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JP2018519829A - 1,3−ブタンジオールの産生のための方法および微生物 - Google Patents

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JP2018519829A JP2017567799A JP2017567799A JP2018519829A JP 2018519829 A JP2018519829 A JP 2018519829A JP 2017567799 A JP2017567799 A JP 2017567799A JP 2017567799 A JP2017567799 A JP 2017567799A JP 2018519829 A JP2018519829 A JP 2018519829A
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ガバニング カウンシル オブ ザ ユニバーシティ オブ トロント
ガバニング カウンシル オブ ザ ユニバーシティ オブ トロント
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Abstract

1,3−BDO経路を有する非天然由来微生物が提供される。当該微生物は1,3−BDO経路酵素として、2つのアセトアルデヒドの縮合を触媒して3−ヒドロキシブタナールを産生するアルドラーゼ、および3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに還元するアルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼの少なくとも1種類を発現する。当該微生物はさらにアセトアルデヒドを産生するために少なくとも1種類の酵素を発現し得る。生合成工程は、アルドラーゼ系の酵素を用いて2つのアセトアルデヒド分子を3−ヒドロキシブタナールに縮合し、アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼ系に属する酵素を用いて3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに選択的に還元することを含む。当該工程はさらに、生合成法によってアセトアルデヒドを産生することを含むことができる。
【選択図】図2

Description

本出願は、米国特許出願第62/195,011号の優先権を主張する。
本出願は、42種の配列を含む配列リストをその説明の一部として含み、本出願とともに電子形式で出願され、この配列リストはその全体が本出願に組み込まれる。
本開示は、1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)を含む、有機化合物の産生のための生合成工程に関する。
1,3−ブタンジオールは、約220億米ドルの年間世界市場を有する一般的なコモディティケミカルである1,3−ブタジエンの前駆体として使用することができる。1,3−ブタジエンはゴム、ラテックス、レジン、およびプラスチックを製造するために使用される重要な基本成分である。現在、1,3−ブタジエンは石油ベースの工程を用いて産生される。最近、主に1,3−ブタンジオールから触媒によって1,3−ブタジエンを産生することが契機となって、バイオテクノロジーによる経路を用いて1,3−ブタンジオールを製造することに大きな興味が集まっている。1,3−ブタジエンの前駆体であることに加えて、1,3−ブタンジオールは化粧品および医薬品における適応が発見されている。(R)−1,3−ブタンジオールのような1,3−ブタンジオールの高光学的純度型を使用して、フェロモン、芳香剤、および殺虫剤のような高価値な化合物を合成することができる。1,3−ブタンジオール産生のための技術が継続して求められている。
一つの態様では、1,3−BDO経路を有する非天然由来微生物が提供される。微生物は1,3−BDO経路酵素として、2つのアセトアルデヒドの縮合を触媒して3−ヒドロキシブタナールを生成するアルドラーゼ、および3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに還元するアルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼの少なくとも1種類を含む。微生物は1,3−BDO経路由来の酵素をコードする少なくとも1種類の外因性核酸を有する。
一つの実施形態では、非天然由来微生物は、1,3−BDO経路由来の酵素をコードする、または1,3−BDO経路由来の酵素の発現に影響を及ぼす、内因性核酸に少なくとも1つの改変を含む。
一つの実施形態では、微生物はアルドラーゼをコードする外因性核酸を有する。一つの実施形態では、外因性核酸はSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチド配列を含む。一つの実施形態では、アルドラーゼはデオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)である。一つの実施形態では、アルドラーゼはSEQ ID NO:15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24のアミノ酸配列またはそれらの活性フラグメントもしくはホモログを含む。一つの実施形態では、アルドラーゼ酵素は酵素の活性部位に保存アミノ酸残基であるリジン167、リジン201、アスパラギン酸16、およびアスパラギン酸102を含み、ここで各残基に付与された数字は、SEQ ID NO:20の大腸菌DERAのアミノ酸配列における残基番号を意味する。
一つの実施形態では、微生物はアルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼをコードする外因性核酸を含む。一つの実施形態では、微生物はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含むアルド−ケトレダクターゼを発現する。一つの実施形態では、アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼは、NADP結合ポケットおよび活性部位に保存残基であるArg214、Arg227、Arg281、Gln285、Gly279、Arg208を含み、ここで2番目の数字はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基を意味する。一つの実施形態では、外因性核酸はSEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を含む。
一つの実施形態では、非天然由来微生物はさらに、ピルビン酸を脱炭酸化してアセトアルデヒドと二酸化炭素を生じることができるデカルボキシラーゼを含む。様々な実施形態では、デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含み得るピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含み得るベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(BFD)、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含み得るα−ケト酸デカルボキシラーゼ(KDC)を含む。微生物は表3に示す酵素を代替または追加で発現し得る。
一つの実施形態では、ピルビン酸を利用する酵素をコードする1つ以上の遺伝子は、野生型と比べて非天然由来微生物から欠失される。一つの実施形態では、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、またはピルビン酸ギ酸リアーゼをコードする1つ以上の遺伝子は、野生型と比べて非天然由来微生物から欠失される。
また、1,3−BDOを産生するための方法が提供され、本明細書で説明される微生物を、1,3−BDOを産生する条件下で十分な期間培養することを含む。一つの実施形態では、この方法はほとんど嫌気的な培養培地で実施される。
また、生合成工程が提供され、2つのアセトアルデヒド分子を3−ヒドロキシブタナールにアルドラーゼ系の酵素を用いて縮合し、アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼ系に属する酵素を用いて3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに選択的に還元することを含む。一つの実施形態では、本工程はさらに生合成法によってアセトアルデヒドを産生することを含む。一つの実施形態では、本工程はさらにピルビン酸を脱炭酸化してアセトアルデヒドを得ることを含む。
また、高光学的純度な(R)−1,3−BDOを産生する方法が提供され、本明細書で説明される非天然由来微生物を培養する、または本明細書で説明される生合成工程を実施することを含む。
本発明の一つの態様によるアセトアルデヒドの1,3−BDOへの転化の図式を示す図である。 遺伝子改変大腸菌によって実施され得る、グルコースを用いた1,3−ブタンジオール産生の合成経路を示す図である。 発酵を用いて1,3−BDOを産生するための5種の公開された経路を図式的に示す図である。 MAFFTを用いた15種類のDERA(デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ)酵素の多重配列アラインメントを図式的に示す図である。BLOSUM62マトリックスを使用した。DERAのリン酸結合ポケットにある5残基を枠によって強調し、TM1559およびEC1535に対する比較に基づいている。これらの残基はサーモトガ・マリティマ(TM1559)由来のDERAに認められるものに保存されているが、大腸菌(EC1535)由来のDERAとは異なる。 MAFFTを用いた15種類のDERA酵素の多重配列アラインメントを図式的に示す図である。BLOSUM62マトリックスを使用した。活性部位にあり、ドナーであるアセトアルデヒドとともに必要とされるシッフ塩基化中間体を形成する役割を果たす4残基を枠によって強調し、TM1559およびEC1535に対する比較に基づいている。これらの残基はすべてのDERA酵素で厳密に保存されている(グリシン残基を有するTM1559以外のすべての配列で保存されているD16を除く(数字はEC1535配列を意味する))。 アルド−ケトレダクターゼの多重配列アラインメントを図式的に示す図である。 3種類のデカルボキシラーゼの多重配列アラインメントを図式的に示す図である。 アセトアルデヒドアルドール縮合について、それぞれ異なる種由来の10種類のアルドラーゼをスクリーニングした結果を示す図である。比活性は、各酵素を0.8mg含む反応混合物における5時間かけたアセトアルデヒド縮合での変化から測定した。スクリーニングしたアルドラーゼには、大腸菌(EC1535)、バチルス・セレウス(BCE1975)、バチルス・ハロデュランス(BH1352)、およびバチルス・スブチリス(BSU3938)由来のDERAを含む。
本開示は、アセトアルデヒドを1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)に転化する新規生化学経路に含まれる酵素をコードする遺伝子を発現することによって工学処理された非天然由来微生物を説明する。本開示はまた、1,3−BDO産生経路の能力を改善するために使用することができる追加の遺伝子改変を説明する。遺伝子改変は、発現系を最適化に向かわすことができるか、または非天然微生物にとって収量、力価、および生産性を含む産生指標の改善のためのものであることができる。さらに、遺伝子改変は、限定されないが、原料に認められる阻害物質に対する耐性、生成物耐性、浸透圧耐性、および効率的な生成物分泌を含む非天然微生物特性を改善することを目的とすることができる。
定義
本明細書で使用されるとき、用語1,3−BDOは1,3−ブタンジオールを意味するために使用され、ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、1,3−ジヒドロキシブタン、および(R)−1,3−ブタンジオールまたは(S)−1,3−ブタンジオールのいずれかの高光学的純度型としても知られている。
本明細書で説明されるとき、用語3−HBおよび3HBは3−ヒドロキシブタナールを意味するために交換可能で使用されており、3−ヒドロキシブチルアルデヒド、ヒドロキシブチルアルデヒド、および(R)−3−ヒドロキシブタナールまたは(S)−3−ヒドロキシブタナールとしての高光学的純度型としても知られている。
本明細書で使用されるとき、用語DERAはアルドラーゼ系に属する酵素デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼを意味し、用語AKRはアルド−ケトレダクターゼ系を意味し、用語ADHは酵素アルコールデヒドロゲナーゼを意味し、用語PDCは酵素ピルビン酸デカルボキシラーゼを意味し、用語BFDは酵素ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼを意味し、用語KDCは酵素α−ケト酸デカルボキシラーゼを意味する。
本明細書で使用されるとき、「酵素」は生化学反応を触媒することができる細胞によって産生されるタンパク質を含む。さらに、文脈に他に記載がない限り、本明細書で使用されるとき「酵素」は関連触媒活性を維持するタンパク質フラグメントを含み、関連触媒活性を維持するように合成された人工的酵素を含み得る。
酵素または(ポリ)ペプチドと関連する表現「由来」は、酵素または(ポリ)ペプチドが(微)生物から分離された、またはこれが(微)生物などから分離もしくは特徴付けられた酵素もしくは(ポリ)ペプチドのアミノ酸配列のすべてもしくは生物学的に活性な部分を含むことを意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「微生物」は、顕微鏡的な微細細胞として存在するいずれかの生物を意味することが意図され、原核もしくは真核細胞、または顕微鏡的な微細サイズを有する生物を包含し、すべての種の細菌、古細菌、および真正細菌、ならびに酵母および真菌のような真核微生物を含む。本用語はまた、生化学物質の産生のために培養することができるあらゆる種(例えば、植物および哺乳動物細胞を含む)の細胞培養を含む。
本明細書で使用されるとき、用語「非天然由来」は、微生物に関して使用される場合、対照とされた種の野生型株を含む、対照とされた種の自然発生株に通常認められない少なくとも1つの遺伝子変異を有する微生物を意味する。遺伝子変異は、例えば、代謝性ポリペプチドをコードする発現可能な核酸、他の核酸付加、核酸欠失、および/または微生物遺伝子物質の他の機能的な崩壊を導入する改変を含む。このような改変は、例えば、参照とされた種に対して異種、同種、または異種および同種両方のポリペプチドのコード領域およびこの機能的フラグメントを含む。さらなる改変には、例えば、改変が遺伝子またはオペロンの発現を変える非コード調節領域を含む。
用語「内因性」はホスト微生物を起源とする対照となる分子または活性を意味する。同様に、本用語はコーディング核酸の発現の対照として使用されるとき、微生物内に含まれるコーディング核酸の発現を意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「外因性」はホスト微生物に導入される分子または活性を意味する。分子は、例えば、ホスト染色体への統合などによって、またはプラスミドのような非染色体遺伝子材料として、ホスト遺伝子材料へのコーディング核酸導入によって導入することができる。コーディング核酸の発現に関して、本用語は発現可能な形態におけるコーディング核酸の微生物への導入を意味する。生合成活性に関して使用されるとき、本用語は対照ホスト生物に導入される活性を意味する。供給源は、例えばホスト微生物への導入後に活性を発現するコーディング核酸であることができる。
本明細書で使用されるとき、「ホモログ」は機能的に同等である、すなわち特定された配列識別番号のアミノ酸配列を有する酵素と同じ酵素活性を有するが、アミノ酸配列に限定された数のアミノ酸置換、欠失、挿入、または付加を有し得るタンパク質を意味する。タンパク質の機能を維持するため、置換は保存的置換であり得、アミノ酸を同様な特性を有するもので置換する。
様々な態様では、各酵素のホモログは、酵素に相当するSEQ ID NOのアミノ酸配列と、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を有し、酵素活性を維持するタンパク質を意味する。配列同一性を判断するためのアルゴリズムは、公開により利用可能であり、例えば国立生物工学情報センター(NCBI)を通して利用可能であるBLASTを含む。当業者は、配列が相同性を示し、そのため類似または同一機能を示すほど類似しているかどうか判断することができる。
当業者は、部位特異的変異のような方法を用いて、本明細書で開示されるヌクレオチド配列からなる酵素のDNAに置換、欠失、挿入、および/または付加を適切に導入することによって、各酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを得ることができる(Nucleic Acid Res.10,pp.6487(1982)、Methods in Enzymol.100,pp.448(1983)、Molecular Cloning 2nd Edt.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、PCR A Practical Approach IRL Press pp.200(1991))。各酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドをホストに導入して発現させてホモログを得ることができる。
本明細書で説明されるそれぞれの酵素は、この酵素と機能的に同等な活性を保持する限り、追加アミノ酸配列を結合することができる。前述のように、各酵素またはそのホモログは、この酵素と機能的に同等な活性を保持する限り、(ポリ)ペプチドフラグメントであることができると理解される。
用語「異種の」は、対照とする種以外の供給源由来の分子または活性を意味し、一方、「同種」はホスト微生物由来の分子または活性を意味する。従って、本発明のコーディング核酸の外因性発現は、異種または同種のコード核酸のいずれかまたは両方を使用することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「操作によって連結された」は、1種類以上の発現制御配列と発現されるポリヌクレオチドにおけるコード領域の間の連結を意味し、このような方法では、発現が発現制御配列と両立できる条件下で達成される。
1,3−BDOはポリエステル可塑剤の製造における中間体として使用され、また、食品工業および化粧品工業適用での香料用の溶媒としての使用が発見されている。さらに、光学的に純粋な(R)−1,3−BDOは、フェロモン、芳香剤、および殺虫剤のような様々な光学的に活性な化合物の合成に使用され、ペネム系およびカルバペネム系抗生物質の合成用中間体である[Zheng,R.−C.,Ge,Z.,Qiu,Z.−K.,Wang,Y.−S.&Zheng,Y.−G.Asymmetric synthesis of (R)−1,3−butanediol from 4−hydroxy−2−butanone by a newly isolated strain Candida krusei ZJB−09162(新規分離株カンジダ・クルセイZJB−09162による4−ヒドロキシ−2−ブタノンからの(R)−1,3−ブタンジオールの不斉合成).Applied microbiology and biotechnology 94,969−76(2012)]。
1,3−BDOはバイオテクノロジー経路を用いて産生され得、主に触媒による1,3−BDOから1,3−ブタジエンの生成が契機となっている[Burgard,A.P.,Burk,M.J.&Pharkya,P.Methods and organisms for converting synthesis gas or other gaseous carbon sources and methanol to 1 3 butanediol(合成ガスまたは他のガス炭素源およびメタノールを1 3 ブタンジオールに転化するための方法および生物).(2011)]。1,3−ブタジエンは、220億米ドルを超える可能性がある市場を有する基本成分のケミカルであり、ゴム、ラテックス、およびレジン、ならびにこれらの1種類以上を含む物品、例えばタイヤを製造するのに使用され得る。成分または中間体として1,3−BDOを用いて製造される製品の非限定例には、有機溶媒、ポリウレタンレジン、ポリエステルレジン、および低血糖剤が含まれる。従って、いくつかの実施形態では、成分として本明細書で説明される工程に従って調製される1,3−BDOを有する、または中間体として本明細書で説明される工程に従って調製される1,3−BDOを用いて製造される、有機溶媒、ポリウレタンレジン、ポリエステルレジン、および低血糖剤が提供される。
一つの態様では、前駆体としてアセトアルデヒドを使用した酵素的な変換を用いて1,3−BDOを産生するための新規経路が提供される。
一つの態様では、アルドラーゼ系の酵素を用いた2つのアルデヒド分子の3−ヒドロキシブタナールへの縮合、およびアルド−ケトレダクターゼ/オキシドレダクターゼ/アルデヒドレダクターゼ/アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.a)系に属する酵素を用いた3−ヒドロキシブタナールの1,3−BDOへの選択的還元を含む経路が開示される。図1はこの経路の図式を示す。
別の態様では、後述の1つ以上の経路によるアセトアルデヒドの産生、アルドラーゼ系の酵素を用いた2つのアセトアルデヒド分子の3−ヒドロキシブタナールへの縮合、およびアルド−ケトレダクターゼ/オキシドレダクターゼ/アルデヒドレダクターゼ/アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.a)系に属する酵素を用いた3−ヒドロキシブタナールの1,3−BDOへの選択的還元を含む経路が開示される。図2を参照する。
いくつかの実施形態では、新規経路から産生される中間体3−ヒドロキシブタナールはエナンチオマー過剰である。
いくつかの実施形態では、過剰に産生される3−ヒドロキシブタナールのエナンチオマーは(R)−3−ヒドロキシブタナールである。
いくつかの実施形態では、新規経路から産生される1,3−BDOはエナンチオマー過剰である。
いくつかの実施形態では、過剰に産生される1,3−BDOのエナンチオマーは(R)−1,3−BDOである。
公開されている多段階経路が少なくとも4〜5段階を必要とするのに対して、1,3−BDO産生用の異種酵素によって触媒されるそれぞれは(図3はこのような経路の例を示す)、経路が短く、1,3−BDOの合成に2つの簡単な酵素触媒段階のみを必要とする。さらに、過去に報告されている経路のほとんどは、アラニン、4−ヒドロキシブチリル−CoAなどのような合成が難しい前駆体を使用する。前駆体アセトアルデヒドは、既に大腸菌とサッカロマイセス・セレビシエの両方の中心炭素代謝に存在するように、高いフラックスを簡単に達成する利点がある。
一つの態様では、本明細書で説明されるアルドラーゼ酵素を用いて2つのアルデヒド分子を縮合することを含む、縮合することからなる、または縮合することから基本的になる工程が開示される。
アルドラーゼは求核性供与体の求電子性アルデヒド受容体への立体制御された付加によってアルドール縮合を触媒する。機構的な要求事項によって、アルドラーゼは求核性供与体成分に極めて特異的であるが、受容体範囲に広い適応性を示す。そのためアルドラーゼは求核性供与体に基づいて分類される。アルドラーゼの異なる系統は、1)アセトアルデヒド依存性アルドラーゼ、2)ピルビン酸/ホスホエノールピルビン酸依存性アルドラーゼ、3)ジヒドロキシアセトンリン酸/ジヒドロキシアセトン依存性アルドラーゼ、および4)グリシン依存性アルドラーゼである。
いくつかの実施形態では、アルドラーゼはアセトアルデヒド依存性アルドラーゼであり得る。
いくつかの実施形態では、アルデヒドは供与体または受容体であり得る。
いくつかの実施形態では、供与体はアセトアルデヒド(エタナール)、プロパナール、2−メチルプロパナール、メチルグリオキサール、ラクトアルデヒド、グリコールアルデヒド、またはアクロレインを含み得る。
いくつかの実施形態では、供与体はピルビン酸、プロパノン(アセトン)、グリオキシル酸、または3−プロパノールを含む非アルデヒドであり得る。
いくつかの実施形態では、受容体はアセトアルデヒド(エタナール)、プロパナール、ブタナール、イソブタナール、2−メチル−1−ブタナール、3−メチル−1−ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、3−メチル−1−ペンタナール、4−メチル−1−ペンタナール、コハク酸セミアルデヒド、ラクトアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリセルアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド、シンナムアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、メチルグリオキサール、アクロレイン、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、マロンジアルデヒド、マロン酸セミアルデヒド(3−オキソプロピオン酸)、ムコン酸セミアルデヒド、または2−ヒドロキシムコン酸セミアルデヒドの1種類以上を含み得る。
前述のように、2つのアセトアルデヒド分子の3−ヒドロキシブタナールへの縮合は、アルドラーゼ系の酵素を用いて実施し得る。一つの実施形態では、アルドラーゼ系の酵素は、デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)(EC 4.1.2.4)である。
いくつかの実施形態では、DERA酵素は共有結合シッフ塩基中間体を形成するクラスIアルドラーゼ系として説明することができる。すべての試験した構造において、DERAは従来の8ブレードTIMバレルフォルドを形成している。DERAの多量体化状態は、生物の温度に依存していると思われる。例えば、大腸菌由来のDERAはホモダイマーであるが、サーモトガ・マリティマ由来のDERAはホモテトラマーである。多量体化度は、触媒反応に影響しないと考えられるが、様々な条件下における安定性に影響し得る。
一つの態様では、本明細書で説明されるDERAは、バチルス属、エシェリキア属、サーモトガ属、デイノコッカス属、リステリア属、ブドウ球菌属、ストレプトコッカス属、およびメタノサーモバクター属の微生物に由来する。特定の実施形態では、DERAは、バチルス・ハロデュランス、バチルス・セレウス、バチルス・スブチリス、大腸菌、サーモトガ・マリティマ、デイノコッカス・ラジオデュランス、リステリア・モノサイトゲネス、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス・ニューモニエ、およびメタノサーモバクター・サームオートトロフィカス由来である。一つの態様では、本明細書で説明される工程で使用されるDERAは、SEQ ID NO:15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24のアミノ酸配列、またはそれらの活性フラグメントもしくはホモログを含む。
いくつかの実施形態では、DERAはSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチド配列を含むDNAによってコードされるアミノ酸配列を含む酵素である。
一つの態様では、アルドラーゼ酵素は酵素の活性部位に保存アミノ酸残基であるリジン167、リジン201、アスパラギン酸16.およびアスパラギン酸102を含み、ここで各残基に付与された数字は、SEQ ID NO:20の大腸菌DERAのアミノ酸配列における残基番号を意味し、SEQ ID NO:2のヌクレオチド配列におけるコドンに相当する。図4は様々なDERA酵素の多重配列アラインメントを示し、上記の主要保存残基を枠によって強調し、一方、図5は大腸菌DERAと比較したときに、最適なアセトアルデヒドアルドール縮合を付与し得るいくつかのDERA酵素における保存残基を強調している。
一つの態様では、Pfamデータベース[Finn R.D.et al.,Pfam:the protein families database(タンパク質ファミリーデータベース)Nucl.Acids Res.(1 January 2014)42(D1):D222−D230]群PF01791(DeoC/LacDファミリーアルドラーゼ)に属する酵素はデオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼを含み、またInterProファミリーIPR002915、IPR013785、IPR011343、およびIPR028581にも属する。当業者は、本明細書で説明されるDERAのホモログであるようなタンパク質のInterProおよびPfamファミリーに属するタンパク質配列を得ることができる。
3−ヒドロキシブタンアルデヒドの1,3−BDOへの還元は、適切なアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、またはアルデヒドレダクターゼを使用して、一つの実施形態ではNADHまたはNADPHであり得る補酵素と同等な還元性物質を用いて実施し得る。しかし一つの実施形態では、ADH、AKR、オキシドレダクターゼ、またはアルデヒドレダクターゼは、3−ヒドロキシブチルアルデヒドに対してかなり特異的であり、アセトアルデヒドに作用せず、これによって副産物としてのエタノール産生がほとんど回避または排除される。
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される経路酵素をコードする核酸源は特に制限されず、いずれの種も含み得、コードされた遺伝子産物は関連反応を触媒することができる。酵素は限定されないが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、バチルス・セレウス、バチルス・ハロデュランス、バチルス・スブチリス、ヘリコバクター・ピロリ、ラクトバチルス・ブレビス、緑膿菌、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・シリンガエ、ロドシュードモナス・パルストリス、サルモネラ・チフィムリウム、サッカロマイセス・セレビシエ、クロストリジウム・アセトブチリカムの種由来であり得る。表1は例示的なアルド−ケトレダクターゼ酵素を含む。
Figure 2018519829
一つの態様では、本明細書で説明される酵素はInterProスーパーファミリーのファミリーIPR023210、IPR001395、IPR018170、およびIPR020471に属することができ、β−α−βフォルドを有する酵素のアルド−ケトレダクターゼファミリーを説明しており、NADP結合モチーフを含む平行な8つのβ/αバレルを含む。
一つの態様では、選択的に3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに還元することができるアルコールデヒドロゲナーゼ、アルド−ケトレダクターゼ(AKR)、オキシドレダクターゼ、またはアルデヒドレダクターゼが提供される。一つの実施形態では、この酵素源は特に制限されていない。
一つの態様では、本明細書で説明される酵素は、NADP結合ポケットおよび活性部位における保存残基としてArg214、Arg227、Arg281、Gln285、Gly279、Arg208を含み、ここで2番目の数字はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基を示す。2種の例示的なアルド−ケトレダクターゼに保存される説明した主要残基を図6の多重配列アラインメントに示す。
一つの態様では、本明細書で説明されるアルド−ケトレダクターゼ(AKR)は、シュードモナス属の微生物由来である。一つの態様では、本明細書で示されるAKRは緑膿菌由来である。一つの態様では、本明細書で説明される工程で使用されるAKRは、SEQ ID NO:25のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む。
いくつかの実施形態では、AKRはSEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を含むDNAによってコードされるアミノ酸配列を含む酵素である。
2段階経路の開始代謝物は、共通中心代謝物であるアセトアルデヒドであるか、あるいはピルビン酸の脱炭酸によって産生され得る。
いくつかの実施形態では、アセトアルデヒドはピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)(EC 4.1.1.1)によるピルビン酸の脱炭酸によって産生され、アセトアルデヒドと二酸化炭素を生じる。S.セレビシエ由来のPDCは脂肪族2−ケト酸について幅広い基質範囲を有する。これは大腸菌で広く研究、工学処理、および発現されている[Candy,J.M.,Duggleby,R.G.,&Mattick,J.S.(1991).Expression of active yeast pyruvate decarboxylase in(活性酵母ピルビン酸デカルボキシラーゼの発現).Journal of General Microbiology,(137),5−9、Killenberg−Jabs,M.,Konig,S.,Hohmann,S.,&Hubner,G.(1996).Purification and characterisation of the pyruvate decarboxylase from a haploid strain of S.cerevisiae(S.セレビシエの一倍体株由来ピルビン酸デカルボキシラーゼの精製および特徴付け).Biological Chemistry Hoppe−Seyler,377(5),313−7]。ザイモモナス・モビリス由来のPDCも2−ケト酸について幅広い基質範囲を有し、広範に研究されて大腸菌で発現されている[Pohl,M.,Siegert,P.,Mesch,K.,Bruhn,H.,&Grotzinger,J.(1998).Active site mutants of pyruvate decarboxylase from Zymomonas mobilis(ザイモモナス・モビリス由来のピルビン酸デカルボキシラーゼの活性部位変異体).Eur.J.Biochem.,257,538−546、Candy,J.M.,Koga,J.,Nixon,P.F.,&Duggleby,R.G.(1996).The role of residues glutamate−50 and phenylalanine−496 in Zymomonas mobilis pyruvate decarboxylase(ザイモモナス・モビリスのピルビン酸デカルボキシラーゼにおけるグルタミン酸−50およびフェニルアラニン−496残基の役割).The Biochemical Journal,315,Pt 3,745−51.Conway,T.,Osman,Y.a,Konnan,J.I.,Hoffmann,E.M.,&Ingram,L.O.(1987).Promoter and nucleotide sequences of the Zymomonas mobilis pyruvate decarboxylase(ザイモモナス・モビリスのピルビン酸デカルボキシラーゼのプロモーターおよびヌクレオチド配列).Journal of Bacteriology,169(3),949−54.Siegert,P.,Mesch,K.,&Bruhn,H.(1998).Active site mutants of pyruvate decarboxylase from Zymomonas mobilis(ザイモモナス・モビリス由来ピルビン酸デカルボキシラーゼの活性部位変異体).Eur.J.Biochem.,257,538−546.]。本明細書で説明される例示的なPDCの配列識別を表2で認めることができ、ジェンバンク登録番号を用いて探索することができる。
Figure 2018519829
一つの態様では、本明細書で説明されるPDCはザイモモナス属の微生物由来である。一つの態様では、PDCはザイモモナス・モビリス由来である。一つの態様では、本明細書で説明される工程で使用されるPDCは、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列、またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む。
一つの実施形態では、PDCはSEQ ID NO:12のヌクレオチド配列を含むDNAによってコードされるアミノ酸配列を含む酵素である。
また、アセトアルデヒドの産生のためにピルビン酸に作用することが認められているピルビン酸デカルボキシラーゼには、限定されないが、シュードモナス・プチダ由来のベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(BFD)(EC 4.1.1.7)およびラクトコッカス・ラクティス由来の分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ(KDC)が含まれる[Gocke,D.,Graf,T.,Brosi,H.,Frindi−Wosch,I.,Walter,L.,Muller,M.,&Pohl,M.(2009).Comparative characterisation of thiamine diphosphate−dependent decarboxylases(チアミン二リン酸依存性デカルボキシラーゼの比較特性化).Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic,61(1−2),30−35].さらに、PDCおよびBFDの変異体は部位特異的変異によって得られており、限定されないが、PDC I472A、PDC I476F、PDC I472A/I476F、BFD A460I、BFD F464I、およびBFD A460I/F464Iを含み、アセトアルデヒド生成に向けたピルビン酸での活性も示している[Siegert,P.,McLeish,M.J.,Baumann,M.,Iding,H.,Kneen,M.M.,Kenyon,G.L.,& Pohl,M.(2005).Exchanging the substrate specificities of pyruvate decarboxylase from Zymomonas mobilis and benzoylformate decarboxylase from Pseudomonas putida(ザイモモナス・モビリス由来のピルビン酸デカルボキシラーゼおよびシュードモナス・プチダ由来のベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼの基質特異性の交換).Protein Engineering,Design & Selection:PEDS,18(7),345−57]。
一つの実施形態では、本明細書で説明されるBFDはSEQ ID NO:27、またはその活性フラグメントもしくはホモログのアミノ酸配列、およびSEQ ID NO:28のKDCのアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む。
一つの態様では、BFDはSEQ ID NO:13のヌクレオチド配列を含むDNAによってコードされるアミノ酸配列を含む酵素である。
一つの態様では、KDCはSEQ ID NO:14のヌクレオチド配列を含むDNAによってコードされるアミノ酸配列を含む酵素である。
他の実施形態では、本明細書で説明される酵素のホモログは、本明細書で説明される工程で使用され得る。図7は本明細書で説明されるPDC、BFD、およびKDCの多重配列アラインメントを示し、脱炭酸化活性に必要とされるタンパク質ドメインを強調している。
特定の実施形態では、アセトアルデヒドはPDCによるピルビン酸の脱炭酸化によって得られるが、他の実施形態では、アセトアルデヒドは下表3に示す反応経路の1つ以上によって(代替として、または追加で)得られる。
Figure 2018519829
Figure 2018519829
Figure 2018519829
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一つの実施形態では、本明細書で説明される工程は、生きた細胞によって実施される。他の実施形態では、工程は溶解した細胞、または部分的もしくはほぼ完全に精製した酵素によってインビトロで実施される。一つの実施形態では、工程は透過処理した細胞によって実施される。他の実施形態では、方法はインビトロで実施され、酵素は固定化される。異なる支持体に酵素を固定化するための手段および方法は、当業者に良く知られている。
本明細書で説明される酵素(複数可)を発現する微生物は、様々な形態で提供され得、水性溶液もしくは培養培地などにおける生きた形態、または凍結乾燥もしくは錠剤型などの「休止」形態を含む。
一つの実施形態では、本方法は経路酵素(複数可)を産生する1種類以上のホスト微生物を用いて、培養で実施される。
一つの実施形態では、2つのアセトアルデヒド分子を縮合することができる本明細書で説明されるアルドラーゼをコードする核酸分子を含むように遺伝子改変された微生物が提供される。
一つの実施形態では、1,3−BDO経路を有する非天然由来微生物が提供され、ここで微生物は1,3−BDO経路酵素として、2つのアセトアルデヒドの縮合を触媒して3−ヒドロキシブタンアルデヒドを産生するアルドラーゼ、および3−ヒドロキシブタンアルデヒドを1,3−BDOに還元するアルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼを含み、ここで微生物はこの1,3−BDO経路由来の酵素をコードする少なくとも1種類の外因性核酸を含む。一つの実施形態では、微生物はさらにピルビン酸を脱炭酸してアセトアルデヒドと二酸化炭素を生じるPDCを含む。一つの実施形態では、微生物はアセトアルデヒドを産生するために、表3で特定される酵素、またはその活性フラグメントもしくはホモログを発現する。一つの実施形態では、1つを超える、またはすべての核酸はホスト微生物に対して外因性である。
一つの実施形態では、一つの実施形態による方法で使用される微生物は、2つのアセトアルデヒド分子を3−ヒドロキシブタナールに縮合することができるアルドラーゼをコードする核酸分子を含むように遺伝子改変される微生物である。一つの実施形態では、微生物は3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに還元することができるケトレダクターゼをコードする核酸を含むように遺伝子改変される。一つの実施形態では、微生物はピルビン酸を脱炭酸化してアセトアルデヒドおよび二酸化炭素を生じることができるPDCをコードする核酸を含むように遺伝子改変される。
対照が微生物に含まれる1種類を超える外因性核酸から作製されるとき、これは対照とされたコーディング核酸または生化学的活性を意味し、ホスト生物に導入される別々の核酸の数を意味しないと理解されるべきである。当業者によって理解されるように、このような外因性核酸は、別々の核酸分子、ポリシストロニック核酸分子、またはこれらの組み合わせでホスト生物に導入され得る。例えば、異なる酵素活性をコードする2種類以上の外因性核酸がホスト生物に導入されると、この2種類以上の外因性核酸は単一核酸、例えば単一プラスミド、別々のプラスミドとして導入することができ、ホスト染色体に単一部位または複数部位で統合することができ、それでも2種類以上の外因性核酸として考えられる。
当業者に明らかなように、選択されたホスト微生物に応じて、説明される1,3−BDO経路酵素のいくつかまたはすべてにおける核酸はホスト生物に導入することができる。ホスト微生物が経路遺伝子の1種類以上を内因的に発現する場合、これらの遺伝子は、微生物が経路における酵素(複数可)をコードするこれらの核酸を欠如している場合以外、これらの遺伝子を導入する必要はない可能性がある。当業者に明らかなように、1種類以上の経路遺伝子を発現するホスト微生物が選択される場合、微生物は、酵素をコードする遺伝子が過剰発現される、および/または競合する経路の酵素またはタンパク質をコードする遺伝子が欠失され得るように工学処理され得る。
当業者にとって明らかなように、ホスト微生物は工学処理してNADHおよび/またはNADPHのコファクタープールを増加して、1,3−BDOに対する代謝フラックスを改善することができる。一つの実施形態では、大腸菌がホスト生物として使用される場合、グルコースリン酸イソメラーゼ(pgi)遺伝子を欠失させて、ペントースリン酸経路に向かうフレックスを転じてNADPHプールを増加することができる。他の戦略では、ホスト大腸菌株に対して内因性NADH依存性グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をクロストリジウム・アセトブチリカム由来の外因性NADPH依存性グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼで交換することを含み得る。別の方法では、NADHキナーゼ(Pos5P)をS.セレビシエからホスト大腸菌株に導入することができる。後者を使用して、NADPH依存性経路を通して産生される何種類かの生成物が首尾よく増加した[Lee,W.−H.,Kim,M.−D.,Jin,Y.−S.,&Seo,J.−H.(2013).Engineering of NADPH regenerators in Escherichia coli for enhanced biotransformation(増強された生体内変換のための大腸菌におけるNADPHリジェネレータの工学処理).Applied Microbiology and Biotechnology.97(7):2761−72]。
当業者にとって明らかなように、大腸菌がホスト生物として選択される場合、NADHプールは、限定されないが、アルコールデヒドロゲナーゼ(adhE)、乳酸デヒドロゲナーゼ(ldhA)、およびピルビン酸−ギ酸リアーゼ(pflB)を含むNADH依存性酵素をコードする遺伝子の欠失を通して、競合する経路を制限することによって増加することができる(図2を参照)。
当業者にとって明らかなように、細菌微小区画(BMC)はホスト株で発現されて、コファクタープールおよび経路代謝物濃度を増加、または経路中間体から生じる副産物生成を低下することができる。さらに、BMCは細胞に対する中間体アルデヒドの毒性効果を低下して、これらの揮発性性質による喪失を低下することができる[Cai,F.,Sutter,M.,Bernstein,S.L.,Kinney,J.N.,&Kerfeld,C.A.(2014).Engineering Bacterial Microcompartment Shells:Chimeric Shell Proteins and Chimeric Carboxysome Shells(細菌微小区画シェルの工学処理:キメラシェルタンパク質およびキメラカルボキシソームシェル).ACS Synth Biol.2015,4(4):444−53]。大腸菌で発現されている天然由来BMCの例には、サルモネラ・エンテリカ由来のプロパンジオール利用BMC(pdu)およびエタノールアミン利用BMC(eut)が含まれる。これらのBMCにおけるタンパク質シェルは、1,3−1,3−BDO経路酵素によって置換される内部経路を伴わずに発現され得る。
ホスト微生物は、例えば細菌、酵母、真菌、またはホスト生物として使用され得る他の様々な微生物のいずれかで産生される非天然微生物から選択することができる。
いくつかの実施形態では、細菌種は、大腸菌、バチルス・スブチリス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・セレウス、バチルス・メガテリウム、バチルス・ブレビス、バチルス・プミルス、コリネバクテリウム・グルタミカム、ザイモモナス・モビリス、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ブチリカム、クロストリジウム・クルイベリ、クロストリジウム・オートエタノゲナム、モレラ・サーモアセチカ、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・ベイジェリンキ、クロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ボツリナム、クロストリジウム・ティロブチリカム、クロストリジウム・テタノモルファム、破傷風菌、クロストリジウム・プロピオニカム、クロストリジウム・アミノブチリカム、クロストリジウム・サブターミナレ、クロストリジウム・スティクランジィ、ラルストニア・ユートロファ、ウシ結核菌、ヒト結核菌、ポルフィロモナス・ジンジバリス、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス・プチダ、緑膿菌、シュードモナス・カルボキシドボランス(オリゴトロファ・カルボキシドボランス)、シュードモナス・スタッツェリ、肺炎桿菌、クレブシエラ・オキシトカ、アネロビオスピリウム・スクシニシプロデュセンス、アクチノバチルス・スクシノジェネス、マンヘイミア・スクシニシプロデュサンス、リゾビウム・エトリ、グルコノバクター・オキシダンス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトバチルス・プランタラム、ストレプトマイシス・セリカラー、シトロバクター・フロインディ、シトロバクター・アマロナチカス、アシネトバクター・カルコアセチカス、アシネトバクター・バイリイ、サーモトガ・マリティマ、ハロバクテリウム・サリナルム、セラチア・マルセッセンス、ロドスピリルム・ルブラム、イデネオーラ種、ロドバクター・カプスラータス、メチロコッカス・カプスラタス、メチロサイナス・トリコスポリウム、メチロバクテリウム・エキストロクエンス、メチロシスチスGB25、メチロトロフス・カプスラツス、メチロモナス種16a、ピロコッカス・フリオススを含み得る。
いくつかの実施形態では、酵母または真菌は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、サッカロミコプシス・クラタゲンシス、クルイベロミセス・ラクティス、クルイベロミセス・マルキシナス、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ニガー、ピキア・スティピティス、ピキア・パストリス、リゾプス・アリズス、リゾビウス・オリゼ、ヤロウィア・リポイチカ、イサチェンキア・オリエンタリス、イサチェンキア・オケデンタリス、カンジダ・ランビカ、カンジダ・ソルボキシロサ、カンジダ・ゼプリニナ、カンジダ・ゲオチャレス、ピキア・メンブラニファシエンス、ジゴサッカロマイセス・コンブチャエンシス、カンジダ・ソルボシボランス、カンジダ・ベンダーワルティ、カンジダ・ソルボフィラ、ジゴサッカロマイセス・ビスポルス、ジゴサッカロマイセス・リンツス、サッカロマイセス・バヤヌス、サッカロマイセス・ブルデリ、デバリオマイセス・カステリイ、カンジダ・ボイディニイ、カンジダ・エシェリシイ、ピキア・ジャディニイ、ピキア・アノマラ、ペニシリウム・クリソゲナムを含み得る。
いくつかの実施形態では、シアノバクテリアは、アカリオクロリス・マリーナMBIC11017、アナベナ種PCC 7120、アナベナ・バリアビリスATCC 29413、アグメネルム・クアドルプリカツム、クロロビウム・テピダムTLS、シアノセイス種ATCC 51142、グロイオバクター・ビオラセウスPCC 7421、ミクロシスティス・エルギノーザNIES−843、ノストック・プンクチフォルメATCC 29133、プロクロロコッカス・マリヌスMED4、プロクロロコッカス・マリヌスMIT9313、プロクロロコッカス・マリヌスSS120、プロクロロコッカス・マリヌス株AS9601、プロクロロコッカス・マリヌス株MIT 9211、プロクロロコッカス・マリヌス株MIT 9215、プロクロロコッカス・マリヌス株MIT 9301、プロクロロコッカス・マリヌス株MIT 9303、プロクロロコッカス・マリヌス株MIT 9312、プロクロロコッカス・マリヌス株MIT 9515、プロクロロコッカス・マリヌス株NATL1A、プロクロロコッカス・マリヌス株NATL2A、ロドシュードモナス・パルストリスCGA009、シネココッカス・エロンガタスPCC 6301、シネココッカス・エロンガタスPCC 7942、シネココッカス種CC9311、シネココッカス種CC9605、シネココッカス種CC9902、シネココッカス種JA−2−3B、シネココッカス種JA−3−3Ab、シネココッカス種PCC 7002、シネココッカス種RCC307、シネココッカス種WH 7803、シネココッカス種WH8102、シネコシスティス種PCC 6803、サーモシネココッカス・エロンガタスBP−1、トリコデスミウム・エリスラエウムIMS101を含み得る。
いくつかの実施形態では、藻類は、ボツリオコッカス・ブラウニー、クラミドモナス・ラインハーディ、クロレラ種、クリプテコディニウム・コーニー、シリンドロテカ種、ドナリエラ・プリモレクタ、イソクリシス種、モナランスサス・サリナ、ナノクロリス種、ナノクロリプシス種、ネオクロリス・オレアバンダンス、ニッチア種、フェオダクチルム・トリコルヌムタム、シゾキトリウム種、テトラセルミス・スエイカを含み得る。
しかし、他の実施形態では、ホスト微生物は特に制限されず、当業者は酵素活性(単数または複数)を、従来技術で知られている、および/または本明細書で説明される方法を用いて、いずれかの適切なホスト生物に組み込み得る。
大腸菌およびS.セレビシエは、遺伝子工学に適した十分特性化された微生物であるため、特に有用なホスト生物である。さらに、アセトアルデヒドは大腸菌およびS.セレビシエの両方の本来の代謝物であり、両種の中央炭素代謝に存在する。
本明細書で説明される酵素をコードする核酸分子は、単独またはベクターの一部として使用することができる。核酸分子は、核酸分子に含まれるポリヌクレオチドと操作によって連結された発現制御配列を含むことができる。これらの発現制御配列は、細菌または真菌における翻訳可能なRNAの転写および合成を確実にするのに適し得る。発現は異種DNA配列の好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を意味する。真菌および細菌における発現を確実にする調節構成要素は当業者によって知られており、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル、標的化シグナルなどが含まれる。核酸分子と関連した使用のためのプロモーターは、その起源に対して、および/または発現される遺伝子に対して、同種または異種であり得る。適切なプロモーターは、例えば、それ自体が構成的発現に適しているプロモーターである。しかし、外部的な影響によって定められる時点でのみ活性化されるプロモーターも使用することができる。人工的および/または化学的に誘発可能なプロモーターも使用され得る。化学的に誘発可能なプロモーターは、限定されないが、T7もしくはPtrcのようなIPTG誘導性プロモーター、または配列が当業者によって知られているPLtetO−1のようなテトラサイクリン誘導性プロモーターを含み得る。
種々の発現系の概要は、例えば、Bitterら(Methods in Enzymology 153(1987),516−544)およびSawersら(Applied Microbiology and Biotechnology 46(1996),1−9)、Billman−Jacobe(Current Opinion in Biotechnology 7(1996),500−4)、Hockney(Trends in Biotechnology 12(1994),456−463)、Griffithら(Methods in Molecular Biology 75(1997),427−440)に含まれる。酵母発現系の概要は、例えば、Hensingら(Antonie van Leuwenhoek 67(1995),261−279)、Bussineauら(Developments in Biological Standardization 83(1994),13−19)、Gellissenら(Antonie van Leuwenhoek 62(1992),79−93)、Fleer(Current Opinion in Biotechnology 3(1992),486−496)、Vedvick(Current Opinion in Biotechnology 2(1991),742−745)、およびBuckholz(Bio/Technology 9(1991),1067−1072)によって示される。
発現ベクターは文献で広く説明されている。通常、これらは選択マーカー遺伝子および選択されたホストにおける複製を確実にする複製起点だけでなく、細菌またはウイルスプロモーター、そしてほとんどの場合に転写用の終結シグナルを含む。プロモーターと終結シグナルの間には、一般的に少なくとも1つの制限部位またはコードするDNA配列の挿入を可能にするポリリンカーが存在する。相当する遺伝子の転写を本来的に制御するDNA配列は、これが選択されたホスト生物において活性である場合、プロモーター配列として使用することができる。しかし、この配列はまた、他のプロモーター配列と交換することができる。遺伝子の構成的発現を確実にするプロモーターおよび遺伝子の発現の計画的な制御を可能にする誘導性プロモーターを使用することができる。これらの特性を有する細菌およびウイルスプロモーター配列は文献で詳細に報告されている。大腸菌およびS.セレビシエを含む微生物における発現のための調節配列は、当業者に知られている文献で報告されている。下流配列の特に高い発現を可能にするプロモーターは、例えばT7プロモーター[Studierら,Methods in Enzymology 185(1990),60−89]、lacUV5、trp、trp−lacUV5[DeBoerら,in Rodriguez and Chamberlin(Eds),Promoters,Structure and Function;Praeger,New York,(1982),462−481、DeBoerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1983),21−25]、Ip1、rac[Borosら,Gene 42(1986),97−100]である。転写の終結シグナルも文献で報告されている。
構成的プロモーターよりも高いポリペプチド収量をもたらし得る誘導性プロモーターを使用することができる。好ましくは、特定の実施形態では、2段階プロセスが使用され得、ホスト細胞は最初に最適条件下で比較的高い細胞密度まで培養され、ついで転写が誘発される。
当業者によって理解されるように、2種類以上の外因性コーディング核酸が共発現されるとき、両核酸は、例えば1つの発現ベクターまたは別々の発現ベクターに挿入され得る。単一ベクター発現では、コーディング核酸は共通発現制御配列に操作によって連結、または1つの誘導性プロモーターおよび1つの構成的プロモーターのような異なる発現制御配列に連結することができる。
一つの実施形態では、経路中間体または生成物を産生する非天然由来微生物は、下流または上流経路酵素(複数可)を発現する別の生物(または他の複数生物)と組み合わせて使用して目的の生成物を産生し得ると理解される。例えば、野生型または工学処理した生物を使用して、ピルビン酸、アセトアルデヒド、および/または3−ヒドロキシブチルアルデヒドを産生および蓄積することができる。ついでこれらの中間体を1,3−BDO経路遺伝子の1種類以上を発現する別の工学処理した生物のための基質として使用して、1,3−BDOに転化することができる。
他の実施形態では、本明細書で提供される微生物は任意に工学処理して1種類以上の副産物または代替経路を取り除くことができる。このような例示的な経路は、図2において×によって示される。一つの実施形態では、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、またはピルビン酸ギ酸リアーゼをコードする1種類以上の遺伝子がホスト微生物から欠失される。一つの実施形態では、ホスト微生物は大腸菌であり、遺伝子adhE、IdhA、およびpflBの一つまたはすべてが欠失される。大腸菌に本来的ならびにadhE、IdhA、およびpflBの1つ以上と相同的な他の遺伝子も欠失することができる。例えば、当業者は、多重配列アラインメントアルゴリズム(ClustalWなど)によって、アセトアルデヒドのアルコールへの還元を触媒するadhEと同じ機能を占有するアルデヒドレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼを特定することができる。アセトアルデヒドに活性を示す大腸菌に本来的なアルデヒドレダクターゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼは、限定されないが、下表4に示す配列データを含む。
Figure 2018519829
しかし、当業者はまた、1,3−BDO経路における中間体である3−ヒドロキシブチルアルデヒドに対する上記のアルデヒドレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼの活性を測定することができる。一つの実施形態では、3−ヒドロキシブチルアルデヒドに対する基質選択および活性を示す本明細書で説明されるアルデヒドレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼの1種類以上が、ホスト生物で過剰発現されて1,3−BDO産生を改善し得る。当業者はまた、配列同一性探索を実施して、3−ヒドロキシブチルアルデヒドに活性を示す大腸菌における本来のアルデヒドレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼに対する他の生物由来のホモログを特定することができる。
いくつかの実施形態では、1,3−BDO経路はまた副産物を生成し得、酢酸、エタノール、およびアセトインを含み得る。特定の実施形態では、これらの副産物をアセトアルデヒド前駆体に転化する経路が過剰発現される。下記(表5)は副産物、酢酸、エタノール、およびアセトインをアセトアルデヒドに転化することができる経路である。
Figure 2018519829
Figure 2018519829
一つの実施形態では、本発明の実施形態に従って使用されるピルビン酸は、再生可能な原料(グルコースなど)から産生される。一つの実施形態では、ホスト生物は糖の原料が与えられる。このような資源には、例えばグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、デンプン、およびこれらの組み合わせのような糖を含む。グルコースは様々な炭水化物含有源から得ることができ、コーン(トウモロコシ)、コムギ、ジャガイモ、キャッサバ、およびコメのような従来のバイオ再生可能資源、ならびにエネルギー作物、植物バイオマス、農業廃棄物、林業残余物、糖処理残渣、および植物由来生活廃棄物のような代替資源を含む。
炭水化物資源は再生可能な原料およびバイオマスを含み、例えばセルロースバイオマス、ヘミセルロースバイオマス、およびリグニン原料が挙げられる。他の再生可能な原料およびバイオマスは当業者によって知られている。
本発明によって使用され得るバイオ再生可能原料資源には、炭水化物源を含むいずれかの再生可能な有機物質が含まれる。これらには、例えば、草、木材(硬材および軟材)、草木、および作物残余物が含まれる。他の資源には、例えば、廃棄物(例えば、使用済みペーパー、植物廃棄物、都市廃棄物など)を含むことができる。グルコースを含めた適切な炭水化物は、従来技術によって知られている方法を用いてバイオ再生可能物質から分離し得る。例えば、Centiおよびvan Santen,Catalysis for Renewables(再生可能物質のための触媒),Wiley−VCH,Weinheim 2007、Kamm,GruberおよびKamm,Biorefineries−Industrial Processes and Products(バイオ精製所−工業処理および生成物),Wiley−VCH,Weinheim 2006、Shang−Tian Yang,Bioprocessing for Value−Added Products from Renewable Resources New Technologies and Applications(再生可能リソース新規技術および適用から得る付加価値生成物のためのバイオ処理),Elsevier B.V.2007、Furia,Starch in the Food Industry(食品工業におけるデンプン),Chapter 8,CRC Handbook of Food Additives 2nd Edition CRC Press,1973を参照する。Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology 5th Edition,John Wiley and Sons 2001におけるデンプン、糖、およびシロップに関するチャプターも参照する。デンプンをグルコースに転化する工程も従来技術で良く知られており、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Wiley−VCH 2009におけるSchenck,“Glucose and Glucose containing Syrups(グルコースおよびグルコース含有シロップ)”を参照する。さらに、セルロースをグルコースに転化する方法が従来技術で知られており、例えば、Centiおよびvan Santen,Catalysis for Renewables(再生可能物質のための触媒),Wiley−VCH,Weinheim 2007、Kamm,GruberおよびKamm,Biorefineries−Industrial Processes and Products(バイオ精製所−工業処理および生成物),Wiley−VCH,Weinheim 2006;Shang−Tian Yang,Bioprocessing for Value−Added Products from Renewable Resources New Technologies and Applications(再生可能リソース新規技術および適用から得る付加価値生成物のためのバイオ処理),Elsevier B.V.2007を参照する。
代替炭素源はバイオディーゼル産生植物から得られる粗グリセロール、廃棄ポリ乳酸の分解から得られる乳酸、乳業から得られるラクトース、またはチーズホエイ透過物、キチンが豊富な廃棄物から得られるグルコサミンであり得る。炭素源はまた、カノーラオイル、ココナツオイル、コーンオイル、オリーブオイル、パームオイル、ベニバナオイル、ピーナッツオイル、ダイズオイル、ゴマオイル、ヒマワリオイル、およびこれらの混合物のような植物または植物産物から得られる脂肪酸およびこれらのエステル(モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド)であり得る。
別の炭素源は合成ガスまたは「シンガス」であり得、主にHとCOの混合物でCOを含み得、有機または化石燃料をベースとした炭素質材のガス化産物である。
一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、およびメタン(CH)のようなC1化合物は、製鋼、オイル精製、石炭のような工業から生じる廃棄ガス、天然ガス、シェールガス、バイオガス、およびメタンハイドレートから原料として誘導され、バイオマスおよび家庭廃棄物のような持続的な資源ならびに農業廃棄物のガス化から産生される合成ガス(すなわち、シンガス)の形態であることができる。
さらなる持続可能な炭素源は、COのギ酸またはシュウ酸への電気化学的還元を用い、発酵における炭素源としてこれらの化合物を用いることによって達成することができる。
現在6種類の異なる経路が炭素固定に関して知られており、これらは還元的ペントースリン酸経路(カルビン)サイクル、還元的アセチル−CoA(ウッド−ユングダール(Wood−Ljungdahl))経路、還元的クエン酸サイクル、3−ヒドロキシプロピオン酸二サイクル、ジカルボキシレート/4−ヒドロキシブチレートサイクル、および3−ヒドロキシプロピオネート/4−ヒドロキシブチレートサイクルである[Fuchs G,2011 Alternative pathways of carbon dioxide fixation:insights into the early evolution of life?(二酸化炭素固定の代替経路:生命の初期進化への洞察?)Annual Reviews in Microbiology,65:631−658]。これらの経路に加えて、合成炭素固定経路を使用することができ、経路のマロニル−CoA−オキサロ酢酸−グリオキシル酸(MOG)ファミリーのファミリーに該当する[Bar−Evenら,Design and Analysis of synthetic carbon fixation pathways(合成炭素固定経路の設計および分析).Proceedings of National Academy of Sciences USA,2010,107:8889−8894]。
一つの実施形態では、提供される工程は発酵装置で実施され得る。
工学処理された生物は、種々の反応装置システムで培養することができ、工程は様々な操作モードで実施することができる。最も一般的に使用されるバイオリアクターは、撹拌タンクバイオリアクターまたは通気発酵装置である。発酵装置は無菌エアー供給を備え、バブル分散による撹拌が機械的な撹拌によって実行され、温度は蒸気または冷却水を循環させるジャケットまたはコイルを用いて維持し得る。通気容器では、大きい高さ/直径比(>3)を選択して、バブルと液相の間の接触時間を増加し得る。バイオリアクターの他の異なる型は、混合が機械的な撹拌を伴わずに達成されるエアリフト式バイオリアクター、および生物触媒が固定されるときに使用される充填床または流動床バイオリアクターである。
発酵は、バッチ、フェドバッチ、および連続モードの3つの異なるモードで実施することができる。標準的なバッチバイオリアクターは「閉じた」系が考えられる。バッチモードでは、すべての培地成分をバイオリアクターに、確実に無菌にして加える。培地が調製されていると、バイオリアクターを適切な接種材料で接種し、培地にいかなる変更も加えず、すなわち、いかなる追加成分も加えずに最後まで発酵を進める。しかし、酸および/または塩基のような成分を加えてpHを維持することができ、空気/酸素を加えて溶存酸素量を維持することができる。バッチ発酵では、バイオマスおよび生成物濃度は発酵が完了するまで時間経過で変化する。細胞は典型的な誘導期、対数増殖期、増殖静止期、ついで死滅期を経る。
バッチモードの変更型がフェドバッチモードであり、工程が進行すると炭素源を含む栄養素が発酵装置に加えられる。
バッチまたはフェドバッチモードに加えて、発酵の連続モードも使用することができる。連続システムはバッチモードと対照的に「開いた」系と考えられる。連続モードでは、所定の産生培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、等量のバイオリアクター内容物が同じ速度で取り除かれる。連続操作は、細胞を含む容器内容物が取り除かれるケモスタット中、または灌流培養を使用するバイオリアクター中で実施することができ、生きた細胞をバイオリアクターに戻してリサイクルすることが可能であり、高細胞密度を達成することができる。
一般的に使用される発酵装置設計および様々な操作モードが、文献において非常に良く確立されている[Biochemical Engineering Fundamentals(生物化学工学の基礎),2nd Ed.J.E.Bailey and D.F.Ollis,McGraw Hill,New York,1986、Development of Sustainable Bioprocesses:Modeling and Assessment(持続可能なバイオプロセスの開発:モデル化および評価),E.Heinzle,A.P.Biwer and C.L.Cooney,John Wiley&Sons,Ltd.,2006、Bioprocess Engineering:Basic Concepts(バイオプロセス工学:基本概念),2nd Ed.,M.L.Shuler and F.Kargi,Prentice Hall,2001]。
バッチ、フェドバッチ、または連続発酵処理が使用され得る。
一つの実施形態では、本明細書で提供される工程はほとんど嫌気的な条件で実施される。「ほとんど嫌気的」は培養または増殖条件に関して使用されるとき、一つの実施形態では、酸素の量が液体培地中の溶存酸素における飽和の約10%未満であることを意味する。一つの実施形態では、本用語は酸素が約1%未満の大気で維持される液体または固体培地の密閉チャンバーを含む。別の実施形態では、工程はほとんど好気的な条件下で実施される。本明細書で使用されるとき、用語「ほとんど好気的」は、培養または増殖条件に対して使用されるとき、一つの実施形態では、酸素の量が液体培地中の溶存酸素における飽和の約10%以上であることを意味する。一つの実施形態では、本用語は酸素が約1%を超える大気で維持される液体または固体培地の密閉チャンバーを含む。バイオリアクター内で好気的または嫌気的条件を維持するための方法は、当業者に知られている。
当業者によって理解されるように、様々な成分を培養培地に添加して、本明細書で説明される微生物の増殖および/または代謝プロセスを支持し得、例えば栄養素、pH調整剤、浸透圧保護剤を含む。
生物は、ルリアベルターニブロス、テリフィックブロス、または酵母抽出物−ペプトン−デキストロース(YPD)培地などの増殖に適したいずれかの培地中で増殖させることができる。産生のため、ホストの選択に応じて、M9最少培地、酵母合成最少培地、酵母窒素ベース、BG−11、またはこれらの変種のような合成最少培地を使用することができる。適切な最少培地は、組換え微生物を生育および維持するのに必要とされる少なくとも1種類の炭素源、少なくとも1種類の窒素源、塩、コファクター、緩衝剤、および他の成分を含まなければならない。炭素源は前述の炭素源の1種類以上であることができ、窒素源はアンモニア塩または硝酸塩であることができ、限定されないが、(NHSO、NHCl、(NHHPO、NHOH、KNO、NaNOを含む。培地は複合窒素源または有機窒素源によって補充され得、尿素、酵母抽出物、カザミノ酸、ペプトン、トリプトン、ダイズ粉末、コーンスティープリカー、またはカゼイン加水分解物などが挙げられる。さらに、最少培地には微量元素を加えることができ、限定されないが、HBO、MnCl、ZnSO、NaMoO、CuSO、Co(NO、CuCl、ZnCl、CoCl、FeCl、KIを含む。最少培地はビタミンおよび/または非ビタミン化合物が補充され得、限定されないが、ビオチン、パントテン酸、葉酸、イノシトール、ニコチン酸、p−アミノ安息香酸、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、シアノコバラミン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸第二鉄アンモニウムを含む。培地は二酸化炭素を直接的な注入、またはNaHCOもしくはNaCOの形態のいずれかで補充することができる。
使用するホスト生物に応じて、最少培地はpH2.0〜10.0のpH範囲を適切に有し得る。
発酵は25〜42℃の範囲の温度で実施され得る。選択されたホスト生物が好熱性である場合、高温が使用され得、培養温度は80℃のような高温であり得る。
発酵は好気的、微好気的、または嫌気的条件下で実施され得る。これはまた好気的増殖期および微好気的または嫌気的産生期を含む2種の異なる期のもとで実施され得る。無菌の空気または酸素を導入して、培地における所望の溶存酸素量を維持し得る。
培地における生成物の量は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー−マススペクトロメトリー(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー−マススペクトロメトリー(GC−MS)のような従来技術で知られている方法で測定することができる。
1,3−ブタンジオールの生成を測定する方法は、当業者によって知られており、さらに例3に例示される。例えば、生成物、中間体、および副産物生成は、屈折率および/またはフォトダイオードアレイ検出器(複数可)を備えたHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−マススペクトロメトリー)、GC−FID(ガスクロマトグラフィー−炎イオン化検出器)、およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−マススペクトロメトリー)のような方法によって分析することができる。外因性DNA配列由来の個別酵素活性もまた、従来技術で良く知られた方法を用いて測定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される工程は、さらに工程の生成物、例えば1,3−BDOを精製することを含む。精製のこのような方法は当業者に知られており、例えば、液体抽出、ろ過、蒸留、または蒸発を含む。発酵ブロスからの化合物の分離は、必要とされる化合物の最終純度に依存する。分離技術は、遠心分離、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、蒸発、結晶化、蒸留、およびイオン交換を含み得る。一般的な下流処理操作には、遠心分離または精密ろ過を用いた細胞の分離、限外ろ過を用いたブロスにおける付加固体の除去、ナノろ過、イオン交換、または蒸発結晶化を用いたブロスからの塩の除去、および蒸留を用いた1,3−BDOの最終精製を含む一連の工程を含む。
当業者によって理解されるように、一つの実施形態では、本明細書で説明される微生物は、生成物に相当する分泌シグナルを有するホスト生物を選択する、または同生成物を得るためにホスト生物を工学処理するいずれかによって、生じる生成物を分泌するために産生され得る。例えば、膜結合トランスポータータンパク質をホスト生物で過剰発現させて発酵ブロスにおける1,3−BDOの分泌を改善することができ、限定されないが、ピルビン酸誘導性内膜タンパク質およびタンパク質の主要ファシリテータースーパーファミリーに属する推定的トランスポーターをコードするyhjX遺伝子を含み、生成物は培養培地から回収することができる。他の実施形態では、生成物は微生物から抽出され得る。一つの方法では、微生物は破裂させることができ、培養培地または溶解物を遠心分離して微粒子細胞デブリを取り除くことができ、膜および可溶性タンパク質分画を必要に応じて分離し得る。
これらに対する多くの修正が当業者によって考えられることが理解されるであろう。従って、上記説明および付随する図面は、本発明の説明のためのものであり、限定する意味ではないと解釈されるべきである。さらに、一般的に、本発明の原理に従って本発明のいかなる変更、使用、または適応も網羅することが意図されており、本発明が関連する技術内の既知または通例の実行において生じるような、本明細書で先に示された本質的な特徴に適用され得るような、そして添付の請求項の範囲に従うような、本開示からの逸脱を含むと解釈されるべきである。
本明細書で参照されるすべての文書は参考によって組み込まれるが、本明細書に参考によって全体または一部として組み込まれているいかなる特許、公開、または他の開示材料も、組み込まれた材料が本開示で示される定義、記述、または他の開示材料と対立しない範囲でのみ援用されると理解されるべきである。このように、そして必要な範囲まで、本開示は本明細書で明白に示されるように、参考によって明細書に援用されたいかなる対立する材料よりも優先する。
上記で説明された本発明の実施形態は、例示としてのみ意図されている。従って、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によってのみ制限されることが意図されている。

本発明はさらに下記の例で説明される。示される例は本発明の説明のみであり、限定する意味はない。
本文書で示される例で構築されて使用される株およびプラスミドを下表6にリスト化する。
Figure 2018519829
例1:1,3−ブタンジオール経路のためのDERA酵素の選択
本例は、1,3−BDO経路のための酵素候補のスクリーニング、選択、および特徴付けを説明する。
1,3−BDO生合成経路における第一段階は、3−ヒドロキシブタナール(3HB)を生じるデオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼによる2つのアセトアルデヒド分子の縮合である。2つのアセトアルデヒド分子を縮合することができるアルドラーゼを特定するため、72種のクラスIアルドラーゼホモログまたは推定的アルドラーゼのリストを、大腸菌デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)と類似した配列に基づいて特定した。これらの72種の推定的アルドラーゼを表7に示す。
Figure 2018519829
Figure 2018519829
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さらに、大腸菌の活性部位における3つの残基は、アルドール縮合を生じるために重要である供与体アルデヒドとシッフ塩基中間体を形成する上で極めて重大な役割を演じることが認められている。これらの残基は、Lys167、Lys201、およびAsp102(数字は大腸菌DERAにおける残基番号を示す)である。多重配列アラインメントをMAFFTを用いて実施して、72種酵素のうち、厳密に保存された前述の残基を有する34種を見出した。選択されたこれら34種の酵素のリストを表8に示す。
Figure 2018519829
Figure 2018519829
34種の酵素から可能性のあるアルドラーゼ酵素のリストをさらに狭めるため、大腸菌DERAと比べてアセトアルデヒドに対して高いアルドール縮合活性を示すことが既に認められたT.マリティマ(TM1559)由来のアルドラーゼを選択した。そして、TM1559は大腸菌よりも優れている可能性があるDERAを示した。このため、TM1559を基本として使用し、過去に特徴付けされていないが、高いアセトアルデヒドアルドール縮合活性を示す可能性があるDERAについてスクリーニングした。
本発明者によるT.マリティマ由来DERAの結晶構造のさらなる分析[Heine,A.,Luz,J.G.,Wong,C.−H.&Wilson,I.a Analysis of the class I aldolase binding site architecture based on the crystal structure of 2−deoxyribose−5−phosphate aldolase at 0.99A resolution(2−デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼの結晶構造に基づいたクラスIアルドラーゼ結合部位構造の0.99A分解能での分析).Journal of molecular biology 343,1019−34(2004)]および多重配列アラインメント分析は、TM1559のリン酸結合ポケットにおける対象残基がアセトアルデヒドに対してアルドール縮合活性で演じる役割を有し得ることを示した。これらの残基は、大腸菌DERA以外の34種の残った酵素のうち、わずかな種類のDERA酵素で保存された。これらの残基はN21K、Y49N、A71CまたはV、K172F、N176HまたはGだった(最初の文字および数字はEC1535における残基およびその位置を示し、最後の文字はTM1559における相当する残基を示す)。これらの残基に基づき、リストを高いアセトアルデヒドアルドール縮合活性の可能性を有する15種の酵素にさらに狭めた(TM1559およびEC1535も比較のため本リストに含めた)。さらなる分析のために選択された15種のDERAの多重配列アラインメントを図4に示し、表9にリスト化する。
Figure 2018519829
例2:アセトアルデヒドアルドール縮合におけるDERA酵素のインビトロアッセイによる特徴付け
15種のDERA、つまりT.マリティマおよび大腸菌由来のDERAとともに13種類の候補を、ホスト生物でそれぞれ発現させ、10種を問題なく精製した(表9)。
10種の精製したDERA酵素を、既に報告されている酵素アッセイ[Chen,L.,Dumas,D.P.&Wong,C.Deoxyribose−5−phosphate Aldolase as a Catalyst in Asymmetric Aldol Condensation(不斉アルドール縮合における触媒としてのデオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ).Journal of the American Chemical Society 114,741−748(1992)]を用いて、アセトアルデヒドアルドール縮合に対するこれらの活性についてスクリーニングした。簡単に説明すると、各酵素をアセトアルデヒドと5時間反応させた。各反応物から20μL小分けを採取して氷上に置いた。ついで、サンプル2.5μLを水で20倍希釈した。反応物に残存するアセトアルデヒド量を測定するため、100mMトリエタノールアミン緩衝液(TEA)、pH7.5に0.3mMのNADH、1mgの酵母アルコールデヒドロゲナーゼを含む混合物に、希釈したサンプル6μLを96ウェルプレート中で加え、各ウェルは200μLの最終容量を含んだ。NADHの吸光度(ε340nm=6220M−1・cm−1)を、プレートリーダーを用いて340nmでモニタリングし、NADH消費による吸光度の低下は、各反応液に残存するアセトアルデヒドの量に正比例した。このため、各反応液で消費されたアセトアルデヒドの量は、各アルドール反応で使用されたアセトアルデヒドの初期量と酵素測定で消費されたNADHの量の差だった。比活性を、各酵素を0.8mg含む反応混合物で5時間にわたって消費されたアセトアルデヒドの量から測定した。
測定の結果を図8に示す。10種の酵素すべてがアセトアルデヒドアルドール縮合に対していくらかの活性を示した。T.マリティマ由来のDERAが最も高い活性を示し、続いて6種の生物由来DERAが大腸菌DERAよりも高い活性を示すと考えられる。これら6種の生物はTM1559とともに、A71Vの代わりにA71Cを有する以外は、N21K、Y49N、K172F、N176Gで厳密な保存残基を共有する(最初の文字および数字はEC1535における残基および位置を示し、最後の文字はTM1559における相当する残基を示す)。
例3:DERAを用いたアセトアルデヒド縮合からの生成物の同定
例2で試験したDERAによるアセトアルデヒドのアルドール縮合から形成される生成物を同定するため、酵素反応混合物を大容量で再度調製して高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
簡単に説明すると、100mMトリエタノールアミン緩衝液、pH7.5にアセトアルデヒドを20mMおよびB.ハロデュランスDERAを600mg加えて6mLの反応混合物を調製した。並行して、アセトアルデヒドを除く以外はこの反応物と同様に陰性コントロールを調製した。2つの混合物を室温でインキュベーションした。サンプル500μLを5分毎に1時間にわたってそれぞれから採取した。各サンプルに濃硫酸の200μL小分けを加えて反応を停止させ、氷上に置いた。そしてサンプルを、屈折率検出器を備えたDionex Ultimate3000システムでHPLCによって分析した。HPX−87Hカラムを使用して、分析物、アセトアルデヒド、および3HBを30℃、5mMのHSO、0.8mL/分、20分作動時間の方法によって分離した。ピークをRI検出器によって特定した。3−HB標準は11.8分、アセトアルデヒド標準は13.5分で溶出した。HPLCを用いて試験した酵素には、B.ハロデュランス(BH1352)および大腸菌(EC1535)由来のものを含んだ(結果は示さない)。いずれの酵素を用いた反応も、アセトアルデヒド消費および3HB合成をもたらした。アセトアルデヒドおよび3HBの濃度を表10にまとめて示す。
Figure 2018519829
例4:1,3−ブタンジオール経路のためのアルド−ケトレダクターゼ酵素の選択
本明細書で示される1,3−ブタンジオール(1,3−BDO)を産生する生合成経路における第二段階は、アルド−ケトレダクターゼを用いて3HBを1,3−BDOに還元することを含む。この反応に必要とされる酵素のスクリーニングを、37種の推定的な候補アルド−ケトレダクターゼをスクリーニングすることによって実施した(表11)。穏やかな条件下でアセトアルデヒドおよび3HBに対する基質特異性を、KHPO(50mM、pH7.0)、KCl(10mM)、EDTA(0.5mM)、NADPH(1mM)、基質(1mM)としてアセトアルデヒドおよび3−ヒドロキシブタナール、ならびにタンパク質(20μg)を含む最終容量200μlの反応混合物において、96ウェルプレート中で37℃、30分間、分光光度によって測定した。反応を、コファクターNADPH(ε340nm=6220M−1・cm−1)のNADPへの転化の測定として340nmでの吸光度低下によってモニタリングした。
Figure 2018519829
Figure 2018519829
緑膿菌(PA1127)由来の候補レダクターゼが選択され、これは3HBに対して著しい活性を示したが、アセトアルデヒドに対する活性は示さなかったためだった。
PA1127レダクターゼ触媒反応の生成物を、HPX−87Hカラム、60℃、0.4mL/分、および5mMのHSOの方法によるHPLCを用いて特定した。ピークをRI検出器を用いて検出した。次の標準を最初に測定し、1,3−BDOが28.46分、アセトアルデヒドが27.46分、および3HBが23.35分に溶出された。100mMのTEA緩衝液、pH7.5に3HBを55mM混合し、またアセトアルデヒドを約38mMおよびPA1127のレダクターゼ酵素60mgを含めることによって反応混合物を調製した。様々な時点で、反応混合物の小分けをHPLCによって分析した。酵素PA1127の存在下では、3HBは時間経過で1,3−BDO濃度の増加と同時に消費され、一方、アセトアルデヒド濃度は一定を維持した。3HBの1,3−BDOへの転化は陰性コントロールで検出されず(表12)、そのためPA1127の3HBに対する特異性が検証された。
Figure 2018519829
例5:1,3−BDO経路のインビトロ検証
アルドラーゼおよびレダクターゼ酵素の活性を一緒に試験するため、組み合わせた酵素反応を次の方法を用いて実施した。つまり、B.ハロデュランス由来のDERAおよび緑膿菌由来のレダクターゼを、100mMのTEA緩衝液、pH7.5に25mMアセトアルデヒド、DERAを60mg、レダクターゼを60mg、およびNADPHを20mM含む0.6mLの反応混合物で試験した。様々な時点で、各反応混合物の小分けを例4で説明された方法と同様にHPLCを用いて分析した。結果を表13にまとめて示す。
アセトアルデヒド濃度は時間経過で1,3−BDOの同時増加とともに低下した。3HBまたは1,3−BDOのいずれの反応産物も酵素を加えない陰性コントロールでは特定されなかった。アセトアルデヒドの高い揮発性によって、反応の際にいくらか喪失した。残存する反応したアセトアルデヒドは、二重に連続したアルコール縮合生成物(2,4,6−トリデオキシ−D−エリスロ−ヘキサピラノシド)に転化されている可能性があり、検証に利用可能な標準がないため、HPLCによって特定できなかった。
Figure 2018519829
例6:野生型大腸菌における1,3−BDO経路のインビボ検証
1,3−BDO経路遺伝子の発現に使用されるベクターバックボーンは、誘導性laclプロモーターを有し、アンピシリン耐性であるpTrc99aだった。PDC、DERA、およびAKRの発現に必要とされる3種類の遺伝子を、発現ベクターに組み込んだ。各DNA部分を独自ヌクレオチド配列(UNS)によってフランキングした[Orella,J.P.,Lienert,F.,Boehm,C.R.,Chen,J.−H.,Way,J.C.,&Silver,P.a.(2014).Unique nucleotide sequence−guided assembly of repetitive DNA parts for synthetic biology applications(合成生物学応用のための反復DNA部分の独自ヌクレオチド配列誘導組み込み).Nature Protocols,9(9),2075−89]。各部分を増幅するのに使用したプライマーを表14に示す。そして、DNA部分を、1つの部分の3’UNSに対する5’相同領域、および連続DNA部分の5’UNSに対する3’相同領域を有するssDNA結合オリゴを用いて、報告されているリガーゼサイクル反応(LCR)によって組み立てた[Kok,S.De,Stanton,L.H.,Slaby,T.,Durot,M.,Holmes,V.F.,Patel,K.G.,Chandran,S.S.(2014).Rapid and Reliable DNA Assembly via Ligase Cycling Reaction(リガーゼサイクル反応による迅速で信頼性のあるDNA組み立て).ACS,3,97−106]。簡単に説明すると、DNA部分をQ5(著作権)高忠実度DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ)を製造業者のプロトコルに従って用いてPCRによって最初に増幅した。そして、PCR産物を、50μLの各反応混合物にDpnl酵素を1μL加えて37℃で1時間、ついで85℃で20分間インキュベーションすることによって鋳型プラスミドを消化することで、Dpnlによって消化した。そしてPCR産物をサーモサイエンティフィックから購入したPCR精製キットを用いて精製し、製造業者のプロトコルに従って実施した。精製後、DNA部分をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)(ニューイングランドバイオラボ)を用いてリン酸化した。(代替として、リン酸化プライマーを注文してこの段階を回避することができる)。簡単に説明すると、水で1×に希釈したアンプリガーゼ熱安定反応緩衝液に、T4 PNKを10U、各精製DNA部分を100fmol、5mMのATPを含有させて20μLのリン酸反応液を調製した。反応混合物を37℃で1時間、ついで65℃で20分間インキュベーションした。リン酸化後、リン酸化混合物を15μL、アンプリガーゼ熱安定反応緩衝液を1μL、各オリゴブリッジを30nM、8%v/vDMSO、0.45Mベタイン、アンプリガーゼ熱安定DNAリガーゼを0.3U/μL加えて水で希釈し25μLにして、リガーゼサイクル反応混合物を25μL調製した。温度サイクルとして、94℃で2分、ついで94℃で10秒、55℃で30秒、66℃で60秒のサイクルを50回、以後4℃を使用した。50μLの化学的コンピテント(代替として、電気的コンピテント細胞も使用し得る)大腸菌DH10β細胞の形質転換を、5μLのLCRミックスによって実施した。そしてコロニーをPCR、制限消化、および/またはシークエンシングによって正確なプラスミドについてスクリーニングした。プラスミドをpBD3と名付けた。構築したプラスミドを野生型大腸菌MG1655に導入した。得られる株をecBD−6と名付けた。
ecBD−6株を二相、フェドバッチ発酵によって三重試験で特徴付けした。単一コロニーで5mLのLB(100μg/mLカルベニシリン補充)を接種して種培養を調製し、250rpmに設定したロータリー振とう器で37℃、一晩増殖させた。ついで、100μg/mLのカルベニシリンを補充した50mLのTBを一晩培養で接種して、600nmでの光学密度が0.6に達するまで30℃で好気的に増殖させた。そして、タンパク質発現を1mMのIPTGで誘発した。タンパク質発現の5時間後、細胞をペレット化して3%(w/v)グルコースを含む最少塩培地(M9塩培地)25mLに高細胞密度で再懸濁化させた。発酵を密閉した250mLバッフル付きフラスコにおいて37℃で実施した。発酵開始から20および50時間で、グルコースを15g/Lの濃度で再度加えた。様々な時点でサンプルを採取して、細胞の光学的密度を600nmで測定した。基質および生成物の濃度を、UVおよび屈折率検出器を備えたDionex Ultimate−3000 HPLCシステムを用いたHPLC分析によって測定した。使用したカラムは溶出液として5mMのHSOを用いたAminex HPX−87Hであり、36℃で操作した。発酵93時間後、ecBD−6は1.42g/Lの1,3−ブタンジオールを産生した。
表14は1,3−BDO経路遺伝子を発現するプラスミドpBD3の組み立てのためのプライマーを示し、ザイモモナス・モビリス由来のPDC、バチルス・ハロデュランス由来のDERA、および緑膿菌由来のAKRを含む。ベクターバックボーンであるpTRC99aもUNSを含むプライマーで増幅させた。そして、4種のDNA部分をリガーゼサイクル反応によって組み立てた。
Figure 2018519829
例7:ピルビン酸蓄積株の構築
ピルビン酸は1,3−ブタンジオール経路における最初の代謝物であるため、1,3−ブタンジオール産生を増加させるにはピルビン酸を蓄積することができるホスト生物を必要とする。後者は最も一般的な微生物の中心炭素代謝における主要な代謝物を表す。大腸菌では、ピルビン酸は何種類かの天然発酵副産物の主前駆体である(図2)。大腸菌でピルビン酸の高力価を生じさせるため、ピルビン酸を発酵生成物に導く経路を欠失させる。従って、3種の遺伝子であるadhE(アルコールデヒドロゲナーゼをコードする)、ldhA(乳酸デヒドロゲナーゼをコードする)、およびpflB(ピルビン酸ギ酸リアーゼをコードする)を大腸菌から欠失させて、それぞれエタノール、乳酸、およびギ酸の生成を排除する(図2)。遺伝子欠失は、KEIOコレクションの相当する単一遺伝子欠失変異体からP1遺伝子導入法を用いて野生型株に連続的に移入した。遺伝子欠失は配列リストに示されるプライマーであるF−adhE−checkおよびR−adhE−check(配列ID37および38)、F−ldhA−checkおよびR−ldhA−check(配列ID39および40)、F−pflB−checkおよびR−pflA−check(配列ID41および42)を使用してPCRを用いて確証した。3つの遺伝子欠失を有して得られる株をLMSE−25と名付けた。
株LMSE−25を、15g/Lのグルコース、3.5 g/Lの(NHHPO、5g/LのKHPO、3.5g/LのKHPO、0.25gのMgSO・7HO、15mgのCaCl・2HO、0.5mgのチアミン、および1mlの微量金属ストックを含むミネラル培地で特徴付けした。微量金属ストックは、0.1MのHClで調製し、1リットルあたり、1.6gのFeCl、0.2gのCoCl・6HO、0.1gの CuCl、0.2gのZnCl・4HO、0.2gのNaMoO、および0.05 gのHBOから構成された(Causey,T.B.,Zhou,S.,Shanmugam,K.T.&Ingram,L.O.(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA100,825−832)。特徴付けは4MのKOHを用いてpHが7.0に制御され、溶存酸素コントロール(>70%)のために空気注入を有する500ml発酵装置で実施された。
コントロール野生型大腸菌は検出可能な量のピルビン酸を蓄積しなかったが、一方、変異株は5時間で0.67g/Lの最大力価を生じ、グルコースから20%最大理論収率を生じた。
例8:株ecBD−5の構築
株ecBD−5を、ピルビン酸産生株LMSE−25にプラスミドpBD3を導入することによって構築した。このように作製した1,3−ブタンジオール産生大腸菌株(ecBD−5)は炭素源としてグルコースを用いたフェドバッチ発酵によって特徴付けし、準好気的条件下で実施した。株は最初に250mLバッフル付きフラスコで、50mLのリッチ培地(テリフィックブロス)において30℃で培養して経路タンパク質を発現させた。タンパク質発現の5時間後、細胞をペレット化させて3%(w/v)グルコースを含む最少塩培地(M9塩培地)25mLに高細胞密度で再懸濁させた。発酵を密閉した250mLバッフル付きフラスコにおいて37℃で実施した。発酵開始から20および50時間で、グルコースを15g/Lの濃度で再度加えた。実験を三重で実施した。
様々な時点でサンプルを採取して、細胞の光学的密度を600nmで測定した。基質および生成物の濃度を、UVおよび屈折率検出器を備えたDionex Ultimate−3000 HPLCシステムを用いたHPLC分析によって測定した。使用したカラムは溶出液として5mMのHSOを用いたAminex HPX−87Hであり、36℃で操作した。
発酵93時間後、ecBD−5は2.1g/Lの1,3−BDOを産生したが、これに対してコントロールecBD−6は1.42g/Lの1,3−BDOを産生した。

Claims (25)

  1. 1,3−BDO経路を有する非天然由来微生物であって、前記微生物が1,3−BDO経路酵素として、
    2つのアセトアルデヒドの縮合を触媒して3−ヒドロキシブタナールを産生するアルドラーゼ、および
    3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに還元する、アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼ、
    の少なくとも1種類を含み、
    ここで前記微生物は前記1,3−BDO経路由来の酵素をコードする少なくとも1種類の外因性核酸を含む、非天然由来微生物。
  2. 前記微生物が、前記1,3−BDO経路由来の酵素をコードする、または前記1,3−BDO経路由来酵素の発現に影響を及ぼす、外因性核酸に少なくとも1つの改変を含む、請求項1に記載の非天然由来微生物。
  3. 前記微生物がアルドラーゼをコードする外因性核酸を含む、請求項1または2に記載の非天然由来微生物。
  4. 前記アルドラーゼがデオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  5. 前記アルドラーゼがSEQ ID NO:15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24のアミノ酸配列、またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む、請求項4に記載の非天然由来微生物。
  6. 前記外因性核酸がSEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載の非天然由来微生物。
  7. 前記アルドラーゼ酵素が、前記酵素の活性部位に保存アミノ酸残基であるリジン167、リジン201、アスパラギン酸16、およびアスパラギン酸102を含み、ここで各残基に付与された数字はSEQ ID NO:20の大腸菌DERAのアミノ酸配列における残基番号を意味する、請求項4または5に記載の非天然由来微生物。
  8. 前記微生物が、アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼをコードする外因性核酸を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  9. 前記微生物が、SEQ ID NO:25のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含むアルド−ケトレダクターゼを発現する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  10. 前記アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼが、NADP結合ポケットおよび活性部位における保存残基であるArg214、Arg227、Arg281、Gln285、Gly279、Arg208を含み、ここで2番目の数字はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基を意味する、請求項8または9に記載の非天然由来微生物。
  11. 前記外因性核酸がSEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を含む、請求項8に記載の非天然由来微生物。
  12. 前記微生物が、ピルビン酸を脱炭酸化してアセトアルデヒドおよび二酸化炭素を生じることができるデカルボキシラーゼをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  13. 前記デカルボキシラーゼが、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)、ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(BFD)、またはα−ケト酸デカルボキシラーゼ(KDC)である、請求項12に記載の非天然由来微生物。
  14. 前記デカルボキシラーゼがSEQ ID NO:26のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む、請求項12に記載の非天然由来微生物。
  15. 前記BFDがSEQ ID NO:27のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む、請求項13に記載の非天然由来微生物。
  16. 前記KDCがSEQ ID NO:28のアミノ酸配列またはその活性フラグメントもしくはホモログを含む、請求項13に記載の非天然由来微生物。
  17. 前記微生物が表3で特定される酵素をさらに発現する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  18. ピルビン酸を利用する酵素をコードする1種類以上の遺伝子が、野生型と比べて前記非天然由来微生物から欠失される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  19. アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、またはビルビン酸ギ酸リアーゼをコードする1種類以上の遺伝子が、野生型と比べて前記非天然由来微生物から欠失される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の非天然由来微生物。
  20. 1,3−BDOを産生する方法であって、請求項1〜19のいずれか一項による非天然由来微生物を、1,3−BDOを産生する条件下および十分な期間で培養することを含む、方法。
  21. 前記微生物がほとんど嫌気的な培養培地にある、請求項20に記載の方法。
  22. アルドラーゼ系の酵素を用いて2つのアセトアルデヒド分子を3−ヒドロキシブタナールに縮合することと、
    アルド−ケトレダクターゼ、オキシドレダクターゼ、アルデヒドレダクターゼ、またはアルコールデヒドロゲナーゼ系に属する酵素を用いて3−ヒドロキシブタナールを1,3−BDOに選択的に還元することと
    を含む、生合成工程。
  23. アセトアルデヒドを生合成法によって産生することをさらに含む、請求項22に記載の工程。
  24. ピルビン酸を脱炭酸化してアセトアルデヒドを得ることをさらに含む、請求項22に記載の工程。
  25. 高光学的純度な(R)−1,3−BDOを産生する方法であって、請求項1〜19のいずれか一項による非天然由来微生物を培養すること、または請求項22〜24のいずれか一項による生合成工程を実施することを含む、方法。
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