JP2018537676A - 一体型サンプル処理システム - Google Patents
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Abstract
一体型サンプル精製システムはハウジング、サンプル容器ラック、フィルターホルダー、および円筒形磁石を含む。サンプル容器ラックおよびフィルターデバイスホルダーはハウジング内に排置される。サンプル容器ラックは1つ以上のサンプル容器を保持するよう設計され、フィルターデバイスホルダーは1つ以上のフィルターデバイスを保持するよう設計される。円筒形磁石は、サンプル容器ラックの近傍且つ外部にあり、ハウジング内に排置された電動モーターによって磁石の中心、長軸を中心に回転して細胞を溶解する。溶解した細胞内の目的の分子は、目的の分子と特異的に結合するフィルターを用いて精製する。システムは自動化、および核酸およびタンパク質などの目的の分子の迅速精製および分析に容易に適合する。【選択図】図1
Description
本発明は、全般的に、特に困難なサンプルマトリクスおよび/または破壊することの難しい生命体に由来する、核酸またはタンパク質などの目的の分子を分離および/または精製するための一体型サンプル処理システム、さらには固形モノリスフィルターと組み合わせた磁気誘導渦動攪拌を用いる、サンプルから核酸を分離および/または精製するための自動化に適した方法に関係する。
分子的試験は、そのスピード、感度および特異性によって、一部の診断試験に対する至適基準として登場しつつある。自家調製検査法(LDT)は、「体外診断(IVD)市場において現在最も速く成長している部門の1つである。サンプル調製は試験の妥当性にとって決定的であるが、臨床分子生物学のワークフローおよび診断試験に対してしばしば支障をもたらす。多くの分子検出様式があるものの、自動化サンプル調製ワークフロー戦略は数えるほどしかない。これらのサンプル調製戦略および化学を中心として構築された既存の器具の費用は17,000ドルから150,000ドルの範囲内であるが、それでもなお、生の喀痰のような困難なサンプルマトリクス、および/またはグラム陽性細菌および抗酸菌(すなわちMycobacterium)などの破壊することが困難な生命体を処理するための一体化法を提供しない。
Mycobacterium株を含む抗酸菌は、典型的には感染患者の喀痰から分離される。その脂質に富んだ細胞膜は、フェノールと併用しない限り多様な塩基性色素に対して比較的不透過性であるために、「抗酸菌」と呼ばれる。喀痰は濃厚、粘稠で処理が困難である。分析する喀痰検体の大半は、様々な量の有機体デブリおよび多様な汚染性、正常または一過性細菌叢を含む。典型的には、化学的な除染/処理を用いて粘度を低下させ、汚染菌を殺菌する一方で、マイコバクテリアの回収を可能とする。しかし、ミコール酸および高含有量の脂質を含むその特異な細胞外被により、細胞は疎水性で互いに凝集する傾向にある。これにより、グラム染色などの通常の色素に対して不透過性となる。一般に、カルボールフクシン、およびオーラミンまたはオーラミン−ローダミンなどの蛍光色素の2種類の抗酸菌染料を用いる。一旦染色されると、細胞は酸性化有機溶媒を用いた脱色に抵抗し、それゆえ「抗酸菌」と呼ばれる。しかし、酸とアルコールで連続または同時に処理した後も、フクシンまたはオーラミン染色を保持する。
抗酸菌スメア顕微鏡検査は、Mycobacterium種に対する感度が乏しい。顕微鏡検査の感度は、疾患の有病率および重症度、検体の種類、検体採取の品質、検体中に存在するMycobacterium細胞数、処理方法(直接法または濃縮法)、遠心分離法、染色技術、および検査の品質などの数多くの因子によって影響される。液浸顕微鏡検査で少なくとも100視野(低所得国)および好ましくは300視野(先進国)(または同等の蛍光視野)を検査した後で、始めて陰性の結果を報告するよう推奨される。したがって、顕微鏡検査を正しく実施する場合、時間と手間がかかることがある。
Mycobacterium株は成長が遅い桿菌であり、その通常の世代時間は12から18時間である。通常、コロニーは1週間から8週間のインキュベーション時間後に始めて目視できるようになる。低濃度のMycobacterium細胞を含むサンプルは、さらに数回の継代培養を必要とする。専用の培地でMycobacteriumを培養すると、生体サンプル中に含有される個別のMycobacterium種の同定が可能となる。しかし、特にまだ感染過程の開始時にある患者にとっては、これは時間がかかる。
核酸ハイブリダイゼーション試験は、生体サンプル中のMycobacterium株を検出するために開発されている。最初の試験は、直接プローブハイブリダイゼーションを利用した。しかし、患者から採取したサンプルに含まれるMycobacterium細胞の濃度は、通常、陽性ハイブリダイゼーションシグナルを生成するには低すぎる。したがって、PCR増幅を利用する試験が開発されている。たとえば、「Amplified(登録商標)Mycobacterium tuberculosis検出キット」として市販されているGen−Probe(登録商標)キット、またはMTD検査キット(ジェン・プローブ社、米国カリフォルニア州サンディエゴ92121)はMtbC特異性rRNAの増幅(転写媒介増幅)の後、ジェン・プローブHPA法(ハイブリダイゼーション保護分析)に準拠したアンプリコン検出を利用する。
上記の限界の観点より、臨床検査室およびユーザーのニーズの双方を同様に満たすために、サンプルホモジナイゼーション、破壊の困難な微生物の溶解、およびポリヌクレオチドの精製を一体化した簡便且つ効率的なシステムに対するニーズが存在する。
1つの態様においては、本願はハウジング、サンプル容器ラック、フィルターチップラック、および円筒形磁石を含む一体型サンプル精製システムを提供する。サンプル容器ラックおよびフィルターチップラックはハウジング内に排置される。サンプル容器ラックは1つ以上のサンプル容器を保持するよう設計され、フィルターチップラックは1つ以上のフィルターチップを保持するよう設計される。円筒形磁石は、サンプル容器ラックの近傍且つ外部にあり、ハウジング内に排置された電動モーターによって駆動されて磁石の中心、長軸を中心に回転する。
一部の実施形態においては、ハウジングは1つ以上の試薬を収容する1つ以上の試薬ラックを含む。
一部の実施形態においては、システムは複数のサンプル容器、複数のフィルターチップおよび1つ以上の試薬ラックを含む。
一定の実施形態においては、円筒形磁石は磁石の長軸に沿って且つその周りに対称に排置された磁極を有する。他の実施形態においては、円筒形磁石は磁石の長軸の対側端に排置された対磁極を有する。さらなる他の実施形態においては、円筒形磁石は電磁石である。
1つの実施形態においては、1つ以上のサンプル容器は、1つ以上の試薬溶液の導入後に密封され且つ閉鎖系を維持するよう設計される。
1つの実施形態においては、システムは、それにより試薬ラックがラック内で分離され密封されたウェルに保存された試薬を含む、ハウジング内に排置された1つの試薬ラックをさらに含む。
サンプル容器は、使用時に、サンプル容器が細胞材料を収容し且つ円筒形磁石がその長軸を中心に回転するとき、マグネティックスターラーが回転してビーズを攪拌し、細胞材料の無秩序な混合を受け、サンプルのホモジナイゼーションおよび細胞破壊をもたらすよう設計されたマグネティックスターラーおよび複数のビーズを含む。
1つの実施形態においては、ビーズはガラス、プラスチック、セラミック材料、鉱質、金属またはその組み合わせを含む。具体的な実施形態においては、ビーズはシリカビーズである。
1つの実施形態においては、ビーズは10〜1000μmの範囲内の直径を有する。
1つの実施形態においては、マグネティックスターラーは金属または合金を含む。具体的な実施形態においては、マグネティックスターラーはステンレススチールを含む。他の実施形態においては、マグネティックスターラーはポリマーでコーティングされた合金コアを含む。具体的な実施形態においては、マグネティックスターラーは、それにより合金コアがネオジム鉄ホウ素またはサマリウムコバルトを含み、且つ/またはポリマーがPTFEまたはパリレンである、ポリマーでコーティングされた合金コアを含む。
他の態様においては、自動化核酸精製システムは、自動化ピペッティングシステムと、所定の様式で1つ以上のサンプル容器に試薬を自動的に分注し、且つサンプル材料および試薬を廃棄するよう設計された1つ以上のロボティックアームとを組み合わせて、上記の機能を含む。自動化精製システムは、使用時に、それぞれが1つのスターラーおよび複数のビーズを含む複数のサンプル容器、複数のフィルターチップおよび1つ以上の試薬ラックを含む。
他の態様においては、サンプルから標的分子を生成するための方法は(a)本開示によるサンプル精製システムを提供するステップ;(b)サンプルをマグネティックスターラーおよび複数のビーズと共にサンプル容器に入れるステップ;(c)サンプル容器をサンプル容器ラックに載置するステップ、(d)円筒形磁石をその長軸を中心として回転させ、その結果サンプルをホモジナイズし且つサンプル中の細胞を破壊し、細胞溶解液を形成するのに十分な程度にマグネティックスターラーを回転させてビーズを攪拌するステップ;(e)フィルターチップの第1の開口部を経て細胞溶解液の少なくとも一部を流し、その結果細胞溶解液中の標的分子をフィルターチップ内のフィルターと結合させるステップ;(f)細胞溶解液の未結合部分をフィルターチップから第1の開口部を経て排出し、このとき未結合部分がフィルターチップから出る前に少なくとも2回フィルターを通過するステップ;および(g)フィルターチップの第1の開口部を経て溶離バッファーを流入させ、且つ溶離バッファーをフィルターチップから第1の開口部を経て排出することによりフィルターに結合した標的分子をフィルターチップの第1の開口部から溶離し、溶離バッファーはフィルターチップから出る前に少なくとも2回フィルターを通過するステップを含む。
一部の実施形態においては、標的分子はポリヌクレオチド分子である。1つの実施形態においては、サンプルは喀痰を含む。具体的な実施形態においては、喀痰サンプルはMycobacterium Tuberculosis(MTB)を含有することが疑われ、且つ方法は、溶離されたポリヌクレオチド分子をMTB特異的プライマーで増幅するステップ、およびポリヌクレオチド分子がMTB DNAを含むか判定するステップをさらに含む。
他の実施形態においては、標的分子を精製するための方法は、自動化ピペッティングシステムと、所定の様式で1つ以上のサンプル容器に試薬を自動的に分注し且つサンプル材料および試薬を廃棄するよう設計された1つ以上のロボティックアームをさらに含む、自動化精製システムの使用を含む。この場合、1つ以上の試薬ラックと組み合わせて、同等の数のフィルターチップを用いる複数のサンプル容器のそれぞれにおいて、上記のステップが反復される。
発明を実施するための形態は、以下の図面を参照する:
細胞を溶解してそこから核酸を精製するための一体化法の実施形態を示すフローチャートである。
1つの実施形態による典型的なシングルチャネル核酸精製システムを示す。
サンプル溶解チャンバーに対する典型的な磁石の配置位置を示す。
代表的なピペットフィルターチップを示す。
他の実施形態による自動化8チャネル核酸精製システムを示す模式図である。
他の実施形態によるディスポーザブル輸送器具を示す。
喀痰由来の核酸のMagVor/フィルターチップ精製のための典型的な一連のステップを示す。
本発明の好ましい実施形態を記述する際は、明確さを目的として専用の用語を使用する。しかし、本発明はそうして選択された特定の用語によって制限されることを意図していない。具体的な要素は、同様の目的を達成するために同様の様式で作動する全ての技術的同等物をそれぞれに含むことが理解すべきである。
図1は、細胞を溶解し、そこから核酸またはタンパク質などの目的の分子を精製するための一体化法における、典型的なステップを示すフローチャートである。方法10は、液状サンプル懸濁液、マグネティックスターラーおよび細胞溶解ビーズを収容するサンプルチューブを、磁石の近傍にあるサンプルラックに載置すること(ステップ11);マグネティックスターラーおよび細胞溶解ビーズの存在下で、サンプル懸濁液中の細胞を溶解するのに十分なスピードで磁石を回転させることにより、サンプル懸濁液をホモジナイズすること(ステップ13);目的の分子がフィルターマトリクスと結合する条件下で、ホモジナイズしたサンプル懸濁液をフィルターマトリクスを経て流すこと(ステップ15);フィルターマトリクスを洗浄すること(ステップ17)および結合した目的の分子をフィルターマトリクスより溶離すること(ステップ19)を含む。一部の実施形態においては、サンプルチューブはマグネティックスターラー、および/または細胞溶解ビーズ、および/または細胞溶解を促進および/または標的分子の完全性を保持する試薬と共に事前包装される。
液状サンプル懸濁液は、液状溶解媒体に懸濁されたサンプルである。典型的なサンプルは生体サンプル、環境サンプルまたは非天然サンプルを含みうる。典型的な生体サンプルは、組織サンプル、生体液サンプル、細胞サンプル、菌類サンプル、原生動物サンプル、細菌サンプル、およびウイルスサンプルを含みうる。組織サンプルは、任意の動物または植物から分離された組織を含む。生体サンプルは血液、臍帯血、血漿、バフィーコート、尿、唾液、喀痰、NALC処理喀痰、鼻咽頭スワブ(NPS)、鼻咽頭吸引液(NPA)、胃吸引液、濃縮喀痰採取物、脳脊髄液、バッカル、洗浄液(気管支など)、胸水、糞便、およびロイコフォレーシスサンプルを含むが、これに限定されない。細胞サンプルは、培養細胞、新鮮または凍結細胞、および固定されたパラフィン包埋(FFPE)組織を含む任意の細胞採取源に由来する組織をさらに含む。細菌サンプルは培養細菌、分離細菌、および前述の生体サンプルのいずれかに含まれる細菌を含むが、これに限定されない。ウイルスサンプルは、培養ウイルス、分離ウイルス、および前述の生体サンプルのいずれかの中にあるウイルスを含むが、これに限定されない。環境サンプルは、空気サンプル、水サンプル、土壌サンプル、岩石サンプル、および自然環境から入手された他の任意のサンプルを含むが、これに限定されない。人工物サンプルは、自然環境中に存在しない任意のサンプルを含む。「人工物」サンプルの例は、精製または分離された材料、培養材料、合成材料および他の任意の人工材料を含むが、これに限定されない。
液状溶解媒体は等張、低張または高張とすることができる。一部の実施形態においては、液状溶解媒体は水性である。一定の実施形態においては、液状溶解媒体はバッファーおよび/または少なくとも1つの塩または塩の組み合わせを含む。一部の実施形態においては、液状溶解媒体のpHは約5から約8、約6から約8、または約6.5から約8.5の範囲である。多様なpHバッファーを用いて所望のpHを達成しうる。適切なバッファーはトリス、MES、ビス−トリス、ADA、ACES、PIPES、MOPSO、ビス−トリスプロパン、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、HEPPSO、POPSO、TEA、HEPPS、トリシン、Gly−Gly、ビシン、およびリン酸バッファー(とりわけリン酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウム−カリウムなど)を含むが、これに限定されない。液状溶解媒体は、約10mMから約100mMバッファー、約25mMから約75mMバッファー、またはとりわけ約40mMから約60mMバッファーを含みうる。液状媒体において使用されるバッファーの種類および量は、用途によって異なるものとすることができる。一部の実施形態においては、液状溶解媒体は、約50mMトリスバッファーを用いて達成することのできる約7.4のpHを有する。一部の実施形態においては、液状溶解媒体は水である。
真核細胞、原核細胞、および/またはウイルスは任意の適切な濃度で懸濁しうる。サンプルは、好ましくはマグネティックスターラーの動きに干渉しない濃度で液状媒体に懸濁された細胞を含む。一部の実施形態においては、真核細胞および/または原核細胞は1から1×1010個/mL、1から1×105個/mL、またはとりわけ1×103から1×104個/mLの範囲の濃度で懸濁される。一部の実施形態においては、ウイルス粒子は1から1×1013個/mL、1から1×1010個/mL、または1×105から1×107個/mLの範囲の濃度で懸濁される。
一定の好ましい実施形態においては、サンプルはMTBを含むことが疑われる。1つの実施形態においては、サンプルは鼻咽頭吸引液である。他の実施形態においては、サンプルは鼻咽頭スワブである。
本願で用いる用語「細胞」は真核細胞、原核細胞、ウイルス、内生胞子またはその任意の組み合わせを指す。したがって、細胞は細菌、細菌芽胞、真菌、ウイルス粒子、単細胞真核生物(原生動物、酵母など)、多細胞生物に由来する分離または凝集細胞(1次細胞、培養細胞、組織、生命体全体など)、またはとりわけその任意の組み合わせを含みうる。
用語「サンプル」は標的分子を含むか、または標的分子を含むことを疑われる任意の材料を指す。
用語「核酸」は、天然に生成したにせよ人工的に合成されたにせよ(そのアナログを含めて)、DNAおよびRNAを含む個々の核酸または核酸の重合鎖またはその修飾、特に任意の鎖長を有する天然に生成することが知られた修飾を指す。
用語「サンプル容器」は、核酸を精製するためにサンプルを保護および/または処理するため、または試薬を処理したサンプルと共に受けるための細長く、一般的には管状の容器またはバイアルを指す。サンプル容器は円筒形である必要がなく、その全長またはその一部に沿ってわずかに円錐形であってもよい。
細胞に関する用語「溶解する」は、核酸およびタンパク質などの細胞内成分を崩壊した細胞から放出するための、細胞の少なくとも一部の完全性の崩壊を意味する。
用語「ホモジナイズする」は、(糞便、組織、喀痰、唾液などの多様な要素を)混合または渦動混合して均一な混合物とすることを意味する。
用語「閉鎖系」または「閉鎖容器」は、処理中のチューブまたは容器への(またはチューブまたは容器からの)外因性または外部物質の導入を阻害または予防するために、密封され、完全ではなくとも相当閉鎖された様式で作動するチューブまたは容器を指す。閉鎖系または容器の構成要素は、使用前に製造所で事前滅菌、使用場所で滅菌、および/または使用前に各閉鎖系を組み立て閉鎖した後に滅菌することができる。
用語「1回使用ディスポーザブル」は、再使用しない構成要素を指す。すなわち、その意図した使用、すなわち標的サンプルの処理または生成を完了した後に廃棄される。
本願で用いる用語「モノリス吸着剤」または「モノリス吸着材料」は、単一片内に連続して互いに接続した小孔構造を有する多孔質3次元吸着材料であり、硬質で、自立性で、ほぼモノリス型の構造を含みうる。モノリスは、たとえば前駆物質を所望の形状の型で鋳造、焼結、または重合させて調製する。用語「モノリス吸着剤」または「モノリス吸着材料」は、充填してベッド形態とするか、または多孔質マトリクスに包埋し、最終生成物が個別の吸着剤粒子を含む、個別の吸着剤粒子の収集物と識別されることを意図する。多孔質モノリスポリマーは、最近数十年間に開発された新しい材料のカテゴリーである。非常に小さなビーズから構成されるポリマーとは対照的に、モノリスは簡便な成形プロセスを用いて調製された単一の連続したポリマー片である。用語「モノリス吸着剤」または「モノリス吸着材料」は、ろ紙または吸着剤でコーティングされたろ紙などの、吸着剤繊維または吸着剤でコーティングされた繊維の集合体とも識別されることを意図する。
1つの態様においては、本願はハウジング、サンプル容器ラック、フィルターチップラック、および円筒形磁石を含む一体型サンプル精製システムを提供する。サンプル容器ラックおよびフィルターチップラックはハウジング内に排置される。サンプル容器ラックは1つ以上のサンプル容器を保持するよう設計され、フィルターチップラックは1つ以上のフィルターチップを保持するよう設計される。円筒形磁石は、サンプル容器ラックの近傍且つ外部にあり、ハウジング内に排置された電動モーターによって駆動されて磁石の中心、長軸を中心に回転する。
図2は、1つの実施形態による典型的なシングルチャネルサンプル精製システム100を示す。図2のシステム100は、ハウジング104、サンプル容器ラック108、フィルターチップアクチュエータ/ラック112、および円筒形磁石116を含む。サンプル容器ラック108およびフィルターチップラック112はハウジング104内に排置される。サンプル容器ラックまたはスタンド108はサンプル容器120を保持する。図2のフィルターチップアクチュエータ/ラック112は、シリンジ176のシリンジプランジャー174が上下に動き、フィルターチップ124を経て液状物を吸引および分注するよう設計された、シリンジ176に着接されたフィルターチップ124を保持するよう設計される。プランジャー174は、プランジャーの動きを制御するラック112のアクチュエータに接続される。円筒形磁石116は、サンプル容器ラック108の近傍且つ外部にあり、ハウジング内104に排置された電動モーター130によって磁石116の中心、長軸を中心に回転させられる。
サンプル容器120は、それぞれサンプル中の細胞を溶解するための溶解チャンバーを1つ以上含みうる。好ましくは、サンプル容器120(および他のシステム構成要素)は、サンプル144および/または1つ以上の試薬溶液の導入前後に閉鎖系を維持するよう密封および設計される。容器120は蓋、キャップまたはカバーで密封しうる。サンプル容器120は任意の適切な材料、寸法および形状で作製することができる。一定の実施形態においては、容器120はプラスチック製である。好ましくは、容器120の内面は化学的に不活性である。サンプル容器120は、たとえば採尿カップ、マイクロ遠心管(エッペンドルフチューブなど)、遠心管、バイアル、マイクロウェルプレートなどの形状でありうる。一部の実施形態においては、図3に示すように、容器120は細胞180、ビーズ160、およびスターラー156を保持するための単一のコンパートメント/チャンバーを含む。一部の実施形態においては、所与の容器120は、それぞれが細胞180、ビーズ160およびマグネティックスターラー156の混合物を、互いに分離した状態で保持することが可能な、複数の別個のコンパートメント/チャンバー(ウェルアレイなど)を含みうる。一部の実施形態においては、サンプル容器120はマグネティクスターラーおよび/または細胞溶解ビーズ、さらには細胞溶解を促進し且つ標的分子の生物活性を維持する化学物質および/または酵素と共に事前包装される。
システム100は複数のサンプル容器120、複数のフィルターチップ124、1つ以上の試薬ラック132またはその組み合わせを含みうる。サンプル容器ラック108は複数のサンプル容器120を保持するよう設計され、且つ複数のサンプル144の同時処理のためにハウジング104の支持面に載置することができる。同様に、フィルターチップラック112は複数のフィルターチップ124を保持するよう設計され、且つ複数のサンプル144の同時処理のためにハウジング104の支持面に載置することができる。またサンプル容器ラック108も、保存を目的としたサンプル144のホルダーとして用いうる。たとえば、複数のサンプル容器120をサンプル容器ラック108内に配置し、分析の前に冷蔵庫または冷凍庫に保存しうる。
ここで図3を参照すると、サンプル容器120および円筒型磁石116は、使用の際に、円筒形磁石116がその長軸を中心に回転するとき、サンプル容器内のマグネティックスターラー156が回転し、細胞180の破壊およびホモジナイゼーションを引き起こすのに十分な力でビーズ160を攪拌するよう設計される。
円筒型磁石116は数多くの磁石の幾何学的配置または設計を有しうる。1つの実施形態においては、磁石は、磁石の長軸に沿ってこれを中心として対称に排置された磁極(すなわちN極とS極)を有する。磁石は、長軸を中心としてその周りに交互に並んだ複数、好ましくは2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22および24個などの偶数個の対極を有しうる。他の実施形態においては、円筒形磁石は磁石の長軸の対側端に排置された対磁極を有する。さらなる他の実施形態においては、円筒形磁石は電磁石である。
磁石116は、サンプル容器120の上、下または横で、磁石116の中心を通る軸を中心として回転しうる。一定の実施形態においては、サンプル容器120は、その上にサンプル容器120が存在する表面と垂直に配置され、且つ磁石116は、やはりその上にサンプル容器120が存在する表面と垂直である軸を中心として回転する。他の実施形態においては、サンプル容器120は、その上にサンプル容器120が存在する表面と垂直に配置され、且つ磁石116は、その上にサンプル容器120が存在する表面と平行な軸を中心として回転する。さらなる他の実施形態においては、サンプル容器120は、その上にサンプル容器120が存在する表面と垂直に配置され、且つ磁石116は、その上にサンプル容器120が存在する表面とある角度を形成する軸を中心として回転する。角度は0°より大きいが180°より小さい。
図3は、サンプル容器120に対する磁石116の相対的位置を示す。磁石116は軸Aを中心として回転し、サンプル容器120内のマグネティックスターラー156を、軸Aと平行な軸Bに沿って同じ方向で回転させる。図3では1つの軸Bのみが示されるが、当業者であれば、マグネティックスターラー156が図に示す他のA軸と平行な他のB軸を中心として回転しうることを理解するであろう。回転するマグネティックスターラー156はビーズ160と衝突し、処理中の細胞180を溶解させる。磁石116は、その上にチャンバー(またはサンプル容器120のホルダーの表面190と垂直に配置されるサンプル容器120の横に、その上に、その下にまたはその対角に位置することができる。
サンプル容器120および具体的にはサンプル144、ビーズ160およびマグネティックスターラー156は、変動する磁界の操作範囲内に位置する。たとえば、サンプル容器120は、たとえば容器120を円筒形磁石116と隣接して、またはその近傍に配置することにより、回転する磁界の操作範囲内に位置することができる。変動する磁界は、回転運動、往復運動、またはとりわけその組み合わせなどのマグネティックスターラー156の動きを駆動し、これがさらにビーズ160、細胞および液状媒体の動きを駆動する。一部の実施形態においては、サンプル懸濁液144は、容器120の内部の細胞を溶解するのに十分な回転スピードおよび持続時間で、マグネティックスターラー156により攪拌される。適切な回転スピードおよび持続時間は用途に依存し、当業者が経験的に決定することができる。一般的に言って、細胞を溶解するのに十分な回転スピードは、細胞の種類、サンプル懸濁液144の濃度、サンプル懸濁液の体積、マグネティックスターラー156のサイズおよび形状、細胞溶解ビーズ160の量/個数、サイズ、形状および固さ、およびサンプル容器120のサイズおよび形状などの因子によって決定される。
一定の実施形態においては、マグネティックスターラー156は1000〜6000rpmの間、好ましくは約5000rpmで1〜600秒間、好ましくは約90〜120秒間回転している。一定の実施形態においては、サンプル容器120(尿検査用カップまたはチューブの形状にある)がマグネティックスターラー上でラック内に配置され、最高スピード設定(>1,000rpm)で攪拌される。他の実施形態においては、サンプル容器120はELISAプレートなどのマイクロプレートのウェルである。他の実施形態においては、サンプル容器120はサンプル入口およびサンプル出口を有する円筒形の容器である。
一定の実施形態においては、マグネティックスターラー156の回転のスピードを高めて溶解効率を高め、且つ溶解を達成するのに必要とされる時間を低減する。一定の他の実施形態においては、一定の種類の細胞のみが溶解するよう回転のスピードを調節する。たとえば、複数の種類の細胞180を含有するサンプル懸濁液144において、スターラー156は第1のスピードで回転して第1の細胞群を溶解させ、その後第2のスピードで回転して第2の細胞群を溶解させうる。他の実施形態においては、容器120を、溶解処理前、処理中および/または処理後にサンプル懸濁液144の温度を制御する温度調節モジュールに接続する。一定の実施形態においては、サンプル懸濁液144の温度は2℃〜8℃に維持される。一部の実施形態においては、サンプル懸濁液144は溶解処理前、処理中および/または処理後に(マグネティックスターラーの回転中などに)40℃〜80℃、50℃〜70℃、または約60℃に加熱される。
マグネティックスターラー156は金属製であっても、金属合金製であってもよい。1つの実施形態においては、マグネティックスターラー156はステンレスチール製である。他の実施形態においては、マグネティックスターラー156はポリマー、ガラスまたはセラミック(ポーセレンなど)といった化学的に不活性の材料でコーティングされた合金コアから作製される。典型的な合金コア材料はネオジム鉄ホウ素およびサマリウムコバルトを含む。典型的なコーティングポリマーは、PTEEおよびパリレンなどの生体適合性ポリマーを含む。
マグネティックスターラー156は任意の形状のものとすることが可能であり、且つサンプル容器120に入れて容器120内で動いたり、回転しり、または攪拌したりするよう十分小さくなければならない。マグネティックスターラー156は棒形、円柱型、十字型、V字型、三角形、長方形、桿状またはとりわけ円盤状スターラー156とすることができる。一部の実施形態においては、マグネティックスターラー156は長方形の形状を有する。一部の実施形態においては、マグネティックスターラー156は二叉の音叉形状を有する。一部の実施形態においては、マグネティックスターラー156はV字様の形状を有する。一部の実施形態においては、マグネティックスターラー156は台形の形状を有する。一定の実施形態においては、スターラー156の最も長い寸法は、容器の直径よりわずかに小さい(たとえば容器の直径の約75〜95%)。
細胞溶解ビーズ160は、細胞の固さよりも大きな固さを有する、任意の粒子様および/またはビーズ様構造とすることができる。ビーズ160はプラスチック、ガラス、セラミック、鉱質、金属および/または任意の他の適切な材料で作製しうる。一定の実施形態においては、ビーズ160は非磁性材料で作製しうる。ビーズ160は少なくとも1つの軸を中心として回転対称でありうる(球形、丸形、楕円形、長円形、卵型、および水滴型粒子など)。一定の実施形態においては、ビーズ160は多面体形状を有する。他の実施形態においては、ビーズ160は不規則な形状をした粒子である。一部の実施形態においては、ビーズ160は突起を有する粒子である。ビーズ160は10〜1,000μm、20〜400μm、またはとりわけ50〜200μmの直径を有しうる。各溶解容器に加えるビーズ160の量の範囲は約1〜10,000mg、1〜1000mg、1〜100mg、とりわけ1〜10mgでありうる。
細胞が溶解した後、細胞溶解液を適切なフィルターチップ124に取り入れ、核酸がその中のフィルターマトリクス126に結合することを可能とする(図4を参照)。溶解液は、典型的には未結合の部分をフィルターチップ124の同じ末端から排出する前に、少なくとも2回フィルターマトリクス126を通過させる。この時点で、別の機会にさらに分析するために、フィルターチップ124内で結合した核酸を密封容器に保存することができる。またその代わりに、以下にさらに記載するように、適切な溶離バッファーを用いて結合した核酸をフィルターチップから溶離することができる。
図4は代表的なフィルターチップを示す。フィルターチップ124は、ピペットチップ127に挿入された多孔質モノリス結合フィルターマトリクス126を含む。モノリス結合フィルターマトリクス126は、モノリス吸着剤またはモノリス吸着材料を含む。多孔質モノリス材料は核酸と特異的に結合し、硬質で、自立性で、ほぼモノリス型の構造から構成される。一部の実施形態においては、多孔質モノリス材料は核酸親和性を提供する追加的な材料を含まない。一部の実施形態においては、多孔質モノリス材料はガラスフリットなどのガラスベースのモノリス材料である。一定の実施形態においては、ガラスフリットは焼結ガラスフリットである。ガラスフリットまたは焼結ガラスフリットなどの多孔質モノリス材料の多孔度は、用途に依存する。多孔質モノリス材料は、一般に、特定の用途のための所望のサンプル流量を可能とし、かつ所望のサイズ範囲の核酸を保持することが可能な多孔度を有するべきである。一部の実施形態においては、モノリス結合フィルターマトリクス126は、多孔度が相異なる2つの部分(126aおよび126b)からなるガラスフリットである。
一部の実施形態においては、多孔質モノリス材料は2〜400ミクロン、2〜300ミクロン、2〜220ミクロン、2〜200ミクロン、2〜180ミクロン、2〜160ミクロン、2〜140マイクロ、2〜120マイクロ、2〜100ミクロン、2〜80ミクロン、2〜60ミクロン、2〜40ミクロン、2〜20ミクロン、2〜16ミクロン、2〜10ミクロン、2〜5.5ミクロン、4〜400ミクロン、4〜300ミクロン、4〜220ミクロン、4〜200ミクロン、4〜180ミクロン、4〜160ミクロン、4〜140マイクロ、4〜120マイクロ、4〜100ミクロン、4〜80ミクロン、4〜60ミクロン、4〜40ミクロン、4〜20ミクロン、4〜16ミクロン、4〜10ミクロン、4〜5.5ミクロン、10〜400ミクロン、10〜300ミクロン、10〜220ミクロン、10〜200ミクロン、10〜180ミクロン、10〜160ミクロン、10〜140マイクロ、10〜120マイクロ、10〜100ミクロン、10〜80ミクロン、10〜60ミクロン、10〜40ミクロン、10〜20ミクロン、10〜16ミクロン、16〜400ミクロン、16〜300ミクロン、16〜220ミクロン、16〜200ミクロン、16〜180ミクロン、16〜160ミクロン、16〜140マイクロ、16〜120マイクロ、16〜100ミクロン、16〜80ミクロン、16〜60ミクロン、16〜40ミクロン、40〜400ミクロン、40〜300ミクロン、40〜220ミクロン、40〜200ミクロン、40〜180ミクロン、40〜160ミクロン、40〜140マイクロ、40〜120マイクロ、40〜100ミクロン、40〜80ミクロン、40〜60ミクロン、100〜400ミクロン、100〜300ミクロン、100〜220ミクロン、100〜200ミクロン、100〜180ミクロン、100〜160ミクロン、100〜140マイクロ、100〜120マイクロ、160〜400ミクロン、160〜300ミクロン、160〜220ミクロン、160〜200ミクロン、160〜180ミクロン、200〜400ミクロン、200〜300ミクロン、または200〜220ミクロンの範囲の多孔度(すなわち平均孔径)を有するガラスフリットまたは焼結ガラスフリットである。他の実施形態においては、多孔質一体型材料は、相異なる多孔度の2つの部分(126aおよび126b)を有するガラスフリットまたは焼結ガラスフリットである。各部分は上記の範囲の多孔度を有しうる(4〜10ミクロンの部分と16〜40ミクロンの部分、または16〜40ミクロンの部分と100〜160ミクロンの部分など)。
一部の実施形態においては、フィルターは1〜30mm、1〜25mm、1〜20mm、1〜15mm、1〜10mm、1〜8mm、1〜6mm、1〜4mm、2〜30mm、2〜25mm、2〜20mm、2〜15mm、2〜10mm、2〜8mm、2〜6mm、2〜4mm、4〜30mm、4〜25mm、4〜20mm、4〜15mm、4〜10mm、4〜8mm、4〜6mm、6〜30mm、6〜25mm、6〜20mm、6〜15mm、6〜10mm、6〜8mm、8〜30mm、8〜25mm、8〜20mm、8〜15mm、8〜10mm、10〜30mm、10〜25mm、10〜20mm、10〜15mm、15〜30mm、15〜25mm、15〜20mm、20〜30mm、20〜25mm、または25〜30mmの範囲の厚さを有する。
一部の実施形態においては、多孔質モノリス材料は、ポリヌクレオチド、タンパク質、脂質または多糖類などの目的の分子に対する親和性を有する1つ以上の材料で修飾しうる。一部の実施形態においては、多孔質モノリス材料は、核酸に対する親和性を有する1つ以上の材料で修飾しうる。
一部の実施形態においては、フィルターは多孔質ガラスモノリス製、多孔質ガラス−セラミック製または多孔質モノリスポリマー製である。一部の実施形態においては、多孔質ガラスモノリスは、本願に参照文献として援用する米国特許第4,810,674号明細書および第4,765,818号明細書に記載のゾル−ゲル法を用いて生成することができる。多孔質ガラス−セラミックは、多孔質ガラスモノリスの制御結晶化によって生成しうる。好ましい実施形態においては、多孔質ガラスモノリス、多孔質ガラス−セラミックまたは多孔質モノリスポリマーは、その核酸との結合親和性を改善することを目的として、ポリヌクレオチドまたは抗体などのいかなる追加的材料でもコーティングされたり、またはこれを包埋されたりしない。
一部の好ましい実施形態においては、フィルターは液状サンプルがそこを通過しうる細孔径多孔質ガラスフリット製である。多孔質ガラスフリットは、その核酸または他の目的分子との親和性を改善することを目的として、ポリヌクレオチドまたは抗体などのいかなる追加的材料でもコーティングされたり、またはこれを包埋されたりしない。核酸を精製するのに適した基材は、単一のモノリス構造を形成するために、ビーズをホットプレスで粉砕することで形成される焼結ガラスによって作製される、多孔質ガラスフリットを含む。フリットの均一な構造は、フリット内部での予測可能な液状物の流動をもたらし、且つ溶離液がサンプル流動と同様の流体力学を有することを可能とする。予測可能な液体物の流動は、溶離プロセスにおける高い回収率を可能とする。
フィルターマトリクス126は、典型的にはピペットチップ127に配置されるものの、体積および形状の異なるカラム、シリンジまたは他のハウジングにも嵌合されうる。手動または自動ピペット、シリンジ、シリンジポンプ、手持ちシリンジ、またはフィルターマトリクス126に液状物を通過させるための他の種類の自動化または手動法を用いて、フィルターマトリクス126に液状溶液を通過させうる。
図5Aおよび5Bに示すように、システムはハウジング内に排置された1つ以上の試薬ラック132をさらに含みうる。試薬ラック132は1つ以上の試薬を保持するよう設計される。試薬ラック132は、使用する準備ができたときにその中に試薬を注入することのできるトレイの形態としうる。この場合、サンプル144の処理中に複数のサンプルウェルに送達するために、試薬をトレイに注入して試薬を複数のピペットチップで受けやすくする。またその代わりに、試薬ラック132は、複数のウェル152を含むブロックまたはマルチウェルプレート(24ウェル、96ウェルなど)の形態としてもよく、これにより複数のウェルが、それぞれ別個のサンプル144を処理するために、試薬のいずれかを保持するよう設計される。一定の実施形態においては、ウェル152は事前に試薬を充填され、ラック132の中で密封されうる。一部の実施形態においては、ラック132はサンプル容器ラック108および/またはフィルターチップラック112の近傍に位置する(図5B)。
サンプル精製システム100は手動で操作してもよく、あるいはプログラマブルロジックにより半自動化または完全自動化状態で実行するよう設計してもよい。一定の実施形態において、システムは自動化ピペッティングシステム136(図5A)、および所定のコンピュータ制御様式によって、自動的に1つ以上の試薬ラック132から複数のサンプル容器120に試薬を分注し、サンプル材料および使用済み試薬を適切な廃棄用受け器172に廃棄するよう設計された(図5B)、1つ以上のロボティックアーム(示さず)をさらに含む。
操作の様式の1つにおいては、試薬ラック132はマルチウェルプレート(24ウェル、96ウェルなど)の形態にある。好ましくは、自動化液状物操作は、試験しようとする混合物を調製するために行う必要のある作業の量を低減するので、混合物はこれを用いて混合される。また自動サンプリングプロトコルも、技術上既知の装置および方法を用いて、ロボティクスにより実施しうる。
任意の適切な機器または装置を用いて、自動精製システム100およびその多様な処理ステップによってサンプル144を移動させうる。たとえば、本願で用いられるシステム100は、技術上既知である多様なロボティクスを用いて、サンプル144、試薬および他のシステム構成要素の移動を自動化することができる。典型的なロボティクスシステムは、サンプルを1つ、2つまたは3つの軸上で移動し且つ/または1つ、2つまたは3つの軸を中心として回転する能力を有する。典型的なロボティクスは、工作物の上、下または横に位置しうるトラック上で移動する。ロボティクス構成要素は、典型的には工作物を握り且つ/または移動し、ピペッターを挿入し、試薬を分注し、吸引することなどが可能なロボティックアームなどの機能的構成要素を含む。本願で用いる「ロボティックアーム」は、好ましくはマイクロプロセッサによって制御される、サンプル144、容器120、フィルターチップ124、サンプル容器ラック108、フィルターチップラック112および試薬ラック132を1つの場所から他の場所に物理的に移動するデバイスを意味する。それぞれの場所を自動化精製システム100におけるユニットとすることができる。ロボティックアームの制御のためのソフトウェアは、一般にアームの製造業者から入手可能である。
ロボティクスは、たとえば作業領域の上、下または横にあるトラック上で並進してもよく、且つ/またはアームが作業領域の異なる位置に到達することを可能とする接合部分を含んでもよい。ロボティクスは、たとえば電気、空気圧または水圧で動力を供給しうる、技術上既知のモーターによって駆動しうる。標準的なPLCプログラミングまたは他の技術上既知の方法などの、任意の適切な駆動制御システムを用いて、ロボティクスを制御することができる。任意選択として、ロボティクスは光学的または機械的に位置および/または力を測定し、ロボットが所望の位置に誘導されることを可能とする位置フィードバックシステムを含む。任意選択として、ロボティクスは、繰り返し特定の位置を取ることを可能とする機械的停止、光学的マーカーまたはレーザー誘導などの位置確保メカニズムも含む。
典型的な自動サンプリングプロトコルは、たとえばエッペンドルフepMotion5070、epMotion5075、ハミルトンSTARlet、STARおよびSTARplus液状物操作ロボットなどを利用する。そのようなプロトコルはRNA分離、全血、組織、唾液、スワブからのゲノムDNAの分離、さらには循環腫瘍DNAおよび循環胎児DNAなどの無細胞DNAの抽出および母体血漿からの濃縮のために適合化しうる。
(核酸を精製するための方法)
他の実施形態においては、サンプルから核酸を精製するための方法は:(a)本開示による核酸精製システムを提供するステップ;(b)サンプル、マグネティックスターラーおよび複数のビーズをサンプル容器に導入するステップ;(c)円筒形磁石をその長軸を中心に回転させ、その結果サンプルをホモジナイズし且つサンプル中の細胞を破壊して細胞溶解液を形成するのに十分な程度に、マグネティックスターラーが回転し且つビーズが攪拌されて細胞内容物の無秩序な混合を受けるステップ;(d)細胞溶解液の少なくとも一部をフィルターチップの第1の開口部を経て流し、その結果細胞溶解液中の核酸をフィルターチップ内のフィルターと結合させるステップ;(e)細胞溶解液の未結合部分をフィルターチップから第1の開口部を経て排出し、このとき未結合部分がフィルターチップから出る前に少なくとも2回フィルターを通過するステップ;および(f)フィルターチップの第1の開口部から溶離バッファーを流入させ、溶離バッファーをフィルターチップから第1の開口部を経て排出することによりフィルターに結合した核酸を溶離し、このとき溶離バッファーがフィルターチップから出る前に少なくとも2回フィルターを通過するステップを含む。
他の実施形態においては、サンプルから核酸を精製するための方法は:(a)本開示による核酸精製システムを提供するステップ;(b)サンプル、マグネティックスターラーおよび複数のビーズをサンプル容器に導入するステップ;(c)円筒形磁石をその長軸を中心に回転させ、その結果サンプルをホモジナイズし且つサンプル中の細胞を破壊して細胞溶解液を形成するのに十分な程度に、マグネティックスターラーが回転し且つビーズが攪拌されて細胞内容物の無秩序な混合を受けるステップ;(d)細胞溶解液の少なくとも一部をフィルターチップの第1の開口部を経て流し、その結果細胞溶解液中の核酸をフィルターチップ内のフィルターと結合させるステップ;(e)細胞溶解液の未結合部分をフィルターチップから第1の開口部を経て排出し、このとき未結合部分がフィルターチップから出る前に少なくとも2回フィルターを通過するステップ;および(f)フィルターチップの第1の開口部から溶離バッファーを流入させ、溶離バッファーをフィルターチップから第1の開口部を経て排出することによりフィルターに結合した核酸を溶離し、このとき溶離バッファーがフィルターチップから出る前に少なくとも2回フィルターを通過するステップを含む。
完全手動、半自動化、または完全自動化プロトコルを含む、本願に記載の方法を実施する任意の様式を用いることができる。しかし、フィルターチップの特性、適合性、単純さおよびワークフローによって、容易に適合化、自動化、および数多くの臨床サンプルマトリクス、投入サンプル体積、および液状物操作システムに対して有効とすることができる。したがって、好ましい実施形態においては、操作の様式はある種の自動化を含む。1つの実施形態においては、核酸を精製するための方法は、自動化ピペッティングシステムと、所定の様式で1つ以上のサンプル容器に試薬を自動的に分注し、且つサンプル材料および試薬を適切なディスポーザブル受け器に廃棄するよう設計された1つ以上のロボティックアームを含む。この場合、1つ以上の試薬ラックと組み合わせた、同等の数のフィルターチップを用いる複数のサンプル容器のそれぞれにおいて、上記のステップが反復される。
MTBを含有することが疑われるサンプルは、ユーザーに対して潜在的なリスクを呈する。したがってサンプルは、このリスクを軽減するために、加熱および/またはサンプル中に存在する微生物を不活化するのに適した試薬の含有によって前処理しうる。MTBなどの微生物の不活化は、活性タンパク質を変性させる加熱(90℃、5分など)、細胞壁構造の酵素的消化、細胞を物理的に崩壊または不活化する機械的破壊、化学的処理またはその組み合わせによって遂行しうる。
化学的不活化は、加熱の必要性を低減または除去する可能性をもたらす。培養を目的としてサンプルを処理する場合、簡便な試薬を用いて喀痰を消化しサンプルを消毒する。培養のためには、より増殖の速い他の細菌に追い越されずにMTBが増殖できるよう、喀痰サンプル中に存在する他の細菌叢を不活化することが重要である。除染または不活化ステップは、水酸化ナトリウム(3〜5%など)または塩化セチルピリジニウムなどの試薬を用いてもよく、好ましくは、他の全ての細菌を不活化するが、MTB細胞はより厚く堅牢な細胞壁により無傷で生存した状態に保たれるよう選択される。しかし、使用する方法によっては、この処理の際にMTB細胞の20〜90%が死滅することがある。しかし核酸の精製に関しては、細胞ゲノムDNAがなお増幅可能である限り、MTB細胞は生存している必要も無傷である必要もない。
好ましくは、不活化試薬は、シリカとの結合に対する適合性について、限られたサンプル希釈および/または低pHを可能とするよう選択される。これらの試薬は採取時にサンプルに添加されうる。一部の実施形態においては、過酸化水素、エタノールなどのアルコール類およびo−フェニルフェノール(0.2〜0.5%)を主要活性成分として用いうる。過酸化水素(H2O2)は6〜25%濃度から化学滅菌剤として用いることができ、かつ溶液内で非常に安定である。0.85%リン酸と混合するとき、H2O2は低pHにおいて活性である。エタノール単独(95%など)は喀痰または水中のMTBを15秒で不活化することができる。農業用殺真菌剤o−フェニルフェノールは、PHENO−CEN、SRAYPAK、およびCLIPPERCIDE噴霧消毒剤中で、エタノールまたはイソプロパノール中と共に0.1〜0.41%で用いる。さらに、o−フェニルフェノールは、低い試薬対サンプル比率として室温で15分間用いてもよく、且つLow pH Phenolic256(50%〜100%)中で、エタノールまたはイソプロパノールまたは6.65%2−ベンジル−4−クロロフェノールと組み合わせて用いうる。
サンプル体積に対する不活化試薬の体積比は、典型的には約0.1:1から3:1の範囲となる。
1次検体容器中の微生物の不活化は、BSL−1適合ワークフローを提供するために重要である(すなわち、ワークフローがバイオセイフティキャビネットを必要としない)。多くのプロトコルは消毒前のサンプル移動を包含するが、これはエアロゾルを生成してユーザーを感染させる可能性のある行為である。したがって、BSL−1に適合するには、消毒前のサンプル移動、特にエアロゾルを生成してユーザーを感染させる可能性のある移動に対して慎重な注意を必要とする。
サンプルの性質に応じて、一定したサンプル処理のために、サンプルをまず液状化してその粘度および不均一性を低下させうる。喀痰サンプルは特に困難をもたらす。喀痰中のMTBは、抗酸菌の脂質に富んだ疎水性細胞壁および喀痰の粘稠且つ不均一な性質により、最も処理が困難な細胞およびサンプルの種類の1つである。喀痰の標準的な抽出法は、典型的には、N−アセチル−Lシステイン(NALC)および水酸化ナトリウム(NaOH)による処理後の遠心分離、デカンティングおよび再懸濁をしばしば包含する、沈殿のプロセスに始まる。したがって、喀痰などの粘度の高いサンプルを処理する場合、その後の処理ステップ(MagVor)が阻害されないよう、粘度を低減するためにサンプルを化学処理に付しうる。サンプルに添加するための典型的な粘液溶解試薬は、NALC、ゼフィラン−三ナトリウムリン酸(Z−TSP)、ベンザルコニウム、および細菌を溶解してRNAおよびDNAを安定化する特殊な製剤を含むPrimestore(登録商標)(Longhorn Vaccines&Diagnostics、テキサス州サンアントニオ)、San Antonio TX)を含むが、これに限定されない。1つの実施形態においては、粘液溶解剤を用いた化学処理によるサンプルの液状化は、60℃で20分間遂行される。患者の喀痰サンプルは、典型的には1〜10mL、5〜10mLの間またはそれ以上の体積で採取される。
喀痰は、せん断速度90s−1で約100〜6,000cP(mPa)の範囲の粘度を有する。mPa単位で測定される粘度は、せん断強度をせん断速度で割ることによって算出される。好ましくは、サンプルは喀痰の粘度を少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低減するよう液状化される。
サンプルを処理する際は、サンプル容器内に少なくとも1個のマグネティックスターラーおよび複数の細胞溶解ビーズが存在する。ユーザーは、簡便にサンプル容器にサンプル懸濁液を入れ、サンプル容器を円筒形磁石の近傍に配置し、細胞をホモジナイズおよび溶解するのに十分な様式で、サンプル容器内で磁場を回転させてマグネティックスターラーを回転させ、細胞溶解ビーズを攪拌するのに十分なスピードで磁石を回転させることにより、サンプル懸濁液を攪拌しうる。
サンプル懸濁液、細胞溶解ビーズおよびマグネティックスターラーは、任意の順でサンプル容器に入れることができる。一部の実施形態においては、サンプル懸濁液は、細胞溶解ビーズおよびマグネティックスターラーの前にサンプル容器に加える。他の実施形態においては、細胞溶解ビーズおよび/またはマグネティックスターラーはサンプル採取の前にサンプル容器に入れる。
一定の実施形態においては、攪拌ステップの前および/または攪拌ステップ中にサンプル懸濁液に添加剤を加えることによって、特定の種類の細胞の溶解を促進することができる。添加剤の例は酵素、洗剤、界面活性剤および塩基および酸などの他の化学物質を含む。ある種の細胞については、アルカリ条件(10mM NaOH)によって攪拌時の溶解効率が高まりうることが確認されている。やはり、またはその代わりに、攪拌時にサンプル懸濁液を加熱して溶解効率を高めてもよい。しかし添加剤は、核酸増幅および検出を含む下流のステップに有害となることがあるので、プロセスを単純化することが可能な場合は除外すべきである。
スターラー/ビーズの組み合わせは、従来の溶解法と比較して多くの利点をもたらす。スターラー/ビーズ法は、化学的および酵素的手法よりもさらに高速で、他の多くの種類の物理的溶解法と比較した細胞またはウイルス溶解の改善を提供する。スターラー/ビーズ法はロボティクスおよび/または微少流動技術を用いた自動化にも適合しやすい。円筒形磁石は再使用が可能であり、容器に対して精密に配置する必要がなく、さらに複数の容器を駆動することができる。マグネティックスターラーはコストが低いので、一回使用ディスポーザブルでの使用が可能となる。
MagVorステップ後、1つ以上のカオトロピック剤を含む適切な結合バッファーをサンプル容器に添加し、核酸とフィルターマトリクス126との結合を促進する。ブーム化学反応、または核酸とシリカのカオトロピック結合は、溶液のpHが7未満の時最も効率が高い。この場合、塩化リチウムまたは塩化ナトリウムまたはグアニジン塩基イオンを含有する高イオン強度溶液を、典型的にはエタノールまたはイソプロパノールなどの脂肪族アルコールと組み合わせ、それぞれDNAを「塩析」し、核酸の結合を促進する。処理サンプルに添加するとき、生成する体積がフィルターチップの容積の範囲内となるよう、適切な結合バッファーを一定の濃度で用いる。これにより吸引および分注サイクルの回数が減少するので、総処理時間が短縮される。
一定の実施形態においては、MagVor後に結合バッファーをサンプルに添加し、60℃で10分間インキュベートする。他の実施形態においては、MagForステップの前に、カオトロピック剤と脂肪族アルコールを液状化ステップに含める。他の実施形態においては、不活化、ホモジナイゼーションおよび溶解ステップは15分間と短い単一ステップで遂行される。
典型的なカオトロピック剤はチオシアン酸グアニジウム、イソチオシアン酸グアニジン、塩酸グアニジン、塩化グアニジウム尿素、チオ尿素、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化ナトリウム、およびヨウ化カリウムなどのカオトロピック塩;ブタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールなどの脂肪族アルコール;フェノールおよび他のフェノール系化合物を含むがこれに限定されない。
一部の実施形態においては、高分子量(HMW)核酸のフィルターマトリクスへの選択的結合を促進するために、イソプロパノールなどの脂肪族アルコールを約0%から約10%の間、好ましくは約4%から約6%の間の範囲で提供し(最適=4.7%)、且つイソチオシアン酸グアニジンおよび/または塩酸グアニジンなどのカオトロピック塩を1.0Mから4.0M、好ましくは約3.0Mから約4.0Mの間の範囲で提供する。
一部の実施形態においては、低分子量(LMW)核酸のフィルターマトリクスへの結合(および濃縮)を促進するため、イソプロパノールなどの脂肪族アルコールを約10%から約25%の間、好ましくは約15%から約20%の間(最適=17.7%)の範囲で提供する。
他の実施形態においては、喀痰からのMTB DNAの分離を促進するため、エタノールなどの脂肪族アルコールを約20%から約60%の間、好ましくは約30%から約50%の間(最適=44%)の範囲で提供しうる。
上記の不活化およびホモジナイゼーションステップの後、溶液のpHを必要に応じて調節し、pH7未満を達成しなければならない。pHが7超の場合、溶液は酢酸カリウムまたはリン酸ナトリウムなどの弱酸で中和することができる。これは、pH≧11を有するNaOHまたはo−フェニルフェノールを用いる場合に必要となる。低pHフェノールおよび過酸化水素試薬は本質的に酸性であり、ほとんどの場合追加的なバッファーを必要としない可能性が高くなる。
1つの実施形態においては、核酸のフィルターマトリクスへの結合は、フィルターチップ124を、シリンジ176との間のルアーロック接続を介してこれに着接することによって遂行しうる。他の実施形態においては、フィルターマトリクスはシリンジ176内にある。典型的なフィルターチップ124を図4に示す。フィルターチップ124は、チップ本体127の内部に包埋された多孔質シリカマトリクス126、汚染およびユーザーへの曝露を防止するエアロゾルフィルタ128、および閉鎖系の維持に有用なチップキャップ129を含む。1つの実施形態においては、キャップ129はインサートでフィルターチップ124に接続される。一部の実施形態においては、キャップは通常のファルコンチューブキャップ208である。フィルターチップ124は、フィルターチップ124の吸引および分注サイクル毎に液状サンプルがマトリクスを通過して流動することができるよう設計されている。シリンジ176または他の適切な機器を用いて、容器120内の細胞溶解液をフィルターチップ124の遠位端を経て上に通過させ、その結果細胞溶解液中の核酸がピペットチップ127内のフィルターマトリクス126と結合する。典型的には、細胞溶解液がフィルターマトリクス126を経て揚上および降下され、その結果、未結合部分がピペットチップ127の遠位端を経て適切な廃棄用受け器172に排出される前に、溶解液および未結合部分がフィルターマトリクス126を少なくとも2回通過する。
サンプルとカオトロピック試薬の組み合わせにより、DNAとシリカが脱水され、多孔質シリカマトリクス126への吸着が促進される。その後、洗浄バッファーの吸引および分注サイクル(2〜3回)によってマトリクス126から不純物を除去する。この時点で、フィルターマトリクス126と結合した核酸を含むフィルターチップ124を、別の機会にさらに分析するために密封容器120に保存することができる。またその代わりに、以下にさらに記載するように、結合した核酸を、適切な溶離バッファーを用いてフィルターチップから溶離することができる。
核酸は、特に他の安定化剤を用いることなく脱水条件下で保存されるとき、シリカを含む固形支持体上で非常に安定であることが示されている。したがって本願は、他の態様において、フィルターチップ124が適切なホールディングチューブ212(50mLコニカルチューブなど)のキャップ208の下面と着接するよう、チューブキャップ208の上面に着接したルアーロックアダプター204を含む、一回使用ディスポーザブル輸送用デバイス200の形態での輸送を目的とした、精製された核酸を安定化させるための手段を提供する(図6)。
図2に示すように、使用(すなわち分析用核酸の溶離)の前に、キャップ208と着接したフィルターチップ124はホールディングチューブ212から抜去され、シリンジ176に着接される。この場合ユーザーは、チューブキャップ208上で支持しながら、ルアーロックアダプター204を介してフィルターチップ124を容易に挿入および抜去することが可能であり、その結果ホールディングチューブ212がユーザーとフィルターチップ124を汚染から遮蔽する。この連続操作が完了したならば、核酸が結合した多孔質シリカフィルターマトリクス126を乾燥させ、キャップ付きフィルターチップ124を空のホールディングチューブ212に螺嵌して輸送する。輸送中、ホールディングチューブ212はフィルターチップを汚染から保護する。安定化した核酸は、後で溶離バッファーを用いて再水和し、診療所で用いたものと同様の自動化システムを用いるか単純にディスポーザブルシリンジ176を用いて、保存チューブ内に溶離して長期間凍結保存するか、または検出測定デバイスまたはサンプルチューブに直接溶離することができる。後者の場合、シリンジ176はシリカマトリクス126を横断する溶離バッファーの吸引および分注サイクルのメカニズムの役割を果たす。
分子分析に備え、溶離バッファーの吸引および分注サイクル(2〜3回)により結合した不純物をマトリクス126から除去する。プロセスが完了すると、PCRに適したバッファー内に精製された核酸が得られる。この手法はフォーマットについての柔軟性を可能とし、その結果高スループット用途の液状物操作システムと共に、または低スループット用途の単純なピペットチップと共に用いることができる。
図7は、喀痰からの核酸のMagVor/フィルターチップ精製を目的とした典型的な連続ステップを示す。サンプル容器でMTBを含有すると疑われる喀痰サンプルを採取する。不活化剤と粘液溶解剤を含む化学試薬混合物を添加する(ステップ1)。次にサンプル容器を抽出スタンド(またはラック)に載置し、サンプル内容物を磁気誘導による渦動攪拌(MagVor)に2〜15分間、好ましくは10分間付す(ステップ2)。細胞の溶解後、ビーズを1〜2分間沈殿させ、容器に結合バッファーを加える(ステップ3)。ユーザーは、フィルターチップを図6のチューブキャップ/ルアーロックアダプターの下側に着接し、ルアーロック接続を用いて、シリンジをチューブキャップ/ルアーロックアダプターの上面に接続する(ステップ4)。ユーザーは、フィルターチップをキャップオーバーから容器内に貫通させ、細胞溶解液をチップ内に引き入れ、シリンジレバーを上下動させてフィルターマトリクスを2〜3回通過させ、フィルターマトリクスとの結合を促進し、これにより未結合の部分はチューブ内に戻される(ステップ4)。この結合ステップの後、サンプル容器は洗浄試薬を収容する新しいチューブと交換し、さらにフィルターマトリクスを洗浄バッファーで洗浄し、これをチューブに捕集する(ステップ5)。洗浄ステップの後、チューブを液状物から引き上げる。一部の実施形態においては、フィルターマトリクスを通過させて空気を分注することによりフィルターチップをさらに乾燥させる(ステップ6)。一部の実施形態においては、残留洗浄試薬を減少させるため空気乾燥を数ラウンド実施する。ユーザーは、その後フィルターチップ/キャップアダプターをシリンジから脱着し、乾燥剤の入った新しいホールディングチューブにフィルターチップを戻し、フィルターチップ/キャップアダプターとホールディングチューブを接続して保存する(ステップ7)。フィルターチップ内の核酸は輸送に対して安定であり、あるいはPCR分析などを目的としてフィルターチップから精製した核酸を溶離することができる。核酸の溶離は、採取前に溶離バッファーをフィルターマトリクスに2〜3回通過させて遂行してもよい。
トレハロース、0.1%Triton−X−100またはDNAstable(登録商標)Plus試薬(バイオマトリカ)を溶離バッファーと共に含めるか、または溶離した核酸に添加して安定性を高めてもよい。
一部の実施形態においては、方法は、核酸を溶離し、所定の標的に特異的なプライマーで溶離した核酸を増幅し、サンプルが標的に対応する核酸を含有するか判定するステップをさらに含む。検出のための好ましい標的はMTB、Staphylococcus aureus、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus agalactiae、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfuluezae、Moraxella catarrhalis、Klebsiella pneumoniae、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Acinetobacter種、Bordetella pertussis、Neisseria meningitidis、Bacillus anthracis、Nocardia種、Actinomyces種、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumonia、Legionella種、Pneumocystis jiroveci、インフルエンザAウイルス、サイトメガロウイルスおよびリノウイルスを含むがこれに限定されない、喀痰中に確認される細菌およびウイルス病原体を含む。
本願に記載のシステム100は、MTBを1,000個/mL未満、好ましくは100個/mL未満、より好ましくは50個/mL未満、最も好ましくは10個/mL未満のレベルで検出することができる。1コロニー形成単位(cfu)が細胞10個とおおよそ等しいと仮定すると、上記のシステムは少なくとも100cfu/mL、10cfu/mL、5cfu/mL、さらには1cfu/mLの検出を提供するのに用いることができる。
しかし、全ての臨床サンプルは特異であり、粘度、粒子、粘液、表面汚染物質、微生物および/またはヒト遺伝背景が1つ1つ異なることを認識すべきである。それゆえに、臨床サンプル組成の予測される多様性、および自動化フィルターチップサンプル調製プロトコルを使用する意図を前提とすると、所望の結果を達成するためにフィルターチップ手順のいくつかのステップを変更する必要がありうる。
たとえば、本願に記載のフィルターチップが比較的大きな孔径を有する一方で、サンプルホモジナイゼーションおよび液状化は、効率の高い細胞溶解およびその後のフィルターマトリクスとの結合ステップに対して非常に重要である。溶解液が均一で十分に液状化されれば、サンプルをより高い流量でフィルターチップに通過させることが可能であり、これによって全体的なサンプル処理時間が短縮される。以下の大容量血漿プロトコルに示すように、サンプル投入体積が大きいとフィルターチップによって効果的に処理することができ、これにより、投入サンプル体積についてのわずかな懸念のみで、困難なサンプルを(オンラインまたはオフラインで)完全にホモジナイズおよび液状化する機会がユーザーに提供される。
さらに、核酸結合時または溶離時の流量がより低いと、典型的には、総処理時間が犠牲となるものの、核酸の収量が高くなることを認識すべきである。DNAのせん断度は流量を遅くしても低下する。
残留有機溶媒が精製された核酸サンプルと共溶離して、下流の処理または試験を阻害するのを防ぐため、フィルターマトリクスの完全な乾燥が推奨される。フィルターチップは遠心分離または減圧濾過では乾燥しないので、乾燥ステップにおいて流量もサイクル数も最大とすることが重要である。
幾何学的配置、フィルターチップ材料およびロボティックチャネルアームとの着接法は各機器の製造者に固有であるので、液状物操作システム毎に異なるフィルターチップ構築が必要とされる。フィルターマトリクスの寸法(直径、厚さおよび孔径)は、あらゆる固相抽出技術について予測されるように、核酸結合能力(および溶離効率)と相関する。1mLフィルターチップに厚い(>4mm)マトリクスを包埋して、大容量サンプルの核酸結合能力を高め、且つ/または個別のフィルターチップフォーマット間でマトリクス結合能力を均等化できる一方で、フィルターチップの厚さと(粗溶解液の存在下での)初回結合ステップにおける流量の間にはトレードオフが存在する。したがって、大容量フィルターチップに直径の大きなマトリクスを包埋することが、自動化プロトコルの最初のステップにとって時に有利である(大容量抽出用5mLハミルトン/アコーニTruTips(登録商標)など)。しかし、液状物操作ロボットの製造者によって具体的なフィルターチップ構造が指示されると仮定すると、異なる製造者による液状物操作プラットフォーム間、または異なるフィルターチップサイズ間で、フィルターチップ核酸収率が同一となると期待するのは合理的でない。自動化フィルターチッププロトコルの臨床的評価、および市販の自動化システムとの直接比較は、他稿で詳細に報告する予定である。
Mag/Forフィルタチッププロセスは、従来法と比較して数多くの利点を有する。第1に、プロセスは自動化に適合する。第2に、フィルターマトリクスをピペットチップ内に封じ込めることによって、交叉汚染を受けにくくする。一方、スピンディスク上の繊維性シリカマトリクスは容易に破裂し、微細な粒子を放出して汚染源となる可能性がある。同様に、精製用磁気ビーズの運動性に依拠する技術も同様のリスクをもたらす。フィルターマトリクスの孔径は比較的大きいため、粘度の高いサンプルを目詰まりさせることなくマトリクスに通過させることができる。複数回の吸引および分注サイクルによって、サンプルに1回のみマトリクスを通過させる遠心分離法と比較して、標的核酸の結合の増加が可能となる。さらに、カオトロピック化学反応によって阻害物質とヌクレアーゼを除去する確立された方法が提供され、長期的に安定となりやすい。
本発明は、制限的であると解釈すべきでない以下の実施例によってさらに例示される。本願を全体で引用された全ての引用文献、特許明細書および公開特許明細書の内容、さらに図面と表は、参照文献として本願に援用する。
[実施例1]
(MagVorホモジナイゼーションと溶解)
生喀痰中のBacillus thuringiensis芽胞、Streptococcus pyogenes、およびMTBに対するMagVorシステムの有効性を、ガラスビーズ対サンプル体積v:v比1:1、総サンプル体積1mL、および30〜120秒間のMagVor溶解を用いて試験した。生喀痰からのMTB DNA抽出は、そのマイコバクテリア細胞壁および低い感染用量(菌体10個)の観点から特に困難である。溶解の有効性は、MagVor処理前後における同等の生喀痰サンプルの定量的リアルタイムPCRによって推定した。MagVor処理は、未処理サンプル(すなわち同一であるがMagVorシステムで処理されていない喀痰サンプルの一部)と比較して、核酸検出を平均で2.5サイクル(ほぼlog1)改善することが確認された。
(MagVorホモジナイゼーションと溶解)
生喀痰中のBacillus thuringiensis芽胞、Streptococcus pyogenes、およびMTBに対するMagVorシステムの有効性を、ガラスビーズ対サンプル体積v:v比1:1、総サンプル体積1mL、および30〜120秒間のMagVor溶解を用いて試験した。生喀痰からのMTB DNA抽出は、そのマイコバクテリア細胞壁および低い感染用量(菌体10個)の観点から特に困難である。溶解の有効性は、MagVor処理前後における同等の生喀痰サンプルの定量的リアルタイムPCRによって推定した。MagVor処理は、未処理サンプル(すなわち同一であるがMagVorシステムで処理されていない喀痰サンプルの一部)と比較して、核酸検出を平均で2.5サイクル(ほぼlog1)改善することが確認された。
物理的溶解キット構成要素(粒子、攪拌ディスク、コーティング)が核酸抽出および精製に干渉する度合いを検討するため、また4種類のビーズおよび3種類の磁気ディスクの分析を試み、MagVor溶解後に超微細粒子を溶液中に生成しなかった溶解ビーズおよび磁気ディスクを特定した。NPAサンプルをプールし、リアルタイムPCRで目的の標的DNAについて陰性であることを確認した後、未処理のメチシリンMRSAまたはMTB標的細胞を添加した。検体(0.5mL)を2セット処理し、5000rpmのMagVor処理で10分間溶解した。グアニジンベースの結合バッファーを用いて手動MagVor/フィルターチップ手順で核酸を精製した後、定量的リアルタイムPCR(またはRT−PCR)で分析した。ガラスビーズは容易に溶解チューブの底に沈殿し、これらの試験中DNAまたはRNAの明らかな阻害または分解は示されなかった。
表1に示すように、MagVor処理を用いるとき、処理なしの場合と比較して、特に高力価で一定したDNA回収の改善が得られた。
[実施例3]
(一体型MagVor/フィルターチッププロトタイプのキアゲン核酸精製キットに対する比較)
一体型システムの核酸溶解および精製効率を、同等のキアゲン核酸精製キットと比較して評価した。モデルサンプルの種類はNPA中のMRSA、NPS中のインフルエンザA、全血由来のヒトゲノムDNA、およびNPA中のMTBを含んだ。キアゲンキットはDNAミニキット(機械的溶解はせずプロテイナーゼKで10分間処理)、ウイルスRNAミニキット(機械的溶解はせずRNAキャリアーを使用)およびミニ血液キット(プロテイナーゼKで10分間インキュベート)を含んだ。キアゲンにはMTB抽出に特化したキットがないため、BD GeneOhm溶解キットをキアゲンミニDNA抽出キットと併用した。BD溶解およびキアゲンキットには投入サンプル容量の制限もあったので、NPAおよびNPSサンプルは体積200μLで処理し、全血は体積100、10および1μLで処理した。反復試薬プレートを調製、密封し、サンプルの種類および力価毎に処理し(1サンプルにつきn=24抽出)、精製した核酸を定量的リアルタイムPCRで分析し、平均サイクル閾値(Ct)を同等のキアゲン抽出(1サンプルにつきn=8抽出)から得られたものと比較した。各プレートを用いてポジティブおよびネガティブコントロールを実行し、交叉汚染の可能性を試験した。
(一体型MagVor/フィルターチッププロトタイプのキアゲン核酸精製キットに対する比較)
一体型システムの核酸溶解および精製効率を、同等のキアゲン核酸精製キットと比較して評価した。モデルサンプルの種類はNPA中のMRSA、NPS中のインフルエンザA、全血由来のヒトゲノムDNA、およびNPA中のMTBを含んだ。キアゲンキットはDNAミニキット(機械的溶解はせずプロテイナーゼKで10分間処理)、ウイルスRNAミニキット(機械的溶解はせずRNAキャリアーを使用)およびミニ血液キット(プロテイナーゼKで10分間インキュベート)を含んだ。キアゲンにはMTB抽出に特化したキットがないため、BD GeneOhm溶解キットをキアゲンミニDNA抽出キットと併用した。BD溶解およびキアゲンキットには投入サンプル容量の制限もあったので、NPAおよびNPSサンプルは体積200μLで処理し、全血は体積100、10および1μLで処理した。反復試薬プレートを調製、密封し、サンプルの種類および力価毎に処理し(1サンプルにつきn=24抽出)、精製した核酸を定量的リアルタイムPCRで分析し、平均サイクル閾値(Ct)を同等のキアゲン抽出(1サンプルにつきn=8抽出)から得られたものと比較した。各プレートを用いてポジティブおよびネガティブコントロールを実行し、交叉汚染の可能性を試験した。
この分析の結果を表2にまとめ、キアゲンキットに匹敵する性能および有効性を立証した。NPA中のMRSAおよびNPS中のインフルエンザAの検出の限界は、両システムとも菌体またはビリオン約103個/mLであった。ヒトDNAは全血1μLから容易に回収され、テンプレートコントロールは核酸交叉汚染のエビデンスを示さなかった。これらのデータより、市販の高品質サンプル調製キットと比較して、一体型サンプル調製プロトタイプの拡張性および有効性が立証される。
[実施例4]
(喀痰液状化)
マイコバクテリア培養に付される検体の大半は、マイコバクテリアよりも迅速に増殖することのできる多様な微生物に汚染されているので、典型的には、呼吸器検体は分析前に消化除染前処理に付される。したがってマイコバクテリアは、最適には、ムチンおよび細胞に捕捉されたマイコバクテリアを放出させながら、汚染細菌を低減または除去する手順の使用により臨床検体から回収される。
(喀痰液状化)
マイコバクテリア培養に付される検体の大半は、マイコバクテリアよりも迅速に増殖することのできる多様な微生物に汚染されているので、典型的には、呼吸器検体は分析前に消化除染前処理に付される。したがってマイコバクテリアは、最適には、ムチンおよび細胞に捕捉されたマイコバクテリアを放出させながら、汚染細菌を低減または除去する手順の使用により臨床検体から回収される。
NALC−NaOH沈殿は、非結核性抗酸菌(NTM)の喀痰検体を除染および消化するための標準となっている。しかし、生喀痰からのMTB DNAの抽出は、一方では喀痰の高い粘度と不均一性によって、もう一方ではMTBの破壊しにくい細胞壁のため特に困難である。DNA抽出物の輸送は、生喀痰と比較して(冷蔵輸送の点から)輸送の複雑さを低減する。NALC−NaOHは実際には消化手順であるが、その一方でNALCはその活性を速やかに消失し、毎日新鮮な試薬を再溶解する必要がある。さらに、当該手順は遠心分離を必要とし、これはさらなる複雑さと装置を付け加える。さらに、NaOH曝露によってMTB細胞死が惹起され且つDNAが分解される。
したがって、生喀痰を処理することに関心を持つユーザーにとって、代替法の役割を果たす可能性のある液状化法を開発することは興味深かった。生喀痰はサンプル容器に移し替えるのが難しい種類の検体であるので、酵素溶液を用いた単一ステップの喀痰液状化手順が開発された。生喀痰10に対して液状酵素1を添加し、56℃で15〜20分間インキュベートすることにより、不均一性が高く粘稠な喀痰検体であっても液状化されて、5〜10%グリセロールと同等の粘度となった。これらの液状化された喀痰検体は容易にピペッティングされ、溶解チューブ内の磁気ディスクの回転が止まったり、フィルターチップが詰まったりすることなく、手動MagVorおよびフィルターチッププロトコルで処理された。
[実施例5]
(生喀痰からのMTB DNAの抽出)
図5Aおよび5Bに示す自動化8チャネルプロトタイプシステムを用いて、生TB陽性喀痰からのDNA抽出の実現可能性を立証した。Truant TB蛍光染色を用いて、スメア顕微鏡検査で、個人識別不可能とした患者検体をスメア2+または4+のいずれかに判定した。スメア2+の生喀痰検体4つとスメア4+喀痰検体4つを、実施例4の液状化プロトコルにしたがって処理した後、MagVorチューブに加えた。次に、一体型MagVor/フィルターチッププロトコルを自動化抽出/精製によって実施した。IS6110qPCR分析で溶離液を分析したところ、抽出液の濃度はスメア2+で3.6±0.7pg/μg、スメア4+で49±8pg/μLと確認された。このデータより、TB陽性検体からDNAを抽出するための自動化核酸分離機器の実現可能性が裏付けられる。
(生喀痰からのMTB DNAの抽出)
図5Aおよび5Bに示す自動化8チャネルプロトタイプシステムを用いて、生TB陽性喀痰からのDNA抽出の実現可能性を立証した。Truant TB蛍光染色を用いて、スメア顕微鏡検査で、個人識別不可能とした患者検体をスメア2+または4+のいずれかに判定した。スメア2+の生喀痰検体4つとスメア4+喀痰検体4つを、実施例4の液状化プロトコルにしたがって処理した後、MagVorチューブに加えた。次に、一体型MagVor/フィルターチッププロトコルを自動化抽出/精製によって実施した。IS6110qPCR分析で溶離液を分析したところ、抽出液の濃度はスメア2+で3.6±0.7pg/μg、スメア4+で49±8pg/μLと確認された。このデータより、TB陽性検体からDNAを抽出するための自動化核酸分離機器の実現可能性が裏付けられる。
表3は、自動化MagVor/フィルターチップシステムと、手動MagVor/フィルターチップシステムを用いたMTBのリアルタイム検出を比較した連続希釈試験の結果を示す。MTB細胞をTB陰性喀痰500μLに添加して沈殿させ(NALC−NaOH処理喀痰)、このとき菌体10個は1cfu/mLとほぼ等しい。比較を目的として抗酸菌(AFB)スメア陽性およびAFBスメア陰性に対応する対応菌体レベルを含めた。
上記は、当業者に本発明を実践する方法を教示することを目的としており、本記載を読むとき当業者に明らかとなるその明白な変更および変法の全てを詳述することを意図していない。しかし、そのような明白な変更および変法の全てが、以下の請求項に定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。請求項は、文脈が反対のことを示されない限り、請求された構成要素およびステップを、そこで意図された目的を満たすのに有効な任意の順で包含することを意図している。
Claims (20)
- サンプル精製システムであって:
ハウジング;
前記ハウジング内に排置されたサンプル容器ラックであって、前記サンプル容器ラックが1つ以上のサンプル容器を保持するよう設計された前記サンプル容器ラック;
前記ハウジング内に排置されたフィルターデバイスホルダーであって、前記フィルターホルダーが目的の分子と結合するためのフィルターを含む1つ以上のフィルターデバイスを保持するよう設計された前記フィルターデバイスホルダー;および
前記サンプル容器ラックの近傍且つ外部にある円筒形磁石であって、前記ハウジング内に排置された電動モーターによって前記磁石が前記磁石の中心、長軸を中心に回転する前記円筒形磁石を含む前記サンプル精製システム。 - 請求項1に記載の前記サンプル精製システムであって、前記サンプルラック内に排置されたサンプル容器をさらに含み、前記サンプル容器がサンプル懸濁液、マグネティックスターラー、および複数のビーズを含む、前記サンプル精製システム。
- 請求項1に記載の前記サンプル精製システムであって、前記ハウジング内に排置された1つ以上の試薬ラックをさらに含み、前記試薬ラックが各ラック内で個別に、密封された容器に保存された複数の試薬を含む、前記サンプル精製システム。
- 請求項1に記載の前記サンプル精製システムであって、自動化ピペッティングシステムをさらに含む前記サンプル精製システム。
- 請求項4に記載の前記サンプル精製システムであって、所定の様式で前記1つ以上のサンプル容器に試薬を自動的に分注し且つサンプル材料および試薬を廃棄するよう設計された1つ以上のロボティックアームをさらに含む前記サンプル精製システム。
- 請求項5に記載の前記サンプル精製システムであって、前記システムが複数のサンプル容器、前記複数のフィルターチップおよび1つ以上の試薬ラックをさらに含む前記サンプル精製システム。
- 請求項1に記載の前記サンプル精製システムであって、前記円筒形磁石が前記磁石の長軸に沿って且つこれを中心として対称に排置された磁極を有する前記サンプル精製システム。
- 請求項1に記載の前記サンプル精製システムであって、前記円筒形磁石が前記磁石の長軸の対側端に排置された対磁極を有する前記サンプル精製システム。
- 請求項2に記載の前記サンプル精製システムであって、前記ビーズが10〜1000μmの範囲内の直径を有するシリカビーズである前記サンプル精製システム。
- 請求項2に記載の前記サンプル精製システムであって、前記マグネティックスターラーがポリマーでコーティングされた合金コアを含む前記サンプル精製システム。
- 請求項10に記載の前記サンプル精製システムであって、前記合金コアがネオジム鉄ホウ素またはサマリウムコバルトを含み且つ前記ポリマーがPTEEまたはパリレンである前記サンプル精製システム。
- 請求項1に記載の前記サンプル精製システムを用いてサンプルから目的の分子を精製するための方法であって:
液状サンプル懸濁液、マグネティックスターラーおよび細胞溶解ビーズを収容するサンプルチューブをサンプルラックに載置すること;
前記マグネティックスターラーおよび細胞溶解ビーズの存在下で前記サンプル懸濁液中の細胞を溶解するのに十分なスピードで前記円筒形磁石を回転させることにより前記サンプル懸濁液をホモジナイズすること;
フィルターデバイスが前記フィルターデバイスホルダーに装着される、前記の目的の分子がフィルターマトリクスと結合する条件下で、前記フィルターマトリクスを含む前記フィルターデバイスを経て前記のホモジナイズされたサンプル懸濁液を流すこと;
前記フィルターマトリクスを洗浄すること;および
結合した目的の分子を前記フィルターマトリクスから溶離することを含む前記方法。 - 請求項12に記載の前記方法であって、前記サンプルチューブがマグネティックスターラー、細胞溶解ビーズ、細胞溶解を促進する試薬および前記目的の分子の完全性を保持する試薬からなる群から選択される1つ以上の品目と共に事前包装される前記方法。
- 請求項12に記載の前記方法であって、前記の目的の分子が核酸である前記方法。
- 請求項14に記載の前記方法であって、前記液状サンプル懸濁液が喀痰を含む前記方法。
- 請求項15に記載の前記方法であって、前記の溶離した核酸をMycobacterium tuberculosisに特異的なプライマーで増幅し且つ前記核酸がMycobacterium tuberculosis DNAを含むか判定するステップをさらに含む前記方法。
- サンプルから核酸を精製するための方法であって:
サンプルチューブが液状サンプル懸濁液、マグネティックスターラーおよび細胞溶解ビーズを収容し、サンプルラックが円筒形磁石の近傍に位置する、前記サンプルチューブを前記サンプルラックに載置すること;
前記サンプル懸濁液中の細胞を破壊して細胞溶解液を生成するのに十分な程度に各サンプルチューブ内の前記マグネティックスターラーが回転して前記細胞溶解ビーズを攪拌するよう前記円筒形磁石をその長軸を中心に回転させること;
前記細胞溶解液に由来する核酸がフィルターピペットチップのフィルターマトリクスと結合するよう前記細胞溶解液の少なくとも一部を前記ピペットチップの第1の開口部を経て流すこと:
前記フィルターチップの前記第1の開口部から流す前記ステップにおいて前記フィルターマトリクスを通過した前記細胞溶解液の未結合の部分を排出すること;
前記フィルターチップの前記第1の開口部を経て溶離バッファーを取り入れ、前記フィルターマトリクスを経て前記溶離バッファーを流し、且つ前記フィルターマトリクスを経て流れた前記溶離バッファーを前記フィルターチップから前記第1の開口部を経て排出することによって前記フィルターマトリクスに結合した前記核酸を溶離することを含む前記方法。 - 請求項17に記載の前記方法であって、前記サンプルが喀痰を含む前記方法。
- 請求項17に記載の前記方法であって、前記の溶離した核酸をMycobacterium tuberculosisに特異的なプライマーで増幅し且つ前記核酸がMycobacterium tuberculosis DNAを含むか判定するステップをさらに含む前記方法。
- 請求項17に記載の前記方法であって、前記円筒形磁石が前記磁石の長軸に沿って且つこれを中心として対称に排置された磁極を有する前記方法。
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