JP2017533037A - 気管チューブ及びカフ - Google Patents

Abstract

気管チューブは、カフを通過する分泌物のフローを減少し得る表面形成部（２１１，３１１，５１１，６１１，７１１，８１１）を外面に設けた高容量／低圧封止カフ（１０，２０１，３１０，５１０，６１０，７１０，８１０）を有する。表面形成部は、ディンプル（２１１）のアレイ形式又は線形的な隆起部若しくはチャンネル（６１１若しくは７１１）のパターン形式であるものとすることができる。代案として、表面形成部は、互いに交差する線形的な凸部（３１１，３１２，３１３）又は溝（５１１）のパターンであるものとすることができる。その代わりに、表面形成部は、外側壁面を粗い触感（８１１）にして設けることができる。【選択図】図２

Description

本発明は、シャフト及びシャフトの患者側端部近傍に備え付けた膨張可能な封止カフを有する種類の気管チューブに関する。

気管チューブは、例えば、手術中のような患者に対して換気及び麻酔ガスを供給するのに使用する。気管チューブは、気管内チューブの場合には口若しくは鼻から挿入し、又は気管切開チューブの場合には首における外科的に形成した気管切開部から挿入することができる。すべてではないが、多くの場合、気管チューブは外側に何らかのシール形態を有し、チューブ外側面と気管内面との間に封止部を形成し、ガス流をチューブのボアだけに制限し、チューブ外側面周りでチューブと気管との間を流動できないようにする。

多くの一般的なシール形態は、チューブに沿って延在し、また後方端部近傍で膨張ラインに接続した小ボアルーメン（管腔）により膨張及び収縮した膨張可能カフによって得られ、膨張ラインは膨張インジケータ、バルブ及びコネクタによって終端する。これら膨張可能カフは高容量／低圧型の種類とすることができ、この場合、カフは、膨張ラインから供給した比較的低圧のガスによって伸縮することなく膨張して気管の壁に接触するよう、可撓性プラスチック材料から自然状態で円筒形又はドーナツ形状にカフを成形する。代案として、カフは低容量／高圧型の種類とすることができ、この場合、カフは、未膨張状態であるときチューブのシャフトに近接して位置するが、膨張ラインから比較的高圧のガスが供給されることによってより大きい直径にまで膨張及び伸展する弾性材料とする。双方の形態におけるカフには種々の問題が存在する。１つの問題点は、カフの上方に溜まる分泌物がカフと気管との間で漏洩し、気管支気道に進入するのを防止するのが困難であることにある。このような分泌物の漏洩は、人工呼吸器関連肺炎（ＶＡＰ：ventilator-associated pneumonia）に関与すると考えられる。

漏洩減少を意図するカフに対して種々の提案がなされてきた。特許文献１（米国特許第６，５２６，９７７号）及び特許文献２（米国特許第６，８０２，３１７号）は、ポリウレタン製の薄い封止カフを記載している。

米国特許第６，５２６，９７７号明細書 米国特許第６，８０２，３１７号明細書

本発明の目的は、従来に取って代わる気管チューブ及びカフを得ることにある。

本発明の第１態様によれば、上述の種類の気管チューブを提供し、この気管チューブにおいて、前記カフは、前記カフを通過する分泌物のフローを減少し得る表面形成部を外面に設けた壁を有する、ことを特徴とする。

前記表面形成部は、前記壁の表面におけるディンプルのアレイ又は線形的な隆起部若しくはチャンネルのパターンによって設けることができる。他の実施形態において、前記表面形成部は前記壁の表面における互いに交差する線形的な凸部又は溝のパターンによって設けることができる。前記表面形成部は、０.１ｍｍ〜１ｍｍの間における寸法であり得る。さらに他の実施形態において、外側壁表面を粗い触感にして設けることができる。前記カフは、好適には、高容量／低圧型の種類である。

本発明の他の態様によれば、本発明の上述した第１態様によるチューブのためのカフを提供する。

本発明による気管切開チューブを、実施例として添付図面につき以下に説明する。

チューブの側面図である。 チューブにおけるカフの第１形態の一部を示す拡大斜視図である。 カフの第２形態の一部を示す拡大斜視図である。 図３に示すカフをさらに拡大した拡大図である。 カフの第３形態の一部を示す拡大図である。 カフの第４形態の一部を示す。 カフの第５形態の一部を示す。 カフの第６形態の一部を示す。

図１につき説明すると、気管切開チューブは、その長さに沿ってボア２を有する管状のシャフト１を備える。チューブには、比較的真直ぐな患者側端部部分３及び比較的真直ぐな装置側端部部分４を形成し、これら端部部分３、４は、患者側端部６及び装置側端部７が互いに約１００゜の角度をなすよう湾曲した中間部分５に結合する。シャフト１は、ＰＶＣのようなプラスチック材料から押出成形又は成形する。患者側端部６近傍でチューブは膨張可能な封止カフ１０を有する。

装置側端部７において、チューブは、ネックストラップ（図示せず）を取り付けるフランジ２０と、及び１５ｍｍ標準雌形継手２１とを有する。

封止カフ１０は高容量／低圧型の種類とし、収縮した状態にあるときに比較的柔軟な形状を有するが、膨張した状態にあるとき、低圧で気管Ｔの内径に合致する直径になるまで充填する。カフ１０は、ＰＶＣ又は任意な他の普通の材料とすることができる。カフ１０は、両側の端部で２つのカラー部分１２及び１３によってシャフト１に取り付ける。カフ１０は、シャフト１の外面における開口１４上に延在させ、この開口１４は、シャフトに沿ってシャフトの壁厚内に延びている膨張ルーメン１５に達する。膨張ルーメン１５は、チューブの後方端部７近傍で小ボア膨張ライン１６に接続し、この小ボア膨張ライン１６は、複合膨張インジケータ若しくはパイロットバルーン、バルブ及びコネクタ１７によって終端する。カフ１０は、空気充填シリンジ（図示せず）をコネクタ１７に接続することによって、空気により膨張及び収縮させる。代案として、カフ１１は、生理食塩水のような液体で膨張させることができる。高容量／低圧型の代わりとして、カフは、カフに供給されるガス圧によって拡張及び伸展する高圧弾性型があり得る。

カフ１０の壁における外面には、気管と下部との間での分泌物フローを減少するよう配列した表面形成部を形成する。とくに、表面形成部は、分泌物に通路を与えるおそれがあるカフにおけるいかなる線形的折れ目をも中断するように、又はいかなる分泌物経路をも曲がりくねらすように選択する。この機能を行うことができる種々の形式の表面形成部がある。

先ず、図２につき説明すると、外方に突出し、またカフの膨張可能な部分の表面全体にわたり分布した小さいディンプル又はピンプル２１１のパターンを備え付けたカフ２１０の一部を示し、表面全体にわたり分布させることは可能であるが、その代わりに気管の壁に接触するようになる表面部分にだけこのパターンの表面形成部を形成することができる。ディンプル２１１は相互に極めて接近させ、代表的には、約１ｍｍ〜０.１ｍｍにおけるディンプル直径に等しい又はそれより小さい間隔にして配置する。ディンプル２１１は相互に作用して、分泌物がカフ下部の下方気管に達するために通過しなければならない曲がりくねった経路を生ずる。カフ２１０におけるディンプルの触感（テクスチャ）も、カフを気管壁により一層近くに配置させることを可能にし、これはすなわち、隆起したディンプルが気管壁のいかなる凹み及び起伏内にも嵌合できるからである。

図３及び４は、カフ３１０の表面における網掛けパターン３１１によって形成される、第２の代替的なカフ触感を示す。網掛けパターン３１１は、互いに交差する２つの僅かに隆起した線形的な三角形輪郭の隆起部３１２及び３１３の列によって形成される。代表的には、これら隆起部３１２及び３１３は、約０.１ｍｍの幅及び約０.１ｍｍの高さである。互いに平行な各隆起部３１２及び３１３の間の間隔は、隆起部の幅とほぼ同一である。隆起部３１２及び３１３の２つの列は任意の角度、好適には、４５゜〜１３５゜、最も好適には９０゜で交差することができる。網掛けパターンをカフ外方に突出する隆起部によって設ける代わりに、パターンを反転させて、図５にカフ５１０として示すように、内方に突出する窪んだチャンネル５１１による同様のパターンにすることができる。

図３〜５に示すように、互いに交差する２つの溝又は隆起部セットを設ける代わりに、平行若しくはほぼ平行な隆起部又は溝のパターンだけを設けることができる。

図６は、カフの縦方向に延在する線形的溝又は隆起部６１１のパターンを有するカフ６１０を示す。これら溝又は隆起部６１１によれば、カフの膨張中に形成されるいかなる折れ目をも溝又は隆起部６１１に整列させ、また折れ目が生ずる場合でも折れ目をより狭くするのを確実にする。このことは、分泌物が極めて容易に折れ目に沿って流動できなくし、これによりカフを通過する漏洩量を減少することを意味する。

代案として、図７に示すように、溝又は隆起部７１１はカフ７１０の周りに周方向に延在することができる。これら溝又は隆起部７１１は、この場合、分泌物がカフ７１０を通過して流動する上で横切らなければならない障害物を与える一連の微小壁又は微小溝列と同様に作用する。

図８に示すさらに他の第６実施形態において、カフ８１０の外面には、ビードブラスト又はショットブラスト処理によって生ずるのと同様の、ランダムで粗く不均一な触感付け表面８１１を形成する。表面形状部は、好適には約０.１ｍｍの直径を有するが、これより小さい、例えば、０.０５ｍｍ〜０.１ｍｍの間の直径とすることもできる。表面は、突起若しくは凹み、又は突起及び凹みの組合せによって設けることができる。この表面によれば、カフ８１０は、気管表面によりよく合致し、気管表面におけるいかなる欠陥内にも、また気管壁における毛髪状の繊毛周りにも嵌合できる。

本発明は、気管切開チューブに限定されることなく、他の気管チューブにも使用することができる。

１ シャフト
２ ボア
３ 患者側端部部分
４ 装置側端部部分
５ 中間部分
６ 患者側端部
７ 装置側端部
１０ 封止カフ
１２ （カフの）カラー部分
１３ （カフの）カラー部分
１４ 開口
１５ 膨張ルーメン
１６ 小ボア膨張ライン
１７ 複合膨張インジケータ若しくはパイロットバルーン、バルブ及びコネクタ
２０ フランジ
２１ 雌形継手
２１０ カフ
２１１ ディンプル又はピンプル
３１０ カフ
３１１ 網掛けパターン
３１２ 隆起部
３１３ 隆起部
５１０ カフ
５１１ チャンネル
６１０ カフ
６１１ 溝又は隆起部
７１０ カフ
７１１ 溝又は隆起部
８１０ カフ
８１１ 触感付け表面

Claims (9)

1. シャフト（１）及び前記シャフト（１）の患者側端部（６）近傍に備え付けた膨張可能な封止カフ（１０，２０１，３１０，５１０，６１０，７１０，８１０）を有する種類の気管チューブであって、前記カフは、前記カフを通過する分泌物のフローを減少し得る表面形成部（２１１，３１１，５１１，６１１，７１１，８１１）を外面に設けた壁を有する、ことを特徴とする気管チューブ。
2. 請求項１記載の気管チューブにおいて、前記表面形成部はディンプル（２１１）のアレイによって設ける、ことを特徴とする気管チューブ。
3. 請求項１記載の気管チューブにおいて、前記表面形成部は前記壁の表面における線形的な隆起部若しくはチャンネル（６１１，７１１）のパターンによって設ける、ことを特徴とする気管チューブ。
4. 請求項１記載の気管チューブにおいて、前記表面形成部は前記壁の表面における互いに交差する線形的な凸部（３１１，３１２，３１３）のパターンによって設ける、ことを特徴とする気管チューブ。
5. 請求項１記載の気管チューブにおいて、前記表面形成部は前記壁の表面における互いに交差する線形的な溝（５１１）のパターンによって設ける、ことを特徴とする気管チューブ。
6. 請求項１〜５のうちいずれか一項記載の気管チューブにおいて、前記表面形成部（２１１，３１１，５１１，６１１，７１１，８１１）は、０.１ｍｍ〜１ｍｍの間における寸法である、ことを特徴とする気管チューブ。
7. 請求項１記載の気管チューブにおいて、前記表面形成部は、外側壁表面を粗い触感（８１１）にして設ける、ことを特徴とする気管チューブ。
8. 請求項１〜７のうちいずれか一項記載の気管チューブにおいて、前記カフ（１０，２０１，３１０，５１０，６１０，７１０，８１０）は、高容量／低圧型の種類である、ことを特徴とする気管チューブ。
9. 請求項１〜８のうちいずれか一項記載のチューブ（１）のためのカフ（１０，２０１，３１０，５１０，６１０，７１０，８１０）。

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