したスロット板44が設けられた状態を示す平面図である。図5は、誘電体窓18を下側から見た状態を示している。例えば図5に示すように、平面視において、即ち、Z軸方向から見ると、径方向外側の同心円に沿ってスロット板44に設けられたスロット対44pは、誘電体窓18の第1凹部181に重なる。また、径方向内側の同心円に沿ってスロット板44に設けられたスロット対44pのスロット孔44bは、誘電体窓18の第1凹部181に重なっている。さらに、径方向内側の同心円に沿って設けられたスロット対44pのスロット孔44aは、複数の第2凹部182に重なる。
図1を再び参照する。マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波は、同軸導波管16を通って、誘電体板42に伝播され、スロット板44のスロット孔44aおよび44bから誘電体窓18に伝搬する。誘電体窓18に伝搬したマイクロ波のエネルギーは、誘電体窓18の直下において、比較的薄い板厚を有する部分によって画成された第1凹部181および第2凹部182に集中する。従って、プラズマ処理装置10は、周方向および径方向に安定して分布するようにプラズマを発生させることが可能となる。
また、プラズマ処理装置10は、中央導入部50および周辺導入部52を備える。中央導入部50は、導管50a、インジェクタ50b、およびガス吐出口18iを含む。導管50aは、同軸導波管16の内側導体16bの内側に配置されている。また、導管50aの端部は、誘電体窓18がZ軸に沿って画成する空間18s(図4参照)内まで延在している。導管50aの端部の下方であって、空間18s内には、インジェクタ50bが収容されている。インジェクタ50bには、Z軸方向に延びる複数の貫通孔が設けられている。また、誘電体窓18は、上述したガス吐出口18iを有する。ガス吐出口18iは、空間18sの下方においてZ軸に沿って延在し、空間18sと連通している。中央導入部50は、導管50aを介してインジェクタ50bにガスを供給し、インジェクタ50bからガス吐出口18iを介して処理空間S内にガスを吐出する。このように、中央導入部50は、Z軸に沿って誘電体窓18の直下の処理空間S内にガスを吐出する。即ち、中央導入部50は、処理空間S内において、電子温度が高いプラズマ生成領域にガスを導入する。また、中央導入部50から吐出されたガスは、概ねZ軸に沿ってウエハWの中央の領域に向かって流れる。ガス吐出口18iは、天板供給口の一例である。
中央導入部50には、流量制御ユニット群FCG1を介してガスソース群GSG1が接続されている。ガスソース群GSG1は、複数のガスを含む混合ガスを供給する。流量制御ユニット群FCG1は、複数の流量制御器および複数の開閉弁を含む。ガスソース群GSG1は、流量制御ユニット群FCG1内の流量制御器および開閉弁を介して、中央導入部50の導管50aに接続されている。
周辺導入部52は、例えば図1に示すように、高さ方向、即ちZ軸方向において、誘電体窓18のガス吐出口18iと載置台20の上面との間に設けられている。周辺導入部52は、側壁12aに沿った位置から処理空間S内にガスを導入する。周辺導入部52は、複数のガス吐出口52iを含む。複数のガス吐出口52iは、高さ方向において、誘電体窓18のガス吐出口18iと載置台20の上面との間に、側壁12aの処理空間S側に沿って配列されている。
周辺導入部52は、例えば石英等により形成された環状の管52pを含む。管52pには、複数のガス吐出口52iが形成されている。それぞれのガス吐出口52iは、Z軸方向に向かって斜め上方向にガスを吐出する。ガス吐出口52iは、側壁供給口の一例である。本実施形態の周辺導入部52は、例えば図1に示すように、1つの管52pを有するが、他の形態として、周辺導入部52は、チャンバ12の側壁12aの内側に沿って上下方向に配置された2つ以上の管52pを有していてもよい。周辺導入部52の管52pには、ガス供給ブロック56および流量制御ユニット群FCG2を介してガスソース群GSG2が接続されている。流量制御ユニット群FCG2は、複数の流量制御器および複数の開閉弁を含む。ガスソース群GSG2は、流量制御ユニット群FCG2内の流量制御器および開閉弁を介して、周辺導入部52に接続されている。流量制御ユニット群FCG1およびFCG2、並びに、ガスソース群GSG1およびGSG2は、供給部の一例である。
プラズマ処理装置10は、中央導入部50から処理空間S内に供給されるガスの種類および流量と、周辺導入部52から処理空間S内に供給されるガスの種類および流量とを独立に制御することが可能である。本実施形態において、プラズマ処理装置10は、中央導入部50および周辺導入部52から処理空間S内に同一の種類のガスを供給する。また、本実施形態において、中央導入部50から処理空間S内に供給されるガスの流量と、周辺導入部52から処理空間S内に供給されるガスの流量とは、ほぼ同じ流量に設定される。
また、プラズマ処理装置10は、例えば図1に示すように、プロセッサおよびメモリ等を含む制御部Cntを備える。制御部Cntは、メモリ内に格納されたレシピ等のデータやプログラムに従ってプラズマ処理装置10の各部を制御する。例えば、制御部Cntは、流量制御ユニット群FCG1およびFCG2内の流量制御器および開閉弁を制御し、中央導入部50および周辺導入部52から導入されるガスの流量を調整する。また、制御部Cntは、マイクロ波発生器32を制御して、マイクロ波発生器32によって生成されるマイクロ波の周波数や電力を制御する。また、制御部Cntは、高周波電源RFGを制御して、高周波電源RFGによって生成される高周波バイアスの周波数および電力、並びに、高周波バイアスの供給および遮断を制御する。また、制御部Cntは、排気装置30内の真空ポンプを制御して、チャンバ12内の圧力を制御する。また、制御部Cntは、ヒータHT、HS、HC、およびHEを制御して、チャンバ12内の各部の温度を調整する。
[処理フロー]
上述のように構成されたプラズマ処理装置10は、例えば図6に示す処理を実行する。図6は、プラズマ処理装置10によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部Cntは、変数nを0に初期化する(S10)。そして、制御部Cntは、チャンバ12内にウエハWが搬入されていない状態で、チャンバ12内の部材の表面に保護膜を積層させる保護膜積層処理を実行する。
具体的には、制御部Cntは、排気装置30内の真空ポンプを制御して、チャンバ12内を所定の真空度まで減圧する。また、制御部Cntは、ヒータHT、HS、HC、およびHEを制御して、チャンバ12内の各部を所定の温度に調整する。そして、制御部Cntは、流量制御ユニット群FCG1およびFCG2内の流量制御器および開閉弁を制御して、複数のガスを含む混合ガスを、それぞれ所定の流量で中央導入部50および周辺導入部52から処理空間S内に供給する(S11)。ステップS11は、供給工程の一例である。
本実施形態において、混合ガスには、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガス(プリカーサガス)と、酸素含有ガスと、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まない添加ガスとが含まれる。具体的には、混合ガスには、化合物ガスとしてSiCl4ガスが含まれ、酸素含有ガスとしてO2ガスが含まれ、添加ガスとしてCl2ガスが含まれる。この他に、混合ガスには、Arガスが含まれる。
そして、制御部Cntは、マイクロ波発生器32を制御して、例えば2.45GHzのマイクロ波を所定の電力で処理空間S内に所定時間供給させる。これにより、処理空間S内には、混合ガスのプラズマが生成され、チャンバ12内の部材の表面に、所定の厚さの保護膜が積層される(S12)。本実施形態において、保護膜は、シリコン酸化膜(SiO2膜)である。ステップS12は、成膜工程の一例である。
次に、チャンバ12内にウエハWが搬入され、載置台20の静電チャックESC上に載置される(S13)。制御部Cntは、スイッチSWをOFF状態からON状態に切り替え、直流電源DCSからの直流電圧を静電チャックESCに印加する。これにより、ウエハWは、静電チャックESCに発生したクーロン力によって、静電チャックESCの上面に吸着保持される。ステップS13は、搬入工程の一例である。
次に、チャンバ12内に搬入されたウエハWに対してプラズマ処理が施される(S14)。具体的には、制御部Cntは、再び排気装置30内の真空ポンプを制御して、チャンバ12内を所定の真空度まで減圧し、ヒータHT、HS、HC、およびHEを制御して、チャンバ12内の各部を所定の温度に調整する。そして、制御部Cntは、流量制御ユニット群FCG1およびFCG2内の流量制御器および開閉弁を制御し、ウエハWの処理に使用される処理ガスを、所定の流量で中央導入部50および周辺導入部52から処理空間S内に供給する。そして、制御部Cntは、マイクロ波発生器32を制御して、例えば2.45GHzのマイクロ波を所定の電力で処理空間S内に所定時間供給させる。また、制御部Cntは、高周波電源RFGを制御して、例えば13.65MHzの高周波バイアスを所定の電力で下部電極LEに所定時間供給させる。これにより、処理空間S内には、処理ガスのプラズマが生成され、生成されたプラズマにより、ウエハWの表面にエッチングや成膜等の所定の処理が施される。ステップS14は、処理工程の一例である。
次に、スイッチSWがON状態からOFF状態に切り替えられ、チャンバ12内からウエハWが搬出される(S15)。ステップS15は、搬出工程の一例である。そして、制御部Cntは、変数nを1増やし(S16)、変数nの値が所定値n0以上であるか否かを判定する(S17)。変数nの値が所定値n0未満である場合(S17:No)、再びステップS13に示した処理が実行される。
一方、変数nの値が所定値n0以上である場合(S17:Yes)、チャンバ12内の部材の表面に積層された保護膜を除去する除去処理が実行される(S18)。具体的には、制御部Cntは、排気装置30内の真空ポンプを制御して、チャンバ12内を所定の真空度まで減圧する。また、制御部Cntは、ヒータHT、HS、HC、およびHEを制御して、チャンバ12内の各部を所定の温度に調整する。そして、制御部Cntは、流量制御ユニット群FCG1およびFCG2内の流量制御器および開閉弁を制御し、フッ素含有ガスを所定の流量で中央導入部50および周辺導入部52から処理空間S内に供給する。フッ素含有ガスには、例えば、NF3ガス、SF6ガス、およびCF4ガスのうち少なくともいずれかが含まれる。
そして、制御部Cntは、マイクロ波発生器32を制御して、例えば2.45GHzのマイクロ波を所定の電力で処理空間S内に所定時間供給させる。これにより、処理空間S内にフッ素含有ガスのプラズマが生成され、生成されたプラズマにより、チャンバ12内の面に積層された保護膜が除去される。ステップS18は、除去工程の一例である。
そして、制御部Cntは、ウエハWに対する処理を終了するか否かを判定する(S19)。処理を終了しない場合(S19:No)、再びステップS10に示した処理が実行される。一方、処理を終了する場合(S19:Yes)、プラズマ処理装置10は、本フローチャートに示した処理を終了する。
このように、本実施形態のプラズマ処理装置10では、所定値n0分のウエハWがプラズマ処理される毎に、保護膜の除去(S18)と再度の保護膜の積層(S11、S12)とが実行される。特に、所定値n0が1である場合、1枚のウエハWがプラズマ処理される毎に、保護膜の除去(S18)と再度の保護膜の積層(S11、S12)とが実行されることになる。
[実験]
ここで、保護膜積層処理においてチャンバ12内の部材の表面に積層される保護膜の膜厚および膜質について実験を行った。実験では、例えば図7に示すように、チャンバ12内の[1]〜[6]の各部にテストピース70を配置し、テストピース70に積層された保護膜の膜厚および膜質を測定した。以下の実験では、シリコン基板上に1μmの厚さのSiO2膜が形成されているテストピース70がチャンバ12内の[1]〜[6]の各位置に配置された。図7は、テストピース70が配置されるチャンバ12内の位置を示す図である。例えば図7に示すように、[1]は、誘電体窓18のガス吐出口18iに近い位置であり、[3]および[4]は、周辺導入部52のガス吐出口52iに近い位置である。
[比較例1]
まず初めに比較例1について実験を行った。図8は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜厚を示す図である。比較例1では、保護膜形成処理において、混合ガスとして、Arガス、SiCl4ガス、およびO2ガスがチャンバ12内に供給された。その他の条件は、以下の通りである。
マイクロ波の電力:1000W
チャンバ12内の圧力:20mT
RDC:50%
Ar/SiCl4/O2=250sccm/10sccm/20〜200sccm
なお、RDC(Radical Distribution Control)とは、{(ガス吐出口18iから供給されるガスの流量)/(ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iから供給されるガスの総流量)}×100である。
例えば図8に示すように、ガス吐出口18iに近い[1]の位置のテストピース70、および、ガス吐出口52iに近い[3]および[4]の位置のテストピース70では、他の位置のテストピース70に比べて保護膜が厚い。一方、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iから遠い[2]、[5]、および[6]の位置のテストピース70では、[1]、[3]、および[4]の位置のテストピース70に比べて、保護膜が薄い。このように、ガスの吐出口に近い位置では、ガスの吐出口から遠い位置に比べて、保護膜が厚くなる傾向にある。また、比較例1では、例えば図8に示すように、SiCl4ガスの流量に対してO2ガスの流量を変化させたとしても、ガスの吐出口に近い位置の保護膜が厚くなる傾向は変わらない。
ここで、保護膜積層処理において、処理空間S内では、以下の(1)〜(4)に示す反応が進行する。
SiCl4→Si*+4Cl* ・・・(1)
SiCl4←Si*+4Cl* ・・・(2)
Si*+O2→SiO2 ・・・(3)
Si*+2O*→SiO2 ・・・(4)
気中で生成されたSiO2がチャンバ12内の部材の表面に降り積もることにより保護膜が形成された場合、例えば図9(a)に示すように、保護膜において、それぞれの粒塊60の間には多くの隙間が存在することになる。粒塊60間の隙間が多いと、プラズマ中のイオンやラジカルが衝突することにより、粒塊60が容易に剥がれてしまう。図9は、保護膜の成膜状態の一例を示す模式図である。
これに対し、チャンバ12内の部材の表面において上記の式(3)および(4)に示される反応が起こると、例えば図9(b)に示すように、それぞれの粒塊60の間の隙間が小さく、緻密な保護膜が形成される。粒塊60間の隙間が小さい保護膜は、プラズマ中のイオンやラジカルが衝突しても粒塊60が剥がれにくい。
比較例1において、O2ガスの流量が減ると、処理空間S内においてO2およびO*が減少する。そのため、上記の式(3)および(4)に示される反応が減少する。これにより、上記の式(1)に示される反応により生成されたSi*が、SiO2を形成することなくチャンバ12内の各部へ行き渡る。これにより、チャンバ12内の部材の表面において上記の式(3)および(4)に示される反応が起こり、保護膜の膜質が向上することが期待される。
図10は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜質を示す図である。保護膜の膜質の測定では、例えば図11に示すように、テストピース70のシリコン基板71上のSiO2膜72の反射光と、保護膜積層処理でSiO2膜72上に積層された保護膜73の反射光とを用いて、SiO2膜72と保護膜73との偏光状態の差を膜質として評価した。図11は、膜質の測定方法の一例を説明する図である。具体的には、分光エリプソメトリにより測定されたSiO2膜72の反射光および保護膜73の反射光のそれぞれの強度比Ψおよび位相差ΔのMSE(平均二乗誤差)を下記の式(5)に基づいて算出する。
Figure 2019009403
上記の式(5)において、「i」はそれぞれの波長と入射角で特定されるi番目の値、「σ」は標準偏差、「N」はΨおよびΔの個数、「M」はフィッティングパラメータの個数を表す。また、「mod」は、SiO2膜の反射光の理論値を表し、「exp」はSiO2膜72および保護膜73の反射光の実測値を表す。
保護膜73が理想的なSiO2膜であれば、SiO2膜72および保護膜73の屈折率がSiO2膜の屈折率に近づくため、上記の式(5)に基づいて算出されたMSEの値は0となる。つまり、MSEの値が小さいほど、保護膜73の膜質が理想的なSiO2膜の膜質(例えば図9(b)に示した状態)に近いことを示しており、保護膜73の膜質が良好であることを示す。一方、保護膜73が理想的なSiO2膜と異なれば、保護膜73およびSiO2膜72の屈折率がSiO2膜の屈折率からずれるため、上記の式(5)に基づいて算出されたMSEの値が大きくなる。つまり、MSEの値が大きいほど、保護膜73の膜質が理想的なSiO2膜の膜質とは異なる状態(例えば図9(a)に示した状態)であることを示しており、保護膜73の膜質が悪いことを示す。特に、MSEの値が10より大きな値になると、SiO2膜が剥がれやすくなってしまい、保護膜としては有効ではない膜種となる。
図10を参照すると、SiCl4ガスの流量に対してO2ガスの流量のみを変化させたとしても、MSEに一定の傾向は見られない。これは、O2ガスの流量を減少させても、O2ガスに含まれる酸素は、気中でのSiO2の生成で消費され、テストピース70上の保護膜に含まれるSiO2の多くは、気中で生成されたSiO2であるためと考えられる。そのため、SiCl4ガスの流量に対してO2ガスの流量のみを変化させたとしても、保護膜の膜質を向上させることは難しい。
図12および図13は、比較例1においてO2ガスの流量を変えた場合の各元素の発光強度を示す図である。O2ガスの流量を減少させると、図13に示すように、処理空間S内のO*が減少している。しかし、図12を参照すると、SiOの発光のピーク強度に変化は見られない。そのため、O2ガスの流量を減少させても、SiO2は気中で所定量生成されていると考えられる。そのため、チャンバ12内の面に積層される保護膜の膜質は向上しないと考えられる。
[実施例1]
次に、本発明の実施例1について実験を行った。図14は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜厚を示す図である。本実施例1では、チャンバ12内に供給される混合ガスとして、Arガス、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスが用いられている。図14に示した実験は、以下の条件で行われた。
マイクロ波の電力:2500W
チャンバ12内の圧力:20mT
RDC:50%
Ar/SiCl4/O2/Cl2
=250sccm/10sccm/100sccm/0〜250sccm
図14を参照すると、添加ガスであるCl2ガスの流量が50sccm以上、即ち、化合物ガスであるSiCl4ガスの流量の5倍以上であれば、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iに近い[1]、[3]、および[4]の位置のテストピース70の保護膜の厚さが減少し、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iから遠い[2]、[5]、および[6]の位置のテストピース70の保護膜の厚さが増加する傾向が見られた。図14の実験では、Cl2ガスの流量を250sccm、即ち、SiCl4ガスの流量の25倍まで変化させたが、Cl2ガスの流量が50sccm以上250sccm以下の範囲であれば、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iに近い位置の保護膜の厚さが減少し、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iから遠い位置の保護膜の厚さが増加することが分かった。即ち、Cl2ガスの流量が、SiCl4ガスの流量の5倍以上25倍以下の範囲内の流量であれば、チャンバ12内の部材の表面により均一な厚さの保護膜を形成することができる。
これは、Cl2ガスが添加されることにより、前述の式(1)に示す反応が抑制され、SiCl4ガスの分子が分子のままチャンバ12内の隅々まで行き渡り、チャンバ12内の部材の表面に近い場所でSi*およびCl*に解離する。そして、Si*がチャンバ12内の部材の表面に吸着した後に前述の式(3)または(4)に示す反応により、チャンバ12内の部材の表面にSiO2が形成されるためであると考えられる。
ここで、Cl2ガスの流量を250sccmとし、チャンバ12内の圧力を変化させた場合の各部の保護膜の膜厚は、例えば図15のようになった。図15は、実施例1において圧力を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜厚を示す図である。図15に示した実験は、以下の条件で行われた。
マイクロ波の電力:1000W
チャンバ12内の圧力:20〜150mT
RDC:50%
Ar/SiCl4/O2/Cl2
=250sccm/10sccm/100sccm/250sccm
図15を参照すると、チャンバ12内の圧力を上げるほど、プラズマソースに近い領域において、保護膜が厚くなる傾向が見られ、チャンバ12内の圧力を下げるほど、チャンバ12内により均一な厚さで保護膜が積層される傾向が見られた。ウエハWに対するプラズマ処理において、チャンバ12内でプラズマ密度が高くなる領域では、チャンバ12内の部材に対してプラズマによるダメージが大きい。そのため、ウエハWに対するプラズマ処理においてプラズマ密度が高くなる領域に面する部材に対しては、保護膜をより厚く積層させることも考えられる。このような場合、チャンバ12内の圧力を調整することにより、プラズマによるダメージがより大きい領域に積層される保護膜を厚くすることができる。
図16は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜質を示す図である。図16に示した実験は、以下の条件で行われた。
マイクロ波の電力:1500W
チャンバ12内の圧力:80mT
RDC:0%
Ar/SiCl4/O2/Cl2
=250sccm/20sccm/50sccm/0〜100sccm
図16を参照すると、Cl2ガスの流量が100sccmの場合、Cl2ガスの流量が0sccmの場合と比べて、全ての位置のテストピース70において保護膜の膜質が向上している。これは、Cl2ガスが添加されることにより、前述の式(1)に示す反応が減少し、SiCl4ガスの分子が分子のままチャンバ12内の隅々まで行き渡り、気中で生成されるSiO2の量が抑制されたためと考えられる。
図17および図18は、実施例1においてCl2ガスの流量を変えた場合の各元素の発光強度を示す図である。Cl2ガスの流量を増加させると、図17に示すように、処理空間S内においてClの発光強度が増加しており、処理空間S内においてCl*の濃度が上昇していることが分かる。一方、Cl2ガスの流量を増加させると、図17に示すように、処理空間S内においてSiの発光強度が減少し、処理空間S内においてSiの濃度が低下していることがわかる。これは、Cl2ガスが添加されることにより、前述の式(2)に示す反応に対して、前述の式(1)に示す反応が減少するためであると考えられる。
また、Cl2ガスの流量を増加させると、図17に示すように、SiOの発光強度のピークが減少している。そのため、気中でのSiOの生成が抑制されている。これにより、Si*がチャンバ12内の部材の表面に吸着した後に前述の式(3)または(4)に示す反応によりSiO2が生成され、保護膜の膜質が向上すると考えられる。
また、図18を参照すると、Cl2ガスの流量の増加に伴って、Oの発光強度が低下している。Cl2ガスの分子は、O2ガスの分子よりも反応性が高いため、O2ガスの分子よりもプラズマのエネルギーをより多く吸収してCl*となりやすい。そのため、O2分子がO*となるためのエネルギーが減少し、気中のO*が減少したと考えられる。気中のO*が減少すると、前述の式(4)の反応が減少し、気中でのSiO2の生成が抑制される。これにより、Si*がチャンバ12内の部材の表面に吸着した後に前述の式(3)または(4)に示す反応によりSiO2が生成され、チャンバ12内の部材の表面に形成される保護膜の膜質が向上する。
[比較例2]
次に、比較例2において、Cl2ガスを添加した混合ガスにおいて、O2ガスの流量を変化させる実験を行った。図19は、比較例2においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜厚を示す図である。比較例2では、保護膜形成処理において、Arガス、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスが、チャンバ12の側壁12aに沿った位置に設けられた複数のガス吐出口52iからチャンバ12内に供給された。その他の条件は、以下の通りである。
マイクロ波の電力:1000W
チャンバ12内の圧力:80mT
RDC:0%
Ar/SiCl4/O2/Cl2
=500sccm/20sccm/30〜100sccm/250sccm
例えば図19に示されるように、O2ガスを変化させても、各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜厚はそれほど変化していない。
図20は、比較例2においてO2ガスの流量を変えた場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜質を示す図である。例えば図20に示されるように、O2ガスを変化させると、チャンバ12内の位置によって、テストピース70に積層された保護膜の膜質が変化した。
本実施形態におけるプラズマ処理装置10では、ウエハWに対するプロセスの均一化を目的に、静電チャックESC上に載置されたウエハWの直上においてプラズマの密度が均一になるように、アンテナ14から放射されるマイクロ波の分布やガスの分布が制御される。しかし、ウエハWの上方でのプラズマの生成および拡散によってプラズマの粒子をウエハW上に照射させるプラズマ処理装置10では、チャンバ12内の空間の大きさ、アンテナ14の形状等によっては、ウエハWの直上におけるプラズマ密度がウエハWの中心部と外周部とでいずれかに偏ってしまう場合がある。その偏りを補正するために、チャンバ12内の側壁12aや誘電体窓18の下面18b等では、プラズマ密度を意図的に不均一にする場合がある。
例えば図20の実験結果において、O2ガスの流量が30sccmの場合、[1]や[6]の位置のテストピース70に積層された保護膜のMSEの値は、[2]や[3]の位置のテストピース70に積層された保護膜のMSEの値よりも低い。これは、O2ガスの流量が30sccmの場合では、[1]や[6]の位置の方が、[2]や[3]の位置よりも、マイクロ波のエネルギーやガスの濃度等の関係が、密度の高いプラズマが形成される条件に近いためと考えられる。高いプラズマ密度の領域では、MSEの値が低くなり、良質な保護膜が形成される。
一方、例えば図20の実験結果において、O2ガスの流量が100sccmの場合、[2]や[6]の位置のテストピース70に積層された保護膜のMSEの値は、[1]や[3]の位置のテストピース70に積層された保護膜のMSEの値よりも低い。これは、[2]や[6]の位置の方が、[1]や[3]の位置よりも、アンテナ14から放射されるマイクロ波のエネルギーやガスの濃度等の関係が、密度の高いプラズマが形成される条件に近いためと考えられる。
ところで、チャンバ12内の各部の部材の表面に形成される保護膜の膜質が悪いと、ウエハWに対するプロセスの実行中に、保護膜の表面が剥がれやすくなってしまう。特に、誘電体窓18の下面18bに形成された保護膜の表面の一部が剥がれると、誘電体窓18の下面18bから剥がれた保護膜が、パーティクルとなって、誘電体窓18の下方に位置するウエハWの表面に付着しやすい。そのため、チャンバ12内の各部の部材の表面に形成される保護膜の中では、特に誘電体窓18の下面18bに形成される保護膜の膜質を向上させることが重要である。
また、本実施形態におけるプラズマ処理装置10において、誘電体窓18は、例えば図1および図3〜図5に示したように、略円板状に形成され、ガス吐出口18iが形成されている中心軸の周辺に、比較的薄い板厚を有する部分によって画成された第1凹部181および複数の第2凹部182が形成されている。そして、スロット板44から誘電体窓18に伝搬したマイクロ波のエネルギーは、第1凹部181および第2凹部182の位置に対応する誘電体窓18の直下に集中する。そのため、ガス吐出口18iが形成されている誘電体窓18の下面18bの位置では、マイクロ波のエネルギーが小さく、その周辺の第1凹部181および第2凹部182の直下の位置では、マイクロ波のエネルギーが大きい。つまり、[2]の位置のマイクロ波のエネルギーは、[1]の位置のマイクロ波のエネルギーよりも大きい。従って、O2ガスの流量のみを変更した場合には、[1]および[2]の位置において、一方が密度の高いプラズマが形成される条件に近くなっても、他方が密度の高いプラズマが形成される条件に近くならない場合があり、両方の位置に形成される保護膜の膜質を向上させることが難しい。
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について実験を行った。図21は、実施例2において誘電体窓18のガス吐出口18iからArガスを供給した場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜厚を示す図である。図22は、実施例2において誘電体窓18のガス吐出口18iからArガスを供給した場合の各位置のテストピース70に積層された保護膜の膜質を示す図である。本実施例2では、チャンバ12の側壁12aに沿った位置に設けられた複数のガス吐出口52iから、Arガス、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスがチャンバ12内に供給され、さらに、誘電体窓18のガス吐出口18iからArガスがチャンバ12内に供給される。また、図21には、図19に示した実験結果のうち、O2ガスの流量が100sccmの場合の実験結果も併せて図示されており、図22には、図20に示した実験結果のうち、O2ガスの流量が100sccmの場合の実験結果も併せて図示されている。図21および図22に示した実験は、以下の条件で行われた。
マイクロ波の電力:1000W
チャンバ12内の圧力:80mT
Ar/+Ar/SiCl4/O2/Cl2
=350〜500sccm/0〜150sccm/20sccm/100sccm/250sccm
Arガスの流量比:0%(+Ar/Ar=0/500sccm)
Arガスの流量比:30%(+Ar/Ar=150/350sccm)
なお、上記の条件において「+Ar」はガス吐出口18iからチャンバ12内に供給されるArガスの流量を示し、その他のガスの流量はガス吐出口52iからチャンバ12内に供給されるガスの流量を示す。
例えば図21に示すように、Arガスの流量比を0%から30%に変更しても、[1]〜[6]の各位置のテストピース70に形成される保護膜の厚さはほとんど変化していない。
一方、例えば図22に示すように、Arガスの流量比を0%から30%に変更すると、[1]〜[6]の各位置のテストピース70に形成される保護膜の膜質が変化した。具体的には、Arガスの流量比を0%から30%に変更することにより、[1]の位置のテストピース70の保護膜の膜質を示すMSEの値が、約80から約1.5に大幅に向上した。これは、Arガスの流量比を0%から30%に変更することにより、誘電体窓18のガス吐出口18i付近のArガスの密度が増加し、[1]付近のプラズマ密度が増加したためと考えられる。
また、Arガスの流量比を0%から30%に変更することにより、[2]の位置のテストピース70の保護膜のMSEの値は、約2から約4に小幅に悪化したものの、良好な膜質が維持されている。その他の位置のテストピース70の保護膜についても、MSEの値が小幅に変化しているが、それほど大きな変化は見られない。
誘電体窓18の下面18bの位置である[1]と[2]における保護膜のMSEの最大値でみると、Arガスの流量比を0%から30%に変更することにより、MSEの最大値が約80から約4に大幅に向上している。このように、誘電体窓18のガス吐出口18iからArガスを供給することにより、マイクロ波のエネルギーが比較的低いガス吐出口18i付近のプラズマ密度を増加させることができる。これにより、誘電体窓18の下面18bに形成される保護膜の膜質を全体的に向上させることができる。
以上、プラズマ処理装置10の実施形態について説明した。上記説明から明らかなように、本実施形態のプラズマ処理装置10によれば、チャンバ12内の部材の表面に緻密な保護膜をより均一に成膜することができる。また、本実施形態のプラズマ処理装置10によれば、Cl2ガスが添加されることにより、前述の式(1)に示す反応が減少し、SiCl4ガスの分子が分子のままチャンバ12内の隅々まで行き渡る。そのため、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iの内部の気中でのSiO2の生成が抑制され、気中で生成されたSiO2により、ガス吐出口18iおよびガス吐出口52iが閉塞してしまうことを回避することができる。
また、チャンバ12の側壁12aに沿った位置に設けられた複数のガス吐出口52iから、Arガス、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスをチャンバ12内に供給し、さらに、誘電体窓18のガス吐出口18iからArガスをチャンバ12内に供給することにより、誘電体窓18の下面18bに形成される保護膜の膜質を全体的に向上させることができる。
[その他]
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記した実施形態では、添加ガスとしてCl2ガスが用いられたが、開示の技術はこれに限られず、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まないガスであれば、他のガスが用いられてもよい。具体的には、Cl2ガス、HClガス、BCl3ガス、CCl4ガス、またはCH2Cl2ガスの少なくともいずれかが添加ガスとして用いられてもよい。
また、上記した実施形態では、酸素含有ガスとしてO2ガスが用いられたが、開示の技術はこれに限られない。例えば、O2ガス、COガス、またはCO2ガスの少なくともいずれかが含まれるガスが酸素含有ガスとして用いられてもよい。
また、上記した実施形態では、化合物ガスとしてSiCl4ガスが用いられたが、開示の技術はこれに限られず、SiF4ガスが化合物ガスとして用いられてもよい。ただし、SiF4ガスが化合物ガスとして用いられる場合、添加ガスとしては、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まないガスが用いられる。具体的には、NF3ガス、SF6ガス、HFガス、CF4ガス、またはCHF3ガスの少なくともいずれかが添加ガスとして用いられる。
また、上記した実施形態では、プラズマ処理装置10の一例として、RLSAを用いたマイクロ波プラズマ処理を説明したが、開示の技術はこれに限られない。プラズマを用いて処理を行う装置であれば、CCP(Capacitively Coupled Plasma)やICP(Inductively Coupled Plasma)等、他の方式を用いたプラズマ処理装置においても開示の技術を適用することができる。
また、上記した実施形態では、ウエハWに対してエッチングや成膜等の所定の処理(図6のステップS14)が施される前に、チャンバ12内の部材の表面に保護膜としてシリコン含有膜が成膜される処理(図6のステップS12)において、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガス(プリカーサガス)と酸素含有ガスとに、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まないガスが添加された。しかし、開示の技術はこれに限られない。
例えば図6のステップS14において、シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガス(プリカーサガス)と酸素含有ガスとを含むガスを用いて、ウエハWにシリコン酸化膜が成膜される場合、化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まないガスが添加されてもよい。この場合、ウエハWにシリコン酸化膜が積層されると同時に、チャンバ12内のウエハW以外の部材の表面にも、シリコン酸化膜が反応副生成物(いわゆるデポ)として積層されるが、このデポを、より均一にチャンバ12内のウエハW以外の部材の表面に積層させることができる。これにより、チャンバ12内のウエハW以外の部材の表面を保護することができると共に、当該部材の表面からシリコン酸化膜を除去する際に当該部材の表面に与えられるダメージを低減することができる。
また、上記した実施形態では、希ガスとしてArガスが用いられたが、Arガス以外の希ガスが用いられてもよい。また、Arガスに代えて、Arガスを含む複数種類の希ガスが混合されたガスが用いられてもよい。また、ガス吐出口52iから、Arガス、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスを供給し、さらに、ガス吐出口18iからArガスを供給する例において、ガス吐出口52iから供給される希ガスの種類と、ガス吐出口18iから供給される希ガスの種類とは異なっていてもよい。
また、上記した実施例2では、ガス吐出口52iから、Arガス、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスが供給され、さらに、ガス吐出口18iからArガスが供給されるが、ガス吐出口52iからは、SiCl4ガス、O2ガス、およびCl2ガスの混合ガスが供給され、Arガスは、ガス吐出口18iのみから供給されるようにしてもよい。
Cnt 制御部
ESC 静電チャック
FCG 流量制御ユニット群
GSG ガスソース群
LE 下部電極
RFG 高周波電源
S 処理空間
W ウエハ
10 プラズマ処理装置
12 チャンバ
14 アンテナ
16 同軸導波管
18 誘電体窓
18i ガス吐出口
20 載置台
30 排気装置
32 マイクロ波発生器
42 誘電体板
44 スロット板
50 中央導入部
52 周辺導入部
52i ガス吐出口
60 粒塊
70 テストピース
71 シリコン基板
72 SiO2膜
73 保護膜

Claims (10)

  1. シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガスと、酸素含有ガスと、前記化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まない添加ガスとを含む混合ガスを、チャンバ内に供給する供給工程と、
    前記チャンバ内に供給された前記混合ガスのプラズマにより、前記チャンバ内の部材の表面に保護膜を成膜する成膜工程と
    を含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 前記添加ガスの流量は、前記化合物ガスの流量の5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 前記添加ガスの流量は、前記化合物ガスの流量の5倍以上25倍以下の範囲内の流量であることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理方法。
  4. 前記化合物ガスは、SiCl4ガスまたはSiF4ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
  5. 前記化合物ガスは、SiCl4ガスであり、
    前記添加ガスには、Cl2ガス、HClガス、BCl3ガス、CCl4ガス、またはCH2Cl2ガスの少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理方法。
  6. 前記化合物ガスは、SiF4ガスであり、
    前記添加ガスには、NF3ガス、SF6ガス、HFガス、CF4ガス、またはCHF3ガスの少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理方法。
  7. 前記酸素含有ガスには、O2ガス、COガス、またはCO2ガスの少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
  8. 前記成膜工程の後に、前記チャンバ内に被処理基板を搬入する搬入工程と、
    前記搬入工程の後に、前記チャンバ内に処理ガスを供給し、前記処理ガスのプラズマにより前記被処理基板を処理する処理工程と、
    前記処理工程の後に、前記チャンバ内から前記被処理基板を搬出する搬出工程と、
    前記搬出工程の後に、前記チャンバ内にフッ素含有ガスを供給し、前記フッ素含有ガスのプラズマにより前記チャンバ内の前記保護膜を除去する除去工程と
    をさらに含み、
    前記除去工程の後に、再び前記供給工程および前記成膜工程が実行されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
  9. 前記チャンバは、略円筒状の側壁と、前記側壁の上部に設けられた上部天板と有し、
    前記供給工程では、
    前記化合物ガス、前記酸素含有ガス、および前記添加ガスが、前記側壁に沿って設けられた複数の側壁供給口から前記チャンバ内に供給され、
    略円筒状の前記側壁の軸線上であって、前記上部天板の下面に設けられた天板供給口から前記チャンバ内に希ガスがさらに供給されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のプラズマ処理方法。
  10. チャンバと、
    シリコン元素およびハロゲン元素を含有する化合物ガスと、酸素含有ガスと、前記化合物ガスに含まれるハロゲン元素と同じ種類のハロゲン元素を含みシリコン元素を含まない添加ガスとを含む混合ガスを、前記チャンバ内に供給する供給部と、
    前記チャンバ内において前記混合ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と
    を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
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