[go: up one dir, main page]

JP2018054495A - 血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法 - Google Patents

血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018054495A
JP2018054495A JP2016191706A JP2016191706A JP2018054495A JP 2018054495 A JP2018054495 A JP 2018054495A JP 2016191706 A JP2016191706 A JP 2016191706A JP 2016191706 A JP2016191706 A JP 2016191706A JP 2018054495 A JP2018054495 A JP 2018054495A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
flow path
light
sensor chip
blood test
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016191706A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6911318B2 (ja
Inventor
祐輝 三宅
Yuki Miyake
祐輝 三宅
藤井 英之
Hideyuki Fujii
英之 藤井
野田 哲也
Tetsuya Noda
哲也 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2016191706A priority Critical patent/JP6911318B2/ja
Publication of JP2018054495A publication Critical patent/JP2018054495A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6911318B2 publication Critical patent/JP6911318B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/645Specially adapted constructive features of fluorimeters
    • G01N21/648Specially adapted constructive features of fluorimeters using evanescent coupling or surface plasmon coupling for the excitation of fluorescence
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

【課題】同一流路内において、標的物質の定量的計測を行うとともに、血液のヘマトクリット値を精度良く計測可能な血液検査用センサチップ、並びに、当該センサチップを使用した血液検査装置及び血液検査方法を提供する。【解決手段】本発明の血液検査用センサチップは、血液を流すための第1流路と、第1流路の上流又は下流に位置し、第1流路よりも流路の幅が広い第2流路とを有する。また、本発明の血液検査装置は、前記血液検査用センサチップと、前記血液検査用センサチップに光を照射する投光部と、前記血液検査用センサチップから出射した光の光量を測定する計測部とを有する。また、本発明の血液検査方法は、前記血液検査用センサチップを用いて、血液中に存在する標的物質を含む試料液を第1流路及び第2流路に供給し、第1流路を用いて前記標的物質の定量的計測を行うとともに、第2流路を用いて血液のヘマトクリット値を計測する。【選択図】図3

Description

本発明は、血液検査に使用する血液検査用センサチップ、並びに、当該センサチップを使用した血液検査装置及び血液検査方法に関するものである。具体的には、血液中に存在する特定の物質の定量的測定を行うとともに、血液のヘマトクリット値をも計測する血液検査用センサチップ、並びに、当該センサチップを使用した血液検査装置及び血液検査方法に関するものである。
血液中に存在する特定の物質(例えば、タンパク質、グルコースなど)の濃度等を測定して当該物質の情報を定量的に把握する血液検査は、種々の疾患の診断や治療において重要である。例えば、心筋細胞の壊死によりその細胞質に存在するトロポニンが血液中に逸脱することから、血液中のトロポニン濃度を把握することは、心筋梗塞の早期発見において大きな意味を持つ。
血液中に存在する特定の物質(以下、標的物質とする。)の情報を取得する手段として、微細流路を有するセンサチップを利用した計測方法がある。当該微細流路の中には、標的物質と反応する反応系が設けられており、血液由来の試料液等が微細流路内に供給され反応系と接触した場合、標的物質と反応系との反応が進行する。当該反応の結果に基づいて、標的物質の濃度等に応じた情報を取得することができる。
しかしながら、血球を含有する全血を試料液として使用した場合、標的物質の濃度等に応じた情報の検出結果が血液のヘマトクリット値に大きく影響される。ヘマトクリット値とは、血液中に占める赤血球の容積の割合を示す数値である。そのため、標的物質の濃度等の情報を正確に検出するためには、ヘマトクリット値に基づいて検出結果を補正する必要があり、ヘマトクリット値を正確に把握しなければならない。
そこで、特許文献1は、同一流路内において、血液中の特定成分の濃度を計測するとともに、血液のヘマトクリット値に基づいた補正値を光学的方法により計測し、計測された補正値に基づいて血液中の特定成分の濃度を補正する計測方法を提供している。
特許第4785611号公報
微細流路を有するセンサチップを利用した計測方法において、吸光度など光学的方法によってヘマトクリット値を計測する場合は、試料液を通過した測定光を検出する必要があるため、測定光の光路長は微細流路の寸法により制限されざるを得ない。
そして、下記式1によれば、試料液の吸光度Aは、試料液のモル吸光係数εと、試料液の濃度Cと、光路長lとの積で表すことができる。すなわち、一定のモル吸光係数ε、且つ、一定の濃度C下において、試料液の吸光度Aは光路lが短くなるに連れて減少していく。なお、式1において、Aは試料液の吸光度、Iは透過光強度、Iは入射光強度、εは試料液のモル吸光係数、Cは試料液の濃度、lは光路長である。
A=−log(I/I)=ε・C・l (1)
反応系に標的物質を集中させ反応効率を向上させる観点から、流路の高さは、反応可能な領域になるべく一致させ、無駄な空間を無くすべく、小さくすることが望ましい。しかしながら、特許文献1に開示されている発明のように、流路の底面に反応系が設けられ、流路の高さが測定光の光路長となっている場合、流路の高さを小さくすると、測定光の光路も短くなり、既述の通りに試料液の吸光度が減少することから、ヘマトクリット値の測定精度が低下する。
一方、光路長を増やそうとして流路高さを大きくすると、式1によれば試料液の吸光度が増大するにもかかわらず、測定光が試料液中の夾雑物による吸収、散乱等の影響を受けやすくなるため、ヘマトクリット値を精度良く計測することは依然として実現されない。
特に、トロポニンのような血液中においてそもそも希少な物質を標的物質とする場合、前述した測定精度の影響が顕著に現れ、ヘマトクリット値を計測することができたとしても、それは十分な精度を有するものではないため、得られたヘマトクリット値による補正を行って標的物質の濃度など正確な情報が取得することはできない。
更に、特許文献1に開示されているような発明は、波長の異なる複数の光源を必要とするため、測定方法ないし測定装置の構成自体が煩雑にならざるを得ないという問題点もある。
本発明の血液検査用センサチップは、血液を流すための第1流路と、前記第1流路の上流又は下流に位置し、前記第1流路よりも流路の幅が広い第2流路と、を有することを特徴とする。
本発明の血液検査装置は、血液を流すための第1流路と、前記第1流路の上流又は下流に位置し、前記第1流路よりも流路の幅が広い第2流路と、を有する血液検査用センサチップと、前記血液検査用センサチップに光を照射する投光部と、前記血液検査用センサチップから出射した光の光量を測定する計測部と、を有することを特徴とする。
本発明の血液検査方法は、血液を流すための第1流路と、前記第1流路の上流又は下流に位置し、前記第1流路よりも流路の幅が広い第2流路と、を有する血液検査用センサチップを用いて、前記血液中に存在する標的物質を含む試料液を、前記第1流路及び前記第2流路に供給し、前記第1流路を用いて前記標的物質の定量的計測を行うとともに、前記第2流路を用いて前記血液のヘマトクリット値を計測することを特徴とする。
本発明によれば、同一流路内において、標的物質の定量的計測を行うとともに、血液のヘマトクリット値を精度良く計測することが可能となる。また、本発明によれば、標的物質の定量的計測と血液のヘマトクリット値の計測とを、単純化した装置又は方法により行うことが可能となる。
計測装置の構成を示す模式図である。 制御演算部のブロック図である。 センサチップの断面図である。 入射光及び各被測定光の光路を示す模式図である。 計測装置の動作を説明するためのフローチャートである。 透過率の測定可能範囲と入射光の光路長との相関関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための一形態について説明する。なお、本実施形態は、標的物質の濃度を計測する方法として、抗原抗体反応を用いて標的物質を捕捉し、捕捉した標的物質に蛍光標識を付与し当該蛍光標識から発せられる蛍光強度を計測する表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光(SPFS)法を採用しているが、本発明はこの方法に限定されるものではない。例えば、標的物質の濃度の計測には、表面プラズモン共鳴(SPR)、蛍光イムノアッセイなどの方法を用いても良い。
(計測装置)
まずは、本実施形態に係る計測装置10の構成について説明する。
図1は、計測装置10の構成を示す模式図である。計測装置10は、血液中に存在するトロポニン(Tn)を標的物質とし、その濃度をSPFS法により計測するとともに、試料液の吸光度により血液のヘマトクリット(Hct)値をも計測するものである。ただし、標的物質としては、トロポニン以外にも、例えばシスタチン、Dダイマー(D-dimer)、BNP(B-type natriuretic peptide)、CRP(C-reactive protein)などを計測するようにしても良い。なお、試料液とは、受検者から直接に採取した血液、又はそれを、緩衝液などにより所望の濃度に希釈したものをいう。
図1に示すように、計測装置10は、投光部20と、計測部40と、制御演算部50と、搬送部80と、送液部90とからなる。計測の際、計測装置10本体にセンサチップ30が装着される。
投光部20は、図示しない光源と、光源から発せられた入射光41をセンサチップ30の反射面31aの所定位置に誘導する光路を構築するための各光学素子(図示しない)と、センサチップ30の反射面31aから出射する反射光44を受けるためのフォトダイオード21とからなる。
光源は、波長が200〜900nmの光を発生可能なレーザーダイオードであり、波長が500〜700nmの光を発生可能なものが特に好ましい。ただし、光源はレーザーダイオードに限定されず、波長が前述範囲内の光を発生可能なものであれば良い。例えば、波長が200〜900nmの光を発生可能なLEDであっても良い。光源が、波長が500〜700nmの光を発生可能なものである場合、光源から発せられた光は、Tnの濃度を計測するための励起光と、血液のHct値を計測するための測定光として兼用されることができる。これにより、1つの光源でTnの濃度と血液のHct値とを計測することが可能となり、計測装置を簡略化することが可能となる。ただし、異なる波長を発生可能な2つの光源を備え、計測の種別によって入射させる光源を選択可能なように構成されていても良い。
各光学素子は、図示しないが、Tnの濃度を計測する場合は、後述するトロポニン捕捉膜61の位置に対応するセンサチップ30の反射面31a上の領域に、Hct値を計測する場合はセンサチップ30の開口38に、所定の入射角θで入射するように入射光41を誘導する光路を形成している(センサチップ30の構造の詳細に関しては後述する)。ただし、これは光路を切り替えることで入射光41の当たる箇所を制御する場合である。各光学素子が一通りの光路のみ形成し、計測の種別によって光路を切り替えずに、センサチップ30を移動させて入射光41の当たる箇所を切り替えるように構成されていても良い。
フォトダイオード21は、反射光44の光路上に配置され、反射光44の光量を測定するものである。Tnの濃度を計測する場合、反射光44の光量が極小になる時の入射角たる共鳴角が、測定時の入射光41の入射角θとして特定される。なお、この場合、入射光41は、Tnに付与された蛍光標識を励起するいわゆる励起光として機能する。反射光44の光量によって入射光41(励起光)の入射角θの特定を行わない場合、フォトダイオード21を省略し、光吸収体等のものに置き換えても良い。
計測部40は、図示しないが、蛍光測定部と吸光度測定部と、2つの測定機構からなる。Tnの濃度を計測する場合、被測定光42は計測部40に出射し、蛍光測定部により光量が測定され、Hct値を計測する場合、被測定光42は計測部40に出射し、吸光度測定部により光量が測定される。
蛍光測定部は、受光素子として、光電子増倍管を備える。光電子増倍管は、Tnの濃度を計測する場合の被測定光42の光路上に配置され、被測定光42の光量を測定する。なお、この場合、被測定光42は、Tnに付与された蛍光標識から発せられたいわゆる表面プラズモン励起蛍光(被測定光42a)である。被測定光42aの光量は、Tnの濃度の特定に用いられる。
また、光電子増倍管は、散乱光43の光量をも測定するようにしても良い。この場合、散乱光43の光量は、Tnの濃度を計測する場合の入射光41の入射角θの特定に用いられ、散乱光43の光量が極大になる時の入射角たる増強角θrが、測定時の入射光41の入射角θとして特定される。入射光41の入射角θを、フォトダイオード21により既述のように特定する場合は、散乱光43の光量を測定する必要はない。
吸光度測定部は、受光素子として、光電子増倍管を備える。ただし、吸光度測定部の受光素子としては、CMOS(complementary metal-oxide-semiconductor)やフォトダイオードなどを使用しても良い。光電子増倍管は、Hct値を計測する場合の被測定光42の光路上に配置され、被測定光42の光量を測定する。なお、この場合、被測定光42は、試料液を通過した入射光41(被測定光42b)である。被測定光42bの光量は、血液のHct値の特定に用いられる。
吸光度測定部の受光素子として、光電子増倍管又はフォトダイオードを使用する場合、吸光度測定部は、蛍光測定部の光電子増倍管又はフォトダイオード21を用いて受光するように構成されていても良い。いずれの場合においても、2つの測定機構を用意する必要がなくなる。
搬送部80は、センサチップ30を着脱自在に保持するホルダーと、自在に移動可能な搬送ステージとからなる。計測を行う際、センサチップ30がホルダーに装着される。搬送ステージは、ホルダーに装着されたセンサチップ30を移動させ、計測光路から離れた反応位置A、又は計測光路上に位置する測定位置Bに配置する(測定装置の動作の詳細については後述する)。
送液部90は、シリンジポンプと、シリンジポンプを駆動する駆動機構と、試料液など液体を一時的に保持するピペットチップを所定の位置に移動させる移動機構とからなる。
シリンジポンプは、シリンジと、シリンジ内を往復運動可能なプランジャーとからなる。シリンジの先端にピペットチップが装着される。プランジャーの往復運動により液体が定量的に吸引又は吐出される。駆動機構は、プランジャーを往復運動させる手段であり、例えば、ステッピングモーターからなる。移動機構は、シリンジの先端に装着されたピペットチップを移動させる手段であり、例えば、ロボットアーム、2軸ステージ、又は上下動自在なターンテーブルからなる。
また、送液部90は、ピペットチップの先端の位置を検出する手段を更に有することが、センサチップ30におけるピペットチップの位置を相対的に調整する、及びセンサチップ30内の残液量を一定に管理する観点から好ましい。
制御演算部50は、CPUと、RAMと、記憶装置と(ROM、ハードディスク、不揮発性半導体メモリーなど)からなるコンピューターである。記憶装置には、制御演算部50に読取可能・実行可能なプログラムが格納されており、制御演算部50は、当該プログラムを実行することにより既述各部の動作を制御し所望の機能を実現させる。
図2は、制御演算部50のブロック図である。図2を用いて、制御演算部50の制御・演算機能について説明する。
制御演算部50は、図2に示すように、CPU51と、投光制御部52と、搬送制御部53と、送液駆動制御部54と、送液移動制御部55と、送液位置制御部56と、計測制御部57と、計測演算部58とを備える。
CPU51は、計測全体の制御を行い、必要に応じて後述する各制御部又は演算部を作動させる。投光制御部52は、所定の光源を照射させ所定の位置に入射させる。搬送制御部53は、搬送部80の搬送ステージを、計測光路から離れた反応位置A、又は計測光路上に位置する測定位置Bに移動させる。送液駆動制御部54は、シリンジポンプのプランジャーを移動させ、所定の液体を所定量、所定速度で吸引又は吐出する。送液移動制御部55は、シリンジの先端に装着されたピペットチップを所定の位置に移動させる。送液位置制御部56は、ピペットチップの先端位置を検出しそれを微調整する。計測制御部57は、Tnの濃度を計測する場合の表面プラズモン励起蛍光(被測定光42a)の光量測定を行うか、又はHct値を計測する場合の試料液の吸光度測定を行うかによって、対応する計測機構を切り替える。計測演算部58は、表面プラズモン励起蛍光の光量からTnの濃度を算出する処理と、試料液の吸光度から血液のHct値を算出する処理と、その他データの補正処理等を行う。
以上により、Tnの濃度と血液のHct値とを、単純化した装置により行うことが可能となる。
(センサチップ)
次に、本実施形態に係るセンサチップ30の構造について説明する。
図3は、センサチップ30の断面図である。センサチップ30は、図3に示すように、底面部材32と、流路シート33と、流路蓋35とからなる。
底面部材32は、台形を底面とする柱体である。ただし、底面部材32の形状は、これに限定されず、適宜変更することが可能である。図3に示すように、底面部材32は、支持部材32aと、プリズム32bとからなる。
支持部材32aは、アクリル樹脂からなる。ただし、支持部材32aの材料は、これに限定されず、入射光41に対して透明な材料であれば良い。プリズム32bは、入射光41に対して透明な誘電体からなる。プリズム32bの流路蓋35側の表面には、金属薄膜32cが形成されている。この金属薄膜32cが形成された領域に対応するプリズム32bの面を、反射面31aと称する。
金属薄膜32cは、金の薄膜である。ただし、金属薄膜32cの材料は、これに限定されず、表面プラズモン共鳴を生じさせる金属であれば良い。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、又はこれらの合金を含むものであっても良い。金属薄膜32cの膜厚は、特に限定されるものではないが、30〜70nmの範囲内が好ましい。
流路シート33は、底面部材32と流路蓋35とを接合する接着剤としての機能も兼ねる。流路シート33には、図示しないが、微細流路60を形成するための細長い開口である流路溝が形成されている。流路溝は、例えば幅が0.1〜5mmであり、長さが10〜50mmである。
流路蓋35は、アクリル樹脂からなる構造体である。ただし、流路蓋35の材料は、これに限定されず、入射光41及び被測定光42に対して透明な材料であれば良い。これにより、入射光41及び被測定光42が流路蓋35を通過する際に、散乱が低減する。なお、被測定光42とは、Tnの濃度を計測する場合は表面プラズモン励起蛍光(被測定光42a)であり、Hct値を計測する場合は試料液を通過した入射光41(被測定光42b)である。また、流路蓋35の材料として成型性の良いものを使用すれば、Hct値を計測する場合の被測定光42bの所望の光路長を確保することができる。
流路蓋35は、流路シート33を介して底面部材32と接合される。流路蓋35と底面部材32とが接合された際に、流路シート33が流路蓋35の流路シート33側の底面と底面部材32の流路蓋35側の表面とに挟まれて、流路シート33に形成された流路溝が微細流路60となる。微細流路60の高さは、後述するように、流路蓋35の流路シート33側の底面の構造に応じて変化するが、例えば0.1〜6mmである。微細流路60内には、Tnとの反応場となるトロポニン捕捉膜61が設けられている。トロポニン捕捉膜61は、Tnと特異的に反応するトロポニン捕捉抗体が金属薄膜32cに固定されてなる。Tnの濃度を計測する場合、Tnを含んだ試料液を微細流路60内に供給すれば、試料液とトロポニン捕捉膜61とが接触することにより、Tnは、トロポニン捕捉抗体と反応して捕捉され、トロポニン捕捉膜61に留まる。
微細流路60一方端は、ピペットチップを挿入するためのインターフェース36と接続されており、微細流路60の他方端は、液体を流路内を往復させる時に液体が撹拌されるようにするための混合槽37と接続されている。液体とは、計測に使用される各種試薬や試料液等のことを言い、例えば、試料液、測定液、洗浄液、蛍光標識液である。インターフェース36の微細流路60と接続されない開口には、インターフェース密閉シール36aが貼り付けられており、混合槽37の微細流路60と接続されない開口には、混合槽シール37aが貼り付けられている。混合槽シール37aには通気性を確保するための通気孔37bが設けられている。
インターフェース密閉シール36aは、ポリウレタンからなるフィルムである。ただし、インターフェース密閉シール36aの材質は、これに限定されず、ピペットチップをインターフェース36の中に挿入した際、ピペットチップとインターフェース密閉シール36aとが互いに密着して、インターフェース36を、液体を微細流路60内に供給できる程度に密閉することができるものであれば良い。例えば、インターフェース密閉シール36aの材質は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ナイロン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、シリコーン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)などであっても良い。
流路蓋35のインターフェース36側の底面には、微細流路60の高さを増やすための切り欠き38が設けられている。これにより、切り欠き38が設けられた箇所において、微細流路60の高さが、切り欠き38が設けられていない箇所より大きくなる。
図4は、入射光41及び被測定光42の光路を示す模式図である。図4に示すように、Tnの濃度を計測する場合、入射光41は、プリズム32bの図示しない入射面に入射し、微細流路60内に形成されたトロポニン捕捉膜61の位置に対応する反射面31a上の領域に当たるように入射され、被測定光42aは、計測部40に出射し、蛍光測定部にて光量が測定される。一方、Hct値を計測する場合、入射光41は、支持部材32aの流路蓋35側とは反対側の面から、微細流路60と切り欠き38とを通過するように入射され、被測定光42bは、計測部40に出射し、吸光度測定部にて光量が測定される。これにより、切り欠き38により微細流路60の高さが増えた分だけ、Hct値を計測する場合の入射光41の光路長が長くなる。
このHct値を計測する場合の入射光41の光路長ともなる部分の微細流路60の高さは、詳細については後述するが、例えば、切り欠き38が設けられていない部分の微細流路60の高さが0.1〜1mmであるのに対して、0.1mmを超えて6mm以下であることが好ましい。ただし、切り欠き38を設ける箇所は、これに限定されず、Hct値を計測する際の入射光41の方向によって適宜変更することが可能である。また、切り欠き38が設けられていない流路蓋35の底面の部分に隣接する切り欠き38の部分は、図3に示すように、角を持たない滑らかな構造とすれば、試料液等の液体を微細流路60から回収した際に、液体が流路蓋35の底面に付着して微細流路60内に残留してしまうことを防止することができる。
また、センサチップ30は、1以上の液体収容部を有する図示しない試薬チップに着脱自在に構成されている。計測を行う際、センサチップ30は試薬チップに装着され、試薬チップごとに搬送部80のホルダーに装着される。ただし、センサチップ30は、必ずしも試薬チップと一体化する必要はなく、試薬チップとは別々に用意し、センサチップ30のみが搬送部80のホルダーに装着されるように構成しても良い。また、センサチップ30又は試薬チップに、ピペットチップを収納する機能を有しても良い。
試薬チップの各液体収容部は、標的物質(トロポニン)を含む検体と、検体を希釈するための希釈液と、測定に実際に使用される試料液と、抗体等の活性を維持するための測定液と、夾雑物等を洗浄するための洗浄液と、標的物質(トロポニン)に蛍光標識を付与するための蛍光標識液と、血液中の血球成分を溶かすための溶血剤と、使用済みの前述した各液体である廃液とをそれぞれ収容する。検体は、受検者から直接に採取した血液である。希釈液は、BSA(bovine serum albumin)、Antifoam SI、NaN3、CMD(carboxymethyl-dextran)、HAMA(human anti-mouse antibodies)阻害剤、PBST(phosphate buffered saline with Tween 20)からなる。試料液は、希釈液により希釈された検体である。測定液は、BSA、Antifoam SI、NaN、Tween 20、PBS(phosphate buffered saline)からなる。洗浄液は、Antifoam SI、NaN、PBSTからなる。蛍光標識液は、CF660を標識した2次抗体、PBSTからなる。
(測定装置の動作)
次に、本実施形態に係る計測装置10の動作について説明する。図6は、計測装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
まずは、Tn濃度計測用の試料液と、Hct値計測用の試料液とを調製する(ステップS101)。具体的には、試薬チップの液体収容部に予め収納された検体と希釈液とを用いて、検体を所望の濃度に希釈する。
次に、微細流路60内を洗浄する(ステップS102)。具体的には、測定液を微細流路60内に供給し、微細流路60内を往復させる。測定液は、洗浄の機能も兼ねているため、これにより、微細流路60内が洗浄されるとともに、トロポニン捕捉膜61にトロポニン捕捉抗体の捕捉能力を長期間維持するための保護層が塗布されている場合、保護層が除去される。ただし、測定液の代わりに、洗浄液を用いて前述した微細流路60内の洗浄を行っても良い。また、トロポニン捕捉膜61に前述した保護層が塗布されておらず、且つ、微細流路60内及びトロポニン捕捉膜61が清潔である場合は、必ずしも洗浄を行う必要はない。
次に、測定液を回収せずに、測定液が微細流路60に満たされたまま増強角を走査する増強測定を行う(ステップS103)。この際、センサチップ30は測定位置Bに配置される。具体的には、入射角θを変更しつつ入射光41を走査させ、散乱光43の光量が極大になる時の入射角たる増強角を、Tnの濃度を計測する場合の入射光41の入射角θとして特定する。ただし、既述の通りに、入射角θを変更しつつ入射光41を走査させ、反射光44の光量が極小になる時の入射角たる共鳴角を、測定時の入射光41の入射角θとして特定しても良い。
次に、測定液を回収せずに、測定液が微細流路60に満たされたまま、Tnが存在しない時の蛍光強度を測定する蛍光ブランク測定を行う(ステップS104)。具体的には、トロポニン捕捉膜61の位置に対応する底面部材32の反射面31a上の領域に当たり、且つ、入射角θがステップS103にて特定された増強角となるように入射光41を入射させ、計測部40の蛍光測定部にて被測定光42aの光量を測定する。蛍光ブランク測定終了後、微細流路60内に供給された測定液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。
次に、Tnとトロポニン捕捉抗体とを結合させる1次反応を行う(ステップS105)。具体的には、Tn濃度計測用の試料液を微細流路60内に供給し、微細流路60内を往復させる。Tn濃度計測用の試料液中にはTnが存在するため、当該試料液が微細流路60に満たされた際、Tnはトロポニン捕捉膜61に存在するトロポニン捕捉抗体と接触し、特異的反応を起こして捕捉され、トロポニン捕捉膜61に留まる。反応に充分な時間が経過した後、当該試料液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。
次に、微細流路60内に非特異的に吸着したTnや夾雑物などを除去するために、微細流路60内を洗浄する(ステップS106)。具体的には、洗浄液を微細流路60内に供給し、微細流路60内を往復させる。洗浄終了後、洗浄液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。
次に、トロポニン捕捉膜61に捕捉されたTnに蛍光標識を付与する2次反応を行う(ステップS107)。具体的には、試薬チップの液体収容部に予め収納された蛍光標識液を微細流路60内に供給し、微細流路60内を往復させる。蛍光標識液が微細流路60に満たされた際、蛍光標識液とトロポニン捕捉膜61とが接触し、蛍光標識液中に存在する標識用蛍光物質とトロポニン捕捉抗体に捕捉されたTnとが結合し、トロポニン捕捉抗体に捕捉されたTnに蛍光標識が付与される。反応に充分な時間が経過した後、蛍光標識液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。
次に、微細流路60内に非特異的に吸着した標識用蛍光物質や夾雑物などを除去するために、微細流路60内を洗浄する(ステップS108)。具体的には、洗浄液を微細流路60内に供給し、微細流路60内を往復させる。洗浄終了後、洗浄液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。
次に、測定液を微細流路60内に供給し、トロポニン捕捉膜61に捕捉されたTnから発せられた蛍光のシグナルを測定する蛍光シグナル測定を行う(ステップS109)。具体的には、入射光41を、トロポニン捕捉膜61の位置に対応する底面部材32の反射面31a上の領域に当たり、且つ、入射角θがステップS103にて特定された増強角となるように入射させる。入射した入射光41は、底面部材32の反射面31aで反射されるが、反射する際、反射面31aから金属薄膜32c側にエバネッセント波が発生し浸透する。浸透したエバネッセント波の電場は、金属薄膜32cの表面プラズモンに共鳴し増強され、トロポニン捕捉膜61に捕捉されたTnに付与された蛍光標識を励起する。蛍光標識は、励起されると、表面プラズモン励起蛍光(被測定光42a)を放射する。制御演算部50は、計測部40の蛍光測定部に被測定光42aの光量を測定させ、測定された被測定光42aの光量に基づいてTnの濃度を特定する。
蛍光シグナル測定終了後、測定液を回収せずに、測定液が微細流路60に満たされたまま、試料液が存在しない時に光路を通過した入射光41の光量を測定する吸光度ブランク測定を行う(ステップS110)。この吸光度ブランク測定を行うことにより、Hct由来の吸光度変化のみを計測することが可能となる。具体的には、入射光41を、支持部材32aの流路蓋35側とは反対側の面から、微細流路60と切り欠き38とを通過し、且つ、入射角θが0度となるように入射させ、計測部40の吸光度測定部にて、計測部40に光路上に存在する測定液を通過した入射光41の光量を測定する。ただし、この場合の入射角は、支持部材32aと微細流路60との界面の臨界角未満であれば良く、特に限定されるものではない。吸光度ブランク測定終了後、微細流路60内に供給された測定液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。
次に、予め調製され、試薬チップの液体収容部に収納されているHct値計測用の試料液に、溶血剤を添加して混合させる(ステップS111)。溶血剤を試料液に添加することにより、血液中の血球成分が溶解し、その濃度分布がより均一になるため、吸光度測定におけるノイズが低減される。
次に、溶血剤が添加されたHct値計測用の試料液を微細流路60内に供給し、当該試料液の吸光度を測定する吸光度シグナル測定を行う(ステップS112)。具体的には、入射光41を、支持部材32aの流路蓋35側とは反対側の面から、微細流路60と切り欠き38とを通過し、且つ、入射角θが0度となるように入射させる。ただし、この場合の入射角は、支持部材32aと微細流路60との界面の臨界角未満であれば良く、特に限定されるものではない。入射した入射光41は、光路上に存在する試料液を通過し、計測部40に出射する。制御演算部50は、計測部40の吸光度測定部に試料液を通過し出射した光(被測定光42b)の光量を測定させ、測定された被測定光42bの光量に基づいて血液のHct値を特定する。吸光度シグナル測定終了後、微細流路60内に供給された試料液は制御演算部50の制御により微細流路60から回収され、試薬チップの廃液を収容する液体収容部に移転される。センサチップ30は廃棄される。
次に、制御演算部50は、蛍光ブランク測定及び吸光度ブランク測定の測定結果、並びに、蛍光シグナル測定及び吸光度シグナル測定により得られたTnの濃度及びHct値等に基づいて、Tn濃度の正確値を算出する後処理(ステップS113)を行い、計測を終了する。
また、本実施形態は、Hct値を計測する前にTnの濃度計測を行うことで、Hct値計測時にTnとトロポニン捕捉抗体とが反応してしまい、その後に行われるTnの濃度計測の計測精度を低下させてしまうことを防止することができる。ただし、本発明に係る測定方法は、この順序に限定されず、Tnとトロポニン捕捉抗体とが反応してしまうことを防止できれば、Tnの濃度計測の前にHct値の計測を行っても良い。
以上により、切り欠き38を設けることでHct値を計測する場合の入射光41の光路長が長くなるため、同一流路内において、Tnの濃度を計測するとともに、血液のHct値を精度良く計測することができ、蛍光光量測定及び吸光度測定といった単純な方法によりTnの濃度を正確に計測することが可能となる。
(Hct値を計測する場合の入射光の光路長と試料液濃度との関係)
切り欠き38が設けられており、Hct値を計測する場合の入射光41の光路長ともなる部分の微細流路60の高さは、以下に説明するように、Hct値計測用の試料液の濃度に合わせて、吸光度の分解能が最適になるように調整することできる。
既述の通りに、Hct値は、試料液の吸光度に基づいて特定される。Hct値を計測する場合、被測定光42bの光量が実際に測定され、既述の式1により、被測定光42b強度と入射光41強度との比率(I/I)を算出し試料液の吸光度Aを算出する。なお、被測定光42b強度と入射光41強度との比率(I/I)は、試料液の透過率Tである。そのため、試料液の透過率Tを精度良く測定することができれば、得られる吸光度Aの精度も向上し、Hct値を精度良く計測することが可能となる。
図6は、透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)と入射光41の光路長との相関関係を示すグラフである。
透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)とは、人の血液のHct値の通常範囲にわたって分布する既知のHct値を有する複数の検体を、所定の希釈倍率で希釈し、希釈して得た複数の試料液を異なる光路長にて測定した場合、同一光路長にて測定して得た最大の透過率Tmaxと最小の透過率Tminとの差をいう。同一希釈倍率で希釈して得た複数の試料液を異なる光路長にて測定して得た個々の透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)は、図6における同一希釈倍率の曲線をなす。
透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)が大きければ、測定によって得られる吸光度Aの精度、ひいてはHct値の精度が向上し、既存の設備を改造などすることなくHct値を精度良く計測することが可能となる。すなわち、透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)は、測定によって得られる吸光度Aの分解能を反映した指標の1つである。
表1は、各希釈倍率において、透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)が15%以上となる時の光路長の最大値(最大光路長)と、その最小値(最小光路長)と、それらと試料液の濃度C(希釈倍率の逆数)とのそれぞれの積C・l(最小積C・lmin及び最大積C・lmax)とを表すものである。既述の式1によれば、試料液の吸光度Aは、試料液のモル吸光係数εと、試料液の濃度Cと、光路長lとの積で表すことができることから、一定のε下では、試料液の吸光度Aは、試料液の濃度Cと光路長lとの積C・lに比例する。従って、同一希釈倍率において、最小積C・lminと最大積C・lmaxとは、吸光度Aを、透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)が15%以上となる条件下で測定可能な条件として、試料液濃度Cと光路長lとの2つの要因を含んだ指標である積C・lの下限と上限を、それぞれ表している。すなわち、同一希釈倍率において、積C・lが最小積C・lmin以上で最大積C・lmax以下となるように光路長lを設定すれば、透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)が15%以上となるように試料液の吸光度Aを測定することができ、Hct値を精度良く計測することが可能となる。
Figure 2018054495
更に、表1から分かるように、各希釈倍率における測定可能範囲(Tmax−Tmin)が15%以上となる積C・lの範囲の共通部分は、各最小積C・lminの中の最大値である26と、各最大積C・lmaxの中の最小値である156とにより規定される。この共通部分の範囲内に、すなわち、積C・lが26以上で156以下となるように光路長lを設定すれば、検体を1.5倍以上で24倍以下のどの希釈倍率で希釈して調製したものを試料液として使用しても、透過率の測定可能範囲(Tmax−Tmin)が15%以上となるように試料液の吸光度Aを測定することができ、Hct値を精度良く計測することが可能となる。ただし、各積C・lの具体的な数値は、厳密に限定されるものではなく、多少の誤差があっても、同様の効果を奏するものである。
一方、図6から分かるように、光路長lが増加するにつれて測定可能範囲(Tmax−Tmin)が大きくなるが、各希釈倍率下では、測定可能範囲(Tmax−Tmin)が最大となり、ひいては吸光度Aの分解能が最適となる最適光路長がそれぞれ存在する。表2は、希釈倍率が1.5倍、3倍及び6倍の場合における最適光路長を表すものである。これらの希釈倍率において、入射光41の光路長lを、表2に示す各々の最適光路長(具体的には、希釈倍率が1.5倍の場合は175μm、希釈倍率が3倍の場合は350μm、希釈倍率が6倍の場合は700μm)とすれば、その環境下において得られる最大の分解能にて吸光度Aを測定することができ、Hct値の精度を確保することが可能となる。ただし、最適光路長の具体的な数値は、厳密に限定されるものではなく、多少の誤差があっても、同様の効果を奏する。
Figure 2018054495
10 計測装置
20 投光部
30 センサチップ
40 計測部
50 制御演算部
80 搬送部
90 送液部
32 底面部材
32a 支持部材
32b プリズム
32c 金属薄膜
33 流路シート
35 流路蓋
38 切り欠き
60 微細流路
61 トロポニン捕捉膜
41 入射光
42 被測定光
43 散乱光
44 反射光

Claims (20)

  1. 血液を流すための第1流路と、
    前記第1流路の上流又は下流に位置し、前記第1流路よりも流路の幅が広い第2流路と、
    を有することを特徴とする血液検査用センサチップ。
  2. 前記第1流路中の前記血液に対して第1測定を行い、前記血液に関する第1情報を取得し、
    前記第2流路中の前記血液に対して第2測定を行い、前記血液に関する第2情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の血液検査用センサチップ。
  3. 前記第1情報は、前記血液中に存在する標的物質の濃度であり、
    前記第2情報は、前記血液のヘマトクリット値であることを特徴とする請求項2に記載の血液検査用センサチップ。
  4. 前記第1流路と前記第2流路とは、底面が同じ平面であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の血液検査用センサチップ。
  5. 波長が200〜900nmの光を通す材料からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の血液検査用センサチップ。
  6. アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項5に記載の血液検査用センサチップ。
  7. 前記第1流路の幅が0.1〜1mmであり、前記第2流路の幅が0.1mmを超え6mm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の血液検査用センサチップ。
  8. 前記第1流路の底面に、前記血液中に存在する標的物質と反応して前記標的物質を留める反応系が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の血液検査用センサチップ。
  9. 血液を流すための第1流路と、前記第1流路の上流又は下流に位置し、前記第1流路よりも流路の幅が広い第2流路と、を有する血液検査用センサチップと、
    前記血液検査用センサチップに光を照射する投光部と、
    前記血液検査用センサチップから出射した光の光量を測定する計測部と、
    を有することを特徴とする血液検査装置。
  10. 前記投光部及び計測部の動作を制御する制御部を更に有し、
    前記制御部は、前記第2流路の幅を前記光が通過するように、前記投光部に前記光を照射させることを特徴とする請求項9に記載の血液検査装置。
  11. 前記制御部は、前記第2流路の幅を前記光が通過するように、又は、前記第1流路に前記光が当たるように、前記投光部の動作を切り替えることを特徴とする請求項10に記載の血液検査装置。
  12. 前記計測部は、前記第2流路の幅を通過した前記光の光量を測定し、
    前記制御部は、前記第2流路の幅を通過した前記光の光量に基づいて前記血液のヘマトクリット値を計測することを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の血液検査装置。
  13. 前記血液検査用センサチップは、前記第1流路の底面に、前記血液中に存在する標的物質と反応して前記標的物質を留める反応系が設けられていることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の血液検査装置。
  14. 前記制御部は、前記反応系の反応結果に基づいて前記標的物質の濃度を行うことを特徴とする請求項13に記載の血液検査装置。
  15. 血液を流すための第1流路と、前記第1流路の上流又は下流に位置し、前記第1流路よりも流路の幅が広い第2流路と、を有する血液検査用センサチップを用いて、
    前記血液中に存在する標的物質を含む試料液を、前記第1流路及び前記第2流路に供給し、
    前記第1流路を用いて前記標的物質の定量的計測を行うとともに、前記第2流路を用いて前記血液のヘマトクリット値を計測することを特徴とする血液検査方法。
  16. 前記血液検査用センサチップに、前記第2流路の幅を通過するように光を照射して、前記試料液の吸光度を測定することで前記血液のヘマトクリット値を計測することを特徴とする請求項15に記載の血液検査方法。
  17. 前記第1流路の底面に、前記標的物質と反応して前記標的物質を留める反応系を設けて、前記反応系の反応結果に基づいて前記標的物質の濃度を行うことを特徴とする請求項15又は16に記載の血液検査方法。
  18. 前記試料液は、受検者から直接に採取した血液を希釈して得たものであり、
    前記第2流路の幅と、前記試料液における前記血液の濃度とは、前記試料液における前記血液の濃度が0.0417以上0.6667以下である場合、下記式(1)に示す関係にあることを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の血液検査方法。
    26<C・l<156 (1)
    なお、上記式(1)において、Cは前記試料液における前記血液の濃度で、即ち前記試料液を得るための前記血液の希釈倍率の逆数であり、lは前記第2流路の幅で、単位がμmである。
  19. 前記試料液を得るための前記血液の希釈倍率が1.5倍、即ち前記試料液における前記血液の濃度が0.6667である場合、前記第2流路の幅を175μmとし、
    前記試料液を得るための前記血液の希釈倍率が3倍、即ち前記試料液における前記血液の濃度が0.3333である場合、前記第2流路の幅を350μmとし、
    前記試料液を得るための前記血液の希釈倍率が6倍、即ち前記試料液における前記血液の濃度が0.1667である場合、前記第2流路の幅を700μmとすることを特徴とする請求項18に記載の血液検査方法。
  20. 前記血液のヘマトクリット値を計測する前に、前記標的物質の定量的計測を行うことを特徴とする請求項15から19のいずれか一項に記載の血液検査方法。
JP2016191706A 2016-09-29 2016-09-29 血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法 Active JP6911318B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016191706A JP6911318B2 (ja) 2016-09-29 2016-09-29 血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016191706A JP6911318B2 (ja) 2016-09-29 2016-09-29 血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018054495A true JP2018054495A (ja) 2018-04-05
JP6911318B2 JP6911318B2 (ja) 2021-07-28

Family

ID=61834040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016191706A Active JP6911318B2 (ja) 2016-09-29 2016-09-29 血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6911318B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019181808A1 (ja) 2018-03-22 2019-09-26 日本電気株式会社 灌漑水量測定装置、灌漑水量測定方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
WO2020031436A1 (ja) * 2018-08-06 2020-02-13 コニカミノルタ株式会社 脳性ナトリウム利尿ペプチドの測定方法および脳性ナトリウム利尿ペプチドの測定キット
JP2021153492A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 パイオニア株式会社 検出装置

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09105750A (ja) * 1995-10-09 1997-04-22 Kdk Corp ヘマトクリット値を補正した測定方法
JP2007303968A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Arkray Inc 血液試料中の特定成分の濃度測定方法および装置
JP2011080769A (ja) * 2009-10-02 2011-04-21 Rohm Co Ltd 円盤型分析チップおよびそれを用いた測定システム
JP2011137673A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Panasonic Corp 分析用デバイスとこれを使用する分析装置および分析方法
US20120329144A1 (en) * 2010-01-04 2012-12-27 Keumcheol Kwak Sample analysis cartridge and sample analysis cartridge reader
WO2014097877A1 (ja) * 2012-12-19 2014-06-26 コニカミノルタ株式会社 センサーチップおよびこれを用いたspfs免疫蛍光測定システム
WO2016047027A1 (ja) * 2014-09-24 2016-03-31 富士フイルム株式会社 蛍光検出方法および検出用試料セル
US20160202237A1 (en) * 2015-01-12 2016-07-14 Instrumentation Laboratory Company Spatial Separation of Particles in a Particle Containing Solution for Biomedical Sensing and Detection

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09105750A (ja) * 1995-10-09 1997-04-22 Kdk Corp ヘマトクリット値を補正した測定方法
JP2007303968A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Arkray Inc 血液試料中の特定成分の濃度測定方法および装置
JP2011080769A (ja) * 2009-10-02 2011-04-21 Rohm Co Ltd 円盤型分析チップおよびそれを用いた測定システム
JP2011137673A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Panasonic Corp 分析用デバイスとこれを使用する分析装置および分析方法
US20120329144A1 (en) * 2010-01-04 2012-12-27 Keumcheol Kwak Sample analysis cartridge and sample analysis cartridge reader
WO2014097877A1 (ja) * 2012-12-19 2014-06-26 コニカミノルタ株式会社 センサーチップおよびこれを用いたspfs免疫蛍光測定システム
WO2016047027A1 (ja) * 2014-09-24 2016-03-31 富士フイルム株式会社 蛍光検出方法および検出用試料セル
US20160202237A1 (en) * 2015-01-12 2016-07-14 Instrumentation Laboratory Company Spatial Separation of Particles in a Particle Containing Solution for Biomedical Sensing and Detection

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019181808A1 (ja) 2018-03-22 2019-09-26 日本電気株式会社 灌漑水量測定装置、灌漑水量測定方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
WO2020031436A1 (ja) * 2018-08-06 2020-02-13 コニカミノルタ株式会社 脳性ナトリウム利尿ペプチドの測定方法および脳性ナトリウム利尿ペプチドの測定キット
EP3819638A4 (en) * 2018-08-06 2021-11-03 Konica Minolta, Inc. METHOD FOR MEASURING NATRIURETIC PEPTID OF BRAIN AND KIT FOR MEASURING NATRIURETIC PEPTID OF BRAIN
JP2021153492A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 パイオニア株式会社 検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6911318B2 (ja) 2021-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6369533B2 (ja) 測定方法および測定装置
US10495576B2 (en) Surface-plasmon enhanced fluorescence measurement method, surface-plasmon enhanced fluorescence measurement device, and analytical chip
JP6587024B2 (ja) 検出方法および検出装置
WO2017082089A1 (ja) 表面プラズモン共鳴蛍光分析方法および表面プラズモン共鳴蛍光分析装置
EP3321688B1 (en) Detection device and detection method
JP6888548B2 (ja) 測定方法
JP6648764B2 (ja) 反応方法
JP6838612B2 (ja) 検査チップ及び検査システム
JP6856074B2 (ja) 測定方法、測定装置および測定システム
JP6911318B2 (ja) 血液検査用センサチップ、血液検査装置及び血液検査方法
WO2017057136A1 (ja) 表面プラズモン励起増強蛍光分光測定方法、および測定用キット
JP6848975B2 (ja) 測定方法
JP6642592B2 (ja) 送液方法、ならびにこれを行う検出システムおよび検出装置
JP6460104B2 (ja) 測定チップ、測定方法および測定装置
JP6922907B2 (ja) 反応方法、ならびにこれを行う反応システムおよび反応装置
JP6943262B2 (ja) 送液システム、検査システム及び送液方法
JP6493412B2 (ja) 検出装置および検出方法
JP6481371B2 (ja) 検出方法および検出キット
JP7469309B2 (ja) 測定方法および測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190327

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190708

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20191011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200507

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210621

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6911318

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350