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JP2019000884A - 鋳包み用部材及びシリンダブロック - Google Patents

鋳包み用部材及びシリンダブロック Download PDF

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JP2019000884A JP2017118889A JP2017118889A JP2019000884A JP 2019000884 A JP2019000884 A JP 2019000884A JP 2017118889 A JP2017118889 A JP 2017118889A JP 2017118889 A JP2017118889 A JP 2017118889A JP 2019000884 A JP2019000884 A JP 2019000884A
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鈴木 延明
Nobuaki Suzuki
延明 鈴木
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

【課題】鋳包み用部材の凸部による補強の効果と有効肉厚による効果をバランスよく得ることを可能にする。
【解決手段】シリンダブロック10のシリンダスリーブとして用いられる円筒状の鋳包み用部材11,12は、外周面の第1の領域1aには、複数の第1の凸部3が設けられ、外周面の第2の領域1bには、複数の第2の凸部が設けられる。第1の凸部3及び第2の凸部は、アンダーカット形状を有し、第2の領域1bの有効肉厚T1は、第1の有効肉厚T2よりも薄肉で、第2の凸部5の高さh5は、第1の凸部3の高さ3よりも低い。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋳包み用部材及びシリンダブロックに関する。
ダイカスト鋳造技術等の発展に伴い、先に鋳造しておいた部材を鋳型にセットし、該部品と鋳型との間に溶かしたアルミニウム等の金属を流し込んで、該部品に接着又は密着させる鋳包み鋳造と呼ばれる手法が用いられるようになってきた。この手法により鋳込まれる部材は、鋳包み用部材と呼ばれている。
例えば、特許文献1に開示されているように、自動車用エンジンのシリンダブロックには、外周面にアンダーカット性能を有する針状(または、凸状)突起を周方向に全体的にほぼ均一に成形させたシリンダスリーブが広く用いられている。
特許第4429025号公報 特開2002−97998号公報
ダイカストによってアルミに鋳包まれる当該シリンダスリーブは、外周面に形成させた突起の高さが高いほど、また突起の数が多いほど、アルミとの密着強さや放熱性は優れる。しかし、鋳包み用部材を並設してボアピッチを縮めようとすると、向き合うシリンダスリーブの突起先端同士で形成されるスリーブ隙間が狭くなる。その結果、溶湯を高圧・高速でダイカスト射出しても、当隙間へのアルミ充填不良が生じやすくなる可能性がある。
また、隣り合うシリンダスリーブ隙間に充填されるアルミニウム合金の肉厚(以下、アルミ肉厚と称す。)が薄くなるため、当該部位の強度が低下し亀裂が発生しやすくなる可能性がある。また、ボアピッチを小さくするとシリンダ部分の冷却性が悪化するため、冷却チャンネル用の細孔を当部位に機械加工により穿孔する場合があるが、刃具ドリルがスリーブの突起先端に干渉・折損してしまうことがあり、加工が困難な場合もある。
一方、特許文献2に開示されているように、並設するシリンダスリーブの向き合う面の外周面上の突起を予め、機械加工によって除去した後に、これらのシリンダスリーブをダイカストで鋳包むシリンダブロックが知られている。
しかし、アンダーカット性能を有する針状突起の所定量を除去してしまうと、シリンダスリーブとアルミの密着強さが低下する可能性がある。また、シリンダブロックの熱放散性が、周方向で不安定になる可能性がある。その結果、運転時に圧縮等の負荷が作用し、ボア真円度等が大きく低下してしまう可能性がある。そのため、メカロス発生やブローバイガス増加が生じ、燃費低下を招くおそれがある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、シリンダヘッドと周辺部品との締結時や運転時に圧縮等の負荷が作用する場合においても、シリンダスリーブの凸部による補強の効果と有効肉厚による効果とをバランスよく得ることを可能にし、シリンダスリーブの真円度等の変化を抑制することである。
上記目的を達成するため本発明に係る鋳包み用部材は、車両用エンジンに搭載されるシリンダブロックに設けられる少なくとも2つのシリンダスリーブに用いられる。当該円筒状の鋳包み用部材において、外周面には、第1の有効肉厚を有する第1の領域と、第2の有効肉厚を有する第2の領域が設けられ、前記第1の領域には、径方向外側に突出している複数の第1の凸部が設けられ、前記第2の領域には、径方向外側に突出している複数の第2の凸部が設けられ、前記第1の凸部及び前記第2の凸部は、それぞれアンダーカット形状を有しており、前記第1の有効肉厚は、前記第2の有効肉厚よりも薄肉であり、前記第2の凸部の前記アンダーカット形状における径方向外側に突出している量は、前記第1の凸部の前記アンダーカット形状における径方向外側に突出している量よりも小さい。
本発明によれば、シリンダヘッドと周辺部品との締結時や運転時に圧縮等の負荷が作用する場合においても、凸部による補強の効果と、有効肉厚による効果をバランスよく得ることを可能にし、シリンダスリーブの真円度等の変化を抑制することが可能である。
本発明に係る鋳包み用部材を模式的に示す斜視図である。 図1の鋳包み用部材の軸方向に垂直な断面を模式的に示す概略横断面図である。 図1のA部を拡大して示す拡大斜視図である。 図3の線状部分の断面を模式的に示す断面図である。 線状部分の断面の模式的な拡大図を示し、略T型の断面を有する線状部分の一例を(A)に示し、別の例を(B)、さらに別の例を(C)に示す。 線状部分の断面の模式的な拡大図を示し、略Γ型の断面を有する線状部分の一例を(A)に示し、別の例を(B)に示す。 図1の鋳包み用部材の外観を示す写真で、当該鋳包み用部材の上端を上方から見た状態を(A)に示し、(A)を矢印Bから見た第1の領域を(B)に示し、(A)を矢印Cから見た第2の領域を(C)に示す。 図1の鋳包み用部材を用いたシリンダブロックの一部を模式的に示す部分断面図である。 図8のシリンダブロックの変形例を模式的に示す部分断面図である。 従来のシリンダスリーブを有する従来のシリンダブロックを示す部分断面図である。
以下、本発明に係る鋳包み用部材1及びそれを用いたシリンダブロック10に係る実施形態について、図面(図1〜図10)を参照して説明する。
先ず、本実施形態の鋳包み用部材1について説明する。本実施形態の鋳包み用部材1は、シリンダブロック10(図8,図9)のシリンダスリーブ(シリンダライナーまたはスリーブともいう。)に用いられ、鋳鉄等により形成された円筒状の部材であって、外周面には、複数の凸部3,5が形成されている。
鋳包み用部材1は、例えば、鋳鉄、銅合金、錫又は亜鉛合金などの比重が大きく自己摺動性を有する金属が挙げられる。鋳鉄は、一般的に鉄と炭素とケイ素を含む三元合金であり、用途によって他の元素を含んでいてもよい。
例えば、鋳鉄は、Fe以外に、鋳鉄全体の質量に対して、3.1〜3.8質量%のT.C(Total Carbon)、1.9〜2.5質量%のSi、0.5〜1.0質量%のMn、0.01〜0.5質量%のP、0.002〜0.2質量%のSを含んでいてもよい。鋳包み用部材1の粗材の肉厚が大きい場合や溶湯の鋳込み量が多い場合は、最適な硬さや金属組織を得るために、場合によって、0.01〜1.0質量%のCu、0.01〜0.10質量%のSn、0.01〜0.4質量%のCr、0.15質量%以下のMo、及び、0.5質量%以下のNiのうち少なくとも1つ以上含んでいてもよく、さらに他の不可避不純物を含んでいてもよい。
鋳包み用部材1の外周面には、図1及び図7に示すように、一つの外周面に第1の領域1aと第2の領域1bが設けられている。第1及び第2の領域1a,1bは、一方の軸方向端から反対側の軸方向端まで延び、且つ周方向に沿って延びている。第1の領域1aは、第1の有効肉厚T1を有し、第2の領域1bは、第2の有効肉厚T2を有している。図2及び図7(A)に示すよう、第1の有効肉厚T1は、第2の有効肉厚T2よりも薄肉である。
ここで第1の有効肉厚T1とは、図2に示すように、鋳包み用部材1を構成する円筒状部材の内周面9から、後述する第1の凸部3の底部までの径方向距離である。また、図4に示すように、第1の有効肉厚T1は、鋳包み用部材1の内周面9から外周面の平坦面6までの厚みh9に相当する。第2の有効肉厚T2は、第1の有効肉厚T1と同様に定義される径方向距離である。
第1の有効肉厚T1は、1mm以上で1.5mm以下に設定されている。これに対して、第2の有効肉厚T2は、1.5mmより大きく7mm以下の範囲であればよく、好ましくは1.5mmより大きく5mm以下の範囲である。
ここで、第1の領域1aと、第2の領域1bが配置される周方向範囲について説明する。第2の領域1bが配置される周方向の範囲は、鋳包み用部材1の円形の横断面における中心角(図2に示すθ)が0度よりも大きく150度以下である。本実施形態では、第2の領域1bは、当該中心角度がほぼ150度の領域に配置され、第1の領域1aは、第2の領域1b以外の領域、すなわち、210度の領域に配置される。第2の領域1bが150度のときは、第1の領域1aは最大で210度となるが、210度よりも小さくてもよい。
第1の領域1aの周方向範囲は、第2の領域1bの周方向範囲に対応していればよく、第1の領域1aの中心角が例えば100度のときは、第2の領域1bは、最大で260度となる。なお、第2の領域1bが10度以下であっても、第1の領域1aは、350度であることが好ましく、さらに好ましくは、最大でも340度とするとよい。
次に、第1の領域1a及び第2の領域1bの形状について説明する。図2に示すように、第1の領域1aは、径方向外側に突出している第1の凸部3を有している。第2の領域1bは、径方向外側に突出している第2の凸部5を有している。
第1の凸部3及び第2の凸部5のそれぞれは、複数の線状部分2aと、複数の集中部分2bを有している(図3)。線状部分2aは、外周面から径方向外側に突出した状態で鋳包み用部材1の外周面上に沿って延びている。集中部分2bは、例えば3つの線状部分2aの端部が接続されることによって構成されている部分である。この例における第1の凸部3及び第2の凸部5は、複数の線状部分2aと複数の集中部分2bによって全体で網目構造体を構成している。
図3では、第1の凸部3を示しているが、第1の凸部3及び第2の凸部5における線状部分2aや集中部分2bは、ほぼ同様に構成されている。このため、以下の凸部3,5の説明として、第1の凸部3の形状について詳細に説明し、第2の凸部5との相違を説明する。第1の凸部3及び第2の凸部5のそれぞれは、アンダーカット形状を有している。以下、アンダーカット形状について図3〜図5を用いて説明する。
第1の凸部3は、例えば、括れを有する形状や、第1の凸部3の縦壁7が平坦面6に対する垂直線に対し傾きを有する形状等を含んでいる。図4に示すように、第1の凸部3におけるアンダーカット形状は、軸方向に延びている頂部4と、平坦面6から略垂直に立ち上がって頂部4まで延びている縦壁7とによって構成されている。また、第1の凸部3のアンダーカット形状の高さ(アンダーカット形状が径方向外側に突出している量)h3(以下、第1の凸部3の高さh3と称す。)は、平坦面6から頂部4の上面までの距離で示される。
図4に示すように、縦壁7の幅L7と比較して頂部4の幅L4が大きい形状を、括れを有する形状ということができる。この頂部4の幅L4は、図3に示す線状部分2aの線幅に相当する。鋳包み用部材1の外周面に上述した形状の構造を備えることで、鋳包み用部材1が鋳込まれた際に、例えば括れを有する形状に溶湯が回りこみ、アンカー効果を向上させることが可能となる。
線状部分2aを長手方向に対して垂直に切断した際の断面形状は、略T型や略Γ型が挙げられる。これらの断面形状は、例えば、鋳包まれた際に、鋳包む金属との密着強さや熱伝導性を向上させる観点から好ましい。略T型は、T字のような形状をしたものである。図5(A)、(B)及び(C)は、略T型の断面を有する線状部分2aの一例である。
図5(A)において、縦壁7は、頂部4を等分するような位置で接している。一方、図5(B)及び(C)においては、頂部4を等分としない位置で接している。略Γ型は、L字を逆さまにしたような形状をしたものである。図6(A)及び(B)は、略Γ型の断面を有する線状部分2aの一例である。図6(A)において、頂部4は先端部に向かうに従い細くなっており、図6(B)においては、頂部4は立壁7との接続部から先端部まで一定の厚みを有している。
図示による説明は省略するが、例えば、縦壁7の側部に凹凸を設けてもよい。また、縦壁7は、平坦面6に対して傾斜するように延びてもよい。
第2の凸部5は、第1の凸部3と同じようなアンダーカット形状を有している。図2に示すように、第1の凸部3と比較した場合、第2の凸部5のアンダーカット形状の高さh5(以下、第2の凸部5の高さh5と称す。)は、第1の凸部3の高さh3よりも低い。第1の凸部3の高さh3は、例えば、0.5mmより大きく3mm以下の範囲で、好ましくは、0.5mmより大きく1.5mm以下の範囲である。第2の凸部5は、0(ゼロ)より大きく、0.5mm以下の範囲である。
また、第1の領域1aにおける第1の有効肉厚T1と第1の凸部の高さh3の合計と、第2の領域1bにおける第2の有効肉厚T2と第2の凸部の高さh5の合計を揃えるように構成することもできる。この場合、一例として、第1の有効肉厚T1を1.5mm、第1の凸部3の高さh3を1.5mmとし、第2の有効肉厚T2を2.5mm、第1の凸部3の高さh3を、0.5mmとすればよい。
また、第1の凸部3を平面上に投影した第1の投影面積率に対して、第2の凸部5を平面上に投資した第2の投影面積率は小さい。この例における投影面積率は、鋳包み用部材1の外周面を平面上に投影した場合に、全投影面積に対し、凸部3,5を平面上に投影した投影面積の比率を示す数値である。本実施形態では、第1の投影面積率は、10%より大きく70%以下の範囲であり、好ましくは、10%より大きく60%以下の範囲である。第2の投影面積率は、0(ゼロ)より大きく10%以下である。
なお、投影面積率は、例えばマイクロスコープを用いて撮影し、平面補正した画像に基づいて2値化処理を行って算出してもよく、例えば1〜50点の測定結果から平均の凸部投影面積率で求めてもよいし、又は、当該面積率の最小値と最大値に基づいてその測定値が含まれる範囲、好ましくはその測定値全てが含まれる範囲として求めてもよい。
第2の凸部5の高さh5は第1の凸部3の高さh3よりも低いが、第2の有効肉厚T2は第1の有効肉厚T1よりも大きいため、第2の領域1bについて所定の剛性を確保できる。一方で、第1の有効肉厚T1が第2の有効肉厚T2よりも薄くなるが、第1の凸部3の高さh3が第2の凸部5の高さh5よりも高いため、補強リブの効果により鋳包んだ際には、鋳包み用部材(シリンダスリーブ)1の軸方向に対して高剛性となる。
また、第2の凸部5の高さh5が、第1の凸部3の高さh3に比べて低くても、第2の有効肉厚T2が第1の有効肉厚T1よりも厚いため、第1の領域1a及び第2の領域1bを合わせた熱放散性は、周方向において安定する。このため、シリンダヘッドと周辺部品との締結時や運転時に、圧縮等の負荷が作用する場合においても、第1の凸部3による補強リブの効果と、第2の有効肉厚T2による剛性確保の効果をバランスよく得られることが可能となり、シリンダスリーブ(鋳包み用部材1)の真円度等の変化を抑制できる。その結果、メカロス低減やブローバイガス抑制の効果が得られ、燃費が向上する。
また、第1の凸部3の投影面積率を、上記の範囲とすることで、鋳包み用部材1を鋳包んだ際に、鋳包む金属との密着強さや熱伝達性、熱放散性、剛性を向上させることが可能となり、鋳包んだ後の鋳包み用部材1としての熱伝導率や比弾性率を向上させることも可能となる。
また、第2の凸部5の投影面積率が第1の凸部3の投影面積率よりも小さいために、鋳包み用部材1を鋳包むときにおける第2の凸部5とアルミの接する有効面積は従来に比べて小さくなる。そのため、第2の凸部5は、外力によって発生する応力を低減させる補強部(補強リブ)としての効果は、第1の凸部3に比べて低いが、第2の有効肉厚T2を、第1の有効肉厚T1よりも厚くしているため、第2の領域1bにおける剛性を確保することができる。
よって、第2の領域1bの第2の凸部5の投影面積率を小さく設定することが可能となる。すなわち、第2の凸部5を第1の凸部3よりも線状部分2a等を多く形成する必要がないため、第2の領域1bの全体に第2の凸部5を形成するのに対して容易に鋳造することが可能となる。
第1の領域1aでは、第1の凸部3は複数の線状部分2a等により網目状構造体を構成しているため、第1の凸部3が補強リブとして機能し、鋳包み用部材1を鋳包んだときに鋳包み用部材(シリンダスリーブ)1の軸方向及び周方向に対して剛性を高めることが可能である。また、第2の凸部5の高さh5が第1の凸部3の高さh3よりも低くいが、網目状構造体が形成され、且つ第2の有効肉厚T2が第1の有効肉厚T1よりも厚いため、熱放散性が第1の領域1aと合わせて周方向でより一層安定する。
よって、シリンダヘッドと周辺部品との締結時や運転時に、圧縮等の負荷が作用する場合においても、第1の凸部3による補強リブの効果と、第2の有効肉厚T2による剛性確保の効果をバランスよく得られることが可能となり、シリンダスリーブの真円度等の変化をより一層抑制できる。結果として、メカロス低減やブローバイガス抑制の効果がより一層得られ、より一層燃費が向上する。
続いて、本実施形態に係る鋳包み用部材11,12をシリンダスリーブとして用いて、当該シリンダスリーブを有しているシリンダブロック10について、図8〜図10を用いて説明する。本実施形態のシリンダブロック10は、少なくとも2つの鋳包み用部材11,12を備えている。以下、2つの鋳包み用部材11,12が鋳包まれる状態について、従来のシリンダブロック20(図10)と比較して説明する。
図10は、従来のシリンダスリーブ21,22を用いた従来のシリンダブロック20を示している。従来のシリンダスリーブ21,22は、本実施形態の鋳包み用部材1の第1の領域1aが、周方向の全域に設けられている。
図10における距離d1は、アルミ肉厚を示している。詳細には、図10における左側に配置されたシリンダスリーブ21の図10における右側端と、右側に配置されたシリンダスリーブ22の左側端との間の水平方向距離である。また、図10における距離D1は、2つの従来のシリンダスリーブ21,22の中心間の距離で、ボアピッチを示している。図10における破線Xで示している部分が、鋳包み用部材が鋳包まれたときのアルミ等の表面となる。
本実施形態に係る2つの鋳包み用部材11,12は、図8に示すように、それぞれの鋳包み用部材11,12の軸方向が平行になるように配置されており、それぞれの第2の領域1bが対向するように配置されている。このように配置された鋳包み用部材11,12がダイカストによりアルミ等により鋳包まれ、シリンダブロック10が構成される。図8におけるシリンダブロック10のボアピッチは、従来のボアピッチD1と同じ長さに設定されている。
2つの鋳包み用部材11,12の第2の領域1bの周方向領域は、中心角度が150度となるように設定されている。また、2つの鋳包み用部材11,12の第2の領域1bは、2つの鋳包み用部材の横断面の中心を結んだ基準線上に配置され、基準線に対して反時計回りに75度(+75度)及び基準線に対して時計回りに75度(−75度)の範囲に、プラス側及びマイナス側に均等に配置されている。すなわち、図8におけるθ1及びθ3は、+75度で、θ2及びθ4は、−75度である。
図8のシリンダブロック10におけるアルミ肉厚を示す距離d2は、図8における左側の鋳包み用部材11の第2の領域1bの右側端と、右側に配置された鋳包み用部材12の第2の領域1bの左側端との間の水平方向距離である。ボアピットD1を、従来のシリンダブロック20と同じに設定する場合、距離d2は、距離d1よりも長い。
また、図9のシリンダブロック10では、アルミ肉厚を、従来のシリンダブロック20のアルミ肉厚d1と同じ長さに設定されている。このときのボアピッチD2は、従来のシリンダブロック20のボアピッチD1よりも短い。
図8及び図9のシリンダブロック10では、第2の有効肉厚T2は、第1の有効肉厚T1よりも厚いため、対向配置される第2の領域1bの外周部に、予めU溝を機械加工することが容易となる。U溝が機械加工された鋳包み用部材(シリンダスリーブ)11,12をダイカストで鋳包み、シリンダブロック10を鋳造し、その後、冷却チャンネル孔を機械加工にて穿孔することで、従来よりも大きな径の冷却チャンネルを形成することが可能となる。その結果、シリンダスリーブの冷却性能をより向上することが可能となる。
図8に示すように、ボアピッチを、従来のボアピッチD1と同一に設定する場合、隣り合う鋳包み用部材(シリンダスリーブ)11,12の外周部の間の距離(図8の距離d2)が、従来のシリンダブロック20のアルミ肉厚(図10の距離d1)よりも長く設定することが可能となる。これにより、鋳造時におけるアルミの充填性が向上し、ボア間の強度が向上する。その結果、運転時に当該部位に過大な引張やねじり等の応力が発生しても、亀裂が発生しにくくなる。また、2つの鋳包み用部材(シリンダスリーブ)11,12間に、十分な孔径の冷却チャンネル孔を機械加工で穿孔し易くなる。そのため、シリンダブロック10の冷却効率が向上する。したがって、エンジンの高圧縮化に伴う筒内温度上昇にも対応することが可能となる。
また、図9に示すように、アルミ肉厚を従来のアルミ肉厚d1と同一に設定する場合、ボアピッチD2を従来のボアピッチD1よりも短縮することが可能となる。その結果、クランクシャフト等のエンジン回転部品において、ダウンサイジングが可能となる。したがって、エンジン全体を小型化し、燃費を向上させ、さらにNV性能を向上させることが可能となる。
さらに、図8及び図9に示すように、鋳包み用部材11,12の第2の領域1bの周方向範囲を、−75度〜75度の範囲に設定して、隣り合う鋳包み用部材11,12の第2の領域1bを対向配置することで、ボア間を適切に短縮することが可能となる。
従来のシリンダスリーブ21,22は、対向する外周面の凸部間にダイカストによってアルミ溶湯を強制充填し、そのアンカー効果によって所定の要求特性を満たしている。従来のシリンダスリーブ21,22の場合、互いに向き合うスリーブの凸部の高さが高い(例えば、0.7mm〜1mm)ため、凸部間にアルミ溶湯を十分に充填するには、ボアピッチDに制約が生じる。従来例のD1は、2.3mm〜2.5mm程度となる。
これに対し、本実施形態の鋳包み用部材(シリンダスリーブ11,12)では、互いに向き合う外周面の第2の凸部5の高さは低く(0より大きく、0.5mm以下)、且つ第2の凸部5の数も少ないため、対向する第2の領域1bの間へのアルミの充填性の不具合が抑制でき、結果として、上記のボアピッチD2を、1.5〜2.0mm程度にまで縮めることが可能となる。
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
本実施形態における第2の凸部5は、第1の凸部3と同様に、複数の線状部分2aと、複数の集中部分2bを有し、これによって網目構造体を構成しているが、これに限らない。例えば、網目状等のような全体として統一されるような特徴的な形状ではなく、複数の線状部分2a及び複数の集中部分2bを不規則に配置してもよい。また、第2の領域1bの表面を粗面化したような形態でもよい。
1 鋳包み用部材
1a 第1の領域
1b 第2の領域
2a 線状部分
2b 集中部分
3 第1の凸部
5 第2の凸部
4 頂部
6 平坦面
7 縦壁
9 内周面
10 シリンダブロック
11,12 鋳包み用部材(シリンダスリーブ)
20 従来のシリンダブロック
21,22 従来のシリンダスリーブ

Claims (5)

  1. 車両用エンジンに搭載されるシリンダブロックに設けられる少なくとも2つのシリンダスリーブに用いられる円筒状の鋳包み用部材において、
    外周面には、第1の有効肉厚を有する第1の領域と、第2の有効肉厚を有する第2の領域が設けられ、
    前記第1の領域には、径方向外側に突出している複数の第1の凸部が設けられ、前記第2の領域には、径方向外側に突出している複数の第2の凸部が設けられ、前記第1の凸部及び前記第2の凸部は、それぞれアンダーカット形状を有しており、
    前記第1の有効肉厚は、前記第2の有効肉厚よりも薄肉であり、
    前記第2の凸部の前記アンダーカット形状における径方向外側に突出している量は、前記第1の凸部の前記アンダーカット形状における径方向外側に突出している量よりも小さいことを特徴とする鋳包み用部材。
  2. 前記第1の凸部を平面上に投影した第1の投影面積に対して、前記第2の凸部を平面上に投影した第2の投影面積は、小さいことを特徴とする請求項1に記載の鋳包み用部材。
  3. 前記第1の凸部及び前記第2の凸部のそれぞれは、線状部分と、該線状部分とは別の少なくとも2つの線状部分が合流している集合部分とを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋳包み用部材。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の2つの前記鋳包み用部材を有しているシリンダブロックにおいて、
    2つの前記鋳包み用部材は、それぞれの前記第2の領域が対向配置されている状態で鋳包まれていることを特徴とするシリンダブロック。
  5. 前記第2の領域が配置される周方向の範囲は、前記鋳包み用部材の横断面における中心角が0度よりも大きく、150度以下の範囲であり、
    2つの前記鋳包み用部材の前記第2の領域のそれぞれは、前記2つの鋳包み用部材の横断面の中心を結んだ基準線上に配置され、
    前記各第2の領域は、前記基準線に対して反時計回りに75度の範囲内及び前記基準線に対して時計回りに75度の範囲内に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシリンダブロック。
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