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JP2018065905A - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法 - Google Patents

ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法 Download PDF

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JP2018065905A
JP2018065905A JP2016204410A JP2016204410A JP2018065905A JP 2018065905 A JP2018065905 A JP 2018065905A JP 2016204410 A JP2016204410 A JP 2016204410A JP 2016204410 A JP2016204410 A JP 2016204410A JP 2018065905 A JP2018065905 A JP 2018065905A
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absorbent resin
salt
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JP2016204410A
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弘康 渡部
Hiroyasu Watabe
弘康 渡部
藤野 眞一
Shinichi Fujino
眞一 藤野
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】物性に優れた吸水性樹脂を高い生産性を確保しながら効率的に得ることができる吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥する乾燥工程とを含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記アクリル酸(塩)系単量体水溶液中の単量体濃度が37質量%以上44質量%以下であり、上記含水ゲル状架橋重合体の厚みが10mm以上20mm未満である、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法に関するものである。更に詳しくは、物性に優れた吸水剤を効率的に製造することができる、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法に関する。
吸水性樹脂は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツや生理用ナプキン等の吸収性物品、農園芸用の保水剤、工業用の止水剤等、主に使い捨て用途で多く利用されている。
上記吸水性樹脂は、その原料として多くの単量体や親水性高分子が用いられている。中でも、単量体としてアクリル酸及び/又はその塩を用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、その吸水性能が高く、工業的に最も多く用いられている。
近年、紙オムツや生理用ナプキン等の吸収性物品の用途において、吸収性物品(製品)の薄型化を目的として、吸水性樹脂の使用量を増加させ、パルプ繊維の使用量を減少させる傾向にある。そのため、従来パルプ繊維が担ってきた吸収体内での液の拡散性といった機能を、吸水性樹脂に付与する必要が生じている。一方、上述した薄型化は、吸収性物品1枚当たりの吸水性樹脂の使用量が増加するため、安価な吸水性樹脂の供給が要望されている。
そこで、吸水性樹脂の物性向上を目的として、吸水性樹脂の製造工程での変更がこれまでに行われている。例えば、下記特許文献1では、特定範囲の厚みを有する親水性単量体を含む水溶液を静置重合する際に、重合系の最高到達温度を特定の範囲に制御する冷却方法が開示され、下記特許文献2では、重合して吸水性樹脂となる単量体成分を静置水溶液重合する際に、得られた含水ゲル状重合体を、ピーク温度より低い温度で長時間保持する方法が開示されている。
特開平11−228604号公報 特開2000−34307号公報
しかしながら、上述した従来の静置重合技術において、吸水性樹脂の物性を向上させるために、重合時の発熱を抑えるという方策が採られていたが、そのために単量体濃度を低下させてしまうと以下のような問題点が生じていた。具体的には、単量体濃度を低くすると含水率の高い含水ゲル状架橋重合体が生成するが、これを乾燥するにはより多くの水分を蒸発させる必要があり、新たな設備投資が必要となったり用役費が増加したりして、コストアップしていた。更に、重合時間や乾燥時間が遅延してしまい、そのため生産性が低下することになり、このこともコストアップの要因となっていた。つまり、従来の静置重合技術では、単量体濃度を高くすることでの工業的な価値は高まるものの吸水性樹脂の性能低下を抑制させる方法について、いまだ提案されていない。
そこで本発明では、上記問題点を改善するために原料の変更や高額の設備投資を必要とせずに、簡便な手法で、従来品と比べて物性的に遜色のない吸水性樹脂を高い生産性で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、単量体濃度と含水ゲル状架橋重合体の厚みを特定の範囲に制御することによって、生産性を低下させることなく、高物性の吸水性樹脂を製造できる手法を見出した。
すなわち、本発明は、アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥する乾燥工程とを含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、上記アクリル酸(塩)系単量体水溶液中の単量体濃度が37質量%〜44質量%であり、上記得られた含水ゲル状架橋重合体の厚みが10mm〜20mmである、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法を提供する。
本発明によれば、原料の変更や高額の設備投資を必要とせずに、高生産性でかつ高物性の吸水性樹脂を得ることができる。
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1〕用語の定義
〔1−1〕「吸水性樹脂」「吸水性樹脂粉末」「吸水剤」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、「水膨潤性」として、ERT441.2−02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2−02で規定されるExtが50質量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜、設計が可能であり、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量(100質量%)が重合体である形態に限定されず、上記物性(CRC、Ext)を満足する範囲内で、添加剤等を含んだ吸水性樹脂組成物であってもよい。
更に、本発明における「吸水性樹脂」は、最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体(以下「含水ゲル」という)や乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、上記吸水性樹脂組成物を含めたこれら全てを、「吸水性樹脂」と総称する。
なお、「吸水性樹脂粉末」は、上述したように表面架橋が施される前の吸水性樹脂であって、様々な機能が付与される前の吸水性樹脂のことを指す。そのため、「ベースポリマー」を称されることもある。また、上記「最終製品」とは、製品として出荷される吸水性樹脂のことであり、本発明では「吸水剤」と称することもある。
上記吸水性樹脂の形状として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられ、上記の吸水性樹脂の各名称と組み合わせて表記することもある。例えば、粒子状の含水ゲルの場合、「粒子状含水ゲル」と表記する。
〔1−2〕「ポリアクリル酸(塩)」
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として、アクリル酸及び/又はその塩(以下「アクリル酸(塩)」という)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。
なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50モル%〜100モル%、好ましくは70モル%〜100モル%、より好ましくは90モル%〜100モル%、更に好ましくは実質100モル%であることをいう。
〔1−3〕「EDANA」「ERT」
「EDANA」は、European Disposables and Nonwovens Associationsの略称であり、「ERT」は、EDANA Recommended Test Methodsの略称であり、吸水性樹脂の物性測定法の欧州標準(ほぼ世界標準)である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
〔1−3−1〕「CRC」
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(以下「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れ、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に浸漬させ、30分間自由膨潤させた後、遠心分離機(250G)を用いて脱水した後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
〔1−3−2〕「Ext」
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;質量%)のことをいう。なお、溶解ポリマー量は、pH滴定で測定される。
〔1−3−3〕「Residual Monomers」
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体の量(以下「残存モノマー」と称する)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。なお、溶解残存モノマー量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定される。
〔1−4〕その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、質量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「質量ppm」又は「重量ppm」を意味する。更に、「質量」と「重量」、「質量部」と「重量部」、「質量%」と「重量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
〔2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造工程について説明する。
〔2−1〕単量体水溶液の調製工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の含有量(使用量)が、重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。
(アクリル酸)
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体としてアクリル酸及び/又はその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)が好ましく用いられる。
上記「アクリル酸」は、公知のアクリル酸でよく、重合禁止剤として好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp−メトキシフェノールを、アクリル酸の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10ppm〜160ppm、更に好ましくは20ppm〜100ppmを含んでいればよい。また、アクリル酸中の不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された化合物が本発明にも適用される。
また、上記「アクリル酸塩」は、上記アクリル酸を下記塩基性組成物で中和したものが該当するが、該アクリル酸塩としては、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内でアクリル酸を水酸化ナトリウムで中和して得られたものでもよい。
(中和)
本発明における中和として、アクリル酸に対する中和(重合前)又はアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下「後中和」と称する)の何れかを選択又は併用することができる。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号や米国特許出願公開第2008/0194863号に記載された条件が本発明にも適用される。
本発明における中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10モル%〜90モル%、より好ましくは40モル%〜85モル%、更に好ましくは50モル%〜80モル%、特に好ましくは60モル%〜75モル%である。上記中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下した吸水性樹脂となるおそれがあるため、好ましくない。一方、上記中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないおそれがあるため、好ましくない。
上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水剤の中和率についても、上記中和率が適用される。なお、アクリル酸とアクリル酸塩との混合物をアクリル酸部分中和物と称する場合もある。
(他の単量体)
本発明において、「他の単量体」とは、上述したアクリル酸(塩)以外の単量体を指し、当該他の単量体は、アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
上記他の単量体として、水溶性又は疎水性の不飽和単量体が該当する。具体的には、米国特許出願公開第2005/0215734に記載された化合物(但し、アクリル酸は除く)が挙げられる。
(内部架橋剤)
本発明で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が挙げられる。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の内部架橋剤が選択される。
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有する内部架橋剤、更に好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する内部架橋剤が用いられる。
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1〜100、より好ましくは6〜50である。
上記内部架橋剤の使用量は、好ましくは0.001モル%〜1モル%、より好ましくは0.01モル%〜0.5モル%である。上記使用量を上記範囲内とすることで所望する吸水性樹脂が得られる。なお、上記使用量が少なすぎる場合、得られる吸水性樹脂のゲル強度が低下し水可溶分が増加する傾向にあるため、好ましくない。上記使用量が多すぎる場合、得られる吸水性樹脂の吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本発明では、所定量の内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく適用される。一方、上記手法以外に、重合中や重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法や、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(単量体濃度)
本発明におけるアクリル酸(塩)系単量体水溶液中の単量体濃度は、37質量%〜44質量%であり、好ましくは38質量%〜43質量%、より好ましくは40質量%〜42質量%である。上記単量体濃度を上記範囲内に制御することによって、重合時間や乾燥時間を短縮することができたり、重合反応の制御が容易になったりする等、吸水性樹脂の生産性と物性の双方の向上を図ることができる。
(乾燥水分量当たりのポリマー収量)
本発明における乾燥水分量当たりのポリマー収量は、下記式(1)で定義される値であり、吸水性樹脂の生産性を評価し得るパラメータである。
(乾燥水分量当たりのポリマー収量)=単量体水溶液中の単量体濃度/単量体水溶液中の水濃度×1000 ・・・ 式(1)
本発明での乾燥水分量当たりのポリマー収量は、好ましくは580〜800、より好ましくは600〜750、更に好ましくは630〜700である。上記乾燥水分量当たりのポリマー収量が580より小さくなると、含水率の高い含水ゲル状架橋重合体が得られるが、目的の含水率を有する吸水性樹脂を得るには、乾燥工程においてより多くの水分を蒸発させる必要があり、そのための新たな設備投資や用役費増加が発生することになる。更に重合時間や乾燥時間が遅延する傾向にあり、生産性が低下することになる。結果としてコストアップの要因となるおそれがある。一方、上記乾燥水分量当たりのポリマー収量が800より大きくなると、単量体水溶液中の水分量が少ないため、重合時の最高到達温度がより高温となる傾向にある。そのため、高物性の吸水性樹脂が得られないおそれがある。つまり、上記乾燥水分量当たりのポリマー収量を上記範囲内に制御することで、吸水性樹脂の生産性を低下させることなく、高物性の吸水性樹脂を得ることができる。
〔2−2〕重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られた単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
(重合開始剤)
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択される。例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
上記重合開始剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.001モル%〜1モル%、より好ましくは0.001モル%〜0.5モル%である。また、上記還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001モル%〜0.02モル%である。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤を併用してもよい。
(重合形態)
本発明に適用される重合形態としては、吸水特性や重合制御の容易性等の観点から、静置重合が挙げられる。中でも、連続静置重合が好ましい。なお、上記「静置重合」とは、重合が開始してから、重合系内の温度が重合熱によって最高到達温度に達するまでの間、実質的に攪拌することなく重合することをいい、重合期間中に生成する重合体の体積変化がほとんど起こらない重合形態のことをいう。なお、上記「体積変化」とは、重合装置に供給される単量体水溶液が重合して含水ゲル状架橋重合体となる際の体積変化のことをいい、本発明ではその体積変化の割合が好ましくは20%以内、より好ましくは15%以内、更に好ましくは10%以内である。上記「体積変化の割合」は下記式(2)から算出される。
(体積変化の割合)(%)={(単量体水溶液の液深)−(含水ゲル状架橋重合体の厚み)}/(単量体水溶液の液深)×100 ・・・ (2)
本発明の重合で使用される重合装置としては、重合系が接触する面を加熱及び/又は冷却することができ、重合系から溶媒が蒸発できる空間を有する装置であればよい。かような重合装置として、例えば、ベルトコンベアの下部片面から加熱及び/又は冷却が行えるベルトコンベア型重合装置;プレート面からの片面から加熱及び/又は冷却が行える熱交換プレート式重合装置;周囲の壁から加熱及び/又は冷却が行える遠心薄膜型重合装置等が挙げられる。中でも、装置のメンテナンス等の観点から、ベルトコンベア型重合装置を用いる連続ベルト重合が好ましい。
具体的な連続ベルト重合方法として、米国特許第4893999号、同第6241928号等に開示されている方法が本発明にも適用される。これらの連続静置重合を採用することで、吸水性樹脂の生産効率が向上する。
上記静置重合の好ましい形態として、重合開始温度は、好ましくは5℃〜40℃、より好ましくは10℃〜30℃、更に好ましくは15℃〜30℃である。上記「重合開始温度」とは、重合を開始する時の単量体水溶液の温度を示す。重合開始温度が高いと単量体水溶液の最高到達温度がより高くなり、得られる吸水性樹脂の物性低下を招くおそれがある。一方、重合開始温度が低いと重合が開始せずに失活するおそれがある。
また、重合時の最高到達温度は、好ましくは60℃〜95℃、より好ましくは70℃〜90℃、更に好ましくは75℃〜90℃である。上記「重合時の最高到達温度」とは、重合期間中における重合系内の最高温度をいい、ピーク温度ともいう。上記重合時の最高到達温度が60℃未満の場合、得られる吸水性樹脂の吸水倍率が低下したり、残存モノマーが増加したりするため、好ましくない。一方、上記重合時の最高到達温度が95℃を超える場合、得られる吸水性樹脂の水可溶分が増加するため、好ましくない。
また、本発明においては、空気雰囲気下で重合を行うこともできるが、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、例えば、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。なお、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素;1mg/l未満)しておくことが好ましい。
また、本発明では、単量体水溶液に気泡(特に上記不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。
また、本発明においては、重合中に固形分濃度を上昇させてもよい。このような固形分濃度の上昇の指標として固形分上昇度は下記式(3)により定義される。なお、固形分濃度の上昇度としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。上限としては5質量%以下が好ましい。
(固形分上昇度)=(重合後の含水ゲルの固形分濃度)−(単量体水溶液の固形分濃度) ・・・ 式(3)
ただし、式(3)中、「単量体水溶液の固形分濃度」とは下記式(4)で求められる値であり、式(4)中、「重合系内の成分」とは、単量体水溶液とグラフト成分、吸水性樹脂、その他固形物(例えば水不溶性微粒子等)のことを意味する。
(単量体水溶液の固形分)=((単量体成分+グラフト成分+吸水性樹脂+その他固形物)の質量)/(重合系内の成分の質量)×100 ・・・ 式(4)
(含水ゲル状架橋重合体の厚み)
上述した静置重合によって、含水ゲル状架橋重合体が得られる。本発明における含水ゲル状架橋重合体の厚みは、10mm〜20mmであり、好ましくは14mm〜18mm、より好ましくは15mm〜17mmである。上記含水ゲル状架橋重合体の厚みが10mm未満の場合、吸水性樹脂の生産性が低下し、ハンドリングが困難となるおそれがあるため、好ましくない。一方、上記含水ゲル状架橋重合体の厚みが20mmを超える場合、重合時の最高到達温度が高温となり、得られる吸水性樹脂の物性が低下するおそれがあるため、好ましくない。つまり、上記含水ゲル状架橋重合体の厚みを上記範囲内に制御することによって、吸水性樹脂の生産性と物性の双方の向上を図ることができる。
〔2−3〕ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体を、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル状架橋重合体(以下「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。
上記以外のゲル粉砕条件や形態については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
なお、本発明の製造方法は、上記含水ゲル状架橋重合体について、その厚みと含水量とを適切な範囲内に制御されるため、スクリュー押出し機等で効果的にゲル粉砕できる。一方、単量体濃度や含水ゲル状架橋重合体の厚みを本発明の範囲外としてしまうと、ゲル粉砕時の負荷が急激に増大したり、粒子径が例えば5mm以上の比較的粗い粒子状含水ゲルが増加し乾燥時間が長くなったりするため、好ましくない。
〔2−4〕乾燥工程
本工程は、上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化)から求められる値である。本発明において、上記乾燥重合体の樹脂固形分は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%〜99質量%、更に好ましくは90質量%〜98質量%、特に好ましくは92質量%〜97質量%である。
上記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
本工程における乾燥温度は、好ましくは160℃〜250℃、より好ましくは180℃〜210℃、更に好ましくは185℃〜200℃である。上記乾燥温度を上記範囲内に制御することで、高生産性を保ちながら、乾燥重合体の物性にバラつきが生じにくく、残存モノマーや樹脂固形分を所望する範囲とすることができる。更に、乾燥時間が短くなるため、得られる吸水性樹脂の色調悪化や吸水性能の低下を抑えることが可能となる。一方、上記乾燥温度を上記範囲外(未満)とすると、表面架橋前の吸水性樹脂粉末のCRC(遠心分離機保持容量)が低くなるため、表面架橋工程を経て得られる粒子状吸水剤の性能も低下するおそれがある。更に乾燥時間が長くなるため、吸水性樹脂の色調悪化や吸水性樹脂の生産性が低下するおそれがあるため、好ましくない。
上記以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総質量及び目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定すればよい。バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
上述した乾燥温度や乾燥時間を上記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂(吸水性樹脂粉末)のCRC(吸水倍率)やExt(水可溶分)を所望する範囲(下記〔3〕を参照)とすることができる。
〔2−5〕粉砕工程、分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
本発明の粉砕工程で使用される機器としては、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。
また、本発明の分級工程での粒度調整方法としては、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。なお、吸水性樹脂の粒度調整は、上記粉砕工程、分級工程に限定されず、重合工程、ゲル粉砕工程、その他、造粒工程や微粉回収工程等で適宜実施できる。
なお、本工程で調整される粒度は、表面架橋後の吸水性樹脂や最終製品としての吸水性樹脂(以下「吸水剤」と称する)についても適用される。そのため、吸水剤において、下記〔3−6〕に記載した範囲の粒度を維持するように、表面架橋処理(表面架橋工程)されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
〔3〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の物性
以下、本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末(ベースポリマー)の物性について説明する。本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末(ベースポリマー)が下記〔3−1〕〜〔3−6〕に記載した各物性を全て満たすことで、紙オムツや生理用ナプキン等の吸収性物品に使用される最終製品としての吸水剤の物性を満たすことになる。なお、吸水剤の物性については、〔5〕項で説明する。
〔3−1〕CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂粉末は、CRC(遠心分離機保持容量)が好ましくは5g/g以上、より好ましくは15g/g以上、更に好ましくは25g/g以上である。上限としては高いほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下、より好ましくは50g/g以下、更に好ましくは40g/g以下である。
上記CRCが5g/g未満の場合、吸収量に劣る吸水性樹脂粉末となるため、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。一方、上記CRCが70g/gを超える場合、尿や血液等の体液等を吸収する速度が低下するため、高吸水速度タイプの紙オムツ等への使用に適さない。なお、CRCは、内部架橋剤や表面架橋剤等で制御することができる。
〔3−2〕Ext(水可溶分)
本発明の吸水性樹脂粉末は、Ext(水可溶分)は好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。下限値は低いほどよく、好ましくは0質量%、より好ましくは0.1質量%程度である。
上記Extが50質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、液透過性に劣った吸水性樹脂粉末となるおそれがある。更に、リウェットが多くなるため、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。なお、Extは、内部架橋剤等で制御することができる。
〔3−3〕Mw(水可溶分の質量平均分子量)
本発明の吸水性樹脂粉末は、Mw(水可溶分の質量平均分子量)が好ましくは200000以上、より好ましくは300000以上、更に好ましくは400000以上である。上限については、高いほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは1000000以下、より好ましくは800000以下、更に好ましくは600000以下である。なお、Mwは重合条件により制御することができる。
〔3−4〕Ext/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)
本発明の吸水性樹脂粉末は、Ext/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)が好ましくは10000〜1000000、より好ましくは20000〜100000、更に好ましくは30000〜80000である。なお、Ext/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)は、〔3−2〕及び〔3−3〕から算出される値である。
上記Ext/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)が10000より小さい場合、高物性の吸水性樹脂粉末を得ることができないおそれがある。一方、上記Ext/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)が1000000より大きい場合、吸水性樹脂粉末の生産性の低下を招くおそれがある。つまり、上記Ext/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)を上記範囲内とすることで、生産性を低下させることなく、高物性の吸水性樹脂粉末を得ることができる。
〔3−5〕Residual Monomer(残存モノマー)
本発明の吸水性樹脂粉末は、安全性の観点から、Residual Monomer(残存モノマー)が好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下である。下限値は低いほどよく、好ましくは0ppm、より好ましくは10ppm程度である。
上記Residual Monomer(残存モノマー)を上記範囲内とすることで、人体の皮膚等への刺激が軽減される吸水性樹脂粉末が得られる。
〔3−6〕粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))
本発明の吸水性樹脂粉末は、質量平均粒子径(D50)が好ましくは200μm〜600μm、より好ましくは200μm〜550μm、更に好ましくは250μm〜500μm、特に好ましくは350μm〜450μmである。また、粒子径150μm未満の粒子の割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、粒子径850μm以上の粒子の割合は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。なお、これらの粒子の割合の下限値としては、何れの場合も少ないほど好ましく、0質量%が望まれるが、0.1質量%程度でもよい。更に、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.40、更に好ましくは0.27〜0.35である。なお、これらの粒度は、米国特許第7638570号やEDANA ERT420.2−02に開示されている測定方法に準じて、標準篩を用いて測定される。
〔4〕後工程(吸水性樹脂粉末から吸水剤までの製造工程)
以下、吸水性樹脂粉末から吸水剤を得るまでの製造工程について説明する。
〔4−1〕表面架橋工程
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程及び任意の冷却工程から構成される。
表面架橋工程において、吸水性樹脂粉末表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により表面架橋された吸水性樹脂が得られる。
(表面架橋剤)
本発明で使用される表面架橋剤は、有機又は無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、得られる吸水剤の物性や表面架橋剤の取扱性の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許7183456号に開示される1種又は2種以上の表面架橋剤が挙げられる。より具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.01質量部〜5質量部である。また、表面架橋剤は水溶液として添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜20質量部、より好ましくは0.5質量部〜10質量部である。更に必要に応じて、親水性有機溶媒を使用する場合、その使用量は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
また、後述の「再加湿工程」で添加される各添加剤をそれぞれ5質量部以下の範囲内で上記表面架橋剤(水溶液)に混合して添加したり、別途本混合工程で添加したりすることもできる。
(混合工程)
本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤を混合する工程である。表面架橋剤の混合方法は、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
上記混合を行う装置は、好ましくは高速攪拌型混合機、より好ましくは高速攪拌型連続混合機が挙げられる。
(加熱処理工程)
本工程は、上記混合工程から排出された混合物に熱を加えて、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起させる工程である。
架橋反応を行う装置は、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100℃〜200℃である。
(冷却工程)
本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。
冷却を行う装置は、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することで、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂は、冷却工程において、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50℃〜70℃に、必要に応じて強制冷却される。
〔4−2〕再加湿工程
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂に、下記の多価金属塩化合物、カチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、α−ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
なお、上記添加剤は水溶液又はスラリー液で添加されるため、吸水性樹脂は再度、水膨潤する。このため、本工程を「再加湿工程」と称する。また、上述したように、添加剤は上記表面架橋剤(水溶液)と同時に、吸水性樹脂粉末と混合することもできる。
(多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー)
本発明において、得られる吸水剤の吸水速度、通液性、吸湿流動性等の向上の観点から、多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。
上記多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーとして、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔7〕多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(キレート剤)
本発明において、得られる吸水剤の色調(着色防止)、劣化防止等の観点から、キレート剤を添加することが好ましい。
上記キレート剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔2〕キレート剤」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(無機還元剤)
本発明において、得られる吸水剤の色調(着色防止)、劣化防止、残存モノマー低減等の観点から、無機還元剤を添加することが好ましい。
上記無機還元剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔3〕無機還元剤」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
〔4−3〕その他の添加剤添加工程
本発明においては、上述した添加剤以外の添加剤を、吸水性樹脂粉末に種々の機能を付加させるため、添加することもできる。添加剤として、具体的には、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、水不溶性無機微粒子、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、国際公開第2005/075070号に開示された化合物が、また、上記水不溶性無機微粒子は、国際公開第2011/040530号の「〔5〕水不溶性無機微粒子」に開示された化合物が、それぞれ本発明に適用される。
上記添加剤の使用量(添加量)は、その用途に応じて適宜決定されるため、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。また、上記添加剤は、上記工程とは別の工程で添加することもできる。
〔4−4〕その他の工程
本発明においては、上述した工程以外に、造粒工程、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種又は2種以上の工程を更に含んでもよい。なお、「整粒工程」は、表面架橋工程以降の微粉除去工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、粉砕を行う工程を含む。また、「微粉の再利用工程」は、本発明のように微粉をそのまま添加する形態の他、大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程の何れかの工程に添加する工程を含む。
上記輸送工程や貯蔵工程は、〔2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法においても適用される。
〔5〕ポリアクリル酸(塩)系吸水剤(最終製品)の物性
本発明で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末を表面架橋等の表面処理をして得られるポリアクリル酸(塩)系吸水剤は、吸水剤を吸収性物品、特に紙オムツに使用する場合、下記〔5−1〕の物性を所望する範囲に制御することが望まれる。
〔5−1〕AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水剤は、AAP(加圧下吸水倍率)が好ましくは22g/g以上、より好ましくは23g/g以上、更に好ましくは24g/g以上である。上限値は、好ましくは30g/g以下である。
上記AAPが22g/g未満の場合、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り量(以下「Re−Wet(リウェット)」と称する)が多くなり、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。なお、AAPは、粒度や表面架橋剤等で制御することができる。
〔6〕ポリアクリル酸(塩)系吸水剤の用途
本発明の吸水剤の用途は、好ましくは紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツ(紙オムツ1枚あたりの吸水剤の使用量が多いもの)の吸収体として使用することができる。更に、上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
また、上記吸収体として、吸水剤以外にパルプ繊維等の吸収性材料を使用することもできる。この場合、吸収体中の吸水剤の含有量(コア濃度)としては、好ましくは30質量%〜100質量%、より好ましくは40質量%〜100質量%、更に好ましくは50質量%〜100質量%、更により好ましくは60質量%〜100質量%、特に好ましくは70質量%〜100質量%、最も好ましくは75質量%〜95質量%である。
上記コア濃度を上記範囲とすることで、吸収体を吸収性物品の上層部に使用した場合、吸収性物品が清浄感のある白色状態を保つことができる。更に、尿や血液等の体液等の拡散性に優れるため、効率的な液分配によって吸収量の向上が見込める。
以下の実施例及び比較例に従って本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらに限定解釈されるものではない。各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
なお、実施例及び比較例(吸水性樹脂の物性測定も含む)で使用する電気機器は、200V又は100Vの電源を使用した。また、吸水性樹脂の物性測定は、室温(20℃〜25℃)、相対湿度50%RH±10%の雰囲気下で測定した。単位の表記について、「リットル」を「l」又は「L」、「質量%」を「mass%」と便宜上、表記することがある。
[吸水性樹脂の物性測定]
以下、吸水性樹脂の物性の測定方法について説明する。なお、測定対象物に応じて、下記「吸水性樹脂」をそれぞれの測定対象物に読み替えて適用する。例えば、測定対象物が吸水性樹脂粉末である場合は「吸水性樹脂」を「吸水性樹脂粉末」に、吸水剤である場合は「吸水性樹脂」を「吸水剤」に、それぞれ読み替えて適用する。
(a)Ext(水可溶分)
吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
具体的には、容量250mlの蓋付きプラスチック製容器に、吸水性樹脂1.00gと0.90質量%塩化ナトリウム水溶液200mlとを入れ、マグネティックスターラーで攪拌した。この攪拌を16時間行い、吸水性樹脂中の水可溶分を抽出した。得られた抽出液を濾紙(JIS P 3801、No.2、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm;ADVANTEC東洋株式会社製)1枚を用いて濾過し、得られた濾液50.0gを測定液とした。
上記測定液について、先ず、pH10となるまで0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。このときの滴定量を[NaOH](単位;ml)とした。続いて、pH2.7となるまで0.1Nの塩酸で滴定した。このときの滴定量を[HCl](単位;ml)とした。また、同様の操作を0.90質量%塩化ナトリウム水溶液のみに対して行い、空滴定量([bNaOH]、[bHCl])(単位;ml)を求めた。
上記操作により得られた滴定量及び吸水性樹脂の原料モノマーの平均分子量から、次式(a)にしたがって、吸水性樹脂のExt(水可溶分)を求めた。
Ext(質量%)=0.1×Mw×200×100×([HCl]−[bHCl])/1000/(吸水性樹脂の質量[g])/50.0 ・・・ (a)
(b)CRC(遠心分離機保持容量)
吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
具体的には、秤量した吸水性樹脂0.20gを不織布製の袋(60mm×60mm)に均等に入れ、開口部をヒートシールした。その後、25℃±3℃に調温した0.9質量%塩化ナトリウム水溶液1000ml中に入れ、30分間浸漬した。その後、袋を引き上げ、遠心分離機(H−122;株式会社コクサン製)を用いて、250Gの条件下で3分間脱水した。脱水後の袋について、その質量(W1)(単位;g)を測定した。また、吸水性樹脂を入れずに同様の操作を行い、そのときの袋の質量(W2)(単位;g)を測定した。次式(b)にしたがって、吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)を求めた。
CRC(g/g)={(W1−W2)/(吸水性樹脂の質量)}−1 ・・・ (b)
(c)Mw(水可溶分の質量平均分子量)
吸水性樹脂のMw(水可溶分の質量平均分子量)は、上記Ext(水可溶分)の測定操作において、溶解したポリマーの質量平均分子量をGPCで測定した値である。以下、GPC測定について説明する。
本測定におけるGPCとして、ビスコテック社製TDA302を使用した。この装置は、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出器、光散乱検出器、及びキャピラリー粘度計から構成されている。測定装置、測定条件は以下の通りである。
ポンプ・オートサンプラー:ビスコテック社製GPCmax
ガードカラム:SHODEX GF−7B
カラム:TOSOH GMPWXLを2本直列接続
検出器:ビスコテック社製TDA302(系内温度:30℃)
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM水溶液
流速:0.5ml/分
注入量:100μl
装置校正は、ポリオキシエチレングリコール(質量平均分子量(Mw):22396、示差屈折率(dn/dc):0.132、溶媒屈折率:1.33)を標準サンプルに用いて行った。なお、本発明で得られる吸水性樹脂では、アクリル酸(塩)を99モル%以上含むため、示差屈折率を0.12として測定を行った。
屈折率、光散乱強度、粘度のデータ収集及び解析は、Viscotek OmniSEC3.1(登録商標)ソフトウェアを用いて行った。屈折率及び光散乱強度から、水可溶分の質量平均分子量を算出した。
(e)Residual Monomer(残存モノマー)
吸水性樹脂のResidual Monomer(残存モノマー)は、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。
具体的には、容量250mlの蓋付きプラスチック製容器に、吸水性樹脂1.00gと0.90質量%塩化ナトリウム水溶液200mlとを入れ、マグネティックスターラーで攪拌した。この攪拌を1時間行った後、濾紙(JIS P 3801、No.2、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm;ADVANTEC東洋株式会社製)1枚を用いて濾過して、濾液を採取した。
採取した濾液について、液体クロマトクラフィーでUV分析することで、吸水性樹脂中の残存モノマーを定量した(単位;ppm)。
(f)PSD(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))
吸水性樹脂粉末のPSD(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、米国特許第7638570号のカラム27〜28に記載された測定方法に準拠して測定した。
(g)AAP(加圧下吸水倍率)
吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT442.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明では、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更した。本明細書では「AAP」と表記しているが、すべて4.83kPa荷重下で測定したものである。
[実施例1]
アクリル酸185g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液1004g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量478)1.19g及びイオン交換水105gを容量2Lのポリエチレン製容器に入れ、マグネティックスターラーを用いて十分混合し、水溶液を作製した。この操作で得られた水溶液を単量体水溶液(1)とした。当該単量体水溶液(1)の単量体濃度は43質量%であり、乾燥水分量当たりのポリマー収量は754であった。
次に、内表面がテフロン(登録商標)でコーティングされたステンレス製容器に、上記単量体水溶液(1)を注ぎ込んだ。上記ステンレス製容器の大きさは、長さ310mm、横幅230mm、高さ50mmであり、上記単量体水溶液(1)の液深は18mmであった。
次に、窒素導入口、排気口及び重合開始剤投入口が設置されたポリエチレン製フィルムで上記ステンレス製容器の上部をシールした後、17℃に温度設定したウォーターバスに、上記ステンレス製容器の底面から10mmの高さまで浸漬した。
続いて、上記単量体水溶液(1)の温度を17℃に制御しながら、窒素ガスを毎分3Lの流量で30分間上記単量体水溶液(1)中に導入した。この操作によって、上記単量体水溶液(1)の溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスを、上記ステンレス製容器の気相部分に長さ方向に導入し、反対側から排気し続けた。
一方、重合開始剤として以下の2種類の重合開始剤水溶液を作製した。つまり、単量体1モルあたり0.0016gのL−アスコルビン酸を1.03gのイオン交換水に溶解した重合開始剤水溶液(a−1)と、単量体1モルあたり0.0013gの過酸化水素を7.6gのイオン交換水に溶解した重合開始剤水溶液(b−1)をそれぞれ作製した。
上記重合開始剤水溶液(a−1)及び(b−1)の全量を、上記重合開始剤投入口からそれぞれ別個に、上記ステンレス製容器に注入した。その後、マグネティックスターラーを用いて十分に混合したところ、1分経過後に、重合反応が開始した。
その後、直ちに上記ステンレス製容器を40℃に温度設定した別のウォーターバスに移動させ、上記ステンレス製容器の底面から10mmの高さまで浸漬させた。重合開始から8分後には、重合ピーク温度116℃を示した。その後、30℃に温度設定した更に別のウォーターバスに移動させ、上記ステンレス製容器の底面から10mmの高さまで浸漬させて13分間保持した。この操作によって、厚みが16mmの含水ゲル状架橋重合体(以下「含水ゲル」という。)(1)を得た。実施例1での重合時間は、22分間であった。
次に、孔径9.5mmのダイスを有するミートチョッパー(VR−400K;飯塚工業株式会社製)に上記含水ゲル(1)を投入してゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(1)を得た。続いて、目開き300μm(50メッシュ)の金網上に、上記粒子状の含水ゲル(1)を積載した後、185℃の熱風を30分間通気させることで乾燥し、乾燥重合体(1)を得た。当該乾燥重合体(1)は、ロールミルで粉砕された後、目開き850μm及び106μmのJIS標準篩で分級されて、吸水性樹脂粉末(1)とした。
上記吸水性樹脂粉末(1)は、CRC(遠心分離機保持容量)が43g/g、Ext(水可溶分)が17質量%、Mw(水可溶分の質量平均分子量)が421000、Residual Monomer(残存モノマー)が210ppmであった。表1に吸水性樹脂粉末(1)の物性値を掲載した。
次に、上記吸水性樹脂粉末(1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02質量部、エチレンカーボネート0.3質量部、プロピレングリコール0.5質量部及び水2.0質量部からなる表面処理剤(1)を添加し、均一となるまで混合した。その後、196℃で30分間熱処理を行い、60℃まで強制冷却した。その後。目開き850μmのJIS標準篩を用いて整粒させることで、表面が架橋された吸水剤(1)を得た。吸水剤(1)は、AAP(加圧下吸水倍率)が24g/gであった。
[実施例2]
実施例1において、アクリル酸を107gに、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液を1135gに、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量478)を1.25gに、及びイオン交換水を66gに、それぞれ変更した単量体水溶液(2)を作製した。なお、得られた単量体水溶液(2)の単量体濃度は40質量%であり、乾燥水分量あたりのポリマー収量は667であった。また、ステンレス製容器内での液深は18mmであった。
一方、重合開始剤として、L−アスコルビン酸溶解用のイオン交換水を0.94gに、過酸化水素溶解用のイオン交換水を7.0gに、それぞれ変更した重合開始剤水溶液(a−2)及び(b−2)を作製した。なお、実施例2では、上記重合開始剤水溶液(a−2)及び(b−2)の注入後、1分経過後に重合反応が開始し、重合開始から9分後に重合ピーク温度99℃を示した。
更に重合ピーク温度到達後の保持時間を12分間に変更した。なお、実施例2の重合操作で得られた含水ゲル(2)の厚みは16mmであった。実施例2での重合時間は、22分間であった。
上記の変更以外は実施例1と同様の操作を行うことで、吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)は、CRC(遠心分離機保持容量)が44g/g、Ext(水可溶分)が13質量%、Mw(水可溶分の質量平均分子量)が412000、Residual Monomer(残存モノマー)が230ppmであった。表1に吸水性樹脂粉末(2)の物性値を掲載した。
次に、上記吸水性樹脂粉末(2)100質量部に対して、実施例1で使用した表面処理剤(1)を添加し、均一となるまで混合した。その後、196℃で30分間熱処理を行い、60℃まで強制冷却した。その後、目開き850μmのJIS標準篩を用いて整粒させることで、表面が架橋された吸水剤(2)を得た。吸水剤(2)は、AAP(加圧下吸水倍率)が24g/gであった。
[実施例3]
実施例1において、アクリル酸を98gに、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液を1042gに、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量478)を1.43gに、及びイオン交換水を124gに、それぞれ変更した単量体水溶液(3)を作製した。なお、得られた単量体水溶液(3)の単量体濃度は38質量%であり、乾燥水分量あたりのポリマー収量は613であった。また、ステンレス製容器内での液深は17mmであった。
一方、重合開始剤として、L−アスコルビン酸溶解用のイオン交換水を0.87gに、過酸化水素溶解用のイオン交換水を6.4gに、それぞれ変更した重合開始剤水溶液(a−3)及び(b−3)を作製した。なお、実施例3では、上記重合開始剤水溶液(a−3)及び(b−3)の注入後、1分経過後に重合反応が開始し、重合開始から10分後に重合ピーク温度92℃を示した。
更に重合ピーク温度到達後の保持時間を11分間に変更した。なお、実施例3の重合操作で得られた含水ゲル(3)の厚みは15mmであった。実施例3での重合時間は、22分間であった。
上記の変更以外は実施例1と同様の操作を行うことで、吸水性樹脂粉末(3)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(3)は、CRC(遠心分離機保持容量)が45g/g、Ext(水可溶分)が12質量%、Mw(水可溶分の質量平均分子量)が468000、Residual Monomer(残存モノマー)が260ppmであった。表1に吸水性樹脂粉末(3)の物性値を掲載した。
次に、上記吸水性樹脂粉末(3)100質量部に対して、実施例1で使用した表面処理剤(1)を添加し、均一となるまで混合した。その後、196℃で30分間熱処理を行い、60℃まで強制冷却した。その後、目開き850μmのJIS標準篩を用いて整粒させることで、表面が架橋された吸水剤(3)を得た。吸水剤(3)は、AAP(加圧下吸水倍率)が27g/gであった。
以上、実施例1〜3で示したように、本発明に係る製造方法とすることで、重合時間及び乾燥時間が比較的短く(生産性が向上し)、更に高物性の吸水性樹脂粉末が得られることがわかる。

Claims (6)

  1. アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、
    上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥する乾燥工程とを含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
    上記アクリル酸(塩)系単量体水溶液中の単量体濃度が37質量%〜44質量%であり、
    上記得られた含水ゲル状架橋重合体の厚みが10mm〜20mmである、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂粉末の製造方法。
  2. 上記重合工程において、重合開始温度が5℃〜40℃である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記重合工程において、内部架橋剤が使用され、
    該内部架橋剤の使用量が0.001モル%〜1モル%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記乾燥工程において、乾燥温度が160℃〜250℃である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 上記吸水性樹脂粉末のExt/Mw(水可溶分の質量平均分子量当たりの水可溶分)が10000〜1000000である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 下記式(1)で定義される乾燥水分量当たりのポリマー収量が580〜800である、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
    (乾燥水分量当たりのポリマー収量)=単量体水溶液中の単量体濃度/単量体水溶液中の水濃度×1000 ・・・ 式(1)
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