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JP2018123198A - 水添共重合体、熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形品 - Google Patents

水添共重合体、熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形品 Download PDF

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JP2018123198A JP2017014358A JP2017014358A JP2018123198A JP 2018123198 A JP2018123198 A JP 2018123198A JP 2017014358 A JP2017014358 A JP 2017014358A JP 2017014358 A JP2017014358 A JP 2017014358A JP 2018123198 A JP2018123198 A JP 2018123198A
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hydrogenated copolymer
copolymer
compound monomer
polymer
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JP2017014358A
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English (en)
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八木 則子
Noriko Yagi
則子 八木
隆寛 久末
Takahiro Hisasue
隆寛 久末
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】それ自体、機械的強度、耐衝撃性及び透明性に優れ、さらに他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体と混合した場合にも機械的強度等の性能を損なうことなく、透明性を維持することが可能な水添共重合体を提供すること。【解決手段】ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個、及び、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位及び共役ジエン化合物単量体単位を含む共重合体ブロックBを少なくとも1個、を含有する共重合体(a’)の水素添加物であって、下記(1)〜(5)の特性を有する水添共重合体(a)。(1)前記水添共重合体(a)における全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が30質量%〜90質量%である。(2)前記水添共重合体(a)における前記重合体ブロックAの含有量が1質量%〜40質量%である。(3)水素添加前の共重合体(a’)における前記共役ジエン化合物単量体単位由来のビニル結合量が5モル%〜80モル%である。(4)前記水添共重合体(a)に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)ピーク温度が−40℃〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在する。(5)前記水添共重合体(a)の屈折率が1.51以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、水添共重合体、熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形品に関する。
共役ジエンとビニル芳香族炭化水素化合物からなるブロック共重合体の水素添加物は、室温で天然ゴムや合成ゴムと同様の弾性を有し、しかも高温では熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、プラスチック改質剤、アスファルト改質剤、履物、食品容器等の成形品や包装材料、家庭用製品、家電・工業用部品等の分野で広く利用されている。また、耐候性、耐熱性に優れることから、上記の用途分野以外に、自動車部品や医療器具、医療用成形品等にも幅広く用いられている。
例えば、特許文献1には、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位のランダム共重合体を含む非水添共重合体を水添して得られる水添共重合体と、熱可塑性樹脂やゴム状重合体との組成物が開示されている。この組成物は耐衝撃性や引張強さ、成形加工性に優れ、軟質塩化ビニル樹脂の代替材料となり得ると記載されている。
国際公開第03/35705号のパンフレット
しかしながら、特許文献1に開示されている水添共重合体は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂等と混合するとヘイズが低下し、不透明になるという問題がある。このため、透明性が要求される用途、例えば、食品用ホースやチューブ等への適用が難しいという課題がある。
本発明の目的は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたものであり、それ自体、機械的強度、耐衝撃性及び透明性に優れ、さらに他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体と混合した場合にも機械的強度等の性能を損なうことなく、透明性を維持することが可能な水添共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量及びビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が特定の範囲にあり、しかも、屈折率が1.51以上で、損失正接ピーク温度が特定の範囲に存在する水添ブロック共重合体が上記課題を解決できることを見出し、本実施形態を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
〔1〕ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個、及び、
ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位及び共役ジエン化合物単量体単位を含む共重合体ブロックBを少なくとも1個、
を含有する共重合体(a’)の水素添加物であって、下記(1)〜(5)の特性を有する水添共重合体(a)。
(1)前記水添共重合体(a)における全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が30質量%〜90質量%である。
(2)前記水添共重合体(a)における前記重合体ブロックAの含有量が1質量%〜40質量%である。
(3)水素添加前の共重合体(a’)における前記共役ジエン化合物単量体単位由来のビニル結合量が5モル%〜80モル%である。
(4)前記水添共重合体(a)に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)ピーク温度が−40℃〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在する。
(5)前記水添共重合体(a)の屈折率が1.51以上である。
〔2〕〔1〕に記載の水添共重合体(a)と、
該水添共重合体(a)以外の熱可塑性樹脂(b)及び/又は該水添共重合体(a)以外のゴム状重合体(c)と、
を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記熱可塑性樹脂(b)及び前記ゴム状重合体(c)が、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を含み、屈折率が1.51以上である、
熱可塑性エラストマー組成物。
〔3〕前記水添共重合体(a)と、前記熱可塑性樹脂(b)と前記ゴム状重合体(c)の合計量との質量比が、30/70〜100/0である、〔2〕に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔4〕前記熱可塑性樹脂(b)と前記ゴム状重合体(c)の質量比が、95/5〜5/95である、〔2〕又は〔3〕に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔5〕前記水添共重合体(a)と、前記熱可塑性樹脂(b)及び前記ゴム状重合体(c)との屈折率の差が、0.020以下である、〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔6〕前記水添共重合体(a)における全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が40質量%〜90質量%であり、
前記水添共重合体(a)に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピーク温度が−20℃〜40℃の範囲に少なくとも1つ存在する、〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔7〕さらに、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、パラフィン、炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含む、〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
〔8〕〔1〕に記載の水添共重合体(a)を含む成形品。
〔9〕〔2〕〜〔7〕のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む成形品。
〔10〕フィルム又はシートである、〔8〕又は〔9〕に記載の成形品。
〔11〕食品用チューブ又は医療用チューブである、〔8〕又は〔9〕に記載の成形品。
本発明によれば、透明性や、機械的強度や耐衝撃性等の性能に優れる熱可塑性エラストマー組成物や成形品を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態の水添共重合体(a)は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個、及び、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位及び共役ジエン化合物単量体単位を含む共重合体ブロックBを少なくとも1個、を含有する共重合体(a’)の水素添加物であって、下記(1)〜(5)の特性を有する。
また、本実施形態の熱可塑エラストマー組成物は、前記水添共重合体(a)と、該水添共重合体(a)以外の熱可塑性樹脂(b)及び該水添共重合体(a)以外のゴム状重合体(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体を含み、前記熱可塑性樹脂(b)及び前記ゴム状重合体(c)は、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とするブロック重合体Cを含有しており、前記熱可塑性樹脂(b)及び前記ゴム状重合体(c)の屈折率が1.51以上である、熱可塑性エラストマー組成物である。
(1)前記水添共重合体(a)における全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が30質量%〜90質量%である。
(2)前記水添共重合体(a)における前記重合体ブロックAの含有量が1質量%〜40質量%である。
(3)水素添加前の共重合体(a’)における前記共役ジエン化合物単量体単位由来のビニル結合量が10モル%〜80モル%である。
(4)前記水添共重合体(a)に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)ピーク温度が−40℃〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在する。
(5)前記水添共重合体(a)の屈折率が1.51以上である。
このように構成されているため、本実施形態の水添共重合体(a)や熱可塑性エラストマー組成物は、透明性を維持したまま、機械的強度や耐衝撃性等の性能に優れる。以下、各成分について詳細に説明する。
<水添共重合体(a)>
本実施形態における水添共重合体(a)は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位及び共役ジエン化合物単量体単位とを含む共重合体ブロックBと、を含有する共重合体(a’)を水素添加して得られる水添共重合体である。
本実施形態において、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAとは、重合体ブロックA中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量(複数種類のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位が含まれる場合はその合計含有量)が50質量%を超えることを意味し、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、よりさらに好ましくは90質量%以上である。
なお、本実施形態において、共重合体を構成する各単量体単位の命名は、当該単量体単位が由来する単量体の命名に従っているものとする。例えば、「ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族炭化水素化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。また、「共役ジエン化合物単量体単位」とは、単量体である共役ジエン化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン化合物単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
本実施形態においてビニル芳香族炭化水素化合物単量体とは、ビニル基と芳香環とを有する化合物をいう。ビニル芳香族炭化水素化合物単量体としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、重合性及び物性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。これらビニル芳香族炭化水素化合物単量体は、1種又は2種以上を含有してよい。
共役ジエン化合物単量体とは、1対の共役二重結合(共役するように結合した2つの二重結合)を有するジオレフィンである。共役ジエン化合物単量体としては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、重合性及び物性の観点から、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)が好適に用いられる。これら共役ジエン化合物単量体は、1種又は2種以上を含有してよい。
水添共重合体(a)は、機械的特性の観点から、少なくとも1個の上記重合体ブロックAと、少なくとも1個の上記共重合体ブロックBと、を有する。水添共重合体(a)は、例えば、下記一般式で表されるような構造を有することが好ましい。また、水添共重合体(a)は、下記構造を複数種類、任意の割合で含む混合物でもよい。
(A−B)n
A−(B−A)n
B−(A−B)n
[(B−A)n]m−Z
[(A−B)n]m−Z
[(B−A)n−B]m−Z
[(A−B)n−A]m−Z
上記一般式において、Aはビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bはビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位及び共役ジエン化合物単量体単位を含む共重合体ブロックである。重合体ブロックAと共重合体ブロックBとの境界線は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11、より好ましくは2〜8の整数である。
Zはカップリング剤残基を表す。ここで、カップリング残基とは、重合体ブロックAと共重合体ブロックBを、重合体ブロックA−重合体ブロックA間、共重合体ブロックB−共重合体ブロックB間、又はブ重合体ブロックA−共重合体ブロックB間において結合させるために用いられるカップリング剤の結合後の残基を意味する。カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、後述するポリハロゲン化合物や酸エステル類等が挙げられる。
重合体ブロックAがビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位と他の単量体単位との共重合体である場合には、重合体ブロックA中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位は、均一に分布していてもテーパー状に分布していてもよく、また、均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記重合体ブロックAには、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
また、共重合体ブロックB中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。さらに、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記共重合体ブロックBには、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
水添共重合体(a)中の全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量は30質量%〜90質量%であり(特性(1))、より好ましくは35〜80質量%であり、更に好ましくは40〜70質量%である。また、水添共重合体(a)中の共役ジエン化合物単量体単位の含有量は好ましくは10質量%〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%であり、更に好ましくは30〜60質量%である。
全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が30質量%以上であれば、機械的強度に優れる。全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が90質量%以下であれば、十分な柔軟性を得ることができる。
なお、全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量は、後述する実施例記載の方法で紫外線分光光度計を用いて262nmの吸収強度より算出することが可能である。
水添共重合体(a)において、重合体ブロックAの含有量は、水添共重合体(a)の質量に対して、1質量%〜40質量%であり(特性(2))、好ましくは5質量%〜35質量%、より好ましくは10質量%〜30質量%である。
重合体ブロックAの含有量が1質量%以上であれば、十分な機械的強度を得ることができる。ブロック重合体Aの含有量が40質量%以下であれば、柔軟性に富んだ水添ブロック共重合体を得ることができる。
なお、重合体ブロックAの含有量は、単量体の添加量によって調整することができる。
水添共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量は、水素添加前の共重合体(a’)を四酸化オスミウムを触媒として、t−ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)(以下、四酸化オスミウム分解法と称する。)で求めたビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体の質量(ただし、平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素化合物単量体成分は除かれている)を用いて算出することができる。
また、水添共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量は、水素添加後の共重合体(水添共重合体(a))を用いて、Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法で、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することもできる(以下、NMR法と称する。)。
NMR法を、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体をスチレン、共役ジエン化合物単量体を1,3−ブタジエンとした場合を例に挙げて具体的に説明する。
水添共重合体(a)30mgを重水素化クロロホルム1gに溶解した試料を用いて1H−NMRを測定し、重合体ブロックA(この場合、ポリスチレンブロックとなる)の含有量(Ns値)を全積算値に対する化学シフト6.9ppm〜6.3ppmの積算値の比率から求めた。
ブロックスチレン強度(b−St強度)
=(6.9ppm〜6.3ppmの積算値)/2
ランダムスチレン強度(r−St強度)
=(7.5ppm〜6.9ppmの積算値)−3×(b−St)
エチレン・ブチレン強度(EB強度)
=全積算値−3×{(b−St強度)+(r−St強度)}/8
NMR法で得られるポリスチレンブロック含有量(Ns値)
=104×(b−St強度)
/[104×{(b−St強度)+(r−St強度)}+56×(EB強度)]
ここで、四酸化オスミウム分解法で測定した水素添加前の共重合体(a’)中のブロック重合体Aの含有量(「Os値」と称する)とNMR法により測定した水素添加後の水添共重合体(a)中のブロック重合体Aの含有量(「Ns値」と称する。)の間には下記式で表される相関関係がある。
Os値=−0.012(Ns値)2+1.8(Ns値)−13.0
水添共重合体(a)における共役ジエン化合物単量体単位中の水素添加前のビニル結合量(共重合体(a’)における共役ジエン化合物単量体単位由来のビニル結合量)は5モル%〜80モル%が好ましく、好ましくは10〜70モル%であり、更に好ましくは12〜60モル%である。共役ジエン化合物単量体単位中の水素添加前のビニル結合量が5モル%以上であると柔軟性に富んだ水添共重合体が得られる傾向にあり、共役ジエン化合物単量体単位中の水素添加前のビニル結合量が80モル%以下であれば機械的強度が良好となる傾向にある。
なお、本実施形態において、ビニル結合量とは、全共役ジエン化合物単量体単位に対する、1,2−ビニル結合量(1,2−結合で重合体に組み込まれている共役ジエン化合物単量体単位)と3,4−ビニル結合量(3,4−結合で重合体に組み込まれている共役ジエン化合物単量体単位)の合計含有量(ここで、共役ジエン化合物単量体として1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合含有量、共役ジエン化合物単量体としてイソプレンを使用した場合には、3,4−ビニル結合含有量)をいう。
水素添加前の共役ジエン化合物単量体単位に基づくビニル結合含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
水添共重合体(a)中の共役ジエン化合物単量体単位に由来するミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができる。
また、本実施形態において、水素添加前の共重合体(a’)鎖中におけるビニル結合量の最大値と最小値との差は好ましくは10%未満、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。水素添加前の共重合体(a‘)鎖中におけるビニル結合量の最大値と最小値との差が10%未満であれば、動的粘弾性スペクトルにおいて、水添共重合体(a)の損失正接(tanδ)ピーク高さを高くすることができ、水添共重合体(a)及びこれを含む成形品の耐衝撃性改善効果に優れる。
なお、水素添加前の共重合体(a’)鎖中におけるビニル結合量の最大値と最小値との差は、以下の方法で得ることができる。
例えば、水素添加前の共重合体(a’)の重合をバッチ的に行う場合、モノマーを逐次的に反応器に供給し、モノマーを追加する毎に、その直前の重合体をサンプリングして、ビニル結合量を測定し、得られた値からビニル結合量の最大値と最小値の差を計算する。
水素添加前の共重合体(a’)鎖中のビニル結合は、均一に分布していてもテーパー状に分布していてもよい。ここで、ビニル結合量の差は、重合条件、すなわち、ビニル結合量調整剤(たとえば、第3級アミン化合物やエーテル化合物等)の種類、添加量及び重合温度等の影響で生ずる。したがって、例えば、共重合体鎖中のビニル結合量の最大値と最小値との差は、共役ジエン重合時の重合温度によって制御することができる。ビニル結合量調整剤の種類と添加量が一定の場合、重合中のポリマーに組み込まれるビニル結合量は重合温度に依存するため、重合温度を一定に保って重合するとビニル結合が均一に分布した重合体となる。これに対し、昇温で重合した重合体は、低温で重合した初期にはビニル結合量が高くなり、高温で重合した後半はビニル結合量が低くなるというように、ビニル結合量に差のある重合体となる。したがって、本実施形態の水添共重合体(a)を重合する際には、初期と後半の重合温度の差を20℃以下にすることが好ましく、15℃以下とすることがより好ましく、10℃以下とすることが更に好ましい。
水添共重合体(a)の製造方法としては、以下に限定されないが、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭51−49567号公報、特開昭59−166518号公報、などに記載された方法が挙げられる。
水素添加前の共重合体(a’)は、以下に限定されないが、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合を行う方法等により得られる。炭化水素溶媒としては、特に限定されず、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、一般的に、共役ジエン化合物単量体及びビニル芳香族炭化水素化合物単量体に対しアニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物を用いることができ、具体的には、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、炭素数1〜20の芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、炭素数1〜20の有機アミノアルカリ金属化合物等が挙げられる。開始剤に含まれるアルカリ金属としては、以下に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。なお、アルカリ金属は、1分子中に1種、又は2種以上含まれていてもよい。具体的には、以下に限定されないが、例えば、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。さらにまた、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1−(t−ブトキシ)プロピルリチウム及びその溶解性改善のために1〜数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウム及びヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
リチウム開始剤の使用量は、目的とするブロック共重合体の分子量によるが、一般的には0.01〜0.5phm(単量体100質量部当たりに対する質量部)を用いることができる。リチウム開始剤の使用量は、好ましくは0.03〜0.3phmであり、より好ましくは0.05〜0.15phmである。
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物単量体とビニル芳香族炭化水素化合物単量体を共重合する際に、共重合体に組み込まれる共役ジエン化合物単量体に起因するビニル結合(1,2−結合又は3,4−結合)の含有量の調整や共役ジエン化合物単量体とビニル芳香族炭化水素化合物単量体とのランダム共重合性を調整するために、ビニル結合量調整剤として第3級アミン化合物又はエーテル化合物を添加することができる。
第3級アミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、下記式で示される化合物が挙げられる。
123
(式中、R1、R2、及びR3は、炭素数1から20の炭化水素基又は第3級アミノ基を有する炭化水素基である。)
このような化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N'−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。この中でもN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
また、エーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物や環状エーテル化合物等を用いることができる。直鎖状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物等が挙げられる。また、環状エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのあるきるエーテル等が挙げられる。
本実施形態では、第3級アミン化合物又はエーテル化合物の使用量は、有機アルカリ金属化合物重合開始剤に対し、好ましくは0.1〜4(モル/アルカリ金属1モル)、より好ましくは0.2〜3(モル/アルカリ金属1モル)である。
本実施形態において、共重合する際に、ナトリウムアルコキシドを共存させてもよい。用いるナトリウムアルコキシドは、特に限定されないが、具体的には、下記式で示される化合物である。この中でも、炭素原子数3〜6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドが好ましく、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ペントキシドがより好ましい。
NaOR
(式中、Rは炭素原子数2〜12のアルキル基である)
本実施形態に用いるナトリウムアルコキシドの使用量は、ビニル結合量調整剤(第3級アミン化合物又はエーテル化合物)に対し、好ましくは0.01以上0.1未満(モル比)であり、より好ましくは0.01以上0.08未満(モル比)、さらに好ましくは0.03以上0.08未満(モル比)、よりさらに好ましくは0.04以上0.06未満(モル比)である。ナトリウムアルコキシドの量がこの範囲にあると、ビニル結合量が高い共役ジエン化合物単量体単位を含む共重合体ブロックBと、分子量分布が狭いビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを有し、且つ分子量分布が狭く、高い強度を有する共重合体(a’)を高生産率で得られる傾向にある。
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物単量体とビニル芳香族炭化水素化合物単量体を共重合する方法は、特に限定されず、バッチ重合であっても連続重合であっても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。分子量分布を好ましい適正範囲に調整する観点から、連続重合方法が好ましい。重合温度は、特に限定されないが、通常は0〜180℃であり、好ましくは30〜150℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、好ましくは0.1〜10時間である。また、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合することが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。
さらに、重合終了時に2官能基以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行ってもよい。2官能基以上のカップリング剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、2官能基カップリング剤として、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、式R1 (4-n)SiXn(ここで、R1は炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
本実施形態では、上述のような方法で得たブロック共重合体のリビング末端に、官能基含有原子団を生成する変性剤を付加反応させることもできる。官能基含有原子団としては、特に限定されないが、具体的には、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基及びフェニルスズ基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団等が挙げられる。
官能基含有原子団を有する変性剤の例としては、特に限定されないが、具体的には、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、4−メトキシベンゾフェノン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N'−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン等が挙げられる。本実施形態において、変性剤の付加量は、水添共重合体(a)100質量部当たり、0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.3〜10質量部である。変性剤の付加反応温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。変性反応に要する時間は他の条件によって異なるが、好ましくは24時間以内であり、より好ましくは0.1〜10時間である。
水添共重合体(a)を製造するために用いられる水添触媒としては、特に限定されず、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。チタノセン化合物としては、特に限定されないが、例えば、特開平8−109219号公報に記載された化合物等が挙げられ、具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル構造、インデニル構造、及びフルオレニル構造を有する配位子を少なくとも1つ以上持つ化合物等が挙げられる。還元性有機金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応の反応温度は、通常0〜200℃、好ましくは30〜150℃である。水添反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1〜15MPa、より好ましくは0.2〜10MPa、さらに好ましくは0.3〜5MPaである。水添反応の反応時間は、通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。なお、水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
水添反応終了後の反応溶液から、必要に応じて触媒残査を除去してもよい。水添共重合体(a)と溶媒を分離する方法としては、以下に限定されないが、例えば、水添共重合体(a)の溶液に、アセトン又はアルコール等の水添共重合体(a)に対して貧溶媒となる極性溶媒を加えて、水添共重合体(a)を沈澱させて回収する方法、あるいは、水添共重合体(a)の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、水添共重合体(a)の溶液を直接加熱することによって溶媒を留去する方法等が挙げられる。
水添共重合体(a)中の共役ジエン化合物に由来する(脂肪)二重結合の水素添加率(水添率ともいう)は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。水素添加率が30%以上であれば、水添共重合体(a)の熱劣化(酸化劣化)を抑制することができるため、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物の熱劣化(酸化劣化)による機械的強度等性能の低下を抑制することができる。また、水素添加率が50%以上であれば、より優れた耐候性を得ることができる。水素添加率の上限値は特にないが、100%以下であることが好ましく、99%以下であることが好ましい。ここでの水素添加率は、水添共重合体(a)の水素添加する前の共役ジエン化合物単量体単位(共重合体(a’)中の共役ジエン化合物単量体単位)に基づく脂肪族二重結合のうち、水素添加された脂肪族二重結合の割合をいう。
水添共重合体(a)中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位(共重合体(a’)中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位)に基づく(芳香族)二重結合の水素添加率については特に限定されず、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。ここで、芳香族二重結合の水素添加率とは、水素添加する前の芳香族二重結合のうち、水素添加された二重結合の割合をいう。
なお、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
本実施形態において、水添共重合体(a)には、酸化防止剤を添加してもよい。なお、後述の熱可塑性エラストマー組成物にも下記の酸化防止剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル・フェニル)プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウムとポリエチレンワックス(50%)の混合物、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ブチル酸,3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル・アクリレート、及び2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
水添共重合体(a)の重量平均分子量は、100,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは120,000〜450,000、さらに好ましくは130,000〜400,000である。水添共重合体(a)の重量平均分子量が100,000以上であれば、ペレットの取り扱い性(耐ブロッキング性)が良好となる傾向にある。水添共重合体(a)の重量平均分子量が500,000以下であれば、十分な流動性と成形加工性が得られる傾向にある。
水添共重合体(a)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.01〜8.0、より好ましくは1.01〜6.0、さらに好ましくは1.01〜5.0である。分子量分布が上記範囲内にあれば、より良好な成形加工性が得られる傾向にある。
なお、GPCにより測定した水添共重合体(a)の分子量分布の形状は特に限定されず、ピークが二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいし、ピークが一つであるモノモーダルの分子量分布を持つものでもよい。なお、水添共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布〔Mw/Mn;重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比〕は、後述する実施例に記載の方法でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
水添共重合体(a)は、屈折率1.51以上であり(特性(5))、1.60未満であるのが好ましい。屈折率が1.51以上であれば、後述の熱可塑性樹脂(b)やゴム状重合体(c)との屈折率が近くなり、その差が小さくなる。これにより、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品の透明性が良好となる傾向にある。
水添共重合体(a)中の全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量と、水添共重合体(a)中の共役ジエン化合物に由来する(脂肪族)二重結合の水素添加率を調整することによって屈折率を1.51以上に調整することができる。
なお、屈折率はJIS K7142に準拠して、アッベ屈折率計により測定することができる。
本実施形態において、水添共重合体(a)は、これに関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)ピーク温度が−40℃〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在する(特性(4))。
水添共重合体(a)が、このような動的粘弾性を示すことにより、耐衝撃性と柔軟性のバランスを向上させることができる。さらに、tanδピーク温度が−40℃〜−10℃の範囲にある場合はさらに低温特性に優れ、tanδピーク温度が−10℃〜50℃の範囲にある場合はさらに耐摩耗性に優れる。
tanδピーク温度は、水添共重合体(a)に共重合体ブロックBを含有させることにより上記範囲に制御し易くなり、具体的には、上述のビニル結合量調整剤(第3級アミン化合物又はエーテル化合物等の極性化合物)の使用、及び、水素添加率により制御することができる。tanδピーク温度は、共重合体ブロックB中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が増加すると上がる傾向にあり、減少すると下がる傾向にある。また、水素添加率が上がると、tanδピーク温度が下がる傾向がある。
<熱可塑性樹脂(b)>
水添共重合体(a)と熱可塑性樹脂(b)を組み合わせることによって、透明性を維持したまま、機械的強度や耐衝撃性等に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
熱可塑性樹脂(b)は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を含むものであり、特にビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックCを少なくとも1個含むものであることが好ましい。
好ましい熱可塑性樹脂(b)としては、例えば、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が60質量%を超えるビニル芳香族炭化水素化合物単量体と共役ジエン化合物単量体とのブロック共重合体、その水素添加物(ただし、本実施形態の水添共重合体(a)を除く)、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体の重合体、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体と他のビニル単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等)との共重合体、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体と無水マレイン酸又はマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン−N-フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(b)の屈折率は、1.51以上であることが好ましい。
本実施形態において熱可塑性樹脂(b)の重量平均分子量は1万〜500万であることが好ましく、より好ましくは5万〜300万、さらに好ましくは10万〜200万である。
熱可塑性樹脂(b)の重量平均分子量が1万以上であれば、熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品のブロッキング性が抑えられる傾向にあり、重量平均分子量が500万以下であれば、十分な柔軟性と成形加工性が得られる傾向にある。
<ゴム状重合体(c)>
水添共重合体(a)とゴム状重合体(c)を組み合わせることによって、機械的特性や成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
ゴム状重合体(c)は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を含むものであり、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックCを少なくとも1個含むものであることが好ましく、また、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を含み、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位が60質量%以下のゴム又はエラストマーも好ましい。具体的には、スチレンブタジエンゴム及びその水素添加物(ただし、本実施形態の水添共重合体(a)は除く)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン−ブタジエン・イソプレンブロック共重合体及びその水素添加物等が挙げられる。
ゴム状重合体(c)の重量平均分子量は、1万〜150万であることが好ましく、より好ましくは2万〜100万、さらに好ましくは3万〜80万である。
ゴム状重合体(c)の重量平均分子量が1万以上であれば、十分な機械的強度が得られる傾向にあり、重量平均分子量が150万以下であれば、柔軟性や成形加工性が良好となる傾向にある。
<熱可塑性エラストマー組成物>
本実施形態においては、水添共重合体(a)と、熱可塑性樹脂(b)及び/又はゴム状重合体(c)を混合することにより、機械的強度や透明性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。熱可塑性樹脂(b)とゴム状重合体(c)は、両方を含有してもよいし、どちらか一方のみを含有してもよい。
この熱可塑性エラストマー組成物に含まれる水添共重合体(a)の質量と、熱可塑性樹脂樹脂(b)及びゴム状重合体(c)の合計質量(熱可塑性樹脂(b)とゴム状重合体(c)のいずれか一方のみが含有される場合は、その含有される方の質量)との比は、30/70〜100/0であることが好ましく、より好ましくは40/60〜95/5、さらに好ましくは50/50〜90/10である。
水添共重合体(a)の含有量が上記範囲であれば、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度が優れるだけでなく、水添共重合体(a)の特徴に応じて耐衝撃性あるいは反発弾性が良好となる傾向にある。
また、熱可塑性エラストマー組成物が熱可塑性樹脂(b)とゴム状重合体(c)の両方を含む場合、熱可塑性樹脂(b)とゴム状重合体(c)の質量比は95/5〜5/95であることが好ましく、より好ましくは、80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70である。
ゴム状重合体(c)の質量比が上記範囲未満であれば、熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度と柔軟性のバランスに優れる傾向にある。
本実施形態において、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)は、屈折率が1.51以上であることが好ましい。屈折率の上限は特に限定されないが、好ましくは1.60未満である。屈折率が1.51以上であれば、本実施形態の水添共重合体(a)と屈折率が近く、屈折率の差が小さくなるために、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品の透明性を維持することができる。
本実施形態において、水添共重合体(a)と、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)との屈折率の差は0.020以下であるのが好ましく、より好ましくは0.015以下、さらに好ましくは0.02以下である。屈折率の差が0.20以下であれば、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物の透明性を維持することができ、視認性の良い成形品が得られる。
さらに、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)は、好ましくは溶解度パラメーター(SP値)が17(MPa)1/2〜21(MPa)1/2、より好ましくは17.5(MPa)1/2〜20(MPa)1/2である。熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)のSP値が上記範囲内であれば、水添共重合体(a)との相溶性が良好となり、機械的強度等の性能を十分に発揮することが可能となる。
なお、本明細書で記載する用語「SP値」とは、(MPa)1/2を単位としたときの数値である。溶解度パラメーターの単位の換算は下記式で行うことができる。
1(cal/cm31/2≒2.05(J/cm31/2≒2.05(MPa)1/2
SP値は、例えば、後述の方法や、R.T.Fedors,Polymer Engineering and Science,(14),147(1974)に記載の方法で求めることができる。
<滑剤(d)>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、滑剤(d)を含有していてもよい。滑剤(d)としては、例えば、ステアリン酸、脂肪酸、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸モノグリセライド、パラフィン・ワックス、マイクロクリスタリン・ワックス、ポリエチレン・ワックス、炭化水素系ワックス、エステル系ワックス等が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物において、滑剤(d)の含有量は、水添共重合体(a)、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)の合計量100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜8質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。滑剤(d)の配合量が上記範囲内であれば、熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品のブロッキング性を抑えることができ、取り扱い性が向上するだけでなく、手触り感などの風合いが良好な成形品が得られる傾向にある。
<軟化剤(e)>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、軟化剤(e)を含有していてもよい。軟化剤(e)としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、パラフィン・ワックス、流動パラフィン、ホワイト・ミネラル・オイル、植物系軟化剤等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物や成形品の低温特性や耐ブリード性等の観点から、パラフィン系オイル、流動パラフィン、ホワイト・ミネラル・オイルがより好ましい。
軟化剤(e)の40℃における動粘度は、好ましくは500mm2/秒以下である。軟化剤(e)の40℃における動粘度の下限値は特に限定されないが、10mm2/秒であることが好ましい。軟化剤(e)の40℃における動粘度が500mm2/秒以下であれば、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物の流動性がより向上し、成形加工性がより向上する傾向にある。軟化剤(e)の動粘度は、ガラス製毛管式粘度計を用いて試験する方法等によって測定することができる。
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物において、軟化剤(d)の配合量は、水添共重合体(a)、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)の合計量100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量部、さらに好ましくは15〜60質量部である。軟化剤(e)の配合量が上記範囲内であれば、柔軟性により優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる傾向にある。
<粘着付与剤(f)>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、粘着付与剤(f)を含有してもよい。粘着付与剤(f)としては、例えば、クマロン・インデン樹脂、p−t−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系炭化水素樹脂、水添変性脂環族系炭化水素樹脂、水添脂環族系炭化水素樹脂、炭化水素系粘着化樹脂、ポリブテン、液状ポリブタジエン、シスー1,4−ポリイソプレンゴム、水添ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴム、ロジン系樹脂等が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物において、粘着付与剤(f)の配合量は、水添共重合体(a)、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)の合計量100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量部、さらに好ましくは15〜60質量部である。粘着付与剤(f)の配合量が上記範囲内であれば、機械的強度に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる傾向にある。
<その他の成分>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、本実施形態の目的が損なわれない範囲で、上述した(a)〜(f)の成分以外に、さらにその他の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、光安定剤、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、粘着性付与剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を得るための方法は特に限定されず、従来公知の方法により製造できる。例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、ラボプラストミル、ミックスラボ、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態の熱可塑性エラストマーの形状は特に限定されないが、例えば、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
<水添共重合体(a)及び熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形品>
水添共重合体(a)は、透明性や柔軟性に優れているため、押出成形品、射出成形品等、様々な成形品として利用可能であり、例えば、透明性と、機械的強度や耐衝撃性等の性能を兼ね備えるという特性を活かして、医療用、食品製造機器用、分析機器用等のチューブに用いることが好ましい。これらの用途のチューブは、内径3〜7mm、厚み1〜3mm程度の薄い成形品であることも多いが、水添共重合体(a)からなるチューブの場合は高い耐キンク性を示すので、キンク性を求められるチューブに好適である。このようなキンク性を求められるチューブにおいては、厚みは、通常、成形性、引張強度の観点から10μm以上であり、好ましくは20μm以上である。厚みの上限は特に限定されないが、概ね20mm以下であればよい。
また、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、押出成形品、射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、高周波融着成形品、オーバーモールド成形品及びスラッシュ成形品等に好適に用いられる。特に、透明性が必要とされる成形品に好適である。具体的には、例えば、食品・飲料・医薬品・精密機器等の包装材、チューブ(カテーテルを含む)、バッグ、容器、トレイや、その他の部材、自動車部品や自動車内装材、家電・OA機器関連部品、工業部品、家庭用品、玩具等が挙げられる。
なお、上述の押出成形品や射出成形品は、複層押出成形品、複層射出成形品であってもよい。このとき、水添共重合体(a)や本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を全ての層に用いてもよいし、何れか1層のみ、あるいは2層以上に使用してもよい。
水添共重合体(a)及び本実施形態の熱可塑性エラストマーは、本発明の目的を阻害しない範囲で、多層フィルムや多層シート等の多層状として用いることができる。この場合、水添共重合体(a)及び本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、全ての層に用いてもよいし、何れか1層のみ、あるいは2層以上に使用してもよい。
また、水添共重合体(a)及び本実施形態の熱可塑性エラストマーは、シート状成形品及びフィルム状成形品に使用することができる。本実施形態のシート及びフィルムは、以下に述べる方法により、所望の形状に成形される。本実施形態のシート及びフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を押出機に投入して押出す成形法としてTダイ法、インフレーション法等を採用することができ、インフレーション成形として通常の空冷インフレーション成形、空冷2段インフレーション成形、高速インフレーション成形、水冷インフレーション成形などを採用できる。また、ダイレクトブロー、インジェクションブローなどのブロー成形法、プレス成形法を採用することもできる。用いる押出機は単軸又は多軸の押出機を使用することができ、また複数台の押出機を使用して多層押出した多層シートを成形することもできる。また、熱可塑性エラストマー組成物製造時の押出機から直接シートとして成形することもできる。
成形方法としては、上述した各種成形方法を適用できるが、これらの中でも、シート及びフィルム状に成形する場合には、バブル安定性及びドローダウンの抑制に優れるため、Tダイ成形法、インフレーション成形法が特に好ましい。なお、一般に厚みが0.005mm以上0.2mm未満であるシート状成形品をフィルムといい、厚みが0.2mm以上50mm以下であるシート状成形品をシートという。本実施形態のシート状成形品は、上記フィルム、シートを包含する。本実施形態のシート及びフィルムの厚みは、特に限定されないが、透明性等の観点から、その厚みは0.005mm〜20mmの範囲内であることが好ましく、0.01mm〜10mmであることがより好ましい。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。先ず、実施例及び比較例に適用した、評価方法及び物性の測定方法について下記に示す。
〔水添共重合体(a)の評価方法〕
(1)重量平均分子量・分子量分布
GPC〔装置:東ソーHLC8220、カラムTSKgel SuperH−RC×2本〕を用いて測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、温度35℃で行った。重量平均分子量及び数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算した重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。また、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として求めた。
(2)全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量(全スチレン含有量)
水素添加前の共重合体を用い、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて262nmの吸収強度より算出した。
なお、水素添加前のブロック共重合体について得られた全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位(スチレン単量体単位)の含有量を、水添共重合体の全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量(全スチレン含有量)とした。
(3)重合体ブロックAの含有量(Os値)
水素添加前の共重合体を用い、I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Soi.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法で測定した。水素添加前の共重合体の分解にはオスミウム酸の0.1g/125ml第3級ブタノール溶液を用いた。ここで得られた重合体ブロックAの含有量を「Os値」と称する。
(4)ビニル結合量
水素添加前の共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマーを、核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用い、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法によりビニル結合量(1,2−結合量)を測定した。溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。ビニル結合量は、1,4−結合及び1,2−結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4−結合と1,2−結合の合計に対する1,2−結合の比率から算出した。
(5)水素添加率(水添率)
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)により水添共重合体(a)の水素添加率を測定した。水素添加後の重合体である水添共重合体(a)を用いて、プロトン核磁気共鳴(H1−NMR)により測定した。なお、測定条件及び測定データの処理方法は上記(4)と同様とした。具体的には、4.5〜5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
(6)動的粘弾性測定
粘弾性測定解析装置(装置名:ARES−G2、TAインスツルメント社製)を用い、捻りタイプのジオメトリーに、測定サンプルをセットし、動的粘弾性スペクトルを下記条件で測定し、損失係数(tanδ)(すなわち損失弾性率(G“)と貯蔵弾性率(G‘)の比)のピーク温度(すなわち、tanδvs温度曲線において、ピークを与える温度))を得た。
測定サンプルサイズ:厚み2.0mm、幅12.6mm、長さ40mm
実効測定長さ:22mm
ひずみ:0.5%
周波数:1Hz
測定温度範囲:−100〜150℃
昇温速度:3℃/分
(7)屈折率
JIS K7142に準拠して、アッベ屈折率計(装置名ER−7MW、ERMA社製)により、水添共重合体(a)、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)の屈折率を測定し、その値を表1及び表2に示した。サンプルは各重合体の0.5mm厚シートを用いた。
なお、表3〜6には、水添共重合体(a)と熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)の屈折率の差を示しているが、熱可塑性樹脂(b)及びゴム状重合体(c)を併用する場合は、これらのうち水添共重合体(a)との屈折率の差が大きい方との差を示した。
(8)溶解度パラメーター(SP値)
実施例及び比較例で用いた水添共重合体(a)、熱可塑性樹脂(b)、ゴム状重合体(c)の各々を構成する各ポリマー単量体単位のモル体積、凝集エネルギーを、Bicerano(文献:J.Bicerano,Prediction of Polymer Properties,3rd,MarcelDekker,2002)に記載の方法で計算した。なお、凝集エネルギーに関してはVan Krevelen法に準拠し計算した値を用いた。
次いで、Jozef.Bicerano:PREDICTION OF POLYMER PROPERTIES, Marcel Dekker,AMERICA(2002)のp.615の17.8から17.10式に示される方法で、実施例及び比較例で用いた水添共重合体(a)、熱可塑性樹脂(b)、ゴム状重合体(c)のSP値を求めた。
ただし、熱可塑性樹脂(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−5)については、各単量体単位の含有量が不明なため、20(MPa)1/2を超えるかどうかの判定のみ行った。
〔熱可塑性エラストマー組成物のペレットの製造〕
表3〜表6に示す配合割合(質量部)に基づき、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30αII」、シリンダー口径30mm)によって、設定温度230℃で溶融混練して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
なお、実施例18については、水添共重合体(a)をそのまま用いた。
〔プレスシートの作製〕
上記で得られたペレット又は水添巨重合体(a)(実施例18の場合)を用いて2mm厚のプレスシートを作製した。得られたプレスシートを用いて、下記の測定方法に従い物性を測定した。
〔プレスシートの評価〕
(9)透明性
ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH−1001DP)を用いてヘイズ値(%)を測定し、透明性の指標とした。得られたヘイズ値から、次の基準で評価した。
◎:ヘイズ値が30%未満
○:ヘイズ値が30%以上50%未満
△:ヘイズ値が50%以上80%未満
×:ヘイズ値が80%以上
(10)硬度
JIS K6253に準拠し、タイプAデュロメーターを用いて測定した。
(12)引張応力・切断時引張応力・切断時伸び
JIS K6251に準拠し、引張試験機(ミネベア、Tg−5kN)を用いて、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で次のとおり引張試験を実施した。
引張弾性率・・・歪み0.05〜0.25%間の線形回帰によって求める引張弾性率を測定した。引張弾性率が低い方が、柔軟性に優れる。
切断時引張強度(Tb)・・・破断の際の応力を測定した。
切断時伸び(Eb)・・・破断の際の伸びを測定した。
(13)ダンロップ反発弾性
BS903に準拠して、ダンロップ反発弾性試験機を用い、23℃で測定した。50%以上であれば弾性に富むと判断した。
(14)耐摩耗性
学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製)を用いて、シートの表面をカナキン3号綿布で100往復(荷重500g)した後、シート表面を目視観察し、下記の基準で評価した。
○:傷がつかない
△:ほとんど傷がつかない
×:傷がつく
(15)耐衝撃性
JIS K7124に準拠し、長さ約30cm、巾約30cmに裁断して、ダート衝撃試験を実施し、衝撃強さ(J)を測定し、耐衝撃性の指標とした。得られた衝撃強さから、次の基準で評価した。
◎:衝撃強さが35J以上
○:衝撃強さが32J以上35J未満
△:衝撃強さが28J以上32J未満
×:衝撃強さが28J未満
〔チューブの製造方法〕
実施例18〜25、比較例5、6の、水添共重合体(a)又は熱可塑性エラストマー組成物のペレットをチューブダイを取り付けた単軸押出機で、押出温度190℃、引き取り速度10m/分で成形した後、冷却槽にて水冷して、外径4.0mm、内径3.0mm、肉厚0.5mmのチューブを得た。
〔チューブの評価方法〕
(16)耐キンク性
実施例及び比較例で得られた全量200mmのチューブを用いて、室温(25℃)で円形に変形させたときの、キンク直前の最小曲げの円周長さを測定して、耐キンク性の指標とした。得られた円周長さから、下記基準に基づいて評価した。
◎:円周長さが6.5cm未満
○:円周長さが6.5cm以上8cm未満
△:円周長さが8cm以上9.5cm未満
×:円周長さが9.5cm以上
(17)耐鉗子性
得られた全長200mmのチューブの内部を生理食塩水で満たし、垂直に立てた後、端部から10mmのところを医療用チューブ鉗子で生理食塩水が漏れないように22時間閉止した。その後、鉗子を外し、生理食塩水の全量が流出するまでの時間を測定して、耐鉗子性(チューブの形状回復性)の指標とした。下記基準に基づいて評価した。
◎:10秒以内に全量が流出する
○:10秒を超え、30秒以内に全量が流出する
△:30秒を超え、50秒以内に全量が流出する
×:全量が流出するのに50秒を超える、または、全量が流出しない
(18)耐ブロッキング性
全長100mmのチューブを2本重ねて紙テープで止め、高圧水蒸気滅菌(121℃、30分)を行った。その後、室温で放冷し、止めた紙テープを除いて、せん断剥離強度を測定し、ブロッキング性の指標とした。せん断剥離強度は、引張試験機にて試験速度100mm/分の条件で測定し、最大値を採用した。
○:10N未満
△:10N以上15N未満
×:15N以上
(19)溶剤接着性
実施例18〜25、比較例5、6のプレスシートを12.5mm×150mmに切り出し、試験片とした。試験片の片端(12.5mm×20mm)にシクロヘキサンを塗布し、被着体(ABS製プレート)に接着させたあと、接着部に荷重1.1kgをかけた状態で24時間、室温で乾燥させた。試験片と被着体を、引張試験機にて試験速度300mm/分の条件で測定し、最大値を溶剤接着性の指標とした。
◎:引き剥がし強度が200N以上
○:引き剥がし強度が150N以上200N未満
△:引き剥がし強度が100N以上150N未満
×:引き剥がし強度が100N未満
次に、使用した各成分を説明する。
<水添触媒の調製>
共重合体(a’)の水添反応に用いた水添触媒は下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
<水添共重合体(a−1)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を2基使用し、まず非水添共重合体の連続重合を以下の方法で行った。
1,3−ブタジエンモノマー濃度が24質量%のシクロヘキサン溶液を4.51リットル/hr、スチレンモノマー濃度が24質量%のシクロヘキサン溶液を5.97リットル/hr、全モノマー(1,3−ブタジエンモノマーとスチレンモノマーの合計)100質量部に対するn−ブチルリチウム(以下、n−BuLiとする)の量が0.10質量部となるような濃度に調整したn−BuLiのシクロヘキサン溶液を2.0リットル/hrで1基目の反応器の底部にそれぞれ供給し、更にN,N,N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする)の量がn−BuLi1モルに対して0.44モルとなる供給速度でTMEDAのシクロヘキサン溶液を供給し、90℃で連続重合した。
反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応器における平均滞留時間は約45分であり、1,3−ブタジエンの転化率は、ほぼ100%、スチレンの転化率は99%であった。
1基目から出たポリマー溶液を2基目の底部へ供給し、それと同時に、スチレンモノマー濃度が24質量%のシクロヘキサン溶液を2.48リットル/hrの供給速度で2基目の底部に供給し、90℃で連続重合して非水添共重合体を得た。2基目の出口におけるスチレンの転化率は98%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(a−1)を得た。
得られた水添共重合体(a−1)の全スチレン含有量は67質量%、スチレン重合体ブロックAの含有量は20質量%、ビニル結合量は14質量%、重量平均分子量は20万、分子量分布は1.9で、1,3−ブタジエンに由来する脂肪族二重結合の水添率は99%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は10℃に1つだけ存在した。
<水添共重合体(a−2)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.085質量部と、TMEDAをn−BuLi1モルに対して0.70モル添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を10分かけて投入し、80℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を80℃にコントロールしながら、スチレンモノマー47質量部と1,3−ブタジエンモノマー33質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を10分かけて投入し、80℃で30分間反応させて非水添共重合体を得た。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(a−2)を得た。
得られた水添共重合体(a−2)は、全スチレン含有量は67質量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20質量%、水素添加前のビニル結合量25質量%、ポリマー全体の重量平均分子量20.0万、分子量分布1.1であった。また、水添共重合体(a−2)の1,3−ブタジエンに由来する脂肪族二重結合の水素添加率は99%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は17℃に1つだけ存在した。
<水添共重合体(a−3)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.077質量部と、TMEDAをn−BuLi1モルに対して0.44モル添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー8質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を8分かけて投入し、70℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を70℃にコントロールしながら、スチレンモノマー61質量部と1,3−ブタジエンモノマー23質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン8質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を8分かけて投入し、70℃で30分間反応させて非水添共重合体を得た。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、共重合体(a−3)を得た。
得られた水添共重合体(a−3)は、全スチレン含有量は77質量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は16質量%、水素添加前のビニル結合量15質量%、ポリマー全体の重量平均分子量20.3万、分子量分布1.15であった。また、水添共重合体(a−3)の1,3−ブタジエンに由来する脂肪族二重結合の水素添加率は98%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は45℃に1つだけ存在した。
<水添共重合体(a−4)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.080質量部と、TMEDAをn−BuLi1モルに対して0.40モル添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー8質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を8分かけて投入し、80℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を80℃にコントロールしながら、スチレンモノマー36質量部と1,3−ブタジエンモノマー48質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン8質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を8分かけて投入し、80℃で30分間反応させて、非水添共重合体を得た。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(a−4)を得た。
得られた水添共重合体(a−4)は、全スチレン含有量は52質量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は16質量%、水素添加前のビニル結合量20質量%、ポリマー全体の重量平均分子量15.0万、分子量分布1.1であった。また、水添共重合体(a−4)の1,3−ブタジエンに由来する脂肪族二重結合の水素添加率は99%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は−15℃ に1つだけ存在した。
<水添共重合体(a−5)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.079質量部と、TMEDAをn−BuLi1モルに対して0.40モル添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を6分かけて投入し、70℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を70℃にコントロールしながら、スチレンモノマー34質量部と1,3−ブタジエンモノマー54質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を6分かけて投入し、70℃で30分間反応させて非水添共重合体を得た。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添重合体100質量部に対して0.3質量部添加して、水添共重合体(a−5)を得た。
得られた水添共重合体(a−5)は、全スチレン含有量は46質量%、スチレン重合体ブロックの含有量は12質量%、水素添加前のビニル結合量22質量%、ポリマー全体の重量平均分子量16.5万、分子量分布1.1であった。また、水添共重合体(a−5)の1,3−ブタジエンに由来する脂肪族二重結合の水素添加率は98%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は−25℃に1つだけ存在した。
<水添共重合体(a−6)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.080質量部と、TMEDAをn−BuLi1モルに対して1.10モル添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を6分かけて投入し、70℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を70℃にコントロールしながら、スチレンモノマー18質量部と1,3−ブタジエンモノマー72質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度22質量%)を6分かけて投入し、70℃で30分間反応させて非水添共重合体を得た。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(a−6)を得た。
得られた水添共重合体(a−6)は、スチレン含有量28.0質量%、スチレンブロック(ブロックB)の含有量:10.0質量%、水添前のブタジエンブロック部のビニル結合量56.0%、重量平均分子量14.5万、水添率は98%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は−25℃に1つだけ存在した。
<水添共重合体(a−7)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.11質量部、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.45モルを添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー9質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を9分かけて投入し、60℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を60℃にコントロールしながら、1,3−ブタジエンモノマー82質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン9質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を9分かけて投入し、60℃で30分間反応させて、非水添共重合体を得た。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒をポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(a−7)を得た。
得られた水添共重合体(a−7)は、スチレン含有量18質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量55%、重量平均分子量12.1万、分子量分布1.05、水添率99%であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は、−48℃と85℃に存在した。
<水添共重合体(a−8)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−BuLiを全モノマー100質量部に対して0.065質量部、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.80モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をTMEDAに対して0.04モル添加した。第1ステップとして、スチレンモノマー6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を7分かけて投入し、60℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第2ステップとして、重合温度を60℃にコントロールしながら、1,3−ブタジエンモノマー82質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20質量%)を1時間かけて一定速度で連続的に反応器に投入し、その後さらに10分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレン・ブタジエンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第3ステップとして、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を7分かけて投入し、60℃で30分間反応させた。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、スチレンの重合転化率を測定したところ、100%であった。
次に第4ステップとして、ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、60℃で20分間反応させ、非水添共重合体を得た。
次に、得られた非水添共重合体に、上記水添触媒を、非水添共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(a−7)を得た。
得られた水添共重合体(a−8)は、スチレン含有量13質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量77%、重量平均分子量174,000、分子量分布1.05、水添率99%、MFR5g/10分であった。また、動的粘弾性測定の結果、tanδピ−ク温度は−25℃に1つだけ存在した。
<熱可塑性樹脂(b)>
熱可塑性樹脂(b)として、下記の市販品を使用した。なお、各熱可塑性樹脂(b)の屈折率は、上述の方法で測定した。結果を表2に示す。
熱可塑性樹脂(b−1):エスチレンMS−300(メチルメタクリレート・スチレン共重合体、新日鉄住金化学製)
熱可塑性樹脂(b−2):エスチレンMS−600(メチルメタクリレート・スチレン共重合体、新日鉄住金化学製)
熱可塑性樹脂(b−3):デンカTH−21(メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレンの共重合体、デンカ製)
熱可塑性樹脂(b−4):アサフレックス830(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー、旭化成製)
熱可塑性樹脂(b−5):スタイラック769(アクリロニトリル・スチレンの共重合体、旭化成製)
熱可塑性樹脂(b−6):ノバテックMF3FQ(エチレン・プロピレンランダム共重合体、日本ポリプロ社製、MFR:8g/10分、エチレン含有量:2.5wt%)
<ゴム状重合体(c)>
ゴム状重合体(c)として、下記の市販品を使用した。
ゴム状重合体(c−1):タフプレン125(スチレンとブタジエンのブロックコポリマー、旭化成製)
<滑剤(d)>
滑剤(d)として、下記の市販品を使用した。
滑剤(d−1):ステアリン酸アマイド(花王社製)
滑剤(d−2):エルカ酸アミド(日本化成社製)
<軟化剤(e)>
軟化剤(e)として、下記の市販品を使用した。
軟化剤(e−1):ダイアナプロセスオイルPW90(パラフィン系オイル、重量平均分子量530、動粘度(40℃)=90.5mm2/秒、出光興産社製)
<粘着付与剤(f)>
粘着付与剤(f)として、下記の市販品を使用した。
粘着付与剤(f−1):YSポリスターT100(テルペンフェノール樹脂)(ヤスハラケミカル社製)
粘着付与剤(f−2):アルコンM−100(脂環族飽和炭化水素樹脂)(荒川化学社製)
本実施形態の水添共重合体(a)、熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた成形品は、透明性及び、機械的強度や耐衝撃性等に優れることから、透明性が要求されるような塩化ビニル樹脂代替用途への適応が期待される。
特に、軟化剤や可塑剤等を含有しなくても、十分な柔軟性と、良好な耐キンク性、耐鉗子性、溶剤接着性を有することから、食品用ホースや食品用チューブ等の食品用途や、医療用チューブ、カテーテル、輸液バッグ、血液バッグ等の医療用途に好適に用いられる。

Claims (11)

  1. ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個、及び、
    ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位及び共役ジエン化合物単量体単位を含む共重合体ブロックBを少なくとも1個、
    を含有する共重合体(a’)の水素添加物であって、下記(1)〜(5)の特性を有する水添共重合体(a)。
    (1)前記水添共重合体(a)における全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が30質量%〜90質量%である。
    (2)前記水添共重合体(a)における前記重合体ブロックAの含有量が1質量%〜40質量%である。
    (3)水素添加前の共重合体(a’)における前記共役ジエン化合物単量体単位由来のビニル結合量が5モル%〜80モル%である。
    (4)前記水添共重合体(a)に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)ピーク温度が−40℃〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在する。
    (5)前記水添共重合体(a)の屈折率が1.51以上である。
  2. 請求項1に記載の水添共重合体(a)と、
    該水添共重合体(a)以外の熱可塑性樹脂(b)及び/又は該水添共重合体(a)以外のゴム状重合体(c)と、
    を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂(b)及び前記ゴム状重合体(c)が、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を含み、屈折率が1.51以上である、
    熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記水添共重合体(a)と、前記熱可塑性樹脂(b)と前記ゴム状重合体(c)の合計量との質量比が、30/70〜100/0である、請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂(b)と前記ゴム状重合体(c)の質量比が、95/5〜5/95である、請求項2又は3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記水添共重合体(a)と、前記熱可塑性樹脂(b)及び前記ゴム状重合体(c)との屈折率の差が、0.020以下である、請求項2〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記水添共重合体(a)における全ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位の含有量が40質量%〜90質量%であり、
    前記水添共重合体(a)に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピーク温度が−20℃〜40℃の範囲に少なくとも1つ存在する、請求項2〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. さらに、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、パラフィン、炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含む、請求項2〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 請求項1に記載の水添共重合体(a)を含む成形品。
  9. 請求項2〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む成形品。
  10. フィルム又はシートである、請求項8又は9に記載の成形品。
  11. 食品用チューブ又は医療用チューブである、請求項8又は9に記載の成形品。
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