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JP2018076625A - 高強度ワイヤロープ - Google Patents

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JP2018076625A JP2016220540A JP2016220540A JP2018076625A JP 2018076625 A JP2018076625 A JP 2018076625A JP 2016220540 A JP2016220540 A JP 2016220540A JP 2016220540 A JP2016220540 A JP 2016220540A JP 2018076625 A JP2018076625 A JP 2018076625A
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Abstract

【課題】素線の充填率を上げて細くて高い強度が得られる高強度ワイヤロープを提供する。【解決手段】1本のストランド心2と、複数の中間ストランド3と、複数の外層ストランド4とを備えており、前記複数の中間ストランド3は、前記ストランド心2の直径よりも小さい直径を有して当該ストランド心2の周面に接触するとともに当該ストランド心2の周方向に当該中間ストランド3同士が密着した状態で配置され、前記複数の外層ストランド4は、前記ストランド心2の直径よりも小さく、かつ、前記中間ストランド3よりも大きい直径を有して前記中間層の周囲において前記中間ストランド3に接触するとともに前記周方向に当該外層ストランド4同士が密着した状態で配置されている高強度ワイヤロープ。【選択図】図1

Description

本発明は、高強度ワイヤロープに関する。
従来、クレーンでの荷役運搬や他の建設機械に使用されるワイヤロープには、一般的にJISG3525(ワイヤロープ:2013)で規定される繊維心入りもしくはワイヤロープ状のロープ心(IWRC(Independent Wire Rope Coreの略))入りのFi型やWS型の6ストランドロープなどが使用されている。このような用途に用いられるワイヤロープは、設備の小型化、およびそれによる設備の軽量化や省エネルギー化等のために、細径でありながら高い強度(例えば、引張強度)を有することが要求される。
上記のワイヤロープとして、例えば、特許文献1には、図9に示されるようなIWRC6×Fi(29)の構造を有する6ストランドワイヤロープ100が示されている。このワイヤロープ100は、IWRC101と、その周囲において撚り合わされた複数(図9では6本)の側ストランド102とを有する。
IWRC101は、7本のロープ心用ストランド101bを有する。各ロープ心用ストランド101bは、互いにらせん状に撚り合わされた複数の素線101aからなる。これら7本のロープ心用ストランド101bのうち1本のロープ心用ストランド101bを中心として他の残り6本のロープ心用ストランド101bが撚り合わさることによって、IWRC101が形成されている。側ストランド102は、それぞれ複数の素線102aが撚り合わさることにより形成されている。
特開2007−77555号公報(図1参照)
しかし、このような従来のワイヤロープ100は、ワイヤロープ状のロープ心であるIWRC101と複数の側ストランド102との間に大きな隙間が形成されるので、ワイヤロープ100内部における素線の充填率(すなわち、ワイヤロープの断面積における素線の断面積が占める割合)を上げることができない。したがって、細径でありながら高い強度を有するという要求を満足できない。
上記の隙間は、側ストランド102を細くすることにより削減することが可能である。しかし、複数の細い側ストランド102がIWRC101の周囲に撚り合されると型崩れが生じやすくなる。その結果、素線の充填率およびワイヤロープの強度の両方を向上することができなくなる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、素線の充填率を上げて細くて高い強度が得られる高強度ワイヤロープを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明の高強度ワイヤロープは、複数の素線が撚り合わされて形成された1本のストランド心と、それぞれが複数の素線が撚り合わされ、前記ロープ心の周囲に撚り合わされて中間層を形成する複数の中間ストランドと、それぞれが複数の素線が撚り合わされて形成され、前記複数の中間ストランドによって形成された前記中間層の周囲に撚り合わされた複数の外層ストランドと、を備えており、前記複数の中間ストランドは、前記ストランド心の直径よりも小さい直径を有して当該ストランド心の周面に接触するとともに当該ストランド心の周方向に当該中間ストランド同士が密着した状態で配置され、前記複数の外層ストランドは、前記ストランド心の直径よりも小さく、かつ、前記中間ストランドよりも大きい直径を有して前記中間層の周囲において前記中間ストランドに接触するとともに前記周方向に当該外層ストランド同士が密着した状態で配置されていることを特徴とする。
かかる構成では、複数の外層ストランドをストランド心の周方向に互いに密着させて配置されるとともに外層ストランドおよびストランド心よりも細い中間ストランドを外層ストランドとストランド心との隙間に密に詰めることにより高い素線の充填率が得られる。このことは、ワイヤロープ全体で荷重を受けることを可能にする。その結果、素線の充填率が向上して細くて高い強度を有する高強度ワイヤロープを得ることが可能になる。
前記複数の外層ストランドと前記複数の中間ストランドは、同じ本数であり、各々の前記中間ストランドは、隣接する2本の前記外層ストランドによって形成される谷間に入り込んだ状態で当該隣接する2本の前記外層ストランドに接触しているのが好ましい。
かかる構成により、より高い素線の充填率を得ることが可能になり、細くてより高い強度の高強度のワイヤロープを得ることが可能になる。また、前記複数の外層ストランドと前記複数の中間ストランドは、同じ本数であるので、ワイヤロープの設計が容易である。
前記複数の外層ストランドは、前記複数の中間ストランドが前記ストランド心の周囲において撚られた方向と同じ方向に、前記中間層の周囲で撚られているのが好ましい。
かかる構成により、複数の中間ストランドをストランド心に撚りながら、複数の外層ストランドを隣接する当該中間ストランドの谷間に入り込むように中間層の周囲に撚ることが可能になる。そのため、より高い素線の充填率を得ることが可能になり、細くてより高い強度の高強度のワイヤロープを得ることが可能になる。
前記複数の外層ストランドは、互いに同一の直径を有することが好ましい。かかる構成により、ストランド心の周方向において、外層ストランドを均等に配置することができ、かつ、ワイヤロープの外周の形状における真円度が向上する。その結果、ワイヤロープの偏摩耗が低減し、耐摩耗性や耐久性が向上する。
前記複数の中間ストランドは、互いに同一の直径を有することが好ましい。かかる構成により、中間ストランドを均等に配置することができ、ストランド心と外層ストランドとの隙間に均一に詰めることが可能である。
前記外層ストランドは、円筒状の外周面を有するように最外層の前記素線が変形された異形ストランドである。
かかる構成では、それぞれの外層ストランドは、異形ストランドであり、円筒状の外周面を有するので、当該外層ストランド同士を互いにより密着させて配置させることが可能になり、素線の充填率がより向上する。しかも、ワイヤロープの外周の形状における真円度が向上するので、ワイヤロープの外周の凹凸をより低減することが可能になり、ワイヤロープの偏摩耗が低減し、耐摩耗性や耐久性が向上する。
前記中間ストランドは、円筒状の外周面を有するように最外層の前記素線が変形された異形ストランドである。
かかる構成では、それぞれの中間ストランドは、異形ストランドであり、円筒状の外周面を有するので、当該中間ストランド同士を互いにより密着させるとともに各中間ストランドをストランド心と外層ストランドの両方に確実に密着することが可能である。その結果、素線の充填率がより向上する。
前記ストランド心は、円筒状の外周面を有するように最外層の前記素線が変形された異形ストランドであるのが好ましい。
かかる構成では、ストランド心は、異形ストランドであり、円筒状の外周面を有するので、ストランド心と各中間ストランドとを確実に密着することが可能である。その結果、素線の充填率がより向上する。
以上説明したように、本発明の高強度ワイヤロープによれば、素線の充填率を上げて細くて高い強度が得られる。
本発明の実施形態に係わる12本の中間ストランドおよび外層ストランドを有する高強度ワイヤロープの断面図である。 (a)は図1の異形ストランドからなる中間ストランドの断面、(b)は縮径成形前のストランドの断面図である。 比較例1のワイヤロープの断面図である。 本実施例と比較例2のワイヤロープの繰り返し曲げ疲労試験の結果を示すグラフである。 繰り返し曲げ疲労試験の方法を説明する説明図である。 (a)は比較例3のワイヤロープにおける負荷とたわみとの関係を示すグラフ、(b)は本実施例のワイヤロープにおける負荷とたわみとの関係を示すグラフである。 本発明の変形例である10本の中間ストランドおよび外層ストランドを有する高強度ワイヤロープの断面図である。 本発明の変形例である14本の中間ストランドおよび外層ストランドを有する高強度ワイヤロープの断面図である。 従来のIWRC6×Fi(29)の構造を有する6ストランドワイヤロープの断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1の示されるワイヤロープ1は、1本のストランド心2と、複数の中間ストランド3と、複数の外層ストランド4とを備えており、いわゆる3層構造のワイヤロープである。
図1に示されるワイヤロープ1は、それぞれ同じ本数(12本)の中間ストランド3および外層ストランド4を備えたシール型(素線の数が1+n+nの多層構造)であるが、これらの本数については本発明ではとくに限定されない。
このワイヤロープ1は、ストランド心と外層ストランドとの隙間にこれらのストランドよりも細い中間ストランドが密に詰まった構造を有している。以下のワイヤロープ1の構造についてさらに具体的に説明する。
ストランド心2は、ワイヤロープ1の芯となるものであり、複数の素線2aが撚り合わされて形成されている。図1に示されるストランド心2は、WS(36)のワイヤロープ(すなわち、36本の素線を有するウォーリントンストランド形のワイヤロープ)である。ただし、ストランド心2の構造は、本発明はこれに限定されるものではなく、素線の本数および撚り形については任意に選択可能である。
ストランド心2は、円筒状の外周面を有するように最外層の素線2aが変形された異形ストランドである。なお、異形ストランドの具体的説明については以下の中間ストランド3の説明で詳述する。
複数の中間ストランド3は、ストランド心2の周囲に撚り合わされてワイヤロープ1の中間層を形成する。図1に示される各々の中間ストランド3は、複数(本実施形態では7本)の素線3aがらせん状に撚り合わされたワイヤロープであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、素線の本数および撚り形については任意に選択可能であり、S(19)(すなわち、19本の素線を有するシール形のワイヤロープ)やWS(26)のワイヤロープなどが選択可能である。
各々の中間ストランド3は、円筒状の外周面を有するように最外層の素線3aが変形された異形ストランドである。異形ストランドの中間ストランド3を形成する場合、例えば、図2(b)に示される丸線からなる7本の素線fを撚り合わせたストランドを当該ストランドの外径よりも若干小さい穴が開いたダイスに通して縮径成形するなどの方法によって行われる。縮径成形によって得られた異形ストランドの中間ストランド3は、図2(a)に示されるように、最外層の素線3aが略台形断面または略扇形断面に変形され、円筒状の外周面を有する。異形ストランドの中間ストランド3は、複数の丸線を撚り合わせたストランドと比較して、素線の充填率が向上し、同一の直径であれば、当該中間ストランド3の断面積は大きくなる。
複数の中間ストランド3は、互いに同一の直径を有する。各々の中間ストランド3は、ストランド心2の直径よりも小さい直径を有している。これらの中間ストランド3は、当該ストランド心2の周面に接触するとともに当該ストランド心2の周方向に当該中間ストランド3同士が密着した状態で配置されている。
図1の複数の外層ストランド4と複数の中間ストランド3は、同じ本数(12本)である。各々の中間ストランド3は、隣接する2本の外層ストランド4によって形成される谷間に入り込んだ状態で当該隣接する2本の外層ストランド4に接触している。
複数の外層ストランド4は、複数の中間ストランド3によって形成された中間層の周囲に撚り合わされている。各々の外層ストランド4は、それぞれが複数の素線4aが撚り合わされて形成されている。図1に示される各々の外層ストランド4は、S(19)のワイヤロープであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、素線の本数および撚り形については任意に選択可能であり、WS(26)やS(31)のワイヤロープでもよい。
各々の外層ストランド4は、上記のストランド心2および中間ストランド3と同様に、円筒状の外周面を有するように最外層の素線4aが変形された異形ストランドである。
複数の外層ストランド4は、互いに同一の直径を有する。各々外層ストランド4は、ストランド心2の直径よりも小さく、かつ、中間ストランド3よりも大きい直径を有している。これらの外層ストランド4は、中間ストランド3によって形成された中間層の周囲において中間ストランド3に接触するとともにストランド心2の周方向に当該外層ストランド4同士が密着した状態で配置されている。
図1に示される外層ストランド4は、S(19)のストランドであり、3層構造である。すなわち、中心の1本の素線の周囲に9本の素線が配置され、さらに、その外周に9本の素線が配置されている。一方、中間ストランド3は、7本よりのストランドであり、2層構造である。このように、外層ストランド4は、中間ストランド3よりも素線の層の数が多い構造を有しているので、細い素線を用いても、中間ストランド3よりも直径を大きくすることが可能である。
複数の外層ストランド4は、複数の中間ストランド3がストランド心2の周囲において撚られた方向と同じ方向に、中間層の周囲で撚られている。すなわち、複数の外層ストランド4は、複数の中間ストランド3の周囲に平行撚りで撚られている。
上記のように構成された本実施形態のワイヤロープ1では、複数の中間ストランド3は、ストランド心2の直径よりも小さい直径を有して当該ストランド心2の周面に接触するとともに当該ストランド心2の周方向に当該中間ストランド3同士が密着した状態で配置されている。複数の外層ストランド4は、ストランド心2の直径よりも小さく、かつ、中間ストランド3よりも大きい直径を有して中間層の周囲において中間ストランド3に接触するとともに周方向に当該外層ストランド4同士が密着した状態で配置されている。したがって、この構成では、複数の外層ストランド4をストランド心2の周方向に互いに密着させて配置されるとともに外層ストランド4およびストランド心2よりも細い中間ストランド3を外層ストランド4とストランド心2との隙間に密に詰めることにより高い素線の充填率が得られる。このことは、ワイヤロープ全体で荷重を受けることを可能にする。その結果、素線の充填率が向上して細くて高い強度を有するワイヤロープ1を得ることが可能になる。
また、本実施形態のワイヤロープ1では、複数の外層ストランド4と複数の中間ストランド3は、同じ本数(図1では12本)であり、各々の中間ストランド3は、隣接する2本の外層ストランド4によって形成される谷間に入り込んだ状態で当該隣接する2本の外層ストランド4に接触している。これにより、より高い素線の充填率を得ることが可能になり、細くてより高い強度の高強度のワイヤロープを得ることが可能になる。また、複数の外層ストランド4と複数の中間ストランド3は、同じ本数であるので、ワイヤロープの設計が容易である。
さらに、本実施形態のワイヤロープ1では、複数の外層ストランド4は、複数の中間ストランド3がストランド心2の周囲において撚られた方向と同じ方向に、中間層の周囲で撚られている。したがって、複数の中間ストランド3をストランド心2に撚りながら、複数の外層ストランド4を隣接する当該中間ストランド3の谷間に入り込むように中間層の周囲に撚ることが可能になる。そのため、より高い素線の充填率を得ることが可能になり、細くてより高い強度の高強度のワイヤロープを得ることが可能になる。
さらに、本実施形態のワイヤロープ1では、複数の外層ストランド4は、互いに同一の直径を有する。そのため、ストランド心2の周方向において、外層ストランド4を均等に配置することができ、かつ、ワイヤロープの外周の形状における真円度が向上する。その結果、ワイヤロープの偏摩耗が低減し、耐摩耗性や耐久性が向上する。
さらに、本実施形態のワイヤロープ1では、複数の中間ストランド3は、互いに同一の直径を有する。そのため、中間ストランド3を均等に配置することができ、ストランド心2と外層ストランド4との隙間に均一に詰めることが可能である。
さらに、本実施形態のワイヤロープ1では、外層ストランド4は、円筒状の外周面を有するように最外層の素線4aが変形された異形ストランドである。そのため、外層ストランド4同士を互いにより密着させて配置させることが可能になり、素線の充填率がより向上する。しかも、ワイヤロープの外周の形状における真円度が向上するので、ワイヤロープの外周の凹凸をより低減することが可能になり、ワイヤロープの偏摩耗が低減し、耐摩耗性や耐久性が向上する。
さらに、本実施形態のワイヤロープ1では、中間ストランド3は、円筒状の外周面を有するように最外層の素線3aが変形された異形ストランドである。そのため、当該中間ストランド3同士を互いにより密着させるとともに各中間ストランド3をストランド心2と外層ストランド4の両方に確実に密着することが可能である。その結果、素線の充填率がより向上する。
さらに、本実施形態のワイヤロープ1では、ストランド心2は、円筒状の外周面を有するように最外層の素線2aが変形された異形ストランドである。そのため、ストランド心2と各中間ストランド3とを確実に密着することが可能である。その結果、素線の充填率がより向上する。
[実施例]
つぎに、本発明のワイヤロープの具体的な実施例について説明する。
まず、本発明が適用された本実施例のワイヤロープは、図1に示されるワイヤロープ1と同じ形状を有するものであり、すなわち、1本のストランド心2と、各12本の中間ストランド3および外層ストランド4とを有する。具体的には、ストランド心2は、直径9.86mmの素線2aを撚り合わせたWS(36)タイプの異形線ストランドである、各々の中間ストランド3は、直径3.25mmの7本よりの異形線ストランドである。各々の外層ストランド4は、直径4.80mmのS(19)タイプの異形線ストランドである。ストランド心2の周囲に各12本の中間ストランド3および外層ストランド4を同時に同じ撚り方向で撚り合わされることにより、本実施例のワイヤロープが得られる。
この本実施例のワイヤロープは、表1に示されるように、ロープ径が24mmでありながら、破断力は687kNになっている。これは、従来用いられている異形線ワイヤロープについての比較例1〜2と比較して、本実施例では、ロープ径は小さくなりながら、破断力が向上していることが分かる。
Figure 2018076625
ここで、比較例1では、JIS(日本工業規格)の規格品であるロープ径30mmの異形線ワイヤロープ[IWRC 6×P・WS(31)0/0 B種 30mm]が用いられた。図3に示されるように、この比較例1の異形線ワイヤロープ51は、IWRC52と、その周囲において撚り合わされた6本の側ストランド53とを有する。IWRC52は、7本のロープ心用ストランド52bが撚り合わされて形成される。各ロープ心用ストランド52bは、互いにらせん状に撚り合わされた複数の素線52aからなる。各々の側ストランド53は、円筒状の外周面を有する異形ストランドである。それぞれ複数の素線53aが撚り合わされ、最外周の素線53aが変形されることにより、上記の円筒状の外周面が形成されている。
また、比較例2では、神鋼鋼線株式会社製のロープ径28mmの異形線 ワイヤロープ[G IWRC 6×WS(31)0/0 特別種 28mm]が用いられた。比較例2のワイヤロープは、図3に示される比較例1のワイヤロープの断面形状と同じ断面形状を有する。
また、本発明者の検証によれば、図1に示される本実施例のワイヤロープ1の断面構造では、素線の充填率(すなわち、ワイヤロープの断面積における素線の断面積が占める割合)は74%であることがわかった。それに対して、図3に示される比較例1のワイヤロープの断面構造では素線の充填率は62%程度までしか得られないことがわかった。したがって、図1に示される本実施例のワイヤロープ1では、高い素線の充填率を有することによって、細径でありながら高い強度が得られていることがわかる。
つぎに、上記の本実施例のワイヤロープの品質を確認するため、本実施例および比較例3の異形線ワイヤロープの繰り返し曲げ疲労試験を行った。比較例3では、本実施例ワイヤロープと同じ直径(24mm)を有する神鋼鋼線株式会社製の異形線ワイヤロープ[G IWRC 6×WS(31)0/0 特別種 24mm]が用いられた。
繰り返し曲げ疲労試験では、図5に示されるように、一対のシーブ(滑車)CにワイヤロープWをS字状に掛け回した状態で、ワイヤロープWを前後に往復移動させることにより、ワイヤロープWに繰り返し曲げ荷重を与えてワイヤロープWの素線の断線の様子を調べる。この繰り返し曲げ疲労試験で用いられたシーブCの直径は、ワイヤロープWの直径の25倍である。
図4のグラフには、本実施例のワイヤロープの疲労特性を示す曲線Iと、比較例3のワイヤロープの疲労特性を示す曲線IIが示されている。これらの曲線I、IIを見れば、本実施例のワイヤロープ(曲線I)では、繰り返し往復回数が27000回ぐらいから素線の断線が開始され、全素線のうちの10%の素線が断線した段階D1になるまでに52000回程度要することがわかる。一方、比較例3のワイヤロープ(曲線II)では、繰り返し往復回数が18000回程度で素線の断線が開始され、36000回程度で10%の素線が断線した段階D2になることがわかる。
したがって、本実施例のワイヤロープは、比較例3のワイヤロープと比較して素線の断線開始、および10%断線の段階のいずれの繰り返し往復回数についても、10%以上増加しており、疲労特性が大幅に改善されていることがわかる。
つぎに、本実施例のワイヤロープのたわみ易さについて上記の比較例3のワイヤロープと比較して検証した。図6(a)には、比較例3のワイヤロープのたわみと荷重の関係を示すグラフが示され、図6(b)には、本実施例のワイヤロープのたわみと荷重の関係を示すグラフが示されている。これら図6(a)、(b)のグラフにおけるたわみと荷重との相関関係を示す直線R1、R2の傾きを比較すれば、図6(b)に示される直線R2の傾きが図5(a)に示される直線R1の傾きよりも緩やかなことがわかる。これは、本実施例のワイヤロープは比較例3のワイヤロープよりも同じ荷重を受けたときにたわみ量が大きく、たわみやすいことを意味する。
また、表2には、本実施例のワイヤロープと比較例3のワイヤロープのたわみやすさ(柔らかさ)を示す可とう度が示されている。
Figure 2018076625
可とう度Aは以下のようにして求められ、可とう度Aが大きいほどたわみやすい傾向がある。
A=4.96×10×d/L×B
ここで、d:ロープ径、L:試験スパン(すなわち、ロープの所定の長さ)、B:図6のグラフの直線R1またはR2の傾きを示す。
表2に示されるように、本実施例のワイヤロープの可とう度は714であり、比較例3のワイヤロープの可とう度(619)よりも大きいので、本実施例のワイヤロープが、比較例3のワイヤロープよりもたわみやすく、柔らかいことがわかる。
以上の結果から、本実施例のワイヤロープは、従来のワイヤロープ(比較例3)よりも柔らかいので、ウインチドラムへ巻き取られるときに問題が生じない。したがって、本実施例のワイヤロープは、従来のワイヤロープと比較して高い強度を有しながらも長寿命化を達成し、しかも、高い可とう性を有するので、クレーンなどにおける一般的なウインチドラムなどに巻いて使用することが可能である。
[変形例]
以上の本実施形態のワイヤロープ1では、各々12本の中間ストランド3および外層ストランド4が配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間ストランド3および外層ストランド4の本数を変更することが可能である。例えば、本発明の変形例として、図7に示されるように、各々10本の中間ストランド3および外層ストランド4がストランド心2の周囲に配置された構造のワイヤロープ11であってもよい。このような10本の中間ストランド3および外層ストランド4を有するワイヤロープ11の構造では、素線の充填率が73%、可とう度が651であることが本発明者の検証によって確認されており、いずれも従来のワイヤロープの充填率(62%)および可とう度(619)を上回っていることがわかる。
さらに、本発明の他の変形例として、図8に示されるように、各々14本の中間ストランド3および外層ストランド4がストランド心2の周囲に配置された構造のワイヤロープ21であってもよい。このような14本の中間ストランド3および外層ストランド4を有するワイヤロープ21の構造においても、従来のワイヤロープよりも素線の充填率を向上することが可能である。
上記の実施形態のワイヤロープ1、11、21では、いずれも中間ストランド3の本数と外層ストランド4の本数とが同じであるワイヤロープのタイプ(すなわち、シール型)であるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明では、中間ストランド3の直径が外層ストランド4の直径よりも小さく、かつ、中間ストランド3同士の密着、外層ストランド4同士の密着、ならびに中間ストランド3と外層ストランド4との密着が確保されていれば、中間ストランド3の本数および外層ストランド4の本数を任意に設定することが可能である。
1、11、21 高強度ワイヤロープ
2 ストランド心
2a、3a、4a 素線
3 中間ストランド
4 外層ストランド

Claims (8)

  1. 複数の素線が撚り合わされて形成された1本のストランド心と、
    それぞれが複数の素線が撚り合わされ、前記ストランド心の周囲に撚り合わされて中間層を形成する複数の中間ストランドと、
    それぞれが複数の素線が撚り合わされて形成され、前記複数の中間ストランドによって形成された前記中間層の周囲に撚り合わされた複数の外層ストランドと、を備えており、
    前記複数の中間ストランドは、前記ストランド心の直径よりも小さい直径を有して当該ストランド心の周面に接触するとともに当該ストランド心の周方向に当該中間ストランド同士が密着した状態で配置され、
    前記複数の外層ストランドは、前記ストランド心の直径よりも小さく、かつ、前記中間ストランドよりも大きい直径を有して前記中間層の周囲において前記中間ストランドに接触するとともに前記周方向に当該外層ストランド同士が密着した状態で配置されている、
    高強度ワイヤロープ。
  2. 前記複数の外層ストランドと前記複数の中間ストランドは、同じ本数であり、
    各々の前記中間ストランドは、隣接する2本の前記外層ストランドによって形成される谷間に入り込んだ状態で当該隣接する2本の前記外層ストランドに接触している、
    請求項1に記載の高強度ワイヤロープ。
  3. 前記複数の外層ストランドは、前記複数の中間ストランドが前記ストランド心の周囲において撚られた方向と同じ方向に、前記中間層の周囲で撚られている
    請求項1または2に記載の高強度ワイヤロープ。
  4. 前記複数の外層ストランドは、互いに同一の直径を有する、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の高強度ワイヤロープ。
  5. 前記複数の中間ストランドは、互いに同一の直径を有する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の高強度ワイヤロープ。
  6. 前記外層ストランドは、円筒状の外周面を有するように最外層の前記素線が変形された異形ストランドである、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の高強度ワイヤロープ。
  7. 前記中間ストランドは、円筒状の外周面を有するように最外層の前記素線が変形された異形ストランドである、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の高強度ワイヤロープ。
  8. 前記ストランド心は、円筒状の外周面を有するように最外層の前記素線が変形された異形ストランドである、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の高強度ワイヤロープ。
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