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JP2018503693A - ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む改変防止剤形 - Google Patents

ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む改変防止剤形 Download PDF

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Abstract

本発明は、向精神作用を有する薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む改変防止経口医薬剤形であって、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量が、医薬剤形の全重量に対して少なくとも25重量%である医薬剤形に関する。本発明はまた、上記医薬剤形の製造およびその使用に関する。

Description

本発明は、向精神作用を有する薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む改変防止(tamper−resistant)経口医薬剤形であって、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量が、医薬剤形の全重量に対して少なくとも25重量%である医薬剤形に関する。好ましくは、本発明の医薬剤形は、0次反応速度論に従う薬理活性成分の持続性放出を提供する。
多くの薬物は乱用または悪用される可能性を有しており、すなわち、それらは、それらの意図される使用と一致しない効果を生じさせるために使用することができる。従って、例えば高度〜極めて高度の疼痛の制御に優れた有効性を示すオピオイド類は、酩酊と類似した多幸状態を誘発するために頻繁に乱用される。特に、向精神効果を有する薬物はそのように乱用されている。
乱用を可能にするためには、医薬剤形またはカプセル剤などの対応する医薬剤形は、破砕、例えば乱用者により摩砕され、このようにして得られた粉末から、好ましくは水性液体を使用して薬物が抽出され、任意選択で脱脂綿またはセルロースワッディング(cellulose wadding)を介して濾過した後、得られた溶液が非経口的に、特に静脈内に投与される。この種類の投与は、乱用者にとって望ましい結果、すなわち刺激を伴って、経口乱用と比較して薬物のより素早い拡散をもたらす。粉末化された医薬剤形が経鼻的に投与された場合、すなわち鼻から吸い込まれた場合も、この刺激またはこれらの酩酊様多幸状態が達成される。
薬物乱用を避けるための様々な構想が練り上げられてきた。
医薬剤形が改変されたときにそれらの嫌悪および/または拮抗効果のみを生じるように、嫌悪剤および/または拮抗薬を医薬剤形に組み込むことが提案されている。しかし、そのような嫌悪剤の存在は、原則的に望ましくなく、嫌悪剤および/または拮抗薬に依存しないで十分な改変防止性を提供する必要がある。
乱用を防止する別の構想は、医薬剤形の機械的特性、特に破壊強度(破砕に対する抵抗力)の増加に依存する。そのような医薬剤形の主な利点は、乳鉢における摩砕またはハンマーを用いる破砕などの従来の手段による粉砕、特に微粉砕が不可能である、または少なくとも実質的に妨げられることである。したがって、潜在的な乱用者が通常利用可能な手段による医薬剤形の乱用のために必要な微粉砕は、防止され、または少なくとも複雑になる。そのような医薬剤形は、従来の手段により粉末化できず、したがって粉末化形態で、例えば経鼻的に投与することができないので、そこに含有された薬理活性成分の薬物乱用を回避するために有用である。これらの医薬剤形の機械的特性、特に、高い破壊強度は、医薬剤形を改変防止性にする。そのような改変防止医薬剤形に関連して、例えば、WO2005/016313(特許文献1)、WO2005/016314(特許文献2)、WO2005/063214(特許文献3)、WO2005/102286(特許文献4)、WO2006/002883(特許文献5)、WO2006/002884(特許文献6)、WO2006/002886(特許文献7)、WO2006/082097(特許文献8)、WO2006/082099(特許文献9)およびWO2009/092601(特許文献10)を参照することができる。
しかし、従来技術のこれらの医薬剤形の特性は、あらゆる点において十分ではない。特に、薬物の持続性放出を提供する従来技術の改変防止剤形は、典型的には、1次反応速度論または2次反応速度論に従う放出プロファイルを示し、すなわち、時間単位あたりの放出である薬物の相対量が時間とともに変化する。
実質的に直線の薬物放出、すなわち0次反応速度論をもたらす改変防止剤形に対する需要が存在する。
実質的に直線の薬物放出を有する徐放錠は従来技術から公知である。しかしながら、実質的に直線の薬物放出を達成するための技術思想は、比較的面倒であり、従って高価である。さらに、それらは通常、改変防止性を達成するためのコンセプトと両立しない。OROS技術では、医薬剤形は、1つの層が浸透圧活性である一方で他の層が薬物を含むように、異なる機能を有する種々の層を含む(例えばUS5,460,826(特許文献11)、US6,245,357(特許文献12)参照)。他のコンセプトは、全放出プロセスの間の拡散面積を、例えば医薬剤形に耐水性コーティングまたは特定の形状を付与することにより、一定に保つことを目的とする。
US2012/231083(特許文献13)は、臨床的に関連する治療域の間に、治療レベルの1種または複数種のカンナビノイドの送達をもたらす医薬に関する。上記治療域は、当量のカンナビノイドを含む即放性医薬により提供されるよりも長い域である。当該組成物の経口投与は、安全性、副作用の少なさおよびカンナビノイドのレベルを維持しながら治療的用量を提供する。
US5,082,668(特許文献14)は、浸透圧駆動性剤形、すなわち、コンパートメントを囲む壁を含むデバイスを開示している。上記コンパートメントは、有益な薬剤組成物と押出組成物(push composition)を含む。上記壁、有益な薬剤組成物および押出組成物の組み合わせにより、時間が経つにつれデバイスの通路を通して上記の有益な薬剤を管理された速度で送達するために、壁における通路が上記コンパートメントとデバイスの外側とをつないでいる。
US7,300,668(特許文献15)は、第1の領域濃度の少なくとも1つの活性な医薬成分を含む3次元プリントされた最深領域;およびネスト化された配置で複数の3次元プリントされた非最深部領域を含み、そしてa)1つまたは複数のネスト化された内部領域(ここで1つの内部領域が上記最深領域を完全に取り囲み、上記最深領域と接触しており、任意の他の内部領域がその内側に位置する別の内部領域を完全に取り囲む);およびb)内部領域を完全に取り囲んでいる最外部領域(ここで、上記内部および最外部領域はネスト化された配置にあり、上記の少なくとも1つの活性な医薬成分がおよそ0次放出で放出される)を含む剤形に関する。
WO03/024426(特許文献16)は、i)少なくとも部分的に非晶質形態にある、少なくとも1種の治療的に、予防的におよび/または診断的に活性な物質、ii)可塑化特性を有する薬学的に許容可能なポリマーおよびiii)任意選択的に安定剤、の固体分散体を含む経口使用用の制御放出医薬組成物であって、上記の少なくとも1種の活性物質が限られた水溶性を有し、上記組成物が、活性物質を実質的に0次放出で放出するように設計されている組成物を開示している。0次放出は、放出相の間に無損傷を維持し、特定の表面積のみが浸食に付されるようにマトリックス組成物を覆うコーティングによってもたらされる。それにより、活性成分が放出される表面積が上記期間の間、ずっと実質的に一定に保持される。
WO2008/086804(特許文献17)は、乱用耐性のポリグリコールをベースとする医薬組成物を開示している。上記組成物は、1種または複数種のポリグリコールと1種または複数種の活性物質を含み、それは破砕、溶融および/または抽出に対して耐性である。さらに、そのような組成物はエタノール性の水性媒体において同一またはより低い溶解度を有し、すなわち、それらはエタノール誘発性の過量放出効果を受けない。
WO2008/148798(特許文献18)は、疾患の治療において経口的に使用するために適切な層状の医薬組成物であって、胃腸管の大部分にわたって吸収が行われる組成物を開示している。
WO2010/057036(特許文献19)は固体組成物を開示しており、該固体組成物を製造し使用するための方法が提供されている。上記固体組成物は以下を含む:(a)37℃の温度で最大で6.8のpHを有する水溶液において0.3mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1種の活性薬剤;および(b)以下:i)METHOCEL(登録商標)、POLYOX(登録商標)WSR 1105およびそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性ポリマー;および任意選択的にii)Ethocel 20 premiumからなる群から選択される疎水性ポリマーを含む親水性ポリマーマトリックス組成物;および(c)炭酸カルシウム、酸化マグネシウム(重質)および重炭酸ナトリウムからなる群から選択されるアルカリ化剤;ここで、上記組成物は、経口投与後7〜12時間の間に活性の少なくとも70%の放出を提供する。
WO2012/028319(特許文献20)は、少なくとも500Nの破壊強度を示す医薬剤形に関し、上記剤形は薬理活性成分;無機塩(B);および少なくとも200,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシド(C)を含み、ここで、ポリアルキレンオキシド(C)の含有量は、剤形の全重量を基準として少なくとも20重量%であり;上記薬理活性成分は、無機塩(B)およびポリアルキレンオキシド(C)を含む制御放出マトリックス中に存在し、in vitro条件下で、上記マトリックスからの薬理活性成分の放出プロファイルは、放出が0次反応速度論に従う時間間隔を少なくとも含む。
WO2014/059512(特許文献21)は、少なくとも1つの活性物質およびEudragit E(ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)を含む少なくとも1つのコートを含む製剤であって、上記コートの外側に活性物質を含まない製剤を開示している。上記製剤は、アルコール性/非アルコール性飲料における著しい過量放出を防ぐのに有効である。他の態様において、少なくつも1種の活性物質を有する負荷用量を含む製剤が提供され、上記の少なくとも1種の活性物質の放出は、溶出プロファイルにおいて分岐点(Point Of Divergence(POD))を示し、ここで負荷用量は、溶出または放出速度の過程が、作用の発現から、制御放出によって表される時系列中の一連の点に変化する時系列における点を示す。該製剤は、疼痛を管理するために約55%までの全用量を負荷用量として放出するために、使用することができる。
V.Pillay et al.,Journal of Controlled Release,67(2000)67−78(非特許文献1)は、周囲条件での直接圧縮により製造された単一のモノリス系からの高度に可溶性の生物活性物質の一定速度送達のためのアプローチを開示している。
M.E.McNeill et al.,J Biomater Sci Polym 1996,7(11),953−63(非特許文献2)は、ポリ(エチレンオキシド)ヒドロゲルからの水溶性溶質の拡散および放出を制御する特性に関する。第4部は、部分的にコーティングされた球体からの一定速度持続放出を扱っている。
D.Henrist et al.,J.Controlled Release,75(2001)391−400(非特許文献3)は、デンプンベースのホットステージ押出二重マトリックス系のin vitroおよびin vivo評価に関する。ホットステージ押出された薬物含有デンプンコアを取り囲んでいるホットステージ押出されたデンプンパイプからなる二重マトリックス系を開発することの目的は、持続的な薬物放出のドメインに適用可能なモノリスのマトリックス系を得ることであった。当該系の挙動は、溶出試験により、および9人の男性ボランティアにおける無作為化クロスオーバーバイオアベイラビリティー試験により評価された。全ての二重マトリックス系が、in vitroにおいて、4時間の初期のより遅い放出相後に、ほぼ一定の薬物放出プルファイルを示した。この初期のより遅い放出相は、少量の薬物を有するデンプンパイプの負荷により回避された。
L.Yang et al.,J.Pharm.Sciences,85(2),1996,170−173(非特許文献4)は、自己修正式の浮揚性非対称構造薬物送達系からの0次放出速度論に関する。
WO2005/016313 WO2005/016314 WO2005/063214 WO2005/102286 WO2006/002883 WO2006/002884 WO2006/002886 WO2006/082097 WO2006/082099 WO2009/092601 US5,460,826 US6,245,357 US2012/231083 US5,082,668 US7,300,668 WO03/024426 WO2008/086804 WO2008/148798 WO2010/057036 WO2012/028319
V.Pillay et al.,Journal of Controlled Release,67(2000)67−78 M.E.McNeill et al.,J Biomater Sci Polym 1996,7(11),953−63 D.Henrist et al.,J.Controlled Release,75(2001)391−400 L.Yang et al.,J.Pharm.Sciences,85(2),1996,170−173
本発明の目的は向精神作用を有する薬理活性成分を含み、従来技術の医薬剤形と比較して利点を有する改変防止経口用医薬剤形を提供することである。
この目的は、特許請求の範囲によって達成された。
驚くべきことに、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび向精神作用を有する薬理活性成分を含む医薬剤形であって、改変防止性を示し、その組成、特に向精神作用を有する薬理活性成分が好ましくは埋め込まれているマトリックスの組成に基づいて、実質的に直線の薬物放出を提供する医薬剤形を製造できることが見出された。従って、面倒な多層構造、耐水性コーティング等を避けることができる。さらに、放出系の損傷の結果としての不測の過量投与のリスク(過量放出)を十分に低下させるか、または完全に抑制することさえもできる。
図1は、破壊強度試験の結果を示す負荷−変位−ダイアグラムである。 図2は、in vitro溶出試験の結果を示す。
本発明の第1の態様は、向精神作用を有する薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む改変防止経口医薬剤形に関し、該医薬剤形は、好ましくは、溶媒抽出に対する耐性および/または粉砕に対する耐性および/または含水エタノールにおける過量放出(dose−dumping)に対する耐性をもたらす。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、熱成形され、より好ましくはホットメルト押出される。熱成形は好ましくは、医薬剤形の製造の過程において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび薬理活性成分を含む混合物が、常温より高い温度、好ましくは少なくとも60℃または少なくとも80℃に加熱され、好ましくは少なくとも1barまたは少なくとも1.5barの圧力で、圧縮されることを意味する。圧縮力は、熱の適用より前に、熱の適用の間に、または熱の適用の後で及ぼすことができる。
本明細書において使用される場合、用語「医薬剤形」は、薬理活性成分を含有し、かつ患者に実際に投与されるかまたは服用される薬学的実体を指す。これは、その製造において圧縮または成形されてもよく、ほとんどのサイズ、形状、重量および色のものであり得る。
上記医薬剤形は、好ましくは固体または半固体である。
本発明の医薬剤形の例には、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、ペレット剤、サッシュ剤(sachets)および発泡剤、散剤などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、組成物は、カプセル剤に製剤化される。この実施形態によると、医薬剤形は、硬または軟ゼラチンカプセル剤を含む。
大部分の医薬剤形は、全体が嚥下されるように意図されており、したがって、本発明の医薬剤形は、経口投与用に設計される。
好ましい実施形態において、本発明の医薬剤形はモノリスである。これに関して、モノリスは好ましくは、医薬剤形が、接合箇所または継目なしに材料から形成もしくは構成されること、または単一の単位からなるかもしくは単一の単位を構成することを意味する。
別の好ましい実施形態において、本発明の医薬剤形はモノリスでない。好ましくは、本発明の医薬剤形は、マルチパーティキュレートであり、すなわち、多数の粒子を含む。マルチパーティキュレート医薬剤形の利点は、粒子を異なる量で混合し、それによって異なる力価の医薬剤形を製造できることである。
1つの好ましい実施形態において、本発明の医薬剤形は、MUPS製剤(多単位ペレット系)とみなすことができる。好ましくは、本発明による医薬剤形は、カプセル剤と比較して比較的高い密度を有する稠密でコンパクトな単位に全ての成分を含んでいる。このような状態において、本発明による医薬剤形は、異なる形態および特性を有するサブユニット、すなわち薬物含有粒子と外側マトリックス材料を含み、ここで、上記粒子は、外側マトリックス材料内で不連続相を形成する。外側マトリックス材料の構成成分は、好ましくは、薬物含有粒子の構成成分とは異なる。好ましくは、外側マトリックス材料は、向精神作用を有する薬理活性成分も、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーも含まない。
典型的には、上記粒子は外側マトリックス材料の機械的特性とは異なる機械的特性を有する。好ましくは、上記粒子は、外側マトリックス材料より高い機械的強度を有する。上記粒子は好ましくは、慣用の手段、例えば固体核磁気共鳴分光法、走査電子顕微鏡法(raster electron microscopy)、テラヘルツ分光法等により可視化することができる。
本発明の医薬剤形は、好ましくは、0.01〜1.5gの範囲の、より好ましくは0.05〜1.2gの範囲の、より一層好ましくは0.1g〜1.0gの範囲の、さらに一層好ましくは0.2g〜0.9gの範囲の、最も好ましくは0.3g〜0.8gの範囲の、全重量を有する。1つの好ましい実施態様において、医薬剤形の全重量は、350±300mg、より好ましくは350±250mg、より一層好ましくは350±200mg、さらに一層好ましくは350±150mg、最も好ましくは350±100mg、特に350±50mgの範囲内である。別の好ましい実施態様において、医薬剤形の全重量は、500±450mg、より好ましくは500±300mg、より一層好ましくは500±200mg、さらに一層好ましくは500±150mg、最も好ましくは500±100mg、特に500±50mgの範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は円形(round)の医薬剤形である。この実施態様の医薬剤形は、好ましくは、1mm〜30mmの範囲、特に2mm〜25mm、より詳細には5mm〜23mm、より一層詳細には7mm〜13mmの範囲の直径を有し;1.0mm〜12mmの範囲、特に2.0mm〜10mm、より一層詳細には3.0mm〜9.0mm、さらに一層詳細には4.0mm〜8.0mmの範囲の厚さを有する。
別の好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は長楕円形(oblong)の医薬剤形である。この実施態様の医薬剤形は、好ましくは、1mm〜30mm、特に2mm〜25mm、より詳細には5mm〜23mm、より一層詳細には7mm〜20mmの範囲の縦の伸長(長手方向の伸長(寸法));1mm〜30mmの範囲、特に2mm〜25mm、より詳細には5mm〜23mm、より一層詳細には7mm〜13mmの範囲の幅;1.0mm〜12mmの範囲、特に2.0mm〜10mm、より一層詳細には3.0mm〜9.0mm、さらに一層詳細には4.0mm〜8.0mmの範囲の厚さを有する。
本発明の医薬剤形がモノリシックである場合、それは好ましくは任意の方向に少なくとも2.0mm、より好ましくは少なくとも2.5mm、より一層好ましくは少なくとも3.0mm、さらに一層好ましくは少なくとも3.5mm、さらにより好ましくは少なくとも4.0mm、最も好ましくは少なくとも4.5mm、特に少なくとも5.0mmの伸長(寸法)を有する。好ましくは、剤形がモノリシックの場合、それは任意の方向に2.0mm超の伸長を有する。
本明細書の目的に関して、「任意の方向に」は好ましくは、三次元空間におけるいかなる方向も意味する。
本発明の医薬剤形は、任意選択的にコーティング、例えば化粧コーティング(cosmetic coating)を含むことができる。上記コーティングは、好ましくは、医薬剤形の形成後に適用される。上記コーティングは、硬化プロセスの前または後に適用して もよい。本発明の医薬剤形は、好ましくは慣用のフィルムコーティング組成物でフィルムコーティングされている。適切なコーティング材料は、例えばOpadry(登録商標)およびEudragit(登録商標)の商標で、市販されている。
適切な材料の例には、セルロースエステル類およびセルロースエーテル類、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)、ポリ(メタ)アクリレート類、例えばアミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー;ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアセテートおよび天然皮膜形成剤が含まれる。
上記コーティングは、胃液に対して耐性であり、放出環境のpH値の相関的要素として溶解する。このコーティングにより、本発明の医薬剤形が溶解せずに胃を通過し、活性化合物が胃においてのみ放出されることを確実にすることができる。胃液に耐性を示すコーティングは、好ましくは、5〜7.5のpH値で溶解する。
上記コーティングはまた、例えば、医薬剤形の美的な印象および/または味、およびそれらを飲み込むことができる容易性を改善するために適用することもできる。本発明の医薬剤形をコーティングすることは、他の目的、例えば安定性および有効期間を改善するのにも役立つ。適切なコーティング製剤は、皮膜形成ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばヒプロメロース、可塑剤、例えばグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール、乳白剤、例えば二酸化チタン、およびフィルム平滑化剤(film smoothener)、例えばタルクを含む。適切なコーティング溶媒は、水ならびに有機溶媒である。有機溶媒の例は、アルコール類、例えば、エタノールまたはイソプロパノール、ケトン類、例えばアセトン、またはハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンである。本発明におけるコーティングされた医薬剤形は、好ましくは、最初にコアを作製し、次いで慣用の技術、例えばコーティングパンにおけるコーティングを用いて上記コアをコーティングすることにより製造される。
好ましくは、本発明の医薬剤形は持続性放出マトリックスを含む。持続性放出マトリックスは同様に、好ましくは、持続性放出マトリックス材料としてのポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび任意選択的に追加的な持続性放出マトリックス材料を含む。
1つの好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスは、追加的な持続性放出マトリックス材料を含まない。
薬理活性成分は、好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む持続性放出マトリックスに埋め込まれている。好ましくは、薬理活性成分は、持続性放出マトリックスに分散されている。
好ましくは、上記医薬剤形は、薬理活性成分の持続性放出を提供する。特に好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む持続性放出マトリックスは、そこに埋め込まれた薬理活性成分の持続性放出を提供する。
好ましい実施形態において、
(i)薬理活性成分は、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む持続性放出マトリックスに埋め込まれており;および/または
(ii)上記医薬剤形は、薬理活性成分の持続性放出を提供する。
本発明の医薬剤形がモノリシックであり、持続性放出マトリックスを含む場合、当該持続性放出マトリックスは好ましくは、上記医薬剤形のボディーを形成する。
本発明の医薬剤形がマルチパーティキュレート(例えばペレットの形態にある)である場合、粒子は好ましくは、持続性放出マトリックスと医薬剤形に含まれる薬理活性成分の全量のうちの少なくとも一部とを含む。好ましくは、上記粒子は、医薬剤形に含まれる薬理活性成分の全量を含む。
本発明の医薬剤形を好ましくは薬物含有粒子および外側マトリックス材料を含むMUPS製剤とみなすことができる場合、当該外側マトリックス材料は持続性放出マトリックスの構成要素ではなく、本発明の医薬剤形の持続性放出マトリックスの持続性放出マトリックス材料および任意選択的に存在する追加的な持続性放出マトリックス材料とは区別されるべきである。
本明細書の目的に関して、語句「粒子」は、例えば20℃でまたは室温もしくは常温で、固体である材料の個別の塊を表す。好ましくは、粒子は20℃で固体である。好ましくは、粒子はモノリスである。好ましくは、薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、粒子が、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの不存在下で薬理活性成分が存在するかまたは薬理活性成分の不存在下でポリエチレングリコールグラフトコポリマーが存在するかのいずれかであるセグメントを含まないように、粒子中に密接に均一に分布される。典型的には、セグメントはこれに関して巨視的なサイズのものであり、例えば0.1mmの半径を有する球である。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、それは好ましくは、多数、すなわち複数の薬理活性成分含有粒子(薬物含有粒子)を含み、任意選択的にさらに薬理活性成分を含まない粒子(薬物不含粒子)を含んでいてもよい。
1つの好ましい実施態様において、医薬剤形は、好ましくは、最大で10、より好ましくは最大で9、より一層好ましくは最大で8、さらに一層好ましくは最大で7、さらにより好ましくは最大で6、最も好ましくは最大で5、特に最大で4または3または2個の薬物含有粒子を含む。別の好ましい実施態様において、医薬剤形は、好ましくは、少なくとも2、より好ましくは少なくとも4、より一層好ましくは少なくとも6、さらに一層好ましくは少なくとも8、さらにより好ましくは少なくとも10、最も好ましくは少なくとも15、特に少なくとも20または少なくとも50または少なくとも100個の薬物含有粒子を含む。
粒子がフィルムコーティングされる場合、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、好ましくは、粒子のコアに均一に分布し、すなわち、フィルムコーティングは好ましくはポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含まない。
粒子が持続性放出マトリックスを含み、フィルムコーティングされる場合、持続性放出マトリックスは好ましくは粒子のコアに均一に分布し、すなわち、フィルムコーティングは好ましくは持続性放出マトリックス材料も任意選択的に存在する追加的な持続性放出マトリックス材料も含まない。
粒子は好ましくは巨視的なサイズであり、典型的には、平均直径は、100μm〜2000μm、好ましくは200μm〜1500μm、より好ましくは300μm〜1500μm、より一層好ましくは400μm〜1500μm、最も好ましくは500μm〜1500μm、特に600μm〜1500μmの範囲内である。好ましくは、医薬剤形における粒子は、少なくとも50μm、より好ましくは少なくとも100μm、より一層好ましくは少なくとも150μmまたは少なくとも200μm、さらに一層好ましくは少なくとも250μmまたは少なくとも300μm、最も好ましくは少なくとも400μmまたは少なくとも500μm、特に少なくとも550μmまたは少なくとも600μmの平均粒径を有する。好ましくは、医薬剤形における粒子は、少なくとも700μm、より好ましくは少なくとも800μm、最も好ましくは少なくとも900μm、特に少なくとも1000μmの平均粒径を有する。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は、不連続相としての粒子を含み、すなわち、上記粒子は外側マトリックス材料(今度はこれが、好ましくは連続相を形成する)中に不連続相を形成する。この点に関して、不連続は、各々のおよび全ての粒子が密接に他の粒子と接触するわけではないこと、しかしながら、粒子が、粒子が埋め込まれている外側マトリックス材料によって少なくとも部分的に互いに隔てられていることを意味する。すなわち、上記粒子は、好ましくは、本発明による医薬剤形内で単一の密着塊を形成しない。
好ましくは、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、本発明の医薬剤形における上記粒子の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、最大で95重量%、より好ましくは最大で90重量%、より一層好ましくは最大で85重量%、さらにより好ましくは最大で80重量%、最も好ましくは最大で75重量%、特に最大で70重量%である。
好ましくは、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、本発明の医薬剤形における上記粒子の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%または少なくとも25重量%;より好ましくは少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%または少なくとも45重量%;最も好ましくは少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%または少なくとも65重量%;特に少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%または少なくとも85重量%である。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、粒子の形状は特に限定されない。上記粒子は好ましくは、ホットメルト押出法によって製造されるので、本発明の医薬剤形中に存在する好ましい粒子は概して円筒形状である。したがって、そのような粒子の直径はそれらの円形断面の直径である。円筒状の形状は押出プロセスによって生じ、当該プロセスによると、円形断面の直径は押出ダイの相関的要素であり、円筒の長さは切断長さの相関的要素であり、これに従って、材料の押し出されたストランドが、好ましくは概ね予め定められた長さの断片に切断される。
典型的には、アスペクト比は、球状の重要な尺度としてみなされる。アスペクト比は、最大直径(dmax)とその直交するフェレー径の比として定義される。非球面粒子に関して、アスペクト比は1を超える値を有する。値が小さいほど、粒子はより球形である。1つの好ましい実施態様において、粒子のアスペクト比は、最大で1.40、より好ましくは最大で1.35、より一層好ましくは最大で1.30、さらに一層好ましくは最大で1.25、さらにより好ましくは最大で1.20、最も好ましくは最大で1.15、特に最大で1.10である。別の好ましい実施態様において、粒子のアスペクト比は、少なくとも1.10、より好ましくは少なくとも1.15、より一層好ましくは少なくとも1.20、さらに一層好ましくは少なくとも1.25、さらにより好ましくは少なくとも1.30、最も好ましくは少なくとも1.35、特に少なくとも1.40である。
好ましい粒子は、1000μm以下の平均長さおよび平均直径を有する。粒子を押出技術により製造する場合、粒子の「長さ」は、押出の方向に平行な粒子の寸法である。粒子の「直径」は、押出の方向と垂直である最も大きな寸法である。
特に好ましい粒子は、2000μm未満、より好ましくは1000または800μm未満、さらに一層好ましくは650μm未満の平均直径を有する。特に好ましい粒子は、700μm未満、特に600μm未満、さらに一層詳細には500μm未満、例えば400μm未満の平均直径を有する。特に好ましい粒子は、200〜1500μm、より好ましくは400〜800μm、より一層好ましくは450〜700μm、さらに一層好ましくは500〜650μm、例えば500〜600 μmの範囲の平均直径を有する。さらなる好ましい粒子は、300μm〜400μm、400μm〜500μm、または500μm〜600μm、または600μm〜700μm、または700μm〜800μmの平均直径を有する。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形に存在する粒子は、500〜5000μm、より好ましくは750〜4600μm、より一層好ましくは1000〜4200μm、さらに一層好ましくは1250〜3800μm、さらにより好ましくは1500〜3400μm、最も好ましくは1750〜3200μm、特に2000〜3000μmの範囲の平均長さを有する。この実施態様において、本発明の医薬剤形に存在する粒子は、好ましくは、4000μm未満、より好ましくは3000μm未満、より一層好ましくは2000μm未満の平均長さ、例えば、1800μm、1600μm、1400μm、1200μmまたは1000μmの長さを有する。別の好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形に存在する粒子は、200〜1000μm、より好ましくは400〜800μm、より一層好ましくは450〜700μm、さらに一層好ましくは500〜650μm、例えば500〜600μmの範囲の平均長さを有する。この実施態様において、本発明の医薬剤形に存在する粒子は、好ましくは、1000μm未満、より好ましくは800μm未満、より一層好ましくは650μm未満の平均長さ、例えば、800μm、700μm、600μm、500μm、400μmまたは300μmの長さを有する。特に好ましい粒子は、700μm未満、特に650μm未満、さらに一層詳細には550μm未満、例えば450μm未満の平均長さを有する。粒子の最小の平均長さは、切断ステップにより決まり、例えば4.0mm、3.0mm、2.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmまたは0.2mmであることができる。
1つの好ましい実施態様において、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも2.0mm、より好ましくは少なくとも2.2mm、より一層好ましくは少なくとも2.5mm、さらに一層好ましくは少なくとも2.8mm、さらにより好ましくは少なくとも3.0mm、最も好ましくは少なくとも3.2mm、特に少なくと3.5mmまたは4.0mmの伸長(寸法)を有する。好ましくは、剤形がマルチパーティキュレートである場合、個々の薬物含有粒子は任意の方向に2.0mm超の伸長を有する。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に2.0mm超の伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に2.0mm超の伸長を有する。
特に好ましくは、本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも2.0mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも2.0mmの伸長を有する。
別の好ましい実施形態において、
−本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも2.5mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも2.2mmの伸長を有し;または
−本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも3.0mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも2.5mmの伸長を有し;または
−本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも3.5mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも2.8mmの伸長を有し;または
−本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも4.0mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも3.0mmの伸長を有し;または
−本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも4.5mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも3.2mmの伸長を有し;または
−本発明の医薬剤形は、モノリシックであり、任意の方向に少なくとも5.0mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子は任意の方向に少なくとも3.5mmまたは少なくとも4.0mmの伸長を有する。
粒子のサイズは、本技術分野において公知の任意の慣用の方法、例えばレーザー光散乱、篩分析、光学顕微鏡法または画像解析によって決定することができる。
好ましくは、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、本発明の医薬剤形に含まれる複数の粒子は、以下「aaw」と呼ぶ算術平均重量を有し、上記の複数の粒子に含まれる個々の粒子の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より一層好ましくは少なくとも80%、さらに一層好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%が、aaw±30%、より好ましくはaaw±25%、より一層好ましくはaaw±20%、さらに一層好ましくはaaw±15%、最も好ましくはaaw±10%、特にaaw±5%の範囲内の個々の重量を有する。例えば、本発明の医薬剤形が複数の100個の粒子を含み、前記複数の粒子のaawが1.00mgである場合、少なくとも75個の個々の粒子(すなわち75%)が0.70〜1.30mg(1.00mg±30%)の範囲内の個々の重量を有する。
1つの好ましい実施態様において、上記粒子、より好ましくは薬物含有粒子はそれぞれ、20mg未満、より好ましくは18mg未満、より一層好ましくは16mg未満、さらに一層好ましくは14mg未満、さらにより好ましくは12mg未満または10mg未満、最も好ましくは8mg未満、特に6もしくは4mg未満の重量を有する。この実施態様において、全ての個々の粒子はそれぞれ、好ましくは1〜19mg、より好ましくは1.5〜15mg、より一層好ましくは2.0〜12mg、さらに一層好ましくは2.2〜10mg、さらにより好ましくは2.5〜8mg、最も好ましくは2.8〜6mg、特に3〜5mgの重量を有する。
別の好ましい実施態様において、上記粒子、より好ましくは上記薬物含有粒子は各々、20mg以上の重量を有する。この実施態様において、全ての個々の粒子は好ましくは、各々が少なくとも30mg、より好ましくは少なくとも40mg、より一層好ましくは少なくとも50mg、最も好ましくは少なくとも60mg、特に少なくとも100mgの重量を有する。好ましくは、全ての個々の粒子は各々、20〜1000mg、より好ましくは30〜800mg、より一層好ましくは40〜600mg、さらに一層好ましくは50〜400mg、さらにより好ましくは60〜200mg、最も好ましくは70〜150mg、特に80〜120mgの重量を有する。この実施態様において、医薬剤形の粒子、より好ましくは医薬剤形の薬物含有粒子は、好ましくは各々、任意の所定の方向に少なくとも2.0mmまたは3.0mmの伸長を有し、少なくとも20mgの重量を有する。
1つの好ましい実施態様において、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、粒子はフィルムコーティングされていない。
別の好ましい実施態様において、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、粒子はフィルムコーティングされている。本発明の粒子は、任意選択的に、部分的にもしくは完全に慣用のコーティングとともに提供することができる。上記粒子は、好ましくは、慣用のフィルムコーティング組成物でフィルムコーティングされている。適切なコーティング材料は、例えばOpadry(登録商標)およびEudragit(登録商標)の商標で、市販されている。
適切な材料の例には、セルロースエステル類およびセルロースエーテル類、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);ポリ(メタ)アクリレート類、例えばアミノアルキルメタクリレートコポリマー、エチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー;ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルカプロラクタム−EVAコポリマー、ポリビニルアセテートおよび天然皮膜形成剤が含まれる。
上記コーティング材料は、添加剤、例えば安定剤(例えば界面活性剤、例えばマクロゴールセトステアリルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム等)を含んでいてもよい。フィルムコーティング材料の適切な添加剤は、当業者に知られている。
特に好ましい実施態様において、上記コーティングは水溶性である。
さほど好ましくはないが、上記コーティングは主に、胃液に対して耐性であることができ、放出環境のpH値の相関的要素として溶解することができる。このコーティングにより、本発明の医薬剤形が溶解せずに胃を通過し、活性化合物が腸においてのみ放出されることを確実にすることができる。胃液に耐性のコーティングは、好ましくは、5〜7.5のpH値で溶解する。活性化合物の遅延放出および胃液に耐性のコーティングの適用のための材料および方法は、例えば、Kurt H. Bauer, K. Lehmann, Hermann P. Osterwald, Rothgang, Gerhart、「Coated Pharmaceutical dosage forms − Fundamentals, Manufacturing Techniques, Biopharmaceutical Aspects, Test Methods and Raw Materials」、第1版、1998、Medpharm Scientific Publishersによって、当業者に公知である。
特に好ましいコーティングは、ポリビニルカプロラクタムならびに任意選択で、キサンタンガムおよび/または滑石などの更なる添加剤を含有する。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、粒子は、少なくとも向精神作用を有する薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマー、好ましくは持続性放出マトリックス材料としてのポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび任意選択的に追加的な持続性放出マトリックス材料、を含む持続性放出マトリックスを含む。しかしながら、好ましくは、上記粒子はさらに、追加的な薬学的添加剤、例えば酸化防止剤および可塑剤を含む。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、粒子は例えばカプセル中に緩く含まれていてよく、または外側マトリックス材料に組み込まれていてもよい。巨視的な観点から、外側マトリックス材料は好ましくは、粒子が不連続相として埋め込まれている連続相を形成する。
好ましくは、外側マトリックス材料は、好ましくは均一な密着塊であり、好ましくは粒子が埋め込まれ、それによって粒子が互いに空間的に分離されている固体の構成要素の均一な混合物である。粒子の表面は互いに接しているか、または少なくとも非常に近くに近接していることがあり得るが、当該複数の粒子は、好ましくは、医薬剤形内の単一の連続的な密着塊とみなすことはできない。
すなわち、医薬剤形がマルチパーティキュレートであり、粒子が外側マトリックス材料に含まれる場合、本発明の医薬剤形は、好ましくは、薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーが含まれる第1のタイプの体積要素(単数または複数)として上記粒子を、ならびに上記粒子を形成する材料とは異なり、好ましくは薬理活性成分もポリエチレングリコールグラフトコポリマーも含まない第2のタイプの体積要素として上記外側マトリックス材料を含む。
医薬剤形がマルチパーティキュレートであり、粒子が外側マトリックス材料に含まれる場合、粒子と外側マトリックス材料との相対重量比は特に限定されない。好ましくは、上記の相対重量比は、1:1.00±0.75、より好ましくは1:1.00±0.50、より一層好ましくは1:1.00±0.40、さらにより好ましくは1:1.00±0.30、最も好ましくは1:1.00±0.20、特に1:1.00±0.10の範囲内である。
好ましくは、外側マトリックス材料の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、少なくとも2.5重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7.5重量%または少なくとも10重量%;少なくとも12.5重量%、少なくとも15重量%、少なくとも17.5重量%または少なくとも20重量%;少なくとも22.5重量%、少なくとも25重量%、少なくとも27.5重量%または少なくとも30重量%;少なくとも32.5重量%、少なくとも35重量%、少なくとも37.5重量%または少なくとも40重量%;より好ましくは少なくとも42.5重量%、少なくとも45重量%、少なくとも47.5重量%または少なくとも50重量%;より一層好ましくは少なくとも52.5重量%、少なくとも55重量%、少なくとも57.5重量%または少なくとも60重量%;さらにより好ましくは少なくとも62.5重量%、少なくとも65重量%、少なくとも67.5重量%または少なくとも60重量%;最も好ましくは少なくとも72.5重量%、少なくとも75重量%、少なくとも77.5重量%または少なくとも70重量%;特に少なくとも82.5重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87.5重量%または少なくとも90重量%である。
好ましくは、外側マトリックス材料の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、最大で90重量%、最大で87.5重量%、最大で85重量%、または最大で82.5重量%;より好ましくは最大で80重量%、最大で77.5重量%、最大で75重量%または最大で72.5重量%;より一層好ましくは最大で70重量%、最大で67.5重量%、最大で65重量%または最大で62.5重量%;さらにより好ましくは最大で60重量%、最大で57.5重量%、最大で55重量%または最大で52.5重量%;最も好ましくは最大で50重量%、最大で47.5重量%、最大で45重量%または最大で42.5重量%;特に最大で40重量%、最大で37.5重量%、または最大で35重量%である。
好ましくは、外側マトリックス材料は、混合物、好ましくは少なくとも2つの異なる構成要素の均一な混合物、より好ましくは少なくとも異なる3つの構成要素の均一な混合物である。1つの好ましい実施態様において、外側マトリックス材料の全ての構成要素は、外側マトリックス材料によって形成される連続相に均一に分布する。
好ましくは、外側マトリックス材料はまた、微粒子の形態で提供され、すなわち、本発明の医薬剤形の製造の過程において、該外側マトリックス材料の構成成分は、好ましくは粒子に加工され、続いて、薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む粒子と混合され、その後医薬剤形に圧縮される。
好ましくは、外側マトリックス材料の粒子の平均サイズは、薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む粒子の平均サイズの±60%、より好ましくは±50%、より一層好ましくは±40%、さらに一層好ましくは±30%、最も好ましくは±20%、特に±10%の範囲内である。
外側マトリックス材料の粒子は、造粒および圧縮などの、粉末混合物からの凝集体および集合体の調製のための従来の方法により製造することができる。
好ましい実施形態において、外側マトリックス材料の全成分の混合物がブレンドされ、予め圧縮されることにより、予め圧縮された外側マトリックス材料が得られる。
外側マトリックス材料は、好ましくは、薬理活性成分を含まない。
好ましくは、外側マトリックス材料は、賦形剤(filler)または結合剤(binder)を含む。多くの賦形剤は結合剤とみなすことができ、その逆も同じであるので、本明細書の目的に関して、「賦形剤/結合剤」は、賦形剤、結合剤またはその両方として適する任意の添加剤を指す。したがって、外側マトリックス材料は、好ましくは賦形剤/結合剤を含む。
好ましい賦形剤(=賦形剤/結合剤)は、二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(登録商標))、微晶質セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Elcema(登録商標)、Emocel(登録商標)、ExCel(登録商標)、Vitacell(登録商標));セルロースエーテル(例えば、Natrosol(登録商標)、Klucel(登録商標)、Methocel(登録商標)、Blanose(登録商標)、Pharmacoat(登録商標)、Viscontran(登録商標));マンニトール;デキストリン;デキストロース;リン酸水素カルシウム(例えば、Emcompress(登録商標));マルトデキストリン(例えば、Emdex(登録商標));ラクトース(例えば、Fast−Flow Lactose(登録商標)、Ludipress(登録商標)、Pharmaceutical dosage formtose(登録商標)、Zeparox(登録商標));ポリビニルピロリドン(PVP)(例えば、Kollidone(登録商標)、Polyplasdone(登録商標)、Polydone(登録商標));サッカロース(例えば、Nu−Tab(登録商標)、Sugar Tab(登録商標));マグネシウム塩(例えば、MgCO、MgO、MgSiO);デンプンおよび前処理デンプン(例えば、Prejel(登録商標)、Primotab(登録商標)ET、Starch(登録商標)1500)からなる群から選択される。好ましい結合剤は、アルギン酸塩、キトサンおよび上記に記述された賦形剤(=賦形剤/結合剤)のいずれかからなる群から選択される。
幾つかの賦形剤/結合剤は、他の目的を果たすこともできる。例えば、二酸化ケイ素はグライダントとして優れた機能を示す。従って、好ましくは、外側マトリックス材料は、グライダント、例えば二酸化ケイ素を含む。
1つの好ましい実施態様において、外側マトリックス材料における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、外側マトリックス材料の全重量を基準として、50±25重量%、より好ましくは50±20重量%、より一層好ましくは50±15重量%、さらにより好ましくは50±10重量%、最も好ましくは50±7.5重量%、特に50±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、外側マトリックス材料における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、外側マトリックス材料の全重量を基準として、65±25重量%、より好ましくは65±20重量%、より一層好ましくは65±15重量%、さらにより好ましくは65±10重量%、最も好ましくは65±7.5重量%、特に65±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、外側マトリックス材料における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、外側マトリックス材料の全重量を基準として、80±19重量%、より好ましくは80±17.5重量%、より一層好ましくは80±15重量%、さらにより好ましくは80±10重量%、最も好ましくは80±7.5重量%、特に80±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、外側マトリックス材料における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、外側マトリックス材料の全重量を基準として、90±9重量%、より好ましくは90±8重量%、より一層好ましくは90±7重量%、さらにより好ましくは90±6重量%、最も好ましくは90±5重量%、特に90±4重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、医薬剤形における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、25±24重量%、より好ましくは25±20重量%、より一層好ましくは25±16重量%、さらにより好ましくは25±12重量%、最も好ましくは25±8重量%、特に25±4重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、医薬剤形における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、30±29重量%、より好ましくは30±25重量%、より一層好ましくは30±20重量%、さらにより好ましくは30±15重量%、最も好ましくは30±10重量%、特に30±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、医薬剤形における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、35±34重量%、より好ましくは35±28重量%、より一層好ましくは35±22重量%、さらにより好ましくは35±16重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±4重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、医薬剤形における賦形剤/結合剤または賦形剤/結合剤の混合物の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、40±39重量%、より好ましくは40±32重量%、より一層好ましくは40±25重量%、さらにより好ましくは40±18重量%、最も好ましくは40±11重量%、特に40±4重量%の範囲内である。
好ましくは、賦形剤/結合剤は、外側マトリックス材料に含有されるが、本発明の医薬剤形の薬物含有粒子には含有されない。
好ましくは、外側マトリックス材料は、好ましくはステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;グリセロールモノベヘネート(例えば、Compritol(登録商標));Myvatex(登録商標);Precirol(登録商標);Precirol(登録商標)Ato5;フマル酸ステアリルナトリウム(例えば、Pruv(登録商標));および滑石からなる群から選択される、希釈剤または滑沢剤を含む。ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。好ましくは、外側マトリックス材料における滑沢剤の含有量は、外側マトリックス材料の全重量を基準として、および医薬剤形の全重量を基準として、最大で10.0重量%、より好ましくは最大で7.5重量%、より一層好ましくは最大で5.0重量%、さらに一層好ましくは最大で2.0重量%、さらにより好ましくは最大で1.0重量%、最も好ましくは最大で0.5重量%である。
特に好ましい実施形態において、外側マトリックス材料は、賦形剤/結合剤と滑沢剤との組合せを含む。
本発明の医薬剤形の外側マトリックス材料は、当該技術分野において慣用の他の添加剤、例えば、希釈剤、結合剤、顆粒化助剤、着色剤、芳香剤、グライダント、湿潤調整剤および崩壊剤を追加的に含有することができる。当業者は、これらの添加剤それぞれの適切な量を容易に決定することができる。
しかし、好ましい実施形態において、本発明の医薬剤形の外側マトリックス材料は、1つまたは複数の崩壊剤、1つまたは複数の賦形剤/結合剤および1つまたは複数の滑沢剤からなり、その他の構成要素を含有しない。
特に好ましい実施形態において、本発明の医薬剤形の外側マトリックス材料は、1つまたは複数のゲル形成剤および/またはシリコーンを含有しない。
本明細書で使用されるとき、用語「ゲル形成剤」は、溶媒(例えば、水)と接触したとき、溶媒を吸収し、膨張して、粘性または半粘性物質を形成する化合物を指すために使用される。好ましいゲル形成剤は、架橋されていない。この物質は、水性と水性アルコール性の両方の媒体において、埋め込まれた粒子からの薬理活性成分の放出を和らげることができる。完全に水和されると、可溶化された薬理活性成分の量を含有することができシリンジへ引き込むことができる遊離溶媒の量を大幅に低減するおよび/または最小限にする濃厚な粘性溶液または分散体が、典型的に生成される。形成されるゲルは、ゲル構造内に薬理活性成分を閉じ込めることによって、溶媒により抽出可能な薬理活性成分の全体量を低減することもできる。したがって、ゲル形成剤は、本発明の医薬剤形に改変防止性を付与する重要な役割を果たすことができる。
好ましくは外側マトリックス材料に含有されないゲル形成剤には、薬学的に許容可能なポリマー、典型的にはヒドロゲルなどの親水性ポリマーが含まれる。ゲル形成剤の代表的な例には、ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリ(ウロン)酸およびこれらの混合物が含まれる。
医薬剤形が薬理活性成分が埋め込まれた持続性放出マトリックスを含む場合、好ましくは、持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、すなわち持続性放出マトリックス材料および任意選択的に存在する追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、5〜95重量%、より好ましくは15〜90重量%、より一層好ましくは25〜88重量%、さらに一層好ましくは35〜86重量%、さらにより好ましくは45〜84重量%、最も好ましくは55〜82重量%、特に60〜80重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、少なくとも20重量%または少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、より一層好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%である。
1つの好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、30±20重量%、より好ましくは30±15重量%、最も好ましくは30±10重量%、特に30±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、35±20重量%、より好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、40±20重量%、より好ましくは40±15重量%、最も好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、45±20重量%、より好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、50±20重量%、より好ましくは50±15重量%、最も好ましくは50±10重量%、特に50±5重量%の範囲内である。さらなる好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、55±20重量%、より好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、60±20重量%、より好ましくは60±15重量%、最も好ましくは60±10重量%、特に60±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、65±20重量%、より好ましくは65±15重量%、最も好ましくは65±10重量%、特に65±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、70±20重量%、より好ましくは70±15重量%、最も好ましくは70±10重量%、特に70±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、75±20重量%、より好ましくは75±15重量%、最も好ましくは75±10重量%、特に75±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、持続性放出マトリックスの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、80±20重量%、より好ましくは80±15重量%、最も好ましくは80±10重量%、特に80±5重量%の範囲内である。
好ましくは、持続性放出マトリックスと薬理活性成分との相対重量比は、20:1〜1:20、より好ましくは15:1〜1:15、より一層好ましくは10:1〜1:10、さらにより好ましくは7:1〜1:7、最も好ましくは5:1〜1:5、特に3:1〜1:1の範囲内である。
医薬剤形がマルチパーティキュレートであるか否かに拘わらず、本発明の医薬剤形は、向精神作用を有する薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む。
特に好ましくは、本発明の医薬剤形は、薬理活性成分が埋め込まれる、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを持続性放出マトリックス材料として含有する持続性放出マトリックスを含む。
好ましくは、本発明のグラフトポリマーは、一方のコンポジットの線状の骨格および他方のコンポジットのランダムに分布した側鎖を有するセグメント化コポリマー(segmented copolymer)である。側鎖は好ましくは主鎖と構造的に異なるが、個々のグラフト鎖は、ホモポリマーまたはコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。
好ましくは、本発明におけるポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、二元ポリマー(すなわち2種の異なるコモノマーに由来)または三元ポリマー(すなわち3種の異なるコモノマーに由来)である。
1つの好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、オキシランまたはエチレングリコールに由来する繰り返し単位(エチレングリコール繰り返し単位)を含み、その結果それは別のコンポジットの側鎖によってグラフトされたポリエチレングリコール骨格を含み、ここで上記の別のコンポジットは好ましくは、ビニルアセテート(ビニルアセテート繰り返し単位)および/またはビニルカプロラクタム(ビニルカプロラクタム繰り返し単位)から誘導される。
好ましくは、上記ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、好ましくはポリビニルアセテートブロックおよびポリビニルカプロラクタムブロックから誘導されたブロックコポリマーでポリエチレングリコール骨格がグラフトされているブロックコポリマーである。好ましくは、ポリビニルカプロラクタムブロックは、ポリビニルアセテートブロックを通してポリエチレングリコール骨格に連結される。
ポリビニルカプロラクタム−ポリビニルアセテート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(PCA−PVA−PEG)は、好ましくは、少なくとも1つのポリビニルカプロラクタムブロック、少なくとも1つのポリビニルアセテートブロックおよび少なくとも1つのポリエチレングリコールブロックを含むポリマーを含み、少なくとも1つのブロックが別のタイプのブロックから分岐している。
適切なポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、当業者に知られており、市販されている。特に有用なポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、Soluplus(登録商標)、BASF(CAS No.402932−23−4)である。Soluplusは、ポリビニルカプロラクタム−ポリビニルアセテート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。それはかすかな特有のにおいを有する自由流動性の白色〜わずかに黄色がかった顆粒であり、実質的に味を有しない。
好ましくは、本発明によるポリエチレングリコールグラフトコポリマーは一般式(I)を有する
Figure 2018503693
[式中、
添え字lは、10〜10,000、100〜900 100〜500または500〜900であり;
添え字mは、20〜20,000、150〜1500 200〜800または800〜1500であり;そして
添え字nは、30〜30,000、300〜3000、300〜1000、1000〜2000または2000〜3000である]。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー内のエチレングリコール繰り返し単位の相対モル含有量は、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー内のビニルアセテート繰り返し単位および/またはビニルカプロラクタム繰り返し単位の相対モル含有量よりも大きい。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、より一層好ましくは少なくとも25重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、さらに一層好ましくは少なくとも35重量%、最も好ましくは少なくとも40重量%、特に少なくとも45重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。特に好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも52重量%、より一層好ましくは少なくとも54重量%、さらにより好ましくは少なくとも55重量%、さらに一層好ましくは少なくとも56重量%、最も好ましくは少なくとも57重量%、特に少なくとも58重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも62重量%、より一層好ましくは少なくとも64重量%、さらにより好ましくは少なくとも66重量%、さらに一層好ましくは少なくとも68重量%、最も好ましくは少なくとも69重量%、特に少なくとも70重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、少なくとも72重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、より一層好ましくは少なくとも78重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらに一層好ましくは少なくとも82重量%、最も好ましくは少なくとも84重量%、特に少なくとも86重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、30〜99重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。特に好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、50〜95重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。
好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、30±25重量%、より好ましくは30±20重量%、より一層好ましくは30±17重量%、さらにより好ましくは30±13重量%、さらに一層好ましくは30±10重量%、最も好ましくは30±7重量%、特に30±5重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、40±35重量%、より好ましくは40±30重量%、より一層好ましくは40±25重量%、さらにより好ましくは40±20重量%、さらに一層好ましくは40±15重量%、最も好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、50±45重量%、より好ましくは50±35重量%、より一層好ましくは50±25重量%、さらにより好ましくは50±20重量%、さらに一層好ましくは50±15重量%、最も好ましくは50±10重量%、特に50±5重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、60±35重量%、より好ましくは60±30重量%、より一層好ましくは60±25重量%、さらにより好ましくは60±20重量%、さらに一層好ましくは60±15重量%、最も好ましくは60±10重量%、特に60±5重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。さらなる好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、70±25重量%、より好ましくは70±20重量%、より一層好ましくは70±17重量%、さらにより好ましくは70±13重量%、さらに一層好ましくは70±10重量%、最も好ましくは70±7重量%、特に70±5重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、80±15重量%、より好ましくは80±12重量%、より一層好ましくは80±10重量%、さらにより好ましくは80±8重量%、さらに一層好ましくは80±6重量%、最も好ましくは80±4重量%、特に80±2重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、90±15重量%、より好ましくは90±12重量%、より一層好ましくは90±10重量%、さらにより好ましくは90±8重量%、さらに一層好ましくは90±6重量%、最も好ましくは90±4重量%、特に90±2重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含む。
好ましくは、ビニルアセテート繰り返し単位とビニルカプロラクタム繰り返し単位とのモル比は、1000:1〜1:1000、より好ましくは900:1〜1:900、より一層好ましくは500:1〜1:500、さらにより好ましくは300:1〜1:300、さらに一層好ましくは200:1〜1:200、最も好ましくは100:1〜100:1、特に10:1〜1:10の範囲内である。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定した場合に、115,000±100,000g/mol、より好ましくは115,000±80,000g/mol、より一層好ましくは115,000±70,000g/mol、さらに一層好ましくは115,000±60,000g/mol、さらにより好ましくは115,000±50,000g/mol、最も好ましくは115,000±40,000g/mol、特に115,000±35,000g/molの範囲内の平均分子量を有する。一部の実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、1,000g/mol〜5,000,000g/mol、10,000g/mol〜500,000g/mol、または90,000g/mol〜140,000g/mmolの平均分子量を有する。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、8±6ppm、より好ましくは8±5ppm、より一層好ましくは8±4ppm、さらに一層好ましくは8±3ppm、さらにより好ましくは8±2ppm、最も好ましくは8±1.5ppm、特に8±1ppmの範囲内の臨界ミセル濃度を有する。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、70±35℃、より好ましくは70±30℃、より一層好ましくは70±25℃、さらに一層好ましくは70±20℃、さらにより好ましくは70±15℃、最も好ましくは70±10℃、特に70±5℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、単一のポリエチレングリコールグラフトコポリマー、あるいは異なるポリエチレングリコールグラフトコポリマー、例えば2、3、4または5種のポリエチレングリコールグラフトコポリマー、例えば、同一の化学的性質であるが異なる分子量のポリエチレングリコールグラフトコポリマー、異なる化学的性質であるが同一の分子量のポリエチレングリコールグラフトコポリマーまたは異なる化学的性質および異なる分子量のポリエチレングリコールグラフトコポリマーの混合物(ブレンド)を含むことができる。1つの好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、単一のポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む。
1つの好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、本発明の医薬剤形に均一に分布される。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、好ましくは、薬理活性成分を含む本発明の粒子中に均一に分布される。好ましくは、薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、医薬剤形および粒子がそれぞれ、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの不存在下で薬理活性成分が存在するかまたは薬理活性成分の不存在下でポリエチレングリコールグラフトコポリマーが存在するかのいずれかであるセグメントを含まないように、それぞれ医薬剤形および粒子中に密接に均一に分布される。
医薬剤形および粒子がそれぞれフィルムコーティングされる場合、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、好ましくは、それぞれ医薬剤形および粒子のコアに均一に分布し、すなわち、フィルムコーティングは好ましくはポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含まない。それにもかかわらず、フィルムコーティング自体はもちろん、1種または複数種のポリマーを含んでいてもよく、ただし、該ポリマーは好ましくはコアに含まれるポリエチレングリコールグラフトコポリマーとは異なる。
ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、好ましくは、医薬剤形の全重量に対して、25〜95重量%、より好ましくは25〜94重量%、より一層好ましくは25〜93重量%、さらに一層好ましくは25〜92重量%、最も好ましくは25〜91重量%、特に25〜90重量%の範囲内である。医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、これらのパーセントの値は、好ましくは、粒子の全重量に対するものであり、医薬剤形の全重量に対するものではない。
1つの特に好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、25〜80重量%、より好ましくは25〜78重量%、より一層好ましくは30〜76重量%、さらにより好ましくは35〜74重量%、最も好ましくは40〜72重量%、特に45〜70重量%である。
1つの好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%、より一層好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも55重量%、特に少なくとも60重量%である。
1つの好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、30±5重量%である。別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、40±15重量%、好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%である。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、50±25重量%、より一層好ましくは50±20重量%、さらにより好ましくは50±15重量%、最も好ましくは50±10重量%、特に50±5重量%である。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、55±20重量%、さらにより好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%である。さらなる好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、60±35重量%、より好ましくは60±30重量%、より一層好ましくは60±25重量%、さらにより好ましくは60±20重量%、さらに一層好ましくは60±15重量%、最も好ましくは60±10重量%、特に60±5重量%である。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、65±30重量%、より好ましくは65±25重量%、より一層好ましくは65±20重量%、さらにより好ましくは65±15重量%、さらに一層好ましくは65±10重量%、最も好ましくは65±7重量%、特に65±5重量%である。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、70±25重量%、より好ましくは70±20重量%、より一層好ましくは70±17重量%、さらにより好ましくは70±13重量%、さらに一層好ましくは70±10重量%、最も好ましくは70±7重量%、特に70±5重量%である。さらに別の好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、80±15重量%、より好ましくは80±12重量%、より一層好ましくは80±10重量%、さらにより好ましくは80±8重量%、さらに一層好ましくは80±6重量%、最も好ましくは80±4重量%、特に80±2重量%である。
医薬剤形が持続性放出マトリックス材料としてポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む持続性放出マトリックスを含む場合、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、好ましくは、持続性放出マトリックスの全重量、すなわち持続性放出マトリックス材料および任意選択的に存在する追加的な持続性放出マトリックス材料の全重量に対して、5〜100重量%、より好ましくは20〜98重量%、より一層好ましくは35〜96重量%、さらに一層好ましくは45〜95重量%、さらにより好ましくは55〜94重量%、最も好ましくは65〜93重量%、特に75〜92重量%の範囲内である。
好ましくは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーと薬理活性成分との相対重量比は、20:1〜1:20、より好ましくは15:1〜1:15、より一層好ましくは10:1〜1:10、さらにより好ましくは7:1〜1:7、最も好ましくは5:1〜1:5、特に3:1〜1:1の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形が持続性放出マトリックスを含む場合、持続性放出マトリックスは今度は持続性放出マトリックス材料、すなわちポリエチレングリコールグラフトコポリマーの他に追加的な持続性放出マトリックス材料を含む。従って、上記の追加的な持続性放出マトリックス材料は、本発明の医薬剤形の持続性放出マトリックスの持続性放出マトリックス材料から区別されるべきである。
好ましくは、上記の追加的な持続性放出マトリックス材料は、ポリアルキレンオキシド類、アクリルポリマー、架橋アクリルポリマー、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物、ロウ状物質、ポリアルキレングリコール類、天然多糖類、例えばセルロース、セルロース誘導体およびキサンタンガムを含む群から選択されるポリマーである。
追加的な持続性放出マトリックス材料の含有量は、持続性放出マトリックスの全重量に対して、1〜90重量%、より好ましくは72〜80重量%、より一層好ましくは3〜70重量%、さらに一層好ましくは3.5〜60重量%、さらにより好ましくは4〜50重量%、最も好ましくは4.5〜40重量%、特に5〜30重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、より一層好ましくは少なくとも10重量%、さらにより好ましくは少なくとも15重量%、特に少なくとも20重量%である。
追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、1〜60重量%、より好ましくは2〜45重量%、より一層好ましくは3〜35重量%、さらに一層好ましくは4〜28重量%、さらにより好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは5〜22重量%、特に5〜20重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、5±4重量%、より好ましくは5±3重量%、最も好ましくは5±2重量%、特に5±1重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、7.5±6重量%、より好ましくは7.5±4重量%、最も好ましくは7.5±3重量%、特に7.5±2重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、10±8重量%、より好ましくは10±6重量%、最も好ましくは10±4重量%、特に10±2重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、15±12重量%、より好ましくは15±10重量%、最も好ましくは15±7重量%、特に15±3重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、20±16重量%、より好ましくは20±12重量%、最も好ましくは20±8重量%、特に20±4重量%の範囲内である。さらなる好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、25±20重量%、より好ましくは25±15重量%、最も好ましくは25±10重量%、特に25±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、30±20重量%、より好ましくは30±15重量%、最も好ましくは30±10重量%、特に30±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、35±20重量%、より好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、40±20重量%、より好ましくは40±15重量%、最も好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、45±20重量%、より好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、50±20重量%、より好ましくは50±15重量%、最も好ましくは50±10重量%、特に50±5重量%の範囲内である。
好ましくは、追加的な持続性放出マトリックス材料と薬理活性成分との相対重量比は、20:1〜1:20、より好ましくは10:1〜1:15、より一層好ましくは7:1〜1:10、さらにより好ましくは5:1〜1:7、最も好ましくは1:1〜1:5、特に1:2〜1:5の範囲内である。
好ましくは、追加的な持続性放出マトリックス材料と持続性放出マトリックスの持続性放出マトリックス材料との相対重量比は、20:1〜1:20、より好ましくは10:1〜1:18、より一層好ましくは7:1〜1:16、さらにより好ましくは5:1〜1:14、最も好ましくは1:1〜1:12、特に1:5〜1:10の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は、持続性放出マトリックスを含み、当該マトリックスは今度は以下を含む:
(i)ポリエチレングリコールグラフトコポリマー;および
(ii)好ましくはセルロースエーテル類、ポリアルキレンオキシド類、架橋アクリルポリマーならびにポリビニルアセテートおよびポリビニルピロリドンをベースとするマトリックスからなる群から選択されるポリマーである追加的な持続性放出マトリックス材料;
ここで、
(iii)持続性放出マトリックス材料の相対重量含有量は、好ましくは、追加的な持続性放出マトリックス材料の相対重量含有量より大きい。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料はポリアルキレンオキシド、好ましくはポリエチレンオキシドであり、特に好ましくは少なくとも500,000g/molの重量平均分子量を有する。
持続性放出マトリックスの追加的な持続性放出マトリックス材料がポリアルキレンオキシドを含む場合、それは好ましくは、他の追加的な持続性放出マトリックス材料をさらに含まない。
好ましくは、ポリアルキレンオキシドは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド、またはそれらのコポリマーまたは混合物から選択される。
好ましくは、ポリアルキレンオキシドは、200,000g/mol超または少なくとも500,000g/mol、好ましくは少なくとも1,000,000g/molまたは少なくとも2,500,000g/molの、より好ましくは1,000,000g/mol〜15,000,000g/molの範囲の、最も好ましくは5,000,000g/mol〜10,000,000g/molの範囲の、重量平均分子量(M)、好ましくはまた粘度平均分子量(Mη)を有する。MおよびMηを決定するための適切な方法は当業者に知られている。Mηは好ましくはレオロジー測定により決定され、一方Mはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。
好ましくは、ポリアルキレンオキシドの分子量分散度M/Mηは、2.5±2.0、より好ましくは2.5±1.5、より一層好ましくは2.5±1.0、さらにより好ましくは2.5±0.8、最も好ましくは2.5±0.6、特に2.5±0.4の範囲内である。
ポリアルキレンオキシドは、1重量%水溶液において測定される、30〜17,600mPa・s、より好ましくは55〜17,600mPa・s、さらに好ましくは600〜17,600mPa・s、より一層好ましくは4,500〜17,600mPa・s、さらに一層好ましくは4,500〜12,000mPa・s、最も好ましくは5,000〜10,500mPa・s、特に5,500〜7,500mPa・sまたは7,500〜10,000mPa・sの、25℃での粘度を有する。
ポリアルキレンオキシドは、特定の平均分子量を有する単一のポリアルキレンオキシド、あるいは異なるポリマー、例えば2、3、4または5種のポリマー、例えば、同一の化学的性質であるが異なる分子量のポリマー、異なる化学的性質であるが同一の分子量のポリマーまたは異なる化学的性質および異なる分子量のポリマーの混合物(ブレンド)を含むことができる。
本明細書の目的に関して、ポリアルキレングリコールは20,000g/molまでの分子量を有し、ポリアルキレンオキシドは20,000g/mol超の分子量を有する。好ましくは、医薬剤形に含まれる全てのポリアルキレンオキシドの重量平均の全体の分子量は、200,000g/molより大きい。従って、ポリアルキレングリコール(存在する場合)は、好ましくは、ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量を決定する際に考慮されない。
特に好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、ポリアルキレンオキシド、より好ましくはポリアルキレンオキシドであり、5,000,000g/mol〜10,000,000g/molの範囲内の、重量平均分子量(M)、好ましくはまた粘度平均分子量(Mη)を有する。
ポリアルキレンオキシドの全体の含有量は、好ましくは、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、1〜60重量%、より好ましくは3〜45重量%、より一層好ましくは5〜35重量%、さらに一層好ましくは7〜28重量%、さらにより好ましくは8〜25重量%、最も好ましくは9〜22重量%、特に10〜20重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、ポリアルキレンオキシドの全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、15±12重量%、より好ましくは15±10重量%、最も好ましくは15±7重量%、特に15±3重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物である。
持続性放出マトリックスの追加的な持続性放出マトリックス材料がポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物を含む場合、それは好ましくは、他の追加的な持続性放出マトリックス材料をさらに含まない。
好ましくは、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物は、10〜30重量%のポリビニルピロリドンおよび70〜90重量%のポリビニルアセテート、より好ましくは18〜21重量%のポリビニルピロリドンおよび75〜85重量%のポリビニルアセテート、最も好ましくは19重量%のポリビニルピロリドンおよび80重量%のポリビニルアセテートを含む。
ポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンとの間の重量比は、好ましくは、20:1〜1:20、より好ましくは16:1〜1:10、より一層好ましくは13:1〜1:5、さらにより好ましくは10:1〜1:2、さらに一層好ましくは7:1〜1:1、最も好ましくは5:1〜2:1、特に4.5:1〜3.5:1の範囲内である。
好ましくは、ポリビニルアセテートは、450,000±100,000g/mol、より好ましくは450,000±80,000g/mol、より一層好ましくは450,000±50,000g/mol、さらに一層好ましくは450,000±10,000g/mol、さらにより好ましくは450,000±1,000g/mol、最も好ましくは450,000±500g/mol、特に450,000±100g/molの重量平均分子量(M)を有する。Mは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。
好ましくは、ポリビニルピロリドンは、50,000±10,000g/mol、より好ましくは50,000±8,000g/mol、より一層好ましくは50,000±5,000g/mol、さらに一層好ましくは50,000±1,000g/mol、さらにより好ましくは50,000±800g/mol、最も好ましくは50,000±500g/mol、特に50,000±100g/molの重量平均分子量(M)を有する。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物の重量平均分子量(M)は、米国薬局方および欧州薬局方のモノグラフ「Povidone」に記載される方法に従いテトラヒドロフランにおける1%溶液で測定されるK値として表すことができ、K値は好ましくは、40〜80、より好ましくは45〜78、さらに一層好ましくは50〜75、最も好ましくは55〜70、特に60〜65の範囲内である。
好ましくは、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物のガラス転移温度(T)は、35±10℃、より好ましくは35±6℃、最も好ましくは35±3℃の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、上記の追加的な持続性放出マトリックス材料は、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物であり、ここで上記混合物は米国薬局方および欧州薬局方のモノグラフ「Povidone」に記載される方法に従いテトラヒドロフランにおける1%溶液で測定される60〜65の範囲のK値を有し、および/またはポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの重量比は4.5:1〜3.5:1の範囲内である。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物の全体の含有量は、好ましくは、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、1.0〜60重量%、より好ましくは2.0〜50重量%、より一層好ましくは3.0〜40重量%、さらに一層好ましくは3.5〜30重量%、さらにより好ましくは4.0〜25重量%、最も好ましくは4.5〜20重量%、特に5〜15重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、10±8重量%、より好ましくは10±6重量%、最も好ましくは10±4重量%、特に10±2重量%の範囲内である。
本発明の医薬剤形における使用のために適切であるポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセテートの混合物は、例えばBASFから例えばKollidon(登録商標)SRが市販されている。この製品の特性に関する詳細については、例えば製品仕様書を参照することができる。
別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、アクリルポリマーである。
持続性放出マトリックスの追加的な持続性放出マトリックス材料がアクリルポリマーを含む場合、それは好ましくは、他の追加的な持続性放出マトリックス材料をさらに含まない。
好ましくは、アクリルポリマーは、100,000g/mol〜2,000,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有する。1つの好ましい実施態様において、アクリルポリマーは、少なくとも150,000または少なくとも200,000g/mol、好ましくは少なくとも250,000g/molまたは少なくとも300,000g/molの、より好ましくは300,000g/mol〜2,000,000g/molの範囲の、最も好ましくは300,000g/mol〜1,000,000g/molの範囲の、重量平均分子量(M)または粘度平均分子量(Mη)を有する。MおよびMηを決定するための適切な方法は当業者に知られている。Mηは好ましくはレオロジー的測定により決定され、一方Mはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。
アクリルポリマーは、ノニオン性アクリルポリマーまたはイオン性アクリルポリマーであることができる。本明細書の目的に関して、「ノニオン性ポリマー」は、1モル%を超えるイオン性、すなわちアニオン性もしくはカチオン性のモノマー単位を含まない、好ましくはイオン性モノマー単位を全く含まないポリマーを表す。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、イオン性アクリルポリマーである。
好ましいイオン性アクリルポリマーは、アニオン性アクリルポリマーである。好ましいアニオン性アクリルポリマーには、1種または2種の異なるC1−4−アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性アニオン性モノマー(例えばアクリル酸)のホモポリマーまたはコポリマーが含まれるが、これらに限定はされない。
本明細書の目的に関して、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表す。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、アニオン性アクリルポリマー、好ましくはポリアクリル酸である。この実施態様において、ポリアクリル酸は、好ましくは、25℃およびpH7.3〜7.8に中和された0.5重量%で、Brookfield RVT、20rpm、スピンドルno.5を用いて測定される、2,000〜20,000mPa・s、より好ましくは3,000〜18,000mPa・s、さらに好ましくは3,500〜16,000mPa・s、より一層好ましくは3,600〜14,000mPa・s、さらに一層好ましくは3,700〜13,000mPa・s、最も好ましくは3,800〜12,000mPa・s、特に4,000〜11,000mPa・sの範囲内の粘度を有する。
上記アクリルポリマー、好ましくはアニオン性アクリルポリマー、より好ましくはポリアクリル酸ポリマーは、任意選択的に架橋されていることができる。好ましい架橋剤には、アリルペンタエリスリトール、アリルスクロース、エチレングリコールジ(メタクリレート)、メチレンビスアクリルアミドおよびジビニルベンゼンが含まれる。
特に好ましい実施態様において、アニオン性アクリルポリマーは、架橋されており(好ましくはアリルペンタエリスリトールで)、25℃およびpH7.3〜7.8に中和された0.5重量%で、Brookfield RVT、20rpm、スピンドルno.5を用いて測定される4,000〜11,000mPa・sの粘度を有する、ポリアクリル酸ポリマーである。
好ましくは、アニオン性アクリルポリマー、好ましくはポリアクリル酸、より好ましくは架橋されたポリアクリル酸の全体の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、1.0〜60重量%、より好ましくは2.0〜50重量%、より一層好ましくは3.0〜40重量%、さらに一層好ましくは3.5〜30重量%、さらにより好ましくは4.0〜20重量%、最も好ましくは4.5〜15重量%、特に5.0〜12重量%の範囲内である。
本発明の医薬剤形における使用に適切なポリアクリル酸ポリマーは、例えばLubrizolから例えばCarbopol(登録商標)71G、Carbopol(登録商標)971P、Carbopol(登録商標)981およびCarbopol(登録商標)941が、市販されている。これらの製品の特性に関する詳細については、例えば製品仕様書を参照することができる。
他の好ましいアニオン性アクリルポリマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびメタクリル酸の三元コポリマーである。好ましくは、アニオン性アクリルポリマーは、280,000±250,000g/mol、より好ましくは280,000±200,000g/mol、より一層好ましくは280,000±180,000g/mol、さらに一層好ましくは280,000±160,000g/mol、さらにより好ましくは280,000±140,000g/mol、最も好ましくは280,000±120,000g/mol、特に280,000±100,000g/molの重量平均分子量を有する。
別の好ましいイオン性アクリルポリマーは、カチオン性アクリルポリマーである。好ましいカチオン性アクリルポリマーには、1種または2種の異なるC1−4−アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性カチオン性モノマー(例えばトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)のコポリマーが含まれるが、これらに限定はされない。好ましい代表例は、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよび低含有量の四級アンモニウム基を有するメタクリル酸エステル、好ましくはトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドの三元コポリマーである。好ましくは、カチオン性アクリルポリマーは、32,000±30,000g/mol、より好ましくは32,000±27,000g/mol、より一層好ましくは32,000±23,000g/mol、さらに一層好ましくは32,000±20,000g/mol、さらにより好ましくは32,000±17,000g/mol、最も好ましくは32,000±13,000g/mol、特に32,000±10,000g/molの重量平均分子量を有する。
別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、ノニオン性アクリルポリマーである。
本発明の医薬剤形における使用のために適切であるノニオン性アクリルポリマーは、例えばEvonikから市販されている。例えば、ポリ(エチルアクリレート−co−メチルメタクリレート)2:1の水性分散体として提供さているEudragit(登録商標)NE30D、Eudragit(登録商標)NE40DおよびEudragit(登録商標)NM30Dを、本発明の医薬剤形において使用することができる。これらの製品の特性に関する詳細については、例えば製品仕様書を参照することができる。
別の好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、ロウ状の材料である。
好ましくは、ロウ状の材料は、以下からなる群から選択される
−グリセリド類、特にモノグリセリド類、ジグリセリド類、トリグリセリド類、
−脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル、および
−パラフィン類。
持続性放出マトリックスの追加的な持続性放出マトリックス材料がロウ状の材料を含む場合、それは好ましくは、他の追加的な持続性放出マトリックス材料をさらに含まない。
ここで使用される場合に、「ロウ状の材料」は、加熱時に低粘度を有する液体形態に溶融し、冷却時に固体状態に再び凝固する材料を表す。好ましくは、上記のロウ状の材料は、少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、より一層好ましくは少なくとも40℃、さらに一層好ましくは少なくとも45℃、さらにより好ましくは少なくとも50℃、最も好ましくは少なくとも55℃、特に少なくとも60℃の融点を有する。
上記のロウ状の材料がモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドもしくはそれらの混合物であるかまたは含む場合、それは好ましくはグリセロールおよびカルボン酸のモノ−、ジ−またはトリエステルであり、カルボン酸は好ましくは脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸および芳香族酸からなる群から選択される。
好ましい脂肪酸のグリセリドには、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびそれらの混合物;好ましくはC〜C22脂肪酸のグリセリドが含まれる。C16〜C22脂肪酸の部分グリセリド、例えばグリセロールベヘネート、グリセロールパルミトステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールトリミリステートおよびグリセロールジステアレートが特に好ましい。
語句「脂肪酸」は本技術分野においてよく認識されており、例えば、不飽和の代表例、例えばミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレライド酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸およびドコサヘキサエン酸;ならびに飽和の代表例、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸およびセロチン酸が含まれる。
語句「ヒドロキシ脂肪酸」も本技術分野においてよく認知されており、例えば2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシデカン酸、2−ヒドロキシドデカン酸、β−ヒドロキシラウリン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、β−ヒドロキシミリスチン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、β−ヒドロキシパルミチン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシステアリン酸およびα−ヒドロキシアラキジン酸が含まれる。
上記脂肪酸およびヒドロキシ脂肪酸は、好ましくは飽和されている。
上記のロウ状材料がジグリセリドまたはトリグリセリドであるかもしくはジグリセリドまたはトリグリセリドを含む場合、脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸および芳香族酸はそれぞれ、同一であっても、または異なっていてもよい。
本発明のこの実施態様において、上記のロウ状材料は好ましくは、欧州薬局方に従うハードファット(adeps solidus)である。
好ましくは、ロウ状材料は、硬化ダイズ油、硬化パーム油、硬化ヒマシ油、硬化綿実油およびこれらの混合物からなる群から選択される、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドまたはこれらの混合物である。
ロウ状材料が脂肪酸と脂肪アルコールとのエステルである、またはこれを含む場合、脂肪酸は、好ましくは飽和脂肪酸である。脂肪酸の好ましい例は、グリセリドに関して既に上記に記述されたものである。脂肪アルコールは、好ましくは脂肪酸から誘導され、また好ましくは飽和されている。
脂肪酸と脂肪アルコールとのエステルの好ましい代表例には、ミツロウ、カルナウバロウ、セチルパルミテート、オレイルオレエート、鯨ロウ(spermaceti、cetaceum)、カンデリラロウ、オーリクリーロウ、サトウキビロウおよびレタモ(retamo)ロウなどの天然のロウが含まれるが、これらに限定されない。
ロウ状材料が、パラフィンである、またはこれを含む場合、パラフィンは、好ましくはヨーロッパ薬局方に準じた固形パラフィン(パラフィヌムソリダム(paraffinum solidum)、セレシン、ゼレシン(zeresin))である。
ロウ状材料は、単一のロウ状材料、またはそれぞれ好ましくはグリセリド、とりわけモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド;脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル;およびパラフィンからなる群から選択される2、3、4または5つのロウ状材料などの異なるロウ状材料の混合物(ブレンド)を含むことができる。
本発明の医薬剤形における使用に適したロウ状材料は、市販されており、例えば、Cera alba、Cera flava、Kolliwax(商標)HCO、Dynasan(登録商標)118、Compritol(登録商標)888ATO、Precirol(登録商標)ATO5、Gelucire(登録商標)44/14である。これらの製品の特性に関する詳細については、例えば製品仕様書を参照することができる。
好ましいポリアルキレングリコールには、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびこれらのコポリマーおよび混合物が含まれるが、これらに限定されない。本明細書の目的に関して、ポリアルキレングリコールは20,000g/molまでの分子量を有し、ポリアルキレンオキシドは20,000g/mol超の分子量を有する。
1つの好ましい実施態様において、ポリアルキレングリコールは、1,000g/mol〜18000g/molの範囲の、最も好ましくは5,000g/mol〜8,000g/molの範囲の、重量平均分子量(M)または粘度平均分子量(Mη)を有する。MおよびMηを決定するための適切な方法は当業者に知られている。Mηは好ましくはレオロジー測定により決定され、一方Mはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。
好ましいセルロースおよびセルロース誘導体には、微晶質セルロース、セルロースエステルおよびセルロースエーテルが含まれるが、これらに限定はされない。
好ましいセルロースエーテルには、ノニオン性セルロールエーテル、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;ならびにイオン性セルロースエーテル、すなわちカチオン性セルロースエーテルまたはアニオン性セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロースが含まれる。
ただし、含水エタノールにおけるそれらの良好な溶解性の観点から、エチルセルロースおよびプロピルセルロースは、好ましくは、本発明の医薬剤形に、比較的低い量(好ましくは最大で1.0重量%)でのみ含まれるか、または全く含まれない。
好ましいキサンタンガムには、Daniscoから入手可能なGrindsted(登録商標)Xanthan 80 PharmaおよびRoeperから入手可能なCEROGA Xanthan Gum Type 602が含まれるが、これらに限定はされない。
市販されている適切なキサンタンガムには、CP Kelco製XANTURAL(登録商標)75、XANTURAL(登録商標)180およびXANTURAL(登録商標)11K;Vanderbilt Minerals製VANZAN(登録商標)NF、VANZAN(登録商標)NF−F、VANZAN(登録商標)NF−C;Zibo Hailan Chemical Co製Haixan(登録商標)PM80、Haixan(登録商標)PM200、Haixan(登録商標)PM40;ICD Biochemistry Co製Xanthan Gum Pharmaceutical Grade PHARM200およびJungbunzlauer製Xanthan Gumが含まれる。
代替的にまたは追加的に、上記の追加的な持続性放出マトリックス材料は、1つまたは複数のポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(アルク)アクリレート、ポリ(ヒドロキシ脂肪酸)、例えばポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)(Biopol(登録商標))、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン、ポリビニルカプロラクタム、ポリエステルアミド、ポリエチレンスクシネート、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリラクチド、ポリアセタール(例えば、任意選択的に修飾側鎖を有する多糖類)、ポリラクチド/グリコリド、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物(polyanhydride)、ポリエチレングリコールおよびポリブチレンテレフタレートのブロックポリマー(Polyactive(登録商標))、ポリ無水物(Polifeprosan)、それらのコポリマー、それらのブロックコポリマー(例えばPoloxamer(登録商標))、および上記のポリマーの少なくとも2つの混合物、または上記特性を有する他のポリマーからなる群から選択される1つまたは複数のポリマーを含み得る。
本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、酸化防止剤、防腐剤、滑沢剤、可塑剤、賦形剤、結合剤などの医薬剤形に従来含有される追加の医薬添加剤を、従来の量で含むことができる。
当業者は、適切な更なる添加剤、ならびにこれらの添加剤それぞれの量を容易に決定することができる。薬学的に許容可能な担体および添加剤の特定の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association (1986)に記載されている。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、崩壊剤を含まない。この実施態様において、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、デンプングリコール酸ナトリウムを含まない。
好ましくは、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、酸化防止剤をさらに含む。適切な酸化防止剤には、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸の塩、モノチオグリセロール、亜リン酸、ビタミンC、ビタミンEおよびこれらの誘導体、安息香酸コニフェリル、ノルジヒドログアヤレト酸、ガルス酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、特に好ましくはブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールおよびα−トコフェロールが含まれる。酸化防止剤は、好ましくは、それぞれ医薬剤形および粒子の全重量を基準として、0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.03重量%〜5重量%、最も好ましくは0.05重量%〜2.5重量%の量で存在する。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、酸、好ましくはクエン酸をさらに含む。酸の量は、好ましくは、それぞれ医薬剤形および粒子の全重量を基準として、0.01重量%〜20重量%の範囲、より好ましくは0.02重量%〜10重量%の範囲、より一層好ましくは0.05重量%〜5重量%の範囲、最も好ましくは0.1重量%〜1.0重量%の範囲である。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、少なくとも1種の滑沢剤を含む。別の好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、滑沢剤を含まない。
特に好ましい滑沢剤は以下から選択される:
−ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸;
−グリセロールのモノ−、ジ−およびトリエステルと、200〜4000g/molの範囲内の分子量を有するマクロゴールのジ−およびモノエステル、例えば、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールラウレート、マクロゴールグリセロロココエート(macrogolglycerolococoate)、マクロゴールグリセロールリノレート、マクロゴール−20−グリセロールモノステアレート、マクロゴール−6−グリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールオレエート、マクロゴールグリセロールステアレート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアレートおよびマクロゴールグリセロールリジノレエートの混合物などの、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル;
−商標名「Labrasol」として知られており、市販されているものなどの、ポリグリコール化グリセリド;
−セチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、2−オクチルドデカン−1−オールおよび2−ヘキシルデカン−1−オールなどの、直鎖または分岐鎖であり得る脂肪アルコール;ならびに
−10,000〜60,000g/molの間の分子量を有するポリエチレングリコール。
好ましくは、滑沢剤の量は、それぞれ医薬剤形および粒子の全重量を基準として、0.01重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは0.05重量%〜7.5重量%の範囲、最も好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲、特に0.1重量%〜1重量%の範囲である。
好ましくは、本発明の医薬剤形、またはそれがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、可塑剤をさらに含む。可塑剤は、それぞれ持続性放出マトリックス材料および追加的な持続性放出マトリックス材料の加工性を改善する。好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、トリアセチン、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロウおよび/または微晶質ロウである。特に好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコール類、例えばPEG 6000である。
好ましくは、可塑剤の含有量は、それぞれ医薬剤形および粒子の全重量を基準として、0.5〜30重量%、より好ましくは1.0〜25重量%、より一層好ましくは2.5重量%〜22.5重量%、さらにより好ましくは5.0重量%〜20重量%、最も好ましくは6〜20重量%、特に7重量%〜17.5重量%の範囲内である。
可塑剤は、時には、滑沢剤として作用することができ、滑沢剤は、時には、可塑剤として作用することができる。
好ましい実施形態において、本発明の医薬剤形は、鼻道および/または咽頭を刺激する物質、すなわち、鼻道および/または咽頭を介して投与されたとき、患者が投与の継続を望まない、もしくは投与の継続が不可能であるほど患者にとって不快である身体的反応、例えば灼熱をもたらす、または例えば鼻汁もしくはくしゃみの増加に起因して対応する活性化合物の摂取に対する生理学的反作用をもたらす物質を含有しない。鼻道および/または咽頭を刺激する物質の更なる例は、灼熱、掻痒、くしゃみの切迫感、分泌物形成の増加、またはこれらの刺激の少なくとも2つの組合せを引き起こすものである。対応する物質およびその慣用的に使用されるべき量は、当業者に公知である。鼻道および/または咽頭を刺激する物質の幾つかは、したがって、ホットサブスタンスドラッグ(hot substance drug)の1つもしくは複数の構成要素または1つもしくは複数の植物部分に基づいている。対応するホットサブスタンスドラッグは、それ自体当業者に公知であり、例えば、Prof. Dr. Hildebert Wagner、「Pharmazeutische Biologie − Drogen und ihre Inhaltsstoffe」、第2版、改訂版、Gustav Fischer Verlag、Stuttgart−New York、1982、82頁以降に記載されている。対応する記載は、参照として本明細書に導入され、開示の一部と認められる。
本発明の医薬剤形は、更に好ましくは、薬理活性成分への拮抗薬、好ましくは向精神物質に対する拮抗薬、特にオピオイドに対する拮抗薬を含有しない。所定の薬理活性成分に適した拮抗薬は、当業者に公知であり、そのまま、または対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形態、またはそれぞれの場合において、対応する生理学的に許容可能な化合物の形態、特にその塩もしくは溶媒和物の形態で存在することができる。本発明の医薬剤形は、好ましくは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナリド(nalide)、ナルメキソン(nalmexone)、ナロルフィンまたはナルフィン(naluphine)を含む群のうちから選択される拮抗薬を、それぞれの場合において、任意選択で対応する生理学的に許容可能な化合物、特に塩基、塩または溶媒和物の形態で含有せず;神経弛緩薬、例えばハロペリドール、プロメタシン(promethacine)、フルフェナジン、ペルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキシン(chlorprothixine)、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロンおよびブロムペリドールを含む群のうちから選択される化合物を含有しない。
本発明の医薬剤形は、更に、好ましくは催吐薬を含有しない。催吐薬は、当業者に公知であり、そのまま、または対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形態、またはそれぞれの場合において、対応する生理学的に許容可能な化合物の形態、特にその塩もしくは溶媒和物の形態で存在することができる。本発明の医薬剤形は、イペカクアンハ(ipecacuanha)(吐)根の1つまたは複数の構成要素に基づいた、例えば構成要素エメチンに基づいた催吐薬を好ましくは含有せず、例えば、Prof. Dr. Hildebert Wagner、「Pharmazeutische Biologie − Drogen und ihre Inhaltsstoffe」、第2版、改訂版、Gustav Fischer Verlag、Stuttgart、New York、1982に記載されているとおりである。対応する文献の記載は、参照として本明細書に導入され、開示の一部と認められる。本発明の医薬剤形は、好ましくは、催吐薬としてアポモルフィンも含有しない。
最後に、本発明の医薬剤形は、好ましくは、苦味物質も含有しない。苦味物質および使用有効量は、US−2003/0064099A1において見出すことができ、対応する開示は、本出願の開示と認められるべきであり、参照として本明細書に導入される。苦味物質の例は、芳香油、例えばペパーミント油、ユーカリ油、クヘントウ油、メントール、果実香気物質、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツもしくはこれらの混合物の香気物質、および/または安息香酸デナトニウム(denatonium benzoate)である。
従って、本発明の医薬剤形は、好ましくは、鼻道および/または咽頭を刺激する物質も、薬理活性成分への拮抗薬も、催吐薬も、苦味物質も含有しない。
1つの好ましい実施態様において、上記医薬剤形は、薬理活性成分の持続性放出を提供する。
特に好ましくは、薬理活性成分は、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む持続性放出マトリックスに埋め込まれており、上記持続性放出マトリックスが、薬理活性成分の持続性放出をもたらす。
本明細書の目的に関して、「持続性放出」は好ましくは、治療活性を維持するため、毒性作用を低減するため、または投与頻度を低減するなどの他の治療目的のために、投与後の製剤からの活性化合物の放出の速度が長い時間にわたって低減されている生成物を意味する。
好ましくは、生理学的条件下において、本発明の医薬剤形は、30分後に0.1〜75%、240分後に0.5〜95%、480分後に1.0〜100%、720分後に2.5〜100%の薬理活性成分を放出した。さらなる好ましい放出プロファイルR〜Rをここで以下の表にまとめる[全てのデータは、放出された薬理活性成分の重量%]:
Figure 2018503693
さらなる好ましい放出プロファイルR〜R16をここで以下の表にまとめる[全てのデータは、放出された薬理活性成分の重量%]:
Figure 2018503693
適切なインビトロ条件は、当業者に公知である。この点において、例えば欧州薬局方を参照することができる。好ましくは、放出プロファイルは、以下の条件下で測定される:シンカーを備えていないパドル装置、50rpm、37±5℃、900mLの人工腸液pH6.8(リン酸緩衝液)またはpH4.5。好ましい実施形態において、パドルの回転速度は、75rpmに増加される。
本発明の剤形は、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む制御放出マトリックス中に薬理活性成分を含み、in vitro条件下で、上記マトリックスからの薬理活性成分の放出プロファイルは、放出がその間にわたって好ましくは0次反応速度論に従う時間間隔を少なくとも含む。
医薬剤形のin vitro放出プロファイルを0次としてみなすためにどの要件を満たす必要があるかは、当業者に知られている。固体剤形からの薬理活性成分の溶出は、薬理活性成分(Q)の溶出量が試験時間tの関数であるかまたはQ=f(t)である速度論モデルによって記載されてきた。Q(t)関数の一部の解析的定義はよく使用される、例えば0次、1次、Hixson−Crowell、Weibull、Higuchi、Baker−Lonsdale、Korsmeyer−PeppasおよびHopfenbergモデルである。他の放出パラメーター、例えば溶出時間(tx%)、アッセイ時間(tx分)、溶出効率(ED)、相違係数(difference factor)(f1)、類似係数(similarity factor)(f2)およびRescignoインデックス(xi1およびxi2)を、薬理活性成分溶出/放出プロファイルの特徴付けのために使用することができる。
本明細書の目的に関して、語句「0次反応速度論」は、好ましくは、式W−W=Ktによって定義され、ここでWは医薬剤形中の薬理活性成分の初期量であり、Wは時間tでの医薬剤形中の薬理活性成分の量であり、Kは比例定数である。この式をWで除し、単純化すると、f=Kt(式中、f=1−(W/W))およびfが、時間tにおいて溶出された薬理活性成分のフラクションを表し、Kは見かけの溶出速度定数または0次放出定数を表す。この方法では、薬理活性成分溶出フラクション対時間のグラフは直線になる。この関係は、低溶解性薬理活性成分、コーティングされた形態、浸透系等を有するマトリックス錠剤の場合のように、いくつかのタイプの放出調節医薬剤形の溶出を描写するために使用することができる。このプロファイルに従う医薬剤形は、単位時間により同一量の薬理活性成分を放出し、持続性の薬理作用を達成するために理想的な薬理活性成分放出の方法である。
以下の関係は、簡単な様式でこのモデル:Q=Q+Kt(ここで、Qは時間tにおいて溶出した薬理活性成分の量であり、Qは溶液における薬理活性成分の初期量であり(ほとんどの場合、Q=0)、Kは0次放出定数(例えばP. Costa et al., Eur J Pharm Sci.2001, 13(2), 123−33参照)である)を表すことができる。
実際には医薬剤形が通常正確な0次放出をもたらさないこと、特に放出期間の全期間、すなわちごく初期から医薬剤形に元々含まれていた薬理活性成分の100%の放出までにわたらないことは、当業者にとって明らかである。むしろ、実際には、特に放出の初期相および最終相を考慮しない場合に、in vitro放出プロファイルはこれらの数学的モデルによってかなりの正確度で描写することができる。
好ましくは、本発明の医薬剤形からの薬理活性成分のin vitro放出プロファイルは、放出が実質的に0次反応速度論に従う時間間隔を含み、該時間間隔は好ましくは、薬理活性成分の50±5%、より好ましくは50±10%、より一層好ましくは50±15%、さらに一層好ましくは50±20%、さらにより一層好ましくは50±25%、最も好ましくは50±30%、特に50±35%を放出するために必要な時間である。例えば、薬理活性成分の50±30%を放出するために必要な時間は、薬理活性成分の20%の放出とともに開始し(例えば2.5時間後)、80%の放出とともに終了する(例えば10.5時間後)。そのような時間間隔の間、医薬剤形からの薬理活性成分のin vitro放出プロファイルは、実質的に0次反応速度論に従い、すなわち実質的に直線である。
好ましい実施態様において、医薬剤形からの薬理活性成分のin vitro放出に関する反応速度論は、式M/M=kt(式中、tは時間であり、Mは時間tにおいて放出された薬理活性成分の量であり、Mは医薬剤形に元々含まれていた(すなわち医薬剤形を放出媒体に曝露する前の)薬理活性成分の全量であり、kは定数であり、そしてnは放出速度ベキ指数である)によって近似される。好ましくは、本発明の医薬剤形のin vitro放出プロファイルは、時間に対する遅延放出をパーセントで示す曲線をもたらす。所定の期間の間、好ましくは初期からまたは初期の後の時間点から、例えば20%が放出された時間から、薬理活性成分の95%が本発明の医薬剤形から放出された時間まで、放出プロファイルは実質的に直線である。
好ましくは、放出が0次反応速度論に従う時間間隔、例えばグラフの二次導関数が実質的に直線である時間間隔は、医薬剤形に元々含まれていた薬理活性成分の95重量%の放出に必要な全放出時間の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より一層好ましくは少なくとも40%、さらに一層好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも80%である。
好ましくは、「実質的に直線」の局限(極限)は、測定点に対してフィッティングした曲線の二次導関数に基づいて評価することができる。理想的には、上記二次導関数は0である。しかしながら、好ましくはある程度の逸脱も、本発明の「実質的に直線」の意味の範囲内である。好ましくは、理想的直線挙動からの上記逸脱は、当業者に公知であるカイ二乗検定により定量化することができる。好ましくは、カイ二乗検定により決定された値は、最大で2.5、より好ましくは最大で1.75、より一層好ましくは最大で1.0、さらに一層好ましくは最大で0.75、さらにより好ましくは最大で0.5、最も好ましくは最大で0.25、特に最大で0.1である。
好ましくは、0次のin vitro放出速度論は、式M/M=k(式中、MおよびMはそれぞれ、時間tに放出された薬物の量および全体の放出量であり、nはプロファイル形状を示す放出ベキ指数であり、kは0次放出速度定数である)により適切に記載することができる。
好ましい実施態様において、in vitro放出プロファイル全体のうちの0次放出速度を示す関連部分を式M/M=kt(すなわちn=1)にフィッティングした場合、適合の相関係数は、好ましくは、少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.80、さらに好ましくは少なくとも0.85、より一層好ましくは少なくとも0.90、さらにより好ましくは少なくとも0.925、最も好ましくは少なくとも0.95、特に少なくとも0.975である。
1つの好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.030±0.028h−1、より好ましくは0.030±0.026h−1、さらに一層好ましくは0.030±0.024h−1、より一層好ましくは0.030±0.020h−1、さらにより好ましくは0.030±0.015h−1、最も好ましくは0.030±0.010h−1、特に0.030±0.005h−1の範囲内である。別の好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.040±0.035h−1、より好ましくは0.040±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.040±0.025h−1、より一層好ましくは0.040±0.020h−1、さらにより好ましくは0.040±0.015h−1、最も好ましくは0.040±0.010h−1、特に0.040±0.005h−1の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.050±0.035h−1、より好ましくは0.050±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.050±0.025h−1、より一層好ましくは0.050±0.020h−1、さらにより好ましくは0.050±0.015h−1、最も好ましくは0.050±0.010h−1、特に0.050±0.005h−1の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.060±0.035h−1、より好ましくは0.060±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.060±0.025h−1、より一層好ましくは0.060±0.020h−1、さらにより好ましくは0.060±0.015h−1、最も好ましくは0.060±0.010h−1、特に0.060±0.005h−1の範囲内である。さらなる好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.070±0.035h−1、より好ましくは0.070±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.070±0.025h−1、より一層好ましくは0.070±0.020h−1、さらにより好ましくは0.070±0.015h−1、最も好ましくは0.070±0.010h−1、特に0.070±0.005h−1の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.080±0.035h−1、より好ましくは0.080±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.080±0.025h−1、より一層好ましくは0.080±0.020h−1、さらにより好ましくは0.080±0.015h−1、最も好ましくは0.080±0.010h−1、特に0.080±0.005h−1の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.090±0.035h−1、より好ましくは0.090±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.090±0.025h−1、より一層好ましくは0.090±0.020h−1、さらにより好ましくは0.090±0.015h−1、最も好ましくは0.090±0.010h−1、特に0.090±0.005h−1の範囲内である。別の好ましい実施態様において、0次放出速度定数kは、0.100±0.035h−1、より好ましくは0.100±0.030h−1、さらに一層好ましくは0.100±0.025h−1、より一層好ましくは0.100±0.020h−1、さらにより好ましくは0.100±0.015h−1、最も好ましくは0.100±0.010h−1、特に0.100±0.005h−1の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、放出ベキ指数nは、少なくとも0.65、より好ましくは少なくとも0.70、より一層好ましくは少なくとも0.75、さらに一層好ましくは少なくとも0.80、さらにより好ましくは少なくとも0.85、最も好ましくは少なくとも0.90、特に少なくとも0.95である。
本発明の医薬剤形の0次放出速度論は、好ましくは、放出相の間に無損傷を維持し、特定の表面積のみが浸食に付されるようにマトリックス組成物を覆うコーティングに依拠しない。従って、そこから活性物質が放出される本発明の医薬剤形の表面積は、好ましくは、そのようなコーティングによって実質的に一定に保持されない。むしろ、本発明の医薬剤形の0次放出速度論は、好ましくは、薬理活性成分が埋め込まれているマトリックスの特性に基づいており、その結果不活性コーティングを完全に省略することができる。従って、本発明の医薬剤形は従来のコーティング材料、例えばポリビニルカプロラクタムでコーティングされていてよいが、それは好ましくは、所定のコーティングされていない部分のみを通した薬剤放出を可能とするために、医薬剤形の外側表面のかなりの割合を恒久的に覆う目的に適う不活性コーティング材料でコーティングされていない。従って、1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形はコーティングされていないか、または剤形の完全な外側表面を実質的に覆うが、ある部分はコーティングされないままにしないコーティング材料でコーティングされている。
好ましくは、本発明の医薬剤形の放出プロファイル、薬理活性成分、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、任意選択的に存在する追加的な持続性放出マトリックス材料および任意選択的に存在する医薬添加剤は、保管時に安定であり、好ましくは密封容器中で上昇させた温度、例えば40℃において3ヵ月間の保管時に安定である。
放出プロファイルに関連して、語句「安定している」は、好ましくは、初期放出プロファイルを、保管後の任意の所与の時点における放出プロファイルと比較した場合に、放出プロファイルの互いからの逸脱が20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、より一層好ましくは7.5%以下、最も好ましくは5.0%以下、特に2.5%以下であることを意味する。
薬理活性成分、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、任意選択的に存在する追加的な持続性放出マトリックス材料および任意選択的に存在する医薬添加剤に関連して、語句「安定している」は、好ましくは、医薬剤形が医薬品の有効期間に関するEMEAの要件を満たすことを意味する。
1つの好ましい実施態様において、追加的な持続性放出マトリックス材料は、薬理活性成分の放出プロファイルに影響を及ぼす。この実施態様において、薬理活性成分、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび追加的な持続性放出マトリックス材料を含む本発明の医薬剤形は、好ましくは、同一のタイプおよび量の薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含むが追加的な持続性放出マトリックス材料を含まない医薬剤形より増加した薬理活性成分の放出速度を示す。
好ましい実施形態において、本発明による医薬剤形は、1日1回の投与に適合されている。別の好ましい実施形態において、本発明による医薬剤形は、1日2回の投与に適合されている。さらに別の好ましい実施形態において、本発明による医薬剤形は、1日3回の投与に適合されている。さらに別の好ましい実施形態において、本発明による医薬剤形は、1日3回より頻繁な、例えば1日4回、1日5回、1日6回、1日7回または1日8回の投与に適合されている。
本明細書の目的に関して、「1日2回」は、個々の投与の間の等しいまたはほぼ等しい時間間隔、すなわち12時間毎、あるいは異なる時間間隔、例えば8および16時間、または10および14時間を意味する。
本明細書の目的に関して、「1日3回」は、個々の投与の間の等しいまたはほぼ等しい時間間隔、すなわち8時間毎、あるいは異なる時間間隔、例えば6、6および12時間、または7、7および10時間を意味する。
本発明の医薬剤形は、好ましくは、溶媒抽出に対する耐性および/または粉砕に対する耐性および/または含水エタノールにおける過量放出に対する耐性の観点から、改変防止性を付与する。
好ましくは、本発明の医薬剤形の持続性放出マトリックスは、薬理活性成分の持続性放出をもたらすだけでなく、追加的に改変防止性、すなわち、溶媒抽出に対する耐性、粉砕に対する耐性および含水エタノールにおける過量放出に対する耐性ももたらす。
本明細書で使用される場合に、用語「改変防止」は、慣用の手段による悪用または乱用に、特に鼻および/または静脈内投与のために適している形態へ変換することに対して抵抗性である医薬剤形を表す。
これに関して、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、それ自体は、慣用の手段、例えば乳鉢中での粉砕またはハンマーによる破砕によって、破砕可能であり得る。しかしながら、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、薬理活性成分を含む粒子は、それらを慣用の手段によってそれ以上粉状化できないような機械的特性を有する。上記粒子は巨視的なサイズであり、薬理活性成分を含むので、それらは経鼻的に投与することができず、それによって医薬剤形は改変防止性となる。
さらに、ハンマーまたは乳鉢によって医薬剤形を崩壊させようとする場合、上記粒子は互いに付着する傾向があり、それによって、それぞれ凝集体および集合体を形成し、これらは未処理の粒子よりサイズが大きい。
本発明の医薬剤形は、溶媒抽出に対して耐性を示す。好ましくは、持続性放出マトリックスは、本発明の医薬剤形に溶媒抽出に対する耐性を付与する。
好ましくは、静脈内投与による乱用に適した製剤を製造するために医薬剤形を改変しようとした時に、室温でシリンジにより残部から分離できる当該製剤の液体部分はできるだけ少なく、好ましくはそれは、元々含まれていた薬理活性成分の75もしくは45もしくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下、より一層好ましくは30重量%以下、さらに一層好ましくは25重量%以下、さらにより好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下、特に10重量%以下を含む。
好ましくは、この特性は、(i)もとのままであるか、または手を使って粉砕されたかいずれかの医薬剤形を2つのスプーンにより、5mlの溶媒、精製水もしくは含水エタノール(40体積%)に分配し、(ii)該分散液を室温で10分間置き、(iii)熱い液体をシリンジ(シガレットフィルターを有する21G針)中に抜き取り、(iv)シリンジ内の液体に含まれる薬理活性成分の量を決定する、ことによって試験される。
本発明の医薬剤形は、好ましくは、粉砕に対して耐性を示す。好ましくは、持続性放出マトリックスは、本発明の医薬剤形に粉砕に対する耐性を付与する。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、市販のコーヒーミル、好ましくは型式Bosch MKM6000,180W,タイプKM13を用いて2分間処理した場合に、そのように得られた材料の全重量の42±17.5重量%、より好ましくは42±15重量%、より一層好ましくは42±12.5重量%、さらに一層好ましくは42±10重量%、さらにより好ましくは42±7.5重量%、最も好ましくは42±5重量%、特に42±2.5重量%が1.000mmのメッシュサイズを有する篩を通過しない。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、市販のコーヒーミル、好ましくは型式Bosch MKM6000,180W,タイプKM13を用いて2分間処理した場合に、そのように得られた材料の全重量の57±17.5重量%、より好ましくは57±15重量%、より一層好ましくは57±12.5重量%、さらに一層好ましくは57±10重量%、さらにより好ましくは57±7.5重量%、最も好ましくは57±5重量%、特に57±2.5重量%が1.000mmのメッシュサイズを有する篩を通過しない。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、市販のコーヒーミル、好ましくは型式Bosch MKM6000,180W,タイプKM13を用いて2分間処理した場合に、そのように得られた材料の全重量の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも55重量%、より一層好ましくは少なくとも60重量%、さらに一層好ましくは少なくとも65重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも75重量%、特に少なくとも80重量%が1.000mmのメッシュサイズを有する篩を通過しない。
粉砕された医薬剤形の粒径分布は、好ましくは篩分析によって決定される。
1つの実施態様において、粉砕された医薬剤形の粒子の55%超、より好ましくは60%超、より一層このましくは65%超、さらにより一層好ましくは70%超、最も好ましくは75%、特に80%超は、0.2〜3.3nm、より好ましくは0.4〜3.1nm、最も好ましくは0.6〜2.9、特に0.7〜2.8nmの範囲のサイズを有する。
好ましい粒子分布P〜Pを以下の表にまとめる:
Figure 2018503693
さらなる好ましい粒子分布P5〜P8を以下の表にまとめる:
Figure 2018503693
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形はモノリシックであり、少なくとも200Nの破壊強度を有するか、または本発明の医薬剤形はマルチパーティキュレートである場合は、個々の粒子の少なくとも一部が少なくとも200Nの破壊強度を有する。
好ましくは、機械的特性、特に破壊強度は、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(持続性放出マトリックス材料)の存在および空間分布に実質的に依拠する(通常、その単なる存在だけでは、上記特性を達成するために十分ではないが)。上記の有利な機械的特性は、薬理活性成分、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(持続性放出マトリックス材料)、任意選択的な追加的な持続性放出マトリックス材料および任意選択的にさらなる添加剤を、医薬剤形の製造のための慣用の方法によって単に加工することによって自動的に達成することはできない。実際に、通常、適切な装置を製造のために選択しなければならず、決定的な加工パラメーター、特に圧力/力、温度及び時間を調整しなければならない。したがって、従来の装置を使用するとしても、必要な基準を満たすようにプロセスプロトコールを通常適合させなければならない。
該して、所望の特性は、医薬剤形の製造の間に、
−適切な構成成分を、
−適切な量で、
−十分な圧力に、
−十分な温度で、
−十分な期間、
曝露する場合にのみ、得ることができる。
従って、使用する装置に関係なく、必要な基準を満たすように、プロセスプロトコールを適合させなければならない。従って、破壊強度は、組成から区別可能である。
本発明の医薬剤形または、それがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、好ましくは、少なくとも200N、少なくとも210Nまたは少なくとも220N、好ましくは少なくとも230N、より好ましくは少なくとも240N、さらに好ましくは少なくとも250N、より一層好ましくは少なくとも260N、最も好ましくは少なくとも270N、特に少なくとも300N、または少なくとも310N、少なくとも320Nの破壊強度を有する。
医薬剤形のおよび粒子の「破壊強度」(破砕に対する耐性)は、当業者にはよく知られている。この関連で、例えば、W.A.Ritschel、Die Tablette,2.Auflage、Editio Cantor Verlag Aulendorf、2002年;H Liebermannら、Pharmaceutical dosage forms:Pharmaceutical dosage forms、第2巻、Informa Healthcare、第2版、1990年;及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、Informa Healthcare、第1版を参照できる。
本明細書の目的に関して、破壊強度は好ましくは、医薬剤形および粒子をそれぞれ破砕させるのに必要な力(=破壊力)の量と定義する。したがって、本明細書の目的に関して、医薬剤形および粒子はそれぞれ、好ましくは、破壊された場合、すなわち、相互に分離している少なくとも2つの独立した部分に破砕された場合には、所望の破壊強度を有さない。しかし、別の好ましい実施形態において、医薬剤形および粒子はそれぞれ、力が、測定中に測定される最大の力の25%(閾値)減少している場合に、破壊されているとみなす(下記参照)。
本発明の医薬剤形および粒子はそれぞれ、それらの破壊強度のおかげで、例えば、乳棒と乳鉢、ハンマー、木槌または粉状化のためのその他の通常の手段、特に、この目的で開発された装置(医薬剤形破砕装置)を用いて力を加えることによっては粉状化することができないという点で、従来の医薬剤形および粒子とはそれぞれ区別される。この点に関して、「粉状化」は、小さな粒子へ砕くことを意味する。粉状化の回避は、経口的又は非経口的、特に静脈内又は経鼻の乱用を実質的に排除する。
慣用の医薬剤形および粒子はそれぞれ、典型的には200Nを大きく下回る破壊強度を有する。
従来の円形の医薬剤形/粒子の破壊強度は、以下の実験式に従って評価することができる:
破壊強度[Nで示す]=10×医薬剤形/粒子の直径[mmで示す]。
したがって、前記実験式によれば、少なくとも300Nの破壊強度を有する円形の医薬剤形/粒子は、少なくとも30mmの直径を必要とするであろう。しかしながら、そのような粒子は、嚥下できず、ましてやそのような粒子を複数含む医薬剤形はいうまでもない。前記実験式は好ましくは、従来のものではなくてむしろ特別である本発明のそれぞれ医薬剤形および粒子には当てはまらない。
さらに、実際の平均咀嚼力は、220Nである(例えば、P.A. Proeschelら、J Dent Res、2002年、81巻(7号)、464〜468頁を参照のこと)。これは、200Nをはるかに下回る破壊強度を有する従来の医薬剤形および粒子がそれぞれ、自発的な咀嚼時に砕かれ得るのに対して、本発明による医薬剤形および粒子それぞれは、好ましくは、自発的な咀嚼時に砕かれ得ないことを意味する。
またさらに、9.81m/sの重力加速度を適用する場合、200Nは、20kgを超える重力に相当する、即ち、本発明による医薬剤形および粒子はそれぞれ好ましくは、20kgを超える重量に、粉状化されずに耐えることができる。
破壊強度を測定するための方法は、当業者にはよく知られている。適切な装置が市販されている。
例えば、破壊強度(破砕抵抗性)は、欧州薬局方5.0、2.9.8または6.0、2.09.08「Resistance to Crushing of Pharmaceutical dosage forms」に従って測定することができる。上記粒子は、医薬剤形と同一または類似の破壊強度試験に付すことができる。試験は、所定の条件下で、医薬剤形および個々の粒子それぞれの破砕耐性を、破砕によってそれらを崩壊させるのに必要な力によって測定して決定することを意図するものである。装置は、一方が他方に向かって移動する、互いに向かい合った2つのジョーからなる。ジョーの平面は、移動方向に対して垂直である。ジョーの破砕面は、平らであり、それぞれ医薬剤形および粒子との接触領域よりも大きい。装置は、1ニュートンの精度を有するシステムを使用して較正する。医薬剤形および粒子はそれぞれ、該当する場合は形状、割線(break−mark)及び刻印を考慮に入れて、ジョーの間に配置され;医薬剤形および粒子をそれぞれ、測定毎に、力を加える方向(及び破壊強度を測定しようとする伸長方向)に対して同じように配向させる。各測定前に、全ての断片が除去されているよう注意して、10個の医薬剤形および粒子それぞれについて測定を実施する。結果は、測定した力の平均値、最小値及び最大値として、全てニュートンで表す。
破壊強度(破壊力)についての同様な記載は、USPにも見ることができる。あるいは、破壊強度は特定の面でそれぞれ医薬剤形および粒子を破損させる(即ち、破壊する)のに必要な力であると述べられている、そこに記載された方法に従っても破壊強度を測定できる。医薬剤形および粒子それぞれは、該して、2つのプラテンの間に配置し、一方のプラテンが、医薬剤形および粒子それぞれの破砕を引き起こすのに十分な力を加えるように移動する。従来の、円形の(横断面が円形の)医薬剤形および粒子の場合には、それぞれ、荷重はそれらの直径全体に発生し(直径荷重と称されることもある)、破砕は前記の面で発生する。それぞれ医薬剤形および粒子の破壊力は一般に、製剤学の文献では硬度と呼ばれている;しかしながら、この用語の使用は、誤解を与える。材料科学において、硬度という語句は、小さいプローブによる貫入又は圧入に対する表面の抵抗性を指す。破砕強度という語句もまた、圧縮荷重の適用に対する医薬剤形および粒子それぞれの抵抗性を表すのにしばしば使用される。この語句は、硬度よりも正確に試験の真の性質を表すが、それは、医薬剤形および粒子それぞれが、試験中に実際に破砕されることを意味し、これは当てはまらないことが多い。
あるいは、破壊強度(破砕耐性)は、WO2008/107149に従って測定することもでき、この方法は、欧州薬局方に記載されている方法の改変とみなすことができる。測定に使用する装置は好ましくは、最大ドローが1150mmの「Zwick Z2.5」材料試験機(Fmax=2.5kN)であり、これは、testCotrolソフトウェアと共に、1つのカラム及び1つのスピンドル、クリアランスビハインド100m並びに0.1〜800mm/分に調節可能な試験速度を用いて設定すべきである。測定は、ねじ込み挿入部およびシリンダー(直径10mm)を有する圧力ピストン、力変換器、Fmax.1 kN、直径=8mm、ISO7500−1により、10Nからはクラス0.5、2Nからはクラス1を使用して実施され、これらは、DIN55350−18に従う製造元の検査証Mを有し(Zwick総力Fmax=1.45kN)(全ての装置がZwick GmbH & Co.KG、Ulm、ドイツ製である)、試験機の注文番号はBTC−FR2.5TH.D09、力変換器の注文番号はBTC−LC 0050N.P01、センタリング装置の注文番号はBO 70000 S06である。
好ましい実施形態において、上記医薬剤形および粒子はそれぞれ、少なくとも2つの別々の片に破砕された場合に破壊されたとみなされる。
本発明の医薬剤形および粒子はそれぞれ、好ましくは、破壊強度(破砕耐性)に加えて、広い温度範囲にわたって機械的強度、任意選択的にまた、十分な硬度、耐衝撃性、衝撃弾性、引張強さ及び/又は弾性率を、任意選択的に、低い温度でも(例えば−24℃未満、−40℃未満またはあるいは液体窒素中でさえも)を示し、そのために、自発的な咀嚼、乳鉢におけるすり砕き、粉砕等により粉状化することは実質的に不可能である。したがって、好ましくは、低いまたは非常に低い温度においてさえも、例えば、医薬剤形を、その脆性を増加させるために、例えば、−25℃未満、−40℃未満の温度まで、または液体窒素中でさえ最初に冷却した場合でも、本発明の医薬剤形および粒子それぞれの比較的高い破壊強度は維持される。
本発明による医薬剤形および粒子はそれぞれ、特定の程度の破壊強度を特徴とする。これは、それが特定の程度の硬度も示さなければならないことを意味しない。硬度と破壊強度とは、異なる物理的性質である。したがって、医薬剤形の改変防止性は必ずしも、それぞれ医薬剤形および粒子の硬度に依存しない。例えば、それぞれ医薬剤形および粒子は、そのそれぞれ破壊強度、耐衝撃性、弾性率及び引張強さのため、好ましくは、例えばハンマーを用いて外力を及ぼすと、例えば可塑的に変形させることができるが、粉状化、すなわち、多数の断片に砕くことはできない。換言すれば、本発明の医薬剤形および粒子はそれぞれ、特定の程度の破壊強度を特徴とするが、必ずしも特定の程度の形態安定性も特徴とするとは限らない。
したがって、本明細書の意味において、特定の伸張方向の力に曝露された場合に変形するが破壊されない(塑性変形又は塑性流動)医薬剤形および粒子をそれぞれ好ましくは、当該伸張方向で望ましい破壊強度を有するとみなすものとする。
好ましい医薬剤形および粒子はそれぞれ、本技術分野で現在容認された試験方法によって決定した場合に適切な引張強さを有するものである。さらなる好ましい医薬剤形および粒子はそれぞれ、本技術分野の試験方法によって決定されるようなヤング率を有するものである。まださらに好ましい医薬剤形および粒子はそれぞれ、許容可能な破断伸びを有するものである。
本発明の医薬剤形は、好ましくは、含水エタノールにおける過量放出に対して耐性を示す。好ましくは、持続性放出マトリックスは、本発明の医薬剤形に含水エタノールにおける過量放出に対する耐性を付与する。
医薬剤形は、アルコール抽出性を評価するために、0%、20%および40%のエタノール/人工胃液を用いて、in vitroで試験することができる。試験は好ましくは、標準的な手順、例えば50rpmまたは75rpmで、例えば37℃で500mlの媒体において、例えばUSP装置1(バスケット)またはUSP装置2(パドル)を用いて、そこに存在する薬理活性成分の検出のための適切な波長でPerkin Elmer UV/VIS Spectrometer Lambda 20(UV)を用いて、行われる。サンプルの時間点は、好ましくは0.5および1時間を含む。
好ましくは、人工胃液における37℃でのin vitro放出プロファイルを37℃でのエタノール/人工胃液(40体積%)におけるin vitro放出プロファイルを比較すると、エタノール/人工胃液(40体積%)におけるin vitro放出は、好ましくは、人工胃液におけるin vitro放出と比較して、実質的に加速されない。好ましくは、これに関して「実質的に」は、任意の所定時間点において、エタノール/人工胃液(40体積%)におけるin vitro放出の、人工胃液におけるin vitro放出からの相対的な逸脱が、+25%以下、より好ましくは+20%以下、さらに好ましくは+15%以下、より一層好ましくは+10%以下、さらにより好ましくは+7.5%以下、最も好ましくは+5.0以下、特に+2.5%以下であることを意味する。
人工胃液におけるin vitro放出と比較した、エタノール/人工胃液(40体積%)におけるin vitro放出の実質的な相対的加速は、本発明により防止されるべきものである。しかしながら、人工胃液におけるin vitro放出と比較したエタノール/人工胃液(40体積%)におけるin vitro放出の実質的な相対的な加速は、例えば−25%以上の相対的な逸脱が可能であり得、さらには望ましいことさえもある。
向精神作用を有する薬理活性成分は、特に限定されない。
定義の目的のために、向精神作用を有する薬理活性成分は、好ましくは、血液脳関門を越えて、主に中枢神経系に作用し、そこで脳機能に影響を与え、知覚、気分、意識、認識および行動に変更をもたらす任意の薬理活性成分を表す。
好ましい実施形態において、医薬剤形は、単一の薬理活性成分のみを含む。別の好ましい実施形態において、医薬剤形は、2種以上の薬理活性成分の組合せを含む。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、乱用される可能性およびエタノールにおいて過量放出される可能性を有する薬理活性成分を含む。乱用される可能性を有する活性成分は、当業者に公知であり、例えば、トランキライザー、興奮剤、バルビツール酸塩、麻薬、オピオイドまたはオピオイド誘導体を含む。
好ましくは、薬理活性成分は、オピエート、オピオイド、興奮剤、トランキライザー、他の麻薬および麻酔剤からなる群から選択される。好ましくは、薬理活性成分は、エーテル;ハロゲン化炭化水素;疼痛バルビツール酸塩;および他の薬物と組み合わせたバルビツール酸塩;オピオイド麻酔薬;または他の任意の全身麻酔薬からなる群から選択される。
特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はオピオイドまたはその生理学的に許容可能な塩である。
ATCインデックスに従って、オピオイドは、天然のアヘンアルカロイド、フェニルピペリジン誘導体、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン誘導体、モルフィナン誘導体などに分けられる。
以下のオピエート、オピオイド、トランキライザー、麻酔薬又は他の麻薬は、向精神作用を有する物質であり、即ち、乱用の可能性があり、従って、好ましくは上記のそれぞれ医薬剤形および粒子に含有される:アルフェンタニル、アロバルビタール、アリルプロジン、アルファプロジン、アルプラゾラム、アンフェプラモン、アンフェタミン、アンフェタミニル、アモバルビタール、アニレリジン、アポコデイン、アキソマドール、バルビタール、ベミドン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブプレノルフィン、ブトバルビタール、ブトルファノール、カマゼパム、カーフェンタニル、カチン/D−ノルプソイドエフェドリン、クロルジアゼポキシド、クロバザム・クロフェダノール、クロナゼパム、クロニタゼン、クロラゼプ酸、クロチアゼパム、クロキサゾラム、コカイン、コデイン、シクロバルビタール、シクロルファン、シプレノルフィン、デロラゼパム、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジアゼパム、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルフォン、ジメノキサドール、ジメフェタモル(dimephetamol)、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、ドロナビノール、エプタゾシン、エスタゾラム、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、ロフラゼプ酸エチル、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ファキセラドール、フェンカンファミン、フェネチリン、フェンピプラミド、フェンプロポレクス、フェンタニル、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ハラゼパム、ハロキサゾラム、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、ケタミン、(S)−ケタミン、ケタゾラム、ケトベミドン、レバセチルメタドール(LAAM)、レボメタドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、レボキセマシン(levoxemacin)、ジメシル酸リスデキサンフェタミン、ロフェンタニル、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マジンドール、メダゼパム、メフェノレクス、メペリジン、メプロバメート、メタポン(metapon)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルヒネ、メタンフェタミン、メタドン、メタカロン、3−メチルフェンタニル、4−メチルフェンタニル、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メチプリロン、メトポン、ミダゾラム、モダフィニル、モルヒネ、ミロフィン、ナビロン、ナルブフェン、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキサゼパム、オキサゾラム、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベル・ソムニフェルム(Papaver somniferum)、パパベレタム、ペルノリン(pernoline)、ペンタゾシン、ペントバルビタール、ペチジン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ホルコデイン(pholcodeine)、フェンメトラジン、フェノバルビタール、フェンテルミン、ピナゼパム、ピプラドロール、ピリトラミド、プラゼパム、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、セクブタバルビタール、セコバルビタール、サフェンタニル、タペンタドール、テマゼパム、テトラゼパム、チリジン(シスおよびトランス)、トラマドール、トリアゾラム、ビニルビタール、N−(1−メチル−2−ピペリジノエチル)−N−(2−ピリジル)プロピオンアミド、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(1R,2R,4S)−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−(p−フルオロベンジルオキシ)−1−(m−メトキシフェニル)シクロヘキサノール、(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキシル)フェノール、(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3(3−メトキシフェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、(好ましくはラセミ化合物として)、(3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル 2−(4−イソブチル−フェニル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル 2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル 2−(4−イソブチル−フェニル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)プロピオナート、(RR−SS)−2−アセトキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−4−クロロ−2−ヒドロキシ−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メチル−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−5−ニトロ−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2’,4’−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、ならびに対応する立体異性化合物、各場合におけるそれらの対応する誘導体、生理学的に許容可能なエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマーおよびラセミ化合物、およびそれらの生理学的に許容可能な誘導体、例えばエーテル類、エステル類またはアミド類、および各場合におけるそれらの生理学的に許容可能な化合物、特にそれらの酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物、例えば塩酸塩。
好ましい実施形態において、薬理活性成分は、トラマドール、タペンタドール、ファキセラドール及びアキソマドールからなる群から選択される。
別の好ましい実施態様において、薬理活性成分は、DPI−125、M6G(CE−04−410)、ADL−5859、CR−665、NRP290及びセバコイルジナルブフィンエステルからなる群から選択される。
さらに別の好ましい実施態様において、上記薬理活性成分は、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、トラマドール(taramdol)、タペンタドール、モルヒネ、ブプレノルフィンおよびそれらの生理学的に許容可能な塩からなる群から選択される。
さらに別の好ましい実施態様において、薬理活性成分は、1,1−(3−ジメチルアミノ−3−フェニルペンタメチレン)−6−フルオロ−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール、特にそのヘミクエン酸塩;1,1−[3−ジメチルアミノ−3−(2−チエニル)ペンタメチレン]−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール、特にそのクエン酸塩;および1,1−[3−ジメチルアミノ−3−(2−チエニル)ペンタメチレン]−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]−6−フルオロインドール、特にそのヘミクエン酸塩からなる群から選択される。これらの化合物は、例えばWO2004/043967、WO2005/066183から公知である。
上記の薬理活性成分は、生理学的に許容可能な塩、例えば生理学的に許容可能な酸付加塩の形態で存在してもよい。
生理学的に許容可能な酸付加塩は、都合よくは塩基形態の活性成分を適当な有機および無機酸で処理することにより得ることができる酸付加塩形態を含む。酸性プロトンを含有する活性成分は、適切な有機及び無機塩基での処理により、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に変換してもよい。付加塩という語句はまた、活性成分が形成できる水和物および溶媒付加形態も含む。そのような形態の例は、例えば、水和物、アルコラート等である。
驚くべきことに、それぞれ医薬剤形におよび粒子に薬理活性成分の含有量を、改変防止性、崩壊時間および薬物放出、薬物負荷、加工可能性(特に医薬剤形成形性)および患者のコンプライアンスの間の最良の妥協を提供するために、最適化できることが見出された。
薬理活性成分は、治療的に有効な量で医薬剤形に存在する。治療的に有効な量を構成する量は、使用される薬理活性成分、治療される状態、前記状態の重症度、治療される患者、および投与の頻度により変わる。
医薬剤形における薬理活性成分の含有量は、限定されない。投与に適合されている薬理活性成分の用量は、好ましくは、0.1mg〜500mgの範囲内、より好ましくは1.0mg〜400mgの範囲内、より一層好ましくは5.0mg〜300mgの範囲内、最も好ましくは10mg〜250mgの範囲内である。1つの好ましい実施態様において、医薬剤形に含まれる薬理活性成分の全量は、0.01〜200mg、より好ましくは0.1〜190mg、より一層好ましくは1.0〜180mg、さらに一層好ましくは1.5〜160mg、最も好ましくは2.0〜100mg、特に2.5〜80mgの範囲内である。
好ましくは、薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、0.01〜80重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、より一層好ましくは1〜35重量%の範囲内である。
1つの好ましい実施態様において、薬理活性成分の含有量は、各々の場合において、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、5.0±4.5重量%または7.5±7.0重量%または10±9.0重量%または12.5±12.0重量%または15±14重量%または17.5±17.0重量%または20±19重量%または22.5±22.0重量%または25±24重量%;より好ましくは5.0±4.0重量%または7.5±6.0重量%または10±8.0重量%または12.5±12.0重量%または15±12重量%または17.5±15.0重量%または20±19重量%または22.5±22.0重量%または25±24重量%;より一層好ましくは5.0±3.5重量%または7.5±5.0重量%または10±7.0重量%または12.5±10.0重量%または15±10重量%または17.5±13.0重量%または20±17重量%または22.5±19.0重量%または25±21重量%;さらに一層好ましくは5.0±3.0重量%または7.5±4.0重量%または10±6.0重量%または12.5±8.0重量%または15±8.0重量%または17.5±11.0重量%または20±15重量%または22.5±16.0重量%または25±18重量%;さらにより好ましくは5.0±2.5重量%または7.5±3.0重量%または10±5.0重量%または12.5±6.0重量%または15±6.0重量%または17.5±9.0重量%または20±13重量%または22.5±13.0重量%または25±15重量%;最も好ましくは5.0±2.0重量%または7.5±2.0重量%または10±4.0重量%または12.5±4.0重量%または15±4.0重量%または17.5±7.0重量%または20±11重量%または22.5±10.0重量%または25±12重量%;特に5.0±1.5重量%または7.5±1.0重量%または10±3.0重量%または12.5±2.0重量%または15±2.0重量%または17.5±5.0重量%または20±9重量%または22.5±7.0重量%または25±9重量%の範囲内である。
別の好ましい実施態様において、薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、20±6重量%、より好ましくは20±5重量%、より一層好ましくは20±4重量%、最も好ましくは20±3重量%、特に20±2重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、25±6重量%、より好ましくは25±5重量%、より一層好ましくは25±4重量%、最も好ましくは25±3重量%、特に25±2重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、30±6重量%、より好ましくは30±5重量%、より一層好ましくは30±4重量%、最も好ましくは30±3重量%、特に30±2重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、34±6重量%、より好ましくは34±5重量%、より一層好ましくは34±4重量%、最も好ましくは34±3重量%、特に34±2重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準とするか、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量を基準として、40±6重量%、より好ましくは40±5重量%、より一層好ましくは40±4重量%、最も好ましくは40±3重量%、特に40±2重量%の範囲内である。
当業者は、医薬剤形中に含ませる薬理活性成分の適切な量を容易に決定することができる。例えば、鎮痛薬の場合、医薬剤形に存在する薬理活性成分の全量は、無痛をもたらすのに十分である。ある用量で患者に投与される薬理活性成分の全量は、薬理活性成分の性質、患者の体重、疼痛の重症度、投与される他の治療剤の性質等に応じて変わる。
1つの好ましい実施態様において、薬理活性成分は、7.5±5mg、10±5mg、20±5mg、30±5mg、40±5mg、50±5mg、60±5mg、70±5mg、80±5mg、90±5mg、100±5mg、110±5mg、120±5mg、130±5、140±5mg、150±5mg、160±5mg、170±5mg、180±5mg、190±5mg、200±5mg、210±5mg、220±5mg、230±5mg、240±5mg、250±5mg、260±5mg、270±5mg、280±5mg、290±5mgまたは300±5mgの量で医薬剤形に含まれる。別の好ましい実施態様において、薬理活性成分は、5±2.5mg、7.5±2.5mg、10±2.5mg、15±2.5mg、20±2.5mg、25±2.5mg、30±2.5mg、35±2.5mg、40±2.5mg、45±2.5mg、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、160±2.5mg、165±2.5mg、170±2.5mg、175±2.5mg、180±2.5mg、185±2.5mg、190±2.5mg、195±2.5mg、200±2.5mg、205±2.5mg、210±2.5mg、215±2.5mg、220±2.5mg、225±2.5mg、230±2.5mg、235±2.5mg、240±2.5mg、245±2.5mg、250±2.5mg、255±2.5mg、260±2.5mgまたは265±2.5mgの量で医薬剤形に含まれる。
特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はオキシコドン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、1〜80mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はオキシコドン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、2〜320mgの全量で医薬剤形に含まれる。
別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はオキシモルフォン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、5〜40mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はオキシモルフォン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、10〜80mgの全量で医薬剤形に含まれる。
別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はタペンタドール、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回または1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、25〜250mgの全量で医薬剤形に含まれる。
さらに別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はヒドロモルフォン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、2〜52mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はヒドロモルフォン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、4〜104mgの全量で医薬剤形に含まれる。
さらに別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はトラマドール、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、5〜300mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はトラマドール、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、10〜500mgの全量で医薬剤形に含まれる。
別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はヒドロコドン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、5〜250mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はヒドロコドン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、5〜250mgの全量で医薬剤形に含まれる。
さらに別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はモルヒネ、好ましくはそのHClもしくはHSO塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、5〜250mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はモルヒネ、好ましくはそのHClもしくはHSO塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、5〜250mgの全量で医薬剤形に含まれる。
別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はブプレノルフィン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日2回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、1〜12mgの全量で医薬剤形に含まれる。別の特に好ましい実施態様において、薬理活性成分はブプレノルフィン、好ましくはそのHCl塩であり、医薬剤形は、1日1回投与のために適合されている。この実施態様において、薬理活性成分は、好ましくは、2〜12mgの全量で医薬剤形に含まれる。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、本発明の医薬剤形に存在する粒子は、好ましくは、粒子の全重量を基準として、3〜75重量%の薬理活性成分、より好ましくは5〜70重量%の薬理活性成分、より一層好ましくは7.5〜65重量%の薬理活性成分を含む。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、薬理活性成分の含有量は、好ましくは、粒子の全重量を基準として、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、より一層好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%、特に少なくとも30重量%である。
医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、薬理活性成分の含有量は、好ましくは、粒子の全重量を基準として、最大で70重量%、より好ましくは最大で65重量%、より一層好ましくは最大で60重量%、さらにより好ましくは最大で55重量%、最も好ましくは最大で50重量%である。
1つの好ましい実施態様において、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、薬理活性成分の含有量は、粒子の全重量を基準として、35±30重量%、より好ましくは35±25重量%、より一層好ましくは35±20重量%、さらにより好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施態様において、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、薬理活性成分の含有量は、粒子の全重量を基準として、45±30重量%、より好ましくは45±25重量%、より一層好ましくは45±20重量%、さらにより好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施態様において、医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合、薬理活性成分の含有量は、粒子の全重量を基準として、55±30重量%、より好ましくは55±25重量%、より一層好ましくは55±20重量%、さらにより好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%の範囲内である。
本発明の医薬剤形の製剤に含まれる薬理活性成分は、好ましくは、500ミクロン未満、より一層好ましくは300ミクロン未満、さらに一層好ましくは200もしくは100ミクロン未満の平均粒径を有する。上記平均粒径に関して下限はないが、例えば50ミクロンであってもよい。薬理活性成分の粒径は、本技術分野における任意の慣用の方法、例えばレーザー光散乱、篩分析、光学顕微鏡法または画像解析によって決定することができる。概して、薬理活性成分粒子の最も大きい寸法は、上記粒子のサイズより小さい(例えば上記粒子の最も小さい寸法より小さい)ことが好ましい。
1つの好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形、好ましくは上記の粒子は、オピオイド(アゴニスト)およびオピオイドアンタゴニストを含む。
任意の従来のオピオイドアンタゴニスト、例えばナルトレキソンまたはナロキソンまたはそれらの薬学的に許容可能な塩が存在していてもよい。ナロキソン(その塩を含む)が特に好ましい。オピオイドアンタゴニストは、上記粒子内または上記マトリックス内に存在してもよい。あるいは、オピオイドアンタゴニストは、薬理活性成分と別の粒子において提供されてもよい。そのような粒子の好ましい組成は、薬理活性成分含有粒子に関して記載されるものと同一である。
本発明の医薬剤形におけるオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストとの比は、好ましくは、1:1〜3:1(重量)、例えば2:1(重量)である。
別の好ましい実施態様において、上記粒子も上記医薬剤形もオピオイドアンタゴニストを含まない。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、医薬剤形の全重量に対して、20重量%超、より好ましくは30重量%超、より一層好ましくは40重量%超、さらに一層好ましくは50重量%超、最も好ましくは60重量%超、特に70重量%超の、エタノールに不溶性であるかもしくは難溶性である化合物を含む。
本明細書の目的に関して、エタノールに不溶性であるかもしくは難溶性である化合物は、1000mg/L未満、より好ましくは800mg/L未満、より一層好ましくは500mg/L未満、最も好ましくは100mg/L未満、特に10mg/L未満または1mg/L未満の、室温での含水エタノール(96%)における最大溶解度を有する。
好ましくは、本発明の医薬剤形は、医薬剤形に含まれるポリマーの全体の量に対して、50重量%超、より好ましくは60重量%超、より一層好ましくは70重量%超、さらに一層好ましくは80重量%超、最も好ましくは90重量%超、特に95重量%超の、エタノールに不溶性であるかもしくは難溶性であるポリマーを含む。
本発明において、エタノールに不溶性であるかもしくは難溶性である好ましいポリマーは、キサンタン、グアーガムおよびいくつかのタイプのHPMCである。当業者には、どのタイプのHPMCが本発明の意味の範囲内においてエタノールに不溶性もしくは難溶性であるかは理解される。
特に好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形全体は、エタノールに不溶性もしくは難溶性であるポリマーおよびエタノールに可溶性であるポリマーを含み、ここで、エタノールに不溶性もしくは難溶性であるポリマーの量は、剤形に含まれるポリマーの全量に対して、30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、より一層好ましくは60〜95重量%もしくは100重量%、さらに一層好ましくは70〜90重量%もしくは100重量%、最も好ましくは80〜90重量%もしくは90〜100重量%、特に95重量%超もしくは99重量%超である。
医薬剤形の、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には上記粒子の好ましい組成を、実施態様B〜Bとして以下の表にまとめる:
Figure 2018503693
本発明の医薬剤形を投与できる対象は、特に限定されない。好ましくは、上記対象は動物、より好ましくはヒトである。
本発明の医薬剤形または、それがマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含む粒子は、好ましくは熱成形され、好ましくは溶融押出により熱成形される(熱成形の別の方法、例えば、第一段階での慣用の圧縮およびその後第二の段階でのそれぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料の軟化温度より高い温度への加熱により製造した圧密体を上昇させた温度または加熱下でプレス成形して、破壊耐性の硬化圧密体、すなわちそれぞれモノリシックの剤形または粒子を形成することも有用であり得る)。この関連で、熱形成は、好ましくは、熱の適用後、前または適用の間に塊を形づくる又は成形することを意味する。好ましくは、熱成形は、ホットメルト押出によって行われる。
好ましい実施形態において、本発明による医薬剤形はホットメルト押出される。
1つの好ましい実施態様において、ホットメルト押出は、二軸スクリュー押出機を用いて行われる。好ましくは、溶融押出によって溶融押出ストランドを生成し、それを好ましくはモノリスに切断し、次いでそれを任意選択的に圧縮し、成形する。好ましくは、圧縮は、好ましくは溶融押出によって得られたモノリシック塊から、ダイ及びパンチを用いて達成する。溶融押出によって得られた場合には、圧縮ステップは、好ましくは、周囲温度、即ち20〜25℃の範囲の温度を示すモノリシック塊を用いて実施する。
押出によって得られたストランドは、圧縮ステップ自体に供してもよいし、または切断してから圧縮ステップに供してもよい。この切断は、例えばホットメルト押出のために押出ストランドがなおも暖かい場合には、上昇された温度で、または常温で、すなわち、押出ストランドが冷却された後で、例えば回転ナイフまたは圧縮空気を使用して、通常の技術によって行うことができる。押し出されたストランドがまだ暖かい場合、押出ストランドのそれぞれ押出モノリシック医薬剤形および粒子への単体化は、好ましくは、押出ストランドが押出ダイを出た直後にそれを切断することによって行う。
しかしながら、押し出されたストランドが冷やされた状態で切断される場合、それに続く押し出されたストランドの単体化は、好ましくは、任意選択的に、まだ熱い押し出されたストランドをコンベアベルトにより輸送し、それを冷却し、凝固させ、続いてそれを切断することによって行われる。あるいは、成形は、EP−A−240 906に記載されるようにして、2本の逆回転するカレンダーロール間に押出物を通して、それぞれ医薬剤形および粒子に直接成形することによって、行うことができる。もちろん、押出ストランドは、まだ温かいときに、即ち、押出ステップのほぼ直後に、圧縮ステップ又は切断ステップに供することも可能である。押出は好ましくは、二軸スクリュー押出機を用いて行う。
本発明による医薬剤形および粒子はそれぞれ、種々のプロセスによって製造でき、特に好ましいプロセスについては、以下においてより詳細に説明する。いくつかの適切なプロセスは先行技術において既に記載されている。これに関して、例えばWO 2005/016313、WO 2005/016314、WO 2005/063214、WO 2005/102286、WO 2006/002883、WO 2006/002884、WO 2006/002886、WO 2006/082097およびWO 2006/082099を参照することができる。
概して、本発明の粒子の製造のための方法は、好ましくは、以下のステップを含む:
(a)全ての成分を混合すること;
(b)任意選択的に、ステップ(a)から得られた混合物を、好ましくは熱及び/又は力をステップ(a)から得られた混合物に加えることによって、予備成形すること、ここで、供給される熱の量は、好ましくは、それぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料をその軟化点まで加熱するのに十分ではない;
(c)熱及び力を加えることによって混合物を硬化させること、ここで、力を加える間及び/又は力を加える前に熱を供給することが可能であり、供給される熱の量は、それぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料を少なくともその軟化点まで加熱するのに十分なものである;そして、その後、材料を冷却させ、力を除去する
(d)任意選択的に、硬化した混合物を単体化すること;
(e)任意選択的に、粒子を成形すること;および
(f)任意選択的に、フィルムコーティングを施すこと。
熱は、例えば、熱風などの高温気体の接触によって若しくはそれを用いて又は超音波もしくはマイクロ波放射の助けを借りて、直接的に供給することができ;あるいは、間接的に摩擦および/または剪断によって供給される。力を加えてもよく、および/または粒子を、例えば直接的な医薬剤形成形により、または適切な押出機の助けを借りて、特に、1つまたは2つのスクリューを装着したスクリュー押出機(それぞれ単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機)を用いて、あるいは遊星歯車押出機を用いて、成形してもよい。
それぞれ医薬剤形および粒子の最終形状は、混合物の硬化中に熱及び力を加えること(ステップ(c))によって付与してもよいし、またはその後のステップ(ステップ(e))で付与してもよい。両方の場合において、全成分の混合物は、好ましくは、可塑化された状態にあり、即ち、好ましくは、成形を、少なくともそれぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料の軟化点より高い温度で実施する。しかしながら、より低い温度、例えば周囲温度での押出も可能であり、好ましい場合がある。
成形は、例えば、適切な形状のダイ及びパンチを含む医薬剤形成形プレスを用いて実施できる。
本発明の他の態様は、以下のステップを含む改変防止経口医薬剤形の製造のための方法に関する:
(i)薬理活性成分、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび任意選択的にさらなる添加剤を混合すること;および
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を熱成形すること、ここで、前記混合物は、熱の適用と同時または適用前または適用後に圧力に付される。
1つの好ましい実施態様において、上記方法により製造される改変防止経口医薬剤形は、上記の改変防止経口医薬剤形に準ずる。
本発明の粒子の特に好ましい製造方法は、ホットメルト押出を伴う。この方法において、本発明による医薬剤形および粒子はそれぞれ、押出機の助けを借りて、好ましくは押出物の観察可能な変色を生じずに、熱成形によって製造される。
この方法は、以下を特徴とする:
a)全成分を混合すること、
b)得られた混合物を押出機中で、少なくともそれぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料の軟化点まで加熱し、力を加えることによって押出機の出口オリフィスを通して押出すること、
c)まだ可塑性である押出物を単体化し、それぞれ医薬剤形および粒子の形態にすること、又は
d)冷却され且つ任意選択で再加熱された単一化押出物をそれぞれ医薬剤形および粒子の形態にすること。
また、プロセスステップa)による構成成分の混合は、押出機中で進行してもよい。
また、構成成分は、当業者によく知られているミキサー中で混合してもよい。ミキサーは、例えば、ロールミキサー、シェーキングミキサー、剪断ミキサー又は強制ミキサーであることができる。
押出機中で少なくともそれぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料の軟化点まで加熱された混合物、好ましくは溶融された混合物を、押出機から、少なくとも1つのボアを有するダイに通して押出する。
本発明による方法は、適切な押出機、好ましくはスクリュー押出機の使用を必要とする。2つのスクリューを装着したスクリュー押出機(二軸スクリュー押出機)が特に好ましい。
1つの好ましい実施態様において、押出は、水の非存在下で実施する、即ち、水は添加しない。しかしながら、極微量の水(例えば、大気湿度によるもの)は存在してもよい。
押出ストランドは、好ましくは、水不含であり、これは好ましくは、押出ストランドの含水率が好ましくは最大で10重量%、または最大で7.5重量%、または最大で5.0重量%、または最大で4.0重量%。または最大で3.0重量%、または最大で2.0重量%、より好ましくは最大で1.7重量%、より一層好ましくは最大で1.5重量%、さらに一層好ましくは最大で1.3重量%、さらにより好ましくは最大で1.0重量%、最も好ましくは最大で0.7重量%、特に最大で0.5重量%であることを意味する。
押出機は、好ましくは、少なくとも2つの温度ゾーンを含み、少なくともそれぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料の軟化点までの混合物の加熱は第1のゾーンで行われ、これは供給ゾーン及び任意選択で混合ゾーンより下流に位置する。混合物のスループットは、好ましくは1.0kg〜15kg/時間である。好ましい実施形態において、スループットは、0.2kg/時間〜3.5kg/時間である。別の好ましい実施形態において、スループットは4〜15kg/時間である。
好ましい実施形態において、ダイヘッド圧は、0.5〜200barの範囲内である。ダイヘッド圧は、特に、ダイ形状、温度プロファイル、押出速度、ダイスにおけるボアの数、スクリューの構成、押出機における第一の供給ステップ等によって調節することができる。
好ましい実施態様において、ダイヘッド圧は、2.0±1.9bar、より好ましくは2.0±1.5bar、特に2.0±1.0barの範囲内である。
ダイ形状又はボアの形状は、自由に選択可能である。従って、ダイまたはボアは平面(フィルム)、円形、長楕円形または楕円形の断面を示すことができ、円形断面は好ましくは、押出粒子に関しては0.1mm〜2mmの直径を、押出モノリシック医薬剤形に関してはより大きい直径を有する。好ましくは、ダイ又はボアは円形断面を有する。本発明によって使用される押出機のケーシングは加熱することもまたは冷却することもできる。対応する温度制御、即ち、加熱又は冷却は、押出されるべき混合物が少なくとも持続性放出マトリックス材料の軟化温度に相当する平均温度(生成物の温度)を示し且つ加工されるべき薬理活性成分が損傷を受け得る温度より高い温度までは上昇しないように、アレンジされる。好ましくは、押出されるべき混合物の温度は、180℃未満、好ましくは150℃未満に、しかしながら少なくともそれぞれポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび持続性放出マトリックス材料の軟化温度に調整する。典型的な押出温度は、120℃及び150℃である。
好ましい実施形態において、押出機のトルクは30〜95%の範囲内である。押出機トルクは、特に、ダイ形状、温度プロファイル、押出速度、ダイスにおけるボアの数、スクリューの構成、押出機における第一の供給ステップ等によって調節することができる。
溶融混合物の押出および任意選択的な1つ又は複数の押出ストランドの冷却後に、押出物は好ましくは単体化される。この単体化は好ましくは、レボルビングナイフ若しくは回転ナイフ、ワイヤー、ブレードを用いて又はレーザーカッターの助けを借りて、押出物を切断することによって実施できる。
好ましくは、任意選択的に単体化された押出物又は本発明による医薬剤形および粒子それぞれの最終形状の中間又は最終保管は、無酸素雰囲気下で実施され、これは、例えば酸素捕捉剤を用いて達成できる。
医薬剤形および粒子それぞれに最終形状を与えるために、単体化押出物をそれぞれ医薬剤形および粒子にプレス成形してもよい。
押出機中における、少なくとも可塑化されている混合物への力の適用は、押出機中の運搬装置の回転速度及びその形状を制御することによって、及び出口オリフィスを必要な大きさにして、可塑化混合物の押出に必要な圧力が押出機中で、好ましくは押出直前に、増大されるようにすることによって、調整する。それぞれの具体的な組成物に関して、所望の機械的特性を有する医薬剤形を生じさせるのに必要な押出パラメーターは、簡単な予備試験によって確定できる。
例えば、限定はされないが、押出は、スクリュー直径16、18または27mmのZSE18またはZSE27型(Leistritz、ニュンベルグ(ドイツ))二軸スクリュー押出機、あるいはThermo Scientific Pharma 16 HMEを用いて実施できる。偏心端もしくはブラント端を有するスクリューを使用することができる。円形のボア、またはそれぞれ0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0または6.0mmの直径を有する多数のボアを有する加熱可能なダイを使用することができる。押出パラメーターは、例えば、以下の値に調整できる:スクリューの回転速度:120Upm;送達速度Pharma 16に関して0.5kg/h、ZSE18に関して2kg/h、またはZSE27に関して8kg/h;生成物温度:ダイの前で100〜125℃及びダイの後で125〜135℃;およびジャケット温度:110℃。
好ましくは、押出は二軸スクリュー押出機又は遊星歯車押出機を用いて実施し、二軸スクリュー押出機(共回転又は反転)が特に好ましい。
本発明による医薬剤形および粒子はそれぞれ、好ましくは、押出機の助けを借りて、押出物の観察可能な変色を生じずに、熱成形によって製造される。
本発明によるそれぞれ医薬剤形および粒子の製造プロセスは、好ましくは連続的に実施される。好ましくは、該プロセスは、全構成成分の均一混合物の押出を伴う。こうして得られた中間体、例えば、押出によって得られたストランドが一様な性質を示すならば、特に有利である。特に望ましいのは、一様な密度、活性化合物の一様な分布、一様な機械的特性、一様な多孔度、一様な表面外観などである。これらの状況下でのみ、薬理学的性質、例えば、放出プロファイルの安定性の一様性を確実にすることができ、不合格品の量を少なく保つことができる。
好ましくは、上記医薬剤形はマルチパーティキュレートであり、本発明による粒子は「押出ペレット」とみなすことができる。用語「押出ペレット」は、当業者によって理解される構造的な意味を有する。当業者には、以下を含む多くの技術によってペレット化した医薬剤形を製造できることが知られている:
・ノンパレイル糖または微結晶セルロースビーズ上での薬物の層状化、
・噴霧乾燥、
・噴霧凝固、
・回転造粒(rotogranulation)、
・ホットメルト押出、
・低融点材料の球状化、または
・湿塊の押出−球状化。
従って、「押出ペレット」は、ホットメルト押出、または押出−球状化のいずれかによって得ることができる。
「押出ペレット」は他のタイプのペレットとは区別できるものであり、なぜならそれらは構造的に異なるからである。例えば、ノンパレイル上に薬物を層状化すると、コアを有する多層化ペレットが得られるが、押出では通常、全成分の均一な混合物を含むモノリシックの塊がもたらされる。同様に、噴霧乾燥および噴霧凝固は通常、球体をもたらすが、押出は通常、円柱状の押出物をもたらし、これは引き続き球状化することができる。
「押出ペレット」と「凝集化ペレット」との間の構造的相違は顕著であり、なぜならば、それらがペレットからの活性物質の放出に影響し、従って、異なる薬理学的プロファイルをもたらし得るからである。したがって、医薬製剤分野における当業者は、「押出ペレット」が「凝集化ペレット」と等価であるとは考えないであろう。
本発明の医薬剤形は任意の従来の方法によって製造することができる。好ましくは、しかしながら、上記医薬剤形は圧縮によって製造される。したがって、上述のように定義された粒子を、好ましくは、外側マトリックス材料と混合、例えばブレンドおよび/または造粒(例えば湿式造粒)し、得られたミックス(例えば、ブレンドまたは粒状化物)を続いて、圧縮、好ましくは型において圧縮して、医薬剤形を形成する。ここに記述された粒子を、圧縮の前に、他のプロセスを用いて、例えば溶融造粒(例えば脂肪アルコールおよび/または水溶性ワックスおよび/または水不溶性ワックスを用いる)または高せん断造粒により、マトリックスに組み込めることも意図される。
本発明の医薬剤形を偏心プレスによって製造する場合、圧縮力は、好ましくは5〜15kNの範囲内にある。回転プレス機により本発明の医薬剤形を製造する場合、圧縮力は、好ましくは、5〜40kNの範囲内にあり、特定の実施態様では>25kNであり、他の態様では13kNである。
本発明の他の態様は、上記方法のいずれかにより得ることができる改変防止経口医薬剤形に関する。
本発明による医薬剤形は、優れた保管安定性を特徴とする。好ましくは、40℃および75%相対湿度で4週間保管した後に、薬理活性成分の含有量は、保管前のその元々の含有量の少なくとも98.0%、より好ましくは少なくとも98.5%、さらに好ましくは少なくとも99.0%、より一層好ましくは少なくとも99.2%、最も好ましくは少なくとも99.4%、特に少なくとも99.6%に達する。医薬剤形における薬理活性成分の含有量を測定するための適切な方法は、当業者にはよく知られている。この関連で、Eur.ph.(欧州薬局方)又はUSP(米国薬局方)、特に逆相HPLC分析を参照する。好ましくは、医薬剤形は、閉じられた、好ましくは密閉された容器に保管される。
本発明の医薬剤形は、医薬において、例えば鎮痛薬として使用することができる。したがって、上記医薬剤形は、特に、疼痛の治療または管理に適している。そのような医薬剤形では、薬理活性成分は、好ましくは、鎮痛的に有効である。
本発明のさらなる態様は、疼痛の治療において使用するための、上記のような医薬剤形に関する。
本発明のさらなる態様は、疼痛を治療するための上記のような医薬剤形を製造するための、上記薬理活性成分の使用に関する。
本発明のさらなる態様は、それを必要とする対象への上記のような医薬剤形の投与を含む、疼痛の治療方法に関する。
本発明のさらなる態様は、上記のような医薬剤形の、そこに含まれる薬理活性成分の持続性放出を提供するための使用に関する。
本発明のさらなる態様は、上記のような医薬剤形の、そこに含まれる薬理活性成分の乱用を回避もしくは妨げるための使用に関する。
本発明のさらなる態様は、上記のような医薬剤形の、そこに含まれる薬理活性成分の不測の過量投与を回避もしくは妨げるための使用に関する。
この関連で、本発明はまた、上記のような医薬剤形の、障害の予防および/または治療のための使用に関し、それによって、薬理活性成分の、特に機械的作用による医薬剤形の粉砕による、過量投与が妨げられる。
特に好ましい実施形態において、
−本発明の医薬剤形はモノリシックであるか、またはマルチパーティキュレートであるか、またはMUP製剤であり;および/または
−本発明による医薬剤形はホットメルト押出され;および/または
−本発明による医薬剤形は、向精神作用を有する薬理活性成分の持続性放出を提供し;および/または
−向精神作用を有する薬理活性成分は、オピオイドまたはその生理学的に許容可能な塩であり;および/または
−薬理活性成分の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、1〜35重量%の範囲内であり;および/または
−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、エチレングリコールおよびビニルアセテートおよびビニルカプロラクタムに由来する繰り返し単位を含み;および/または
−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの全重量に対して、60±30重量%、より好ましくは60±20重量%のエチレングリコール繰り返し単位を含み;および/または
−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量は、医薬剤形の全重量に対して、または医薬剤形がマルチパーティキュレートである場合には薬理活性成分を含有する粒子の全重量に対して、45〜70重量%の範囲内であり;および/または
−薬理活性成分は、持続性放出マトリックス材料としてのポリエチレングリコールグラフトコポリマーと追加的な持続性放出マトリックス材料を含有する持続性放出マトリックス材料に埋め込まれており;ここで
−上記の追加的な持続性放出マトリックス材料の含有量は、持続性放出マトリックスの全重量に対して、5〜30重量%の範囲内であり;および/または
−上記の追加的な持続性放出マトリックス材料は、セルロースエーテル、好ましくは少なくとも50,000g/molの重量平均分子量を有するセルロースエーテルである。
以下の例は、さらに本発明を説明するが、その範囲を制限するものと解釈すべきではない。
例:
以下の組成物を製造した:
Figure 2018503693
以下の装置セッティングを用いて、Leistritz ZSE27 Micro押出機でホットメルト押出を行った:
Figure 2018503693
押出物ストランドを、Sollich冷却トンネルにおいて45℃の切断温度に冷却した。バッチは、標準的なプロセス条件下で製造できた。しかしながら、ブレードが切断の間に変形したため、ストランドは切断装置を用いて切断できなかった。従って、フードスライサーを用いて手動により切断を行った。押出の間、非常に低い溶融圧力(約2bar)が高いトルク(92−102%)とともに観察された。
12mmの直径および9mmの曲率を有する円形のパンチを備えたKorsch EK0において、エンボスなしで、錠剤の成形を手動で行った。
破壊強度試験の結果を、図1の負荷−変位−ダイアグラムに示す。錠剤は脆く、350N未満の平均破壊力を有していた。
in vitro溶出試験の結果を図2に示す(トラマドール−HCl 80mg TRF持続性放出錠の溶出プロファイル;比較例、本発明の例;37℃、rpm=75、600 mLリン酸バッファー、pH=6.8、n=3±s)。図2から、ポリエチレンオキシドの代わりにSoluplus(登録商標)を含有するバッチはより遅い放出速度を示し、30%〜90%の間で放出された薬物は直線の溶出挙動(0次反応速度論)に達することが明らかとなる。

Claims (15)

  1. 向精神作用を有する薬理活性成分およびポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む改変防止経口医薬剤形であって、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量が、医薬剤形の全重量に対して少なくとも25重量%である医薬剤形。
  2. (i)薬理活性成分が、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む持続性放出マトリックスに埋め込まれており;および/または
    (ii)上記医薬剤形が、薬理活性成分の持続性放出を提供する、
    請求項1に記載の医薬剤形。
  3. ポリエチレングリコールグラフトコポリマーが、エチレングリコール、ビニルアセテートおよびビニルカプロラクタムに由来する繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の医薬剤形。
  4. ポリエチレングリコールグラフトコポリマーが、一般式(I)を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の医薬剤形
    Figure 2018503693
    [式中、
    添え字lは、10〜10,000であり;
    添え字mは、20〜20,000であり;そして
    添え字nは、30〜30,000である]。
  5. 添え字lが、500〜900であり;
    添え字mが、800〜1500であり;そして
    添え字nが、2000〜3000である、
    請求項4に記載の医薬剤形。
  6. ポリエチレングリコールグラフトコポリマーが、90,000g/mol〜140,000g/mmolの範囲内の平均分子量を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の医薬剤形。
  7. ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量が、医薬剤形の全重量に対して25〜80重量%の範囲内である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の医薬剤形。
  8. ポリエチレングリコールグラフトコポリマーの含有量が、医薬剤形の全重量に対して少なくとも30重量%である、請求項7に記載の医薬剤形。
  9. モノリシックであり、少なくとも200Nの破壊強度を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の粒子の少なくとも一部が少なくとも200Nの破壊強度を有する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の医薬剤形。
  10. モノリシックであり、任意の方向に少なくとも2.0mmの伸長を有するか;またはマルチパーティキュレートであり、個々の薬物含有粒子が任意の方向に少なくとも2.0mmの伸長を有する、請求項1〜9のいずれか1つに記載の医薬剤形。
  11. 薬理活性成分が、オピオイドまたはその生理学的に許容可能な塩である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の医薬剤形。
  12. ホットメルト押出されている、請求項1〜11のいずれか1つに記載の医薬剤形。
  13. 以下のステップを含む、改変防止経口医薬剤形の製造のための方法:
    (i)薬理活性成分、ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび任意選択的にさらなる添加剤を混合するステップ;および
    (ii)ステップ(i)で得られた混合物を熱成形するステップ、ここで、前記混合物は、熱の適用と同時または適用前または適用後に圧力に付される。
  14. 改変防止医薬剤形が請求項1〜12のいずれか1つに従う、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項13または14に記載の方法により得ることができる、改変防止経口医薬剤形。
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