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JP2017226745A - エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、プリプレグ及び繊維強化プラスチック - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、プリプレグ及び繊維強化プラスチック Download PDF

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JP2017226745A JP2016123093A JP2016123093A JP2017226745A JP 2017226745 A JP2017226745 A JP 2017226745A JP 2016123093 A JP2016123093 A JP 2016123093A JP 2016123093 A JP2016123093 A JP 2016123093A JP 2017226745 A JP2017226745 A JP 2017226745A
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Abstract

【課題】 機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形体、特に破壊強度が高い管状成形体を形成できるエポキシ樹脂組成物を提供する。【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むエポキシ樹脂組成物。成分(A)3官能エポキシ樹脂成分(B)25℃で固形である成分(A)以外のエポキシ樹脂成分(C)25℃で液状である成分(A)以外のエポキシ樹脂成分(D)硬化剤【選択図】 なし

Description

本発明は、スポーツ・レジャー用途や産業用途などに使用される繊維強化プラスチックに好適に使用されるエポキシ樹脂組成物とこれを用いたフィルム、プリプレグ及び繊維強化プラスチックに関する。
繊維強化複合材料の1つである繊維強化プラスチックは、軽量で、高強度、高剛性であることから、スポーツ・レジャー用途、自動車用途、航空機用途、産業用途等、幅広く用いられている。
繊維強化プラスチックの製造方法としては、強化繊維などの長繊維(連続繊維)からなる補強材にマトリックス樹脂を含浸させた中間材料、すなわちプリプレグを使用する方法がある。この方法によれば、繊維強化プラスチックの強化繊維の含有量を管理しやすいとともに、その含有量を高めに設計することが可能であるという利点がある。
プリプレグから繊維強化プラスチックを得る具体的な方法としては、オートクレーブを用いた方法、プレス成型、内圧成形、オーブン成形、シートラップ成形などがある。
繊維強化プラスチックのなかでも、繊維強化プラスチック管状体は、例えば、釣り竿、ゴルフクラブ用シャフト、スキーポール、自転車フレーム等のスポーツ・レジャー用途に多用されている。繊維強化プラスチックの高い弾性率を利用することで、管状体を振る際に起こるしなりと反動により、低い力でボールや釣り針を遠くに飛ばすことが可能となる。また、管状体とすることで、軽量化し使用者の操作感を向上させることも可能となる。
近年は軽量化のニーズが高まっているため、炭素繊維の一部を高弾性率タイプのものに変更する等の取り組みが行われている。
しかし、高弾性率タイプの炭素繊維は一般的に強度が低めの傾向を示し、繊維強化プラスチックが破壊しやすくなることから使用量が制限される場合がある。また、高弾性率タイプの炭素繊維は一般的に高価であることから、経済的な面からも使用量は制限される場合がある。現状の炭素繊維のまま、軽量化のためにプリプレグの使用量を減少すると、管状体の破壊強度が低下する。
このような事情を背景とし、炭素繊維の弾性率変更以外の方法による繊維強化プラスチック管状体の破壊強度向上が求められている。
このような課題解決のために、例えば特許文献1〜3記載のエポキシ樹脂組成物を使用することが提案されている。
特開2009−215481号公報 特開2010−57462号公報 特許第5804222号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示のエポキシ樹脂組成物は繊維強化プラスチックの0°曲げ強度および90°曲げ強度が十分ではない。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、特定のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることによって、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得られることを見出したものである。とりわけ管状の繊維強化プラスチックの材料として用いた際に、優れた破壊強度を得ることができるエポキシ樹脂組成物と、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、さらにはこのプリプレグを用いて形成された繊維強化プラスチックを提供する。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するエポキシ樹脂を用いることにより、前記課題を解決し、所望の性能を有する繊維強化プラスチックを提供できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明の要旨は以下に存する。
〔1〕 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むエポキシ樹脂組成物。
成分(A)3官能エポキシ樹脂
成分(B)25℃で固形である成分(A)以外のエポキシ樹脂
成分(C)25℃で液状である成分(A)以外のエポキシ樹脂
成分(D)硬化剤
〔2〕 前記エポキシ樹脂組成物に含まれる前記成分(B)がエポキシ当量500以下で
ある〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔3〕 前記エポキシ樹脂組成物に含まれる前記成分(C)がエポキシ当量500以下で
ある〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔4〕 前記成分(B)が、軟化点または融点が50℃以上のエポキシ樹脂である、
〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔5〕 前記成分(B)として、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を含有する、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
式中、n及びmは平均値を示し、nは1〜10の範囲にあり、mは0〜10の
範囲にある実数であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子1〜
4個を有するアルキル基又はトリフルオロメチル基を示す。
〔6〕 前記成分(B)として、下記一般式(2)で表される脂環式エポキシ樹脂を含有
する、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[式(2)中、R1はp価の有機基を示す。pは、1〜20の整数を示す。
qは、1〜50の整数を示し、式(2)におけるqの総和は、3〜100の整数
である。
R2は、下記式(2a)または(2b)で表される基のいずれかを示す。但し、
式(2)におけるR2の少なくとも1つは式(2a)で表される基である。
〔7〕 前記脂環式エポキシ樹脂として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタ
ノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物を
含有する、〔6〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔8〕 前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計量100質量部に対する
前記成分(B)の含有量が5質量部〜90質量部である、〔1〕〜〔7〕のいず
れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔9〕 前記成分(C)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂である、〔1〕〜〔8〕の
いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物
〔10〕前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計量100質量部に対す
る前記成分(C)の含有量が20質量部〜50質量部である、〔1〕〜〔9〕の
いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔11〕前記成分(D)がジシアンジアミドである、〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に
記載のエポキシ樹脂組成物。
〔12〕さらに、成分(E)として、ウレア系硬化助剤を含む、〔1〕〜〔11〕のいず
れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔13〕〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる
フィルム。
〔14〕〔1〕〜〔13〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維基材に
含浸されたプリプレグ。
〔15〕〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化
繊維からなる繊維強化プラスチック。
〔16〕管状である〔15〕に記載の繊維強化プラスチック。
本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂として用いることによって、優れた機械物性をもった繊維強化プラスチックが得られる。とりわけ、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、管状体の繊維強化プラスチックにおいて優れた破壊強度を得ることができる。
本発明は、下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むエポキシ樹脂組成物及びその用途に存する。
成分(A)3官能エポキシ樹脂
成分(B)25℃で固形である成分(A)以外のエポキシ樹脂
成分(C)25℃で液状である成分(A)以外のエポキシ樹脂
成分(D)硬化剤
なお一般に、エポキシ樹脂という用語は熱硬化性樹脂の一つのカテゴリーの名称、或いは分子内にエポキシ基を有する化合物という化学物質のカテゴリーの名称として用いられるが、本発明においては後者の意味で用いられる(ただし、エポキシ樹脂の質量平均分子量は50000未満であるものとする)。また、エポキシ樹脂組成物という用語はエポキシ樹脂と硬化剤、場合により他の添加剤を含む組成物を意味する。
本明細書において、「〜」は、この「〜」の前後に記載された数値及び比等を含む。
また本発明において「エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率」を「樹脂(の)曲げ弾性率」と称し、「エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ破断歪」を「樹脂(の)曲げ破断歪み」と称し、「エポキシ樹脂組成物の硬化物と、連続繊維である炭素繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維基材からなる繊維強化プラスチックの、90°曲げ強度および0°曲げ強度」を単に「繊維強化プラスチックの90°曲げ強度」および「繊維強化プラスチックの0°曲げ強度」と称すことがある。
以下、各成分につき詳細に説明する。
「成分(A):3官能エポキシ樹脂」
成分(A)である3官能エポキシ樹脂は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率を高め、かつ繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に用いる場合に、繊維強化プラスチックの曲げ強度、つまりは、90°曲げ強度および0°曲げ強度を高めることができる成分である。
3官能エポキシ樹脂は、一分子中にグリシジル基を3個有する化合物を含むものであり、例えば、トリグリシジル-m-アミノフェノールであるアラルダイドMY0600(ハンツマン(株)製)、アラルダイドMY0610(ハンツマン(株)製)トリグリシジル-p-アミノフェノールであるMY0500((ハンツマン(株)製)、MY0510((ハンツマン(株)製)トリアジン変性エポキシ樹脂であるTEPIC(日産化学(株)製)、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂であるTaxtix742(ハンツマン(株)製)等を挙げることができる。これらは、一種類又は二種類以上を使用することができる。
成分(A)は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し1質量部〜50質量部であることが好ましい。これは、成分(A)の量が1質量部以上であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率を高め、かつこれを繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に用いる場合に、繊維強化プラスチックの曲げ強度を高めることができる傾向にあるためである。より好ましくは5質量部以上である。また、成分(A)の量が50質量部以下とすることで、樹脂組成物の粘度を適度に維持することができ、プリプレグの製造工程におけるフィルム化が容易となる傾向にある。より好ましくは、20質量部以下である。
「成分(B):25℃で固形の成分(A)以外のエポキシ樹脂」
本発明のエポキシ樹脂組成物は、成分(B)として25℃で固形のエポキシ樹脂を含有する。
この25℃で固形のエポキシ樹脂は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度および曲げ弾性率及び耐熱性を高め、かつ繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に用いる場合に、強化繊維へのマトリックス樹脂の接着性を高めることができる。
この25℃で固形のエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である。これら成分(B)は、1種または2種以上を適宜選択して使用することができるが、軟化点または融点が50℃以上のものを使用するのが好ましい。
これは、成分(B)の軟化点または融点が50℃以上のものを使用することによって、プリプレグに適度なタックが得られ、取扱い性を良好となる傾向にあるためである。より好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは70℃以上である。また、成分(B)の軟化点または融点は、他成分との相溶性が良好となる点から160℃以下とするのが好ましい。より好ましくは、150℃以下である。
成分(B)として使用することのできるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、jER1001(軟化点64℃)、jER1003(軟化点:89℃)、jER1004(軟化点:97℃)、jER1007(軟化点:128℃)、jER1009(軟化点:144℃)(以上、三菱化学(株)製)や、エポトートYD−014(軟化点:91〜102℃)、エポトートYD−017(軟化点:117〜127℃)、エポトート”YD−019(軟化点:130〜145℃)(以上、東都化成(株)製)等を挙げることができる。
また、成分(B)として使用することのできるビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、jER4004P(軟化点:85℃)、jER4007P(軟化点:108℃)、jER4010P(軟化点:135℃)(以上、三菱化学(株)製)等を挙げることができる。
さらに、使用することのできるビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、例えば、EXA−1514(軟化点:75℃)、EXA−1517(軟化点:60℃)(以上、DIC(株)製)等を挙げることができる。
また、成分(B)として使用することのできるオキサゾリドン環型エポキシ樹脂としては、例えば、AER4152(軟化点:98℃)、XAC4151(軟化点:98℃)(以上、旭化成イーマテルアル(株)製)、ACR1348(株式会社ADEKA製)、DER858(DOW社製、軟化点:100℃)、TSR−400(DIC(株)製、軟化点:79℃)等を挙げることができる。
また、成分(B)として、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を使用することができる。この使用によって、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ強度をより高めることができ、かつ繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に用いる場合に、繊維強化プラスチックの90°曲げ強度をより高めることができる。
式中、n及びmは平均値を示し、nは1〜10の範囲にあり、mは0〜10の範囲にある実数であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子1〜4個を有するアルキル基又はトリフルオロメチル基を示す。
この一般式(1)で示されるエポキシ樹脂としては、例えば、NER−7604、NER−7403、NER−1302、及びNER−1202(以上、日本化薬社製:エポキシ当量200〜500g/eq.、軟化点55〜75℃)等が挙げられる。
これら成分(B)は、1種または2種以上を適宜選択して使用することができるが、樹脂曲げ弾性率を向上させる点から、下記一般式(1a)で示されるエポキシ樹脂(例えば、NER−7604、NER−7403)が好ましく、さらに、樹脂曲げ強度、弾性率、破断歪のバランスを保つ観点から、kとjの総和が5以上であることが好ましく、NER−7604が特に好ましい。
式中、k及びjは平均値を示し、kは1〜10の範囲にあり、jは0〜10の範囲にある実数である。
さらに、成分(B)として、下記一般式(2)で示される脂環式エポキシ樹脂を使用
することができる。この使用によって、樹脂曲げ弾性率及び耐熱性をより高めることが
できる。
[式(2)中、R1はp価の有機基を示す。pは、1〜20の整数を示す。qは、1〜50の整数を示し、式(2)におけるqの総和は、3〜100の整数である。R2は、下記式(2a)または(2b)で表される基のいずれかを示す。但し、式(2)におけるR2の少なくとも1つは式(2a)で表される基である。
上記の一般式(2)で表される脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、EHPE3150(株式会社ダイセル製、軟化点:75℃)を挙げることができる。
成分(B)として使用することのできるその他のエポキシ樹脂としては、ヒドロキノンジグリシジルエーテル(例えばEX−203(融点88℃))、ジグリシジルテレフタレート(例えばEX−711(融点106℃))、N−グリシジルフタルイミド(例えばEX−731(融点95℃))(以上、ナガセケムテックス(株)製)等を挙げることができる。
成分(B)として用いるエポキシ樹脂は、上記の25℃で固形であるエポキシ樹脂の少なくとも1種以上を適宜選択すれば良いが、オキサゾリドン環型エポキシ樹脂を使用した場合には、特に、強化繊維へのマトリックス樹脂の接着性が良好となる傾向にあり、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂を使用した場合には、特に、樹脂曲げ強度、弾性率、破断歪のバランスに優れ、及び耐熱性が良好となる傾向にある。
成分(B)は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し5質量部〜90質量部であることが好ましい。これは、成分(B)の量が5質量部以上であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率及び耐熱性を高め、かつこれを繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に用いる場合に、強化繊維へのマトリックス樹脂の接着性を高めることができる傾向にあるためである。より好ましくは7質量部以上である。また、成分(B)の量を90質量部以下とすることによって、プリプレグの製造工程における樹脂の含浸性に優れ、得られるプリプレグの取扱い性(タック性、ドレープ性、マンドレルへの巻き付け性)が良好となるとともに、繊維強化複合材料の物性も良好となる傾向あるためである。より好ましくは、70質量部以下である。
「成分(C):25℃で液状の成分(A)以外のエポキシ樹脂」
本発明のエポキシ樹脂組成物は、成分(C)として25℃で液状のエポキシ樹脂を含有する。
この成分(C)は、前記エポキシ樹脂組成物の粘度を適切な範囲に容易に制御することができ、該エポキシ樹脂組成物を含むプリプレグのタック性を調整し、また、この使用によって、繊維強化プラスチック製造時にボイドの少ない成形品を得ることができる。
この成分(C)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER825(25℃での粘度:40〜70ポイズ)、jER827(25℃での粘度:90〜110ポイズ)、jER828(25℃での粘度:120〜150ポイズ)(以上、三菱化学(株)製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピクロン830(DIC(株)製、25℃での粘度:30〜40ポイズ)、jER806(25℃での粘度:15〜25ポイズ)、jER807(25℃での粘度:30〜45ポイズ)(以上、三菱化学(株)製)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製、25℃での粘度:20〜35ポイズ)、デナコールEX−252(ナガセ化成工業(株)製、25℃での粘度:22ポイズ)、レゾルシンジグリシジルエーテルであるデナコールEX−201(ナガセ化成工業(株)製、25℃での粘度:2.5ポイズ)、ジグリシジルフタレートであるデナコールEX−721(ナガセ化成工業(株)製、25℃での粘度:9.8ポイズ)、脂環式エポキシ樹脂であるアラルダイドCY177(25℃での粘度:6.5ポイズ)、CY179(25℃での粘度:3.5ポイズ)(以上、チバガイギー(株)製)、グリセリンのトリグリシジルエーテルであるデナコールEX−314(25℃での粘度:1.7ポイズ)、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエーテルであるデナコールEX−411(25℃での粘度:8.0ポイズ)(以上、ナガセ化成工業(株)製)、テトラグリシジルm-キシリレンジアミンであるTETRAD−X(三菱ガス化学(株)製、25℃での粘度:20〜35ポイズ)、ジグリシジルアニリンであるGAN(25℃での粘度:1.0〜1.6ポイズ)、o−トルイジンのジグリシジルアミン(25℃での粘度:0.3〜0.8ポイズ)(以上、日本化薬(株)製)、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミン型エポキシ樹脂、グリシジルフェニルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。さらにはこれらのエポキシ樹脂を変性したエポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂等を挙げることができる。
成分(C)として用いるエポキシ樹脂は、上述のように、上記の25℃で液体のエポキシ樹脂から1種以上を適宜選択すれば良いが、中でも、ビスフェノール型の2官能エポキシ樹脂であることが、硬化物の耐熱性が優れ、かつ、硬化温度に達しても急な粘度上昇がなく成形時のボイド抑制に優れるので好ましい。また、成分(C)の全部または一部がビスフェノールF型エポキシ樹脂の場合、曲げ弾性率に優れるので特に好ましい。
成分(C)は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し20質量部〜50質量部であることが好ましい。これは、成分(C)の量が20質量部以上であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度を適切な範囲に容易に制御することができ、該エポキシ樹脂組成物を含むプリプレグのタック性を調整し、また繊維強化プラスチック製造時にボイドの少ない成形品を得ることができる傾向にあるためである。より好ましくは25質量部以上である。また、成分(C)の量を50質量部以下とすることによって、適度なプリプレグのタックが得られ、その取扱い性が良好となる傾向にあり、また硬化物の樹脂曲げ弾性率及び樹脂曲げ破断歪が向上する傾向にあるためである。より好ましくは、45質量部以下である。
「成分(D):硬化剤」
本発明のエポキシ樹脂組成物は、成分(D)として硬化剤を含有する。
成分(D)の硬化剤の種類は、特に限定されず、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物、塩化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。中でもジシアンジアミドを用いることで、硬化前のエポキシ樹脂組成物の湿気による性能変化がなく、長期安定性をもちながら比較的低温で硬化を完了することができるため好ましい。ジシアンジアミドの好ましい配合量は、エポキシ樹脂組成物に配合される全てのエポキシ樹脂に由来するエポキシ基のモル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数が0.6〜1.0倍となる配合量であることが良好な機械物性を発現する硬化物が得られる点から好ましい。さらに0.6〜0.8倍であると耐熱性に優れるのでさらに好ましい。
「成分(E):ウレア系硬化助剤」
本発明のエポキシ樹脂組成物は、更に成分(E)としてウレア系硬化助剤を用いても
よい。
特に成分(D)としてジシアンジアミドを用い、これに成分(E):ウレア系硬化助剤を併用することで、低温でも短時間にエポキシ樹脂組成物を硬化完了することができ、
好ましい。
ウレア系硬化助剤としては3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(PDMU)、トルエンビスジメチルウレア(TBDMU)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)等の尿素誘導体化合物が挙げられるが、これらに限定されない。ウレア系硬化助剤は単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。特に3−フェニル−1,1−ジメチルウレアとトルエンビスジメチルウレアは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性および曲げ強度が高くなること、また前記エポキシ樹脂組成物の硬化時間がより短くなることから好ましい。また、3−フェニル−1,1−ジメチルウレアや3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアを用いることにより、これを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物の靱性が特に高くなるため好ましい。
成分(E)の配合量は、エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し、1〜5質量部であることが良好な硬化物が得られる点から好ましい。特に好ましくは1.5〜4質量部である。
「熱可塑性樹脂」
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに熱可塑性樹脂を必要に応じて含有させることができる。この熱可塑性樹脂により、硬化物の樹脂曲げ破断歪を向上させることができる傾向にある。
この熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)/ポリ(ブチルアクリレート)/ポリ(メチルメタクリレート)のトリブロック共重合体、ポリ(スチレン)/ポリ(ブタジエン)/ポリ(メタクリル酸メチル)から選ばれるトリブロック共重合体等から適宜選択して使用することができるが、フェノキシ樹脂やポリビニルアセタール樹脂を使用することによって、上述の硬化物の樹脂曲げ破断歪と樹脂曲げ弾性率を両立させることができる傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用できるフェノキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、もしくはビスフェノールA型とビスフェノールF型が混在したフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定はされない。また、これらフェノキシ樹脂を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
フェノキシ樹脂の質量平均分子量は50000〜80000であることが好ましい。フェノキシ樹脂の質量平均分子量が50000以上であれば、エポキシ樹脂組成物の粘度が低くなりすぎることを防ぐことができ、適正な配合量でエポキシ樹脂組成物の粘度を適正な粘度域に容易に調整できる。一方、フェノキシ樹脂の質量平均分子量が80000以下であれば、エポキシ樹脂への溶解が可能であり、極少量の配合量でもエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、エポキシ樹脂組成物の粘度を適正な粘度域に容易に調整できる。
フェノキシ樹脂の具体例としては、YP−50、YP−50S、YP−70(いずれも商品名、新日鉄住金化学(株)製)、jER1256、jER4250、jER4275(いずれも商品名、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、ビニレックK(平均分子量:59000)、ビニレックL(平均分子量:66000)、ビニレックH(平均分子量:73000)、ビニレックE(平均分子量:126000)(いずれも商品名、チッソ(株)製)などのポリビニルホルマール、エスレックK(積水化学工業(株)製)などのポリビニルアセタール、エスレックB(積水化学工業(株)製)やデンカブチラール(電気化学工業(株)製)などのポリビニルブチラールなどが挙げられる。
トリブロック共重合体の具体例としては、ポリ(メチルメタクリレート)/ポリ(ブチルアクリレート)/ポリ(メチルメタクリレート)のトリブロック共重合体、ポリ(スチレン)/ポリ(ブタジエン)/ポリ(メタクリル酸メチル)のトリブロック共重合体などが挙げられる。すなわち、ポリ(メチルメタクリレート)と、ポリ(ブチルアクリレート)と、ポリ(メチルメタクリレート)がこの順に共重合したトリブロック共重合体、またはポリ(スチレン)と、ポリ(ブタジエン)と、ポリ(メタクリル酸メチル)がこの順に共重合したトリブロック共重合体などが挙げられる。
中央のソフトブロックにエポキシ樹脂に非相溶なポリマーを選択し、ハードブロックの片方もしくは両方としてエポキシ樹脂と相溶しやすいポリマーを選択することで、トリブロック共重合体はエポキシ樹脂中にミクロ分散する。ソフトブロックを構成するポリマーはハードブロックを構成するポリマーよりも、ガラス転移温度が低く破壊靱性が良好である。従って、この構造のトリブロック共重合体をエポキシ樹脂中にミクロ分散することで、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性の低下を抑制し、破壊靱性を向上させることができる。
エポキシ樹脂と相溶しやすいポリマーであるハードブロックを両側にもつ、ポリ(メチルメタクリレート)/ポリ(ブチルアクリレート)/ポリ(メチルメタクリレート)のトリブロック共重合体は、エポキシ樹脂への分散が良好でエポキシ樹脂組成物の硬化物の破壊靱性を大きく向上させることができるので、より好ましい。市販品として入手可能なポリ(メチルメタクリレート)/ポリ(ブチルアクリレート)/ポリ(メチルメタクリレート)のトリブロック共重合体としては、例えばナノストレングス(Nanostrength、登録商標)M52、M52N、M22、M22N(いずれも商品名、アルケマ(株)製)などが挙げられる。
また市販品として入手可能な、ポリ(スチレン)/ポリ(ブタジエン)/ポリ(メタクリル酸メチル)のトリブロックコポリマーとしては、例えばアルケマ社製のNanostrength 123、250、012、E20、E40(いずれも商品名)などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する熱可塑性樹脂の量は、前記エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し0.1〜10質量部の範囲とするのが好ましい。これは、熱可塑性樹脂の使用量が1質量部以上とすることによって、エポキシ樹脂組成物の硬化物の樹脂曲げ破断歪が高く好ましく、10質量部以下とすることによって、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が高くなる傾向にあるためである。より好ましくは、6質量部以下である
「その他エポキシ樹脂」
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分(A)、成分(B)、成分(C)のいずれとして列挙された上述のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(以下、「その他エポキシ樹脂」と称する。)を含有していても良い。
その他エポキシ樹脂の例としては、2官能エポキシ樹脂ではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、さらにはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのようなテトラグリシジルジアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルフェニルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。さらにはこれらのエポキシ樹脂を変性したエポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定はされない。また、これらエポキシ樹脂を2種類以上組み合わせてその他エポキシ樹脂として使用しても構わない。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる「その他エポキシ樹脂」の量は、前記エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計量100質量部に対し30質量部以下であることが好ましい。
「その他添加剤」
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーおよびエラストマーからなる群から選ばれた1種以上の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤によって、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘弾性を変化させて、粘度、貯蔵弾性率およびチキソトロープ性を適正化することができるとともに、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の靭性を向上させることもできる。添加剤として用いられる熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーまたはエラストマーは、単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。また、エポキシ樹脂成分中に溶解して配合されてもよく、微粒子、長繊維、短繊維、織物、不織布、メッシュ、パルプなどの形状でエポキシ樹脂組成物中に含まれていても良い。添加剤が、微粒子、長繊維、短繊維、織物、不織布、メッシュ、パルプなどの形状でプリプレグの表層に配置される場合には、繊維強化プラスチックの層間剥離を抑制することができるので好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、例えば、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。耐熱性に優れることから、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンなどが特に好ましく使用される。また、これらの熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂との反応性の官能基を有することは、本発明の樹脂組成物の硬化樹脂の靭性向上および耐環境性維持の観点から好ましい。エポキシ樹脂との反応性の好ましい官能基としては、カルボキシル基、アミノ基および水酸基などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記(1)、(2)及び(3)を満たすことが好ましい。
〔物性〕
(1)該エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が3.7GPa以上
(2)該エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ破断歪が8%以上
(3)該エポキシ樹脂組成物の硬化物と、連続繊維である中弾性・高弾性の炭素繊
維が一方向に引き揃えられた強化繊維基材からなる繊維強化プラスチックの、
0°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:1700MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:1600MPa以上
90°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:135MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:100MPa以上
エポキシ樹脂組成物の硬化物において、曲げ弾性率の向上と曲げ破断歪の向上はトレードオフの関係にあるが、本発明者らは鋭意検討の結果、両物性を特定の範囲に制御することにより高いレベルで両立可能であることを見出した。このようなエポキシ樹脂組成物を使用することにより、得られる繊維強化プラスチックの破壊強度を向上させることができる。
また、後述する条件で測定した繊維強化プラスチックの0°曲げ強度と90°曲げ強度の比を特定の範囲に制御することが、得られる繊維強化プラスチックの破壊強度の向上に、より効果的であることを見出した。0°方向の曲げ強度および曲げ剛性と、90°方向の剥離強度の指標である曲げ強度を高いレベルで発現することで、管状体として高い強度を発現することが可能となる。
更に、繊維強化プラスチックの0°曲げ強度と90°曲げ強度のバランスと曲げ破断歪を両立させることは、従来の技術では成し得なかったが、これらを特定の範囲に制御することにより、高いレベルで両立可能であることを見出した。このようなエポキシ樹脂組成物を使用することにより、得られる繊維強化プラスチックの破壊強度を著しく向上されることができることを見出した。
以下、詳細に説明する。
(1)樹脂曲げ弾性率3.7GPa以上
本発明における樹脂曲げ弾性率は、以下方法において測定された値である。
エポキシ樹脂組成物を硬化させて得た厚み2mmの硬化樹脂板を、試験片(長さ60mm×幅8mm)に加工し、500Nロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16の条件で試験片を曲げ、弾性率を測定する。
樹脂曲げ弾性率が3.7MPa以上であるエポキシ樹脂組成物を、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に使用した場合、高い0°曲げ強度が得られる。更に繊維強化プラスチックが管状の場合、管状体の高い曲げ強度が得られる。
樹脂曲げ弾性率は3.7GPa以上であればよいが、3.9GPa以上であると、さらに高い0°曲げ強度及び90°曲げ強度が得られるため、より好ましい。樹脂曲げ弾性率の上限値に特に制限は無いが、通常6.0GPa以下である。
(2)樹脂曲げ破断歪が8%以上
樹脂曲げ破断歪は、以下方法において測定された値である。
エポキシ樹脂組成物を硬化させて得た厚み2mmの硬化樹脂板を、試験片(長さ60mm×幅8mm)に加工し、500Nロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16の条件で試験片を曲げ、最大荷重時の歪および破断歪を得る。樹脂曲げ試験にて樹脂板が破断しない場合がある。その場合は13%を超えた時点で装置を停止し、その値を破断歪とする。
樹脂曲げ破断歪が8%以上であるエポキシ樹脂組成物を、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂に使用した場合、高い90°曲げ強度が得られる。更に繊維強化プラスチックが管状の場合、管状体の高い曲げ強度が得られる。
樹脂曲げ破断歪は8%以上であればよいが、11%以上であるとさらに高い90°曲げ強度が得られるため、より好ましい。さらに好ましくは12%以上である。樹脂曲げ破断歪みの上限値は、前述の測定法から明らかなように13%である。
(3)該エポキシ樹脂組成物の硬化物と、連続繊維である炭素繊維が一方向に引き
揃えられた強化繊維基材からなる繊維強化プラスチックの、
0°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:1700MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:1600MPa以上
90°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:135MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:100MPa以上
上記の繊維強化プラスチックの0°曲げ強度、及び90°曲げ強度は、炭素繊維を一方向に引き揃え、繊維目付が125g/m2、樹脂含有量が28質量%のプリプレグを作製し、これを硬化して作製した繊維強化プラスチックパネルを以下の方法にて測定された値である。
(0°曲げ強度)
得られた繊維強化プラスチックパネルを試験片の長手方向に対して補強繊維が0゜に配向するように試験片(長さ127mm×幅12.7mm)に加工し、インストロン社製の万能試験機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=5mm、サポートR=3.2mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=40、クロスヘッドスピード(分速)=(L×L×0.01)/(6×d)の条件で試験片を曲げ、曲げ強度および破断歪を測定する。
(90°曲げ強度)
得られた繊維強化プラスチックパネルを、試験片の長手方向に対して補強繊維が90゜に配向するように試験片(長さ60mm×幅12.7mm)に加工し、インストロン社製の万能試験機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=5mm、サポートR=3.2mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16、クロスヘッドスピード(分速)=(L×L×0.01)/(6×d)の条件で試験片を曲げ、曲げ強度および破断歪を測定する。
繊維強化プラスチックの、
0°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:1700MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:1600MPa以上
90°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:135MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:100MPa以上
であれば、管状の繊維強化プラスチックにおいて高い管状体の曲げ強度が得られる。繊維強化プラスチックの、
0°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:1800MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:1700MPa以上
90°曲げ強度(MPa)が
中弾性の炭素繊維を用いた場合:140MPa以上
高弾性の炭素繊維を用いた場合:105MPa以上
であるのが、より好ましい。
繊維強化プラスチックの0°曲げ強度と90°曲げ強度はいずれか一方が高く、一方が低い場合は、管状体としての性能発現のバランスが低下する傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、離型紙などに塗布することで樹脂のフィルムを得ることができる。本発明のフィルムはプリプレグを製造するための中間材料として、また、基材に貼り付け硬化させることで表面保護フィルム、接着フィルムとして有用である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させることでプリプレグを得ることができる。本発明のプリプレグに用いることができる強化繊維基材には制限が無く、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、有機繊維、ボロン繊維、スチール繊維などを、トウ、クロス、チョップドファイバー、連続繊維を一方向に引き揃えた形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態、複数枚の一方向の強化繊維のシートを異なる方向に重ねて補助糸でステッチして留めマルチアキシャルワープニットとした形態、また、強化繊維を不織布とした形態などが挙げられる。
これらの強化繊維基材を構成する強化繊維として、炭素繊維や黒鉛繊維は比弾性率が良好で軽量化に大きな効果が認められるので本発明のプリプレグに好適に用いることができる。また、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維または黒鉛繊維を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、あらゆる強化繊維に好適に用いることが可能となる。特に炭素繊維に好適に用いることが可能となり、さらには、中弾性・高弾性の炭素繊維に好適に用いることが可能となる。
また、本発明のプリプレグを賦形し硬化させることにより、エポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維を含む繊維強化プラスチックを得ることができる。該繊維強化プラスチックの用途にも制限は無く、航空機用構造材料をはじめとして、自動車用途、船舶用途、スポーツ用途、その他の風車やロールなどの一般産業用途に使用できる。繊維強化プラスチックの製造方法としては、プリプレグと呼ばれるシート状の成形中間体に加工して、オートクレーブ成形、シートラップ成形、プレス成形などを行う成形方法や、強化繊維のフィラメントやプリフォームにエポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化し成形物を得るRTM、VaRTM、フィラメントワインディング、RFIなどの成形法を挙げることができるが、これらの成形方法に限られるものではない。
なお、本発明の繊維強化プラスチックは、管状とすることにより、高い破壊強度を生かしたゴルフクラブシャフト等に、特に好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<原材料>
成分(A):
MY0510(商品名):トリグリシジル−p−アミノフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量101g/eq
MY0600(商品名):トリグリシジル−m−アミノフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量105g/eq
成分(B):
NER−7604(商品名):多官能ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量350g/eq、軟化点70℃、日本化薬(株)製
AER4152(商品名「アラルダイトAER4152」):骨格中にオキサゾリドン環を持つ2官能エポキシ樹脂、数平均分子量814、軟化点:79°旭化成イーマテリアルズ株式会社製
jER1001(商品名):ビスフェノールA型2官能エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500g/eq、数平均分子量900、軟化点:64℃ 三菱化学(株)製
jER1004(商品名):ビスフェノールA型2官能エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975g/eq、数平均分子量1650、軟化点:97℃ 三菱化学(株)製
EHPE3150(商品名):固形脂環式エポキシ樹脂、軟化点:75℃、株式会社ダイセル製
成分(C):
jER828(商品名):ビスフェノールA型2官能エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq、三菱化学(株)製
jER807(商品名):ビスフェノールF型2官能エポキシ樹脂、エポキシ当量167g/eq、三菱化学(株)製
成分(D):
DICY15(商品名):ジシアンジアミド(略称:DICY)、三菱化学(株)製
成分(E):
DCMU99(商品名):3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(略称:DCMU)、保土谷化学工業(株)製
Omicure94(商品名):3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(略称:PUMU)、PTIジャパン(株)製
熱可塑性樹脂:
ビニレックE(商品名):ポリビニルホルマール樹脂、チッソ(株)製
YP−50S(商品名):フェノキシ樹脂、質量平均分子量50,000〜70,000、新日鉄住金化学(株)製
M52N(商品名「NanostrengthM52N」):アクリル系ブロック共重合体(ポリ(メチルメタクリレート)/ポリ(ブチルアクリレート)/ポリ(メチルメタクリレート)のトリブロック共重合体であり、さらにジメチルアクリルアミドが共重合したもの、アルケマ(株)製
〔実施例1〜12、比較例1〜7〕
以下の手順でエポキシ樹脂組成物を調製し、これを用いて樹脂曲げ弾性率、樹脂曲げ破断歪み、及び繊維強化プラスチックの曲げ強度を測定した。樹脂組成および測定(評価)結果を表1に示す。
<触媒樹脂組成物の調製>
表1に示す樹脂組成に含まれる液体状のエポキシ樹脂成分の一部に、同表に示す成分(D)および成分(E)を3本ロールミルで均一に分散させて、触媒樹脂組成物を調製
した。
<エポキシ樹脂組成物の調製>
表1に示す樹脂組成に含まれる固体状のエポキシ樹脂成分の一部と、液体状のエポキシ樹脂成分の残部の一部、及び熱可塑性樹脂を、160℃にて加熱混合することで均一なマスターバッチ(1)を得た。
得られたマスターバッチ(1)を120℃に冷却した後、ここに固体状のエポキシ樹脂成分の残部を添加し、120℃で混合することによって均一に分散させ、マスターバッチ(2)を得た。
得られたマスターバッチ(2)を60℃に冷却した後、予め調製しておいた触媒樹脂組成物および液体状のエポキシ樹脂成分の残部を計量して添加し、60℃で混合することによって均一に分散させ、エポキシ樹脂組成物を得た。
<硬化樹脂板の作製>
上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られたエポキシ樹脂組成物を、厚さ2mmのポリテトラフルオロエチレン製のスペーサーと共にガラス板で挟んで、昇温速度2℃/分で昇温し、130℃で90分保持して硬化させることにより硬化樹脂板を得た。
<樹脂曲げ弾性率および樹脂曲げ破断歪の測定>
上述の<硬化樹脂板の作製>にて得られた厚み2mmの硬化樹脂板を、試験片(長さ60mm×幅8mm)に加工し、500Nロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=3.2mm、サポートR=3.2mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16の条件で試験片を曲げ、弾性率および最大荷重時の歪および破断歪を得た。結果を表1に示す。
なお、樹脂曲げ試験にて樹脂板が破断しない場合は、13%を超えた時点で装置を停止し、その値を破断歪とした。
実施例1〜12においては、樹脂曲げ弾性率3.7GPa以上、かつ破断歪8%以上であった。
一方、比較例1〜7においては、樹脂曲げ弾性率3.7GPa以上、又は破断歪8%以上のいずれかが未達であった。
<コンポジット(繊維強化プラスチック)パネル作製方法>
上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られた、実施例1、4と比較例1、5のエポキシ樹脂組成物を60℃に加温し、フィルムコーターで離型紙に塗布して樹脂フィルムを作製した。該樹脂フィルムの厚みは、後述するように該樹脂フィルムを2枚用いてプリプレグを作製した場合に、該プリプレグの樹脂含有率が28質量%となるよう設定した。
この樹脂フィルム上(離型紙の、樹脂フィルム形成側表面)に、炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、中弾性炭素繊維としてMR70―12Pおよび高弾性炭素繊維としてHR40−12M)を繊維目付が125g/m2のシートになるようにドラムワインド装置にて巻きつけた。さらにもう1枚の樹脂フィルムをドラムワインド装置上で炭素繊維シート上に貼り合わせた。2枚の樹脂フィルムに挟まれた炭素繊維シートを温度100℃、圧力0.4MPa、送り速度3m/分の条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業(株)、JR−600LTSW、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)に通し、繊維目付が125g/m2、樹脂含有量が28質量%のプリプレグを得た。
得られたプレプレグを18枚積層し、オートクレーブで圧力0.04MPa下で、2℃/分で昇温し、80℃で60分保持後、さらに2℃/分で昇温し、130℃まで昇温し、圧力0.6MPa下で90分間加熱硬化させ、繊維強化プラスチックパネルを得た。
<コンポジット(繊維強化プラスチック)曲げ強度の測定>
上述の<コンポジット(繊維強化プラスチック)パネル作製方法>にて得られた繊維強化プラスチックパネルを、試験片の長手方向に対して補強繊維が0°または90゜に配向するように試験片を下記の大きさに加工し、インストロン社製の万能試験機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具(圧子R=5mm、サポートR=3.2mm)を用い、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/dを下記の条件で、クロスヘッドスピード(分速)=(L2×0.01)/(6×d)の条件で試験片を曲げ、0°及び90°における曲げ強度、弾性率及び破断歪を得た。0°曲げ特性はVf60%となるよう換算した。結果を表2に示す。
0°曲げ特性評価用:長さ100mm×幅12.7mm、L/d=40
90°曲げ特性評価用:長さ60mm×幅12.7mm、L/d=16
<管状体(パイプ形状繊維強化プラスチック)の成型>
SUS製、6mmφの芯材に離型剤として、フレコートNC700(巴工業製)を塗布した。補強繊維としてMR70―12Pを使用した上記のプリプレグを繊維の配列方向が芯材の軸方向に対して、プラス45°方向、マイナス45°方向、および0°方向に配向するようにカットした。
まず、プラス45°方向のプリプレグを芯材に1層巻き付けて、次にマイナス45°方向に1層巻き付けた。これらを交互に積層し、±45°層として合計で7周分巻き付けた。その外周に、0°層を3周分巻き付ける。合計10週分のプリプレグを巻き付けた。トラバースピッチが約10mmとなるようPP製のラッピングテープを巻き付けた。加熱装置内にて、昇温速度2℃/分で昇温し、130℃で90分保持して硬化した。加熱後、脱芯することで管状体を得た。
<管状体(パイプ形状繊維強化プラスチック)の評価手法>
SG曲げ試験方法に準拠し、治具(サポート間距離(L)を150mm 圧子R=75mm、支持R=12.5)を使用し、クロスヘッドスピード(分速)=20mm/分で曲げ試験を実施。最大破壊荷重を得た。結果を表2に示す。
実施例1及び実施例4の繊維強化プラスチックの0°曲げ強度は、いずれも中弾性の炭素繊維を用いた場合は1700MPa以上であり、高弾性の炭素繊維を用いた場合は1600MPa以上であったが、比較例1及び比較例5においては、いずれの場合の0°曲げ強度は1600MPa未満であった。
また、実施例1及び実施例4の繊維強化プラスチックの90°曲げ強度は、いずれも中弾性の炭素繊維を用いた場合は135MPa以上であり、高弾性の炭素繊維を用いた場合は100MPa以上であったが、比較例1及び比較例5においては、いずれの場合もこの基準に未達であった。
さらに、実施例1及び実施例4における管状体の最大破壊荷重は、比較例1及び比較例5のそれを大きく上回っていた。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた管状の繊維強化プラスチックを得ることができる。よって、本発明によれば、機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形体、例えばゴルフクラブ用シャフトなどのスポーツ・レジャー用途成形体から航空機等の産業用途の成形体まで、幅広く提供することができる。

Claims (16)

  1. 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含むエポキシ樹脂組成物。
    成分(A)3官能エポキシ樹脂
    成分(B)25℃で固形である成分(A)以外のエポキシ樹脂
    成分(C)25℃で液状である成分(A)以外のエポキシ樹脂
    成分(D)硬化剤
  2. 前記エポキシ樹脂組成物に含まれる前記成分(B)がエポキシ当量500以下である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂組成物に含まれる前記成分(C)がエポキシ当量500以下である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記成分(B)が、軟化点または融点が50℃以上のエポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記成分(B)として、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
    式中、n及びmは平均値を示し、nは1〜10の範囲にあり、mは0〜10の範囲にある実数であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子1〜4個を有するアルキル基又はトリフルオロメチル基を示す。
  6. 前記成分(B)として、下記一般式(2)で表される脂環式エポキシ樹脂を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
    [式(2)中、R1はp価の有機基を示す。pは、1〜20の整数を示す。qは、1〜50の整数を示し、式(2)におけるqの総和は、3〜100の整数である。R2は、下記式(2a)または(2b)で表される基のいずれかを示す。但し、式(2)におけるR2の少なくとも1つは式(2a)で表される基である。
  7. 前記脂環式エポキシ樹脂として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物を含有する、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計量100質量部に対する前記成分(B)の含有量が5質量部〜90質量部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記成分(C)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物
  10. 前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計量100質量部に対する前記成分(C)の含有量が20質量部〜50質量部である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 前記成分(D)がジシアンジアミドである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. さらに、成分(E)として、ウレア系硬化助剤を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物からなるフィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されたプリプレグ。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなる繊維強化プラスチック。
  16. 管状である請求項15に記載の繊維強化プラスチック。
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