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JP2018171752A - 発泡容器 - Google Patents

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JP2018171752A JP2017070675A JP2017070675A JP2018171752A JP 2018171752 A JP2018171752 A JP 2018171752A JP 2017070675 A JP2017070675 A JP 2017070675A JP 2017070675 A JP2017070675 A JP 2017070675A JP 2018171752 A JP2018171752 A JP 2018171752A
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Abstract

【課題】 本発明は、ポリスチレン系樹脂多層発泡シートの熱成形により得られる発泡容器であって、防湿性に優れると共に、ヘプタン抽出試験でのスチレンオリゴマーの抽出量が少なく、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリエチレン系樹脂層とが十分に接着した発泡容器を提供することを課題とする。【解決手段】 本発明の発泡容器は、ポリスチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の容器内面側に接着層を介して積層されたポリエチレン系樹脂層とを有し、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂Xの結晶化度が30%以上であり、該樹脂層の厚みが5〜60μmであり、該接着層が、スチレン二量体及びスチレン三量体の合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂Aと、結晶化度30%以上のポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から構成されており、該混合樹脂の混合状態を表す相構造指数の値PIが0.7〜6.0である。【選択図】 なし

Description

本発明は発泡容器に関し、詳しくは、ポリスチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも容器内面側に接着層を介して積層されたポリエチレン系樹脂層とを有する発泡容器に関する。
発泡ポリスチレンシートを熱成形することにより得られる成形体は、トレイ、弁当箱、丼、カップ等の各種容器に広く使用されている。これらの容器は、例えばインスタントラーメンに代表されるカップ入り即席麺の容器等として使用されている。
カップ入り即席麺は、通常、容器に乾麺や、各種包装袋に封入された具材を入れた後、容器の開口部を蓋材で密閉し、さらに熱可塑性樹脂フィルムで容器を包装することにより製造されている。この場合、これらの具材は湿気を吸いやすいため、これらの具材を包装袋等に封入することなく、そのまま防湿性の低い容器に入れると、湿気により具材の品質が低下し、賞味期間が短くなるおそれや、具材そのものが傷むおそれがある。そのため、包装袋等に封入することなく、具材をそのまま入れられるような防湿性の高い容器が求められている。
一方、ポリエチレン、ポリプロピレン等の防湿性の高いポリオレフィン系樹脂フィルムを発泡ポリスチレンシートの片面や両面に貼り合わせた多層発泡シートを熱成形して発泡容器とすることで、前記発泡容器の防湿性を改良する方法がある。
しかし、この技術においては、多層発泡シートを丼やカップ等の深物容器に熱成形しようとする場合、発泡ポリスチレンシートとポリオレフィン系樹脂層との接着強度が小さいと、熱成形時にポリオレフィン系樹脂層が一部剥離(以下、デラミネーションともいう)するという問題が発生する。また、熱成形時にデラミネーションが発生しなくても、得られた発泡容器に油性の食材を入れて電子レンジで加熱する際にデラミネーションが発生するという問題もある。従って、この技術においては、熱成形時等におけるデラミネーションを防止するために、発泡ポリスチレンシートとポリオレフィン系樹脂層との接着強度を如何にして向上させるかが問題となる。
この問題を解決するために、特許文献1においては、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリオレフィン系樹脂層との間に、ポリスチレン系樹脂30〜95重量%とポリオレフィン系樹脂5〜70重量%との混合樹脂を用いて接着層を形成することにより、接着層とポリスチレン系樹脂発泡層との接着強度及び接着層とポリオレフィン系樹脂層との接着強度の両者を向上させた多層発泡シートが提案されている。
特許文献1の多層発泡シートは接着強度が向上していることにより、深物容器の熱成形を安定して行うことが可能なものである。
特開2000−103016号公報
しかし、前記多層シートを熱成形し、得られた容器に対して溶媒としてヘプタンを用いて抽出試験を行うと、成形体からスチレン二量体及びスチレン三量体が多く抽出されてしまうことがわかった(以下、スチレン二量体とスチレン三量体をあわせてスチレンオリゴマーまたはオリゴマーともいう)。このようなオリゴマーの抽出量は、できる限り低くすることが望まれている。また、特許文献1においては、発泡容器の防湿性を向上させることについて、何ら開示されていなかった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決し、ポリスチレン系樹脂多層発泡シートの熱成形により得られる発泡容器であって、防湿性に優れると共に、ヘプタン抽出試験でのスチレンオリゴマーの抽出量が少なく、ポリスチレン系樹脂発泡層とポリエチレン系樹脂層とが十分に接着した発泡容器を提供することを課題とする。
本発明によれば、以下に示す発泡容器が提供される。
[1]多層発泡シートが熱成形されてなる発泡容器において、
該発泡容器が、ポリスチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも容器内面側に接着層を介して積層されたポリエチレン系樹脂層とを有し、
該ポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂Xの結晶化度が30%以上であり、
該ポリエチレン系樹脂層の平均厚みが5〜60μmであり、
該接着層が、スチレン二量体及びスチレン三量体の合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂Aと、結晶化度30%以上のポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から
構成されており、
該混合樹脂の混合状態を表す相構造指数の値PIが0.7〜6.0であることを特徴とする発泡容器。
但し、相構造指数の値PIは次式で定められる。
PI=(η×φ)/(η×φ
η:190℃、剪断速度100sec−1でのポリスチレン系樹脂Aの溶融粘度
φ:該混合樹脂中のポリスチレン系樹脂Aの体積分率
η:190℃、剪断速度100sec−1でのポリエチレン系樹脂Yの溶融粘度
φ:該混合樹脂中のポリエチレン系樹脂Yの体積分率
[2] 前記ポリスチレン樹脂Aと前記ポリエチレン系樹脂Yとの重量比(WA:WY)が95:5〜30:70であることを特徴とする前記1に記載の発泡容器。
[3] 前記ポリエチレン系樹脂Xの結晶化度が55%以上であることを特徴とする前記1又は2に記載の発泡容器。
[4] 前記発泡容器の展開倍率が1.5〜3.5倍であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の発泡容器。
[5] 前記発泡容器から前記ポリエチレン系樹脂層を剥離させた際の剥離強度が200cN/25mm以上であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の発泡容器。
[6] 前記発泡容器の透湿度が20g/m/day未満であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の発泡容器。
[7] 前記発泡容器のノルマルヘプタンによるスチレン二量体及びスチレン三量体の合計抽出量が900ppb未満であることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の発泡容器。
本発明の発泡容器は、ポリスチレン系樹脂発泡層の容器内面側に接着層を介して積層された特定厚みのポリエチレン系樹脂層を有していると共に、ポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂の結晶化度が30%以上であることにより、防湿性に優れると共に、発泡容器からのヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出量が小さく抑えられている。更に、接着層が、スチレンオリゴマーの合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂と、結晶化度30%以上のポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から構成されていることにより、ヘプタン抽出試験におけるスチレンオリゴマーの抽出量がより小さく抑えられている。更にまた、該混合樹脂の相構造指数の値PIが0.7〜6.0であることにより発泡層と樹脂層とが十分な接着強度を有すると共に、該接着強度とスチレンオリゴマーの抽出量とのバランスに優れているので、熱成形を行う際のデラミネーションがなく、電子レンジで加熱される際のデラミネーションが発生しにくく、ヘプタン抽出試験におけるスチレンオリゴマーの抽出量がさらに小さく抑えられている。
以下、本発明の発泡容器について詳細に説明する。
本発明の発泡容器は、ポリスチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう。)と、該発泡層の少なくとも容器内面側に接着層を介して積層されたポリエチレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)とを有するものである。該発泡容器は、ポリスチレン系樹脂多層発泡シート(以下、単に多層発泡シートともいう。)を熱成形することにより得ることができ、該多層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂発泡層の片面または両面に接着層を介して特定厚みのポリエチレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)が積層されたものである。本発明の発泡容器は、該樹脂層が特定のポリエチレン系樹脂から構成され、該接着層が特定のポリスチレン系樹脂と特定のポリエチレン系樹脂とが特定の条件を満たすように混合された混合樹脂で構成されていることにより、防湿性に優れ、熱成形を行う際のデラミネーションの発生がなく、発泡容器に油性の食品を入れて電子レンジで加熱する際のデラミネーションが防止されると共に、ヘプタン抽出試験におけるスチレンオリゴマーの抽出量が低く抑えられており、美麗な外観を有するものである。
なお、本発明の発泡容器は、該樹脂層が容器内面側に接着層を介して積層されていることを必須とするが、該樹脂層を容器外面側に接着層を介して積層し、両面に該樹脂層が接着された発泡容器とすることもできる。
本発明の発泡容器は、ヘプタン抽出試験を行った場合にスチレンオリゴマー抽出量が少ないという特徴を有している。これに対し、接着層がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂を用いて形成された、従来の発泡容器の場合、ヘプタン抽出試験を行うと、スチレンオリゴマーが多量に抽出された。本発明においては、スチレンオリゴマーがヘプタンにより発泡容器から多量に抽出されるメカニズムについての考察を深めることにより、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を用いて接着層を構成した場合であっても、スチレンオリゴマー抽出量を低減することができるようになった。次に、スチレンオリゴマーが抽出されるメカニズムについて考察する。
ヘプタンにより従来の発泡容器からスチレンオリゴマーが多量に抽出されるメカニズムは次のように考えられる。
発泡ポリスチレンシート単体が熱成形された発泡容器に対してヘプタン抽出を行なう場合、ヘプタンはポリスチレンには浸透しにくいので、発泡容器の極表面付近のみからスチレンオリゴマーが抽出される。従って、ポリスチレンが多量のスチレンオリゴマーを含む場合であっても、スチレンオリゴマー抽出量は、それほど多くはならない。それに対して、ヘプタンはポリオレフィン系樹脂に浸透しやすいため、ポリオレフィン系樹脂層が接着層を介して積層された発泡容器に対してヘプタン抽出を行なう場合、ヘプタンは樹脂層中に容易に浸透し、拡散し、接着層に達する。そして、接着層がポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂から形成されていると、ヘプタンは、混合樹脂を構成するポリオレフィン系樹脂中にも浸透し、拡散する。ここで、混合樹脂中では、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とが微細に混合しており、両者の界面の面積が大きくなっている。さらに、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とが共連続構造を形成しているので、ポリオレフィン系樹脂中に浸透したヘプタンは、極めて広い面積でポリスチレン系樹脂と接触し、ポリスチレン系樹脂中のスチレンオリゴマーを抽出する。その結果、ポリオレフィン系樹脂層が接着層を介して積層された従来の発泡容器においては、スチレンオリゴマーを同量含むポリスチレン発泡シート単体を熱成形した成形体よりも多くのスチレンオリゴマーが抽出されると考えられる。
以下、本発明について、ポリエチレン系樹脂層、接着層、ポリスチレン系樹脂発泡層の順で説明する。
まず、本発明の発泡容器を構成する樹脂層について説明する。
本発明の発泡容器は、少なくともその内側表面にポリエチレン系樹脂層を有しており、容器内面側に積層されたポリエチレン系樹脂層の平均厚みが5〜60μmである。この範囲の厚みのポリエチレン樹脂層が積層されていることにより、該発泡容器は、防湿性に優れ、乾燥食品を収容した場合、乾燥食品の湿気の吸収を防止することができ、食品が傷むことを防止することができる。また、該発泡容器は、耐油性、耐溶剤性に優れるので、油性の食材を包装した状態で電子レンジにより加熱しても食用油等による侵食を防止することができる。樹脂層の平均厚みが薄すぎると、水蒸気が発泡容器を透過しやすくなるため、容器の防湿性が低下し、例えばカップ入り即席麺用容器として使用された場合、乾麺や具材が湿気を吸うことにより、その品質が低下するおそれがある。また、樹脂層の平均厚みが薄すぎると、抽出溶媒であるヘプタンが樹脂層を通って接着層中へ浸透、拡散しやすくなるので、接着層中のスチレンオリゴマーが抽出されやすくなるおそれがある。
一方、樹脂層の平均厚みが厚すぎると、容器の軽量性が低下するおそれや、熱成形性が低下し、良好な発泡容器が得られないおそれがある。
上記観点から、樹脂層の平均厚みは7μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。また、樹脂層の厚みは50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。
樹脂層の平均厚みは、次のように測定する。
まず、発泡容器を高さ方向における1/4、1/2及び3/4の高さで、高さ方向に対して垂直に切断する。次に、切断した容器の1/4、1/2及び3/4の高さにおける一方の切断面の拡大写真を、容器の周方向に対して等間隔に各10箇所以上撮影する。上記のようにして撮影した拡大写真から計30箇所以上の樹脂層の厚みを測定し、これらの算術平均値を発泡容器の樹脂層の平均厚みとする。なお、上記測定は、発泡容器のなるべく平坦な部分に対して行うものとする。
さらに、本発明においては、容器内面側に積層された樹脂層が、結晶化度が30%以上のポリエチレン系樹脂Xにより構成されている。この範囲の結晶化度を有するポリエチレン系樹脂Xを用いると、ヘプタン抽出試験におけるスチレンオリゴマーの抽出を抑制可能な樹脂層を形成することができる。これに対し、該結晶化度が低すぎると、スチレンオリゴマーの抽出量が増大するおそれがある。また、発泡容器の防湿性が低下するおそれがある。
結晶化度の高いポリエチレン系樹脂により樹脂層が形成されていることにより、ヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出量が低下する理由としては、ポリエチレン系樹脂へのヘプタンの浸透、拡散が密な結晶構造により妨げられ、ヘプタンが樹脂層中に浸透、拡散し難くなり、接着層まで到達しにくくなることが考えられる。かかる観点から、ポリエチレン系樹脂Xの結晶化度は40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、55%以上であることが特に好ましい。なお、該結晶化度の上限は、概ね90%である。
本発明において、ポリエチレン系樹脂の結晶化度[%]は、JIS K7122−1987に基づき測定されるポリエチレン系樹脂の融解熱をもとに、ポリエチレンの完全結晶の理論融解熱(293J/g)に対する比として求められる値である。なお、融解試験片の状態調節として「(2)一定の熱処理を行なった後、融解熱を測定する場合(加熱速度:10℃/分、冷却温度:10℃/分)」を採用する。
前記ポリエチレン系樹脂Xとしては、高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどが例示される。これらの中でも、ヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出量をより低減できることや、発泡容器の防湿性を向上させることができることから、高密度ポリエチレンがより好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂Xの密度は0.930g/cm以上であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂Xの密度が前記範囲内である場合には、抽出溶媒ヘプタンが樹脂層を通って接着層中へ浸透、拡散しにくくなり、接着層中のスチレンオリゴマーがより抽出されにくくなる。また、発泡容器の防湿性をさらに向上させることができる。かかる観点からは、該密度は0.940g/cm以上がより好ましく、0.945g/cm以上が更に好ましく、0.950g/cm以上が特に好ましい。なお、その上限は、概ね0.970g/cmである。
次に、本発明の発泡容器を構成する接着層について説明する。
発泡層と容器内面側に積層された樹脂層とを接着する接着層は、ポリスチレン系樹脂Aと、ポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から構成されている。後述するように、混合樹脂の混合状態を表す相構造指数の値PI(以下、単にPIともいう)を調節することにより、発泡層と樹脂層との剥離強度と、ヘプタンによるスチレンオリゴマー抽出量とのバランスをとることができる。
すなわち、発泡層と樹脂層とを適度に接着させて、電子レンジ加熱時や熱成形時における樹脂層の一部剥離(デラミネーション)が起き難くすると同時に、スチレンオリゴマー抽出量を低く抑えることができる。
本発明の接着層を構成する樹脂として用いられるポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレンのほかに、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン共重合体、スチレン−pメチルスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などの相溶系の混合物が例示される。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
上記ポリスチレン系樹脂におけるスチレン成分の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。また、ポリスチレン系樹脂は、その構造単位として、ジビニルベンゼンや多官能性マクロモノマーなどの分岐化成分を含んでもよい。
本発明においては、ポリスチレン系樹脂A中のスチレン二量体とスチレン三量体の合計含有量(スチレンオリゴマーの合計含有量)が1500ppm以下であることが好ましい。ポリスチレン系樹脂A中の含有スチレンオリゴマー量が多すぎる場合には、発泡容器から抽出されるスチレンオリゴマー量が極端に増加するおそれがある。かかる観点から、含有スチレンオリゴマー成分は1400ppm以下である事が好ましく、1300ppm以下である事がより好ましく、1200ppm以下である事が更に好ましく、1100ppm以下である事が特に好ましい。
スチレンオリゴマーの合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂Aとして、例えばPSジャパン社製のポリスチレン「G0002」、「G0302」、「G0501」や東洋スチレン社製の「HRM52M」などが挙げられる。なお、スチレンオリゴマーの合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂は、例えば懸濁重合法を採用し、重合温度を低温側と高温側との2段階にわけ、高温側の重合時間を長くすることでスチレンの重合率を高めることにより製造することができる。
本発明において、ポリスチレン系樹脂原料または発泡容器の接着層中のスチレン二量体及びスチレン三量体の含有量は、以下のようにして求めることができる。
スチレン系樹脂又は接着層0.1gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、23℃のヘプタン約250ml中に滴下して樹脂を析出させる。樹脂を濾別した濾液に内部標準としてトリフェニルメタンを加えた後、約20mlまで濃縮し、ガスクロマトグラフ質量分析計で測定する。なおガスクロマトグラフ質量分析の測定条件は次の通りである。

使用機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ質量分析計 GC/MS QP5050A、カラム:J&W Scientific性DB−5MS 0.25mm×30m(固定相…5%ジフェニル−95%ジメチル−ポリシロキサン)、キャリアガス:ヘリウム カラム流量1.6ml/min、試料注入量:1μL。
接着層を構成するポリエチレン系樹脂Yとしては、結晶化度30%以上のポリエチレン系樹脂が用いられる。この範囲の結晶化度のポリエチレン系樹脂Yを用いると、ヘプタン抽出試験を行った場合、接着層を構成するポリエチレン系樹脂Y中にヘプタンが浸透、拡散しにくくなるので、結果としてスチレンオリゴマー抽出量を小さくすることができる。かかる観点から、ポリエチレン系樹脂Yの結晶化度は55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましい。なお、該結晶化度の上限は、概ね90%である。
ポリエチレン系樹脂Yの密度は0.930g/cm以上であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂Yの密度が前記範囲である場合には、該ポリエチレン系樹脂層を透過したヘプタンが、ポリエチレン系樹脂Y中へ浸透、拡散しにくくなり、接着層を構成するポリスチレン系樹脂A中のスチレンオリゴマーをより抽出しにくくなる。かかる観点から、該密度は0.940g/cm以上がより好ましく、0.945g/cm以上がさらに好ましく、0.950g/cm以上が特に好ましい。なお、その上限は、概ね970g/cmである。
前記ポリエチレン系樹脂Yとしては、高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどが例示される。これらの中でも、ヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出をより抑制できることから、高密度ポリエチレンがより好ましい。
本発明における接着層は、前記したように、ポリスチレン系樹脂Aと、ポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から構成されている。
該混合樹脂のPIは0.7〜6.0であることを要する。PIがこの範囲内であれば、スチレンオリゴマー抽出量を低く抑えることができると同時に、樹脂層と発泡層との接着強度が高められ、電子レンジによる加熱時、また熱成形により発泡容器とされた際における樹脂層の発泡層からのデラミネーションを十分に防止することができる。
スチレンオリゴマー抽出量をより小さく抑える観点から、PIの下限は好ましくは1.4、より好ましくは1.6、更に好ましくは1.8である。一方、接着強度を維持する観点から、PIの上限は好ましくは5.0、より好ましくは4.5、さらに好ましくは4.0、特に好ましくは3.5である。
相構造指数PIは、接着層を構成するポリエチレン系樹脂Yとポリスチレン系樹脂Aとの混合状態を示すもので、下記式(1)で定義される。また、接着層に相溶化剤を含む場合には、相溶化剤を考慮せずにPIを計算する。また、混合樹脂中のそれぞれの樹脂成分の体積分率は、各樹脂の配合比(重量比)を各樹脂の樹脂密度で割算することにより求めることができる。
PI=(η×φ)/(η×φ) ・・・(1)
η:190℃、剪断速度100sec−1でのポリスチレン系樹脂Aの溶融粘度
φ:該混合樹脂中のポリスチレン系樹脂Aの体積分率
η:190℃、剪断速度100sec−1でのポリエチレン系樹脂Yの溶融粘度
φ:該混合樹脂中のポリエチレン系樹脂Yの体積分率
次に、PIと接着層の分散構造の関係、更にこれらがスチレンオリゴマー抽出量及び接着性に与える影響、更にPIを特定範囲に収めることにより、スチレンオリゴマー抽出量の低減と接着性の確保を共に満たす発泡容器となることについて詳しく説明する。
PIが0.7〜1.3の範囲では、ポリエチレン系樹脂Yの連続相とポリスチレン系樹脂Aの連続相とが並存する共連続構造(海−海構造)が形成されやすい。その結果、接着層は、樹脂層と発泡層との両方に十分な接着強度で接着可能となるが、スチレンオリゴマー抽出量が大きくなる傾向がある。すなわち、混合樹脂が海−海構造であると、樹脂層との界面側、発泡層との界面側に、ポリエチレン系樹脂Yとポリスチレン系樹脂Aの両方が存在しやすくなることから、接着層と樹脂層とが十分に接着することができ、かつ接着層と発泡層とが十分に接着することができる。しかし、接着層の樹脂層界面側にポリエチレン系樹脂Yが多く存在していることにより、ヘプタン抽出試験を行うと、ポリエチレン系樹脂層を透過したヘプタンが、接着層中のポリエチレン系樹脂Y中に容易に浸透し、拡散し、ポリスチレン系樹脂Aと接触し、ポリスチレン系樹脂A中のスチレンオリゴマーが抽出されやすくなる。さらに、混合樹脂においては、ポリエチレン系樹脂Yとポリスチレン系樹脂Aとの界面の面積が大きくなっていることから、スチレンオリゴマーの抽出量が増大する傾向があると考えられる。
PIが0.7〜1.3の範囲の場合においては、接着層を構成するポリスチレン系樹脂Aとして、スチレンオリゴマー含有量の少ないものを使用すると共に、接着層を構成するポリエチレン系樹脂Yとして結晶化度の高いものを用い、さらに樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂Xとして結晶化度の高いものを用いることにより、発泡層と樹脂層との接着強度を維持しつつ、スチレンオリゴマー抽出量を少なく抑えることができる。
なお、PIが小さすぎると、ポリエチレン系樹脂Yによりポリスチレン系樹脂Aが覆われやすくなり(海−島構造)、樹脂層と接着層とは強固に接着するものの、接着層と発泡層との間の接着強度が不十分となる。
また、PIが1.4〜6.0の範囲では、ポリスチレン系樹脂A中にポリエチレン系樹脂Yが分散した相構造(海−島構造)が形成されやすくなる。上記範囲においては、接着層の樹脂層に対する接着強度は低下する傾向にはあるものの、発泡層と樹脂層との接着強度を十分維持しつつ、スチレンオリゴマー抽出量をより低減させることができる。すなわち、ポリエチレン系樹脂Yがポリスチレン系樹脂Aに覆われやすくなり、ポリスチレン系樹脂A中に島状に非連続状態で分散することにより、ヘプタンが混合樹脂中に浸透、拡散しにくくなるので、スチレンオリゴマーが抽出され難くなる。
一方、PIが大きすぎると、樹脂層と接着層との接着強度が低下し、電子レンジ加熱の際や積層発泡シートの熱成形の際に樹脂層のデラミネーションが発生するおそれがある。
ポリスチレン系樹脂Aの溶融粘度ηとポリエチレン系樹脂Yの溶融粘度ηとの比(η/η)は0.4〜1.5であることが好ましい。該粘度比が前記範囲であると、発泡層と接着層との接着強度及び樹脂層と接着層との接着強度をよりバランスよく高めることができる。この観点から、該溶融粘度比はより好ましくは0.7〜1.4である。
本発明において、樹脂の溶融粘度は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dなどの測定機を使用して測定することができる。具体的には、まず、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径1.0mm、長さ10mmのオリフィスを備えた測定機を準備するとともに、溶融粘度の測定対象となる樹脂を準備して測定用の試料とする。次に、シリンダー及びオリフィスの設定温度を190℃とする。そして、そのシリンダー内に測定用の試料を必要量(例えば、約15g)入れ、所定時間(例えば、4分間)放置して溶融樹脂とし、剪断速度100sec−1で溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す。この際の溶融樹脂の粘度を測定することで、樹脂の溶融粘度を求めることができる。
ポリスチレン系樹脂Aとポリエチレン系樹脂Yとの重量比(W:W)は95:5〜30:70であることが好ましい。該重量比が前記範囲であると、スチレンオリゴマーの抽出量を少なくしつつ、接着層と樹脂層との接着性をより向上させることができる。この観点から、重量比(W:W)は85:15〜40:60であることがより好ましく、更に好ましくは75:25〜50:50である。
接着層においては、樹脂層が積層された面側から、最初のポリスチレン系樹脂A相を起点として、該起点から厚み方向に5μmまでの範囲に存在するポリエチレン系樹脂Yの相数が25〜60個であるモルフォロジーが形成されることが好ましい。該相数が上記範囲内であれば、ポリスチレン系樹脂Aとポリエチレン系樹脂Yとの界面の面積が小さくなり、スチレンオリゴマー抽出量がより低く抑えられる。また、樹脂層と接着層との間で十分な接着力を得ることができる。かかる観点から、該相数は27〜55個であるであることがより好ましく、更に好ましくは29〜50個である。
ポリエチレン系樹脂Y相の相数は次のように測定される。
発泡容器の接着層と樹脂層との界面付近の断面写真(TEM写真)を透過型電子顕微鏡で撮影する(例えば、倍率10,000倍)。
得られたTEM写真において、無作為に6箇所を選定し、それぞれの箇所について、樹脂層側に最も近いポリスチレン系樹脂相を起点として、該起点から容器の樹脂層積層方向(発泡容器の厚み方向)に向かって5μmまでの範囲に存在するポリエチレン系樹脂相の相数を測定する。この操作を異なる観察用サンプル5点に対して行い、得られた値の算術平均値をポリエチレン系樹脂相の相数とする。
本発明の発泡容器は、発泡層の少なくとも容器内面側に接着層を介して樹脂層が積層されているものである。前記したように、発泡容器が少なくとも容器内面側に特定厚みの樹脂層を有すると共に、その樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂Xの結晶化度が30%以上であることにより、発泡容器の防湿性が高められると共に、発泡容器からのヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出量が小さく抑えられる。更に、接着層がスチレンオリゴマーの合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂と、結晶化度30%以上のポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から構成されていることにより、ヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出量がより小さく抑えられる。更にまた、前記混合樹脂の相構造指数の値PIが0.7〜6.0であることにより、発泡層と樹脂層との接着強度とスチレンオリゴマーの抽出量とのバランスに優れた発泡容器となり、熱成形時のデラミネーションが防止され、電子レンジによる加熱時のデラミネーションも防止されるものとなる。
本発明においては、接着層を構成する混合樹脂には、相溶化剤を添加することができる。この場合の相溶化剤としては、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを相溶化し得るものであればよく、従来公知の各種のものを用いることができる。このようなものとしては、特にスチレン系熱可塑性エラストマーの使用が好ましい。このスチレン系熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)又はスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)やその完全水添物又は部分水添物が包含される。
相溶化剤は、接着層中のポリスチレン系樹脂Aとポリエチレン系樹脂Yとの合計100重量部当り、0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合で添加することが好ましい。この相溶化剤の添加により、発泡層と樹脂層との接着性、発泡容器の衝撃強度を高めることができる。
次に、本発明の発泡容器を構成する発泡層について説明する。
本発明においては、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂Bとして、前記接着層を構成するポリスチレン系樹脂Aと同様なものが挙げられ、その中でもポリスチレンを好ましく用いることができる。さらに、ポリスチレン系樹脂Bとして、ビカット軟化温度が110℃以上のポリスチレン系樹脂を用いることができる。ビカット軟化温度が110℃以上のポリスチレン系樹脂を使用することにより、発泡容器の耐熱性を向上させることができる。この観点から、ビカット軟化温度は112℃以上が好ましく、115℃以上がより好ましい。なお、該軟化温度の上限値は特に限定されないが160℃程度である。ビカット軟化温度110℃以上のポリスチレン系樹脂としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレンなどの耐熱ポリスチレンと称されるものが例示される。また、ポリスチレンとこれらの耐熱ポリスチレンとの混合物や、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物、耐熱ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物、ポリスチレンと耐熱ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物も例示される。
尚、本明細書において、樹脂のビカット軟化温度はJIS K7206:1999(試験荷重はA法、伝熱媒体の昇温速度は50±5℃/時の条件)にて求められる値である。
本発明の発泡容器は、前記多層発泡シートを熱成形することにより得られるものである。多層発泡シートは押出発泡により得ることができ、押出発泡性の観点から、ポリスチレン系樹脂Bの、190℃、剪断速度100sec−1の条件下での溶融粘度は、400Pa・s以上5000Pa・s未満であることが好ましく、600Pa・s以上4000Pa・s以下であることがより好ましく、1000Pa・s以上3000Pa・s以下であることがより好ましいい。
次に、本発明の発泡容器、及び発泡容器を構成する各層の物性について説明する。
該発泡容器の展開倍率は特に限定されるものではないが、良好な発泡容器を得やすい観点から、概ね1.5〜3.5倍であることが好ましい。展開倍率を上記範囲とすることで、熱成形時の破損がなく、外観が美麗で、防湿性に優れ、オリゴマー抽出量が低く、電子レンジによる加熱時のデラミネーションの発生が抑制された本発明の発泡容器を安定して得ることができる。かかる観点から、該展開倍率は1.6以上3.3未満であることが好ましく、より好ましくは1.8以上3.2以下であり、さらに好ましくは2.0以上3.0以下である。
なお、発泡容器の展開倍率とは、発泡容器の開口面積に対する発泡容器内面の表面積の比である。この際、成形体内面の表面積は、成形体から直接測定する方法や、3D形状測定機により測定する方法等により求めることができる。
発泡容器から前記樹脂層を剥離させた際の剥離強度は60cN/25mm以上であることが好ましい。該剥離強度がこの範囲内であれば、発泡層と樹脂層との間における接着強度が十分であり、熱成形時の樹脂層のデラミネーションの発生がなく、また、電子レンジ加熱によるデラミネーションの発生が抑制された発泡容器を安定して得ることができる。この観点から、該剥離強度は80cN/25mm以上であることがより好ましく、より好ましくは100N/25mm以上、さらに好ましくは200cN/25mm以上、特に好ましくは240cN/25mm以上である。なお、該剥離強度の上限は、概ね600cN/25mmである。
剥離強度の測定は次のように行われる。
発泡容器の高さ方向中央部付近のなるべく平坦な部分から、幅(容器高さ方向の長さ)25mm、長さ(容器周方向の長さ)50mm、容器厚みの試験片を切り出し、JIS Z0237:2009に準拠し、剥離速度条件300mm/minの90°剥離試験にて発泡層から樹脂層を剥離させ、その際の剥離強度を測定する。この測定を一つの容器から切り出した5つの試験片に対して行い、その算術平均値を発泡容器から樹脂層を剥離させた際の剥離強度とする。
なお、剥離試験を行なった際に剥離が生じる界面としては、発泡層と接着層との間、接着層と樹脂層との間の2つの界面が想定され、層間の接着力によっては、発泡層の材料破壊や、接着層の凝集破壊が生じることがある。本発明における剥離強度は、それらのうちの最も弱い強度を意味する。例えば、剥離試験において、一方の治具で発泡層を掴み、他方の治具で接着層及び樹脂層を掴んで剥離試験を行うと、接着力が弱い方の界面で剥離が起きるので、一の試験で求めた剥離強度が、発泡層と接着層間、接着層と樹脂層間のどちらか弱い方の接着強度となる。樹脂層が薄すぎて治具で掴めない場合または樹脂層が試験中に破断してしまう場合には、補強フィルムで樹脂層を裏打ちすることにより測定することができる。
本発明においては、スチレンオリゴマーの抽出量をより低く抑えることができるという観点から、剥離試験を行なった際に、接着層と樹脂層との間で剥離することが好ましい。このような場合、接着層において、スチレンオリゴマーの抽出量をより低く抑えることができる良好なモルフォロジーが形成されていると考えられる。
接着層の厚みは、接着性の観点から、2μm以上であることが好ましく、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。一方、軽量性や良好な気泡構造を有する発泡容器が得られやすいという観点から、接着層の厚みは、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
発泡層の厚みは、発泡容器としての機械的強度と軽量性とのバランスに優れているという観点から、1〜4mmであることが好ましく、より好ましくは1.2〜3.5mmである。
同様に、発泡容器の厚みは、1〜4mmであることが好ましく、より好ましくは1.2〜3.5mmである。
発泡容器の見掛け密度は、発泡容器としての機械的強度と軽量性とのバランスに優れているという観点から、0.05〜0.7g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.06〜0.5g/cmであり、0.07〜0.3g/cmである。
発泡容器の見掛け密度は次のようにして求めることができる。まず、発泡容器の、フランジ部や特殊形状の部分以外の平坦な部分から所定寸法の試験片を切り出す。次に、試験片の質量と厚みを測定する。次に、その質量を試験片の面積で除し、単位換算して試験片の坪量を求める。次に、試験片の坪量を試験片の厚みで除し、単位換算することで発泡容器の見掛け密度を求めることができる。
本発明の発泡容器の透湿度は20g/m/day未満であることが好ましい。該透湿度がこの範囲内であれば、発泡容器に収容した乾燥食品が湿気を吸ってその品質が低下することを防止することができる。かかる観点から、該透湿度は18g/m/day以下であることがより好ましく、更に好ましくは、16g/m/day以下であることが好ましい。
発泡容器の透湿度は次のように測定される。
まず、発泡容器に塩化カルシウム50gを入れる。次に、容器の開口部の全面を厚み0.02mmのアルミホイルで覆い、ロウによりアルミホイルと容器周縁部とを隙間なく接着して、塩化カルシウムが直接外気に晒されないようにする。このようにして封止された容器の質量を測定した後、直ちに温度40℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内に封止された容器を入れる。次に、恒温恒湿槽内に入れてから48時間後と72時間後における封止された容器の質量をそれぞれ測定し、恒温恒湿槽内に入れる前の質量からの質量増加分を算出する。算出した各経過時間における質量増加分の関係から、恒温恒湿槽内に入れた時から24時間経過後の封止された容器の質量増加分を外挿により求め、その値を容器の透湿量g/24hとする。
前記のようにして求めた容器の透湿量g/24hを容器内面積mで除して、発泡容器の透湿度g/m/24hを求める。
該発泡容器のノルマルヘプタンによるスチレン二量体及びスチレン三量体の合計抽出量は900ppb未満であることが好ましい。該合計抽出量がこの範囲であれば、食品の包装容器として好ましく使用できる。上記観点から、該合計抽出量は800pb以下であることがより好ましく、700ppb以下であることがさらに好ましく、600ppb以下であることが特に好ましい。
発泡容器のスチレンオリゴマー抽出試験方法については後述する。

次に、発泡容器の製造方法について説明する。
本発明の発泡容器は、ポリスチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面に接着層を介して積層されたポリエチレン系樹脂層とを有する多層発泡シートを熱成形することにより得ることができる。
該多層発泡シートは、従来公知の方法で製造することができる。その代表的な方法としては、予め発泡層を製造し、その後その製造ライン上または別ラインで接着層と樹脂層とを別々に積層接着させる方法、樹脂層と接着層とを共押出して積層し、得られた積層体を発泡層に積層接着させる方法、予め発泡層と接着層との積層体を共押出により製造し、その製造ライン上または別ラインで樹脂層を積層接着させる方法、発泡層と接着層と樹脂層とを共押出により積層する方法等がある。なかでも全ての層を共押出法によって積層する方法は、他の方法に比べて工程がシンプルで低コスト化が可能であり、また発泡層と接着層との接着強度、接着層と樹脂層との接着強度が高くなるので好ましい。
多層発泡シートを構成する発泡層、接着層、樹脂層の各々の原料は、前記発泡容器の発泡層、接着層、樹脂層の各々の原料と同様のものが用いられる。
本発明の多層発泡シートの各層を形成するための樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、無機充填剤等の添加剤を添加することができる。
発泡層の製造に用いる発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン(ノルマルブタン)、i−ブタン(イソブタン)、n−ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、二酸化炭素、窒素、水等の無機発泡剤が挙げられる。更に、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸水素ナトリウム等の分解型発泡剤を使用することもできる。これらの発泡剤は適宜併用することができる。このなかでも、発泡性の観点から、脂肪族炭化水素を主成分とする発泡剤が好ましく、脂肪族炭化水素の中でもi−ブタン、又はi−ブタンとn−ブタンとの混合物がより好ましい。発泡剤の使用量は、特に限定されないが、おおむね樹脂100gあたり0.01〜0.1モルの範囲で目標のシート密度に対し自由に選択することができる。
多層発泡シートの樹脂層の坪量は、8〜100g/mであることが好ましい。該坪量が前記範囲であると、所望とする樹脂層の厚みを有する発泡容器を容易に得ることができる。かかる観点から、樹脂層の坪量は、9〜80g/mであることがより好ましく、さらに好ましくは10〜60g/mである。
多層発泡シートの接着層の坪量は、前記発泡容器において、所望とする接着層を容易に得ることができることから、2〜50g/mであることが好ましく、より好ましくは3〜40g/mであり、さらに好ましくは5〜30g/mである。
多層発泡シートの発泡層の坪量は、前記発泡容器において、所望とする発泡層を容易に得ることができると共に、発泡層と樹脂層との接着性を高められることから、100〜500g/mであることが好ましく、より好ましくは200〜450g/mであり、さらに好ましくは250〜400g/mである。
多層発泡シート全体の坪量は、100〜500g/mであることが好ましく、より好ましくは210〜460g/mであり、さらに好ましくは260〜420g/mである。
多層発泡シートの厚みは、得られる発泡容器の包装容器としての機械的強度と取扱い性とのバランスという観点から、0.5〜4mmが好ましく、より好ましくは0.7〜3mmである。
同様に、多層発泡シートの見掛け密度は、0.05〜0.7g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.06〜0.5g/cmであ、さらに好ましくは0.07〜0.3g/cmである。
多層発泡シートの見掛け密度はJIS K7222:1999に基づき測定される全体見掛け密度を意味する。
本発明の発泡容器は、前記多層発泡シートを熱成形することにより得ることができる。その場合、多層発泡シートの片面のみに樹脂層が積層されている場合、該樹脂層が積層された面を容器内面側に向けて熱成形することを要する。
熱成形方法としては、真空成形や圧空成形、更にこれらの応用としてフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わせた成形方法等が挙げられる。
これらの中では、得られた容器の積高さを均一にすることができ、内嵌合容器等の複雑な形状の容器を熱成形可能なマッチド・モールド成形が好適に採用される
本発明の発泡容器は、カップ入り即席麺の容器等の用途に好適に用いられるものである。
次に本発明を実施例、比較例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例において、多層発泡シート製造用として次の原料を用いた。
[接着層形成用のポリスチレン系樹脂A]
(1)PSジャパン(株)製ポリスチレン「G0002」(略称:G0002、密度1.05g/cm、スチレンオリゴマー含有量1056重量ppm、溶融粘度1580Pa・s)
(2)PSジャパン(株)製ポリスチレン「HH102」(略称:HH102、密度1.05g/cm、スチレンオリゴマー含有量4555重量ppm、溶融粘度1999Pa・s)
[発泡層形成用のポリスチレン系樹脂B]
(1)PSジャパン(株)製ポリスチレン「G0002」(略称:G0002、スチレンオリゴマー含有量1056重量ppm、溶融粘度1580Pa・s)
(2)PSジャパン(株)製スチレン−メタクリル酸共重合体「G9001」(略称:G9001、スチレンオリゴマー含有量3338重量ppm、溶融粘度2646Pa・s、MFR1.6g/10min、ビカット軟化温度118℃)
[接着層形成用のポリエチレン系樹脂Y]
(1)日本ポリエチレン(株)製高密度ポリエチレン「HY540」(略称:HY540、密度0.958g/cm、結晶化度67.0%、溶融粘度1390Pa・s)
(2)東ソー(株)製高密度ポリエチレン「NH6300」(略称:NH6300、
密度0.962g/cm、結晶化度70.4%、溶融粘度2090Pa・s)
(3)東ソー(株)製高密度ポリエチレン「NH2500」(略称:NH2500、密度0.958g/cm、結晶化度73.4%、溶融粘度720Pa・s)
(4)東ソー(株)製高密度ポリエチレン「NH4000」(略称:NH4000、密度0.964g/cm、結晶化度77.2%、溶融粘度868Pa・s)
(5)日本ポリエチレン(株)製高密度ポリエチレン「HJ490」(略称:HJ490、密度0.958g/cm、結晶化度71.9%、溶融粘度355Pa・s)
(6)東ソー(株)製高密度ポリエチレン「NH8D01A」(略称:NH8D01A、密度0.958g/cm、結晶化度66.6%、溶融粘度3015Pa・s)
(7)日本ポリエチレン(株)製直鎖状低密度ポリエチレン「UF240」(略称:UF240」、密度0.920g/cm、結晶化度27.1%、溶融粘度1487Pa・s)
[樹脂層形成用のポリエチレン系樹脂X]
(1)東ソー(株)製高密度ポリエチレン「NH4000」(略称:NH4000、密度0.964g/cm、結晶化度77.2%、溶融粘度868Pa・s)
(2)東ソー(株)製高密度ポリエチレン「TZ260」(略称:TZ260、密度0.935g/cm、結晶化度48.4%、溶融粘度1521Pa・s)
(3)日本ポリエチレン(株)製直鎖状低密度ポリエチレン「UJ460」(略称:UJ460、密度0.924g/cm、結晶化度29.3%、溶融粘度710Pa・s)
物理発泡剤及び揮発性可塑剤として、ノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%とからなる混合ブタンを用いた。
気泡調整剤として、タルク(松村産業株式会社製商品名「ハイフィラー#12」)を用いた。
多層発泡シートの製造装置
発泡層形成用の押出機として、バレル内径90mmの第一押出機とバレル内径120mmの第二押出機からなるタンデム押出機を用い、接着層形成用の押出機としてバレル内径65mm第三押出機を用い、樹脂層形成用の押出機としてバレル内径40mm第四押出機を用いた。更に、共押出用環状ダイに、第二押出機と第三押出機と第四押出機の夫々の出口を連結し、夫々の溶融樹脂を共押出用環状ダイ内で積層可能にした。
実施例1〜6、比較例1〜8
(多層発泡シートの製造)
表2に示すポリスチレン系樹脂B100重量部に対して、タルク1.9重量部を配合した原料を、第一押出機に供給し、加熱混練し、これに表1に示す割合で混合ブタンを圧入して発泡層形成用樹脂溶融物とし、次いで、第二押出機に供給して表1に示す樹脂温度に調整し、表1に示す吐出量で共押出用環状ダイに導入した。なお、実施例3については、ポリスチレン系樹脂B100重量部に対して、HIPS(PSジャパン(株)製「H8117」)15重量部をさらに配合した原料を用いた。
同時に、表2に示す種類、重量比となるようなポリスチレン系樹脂A及びポリエチレン系樹脂Yと、両者の合計100重量部に対してスチレン系熱可塑性エラストマー(JSR(株)製スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体「DYNARON9901P(スチレン成分含有量53重量%)」)5重量部とを第三押出機に供給し、加熱混練し、これに表1に示す割合で揮発性可塑剤としての混合ブタンを注入し、更に混練して接着層形成用樹脂溶融物とし、次いで、表1に示す樹脂温度に調整し、表1に示す吐出量で共押出用環状ダイに導入した。
同時に、表2に示す種類のポリエチレン系樹脂Xを第四押出機に供給し、加熱混練して樹脂層形成用樹脂溶融物とし、表1に示す樹脂温度に調整し、表1に示す吐出量で共押出用環状ダイに導入した。
共押出用環状ダイ内で、筒状に流動する発泡層形成用樹脂溶融物の外周面に接着層形成用樹脂溶融物を積層し、更にその外周面に樹脂層形成用樹脂溶融物を積層し、直径90mmの環状のダイリップから大気中に押出して、発泡層/接着層/樹脂層からなる3層構造の筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体を拡径ブローアップ比3.0で引き取りながら押出方向に沿って切開いて、幅850mmの多層発泡シートを得た。
得られた多層発泡シートの諸物性を測定した結果を表1に示す。
(発泡容器の製造)
実施例、比較例で得られた多層発泡シートを25℃の温度で21日間養生した。その後、熱成形機(浅野研究所製 品番 FKS-0631-10)を用いて、多層発泡シートをヒータ温度300℃で所定秒数加熱した後、樹脂層が積層された面が容器内面側となるようにマッチモールド真空成形することで、下記形状の発泡容器を得た。
発泡容器A(略称「A」):口径142mm、深さ86mm、展開倍率2.6倍
発泡容器B(略称「B」):口径145mm、深さ75mm、展開倍率2.3倍
表2に、得られた発泡容器の樹脂層、接着層、発泡層の樹脂構成を、表3に得られた発泡容器の各種物性を示す。
表中、各物性、評価は次のように行った。
(スチレンオリゴマー含有量)
ポリスチレン系樹脂の原料ペレットを測定試料として用い、前記の方法で行った(n=3)。
(溶融粘度)
測定装置として(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用い、前記の方法で各原料樹脂の溶融粘度を測定した(n=3)。
(体積分率)
接着層を構成する各樹脂原料の配合比(重量比)を各樹脂原料の樹脂密度で割算することで、ポリスチレン系樹脂Aの体積分率φとポリエチレン系樹脂Yの体積分率φを求めた。
(相構造指数PI)
前記式(1)を用いて、接着層の相構造指数PIを求めた。
(多層発泡シートの坪量構成)
多層発泡シートから全幅(押出方向に対して直交する方向)に亘って幅100mmの試験片(試験片サイズ:100mm×850mm)を切り出し、試験片の重量をその面積(85000mm)で割算し、g/mに単位換算することにより、多層発泡シート全体の坪量を求めた(n=3)。
坪量構成は、多層発泡シートの総坪量をもとに各層の吐出量比から求めた。
(多層発泡シートの厚み)
多層シートの幅方向(押出方向に対して直交する方向)に亘って10mm間隔で厚みを測定し、算術平均することにより平均厚みを求めた。
(多層発泡シートの見掛け密度)
多層発泡シートの坪量をその平均厚みで割算し、g/cmに単位換算することにより、多層発泡シートの見掛け密度を求めた。
(多層発泡シートの独立気泡率)
ASTM D2856−70に記載されている手順Cに基づき多層発泡シートの独立気泡率を求めた。多層発泡シートから無作為に25mm×25mm×多層発泡シートの厚みの試験片を複数枚切り出し、厚みの合計が20mmに近づくように(ただし、20mmを超えない。)試験片を重ね合わせて測定に用いた。測定装置として株式会社島津製作所製の乾式自動密度計アキュピックII1340型を使用した。
(発泡容器の樹脂層の平均厚み)
前記の方法で樹脂層の平均厚みを求めた。
(発泡容器の接着層の平均厚み)
前記樹脂層の厚みの測定と同様な方法で、接着層の平均厚みを求めた。
(発泡容器の発泡層の平均厚み)
まず、発泡容器を高さ方向における1/4、1/2及び3/4の高さで、高さ方向に対して垂直に切断した。次に、3つに切り分けた各容器の切断面に沿って、容器の周方向に対して等間隔に10箇所ずつ、計30箇所の容器の厚みを測定した。上記のようにして測定した厚みの算術平均値を求め、この値から、上記の方法により求めた樹脂層の平均厚みと接着層の平均厚みを減ずることで、発泡容器の発泡層の平均厚みを求めた。なお、上記測定は、発泡容器のなるべく平坦な部分に対して行った。
(発泡容器の見掛け密度)
前記の方法で発泡容器の見掛け密度を求めた。
(発泡容器の防湿性)
前記方法で、発泡容器の透湿度を測定し、次の基準で評価を行った。
A:20g/m/24h未満
B:20g/m/24h以上
なお、防湿性の評価結果が「A」のときを合格、「B」のときを不合格とした。
(剥離強度)
前記方法で、発泡層から前記ポリエチレン系樹脂層を剥離させた際の剥離強度を測定した(n=5)。なお、剥離試験時、実施例7、比較例4及び6では、発泡層と接着層との間で剥離し、それ以外の実施例、比較例では、樹脂層と接着層との間で剥離した。
次の基準で、剥離強度を評価した。
A:200cN/25mm以上
B:60cN/25mm以上200cN/25mm未満
X:60cN/25mm未満
なお、剥離強度の評価結果がAであると、電子レンジで加熱した際のデラミネーションの発生をより確実に抑制することができる。
(発泡容器のスチレンオリゴマー抽出量)
得られた発泡容器を用いて、以下の方法によりノルマルヘプタンによるスチレンオリゴマーの抽出量を測定した。
容器にヘプタンを500ml入れ、25℃の水浴中で60分放置し、容器に含まれるスチレンダイマー及びスチレントリマーをヘプタン中に溶出させた。ヘプタン中のスチレンダイマー及びスチレントリマー量をガスクロマトグラフ質量分析計で測定した。なおガスクロマトグラフ質量分析の測定条件は次のとおりである。
使用機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ質量分析計 GC/MS QP5050A、カラム:J&W Scientific性DB−5MS 0.25mm×30m(固定相…5%ジフェニル−95%ジメチル−ポリシロキサン)、キャリアガス:ヘリウム カラム流量1.6ml/min、試料注入量:1μL。
発泡容器のスチレンオリゴマー抽出量の評価
A:オリゴマー抽出量900ppb未満
B:オリゴマー抽出量900ppb以上
なお、発泡容器のスチレンオリゴマー抽出量の評価結果が「A」のときを合格、「B」のときを不合格とした。

Claims (7)

  1. 多層発泡シートが熱成形されてなる発泡容器において、
    該発泡容器が、ポリスチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも容器内面側に接着層を介して積層されたポリエチレン系樹脂層とを有し、
    該ポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂Xの結晶化度が30%以上であり、
    該ポリエチレン系樹脂層の平均厚みが5〜60μmであり、
    該接着層が、スチレン二量体及びスチレン三量体の合計含有量が1500ppm以下のポリスチレン系樹脂Aと、結晶化度30%以上のポリエチレン系樹脂Yとの混合樹脂から構成されており、
    該混合樹脂の混合状態を表す相構造指数の値PIが0.7〜6.0であることを特徴とする発泡容器。

    但し、相構造指数の値PIは次式で定められる。
    PI=(η×φ)/(η×φ
    η:190℃、剪断速度100sec−1でのポリスチレン系樹脂Aの溶融粘度
    φ:該混合樹脂中のポリスチレン系樹脂Aの体積分率
    η:190℃、剪断速度100sec−1でのポリエチレン系樹脂Yの溶融粘度
    φ:該混合樹脂中のポリエチレン系樹脂Yの体積分率
  2. 前記ポリスチレン樹脂Aと前記ポリエチレン系樹脂Yとの重量比(WA:WY)が95:5〜30:70であることを特徴とする請求項1に記載の発泡容器。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂Xの結晶化度が55%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡容器。
  4. 前記発泡容器の展開倍率が1.5〜3.5倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡容器。
  5. 前記発泡容器から前記ポリエチレン系樹脂層を剥離させた際の剥離強度が200cN/25mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡容器。
  6. 前記発泡容器の透湿度が20g/m/day未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発泡容器。
  7. 前記発泡容器のノルマルヘプタンによるスチレン二量体及びスチレン三量体の合計抽出量が900ppb未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発泡容器。


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