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JP2018192468A - 水処理用吸着材とその製造方法 - Google Patents

水処理用吸着材とその製造方法 Download PDF

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JP2018192468A JP2017123717A JP2017123717A JP2018192468A JP 2018192468 A JP2018192468 A JP 2018192468A JP 2017123717 A JP2017123717 A JP 2017123717A JP 2017123717 A JP2017123717 A JP 2017123717A JP 2018192468 A JP2018192468 A JP 2018192468A
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哲也 古杉
Tetsuya Furusugi
哲也 古杉
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Abstract

【課題】水溶性切削油、ホコリ、細菌、油、有機物などで汚染した水の浄化処理のための吸着材、その製造方法、及びそれを用いた水処理装置の提供。【解決手段】キトサン粉末、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバー、繊維状酸化アルミニウムのいずれかを吸着剤として、これをセルロース等の基質に保持させた水処理用吸着材。前記吸着剤と基質を水中で混和し乾燥することによる該水処理用吸着材の製造方法。該吸着材を充填したカラムより成る水処理装置。【選択図】なし

Description

本発明は水処理用の吸着材とその製造方法に関するものである。
水溶性切削油、塵芥、有機物、微生物などで汚染した水の処理技術は環境保全や衛生などに欠かせない技術であり、様々な技術が開発され利用されている。水溶性切削油は自動車工場などの機械加工工場で工作機械の潤滑油や冷却用、あるいは加工部品の洗浄用に多量に用いられており、廃水に多量に混入する。これをそのまま環境中に放流することは許されず、水溶性切削油を何らかの方法で除去して、水を浄化した後に放流しなければならない。
水中に乳化状態で存在している水溶性切削油は、浮上あるいは沈降することはないので、そのままでは水と分離しない。乳化状態で水と混和している油を除去する方法として工場などで一般に行われているのは、ポリ塩化アルミニウムや硫酸バンドなどを投入し油分と共に凝集させる方法である(非特許文献1)。しかし、この方法は大規模な廃水処理施設が必要となり、小規模な工場などでは導入が難しい。
水溶性切削油で汚染された水を浄化する技術がいくつか提案されている。特許文献1の技術では汚染水にポリアクリル酸を添加して水溶性切削油を凝集させ、水と水溶性切削油を分離する(特許文献1)。また特許文献2の技術では、水溶性切削油などの有機物質を含む排水を加熱し水分を蒸発させ、排水が含有している有機物質を蒸発乾固させ、水分から固体として分離するものである(特許文献2)。しかしこれらの技術はいずれも、相当規模の設備を要し、小規模な工場等への導入は困難である。
工作機械の冷却に用いられた水溶性切削油は、加工された製品にも付着するので加工製品は超音波洗浄やバブル洗浄、高圧洗浄などにより水洗される。洗浄に使用した洗浄水には水溶性切削油が含まれることとなる。洗浄水は繰り返し使用されるが使用する都度水溶性切削油の濃度が高くなるので、水溶性切削油の濃度が一定以上になれば洗浄水は廃棄される。この廃液から水溶性切削油を効率よく除去することができれば浄化後の水は再利用でき、大規模な廃水処理設備も不要となる。
上記の洗浄水のように比較的少量の水溶性切削油を含む水から水溶性切削油を除去する手段としては吸着材を使用して水溶性切削油を吸着除去する方法が考えられる。吸着材としては活性炭やゼオライト、シリカなどが良く用いられている。これらは多孔質の物質でその細孔にいろいろな物質を吸着する性質を有するが、細孔のサイズより大きい物質は効率よく吸着することができない。活性炭やゼオライト、シリカなどが効率よく吸着できる物質は粒子径が10nm(ナノメーター)以下の粒子である。水中に乳化状態で存在している水溶性切削油は油粒子径が約50nm〜約10μmであり、活性炭やゼオライト、シリカなどには吸着せず、これらの吸着材では除去することはできない。粒子径が数nm以上の粒子は、膜分離により除去することができるが、膜が目詰まりしやすく高コストとなる。
水から汚染物質を濾過するフィルターとして、ナノアルミナ繊維をガラス繊維やセルロースに結合させた不織媒体をプリーツ加工したフィルターが開発されている(特許文献3)。このフィルターはナノアルミナ繊維の表面が正に帯電しており、水中に存在する負に帯電している粒子を吸着する。水中に混濁しているホコリ、細菌、水溶性切削油などの油、有機物などは、表面電荷が負に帯電しているので、このフィルターはこれらの汚染物質を吸着除去することができ、水溶性切削油で汚染された水から水溶性切削油を除去する効果を有する。しかし処理能力が十分ではなく処理コストが高くなることが問題である。
特許第5461805号 特許第4856113号 特許第5718309号 特許第5186694号 特開2011−167237 特開2016−27795
機械工場における廃水処理システム、小池彬之、中島一郎、山寺利夫、日立評論、55(3)、296−300、1973. カニ殻由来の新素材「キチンナノファイバー」の製造とその利用開発、伊福伸介、Kagaku to Seibutsu 53(7):473−477、2015
本発明が解決しようとする課題は、大規模な設備を必要とせず、小規模な工場や実験室などにも導入可能な、水溶性切削油やホコリ、細菌、油、有機物などで汚染した水の浄化技術を提供することである。具体的には、水中に乳化状態で存在している水溶性切削油や、水中に懸濁しているホコリ、細菌、油、有機物などを吸着除去できる水処理用吸着材およびその製造方法並びにそれを用いた水処理装置を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、キトサン粉末、またはキチンナノファイバー、またはキトサンナノファイバー、または表面キトサン化キチンナノファイバーもしくは繊維状酸化アルミニウムが、水溶性切削油を吸着除去できる吸着剤となりうること、そして、それらをセルロース粉末などの基質に保持させ、それを吸着材として充填した円筒からなる水処理装置が、既存のフィルターを用いた水処理装置を顕著に上回る水溶性切削油除去能力を有することを見出し、本発明に至った。
なお、本発明において、吸着剤とは、汚染水中の汚染物質に結合し汚染物質を吸着する物質を指し、吸着材とは、吸着剤を基質に保持させたもの、即ち、吸着剤と基質を主な構成物とするものを指す。本発明は以下のとおりである。
第一の発明にかかる水処理用吸着材は、吸着剤と、上記の吸着剤を保持する基質を備え、上記の吸着剤が、キトサン粉末、またはキチンナノファイバー、またはキトサンナノファイバー、または表面キトサン化キチンナノファイバーもしくは繊維状酸化アルミニウムであることを特徴とするものである。
第二の発明にかかる水処理用吸着材は、第一の発明において基質がセルロースであることを特徴とするものである。
第三の発明にかかる水処理用吸着材は、第一または第二の発明において吸着剤がキトサン粉末であって、当該キトサン粉末の平均粒子径が50μm以下であることを特徴とするものである。
第四の発明にかかる水処理用吸着材は、第一または第二の発明において吸着剤がキチンナノファイバーであって、当該キチンナノファイバーの繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であることを特徴とするものである。
第五の発明にかかる水処理用吸着材は、第一または第二の発明において吸着剤がキトサンナノファイバーであって、当該キトサンナノファイバーの繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であることを特徴とするものである。
第六の発明にかかる水処理用吸着材は、第一または第二の発明において吸着剤が表面キトサン化キチンナノファイバーであって、当該表面キトサン化キチンナノファイバーの繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であることを特徴とするものである。
第七の発明にかかる水処理用吸着材は、第一または第二の発明において吸着剤が繊維状酸化アルミニウムであって、当該繊維状酸化アルミニウムの繊維の横断面の直径が5nm〜50nmであり、アスペクト比が3〜10であることを特徴とするものである。
第八の発明にかかる水処理用吸着材は、第一ないし第七の発明において、基質がセルロースの粉末であって、当該セルロースの粉末の平均粒子径が10μm〜100μmであることを特徴とするものである。
第九の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、平均粒子径が50μm以下のキトサン粉末0.5〜100重量部と1〜400重量部の酸と10〜1000重量部の水の混合液を作成する工程と、上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、上記混合物から水分を除去する工程と、を含むことを特徴とするものである。
第十の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であるキチンナノファイバー0.05〜5重量部と0〜30重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成する工程と、上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、上記混合物を乾燥する工程と、を含むことを特徴とするものである。
第十一の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であるキトサンナノファイバー0.01〜10重量部と0〜10重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成する工程と、上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、上記混合物を乾燥する工程と、を含むことを特徴とするものである。
第十二の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上である表面キトサン化キチンナノファイバー0.01〜20重量部と0〜20重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成する工程と、上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、上記混合物を乾燥する工程と、を含むことを特徴とするものである。
第十三の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、繊維の横断面の直径が5nm〜50nm、アスペクト比が3〜10の繊維状酸化アルミニウム0.05〜5重量部を20〜100重量部のアルコール水溶液に分散させた液に10重量部の基質を混合する工程と、上記で得られる混合物を乾燥する工程と、を含むことを特徴とするものである。
第十四の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、第九ないし第十三の発明において、基質がセルロースであることを特徴とするものである。
第十五の発明は水処理用吸着材を製造する方法であって、第九ないし第十三の発明において、基質がセルロースの粉末であり、当該セルロースの粉末の平均粒子径が10μm〜100μmであることを特徴とするものである。
第十六の発明は水処理装置であって、筒状容器を備え、当該筒状容器の一端には汚染水の注入口が設けられ、当該筒状容器の他端には浄化された水の排出口が設けられ、当該筒状容器に第一ないし第八のいずれかの水処理用吸着材、あるいは第九ないし第十五のいずれかの方法により製造された水処理用吸着材が充填されていることを特徴とするものである。
本発明に係る水処理用吸着材は水中に乳化状態で存在している水溶性切削油を吸着除去する能力が非常に高い。また、本発明に係る水処理用吸着材に用いている吸着剤であるキトサン粉末、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーおよび繊維状酸化アルミニウムは、いずれも表面が正に帯電しており、水中に懸濁していて表面が負に帯電しているホコリ、細菌、有機物などを吸着することができる。さらに、本発明に係る水処理装置は、本発明に係る水処理用吸着材を充填した円筒に汚染水を通すことにより汚染水中の汚染物質を吸着除去するという仕組みであり、比較的小型で設置に必要なスペースは小さく、小規模な工場や実験室内にも設置できるものである。さらに本発明に係る水処理用吸着材は製造コストが比較的に低廉である。本発明の実施例中最高性能を示す水処理用吸着材の水溶性切削油吸着除去性能は、現在市販されている中で最も高性能なものの一つとされるフィルターカートリッジ製品の性能の123倍にも達し、水処理コストが画期的に低廉となる。
つぎに、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な変更や修正が可能であることは言うまでもない。
本発明に係る水処理用吸着材は吸着剤としてキトサン粉末、またはキチンナノファイバー、またはキトサンナノファイバー、または表面キトサン化キチンナノファイバーもしくは繊維状酸化アルミニウムを用い、これらを、セルロース等の基質に保持させていることを特徴とするものである。
吸着剤として用いるキトサン粉末は、平均粒子径が50μm以下のものが好ましく、平均粒子径が20μm以下のものがより好ましい。この平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定したものをいう。キトサンはカニやエビなどの甲殻類の殻から得られるキチンを脱アセチル化して得られるβ1,4ポリDグルコサミンである。
キトサン粉末を吸着剤とする水処理用吸着材の製造方法は以下の通りである。0.5〜100重量部のキトサン粉末を10〜1000重量部の水に懸濁しこれに1〜400重量部の酸を加えキトサンが溶解するまで混合する。この混合液に10重量部の基質を加え混合する。その後この混合物から水分を除去して得られる生成物がキトサン粉末を吸着剤とする水処理用吸着材である。水分の除去方法としては、該混合物を減圧下に置き水分を蒸発させる方法や遠心分離法などが用い得るが、これらに限らない。基質10重量部に対して用いるキトサン粉末の量は1〜50重量部がより好ましく、2.5〜30重量部がさらに好ましい。また基質10重量部に対して用いる水の量は50〜500重量部がより好ましく、75〜350重量部がさらに好ましい。また酸はキトサンの分散性を高めるために用いるが、基質10重量部に対して用いる酸の量は1〜100重量部がより好ましく、10〜50重量部がさらに好ましい。上記の酸としてはギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、塩酸などが挙げられるがこれらに限らない。上記の基質としてはセルロース、シリカ、珪藻土、トリアセテート、アセテート、ナイロンなどを用いることができるが、セルロースが好ましい。基質としてのセルロースの形状としては、平均粒子径が10μm〜100μmの粉末状が好ましく、平均粒子径が20μm〜50μmの粉末状がより好ましい。この平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定したものをいう。後述のセルロース粉末の平均粒子径についても同様である。
吸着剤として用いるキチンナノファイバーは繊維の横断面の直径が4nm〜100nm、アスペクト比が10以上のものが好ましく、繊維の横断面の直径が4nm〜40nm、アスペクト比が約100のものがより好ましく、繊維の横断面の直径が4nm〜25nm、アスペクト比が約100のものが最も好ましい。ナノファイバーとは一般に繊維の横断面の直径が1nmから100nmの極細繊維のことである。またアスペクト比とは繊維の長手方向長さと繊維の横断面の直径の比率である。キチンナノファイバーはエビやカニの甲殻から得られるキチンを原料として種々の方法で生産されるが(特許文献4、特許文献5、非特許文献2)、本発明に用いるキチンナノファイバーは、上記のサイズの物であればどの様な製造方法で製造したものでも用いることができる。
本発明で用いるキチンナノファイバーの繊維の横断面の直径の値及びアスペクト比の値は走査型電子顕微鏡により観察した値である。後述のキトサンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバー及び繊維状酸化アルミニウムの繊維の横断面の直径の値及びアスペクト比の値についても同様である。
キチンナノファイバーを吸着剤とする水処理用吸着材の製造方法は以下の通りである。繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であるキチンナノファイバー0.05〜5重量部と0〜30重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成し、この混合液に10重量部の基質を加え混合する。その後この混合物を乾燥したものがキチンナノファイバーを吸着剤とする水処理用吸着材である。上記の乾燥の方法としては、30〜40℃での送風乾燥や、室温で静置し自然乾燥する方法などが好ましいが、これらに限らない。得られた水処理用吸着材は必要に応じ粉砕してもよい。粉砕の方法は特に限定されないが、ホモジナイザーやミキサー、カッターミルなどを用いて行ってもよい。基質10重量部に対して用いるキチンナノファイバーの量は0.1〜3重量部がより好ましく、0.5〜1.5重量部がさらに好ましい。また基質10重量部に対して用いる水の量は50〜150重量部がより好ましく、70〜100重量部がさらに好ましい。また酸はキチンナノファイバーの分散性を高めるために用いるが、必ずしも用いる必要はない。基質10重量部に対して用いる酸の量は0〜15重量部がより好ましく、0〜10重量部がさらに好ましい。上記の酸としてはギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、塩酸などが挙げられるがこれらに限らない。上記の基質としてはセルロース、シリカ、珪藻土、トリアセテート、アセテート、ナイロンなどを用いることができるが、セルロースが好ましい。基質としてのセルロースの形状としては、平均粒子径が10μm〜100μmの粉末状が好ましく、平均粒子径が20μm〜50μmの粉末状がより好ましい。
吸着剤として用いるキトサンナノファイバーは繊維の横断面の直径が4nm〜100nm、アスペクト比が10以上のものが好ましく、繊維の横断面の直径が4nm〜40nm、アスペクト比が約100のものがより好ましく、繊維の横断面の直径が4nm〜25nm、アスペクト比が約100のものが最も好ましい。キトサンナノファイバーはエビやカニの甲殻から得られるキチンを原料として種々の方法で生産されるが(特許文献4、特許文献5、非特許文献2)、本発明に用いるキトサンナノファイバーは、上記のサイズの物であればどの様な製造方法で製造したものでも用いることができる。
キトサンナノファイバーを吸着剤とする水処理用吸着材の製造方法は以下の通りである。繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であるキトサンナノファイバー0.01〜10重量部と0〜10重量部の酸と10〜200重量部重量部の水の混合液を作成し、この混合液に10重量部の基質を加え混合する。その後この混合物を乾燥したものがキトサンナノファイバーを吸着剤とする水処理用吸着材である。上記の乾燥の方法としては、30〜40℃での送風乾燥や、室温で静置し自然乾燥する方法などが好ましいが、これらに限らない。得られた水処理用吸着材は必要に応じ粉砕してもよい。粉砕の方法は特に限定されないが、ホモジナイザーやミキサー、カッターミルなどを用いて行ってもよい。基質10重量部に対して用いるキトサンナノファイバーの量は0.03〜3重量部がより好ましく、0.05〜1.5重量部がさらに好ましい。また基質10重量部に対して用いる水の量は50〜150重量部がより好ましく、70〜100重量部がさらに好ましい。また酸はキトサンナノファイバーの分散性を高めるために用いるが、必ずしも用いる必要はない。基質10重量部に対して用いる酸の量は0〜3重量部がより好ましく、0〜1重量部がさらに好ましい。上記の酸としてはギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、塩酸などが挙げられるがこれらに限らない。上記の基質としてはセルロース、シリカ、珪藻土、トリアセテート、アセテート、ナイロンなどを用いることができるが、セルロースが好ましい。基質としてのセルロースの形状としては、平均粒子径が10μm〜100μmの粉末状が好ましく、平均粒子径が20μm〜50μmの粉末状がより好ましい。
吸着剤として用いる表面キトサン化キチンナノファイバーは繊維の横断面の直径が4nm〜100nm、アスペクト比が10以上のものが好ましく、繊維の横断面の直径が10〜20nm、アスペクト比が10以上のものがより好ましい。表面キトサン化キチンナノファイバーはキチンナノファイバーを中程度のアルカリで脱アセチル化した後,粉砕することによって,表面が部分的にキトサンに変換されるが,内部はキチン結晶が保持されたナノファイバーである(特許文献6、非特許文献2)。
表面キトサン化キチンナノファイバーを吸着剤とする水処理用吸着材の製造方法は以下の通りである。繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上である表面キトサン化キチンナノファイバー0.01〜20重量部と0〜20重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成し、この混合液に10重量部の基質を加え混合する。その後この混合物を乾燥したものが表面キトサン化キチンナノファイバーを吸着剤とする水処理用吸着材である。上記の乾燥の方法としては、30〜40℃での送風乾燥や、室温で静置し自然乾燥する方法などが好ましいが、これらに限らない。得られた水処理用吸着材は必要に応じ粉砕してもよい。粉砕の方法は特に限定されないが、ホモジナイザーやミキサー、カッターミルなどを用いて行ってもよい。基質10重量部に対して用いる表面キトサン化キチンナノファイバーの量は0.03〜10重量部がより好ましく、0.05〜5重量部がさらに好ましい。また基質10重量部に対して用いる水の量は50〜150重量部がより好ましく、70〜100重量部がさらに好ましい。また酸は表面キトサン化キチンナノファイバーの分散性を高めるために用いるが、必ずしも用いる必要はない。基質10重量部に対して用いる酸の量は0〜15重量部がより好ましく、0〜10重量部がさらに好ましい。上記の酸としてはギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、塩酸などが挙げられるがこれらに限らない。上記の基質としてはセルロース、シリカ、珪藻土、トリアセテート、アセテート、ナイロンなどを用いることができるが、セルロースが好ましい。基質としてのセルロースの形状としては、平均粒子径が10μm〜100μmの粉末状が好ましく、平均粒子径が20μm〜50μmの粉末状がより好ましい。
吸着剤として用いる繊維状酸化アルミニウムは、繊維の横断面の直径が5nm〜50nm、アスペクト比が3〜10のものが好ましく、繊維の横断面の直径が5nm〜20nm、アスペクト比が3〜7のものがより好ましい。繊維状酸化アルミニウムを吸着剤とする水処理用吸着材の製造方法は以下の通りである。繊維の横断面の直径が5nm〜50nmであり、アスペクト比が3〜10である繊維状酸化アルミニウム0.05〜5重量部を20〜100重量部のアルコール水溶液に分散させた液に10重量部の基質を混合する。その後、得られた混合物を乾燥したものが、繊維状酸化アルミニウムを吸着剤とする水処理用吸着材である。上記の乾燥の方法としては、30〜40℃での送風乾燥や、室温で静置し自然乾燥する方法などが好ましい。また乾燥の後、得られた生成物をホモジナイザーやミキサー、カッターミルなどを用いて粉砕してもよい。基質10重量部に対して用いる繊維状酸化アルミニウムの量は0.05〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。繊維状酸化アルミニウムを分散させるアルコール水溶液に用いるアルコールは、イソプロピルアルコール、エタノールなどが適しているが、これらに限定されない。該アルコール水溶液のアルコール濃度はアルコールの種類にもよるが、0.2〜10重量%程度が適している。該アルコール水溶液に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤を0.1〜1重量部加えてもよい。上記の基質としてはセルロース、シリカ、珪藻土、トリアセテート、アセテート、ナイロンなどを用いることができるが、セルロースが好ましい。基質としてのセルロースの形状としては、セルロース製不織布をカッターミルなどで破砕して得られる繊維状のものなども用いることができるが、平均粒子径が10μm〜100μmの粉末状が好ましく、平均粒子径が20μm〜50μmの粉末状がより好ましい。
本発明に係る水処理装置は、筒状容器を備え、当該筒状容器の一端には汚染水の注入口が設けられ、当該筒状容器の他端には浄化された水の排出口が設けられ、当該筒状容器に本発明に係る水処理用吸着材が充填されていることを特徴とするものである。筒状容器の形状や内容積、水処理用吸着材の充填量は、浄化処理が必要な汚染水の量に応じて任意に設定できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に温度の記載をした場合を除き、全ての操作は室温下で行った。最初に各実施例あるいは比較例にかかる吸着材および比較対照とする市販吸着材の水処理性能の評価方法を記載する。
<水処理性能の評価方法>
各実施例に係る水処理用吸着材あるいは各比較例に係る吸着材を、内径10mmの円筒に高さ43mmまで充填した。充填量(体積)は約3.4立方センチである。水溶性切削油(AZ水溶性切削油1L、株式会社エーゼット)を290mg/L含む水(これを以下原水と呼ぶ)を、前記の水処理用吸着材あるいは各比較例に係る吸着材を充填した円筒の一端から注入し、他端から排出されてくる液の濁度を判定することにより、該円筒に充填した吸着材の水溶性切削油除去性能を評価した。原水の上記円筒への注入は送液ポンプを用いて注入液量毎分約1.5ccにて行った。あらかじめ水溶性切削油を濃度が下記の4段階になるようにして水に加えた標準液を用意し、その濁度を標準とし、それと前記の円筒から排出されてくる液の濁度を比較した。
標準液1は、無色透明であり、水溶性切削油の濃度は5mg/L以下である。この時の濁度を1とした。
標準液2は、若干白濁しているが、ほぼ透明であり、水溶性切削油の濃度は20mg/Lである。この時の濁度を2とした。
標準液3は、白濁しているが、原水よりは透明な液体であり、水溶性切削油の濃度は、75mg/Lである。この時の濁度を3とした。
標準液4は、原水である。白濁しており水溶性切削油の濃度は290mg/Lである。この時の濁度を4とした。
目視による比較は次のようにして行った。1、2、3、4の標準液および水処理用吸着材等を充填した円筒から排出された液を試験管に底からの高さが13cmになるまで入れた。実験台上に黒色の面に白色の文字を書いた紙をセットし、その上に上記の試験管を垂直に置いた。試験管の真上から試験管内に入れた液を通して上記の文字を目視し、排出液を入れた試験管と各標準液を入れた試験管の文字の見え方を比較した。排出液の試験管の文字の見え方が例えば標準液2の試験管の文字の見え方と同等であれば、排出液の濁度を2と判定した。
原水を、上記のように各実施例に係る水処理用吸着材あるいは各比較例に係る吸着剤を充填した円筒の一端から注入し続け、該円筒の他端から排出されてくる液の濁度を判定した。判定は排出液が25〜30cc溜まる度に上記のようにして判定した。円筒に充填した物質が水溶性切削油の吸着能を有する場合は排出されてくる液の濁度は3以下となる。その吸着能がある程度以上の場合は、最初に排出されてくる液の濁度は1となる。この時さらに通水を続けると、充填した物質の吸着容量が飽和するまでは排出液の濁度は1で維持されるが、吸着容量が飽和した後は、排出液の濁度は急速に上昇し4となる。そこで、各実施例に係る水処理用吸着材あるいは各比較例に係る吸着剤の水処理性能の指標として、各剤を充填した円筒において、排出液の濁度が1に維持される最大通水量を、当該吸着材の、この評価方式における処理可能原水量とした。
<対照>
対照として、P2.5−10DPフィルター(ARGONIDE CORPORRATION)を用いた。このフィルターは汚染水から水溶性切削油などを除去するためのフィルターとして現在市販されているものの中では最も高性能とされている製品の一つである。なおこのフィルターは特許第5718309号(先行特許文献3)に係る製品でありナノアルミナ繊維を第二繊維に結合させたものを膜状に加工したフィルターである。以後このP2.5−10DPフィルターをNH膜と呼ぶ。直径2.5cmの円形のNH膜を濾過器(メンブレンセットNH−S、タキエンジニアリング株式会社)に固定し、これに原水を通過させた。原水の通過速度は毎分約1.5ccとした。濾液の濁度を段落0044に記載した方法で継続的に判定し、濾液の濁度が上記の標準1を維持する最大通水量を、NH膜の処理可能原水量とした。NH膜の処理可能原水量は30mlであった。
<実施例中で用いた試薬等の説明>
本文中で出所や等級、品番等の説明を省略した以下の試薬等の出所、等級等は下記の通りである。
酢酸:和光純薬工業株式会社製、特級
クエン酸:健栄製薬株式会社製、 純度99.5%結晶
塩酸:和光純薬工業株式会社製、精密分析用20%塩酸
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業株式会社製、KBM-403
3-アミノプロピルトリエトキシシラン:信越化学工業株式会社製、KBE-903
水:アドバンテック東洋株式会社製、超純水(比抵抗値18.2MΩ.cm以上、TOC1PPb以下)
<実施例1>
平均粒子径が20μm以下のキトサン粉末(株式会社キミカ、キトサンLL−SF−20)2.5重量部と75重量部の水を混合し、この混合物に10重量部のクエン酸を添加しキトサンが完全に溶解するまで混合攪拌した。この混合物に、平均粒子径が37μmのセルロース粉末(日本製紙株式会社KCフロックW-100GK)10重量部を添加し混合攪拌した。その後、この混合物を180分程度静置した。この混合物を減圧下に置き水分を除去して得られた生成物が実施例1に係る水処理用吸着材である。実施例1に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は150mlであった。なお後述の実施例で用いた平均粒子径が37μmのセルロース粉末は全て日本製紙株式会社製のKCフロックW-100GKである。
<実施例2>
平均粒子径が20μm以下のキトサン粉末(株式会社キミカ、キトサンLL−SF−20)10重量部と300重量部の水を混合し、この混合物に40重量部のクエン酸を添加しキトサンが完全に溶解するまで混合攪拌した。この混合物に、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を添加し混合攪拌した。その後、この混合物を180分間静置した。この混合物を減圧下に置き水分を除去して得られた生成物が実施例2に係る水処理用吸着材である。実施例2に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は240mlであった。
<実施例3>
平均粒子径が20μm以下のキトサン粉末(株式会社キミカ、キトサンLL−SF−20)2.5重量部と75重量部の水を混合し、この混合物に10重量部のクエン酸を添加しキトサンが完全に溶解するまで混合攪拌した。この混合物に、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を添加し混合攪拌した。その後、この混合物を3日間自然乾燥させた。得られた粉末生成物を水洗し粉末表面のクエン酸を除去した。この混合物を減圧下に置き水分を除去して得られた粉末が実施例3に係る水処理用吸着材である。実施例3に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は410mlであった。
<実施例4>
平均粒子径が20μm以下のキトサン粉末(株式会社キミカ、キトサンLL−SF−20)30重量部と333重量部の水を混合し、この混合物に50重量部のクエン酸を添加しキトサンが完全に溶解するまで混合攪拌した。この混合物に、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を添加し混合攪拌した。その後、この混合物を3日間自然乾燥させた。得られた粉末生成物を水洗し粉末表面のクエン酸を除去した。この混合物を減圧下に置き水分を除去して得られた粉末が実施例4に係る水処理用吸着材である。実施例4に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は530mlであった。
Figure 2018192468
表1に吸着剤としてキトサン粉末を用いた実施例に係る水処理用吸着材およびNH膜の水処理性能の評価結果を示す。いずれの実施例に係る水処理用吸着材も対照のNH膜に比べ顕著に高い水溶性切削油除去性能を示した。中でも実施例3と実施例4に係る水処理用吸着材はそれぞれ対照のNH膜の13倍以上および17倍以上の
水溶性切削油除去性能を示した。
<実施例5>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバー(株式会社スギノマシンSFo−20002)0.9重量部と酢酸0.45重量部および水89.7重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例5に係る水処理用吸着材である。実施例5に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は400mlであった。なお、後述の実施例において使用した平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバーは全て株式会社スギノマシン製のSFo−20002である。また、上記のカッターミルは燦坤日本電器製SMM-1型を用いた。なお、後述の実施例において使用したカッターミルは全て燦坤日本電器製SMM-1型である。
<実施例6>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバー0.9重量部と水89.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例6に係る水処理用吸着材である。実施例6に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は180mlであった。
<実施例7>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバー0.99重量部とクエン酸0.45重量部および水86.8重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例7に係る水処理用吸着材である。実施例7 に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は320mlであった。
<実施例8>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバー0.99重量部とクエン酸2.25重量部および水86.8重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例8に係る水処理用吸着材である。実施例8 に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は410mlであった。
<実施例9>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバー0.99重量部とクエン酸9重量部および水80.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例9に係る水処理用吸着材である。実施例9に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は160mlであった。
<実施例10>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバー0.99重量部と塩酸0.45重量部および水88.6重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例10に係る水処理用吸着材である。実施例 10に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は140mlであった。
Figure 2018192468
表2に吸着剤としてキチンナノファイバーを用いた実施例に係る水処理用吸着材およびNH膜の水処理性能の評価結果を示す。いずれの実施例に係る水処理用吸着材も対照のNH膜に比べ顕著に高い水溶性切削油除去性能を示した。中でも実施例5と実施例8に係る水処理用吸着材はそれぞれ対照のNH膜の13倍以上の水溶性切削油除去性能を示した。
<実施例11>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノフィバー(株式会社スギノマシンEFoー08002)0.9重量部と酢酸0.45重量部および水88.7重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例11に係る水処理用吸着材である。実施例11に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は5850mlであった。なお、後述の実施例において使用した平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキチンナノフィバーは全て株式会社スギノマシン製のEFo−08002である。
<実施例12>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノフィバー0.9重量部と水89.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例12に係る水処理用吸着材である。実施例12に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は650mlであった。
<実施例13>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノフィバー0.99重量部とクエン酸0.45重量部および水89.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例13に係る水処理用吸着材である。実施例13に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は4350mlであった。
<実施例14>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノフィバー0.99重量部と塩酸0.45重量部および水88.6重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例14に係る水処理用吸着材である。実施例14に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1000mlであった。
<実施例15>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノフィバー0.45重量部と酢酸0.45重量部および水89.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例15に係る水処理用吸着材である。実施例15に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1820mlであった。
<実施例16>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノファイバー0.27重量部と酢酸0.45重量部および水89.3重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例16に係る水処理用吸着材である。実施例 16に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1270mlであった。
<実施例17>
平均繊維径が約20nm、アスペクト比約100のキトサンナノフィバー0.09重量部と酢酸0.45重量部および水89.5重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例17に係る水処理用吸着材である。実施例17に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は790mlであった。
Figure 2018192468
表3に吸着剤としてキトサンナノファイバーを用いた実施例に係る水処理用吸着材およびNH膜の水処理性能の評価結果を示す。いずれの実施例に係る水処理用吸着材も対照のNH膜に比べ顕著に高い水溶性切削油除去性能を示した。中でも実施例11と実施例13に係る水処理用吸着材はそれぞれ対照のNH膜の195倍および145倍の水溶性切削油除去性能を示した。
<実施例18>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.99重量部と酢酸0.45重量部および水88.6重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例18に係る水処理用吸着材である。実施例18に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1780mlであった。
<実施例19>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.45重量部と酢酸0.45重量部および水89.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例19に係る水処理用吸着材である。実施例19に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は2520mlであった。
<実施例20>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.27重量部と酢酸0.45重量部および水89.3重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末37重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例20に係る水処理用吸着材である。実施例20に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1820mlであった。
<実施例21>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.09重量部と酢酸0.45重量部および水89.5重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例21に係る水処理用吸着材である。実施例21に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1020mlであった。
<実施例22>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)1.98重量部と酢酸0.9重量部および水177重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例22に係る水処理用吸着材である。実施例22に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は750mlであった。
<実施例23>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.9重量部と酢酸0.81重量部および水88.3重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例23に係る水処理用吸着材である。実施例23に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1990mlであった。
<実施例24>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.99重量部と酢酸1.63重量部および水87.4重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例24に係る水処理用吸着材である。実施例24に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は4700mlであった。
<実施例25>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.95重量部と酢酸4.77重量部および水84.5重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例25に係る水処理用吸着材である。実施例25に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は4720mlであった。
<実施例26>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.9重量部と酢酸9重量部および水80.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例26に係る水処理用吸着材である。実施例26に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は1950mlであった。
<実施例27>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.88重量部と水89.1重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例27に係る水処理用吸着材である。実施例27に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は7280mlであった。
<実施例28>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.45重量部と水89.6重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例28に係る水処理用吸着材である。実施例28に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は3170mlであった。
<実施例29>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.27重量部と水89.7重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例29に係る水処理用吸着材である。実施例29に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は2640mlであった。
<実施例30>
(SCCNF13)繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)0.09重量部と水89.9重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例30に係る水処理用吸着材である。実施例30に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は670mlであった。
<実施例31>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)1.76重量部と水88.2重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例31に係る水処理用吸着材である。実施例31に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は760mlであった。
<実施例32>
繊維径が10〜20nm、アスペクト比10以上の表面キトサン化キチンナノフィバー(株式会社マリンナノファイバー)3.53重量部と水86.5重量部からなる混合液と、平均粒子径が37μmのセルロース粉末10重量部を混合し20分間攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例32に係る水処理用吸着材である。実施例32に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は140mlであった。
Figure 2018192468
表4に吸着剤として表面キトサン化キチンナノファイバーを用いた実施例に係る水処理用吸着材およびNH膜の水処理性能の評価結果を示す。いずれの実施例に係る水処理用吸着材も対照のNH膜に比べ顕著に高い水溶性切削油除去性能を示した。中でも実施例27と実施例25および実施例24に係る水処理用吸着材はそれぞれ対照のNH膜の242倍以上および156倍以上の水溶性切削油除去性能を示した。
<実施例33>
平均繊維直径10nm、平均繊維長50nmの繊維状酸化アルミニウム10重量%、イソプロピルアルコール2重量%および水88重量%から成る混合液(川研ファインケミカル株式会社)10重量部と水30重量部を混合した。この混合物に平均粒子径が37μmのセルロース粉末(日本製紙株式会社)10重量部を加え混合攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例33に係る水処理用吸着材である。実施例33に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は590mlであった。
<実施例34>
平均繊維直径10nm、平均繊維長50nmの繊維状酸化アルミニウム10重量%、イソプロピルアルコール2重量%および水88重量%から成る混合液(川研ファインケミカル株式会社)10重量部と水70重量部を混合した。この混合物に平均粒子径が37μmのセルロース粉末(日本製紙株式会社)10重量部を加え混合攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例34に係る水処理用吸着材である。実施例34に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は510mlであった。
<実施例35>
平均繊維直径10nm、平均繊維長50nmの繊維状酸化アルミニウム6.3重量%、エタノール28重量%、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン6重量%および水59.7重量%から成る混合液(川研ファインケミカル株式会社)10重量部と水70重量部を混合した。この混合物に平均粒子径が37μmのセルロース粉末(日本製紙株式会社)10重量部を加え混合攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例35に係る水処理用吸着材である。実施例35に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は490mlであった。
<実施例36>
平均繊維直径10nm、平均繊維長50nmの繊維状酸化アルミニウム10重量%、イソプロピルアルコール2重量%および水88重量%から成る混合液(川研ファインケミカル株式会社)10重量部と水30重量部および3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.7重量部を混合した。この混合物に平均粒子径が37μmのセルロース粉末(日本製紙株式会社)10重量部を加え混合攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例36に係る水処理用吸着材である。実施例36に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は210mlであった。
<実施例37>
平均繊維直径10nm、平均繊維長50nmの繊維状酸化アルミニウム6.3重量%、エタノール28重量%、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン6重量%および水59.7重量%から成る混合液(川研ファインケミカル株式会社)2重量部と水40重量部を混合した。この混合物にセルロース繊維(フタムラ化学株式会社、不織布)10重量部を加え混合攪拌した。5分間静置後30℃〜40℃下送風乾燥した。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例37に係る水処理用吸着材である。実施例37に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は70mlであった。
<実施例38>
平均繊維直径10nm、平均繊維長50nmの繊維状酸化アルミニウム10重量%、イソプロピルアルコール2重量%および水88重量%から成る混合液(川研ファインケミカル株式会社)10重量部と水30重量部および3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.7重量部を混合した。この混合物に平均粒子径が37μmのセルロース粉末(日本製紙株式会社)10重量部を加え混合攪拌した。生成したスラリーを平皿上に展延し2日間自然乾燥させた。乾燥したスラリーをカッターミルにて粉砕して得られた粉末が実施例38に係る水処理用吸着材である。実施例38に係る水処理用吸着材の処理可能原水量は10mlであった。
Figure 2018192468
表5に吸着剤として繊維状酸化アルミニウムを用いた実施例に係る水処理用吸着材並びにNH膜の水処理性能の評価結果を示す。繊維状酸化アルミニウムを用いた実施例に係る水処理用吸着材は対照のNH膜と同等あるいはより高い水溶性切削油除去性能を示した。中でも実施例33と実施例34および実施例35に係る水処理用吸着材はそれぞれ対照のNH膜の19倍以上、17倍以上および16倍以上の水溶性切削油除去性能を示した。
<実施例1〜38に係る水処理用吸着材およびNH膜の処理可能原水量の補正値>
上記の性能評価試験に供試したNH膜は一層の膜であるのに対し、実施例1〜38に係る水処理用吸着材については3.4立方センチを供試しているので、上記の試験での処理可能原水量ではNH膜と本発明に係る水処理用吸着材の性能比較として妥当ではないとも考えられる。そこで、より妥当性の高い比較とするため以下のような補正を行った。
NH膜はプリーツ加工されており、外径7.5cm、長さ25cmのフィルターカートリッジに封入されて市販されている。そこで、このフィルターカートリッジの処理可能原水量と、これと同じサイズのカラムに実施例に係る水処理用吸着材を充填したものの処理可能原水量とを算出し、比較した。この比較は上記の表1〜5の処理可能原水量の値による比較よりも妥当性の高い比較であると考えられる。上記のカートリッジに封入されているNH膜の膜面積は3100平方センチである。上記の性能評価試験に供試したNH膜は直径2.5cmの円形なのでその膜面積は約4.9平方センチである。処理可能原水量は膜面積に比例すると考えられる。そうすると、約4.9平方センチのNH膜の処理可能原水量は30mlであったので、3100平方センチのNH膜を有する上記のカートリッジの処理可能原水量は30ml×3100平方センチ/4.9平方センチ=約18,980mlと算出される。
一方、上記のカートリッジと同じサイズの内径7.5cm、長さ25cmのカラムには約1100立方センチの水処理用吸着材が充填できる。処理可能原水量は用いる水処理用吸着材の体積に比例すると考えられる。上記の性能評価試験に供試した水処理用吸着材の体積は上記の通り約3.4立方センチである。そこで、1100立方センチの水処理用吸着材を充填したカラムの処理可能原水量は性能評価試験の結果の処理可能原水量の値×1100立方センチ/3.4立方センチ、すなわち表1の結果の値の約320倍と算出される。実施例27に係る水処理用吸着材の上記性能評価試験における処理可能原水量値は7280mlであった。従ってこれを充填した内径7.5cm、長さ25cmのカラムの処理可能原水量は約2,329,600mlと算出される。この値はNH膜の上記カートリッジの処理可能原水量の約123倍となる。NH膜が既存の水溶性切削油除去フィルターの中で最も処理能力が高いものの一つであることを鑑みると、本発明に係る水処理用吸着材の処理能力は驚異的である。
<比較例の水溶性切削油除去性能の評価>
比較例に係る繊維あるいは吸着材については、上記のように内径10mmの円筒に高さ43mmまで充填し、この円筒の一端から原水15ccを注入し、他端から排出された排出液の濁度を段落0042に記載した方法によって判定することにより、当該繊維あるいは吸着材の水溶性切削油除去性能を評価した。
<比較例1>
幅0.5〜1.0cm長さ1.0〜3cmに裁断した紙(キムワイプ、日本クレシア社)0.5重量部に、繊維幅30〜200nm、繊維長2,000〜10,000nmのセルロースナノファイバー(モリマシナリー社)5.23重量%の水懸濁液0.5重量部を加え混合し乾燥させ混合繊維を作成した。この混合繊維に5重量部の水を滴下し混合した。この混合物を遠心脱水し、100℃〜150℃で乾燥した。得られた繊維が比較例1に係る繊維である。比較例1に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は4であった。
<比較例2>
平均細孔径1.96nmの活性炭(大阪ガスケミカル株式会社、活性炭WH5C8/32)を吸着材として用いた。本吸着材を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例3>
平均細孔径3.6nmの活性炭(フタムラ化学株式会社、活性炭SG840)を吸着材として用いた。本吸着材を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例4>
平均細孔径12.1nmの酸性白土(水澤化学工業株式会社、ガレオナイト#0124)を吸着材として用いた。本吸着材を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例5>
平均細孔径6nmの活性白土(水澤化学工業株式会社、ガレオナイト#251)を吸着材として用いた。本吸着材を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例6>
親油性のポリウレタン樹脂製で樹脂内部を空洞に加工した油吸収剤(国際環境開発株式会社、ゾープパウダー)を吸着材として用いた。本吸着材を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例7>
親油性のポリオレフィン系高分子化合物と無機化物より構成された油吸着剤(三菱レイヨン株式会社、DiaFellow DM-KT)を吸着材として用いた。本吸着材を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例8>
キムワイプ(日本クレシア株式会社)を幅0.5〜1.0cm長さ1.0〜3cmに裁断したもの4重量部に水20重量部を加え破砕しセルロース繊維のスラリーを得た。このスラリーに平均粒子径20μm以下のキトサン乾燥粉末(株式会社キミカ、キトサンLL−SF−20)1重量部と3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量%の水溶液1重量部を加え混合した。この混合物を遠心脱水した後100℃〜150℃下で乾燥した。乾燥物を綿状にほぐして得られた繊維が比較例8に係る繊維である。比較例8に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例9>
キムワイプ(日本クレシア株式会社)を幅0.5〜1.0cm長さ1.0〜3cmに裁断したもの4重量部に水20重量部を加え破砕しセルロース繊維のスラリーを得た。このスラリーにメディアン径16μmのキチン乾燥粉末(焼津水産化学工業、LMC-3)1重量部と3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量%の水溶液1重量部を加え混合した。この混合物を遠心脱水した後100℃〜150℃下で乾燥した。乾燥物を綿状にほぐして得られた繊維が比較例9に係る繊維である。比較例9に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例10>
幅0.5〜1.0cm長さ1.0〜3cmに裁断した紙(キムワイプ、日本クレシア社)0.5重量部に、繊維幅30〜200nm、繊維長2,000〜10,000nmのセルロースナノファイバー(モリマシナリー社)5.23重量%の水懸濁液0.5重量部を加え混合し乾燥させ混合繊維を作成した。この混合繊維に5重量部の水を滴下し、さらにメディアン径2300nmのアルミナ1水和物乾燥粉末(大明化学工業株式会社、ベーマイト粉体C20)1重量部を加え混合した。この混合物を遠心脱水し、100℃〜150℃で乾燥した。得られた繊維が比較例10に係る繊維である。比較例10に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は3であった。
<比較例11>
キムワイプ(日本クレシア株式会社)を幅0.5〜1.0cm長さ1.0〜3cmに裁断したもの1重量部に水5重量部を加え破砕しセルロース繊維のスラリーを得た。これにメディアン径2300nmのアルミナ1水和物の乾燥粉末(大明化学工業株式会社、ベーマイト粉体C20)1重量部を加え混合した。この混合物を遠心脱水した後100℃〜150℃下で乾燥した。乾燥物を綿状にほぐして得られた繊維が比較例11に係る繊維である。比較例11に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は2であった。
<比較例12>
キムワイプ(日本クレシア株式会社)を幅0.5〜1.0cm長さ1.0〜3cmに裁断したもの40重量部に水200重量部を加え破砕しセルロース繊維のスラリーを得た。メディアン径800nmの酸化アルミニウム(川研ファインケミカル株式会社、10C)1重量部、酢酸0.1重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量%水溶液10重量部および水20重量部を混合した。この混合物を上記のセルロース繊維のスラリーに加え混合攪拌した。この混合物を遠心脱水した後100℃〜150℃下で乾燥した。乾燥物を綿状にほぐして得られた繊維が比較例12に係る繊維である。比較例12に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は2であった。
<比較例13>
セルロース製不織布(フタムラ化学株式会社)をカッターミルにて綿状にしたものを蒸留水で洗浄した後遠心脱水し、セルロース繊維を得た。平均粒子径5〜10nmの酸化アルミニウム(多木化学株式会社、バイラールAl−L7)1重量部、乳酸1.33重量部、アンモニア0.1重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量%水溶液1.33重量部および水300重量部を混合した。この混合物に上記のセルロース繊維60重量部を加え混合攪拌した。これを30℃〜40℃下で送風乾燥し綿状にほぐした。完全に乾燥させて得られた繊維が比較例13に係る繊維である。比較例13に係る繊維を充填した円筒からの排出液の濁度は2であった。
本発明は水溶性切削油で汚染した水の浄化だけでなく、ホコリ、細菌、油、有機物などで汚染した水の浄化にも利用できるものである。

Claims (16)

  1. 水処理用吸着材であって
    吸着剤と、
    上記の吸着剤を保持する基質
    を備え、
    上記の吸着剤が、キトサン粉末、またはキチンナノファイバー、またはキトサンナノファイバー、または表面キトサン化キチンナノファイバーもしくは繊維状酸化アルミニウムである
    ことを特徴とする水処理用吸着材。
  2. 基質がセルロースである
    ことを特徴とする請求項1に記載の水処理用吸着材。
  3. 吸着剤が、平均粒子径が50μm以下のキトサン粉末である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理用吸着材。
  4. 吸着剤がキチンナノファイバーであって、当該キチンナノファイバーの繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理用吸着材。
  5. 吸着剤がキトサンナノファイバーであって、当該キトサンナノファイバーの繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理用吸着材。
  6. 吸着剤が表面キトサン化キチンナノファイバーであって、当該表面キトサン化キチンナノファイバーの繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理用吸着材。
  7. 吸着剤が繊維状酸化アルミニウムであって、当該繊維状酸化アルミニウムの繊維の横断面の直径が5nm〜50nmであり、アスペクト比が3〜10であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理用吸着材。
  8. 基質がセルロースの粉末であって、当該セルロースの粉末の平均粒子径が10μm〜100μmであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の水処理用吸着材。
  9. 水処理用吸着材を製造する方法であって、
    平均粒子径が50μm以下のキトサン粉末0.5〜100重量部と1〜400重量部の酸と10〜1000重量部の水の混合液を作成する工程と、
    上記混合液10重量部の基質を加え混合する工程と、
    上記混合物から水分を除去する工程と、
    を含むことを特徴とする水処理用吸着材の製造方法。
  10. 水処理用吸着材を製造する方法であって、
    繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であるキチンナノファイバー0.05〜5重量部と0〜30重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成する工程と、
    上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、
    上記混合物を乾燥する工程と、
    を含むことを特徴とする水処理用吸着材の製造方法。
  11. 水処理用吸着材を製造する方法であって、
    繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上であるキトサンナノファイバー0.01〜10重量部と0〜10重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成する工程と、
    上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、
    上記混合物を乾燥する工程と、
    を含むことを特徴とする水処理用吸着材の製造方法。
  12. 水処理用吸着材を製造する方法であって、
    繊維の横断面の直径が4nm〜100nmであり、アスペクト比が10以上である表面キトサン化キチンナノファイバー0.01〜20重量部と0〜20重量部の酸と10〜200重量部の水の混合液を作成する工程と、
    上記混合液に10重量部の基質を加え混合する工程と、
    上記混合物を乾燥する工程と、
    を含むことを特徴とする水処理用吸着材の製造方法。
  13. 水処理用吸着材を製造する方法であって、
    繊維の横断面の直径が5nm〜50nm、アスペクト比が3〜10の繊維状酸化アルミニウム0.05〜5重量部を20〜100重量部のアルコール水溶液に分散させた液に10重量部の基質を混合する工程と、
    上記で得られる混合物を乾燥する工程と、
    を含むことを特徴とする水処理用吸着材の製造方法。
  14. 基質がセルロースであることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載の水処理用吸着材の製造方法。
  15. 基質がセルロースの粉末であって、当該セルロースの粉末の平均粒子径が10μm〜100μmであることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載の水処理用吸着材の製造方法。
  16. 水処理装置であって、
    筒状容器を備え、
    当該筒状容器の一端には汚染水の注入口が設けられ、当該筒状容器の他端には浄化された水の排出口が設けられ、
    当該筒状容器に請求項1ないし8のいずれかの水処理用吸着材、あるいは請求項9ないし15のいずれかの方法により製造された水処理用吸着材が充填されていることを特徴とする水処理装置。
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