独立請求項ごとに、方法、運転者支援システム、および自動車によって上記の目的を達成する。
自動車の周辺領域の周辺マップを生成する本発明の方法においては、前記自動車に搭載された少なくとも1つのセンサによって前記周辺領域を捕捉する。前記センサはとりわけ超音波センサからなり、1つまたは複数の超音波センサを用いることが可能である。本発明の主要な概念は以下の内容に見出され、すなわち、少なくとも2つの異なる時点において前記時点におけるセンサ情報(情報の各項目)に応じて各場合に検出される上記の周辺クリアランス(周辺空きスペース)状況に応じて前記少なくとも1つのセンサによる前記周辺領域の捕捉を実行し、少なくとも1つの周辺クリアランス状況における前記周辺領域内に存在すると少なくとも推定される物体を、前記周辺マップの更新にあたって、更新後の前記周辺マップ上に含めるまたは網羅するか否かについての決定、特に表示ユニットに同じく表示される前記周辺マップ上に同じく表示するか否かについての決定を行う。このような態様によって、自動車の周辺捕捉に用いられるセンサ、特に超音波センサの使用に伴う上述の弱点を許容することができる。動的に変化するデジタル周辺マップ上に誤表示されることにもなり得る、物体の誤検出またはその誤った位置決定の発生をこうして大幅に低減することができる。また、周辺マップ上における検出された物体の誤った位置、または現在位置ではなくなった位置の表示を、同様に少なくとも大幅に低減することができる。したがって、物体の数および物体位置に関する周辺マップの動的な更新を著しく向上させることができ、ひいては、センサ情報、特に超音波センサ情報に基づき、この点で高精細であるといえるリアルタイム周辺マップを作成することが可能である。
好ましくは、センサの物体捕捉処理中における周辺領域内の物体の実在確率または信頼度を、いくつかの異なる信頼値の1つを用いて特徴付けるようにする。これは特に有益な態様であってその理由は、このようにすることにより、本方法それ自体によって、特には超音波センサからなるセンサから得た検出情報を評価することも、したがって周辺マップの更新をよりいっそう正確に行うことも実質的に可能であるからである。特に、複数の異なる信頼値を用いることによって物体捕捉処理中に多種多様な異なる条件を受容し、さらには実在確率の分類を十分に要求に合致するように、また非常に細かく設定された態様または詳細な態様で実行する。このような、いわば、物体捕捉処理の実在確率の確率重み配分によって、少なくとも1つの周辺クリアランス状況における周辺領域内に存在すると少なくとも推定される物体を周辺マップの更新に伴い更新後の周辺マップ上に表示するか否かについての決定をより高精度に行う。したがって、さらに、更新後の周辺マップ上に物体を表示するか否かについての決定をより高精度に達成することが可能であり、表示する場合にはさらに、更新後の周辺マップ上において当該物体を自動車との相対的な物体の正確な位置に、より高精度に表示することが可能である。例えば、マップ内の誤って位置決定された物体を消去すること、および/または周辺マップ内により高精度に描画することが可能である。
好ましくは、2つより多いこのような信頼値、特に4つの異なる信頼値を定義および予め定義することを可能とする。
特に、ここでは信頼値として有効信頼値を予め定義することが可能である。当該有効信頼値は、物体および/または物体の位置に関する物体捕捉処理の最大の実在確率を特徴付ける。
例えば、当該有効信頼値は、最大の確からしさを用いて、捕捉された物体が、第2の周辺クリアランス状況の一時的な捕捉の後も、特には超音波センサからなるセンサの捕捉領域内に存在し続け、したがって更新後の周辺マップ上に表示されるべきであると評価され得る状態を特徴付けるといえる。
第2の信頼値の例は、例えば追跡信頼値からなり得る。これは特に、時間的に先行する第1の周辺クリアランス状況における特に周辺領域内で物体が有効に計測または捕捉され、時間的にその後に続く第2の周辺クリアランス状況においては有効に捕捉されなくなっていることに対し、物体がセンサの捕捉領域内に存在しなくなったと推定することが可能な物体捕捉処理に関する実在確率、したがって物体の存在位置および/または空間的な位置を定義する。
この追跡信頼値は物体が捕捉領域内に存在し続ける確率を示し、この確率は有効信頼値の場合における同確率よりも低い。しかしこの場合でも、物体が存在する確率を、物体を少なくとも更新後の周辺マップ内に表示するほどには高く見積もるべきである。ただし、表示される物体の位置の実在確率は、有効信頼値についてのものより低くなる。しかし、追跡信頼値の場合におけるこの状況は、例えば要求される安全性に鑑み、更新後の周辺マップ上に物体を表示し続けることがやはり役立つとともに妥当であるものとみなされるべきである。
好ましくは、第3の信頼値を消去信頼値として予め定義する。当該消去信頼値を用いて、物体が特には超音波センサからなるセンサの捕捉領域に存在する確率が、追跡信頼値を用いるよりも低く分類付けられる。当該第3の消去信頼値の場合には、センサの配置および/または物体の形状に起因して、当該物体が当該センサの捕捉領域内に存在し続けるにも関わらずセンサが周辺クリアランス状況における当該物体を検出することができなくなる状況が、特に考慮される。このことは、例えば、センサとセンサによって検出された相対的に背の高い物体との間のクリアランスに存在する非常に背の低い物体について当てはまる。例えば、このことはさらに、例えば、センサの主軸が物体に対して90°も異なるように傾いた方向にある場合に物体が捕捉されないという、特定の状況において静止した物体、さらには位置が固定された物体についても当てはまる。仮にこの信頼値を用いて静止した物体が正しく検出された状態が例外なく常に有効であるとすれば、ここで、特に有効信頼値でもある上述の信頼値に基づいて分類分けを実施することがその都度可能であるところである。しかし、このような物体は、また、動きを伴いながら検出され得る、または誤検出され得ることから、当該第3の消去信頼値には決定確認にとって大きな利点がある。当該第3の消去信頼値を用いて、センサの捕捉領域内に物体が存在しない確率が追跡信頼値の場合よりも十分に低くなるように、物体捕捉処理中の物体の実在確率を評価して状況を推定するが、この状況によっては、物体が捕捉領域内に存在し続けるが検出することができないこともある。特に、その場合に上記の評価を用いることにより物体を更新後のマップ上に表示し続け、またこのときに、追跡信頼値を用いる場合と同様に、当該物体の空間的な位置が周辺領域における実際の位置に対し誤って示される、または、ずれて示されることがある。
有益な第4の信頼値を、消去後信頼値によって予め定義する。当該消去後信頼値を用いることによって、消去信頼値を用いる場合よりも高い確率を用いて、物体が特には超音波センサからなるセンサの捕捉領域内に存在しなくなったと推定することが可能である。当該第4の信頼値を用いることによって、物体捕捉処理の精度は、物体がセンサに捕捉領域内に存在しなくなったことが最も確からしい、さらには少なくとも確実であることに近いと評価されるものになる。この場合に、少なくとも検出されたと推定される物体は、次いで、信頼値推定に基づいて更新後のマップ上には表示されない。
本発明の方法を多様な用途に用い得ることも述べておく。例えば、本方法を異なる周辺捕捉システム、特に、少なくとも準自動の駐車処理を実行するように設計された駐車支援システムとともに用い得る。本方法の発明の解決手法を、例えばACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)システムなどのブレーキ支援システムに追加的または代替的に用いることも可能である。特に、これらの多様な利用形態において、また多様な通行状況において運転者支援システムは多様に応答し、これに関連して、さらに、物体捕捉中における物体および物体の実在確率に対して多様な応答が必要である。
好ましくは、物体捕捉処理に対する特定の信頼値の割当てを、少なくとも1つの捕捉された周辺クリアランス状況に応じて、および/または少なくとも1つの予め定義された基準クリアランスに応じて、および/または少なくとも1つの周辺クリアランス状況と基準クリアランスとの比較に応じて、および/または物体の性質に応じて実行する。物体の性質は、例えば物体の形状として、また物体の寸法または物体の種類として定義し得る。追加で、または代わりに、センサとの相対的な、したがって自動車との相対的な物体の移動に関する評価を考慮することも可能であり、ここでは例えばさらに、静止したまたは動きのある物体が含まれる。この有利な態様によって、特に分類または比較を用いて、実際の周辺クリアランス状況をどのように表現することができるか、および実際の周辺クリアランス状況をどのように評価することができるか、すなわち信頼値に照らして分類分けするかを実質的に確認する。これには、また、更新後の周辺マップ上に物体を表示することができるか否かに関して行い得る表明の精度が結果として向上することに大きな利点があり、物体を周辺マップ上で更新後の形により表示すべきか否か、また表示すべきであれば自動車との相対的なおよび/または表示され得る他の物体との相対的な位置の観点からいかに正確に更新後の周辺マップ内に物体を表示するかに関する表明をより高精度に行うことも可能である。
表示決定確認に対するこれらの信頼値分類を用いることによって、情報を自動車ユーザにとって著しく向上させることも可能であり、さらには本発明の方法のこれらの情報に基づいて動作する運転者支援システムの反応を向上させることも可能である。運転者支援システムが反応するか否か、およびいかに反応し得るかを高度に個別化して、また適応させて設定することができる。
上述した特定の信頼値の割り当てを、これらの特定の基準の1つに基づくだけでなく、好ましい複数のこれらの基準にも基づいて実行するため、上述の利点がさらに向上し得る。
クリアランスまたはクリアランス状況は、一般に、少なくとも1つのセンサの捕捉領域の少なくとも部分的な領域の性質であり、この部分的な領域には、特定の時点において物体が存在しないと評価される。このことは、周辺クリアランス状況によって特徴付けられる実際の通行状況、および予め定義された通行状況によって特徴付けられる基準クリアランスに当てはまる。
有利な態様として、複数の異なる基準クリアランスを予め定義し、それらがこのように最初に、また全体的に定義され、特に運転者支援システムに格納されるようにする。特に、有利な態様において上述したように、少なくとも、周辺クリアランス状況と少なくとも1つの基準クリアランスとの比較に基づいて、および/またはセンサの上記の物体捕捉処理の精度を特徴付ける信頼値に基づいて、物体を更新後の周辺マップ上に存在するようにまたは存在しないように表現し、特にまた、表示するまたは表示しない。これは特に強調した態様であり、その理由は、基準クリアランスによって示される特定のモデル化されたクリアランス状況をこのように事前定義および分類もしくはカテゴリ分けをすることにより、周辺クリアランス状況によって表現される実際の状況に関する表明を、より向上した態様で推定および評価することができるからである。上述した複数の基準クリアランスを用いることにより実際の通行環境における発生頻度に対応して優先順位付けされた特定の状況およびさらには起こり得る状況が受容されるため、さらにここで、少なくとも1つの基準クリアランスと周辺クリアランス状況との比較を行うことにより、表明の精度、更新後の周辺マップ上における物体の表示による決定の導出が向上し得る。上記の基準クリアランスはそれゆえ決定の導出にとって非常に個別的に抽出された仕様であり、更新後の周辺マップ上に物体を表示すべきか否かについての決定、また表示すべき場合に、これに関してさらに特に信頼値を考慮することをも行って周辺マップ上に物体の特に正確な更新位置を表示することができるか否かについての決定に関する精度を著しく向上させる。特には超音波センサからなるセンサに基づいた更新後の周辺マップのリアルタイム性を、これによって著しく向上させることができる。
現実に車両の周辺領域において遭遇し得る周辺状況が極度に増した複雑さおよび多様性を備えて発生することを利用し、基準クリアランスを用いた本モデリングによって、大きく特徴を浮かび上がらせた、多様性を有する構造化をあらかじめ定義すること、また特に解析的できめ細かい選択と実際に捕捉した状況の分類分けとを許容することが可能である。この細分化によって、さらに、高度化された方法でまた極めて短時間で、評価対象の周囲クリアランス状況の数およびその結果得られる情報(情報の各項目)に関する高信頼性の表明を行うことが可能である。
これに関連して、周辺クリアランス状況を少なくとも2つの基準クリアランスと比較することも可能となり、このことが上述の利点をさらに拡張する。特に、少なくとも第1の周辺クリアランス状況および/または少なくとも第2の周辺クリアランス状況に関する情報(情報の各項目)に基づいて、周辺クリアランス状況を1つの基準クリアランスのみと比較するか、それとも少なくとも2つの基準クリアランスと比較するかに関する選択を行うようにすることができる。これに関連して、特に時系列的に特定し得る周辺クリアランス状況のシーケンスおよびそこから得られた情報(情報の各項目)に基づいて、比較に用いる基準クリアランス・モデルおよび/または特定の基準クリアランス・モデルの数を選択するようにしてもよい。
ただし、包括的な仕様の場合には、上記のシーケンスにおいていずれの基準クリアランスを周辺クリアランス状況との比較に選択するかという基準クリアランスの一定の優先順位をあらかじめ定義するようにしてもよい。同様に、いずれの基準クリアランス・モデルを周辺クリアランス状況との比較に選択したかに応じて第2の基準クリアランス・モデルを選択するようにしてもよい。これに関連して、例えば、周辺クリアランス状況との間で第1の比較を実行する基準クリアランスに基づきさらなる特定の基準クリアランス・モデルとの間で極めて特定的で高度化されたさらなる比較を行い得るようにしてもよく、第1の基準クリアランス・モデルとの比較を行うことを前提として当該さらなる比較を行うことにより、さらに、更新後の周辺マップ上における物体の表示に関する表明の精度がより速く、より高度化された方法で、また、より正確に達成され得るような、一定の依存関係があらわになる。
有利な方法として、更新後のマップ上における物体の表示についての決定に関する基準クリアランス・モデルに対する、信頼値モデルの信頼値の関連付けまたは関係を予め定義すれば、少なくとも1つの基準クリアランスを考慮することおよび信頼値を考慮することによって、更新後のマップ上に物体を表示すべきか否かについての決定を、さらにきめ細かくかつ正確に行うことができる。
周辺クリアランス状況において検出された物体の数に応じて、および/または周辺クリアランス状況において検出された物体の性質に応じて、および/または少なくとも1つの周辺クリアランス状況において検出された物体の自動車との相対的な空間的位置に応じて、および/または少なくとも1つの周辺クリアランス状況において検出された物体の自動車との相対的な空間的位置変化に応じて、複数の基準クリアランスから比較に用いる特定の基準クリアランスを選択するようにしてもよい。この有利な態様によって、さらに、更新後の周辺マップ上に物体を表示すべきか否かに関する表明をより速く作成することが可能である。さらに、上述した交通の多種多様な日常の状況から多様で複雑な関係が生じ得るため、この特徴の詳細化によって、更新後の周辺マップを実施することについての決定の導出を区別化し、向上させることが可能である。
他の有利な態様として、周辺クリアランス状況において検出された物体の数に応じて、および/または周辺クリアランス状況において検出された物体の性質に応じて、および/または少なくとも1つの周辺クリアランス状況において検出された物体の自動車に対する空間的な位置に応じて、および/または少なくとも1つの周辺クリアランス状況において検出された物体の自動車に対する空間的な位置変化に応じて、比較に用いるように考慮する基準クリアランスの数を決定する。このようにして、さらに、上述した利点を達成するまたは向上させることが可能である。
好ましくは、物体から特には超音波センサからなるセンサまでの間隔とセンサに対する物体の方向とを物体の評価に用いるように考慮する場合の物体クリアランスとして、第1の基準クリアランスを定義する。これらの2つのパラメータは距離および方向に関係し、センサの捕捉領域内における物体の実在に関して高精度の表明を行うことを可能とする。したがって上記のパラメータ値を少なくとも1つの周辺クリアランス状況において検出することが可能である場合は、特に特定の信頼値を考慮し、特に有効信頼値を考慮することにより、最大の確率を用いて極めて正確に、捕捉された物体がそれぞれの周辺クリアランス状況において実際に存在し、また対応する位置に実際に存在すると表明することが可能である。このことが両方の周辺クリアランス状況に当てはまる場合は、実質的に、物体が実際に存在し続けて相応の位置に存在することが最も確からしいという状況が存在することから、さらに物体は更新後の周辺マップ内に正確に表示される。
一方、物体の距離および方向が1つの周辺クリアランス状況においてのみ正確に決定することができる状況が発生する場合は、このことが第1の周辺クリアランス状況において発生しているのか、それとも第2の周辺クリアランス状況において発生しているのかに応じて、特定の信頼値を順次用いて存在の確率に関する結論を導出することが可能である。物体の特性パラメータに基づくこの最適な特定のクリアランス・モデルを用いることによって、上述に対応する表明を行うことができる。
好ましい態様として、周辺クリアランス状況と第1の周辺クリアランス状況における第1の基準クリアランスとの比較のために、物体が最初に検出されたときの、物体の特定の方向における捕捉された距離値を基準距離値として格納する。少なくとも、第2の周辺クリアランス状況において発生するセンサと物体との相対位置が変化する場合においては、物体が第2の周辺クリアランス状況において捕捉されたか否かを確認する。上記の第2の周辺クリアランス状況において物体がセンサによって捕捉されなくなった場合においては、特に、第1の基準クリアランスからなる基準であって特に特定の、特に割り当てられた信頼値でもある基準に基づいて更新後の周辺マップ上には物体を表示しない。次に、この特定の態様においては、相応の確率を用いて、自動車したがってセンサと物体との間の相対的な位置の変化に起因して、第1の周辺クリアランス状況の後に続く時刻において、物体がセンサの捕捉領域内に実際に存在しなくなり、更新後の周辺マップ上における表示の妥当性が少なくとも表示がそれ以上必要とはみなされないほどに低いと推定する。
他の有利な態様として、周辺クリアランス状況において物体が十分にセンサの第1の捕捉領域内に存在するがセンサによって物体として捕捉することができないか否かを物体の評価に用いるように考慮する場合のセンサ・クリアランスとして、第2の基準クリアランスを定義する。上記のセンサ・クリアランスの場合に、物体クリアランスとは対照的に、センサからの視野を考慮することが好ましい。特に、上記のセンサ・クリアランス・モデルの場合においてはまた、物体クリアランスの条件が満たされず、さらに例えば、背の低い物体について、自動車と移動方向に検出された物体との間の当該移動方向に応じて距離が変化して、物体がセンサの捕捉領域内に存在していても物体が最初に検出された基準距離からの変化が生じて物体を検出することができなくなる場合は、上記のセンサ・クリアランスは周辺クリアランス状況の特性にとって特に重要である。これに関連して、2つの起こり得る基本的な状況が存在し得る。例えば、ここで、物体が静止した物体として正しく検出されたとする。この場合に、当然、物体は存在し続けると評価されるべきである。しかし、物体の特徴と第2の周辺クリアランス状況における位置の相対的な変化とに起因して、上記の物体をセンサによって捕捉されなくなり得ることから、物体が捕捉されない場合がある。例えば、形状または大きさに起因して、自動車が物体から遠ざかって基準距離値より大きな距離が生じてしまったときに、検出ができなくなる虞がある。このことは、例えば非常に薄いまたは非常に小さい物体について当てはまり、その場合に距離が増加して基準距離値を超えると、センサによって捕捉することができなくなる。
第2の状況は、物体が、自ら自動車と相対的に移動する動きのある物体、または誤検出された物体であることに特徴がある。これらの2つの個別事例においては、物体がセンサの捕捉領域内に存在しなくなったと推定され得る。特に、この特定の状況、さらには特に個別に割り当てられた信頼値を考慮して、当該状況を、特には超音波センサからなるセンサの捕捉領域内で物体が検出されなくなっており、更新後の周辺マップ上には物体を表示すべきでないことが最も確からしいものであると推定することができる。
しかし、特に、センサからの情報(情報の各項目)に基づき所望する表明の精度で動きのある物体と静止した物体とを区別することはできないため、好ましい態様として、捕捉領域内で物体を捕捉することができなくなっている可能性が高いと評価し得るが、物体がなおも捕捉領域内に存在し続けている可能性があることにより、この点で特に安全性の要求に鑑み、更新後の周辺マップ内に物体を表示すべきであるとみなすように状況を評価するようにする。しかし、これらの細分化において、既述した有利な種々の信頼値の定義に従い、周辺マップにおける物体の正確な位置、特に自動車との相対的な位置はある程度の不正確さを伴って提供される。
センサから計測値が得られる場合は、最大の計測距離の外側に存在する物体に関しては評価を実行することができないため、特に、センサを用いて物体を透視することはできず、検出された特に背の高い物体の背後に存在するものを評価することができないため、センサ・クリアランスを計測距離までに制限することが好ましい。
好ましくは、周辺クリアランス状況と第2の基準クリアランスとの比較中に、周辺クリアランス状況においてはセンサによって物体が捕捉されたが第2の周辺クリアランス状況においてはセンサによって物体が捕捉されなくなり、少なくとも、閾値より大きい確率でセンサの捕捉領域内に物体が存在し続けると推定され得る場合に、特にさらに特定の信頼値に基づいて更新後の周辺マップ上に物体を表示する。
他の有利な態様として、センサとセンサによって検出された物体との間の空間に、少なくとも捕捉された物体と同様の高さを有する物体が存在せず、特に高さの閾値を超える物体が存在しないとみなされる場合の有効クリアランスとして、第3の基準クリアランスを定義する。これもまた、センサの捕捉領域の特定の部分的な領域を考慮する場合において、特に有利な基準クリアランスの定義である。捕捉された物体とセンサとの間において、センサの捕捉領域内に捕捉された物体より背の低い物体がさらに存在し、背の低い物体は既にセンサによって検出することができないことは明らかであるが、特に捕捉領域内には存在するという特に多くの状況が存在し得るため、本細分化によって、物体の表示に関わる更新後の周辺マップに関して行われる表明の精度が著しく増大する。したがって、本発明の方法またはその有利な細分化によってさらに、有効クリアランスにより定義される捕捉領域の特定の部分的な領域において、そこに存在すると推定される物体に関するより正確な表明を行うことができ、また、特にこの際に、他の基準クリアランスおよび周辺クリアランス状況に応じて単独でまたは有利な態様で、上記の有効クリアランスにおいて推定される物体に関する表明を行うことができる。
有利な態様として、周辺クリアランス状況と特には有効クリアランスからなる第3の基準クリアランスとの比較中に、少なくとも1つの周辺クリアランス状況においてセンサと捕捉された物体との間に捕捉されたと推定される物体であって特に捕捉された物体と同様の高さを有する物体を、特に特定の信頼値に基づいて更新後の周辺マップ上に表示しない。その結果、特に予め定義された相応の確率で、上記の有効クリアランス内に他の物体、特に考慮しなければならない重要な他の物体が存在しないことを推定することが可能である。こうして、好ましい態様においては、有効クリアランスによってさらに、特に有効信頼値に関する実在確率からなる最大の実在確率を用いてセンサが検出を実行する状況を網羅し、計測の位置を相応の信頼性および確率を伴って提示することができる。こうして、さらに、他の相応の高い確率を用いて、センサと有効に検出された物体との間の有効クリアランス内に高さの閾値より背の高い他の物体が存在しなくなったと推定することができ、有効に検出された物体が特に高さの閾値より背が高い場合に、センサから離れる側において実質的に有効クリアランスの境界を定める。好ましくは、さらに高さの閾値より背の低い物体を順次、特に特定の信頼値に基づき、現在の周辺マップにおいて表示するに値すると分類付けて、さらにそれに対応させて現在の周辺マップ上に表示するようにしてもよい。上記の混在する物体を相応の実在確率で捕捉することができるか否かに応じて、特に距離および方向に応じて、物体クリアランスおよび/または特に有効信頼値を考慮して物体の空間的な位置を極めて正確に決定し、更新後の周辺マップ内に空間的な位置自体を表示するのみならず当該位置を高精細に描画することも可能である。
他の有利な態様として、センサの捕捉領域の空間内に存在する物体が、センサから離れる側において有効クリアランスおよび/またはセンサ・クリアランスと隣接するように拡がっているとみなされる場合の背景クリアランス(バックグラウンドクリアランス)として、第4の基準クリアランスを定義する。このようにして、さらに、捕捉領域の他の部分的な領域を局所的に特定し、物体の検出に関して個別に正確に推定および分類付けを行う。
好ましくは、周辺クリアランス状況と第4の基準クリアランスとの比較中に、少なくとも1つの周辺クリアランス状況における背景クリアランスにおいて捕捉された物体の特定の信頼値に順次応じて、更新後の周辺マップ上に物体を表示するか否かを決定する。したがって特に、上記のクリアランスの場合には、さらに上記の背景クリアランスを解析することを可能とするために、まず有効クリアランスおよび/またはセンサ・クリアランスを基礎とすることが可能であり、そして周辺クリアランス状況を比較によって相応に特徴付けることが可能である必要がある。本態様においては、その場合にのみ、背景クリアランスの位置および大きさを決定することが実質的に可能である。
その場合は、特に、背景クリアランス内の物体の状態を未知であると分類付けるように評価を実行することも可能である。したがって、ここではさらに、背景クリアランス内に存在する物体について種々の小分類を特定することが可能である。これに関連して、信頼値に関して追跡し得る物体であって特に両方の周辺クリアランス状況において捕捉されたことが評価される物体を、それらの信頼値は同じままであって、周辺クリアランス状況を導出するさらなる計測サイクルの間、そしてさらなる物体捕捉処理の間も変化するものではないと評価することが可能である。信頼値を有効信頼値または消去信頼値とみなすことができる物体の場合においては、さらに、特に信頼値を変化させないようにすべきである。
好ましくは、比較処理または比較シナリオについて、少なくとも2つの異なる基準クリアランスを考慮して、一方の基準クリアランスとの比較に基づいて更新後の周辺マップ上に物体を表示させるとともに他方の基準クリアランスとの比較に基づいて更新後の周辺マップ上に物体を表示させない比較を行う場合に、さらなる決定確認を実行するようにする。このようにして、さらに、作成される表明の精度および表示精度を向上させることが可能である。
基準クリアランスとの比較を少なくとも行って表示を実施する場合に、更新後の周辺マップ上における表示を実行するように決定確認を実行するのが好ましい。このようにして、比較的に単純化された包括的な態様により、物体が少なくとも一度、表示すべきであると分類付けされた場合に特に安全上の理由からこれをやはり実施すべきであると推定する。これに関連して、さらに、少なくとも1つの第3の周辺クリアランス状況を考慮し、さらに奇数の周辺クリアランス状況を考慮する場合に、例えば、物体を表示すべきか否かを示すより大きな数に基づいて表示を実行する決定をしなければならないようにしてもよい。このことは、例えば、2つの比較を行い、その結果が更新後の周辺マップ上に表示を実施すべきであるというものであり、かつ一方の比較については表示が必要ではないと分類されるものである場合は、表示をやはり実施することを意味する。
さらに、基準クリアランスの重み配分を予め定義し、各場合に偶数回の比較を行って、物体を表示させる必要があるという回数と当該表示は必要でないという回数とが同じだけ生じた場合は、重み配分に応じて更新後の周辺マップ上に表示を実施するか否かを決定するように最終決定を実行してもよい。基準クリアランスを重み配分する結果、その重要度を多様に評価することがさらに可能であり、さらにそれぞれの重要度によって、実際の通行状況に基づいて更新後の周辺マップ上に実際に物体を表示することに関するより正確な決定の導出が容易になる。
さらに、時系列にある2つの周辺クリアランス状況からの導出により取得される周辺クリアランス状況の変化に基づいて、更新後の周辺マップ上における表示を実施すべきか否かを決定するようにしてもよい。本代替手段によっても、基準クリアランスと周辺クリアランス状況との比較を行って物体を表示すべきものとして分類付けするか否かに関する結果が均等に分かれる場合は、別途の基準に基づいて、決定を一方の方針に導くことが可能である。上記の時系列をなす取得した情報(情報の各項目)に基づいて、補助的に、物体を伴う通行状況が、物体が表示との関係を弱めるのか、それとも関係を強めるのかいずれの方向に進むのが最も確からしいのかに関する一定の結論を導き出すことが同様に可能である。
他の有利な態様として、複数の基準クリアランスを、更新後の周辺マップ上に物体を表示することについての決定に関して相互に依存するように予め定義する。このような依存関係を、例えば少なくとも1つの周辺クリアランス状況、および/または少なくとも周辺クリアランス状況における物体の性質、および/または特には超音波センサからなるセンサとの相対的な少なくとも1つの物体の位置によって実施してもよい。基準クリアランスは、このような有利な態様におけるように、さらに、決定の導出に関して定義された態様で互いに関連付けられる。このことは信頼値についても、追加してまたは代わりに実現することが可能であり、特にここでは、さらに、少なくとも1つの信頼値または複数の信頼値に応じて基準クリアランスの関連付けを予め定義することが可能である。
好ましい態様として、物体を静止した物体または動きのある物体として分類することを予め定義することは、特に一定の確率の定義にも適用され、さらには信頼値の表明にも適用される。静止している、または位置が固定されていると分類することが基本的にセンサ、特に超音波センサによって特に正確には行えないとしても、このようなモデリングによって、静的または動的なモデルが関与することを一定の確率で推定することが可能である。
上記のモデルは、例えば、自動車からの情報(情報の各項目)、特に自動車の速度などのパラメータか基づいて、静止したまたは動きのある物体を推定することができることを定義し得る。例えば、周辺クリアランス状況において、車両が移動中でなく、自動車との相対的な物体の位置の変化を、例えば有効信頼値を考慮および評価して明確かつ有効に特定することができることが既知である場合は、動きのある物体の存在を推定することが可能となる。このことは、車両が両方の周辺クリアランス状況において停止しており、その空間的な位置を変化させていないが、物体はある周辺クリアランス状況内に存在していてその他の周辺クリアランス状況内には存在しない場合に、同様に実行し得る。ここで、有効信頼値に基づき、両方の周辺クリアランス状況において一意に物体を特定および捕捉したことが最も確からしいと結論付けることが順次可能である場合は、動きのある物体の存在を推定することが可能である。一方、特に、両方の周辺クリアランス状況において停止している自動車との相対的な距離および方向に基づいて、物体を周辺クリアランス状況において一意に捕捉することができない場合は、ここでその都度、動きのある物体が関与していることがかなり不確かである、さらには確率が低いと推定する必要がある。この理由は、すなわち、物体を捕捉することができなかった周辺クリアランス状況であって順次有効クリアランスまたはセンサ・クリアランスに割り当てることはできる状況においては、物体が移動したか否か、またはセンサによる誤計測のために検出を実行することができなかったのか否かを正確に決定することはできないからである。これらの状況において、停止している自動車との相対的な位置の変化に基づいて、特に距離および/または方向に基づいて、物体が静止しているか否か、または物体が動きを伴って動作したのか否かを決定することはできず、センサの捕捉領域内に存在し続けている可能性がある物体の捕捉が妨げられる。
例として、このような誤計測が起こり得る事情には、センサ計測のごく僅かな変動に基づけば、例えば計測許容誤差に基づけば、検出される物体上の全く同じ反射点が2回の計測値したがって2回の周辺クリアランス状況の生成にわたって関与することを仮定しきれず、この場合には計測許容誤差に起因して計測エラーが生じ得るということがある。さらに、物体が、時間の経過に伴って移動するうちに、またそれにつれて発生する種々の周辺クリアランス状況において、少なくとも領域が重なる他の異なる物体といわば一体化する虞もあり、この場合には、静的または動的なモデルに関する表明の確度について不確実性が生じ得ることにもなる。さらに、センサ軸と平行にゼロでない速度成分を有して移動している動きのある物体については、物体の相対速度を決定することができ、それにより物体を動的であると分類することができる状況が生じ得る。
さらに静的または動的なモデルに関する特定の確率値、したがって信頼値に大小様々な確率を順次割り当てて推定することが少なくとも可能であるこの有利な態様を考慮すると、物体の動きが個々の信頼値割当てを有するものであると仮定することができる場合において、物体が第2の周辺クリアランス状況において検出されなくなった場合に、当該物体を更新後の周辺マップ上には表示しないようにすることが可能である。
有利な態様として、表示される周辺領域全体における個々の、特には部分的な領域からなるベクトル・マップもしくはセル・マップとしての周辺マップを生成する、または当該周辺マップを、個々のセルを並べ合わせて、特にマトリクス状に並べ合わせて構成するようにしてもよい。
本発明は、自動車に搭載された少なくとも1つの検出ユニットまたはセンサが超音波センサからなるように、超音波センサを用いることが特に好ましい。超音波センサの導入について述べた不確実性は、本発明によって実質的に補償し得る。
代わりに、センサがレーダ・センサ、カメラ、ライダ・センサ、またはレーザ・スキャナであってもよい。周辺領域は、したがって、自動車に搭載された少なくとも1つのレーダ・センサ、自動車に搭載された少なくとも1つのカメラ、および/または自動車に搭載された少なくとも1つのレーザ・スキャナによっても捕捉することができる。特に、レーダ・センサ、カメラ、および/またはレーザ・スキャナの組合せを用いることができる。センサは、自動車に搭載された任意の適当な周辺捕捉センサであってもよく、または複数の周辺捕捉センサの組合せを用いることが可能である。
本発明の方法またはその有利な態様を用いて、個々のクリアランス定義および/または信頼値定義により、センサによる物体検出についての実際に生じる通行状況の分類分けが可能となる。今日の極度に複雑さを増した実際に生じ得る通行状況を、上記の信頼値および/または基準クリアランスに基づく決定確認によって、また更新後の周辺マップ上における物体の表示によって、構造的に捕捉する。本発明によって、この非常に複雑な主題が、高度化された方法によって可能となり、また更新後の周辺マップ上における正確な物体表示についての正確な決定の導出に関して可能となり、この際に決定確認の高速化がさらに考慮される。導入部において説明したセンサ計測の多くの不確実性は、この場合に、数および複雑さの点で取り込まれ、周辺マップ上における物体の高精細かつ最新の表示のために取り得る最良の決定が可能となるように考慮される、すなわち、周辺マップの実際のリアルタイム更新が、速さに関するのみならず、重要な物体および/またはセンサとの相対的なもしくは自動車との相対的な物体の位置についての表明の正確さに関しても、リアルタイム要件を実質的に満たすように考慮される。
本発明により、従来の周辺マップの態様では誤検出されていた物体が表示されなくなる、または誤表示が発生する確率が従来技術よりもずっと低いという点において、大幅な向上を実現することが可能となる。一方、同じことが、以前の解決法における、表示されなかったが表示すべきであるという物体について当てはまる。また、同じことが、表示される物体の位置についても当てはまる。本発明によって、さらに、鮮明でなくコメット・テールに似た輪郭を有する物体が周辺マップ内に表示される周知の現象を回避することが達成される。
本発明の他の特徴は、請求項、図面、および図面の説明より明らかになるであろう。本説明において上述した特徴および特徴の組合せと、以下の図面の説明において説明するおよび/または図面においてのみ示す特徴および特徴の組合せとを、それぞれに特定された組合せによることのみならず、本発明の範囲を逸脱することなく他の組合せによっても、または単独でも用いることが可能である。したがって、図面には明示的に示さず説明もしないが、開示した態様に基づく個々の特徴の組合せから明らかである態様、また当該個々の特徴の組合せから生じ得る態様もまた、本発明に包含され、開示されたものとみなされる。