以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、照明形態、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
図1は、実施の形態に係る照明システム5の構成を示す外観図である。図2は、図1に示された照明システム5のレイアウト図である。ここでは、商品を販売及び展示する店舗を照明空間7として演出照明をする照明システム5の例が示されている。
照明システム5は、店舗の外を通行する人(特に買い回りをしている人)に対して効率的にアイキャッチのための演出照明を行うシステムであり、照明装置10、速度検出部20、制御装置30及び端末装置40で構成される。なお、本実施の形態では、店舗の前(共用部)を図1及び図2に示された矢印の方向に通行する人に対して効率的にアイキャッチのための演出照明を行う例を説明する。店舗の前には間口aが設けられ、店舗の前を通行する人が間口aを通して、店舗の内部を見ることができる。
照明装置10は、店舗の天井、壁、床等に設けられ、照明空間7に光を照射する照明器具の集まりであり、本実施の形態では、ベース照明装置11及び演出照明装置12で構成される(図2では、ベース照明装置11の図示を省略している)。ベース照明装置11は、定常的な照明を行う照明器具11a〜11iで構成される。演出照明装置12は、店舗の外を通行する人に対してアイキャッチを目的とした動的照明、つまり、照射する光の色温度及び明るさの少なくとも一方を徐々に変化させることを繰り返す演出照明を行う照明器具12a〜12fで構成される。演出照明装置12を構成する照明器具12a〜12fは、それぞれ、店舗の前を通行する人が店舗の間口aから見え易い店舗内の壁を水平方向に分割して得られる各領域を照らすように、店舗の天井に所定の並び(ここでは、水平方向の並び)で配置されている。ベース照明装置11は、例えば、直接照明によって照明空間7を照らすダウンライト、ユニバーサルダウンライト等である。一方、演出照明装置12は、例えば、壁等での反射光を利用する間接照明によって照明空間7を照らす照明器具、ライトバーと呼ばれる細長い形状の照明器具、あるいは、光源を天井や壁等に組み込んで建築構造と一体化させた建築化照明と呼ばれる照明器具等である。
速度検出部20は、照明空間7の外を通行する人の速度を検出する装置である。本実施の形態では、速度検出部20は、予め定められた地点Aと地点B(図2参照)で挟まれる歩行速度検知エリアにいる人の歩行速度を検知するための赤外線測距レーダーであり、検知した人の位置(速度検出部20からの距離)を示す情報を出力する。なお、速度検出部20は、人の速度を直接検出する装置だけでなく、赤外線測距レーダーのように、人の速度を検出するのに用いられる事象(例えば、人の位置、移動距離)を検出するセンサも含まれる。つまり、速度検出部20は、人の速度を検出するのに用いられる事象を検出するセンサと、そのセンサから得た情報に基づいて人の速度を算出する演算部(本実施の形態では、制御装置30)とを合わせたものであってもよい。
制御装置30は、速度検出部20によって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合に、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)に対して、演出照明を行わせる装置である。ここで、第1閾値は、端末装置40によって予め設定される値であり、例えば、0.65m/sec以上で0.90m/sec以下の値である。図3は、第1閾値について好ましい範囲を決定するのに役立つ実験データを示す図であり、実際の商業施設を通行する人の速度の分布を示している。横軸は歩行速度(m/sec)であり、縦軸は人数(相対値)である。この実験データと、人が買い回りをしているか通過しているかの観察結果とを対応させることで、買い回りをしている人の平均速度が0.65m/secであり、通行している人の平均速度が0.90m/secと判明した。よって、第1閾値を0.65m/sec以上で0.90m/sec以下の値に設定することで、買い回りをしている通行人がいる可能性が高いときにだけ演出照明を行うことが可能になる。例えば、第1閾値を0.90m/secに設定することで、図3の実線で囲まれた速度で通行する人が検知された場合に演出照明が行われる。
端末装置40は、ユーザから受け付けた指示を制御装置30に送る操作装置であり、例えば、タブレット端末やスマートフォン等である。ユーザは、例えば、端末装置40を用いて、演出照明の態様(色温度、明るさ、色温度又は明るさを変化させる際の繰り返し周期、個々の照明器具での照明の変化におけるフェード時間等)を設定することができる。
図4は、図1に示された照明システム5を構成する制御装置30及び照明装置10(照明器具11a〜11i及び12a〜12f)の構成を示すブロック図である。
制御装置30は、照明用I/F(インタフェース)31、検出用I/F32、端末用I/F33、及び、制御部34を備える。
照明用I/F31、検出用I/F32、及び、端末用I/F33は、それぞれ、照明器具11a〜11i及び12a〜12f、速度検出部20、並びに、端末装置40とやりとりする通信インタフェースである。これらは、例えば、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)等の無線通信、又は、シリアル伝送インタフェース等の有線通信用のインタフェースであり、独立したものであってもよいし、兼用された同一のものであってもよい。
制御部34は、照明用I/F31、検出用I/F32及び端末用I/F33を介して、それぞれ、照明器具11a〜11i及び12a〜12f、速度検出部20並びに端末装置40とやりとりすることで、照明装置10に対する制御を行うコントローラである。制御部34は、例えば、制御プログラムが格納されたROM、RAM、タイマ、制御プログラムを実行するCPU等で構成される。
照明器具11a〜11i及び12a〜12fは、いずれも、同様の構成、つまり、光源15、照明用I/F16及び制御部17を備える。
光源15は、照明空間7に光を発する調色及び調光が可能な光源であり、例えば、RGBの3色の光を出射する複数のLED及びそれらのLEDのそれぞれに独立して電流を印加する電源回路等で構成される。
照明用I/F16は、制御装置30とやりとりする通信インタフェースであり、例えば、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)等の無線通信、又は、シリアル伝送インタフェース等の有線通信用のインタフェースである。
制御部17は、制御装置30から照明用I/F16を介して受信した制御命令に従って光源15を制御する回路であり、例えば、制御プログラムが格納されたROM、RAM、制御プログラムを実行するCPU等で構成される。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る照明システム5の動作について説明する。
図5は、実施の形態に係る照明システム5の基本動作(演出照明制御)を示すフローチャートである。ここでは、照明装置10の制御方法が示されている。
制御装置30は、速度検出部20から送られてくる情報を監視することで、店舗の前の共用部において、遠方から地点A(図2参照)を通過した人(つまり、店舗に接近してくる人)がいるか否かを判断する(S10)。本実施の形態では、速度検出部20は、赤外線測距レーダーであり、検知した人の位置を示す情報を出力するので、制御装置30は、地点Aとして予め登録された位置を基準値として用いることで、遠方から地点Aを通過した人の有無を判断する。
その結果、地点Aを通過する人が検知されない場合には(S10でNo)、制御装置30は、演出照明の必要がないと判断し、演出照明装置12に対して、通常照明を行わせる(S14)。具体的には、制御装置30の制御部34は、照明用I/F31を介して演出照明装置12(照明器具12a〜12f)に制御命令を送ることで、照明する光の色温度及び明るさを所定値に固定した通常照明を行わせる。
一方、地点Aを通過した人を検知した場合には(S10でYes)、制御装置30は、速度検出部20から送られてくる情報を用いることで、検知した人の速度(歩行速度)を算出する(S11)。本実施の形態では、速度検出部20は、赤外線測距レーダーであり、検知した人の位置を示す情報を出力するので、制御装置30は、地点Aを通過した人が地点Bを通過したことを検知し、その間の距離と時間とから速度を算出する。
次に、制御装置30は、算出した速度が第1閾値よりも小さいか否かを判断する(S12)。例えば、制御装置30は、算出した速度が、第1閾値として設定された0.90m/secよりも小さいか否かを判断する。
その結果、算出した速度が第1閾値よりも小さくない場合には(S12でNo)、制御装置30は、演出照明の必要がないと判断し、演出照明装置12に対して、通常照明を行わせる(S14)。
一方、算出した速度が第1閾値よりも小さい場合には(S12でYes)、制御装置30は、買い回りをしている人が接近してきた可能性が高いと判断し、その人が店舗の間口aを通過するまで、演出照明を行う(S13)。具体的には、制御装置30の制御部34は、算出した速度を用いることで、その人が店舗の間口aを通過し終えると予測される経過時間を算出する。そして、照明用I/F31を介して演出照明装置12(照明器具12a〜12f)に制御命令を送ることで、算出した経過時間だけ、照射する光の色温度及び明るさの少なくとも一方を徐々に変化させることを繰り返す演出照明を行わせる。これによって、少なくとも、その人が店舗の間口aを通過している間、つまり、その人が店舗の間口aを通して演出照明装置12を見ることができる期間、アイキャッチのための演出照明が行われる。
なお、演出照明では、制御装置30からの制御命令に従って、照明器具12a〜12fは、例えば、所定の色温度又は明るさを発する光の位置を照明器具12a〜12fの並びにおける一端から他端に向かって移動させることを繰り返す照射パターンで発光する。あるいは、照明器具12a〜12fは、光の色温度及び明るさの少なくとも一方について、同じ値で、かつ、同じタイミングで徐々に変化させることを繰り返す照射パターンで発光する。演出照明の具体的な態様は、端末装置40から事前の設定(色温度、明るさ、色温度又は明るさを変化させる際の繰り返し周期、個々の照明器具での照明の変化におけるフェード時間等)に依存して定まる。
ここで、演出照明における繰り返し周期として、例えば、間口aの長さ(m)/0.9(m/sec)で得られる時間(s)に設定される。これにより、平均的な速度で通行する人が間口aを通過する間に、1周期分の演出照明がその人の目に入ることになり、効率的なアイキャッチが行われ得る。
以上の処理(S10〜S14)を終えると、制御装置30は、再び、同様の処理(S10〜S14)を繰り返す。よって、例えば、買い回りをしている人が、次から次へと、遠方から地点Aと地点Bとで挟まれる歩行速度検知エリアに入ってくる状態が継続する場合には、それらの全ての人が店舗の間口aを通過し終えるまで、演出照明装置12による演出照明が継続される。
以上のように、本実施の形態に係る照明システム5は、照明空間7に光を照射する照明装置10と、照明空間7の外を通行する人の速度を検出する速度検出部20と、それらを制御する制御装置30とを備える。制御装置30は、速度検出部20によって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合に、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)に対して、照射する光の色温度及び明るさの少なくとも一方を徐々に変化させることを繰り返す演出照明を行わせる制御をする。つまり、制御装置30は、速度検出部20によって検出された速度が第1閾値よりも小さくない場合には、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)に対する演出照明の制御を停止する。
これにより、店舗等の照明空間7の外を通行する人の速度が第1閾値よりも小さい場合に演出照明が行われるので、店舗の近くで買い回りをしている通行人がいる可能性が高いとき等、アイキャッチが望まれるタイミングにだけ演出照明を行うことが可能になる。よって、必要なタイミングだけに演出照明が行われるので、常に演出照明が行われる場合に比べて、店舗の高級感が損なわれたり、店舗にいる人に対して気分を悪くさせてしまったりする恐れが低くなる。そのことから、演出照明における色温度の幅や変化速度を大きく設定することができ、アイキャッチ効果を高めて入店率を向上させることができる。
また、第1閾値は、0.65m/sec以上で0.90m/sec以下の値である。
これにより、演出照明の判断基準となる速度として、現実の通行人の観察から得た買い回りの歩行速度が用いられるので、より的確に、店舗の近くで買い回りをしている通行人がいる可能性が高いときにだけ演出照明が行われる。
また、照明装置10は、所定の並びで配置された複数の照明器具12a〜12fで構成される。そして、複数の照明器具12a〜12fは、演出照明では、所定の色温度又は明るさを発する光の位置を所定の並びにおける一端から他端に向かって移動させることを繰り返す照射パターンで発光する。
これにより、演出照明では、所定の並びで配置された複数の照明器具12a〜12fが所定の色温度又は明るさを発する光の位置を所定の並びにおける一端から他端に向かって移動させる動的照明を行う。よって、高いアイキャッチ効果で店舗等の照明空間7の外を通行する人の目をひくことができる。
あるいは、複数の照明器具12a〜12fは、演出照明では、光の色温度及び明るさの少なくとも一方について、同じ値で、かつ、同じタイミングで徐々に変化させることを繰り返す照射パターンで発光する。
これにより、演出照明では、所定の並びで配置された複数の照明器具12a〜12fが光の色温度及び明るさの少なくとも一方について、同じ値で、かつ、同じタイミングで徐々に変化させる動的照明を行う。よって、高いアイキャッチ効果で店舗等の照明空間7の外を通行する人の目をひくことができる。
また、本実施の形態に係る照明装置10の制御方法は、照明空間7に光を照射する照明装置10の制御方法であって、次のステップを含む。一つは、照明空間7の外を通行する人の速度を示す情報を取得するステップ(図5のS11)である。もう一つは、取得された情報が示す速度が第1閾値よりも小さい場合に、照明装置10(演出照明装置12)に対して、演出照明を行わせる制御をするステップ(図5のS12〜S13)である。
これにより、店舗等の照明空間7の外を通行する人の速度が第1閾値よりも小さい場合に演出照明が行われるので、店舗の近くで買い回りをしている通行人がいる可能性が高いとき等、アイキャッチが望まれるタイミングにだけ演出照明を行うことが可能になる。よって、必要なタイミングだけに演出照明が行われるので、常に演出照明が行われる場合に比べて、店舗の高級感が損なわれたり、店舗にいる人に対して気分を悪くさせてしまったりする恐れが低くなる。そのことから、演出照明における色温度の幅や変化速度を大きく設定することができ、アイキャッチ効果を高めて入店率を向上させることができる。
なお、上記実施の形態では、店舗の前(共用部)を図1及び図2に示された一方向に通行する人を対象として演出照明をする照明システムの例が示されたが、店舗の前を両方向に通行する人を対象として演出照明をしてもよい。
図6は、店舗の前を両方向に通行する人を対象として演出照明をする、実施の形態の第1変形例に係る照明システム5aのレイアウト図である(ただし、本図では、ベース照明装置11の図示を省略している)。この照明システム5aの基本構成は、実施の形態と同様であり、同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。以下、実施の形態と異なる点を中心に説明する(他の実施の形態の変形例についても同様)。
本変形例では、図6に示されるように、照明装置については、第1演出照明装置13aと第2演出照明装置13bとで構成される。第1演出照明装置13aは、店舗の前を第1方向に通行する人を対象として演出照明を行う照明装置であり、そのような人の目につき易い位置(間口aから店舗内に入って左に位置する壁)を照らす。一方、第2演出照明装置13bは、店舗の前を、第1方向とは反対の第2方向に通行する人を対象として演出照明を行う照明装置であり、そのような人の目につき易い位置(間口aから店舗内に入って右に位置する壁)を照らす。
また、速度検出部についても、第1速度検出部20aと第2速度検出部20bとで構成される。第1速度検出部20aは、店舗の前を第1方向に通行する人を対象として地点Aと地点Bとで挟まれる第1歩行速度検知エリアにいる人の歩行速度を検知するための装置であり、例えば、店舗の外から見て間口aの右端に配置される。一方、第2速度検出部20bは、店舗の前を第2方向に通行する人を対象として地点Cと地点Dとで挟まれる第2歩行速度検知エリアにいる人の歩行速度を検知するための装置であり、例えば、店舗の外から見て間口aの左端に配置される。
このような構成を備える本変形例に係る照明システム5aによれば、制御装置30は、第1速度検出部20aによって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合に、第1演出照明装置13aに対して、上記実施の形態と同様の演出照明を行わせる。それと並行して、制御装置30は、第2速度検出部20bによって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合に、第2演出照明装置13bに対して、上記実施の形態と同様の演出照明を行わせる。
これにより、店舗の前を両方向に通行する人を対象として、店舗の近くで買い回りをしている通行人がいる可能性が高いとき等、アイキャッチが望まれるタイミングにだけ演出照明が行われる。
また、上記実施の形態及び第1変形例では、図5に示される演出照明制御が繰り返されたが、必ずしも演出照明制御が繰り返される必要はなく、演出照明制御を抑制したい状況が発生した場合には、演出照明制御を停止してもよい。以下、演出照明制御を停止する制御が付加された、上記実施の形態の変形例(第2変形例〜第4変形例)に係る照明システムを説明する。
図7は、実施の形態の第2変形例に係る照明システムの動作を示すフローチャートである。本変形例では、店舗の前で低速歩行する人がいない場合に、図5に示される演出照明制御を停止する。そのために、図5に示される演出照明制御と並行して(あるいは、加えて)、図7に示される以下の制御が実行される。
制御装置30は、店舗の前を上述した第1閾値以上の第2閾値以下の速度で通行する人がいるか否かを判断する(S20)。例えば、制御装置30は、速度検出部20からの情報に基づいて、歩行速度検知エリアに、1.5m/sec以下の速度で通行する人がいるか否かを判断する。
その結果、いると判断した場合には(S20でYes)、制御装置30は、図5に示される演出照明制御S10〜S14を行う(S21)。つまり、制御装置30は、速度検出部20によって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合にだけ、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)に対して、演出照明を行わせる制御をする。
一方、いないと判断した場合には(S20でNo)、制御装置30は、図5に示される演出照明制御S10〜S14を停止する(S22)。つまり、制御装置30は、図5のステップS14に相当する通常照明を行う。
制御装置30は、以上の処理S20〜S22を、繰り返す(例えば、10分に1回の頻度で実行する)。
以上のように、本変形例では、制御装置30は、速度検出部20が第1閾値以上の第2閾値以下の速度で通行する人を検出しない場合に、照明装置10に演出照明を行わせる制御を停止する。
これにより、店舗の前を低速歩行する人がいない場合、つまり、買い回りをしている人がいる可能性がほとんどない場合には、演出照明の制御が停止される。よって、より確実に、店舗の近くで買い回りをしている通行人がいる可能性が高いとき等、アイキャッチが望まれるタイミングにだけ演出照明が行われる。
図8は、実施の形態の第3変形例に係る照明システム5bのレイアウト図である(ただし、本図では、ベース照明装置11の図示を省略している)。上記実施の形態の構成に、照明空間7(ここでは、店舗内)にいる人の数を検出するための第1人数検出部22が追加されている。本変形例では、第1人数検出部22は、例えば、店舗内にいる人の数を検出するために店舗の天井の中央に設置されたカメラであり、店舗内の人を撮影した画像を制御装置30に出力する。なお、第1人数検出部22は、人の数を直接検出する装置だけでなく、カメラのように、人の数を検出するのに用いられる事象(例えば、画像)を取得するセンサも含まれる。つまり、第1人数検出部22は、人の数を検出するのに用いられる事象を取得するセンサと、そのセンサから得た情報に基づいて人の数を算出する演算部(本実施の形態では、制御装置30)とを合わせたものであってもよい。
図9は、本変形例に係る照明システム5bの動作を示すフローチャートである。本変形例では、店舗内にいる人が多い場合に、図5に示される演出照明制御を停止する。そのために、図5に示される演出照明制御と並行して(あるいは、加えて)、図9に示される以下の制御が実行される。
制御装置30は、店舗内の人数(つまり、第1人数検出部22によって検出された人の数)が第3閾値よりも大きいか否かを判断する(S30)。例えば、制御装置30は、第1人数検出部22から送られてきた画像から人物抽出処理等を施すことで店舗内にいる人の数を検出し、検出した人の数が第3閾値(例えば、5人)よりも大きいか否かを判断する。
その結果、店舗内の人数が第3閾値よりも大きいと判断した場合には(S30でYes)、制御装置30は、図5に示される演出照明制御S10〜S14を停止する(S31)。つまり、制御装置30は、図5のステップS14に相当する通常照明を行う。
一方、店舗内の人数が第3閾値よりも大きくないと判断した場合には(S30でNo)、制御装置30は、図5に示される演出照明制御S10〜S14を行う(S32)。つまり、制御装置30は、速度検出部20によって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合にだけ、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)に対して、演出照明を行わせる制御をする。
制御装置30は、以上の処理S30〜S32を、繰り返す(例えば、10分に1回の頻度で実行する)。
以上のように、本変形例では、照明空間7にいる人の数を検出する第1人数検出部22を備え、制御装置30は、第1人数検出部22によって検出された人の数が第3閾値よりも大きい場合に、照明装置10に演出照明を行わせる制御を停止する。
これにより、店舗等の照明空間7にいる人の数が多い場合に演出照明の制御が停止されるので、店舗にいる人に対して変化する照明を長時間行うことによって気分を悪くさせてしまうことが抑制される。
図10は、実施の形態の第4変形例に係る照明システム5cのレイアウト図である(ただし、本図では、ベース照明装置11の図示を省略している)。上記実施の形態の構成に、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)から所定の距離の範囲内にいる人の数を検出するための第2人数検出部24が追加されている。本変形例では、第2人数検出部24は、例えば、演出照明装置12の近くにいる人の数を検出するために演出照明装置12の近くに設置されたカメラであり、演出照明装置12から所定の距離(2m等)の範囲内にいる人を撮影した画像を制御装置30に出力する。なお、第2人数検出部24は、人の数を直接検出する装置だけでなく、カメラのように、人の数を検出するのに用いられる事象(例えば、画像)を取得するセンサも含まれる。つまり、第2人数検出部24は、人の数を検出するのに用いられる事象を取得するセンサと、そのセンサから得た情報に基づいて人の数を算出する演算部(本実施の形態では、制御装置30)とを合わせたものであってもよい。
図11は、本変形例に係る照明システム5cの動作を示すフローチャートである。本変形例では、照明装置10(ここでは、演出照明装置12)から所定の距離の範囲内にいる人が多い場合に、図5に示される演出照明制御を停止する。そのために、図5に示される演出照明制御と並行して(あるいは、加えて)、図11に示される以下の制御が実行される。
制御装置30は、演出照明装置12から所定の距離の範囲内にいる人の数(つまり、第2人数検出部24によって検出された人の数)が第4閾値よりも大きいか否かを判断する(S40)。例えば、制御装置30は、第2人数検出部24から送られてきた画像から人物抽出処理等を施すことで、演出照明装置12から所定の距離の範囲内にいる人の数を検出し、検出した人の数が第4閾値(例えば、3人)よりも大きいか否かを判断する。
その結果、演出照明装置12から所定の距離の範囲内にいる人の数が第4閾値よりも大きいと判断した場合には(S40でYes)、制御装置30は、図5に示される演出照明制御S10〜S14を停止する(S41)。つまり、制御装置30は、図5のステップS14に相当する通常照明を行う。
一方、演出照明装置12から所定の距離の範囲内にいる人の数が第4閾値よりも大きくないと判断した場合には(S40でNo)、制御装置30は、図5に示される演出照明制御S10〜S14を行う(S42)。つまり、制御装置30は、速度検出部20によって検出された速度が第1閾値よりも小さい場合にだけ、演出照明装置12に対して、演出照明を行わせる制御をする。
制御装置30は、以上の処理S40〜S42を、繰り返す(例えば、10分に1回の頻度で実行する)。
以上のように、本変形例では、照明装置10から所定の距離の範囲内にいる人の数を検出する第2人数検出部24を備える。制御装置30は、第2人数検出部24によって検出された人の数が第4閾値よりも大きい場合に、演出照明装置12に演出照明を行わせる制御を停止する。
これにより、演出照明装置12の近くに人がいる場合に演出照明の制御が停止されるので、より確実に、店舗にいる人に対して変化する照明を長時間行うことによって気分を悪くさせてしまうことが抑制される。
以上、本発明に係る照明システム及び照明装置の制御方法について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態に、第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例の全ての機能を追加した形態も、本発明に含まれる。
また、店舗がアパレルや雑貨店等の女性をターゲットにする店舗である場合には、店舗の前を通行する人を撮影するカメラを設け、通行人の属性(女性か男性か)に応じて、演出照明の制御を実行/停止してもよい。つまり、通行人が女性である場合に、図5に示された演出照明制御を実行し、通行人が男性である場合に、図5に示された演出照明制御を停止してもよい。
これにより、特に駅等の交通機関に隣接した、女性をターゲットとする店舗の場合には、駅を利用する通行人には男性が比較的多く含まれるために、このような属性を加味した制御により、意図するターゲットに絞り込んだ精度の高い制御が可能になる。なお、カメラ等を用いて通行人の属性を判断する場合には、判断にした後に画像を破棄することによって、人のプライバシーに配慮することができる。
また、制御装置30又は制御装置30と接続されたサーバ装置を用いて、各種条件(一日の時間帯、演出照明の態様)と演出照明を実行したことによる入店率の増減との関係を示すデータを蓄積し、分析してもよい。そして、入店率を増加させる可能性が高い条件が揃った場合にだけ、演出照明を実行してもよい。これにより、高い効率でアイキャッチが望まれるタイミングにだけ演出照明を行うことが可能になる。
また、上記実施の形態及び変形例では、照明空間7として、店舗内の空間が例示されたが、照明空間7は、これに限定されない。通行人へのアイキャッチを目的とする照明空間であれば、展示室、スポーツジム、教室等の各種施設内の空間であってもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、ベース照明装置11は直接照明によって照明空間7を照らすダウンライト等であり、演出照明装置12は間接照明によって照明空間7を照らすダウンライト等であったが、こられの照明態様及び器具に限定されない。ベース照明装置11及び演出照明装置12は、いずれも、直接照明及び間接照明のいずれであってもよいし、ベースライト等の他の照明態様及び器具であってもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、通行人の速度が第1閾値よりも小さいか否かの判断では、制御装置30は、地点Aを通過した人が地点Bを通過したことを検知し、その間の距離と時間とから算出した速度と第1閾値とを比較したが、これに限定されない。例えば、地点Aを通過した後、予め定められた時間が経過しても地点Bに到達しなかった場合に、通行人の速度が第1閾値よりも小さいと判断してもよい。本発明では、「人の速度を検出し、検出した人の速度が第1閾値よりも小さい場合」とは、このように、直接、速度を検出することなく、速度が第1閾値よりも小さいことを検出するケースも含まれる。このような検出方法により、全ての通行人の速度を測定する必要がなくなるので、制御装置30での処理負荷が軽減される。
また、上記実施の形態及び変形例では、歩行速度検知エリアの終点を示す地点B及び地点Dは、店舗の間口aよりも通行方向の上流に所定距離だけ離れた箇所に位置したが、これに限定されない。店舗の間口aにおける通行方向の上流側の端部であってもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、歩行速度検知エリアにいる人の歩行速度が第1閾値よりも小さいと判断した場合に、演出照明を開始したが、演出照明の開始タイミングは、これに限定されない。店舗の間口aにおける通行方向の上流側の端部に人を検知するセンサを設け、そのセンサが人を検知した場合に、演出照明を開始してもよい。これにより、店舗の前を通行する人が間口aに到達した時点で、確実に演出照明が開始される。
また、上記実施の形態及び変形例では、速度検出部20は、検知した人の位置を示す情報を出力する赤外線測距レーダーであったが、これに限定されない。人の速度を特定するのに必要な情報(速度、位置、移動距離等)を取得するセンサであれば、カメラ、超音波センサ等の他のセンサであってもよい。同様に、第1人数検出部22及び第2人数検出部24は、人の数を検出するために撮影した画像を出力するカメラあったが、これに限定されない。人の数を特定するのに必要な情報を取得するセンサであれば、人感センサ等の他のセンサであってもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、制御装置30と端末装置40とは別体の装置であったが、ライコン(ライトコントロール装置)のように、これらが一体になっていてもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、演出照明として、平均的な速度で通行する人が間口aを通過する時間を周期として、所定の色温度等の光の位置を移動させたり、複数の照明器具を同じ色温度等で、かつ、同じタイミングで徐々に変化させたりした。しかしながら、演出照明の態様は、このような照明の周期、及び、変化態様に限定されない。周囲の明るさや色温度によっては照明光の見え方が異なるために、照明の周期については、周囲の状況に依存して適切に決めればよい。また、色温度の変化幅等の変化態様についても、店舗の特性等に依存して適切に決めればよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、照明器具11a〜11i及び12a〜12fは、いずれも、同様の構成を備えたが、これに限定されない。例えば、ベース照明装置11を構成する照明器具11a〜11iは、演出照明装置12と異なり、色温度が固定の光源を備えてもよい。