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JP2018048858A - グリース劣化診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリースの劣化診断を容易に行うこと。
【解決手段】グリース劣化診断装置1のセンサ部12は、超音波を送信する送信部15と、送信部15と対向配置されて超音波を受信する受信部16と、を有している。伝搬損失測定部は、受信部16の出力信号に基づいて、溝31に配置されたグリース40における超音波の伝搬損失量を測定する。判定部は、伝搬損失量を、グリース40の基油率に応じて劣化の判定基準として設定された基準損失量と比較し、その比較結果に基づいて、グリース40の状態を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、グリース劣化診断装置に関するものである。
従来から、グリースは、駆動部の潤滑と気密を保つために使用される。例えば、スイッチギヤ(SWG)等の電力機器において、遮断器等の操作機構部にグリースが塗布されている。グリースの経年劣化は、操作機構部における動作不良を招く。このため、例えば操作機構部にセンサを取り付け、グリースの劣化を検出することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4172386号公報
ところで、上記の電力機器の操作機構部は、その部品点数が多く、複雑な構造であるため、センサを取り付けることが難しい場合がある。また、複数の操作機構部を有する電力機器の場合、各操作機構部にセンサを取り付けることは難しい。このため、グリースの劣化診断を容易に実施することが望まれている。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、グリースの劣化診断を容易に行うことを可能としたグリース劣化診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するグリース劣化診断装置は、基油を含むグリースの劣化を診断するグリース劣化診断装置であって、超音波を送信する送信部と、前記グリースが配置されるグリース充填部を挟んで前記送信部と対向配置されて前記超音波を受信する受信部と、を有するセンサ部と、前記受信部の出力信号に基づいて、前記グリース充填部に配置された前記グリースにおける前記超音波の伝搬損失量を測定する伝搬損失測定部と、前記伝搬損失量に基づいて、前記グリースの状態を判定する判定部と、を備えた。
この構成によれば、対向して配置された送信部と受信部との間に配置されるグリースにおける超音波の伝搬損失量が測定され、測定された伝送損失量に基づいて、グリースの劣化の判定が行われる。基油率は、グリース重量に占める基油の重量割合である油分率である。グリースに含まれる基油が減少すると、グリースは性能が低下し、劣化が進む。グリースにおける伝搬損失量は、グリースの基油率の減少に応じて増加する。従って、送信部と受信部との間にグリースを配置して伝搬損失量を測定することにより、グリースの劣化診断を容易に行うことができる。
上記のグリース劣化診断装置において、前記センサ部は、互いに対向する面を有する第1のベース部及び第2のベース部を有し、前記第2のベース部は前記第1のベース部と対向する方向に沿って移動可能に支持された第2のベース部と、を有し、前記送信部と前記受信部のいずれか一方は、前記第1のベース部から前記第2のベース部に向かって突出して配置され、前記送信部と前記受信部のいずれか他方は前記第2のベース部から前記第1のベース部に向かって突出して配置されたことが好ましい。
この構成によれば、送信部と受信部とが、第1のベース部と第2のベース部の互いに対向する面から突出して配置されたことで、送信部から送信される超音波は、第1及び第2のベース部等に漏洩し難く、受信部にて受信される。たとえば、漏洩した超音波が受信部にて受信されると、その漏洩した超音波は、グリースの伝搬損失量の測定に影響し、測定結果に誤差を生じさせる。この点、上記の構成では、超音波が漏洩し難いため、測定誤差の発生を抑制することができる。
上記のグリース劣化診断装置は、前記グリース充填部を有し、前記送信部と前記受信部との間に配置されるとともに前記送信部と前記受信部とにより挟持され、前記超音波が伝搬し難い材料からなる治具を備えることが好ましい。
この構成によれば、グリース充填部を有する治具によって、そのグリース充填部に配置されたグリースを送信部と受信部との間に容易に配置することができる。そして、治具は超音波が伝搬し難い材料からなるため、治具の影響を受けることなく、その治具のグリース充填部に配置されたグリースにおける伝送損失量を測定することができる。
上記のグリース劣化診断装置は、前記送信部と前記受信部の少なくとも一方の先端面に、前記治具が当接される位置決め部を備えたことが好ましい。
この構成によれば、位置決め部によって送信部と受信部との間に治具が位置決めされ、その治具に配置されたグリースが、送信部と受信部との間に容易に位置決めされる。
上記のグリース劣化診断装置において、前記センサ部は、前記送信部と前記受信部とを連結して一体的に封止したベース部を備え、前記伝搬損失測定部は、前記送信部に供給する送信信号と、前記受信部から出力される受信信号とに基づいて前記送信部と前記受信部との間の伝搬損失をベクトルとして得るネットワークアナライザを備え、前記グリースが前記送信部と前記受信部との間に配置されたときに得られる第1のベクトルと、前記グリースが配置されていないときに得られる第2のベクトルとに基づいて、前記グリースを通過した前記超音波の第3のベクトルを算出し、前記第3のベクトルに基づいて前記伝搬損失量を算出することが好ましい。
送信部から送信される超音波は、送信部及び受信部を一体的に封止したベース部を伝搬して受信部に到達する。このベース部に漏洩した超音波による伝搬損失は、グリースを通過する超音波における伝搬損失に対してバックグランドノイズ(BGN)となり、グリースの伝搬損失量に測定誤差を生じさせる要因となる。
上記の構成によれば、グリースを配置したときの第1のベクトルとグリースを配置していないときの第2のベクトルとをベクトル演算することにより、グリースを通過した超音波による第3のベクトルが得られる。この第3のベクトルは、漏洩した超音波による伝搬損失を含まない。このため、グリースにおける伝搬損失量を精度よく求めることができる。
本発明のグリース劣化診断装置によれば、グリースの劣化診断を容易に行うことができる。
(a)は第1実施形態のグリース劣化診断装置の概略図、(b)は治具の説明図、(c)はセンサ部に治具をセットした状態を示す一部断面図。 第1実施形態のグリース劣化診断装置のブロック図。 基油率と伝搬損失の対応を示す特性図。 比較例のグリース劣化診断装置の一部ブロック図。 比較例のグリース劣化診断装置の動作を示す特性図。 第2実施形態のグリース劣化診断装置のブロック図。 第2実施形態における伝搬損失測定を示すベクトル図。
以下、各形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態のグリース劣化診断装置1は、検出器10と診断装置20と治具30から構成されている。検出器10と診断装置20は、無線によって互いに通信可能に構成されている。
検出器10は、後述する超音波を送信する送信部15と、送信部15から送信される超音波を受信する受信部16とを備えている。送信部15と受信部16との間には、治具30が挿入される。治具30は、グリースを送信部15と受信部16との間に配置するために使用される。
グリースは、現地、例えばスイッチギヤ(SWG)等の電力機器が接地された場所において、電力機器に含まれる遮断器等の操作機構部から採取されたものである。操作機構部には、走査機構部を円滑に動作させるための潤滑剤としてグリースが使用されている。操作機構部から採取された少量のグリースは、治具30によって検出器10の送信部15と受信部16との間に配置される。
診断装置20は、たとえばタブレット型のコンピュータである。検出器10は、診断装置20からの測定開始指令に基づいて検出処理を開始する。そして、検出器10は、送信部15における超音波の送信レベルと、受信部16における受信結果(受信した超音波の受信レベル)とを診断装置20に送信する。診断装置20は、検出器10から送信レベルと受信レベルとを受信する。そして、診断装置20は、送信レベルと受信レベルとに基づいて、グリースにおける伝搬損失量を算出する。そして、診断装置20は、伝搬損失量に基づいてグリースの劣化を診断する。
検出器10は、装置本体11と、装置本体に取着されたセンサ部12とを備えている。
センサ部12は、第1及び第2のベース部13,14と、送信部15と、受信部16とを備えている。
第1のベース部13は、略L字状に形成され、装置本体11の側面に取着されている。第1のベース部13と第2のベース部14は、略コ字状をなすように組み合わされている。従って、第1のベース部13と第2のベース部14の先端部分は、同一方向(図において右方向)に延びている。第2のベース部14は、第1のベース部13と対向する方向(図において上下方向)に沿って移動可能にベース部13に取着されている。そして、第2のベース部14は、第1のベース部13に内設された図示しない弾性部材(例えばバネ)によって第1のベース部13に向かって付勢されている。
第1のベース部13には送信部15が取着され、第2のベース部14には受信部16が取着されている。送信部15と受信部16は、それぞれ先端面が対向するように第1のベース部13と第2のベース部14とにそれぞれ取着されている。また、送信部15は、その先端部が第1のベース部13から第2のベース部14に向かって突出するように取着されている。受信部16は、その先端部が第2のベース部14から第1のベース部13に向かって突出するように取着されている。そして、第1のベース部13と第2のベース部14は、送信部15の先端面と受信部16の先端面との間に所定の間隔(ギャップ)を形成するように配設されている。さらに、受信部16は、第2のベース部14の移動によって送信部15に対して離間する方向に移動する。
送信部15と受信部16との間には、治具30が挿入配置される。治具30は、グリースを送信部15と受信部16との間に配設するために利用される。
図1(b)は、治具30の一例を示す。治具30は、略コ字状に形成されている。治具30には、グリース充填部としての溝31が形成されている。この溝31には、図示しない電力機器の操作機構部から採取されたグリース40が充填される。治具30は、超音波を伝搬し難い材料からなり、このような材料としては、例えば発泡スチロールが用いられる。
図1(c)に示すように、送信部15の先端面に位置決め部15aが形成されている。同様に、受信部16の先端面に位置決め部16aが形成されている。両位置決め部15a,16aは、例えば受信部16から送信部15を視た場合に、治具30の溝31を、送信部15の中心に配置するように、送信部15及び受信部16に対して治具30を位置決めする。そして、治具30は、前述の弾性部材によって、送信部15と受信部16との間に挟み込まれる。
次に、グリース劣化診断装置1の電気的構成を説明する。
図2に示すように、検出器10は、送信部15と、受信部16と、制御部17とを備えている。
制御部17は、送信部15を制御し、送信部15から、数MHz(例えば、3〜3.5MHzの範囲内の周波数)の超音波を送信させる。受信部16は、送信部15から送信されグリース40を透過した超音波を受信する。制御部17は、無線通信機能を有し、送信部15における送信レベルと、受信部16における受信レベルとを診断装置20に送信する。
診断装置20は、伝搬損失測定部21と、判定部22と、表示部23とを備えている。
伝搬損失測定部21は、無線通信機能を有し、送信部15から送信される送信レベルと受信レベルとを受信する。伝搬損失測定部21は、送信部15における送信レベルと、受信部16における受信レベルとの差、即ち「受信レベル−送信レベル」から、グリース40の透過による伝搬損失量を測定する。そして、伝搬損失測定部21は、測定した伝搬損失量を判定部22に出力する。
判定部22には、基準損失量が設定されている。判定部22は、伝搬損失測定部21にて測定された伝搬損失量と基準損失量とを比較し、比較結果に基づいて、グリース40の劣化を判定する。
例えば、判定部22には、診断対象のグリースに応じた基準損失量が設定されている。基準損失量は、グリースを劣化と判定するためのしきい値である。グリースは、基油、基油を保持するための増ちょう剤、及び添加剤で構成されている。基油が消失すると、グリースは、初期性能を保持できなくなり劣化が進展する。グリース重量に占める基油の重量割合である油分率を基油率とする。グリースにおける伝搬損失量は、グリースの基油率の減少に応じて増加する。この基油率が所定値(例えば、50パーセント)より小さいとき、採取したグリースが劣化していると判定する。そして、この所定値の基油率に対する伝搬損失量を基準損失量とする。判定部22は、算出した伝搬損失量と基準損失量とを比較し、比較結果に基づいて、採取したグリースの劣化を判定する。なお、劣化と判定する基油率は適宜変更されてもよい。
なお、基油率と伝搬損失の関係は、グリースの種類毎に異なる。すなわち、基油率が同一であっても、グリースの種類が異なると伝搬損失も異なる。このため、グリースの種類に応じて基準損失量が設定される。
図3に、基油率と伝搬損失との関係を示す。図3において、横軸は基油率、縦軸は伝搬損失である。図3に示す丸印は、基油率の異なるサンプルを作成し、そのサンプルにより測定した伝搬損失量を示す。このようなサンプルの測定に基づいて、基油率が所定量(例えば50%)のときの伝搬損失量を基準損失量として設定する。
(比較例)
ここで、本実施形態に対する比較例を説明する。なお、上記の実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。
図4に示すように、比較例のグリース劣化診断装置100は、送信部15と受信部16とを一体的に支持するベース部101を備えている。ベース部101は、金属製のケースであり、送信部15及び受信部16を封止するように形成されている。伝搬損失測定部102は、送信部15を制御し、その送信部15から超音波を送信させる。そして、伝搬損失測定部102は、受信部16の出力信号に基づいて、送信部15と受信部16との間に配置されたグリース41による伝搬損失を測定する。
この比較例では、送信部15から送信された超音波は、図において破線L11にて示すように、グリース41を介して受信部16に到達する。また、送信部15から送信された超音波は、図において破線L12にて示すように、金属製のベース部101を介して受信部16に到達する。従って、受信部16の出力信号は、グリース41を通過した超音波(破線L11)と、ベース部101を通過した超音波(破線L12)とを含むものとなる。
図5は、伝搬損失量が異なる2つのグリースの基油率の伝搬損失の特性を示す。この例では、グリースDAは、グリースDBよりも伝搬損失が少ない。グリースDBにおいて、基油率に対する伝搬損失の変化は、所定の伝搬損失量より低下しない。これは、上述の漏洩した超音波の受信レベルにより、グリースDBを透過した超音波の受信レベルがマスクされてしまったことによるものと考えられる。このような場合、グリースDBの劣化を診断することは難しい。なお、漏洩した超音波の影響がないときのグリースDBの特性を一点鎖線にて示している。
次に、本実施形態のグリース劣化診断装置1の作用を説明する。
本実施形態は、図1(a)に示すように、送信部15と受信部16とがベース部13,14からそれぞれ互いに対向する方向に突出して配置されている。このため、送信部15から送信される超音波は、ベース部13,14に漏洩し難い。従って、受信部16では、送信部15からグリース40を透過した超音波が受信される。このため、伝搬損失の大きなグリース(例えば、図5に示すグリースDB)であっても、受信部16における受信レベルは、グリースの基油率に応じた伝搬損失量にて変化する。従って、グリースの伝搬損失量を精度よく測定することができる。そして、その測定した伝搬損失量に基づいてグリースの劣化診断を行うことができる。
本実施形態のグリース劣化診断装置1は、図1(a)〜(c)に示すように、治具30にグリースを取着し、その治具30を送信部15と受信部16との間に配置してグリース40の伝搬損失量を測定する。このため、電力機器の操作機構部から採取した僅かな量(例えば、0.05cc)のグリースにより、そのグリースの劣化を診断することができる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1−1)グリース劣化診断装置1aのセンサ部12は、超音波を送信する送信部15と、送信部15と対向配置されて超音波を受信する受信部16と、を有している。伝搬損失測定部21は、受信部16の出力信号に基づいて、溝31に配置されたグリース40における超音波の伝搬損失量を測定する。判定部22は、伝搬損失量を、グリース40の基油率に応じて劣化の判定基準として設定された基準損失量と比較し、その比較結果に基づいて、グリース40の状態を判定する。
したがって、対向して配置された送信部15と受信部16との間に配置されるグリース40における超音波の伝搬損失量が測定され、測定された伝送損失量と基準損失量とに基づいて、グリース40の劣化の判定が行われる。基油率は、グリース重量に占める基油の重量割合である油分率である。グリース40に含まれる基油が減少すると、グリース40は性能が低下し、劣化が進む。グリース40における伝搬損失量は、グリース40の基油率の減少に応じて増加する。従って、送信部15と受信部16との間にグリース40を配置して伝搬損失量を測定することにより、グリース40の劣化診断を容易に行うことができる。
(1−2)センサ部12は、ベース部13と、ベース部13と同じ方向に延び、ベース部13と対向する方向に沿って移動可能に支持された第2のベース部14と、を有している。送信部15及び受信部16は、ベース部13と第2のベース部14の対向する面から互いに対向する方向に突出して配置されている。
送信部15と受信部16とが、ベース部13とベース部14の互いに対向する面から突出して配置されたことで、送信部15から送信される超音波は、ベース部13,14等に漏洩し難く、受信部16にて受信される。たとえば、漏洩した超音波が受信部16にて受信されると、その漏洩した超音波は、グリース40の伝搬損失量の測定に影響し、測定結果に誤差を生じさせる。この点、上記の構成では、超音波が漏洩し難いため、測定誤差の発生を抑制することができる。
(1−3)治具30は、溝31を有し、送信部15と受信部16との間に配置されるとともに送信部15と受信部16とにより挟持される。治具30は、超音波が伝搬し難い材料からなる。
これにより、溝31を有する治具30によって、その溝31に配置されたグリース40を送信部15と受信部16との間に容易に配置することができる。そして、治具30は超音波が伝搬し難い材料からなるため、治具30の影響を受けることなく、その治具30の溝31に配置されたグリース40における伝送損失量を測定することができる。
(1−4)送信部15と受信部16の少なくとも一方の先端面に、治具30が当接される位置決め部15a,16aを備える。このため、位置決め部15a,16aによって送信部15と受信部16との間に治具30を位置決めし、その治具30に配置されたグリース40を、送信部15と受信部16との間に容易に位置決めすることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態のグリース劣化診断装置1aは、センサ部12aと、伝搬損失測定部21aと、判定部22とを備えている。
センサ部12aは、送信部15と、受信部16と、送信部15と受信部16とを一体的に支持するベース部50とを備えている。ベース部50は、金属製のケースであり、送信部15及び受信部16を封止するように形成されている。伝搬損失測定部21aは、送信部15を制御し、その送信部15から超音波を送信させる。そして、伝搬損失測定部21aは、受信部16の出力信号に基づいて、送信部15と受信部16との間に配置されたグリース42による伝搬損失量を測定する。
伝搬損失測定部21aは、例えばネットワークアナライザを含む。この伝搬損失測定部21aは、送信部15における送信信号と、受信部16における受信信号とに基づいて、送信部15と受信部16との間の伝搬損失のベクトルを測定する。そして、伝搬損失測定部21aは、測定したベクトルに基づいて、グリース42の伝搬損失量を算出し、その伝搬損失量を判定部22に出力する。
判定部22は、伝搬損失測定部21aにて測定された伝搬損失量と基準損失量とを比較し、比較結果に基づいて、グリース42の劣化を判定する。
次に、グリース42の伝搬損失量の算出を説明する。
図6に示すセンサ部12において、送信部15から送信された超音波は、図において破線にて示すように、グリース42を介して受信部16に到達する。また、送信部15から送信された超音波は、金属製のベース部50を介して受信部16に到達する。従って、受信部16の出力信号は、グリース42を通過した超音波(破線)と、ベース部50を通過した超音波とを含むものとなる。
ベース部50に漏洩する信号は、受信部16から出力される受信信号におけるバックグランドノイズ(Back-Ground Noise:以下BGN)となる。このBGNは、伝搬損失の大きなグリースを透過した超音波の受信信号をマスクする。伝搬損失測定部21aは、グリース42を配置したときのベクトル(第1のベクトル)Bと、グリース42を配置しないときのベクトル(第2のベクトル)Gと、を測定する。そして、ベクトルB,Gに基づいて、グリース42における伝搬損失のベクトル(第3のベクトル)Bxを算出する。このベクトルBxは、グリース42のみによる伝搬損失を示す。このベクトルBxによる伝搬損失量を真値Bxとする。つまり、伝搬損失測定部21aは、2つのベクトルB,Gを測定し、これらのベクトルB,Gに基づいて、グリース42における伝搬損失量(真値Bx)を算出する。
図7は、ベクトルB,G,Bxの関係を示す。図7において、横軸は実軸、縦軸は虚軸である。
ベクトルB,Gの間には、ある角度が生じる。この角度は、非誘電体であるベース部50を伝搬した超音波と、誘電体であるグリース42を伝搬した超音波との合成による伝搬損失であるベクトルBと、非誘電体であるベース部50を伝搬した超音波の伝搬損失であるベクトルGとの位相差によって生じるものである。
また、ベクトルBとベクトルGは、超音波の周波数の変化に対して、I(実部)とQ(虚部)を両軸とする極座標上で回転するが、任意の周波数に対しては、図7に示す関係が成り立つ。つまり、ベクトルBは、ベクトルGとベクトルBxのベクトル合成であり、下記の複素量の式が成り立つ。
ベクトルBの実部Bi及び虚部Bqと、ベクトルBxの実部Bxi及び虚部Bxqは、次式のようになる。
グリース42の伝搬損失のベクトルBxは、下記の式で表される。
従って、真値Bx、つまりグリース42を通過した超音波の振幅は、次式により得られる。
このようにして、グリース42における伝搬損失量(真値Bx)が得られる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(2−1)センサ部12aは、送信部15と受信部16とを連結して一体的に封止したベース部50を備えている。伝搬損失測定部21aはネットワークアナライザを備え、送信部15に供給する送信信号と、受信部16から出力される受信信号とに基づいて送信部15と受信部16との間の伝搬損失をベクトルとして得る。伝搬損失測定部21aは、グリース42が送信部15と受信部16との間に配置されたときに得られるベクトルBと、グリース42が配置されていないときに得られるベクトルGとに基づいて、グリース42を通過した超音波のベクトルBxを算出し、ベクトルBxに基づいてグリース42における伝搬損失量を算出する。
送信部15から送信される超音波は、送信部15及び受信部16を一体的に封止したベース部50を伝搬して受信部16に到達する。このベース部50に漏洩した超音波による伝搬損失は、グリース42を通過する超音波における伝搬損失に対してバックグランドノイズ(BGN)となり、グリース42の伝搬損失量に測定誤差を生じさせる要因となる。
上記の構成によれば、グリース42を配置したときのベクトルBとグリース42を配置していないときのベクトルGとをベクトル演算することにより、グリース42を通過した超音波によるベクトルBxが得られる。この第3のベクトルBxは、漏洩した超音波による伝搬損失を含まない。このため、グリース42における伝搬損失量を精度よく求めることができる。
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施形態において、グリース劣化診断装置1,1aの構成を適宜変更してもよい。例えば、第1実施形態では、検出器10と診断装置20を別体としたが、検出器と診断装置とを一体としてもよい。また、第2実施形態において、伝搬損失測定部21aをスカラネットワークアナライザとしてもよい。
・第2実施形態において、治具を用いて送信部15と受信部16との間にグリースを配置するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、電力機器の操作機構部から採取したグリースの劣化を診断するようにしたが、他の機器から採取したグリースの劣化を診断するようにしてもよい。
・上記実施形態に対し、第1のベース部13に受信部16を取着し、第2のベース部14に送信部15を取着してもよい。
・上記各実施形態において、治具30の形状を適宜変更してもよい。
・上記各実施形態では、伝搬損失量に基づいて劣化を判定しているが、予め取得した「基油率−損失量」特性に基づいて損失量を基油率に換算し、基油率に基づいて劣化を判定してもよい。
・上記実施形態に対し、外気温度変動対策として、予め取得したグリースの基油率毎の「温度−損失量」特性に基づいて、一定温度における換算などの温度補正を行ってもよい。
1,1a…グリース劣化診断装置、13,14…ベース部、15…送信部、16…受信部、21…伝搬損失測定部、22…判定部、30…治具、31…溝(グリース充填部)、40…グリース。

Claims (5)

  1. 基油を含むグリースの劣化を診断するグリース劣化診断装置であって、
    超音波を送信する送信部と、前記グリースが配置されるグリース充填部を挟んで前記送信部と対向配置されて前記超音波を受信する受信部と、を有するセンサ部と、
    前記受信部の出力信号に基づいて、前記グリース充填部に配置された前記グリースにおける前記超音波の伝搬損失量を測定する伝搬損失測定部と、
    前記伝搬損失量に基づいて、前記グリースの状態を判定する判定部と、
    を備えたことを特徴とするグリース劣化診断装置。
  2. 前記センサ部は、互いに対向する面を有する第1のベース部及び第2のベース部を有し、前記第2のベース部は前記第1のベース部と対向する方向に沿って移動可能に支持され、前記送信部と前記受信部のいずれか一方は、前記第1のベース部から前記第2のベース部に向かって突出して配置され、前記送信部と前記受信部のいずれか他方は前記第2のベース部から前記第1のベース部に向かって突出して配置されたこと、を特徴とする請求項1に記載のグリース劣化診断装置。
  3. 前記グリース充填部を有し、前記送信部と前記受信部との間に配置されるとともに前記送信部と前記受信部とにより挟持され、前記超音波が伝搬し難い材料からなる治具を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のグリース劣化診断装置。
  4. 前記送信部と前記受信部の少なくとも一方の先端面に、前記治具が当接される位置決め部を備えたことを特徴とする請求項3に記載のグリース劣化診断装置。
  5. 前記センサ部は、前記送信部と前記受信部とを連結して一体的に封止したベース部を備え、
    前記伝搬損失測定部は、前記送信部に供給する送信信号と、前記受信部から出力される受信信号とに基づいて前記送信部と前記受信部との間の伝搬損失をベクトルとして得るネットワークアナライザを備え、前記グリースが前記送信部と前記受信部との間に配置されたときに得られる第1のベクトルと、前記グリースが配置されていないときに得られる第2のベクトルとに基づいて、前記グリースを通過した前記超音波の第3のベクトルを算出し、前記第3のベクトルに基づいて前記伝搬損失量を算出すること、
    を特徴とする請求項1に記載のグリース劣化診断装置。
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