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JP2018044078A - 含フッ素弾性共重合体組成物および架橋ゴム - Google Patents

含フッ素弾性共重合体組成物および架橋ゴム Download PDF

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JP2018044078A
JP2018044078A JP2016180346A JP2016180346A JP2018044078A JP 2018044078 A JP2018044078 A JP 2018044078A JP 2016180346 A JP2016180346 A JP 2016180346A JP 2016180346 A JP2016180346 A JP 2016180346A JP 2018044078 A JP2018044078 A JP 2018044078A
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武志 山田
健 射矢
Takeshi Iya
健 射矢
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Abstract

【課題】圧縮永久ひずみが低減された架橋ゴムを得ることができ、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる含フッ素弾性共重合体組成物;および、圧縮永久ひずみが低減され、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる架橋ゴムの提供。【解決手段】ヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体と、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体と、有機過酸化物とを含む、含フッ素弾性共重合体組成物;および、含フッ素弾性共重合体組成物が架橋した、架橋ゴム。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素弾性共重合体組成物、およびこれを架橋した架橋ゴムに関する。
含フッ素弾性共重合体を架橋した架橋ゴムは、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性等に優れることから、炭化水素系材料が耐えられないような過酷な環境下での使用に適している。含フッ素弾性共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体等が知られている。
含フッ素弾性共重合体は高価であることから、含フッ素弾性共重合体と安価なエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体とをブレンドした含フッ素弾性共重合体組成物が提案されている(特許文献1)。
また、含フッ素弾性共重合体とエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体とをブレンドすることによって、架橋ゴムの圧縮永久ひずみが改善されることも知られている(特許文献2)。
特許第4524977号公報 特開2009−29892号公報
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体等の含フッ素弾性共重合体は、着色成分で着色される前から、黒色から茶色を呈しているものもある。そのため、含フッ素弾性共重合体組成物を黒色以外の明るい色(白色、赤色、青色、黄色、これらの混色等)に着色した場合、色がくすみ、目的の色が得られない。そのため、含フッ素弾性共重合体組成物は、通常、黒色に着色して使用される。
本発明は、圧縮永久ひずみが低減された架橋ゴムを得ることができ、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる含フッ素弾性共重合体組成物;および、圧縮永久ひずみが低減され、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる架橋ゴムを提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>ヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体と、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体と、有機過酸化物とを含む、含フッ素弾性共重合体組成物。
<2>着色成分をさらに含む、前記<1>の含フッ素弾性共重合体組成物。
<3>前記含フッ素弾性共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、プロピレンに基づく単位とを有する、前記<1>または<2>の含フッ素弾性共重合体組成物。
<4>前記含フッ素弾性共重合体が、下記単量体(a)に基づく単位と、下記単量体(b)に基づく単位と、下記単量体(c)に基づく単位とを有する、前記<1>または<2>の含フッ素弾性共重合体組成物。
単量体(a):テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレンおよびペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群から選ばれる1種以上。
単量体(b):下式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上。
CR=CR−R−CR=CR (I)
ただし、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基、または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基の末端または炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
単量体(c):エチレンおよびプロピレンからなる群から選ばれる1種以上。
<5>前記<1>〜<4>のいずれかの含フッ素弾性共重合体組成物が架橋した、架橋ゴム。
本発明の含フッ素弾性共重合体組成物は、圧縮永久ひずみが低減された架橋ゴムを得ることができ、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる。
本発明の架橋ゴムは、圧縮永久ひずみが低減され、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる。
以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
また、テトラフルオロエチレンをTFE、ヘキサフルオロプロピレンをHFP、フッ化ビニリデンをVdF、クロロトリフルオロエチレンをCTFE、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)をPAVE、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)をPMVE、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)をPPVEと記す。
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体をEPDMと記す。
本明細書における以下の用語の意味は、以下の通りである。
「単位」とは、単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位をいう。単位は、単量体の重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素原子−炭素原子間においてエーテル結合(−O−)を形成する酸素原子をいう。
<含フッ素弾性共重合体組成物>
本発明の含フッ素弾性共重合体組成物は、ヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体(以下、共重合体(X)とも記す。)と、EPDMと、有機過酸化物とを含む。
本発明の含フッ素弾性共重合体組成物は、着色成分(顔料、有色の充填材、有色の補強材等)をさらに含むことが好ましい。
本発明の含フッ素弾性共重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて架橋助剤、金属酸化物、着色成分以外の充填材または補強材、共重合体(X)以外の他の樹脂等の他の成分を含んでいてもよい。
(共重合体(X))
共重合体(X)としては、たとえば、下記のものが挙げられる。
・ヨウ素原子を有するVdF−HFP共重合体(特開昭53−125491号公報)。
・ヨウ素原子を有するTFE−P共重合体(特開平5−222130号公報、特許第5321580号公報等)。
・TFE、HFP、VdF、CTFEおよびPAVEからなる群から選ばれる1種以上の単量体に基づく単位と、クロトン酸ビニル、アジピン酸ビニルおよび1,4−ブタンジオールジビニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の単量体に基づく単位と、必要に応じてエチレンおよびプロピレンからなる群から選ばれる1種以上の単量体に基づく単位とを有し、かつヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体(国際公開第2010/053056号)。
・後述する単量体(a)に基づく単位と、後述する単量体(b)に基づく単位と、後述する単量体(c)に基づく単位とを有し、かつヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体(以下、共重合体(X1)とも記す)。
共重合体(X)としては、架橋ゴムの機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐油性および耐候性に優れる点から、TFEに基づく単位と、プロピレンに基づく単位とを有し、かつヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体が好ましい。
共重合体(X)としては、圧縮永久ひずみが充分に低減された架橋ゴムを得ることができる点から、後述する共重合体(X1)が好ましい。以下、共重合体(X1)について詳細に説明する。
(共重合体(X1))
共重合体(X1)は、ヨウ素原子を有するとともに、単量体(a)に基づく単位(A)、単量体(b)に基づく単位(B)および単量体(c)に基づく単位(C)を有する。
共重合体(X1)は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて単量体(a)、単量体(b)および単量体(c)以外の他の単量体(d)に基づく単位(D)を有していてもよい。
単量体(a)は、TFE、HFP、VdF、CTFEおよびPAVEからなる群から選ばれる1種以上である。
単量体(a)としては、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性が優れる点から、TFE、HFP、VdFおよびPAVEからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、TFEが特に好ましい。
PAVEとしては、化合物(II)が好ましい。
CF=CF−O−R (II)
ただし、Rは、炭素数1〜8のペルフルオロアルキル基、または炭素数2〜8のペルフルオロアルキル基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
の炭素原子数は、1〜6が好ましく、1〜5がより好ましい。
PAVEの具体例としては、PMVE、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、PPVE、ペルフルオロ(3,6−ジオキサ−1−ヘプテン)、ペルフルオロ(3,6−ジオキサ−1−オクテン)、ペルフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサ−1−ノネン)等が挙げられる。
単量体(b)は、化合物(I)からなる群から選ばれる1種以上である。
CR=CR−R−CR=CR (I)
ただし、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基、または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基の末端または炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
、R、R、R、RおよびRとしては、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性および架橋ゴムの耐熱性を高める点から、フッ素原子または水素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
は、直鎖であってもよく、分岐であってもよく、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる点から、直鎖が好ましい。
の炭素数は、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる点から、2〜8が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜6がさらに好ましく、3〜5が特に好ましい。
におけるエーテル性酸素原子の数は、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる点から、0〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
単量体(b)としては、たとえば、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基の両末端の各々に、直接またはエーテル性酸素原子を介して、ビニル基、アリル基またはブテニル基が結合した化合物等が挙げられる。
単量体(b)としては、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる点から、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CH=CH(CFCH=CHが好ましい。
単量体(c)は、エチレンおよびプロピレンからなる群から選ばれる1種以上である。単量体(c)としては、プロピレンが好ましい。
他の単量体(d)としては、含フッ素系単量体、非フッ素系単量体、ヨウ素原子を有する単量体が挙げられる。
含フッ素系単量体としては、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、ペルフルオロシクロブテン、(ペルフルオロアルキル)エチレン(CH=CHCF、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCF、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCF等)等が挙げられる。
非フッ素系単量体としては、α−オレフィン(イソブチレン、ペンテン等)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等)等が挙げられる。
ヨウ素原子を有する単量体に基づく単位を有することによって、共重合体(X1)の側鎖にヨウ素原子を導入できる。
ヨウ素原子を有する単量体としては、ヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ビニロキシエタン、2−ヨードエチルビニルエーテル、アリルヨージド、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(ペルフルオロビニロキシ)プロパン、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、2−ヨードペルフルオロ(エチルビニルエーテル)等が挙げられる。
単位(A)と単位(C)とのモル比[(A)/(C)]は、30/70〜99/1が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。(A)/(C)が前記範囲内にあれば、架橋ゴムの耐熱性、耐薬品性、耐油性および耐候性に優れる。
単位(B)の割合は、共重合体(X1)の全単位100モル%のうち、0.1〜1.5モル%が好ましく、0.15〜0.8モル%がより好ましく、0.25〜0.6モル%がさらに好ましい。単位(B)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性がさらに優れ、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる。単位(B)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、架橋ゴムとしての優れた物性を維持しつつ、高温下で折り曲げ等の応力が加えられた場合の割れを確実に防ぐまたはより一層低減できる。
共重合体(X1)が単位(D)をさらに有する場合、単位(D)の割合は、共重合体(X1)の全単位100モル%のうち、0.001〜2.0モル%が好ましく、0.01〜1.0モル%がより好ましく、0.01〜0.5モル%が特に好ましい。
共重合体(X1)における単位(A)および単位(C)の好ましい組み合わせとしては、下記(x1)〜(x4)が挙げられる。含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性に優れ、架橋ゴムの機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐油性および耐候性に優れる点から、(x1)、(x2)、(x4)がより好ましく、(x1)が特に好ましい。
(x1):TFEに基づく単位(以下、TFE単位とも記す)と、プロピレンに基づく単位(以下、P単位とも記す)との組み合わせ。
(x2):TFE単位と、P単位と、VdFに基づく単位(以下、VdF単位とも記す)との組み合わせ。
(x3):TFE単位と、P単位と、PPVEに基づく単位(以下、PPVE単位とも記す)との組み合わせ。
(x4):TFE単位と、P単位と、PMVEに基づく単位(以下、PMVE単位とも記す)との組み合わせ。
(x1)〜(x4)における各単位の割合は、下記モル比が好ましい。各単位の割合が下記モル比であれば、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性がさらに優れ、架橋ゴムの機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐油性および耐候性がさらに優れる。
(x1):TFE単位/P単位=40/60〜60/40(モル比)。
(x2):TFE単位/P単位/VdF単位=40〜59/59〜40/1〜10(モル比)。
(x3):TFE単位/P単位/PPVE単位=30〜60/10〜40/10〜40(モル比)。
(x4):TFE単位/P単位/PMVE単位=30〜60/10〜40/10〜40(モル比)。
共重合体(X1)中のヨウ素原子は、共重合体(高分子鎖)の末端にあることが好ましい。高分子鎖の末端とは、主鎖の末端および分岐鎖の末端の両方を含む概念とする。
ヨウ素原子の含有量は、共重合体(X1)100質量%のうち、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%がさらに好ましい。ヨウ素原子の含有量が前記範囲内にあれば、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性がさらに優れ、架橋ゴムの機械特性がさらに優れる。また、共重合体(X1)が黒色から茶色を呈することを充分に抑えることができる。
共重合体(X1)の貯蔵弾性率G’は、100kPa〜600kPaが好ましく、200kPa〜500kPaがより好ましく、200kPa〜400kPaがさらに好ましい。貯蔵弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。
貯蔵弾性率G’は、ASTM D5289およびD6204にしたがい、温度:100℃、振幅:0.5度、振動数:50回/分の条件下で測定される値である。
(共重合体(X1)の製造方法)
共重合体(X1)は、たとえば、ラジカル重合開始剤、およびRI(ただし、Rは炭素数3以上のアルキレン基またはペルフルオロアルキレン基である。)で表されるヨード化合物の存在下、単量体(a)、単量体(b)および単量体(c)を共重合することによって製造できる。
単量体(b)を共重合させると、重合中に単量体(b)の両末端にある重合性二重結合の一部が反応し、分岐鎖を有する共重合体(X1)が得られる。
RIは、炭素数3以上のアルキレン基またはペルフルオロアルキレン基の両末端にヨウ素原子が結合した化合物である。
RIは、連鎖移動剤として機能するため、RIの存在下で各単量体を共重合させると、共重合体(X1)の主鎖末端および分岐鎖末端にヨウ素原子を結合させることができる。
RIの具体例としては、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,8−ジヨードオクタン、1,3−ジヨードペルフルオロプロパン、1,4−ジヨードペルフルオロブタン、1,6−ジヨードペルフルオロヘキサン、1,8−ジヨードペルフルオロオクタン等が挙げられる。
RIの炭素数は、3〜8が好ましい。
RIとしては、ペルフルオロアルキレン基を有するヨード化合物がより好ましく、1,4−ジヨードペルフルオロブタンが特に好ましい。
RIの存在量は、共重合体(X1)の製造量によって適宜調整される。RIの存在量は、共重合体(X1)100質量部に対して、0.005〜10質量部が好ましく、0.02〜5質量部がより好ましい。
重合方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が挙げられる。重合方法としては、共重合体(X1)の分子量および各単位の割合の調整が容易で、生産性に優れる点から、乳化剤およびラジカル重合開始剤の存在下に水性媒体中で単量体を共重合する乳化重合法が好ましい。
水性媒体としては、水、または水溶性有機溶媒を含む水が好ましい。
水溶性有機溶媒としては、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等が挙げられ、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
水性媒体が水溶性有機溶媒を含む場合、水溶性有機溶媒の含有量は、水の100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
水性媒体のpHは、7〜14が好ましく、7〜11がより好ましく、7.5〜11がさらに好ましく、8〜10.5が特に好ましい。pHが前記範囲の下限値以上であれば、RIの安定性が充分に保たれ、共重合体(X1)の架橋反応性が充分に保たれる。
水性媒体のpHを前記範囲に保持する期間は、乳化重合の重合開始から重合終了の間の全重合期間であることが好ましいが、全重合期間でなくても構わない。pHを前記範囲に保持する期間は、全重合期間の80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
pHの調整には、pH緩衝剤を用いることが好ましい。pH緩衝剤としては、無機塩等が挙げられる。無機塩としては、リン酸塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等)、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等)等が挙げられる。リン酸塩の好ましい具体例としては、リン酸水素二ナトリウム2水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物等が挙げられる。
乳化剤としては、共重合体(X1)のラテックスの機械的および化学的安定性が優れる点から、イオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤がより好ましい。
アニオン性乳化剤としては、炭化水素系乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、含フッ素アルキルカルボン酸およびその塩(ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、ペルフルオロヘキサン酸アンモニウム、ω−ヒドロペルフルオロオクタン酸アンモニウム等)、化合物(III)、CFO(CFO)CFCOONH(ただし、nは2または3である。)等が好ましい。
F(CFO(CF(Z)CFO)CF(Z)COOA (III)
ただし、Zは、フッ素原子または炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基であり、Aは、水素原子、アルカリ金属またはNHであり、pは、1〜10の整数であり、qは、0〜3の整数である。
pは、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。qは、0〜2が好ましく、1〜2がより好ましい。Aは、水素原子、NaまたはNHが好ましく、NHがより好ましい。
AがNHである化合物(III)の具体例としては、下記のものが挙げられる。
CFOCFCFOCFCOONH
CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COONH
F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COONH
F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
F(CFOCFCFOCFCOONH
F(CFO(CFCFO)CFCOONH
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH
乳化剤の含有量は、水性媒体の100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.1〜2質量部がさらに好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、水溶性重合開始剤、レドックス重合開始剤等が挙げられる。
水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)、有機系重合開始剤(ジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等)等が挙げられる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウムがより好ましい。
水溶性重合開始剤の含有量は、単量体の合計の質量に対して、0.0001〜3質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。
レドックス重合開始剤としては、過硫酸塩と還元剤とを組み合せた重合開始剤が挙げられる。レドックス重合開始剤としては、重合温度が0℃〜60℃の範囲で各単量体を重合可能な重合開始剤が好ましい。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸のアルカリ金属塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウムが好ましい。還元剤としては、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等が挙げられる。還元剤としては、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩が好ましく、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム塩が特に好ましい。
レドックス重合開始剤には、第三成分として、少量の鉄、鉄塩、硫酸銀等を共存させることが好ましく、水溶性鉄塩を共存させることがより好ましい。
水溶性鉄塩の具体例としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム等が挙げられる。
レドックス重合開始剤には、キレート剤を加えることが好ましい。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩が好ましい。
レドックス重合開始剤における、過硫酸塩の使用量は、水性媒体中に0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましい。還元剤の使用量は、水性媒体中に0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%が特に好ましい。第三成分の使用量は、水性媒体中に0.0001〜0.3質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましく、0.01〜0.1質量%が特に好ましい。キレート剤の使用量は、水性媒体中に0.0001〜0.3質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましく、0.01〜0.1質量%が特に好ましい。
重合圧力、重合温度等の重合条件は、単量体の組成、ラジカル重合開始剤の分解温度等によって適宜選択される。
重合圧力は、1.0〜10MPaGが好ましく、1.5〜5.0MPaGがより好ましく、2.0〜4.0MPaGがさらに好ましい。重合圧力が前記範囲の下限値以上であれば、重合速度が充分に保たれ、反応を制御しやすく、生産性に優れる。重合圧力が前記範囲の上限値以下であれば、汎用される廉価な重合設備で製造できる。
重合温度は、0〜60℃が好ましく、10〜50℃がより好ましく、20〜40℃がさらに好ましい。重合温度が前記範囲内にあれば、架橋反応性に優れる共重合体(X1)が容易に得られ、架橋ゴムの機械特性に優れる。
重合速度は、10〜100g/L・時間が好ましく、5〜70g/L・時間がより好ましく、30〜50g/L・時間がさらに好ましい。重合速度が前記範囲の下限値以上であれば、実用的な生産性である。重合速度が前記範囲の上限値以下であれば、共重合体(X1)の分子量が充分に高くなり、架橋反応性にも優れる。
乳化重合法で得られた共重合体(X1)を反応液から単離する方法としては、公知の方法で凝集させる方法が挙げられる。凝集方法としては、ラテックスを含む反応液に金属塩を添加して塩析する方法;ラテックスを含む反応液に塩酸等の無機酸を添加する方法;ラテックスを含む反応液を機械的に剪断する方法;ラテックスを含む反応液を凍結して解凍する方法等が挙げられる。
単離された共重合体(X1)は、オーブン等の乾燥装置を用いて乾燥されることが好ましい。乾燥温度は、60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。乾燥温度が前記範囲内にあれば、乾燥された共重合体(X1)の架橋反応性がさらに優れ、架橋ゴムの機械特性がさらに優れる。
(EPDM)
EPDMは、エチレンに基づく単位(以下、E単位とも記す)、P単位および非共役ジエンに基づく単位を有する。
EPDMは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じてE単位、P単位および非共役ジエン以外の他の単量体に基づく単位を有していてもよい。
非共役ジエンとしては、フッ素原子を有しない非共役ジエンが好ましく、エチリデンノルボルネン(以下、ENBと記す。)、ジシクロペンタジエンがより好ましい。
E単位の割合は、EPDMの全単位100質量%のうち、40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%がより好ましく、48〜60質量%がさらに好ましい。
非共役ジエンに基づく単位の割合は、EPDMの全単位100質量%のうち、2〜15質量%が好ましく、3〜12.5質量%がより好ましく、4〜10.5質量%がさらに好ましい。
EPDMとしては、液状から固体状のEPDMが好ましい。
EPDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、5〜90が好ましく、5〜65がより好ましく、5〜55がさらに好ましい。
EPDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)が低いと、成形性に優れる含フッ素弾性共重合体組成物を得ることができる。この場合のEPDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、5〜30が好ましく、5〜20がより好ましく、5〜15がさらに好ましい。
(有機過酸化物)
有機過酸化物は、含フッ素弾性共重合体やEPDMを架橋させる成分である。
有機過酸化物としては、ジアルキルペルオキシド類、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ブチルペルオキシソプロピルカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物としては、ジアルキルペルオキシド類が好ましい。
ジアルキルペルオキシド類としては、ジtert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
(着色成分)
着色成分としては、顔料、有色の充填材、有色の補強材等が挙げられる。
着色成分としては、カーボンブラック、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、クレー、タルク、ベンガラ、亜鉛華、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、ウォラストナイト、その他の無機着色剤、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等の有機着色剤等が挙げられる。
(他の成分)
架橋助剤は、含フッ素弾性共重合体組成物の架橋反応性を向上させる成分である。
架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリアリルトリメリテート、m−フェニレンジアミンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラアリルテレフタールアミド、ビニル基含有シロキサンオリゴマー(ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等)等が挙げられる。架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
金属酸化物は、受酸材として架橋反応を速やかにかつ確実に進行させる成分である。
金属酸化物としては、2価金属の酸化物が好ましい。2価金属の酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等が挙げられる。
着色成分以外の充填材または補強材としては、ガラス繊維、アラミド繊維、ガラス珠等が挙げられる。
他の樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、E−TFE共重合体、TFE−VdF共重合体等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体組成物は、EPDM用老化防止剤を含まないことが好ましい。含フッ素弾性共重合体組成物がEPDM用老化防止剤を含む場合、含フッ素弾性共重合体組成物との相溶性が悪く、架橋ゴムのブルーム不良の原因となることが多い。
(各成分の配合量)
EPDMの配合量は、共重合体(X)の100質量部に対して1〜300質量部が好ましく、5〜200質量部がより好ましく、10〜100質量部がさらに好ましい。EPDMの配合量が前記範囲の下限値以上であれば、EPDMによる効果が充分に発揮される。EPDMの配合量が前記範囲の上限値以下であれば、架橋ゴムを製造する際のガスの発生量が少なくなる。
有機過酸化物の配合量は、共重合体(X)とEPDMの合計量100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。有機過酸化物の配合量が前記範囲内にあれば、架橋速度が適切であり、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる。
着色成分の配合量は、共重合体(X)とEPDMの合計量100質量部に対して、1〜300質量部が好ましく、2〜200質量部がより好ましく、5〜100質量部がさらに好ましい。
架橋助剤の配合量は、共重合体(X)とEPDMの合計量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、2〜10質量部がさらに好ましい。架橋助剤の配合量が前記範囲内にあれば、架橋速度が適切であり、架橋ゴムの引張強さおよび圧縮永久ひずみがさらに優れる。
(作用機序)
以上説明した本発明の含フッ素弾性共重合体組成物にあっては、EPDMを含むため、含フッ素弾性共重合体のみを架橋した架橋ゴムに比べ、圧縮永久ひずみが低減された架橋ゴムを得ることができる。
また、以上説明した本発明の含フッ素弾性共重合体組成物にあっては、含フッ素弾性共重合体がヨウ素原子を有するため、架橋反応性が優れ、含フッ素弾性共重合体が黒色から茶色を呈することが抑えられている。そのため、含フッ素弾性共重合体組成物を黒色以外の明るい色(白色、赤色、青色、黄色、これらの混色等)に着色した場合であっても、色がくすむことがなく、目的の色が得られる。
<架橋ゴム>
本発明の架橋ゴムは、本発明の含フッ素弾性共重合体組成物が架橋したものである。
本発明の架橋ゴムの圧縮永久ひずみは、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましい。圧縮永久ひずみの下限値は特に限定されず、好ましくは0%である。
圧縮永久ひずみは、JIS K 6262:2013(対応国際規格ISO 815−1:2008およびISO 815−2:2008)に準じ、100℃および70時間の条件で測定される。
本発明の架橋ゴムの引張強さは、8MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましく、12MPa以上がさらに好ましい。引張強さの上限値は特に限定されず、たとえば100MPa程度である。
引張強さは、JIS K 6251:2010(対応国際規格ISO 37:2005)に準じ、架橋ゴムを厚さ2mmのシート状に成形し、3号ダンベルで打ち抜き試料を作製し、25℃で測定される。
(架橋ゴムの製造方法)
架橋ゴムは、共重合体(X)、EPDM、有機過酸化物、および必要に応じて着色成分、架橋助剤等を配合した含フッ素弾性共重合体組成物を調製し、該組成物を加熱して、共重合体(X)およびEPDMを有機過酸化物によって架橋することによって製造できる。
含フッ素弾性共重合体組成物を調製する際に各材料を混合する装置としては、ロール、ニーダ、バンバリーミキサ、押出機等のゴム用混合装置が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体組成物の成形方法としては、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法、カレンダ成形法等が挙げられる。含フッ素弾性共重合体組成物を溶媒に溶かしたものを基材の表面にディッピング、コーティング等によって塗布してもよい。
含フッ素弾性共重合体組成物の架橋方法としては、熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋等の種々の方法が挙げられる。架橋方法は、成形体の形状や用途を考慮して適宜選択される。架橋温度は、100〜400℃が好ましい。架橋時間は、数秒〜24時間が好ましい。
含フッ素弾性共重合体組成物を熱プレスする方法によって、含フッ素弾性共重合体組成物を成形すると同時に架橋してもよく;含フッ素弾性共重合体組成物をあらかじめ成形して成形体を得た後、成形体を架橋してもよい。
含フッ素弾性共重合体組成物を加熱して1次架橋してなる架橋ゴムを、さらに加熱して2次架橋することが好ましい。2次架橋によって、架橋ゴムの機械特性、圧縮永久ひずみ、その他の特性を安定化したり、向上させたりすることができる。2次架橋の際の加熱条件は、100〜300℃で30分間〜48時間が好ましい。
含フッ素弾性共重合体組成物を架橋する方法としては、放射線を照射する方法も好ましい。照射する放射線としては、電子線、紫外線等が挙げられる。電子線照射における照射量は、0.1〜30Mradが好ましく、1〜20Mradがより好ましい。放射線照射によって架橋する場合には、含フッ素弾性共重合体組成物が有機過酸化物を含まない組成物であってもよい。
(作用機序)
以上説明した本発明の架橋ゴムにあっては、本発明の含フッ素弾性共重合体組成物が架橋したものであるため、圧縮永久ひずみが低減され、かつ黒色だけではなく他の色にも着色できる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
例1〜6は実施例であり、例7は比較例である。
<測定・評価>
(各単位の割合)
含フッ素弾性共重合体中のTFE単位の割合をフッ素含有量分析によって算出した。また、ビニルエーテルに基づく単位の割合を赤外吸収スペクトルによって算出した。
(ヨウ素原子の含有量)
含フッ素弾性共重合体中のヨウ素原子の含有量は、自動試料燃焼装置(イオンクロマトグラフ用前処理装置)(ダイアインスツルメンツ社製、AQF−100)とイオンクロマトグラフとを組み合わせた装置で定量した。
(貯蔵弾性率G’)
含フッ素弾性共重合体について、ゴム加工解析装置(Alpha Technologies社製、RPA2000)を用いて、ASTM D5289およびASTM D6204にしたがい、温度:100℃、振幅:0.5度、振動数:50回/分の条件で測定した値を貯蔵弾性率G’とした。
(着色)
含フッ素弾性共重合体組成物について、目視にて着色された色を判定した。
(試験片の作製)
含フッ素弾性共重合体組成物について、170℃で10分間の熱プレス(1次架橋)を行った後、120℃のオーブン内で4時間の2次架橋を行い、厚さ2mmの架橋ゴムシートを得た。架橋ゴムシートを3号ダンベルで打ち抜き試験片を作製した。
(硬さ)
試験片について、JIS K 6253−1:2012(対応国際規格ISO 18517:2005)に準じ、タイプAデュロメータ硬さを測定した。
(引張強さ)
試験片について、JIS K 6251:2010(対応国際規格ISO 37:2005)に準じ、引張強さを測定した。
(100%引張応力)
試験片について、JIS K 6251:2010(対応国際規格ISO 37:2005)に準じ、100%伸びでの引張応力を測定した。
(伸び)
試験片について、JIS K 6251:2010(対応国際規格ISO 37:2005)に準じ、破断時伸び引張応力を測定した。
(比重)
試験片について、比重計(新光電子社製)を用い、JIS K 6220−1に準じ、比重を測定した。
(圧縮永久ひずみ)
含フッ素弾性共重合体組成物について、170℃で10分間の熱プレス(1次架橋)を行った後、120℃のオーブン内で4時間の2次架橋を行い、直径30mm、高さ13mmの円柱状の架橋ゴムからなる成形体を得た。成形体を測定試料として、JIS K 6262:2013(対応国際規格ISO 815−1:2008およびISO 815−2:2008)に準じ、100℃および70時間の条件での圧縮永久ひずみ試験を行い、圧縮永久ひずみを測定した。
<各成分>
(含フッ素弾性共重合体)
含フッ素弾性共重合体A:
共重合体(X1)として、含フッ素弾性共重合体Aを製造した。
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、イオン交換水の1500g、リン酸水素二ナトリウム12水和物の59g、水酸化ナトリウムの0.7g、tert−ブタノールの197g、ラウリル硫酸ナトリウムの9g、1,4−ジヨードパーフルオロブタンの9g、CF=CFO(CFOCF=CF(以下、C3DVEと記す。)の9.8gおよび過硫酸アンモニウムの6gを加えた。さらに、100gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、その後、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
TFE/Pの単量体混合ガスの圧入量の総量が1000gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素弾性共重合体Aのラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の添加量は68gであった。重合時間は6時間であった。
ラテックスに塩化カルシウムの5質量%水溶液を添加して、含フッ素弾性共重合体Aのラテックスを凝集し、含フッ素弾性共重合体Aを析出させた。含フッ素弾性共重合体Aをろ過し、回収した。ついで、含フッ素弾性共重合体Aをイオン交換水により洗浄し、100℃のオーブンで15時間乾燥させ、白色の含フッ素弾性共重合体Aの980gを得た。
含フッ素弾性共重合体Aの赤外吸収スペクトルには、1700cm−1付近に炭素−炭素二重結合に基づく吸収が確認された。
含フッ素弾性共重合体Aにおける各単位の割合は、TFE単位/C3DVEに基づく単位/P単位=56/0.2/43.8(モル比)であった。含フッ素弾性共重合体A中のヨウ素原子の含有量は0.50質量%であった。含フッ素弾性共重合体Aの貯蔵弾性率G’は310kPaであった。
含フッ素弾性共重合体B:ヨウ素原子を有するTFE−P共重合体(旭硝子社製、AFLAS(登録商標)400E、TFE単位/P単位=56/44(モル比))。
含フッ素弾性共重合体C:ヨウ素原子を有しないTFE−P共重合体(旭硝子社製、AFLAS(登録商標)150P、TFE単位/P単位=56/44(モル比))。
(EPDM)
EPDM A:E−P−ENB共重合体(住友化学社製、ESPRENE(登録商標)501A、E単位=52質量%、ENBに基づく単位=4.0質量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):44)。
(有機過酸化物)
有機過酸化物A:1,3−ビス(tert−ブチルペルキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製、パーカドックス14)。
有機過酸化物B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油社製、パーヘキサ(登録商標)25B)。
(着色成分)
着色成分A:MTカーボン(Cancarb社製)。
着色成分B:硫酸バリウム(堺化学工業社製)。
(架橋助剤)
架橋助剤A:粉体タイプ架橋助剤(日本化成社製、TAIC(登録商標)WH−60、TAIC(登録商標)をホワイトカーボンに60%含侵させた粉体タイプ)。
架橋助剤B:トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製、TAIC(登録商標))。
<含フッ素弾性共重合体組成物の調製>
(例1〜7)
表1に示す配合の各成分を2本ロールによって室温下にて10分間混練し、均一に混合された含フッ素弾性共重合体組成物を得た。
含フッ素弾性共重合体組成物を用い、上述した方法にて架橋ゴムの試験片および成形体を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018044078
例1〜7とも、EPDMを含むため、圧縮永久ひずみが小さかった。特に、共重合体(X1)を含む例1〜5は、圧縮永久ひずみが充分に小さかった。
例1〜6は、白色である、ヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体を含むため、所望の色に着色できた。
例7は、褐色を呈する、ヨウ素原子を有しない含フッ素弾性共重合体を含むため、硫酸バリウムで白色に着色しようとしたが、所望の色(白色)に着色できなかった。
本発明の含フッ素弾性共重合体組成物から得られた架橋ゴムは、O−リング、シート、ガスケット、オイルシール、ダイヤフラム、V−リング等の材料に適する。また、耐熱性耐薬品性シール材、耐熱性耐油性シール材、電線被覆材、半導体装置用シール材、耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材、ゴム塗料、カレンダーシート、スポンジ、ゴムロール、石油掘削用部材、放熱シート、溶液架橋体、ゴムスポンジベアリングシール(耐ウレアグリース等)、ライニング(耐薬品)、自動車用絶縁シート、内視鏡用パッキン(耐アミン)、モーノポンプ、蛇腹ホース(カレンダーシートからの加工)、給湯器パッキン/弁、防舷材(海洋土木、船舶)、繊維・不織布(防護服等)、基盤シール材、ゴム手袋、フードコンテナ用パッキン、水筒用パッキン等の用途にも適用できる。

Claims (5)

  1. ヨウ素原子を有する含フッ素弾性共重合体と、
    エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体と、
    有機過酸化物と
    を含む、含フッ素弾性共重合体組成物。
  2. 着色成分をさらに含む、請求項1に記載の含フッ素弾性共重合体組成物。
  3. 前記含フッ素弾性共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、プロピレンに基づく単位とを有する、請求項1または2に記載の含フッ素弾性共重合体組成物。
  4. 前記含フッ素弾性共重合体が、下記単量体(a)に基づく単位と、下記単量体(b)に基づく単位と、下記単量体(c)に基づく単位とを有する、請求項1または2に記載の含フッ素弾性共重合体組成物。
    単量体(a):テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレンおよびペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群から選ばれる1種以上。
    単量体(b):下式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上。
    CR=CR−R−CR=CR (I)
    ただし、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基、または炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基の末端または炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
    単量体(c):エチレンおよびプロピレンからなる群から選ばれる1種以上。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素弾性共重合体組成物が架橋した、架橋ゴム。
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