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JP2017202953A - 封止材積層体及び接合体 - Google Patents

封止材積層体及び接合体 Download PDF

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JP2017202953A
JP2017202953A JP2016095170A JP2016095170A JP2017202953A JP 2017202953 A JP2017202953 A JP 2017202953A JP 2016095170 A JP2016095170 A JP 2016095170A JP 2016095170 A JP2016095170 A JP 2016095170A JP 2017202953 A JP2017202953 A JP 2017202953A
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glass
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JP2016095170A
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洋平 細田
Yohei Hosoda
洋平 細田
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】低膨張部材と高膨張部材を接合するに当たり、残留応力に起因する部材の破損を抑制することが可能な封止材の提供。【解決手段】熱膨張係数α1を有する第1の封止材層1及び熱膨張係数α2を有する第2の封止材層2が互いに接合してなる封止材積層体3であり、−25×10−7/K≦α1≦25×10−7/K、α1<α2の関係を満たし、α2−α1≧10×10−7/Kであり、第1の封止材層1及び/又は第2の封止材層2がガラスを含み、第1の封止材層1が主結晶としてβ−石英固溶体を含有し、第1の封止材層1が、組成として、モル%で、SiO2:48〜75%、Al2O3:5〜25%、Li2O:5〜30%、B2O3:10〜23%(但し10%を含まない)、ZnO:0〜2.5%(2.5%を含まない)を含有するガラスを含む、封止材積層体3。第1の部材10と第2部材20との間に封止材積層体3を介在接合している接合体100。【選択図】図1

Description

本発明は、低膨張部材と高膨張部材の接合に好適な封止材積層体、及びそれを用いた接合体に関する。
石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等は低い熱膨張係数を有し、耐熱性にも優れているため、高温処理治具、ヒーター、エンジン等の構造部材として広く使用されている。これらの低膨張材料からなる部材を各種装置に組み込む際には、金属等からなる高膨張部材への接合が必要になる場合がある。このような接合として、溶接や、ガラスフリット等の封止材による接合等が挙げられる。しかしながら、溶接は安全性に問題があり、大面積加工も困難であるため、封止材による接合が好ましく用いられている。
上記の構造部材は高温下で使用される場合が多いため、封止材にも高い耐熱性が要求される。耐熱性に優れた封止材として、ガラス封止材、特に結晶性ガラス封止材が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許第2715138号公報
低膨張部材と高膨張部材を封止材により接合する際には、各材料間における熱膨張係数の整合が問題となる。即ち、低膨張部材と封止材の熱膨張係数を整合させると、封止材と高膨張部材の熱膨張係数差が大きくなる。一方、高膨張部材と封止材の熱膨張係数を整合させると、封止材と低膨張部材の熱膨張係数差が大きくなる。部材と封止材の熱膨張係数差が大きくなると、接合時に残留応力が発生して破損しやすくなる。
以上に鑑み、本発明は、低膨張部材と高膨張部材を接合するに当たり、残留応力に起因する部材の破損を抑制することが可能な封止材を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、特定の積層構造を有する封止材により前記課題を解消できることを見出した。
即ち、本発明は、熱膨張係数αを有する第1の封止材層及び熱膨張係数αを有する第2の封止材層が互いに接合してなる封止材積層体であって、−25×10−7/K≦α≦25×10−7/K、かつ、α<αの関係を満たすことを特徴とする封止材積層体に関する。
このように封止材層の熱膨張係数が段階的に大きくなる積層構造をとることにより、熱膨張係数の異なる2種の部材を接合する際に、各部材と各封止材層との界面における熱膨張係数差を小さくすることができる。結果として、各部材と各封止材層との間に生じる残留応力を小さくでき、部材の破損を抑制することが可能となる。なお、本発明において、熱膨張係数は30〜380℃の温度範囲における値を示す。
本発明の封止材積層体において、α−α≧10×10−7/Kであることが好ましい。このようにすれば、2種の部材の熱膨張差が比較的大きい場合であっても、各部材と各封止材層の界面における熱膨張係数差を小さくすることが可能となり、封止時における部材の破損を抑制しやすくなる。
本発明の封止材積層体において、第1の封止材層及び第2の封止材層がガラスを含むことが好ましい。このようにすれば、封止部の耐熱性を高めることができる。
本発明の封止材積層体において、第1の封止材層として例えば結晶化ガラスを含むものが使用できる。このようにすれば、第1の封止材層の低膨張化が容易になり、低膨張部材との熱膨張係数を整合させやすくなる。
本発明の封止材積層体において、第1の封止材層が主結晶としてβ−石英固溶体を含有することが好ましい。
本発明の封止材積層体において、第1の封止材層が、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)を含有するガラスを含むことが好ましい。当該組成を有するガラスは、熱処理によりβ−石英固溶体を析出しやすい。
本発明の封止材積層体において、第1の封止材層及び第2の封止材層が粉末焼結体からなることが好ましい。このようにすれば、第1の封止材層及び第2の封止材層の界面応力に起因する封止材層の破損を抑制することができる。これは、粉末焼結体中に含まれる空隙が応力を緩和する役割を果たすためであると推察される。
本発明の接合体は、第1の部材及び第2の部材と、第1の部材及び第2の部材の間に介在する上記の封止材積層体とを備え、第1の部材と第1の封止材層、及び、第2の部材と第2の封止材層が各々接合していることを特徴とする。
本発明の接合体において、第1の部材と第2の部材の熱膨張係数差が20×10−7/K以上であることが好ましい。この場合、本発明の封止材積層体を使用する効果を享受しやすくなる。
本発明の接合体において、第1の部材と第1の封止材層の熱膨張係数差、及び、第2の部材と第2の封止材層の熱膨張係数差が、各々20×10−7/K以下であることが好ましい。このようにすれば、各部材と封止材層の間で発生する応力を低減することができ、部材の破損を抑制することが可能となる。
本発明の接合体において、第1の部材として例えば石英ガラス、結晶化ガラスまたは低膨張セラミックスを使用することができる。
本発明の接合体において、第2の部材として例えば金属、ガラスまたは高膨張セラミックスを使用することができる。
本発明の接合体の製造方法は、上記の接合体を製造するための方法であって、第1の部材上に第1の封止材を配置した状態で焼成することにより、第1の部材上に第1の封止材層を形成する工程、及び、第1の封止材層上に第2の封止材を配置し、さらに第2の封止材上に第2の部材を配置した状態で焼成することにより、第2の封止材層を形成するとともに、第2の封止材層により第1の封止材層と第2の部材を接合する工程、を含むことを特徴とする。なお、本発明において、封止材を「配置」するとは、載置や塗布等の形態を含む。
本発明の接合体の製造方法は、上記の接合体を製造するための方法であって、第2の部材上に第2の封止材を配置した状態で焼成することにより、第2の部材上に第2の封止材層を形成する工程、及び、第2の封止材層上に第1の封止材を配置し、さらに第1の封止材上に第1の部材を配置した状態で焼成することにより、第1の封止材層を形成するとともに、第1の封止材層により第2の封止材層と第1の部材を接合する工程、を含むことを特徴とする。
本発明の封止材積層体を用いれば、低膨張部材と高膨張部材を接合するに当たり、各部材と各封止材層との間に生じる残留応力を小さくでき、部材の破損を抑制することが可能となる。
本発明の接合体の一実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の接合体の製造方法の第1の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の接合体の製造方法の第2の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明の接合体の製造方法の第3の実施形態を示す模式的断面図である。
本発明の封止材積層体は、熱膨張係数αを有する第1の封止材層及び熱膨張係数αを有する第2の封止材層が互いに接合してなるものである。ここで、αとαはα<αの関係を満たす。
第1の封止材層の熱膨張係数αは−25×10−7〜25×10−7/Kであり、−15×10−7〜15×10−7/K、特に−10×10−7〜10×10−7/Kであることが好ましい。このようにすれば、低膨張部材との熱膨張係数を整合させることができるため、接合時に部材におけるクラックの発生を抑制することができる。
第2の封止材層は、熱膨張係数αが第1の封止材層の熱膨張係数αより大きいものであれば特に限定されない。好ましくは、α−αは10×10−7/K以上、15×10−7/K以上、特に20×10−7/K以上である。このようにすれば、2種の被接合部材の熱膨張差が比較的大きい場合であっても、各部材と各封止材層の界面における熱膨張係数差を小さくすることが可能となり、接合時における各部材の破損を抑制しやすくなる。ただし、α−αが大きすぎると、第1の封止材層と第2の封止材層の界面にクラックが発生したり、両者が接合しなくなるため、30×10−7/K以下、特に25×10−7/K以下であることが好ましい。
第1の封止材層及び第2の封止材層の厚みは特に限定されないが、厚みが小さすぎると封止材層の機械的強度が低下しやすくなる。一方、厚みが大きすぎる場合も、封止材層における残留応力が大きくなって機械的強度が低下する可能性がある。さらには接合体全体のサイズが大きくなる傾向がある。そのため、第1の封止材層及び第2の封止材層の厚みは1μm〜5mm、特に10μm〜3mmであることが好ましい。
なお、第1の封止材層と第2の封止材層の間に、第1の封止材層より熱膨張係数が高く、かつ第2の封止材層より熱膨張係数が低い第3の封止材層を設けてもよい。このようにすれば、当該第3の封止材層が緩衝材の役割を果たすため、第1の封止材層と第2の封止材層の熱膨張係数差が大きい場合であっても、クラック等の不具合の発生を抑制することが可能となる。
第1の封止材層及び第2の封止材層はいずれもガラスからなることが好ましい。このようにすれば封止部の耐熱性を向上させることができる。特に、第1の封止材層が結晶化ガラスを含むものであると、低膨張化が容易になり、低膨張部材との熱膨張係数を整合させやすくなる。具体的には、第1の封止材層は低膨張結晶であるβ−石英固溶体を含有することが好ましい。第1の封止材層におけるβ−石英固溶体の含有量は75〜99質量%、80〜97質量%、特に85〜95質量%であることが好ましい。β−石英固溶体の含有量が少なすぎると、封止部の低膨張化が困難になる傾向がある。一方、β−石英固溶体の含有量が多すぎると、接合時における流動性が低下しやすくなる。なお、結晶化ガラスを含む封止材層は、結晶性ガラスを含む封止材を熱処理することにより得られる。
第1の封止材層の具体例としては、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)を含有するガラスを含むものが挙げられる。このような組成にした理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。
SiOはガラス骨格を形成する成分であり、またβ−石英固溶体の構成成分である。SiOの含有量は48〜75%、53〜70%、特に58〜65%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなり、低熱膨張特性が得にくくなる。一方、SiOが多すぎると、軟化点が上昇するため、封止時の熱処理による軟化流動性が低下しやすくなる。
Alはβ−石英固溶体の構成成分である。Alの含有量は5〜25%、7〜15%、特に7〜13%であることが好ましい。Alの含有量が少なすぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなり、低熱膨張特性が得にくくなる。一方、Alが多すぎると、軟化点が上昇するため、封止時の熱処理による軟化流動性が低下しやすくなる。
LiOはβ−石英固溶体の構成成分であり、また軟化点を低下させる成分である。LiOの含有量は5〜30%、10〜25%、特に10〜20%であることが好ましい。LiOの含有量が少なすぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなり、低熱膨張特性が得にくくなる。また軟化点が上昇するため、封止時の熱処理による軟化流動性が低下しやすくなる。一方、LiOの含有量が多すぎると、熱処理後の残留ガラス中におけるLiOの含有量が多くなり、残留ガラスの熱膨張係数が大きくなることから、結果として低熱膨張特性が得にくくなる。
はガラス骨格を形成する成分であり、軟化点を低下させる成分である。Bの含有量は10〜23%(ただし10%を含まない)、12〜16%、特に13〜15%であることが好ましい。Bの含有量が少なすぎると、軟化点が上昇して、軟化点と結晶化温度の差が小さくなる。そのため、封止時の熱処理による軟化流動前に結晶が析出する傾向があり、流動性が低下しやすくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、熱処理後の残留ガラス相の割合が増加する(β−石英固溶体の析出量が低下する)ため、また残留ガラス相の熱膨張係数が増大するため、結果として低熱膨張特性が得にくくなる。
なお、BとLiOの各含有量の割合を適宜調整することにより、低熱膨張特性が得やすくなる。具体的には、B/LiOの値を0.5〜1、0.7〜1、特に0.8〜1に調整することが好ましい。なお、「B/LiO」はBとLiOの各含有量のモル比を意味する。
ZnOは耐候性を向上させる成分である。また、封止時の熱処理による軟化流動性を向上させる効果がある。ZnOの含有量は0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)、特に0〜2%であることが好ましい。ZnOの含有量が多すぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなったり、Zn−Al系結晶等の低膨張化に寄与しない異種結晶が析出しやすくなる。また、熱処理後の残留ガラスの熱膨張係数が大きくなる傾向がある。結果として、熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
なお、耐候性を向上させる成分としてMgO、CaO、SrOまたはBaOを含有させても良い。これらの成分は封止時の熱処理による軟化流動性を向上させる効果もある。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は0〜10%、0〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多すぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなったり、熱処理後の残留ガラス相の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。その結果、熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
また、同じく耐候性を向上させる成分としてLa、ZrOまたはBiを含有させても良い。これらのうちZrO及びBiは、封止時の熱処理による軟化流動性を向上させる効果もある。La+ZrO+Biの含有量は0〜10%、0〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。La+ZrO+Biの含有量が多すぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなったり、熱処理後の残留ガラス相の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。特に、Laに関してはその含有量が多すぎると、La−B系結晶等の、低膨張化に寄与しない異種結晶が析出しやすい。その結果、熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、NaO、KO、MnO、P、MoO、TiO、V等を合量で30%以下、20%以下、さらには10%以下の範囲で含有させることが可能である。
第2の封止材層は、熱膨張係数αが第1の封止材層の熱膨張係数αより大きいものであれば特に限定されない。好ましくは、α−αは10×10−7/K以上、15×10−7/K以上、特に20×10−7/K以上である。このようにすれば、2種の被接合部材の熱膨張差が比較的大きい場合であっても、各部材と各封止材層の界面における熱膨張係数差を小さくすることが可能となり、接合時における各部材の破損を抑制しやすくなる。
第2の封止材層は、例えばホウケイ酸ガラス、ビスマス系ガラス、リン酸系ガラス、スズリン酸系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス、ホウ酸系ガラス、アルカリケイ酸系ガラス等のガラスを含むものが挙げられる。
第1の封止材層及び第2の封止材層は粉末焼結体からなることが好ましい。このようにすれば、粉末焼結体中に含まれる空隙が応力を緩和するため、第1の封止材層及び第2の封止材層の界面応力に起因する封止材層の破損を抑制することができる。
なお、第1の封止材層及び第2の封止材層には、熱膨張係数調整のため耐火性フィラー粉末が含まれていてもよい。第1の封止材層及び第2の封止材層における耐火性フィラーの含有量は、0〜30質量%、0.1〜20質量%、特に1〜10質量%であることが好ましい。耐火性フィラー粉末の含有量が多すぎると、被接合部材に対する接合性が低下しやすくなる。
耐火性フィラー粉末としては、コーディエライト、ウイレマイト、アルミナ、リン酸ジルコニウム、ジルコン、ジルコニア、酸化スズ、ムライト、シリカ、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、リン酸タングステン酸ジルコニウム等が使用可能である。
次に、本発明の封止材積層体を用いた接合体について説明する。
図1は、本発明の接合体の一実施形態を示す模式的断面図である。接合体100は、第1の部材10及び第2の部材20と、その間に介在する、第1の封止材層1及び第2の封止材層2からなる封止材積層体3とを備えている。ここで、第1の部材10と第1の封止材層1、及び、第2の部材20と第2の封止材層1が各々接合するよう配置されている。
第1の部材は低膨張部材であり、第2の部材は高膨張部材である。第1の部材と第2の部材の熱膨張係数差は例えば20×10−7/K以上、25×10−7/K以上、さらには30×10−7/K以上である。本発明は、熱膨張係数差が大きい部材同士を破損することなく接合することを目的としたものであるため、第1の部材と第2の部材の熱膨張係数差が大きい場合、本発明の封止材積層体を使用する効果を享受しやすくなる。ただし、第1の部材と第2の部材の熱膨張係数差が大きすぎると、接合が困難になる傾向があるため、60×10−7/K以下、特に50×10−7/K以下であることが好ましい。
第1の部材と第1の封止材層の熱膨張係数差、及び、第2の部材と第2の封止材層の熱膨張係数差が、各々20×10−7/K以下、各々18×10−7/K以下、特に各々15×10−7/K以下であることが好ましい。このようにすれば、各部材と封止材層の間で発生する応力を低減することができ、部材の破損を抑制することが可能となる。
第1の部材の熱膨張係数は、例えば−25×10−7〜25×10−7/K、−15×10−7〜15×10−7/K、特に−10×10−7〜10×10−7/Kである。第1の部材の具体例としては、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミックス等が挙げられる。
第2の部材の熱膨張係数は、例えば25×10−7〜60×10−7/K、25×10−7〜55×10−7/K、特に25×10−7〜50×10−7/Kである。第2の部材の具体例としては、金属、ガラスまたは高膨張セラミックス等が挙げられる。
図2は、本発明の接合体の製造方法の第1の実施形態を示す模式的断面図である。
まず、第1の部材10上に、焼成により第1の封止材層1となる第1の封止材1’を配置する(図2のa)。その状態で焼成することにより、第1の部材10上に第1の封止材層1を形成する(図2のb)。
次に、第1の封止材層1上に、焼成により第2の封止材層2となる第2の封止材2’を配置し、さらに第2の封止材2’上に第2の部材20を配置する(図2のc)。その状態で焼成することにより、第2の封止材層2を形成するとともに、第2の封止材層2により第1の封止材層1と第2の部材20を接合する(図2のd)。
図3は、本発明の接合体の製造方法の第2の実施形態を示す模式的断面図である。
まず、第2の部材20上に、焼成により第2の封止材層2となる第2の封止材2’を配置する(図3のa)。その状態で焼成することにより、第2の部材20上に第2の封止材層2を形成する(図3のb)。
次に、第2の封止材層2上に、焼成により第1の封止材層1となる第1の封止材1’を配置し、さらに第1の封止材1’上に第1の部材10を配置する(図3のc)。その状態で焼成することにより、第1の封止材層1を形成するとともに、第1の封止材層1により第2の封止材層2と第1の部材10を接合する(図3のd)。
第1の実施形態の製造方法は、第1の封止材1’が第2の封止材2’より軟化点が高い(焼成温度が高い)場合に適用される。一方、第2の実施形態の製造方法は、第2の封止材2’が第1の封止材1’より軟化点が高い(焼成温度が高い)場合に適用される。即ち、基本的に軟化点(焼成温度)が高いほうの封止材から順に焼成が行われる。軟化点が低い封止材を先に焼成して封止材層を形成した場合、後に軟化点が高い封止材を焼成する際に、軟化点が低い封止材層が軟化流動してしまい、封止状態が悪化するおそれがあるためである。
図4は、本発明の接合体の製造方法の第3の実施形態を示す模式的断面図である。
まず、第1の部材10上に、焼成により第1の封止材層1となる第1の封止材1’を配置する。また、第2の部材20上に、焼成により第2の封止材層2となる第2の封止材2’を配置する(図4のa)。その状態で、それぞれを焼成することにより、第1の部材10上に第1の封止材層1が形成されてなる第1の積層体11、及び、第2の部材20上に第2の封止材層2が形成されてなる第2の積層体21を得る(図4のb)。
次に、第1の積層体11と第2の積層体21を、第1の封止材層1と第2の封止材層2が接するように積層する(図4のc)。その状態で焼成することにより、第1の封止材層1または第2の封止材層2を軟化流動させることにより、第1の封止材層1と第2の封止材層2を接合する(図4のd)。なお焼成温度は、第1の封止材層1が第2の封止材層2より軟化点が低い場合は、第1の封止材層1の軟化点付近とし、第2の封止材層2が第1の封止材層1より軟化点が低い場合は、第2の封止材層2の軟化点付近とする。
第1の封止材1’及び第2の封止材2’は、粉末、圧粉体、ペースト等の形態で供される。焼成温度は、各封止材の軟化点±100℃、特に軟化点±50℃の範囲内とすることが好ましい。焼成温度が低すぎると軟化流動が不十分となり、接着強度に劣る傾向がある。一方、焼成温度が高すぎると、流動性が過剰になって接合が困難になる傾向がある。また、封止材が結晶性ガラスの場合、結晶転移(例えばβ−石英固溶体からβ−スポジュメン固溶体への結晶転移)が生じて封止部が高膨張化するおそれがある。
第1の封止材1’及び第2の封止材2’の平均粒子径D50は15μm以下、0.5〜10μm、特に0.7〜5μmが好ましい。平均粒子径D50の粒度が大きすぎると、焼成後に得られる封止材層において気孔が多くなりすぎて接合強度に劣る傾向がある。ここで、「平均粒子径D50」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径を表す。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1は、実施例で使用する第1及び第2の封止材の組成及び特性を示す。
(1)第1及び第2の封止材の作製
表1に記載のガラス組成となるように原料粉末を調合し、均一に混合することにより原料バッチを作製した。原料バッチを白金坩堝に入れて、1400〜1600℃で均質になるまで溶融した。得られた溶融ガラスを一対の成形ローラー間に流し込み、急冷しながら成形することによりフィルム状ガラスを得た。ボールミルを用いてフィルム状ガラスを12〜14時間乾式粉砕した後、目開き100μmの金属製篩で分級を行うことにより、平均粒子径D50が8μmのガラス粉末からなる第1及び第2の封止材を得た。
(2)熱膨張係数の測定
第1の封止材の熱膨張係数(第1の封止材層の熱膨張係数)は以下のようにして測定した。ガラス粉末をステンレス製金型(内寸:10mm×10mm×50mm)に投入し、0.4MPaの圧力でプレスすることにより圧粉体を作製した。箱型電気炉内で700℃、30分間(昇温速度:10℃/分)の焼成条件にて圧粉体を焼成して焼結体を得た。得られた焼結体を所定形状に加工することにより測定用試料を作製した。得られた測定用試料について、熱機械分析装置(リガク製Thermo Plus TMA8310)を用いて30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数を測定した。
なお、アルミナ乳鉢を用いて第1の封止材の測定用試料を平均粒子径D50が約20μmとなるよう粉砕し、得られた粉末試料を用いて粉末X線回折法により測定を行ったところ、主結晶としてβ−石英固溶体結晶が析出していることが確認された。
第2の封止材の熱膨張係数は、溶融ガラスを鋳型成形し所定形状に加工することにより得られた測定用試料を用いて、封止材1と同様にして測定した。
(3)接合体の作製
石英ガラス基板(熱膨張係数4×10−7/K)及びホウケイ酸ガラス基板(熱膨張係数38×10−7/K;日本電気硝子株式会社製OA−10G)を、以下の手順に従って表2に記載の各封止材層により接合することにより接合体を作製した。表2のNo.1は実施例、No.2、3は比較例を示す。
(3−1)No.1
第1の封止材をステンレス製金型(内径φ10mm)に投入し、0.4MPaの圧力でプレスすることにより第1の圧粉体を作製した。また、第2の封止材についても同様にプレスを行うことにより第2の圧粉体を作製した。
ホウケイ酸ガラス基板上に第2の圧粉体を配置し、箱型電気炉内で900℃、10分間(昇温速度:10℃/分)の条件で焼成することにより、粉末焼結体からなる第2の封止材層をホウケイ酸ガラス基板上に形成した。第2の封止材層のホウケイ酸ガラス基板とは反対側の表面に、第1の圧粉体を配置し、さらにその上に石英ガラス基板を配置した状態で、箱型電気炉内で700℃、30分間(昇温速度:10℃/分)の条件で焼成した。これにより、粉末焼結体からなる第1の封止材層が形成され、当該第1の封止材層を介して第2の封止材層及び石英ガラス基板が接合された。以上のようにして、石英ガラス基板とホウケイ酸ガラス基板が、第1の封止材層及び第2の封止材層からなる封止材積層体により接合されてなる接合体が得られた。
得られた接合体において、各基板における封止材層との界面を観察したところ、クラックは確認されなかった。なお、第1の封止材層及び第2の封止材層の界面においてもクラックは確認されなかった。
(3−2)No.2
ホウケイ酸ガラス基板上に第1の圧粉体を配置し、さらにその上に石英ガラス基板を配置した状態で、箱型電気炉内で700℃、30分間(昇温速度:10℃/分)の条件で焼成した。これにより、ホウケイ酸ガラス基板及び石英ガラス基板が、粉末焼結体からなる第1の封止材層により接合されてなる接合体が得られた。
得られた接合体において、各基板における封止材との界面を観察したところ、ホウケイ酸ガラス基板にクラックが確認された。
(3−3)No.3
ホウケイ酸塩ガラス基板上に第2の圧粉体を配置し、さらにその上に石英ガラス基板を配置した状態で、箱型電気炉内で900℃、10分間(昇温速度:10℃/分)の条件で焼成した。これにより、ホウケイ酸ガラス基板及び石英ガラス基板が、粉末焼結体からなる第2の封止材層により接合されてなる接合体が得られた。
得られた接合体において、各基板における封止材との界面を観察したところ、石英ガラス基板にクラックが確認された。
本発明の封止材積層体は、高温処理治具、ヒーター、エンジン等に使用される低膨張構造部材を、金属等からなる高膨張部材への接合する際に好適である。その他にも、ハロゲンランプにおける石英バルブと金属フィラメントの接合にも好適である。
1 第1の封止材層
1’ 第1の封止材
2 第2の封止材層
2’ 第2の封止材
3 封止材積層体
10 第1の部材
11 第1の積層体
20 第2の部材
21 第2の積層体
100 接合体

Claims (14)

  1. 熱膨張係数αを有する第1の封止材層及び熱膨張係数αを有する第2の封止材層が互いに接合してなる封止材積層体であって、
    −25×10−7/K≦α≦25×10−7/K、かつ、α<αの関係を満たすことを特徴とする封止材積層体。
  2. α−α≧10×10−7/Kであることを特徴とする請求項1に記載の封止材積層体。
  3. 第1の封止材層及び/または第2の封止材層がガラスを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の封止材積層体。
  4. 第1の封止材層が結晶化ガラスを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の封止材積層体。
  5. 第1の封止材層が主結晶としてβ−石英固溶体を含有することを特徴とする請求項4に記載の封止材積層体。
  6. 第1の封止材層が、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)を含有するガラスを含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の封止材積層体。
  7. 第1の封止材層及び第2の封止材層が粉末焼結体からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の封止材積層体。
  8. 第1の部材及び第2の部材と、第1の部材及び第2の部材の間に介在する請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止材積層体とを備えた接合体であって、
    第1の部材と第1の封止材層、及び、第2の部材と第2の封止材層が各々接合していることを特徴とする接合体。
  9. 第1の部材と第2の部材の熱膨張係数差が20×10−7/K以上であることを特徴とする請求項8に記載の接合体。
  10. 第1の部材と第1の封止材層の熱膨張係数差、及び、第2の部材と第2の封止材層の熱膨張係数差が、各々20×10−7/K以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の接合体。
  11. 第1の部材が石英ガラス、結晶化ガラスまたは低膨張セラミックスであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の接合体。
  12. 第2の部材が金属、ガラスまたは高膨張セラミックスであることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の接合体。
  13. 請求項8〜12のいずれか一項に記載の接合体を製造するための方法であって、
    第1の部材上に第1の封止材を配置した状態で焼成することにより、第1の部材上に第1の封止材層を形成する工程、及び、
    第1の封止材層上に第2の封止材を配置し、さらに第2の封止材上に第2の部材を配置した状態で焼成することにより、第2の封止材層を形成するとともに、第2の封止材層により第1の封止材層と第2の部材を接合する工程、
    を含むことを特徴とする接合体の製造方法。
  14. 請求項8〜12のいずれか一項に記載の接合体を製造するための方法であって、
    第2の部材上に第2の封止材を配置した状態で焼成することにより、第2の部材上に第2の封止材層を形成する工程、
    第2の封止材層上に第1の封止材を配置し、さらに第1の封止材上に第1の部材を配置した状態で焼成することにより、第1の封止材層を形成するとともに、第1の封止材層により第2の封止材層と第1の部材を接合する工程、
    を含むことを特徴とする接合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3637071A1 (fr) * 2018-10-12 2020-04-15 Commissariat à l'Énergie Atomique et aux Énergies Alternatives Procede de fabrication d'un dispositif de detection d'un rayonnement electromagnetique a structure d'encapsulation amelioree

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