JP2018202827A - プレコートアルミニウム材及びこれを用いた車載部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】パワーコントロールユニット(PCU)カバー等の車載部品筐体に用いられるプレコートアルミニウム材を提供する。【解決手段】アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の表面に形成された化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成された樹脂皮膜とを備えるプレコートアルミニウム材であって、前記樹脂皮膜が、ベース樹脂であるエポキシ樹脂と、放熱性顔料とを含み、エポキシ樹脂のSP値δ(<cal/cm3>1/2)と、樹脂皮膜の膜厚t(μm)と、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部mが下記式(1)を満たすことを特徴とするプレコートアルミニウム材、ならびに、これを用いた車載部品。6≦{(23.4−δ)×(t)}/(m)≦127 (1)【選択図】なし
Description
本発明は、例えばパワーコントロールユニット(PCU)の筐体におけるカバー等の車載部品に用いられるプレコートアルミニウム材及びそれを用いた車載部品に関する。
アルミニウム材は、軽量、高耐食性、高熱伝導性、高リサイクル性などの特性に優れており、建材、電機製品などの構成材料として広く使用されている。そのような用途において、アルミニウム材が本来有する特性を損なわずに他の機能が求められるに至り、表面処理された製品が実用化されている。表面処理の手法としては、耐食性や耐摩耗性などを向上させることが可能なアノード酸化処理、耐食性や密着性などを向上させることが可能なめっき処理、耐食性や潤滑性などを向上させることが可能な塗装等が用いられている。中でも、塗装により形成される塗膜は、主に樹脂や添加剤などで構成され、多種多様な組合せにより、様々な機能を発現させることが可能である。
アルミニウム材に塗装を施す工程は、アルミニウム材をプレス加工後に塗膜を形成させるポストコート法と、プレス加工前にアルミニウム材に予め塗膜を形成しておくプレコート法の2種類が知られている。プレコート法には、ユーザーでの工程短縮によるトータルコストの低減や作業環境の改善などに加えて、アルミニウム材に形成させる塗膜厚を均一にすることが可能なため品質の安定性という特長を有する。
近年になって、環境問題が深刻化するにつれて、自動車のCO2排出量などの規制が大幅に強化されてきている。排出ガスの低減や燃費の向上を実現する上で、車体の軽量化が不可欠であり、アルミニウム材の適用が増えてきている。そのような中、プレコートアルミニウム材を加工し、車載LED照明ヒートシンクに応用する技術が特許文献1に開示されている。
パワーコントロールユニット(PCU)カバー等の車載部品が搭載される環境は、車載LED照明ヒートシンクと異なり、溶解力の強い薬品が用いられる。例えば、20%硫酸水溶液に高温環境下で曝される場合がある。しかしながら、特許文献1に開示される発明では、車載部品に要求される耐薬品性を満足しないという問題が残った。
本発明は上記問題点を解決すべく完成されたもので、例えば、パワーコントロールユニット(PCU)の筐体におけるカバー等の車載部品に用いられるプレコートアルミニウム材及びそれを用いた車載部品を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は請求項1において、アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の表面に形成された化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成された樹脂皮膜とを備えるプレコートアルミニウム材であって、前記樹脂皮膜が、ベース樹脂であるエポキシ樹脂と、放熱性顔料とを含み、エポキシ樹脂のSP値δ(<cal/cm3>1/2)と、樹脂皮膜の膜厚t(μm)と、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部mが下記式(1)を満たすことを特徴とするプレコートアルミニウム材とした。
6≦{(23.4−δ)×(t)}/(m)≦127 (1)
6≦{(23.4−δ)×(t)}/(m)≦127 (1)
本発明は請求項2において、請求項1に記載のプレコートアルミニウム材を用いた車載部品とした。更に本発明は請求項3では請求項2において、車載部品がプレコートアルミニウム材のプレス加工品であるものとした。
本発明に係るプレコートアルミニウム材の樹脂皮膜は、上記(1)式を満たすことにより、輻射率が高く維持される、すなわち、放熱性に優れる特性と、樹脂皮膜と薬品との親和性や透過性が抑制される耐薬品性に優れる特性を有し、これら二つ特性が良好なバランスをもって保たれ、更に、耐高温水性に優れる特性を有する。
A.プレコートアルミニウム材
本発明に係るプレコートアルミニウム材は、アルミニウム基材の表面に形成された化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成された樹脂皮膜とを備える。
本発明に係るプレコートアルミニウム材は、アルミニウム基材の表面に形成された化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成された樹脂皮膜とを備える。
B.アルミニウム基材
本発明で用いられるアルミニウム基材は、車載部品用に成形するために求められる機械的性質や化学的性質により、アルミニウム材の合金組成や質別が適宜選択される。その中で、1100や1050等の1000系、3003又は3004等の3000系、5052又は5182等の5000系を用いることが好ましい。アルミニウム基材の形状は、特に限定されるものではないが、板材が好適に用いられる。板材とする場合の厚さは、車載部品の種類に応じて適宜選択され、例えば、0.1〜2.0mmの範囲とするのが好ましい。
本発明で用いられるアルミニウム基材は、車載部品用に成形するために求められる機械的性質や化学的性質により、アルミニウム材の合金組成や質別が適宜選択される。その中で、1100や1050等の1000系、3003又は3004等の3000系、5052又は5182等の5000系を用いることが好ましい。アルミニウム基材の形状は、特に限定されるものではないが、板材が好適に用いられる。板材とする場合の厚さは、車載部品の種類に応じて適宜選択され、例えば、0.1〜2.0mmの範囲とするのが好ましい。
C.化成皮膜
本発明で用いられる化成皮膜は、りん酸クロメート、ジルコニウム系、チタン系、リン酸亜鉛等を用いることができるが、これらの中で、りん酸クロメートを用いるのが好ましい。りん酸クロメートの付着量は、金属Cr元素換算で好ましくは5〜50mg/m2、より好ましくは10〜45mg/m2ある。この付着量が5mg/m2未満では、樹脂皮膜との密着性が低下する場合があり、50mg/m2を超えると、加工後に化成皮膜が凝集破壊して、樹脂皮膜との密着性が低下する場合がある。
本発明で用いられる化成皮膜は、りん酸クロメート、ジルコニウム系、チタン系、リン酸亜鉛等を用いることができるが、これらの中で、りん酸クロメートを用いるのが好ましい。りん酸クロメートの付着量は、金属Cr元素換算で好ましくは5〜50mg/m2、より好ましくは10〜45mg/m2ある。この付着量が5mg/m2未満では、樹脂皮膜との密着性が低下する場合があり、50mg/m2を超えると、加工後に化成皮膜が凝集破壊して、樹脂皮膜との密着性が低下する場合がある。
D.樹脂皮膜
D−1.エポキシ樹脂
本発明では、薬品との親和性が低く、強酸などの薬品に接触しても劣化し難いエポキシ樹脂をベース樹脂に用いる。なお、エポキシ樹脂は、フッ素樹脂と比較して、加工性が劣るため、要求される加工性を見極めて用いることが好ましい。また、エポキシ樹脂は、ポリエステル樹脂と異なり加水分解し難いため、高温高湿環境下に晒される用途において好適に用いられる。すなわち、エポキシ樹脂は、耐高温水性に優れる利点を有する。更に、エポキシ樹脂は、フッ素樹脂と異なりプレッシャーマークがつかないため、裏面塗膜の仕様を工夫する必要がないため安価に製造することができる。
D−1.エポキシ樹脂
本発明では、薬品との親和性が低く、強酸などの薬品に接触しても劣化し難いエポキシ樹脂をベース樹脂に用いる。なお、エポキシ樹脂は、フッ素樹脂と比較して、加工性が劣るため、要求される加工性を見極めて用いることが好ましい。また、エポキシ樹脂は、ポリエステル樹脂と異なり加水分解し難いため、高温高湿環境下に晒される用途において好適に用いられる。すなわち、エポキシ樹脂は、耐高温水性に優れる利点を有する。更に、エポキシ樹脂は、フッ素樹脂と異なりプレッシャーマークがつかないため、裏面塗膜の仕様を工夫する必要がないため安価に製造することができる。
なお、放熱性顔料を添加せずにエポキシ樹脂により樹脂皮膜を形成することで0.5程度の放射率が達成されるので、ある程度の放熱性は得られる。しかしながら、0.5程度の放射率では十分な放熱性が得られないので、本発明においては後述するように、放熱性顔料を必須成分とする。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、飽和又は不飽和;環状又は非環状;脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は複素環族;のものを用いることができる。また、適当な置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ基及びエーテル基を有していてもよい。
エポキシ樹脂の具体例としては、エピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン又はエピブロモヒドリン)とポリフェノールとを、アルカリの存在下に反応させて得られるエポキシポリエーテルが挙げられる。ポリフェノールの例としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン(すなわち、ビスフェノールA);ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン;4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン;及び1,5−ヒドロキシナフタレンが挙げられる。最も好ましいのはビスフェノールAのポリグリシジルエーテルである。
エポキシ樹脂の他の具体例としては、多価アルコールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。このような多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコールが挙げられる。
更に他の具体例としては、ポリカルボン酸のポリグリシジルエーテルが挙げられる。このような化合物は、エピクロロヒドリン又は同様のエポキシ化合物と、脂肪族又は芳香族のポリカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テトラフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び二量化リノール酸との反応により得られる。
別の具体例としては、オレフィン系不飽和脂環族化合物のエポキシ化により調製されるものが挙げられる。このようなポリエポキシドは、フェノール性ではなく、脂環族オレフィンのエポキシ化、例えば酸素及びある種の金属触媒の作用により;過安息香酸の作用により;酸−アルデヒドモノ過酢酸又は過酢酸によって得られる。このようなポリエポキシドの例としては、公知のエポキシ脂環族エーテル又はエステルが挙げられる。
更に他の具体例としては、エポキシ分子中にオキシアルキレン基を有するものが挙げられる。更に他の例としては、エポキシノボラック樹脂が挙げられる。このような樹脂はエピハロヒドリンとアルデヒド及び単官能又は多官能フェノール類の縮合物との反応により得られる。典型的な反応例としては、エピクロロヒドリンとフェノールホルムアルデヒド縮合物との反応が挙げられる。
他の例としては、共重合性グリシジルアクリレート又はメタクリレートユニットを有するアクリル共重合体が挙げられる。これらのアクリル共重合体は、α、β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアルキルエステルとグリシジルアクリレート又はメタクリレートのいずれかとの反応により調製される。他のグリシジル含有共重合性モノマー、例えばジグリシジルイタコン酸及びジグリシジルマレエートを用いてもよい。このようなモノマーは必要により他の共重合性モノマー、例えばビニル芳香族化合物(例えば、スチレン又はビニルトルエン)又はアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの存在下に共重合してもよい。
更に、変性エポキシ樹脂を用いても良い。変性エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂にリン酸もしくは低分子アルコール又はそれらの誘導体を反応させて得られる変性エポキシ樹脂や、ウレタン変性エポキシ樹脂を用いることができる。
以上のエポキシ樹脂においては、好ましくは40℃を超え、より好ましくは50℃を超えるガラス転移温度を有する。ガラス転移温度が40℃以下では、耐薬品性が劣る場合がある。
硬化剤としては、メラミン樹脂やブロックイソシアネート樹脂を用いることが好ましい。
D−2.放熱性顔料
本発明において用いる放熱性顔料としては、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト等を用いることができるが、カーボンブラックやグラファイトを用いるのが好ましい。カーボンブラックとグラファイトは、樹脂皮膜中において一次粒子の状態では存在せず、個々の粒子が凝集した状態で存在する。
本発明において用いる放熱性顔料としては、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト等を用いることができるが、カーボンブラックやグラファイトを用いるのが好ましい。カーボンブラックとグラファイトは、樹脂皮膜中において一次粒子の状態では存在せず、個々の粒子が凝集した状態で存在する。
カーボンブラックは炭化水素原料を、チャンネル法、ファーネス法、熱分解法、アセチレン法等により熱分解することにより製造される黒色微粉末である。本発明において用いられるカーボンブラックの製造方法は、特に限定されるものではない。チャンネル法は、主として天然ガスを原料に用い、これを燃焼室内で多数のバーナーチップから不完全燃焼させ、適当な高さにおいて鉄製のチャンネルに衝突させて生成するカーボンブラックを付着させ、これを捕集する方法である。ファーネス法は、原料を耐火煉瓦で内張した炉内で、酸素が不足する状態で熱分解させる方法である。熱分解法は、完全に空気の供給を断ち、熱を他から供給して熱分解する方法である。アセチレン法は、アセチレンガスの熱分解による方法である。カーボンブラックの平均粒径(一次粒子径)は、105nm〜200nmが好ましい。平均粒径が105nm未満では、樹脂皮膜中のカーボンブラックの濃度を十分に高めることができず、放熱性が劣る場合がある。一方、平均粒径が200nmを超えると、放熱性の効果が飽和するだけでなくコストアップを招く。
グラファイトは、六方晶系の六角板状結晶で、構造は、亀の甲状の層状物質で層毎の面内は、強い共有結合で炭素間が繋がっており、層と層の間は、弱いファンデルワールス力で結合したものである。グラファイトの種類は特に限定されるものではないが、例えば、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、粒状黒鉛、土状黒鉛等が用いられる。グラファイトの平均粒径は、1μm〜5μmが好ましい。平均粒径が小さいほど曲げ加工性に優れるが、平均粒径が1μm未満では曲げ加工性の効果が飽和するだけでなくコストアップを招く。一方、平均粒径が5μmを超えると、曲げ加工性が劣る場合がある。
D−3.6≦(23.4−δ)×(t)/(m)≦127<式(1)>
本発明においては、エポキシ樹脂のSP値δ(<cal/cm3>1/2)と、樹脂皮膜の膜厚t(μm)と、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部m(−)が上記式(1)を満たす必要がある。式(1)は、10≦(23.4−δ)×(t)/(m)≦110を満たすのが好ましく、15≦(23.4−δ)×(t)/(m)≦100を満たすのがより好ましい。(23.4−δ)×(t)/(m)<6では、耐薬品性に劣る。一方、(23.4−δ)×(t)/(m)>127では、放熱性及び耐薬品性に劣る。
本発明においては、エポキシ樹脂のSP値δ(<cal/cm3>1/2)と、樹脂皮膜の膜厚t(μm)と、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部m(−)が上記式(1)を満たす必要がある。式(1)は、10≦(23.4−δ)×(t)/(m)≦110を満たすのが好ましく、15≦(23.4−δ)×(t)/(m)≦100を満たすのがより好ましい。(23.4−δ)×(t)/(m)<6では、耐薬品性に劣る。一方、(23.4−δ)×(t)/(m)>127では、放熱性及び耐薬品性に劣る。
式(1)中の23.4(<cal/cm3>1/2)は水のSP値であり、23.4−δが大きい程、水との親和性が低くなる。本発明が用いられる車載部品に必要とされる耐薬品性は、硫酸水溶液に対する耐性であり、水との親和性が低い程、硫酸水溶液は樹脂皮膜中を浸透し難く、樹脂皮膜厚が厚い程、アルミニウム基材に到達するまでの時間がかかるため、耐薬品性において優れる。これに対して、放熱性顔料の添加量、すなわち、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部mが多い程、樹脂皮膜の不均一構造が増し、この不均一構造中を硫酸水溶液が透過し易くなるため、耐薬品性が劣る。一方、樹脂皮膜の輻射率はtやmに依存するため、高度に、放熱性、耐薬品性及び耐高温水性を満たすためには、ベース樹脂にエポキシ樹脂を用いつつ(1)式を満足する必要がある。
D−3−1.SP値
本発明で用いられるSP値(solubility parameter、溶解性パラメータ)とは、溶解性の尺度となるものである。なお、ベース樹脂が2種以上の混合物の場合におけるSP値は、それぞれのベース樹脂の溶解性パラメータの加重平均値をSP値とする。
本発明で用いられるSP値(solubility parameter、溶解性パラメータ)とは、溶解性の尺度となるものである。なお、ベース樹脂が2種以上の混合物の場合におけるSP値は、それぞれのベース樹脂の溶解性パラメータの加重平均値をSP値とする。
SP値は、樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒(2種類の良溶媒、例えば、ジオキサン、アセトンを用いる)10mlをホールピペットで加え、マグネティックスターラーにより攪拌溶解した後に、貧溶媒(2種類の貧溶媒、例えば、n−ヘキサン、イオン交換水を用いる)50mlをビュレットを用いてを滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。なお、測定温度は、20℃とする。SP値δは、下記の式(2)〜(4)式によって与えられる。
δ={(1/2)(Vm1・δm1+Vmh・δmh)}/{(1/2)(Vml+Vmh)}
=(Vm1・δm1+Vmh・δmh)/(Vml+Vmh) (2)
Vm=V1V2/(φ1V2+φ2V1) (3)
δm=φ1δ1+φ2δ2 (4)
Vi:各溶媒の分子容積(ml/mol)、なお、iは、式(3)における1又は
2
φi:濁点における各溶媒の体積分率、なお、iは、式(3)、(4)における1
又は2
δi:各溶媒のSP値、なお、iは、式(4)における1又は2
ml:良溶媒混合系
mh:貧溶媒混合系
ここで、Vml、δmlとは、二種の良溶媒混合系(例えば、1:ジオキサン、2:アセトン)を用いた場合を指し、Vmh、δmhとは、二種類の貧溶媒混合系(例えば、1:n−ヘキサン、2:イオン交換水)を用いた場合を指す。
δ={(1/2)(Vm1・δm1+Vmh・δmh)}/{(1/2)(Vml+Vmh)}
=(Vm1・δm1+Vmh・δmh)/(Vml+Vmh) (2)
Vm=V1V2/(φ1V2+φ2V1) (3)
δm=φ1δ1+φ2δ2 (4)
Vi:各溶媒の分子容積(ml/mol)、なお、iは、式(3)における1又は
2
φi:濁点における各溶媒の体積分率、なお、iは、式(3)、(4)における1
又は2
δi:各溶媒のSP値、なお、iは、式(4)における1又は2
ml:良溶媒混合系
mh:貧溶媒混合系
ここで、Vml、δmlとは、二種の良溶媒混合系(例えば、1:ジオキサン、2:アセトン)を用いた場合を指し、Vmh、δmhとは、二種類の貧溶媒混合系(例えば、1:n−ヘキサン、2:イオン交換水)を用いた場合を指す。
本発明で用いられるエポキシ樹脂のSP値は、10.7〜11.2の範囲であることが好ましく、10.8〜11.1の範囲であることがより好ましい。
D−3−2.膜厚
本発明で用いる樹脂皮膜の厚さは、12μm〜40μmの範囲が好ましく、16μm〜30μmの範囲がより好ましい。この厚さが12μm未満では、耐薬品性が劣る場合があり、40μmを超えると加工性が劣る場合がある。
本発明で用いる樹脂皮膜の厚さは、12μm〜40μmの範囲が好ましく、16μm〜30μmの範囲がより好ましい。この厚さが12μm未満では、耐薬品性が劣る場合があり、40μmを超えると加工性が劣る場合がある。
D−3−3.エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部m
本発明で用いられる放熱性顔料の添加量、すなわち、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部(m)は、4質量部〜26質量部が好ましいく、6質量部〜22質量部がより好ましい。4質量部未満では放熱性が劣る場合があり、26質量部を超えると均一な樹脂皮膜が得られない場合がある。
本発明で用いられる放熱性顔料の添加量、すなわち、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部(m)は、4質量部〜26質量部が好ましいく、6質量部〜22質量部がより好ましい。4質量部未満では放熱性が劣る場合があり、26質量部を超えると均一な樹脂皮膜が得られない場合がある。
E.製造方法
本発明に係るプレコートアルミニウム材は、上述のように、アルミニウム基材の表面にスプレー法又は浸漬法によって化成皮膜を形成する。次いで、この化成皮膜上に樹脂皮膜形成用の液状の塗料組成物を塗布し、それを焼き付けることによって樹皮皮膜を形成することによって製造される。なお、化成皮膜とその上の樹脂皮膜は、アルミニウム基材の一方の表面に形成してもよく、或いは、両方の表面に形成してもよい。
本発明に係るプレコートアルミニウム材は、上述のように、アルミニウム基材の表面にスプレー法又は浸漬法によって化成皮膜を形成する。次いで、この化成皮膜上に樹脂皮膜形成用の液状の塗料組成物を塗布し、それを焼き付けることによって樹皮皮膜を形成することによって製造される。なお、化成皮膜とその上の樹脂皮膜は、アルミニウム基材の一方の表面に形成してもよく、或いは、両方の表面に形成してもよい。
E−1.塗料組成物
本発明における樹脂皮膜形成用の液状の塗料組成物は、塗料成分を溶剤に溶解又は分散させて調製される。塗料成分とは、ベース樹脂であるエポキシ樹脂及び放熱性顔料を必須成分として含有し、添加剤として、インナーワックス、ハジキ防止剤、体質顔料、分散安定剤等を更に含有してもよい。溶剤は、各塗料成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル等を用いることができる。塗料組成物において、塗料成分を含む塗料固形分が10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%となるように溶剤量を適宜選択することが好ましい。
本発明における樹脂皮膜形成用の液状の塗料組成物は、塗料成分を溶剤に溶解又は分散させて調製される。塗料成分とは、ベース樹脂であるエポキシ樹脂及び放熱性顔料を必須成分として含有し、添加剤として、インナーワックス、ハジキ防止剤、体質顔料、分散安定剤等を更に含有してもよい。溶剤は、各塗料成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル等を用いることができる。塗料組成物において、塗料成分を含む塗料固形分が10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%となるように溶剤量を適宜選択することが好ましい。
E−2.塗装方法
アルミニウム基材の表面に塗料組成物を塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れ、生産性が良好なロールコート方式が好ましい。ロールコート方式では、塗料組成物をパンに貯めておき、ピックアップロールによりパンから塗料組成物をかき上げてアプリケーターロールに転写し、転写した塗料組成物をアルミニウム基材の表面に塗布する。アルミニウム基材の搬送は、バックアップロールを用いて行なう。なお、ロールコート方式の他に、グラビアロール方式、ナチュラルコート方式等の方法で塗布してもよく、バーコータで塗布してもよい。
アルミニウム基材の表面に塗料組成物を塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れ、生産性が良好なロールコート方式が好ましい。ロールコート方式では、塗料組成物をパンに貯めておき、ピックアップロールによりパンから塗料組成物をかき上げてアプリケーターロールに転写し、転写した塗料組成物をアルミニウム基材の表面に塗布する。アルミニウム基材の搬送は、バックアップロールを用いて行なう。なお、ロールコート方式の他に、グラビアロール方式、ナチュラルコート方式等の方法で塗布してもよく、バーコータで塗布してもよい。
アルミニウム基材に塗布した塗料組成物は、熱風乾燥機内で乾燥することにより焼き付けられる。焼付けにおける最高到達板温度は、好ましくは200〜310℃、より好ましくは210〜300℃であり、焼付時間は、好ましくは20〜100秒、より好ましくは40〜90秒である。焼付けに用いる加熱方法は、熱風乾燥機による加熱方法の他に、赤外線加熱や高周波誘導加熱によるものであってもよい。
F.車載部品
本発明に係るプレコートアルミニウム材を打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工等のプレス加工を施すことによって、車載部品を形成する。このような車載部品は、例えばパワーコントロールユニット(PCU)の筐体用のカバーとして用いられる。このカバーの形状や大きさは、特に限定されるものではない。このカバーは、例えば、ネジ止めや接着剤等を用いてアルミダイカストによって作製された筐体のボトムケースに接合される。
本発明に係るプレコートアルミニウム材を打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工等のプレス加工を施すことによって、車載部品を形成する。このような車載部品は、例えばパワーコントロールユニット(PCU)の筐体用のカバーとして用いられる。このカバーの形状や大きさは、特に限定されるものではない。このカバーは、例えば、ネジ止めや接着剤等を用いてアルミダイカストによって作製された筐体のボトムケースに接合される。
以下、本発明例及び比較例に基づいて、本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明例1〜6及び比較例1〜4
アルミニウム基材の表面に、化成皮膜と樹脂皮膜を以下のようにして形成した。アルミニウム板(JIS A1050P H24、厚さ:2.0mm)を弱アルカリ性の脱脂液で脱脂処理し、次いで水洗した。このアルミニウム板を、市販のりん酸クロメート化成処理液(日本パーカライジング社製、パルコート3700)中に、50℃で20秒間浸漬して化成処理を施した。次いで、これを水洗後に室温で乾燥した。
アルミニウム基材の表面に、化成皮膜と樹脂皮膜を以下のようにして形成した。アルミニウム板(JIS A1050P H24、厚さ:2.0mm)を弱アルカリ性の脱脂液で脱脂処理し、次いで水洗した。このアルミニウム板を、市販のりん酸クロメート化成処理液(日本パーカライジング社製、パルコート3700)中に、50℃で20秒間浸漬して化成処理を施した。次いで、これを水洗後に室温で乾燥した。
次に、化成処理したアルミニウム板に、焼付乾燥後の膜厚が表1に示すものとなるように、表1に示すベース樹脂と放熱性顔料(カーボンブラック、旭カーボン社製、SB220、平均粒径122nm)を有機溶剤(シクロヘキサノンとトルエンの混合溶剤)に分散させた塗料組成物をバーコータによって塗布し、最高到達板温度を230℃、焼付時間を60秒として熱風乾燥機内において焼付け、プレコートアルミニウム板試料を作製した。
樹脂皮膜の厚さは、塗布する塗料組成物の量を変えることで調整した。また、ベース樹脂と放熱性顔料の質量部の割合は、表1に示す通りである。なお、塗料組成物におけるベース樹脂と放熱性顔料の合計固形分は、50質量%とした。
得られた試料について、耐薬品性、放熱性及び耐高温水性を後述の方法で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。結果を、表1に示す。
<耐薬品性>
試料を5cm×10cmの大きさに切断し、エッジをシールし、20%硫酸水溶液中に浸漬させて、70℃で24時間保管した後に、樹脂皮膜外観を以下の基準で目視評価した。
○:変化なし
△:腐食面積率が50%を超え100%未満
×:腐食面積率が50%以下
試料を5cm×10cmの大きさに切断し、エッジをシールし、20%硫酸水溶液中に浸漬させて、70℃で24時間保管した後に、樹脂皮膜外観を以下の基準で目視評価した。
○:変化なし
△:腐食面積率が50%を超え100%未満
×:腐食面積率が50%以下
<放熱性>
試料を10cm×10cmの大きさに切断し、放射率計(DandSAERD:京都電子工業株式会社製)を用いて室温で放射率を測定し、以下の基準で評価した。
○:0.8以上
△:0.7以上0.8未満
×:0.7未満
試料を10cm×10cmの大きさに切断し、放射率計(DandSAERD:京都電子工業株式会社製)を用いて室温で放射率を測定し、以下の基準で評価した。
○:0.8以上
△:0.7以上0.8未満
×:0.7未満
<耐高温水性>
試料を5cm×10cmの大きさに切断し、プレッシャクッカー試験を実施し、外観を以下の基準で評価した。なお、試験時間は120時間とした。
○:塗膜剥離が認められず、かつ、変色も認められない。
×:塗膜剥離及び変色の少なくとも一方が認められる。
試料を5cm×10cmの大きさに切断し、プレッシャクッカー試験を実施し、外観を以下の基準で評価した。なお、試験時間は120時間とした。
○:塗膜剥離が認められず、かつ、変色も認められない。
×:塗膜剥離及び変色の少なくとも一方が認められる。
本発明例1〜6では、本発明の構成要件を満たすので、耐薬品性、放熱性及び耐高温水性がいずれも合格であった。これに対して比較例1〜4では、耐薬品性、放熱性及び耐高温水性の何れかが不合格であった。
比較例1では、(23.4−δ)×(t)/(m)が127を超えたため、放熱性が不合格となった。
比較例2では、(23.4−δ)×(t)/(m)が6未満であったため、耐薬品性が不合格となった。
比較例3及び4では、ベース樹脂にエポキシ樹脂ではない樹脂を用いたため、(23.4−δ)×(t)/(m)が6未満であったため、耐薬品性と耐高温水性が不合格となった。
本発明に係るプレコートアルミニウム材は、車載部品である、例えばパワーコントロールユニット(PCU)の筐体カバー等に好適に用いられる。
Claims (3)
- アルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の表面に形成された化成皮膜と、当該化成皮膜上に形成された樹脂皮膜とを備えるプレコートアルミニウム材であって、前記樹脂皮膜が、ベース樹脂であるエポキシ樹脂と、放熱性顔料とを含み、エポキシ樹脂のSP値δ(<cal/cm3>1/2)と、樹脂皮膜の膜厚t(μm)と、エポキシ樹脂100質量部に対する放熱性顔料の質量部mが下記式(1)を満たすことを特徴とするプレコートアルミニウム材。
6≦{(23.4−δ)×(t)}/(m)≦127 (1) - 請求項1に記載のプレコートアルミニウム材を用いた車載部品。
- プレコートアルミニウム材のプレス加工品である、請求項2に記載の車載部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017114276A JP2018202827A (ja) | 2017-06-09 | 2017-06-09 | プレコートアルミニウム材及びこれを用いた車載部品 |
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Publications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018202827A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023090184A1 (ja) * | 2021-11-17 | 2023-05-25 | 株式会社Uacj | 樹脂被覆アルミニウム合金板及び樹脂被覆アルミニウム合金板用樹脂組成物 |
-
2017
- 2017-06-09 JP JP2017114276A patent/JP2018202827A/ja active Pending
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WO2023090184A1 (ja) * | 2021-11-17 | 2023-05-25 | 株式会社Uacj | 樹脂被覆アルミニウム合金板及び樹脂被覆アルミニウム合金板用樹脂組成物 |
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