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JP2018084507A - 鉄筋腐食のae検知方法と装置 - Google Patents

鉄筋腐食のae検知方法と装置 Download PDF

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JP2018084507A JP2016228068A JP2016228068A JP2018084507A JP 2018084507 A JP2018084507 A JP 2018084507A JP 2016228068 A JP2016228068 A JP 2016228068A JP 2016228068 A JP2016228068 A JP 2016228068A JP 2018084507 A JP2018084507 A JP 2018084507A
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Abstract

【課題】鉄筋上のAE発生源で発生したAEをノイズから識別して精度よく検知することができる鉄筋腐食のAE検知方法と装置を提供する。【解決手段】センサ配置ステップS1、遅延時間算出ステップS2、受信波形記憶ステップS3、及び、波形合成ステップS4を有する。ステップS1において、内部に鉄筋が配筋されたコンクリートの表面に、複数のAEセンサを互いにセンサ間隔を隔てて配置する。ステップS2において、鉄筋上のAE発生源から各AEセンサに到着するAEの個別遅延時間tを算出する。ステップS3において、複数のAEセンサによりAE発生源で発生するAEをそれぞれ受信して複数の受信波形5を記憶する。ステップS4において、個別遅延時間tに基づき受信波形5をそれぞれ遅延させて合成した合成波形6を作成する。【選択図】図4

Description

本発明は、コンクリート内部の鉄筋腐食に伴うAEを検知する鉄筋腐食のAE検知方法と装置に関する。
コンクリート内部の鉄筋の腐食に伴ってAEが発生することが知られている。
AE(アコースティックエミッション)とは、固体が変形、破壊、あるいは腐食が進行する過程で発生する弾性波である。
コンクリート内部で発生するAEは、周波数帯が数10kHz−数100kHzであり、原理的にAEセンサ(例えば、圧電素子センサ)で検出することができる。
また、検出したAEの最大振幅値、カウント数、エネルギー、信号継続時間、立上り時間などから、コンクリート内部の鉄筋腐食を評価することができる。
かかるAEを利用するコンクリート内部の鉄筋腐食の評価方法として、例えば特許文献1が既に提案されている。
特許文献1の「AEによるコンクリート構造物の鉄筋腐食量の定量評価方法」は、鉄筋コンクリート構造物に圧電素子センサを設置し発生するAEを検出する。このAEのピーク周波数fが、任意の周波数f、f、f、f(f<f≦f<f)に対して、f≦f<fを満たすヒット数Hlと、f≦f<fを満たすヒット数Hhとの比で鉄筋腐食を評価するものである。
特開2011−133448号公報
コンクリート内の鉄筋の腐食は、腐食時に酸化物の体積膨張を伴い、鉄筋とコンクリート間に圧縮応力を発生させ、これにより酸化腐食物の破壊やこすれに伴いAEを発生させる。更に鉄筋の腐食が進むとコンクリートに割れを発生させてより深刻な損傷へと移行する。
しかし、コンクリート内部の鉄筋腐食に伴うAEは微弱であり、特に鉄筋腐食の初期状態では、ノイズ(風や雨に伴う雑音)との識別が困難であった。
例えば、特許文献1では、コンクリート表面から検出されたAEは、載荷サイクル毎における周波数の著しい変化は確認できないとして、コンクリート構造物の鉄筋の一部を露出させて、その部分に圧電素子センサを設置している。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、コンクリート内の鉄筋を露出させることなく、鉄筋上のAE発生源で発生したAEをノイズから識別して精度よく検知することができる鉄筋腐食のAE検知方法と装置を提供することにある。
本発明によれば、内部に鉄筋が配筋されたコンクリートの表面に、複数のAEセンサを互いにセンサ間隔を隔てて配置するセンサ配置ステップと、
鉄筋上のAE発生源から各AEセンサに到着するAEの個別遅延時間を算出する遅延時間算出ステップと、
複数の前記AEセンサにより前記AE発生源で発生する前記AEをそれぞれ受信して複数の受信波形を記憶する受信波形記憶ステップと、
前記個別遅延時間に基づき前記受信波形をそれぞれ遅延させて合成した合成波形を作成する波形合成ステップと、を有する、鉄筋腐食のAE検知方法が提供される。
また、本発明によれば、内部に鉄筋が配筋されたコンクリートの表面に、互いにセンサ間隔を隔てて配置された複数のAEセンサと、
鉄筋上のAE発生源から各AEセンサに到着するAEの個別遅延時間を算出する遅延時間算出装置と、
複数の前記AEセンサにより前記AE発生源で発生する前記AEをそれぞれ受信して複数の受信波形を記憶する受信波形記憶装置と、
前記個別遅延時間に基づき前記受信波形をそれぞれ遅延させて合成した合成波形を作成する波形合成装置と、を有する、鉄筋腐食のAE検知装置が提供される。
上記本発明によれば、鉄筋上のAE発生源から各AEセンサに到着するAEの個別遅延時間に基づき、受信波形をそれぞれ遅延させて合成した合成波形を作成する。この合成により、各受信波形に含まれるAE(「受信AE波形」と呼ぶ)は、個別遅延時間に基づき同期して加算されるため、合成波形は、AEセンサの数に比例して強調(増幅)された受信AE波形を含む。また、各受信波形に含まれるノイズは、その発生位置がAE発生源と異なるため、打ち消し合って減衰する。
従って、本発明により、コンクリート内の鉄筋を露出させることなく、鉄筋上のAE発生源で発生したAEをノイズから識別して、鉄筋腐食の初期状態を精度よく検知することができる。
AEの検出方法の説明図である。 AEの受信波形の模式図である。 本発明による鉄筋腐食のAE検知装置の実施形態図である。 本発明による鉄筋腐食のAE検知方法の実施形態を示す全体フロー図である。 受信波形と合成波形の模式図である。 鉄筋の長さ方向に対し直交する直線上に複数のセンサを配置した場合を示す図である。 シミュレーションで用いたAEの模擬波形を示す図である。 図6の鉄筋の上面(発生源)で発生した疑似AEを本発明の方法で合成した合成波形を示す図である。 図6の発生源と異なる深さで発生した疑似AEに基づき本発明の方法で合成した合成波形を示す図である。 音源の深さと振幅値比との関係図である。 音源の幅方向位置と振幅値比との関係図である。 道路橋の支柱に対するセンサの配置例を示す図である。 センサ間隔と振幅値比との関係図である。 式(3)を満たすセンサ間距離の場合の支柱の遠方からくるノイズの合成波形を示している。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、AEの検出方法の説明図である。
この図において、1はコンクリートの表面、2は鉄筋BのAE発生源、4はAEセンサである。この図は、AE発生源2を通り鉄筋Bに対し直交する2次元断面を示している。
この図において、AE発生源2に最も近い表面1の位置(図で真上)を原点Oとし、表面1に沿う1つの軸をX軸、表面1に直交する軸をZ軸とする。
AE発生源2は、鉄筋Bの位置、すなわち原点Oから深さdのZ軸上に位置する。また、AEセンサ4は、原点Oから表面距離LのX軸上に位置する。
この場合、AE発生源2からAEセンサ4の受信面(表面1の位置)までの伝搬距離Rは、幾何学的に式(1)で求められる。
=d+L・・・(1)
また、AE3の音速vから、AE3の発生からAEセンサ4による検出までの個別遅延時間tは、式(2)で求めることができる。
t=R/v・・・(2)
AE3の音速vは、コンクリート内の音波であり、例えば約4250〜約5250m/sである。
コンクリート内の鉄筋Bの位置は図面等より通常既知である。また、既知でない場合でも、鉄筋Bの位置は、レーダーなどで実測することができる。また、コンクリート内の音速vも、予め実測することができる。さらに、AEセンサ4の原点Oからの表面距離Lは自由に設定することができる。
従って、鉄筋上のAE発生源2の位置を予め設定することで、式(1)(2)から、個別遅延時間tを算出することができる。
図2は、AEの受信波形5の模式図であり、横軸は時間、縦軸はAE強度である。
この図において、Sは閾値、T1は継続時間、T2は立上り時間、Hmは最大振幅値、黒丸(●)はカウント点、斜線面積はエネルギーを示している。
この図に示すように、受信波形5には、AE3の波形(「受信AE波形5a」)の他にノイズ8が含まれている。そのため、上述したように、AE3が微弱な場合、受信AE波形5aとノイズ8との識別が困難となる。
図3は、本発明による鉄筋腐食のAE検知装置10の実施形態図である。
この図において、AE検知装置10は、複数のAEセンサ12、遅延時間算出装置14、受信波形記憶装置16、波形合成装置18、及び評価装置20を有する。
複数のAEセンサ12は、例えば圧電素子センサであり、内部に鉄筋Bが配筋されたコンクリートの表面1に、互いに間隔を隔てて配置される。以下、必要な場合を除き、AEセンサ12を単に「センサ12」と呼ぶ。
図3は、コンクリートの表面1を上方(表面1に直交する方向)から見た図であり、鉄筋上のAE発生源2に最も近い表面位置を原点Oとし、表面1に沿い互いに直交する軸をX軸及びY軸とする。
この例で11個のセンサ12が、原点Oを中心としてX軸上に原点Oからのセンサ間隔ΔLを隔てて配置されている。センサ間隔ΔLは、一定でも、ランダムでもよい。
また、複数のセンサ12は、X軸上に限定されず、原点Oからの表面距離Lが同一(原点Oを中心とする円上)であれば、図中に破線で示すように、Y軸上でも、その他の位置であってもよい。
遅延時間算出装置14、受信波形記憶装置16、波形合成装置18、及び評価装置20は、例えば全体として1つのコンピュータ(PC)で構成される。このコンピュータは、入出力装置、演算装置、記憶装置を有する。
なお、遅延時間算出装置14、受信波形記憶装置16、波形合成装置18、及び評価装置20の一部を別の装置で構成してもよい。また、評価装置20は、必須ではなく、これを省略してもよい。
遅延時間算出装置14は、鉄筋上のAE発生源2から各センサ12に到着するAE3の個別遅延時間tを算出する。
鉄筋上のAE発生源2の位置が既知、又は予め決められている場合、個別遅延時間tは、既知、又は実測した鉄筋Bの位置と音速vに基づき、上述した式(1)(2)から、予め算出することができる。
受信波形記憶装置16は、複数のセンサ12によりAE発生源2で発生するAE3をそれぞれ受信して複数の受信波形5を記憶する。
波形合成装置18は、個別遅延時間tに基づき受信波形5をそれぞれ遅延させて合成した合成波形6を作成する。
評価装置20は、作成した合成波形6の最大振幅値、カウント数、エネルギー、信号継続時間、立上り時間などから、コンクリート内部の鉄筋腐食を評価する。
図3において、鉄筋上のAE発生源2の位置が不明な場合、AE検知装置10は、さらに位置標定装置15を備えることが好ましい。位置標定装置15は、遅延時間算出装置14と同様に、例えば全体として1つのコンピュータ(PC)で構成される。
位置標定装置15は、3以上のAEセンサ12に到着したAE3の検出時間差から、AE発生源2の位置を標定する。
標定したAE発生源2の位置に基づき、遅延時間算出装置14は個別遅延時間tを算出し、波形合成装置18は合成波形6を作成する。
図4は、本発明による鉄筋腐食のAE検知方法の実施形態を示す全体フロー図である。
この図において、このAE検知方法は、S1〜S6の各ステップ(工程)を有する。
センサ配置ステップS1において、内部に鉄筋Bが配筋されたコンクリートの表面1に、原点Oから複数のセンサ12を互いにセンサ間隔ΔLを隔てて配置する。
この配置は、図3に示したように、X軸上に限定されず、原点Oからの表面距離Lが同一(原点Oを中心とする円上)であれば、図中に破線で示すように、Y軸上でも、その他の位置であってもよい。
すなわち、AE発生源2からAE3の伝搬距離Rが互いに相違する表面上の複数の円上に、AEセンサ12をそれぞれ配置してもよい。
遅延時間算出ステップS2において、鉄筋上のAE発生源2から各AEセンサ12に到着するAE3の個別遅延時間tを算出する。
上述したように、鉄筋上のAE発生源2の位置が既知、又は予め決められている場合、上述した式(1)(2)から、予め算出する。この場合、ステップS2はステップS3より先行して実施する。
また、鉄筋上のAE発生源2の位置が不明な場合、位置標定ステップS6を有し、3以上のAEセンサ12に到着したAE3の検出時間差から、AE発生源2の位置を標定する。この場合、標定したAE発生源2の位置に基づき、ステップS2において個別遅延時間tを算出し、ステップS3において合成波形6を作成する。
なお、ステップS6は省略してもよい。
受信波形記憶ステップS3において、複数のセンサ12によりAE発生源2で発生するAE3をそれぞれ受信して複数の受信波形5を記憶する。
図5は、受信波形5と合成波形6の模式図である。図5(A)は、2つ受信波形5の模式図であり、それぞれAE3の波形(受信AE波形5a)とノイズ8を含んでいる。
2つの受信AE波形5aは、単一のAE発生源2で発生した同一の受信波形5を検出したものである。従って、2つの受信AE波形5aは、両者間の遅延時間taは相違するが、同一の波形を有する。
一方、2つ受信波形5に含まれるノイズ8は、様々な位置から発生し、かつ各AEセンサ12に到達する遅延時間も相違することから、それぞれのノイズ8a〜8dの波形は相違している。
波形合成ステップS4において、個別遅延時間tに基づき受信波形5をそれぞれ遅延させて合成した合成波形6を作成する。
図5(A)の2つ受信波形5を両者間の遅延時間taに基づき合成することで、同一の波形を有する受信AE波形5aは加算されて強調(増幅)される。また、この合成により、それぞれのノイズ8a〜8cの波形は相違しているので、打ち消し合って減衰する。
従って、図5(B)に示すように、合成波形6は、センサ12の数(例えば5つ)に比例して強調(増幅)されたAE3の受信波形(受信AE波形5a)を含むようになる。
なお、この例では、説明の都合上、受信AE波形5aとノイズ8の発生時点が相違しているが、発生時点が重複する場合も同様である。
評価ステップS5において、作成された合成波形6の最大振幅値、カウント数、エネルギー、信号継続時間、立上り時間などから、コンクリート内部の鉄筋腐食を評価する。
このステップS5は、評価装置20を用いることが好ましいが、これを用いずに、人為的に実施してもよい。
以下、本発明の効果をシミュレーション結果に基づき説明する。
図6は、鉄筋Bの長さ方向に対し直交する直線上に複数のセンサ12を配置した場合を示す図である。
コンクリート内の鉄筋上のAE発生源2で発生したAE3は、この図に示すように直線的に複数のセンサ12に到達し、このときにAE3(すなわち音波)の伝搬距離Rの差に相当する時間差が各センサ12によって生じる。
鉄筋上のAE発生源2の深さd(かぶり深さ)を70mmとして、鉄筋Bに直交する方向に11個のセンサ12をセンサ間隔ΔL(50mm)で並べた場合をシミュレーションした。
図7は、シミュレーションで用いたAE3の模擬波形(以下、「疑似AE7」と呼ぶ)を示す図である。疑似AE7は、波長32mm、最大振幅値Hmが約1.0である。
図8は、図6の鉄筋Bの上面(AE発生源2)で発生した疑似AE7を本発明の方法で合成した合成波形6を示す図である。このシミュレーションでは、ノイズ8を想定せず、疑似AE7(AE発生源2で発生したAE3)は減衰せずに各センサ12に到達したと仮定している。
この図において、合成波形6の最大振幅値Hmは約11に増幅されている。すなわち、予め設定したAE発生源2で疑似AE7が発生する場合には、合成波形6は、センサ12の数に比例して強調(増幅)された受信AE波形5aを含むようになることがわかる。
図9は、図6のAE発生源2と異なる深さで発生した疑似AE7に基づき本発明の方法で合成した合成波形6を示す図である。すなわち、この場合の疑似AE7は、AE発生源2より深い位置(200mm)で発生したノイズ8に相当する。
この図において、合成波形6の最大振幅値Hmは約2に減衰されている。すなわち、予め設定したAE発生源2と異なる深さで疑似AE7が発生する場合には、複数の受信波形5は、同一の波形を有する場合でも、遅延時間がAE発生源2と異なるため位相が異なり、合成により複数の受信波形5が打ち消し合って減衰することがわかる。
図10は、音源の深さと振幅値比との関係図であり、最大振幅値Hmの深さによる変化を示している。
この図において、予め設定したAE発生源2の深さd(=70mm)で疑似AE7が発生した場合がA点であり、その他は異なる深さで疑似AE7が発生する場合である。また、幅方向位置Xは同一(図3においてX=0)である。
図中の横軸は、疑似AE7が発生する深さであり、縦軸はA点に対する最大振幅値Hmの比率である。
この図において、振幅値比は、A点が最大であり、その他の深さの場合、急激に低下している。すなわち、予め設定したAE発生源2の深さdと異なる深さから、同一レベルのAE3(又はノイズ8)が発生した場合でも、合成により複数の受信波形5が打ち消し合って減衰する。従って、予め設定したAE発生源2の深さd(=70mm)で発生した受信AE波形5aのみを強調できることがわかる。
図11は、音源の幅方向位置と振幅値比との関係図であり、音源位置が幅方向にずれた場合の最大振幅値Hmの変化の様子を示している。
この図において、予め設定した幅方向位置X(図3においてX=0)で疑似AE7が発生した場合がA点であり、その他は異なる幅方向位置Xで疑似AE7が発生する場合である。また、疑似AE7が発生する深さは同一(d=70mm)である。
図中の横軸は、疑似AE7が発生する幅方向位置Xであり、縦軸はA点に対する最大振幅値Hmの比率である。
この図において、振幅値比は、A点が最大であり、その他の幅方向位置Xの場合、急激に低下している。すなわち、予め設定したAE発生源2と異なる幅方向位置Xから、同一レベルのAE3(又はノイズ8)が発生した場合でも、合成により複数の受信波形5が打ち消し合って減衰する。従って、予め設定した幅方向位置X(=0mm)で発生した受信AE波形5aのみを強調できることがわかる。
上述した実施例1によれば、本発明による方法により、予め設定したAE発生源2に基づく受信AE波形5aを強調し、深さや幅方向が異なる位置で発生するAE3(又はノイズ8)を減衰させることができる。従って、本発明により、目的とする受信AE波形5aをノイズ8から識別して精度よく検知できることが確認された。
図12は、道路橋の支柱9に対するセンサ12の配置例を示す図である。この図において、(A)は、鉄筋Bに対し軸方向及び直交方向の直線上にそれぞれ複数のセンサ12を配置する例、(B)は、鉄筋Bに対し直交方向の直線上に複数のセンサ12を配置する例である。
道路橋などでは、支柱9は鉛直方向(長手方向)に細長く、鉄筋Bも長手方向に配置されることが多い。この場合、上方(又は下方)よりコンクリート内を伝搬してくるノイズ8に対しては、図12(B)のように、鉄筋Bの幅方向に配置したセンサ12による信号処理はあまり有効ではない。各センサ12がノイズ8をほぼ同時に検出するからである。
この場合、鉄筋Bに沿って複数のセンサ12を配置することが有効である。
特に、図12(A)のように、鉄筋Bに対し軸方向及び直交方向の直線上にそれぞれ複数のセンサ12を配置することが好ましい。
この場合、鉄筋Bの軸方向及び直交方向の複数のセンサ12において、それぞれ本発明の信号処理を行い、軸方向及び直交方向の合成波形6の両方が閾値を超える場合のみを目的とするAE3としてカウントする方法が有効である。
実施例2において、支柱9のはるか遠方(上方又は下方)から伝搬するノイズ8を、予め設定したAE発生源2で発生したAE3と識別するための最適なセンサ間隔ΔLについて検討する。ここで想定したAE3(疑似AE7)の波長は32mmである。
まず、センサ12を図12(B)のように配置する。この場合、遠方からのノイズ8はコンクリートを伝わって、配置した複数のセンサ12に同時に伝わる。
図13はセンサ間隔ΔLと振幅値比との関係図である。この図は、鉄筋Bの深さdが70mmの場合の鉄筋Bに対し直交方向の直線上に配置した複数のセンサ12で無限距離からのノイズ8を識別するためのセンサ間隔ΔLを変えたときのノイズ8の低減状況をシミュレーションした結果である。
この図から、センサ間隔ΔLにより周期的にノイズ8の低減効果が変化するのがわかる。これより、鉄筋Bまでの伝搬距離Rが半波長変化するときが最もノイズ8の低減効果があるといえる。
すなわち、センサ配置ステップS1において、AE発生源2と隣接するセンサ12の伝搬距離Rの差が、コンクリート内の音波の半波長となるように、センサ間隔ΔLを設定するのがよい。
この場合、以下の式(3)が成立する。
=d+L(n)={d+(λ/2)(2n−1)}・・・(3)
ここで、λはコンクリート内の音波の波長、L(n)は中心からn番目の表面距離、nは整数である。
図14は、式(3)を満たすセンサ間隔ΔLの場合の支柱9の遠方からくるノイズ8の合成波形6を示している。なお、遠方からのノイズ8は減衰がないものとしている。
この図において、合成波形6の最大振幅値Hmは約1に減衰されている。この場合、図6におけるn(1)〜n(5)のセンサ12と、n(−1)〜n(−5)のセンサ12の検出波形は、位相が逆となる。すなわち、支柱9の遠方からくるノイズ8を複数(11個)のセンサ12で検出し、各受信波形5が減衰せずに同一波形を有する場合でも、位相が相違するため合成波形6は互いに打ち消し合って減衰している。
上述したように、本発明では、各センサ位置と鉄筋Bでの、最短時間差に伴う個別遅延時間tを設けて波形を合成することで、腐食に伴うAE3の受信波形を強調して測定する。
従って、一つのセンサでAE3を受信したときに、他のセンサ12の波形を、予測した個別遅延時間tを考慮して合成することで、鉄筋Bを音源とする腐食に伴うAE3の受信波形は強調され、他の部位から発生するノイズ8と容易に識別が可能となる。
上述した本発明の実施形態によれば、鉄筋上のAE発生源2から各センサ12に到着するAE3の個別遅延時間tに基づき、受信波形5をそれぞれ遅延させて合成した合成波形6を作成する。この合成により、各受信波形に含まれる受信AE波形5aは、個別遅延時間tに基づき同期して加算されるため、合成波形6は、センサ12の数に比例して強調(増幅)された受信AE波形5aを含む。また、各受信波形に含まれるノイズ8は、その発生位置がAE発生源2と異なるため、打ち消し合って減衰する。
従って、本発明により、コンクリート内の鉄筋Bを露出させることなく、鉄筋上のAE発生源2で発生したAE3をノイズ8から識別して、鉄筋腐食の初期状態を精度よく検知することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
B 鉄筋、d 深さ、Hm 最大振幅値、L,L(n) 表面距離、
ΔL センサ間隔、O 原点、R 伝搬距離、S 閾値、t 個別遅延時間、
ta 遅延時間、T1 継続時間、T2 立上り時間、v 音速、λ 波長、
1 コンクリートの表面、2 AE発生源、3 AE、4 AEセンサ、
5 受信波形、5a 受信AE波形、6 合成波形、7 疑似AE、
8(8a〜8c) ノイズ、9 支柱、10 AE検知装置、
12 AEセンサ(センサ)、14 遅延時間算出装置、
16 受信波形記憶装置、18 波形合成装置、20 評価装置

Claims (8)

  1. 内部に鉄筋が配筋されたコンクリートの表面に、複数のAEセンサを互いにセンサ間隔を隔てて配置するセンサ配置ステップと、
    鉄筋上のAE発生源から各AEセンサに到着するAEの個別遅延時間を算出する遅延時間算出ステップと、
    複数の前記AEセンサにより前記AE発生源で発生する前記AEをそれぞれ受信して複数の受信波形を記憶する受信波形記憶ステップと、
    前記個別遅延時間に基づき前記受信波形をそれぞれ遅延させて合成した合成波形を作成する波形合成ステップと、を有する、鉄筋腐食のAE検知方法。
  2. 前記センサ配置ステップにおいて、前記AE発生源の前記鉄筋に対しその軸方向又は直交方向の直線上に複数の前記AEセンサを配置する、請求項1に記載の鉄筋腐食のAE検知方法。
  3. 前記センサ配置ステップにおいて、前記AE発生源の前記鉄筋に対しその軸方向及び直交方向の直線上にそれぞれ複数の前記AEセンサを配置し、
    前記波形合成ステップにおいて、前記軸方向及び前記直交方向の複数の前記受信波形からそれぞれ前記合成波形を作成し、
    前記軸方向及び前記直交方向の前記合成波形の両方が閾値を超える場合に、前記合成波形の一方又は両方を出力する、請求項1に記載の鉄筋腐食のAE検知方法。
  4. 前記センサ配置ステップにおいて、前記AE発生源から前記AEの伝搬距離が互いに相違する表面上の複数の円上に、前記AEセンサをそれぞれ配置する、請求項1に記載の鉄筋腐食のAE検知方法。
  5. 前記センサ配置ステップにおいて、前記AE発生源から隣接する前記AEセンサまでの伝搬距離の差が、前記コンクリート内の音波の半波長となるように、前記センサ間隔を設定する、請求項1に記載の鉄筋腐食のAE検知方法。
  6. 3以上の前記AEセンサに到着した前記AEの検出時間差から、前記AE発生源の位置を標定する位置標定ステップを有する、請求項1に記載の鉄筋腐食のAE検知方法。
  7. 内部に鉄筋が配筋されたコンクリートの表面に、互いにセンサ間隔を隔てて配置された複数のAEセンサと、
    鉄筋上のAE発生源から各AEセンサに到着するAEの個別遅延時間を算出する遅延時間算出装置と、
    複数の前記AEセンサにより前記AE発生源で発生する前記AEをそれぞれ受信して複数の受信波形を記憶する受信波形記憶装置と、
    前記個別遅延時間に基づき前記受信波形をそれぞれ遅延させて合成した合成波形を作成する波形合成装置と、を有する、鉄筋腐食のAE検知装置。
  8. 3以上の前記AEセンサに到着した前記AEの検出時間差から、前記AE発生源の位置を標定する位置標定装置を有する、請求項7に記載の鉄筋腐食のAE検知装置。
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