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JP2018070783A - ガスバリア材 - Google Patents

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JP2018070783A JP2016212960A JP2016212960A JP2018070783A JP 2018070783 A JP2018070783 A JP 2018070783A JP 2016212960 A JP2016212960 A JP 2016212960A JP 2016212960 A JP2016212960 A JP 2016212960A JP 2018070783 A JP2018070783 A JP 2018070783A
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rubber
gas barrier
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JP2016212960A
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角替 靖男
Yasuo Tsunokai
靖男 角替
晋吾 奥野
Shingo Okuno
晋吾 奥野
広幸 似鳥
Hiroyuki NITADORI
広幸 似鳥
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるガスバリア材を提供すること。【解決手段】モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体を用いてなるガスバリア材、および、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体と、架橋剤とを含むゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物を用いてなるガスバリア材を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるガスバリア材に関する。
ゴム材料は、タイヤ、ホース、パッキン、シール材、ベルト、包装材、粘接着剤、コーティング材、塗料など幅広い用途に用いられるが、これらの用途に用いられる際に求められる特性として、空気や水蒸気などのガスの透過を適切に防止できることが挙げられる。
たとえば、タイヤチューブやインナーライナーは、タイヤの空気圧を一定に保つという観点より、これらの用途に用いられるゴム材料としては、チューブ内に充填された空気が外部に抜けにくいゴム材料が求められる。また、食品や医薬品、精密電子部品などは酸素や水分によって劣化する場合があるので、これらを密封するための、ゴム製のパッキンや栓、包装材、ホース、チューブなどにおいては、酸素、水分などの各種ガスを適切に遮断できることが求められている。さらに、ゴム材料がシール材や接着剤、封止材、コーティング材、塗料などに用いられる場合には、これらが適用される部品の隙間や表面を覆うことにより、酸素や水分、その他のガスの透過を防ぐことが求められている。
このような酸素や水分などのガスに対するガスバリア性が求められる用途においては、その用途によって適宜選択されるが、ガスバリア性に優れたブチルゴムやフッ素ゴム、クロロプレンゴムなどが一般に用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、近年、食品や医薬品の安全性の関心の高まりや電子部品の精密化に伴い、ガスバリア性への要求が高まっており、これらのゴム材料では、十分に高いガスバリア性が得られないという課題があった。
特開2007−99941号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるガスバリア材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、種々のゴム材料について鋭意研究を行った結果、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体が、酸素や水蒸気などのガスに対して、優れたガスバリア性を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体を用いてなるガスバリア材が提供される。
また、本発明によれば、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体と、架橋剤とを含むゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物を用いてなるガスバリア材が提供される。
本発明のガスバリア材において、前記モノ環状オレフィン開環重合体が、前記モノ環状オレフィン由来の構造単位として、シクロペンテン単位および1,5−シクロオクタジエン単位からなる群より選択される少なくとも1つの単量体単位を含むものであることが好ましい。
本発明のガスバリア材において、前記モノ環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度(Tg)が−80℃以下であることが好ましい。
本発明のガスバリア材において、前記モノ環状オレフィン開環重合体の融点(Tm)が25℃以下であることが好ましい。
本発明のガスバリア材において、前記モノ環状オレフィン開環重合体を形成するモノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率が60〜90%であることが好ましい。
また、本発明によれば、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体のガスバリア材としての使用が提供される。
さらに、本発明によれば、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体と、架橋剤とを含むゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物のガスバリア材としての使用が提供される。
本発明によれば、酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるガスバリア材を提供することができる。
<第1の観点に係るガスバリア材>
本発明の第1の観点に係るガスバリア材は、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体を用いてなるものである。
まず、本発明の第1の観点に係るガスバリア材に用いられる、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体について説明する。
本発明で用いるモノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体(以下、適宜、「モノ環状オレフィン開環重合体」と略記する。)は、その主鎖を構成する繰返し単位が、モノ環状オレフィンを開環重合してなる繰返し単位のみからなる重合体である。モノ環状オレフィン開環重合体をモノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成させることにより、それ以外の構造単位(例えば、多環の環状オレフィン)を含む場合に比べ、モノ環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度(Tg)を下げることができ、低温特性を高めることができる。なお、本発明で用いるモノ環状オレフィン開環重合体は、その主鎖を構成する繰返し単位として、モノ環状オレフィン由来の構造単位以外の構造単位を実質的に有しないものであればよく、主鎖を構成する繰返し単位以外の部分、たとえば、側鎖や重合体鎖末端に変性基などを有するものであってもよい。
モノ環状オレフィンとは、一つの環からなり、環内に炭素−炭素二重結合を有する炭化水素化合物であり、炭素−炭素二重結合の数は、1つでもよいし、複数個であってもよい(ただし、芳香環は含まない)。このようなモノ環状オレフィンの具体的例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの炭素−炭素二重結合が環内に1個あるモノ環状モノオレフィン;1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエンなどの炭素−炭素二重結合が環内に2個あるモノ環状ジエン;1,5,9−シクロドデカトリエンなどの炭素−炭素二重結合が環内に3個あるモノ環状トリエン;などが挙げられる。モノ環状オレフィンとしては、置換基を有するものであっても、置換基を有しないものであってもよく、置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基やエチル基などのアルキル基が挙げられる。
本発明で用いるモノ環状オレフィン開環重合体は、このようなモノ環状オレフィン由来の構造単位として、1種のモノ環状オレフィン単量体単位のみを含有する単独重合体であってもよいし、あるいは、2種以上のモノ環状オレフィン単量体単位を含有する共重合体であってもよい。本発明で用いるモノ環状オレフィン開環重合体としては、ガスバリア材としてのガスバリア性をより高めることができるという点より、その主鎖を構成する繰返し単位として、シクロペンテン単位および1,5−シクロオクタジエン単位からなる群より選択される少なくとも1つの単量体単位を含むものであることが好ましく、さらに、モノ環状オレフィン開環重合体の融点(Tm)をより低くすることができ、これにより、常温でのゴム特性をより高めることができるという点より、その主鎖を構成する繰返し単位が、シクロペンテン単位および1,5−シクロオクタジエン単位からなる群より選択される少なくとも1つの単量体単位のみからなるものであることがより好ましい。
本発明で用いるモノ環状オレフィン開環重合体は、モノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率が、好ましくは60〜90モル%であり、より好ましくは65〜90モル%である。モノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率を上記範囲とすることにより、ガスバリア材としてのガスバリア性をより高めることができる。「モノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率」とは、モノ環状オレフィン開環重合体を構成する全てのモノ環状オレフィン由来の構造単位のうち、全炭素−炭素二重結合に対するトランス型の割合を百分率で示したものであり、モノ環状オレフィン開環重合体の13C−NMRスペクトル測定により測定することができる。なお、モノ環状オレフィン開環重合体が、2種以上のモノ環状オレフィンに由来する単量体単位を有するものである場合には、モノ環状オレフィン開環重合体に含まれる、全てのモノ環状オレフィン由来の構造単位のトランス比率を上記範囲とすればよい。
また、モノ環状オレフィン開環重合体の、トランス比率を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、モノ環状オレフィンを重合して、モノ環状オレフィン開環重合体を得る際における、重合条件を制御する方法などが挙げられる。一例を挙げると、モノ環状オレフィンを重合する際の重合温度を高くするほど、トランス比率を高くすることができ、また、重合溶液におけるモノマー濃度を低くするほど、トランス比率を高くすることができる。
モノ環状オレフィン開環重合体の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の値として、1,000〜1,000,000であることが好ましく、1,500〜900,000であることが好ましく、2,000〜800,000であることがより好ましい。モノ環状オレフィン開環重合体がこのような分子量を有することにより、ガスバリア材としてのガスバリア性をより高めることができる。
モノ環状オレフィン開環重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される、ポリスチレン換算の、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)ととの比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常4.0以下であり、好ましくは3.5以下であり、より好ましくは3.0以下である。このようなMw/Mnを有することにより、ガスバリア材としてのガスバリア性をより高めることができる。
モノ環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、低温下で優れた特性を示すものとし、柔軟性を有するものとするという観点より、好ましくは−80℃以下であり、より好ましくは−85℃以下、さらに好ましくは−90℃以下である。モノ環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度は、たとえば、モノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率やモノ環状オレフィン開環重合体を共重合体とする場合は、共重合体中の単量体単位組成比を調節することによって、調節することができる。
また、モノ環状オレフィン開環重合体の融点(Tm)は、特に限定されないが、常温で優れたゴム特性を示すものとするという観点より、好ましくは25℃以下である。モノ環状オレフィン開環重合体の融点(Tm)は、たとえば、モノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率を調節することや、モノ環状オレフィン開環重合体を共重合体とする場合は、共重合体中の単量体単位組成比を調整することにより、調節することができる。一例を挙げると、モノ環状オレフィン開環重合体を構成する、モノ環状オレフィン単量体単位のうち、シクロペンテン単位および1,5−シクロオクタジエン単位の含有割合を増加させることにより、融点(Tm)を低くすることができる。その一方で、シクロオクテン単位の含有割合が増加すると、融点(Tm)が高くなってしまい、常温でのゴム特性が低下してしまう場合がある。なお、モノ環状オレフィン開環重合体としては、融点(Tm)を有しない(観測できない)ものである場合もあるが、測定が極めて困難な極低温に融点を有すると考えられるため、この場合にも、その融点(Tm)は、上記範囲に存在するものと考えることができる。
本発明で用いるモノ環状オレフィン開環重合体は、その分子構造が、炭素原子と水素原子のみからなるものであってもよいが、分子構造中に炭素原子および水素原子以外の原子を含有させてもよく、より具体的には、周期表第15族の原子、周期表第16族の原子、ケイ素原子、およびハロゲン原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基を側鎖あるいは重合体鎖末端に含有させてもよい。
このような変性基としては、後述する架橋剤との反応性の観点より、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子、ケイ素原子、ハロゲン原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基がより好ましく、これらのなかでも、窒素原子、酸素原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する変性基がさらに好ましい。このような変性基の具体例としては、アミノ基、水酸基、ヒドロキシカルボニル基、カルボン酸無水物基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキシシリル基およびハロゲン原子などが挙げられ、これらのなかでも、アミノ基、水酸基、ヒドロキシカルボニル基、メタクリロイルオキシ基、オキシシリル基が好ましい。オキシシリル基の具体例としては、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、アシロキシシリル基、アルキルシロキシシリル基、アリールシロキシシリル基、またはヒドロキシシリル基などが挙げられ、これらのなかでも、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基は、1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリメトキシシリル基、(ジメトキシ)(メチル)シリル基、(メトキシ)(ジメチル)シリル基、トリエトキシシリル基、(ジエトキシ)(メチル)シリル基、(エトキシ)(ジメチル)シリル基、(ジメトキシ)(エトキシ)シリル基、(メトキシ)(ジエトキシ)シリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基などが挙げられる。
モノ環状オレフィン開環重合体が、このような変性基を有する場合のその変性基の導入位置は、特に限定されず、側鎖あるいは重合体鎖末端のいずれでもよいが、その導入効果をより高めるという観点からは、重合体鎖末端に変性基を有していることが好ましい。
モノ環状オレフィン開環重合体が、重合体鎖末端に変性基を有する場合、一方の重合体鎖末端(片末端)のみに変性基が導入されたものであっても、両方の重合体鎖末端(両末端)に変性基が導入されたものであってもよく、また、これらが混在したものであってもよい。さらに、これらと、重合体鎖末端に変性基が導入されていない未変性のモノ環状オレフィン開環重合体とが混在していてもよい。
モノ環状オレフィン開環重合体が、重合体鎖の末端に変性基を有する場合において、モノ環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端における、変性基の導入割合は、特に限定されないが、後述する架橋剤との反応性の観点より、変性基が導入されたモノ環状オレフィン開環重合体鎖末端数/モノ環状オレフィン開環重合体鎖数の百分率の値として、60%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上である。なお、重合体鎖末端への変性基の導入割合を測定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、H−NMRスペクトル測定により求められる変性基に対応するピーク面積比と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィから求められる数平均分子量とから求めることができる。
モノ環状オレフィン開環重合体の合成方法は、目的とする重合体が得られる限りにおいて、特に限定されず、常法に従って合成すればよいが、たとえば、分子量調整剤の存在下、開環重合触媒としてルテニウムカルベン錯体を用いて、モノ環状オレフィンを開環重合する方法などが挙げられる。
ルテニウムカルベン錯体としては、モノ環状オレフィンの開環重合触媒となるものであれば、特に限定されない。好ましく用いられるルテニウムカルベン錯体の具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、ジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
ルテニウムカルベン錯体の使用量は、特に限定されるものではないが、(触媒中の金属ルテニウム:モノ環状オレフィン)のモル比として、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,500,000、より好ましくは1:10,000〜1:1,000,000の範囲である。ルテニウムカルベン錯体の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られるモノ環状オレフィン開環重合体からの触媒残渣の除去が困難となり、ガスバリア材としての各種特性が低下するおそれがある。
分子量調整剤としては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのオレフィン化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどのジオレフィン化合物;などを挙げることができる。
分子量調整剤の使用量は、特に限定されず、目的とする重量平均分子量(Mw)に応じて設定すればよいが、重合に用いるモノ環状オレフィン100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.015〜15重量部、さらに好ましくは0.02〜10重量部である。
重合反応は、無溶媒中で行ってもよく、溶液中で行ってもよい。溶液中で重合する場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であり、重合に用いるモノ環状オレフィンや重合触媒などを溶解させ得る溶媒であれば特に限定されないが、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒またはハロゲン系溶媒を用いることが好ましい。炭化水素系溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などが挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエチレン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのアルキルハロゲン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン;などが挙げられる。
重合温度は、特に限定されないが、通常−50〜100℃の範囲で設定される。また、重合反応時間は、好ましくは1分間〜72時間、より好ましくは5時間〜20時間である。重合転化率が所定の値に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えることにより、重合反応を停止させることができる。
また、本発明で用いるモノ環状オレフィン開環重合体を、重合体鎖末端に変性基を有するものとする場合には、変性基を有するオレフィン化合物の存在下で開環重合を行うことが好ましい。なお、変性基を有するオレフィン化合物は、重合体鎖末端に変性基を導入する作用に加えて、分子量調整剤としても作用するため、変性基を有するオレフィン化合物を使用する場合には、上述した分子量調整剤は使用しないことが望ましい。
変性基を有するオレフィン化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合および変性基を少なくとも1つずつ含有する化合物であれば、特に限定されない。変性基としては、たとえば、アミノ基、水酸基、ヒドロキシカルボニル基、カルボン酸無水物基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキシシリル基およびハロゲン原子が挙げられる。
アミノ基を有するオレフィン化合物としては、アリルアミン、N−アリルアニリン、N−アリルベンジルアミン、4−アミノスチレン、2−ブテン−1,4−ジアミン、3−ヘキセン−2,5−ジアミンなどが挙げられる。
水酸基を有するオレフィン化合物としては、たとえば、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、4−ヘプテン−1−オール、5−デセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−オクテン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、4−ヒドロキシスチレン、2−アリルフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸アリル、1−シクロヘキシル−2−ブテン−1−オール、エチレングリコールモノアリルエーテル、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオールなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボニル基を有するオレフィン化合物としては、たとえば、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、トランス−3−ペンテン酸、ビニル安息香酸、トランス−3−ヘキセン二酸などが挙げられる。
カルボン酸無水物基を有するオレフィン化合物としては、アリルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物などが挙げられる。
メタクリロイルオキシ基を有するオレフィン化合物としては、シス−1,4−ジメタクリロイルオキシ−2−ブテン、アリルメタクリレート、5−ヘキセニルメタクリレートなどが挙げられる。
エポキシ基を有するオレフィン化合物としては、1,3−ブタジエンモノエポキシド、アリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2,9,10−ジエポキシ−5−デセンなどが挙げられる。
オキシシリル基を有するオレフィン化合物としては、ビニル(トリメトキシ)シラン、ビニル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリメトキシ)シラン、アリル(メトキシ)(ジメチル)シラン、アリル(トリエトキシ)シラン、アリル(エトキシ)(ジメチル)シラン、スチリル(トリメトキシ)シラン、スチリル(トリエトキシ)シラン、2−スチリルエチル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリエトキシシリルメチル)エーテル、アリル(トリエトキシシリルメチル)(エチル)アミンなどのアルコキシシラン化合物;ビニル(トリフェノキシ)シラン、アリル(トリフェノキシ)シラン、アリル(フェノキシ)(ジメチル)シランなどのアリーロキシシラン化合物;ビニル(トリアセトキシ)シラン、アリル(トリアセトキシ)シラン、アリル(ジアセトキシ)メチルシラン、アリル(アセトキシ)(ジメチル)シランなどのアシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどのアルキルシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリフェニルシロキシ)シランなどのアリールシロキシシラン化合物;1−アリルヘプタメチルトリシロキサン、1−アリルノナメチルテトラシロキサン、1−アリルノナメチルシクロペンタシロキサン、1−アリルウンデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのポリシロキサン化合物;1,4−ビス(トリメトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメトキシ)−2−ブテンなどのアルコキシシラン化合物;1,4−ビス(トリフェノキシシリル)−2−ブテンなどのアリーロキシシラン化合物;1,4−ビス(トリアセトキシシリル)−2−ブテンなどのアシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]−2−ブテンなどのアルキルシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリフェニルシロキシ)シリル]−2−ブテンなどのアリールシロキシシラン化合物;1,4−ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)−2−ブテン、1,4−ビス(ウンデカメチルシクロヘキサシロキシ)−2−ブテンなどのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。
ハロゲン原子を有するオレフィン化合物としては、塩化アリル、クロチルクロリド、1,4−ジクロロ−2−ブテン、臭化アリル、ヨウ化アリル、クロチルクロリド、1,4−ジクロロ−2−ブテン、1,4−ジブロモ−2−ブテンなどが挙げられる。
なお、これら変性基を有するオレフィン化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
変性基を有するオレフィン化合物の使用量は、特に限定されず、モノ環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端に導入する変性基の導入割合や、目的とする重量平均分子量(Mw)に応じて設定すればよいが、重合に用いるモノ環状オレフィン100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.015〜15重量部、さらに好ましくは0.02〜10重量部である。なお、変性基を有するオレフィン化合物は、モノ環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端に変性基を導入する作用の他、分子量調整剤としても作用するものであることから、モノ環状オレフィン開環重合体の重量平均分子量(Mw)を上記範囲に制御するという観点からも、変性基を有するオレフィン化合物の使用量は上記範囲とすることが好ましい。
以上のようにして、モノ環状オレフィン開環重合体を含む重合体溶液を得ることができる。重合体溶液から重合体を回収する方法は、公知の回収方法を採用すればよいが、たとえば、一般的なゴム回収方法である、スチームストリッピングで溶媒を分離した後、固体をろ別し、さらにそれを乾燥してモノ環状オレフィン開環重合体を得ることができる。または、重合体溶液を過剰の重合体の貧溶媒と混合することで、重合体を沈殿させ、沈殿した重合体を回収し、さらにそれを乾燥することで、モノ環状オレフィン開環重合体を得ることができる。あるいは、重合体溶液を直接乾燥して、未反応のモノ環状オレフィンや溶媒を蒸発除去して、モノ環状オレフィン開環重合体を得ることができる。
あるいは、モノ環状オレフィン開環重合体を合成する際には、開環重合触媒として、上述したルテニウムカルベン錯体を用いる方法に代えて、分子量調整剤の存在下、開環重合触媒としてモリブデン化合物やタングステン化合物を用いて、モノ環状オレフィンを開環重合する方法を用いてもよい。
開環重合触媒として用いられ得るモリブデン化合物の具体例としては、モリブデンペンタクロリド、モリブデンオキソテトラクロリド、モリブデン(フェニルイミド)テトラクロリドなどが挙げられる。また、タングステン化合物の具体例としては、タングステンヘキサクロリド、タングステンオキソテトラクロリド、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド、モノカテコラートタングステンテトラクロリド、ビス(3,5−ジターシャリブチル)カテコラートタングステンジクロリド、ビス(2−クロロエテレート)テトラクロリド、タングステンオキソテトラフェノレートなどが挙げられる。
分子量調整剤としては、上述したルテニウムカルベン錯体を用いる方法と同様のものを同様の使用量にて用いることができる。
また、モリブデン化合物やタングステン化合物を開環重合触媒として用いる場合には、助触媒として、有機金属化合物を組み合わせて使用してもよい。この助触媒として用いられ得る有機金属化合物としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期表第1、2、12、13または14族金属原子の有機金属化合物が挙げられる。なかでも、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物が好ましく用いられ、有機リチウム化合物、有機スズ化合物、有機アルミニウム化合物がより好ましく用いられ、有機アルミニウム化合物が特に好ましく用いられる。有機金属化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、(モリブデン化合物やタングステン化合物:有機金属化合物)のモル比として、1:0.1〜10が好ましく、1:0.5〜5がより好ましい。
モリブデン化合物やタングステン化合物を開環重合触媒として用いる場合の重合反応条件などは、上述したルテニウムカルベン錯体を用いる方法における条件の範囲で適宜設定すればよい。
また、モリブデン化合物やタングステン化合物を開環重合触媒として用いる方法において、モノ環状オレフィン開環重合体を、重合体鎖末端に変性基を有するものとする場合には、上述のルテニウムカルベン錯体を用いる場合と同様に、変性基を有するオレフィン化合物の存在下で開環重合を行うことが好ましい。ただし、モリブデン化合物やタングステン化合物は、一般的に、変性基を有するオレフィン化合物に対する耐性が低いため、変性基を有するオレフィン化合物に代えて、保護基によって保護された変性基を有するオレフィン化合物を用いることが好ましい。
たとえば、変性基を有するオレフィン化合物が、アミノ基、水酸基、ヒドロキシカルボニル基を有するオレフィン化合物である場合には、アルキル基、アシル基、RC(O)−基(ただしRは炭素数1〜10の飽和炭化水素基)、シリル基、金属アルコキシドなどの保護基により保護したものを用いることができる。あるいは、アミノ基、水酸基、またはヒドロキシカルボニル基を有するオレフィン化合物とトリアルキルアルミニウム化合物とを反応させることにより得られたものを用いてもよい。なお、この場合における、保護基によって保護された変性基を有するオレフィン化合物の使用量は、上述のルテニウムカルベン錯体を用いる場合における、変性基を有するオレフィン化合物の使用量と同様とすればよい。
以上のようにして、モノ環状オレフィン開環重合体を含む重合体溶液を得ることができる。重合体溶液から重合体を回収する方法は、上述のルテニウムカルベン錯体を用いる場合で述べた公知の回収方法を採用すればよい。
そして、本発明の第1の観点に係るガスバリア材は、このようなモノ環状オレフィン開環重合体を用いてなるものであり、このようなモノ環状オレフィン開環重合体の作用により、ゴム特性に優れ、かつ、酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるものである。
本発明の第1の観点に係るガスバリア材は、モノ環状オレフィン開環重合体のみから構成されるものであってもよいし、あるいは、老化防止剤や伸展油、さらには充填剤などの各種配合剤を含有するものであってもよい。具体的には、本発明の第1の観点に係るガスバリア材としては、モノ環状オレフィン開環重合体を60重量%以上含有する成形体であることが好ましい。
<第2の観点に係るガスバリア材>
また、本発明の第2の観点に係るガスバリア材は、上述したモノ環状オレフィン開環重合体に、架橋剤を配合してなるゴム組成物を架橋することにより得られるゴム架橋物を用いてなるものである。本発明の第2の観点に係るガスバリア材は、このようなゴム架橋物を用いてなるものであればよく、このようなゴム架橋物のみからなるものであってもよいし、あるいは、その他樹脂などと組合わせて使用するものであってもよい。本発明の第2の観点に係るガスバリア材においても、上記本発明の第1の観点に係るガスバリア材の場合と同様に、モノ環状オレフィン開環重合体の作用により、ゴム特性に優れ、かつ、酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるものである。
架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、アクリル酸亜鉛類、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、硫黄や有機過酸化物が好ましく使用される。また、モノ環状オレフィン開環重合体が重合体鎖末端に変性基を有するものである場合には、このような変性基に応じた架橋剤を用いてもよく、たとえば、変性基として水酸基を有するものである場合には、イソシアネート化合物を好適に用いることができる。架橋剤の配合量は、モノ環状オレフィン開環重合体100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは0.7〜18重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明で用いるゴム組成物には、架橋剤以外に、常法に従って、充填剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、活性剤、プロセス油、可塑剤、ワックスなどの配合剤をそれぞれ必要量配合してもよい。
充填剤としては、たとえば、たとえば、アルミニウム粉末等の金属粉;カーボンブラック、ハードクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粉末;デンプンやポリスチレン粉末等の有機粉末等の粉体;ガラス繊維(ミルドファイバー)、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の短繊維;シリカ、マイカ;等が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックやシリカが好適に用いられ、カーボンブラックが特に好適に用いられる。ゴム組成物中における、充填剤の含有量は、モノ環状オレフィン開環重合体100重量部に対し、20〜200重量部であり、好ましくは25〜150重量部、より好ましくは30〜100重量部である。
架橋促進剤としては、たとえば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系架橋促進剤;1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジン、1−オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが特に好ましい。また、架橋剤としてイソシアネート化合物を使用する場合には、架橋促進剤として、たとえば、有機スズ化合物(ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレートなど)、ビスマス化合物などの金属触媒、有機アミンなどの塩基触媒、DMC触媒などのウレタン反応に用いられる架橋促進剤(ウレタン反応触媒)を好適に用いることができる。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、モノ環状オレフィン開環重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜15重量部、より好ましくは0.02〜5重量部、特に好ましくは0.04〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などが挙げられる。架橋活性化剤の配合量は、特に限定されないが、架橋活性化剤として高級脂肪酸を用いる場合の配合量は、モノ環状オレフィン開環重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部であり、架橋活性化剤として酸化亜鉛を用いる場合の配合量は、モノ環状オレフィン開環重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
プロセス油としては、鉱物油や合成油を用いてよい。鉱物油は、アロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイルなどが通常用いられる。
また、本発明で用いるゴム組成物は、モノ環状オレフィン開環重合体以外のゴムを含有していてもよく、モノ環状オレフィン開環重合体以外のゴムとしては、たとえば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、溶液重合SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)、乳化重合SBR(乳化重合スチレンブタジエンゴム)、低シスBR(ポリブタジエンゴム)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン部のトランス結合含有量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレン−SBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。ただし、優れたガスバリア性を実現するという観点より、モノ環状オレフィン開環重合体以外のゴムの含有量は、モノ環状オレフィン開環重合体100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、40重量部以下とすることがより好ましい。
本発明で用いるゴム組成物を得る方法としては、特に限定されず、常法に従って各成分を混練すればよく、一例を挙げると、架橋剤および熱に対して不安定な成分を除いた配合剤と、モノ環状オレフィン開環重合体とを混練後、その混練物に架橋剤および熱に対して不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。架橋剤および熱に対して不安定な成分を除いた配合剤と、モノ環状オレフィン開環重合体との混練温度は、好ましくは70〜200℃、より好ましくは100〜180℃である。また、混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と架橋剤および熱に対して不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却後に行われる。
このようなゴム組成物を架橋することによりゴム架橋物を得る際における、架橋方法は、特に限定されず、ゴム架橋物の形状、大きさなどに応じて選択すればよい。金型中に、ゴム組成物を充填して加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、予め成形しておいたゴム組成物を加熱して架橋してもよい。架橋温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは140〜180℃であり、架橋時間は、通常、1〜120分程度である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
そして、本発明の第2の観点に係るガスバリア材は、このようなゴム組成物を架橋することにより得られるゴム架橋物を用いてなるものであり、好ましくは、実質的に、このようなゴム架橋物のみからなるものである。
本発明の第1の観点に係るガスバリア材および第2の観点に係るガスバリア材は、上述したモノ環状オレフィン開環重合体を用いてなるものであることから、モノ環状オレフィン開環重合体の作用により、ゴム特性に優れ、かつ、酸素や水蒸気などのガスの透過を有効に抑制できるものである。そのため、本発明の第1の観点に係るガスバリア材および第2の観点に係るガスバリア材は、このような特性を活かし、医薬品用のゴム栓や輸液用のゴム栓などの医薬用のゴム栓、シリンジのキャップやガスケットなどのシリンジ用のゴム部品、医薬品用のチューブや輸液用のチューブなどの医薬用のチューブなどの各種医薬用ゴム部材;食品用の包装材などの食品用のゴム部材;パッキン、O−リング、ホース、チューブ、シール材などのガス容器用の各種ゴム部材;電線やコネクタなどの電気絶縁用被覆材;自動車用のシール材や、アキュームレータのブラダなどの自動車用のゴム部材;電子機器用のシール材や、アキュームレータのブラダなどの電子機器用のゴム部材;アキュームレータのブラダ;タイヤ用チューブやインナーライナーなどのタイヤ用ゴム部材;建築・土木分野や、自動車・電子機器分野、航空・宇宙分野で用いられる接着剤、シール材、コーティング剤、および塗料などの各種ゴム材料;などの、酸素や水蒸気などのガスの遮断が求められる用途に好適に用いることができるものである。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、各種の試験および評価は、下記の方法にしたがって行った。
〔モノ環状オレフィン開環重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)〕
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム HLC−8220(東ソー社製)により、HタイプカラムHZ−M(東ソー社製)二本を直列に連結して用い、テトラヒドロフランを溶媒として、カラム温度40℃にて、モノ環状オレフィン開環重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定を行った。検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。モノ環状オレフィン開環重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算値として測定した。
〔モノ環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)〕
示差走査型熱量計(DSC,製品名「X−DSC7000」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、−150℃〜40℃までを10℃/分の昇温で測定した。
〔モノ環状オレフィン開環重合体中の単量体単位組成比〕
モノ環状オレフィン開環重合体中の単量体単位組成比を、H−NMRスペクトル測定から求めた。
〔モノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率〕
モノ環状オレフィン開環重合体を重クロロホルムに溶解させ、モノ環状オレフィン開環重合体を溶解させた重クロロホルム溶液に対し、13C−NMRスペクトル測定により決定した。
〔モノ環状オレフィン開環重合体の重合体鎖末端の変性基の導入率〕
モノ環状オレフィン開環重合体を重クロロホルムに溶解させ、モノ環状オレフィン開環重合体を溶解させた重クロロホルム溶液に対し、H−NMRスペクトル測定により、変性基特有のピーク積分値およびオレフィン由来のピーク積分値の比率の測定を行なった。そして、測定したピーク積分値の比率、および上記したGPCによる数平均分子量(Mn)の測定結果に基づいて、重合体鎖末端の変性基導入率を算出した。重合体鎖末端の変性基導入率は、モノ環状オレフィン開環重合体鎖数に対する変性基の個数の割合とした。すなわち、変性基導入率=100%は、1分子のモノ環状オレフィン開環重合体鎖に対し、1個の割合で変性基が導入されている状態を示し、変性基導入率=200%は、1分子のモノ環状オレフィン開環重合体鎖の両末端に変性基が導入されている状態を示す。
〔酸素ガス透過度試験〕
厚さ1mmのシート状の成形体またはゴム架橋物に対し、試験ガスとして酸素ガスを用い、JIS K7126に準拠した差圧法により、差圧式ガス・水蒸気透過率測定装置(差圧式ガス透過装置:GTRテック社製、「GTR−30XAD2」、検出器:ヤナコテクニカルサイエンス社製、「G2700T・F」)により、温度25±2℃、乾燥状態、試験差圧:1atm、透過面の形状:直径4.4cmの円の条件で測定を行うことにより、酸素ガスの透過度(単位は、cm/m・24h・atm)を求めた。
〔水蒸気透過度試験〕
厚さ1mmのシート状の成形体またはゴム架橋物に対し、試験ガスとして水蒸気を用い、JIS K7129の方法により、差圧式ガス・水蒸気透過率測定装置(差圧式ガス透過装置:GTRテック社製、「GTR−30XAD2」、検出器:ヤナコテクニカルサイエンス社製、「G2700T・F」)により、温度25±2℃、湿度90±5%、加湿下雰囲気、試験差圧:1atm、透過面の形状:直径4.4cmの円の条件で測定を行うことにより、水蒸気の透過度(単位は、cm/m・24h・atm)を求めた。
〔合成例1〕
モノ環状オレフィン開環重合体Aの合成
窒素雰囲気下、磁気攪拌子を入れた耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン1000部、1−ヘキセン0.42部、およびトルエン990部を加えた。次いで、トルエン10部に溶解させたジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)0.068部を加え、室温で3時間重合反応を行った。3時間の重合反応後、過剰のビニルエチルエーテルを加えて重合を停止した後、多量のメタノールで凝固させることにより重合体を回収し、次いで、50℃で24時間真空乾燥することにより、主鎖を構成する繰返し単位として、シクロペンテン単位のみを有する、モノ環状オレフィン開環重合体A 650部を得た。得られたモノ環状オレフィン開環重合体Aは、Mw=434,000、Tg=−95℃、Tm=13℃、トランス比率=82%であった。
〔合成例2〕
モノ環状オレフィン開環重合体Bの合成
窒素雰囲気下、磁気攪拌子の入れた耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン1000部、1−ヘキセン0.72部、およびトルエン860部を加えた。次いで、2.5重量%のトリイソブチルアルミニウム/トルエン溶液43部を加えた後、1.0重量%のWCl/トルエン溶液87部を加えて、室温で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、過剰のメタノールを加えて重合を停止した後、多量のメタノールで凝固させることにより重合体を回収し、50℃で24時間真空乾燥することにより、主鎖を構成する繰返し単位として、シクロペンテン単位のみを有する、モノ環状オレフィン開環重合体B 350部を得た。得られたモノ環状オレフィン開環重合体Bは、Mw=462,000、Tg=−95℃、Tm=0℃、トランス比率=75%であった。
〔合成例3〕
両末端に水酸基を有するモノ環状オレフィン開環重合体Cの合成
窒素雰囲気下、磁気攪拌子を入れた耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン1000部、シス−2−ブテン−1,4−ジオール28.2部、およびテトラヒドロフラン657部を加えた。次いで、テトラヒドロフラン10部に溶解させたジクロロ−(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)0.068部を加え、室温で3時間重合反応を行った。3時間の重合反応後、過剰のビニルエチルエーテルを加えて重合を停止した後、多量のメタノールを加えて、重合体を沈殿させた。次いで、上澄み液を除去することで沈殿物を回収した後、回収した沈殿物について、エバポレーターにより残った溶剤を除いた後、50℃で24時間真空乾燥することにより、主鎖を構成する繰返し単位として、シクロペンテン単位のみを有し、かつ、重合体鎖の両末端に水酸基を有する、液状のモノ環状オレフィン開環重合体C 700部を得た。得られた両末端に水酸基を有するモノ環状オレフィン開環重合体Cは、Mw=13,500、Tg=−92℃、Tm=23℃、トランス比率=83%であり、重合体鎖末端の変性基導入率(重合体鎖末端の水酸基導入率)は200%であった。
〔合成例4〕
モノ環状オレフィン開環重合体Dの合成
シクロペンテンの使用量を1000部から500部に変更するとともに、1,5−シクロオクタジエン500部をさらに使用した以外は、合成例1と同様にして重合を行い、主鎖を構成する繰返し単位として、シクロペンテン単位および1,5−シクロオクタジエン単位のみを有する、モノ環状オレフィン開環重合体D 550部を得た。得られたモノ環状オレフィン開環重合体Dは、Mw=182,000、Tg=−98℃、Tm=−9℃、トランス比率=70%、モノ環状オレフィン開環重合体中のシクロペンテン単位の含有割合は61モル%、1,5−シクロオクタジエン単位の含有割合は39モル%であった。
〔合成例5〕
モノ環状オレフィン開環重合体Eの合成
シクロペンテン1000部に代えて、1,5−シクロオクタジエン1000部を使用した以外は、合成例1と同様にして重合を行い、主鎖を構成する繰返し単位として、1,5−シクロオクタジエン単位のみを有する、モノ環状オレフィン開環重合体E 451部を得た。得られたモノ環状オレフィン開環重合体Eは、Mw=104,000、Tg=−104℃、Tm=観測されず、トランス比率=65%であった。
〔実施例1〕
合成例1で得られたモノ環状オレフィン開環重合体Aを、120℃で10分間熱プレスした後、80℃で12時間放置することで表面を平坦なものとすることで、厚さ1mmのシート状の成形体を作製した。そして、得られたシート状の成形体を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
モノ環状オレフィン開環重合体Aに代えて、合成例2で得られたモノ環状オレフィン開環重合体Bを使用した以外は、実施例1と同様にして、厚さ1mmのシート状の成形体を作製した。そして、得られたシート状の成形体を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
合成例3で得られた、両末端に水酸基を有するモノ環状オレフィン開環重合体C 100部に対し、ポリメリックMDI(商品名「ルプラネートM20S」、BASF INOACポリウレタン社製)12部、および、ジブチルスズジラウレート0.05部を混合した後、フッ素樹脂で作製した型(深さ1mmの窪みを有する型)に流し込んだ。次いで、120℃で1時間熱プレスした後、80℃で12時間放置することで架橋反応させ、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
バンバリー型ミキサー中に、合成例1で得られたモノ環状オレフィン開環重合体A(老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を重合体100部に対して0.2部添加したものを使用)100部を入れ、30秒素練りし、次いで、ステアリン酸2部、酸化亜鉛3部、カーボンブラック(商品名「IRB#8」、CONTINENTAL CARBON社製)60部、および、プロセスオイル(商品名「アロマックスT−DAE」、JX日鉱日石エネルギー社製)15部を添加して、70℃にて、180秒混練した後、ラムの上部に残った配合剤をクリーニングした後、さらに150秒混練し、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、得られた混練物を、室温まで冷却した後、23℃のオープンロールにて、冷却させた混練物と、硫黄1.5部、および、架橋促進剤としてのN−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーNS−P」)0.9部とを混練することで、シート状のゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を160℃で20分間プレス架橋することで、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
モノ環状オレフィン開環重合体A 100部に代えて、合成例2で得られたモノ環状オレフィン開環重合体B(老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を重合体100部に対して0.1部添加したものを使用)100部を使用した以外は、実施例4と同様にして、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
合成例4で得られたモノ環状オレフィン開環重合体D 100部に、過酸化物架橋剤としてのジクミルパーオキサイド(商品名「パークミル(登録商標)D」、日油社製)2.7部を混合した後、フッ素樹脂で作製した型(深さ1mmの窪みを有する型)に流し込んだ。次いで、160℃で30分加熱した後、100℃で4時間放置することで架橋反応させ、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
モノ環状オレフィン開環重合体D 100部に代えて、合成例5で得られたモノ環状オレフィン開環重合体E 100部を使用した以外は、実施例6と同様にして、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
モノ環状オレフィン開環重合体Aに代えて、ポリブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製、重量平均分子量(Mw)=468,000)を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚さ1mmのシート状の成形体を作製した。そして、得られたシート状の成形体を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
モノ環状オレフィン開環重合体Aに代えて、ブチルゴム(商品名「Butyl268」、日本ブチル社製、重量平均分子量(Mw)=408,000)を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚さ1mmのシート状の成形体を作製した。そして、得られたシート状の成形体を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
重合体鎖の両末端に水酸基を有する、モノ環状オレフィン開環重合体C 100部に代えて、両末端に水酸基を有する液状ポリブタジエン(商品名「Krasol LBH−P3000」、クレイバレー社、重量平均分子量(Mw)=4,300)100部を使用した以外は、実施例3と同様にして、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
モノ環状オレフィン開環重合体A 100部に代えて、ポリブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製)100部を使用した以外は、実施例4と同様にして、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
モノ環状オレフィン開環重合体A 100部に代えて、ブチルゴム(商品名「Butyl268」、日本ブチル社製)100部を使用した以外は、実施例4と同様にして、厚さ1mmのシート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物を用いて、上記方法にしたがって、酸素ガス透過度試験および水蒸気透過度試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018070783
表1に示すように、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体からなる成形体(実施例1,2)、および、モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体と、架橋剤とを含むゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物(実施例3〜7)は、いずれも、ポリブタジエンゴムおよびブチルゴムの成形体(比較例1,2)、ならびに、液状ポリブタジエン、ポリブタジエンゴムおよびブチルゴムの架橋物(比較例3〜5)と比較して、酸素ガスの透過度および水蒸気の透過度が低く、ガスバリア性に優れたものであることが確認できる。

Claims (8)

  1. モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体を用いてなるガスバリア材。
  2. モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体と、架橋剤とを含むゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物を用いてなるガスバリア材。
  3. 前記モノ環状オレフィン開環重合体が、前記モノ環状オレフィン由来の構造単位として、シクロペンテン単位および1,5−シクロオクタジエン単位からなる群より選択される少なくとも1つの単量体単位を含む請求項1または2に記載のガスバリア材。
  4. 前記モノ環状オレフィン開環重合体のガラス転移温度(Tg)が−80℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア材。
  5. 前記モノ環状オレフィン開環重合体の融点(Tm)が25℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア材。
  6. 前記モノ環状オレフィン開環重合体を形成するモノ環状オレフィン由来の構造単位中の二重結合のトランス比率が60〜90%である請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア材。
  7. モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体のガスバリア材としての使用。
  8. モノ環状オレフィン由来の構造単位のみから形成されるモノ環状オレフィン開環重合体と、架橋剤とを含むゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物のガスバリア材としての使用。
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