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JP2018039992A - 樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた三次元積層型半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた三次元積層型半導体装置 Download PDF

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JP2018039992A JP2017164462A JP2017164462A JP2018039992A JP 2018039992 A JP2018039992 A JP 2018039992A JP 2017164462 A JP2017164462 A JP 2017164462A JP 2017164462 A JP2017164462 A JP 2017164462A JP 2018039992 A JP2018039992 A JP 2018039992A
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雅哉 杉山
Masaya Sugiyama
雅哉 杉山
英広 山本
Hidehiro Yamamoto
英広 山本
慎 池本
Shin Ikemoto
慎 池本
寛 竹下
Hiroshi Takeshita
寛 竹下
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
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Abstract

【課題】三次元積層型半導体装置の層間充填材組成物として好適な、環境変化に対しても安定した接合を維持し得る樹脂組成物を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂(A)、無機フィラー(B)、及び硬化剤(C)を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物の弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kが、下記式(1)を満たす、樹脂組成物。(式(1)において、Tは温度であり、式(1)の右辺は、弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kの温度T=30℃〜125℃における積分値を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、三次元積層型半導体装置の層間充填材組成物として好適な、環境変化に対しても安定した接合を維持し得る樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いた三次元積層型半導体装置及びその製造方法に関する。
近年、半導体デバイスの更なる性能向上のために、トランジスタや配線の微細化に加えて、半導体デバイス層が形成された半導体基板や、有機基板などの複数の基板を、基板面に対して垂直に積み上げて積層化した積層型半導体装置の研究開発が進められている。
積層型半導体装置には、半導体基板と有機基板とを積層したものなどが知られているが、より具体的には、半導体デバイス基板同士が、その基板間においてはんだバンプ等の電気信号端子等で接続されると共に、基板間に層間充填材組成物が充填されており、層間充填材組成物よりなる層(以下「層間充填材層」という。)により基板同士が接着された構造を有する三次元積層型半導体装置が知られている。
積層型半導体装置の製造方法として、半導体デバイス層を形成したウエハー上に、層間充填材組成物(ICF:Inter Chip Fill)からなる層を形成し、必要に応じて加熱してBステージ化を行い、次いでダイシング(Dicing)によるチップの切り出しを行い、得られた半導体デバイス基板を複数積層し、加圧加熱による仮接合を繰り返し、最終的に加圧加熱条件下で本接合を行うプレアプライ法(Pre-applied process)によるプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
積層型半導体装置に用いられる層間充填材組成物には、集積回路の高密度化に伴う発熱を十分放熱できる高熱伝導性、積層プロセスへの適合性に加えて、温度等の環境変化に対しても基板間の良好な接合を維持し得る接合安定性が要求され、その改善のために種々提案がなされている(例えば、特許文献1,2)
特開2014−208818号公報 特開2015−183093号公報
エレクトロニクス実装学会講演論文集(p.61-62,第23回, 2009年)
しかし、従来の層間充填材組成物では、環境変化に対する接合安定性において、更なる改良が求められている。
即ち、半導体デバイス基板を構成するシリコン基板は、低い線膨張率を有しているために、層間充填材組成物の線膨張率が高いと、温度変化等による基板と層間充填材層との線膨張の差により、基板と層間充填材層との界面で剥離を引き起こしたり、基板や層間充填材層に亀裂が生じたりして、安定な接合状態を維持し得なくなる。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、三次元積層型半導体装置の層間充填材組成物として好適な、環境変化に対しても安定した接合を維持し得る樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いた三次元積層型半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の通り、上記課題を解決できる技術を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1] エポキシ樹脂(A)、無機フィラー(B)、及び硬化剤(C)を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物の弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kが、下記式(1)を満たす、樹脂組成物。
Figure 2018039992
(式(1)において、Tは弾性率E及び線膨張係数α測定時の硬化物の温度であり、式(1)の右辺は、弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kの温度T=30℃〜125℃における積分値を示す。)
[2] 前記エポキシ樹脂(A)が、剛直成分と柔軟成分のブロック構造を有するエポキシ樹脂(A−1)を含有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記剛直成分が、芳香族性を有する環構造を含む、[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記柔軟成分が、脂肪族炭化水素からなる、[2]または[3]に記載の樹脂組成物。
[5] 前記エポキシ樹脂(A)が、複数のエポキシ樹脂の混合物である、[1]から[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記エポキシ樹脂(A)の少なくとも1種が、25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂である、[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 前記エポキシ樹脂(A)の少なくとも1種が、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体である、[5]または[6]に記載の樹脂組成物。
[8] 前記無機フィラー(B)が、体積抵抗率が1013(Ω・cm)以上の無機化合物よりなる、[1]から[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 前記無機フィラー(B)が、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機化合物よりなる、[1]から[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] 前記硬化剤(C)が酸無水物である、[1]から[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11] 前記無機フィラー(B)の含有割合が、樹脂組成物全体に対して50重量%以上76重量%以下である、[1]から[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12] 更に、硬化促進剤(D)を含有する、[1]から[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] 前記硬化促進剤(D)が、マイクロカプセル型の硬化促進剤である、[12]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[14] 更に、フラックス(E)を含有する、[1]から[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15] 半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上有する三次元積層型半導体装置であって、該半導体基板間の少なくとも1つの層が、[1]から[14]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化層である、三次元積層型半導体装置。
[16] 半導体デバイス層が形成された半導体基板の表面に、[1]から[14]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層をプレアプライ法により形成し、該半導体基板と、半導体デバイス層が形成された他の半導体基板とを、該樹脂組成物からなる層を介して積層して加圧接合した後、120℃〜180℃で処理する工程を含む、三次元積層型半導体装置の製造方法。
本発明の樹脂組成物を三次元積層型半導体装置の層間充填材組成物として用いることにより、温度等の環境変化に対しても、半導体デバイス基板および層間充填材層に亀裂や剥離を生じることなく、接合を安定に維持することができ、高品質で信頼性に優れた三次元積層型半導体装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、無機フィラー(B)、及び硬化剤(C)を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物の弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2018039992
(式(1)において、Tは弾性率E及び線膨張係数α測定時の硬化物の温度であり、式(1)の右辺は、弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kの温度T=30℃〜125℃における積分値を示す。)
なお、本発明の樹脂組成物の硬化物の弾性率E、線膨張係数α及びその積Kの積分値の測定方法ないし算出方法は、後述の実施例の項に示す通りである。
硬化物の弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kの温度T=30℃〜125℃における積分値が2.7×10以下である樹脂組成物であれば、層間充填材組成物として、温度等の環境変化に対しても、半導体デバイス基板および層間充填材層に亀裂や剥離を生じることなく、接合を安定に維持することができ、高品質で信頼性に優れた三次元積層型半導体装置を提供することができる。ここで積分値は、JIS 8401:1999により規定された数値の丸め方により、有効数字2桁に丸めた値を採用することとし、その値が2.7×10以下であればよい。
積分値が2.7×10を超えるものは、温度変化に対する線膨張係数αの変化が大きく、また、弾性率Eも大きいために、半導体デバイス基板との線膨張差が大きいにもかかわらず、その差を層間充填材層で吸収し得ないことを示し、温度等の環境変化に対して、半導体デバイス基板および層間充填材層に亀裂や剥離を生じ易く、接合を安定に維持することができない。
本発明の効果をより確実に得る上で、本発明の樹脂組成物の硬化物は、下記式(1A)を満たすことが好ましいが、硬化物の弾性率、線膨張係数とガラス転移温度の最適化による接合安定維持の観点から、特に下記式(1B)を満たすことが好ましく、下記式(1C)を満たすことがより好ましい。
Figure 2018039992
本発明において、式(1)の右辺を計算する際、積分の幅は1℃刻みとする。これは硬化物の30℃から125℃の範囲で弾性率と線膨張係数を計算するとき、連続的に変化する弾性率と線膨張係数の値を読み取りだす幅に相当する。この幅を1℃刻みとすることで、弾性率測定の昇温速度を3℃/分としたとき、値は20秒ごとに読み取りだされることになる。昇温速度の値は、1℃/分以上10℃/分以下であることが好ましく、特に5℃/分以下であることがより好ましく、3℃/分以下であることが値の信頼性の観点から特に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、その硬化物について、35℃で測定した弾性率Eが30〜4GPa、特に15〜6GPaであることが好ましい。この値が上記下限以上であれば、樹脂組成物が十分に硬化した後に温度変化を受けた場合でも十分な強度を有する三次元積層型半導体装置を得ることが可能であり、上記上限以下であれば硬化物と半導体基板との間に発生する剥離を抑制することが可能である。
また、本発明の樹脂組成物は、その硬化物について、35℃で測定した線膨張係数αが20〜35ppm/K、特に22〜28ppm/Kであることが好ましい。この値が上記下限以上であれば、樹脂組成物が十分に硬化した後に温度変化を受けた場合でも十分な強度を有する三次元積層型半導体装置を得ることが可能であり、上記上限以下であれば硬化物と半導体基板との間に発生する剥離を抑制することが可能である。
式(1)を満たし、更に上記のような好適な物性を有する本発明の樹脂組成物を製造するために、後述の通り、樹脂組成物に含まれる成分のうち、特にエポキシ樹脂(A)として、後述の特定のエポキシ樹脂(A−1)を用いることが好ましい。
[エポキシ樹脂(A)]
本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、本発明の樹脂組成物のガラス転移温度を向上させるため、2以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物の硬化物の破壊靭性値K1c値を高いものとするために、1分子中に含まれるエポキシ基の範囲は1以上8以下であることが好ましく、より好ましくは2以上3以下である。
また、樹脂組成物の熱伝導性を向上させるため、エポキシ樹脂(A)としては、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビフェニル骨格などの芳香環を有するエポキシ化合物を用いることが好ましい。
より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂と芳香族系エポキシ樹脂の共重合体エポキシ樹脂等が例示され、これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が用いられる。
エポキシ化合物としては、より具体的に、市販品として入手可能な三菱ケミカル(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810;120℃におけるせん断粘度0.008Pa・s以下)、三菱ケミカル(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(1750;120℃におけるせん断粘度0.01Pa・s以下)、三菱ケミカル(株)製ビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000(H);120℃におけるせん断粘度0.03Pa・s以下、YL6121H;120℃におけるせん断粘度0.02Pa・s以下)、三菱ケミカル(株)製アントラセン型エポキシ樹脂(YX8800)、新日鐵化学社製ビスフェノール型エポキシ樹脂(YSLV−80XY、YSLV−120TE)、新日鐵化学社製ハイドロキノン型エポキシ樹脂(YDC−1312)、DIC社製ナフタレン型エポキシ樹脂(HP4032D)、ダイソーケミカル(株)製ビスフェノールA型グリシジルエーテルエポキシ樹脂(LX−01;エポキシ当量173g/当量、25℃におけるせん断粘度10Pa・s)等が例示される。
また、本発明の樹脂組成物の硬化物が前述式(1)を満たすために、本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)として、剛直成分と柔軟成分のブロック構造を有するエポキシ樹脂(A−1)を含有することが好ましく、ここで、剛直成分は、芳香族性を有する環構造、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの縮合芳香環構造や、ビフェノール環、カルド構造、フルオレン環などの芳香環構造を多数含む構造や、ピロール環、チオフェン環などのヘテロ環式構造を含むことが好ましく、柔軟成分は、脂肪族炭化水素、例えば、炭素数1〜8のアルキレン基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基からなることが好ましい。このようなエポキシ樹脂(A−1)を含むことで、硬化物に柔軟性を付与することが可能となり、硬化物を層間充填材層としたときに熱応力を緩和することができる。
このようなエポキシ樹脂(A−1)としては、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ヘキサンジオールとビスフェノールFグリシジルエーテルの共重合体、ビスフェノールFと1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ブタンジオールとビスフェノールFグリシジルエーテルの共重合体、ビスフェノールAと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ヘキサンジオールとビスフェノールAグリシジルエーテルの共重合体、ビスフェノールAと1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ブタンジオールとビスフェノールAグリシジルエーテルの共重合体、テトラメチルビフェノールと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ヘキサンジオールとテトラメチルビフェノールグリシジルエーテルの共重合体、テトラメチルビフェノールと1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ブタンジオールとテトラメチルビフェノールグリシジルエーテルの共重合体、ビフェノールと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ヘキサンジオールとビフェノールグリシジルエーテルの共重合体、ビフェノールと1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ブタンジオールとビフェノールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ナフタレンジオールと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ヘキサンジオールと1,4−ナフタレンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ナフタレンジオールと1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ブタンジオールと1,4−ナフタレンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ナフタレンジオールと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ヘキサンジオールと1,6−ナフタレンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,6−ナフタレンジオールと1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルの共重合体、1,4−ブタンジオールと1,6−ナフタレンジオールグリシジルエーテルの共重合体等が挙げられ、具体的には、三菱ケミカル(株)製「YX7105」「YX7110」(ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体)が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
ただし、エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A−1)のみを含む樹脂組成物では、硬化物のガラス転移温度が低くなりすぎてしまうために耐熱性に乏しい材料となってしまうため、本発明のエポキシ樹脂(A)は、上記エポキシ樹脂(A−1)の他、硬化物に耐熱性を付与するための成分として、他のエポキシ樹脂(A)を含むことが好ましい。即ち、本発明の樹脂組成物はエポキシ樹脂(A)として、2種以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物の全エポキシ樹脂(A)中の上記エポキシ樹脂(A−1)の含有量は、0〜50重量%、特に1〜30重量%、とりわけ5〜20重量%で、樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A−1)の含有量は、0〜15重量%、特に1〜10重量%、とりわけ1〜3重量%であることが、他のエポキシ樹脂(A)の必要量を確保して硬化物に柔軟性を付与することが可能となり、硬化物を層間充填材層としたときに熱応力を緩和する上で好ましい。また体積充填率で記載すると、本発明の樹脂組成物の全エポキシ樹脂(A)中の上記エポキシ樹脂(A−1)の含有量は、0〜50体積%、特に1〜30体積%、とりわけ1〜20体積%で、樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A−1)の含有量は、0〜30体積%、特に1〜20体積%、とりわけ2〜5体積%であることが、他のエポキシ樹脂(A)の必要量を確保して硬化物に柔軟性を付与することが可能となり、硬化物を層間充填材層としたときに熱応力を緩和する上で好ましい。
本発明の樹脂組成物はまた、エポキシ樹脂(A)として、流動性が必要であることから、25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下、例えば0.1〜8Pa・sのエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
ここで、本発明における25℃でのせん断粘度は、JIS Z 8803:2011に従って測定される値であって、円錐−平板形回転粘度計による粘度測定方法により測定される値とする。より具体的には、JIS K 7117−2:1999で定義されるE型粘度計によって測定される。また、結晶性を示す低分子エポキシ樹脂であっても、結晶融解温度以上に温めた後に、5℃以上の環境下で12時間以内に25℃まで冷却したときの状態が液状であり、25℃での粘度が10Pa・s以下となるエポキシ樹脂は、25℃での粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂として扱う。なお、エポキシ樹脂の25℃におけるせん断粘度は好ましくは5〜6Pa・sである。
ただし、前述のエポキシ樹脂(A−1)の25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下である場合、エポキシ樹脂(A−1)とは別に更に25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂を用いる必要はない。
25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物の全エポキシ樹脂(A)中の25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂の含有量は、0〜99重量%、特に50〜99重量%、とりわけ70〜90重量%であることが好ましく、樹脂組成物中の含有量として2〜12重量%、特に5〜12重量%、とりわけ10〜12重量%であることが、流動性付与の観点から好ましい。
また、本発明の樹脂組成物の全エポキシ樹脂(A)中の25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂の含有量は、0〜99体積%、特に50〜99体積%、とりわけ70〜90体積%であることが好ましく、樹脂組成物中の含有量として6〜25体積%、特に10〜25体積%、とりわけ20〜25体積%であることが、流動性付与の観点から好ましい。
また、樹脂組成物を熱硬化させた硬化物のガラス転移温度を向上させるため、複数用いられるエポキシ樹脂(A)の1種として、多官能エポキシ樹脂を用いてもよい。
多官能エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂、テルペンフェノール樹脂、重質油変性フェノール樹脂、などの種々のフェノール類や、種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール系化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型多官能エポキシ樹脂が好ましい。
これらの多官能エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂(A)として多官能エポキシ樹脂を用いる場合、多官能エポキシ樹脂は全エポキシ樹脂(A)中に0〜6重量%含まれることが好ましい。また、多官能エポキシ樹脂は全エポキシ樹脂(A)中に0〜12体積%含まれることが好ましい。多官能エポキシ樹脂を上記下限以上用いることにより、多官能エポキシ樹脂を用いたことによるガラス転移温度の向上効果を有効に得ることができる。一方、多官能エポキシ樹脂の含有量が上記上限以下であることにより、前述の式(1)を満たすために用いるエポキシ樹脂(A−1)等の必要量を確保して、本発明の効果を確実に得ることができる。
前述のエポキシ樹脂(A−1)、25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂、及び上記多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜1000g/当量、特に150〜500g/当量であることが好ましい。エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、大きい方が、樹脂組成物の硬化物の耐熱性が良好となる傾向にあるが、過度に大きいと、エポキシ樹脂の融点も本発明の樹脂組成物の溶融粘度も高くなり、半導体基板同士の接合に問題を生じて、積層型半導体装置が有効に機能しない場合や、3D積層プロセスの各工程で要求される物性を満たすことができず、積層型半導体装置を製造することが困難となる場合がある。
本発明の樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)の含有量は、組成物全体に対して10〜50重量%、特に10〜25重量%、更に好ましくは10〜15重量%であることが好ましい。また、エポキシ樹脂(A)の含有量は、組成物全体に対して10〜65体積%、特に20〜40体積%、さらに好ましくは24〜30体積%であることが好ましい。樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)の含有量が少な過ぎると十分な接着性を得ることができず、樹脂組成物を製造する際の混練等が困難になる場合がある。また、多過ぎると、相対的に無機フィラー(B)等の含有量が少なくなり、熱伝導性等が低下する傾向にある。
[無機フィラー(B)]
無機フィラー(B)は、熱伝導性の向上と線膨張係数の制御を目的に添加されるものであり、特に線膨張係数の制御が主目的である。
無機フィラー(B)としては、金属、炭素、金属炭化物、金属酸化物および金属窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子が挙げられる。炭素の例としては、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、フレーレン、ダイヤモンドなどが挙げられる。金属炭化物の例としては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステンなどが挙げられる。金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イッテルビウム、サイアロン(ケイ素、アルミニウム、酸素、窒素からなるセラミックス)等が挙げられる。金属窒化物の例としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
無機フィラー(B)の形状について制限はなく、粒子状、ウィスカー状、繊維状、板状、またはそれらの凝集体であってもよい。
積層型半導体装置用の層間充填材組成物においては、絶縁性が要求される場合が多いことから、無機フィラー(B)は体積抵抗率が1013Ω・cm以上、特に1014Ω・cm以上の絶縁性に優れた無機化合物よりなることが好ましく、中でも、硬化物の電気絶縁性が十分であることから、酸化物および窒化物が好ましい。このような無機フィラー(B)として、より具体的には、アルミナ(Al、体積抵抗率1014Ω・cm)、窒化アルミニウム(AlN、体積抵抗率1014Ω・cm)、窒化ホウ素(BN、体積抵抗率1014Ω・cm)、窒化ケイ素(Si、体積抵抗率1014Ω・cm)、シリカ(SiO、体積抵抗率1014Ω・cm)などが挙げられ、なかでも、Al、AlN、BN、SiOが好ましく、とりわけAl、BN、SiOが好ましい。
BN系フィラーとしては、特開2013−241321号公報に開示されるものが、好ましく用いられる。
これらの無機フィラー(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
近年、三次元集積回路は、更なる高速化・高容量化などの性能向上のために各チップ間の距離がチップ間距離10〜50μm程度にまで小さくなっているが、チップ間の層間充填材層において、配合される無機フィラー(B)の最大粒径は層間充填材層の厚みの1/3以下、例えば30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であることが好ましい。
無機フィラー(B)の最大粒径が30μmを超えると硬化した後の層間充填材層の表面に無機フィラー(B)が突出して、層間充填材層の表面形状が悪化する傾向にある。
無機フィラー(B)の粒径は、最大粒径が上記上限以下であればよく、特に制限はないが、粒径が過度に小さいものは、本発明の樹脂組成物の粘度を制御することを困難にするおそれがあるため、平均粒径3〜8μm程度であることが好ましい。
無機フィラー(B)の粒子の大きさに関しては、通常知られる測定法による体積平均粒子径、体積基準粒度分布により決定されるが、具体的には例えばレーザー回折式粒子径分布測定により測定した値を用いることができる。通常、レーザー回折式粒度分布測定では、無機フィラー(B)の試料は、水または有機溶媒に適当な濃度で分散させ、超音波分散装置などを用い凝集体のない分散状態を得たのちに、試料にレーザー光を照射し、生じる回折・散乱光の強度分布パターンから計算によって粒度分布を求めることができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、たとえば株式会社島津製作所製のSALD−2300などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の無機フィラー(B)の含有量は、樹脂組成物全体に対して50重量%以上76重量%以下が好ましく、60重量%以上76重量%以下がより好ましい。また体積充填率で記載すると、本発明の樹脂組成物の無機フィラー(B)の含有量は、樹脂組成物全体に対して30体積%以上55体積%以下が好ましく、35体積%以上50体積%以下がより好ましく、45体積%以上50体積%以下がさらに好ましい。また、エポキシ樹脂(A)及び後述の硬化剤(C)の総和100重量部当たりの無機フィラー(B)の含有量は、10重量部以上500重量部以下が好ましく、20重量部以上400重量部以下がより好ましい。また体積充填率で記載すると、エポキシ樹脂(A)及び後述の硬化剤(C)の総和100体積部当たりの無機フィラー(B)の含有量は、10体積部以上300体積部以下が好ましく、20体積部以上240体積部以下がより好ましい。無機フィラー(B)の含有量が上記下限より少ないと、無機フィラー(B)の添加効果が小さくなり、目的とする線膨張係数や熱伝導性が得られない場合があり、上記上限よりも多いと無機フィラー(B)の存在が接合を阻害することがある。
[硬化剤(C)]
本発明で用いる硬化剤(C)とは、エポキシ樹脂(A)の架橋基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
硬化剤(C)としては特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。流動性付与および速硬化性の観点から、硬化剤(C)としては、酸無水物系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の具体例として、脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾールおよびその誘導体としては、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
これらの硬化剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物中の硬化剤(C)の含有量は、硬化剤(C)がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基と硬化剤(C)中の官能基との当量比で、0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られないことがある。
また、硬化剤(C)がアミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で用いることが好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
また、ジシアンジアミン化合物の場合は、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いることが好ましく、0.5〜6重量部がより好ましい。
[硬化促進剤(D)]
本発明の樹脂組成物は、硬化温度を下げ、硬化時間を短くするために硬化剤(C)とともに、硬化促進剤(D)を含有していてもよい。
硬化促進剤(D)の例としては、三級アミノ基を含有する化合物、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ジメチル尿素、有機ポリマーや無機化合物等による被覆剤を用いて上記化合物をマイクロカプセル化したものなどが挙げられる。
三級アミノ基を含有する化合物としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾールおよびその誘導体としては、1−シアノエチルー2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
これらのうち、比較的長いポットライフ、中温域での高い硬化性、硬化樹脂の高い耐熱性などの特徴から、イミダゾール化合物(イミダゾールおよびその誘導体)及び有機ポリマーや無機化合物等による被覆剤を用いて上記化合物をマイクロカプセル化したものを用いることが好ましい。
これらの硬化促進剤(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物が硬化促進剤(D)を含有する場合、硬化促進剤(D)の含有量は、エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(C)の総和100重量部当たり、0.001重量部以上15重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.01重量部以上10重量部以下である。硬化促進剤(D)の含有量がエポキシ樹脂(A)及び硬化剤(C)の総和100重量部当たり0.001重量部未満であると、硬化促進効果が不十分になるおそれがあり、15重量部を超えると触媒硬化反応が支配的となり、ボイドの低減が達成できない場合がある。
[フラックス(E)]
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、更にフラックス(E)を含有してもよい。フラックス(E)とは、例えば、金属端子のはんだ接合時において、はんだバンプ等の金属電気信号端子およびランドの表面酸化膜の溶解除去や、はんだバンプのランド表面における濡れ広がり性の向上、更にははんだバンプの金属端子表面の再酸化防止などの機能を有する化合物である。
本発明で用いるフラックス(E)としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメシン酸、ベンゼンテトラカルボン酸などの芳香族カルボン酸やその酸無水物、アビエチン酸、ロジンなどのテルペン系カルボン酸などの有機カルボン酸、および有機カルボン酸をアルキルビニルエーテル類と反応して変換したヘミアセタールエステルである有機カルボン酸エステル、グルタミン酸塩酸塩、アニリン塩酸塩、ヒド
ラジン塩酸塩、臭化セチルピリジン、フェニルヒドラジン塩酸塩、テトラクロルナフタレン、メチルヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩などの有機ハロゲン化合物、尿素、ジエチレントリアミンヒドラジンなどのアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、塩酸、フッ酸、燐酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化銅、フッ化ニッケル、フッ化亜鉛などのフッ化物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化第一銅、塩化ニッケル、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫などの塩化物、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、臭化錫、臭化亜鉛などの臭化物などが挙げられる。これらの化合物は、そのまま用いても、また有機ポリマーや無機化合物等による被覆剤を用いてマイクロカプセル化したものを用いても良い。
なかでも、エポキシ樹脂(A)への溶解性から、多価アルコール類、有機カルボン酸及びカルボン酸エステル等の有機カルボン酸誘導体が好ましい。また、エポキシ樹脂(A)に対して加温時の発泡性が少ないことから、特に有機カルボン酸が好ましい。この中でもフラックスとしての反応性から、二個以上のカルボキシル基を有する有機カルボン酸類が特に好ましい。
有機カルボン酸エステルは、下記式(2)に従って有機カルボン酸とアルキルビニルエーテル類を、常温、常圧又は必要に応じて加温、反応させることにより得ることができる。
なお、式(2)の反応は平衡反応でもあるので、有機カルボン酸エステルに転化する有機カルボン酸の割合を高めるには、アルキルビニルエーテル類を有機カルボン酸中のカルボキシル基に対して等量以上添加して反応させることが好ましい。
Figure 2018039992
(式(2)中、Rはカルボン酸中の1つのカルボキシル基を除いた残りの分子鎖を示す。Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
有機カルボン酸エステルは、樹脂組成物中において加熱により分解し、有機カルボン酸及びビニルエーテルを生成する。分解により生じる有機カルボン酸は、はんだボールに対する表面活性化作用(フラックス作用)を示す。
また、分解により生じる有機カルボン酸の中には、エポキシ樹脂(A)に対する硬化作用を呈する可能性がある。これは、カルボキシル基においては、その解離により放出される水素イオンが、エポキシ樹脂(A)に対して硬化作用を呈する可能性があるためである。このカルボキシル基の解離による水素イオンの発生を抑制するために、有機カルボン酸をアルキルビニルエーテルにて保護した有機カルボン酸エステルが好ましく用いられる。
また、有機カルボン酸エステルを使用した場合においても、その分解温度が低すぎると、製造時における加圧、加熱による仮接合時に、エポキシ樹脂(A)が硬化してしまうおそれがある。
そのため、フラックス(E)としての有機カルボン酸エステルの分解温度は、仮接合時での分解を回避又は抑制するために、130℃以上であることが好ましく、より好ましくは140℃以上、更に好ましくは160℃以上、最も好ましくは180℃以上である。なお、分解温度の上限は、220℃である。
有機カルボン酸エステルの原料となる有機カルボン酸としては、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、アビエチン酸、ロジンなどのモノカルボン酸;蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸;クエン酸、1,2,4−トリメリット酸、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどのトリカルボン酸;ピロメリット酸やブタンテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸等を用いることができる。この中でもフラックスとしての反応性から、二個以上のカルボキシル基を有する有機カルボン酸類が好ましい。
また、有機カルボン酸エステルの原料となるアルキルビニルエーテル類として、上記式(2)におけるRは、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、中でも、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが好ましい。これらアルキル基の中でも、電子供与性の低いアルキル基ほど高温解離性を示すことから、アルキル基としては2級及び1級であることが好ましい。
有機カルボン酸エステルとしては、市販品として、日油社製のサンタシッドG(ジアルキルビニルエーテルブロック2官能ポリマー型カルボン酸)、サンタシッドH(モノアルキルビニルエーテルブロック2官能低分子量型カルボン酸)、サンタシッドI(モノアルキルビニルエーテルブロック2官能カルボン酸)などを好ましく用いることができる。
これらのフラックス(E)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物がフラックス(E)を含有する場合、樹脂組成物中のフラックス(E)の含有量は、樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)、硬化剤(C)及び必要に応じて用いられる硬化促進剤(D)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上5重量部以下である。フラックス(E)の含有量が上記下限より少ないと、酸化膜除去性低下によるはんだ接続不良のおそれがあり、上記上限より多いと樹脂組成物の粘度上昇による接続不良の恐れがでてくる。
[分散剤(F)]
本発明の樹脂組成物は、無機フィラー(B)の分散性を高めるため、分散剤(F)を含有することが好ましい。分散剤(F)としては、無機フィラー(B)の分散性を高めるために、アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤を用いることが好ましい。また、分散剤(F)を用いたコンパウンドとして本発明の樹脂組成物を用いる場合、コンパウンドの塗布性の向上や塗膜性状の改善効果に優れることから、官能基として3級アミノ基を有するものが好ましい。このような分散剤の一例として、例えば、アクリル系分散剤及び/又はウレタン系分散剤が挙げられる。
本発明の樹脂組成物において適宜含有される分散剤(F)の含有量は、本発明の課題を解決できるものであれば、いかなる比率であっても構わないが、本発明の樹脂組成物中に含まれる前記無機フィラー(B)を100重量部としたときに、分散剤(F)が、0.1重量部以上4重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上2重量部以下であることがより好ましい。分散剤(F)の含有量が上記下限未満では、本発明の樹脂組成物中における無機フィラー(B)の均一な分散が困難になる場合があり、また上記上限を超えると無機フィラー(B)のエポキシ樹脂(A)との相分離や凝集を引き起こすことがある。
[その他の添加剤]
本発明の樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、上記したもの以外の各種の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤の例としては、接合性やエポキシ樹脂(A)と無機フィラー(B)との接合性向上のためのカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、流動性改良剤、基材との密着性向上剤、例えば熱可塑性のオリゴマー類等が挙げられる。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられるが、その他の添加剤成分の配合量は、エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(C)の総和100重量部当たり、10重量部以下が好ましく、特に5重量部以下であることがより好ましい。
<カップリング剤>
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と無機フィラー(B)との密着性を向上させる観点から、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤を含んでいてもよい。
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
これらのカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、その含有量は、樹脂組成物中の全固形分に対して0.1〜2.0重量%程度とすることが好ましい。カップリング剤の配合量が少ないと、カップリング剤を配合したことによるマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂(A)と無機フィラー(B)との密着性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトする問題がある。
<熱可塑性のオリゴマー類>
本発明の樹脂組成物は、成形時の流動性改良および基材との密着性向上のために、熱可塑性のオリゴマー類を含んでいてもよい。熱可塑性のオリゴマー類としては、C5系およびC9系の石油樹脂、スチレン樹脂、インデン樹脂、インデン・スチレン共重合樹脂、インデン・スチレン・フェノール共重合樹脂、インデン・クマロン共重合樹脂、インデン・ベンゾチオフェン共重合樹脂等が例示される。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物がこれらの熱可塑性のオリゴマー類を含む場合、その含有量としては、通常、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して2〜30重量部の範囲である。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、更に、界面活性剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等を含有していてもよい。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤のいずれも使用できる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、アルキルベタイン類、アミノ酸類などが挙げられる。
また、これら分散剤においてC−H結合の一部又は全てがC−F結合となったフッ素界面活性剤も好ましく用いることができる。
本発明の樹脂組成物がこれらの界面活性剤を含む場合、その含有量としては、通常、エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(C)の総和100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲である。
なお、本発明の樹脂組成物に、更に有機溶媒を添加することもできる。
有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
このうち、樹脂の溶解性および溶媒の沸点等を勘案すると、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、エステル類およびエーテル類が好ましく、特にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を用いることが特に好ましい。
これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
ただし、溶媒を用いると、接合工程において溶媒が揮発することで硬化接着層にボイドが形成され易くなるため、本発明の樹脂組成物は、溶媒を含まないことが好ましい。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、通常、エポキシ樹脂(A)、無機フィラー(B)、硬化剤(C)、必要に応じて用いられる硬化促進剤(D)、フラックス(E)および分散剤(F)、その他の添加剤成分をミキサー等によって均一に混合した後、加熱ロール、ニーダー等によって混練して製造される。これらの成分の配合順序には特に制限はない。また、混練後にプレス機などを用いてフィルム化することも可能である。更には、混練後に溶融混練物の粉砕を行い、パウダー化することやタブレット化することも可能である。
[樹脂組成物の成形]
本発明の樹脂組成物は、加熱、成形することにより成形体を得ることができる。この成形は、一般に用いられる方法を用いて、樹脂組成物の配合成分組成等に応じて適宜に行うことができる。
例えば、可塑性や流動性を有する樹脂組成物の成形は、樹脂組成物を所望の形状で、例えば型へ収容した状態で、硬化させることによって行うことができる。このような成形体の製造では、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、又は圧縮成形を利用することができる。また成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの硬化温度条件で行うことができる。また前記成形体は、樹脂組成物の硬化物を所望の形状に削り出すことによっても得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、温度や湿度等の環境変化に対する寸法安定性に優れると共に、無機フィラー(B)の配合で高熱伝導性を有するので、電気・電子分野などにおいて寸法安定性、熱伝導性が要求される放熱基板、放熱シート、熱伝導性ペースト、熱伝導性接着剤、半導体パッケージ、ヒートシンク、ヒートパイプ、電気電子機器の筐体等に使用することができる。なかでも、三次元積層型半導体装置の層間充填材組成物として特に好適である。
〔三次元積層型半導体装置〕
本発明の三次元積層型半導体装置は、半導体デバイス層が形成された半導体基板(以下「半導体デバイス基板」と称す場合がある。)を少なくとも2層以上有し、該半導体デバイス基板間の少なくとも1つの層が、本発明の樹脂組成物の硬化層よりなることを特徴とするものであり、このような本発明の三次元積層型半導体装置は、例えば、半導体デバイス基板の表面に、本発明の樹脂組成物からなる層をプレアプライ法により形成し、該半導体デバイス基板と、他の半導体デバイス基板とを、該樹脂組成物からなる層を介して積層して加圧接合した後、120℃〜180℃で処理する工程を含む本発明の三次元積層型半導体装置の製造方法により製造される。
[基板]
本発明の三次元積層型半導体装置における基板とは、より具体的にはエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などによる有機基板や、配線回路や貫通電極(TSV)、半導体素子回路などが形成された半導体デバイス基板が挙げられる。本発明の樹脂組成物を硬化してなる層は、有機基板と半導体基板の間に設けられていてもよいし、半導体基板と半導体基板との間に設けられていてもよいし、有機基板と有機基板との間に設けられていてもよいが、本発明の三次元積層型半導体装置にあっては、少なくとも、半導体デバイス基板と半導体デバイス基板との間に設けられる。
本発明の樹脂組成物を用いることにより、従来のリフロー後にアンダーフィルによる層間充填するのに比べ、薄い半導体基板や大きな半導体基板の接合において、基板の反りを抑制し、大きな接合面積においてもボイドの形成を抑制し端子間の抵抗が小さな接合が達成することができる。また半導体基板は有機基板に比べて、その基板表面の平滑性が高く、より微細なリソグラフィーによる回路転写等が可能であり、より小さな銅ポストやはんだバンプ等の接続端子の形成が可能となり、端子間の狭い接続端子の形成によりより配線密度が高く高性能な積層型半導体装置の実現が可能となる。
[半導体基板]
本発明における半導体基板としては、集積回路の製造において基板として用いることができる任意の材質のものを用いることができるが、シリコン基板が好ましく使用される。シリコン基板としては、口径に応じた基板膜厚のまま用いてもよいし、バックサイドエッチングやバックグラインド等の裏面研磨により、100μm以下に薄膜化した後に用いてもよい。
本発明における半導体デバイス基板としては、配線回路が形成された半導体基板、貫通電極(TSV)が形成された半導体基板、トランジスタなどの半導体素子回路などが形成された半導体基板が挙げられ、ケイ素、ゲルマニウム、ケイ化ゲルマニウム、炭化ケイ素、ガリウム砒素、ガリウムリン、窒化ガリウムなどの基板に、必要に応じてリンやホウ素をイオン注入法にてドープした基板であって、より具体的にはN型シリコン基板、P型シリコン基板などが挙げられる。
半導体基板表面に形成される半導体素子回路としては、DSPやMPUなどの演算素子の他に、不揮発性メモリやダイナミックランダムアクセスメモリなどの記憶素子などが挙げられる。半導体基板の線膨張率は、その材質により異なるが、通常1〜10ppm/Kである。
半導体デバイス基板は、通常はんだバンプとランド端子を有している。はんだバンプとしては微細なはんだボールを用いてもよいし、リソグラフィーにて開口部を形成後、開口部の下地に直接、又はニッケルや銅のポストを形成した上にはんだめっきを施して、レジスト材を除去後、加熱処理によりはんだバンプを形成してもよい。はんだの組成としては特に限定はされないが、電気的な接合性及び低温接合性を勘案して、錫を主要成分として含有するはんだが好ましく用いられる。
ランド端子は半導体基板上にPVD(Physical Vapor Deposition)等を用いて薄膜を成膜した後、リソグラフィーによるレジスト膜形成、及びドライ又はウエットエッチイングにより、不要部を除去することにより形成することができる。ランド端子の材料としては、はんだバンプと接合可能なものであれば特に限定はされないが、はんだとの接合性及び信頼性等を勘案して、金や銅を好ましく用いることができる。
[有機基板]
有機基板は、導電性の配線回路を有するものであって、より具体的にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂をガラス繊維等を挟んで板状に成形したものである。有機基板は、はんだボールを外部電極とするアレイ状の電極と半導体デバイス基板を接続する高密度実装用のパターン変換基板(インターポーザ)であり、有機基板を構成する樹脂成分としてエポキシ樹脂等が、配線層として銅(Cu)がそれぞれ好ましく用いられる。有機基板表面には接続用の端子が設けられ、通常フォトリソグラフィー法及びめっき法の組み合わせや印刷法により形成され、通常その端子間の間隔は50μm〜300μmである。有機基板の線膨張率は、その材質により異なるが、有機インターポーザ基板の場合通常5〜50ppm/Kである。プリント基板上に搭載された半導体基板積層体は、はんだバンプ等を介して有機基板に接続され、有機基板はアレイ状の電極を介してプリント基板の端子と電気的に接続されていてもよい。
[積層]
本発明の樹脂組成物を含む層間充填材層は、有機基板および半導体基板から選ばれる任意の基板の間に形成されるが、本発明の樹脂組成物の特性を生かすために、半導体デバイス基板と接する面に形成されることが好ましく、特には半導体デバイス基板と半導体デバイス基板との間に本発明の樹脂組成物を含む層間充填材層が形成されることが好ましい。
[三次元積層型半導体装置の製造方法]
本発明の三次元積層型半導体装置は、半導体デバイス基板表面に本発明の樹脂組成物を含む層間充填材層を、プレアプライ法により形成し、当該半導体デバイス基板と他の半導体デバイス基板とを加圧接合した後に、120℃以上180℃以下の温度範囲で処理するポストキュア(後硬化)工程を含む製造方法により製造することができる。
<プレアプライ法による層間充填材層の形成>
プレアプライ法による層間充填材層の形成には、従前知られる形成法、より具体的には例えば、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法、その他の任意の方法で形成することができる。層間充填材層は、半導体基板のどの面に形成しても構わないが、はんだバンプを有する面、またはランドを有する面に形成することが好ましい。
樹脂組成物の供給量は、半導体基板の面積当たり、1〜50mg/cm、特に2〜30mg/cmであることが好ましい。接合する2枚の半導体基板のうちの一方の半導体基板側へ樹脂組成物を供給する場合や、接合する2枚の半導体基板の両方に樹脂組成物を供給して層間充填材層を形成する場合も、この程度の供給量となるように、樹脂組成物を塗布すればよい。
<加圧接合>
本発明の樹脂組成物から得られた層間充填材層を、組成物中に含まれる低分子量成分などを除去するために、50〜150℃の任意の温度、好ましくは60〜130℃の任意の温度でベーキング処理を行い、B−Stage化処理をすることが好ましい。
この際、一定の温度においてベーキング処理を行ってもよいが、組成物中の揮発成分除去を円滑に進めるために、減圧条件下にてベーキング処理を行ってもよい。また、樹脂の硬化が進行しない範囲で、段階的な昇温によるベーキング処理を行ってもよい。例えば、初めに60℃、次に80℃、更に120℃で各5〜90分程度のべーキング処理を実施することができる。
層間充填材層を形成した後に、接合対象の基板と仮接合を行う。仮接合は、80〜150℃の温度で行うことが好ましい。半導体基板の接合が複数層の場合には、前記仮接合を基板の層数分繰り返してもよいし、基板を複数層重ね合わせた後に、加熱してまとめて仮接合させてもよい。仮接合の際には、必要に応じて基板間に、好ましくは98kPa〜4.9MPa、より好ましくは0.98kPa〜0.98MPaの荷重をかけて実施することが好ましい。
仮接合の後には本接合を行う。仮接合させた積層基板を200℃以上、好ましくは220℃以上で加熱接合することにより、層間充填材層に含まれる組成物の溶融粘度を低下させて、基板間の電気端子の接続を促進すると同時に、半導体基板間のはんだ接合を実現することができる。なお、加熱温度の上限は、樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂(A)が分解、変質しない温度であれば、適宜決定してかまわないが、通常300℃以下で行われる。
また、加熱接合の際には、必要に応じて基板間に、好ましくは0.98kPa〜0.98MPa、より好ましくは4.9kPa〜0.49MPaの荷重をかけて実施することが好ましい。
加熱加圧接合後は、必要に応じて冷却して室温(30〜50℃)に戻した後、120〜180℃に加熱するポストキュア(後硬化)処理を行う。
以下、本発明について、実施例を用いて更に詳細を説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[配合成分]
以下において用いた樹脂組成物の配合成分は次の通りである。
<エポキシ樹脂(A)>
エポキシ樹脂(a1):三菱化学株式会社製 品名「YX7105」(ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体、エポキシ当量474g/当量、官能基数2、25℃におけるせん断粘度70Pa・s)
エポキシ樹脂(a2):ダイソーケミカル株式会社製 品名「LX−01」(ビスフェノールA型グリシジルエーテルエポキシ樹脂、エポキシ当量173g/当量、官能基数2、25℃におけるせん断粘度5Pa・s)
エポキシ樹脂(a3):三菱化学株式会社製 品名「1032H60」(トリスフェノール型グリシジルエーテルエポキシ樹脂、エポキシ当量173g/当量、多官能エポキシ樹脂)
<無機フィラー(B)>
無機フィラー(b1):株式会社アドマテックス製 品名「AE9104−SXE」(アルミナ、体積抵抗率1014Ω・cm、最大粒径10μm以下、平均粒径3μm)
<硬化剤(C)>
硬化剤(c1):三菱化学社製 品名「jERキュア YH306」(3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、酸無水物当量117g/当量、25℃での粘度0.1Pa・s)
<硬化促進剤(D)>
硬化促進剤(d1):旭化成イーマテリアルズ社製 品名「ノバキュアHXA3792」(マイクロカプセル化されたアミン系硬化剤及びビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の混合物)
<フラックス(E)>
フラックス(e1):日油社製 品名「サンタシッドI」(モノアルキルビニルエーテルブロック2官能カルボン酸)
[各種物性・特性の評価]
(1)樹脂組成物の硬化物の弾性率E
各樹脂組成物をガラス基板上に載せた離型フィルム上に塗布して、この膜上にさらに離型フィルム及びガラス基板を、スペーサーを介して載せて挟んだ後に、150℃で2時間プレス(圧力1MPa)することにより、成形・硬化させて膜厚500μmの樹脂組成物の硬化膜を得た。この硬化物から幅3mm×長さ20mmのサンプルを切り出し、このサンプルについて、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製 固体粘弾性アナライザーRSA−G2を用いて、以下の通り、動的粘弾性測定を行った。
サンプルをRSA−G2にセットし、30〜260℃の間で、正弦波歪みγ=0.1%、歪み周波数f=1Hzの振動を与え、1分間に3℃の割合で昇温させて各温度での弾性率E(GPa)を測定した。35℃における弾性率を弾性率E1とした。
(2)樹脂組成物の硬化物の線膨張係数α
各樹脂組成物をガラス基板上に載せた離型フィルム上に塗布して、この膜上にさらに離型フィルム及びガラス基板を、スペーサーを介して載せて挟んだ後に、150℃で2時間プレス(圧力1MPa)することにより、成形・硬化させて膜厚500μmの樹脂組成物の硬化膜を得た。この硬化物から幅3mm×長さ20mmのサンプルを切り出し、このサンプルについて、Bruker製 TMA 4000SAを用いて、以下の通り、熱機械分析を行った。
サンプルをTMA 4000SAにセットし、室温から190℃まで昇温後、−50℃まで冷却してから10分間保持した。その後、窒素雰囲気下で290℃まで10℃/minの昇温速度にて、引っ張り方向に5gfの力を掛けながら昇温し、各温度での線膨張係数α(ppm/K)を測定した。各温度における線膨張係数は温度の関数としてα(T)とした。
(3)樹脂組成物のガラス転移温度Tg
上記線膨張係数αの測定において、温度をX軸、線膨張係数をY軸とするグラフを作成し、−10℃〜40℃の傾きからCTE1を、200℃〜250℃の傾きからCTE2を決定し、変曲点の前後からガラス転移温度Tg(℃)を決定した。したがって、30℃以上Tg未満の温度域でのα(T)はCTE1とし、Tg以上125℃以下の温度域でのα(T)はCTE2とした。
(4)弾性率Eと線膨張係数αの積分値
(1)と(2)でそれぞれ得られた弾性率Eと線膨張係数αの値から、以下の通り計算した。
弾性率Eについては、測定結果から、隣り合った測定点での温度(℃)と弾性率(GPa)の平均値をそれぞれ計算し、弾性率の平均値(GPa)と線膨張係数(ppm/K)を掛け合わせ、積Kを求めた。その値を30℃から125℃まで求め、式(1)の右辺に相当する総和(以下「Kの積分値」と称す。)を計算した。このKの積分値が2.7×10以下であった場合を「○」、2.7×10を超える場合を「×」とした。
(5)温度変化に対する接合安定性の評価
株式会社WALTS社製のシリコン製はんだバンプ基板(CC80ModelI)を70℃に加熱しながら、バンプ形成面に各樹脂組成物を約5μL塗布した。
このはんだバンプ基板の樹脂組成物塗布面に、株式会社WALTS社製のインターポーザ(IP80ModelI)を積層し、東レエンジニアリング社製フリップチップボンダ(FC3000S)を用いて250℃まで昇温させて0.7MPaで加熱圧着接合し、40℃に冷却後、180℃で1時間ポストキュア(後硬化)させて、積層体を形成した。
この積層体について、エスペック製 小型環境試験器 SH−261を用いて、−55℃〜125℃〜−55℃の1サイクルを2時間に設定したヒートショック試験を実施した。ヒートショック試験実施後に、積層体の樹脂硬化物部分と基板との間に剥離または亀裂発生の有無を調べ、84サイクル経過後に剥離も亀裂も生じていないものを安定な接合状体を維持することが可能なものと評価して「○」を、剥離または亀裂が生じたものを「×」とした。
[実施例1]
150ccの撹拌容器に、エポキシ樹脂(a1)を1.9g、エポキシ樹脂(a2)を10.9g、無機フィラー(b1)を15.2g、硬化剤(c1)を7.9g秤量し、自公転攪拌機(株式会社シンキー製 ARV−310)を用いて2000rpm、1kPaで5分間撹拌した。次に、硬化促進剤(d1)3.1gを添加し、1800rpm、1kPaで5分間撹拌し、続いて、フラックス(e1)を0.20g添加し、1800rpm、1kPaで5分間撹拌し、樹脂組成物を得た。各成分の重量分率での配合比を表1−1に、体積分率での配合比率を表1−2に示す。
[実施例2〜7、比較例1]
150ccの撹拌容器にエポキシ樹脂(a1)、(a2)、(a3)と、硬化剤(c1)をそれぞれ表1−1(重量分率)の配合比率の通りに秤量し、これに分散剤(f1)0.16gを配合添加して、自公転攪拌機(株式会社シンキー製 ARV−310)を用いて2000rpm、1kPaで5分間撹拌した。以下、実施例1と同様にして無機フィラー(b1)、硬化促進剤(d1)、フラックス(e1)を配合添加して、樹脂組成物を得た。それぞれの体積分率での配合比率を表1−2に示す。
実施例1〜7及び比較例1で得られた樹脂組成物について、前述の(1)〜(5)の評価を行って、結果を表2に示した。
Figure 2018039992
Figure 2018039992
表1,2より、本発明の樹脂組成物によれば、環境変化に対して半導体デバイス基板同士の接合を安定に維持し得ることが分かる。
本発明の樹脂組成物によれば、温度等の環境変化に対しても、半導体デバイス基板および層間充填材層に亀裂や剥離を生じることなく、接合を安定に維持することができ、このような樹脂組成物を層間充填材組成物として用いることにより、高品質で信頼性に優れた三次元積層型半導体装置が提供される。

Claims (16)

  1. エポキシ樹脂(A)、無機フィラー(B)、及び硬化剤(C)を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物の弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kが、下記式(1)を満たす、樹脂組成物。
    Figure 2018039992
    (式(1)において、Tは弾性率E及び線膨張係数α測定時の硬化物の温度であり、式(1)の右辺は、弾性率E(GPa)と線膨張係数α(ppm/K)の積Kの温度T=30℃〜125℃における積分値を示す。)
  2. 前記エポキシ樹脂(A)が、剛直成分と柔軟成分のブロック構造を有するエポキシ樹脂(A−1)を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記剛直成分が、芳香族性を有する環構造を含む、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記柔軟成分が、脂肪族炭化水素からなる、請求項2または請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂(A)が、複数のエポキシ樹脂の混合物である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記エポキシ樹脂(A)の少なくとも1種が、25℃におけるせん断粘度が10Pa・s以下のエポキシ樹脂である、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂(A)の少なくとも1種が、ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルの共重合体である、請求項5または請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記無機フィラー(B)が、体積抵抗率が1013(Ω・cm)以上の無機化合物よりなる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記無機フィラー(B)が、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機化合物よりなる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記硬化剤(C)が酸無水物である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記無機フィラー(B)の含有割合が、樹脂組成物全体に対して50重量%以上76重量%以下である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 更に、硬化促進剤(D)を含有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記硬化促進剤(D)が、マイクロカプセル型の硬化促進剤である、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 更に、フラックス(E)を含有する、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上有する三次元積層型半導体装置であって、該半導体基板間の少なくとも1つの層が、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化層である、三次元積層型半導体装置。
  16. 半導体デバイス層が形成された半導体基板の表面に、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる層をプレアプライ法により形成し、該半導体基板と、半導体デバイス層が形成された他の半導体基板とを、該樹脂組成物からなる層を介して積層して加圧接合した後、120℃〜180℃で処理する工程を含む、三次元積層型半導体装置の製造方法。
JP2017164462A 2016-08-31 2017-08-29 樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた三次元積層型半導体装置 Pending JP2018039992A (ja)

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