JP2018013167A - 遊星ローラねじ式直動機構および電動ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外輪部材から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて荷重変換率を切り替えることが可能であり、しかも、回転軸の外周の遊星ローラが転がり接触する円筒面を研磨等によって容易に仕上げることが可能な遊星ローラねじ式直動機構を提供する。
【解決手段】軸方向後方への反力によりキャリア14が回転軸8に対して相対移動するようにキャリア14を弾性部材35で支持し、キャリア14が回転軸8に対して相対移動していない状態ではキャリア14と摩擦結合し、キャリア14が回転軸8に対して相対移動した状態ではキャリア14との摩擦結合を解除する摩擦結合部40が回転軸8の外周に設けられた遊星ローラねじ式直動機構において、摩擦結合部40を、回転軸8の円筒面12をもつ部分とは別体の環状部材として形成する。
【選択図】図2
【解決手段】軸方向後方への反力によりキャリア14が回転軸8に対して相対移動するようにキャリア14を弾性部材35で支持し、キャリア14が回転軸8に対して相対移動していない状態ではキャリア14と摩擦結合し、キャリア14が回転軸8に対して相対移動した状態ではキャリア14との摩擦結合を解除する摩擦結合部40が回転軸8の外周に設けられた遊星ローラねじ式直動機構において、摩擦結合部40を、回転軸8の円筒面12をもつ部分とは別体の環状部材として形成する。
【選択図】図2
Description
この発明は、遊星ローラねじ式直動機構およびその遊星ローラねじ式直動機構を用いた電動ブレーキ装置に関する。
従来、車両用ブレーキ装置として、油圧を駆動源とする油圧ブレーキ装置が多く採用されてきたが、油圧ブレーキ装置は、ブレーキオイルを使用するので環境負荷が高く、またABS、スタビリティ・コントロール・システム、ブレーキアシスト等といった機能の更なる高機能化が難しい。そこで、ブレーキ装置の更なる高機能化と環境負荷の低減を実現する手段として、電動モータを駆動源とする電動ブレーキ装置が注目されている。
電動ブレーキ装置は、車輪と一体に回転するブレーキディスクと、ブレーキディスクに対向して配置されたブレーキパッドと、ブレーキパッドを直線駆動する電動式直動アクチュエータとを有し、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付けることで制動力を発生する。
このような電動ブレーキ装置に用いられる電動式直動アクチュエータとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1の電動式直動アクチュエータは、電動モータと、その電動モータの回転が入力される回転軸と、その回転軸の外周に転がり接触する複数の遊星ローラと、その複数の遊星ローラを自転可能かつ公転可能に保持するキャリアと、複数の遊星ローラを囲むように配置された外輪部材と、その外輪部材を軸方向に移動可能に収容するハウジングとを有する。外輪部材の内周には螺旋凸条が設けられ、その螺旋凸条と係合する螺旋溝または円周溝が各遊星ローラの外周に設けられている。
この電動式直動アクチュエータは、電動モータの回転が回転軸に入力されると、その回転軸の回転が、回転軸の外周に転がり接触する遊星ローラに伝達し、各遊星ローラが自転しながら回転軸のまわりを公転する。このとき、遊星ローラの外周の螺旋溝または円周溝と外輪部材の内周の螺旋凸条との係合によって外輪部材が軸方向に移動する。
この電動式直動アクチュエータを電動ブレーキ装置に使用する場合、外輪部材の内周の螺旋凸条のリード角を大きく設定すると、外輪部材の軸方向の移動速度が早くなるので、ブレーキをかけるときに、ブレーキパッドがブレーキディスクに接触するまでに要する時間が短くなり、ブレーキの応答性を高めることができるが、その反面、荷重変換率が小さくなるので、ブレーキパッドがブレーキディスクを押圧する力が小さくなるという問題がある。
一方、外輪部材の内周の螺旋凸条のリード角を小さく設定すると、荷重変換率が大きくなるので、ブレーキをかけるときに、ブレーキパッドがブレーキディスクを押圧する力を大きくすることが可能となるが、その反面、外輪部材の軸方向の移動速度が遅くなるので、ブレーキパッドがブレーキディスクに接触するまでに要する時間が長くなり、ブレーキの応答性が低下してしまう。つまり、ブレーキの応答性を高めることと、ブレーキパッドがブレーキディスクを押圧する力を大きくすることとは、相反関係にある。
そこで、特許文献1では、ブレーキの応答性を高めることと、ブレーキパッドがブレーキディスクを押圧する力を大きくすることとを両立させるため、外輪部材から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて荷重変換率が切り替わる構造を提案している。
すなわち、外輪部材が対象物に軸方向前方への荷重を負荷したときに受ける軸方向後方への反力により、キャリアが回転軸に対して軸方向後方に相対移動するようにキャリアを弾性部材で支持している。また、キャリアが回転軸に対して軸方向後方に相対移動していない状態では、キャリアと回転軸の相対回転を制限するようにキャリアと摩擦結合し、キャリアが回転軸に対して軸方向後方に相対移動した状態では、キャリアと回転軸の相対回転を許容するようにキャリアとの摩擦結合を解除する摩擦結合部を回転軸の外周に設けている。
このようにすると、外輪部材から対象物に軸方向前方への荷重を負荷していない状態では、回転軸の外周の摩擦結合部がキャリアと摩擦結合し、キャリアと回転軸の相対回転が制限される。そのため、外部から回転軸に回転が入力されたときに、回転軸と一体にキャリアが公転し、外輪部材が小さい減速比で軸方向に移動する。一方、外輪部材から対象物に軸方向前方への荷重を負荷した状態では、回転軸の外周の摩擦結合部とキャリアとの摩擦結合が解除され、キャリアと回転軸の相対回転が許容される。そのため、外部から回転軸に回転が入力されたときに、遊星ローラが自転しながら公転し、外輪部材が大きい減速比で軸方向に移動する。このように、荷重変換率(減速比)を、外輪部材から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて切り替えることが可能となっている。ここで、摩擦結合部は、回転軸の外周に直接形成されたテーパ面である。
本願の発明者は、上記の遊星ローラねじ式直動機構において、回転軸の外周の遊星ローラが転がり接触する円筒面を研磨等によって高精度に仕上げるときに、回転軸の形状が、仕上げ加工の難しい形状となっている点に気付いた。
すなわち、特許文献1の遊星ローラねじ式直動機構においては、キャリアと摩擦結合する摩擦結合部は、回転軸の外周に直接形成されたテーパ面を採用している。そして、このテーパ面は、回転軸の外周の円筒面(遊星ローラが転がり接触する面)よりも大きい外径を有する。そのため、回転軸の外周を転がり支持しながら回転軸の外周を加工する低コストの加工方法(例えば、センタレス通し研磨)を採用することができず、回転軸の外周の円筒面を高精度に仕上げるための加工コストが高くなるという問題がある。
この発明が解決しようとする課題は、外輪部材から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて荷重変換率を切り替えることが可能であり、しかも、回転軸の外周の遊星ローラが転がり接触する円筒面を研磨等によって容易に仕上げることが可能な遊星ローラねじ式直動機構を提供することである。
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成の遊星ローラねじ式直動機構を提供する。
外周に円筒面をもつ回転軸と、
前記円筒面に転がり接触する複数の遊星ローラと、
前記複数の遊星ローラを自転可能かつ公転可能に保持するキャリアと、
前記複数の遊星ローラを囲むように配置され、軸方向に移動可能に支持された外輪部材と、
前記外輪部材の内周に設けられた螺旋凸条と、
前記各遊星ローラの外周に設けられ、前記遊星ローラが自転しながら公転したときに前記外輪部材を軸方向に移動させるように前記螺旋凸条と係合する螺旋溝または円周溝とを有し、
前記外輪部材が対象物に軸方向前方への荷重を負荷したときに受ける軸方向後方への反力により、前記キャリアが前記回転軸に対して軸方向後方に相対移動するように前記キャリアが弾性部材で支持され、
前記キャリアが前記回転軸に対して軸方向後方に相対移動していない状態では、前記キャリアと前記回転軸の相対回転を制限するように前記キャリアと摩擦結合し、前記キャリアが前記回転軸に対して軸方向後方に相対移動した状態では、前記キャリアと前記回転軸の相対回転を許容するように前記キャリアとの摩擦結合を解除する摩擦結合部が前記回転軸の外周に設けられ、
前記摩擦結合部が前記円筒面よりも大きい外径を有する遊星ローラねじ式直動機構において、
前記摩擦結合部は、前記回転軸の前記円筒面をもつ部分とは別体の環状部材として形成され、その摩擦結合部が前記回転軸の外周に嵌合して固定されている。
外周に円筒面をもつ回転軸と、
前記円筒面に転がり接触する複数の遊星ローラと、
前記複数の遊星ローラを自転可能かつ公転可能に保持するキャリアと、
前記複数の遊星ローラを囲むように配置され、軸方向に移動可能に支持された外輪部材と、
前記外輪部材の内周に設けられた螺旋凸条と、
前記各遊星ローラの外周に設けられ、前記遊星ローラが自転しながら公転したときに前記外輪部材を軸方向に移動させるように前記螺旋凸条と係合する螺旋溝または円周溝とを有し、
前記外輪部材が対象物に軸方向前方への荷重を負荷したときに受ける軸方向後方への反力により、前記キャリアが前記回転軸に対して軸方向後方に相対移動するように前記キャリアが弾性部材で支持され、
前記キャリアが前記回転軸に対して軸方向後方に相対移動していない状態では、前記キャリアと前記回転軸の相対回転を制限するように前記キャリアと摩擦結合し、前記キャリアが前記回転軸に対して軸方向後方に相対移動した状態では、前記キャリアと前記回転軸の相対回転を許容するように前記キャリアとの摩擦結合を解除する摩擦結合部が前記回転軸の外周に設けられ、
前記摩擦結合部が前記円筒面よりも大きい外径を有する遊星ローラねじ式直動機構において、
前記摩擦結合部は、前記回転軸の前記円筒面をもつ部分とは別体の環状部材として形成され、その摩擦結合部が前記回転軸の外周に嵌合して固定されている。
このようにすると、外輪部材から対象物に軸方向前方への荷重を負荷していない状態では、回転軸の外周の摩擦結合部がキャリアと摩擦結合し、キャリアと回転軸の相対回転が制限される。そのため、外部から回転軸に回転が入力されたときに、回転軸と一体にキャリアが公転し、外輪部材が小さい減速比で軸方向に移動する。一方、外輪部材から対象物に軸方向前方への荷重を負荷した状態では、回転軸の外周の摩擦結合部とキャリアとの摩擦結合が解除され、キャリアと回転軸の相対回転が許容される。そのため、外部から回転軸に回転が入力されたときに、遊星ローラが自転しながら公転し、外輪部材が大きい減速比で軸方向に移動する。このように、荷重変換率(減速比)を、外輪部材から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて切り替えることが可能となっている。
また、前記摩擦結合部は、遊星ローラが転がり接触する円筒面よりも大きい外径を有するが、この摩擦結合部は、回転軸の前記円筒面をもつ部分とは別体の環状部材として形成されているため、遊星ローラが転がり接触する円筒面を、回転軸の最大径部分とすることが可能である。そのため、回転軸の外周を転がり支持しながら回転軸の外周を加工する低コストの加工方法(例えば、センタレス通し研磨)を採用することが可能であり、遊星ローラが転がり接触する円筒面を研磨等によって容易に仕上げることが可能である。
前記摩擦結合部としては、前記回転軸の外周に形成された断面非円形の回り止め部に嵌合することで前記回転軸に対する相対回転が規制され、かつ、前記回転軸の外周に装着された止め輪で前記回転軸に対する軸方向移動が規制された構成のものを採用することができる。
このようにすると、摩擦結合部を回転軸の外周に取り付ける作業が容易である。
また、前記摩擦結合部としては、前記回転軸の外周に締め代をもって嵌合した構成のものを採用することができる。締め代を設ける手段としては、例えば、圧入、焼き嵌め等が挙げられる。
このようにすると、摩擦結合部の内周の形状と、回転軸の外周の摩擦結合部に対する嵌合部分の形状とを単純なもの(例えば円筒面)とすることができ、摩擦結合部と回転軸の製造コストを低減することが可能となる。
また、前記摩擦結合部としては、前記回転軸の外周に溶接したものを採用してもよい。
また、前記回転軸の外周にスプラインを形成し、そのスプラインを前記摩擦結合部の内周部の硬度よりも高い硬度を有するものとし、そのスプラインを前記摩擦結合部の内周部に食い込ませることで前記摩擦結合部を前記回転軸に固定してもよい。
このようにすると、極めて高い強度をもって摩擦結合部を回転軸に固定することが可能となる。
また、前記摩擦結合部の内周にスプラインを形成し、そのスプラインを、前記回転軸の外周の前記摩擦結合部に対する嵌合部分の硬度よりも高い硬度を有するものとし、そのスプラインを前記回転軸の外周に食い込ませることで前記摩擦結合部を前記回転軸に固定してもよい。
このようにすると、極めて高い強度をもって摩擦結合部を回転軸に固定することが可能となる。
前記摩擦結合部の前記キャリアに対する接触面は、軸方向前側から後側に向かって外径が小さくなるテーパ形状のものを採用することができる。
このようにすると、テーパの楔作用によって摩擦結合部とキャリアの間の接触面圧が高くなるので、回転軸とキャリアの間での滑りを効果的に防止することが可能となる。
また、この発明では、上記の遊星ローラねじ式直動機構用いた電動ブレーキ装置として、以下の構成のものを併せて提供する。
上記構成の遊星ローラねじ式直動機構と、
前記遊星ローラねじ式直動機構の前記回転軸を回転駆動する電動モータと、
前記遊星ローラねじ式直動機構の外輪部材と一体に移動するブレーキパッドと、
前記ブレーキパッドに対向して配置されたブレーキディスクと、
を有する電動ブレーキ装置。
上記構成の遊星ローラねじ式直動機構と、
前記遊星ローラねじ式直動機構の前記回転軸を回転駆動する電動モータと、
前記遊星ローラねじ式直動機構の外輪部材と一体に移動するブレーキパッドと、
前記ブレーキパッドに対向して配置されたブレーキディスクと、
を有する電動ブレーキ装置。
この発明の遊星ローラねじ式直動機構は、外輪部材から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて荷重変換率を切り替えることが可能である。また、摩擦結合部が、回転軸の前記円筒面をもつ部分とは別体の環状部材として形成されているため、遊星ローラが転がり接触する円筒面を、回転軸の最大径部分とすることが可能である。そのため、回転軸の外周を転がり支持しながら回転軸の外周を加工する低コストの加工方法(例えば、センタレス通し研磨)を採用することが可能であり、遊星ローラが転がり接触する円筒面を研磨等によって容易に仕上げることが可能である。
図1に、この発明の第1実施形態の遊星ローラねじ式直動機構1を用いた電動式直動アクチュエータ2を示す。この電動式直動アクチュエータ2は、電動モータ3と、電動モータ3の回転を減速して伝達する減速歯車列4と、減速歯車列4を介して電動モータ3から入力される回転を外輪部材5の直線運動に変換して出力する遊星ローラねじ式直動機構1とを有する。
減速歯車列4は、電動モータ3のモータ軸6に固定された入力歯車7と、遊星ローラねじ式直動機構1の回転軸8に固定された出力歯車9と、入力歯車7と出力歯車9の間で回転を伝達する中間歯車10と、これらの歯車7,9,10を収容するギヤケース11とを有する。この減速歯車列4は、電動モータ3のモータ軸6から入力歯車7に入力された回転を、互いに歯数の異なる入力歯車7、中間歯車10、出力歯車9を順に伝達することで減速し、その減速された回転を出力歯車9から回転軸8に出力する。
図2、図3に示すように、遊星ローラねじ式直動機構1は、外周に円筒面12をもつ回転軸8と、円筒面12に転がり接触する複数の遊星ローラ13と、その複数の遊星ローラ13を自転可能かつ公転可能に保持するキャリア14と、複数の遊星ローラ13を囲むように配置された中空筒状の外輪部材5と、外輪部材5を軸方向に移動可能に収容するハウジング15とを有する。複数の遊星ローラ13は、外輪部材5の内周と回転軸8の外周との間に周方向に間隔をおいて配置されている。
ここで、回転軸8と平行な方向を軸方向、外輪部材5のハウジング15からの突出長さが大きくなる側に外輪部材5が移動するときの外輪部材5の移動方向を軸方向前方、外輪部材5のハウジング15からの突出長さが小さくなる側に外輪部材5が移動するときの外輪部材5の移動方向を軸方向後方、回転軸8まわりに周回する方向を周方向、回転軸8との距離が変化する方向を径方向と定義する。
図2に示すように、外輪部材5の内周には、螺旋凸条16が設けられている。螺旋凸条16は、周方向に対して所定のリード角をもって斜めに延びる凸条である。各遊星ローラ13の外周には、螺旋凸条16に係合する複数の円周溝17が軸方向に間隔をおいて形成されている。各遊星ローラ13の外周の軸方向に隣り合う円周溝17の間隔は、螺旋凸条16のピッチと同一の大きさとされている。ここでは、遊星ローラ13の外周にリード角が0度の円周溝17を設けているが、円周溝17のかわりに、螺旋凸条16と異なるリード角をもつ螺旋溝を設けてもよい。
図2、図3に示すように、キャリア14は、各遊星ローラ13をそれぞれ自転可能に支持する複数の支持ピン18と、各支持ピン18の軸方向前端部を保持する軸方向前側ディスク20と、各支持ピン18の軸方向後端部を保持する軸方向後側ディスク21と、周方向に隣り合う複数の遊星ローラ13の間を通って軸方向前側ディスク20と軸方向後側ディスク21を連結する柱部22とを有する。柱部22は、軸方向前側ディスク20と軸方向後側ディスク21が軸方向と周方向のいずれの方向にも相対移動しないように両ディスク20,21を一体化している。
図2に示すように、軸方向前側ディスク20および軸方向後側ディスク21は、それぞれ回転軸8を貫通させる環状に形成されている。軸方向後側ディスク21の内周には、回転軸8の外周に摺接する滑り軸受23が装着されている。
各遊星ローラ13の内周と支持ピン18の外周との間には、遊星ローラ13を自転可能に支持するラジアル軸受24が組み込まれている。各遊星ローラ13と軸方向後側ディスク21との間には、遊星ローラ13を自転可能な状態で軸方向に支持するスラスト軸受25が組み込まれている。また、スラスト軸受25と軸方向後側ディスク21の間には、スラスト軸受25を介して遊星ローラ13を傾動可能に支持する調心座26が組み込まれている。
外輪部材5は、ハウジング15に形成された収容孔27の内面で軸方向にスライド可能に支持されている。ハウジング15の内部には、キャリア14から軸方向後方に離れた位置に軸受支持部材28が固定されている。軸受支持部材28は、回転軸8を貫通させる円環状に形成されている。軸受支持部材28の内周には、回転軸8を回転可能に支持するラジアル軸受29が組み込まれている。ラジアル軸受29は、例えば、焼結すべり軸受や深溝玉軸受を採用することができる。
軸受支持部材28は、収容孔27の内周に設けられた突起部30で軸方向後方への移動が規制され、収容孔27の内周に装着した止め輪31で軸方向前方への移動が規制されている。また、回転軸8は、回転軸8の外周に装着した止め輪32によって軸受支持部材28に対する軸方向前方への相対移動が規制されている。また、キャリア14は、回転軸8の軸方向前端部の外周に固定された摩擦結合部40によって、回転軸8に対する軸方向前方への相対移動が規制されている。
ここで、ラジアル軸受29は、軸受支持部材28に対する軸方向前方への相対移動が規制された状態に組み込まれ、止め輪32は、ラジアル軸受29に対して軸方向後側に装着されている。
キャリア14と軸受支持部材28の間には、キャリア14を公転可能な状態で軸方向後側から支持するスラスト軸受33が組み込まれている。また、キャリア14とスラスト軸受33の間には、キャリア14からスラスト軸受33に軸方向荷重を伝達する間座34が組み込まれている。キャリア14と間座34の間には弾性部材35が組み込まれ、さらに間座34とキャリア14の間には、キャリア14の軸方向移動を許容する軸方向隙間36が設けられている。これにより、キャリア14に軸方向後方への荷重が負荷されたときに、その荷重により弾性部材35が軸方向に圧縮し、キャリア14と間座34の間の軸方向隙間36の範囲で、キャリア14が回転軸8に対して軸方向後方に相対移動するようになっている。ここで、キャリア14と間座34の間の軸方向隙間36の大きさは微小である。そのため、キャリア14が回転軸8に対して軸方向後方に相対移動することが可能な距離はきわめて短いもの(例えば、0.5mm以下)となっている。
弾性部材35は、回転軸8を貫通させる環状に形成されている。弾性部材35は、例えば皿ばねである。皿ばねにかえて、ウェーブスプリングやコイルばねを採用することも可能である。弾性部材35は、外輪部材5が対象物に軸方向前方への荷重を負荷していないとき(すなわち、キャリア14に軸方向後方への反力が作用していないとき)に、予め軸方向に圧縮された状態とされ、弾性部材35からキャリア14に予圧力が作用する組み込みとされている。
この実施形態では、キャリア14と間座34の間に弾性部材35を組み込んだが、弾性部材35を組み込む位置は、キャリア14と軸受支持部材28の間であれば他の位置でもよく、例えば、間座34とスラスト軸受33の間に弾性部材35を組み込んでもよく、間座34を軸方向に相対移動可能な2つの分割体で構成し、その2つの分割体の間に弾性部材35を組み込んでもよく、またスラスト軸受33と軸受支持部材28の間に弾性部材35を組み込むようにしてもよい。
図4、図5に示すように、摩擦結合部40は、回転軸8の円筒面12をもつ部分とは別体の環状部材である。この摩擦結合部40は、回転軸8の軸方向前端に形成された嵌合軸部8aの外周に嵌合して固定されている。嵌合軸部8aは、円筒面12の外径よりも径方向外側に超える部分をもたない形状とされている。一方、摩擦結合部40は、円筒面12よりも大きい外径を有する(すなわち円筒面12の外径よりも径方向外側に超える部分を有する)形状とされている。
摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に形成された断面非円形の回り止め部41に嵌合することで回転軸8に対する相対回転が規制されている。回り止め部41は、ここでは円周の一部を回転軸8の軸線に平行な平面とした形状の部分である。また、摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に装着された止め輪42で回転軸8に対する軸方向前方への移動が規制されている。さらに、摩擦結合部40は、嵌合軸部8aの軸方向後端に形成された段部43で回転軸8に対する軸方向後方への移動が規制されている。段部43は、軸方向前側から軸方向後側に向かって外径が大きくなる形状の部分である。
摩擦結合部40の外周には、軸方向前側から後側に向かって外径が小さくなるテーパ面44が形成されている。テーパ面44の傾斜角(テーパ面44が軸方向と平行な方向に対してなす角度)は、5〜20°の範囲で設定されている。
キャリア14の軸方向前側ディスク20の内周には、テーパ面44に対向するテーパ内周面45が形成されている。テーパ内周面45の傾斜角(テーパ内周面45が軸方向と平行な方向に対してなす角度)は、5〜20°の範囲で設定されている。テーパ内周面45は、テーパ面44と等しい傾斜角をもつように形成すると好ましい。
ここで、図6に示すように、キャリア14が回転軸8に対して軸方向後方に相対移動していない状態(すなわち、キャリア14に軸方向後方への荷重が負荷されていない状態)では、キャリア14のテーパ内周面45は、摩擦結合部40の外周のテーパ面44に接触している。このとき、テーパ内周面45とテーパ面44は弾性部材35の力によって摩擦結合し、キャリア14と回転軸8の相対回転がテーパ内周面45とテーパ面44の間の摩擦力によって制限された状態となる。
一方、図7に示すように、キャリア14が回転軸8に対して軸方向後方に相対移動した状態(すなわち、キャリア14に軸方向後方への荷重が負荷され、その荷重によって弾性部材35の圧縮量が増加した状態)では、キャリア14のテーパ内周面45が、摩擦結合部40の外周のテーパ面44から離反する。このとき、テーパ内周面45とテーパ面44の摩擦結合が解除され、キャリア14と回転軸8の相対回転が許容された状態となる。
上記の電動式直動アクチュエータ2の動作例を説明する。
図1に示す電動モータ3のモータ軸6が回転すると、その回転が減速歯車列4によって減速して伝達され、遊星ローラねじ式直動機構1の回転軸8に入力される。
ここで、図2に示す外輪部材5が対象物に軸方向前方への荷重を負荷していない状態(すなわち、キャリア14に軸方向後方への反力が作用していない状態)では、図6に示すように、キャリア14と摩擦結合部40とが摩擦結合し、キャリア14と回転軸8の相対回転が制限される。そのため、図1に示す電動モータ3から減速歯車列4を介して回転軸8に回転が入力されたときに、回転軸8と一体にキャリア14が公転し、遊星ローラ13は自転せずに回転軸8のまわりを公転する。そして、遊星ローラ13の外周の円周溝17と外輪部材5の内周の螺旋凸条16との係合によって、遊星ローラ13と外輪部材5が軸方向に相対移動するが、遊星ローラ13はキャリア14と共に軸方向の移動が規制されているので、遊星ローラ13はハウジング15に対して軸方向に移動せず、外輪部材5がハウジング15に対して軸方向に移動する。
このとき、回転軸8と一体にキャリア14が公転し、遊星ローラ13は自転せずに回転軸8のまわりを公転するため、遊星ローラ13が自転しながら回転軸8のまわりを公転する場合よりも、遊星ローラ13の公転速度は比較的速いものとなる。そのため、外輪部材5の軸方向の移動速度が早くなり、荷重変換率が小さくなる。
一方、外輪部材5から対象物に軸方向前方への荷重を負荷している状態では、外輪部材5が受ける軸方向後方への反力が遊星ローラ13とスラスト軸受25とを順に介してキャリア14に伝達し、その軸方向後方への反力によって、キャリア14が回転軸8に対して軸方向後方に相対移動し、図7に示すように、キャリア14と摩擦結合部40の摩擦結合が解除され、キャリア14と回転軸8の相対回転が許容される。そのため、図1に示す電動モータ3から減速歯車列4を介して回転軸8に回転が入力されたときに、遊星ローラ13が支持ピン18を中心に自転しながら回転軸8のまわりを公転する。そして、遊星ローラ13の外周の円周溝17と外輪部材5の内周の螺旋凸条16との係合によって、遊星ローラ13と外輪部材5が軸方向に相対移動するが、遊星ローラ13はキャリア14と共に軸方向の移動が規制されているので、遊星ローラ13はハウジング15に対して軸方向に移動せず、外輪部材5がハウジング15に対して軸方向に移動する。
このとき、遊星ローラ13が自転しながら回転軸8のまわりを公転するため、遊星ローラ13が自転せずに回転軸8のまわりを公転する場合よりも、遊星ローラ13の公転速度は比較的遅いものとなる。そのため、外輪部材5の軸方向の移動速度が遅くなり、荷重変換率が大きくなる。
以上のように、この電動式直動アクチュエータ2は、外輪部材5から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて荷重変換率が切り替わる。この電動式直動アクチュエータ2を電動ブレーキ装置に使用することで、後述のように、ブレーキの応答性を高めることと、ブレーキの押圧力を大きくすることとを両立させることが可能となる。
図16、図17に、上記構成の電動式直動アクチュエータ2を用いた電動ブレーキ装置を示す。この電動ブレーキ装置は、車輪(図示せず)と一体に回転するブレーキディスク50と、ブレーキディスク50に対して軸方向に移動不能に車体に固定されたマウンティングブラケット51と、マウンティングブラケット51に対してブレーキディスク50の軸方向と平行にスライド可能に支持されたキャリパボディ52と、ブレーキディスク50の軸方向の両側に対向して配置されたインナ側ブレーキパッド53およびアウタ側ブレーキパッド54と、インナ側ブレーキパッド53を直線駆動する電動式直動アクチュエータ2とを有する。インナ側ブレーキパッド53とブレーキディスク50の間には微小なクリアランス55が設けられている。インナ側ブレーキパッド53とアウタ側ブレーキパッド54は、それぞれマウンティングブラケット51によって、軸方向に移動可能かつ周方向に移動不能に保持されている。
キャリパボディ52は、アウタ側ブレーキパッド54の背面に軸方向に対向する爪部56と、ブレーキディスク50の外径側に対向する外殻部57とを有する。外殻部57は、電動式直動アクチュエータ2のハウジング15に一体に形成されている。キャリパボディ52の外殻部57と電動式直動アクチュエータ2のハウジング15とを別体に形成し、その両者をボルト等で一体化してもよい。外輪部材5は、外輪部材5が移動したときに外輪部材5と一体にインナ側ブレーキパッド53も移動するように、インナ側ブレーキパッド53の背面に配置されている。
外輪部材5のブレーキディスク50の側の端部には、インナ側ブレーキパッド53の背面に形成された係合凸部58に係合する係合凹部59が形成され、この係合凸部58と係合凹部59の係合によって、外輪部材5は回り止めされている。
この電動ブレーキ装置の動作例を説明する。
ブレーキをかけるとき、電動モータ3(図1参照)が回転すると、電動モータ3から減速歯車列4を介して回転軸8に回転が伝達し、その回転が遊星ローラねじ式直動機構1で外輪部材5の軸方向移動に変換され、外輪部材5によってインナ側ブレーキパッド53が軸方向前方に押し動かされる。このとき、インナ側ブレーキパッド53がブレーキディスク50に接触するまでの間は、図6に示すように、キャリア14が摩擦結合部40と摩擦結合しているので、図16に示す外輪部材5が比較的速い速度をもって軸方向に移動する。そのため、インナ側ブレーキパッド53がブレーキディスク50に接触するまでに要する時間が短く、ブレーキの応答性を高めることができる。
その後、インナ側ブレーキパッド53がブレーキディスク50に接触し、インナ側ブレーキパッド53からブレーキディスク50に軸方向荷重が負荷されると、図7に示すように、キャリア14が回転軸8に対して軸方向後方に相対移動し、キャリア14と摩擦結合部40との摩擦結合が解除されるので、図16に示す外輪部材5の軸方向の移動速度が遅くなるとともに荷重変換率が大きくなり、大きな軸方向荷重が発生する。そのため、インナ側ブレーキパッド53がブレーキディスク50を押圧する力を大きくすることが可能となる。
このように、電動式直動アクチュエータ2を電動ブレーキ装置に使用すると、ブレーキの応答性を高めることと、インナ側ブレーキパッド53がブレーキディスク50を押圧する力を大きくすることとを両立することが可能となる。
以上のように、遊星ローラねじ式直動機構1は、外輪部材5から対象物に軸方向前方への荷重を負荷していない状態では、キャリア14が摩擦結合部40と摩擦結合し、キャリア14と回転軸8の相対回転が制限されるので、外輪部材5の軸方向の移動速度が早くなり、荷重変換率が小さくなる。一方、外輪部材5から対象物に軸方向前方への荷重を負荷した状態では、キャリア14と摩擦結合部40の摩擦結合が解除され、キャリア14と回転軸8の相対回転が許容されるので、外輪部材5の軸方向の移動速度が遅くなり、荷重変換率が大きくなる。このように、遊星ローラねじ式直動機構1は、荷重変換率を、外輪部材5から対象物に負荷する軸方向荷重に応じて切り替えることが可能である。
また、この実施形態の遊星ローラねじ式直動機構1は、回転軸8の外周の遊星ローラ13が転がり接触する円筒面12を研磨等によって高精度に仕上げるときに、センタレス通し研磨等の低コストの加工方法を採用することが可能である。
すなわち、例えば、図2に示す摩擦結合部40を、回転軸8の円筒面12をもつ部分に対して継ぎ目の無い一体の部位として形成することも可能であるが、このようにすると、テーパ面44の部分が円筒面12の部分よりも大きい外径をもつため、円筒面12を研磨等によって仕上げるときに、低コストの加工方法(例えば、センタレス通し研磨)を採用することができず、円筒面12を高精度に仕上げるための加工コストが高くなるという問題がある。
これに対し、この実施形態の遊星ローラねじ式直動機構1は、摩擦結合部40が、回転軸8の円筒面12をもつ部分とは別体の環状部材として形成されているため、遊星ローラ13が転がり接触する円筒面12を、回転軸8の最大径部分とすることが可能である。そのため、回転軸8の外周を転がり支持しながら回転軸8の外周を加工する低コストの加工方法(例えば、センタレス通し研磨)を採用することが可能であり、遊星ローラ13が転がり接触する円筒面12を研磨等によって容易に仕上げることが可能である。なお、センタレス通し研磨は、定位置で回転する研削砥石と、被加工物を間に挟んで研削砥石と対向する位置で回転する調整砥石とを使用し、その研削砥石と調整砥石とで被加工物を軸方向に送りながら被加工物の外周を連続的に研磨する加工方法である。
また、この実施形態では、摩擦結合部40が回転軸8の外周に形成された断面非円形の回り止め部41に嵌合することで摩擦結合部40の回転軸8に対する相対回転を規制し、回転軸8の外周に装着された止め輪42で回転軸8に対する摩擦結合部40の軸方向移動を規制している。このようにすることで、摩擦結合部40を回転軸8の外周に取り付ける作業が容易となっている。
断面非円形の回り止め部41として、図5に示すように、円周の一部を回転軸8の軸線に平行な平面とした形状の部分を採用する場合、回り止め部41を周方向に等間隔に複数(図では2つ)設けると、回転軸8の中心に対する摩擦結合部40の中心の位置決め精度を高めることが可能となるが、図8(a)、(b)に示すように、回り止め部41を1つのみ設けてもよい。
図9(a)、(b)に、この発明の第2実施形態を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に形成された断面非円形の回り止め部41に嵌合することで回転軸8に対する相対回転が規制されている。回り止め部41は、ここでは断面形状が多角形を呈する部分である。摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に装着された止め輪42で回転軸8に対する軸方向前方への移動が規制されている。さらに、摩擦結合部40は、嵌合軸部8aの軸方向後端に形成された段部43で回転軸8に対する軸方向後方への移動が規制されている。このようにしても、第1実施形態と同様に、摩擦結合部40を回転軸8の外周に取り付ける作業が容易である。
図10(a)、(b)に、この発明の第3実施形態を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に形成された断面非円形の回り止め部41に嵌合することで回転軸8に対する相対回転が規制されている。回り止め部41は、ここではスプライン(周方向に等間隔に配置された軸方向に延びる複数の突起)である。摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に装着された止め輪42で回転軸8に対する軸方向前方への移動が規制されている。さらに、摩擦結合部40は、嵌合軸部8aの軸方向後端に形成された段部43で回転軸8に対する軸方向後方への移動が規制されている。このようにしても、第1実施形態と同様に、摩擦結合部40を回転軸8の外周に取り付ける作業が容易である。
図11に、この発明の第4実施形態を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に締め代をもって嵌合している。ここで、摩擦結合部40の内周は円筒面60とされ、嵌合軸部8aの外周も円筒面61とされている。摩擦結合部40を嵌合軸部8aに嵌合する前の状態(すなわち摩擦結合部40を嵌合軸部8aから取り外した状態)において、摩擦結合部40の内周の円筒面60の内径は、嵌合軸部8aの外周の円筒面61の外径よりも小さく設定されており、その摩擦結合部40に嵌合軸部8aを圧入することで、摩擦結合部40の内周が嵌合軸部8aの外周を締め付けた状態に保持されている。このようにすると、摩擦結合部40の内周の形状と、回転軸8の外周の摩擦結合部40に対する嵌合部分の形状とを単純なものとすることができ、摩擦結合部40と回転軸8の製造コストを低減することが可能となる。圧入にかえて焼き嵌めを採用してもよい。
図12に、この発明の第5実施形態を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
摩擦結合部40は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周に溶接されている。ここで、摩擦結合部40の内周は円筒面62とされ、嵌合軸部8aの外周も円筒面63とされている。摩擦結合部40の内周の円筒面62の内径は、嵌合軸部8aの外周の円筒面63の外径よりもわずかに大きく設定されている。円筒面62と円筒面63の嵌合部分の軸方向前端には、摩擦結合部40の母材と回転軸8の母材とが溶融して一体化したビード64が形成されている。このようにすると、摩擦結合部40の内周の形状と、回転軸8の外周の摩擦結合部40に対する嵌合部分の形状とを単純なものとすることができ、摩擦結合部40と回転軸8の製造コストを低減することが可能となる。
図13(a)、(b)に、この発明の第6実施形態を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
回転軸8の嵌合軸部8aの外周にはスプライン65が形成されている。スプライン65は、摩擦結合部40の内周部の硬度よりも高い硬度を有し、このスプライン65が、摩擦結合部40の内周部に食い込むことで、摩擦結合部40が回転軸8に固定されている。
この摩擦結合部40の嵌合軸部8aへの固定方法を説明する。図14に示すように、まず、回転軸8の嵌合軸部8aの外周にスプライン65を形成し、次に、嵌合軸部8aの外周を熱処理によって硬化する。一方、摩擦結合部40の内周部は円筒面66とする。円筒面66に熱処理は施さない。ここで、スプライン65の硬度は、摩擦結合部40の内周部の硬度よりも高くなっている。また、スプライン65の外接円径は、円筒面66の内径よりも大きい。この状態において、回転軸8の嵌合軸部8aを摩擦結合部40に圧入する。これにより、スプライン65が摩擦結合部40の内周の円筒面66に食い込み、摩擦結合部40の内周部が塑性変形する。この塑性変形によって、摩擦結合部40は嵌合軸部8aに強固に固定される。
このように、スプライン65を摩擦結合部40の内周部に食い込ませることで摩擦結合部40を回転軸8に固定すると、極めて高い強度をもって摩擦結合部40を固定することが可能となる。
図15に、この発明の第7実施形態での摩擦嵌合部40の嵌合軸部8aへの固定方法を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
まず、摩擦結合部40の内周にスプライン67を形成し、次に、摩擦結合部40の内周を熱処理によって硬化する。一方、回転軸8の嵌合軸部8aの外周は円筒面68とする。円筒面68に熱処理は施さない。ここで、スプライン67の硬度は、回転軸8の嵌合軸部8aの外周の硬度よりも高くなっている。また、スプライン67の内接円径は、円筒面68の外径よりも小さい。この状態において、回転軸8の嵌合軸部8aを摩擦結合部40に圧入する。これにより、スプライン67が嵌合軸部8aの外周の円筒面68に食い込み、嵌合軸部8aの外周部が塑性変形する。この塑性変形によって、摩擦結合部40は嵌合軸部8aに強固に固定される。
このように、スプライン67を嵌合軸部8aの外周に食い込ませることで摩擦結合部40を回転軸8に固定すると、極めて高い強度をもって摩擦結合部40を固定することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 遊星ローラねじ式直動機構
3 電動モータ
5 外輪部材
8 回転軸
12 円筒面
13 遊星ローラ
14 キャリア
16 螺旋凸条
17 円周溝
35 弾性部材
40 摩擦結合部
41 回り止め部
42 止め輪
50 ブレーキディスク
53 インナ側ブレーキパッド
65,67 スプライン
3 電動モータ
5 外輪部材
8 回転軸
12 円筒面
13 遊星ローラ
14 キャリア
16 螺旋凸条
17 円周溝
35 弾性部材
40 摩擦結合部
41 回り止め部
42 止め輪
50 ブレーキディスク
53 インナ側ブレーキパッド
65,67 スプライン
Claims (8)
- 外周に円筒面(12)をもつ回転軸(8)と、
前記円筒面(12)に転がり接触する複数の遊星ローラ(13)と、
前記複数の遊星ローラ(13)を自転可能かつ公転可能に保持するキャリア(14)と、
前記複数の遊星ローラ(13)を囲むように配置され、軸方向に移動可能に支持された外輪部材(5)と、
前記外輪部材(5)の内周に設けられた螺旋凸条(16)と、
前記各遊星ローラ(13)の外周に設けられ、前記遊星ローラ(13)が自転しながら公転したときに前記外輪部材(5)を軸方向に移動させるように前記螺旋凸条(16)と係合する螺旋溝または円周溝(17)とを有し、
前記外輪部材(5)が対象物に軸方向前方への荷重を負荷したときに受ける軸方向後方への反力により、前記キャリア(14)が前記回転軸(8)に対して軸方向後方に相対移動するように前記キャリア(14)が弾性部材(35)で支持され、
前記キャリア(14)が前記回転軸(8)に対して軸方向後方に相対移動していない状態では、前記キャリア(14)と前記回転軸(8)の相対回転を制限するように前記キャリア(14)と摩擦結合し、前記キャリア(14)が前記回転軸(8)に対して軸方向後方に相対移動した状態では、前記キャリア(14)と前記回転軸(8)の相対回転を許容するように前記キャリア(14)との摩擦結合を解除する摩擦結合部(40)が前記回転軸(8)の外周に設けられ、
前記摩擦結合部(40)が前記円筒面(12)よりも大きい外径を有する遊星ローラねじ式直動機構において、
前記摩擦結合部(40)は、前記回転軸(8)の前記円筒面(12)をもつ部分とは別体の環状部材として形成され、その摩擦結合部(40)が前記回転軸(8)の外周に嵌合して固定されていることを特徴とする遊星ローラねじ式直動機構。 - 前記摩擦結合部(40)は、前記回転軸(8)の外周に形成された断面非円形の回り止め部(41)に嵌合することで前記回転軸(8)に対する相対回転が規制され、かつ、前記回転軸(8)の外周に装着された止め輪(42)で前記回転軸(8)に対する軸方向移動が規制されている請求項1に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
- 前記摩擦結合部(40)は、前記回転軸(8)の外周に締め代をもって嵌合している請求項1に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
- 前記摩擦結合部(40)は、前記回転軸(8)の外周に溶接されている請求項1に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
- 前記回転軸(8)の外周にスプライン(65)が形成され、
前記スプライン(65)は前記摩擦結合部(40)の内周部の硬度よりも高い硬度を有し、
前記スプライン(65)が前記摩擦結合部(40)の内周部に食い込むことで前記摩擦結合部(40)が前記回転軸(8)に固定されている請求項1に記載の遊星ローラねじ式直動機構。 - 前記摩擦結合部(40)の内周にスプライン(67)が形成され、
前記スプライン(67)は、前記回転軸(8)の外周の前記摩擦結合部(40)に対する嵌合部分の硬度よりも高い硬度を有し、
前記スプライン(67)が前記回転軸(8)の外周に食い込むことで前記摩擦結合部(40)が前記回転軸(8)に固定されている請求項1に記載の遊星ローラねじ式直動機構。 - 前記摩擦結合部(40)の前記キャリア(14)に対する接触面は、軸方向前側から後側に向かって外径が小さくなるテーパ形状とされている請求項1から6のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構。
- 請求項1から7のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構(1)と、
前記遊星ローラねじ式直動機構(1)の前記回転軸(8)を回転駆動する電動モータ(3)と、
前記遊星ローラねじ式直動機構(1)の外輪部材(5)と一体に移動するブレーキパッド(53)と、
前記ブレーキパッド(53)に対向して配置されたブレーキディスク(50)と、
を有する電動ブレーキ装置。
Priority Applications (5)
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-
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- 2016-07-20 JP JP2016142495A patent/JP2018013167A/ja active Pending
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