[go: up one dir, main page]

JP2017196406A - ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法 - Google Patents

ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017196406A
JP2017196406A JP2017078019A JP2017078019A JP2017196406A JP 2017196406 A JP2017196406 A JP 2017196406A JP 2017078019 A JP2017078019 A JP 2017078019A JP 2017078019 A JP2017078019 A JP 2017078019A JP 2017196406 A JP2017196406 A JP 2017196406A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
layer
sponge
adhesive layer
hemostatic material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017078019A
Other languages
English (en)
Inventor
友亮 中村
Yusuke Nakamura
友亮 中村
吉克 菅原
Yoshikatsu Sugawara
吉克 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nipro Corp
Original Assignee
Nipro Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nipro Corp filed Critical Nipro Corp
Priority to PCT/JP2017/015604 priority Critical patent/WO2017183640A1/ja
Priority to US16/095,317 priority patent/US20190134260A1/en
Priority to EP20182793.8A priority patent/EP3733218A1/en
Priority to EP17785978.2A priority patent/EP3446719A4/en
Publication of JP2017196406A publication Critical patent/JP2017196406A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Surgical Instruments (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

【課題】 シート状止血材において、フィブリノゲンを用いる必要なしに良好な止血性能を実現し、さらに、良好な柔軟性および取扱性を実現する。【解決手段】 シート状止血材10Aまたは10Bは、少なくともポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)で構成されるシートであり、出血箇所への貼付面となる接着層11と、γ−PGAを除く少なくとも1種の生体分解性材料(被覆材料)で構成されるシートであり、貼付面の反対面となる被覆層12と、を備えている。接着層11および被覆層12の少なくとも一方は単一のシートである。接着層11が単一のシートであるときにはスポンジ状シートであればよく、部分層であるときには、スポンジ状シート、もしくは、非多孔質層であればよい。また、接着層11と被覆層12との間に少なくとも1層の中間層13を備えてもよい。【選択図】 図1

Description

本発明は、局所止血に好適に用いることが可能な、ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材と、このシート状止血材の製造方法とに関する。
例えば外科手術等で局所的な出血が生じたときには、止血処置の方法の一つとしてシート状止血材の使用が知られている。シート状止血材は、生体内で分解可能な医療用材料をシート状に成形することにより構成される。シート状止血材に用いられる材料としては、代表的には、動物性タンパク質由来の材料(動物性材料)、多糖類由来の材料(多糖類材料)、合成高分子由来の材料(高分子材料)等が挙げられる。動物性材料としては、代表的にはフィブリン、コラーゲン等が挙げられ、多糖類材料としては、代表的にはセルロース系、デンプン系等が挙げられ、高分子材料としては、ポリアクリル酸系等が知られている。
市販されている代表的なシート状止血材としては、動物性材料を用いた「タコシール」(登録商標、CSLベーリング株式会社)、並びに、多糖類材料を用いた「サージセル」(登録商標、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)が知られている。タコシールは、ヒト由来のフィブリノゲンおよびトロンビンを含む、やや固めのスポンジ状シートであり、接着力が高く、止血性能に優れる。サージセルは、木材パルプに由来する再生酸化セルロース製であり、ガーゼタイプ、綿タイプ、ニットタイプ(ニューニット)がある。特にニットタイプは、シート状止血材として好適に用いられている。
さらに、最近では、特許文献1または2に開示されるように、シート状止血材の柔軟性を向上させることも提案されている。これら特許文献に記載されるシート状止血材は、ポリ乳酸等の生分解性ポリマー繊維からなる繊維成形体に、フィブリノゲンが固定化されたシートと、同じく生分解性ポリマー繊維からなる繊維成形に、トロンビンが固定化されたシートからなっている。フィブリノゲンおよびトロンビンをそれぞれ別の繊維成形体に担持することで、止血性の向上が図られている。また、繊維成形体の嵩密度の疎密を変化させたり(特許文献1)、嵩密度の異なる繊維構造体層を複合化して繊維成形体を形成したり(特許文献2)することで、基材である繊維成形体の柔軟性を向上している。
特開2014−004066号公報 特開2014−005219号公報
ところで最近では、腹腔鏡下手術に際しての止血処置に、シート状止血材の使用が検討されている。しかしながら、従来のシート状止血材は、腹腔鏡下手術に用いるには、その柔軟性または取扱性(もしくはその両方)が十分ではなかった。
腹腔鏡下手術では、まず、トロッカーと呼ばれる筒状部を有する器具を先に腹部に挿入し、このトロッカーに腹腔鏡および手術器具を挿入する。腹腔鏡で撮影された術野(手術する箇所)はモニターに拡大して表示されるので、術者はモニターを観察しながら手術器具を駆使して手術を行う。トロッカーの内径は、通常、5〜12mm程度であるため、シート状止血材は、このような小さな穴に挿入できるように、折り畳んだり丸めたりできる程度の柔軟性が要求される。また、腹腔鏡下手術に用いられる手術器具は、トロッカーを介して腹腔内の小さな空間で操作されることになる。そのため、シート状止血材には、良好な取扱性も要求される。
前述したタコシールは、良好な止血性能を有しているものの、前記の通りやや固いスポンジ状であるため、トロッカー内に挿入できるような柔軟性がない。また、タコシールとともに特許文献1および2に開示されるシート状止血材は、いずれもフィブリノゲンを含んでいる。フィブリノゲンは、トロンビンの作用によりフィブリンとなり、このフィブリンが生化学的に反応して止血が実現される。そのため、フィブリノゲンを含むシート状止血材は、腹腔内で一度貼り付ければ強固に固定されてしまい、剥離して貼り直すことが困難となる。腹腔鏡下手術においては、トロッカーを介して手術器具を駆使することで手術を行う必要があるため、術者自身の手で行う通常の手術とは異なり、適切な位置に止血材を貼り付けられない場合も多い。したがって、フィブリノゲン系のシート状止血材は、腹腔鏡下手術に用いる際に、十分な取扱性を有しているとは言い難い。
ここで、前述したサージセルニューニットは、酸化セルロース系のシート状止血材であり、タコシールに比べて柔軟性があり、また、フィブリノゲンを用いていないので強固に貼り付けられることがない。しかしながら、サージセルは、血液と接触してゼラチン状の凝血塊を形成することにより、止血を実現している。そのため、止血部位に貼り付けた後には凝血塊が形成されるまで数分間押えている必要がある。それゆえ、サージセルニューニットも、腹腔鏡下手術に用いるために十分な取扱性を有しているとは言い難い。
また、フィブリノゲン系のシート状止血材は、ヒト由来成分を用いた製剤(血液製剤)であるため、感染症等のリスクが生じる。そのため、使用に際しては、被使用者(患者)との間でヒト由来製剤(血液製剤)であることのリスク説明および同意書を取り交わす必要がある。さらに、フィブリノゲンは反応性のタンパク質であり、トロンビンは酵素であるため、タコシールの場合では、10℃以下の低温保存が必要となる。サージセルは、主成分が酸化セルロースであるが、25℃以下での保存が必要となっている。それゆえ、従来の市販されているシート状止血材は、いずれも輸送および保存に制約が生じるという点で、十分な取扱性を有しているとは言い難い。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、シート状止血材において、フィブリノゲンを用いる必要なしに良好な止血性能を実現し、さらに、良好な柔軟性および取扱性を実現することを目的とする。
本発明に係るシート状止血材は、前記の課題を解決するために、出血箇所への貼付面に設けられ、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される接着層を備える構成である。
前記構成によれば、シート状止血材の貼付面を、ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)で構成される接着層とするため、接着層のγ−PGAにより、フィブリノゲン等の動物性材料を用いることなく、生体組織に対する良好な接着性と良好な止血性能とを実現することができる。また、γ−PGAは、生化学的な反応を伴うことなしに良好な接着性を有しているので、例えば適切な位置に止血材を貼り付けられなかったような場合でも、従来のシート状止血材とは異なり生体組織への貼り直しが可能になる。
前記構成のシート状止血材においては、さらに、前記貼付面の反対面に設けられ、前記ポリ−γ−グルタミン酸を除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成される被覆層を備え、前記接着層および前記被覆層の少なくとも一方が単一のシートである構成であってもよい。
前記構成によれば、貼付面には、ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)で構成される接着層が設けられるとともに、非貼付面である反対面には、γ−PGA以外の生体分解性材料(被覆材料)で構成される被覆層が設けられている。それゆえ、接着層のγ−PGAにより、フィブリノゲン等の動物性材料を用いることなく、生体組織に対する良好な接着性と良好な止血性能とを実現することができるとともに、被覆層の被覆材料により、シート状止血材が貼り付け箇所以外の組織または手術器具等に不用意に付着することを有効に抑制することができる。
また、前記構成によれば、接着層および被覆層の少なくとも一方が単一のシートであるため、接着層または被覆層、もしくは、その双方がシート状止血材の基材として機能することができる。さらに、接着層がγ−PGAであるため、被覆層となる被覆材料を適宜選択することにより、従来のシート状止血材に比べて室温で長期間の保存が可能となる。
また、前記構成のシート状止血材においては、前記接着層が前記単一のシートであるときには、当該接着層はスポンジ状シートである構成であってもよい。あるいは、前記構成のシート状止血材においては、前記接着層が前記単一のシートでない部分層であるときには、当該接着層は、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成されるスポンジ状シート、もしくは、非多孔質層であってもよい。
前記構成によれば、接着層がスポンジ状であるか、または、接着層が非多孔質の部分層であれば、当該接着層は適度な柔軟性または良好な柔軟性を実現することが可能であるとともに、被覆層も柔軟性を実現することが可能であるため、当該シート状止血材として良好な柔軟性を実現することが可能となる。それゆえ、シート状止血材を丸めたり折り曲げたりしても、止血材の破損を有効に抑制することができる。また、前記構成によれば、良好な柔軟性、貼り直し、および室温保存という特性を有しているので、良好な取扱性を実現することができる。
前記構成のシート状止血材においては、前記被覆層は、少なくとも架橋コラーゲンで構成されるスポンジ状シートである構成であってもよい。
また、前記構成のシート状止血材においては、前記接着層および前記被覆層の双方が単一のシートであるか、もしくは、前記被覆層が、前記反対面に部分的に設けられる部分層である構成であってもよい。
また、前記構成のシート状止血材においては、前記接着層および前記被覆層は、少なくとも一部分が互いに異なる色彩を有している構成であってもよい。
また、前記構成のシート状止血材においては、前記接着層の重量比が、前記シート状止血材の全重量の10〜90重量%の範囲内にある構成であってもよい。
また、前記構成のシート状止血材においては、さらに、前記接着層および前記被覆層の間に介在する、少なくとも1層の中間層を備え、これら各層が一体的に固着されている構成であってもよい。
また、本発明に係るシート状止血材の製造方法は、前記の課題を解決するために、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される第一層状体と、前記ポリ−γ−グルタミン酸を除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成される第二層状体とを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を接着もしくは圧着することにより、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される接着層と、前記生体分解性材料で構成される被覆層と、を備える、シート状止血材を形成する工程と、を含む構成である。
前記構成のシート状止血材の製造方法においては、前記第一層状体は、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される第一スポンジ状多孔体、当該第一スポンジ状多孔体に圧力を加えて得られるスポンジ状第一シート、または、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成され、かつ、単一のシートではない第一部分シートであり、前記第一部分シートは、スポンジ状またはスポンジ状ではない非多孔質状であるとともに、前記第二層状体は、前記生体分解性材料で構成される第二スポンジ状多孔体、当該第二スポンジ状多孔体に圧力を加えて得られるスポンジ状第二シート、または、前記生分解性材料で構成され、かつ、単一のシートではない第二部分シートである構成であってもよい。
また、前記構成のシート状止血材の製造方法においては、先に、前記第二スポンジ状多孔体に圧力を加えて前記スポンジ状第二シートとしてから、前記第一スポンジ状多孔体に積層して圧着することにより、前記積層体を形成する構成であってもよい。
本発明では、以上の構成により、シート状止血材において、フィブリノゲンを用いる必要なしに良好な止血性能を実現することができ、さらに、良好な柔軟性および取扱性を実現することができる、という効果を奏する。
(A)および(B)は、本開示の代表的な実施の形態に係るシート状止血材の概略構造を示す模式的断面図である。 (A)〜(C)は、本実施の形態に係るシート状止血材の変形例を示す模式的断面図である。 (A)〜(C)は、図2(A)に示すシート状止血材における貼付面の反対面の一例を示す模式的平面図である。
本開示に係るシート状止血材は、出血箇所への貼付面に設けられ、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される接着層を備える構成であればよいが、好ましくは、この接着層に加えて、前記貼付面の反対面に設けられ、前記ポリ−γ−グルタミン酸を除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成される被覆層と、を備え、前記接着層および前記被覆層の少なくとも一方が単一のシートである構成であればよい。以下、本開示の代表的な実施の形態を具体的に説明する。
[シート状止血材]
図1(A)または図1(B)には、本開示に係るシート状止血材の代表例として、シート状止血材10Aまたは10Bの断面構造をそれぞれ模式的に図示している。また、図2(A)〜図2(C)には、本開示に係るシート状止血材の他の例として、シート状止血材10C〜10Eの断面構造を模式的に図示している。これらシート状止血材10A〜10Eは、接着層11および被覆層12を備えている。接着層11は、前記の通り、ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)を主成分とするシートであればよい。本実施の形態では、図1(A)、図1(B)、図2(A)または図2(B)に示すように、接着層11がスポンジ状(多孔質状)シートとなっているか、図2(C)に示すように、接着層11がスポンジ状でない非多孔質状であれば後述する部分層であればよい。被覆層12は、γ−PGA以外の生体分解性材料を主成分とするシートであればよく、本実施の形態では、後述するように、架橋コラーゲンを主成分とするスポンジ状シートとなっている。なお、以下の説明では、γ−PGA以外の生体分解性材料を、便宜上「被覆材料」と称する。
接着層11は、シート状止血材10A〜10Eを生体組織等の出血箇所に貼り付けるため貼付面(裏面)を構成し、生体組織等に対して良好な接着性を有する。接着層11は、図1(A)、図1(B)または図2(A)に示すように、貼付面の全面に及ぶ覆う単一層として設けられてもよいし、図2(B)または図2(C)に示すように、貼付面を部分的に形成する部分層として設けられてもよい。同様に、被覆層12は、シート状止血材10Aを出血箇所に貼り付けたときに、貼付面の反対側となる反対面(表面)の少なくとも一部に設けられている。被覆層12は、図1(A)または図1(B)に示すように、反対面の全面を覆う単一層として設けられてもよいし、図2(A)に示すように、反対面を部分的に覆う部分層として設けられてもよい。
被覆層12は、単一層または部分的に覆う構成のいずれであっても、接着層11とは異なり生体組織等に対する接着性を有しないか、接着層11よりも接着性が十分に小さいものとなっている。言い換えれば、被覆層12は、接着層11の反対面を「非接着面」にすることができる構成となっていればよい。これにより、シート状止血材10A〜10Eを出血箇所に貼り付けようとする際に、出血箇所以外の部位または手術器具等に不用意に貼り付くおそれを有効に抑制することができる。つまり、被覆層12は、シート状止血材10A〜10Eの一方の面のみが貼付面となるように、他方の面を被覆してその接着性を抑制する機能を有する。
接着層11は、前記の通り、図1(A)、図1(B)、図2(A)または図2(B)に示すシート状止血材10A〜10Dであれば、γ−PGAにより構成されるスポンジ状シートであるが、被覆層12は、被覆材料により構成されるシートであればよく、少なくともシート状止血材10A〜10Eを構成したときに柔軟性を発揮できるものであればよい。ただし、被覆層12も、被覆材料により構成されるスポンジ状シートであると好ましい。被覆層12がスポンジ状シートであれば、具体的な被覆材料の種類によらずに、被覆層12に良好な柔軟性を付与することが可能である。
ここでいうスポンジ状シートは、柔軟な多孔質シートであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。スポンジの具体的な構成としては、目視判定または顕微鏡下で観察して、均一または不均一な大きさの多数の間隙(孔または空胞等)を有する区画が連続または不連続に分散した多孔質を構成したもの(多孔質体)を挙げることができる。なお、スポンジ状でない非多孔質状の層またはシートとは、γ−PGAまたはこれを主成分とする組成物により一体的にシート状または層状に構成され、前記の多数の間隙(孔または空胞等)を有する区画が実質的に存在しない(わずかに存在しても実質的に無視できる)状態を挙げることができる。
また、少なくともγ−PGA、もしくは、γ−PGAおよび被覆材料をスポンジ状シートに加工する方法は特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。具体的には、例えば、所定形状の成形型に、γ−PGAまたは被覆材料(もしくはその組成物)の溶液を流し込み、自然乾燥、真空乾燥、真空凍結乾燥等の乾燥方法により、スポンジ状多孔体を成形し、このスポンジ状多孔体に圧力を加えることにより、スポンジ状シートを形成する方法が挙げられる。これらの中でも、多孔質をより均一に形成させる観点では、真空凍結乾燥法を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
真空凍結乾燥法としては、製造の容易性の観点から、例えば、γ−PGAまたは被覆材料の約0.05〜30重量%の溶液を、予備凍結後、約10.6Pa(約0.08Torr)以下で乾燥する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。凍結乾燥後、成形型から取り出すことにより、成形品であるスポンジ状多孔体を得ることができる。また、このスポンジ状多孔体をシート状に成形する方法も特に限定されず、例えば、プレスなどで圧縮する方法等を挙げることができる。
図1(A)に示すシート状止血材10Aは、接着層11および被覆層12のみで構成される2層構造であるが、本開示はこれに限定されず、図1(B)に示すシート状止血材10Bのように、3層以上の多層構造であってもよい。つまり、本開示に係るシート状止血材は、一方の面(裏面)がγ−PGAにより構成される貼付面となっており、他方の面(表面)が被覆材料(γ−PGA以外の生体分解性材料)により被覆される非貼付面(表面)となっていれば、その積層構造は特に限定されない。
図1(B)に示すシート状止血材10Bは、接着層11および被覆層12の間に中間層13を備えているため、3層構造を有している。中間層13は、接着層11および被覆層12の間に介在する層であればよく、シート状止血材10Bのように1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。中間層13の具体的な構成は特に限定されず、シート状止血材10Bにおいて、使用上で要求される種々の機能等を付与できるものであればよい。
例えば、シート状止血材10A〜10Eを出血箇所近傍に縫い付ける場合を想定する。被覆層12が架橋コラーゲンで構成されるスポンジ状シートである場合、接着層11はγ−PGAで構成されるスポンジ状シートであるため、中間層13を有さないシート状止血材10Aを生体組織等に縫い付けることは容易ではない。そこで、シート状止血材10Bにおいて、中間層13として生体分解性材料の糸材で構成されるメッシュを採用すれば、生体組織等への縫い付けが容易となる。また、他の中間層13の例としては、接着層11および被覆層12の間での固着状態を向上する固着層、あるいは、シート状止血材10Bの強度を向上させる強化層等を挙げることができる。
さらに、本開示では、図1(A)に示すシート状止血材10Aのように、接着層11および被覆層12は、いずれも単一のシートとして構成されているが、本開示はこれに限定されない。本開示では、接着層11および被覆層12の少なくとも一方が単一のシートであればよく(双方が単一のシートであればよく)、他方は単一のシートでなくてもよい。
ここでいう「単一のシート」とは、二次元的な広がりを有する一体的な単一の平面状部材を意味し、後述する部分層のように、複数の平面状部材がまとまって構成される部材集合体を意味するわけではない。シート状止血材10A〜10Eを構成する層として説明すれば、「単一のシート」として構成される接着層11または被覆層12は、シート状止血材10A〜10Eを止血箇所へ貼り付けた際に、当該止血箇所を適切に止血できるように、実質的に貼付面またはその反対面の全面を覆うことができる平面状部材の層を意味する。
接着層11および被覆層12の一方が単一のシートでない構成、すなわち部分層である構成について具体的に説明する。例えば、図2(A)に示すシート状止血材10Cのように、被覆層12が、反対面を部分的に覆う複数の部分被覆層(部分層)121として当該反対面に設けられてもよい。あるいは、図2(B)に示すシート状止血材10Dのように、接着層11が、接着面を部分的に覆う複数の部分接着層(部分層)111として当該接着面に設けられてもよい。なお、この部分接着層111はスポンジ状シートである。あるいは、図2(C)に示すシート状止血材10Eのように、接着層11が非多孔質層である複数の部分接着層141として当該接着面に設けられてもよい。シート状止血材10A〜10Eは、シート形状を維持するために基材となる単一のシート(基材層)が必要である。シート状止血材10Aまたは10Bでは、全ての層が単一のシートで構成されているが、シート状止血材10C、10Dまたは10Eは、一方の層が部分層であるため、他方の層が基材層となるために、単一のシートとして構成される必要がある。
なお、接着層11はスポンジ状に構成されることで、後述するように柔軟性を発揮できる。そのため、図1(A)または図1(B)に示すように、接着層11が単一のシートであっても、図2(A)に示すように、接着層11が部分接着層111で構成されても、良好な柔軟性を発揮できる。しかしながら、本開示はこれに限定されず、例えば、図2(C)に示すように、接着層11が部分層として構成されていれば、当該接着層11はスポンジ状でなくてもよい。
γ−PGAを主成分として構成される単純なシート(すなわちスポンジ状でない非多孔質状のシート)は、後述する比較例3に例示するように柔軟性に欠ける。しかしながら、接着層11が、γ−PGAを主成分とする非多孔質状であっても部分接着層141として形成されていれば、当該部分接着層141が被覆層12により支持されるため、部分接着層141は柔軟性を発揮することができる。それゆえ、シート状止血材10Eは十分な柔軟性を有するものとなる。
言い換えれば、本開示には、(1)少なくともγ−PGAで構成されるスポンジ状シート(単一のシート)であり、出血箇所への貼付面を構成する接着層11と、γ−PGAを除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成されるシート(単一のシート)であり、貼付面の反対面を構成する被覆層12と、を備えているシート状止血材10Aまたは10B、(2)スポンジ状シートである接着層11が、接着面の全面を覆う単一層(単一のシート)として設けられ(接着面を構成し)、被覆層12が、反対面に部分的に設けられる部分被覆層121として構成されているシート状止血材10C、(3)被覆層12が、接着層11の反対面の全面を覆う単一層(単一のシート)として設けられ(反対面を構成し)、接着層11が、貼付面に部分的に設けられるスポンジ状の部分接着層111として構成されているシート状止血材10D、並びに、(4)被覆層12が、接着層11の反対面の全面を覆う単一層(単一のシート)として設けられ(反対面を構成し)、接着層11が、貼付面に部分的に設けられる非多孔質状の部分接着層141として構成されているシート状止血材10Eが含まれる。
本開示では、接着層11がγ−PGAにより構成されるスポンジ状シートであれば、シート状止血材10Aまたは10Bのように、接着層11が単一のシートであっても良好な柔軟性を発揮することができる。さらに、シート状止血材10Cまたは10Dのように、接着層11または被覆層12の一方を単一のシートからなる基材層として構成し、他方を部分層として構成することで、シート状止血材の柔軟性をより良好なものとすることができる。また、シート状止血材10Eのように、接着層11がスポンジ状でない非多孔質状であっても部分層であれば、十分な柔軟性を発揮することができる。
部分被覆層121、部分接着層111、または部分接着層141の具体的な形状は特に限定されず、単一のシートでない部分的な層(部分シート)として構成されていればよい。例えば、部分被覆層121を例に挙げて説明すると、図3(A)に示すように、ドット状の部分被覆層121aであってもよいし、図3(B)に示すように、線状の部分被覆層121bであってもよいし、図3(C)に示すように、網掛け状の部分被覆層121cであってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
このように、部分層または部分シートは、ドット状または線状のように複数の平面状部材がまとまって構成される部材集合体(図3(A)または図3(B)参照)であってもよいし、網掛け状のように複数の開口(あるいは複数の貫通孔)が形成されて構成される単一の平面状部材(図3(C)参照)であってもよいし、これらを組み合わせたような構成(複数の開口を有する単一の平面状部材が複数まとまって部材集合体となるような構成)であってもよい。
部分被覆層121は、接着層11の反対面を前述した「非接着面」にすることができるように、当該反対面に設けられていればよいが、図3(A)〜(C)に示す部分被覆層121a〜121cのように、接着層11の反対面の全体に及ぶように、部分被覆層121が分散して配置されていると好ましい。部分被覆層121の分散配置は、不規則(ランダム)であってもよいが、図3(A)〜(C)に示すように規則的であるとより好ましい。なお、図2(A)に示す部分被覆層121は、図1(A)と同様に二層構造の1層を構成しているが、図1(B)に例示するように、部分被覆層121は、3層以上の多層構造の1層として設けられてもよい。
同様に、部分接着層111または部分接着層141の具体例も、前述した部分被覆層121と同様に、ドット状、線状、網掛け状等を挙げることができる。部分接着層111または部分接着層141は、生体組織等の出血箇所に貼り付ける「貼付面」にすることができるように、接着面に設けられていればよいが、部分被覆層121と同様に、接着層全体に及ぶように、部分接着層111または部分接着層141が分散して配置されていると好ましい。分散配置は不規則であってもよいが、規則的であると好ましい。
2層構造を有するシート状止血材10Aにおいては、接着層11および被覆層12は一体的に固着されて1枚のシートを構成すればよい。同様に、3層以上の構造を有するシート状止血材10Bにおいては、接着層11、1層以上の中間層13、および被覆層12が一体的に固着されて1枚のシートを構成すればよい。
シート状止血材10Cにおいては、被覆層12が部分被覆層121で構成されるが、この部分被覆層121は、被覆層12となるシートを所定形状に打ち抜いたり切り抜いたりした上で、接着層11に固着して形成すればよい。同様に、シート状止血材10Dにおいては、部分接着層111は、接着層11となるシートを所定形状に打ち抜いたり切り抜いたりした上で、被覆層12に固着して形成すればよい。また、シート状止血材10Eにおいては、部分接着層141はスポンジ状に加工する必要がないので、所定の形状に形成されたγ−PGAより構成される非多孔質の部分シートを、被覆層12に積層して固着して形成すればよい。
これら各層を固着させる具体的な方法は特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。被覆層12が架橋コラーゲンで構成されるスポンジ状シートであれば、後述するように、接着層11および被覆層12(必要に応じて1枚以上の中間層13)をプレスして圧着する方法を好適に用いることができる。
シート状止血材10A〜10Eが備える接着層11および被覆層12は、それぞれ同じ色彩を有してもよいが、互いに異なる色彩を有することが好ましい。これにより、シート状止血材10A〜10Eを使用する際に、いずれの面が貼付面(接着層11)であるかを目視により容易に確認することができる。接着層11および被覆層12に色彩を付与する方法は特に限定されず公知の方法を好適に用いることができるが、一般的には、接着層11または被覆層12に公知の色素、染料または顔料を添加してこれらの層を着色する方法を挙げることができる。具体的な色素としては、医薬品等の分野で公知の法定色素、例えば、緑色202号、紫色201号、青色2号等が挙げられ、具体的な顔料としては、例えば、三二酸化鉄等が挙げられる。
なお、色彩の付与は、接着層11および被覆層12のいずれに対して行われてもよいし、接着層11または被覆層12の一方のみに行われてもよい。つまり、接着層11および被覆層12の両方に、それぞれ異なる色素を加えて着色してもよいし、接着層11のみ、もしくは、被覆層12のみに色素等を加えることにより、一方の層のみを着色してもよい。また、色素等の添加方法も特に限定されず、接着層11または被覆層12を形成する(これら層となるシートまたはスポンジ状多孔体を製造する)過程で、γ−PGAまたは被覆材料に色素等を加えてもよいし、シート状止血材10A〜10Eが製造されてから、接着層11および被覆層12のいずれか一方を色素等により着色してもよい。さらに、色彩を付与する部位についても特に限定されず、接着層11または被覆層12の少なくとも一部に色彩が付与されていればよい。もちろん、接着層11または被覆層12の全部(層全体)が着色されてもよい。
シート状止血材10A〜10Eにおいては、接着層11および被覆層12の重量比は特に限定されないが、代表的には、接着層11の重量比が、シート状止血材10A〜10Eの全重量の10〜90重量%の範囲内にあることが好ましい。接着層11が10重量%未満であれば、シート状止血材10A〜10Eの構成にもよるが、接着層11による接着性を十分に発揮できない可能性がある。また、接着層11が90重量%を超えれば、シート状止血材10A〜10Eの構成にもよるが、被覆層12による、接着層11の接着性の抑制効果が十分に発揮できない可能性がある。
シート状止血材10A〜10Eの大きさおよび厚さについても特に限定されず、シート状止血材10A〜10Eの使用条件等に応じて適宜設定することができる。シート状止血材10A〜10Eは、腹腔鏡下手術に好適に用いることができるが、この場合には、トロッカー通過性も考慮して縦横数cm程度の大きさを有していればよい。また、腹腔鏡下手術以外の手術に用いる場合、もしくは、外傷の応急的な止血時等には、前述した縦横数cm程度よりも大きいものを用いることができる。
シート状止血材10A〜10Eは、被覆層12または中間層13の種類にもよるが、室温で保存することが可能である。ここでいう室温は、日本薬局方で定義される1〜30℃の範囲内を差す。シート状止血材10A〜10Eにおいて止血性能を示す接着層11は、前記の通りγ−PGAにより構成されているが、γ−PGAは室温の範囲内でも安定して保存することができる。また、例えば、被覆層12として架橋コラーゲンが用いられれば、架橋コラーゲンも室温の範囲内で安定して保存することができる。それゆえ、シート状止血材10Aが接着層11および架橋コラーゲン製の被覆層12で構成されていれば、室温で安定して保存することができる。同様に、中間層13が室温保存可能な材質で構成されていれば、シート状止血材10Bも室温で安定して保存することができる。当然のことながら、必要に応じて低温で安定に保存することも可能である。
なお、フィブリノゲン系のシート状止血材、例えば、タコシール(登録商標)は10℃以下の低温保存が必要となる。また、酸化セルロース系のシート状止血材、例えば、サージセル(登録商標)ニューニットは25℃以下での保存が必要となっている。常温は15〜25℃の範囲内であるが、夏季には、通常、気温が25℃を超えることが多い。それゆえ、25℃以下で保存が必要であるということは、室温での保存は、実質的に困難であることを意味する。
[ポリ−γ−グルタミン酸]
接着層11は、前記の通り、少なくともポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)で構成されるスポンジ状シートまたは非多孔質状の部分シートである。したがって、接着層11は、γ−PGAのみで構成されてもよいし、γ−PGAを主成分として他の成分を含むγ−PGA組成物で構成されてもよい。
接着層11として用いられるγ−PGAは、グルタミン酸がγ位のカルボキシル基とα位のアミノ基とでペプチド結合し、直鎖状に連なったポリマーおよびその塩が含まれる。γ−PGAの塩の例としては、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムが挙げられる。本実施の形態において用いる「ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)」という用語には、基本的に「ポリ−γ−グルタミン酸および/またはその塩」を含むものとする。
接着層11として用いられるγ−PGAとしては、具体的には特に限定されないが、例えば、特定の範囲内の分子量を有するものを好適に用いることができる。γ−PGAの好ましい分子量の範囲としては、重量平均分子量Mwが20万〜1300万の範囲内を挙げることができ、より好ましくは30万〜1000万の範囲内を挙げることができる。γ−PGAの重量平均分子量Mwが下限の20万を下回れば(20万未満であれば)、接着層11もしくはシート状止血材10A〜10Eの構成にもよるが、貼付面における良好な接着性を実現できない可能性がある。なお、γ−PGAの重量平均分子量Mwの上限は特に限定されないものの、通常、1300万以下となる。これは、従来公知の製造方法では、重量平均分子量Mwが1300万を超えるものを製造することが困難であると考えられているためである。
また、接着層11として用いられるγ−PGAとしては、その動粘度νが特定の範囲内にあるものを好適に用いることができる。γ−PGAの好ましい動粘度νとしては、0.05質量%の濃度で蒸留水に溶解させた際の37℃での動粘度νが、例えば2cSt〜15cStの範囲内を挙げることができ、より好ましくは2.5cSt〜8cStの範囲内を挙げることができる。
γ−PGAの動粘度νが下限の2cStを下回れば(2cSt未満であれば)、接着層11もしくはシート状止血材10A〜10Eの構成にもよるが、貼付面における良好な接着性を実現できない可能性がある。なお、γ−PGAの動粘度νの上限は特に限定されないものの、通常、15cSt以下となる。これは、従来公知の製造方法では、動粘度νが15cStを超えるものを製造することが困難であると考えられているためである。
本開示で接着層11に用いられるγ−PGAは、その重量平均分子量Mwが前述した範囲内にあるか、または、その動粘度νが、前述した所定条件における動粘度の範囲内にあるか、もしくは、重量平均分子量Mwおよび動粘度νの双方が前述した範囲内にあればよい。もちろん、接着層11もしくはシート状止血材10A〜10Eの構成または使用条件等によっては、γ−PGAの重量平均分子量Mwおよび動粘度νの少なくとも一方が前述した範囲内から外れてもよいことは言うまでもない。
このようなγ−PGAの入手方法は特に限定されない。例えば、前述した重量平均分子量Mwおよび動粘度νの少なくとも一方を満たすγ−PGAは、食品添加物等として市販されており、生体(人体を含む)に対する安全性は十分に確保されている。また、例えば、バチルス・スブチリス等のバチルス属由来の微生物を用いた公知の方法によりγ−PGAを容易に生産することができる。
技術常識的に不可避な不純物を含有する場合を除いて、接着層11は、実質的にγ−PGAのみで構成されてよいが、γ−PGA以外の成分を含むγ−PGA組成物で構成されてもよい。γ−PGA以外の成分(他の成分)としては、生体適合性および生体分解性を有し、γ−PGAに配合したときに接着層11の接着性を妨げないものであればよい。具体的には、例えば、他の成分としては、グルコース等の単糖類、オリゴ糖類、多糖類等の糖類;コラーゲン;グリセリン;ポリエチレングリコール;公知の添加剤(前述した色素等)等を挙げることができるが、特に限定されない。これら他の成分は1種類のみであってもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
γ−PGA組成物に対する他の成分の配合量は、接着層11の接着性を妨げない限り特に限定されない。通常は、γ−PGA組成物全量のうちγ−PGAが50重量%未満とならないような配合量であればよい。γ−PGA組成物がγ−PGAおよび他の成分のみで構成されていれば、他の成分は50重量%未満であればよい。なお、γ−PGA組成物が糖類を含む場合、接着層11にさらなる柔軟性を付与できるとともに、接着性のさらなる向上も期待できる。
[被覆材料]
被覆層12は、前記の通り、γ−PGAを除く少なくとも1種の生体分解性材料(被覆材料)で構成されるシート(好ましくはスポンジ状シート)である。したがって、被覆層12は、1種類の被覆材料により構成されてもよいし、2種類以上の被覆材料により構成されてもよい。また、被覆材料に加えて配合可能な他の成分を含有してもよい。
被覆材料は、γ−PGAとともに生体内に導入したときに、良好な生体適合性を発揮するとともに、一定期間後に分解および吸収されるものであればよい。通常は、生体適合性および生体分解性を有する高分子を挙げることができる。このような高分子としては、例えば、コラーゲン、ポリ乳酸およびポリグリコール酸等を挙げることができる。これらの中でも、コラーゲン(Col)が特に好ましい。コラーゲンは、生体内に導入した後に、生体に好ましくない影響を与える可能性がほとんどなく、生体内での分解性にも優れるとともに、γ−PGAに比較して接着性を実質的に示さない。
コラーゲンの具体的な構成は特に限定されないが、好ましくは、公知の溶媒に溶解できるよう処理が施されたコラーゲンを挙げることができる。具体的には、例えば、酵素可溶化コラーゲン、酸可溶化コラーゲン、アルカリ可溶化コラーゲンおよび中性可溶化コラーゲンなどの可溶化コラーゲンを挙げることができる。これらのうち、好ましいコラーゲンとしては、取扱性の観点から酸可溶化コラーゲンを挙げることができる。また、生体に好ましくない影響を与えるおそれをより一層低減する観点から、抗原決定基であるテロペプチドの除去処理が施されているアテロコラーゲンを好ましく用いることができる。
コラーゲンの由来は特に限定されず、ウシ、ブタ、鳥類、魚類、ウサギ、ヒツジ、ネズミおよびヒト等を挙げることができる。コラーゲンの抽出対象となる動物種の部位も特に限定されず、皮膚、腱、骨、軟骨および臓器等を挙げることができる。入手容易性の観点では、これらの中でも、ブタ皮膚由来のものを好ましく用いることができる。さらに、コラーゲンのタイプも特に限定されないが、I型、II型およびIII型等が挙げられ、これらの中でも取扱性の観点からI型およびIII型を好ましく用いることができる。
コラーゲン等の被覆材料は、そのまま被覆層12に用いられてもよいが、架橋処理が施されることが好ましい。つまり、被覆層12は、架橋コラーゲン(C−Col)により構成されることが好ましい。これにより被覆層12の強度を向上または安定化できるとともに、架橋の程度を調整することにより、生体内での分解時間を制御することが可能となる。被覆材料の架橋方法は特に限定されないが、例えば、化学的架橋法、γ線照射、紫外線照射、電子線照射、プラズマ照射および熱脱水架橋処理等を挙げることができる。被覆材料が少なくともコラーゲンを含む場合には、これらの架橋方法の中でも熱脱水架橋処理を挙げることができる。
熱脱水架橋処理では、まず、コラーゲンをシート状に成形して風乾させる。その後、バキュームドライオーブン中にシートを入れて、減圧下で所定の温度で所定時間保持する。これにより、コラーゲンを架橋することが可能となる。なお、熱脱水架橋処理では、架橋温度および架橋時間の少なくとも一方を調整することにより、架橋の程度を良好に調整することができる。
なお、被覆層12が、1種類以上の生体分解性材料(被覆材料)だけでなく、生体分解性材料に配合可能な他の成分を含む場合、すなわち被覆層12が被覆材料組成物で構成されている場合には、前述したγ−PGA組成物と同様に、被覆層12の物性を妨げない範囲内で他の成分を配合することができる。通常は、被覆材料組成物の全量のうち被覆材料が50重量%未満とならないような配合量であればよい。被覆材料組成物が1種類以上の被覆材料および他の成分のみで構成されていれば、他の成分は50重量%未満であればよい。また、他の成分としては、公知の添加剤(前述した色素等)等を挙げることができるが、特に限定されない。
[シート状止血材の製造方法]
本開示に係るシート状止血材の製造方法は特に限定されず、少なくともγ−PGAで構成される接着層を形成し、十分な柔軟性を有するシート状止血材を製造できる方法であればよい。本開示に係るシート状止血材10A〜10Eは、前記の通り、接着層11および被覆層12を備えており、中間層13を備えていてもよい。それゆえ、代表的な製造方法としては、γ−PGA製のスポンジ状シートまたは非多孔質状の部分シートである接着層11と、被覆材料製のシートである被覆層12と、必要に応じてこれらの間に介在する中間層13とを、それぞれ積層して一つのシートとして一体的に固着させる方法であればよい。したがって、接着層11、被覆層12、および中間層13は、これらの層となるシートが同時に形成されてもよいし、先に任意のシートが形成され、その後に他のシートが形成されてもよい。
代表的なシート状止血材の製造方法としては、例えば、接着層11および被覆層12のいずれもスポンジ状シートである場合には、少なくともγ−PGAで構成される第一スポンジ状多孔体、または、これに圧力を加えて得られるスポンジ状第一シートと、被覆材料で構成される第二スポンジ状多孔体、または、これに圧力を加えて得られるスポンジ状第二シートとを積層して積層体を形成する工程(積層工程)と、第一スポンジ状多孔体またはスポンジ状第一シートと、第二スポンジ状多孔体またはスポンジ状第二シートとを積層して積層体を形成する工程(積層工程)と、積層体を接着もしくは圧着することにより、接着層11および被覆層12を備えるシート状止血材10A(またはシート状止血材10B)を形成する工程(一体化工程)と、を含む製造方法を挙げることができる。
また、シート状止血材の製造方法には、積層工程に用いられるスポンジ状多孔体またはシートを形成する工程が含まれてもよい。つまり、本開示では、積層工程において、スポンジ状第一シートまたはスポンジ状第二シートとして予め製造されたもの(あるいは市販のもの)を用いてもよいし、第一スポンジ状多孔体または第二スポンジ状多孔体として予め製造されたものを用いてもよいし、スポンジ状多孔体またはスポンジ状シートを原材料(γ−PGAまたは被覆材料)から製造してもよい。
具体的には、本開示に係るシート状止血材の製造方法には、少なくともγ−PGAを凍結乾燥して第一スポンジ状多孔体を形成する工程(第一スポンジ状多孔体形成工程)、第一スポンジ状多孔体に圧力を加えてスポンジ状第一シートを形成する工程(スポンジ状第一シート形成工程)、被覆材料を凍結乾燥して第二スポンジ状多孔体を形成する工程(第二スポンジ状多孔体形成工程)、第二スポンジ状多孔体に圧力を加えてスポンジ状第二シートを形成する工程(スポンジ状第二シート形成工程)の少なくともいずれかが含まれてもよい。
第一スポンジ状多孔体形成工程または第二スポンジ状多孔体形成工程では、前述した各種の乾燥方法を用いて、γ−PGAまたは被覆材料をスポンジ状多孔体に成形すればよい。被覆層12がコラーゲンを含む場合には、真空凍結乾燥法により第二スポンジ状多孔体を形成すればよく、被覆層12のコラーゲンが架橋コラーゲンであれば、スポンジ状多孔体をスポンジ化する前の状態、もしくは、スポンジ化した後のスポンジ状多孔体に対して、前述した架橋処理を施せばよい。あるいは、スポンジ状多孔体を圧縮してスポンジ状シートを形成し、このスポンジ状シートに対して、前述した架橋処理を施してもよい。また、第一スポンジ状多孔体または第二スポンジ状多孔体は、前述したように、プレス等を用いて加圧することによりシート状に成形すればよい。
積層工程および一体化工程では、公知の積層方法、接着方法、圧着方法を用いればよい。例えば、圧着方法としては、公知のプレス装置を用いればよい。積層方法としては、作業者による手作業で積層する方法だけでなく、公知のロボット等により自動的に積層する方法も好適に用いることができる。
本開示に係るシート状止血材の製造方法では、一体化工程は、積層工程を経た後でないと実行できないが、積層工程の前に実施することが可能な各工程、すなわち、第一スポンジ状多孔体形成工程、第二スポンジ状多孔体形成工程、スポンジ状第一シート形成工程、スポンジ状第二シート形成工程、および積層工程の順序は特に限定されない。また、本開示に係るシート状止血材の製造方法は、少なくとも積層工程および一体化工程を含んでいればよく、必要に応じて、第一スポンジ状多孔体形成工程、第二スポンジ状多孔体形成工程、スポンジ状第一シート形成工程、およびスポンジ状第二シート形成工程等を含んでいるが、これら各工程以外の工程が含まれてもよい。例えば、一体化工程の後に滅菌処理する工程がふくまれてもよい。さらに、本開示に係るシート状止血材の製造方法では、これら工程のうち任意の複数の工程が同時並行的に行われてもよい。
シート状止血材の製造方法の好ましい一例としては、例えば、先に、第二スポンジ状多孔体に圧力を加えてスポンジ状第二シートとしてから、第一スポンジ状多孔体に積層して圧着することにより、前記積層体を形成する製造方法を挙げることができる。この製造方法では、スポンジ状第二シート形成工程の後に、積層工程が実行され、その後にスポンジ状第一シート形成工程が実行されることになる。この方法により、図1(A)に示す2層構造のシート状止血材10Aを効率的に製造することができる。
なお、シート状止血材10C、10Dまたは10Eのように、接着層11または被覆層12が部分層である場合には、シート状止血材の製造方法としては、積層工程の前に、接着層11または被覆層12となるシートを所定形状に打ち抜いたり切り抜いたりする工程(部分層形成工程)を実行すればよい。つまり、本開示に係るシート状止血材の製造方法には、積層工程および一体化工程に加えて、部分層形成工程が含まれてもよい。あるいは、これら部分層は、単一のシートを加工することにより部分シートとして形成されるのではなく、最初から部分シートとして形成されてもよい。
このように、本開示に係るシート状止血材の製造方法では、接着層11を形成するためには、前述した、少なくともγ−PGAで構成される第一スポンジ状多孔体、または、当該第一スポンジ状多孔体に圧力を加えて得られるスポンジ状第一シートを用いることができるだけでなく、少なくともγ−PGAで構成され、かつ、単一のシートではない第一部分シートを用いることができる。このように、接着層11を形成するために準備されるγ−PGA製の層状の部材を、便宜上、第一層状体と称する。なお、第一層状体である第一部分シートは、スポンジ状であってもよいし、スポンジ状ではない非多孔質状であってもよい。
同様に、被覆層12を形成するためには、前述した、生体分解性材料で構成される第二スポンジ状多孔体、または、当該第二スポンジ状多孔体に圧力を加えて得られるスポンジ状第二シートを用いることができるだけでなく、生分解性材料で構成され、かつ、単一のシートではない第二部分シートを用いることができる。このように、被覆層12を形成するために準備される生体分解性材料製の層状の部材を、便宜上、第二層状体と称する。
それゆえ、本開示に係るシート状止血材の製造方法の代表的な例としては、少なくともγ−PGAで構成される第一層状体と、γ−PGAを除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成される第二層状体とを積層して積層体を形成する工程と、この積層体を接着もしくは圧着することにより、少なくともγ−PGAで構成される接着層と、生体分解性材料で構成される被覆層と、を備える、シート状止血材を形成する工程と、を含む構成を挙げることができる。
このように本開示によれば、シート状止血材の貼付面は、ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)で構成される接着層であり、非貼付面は、γ−PGA以外の生体分解性材料(被覆材料)で構成される被覆層である。それゆえ、接着層のγ−PGAにより、フィブリノゲン等の動物性材料を用いることなく、生体組織に対する良好な接着性と良好な止血性能とを実現することができるとともに、被覆層の被覆材料により、シート状止血材が貼り付け箇所以外の組織または手術器具等に不用意に付着することを有効に抑制することができる。
また、接着層がスポンジ状シートであるか、または、非多孔質状の部分層であるため、良好な柔軟性を有するとともに、被覆層も柔軟性を有する。これにより、当該シート状止血材として良好な柔軟性を発揮することができる。それゆえ、シート状止血材を丸めたり折り曲げたりしても、接着層の破損を有効に抑制することができる。また、接着層または被覆層の一方を単一のシートからなる基材層として構成し、他方を部分層として構成することで、シート状止血材の柔軟性をより良好なものとすることができる。
さらに、γ−PGAは、生化学的な反応を伴うことなしに良好な接着性を有しているので、従来のシート状止血材に比べて生体組織への貼り直しが可能になる。また、接着層がγ−PGAであるため、被覆層となる被覆材料を適宜選択することにより、従来のシート状止血材に比べて室温で長期間の保存が可能となる。
本開示について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。当業者は本開示の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例におけるシート状止血材の評価は次に示すようにして行った。
(止血性能および貼り直しの評価)
40週齢の雄のウサギ(体重3.0kg)の腹部を持続麻酔下で切開し、肝臓を露出させ、肝臓の表面を切開して出血させ、実施例または比較例のシート状止血材を貼り付けた。貼り付け後の出血の状況を確認して、止血性能を評価した。また、実施例または比較例のシート状止血材を肝臓の出血箇所に貼り付けた後に、貼り直しが可能であるか否かについても評価した。
(トロッカー通過性の評価)
実施例または比較例のシート状止血材をロール状に丸め、直径5mmのトロッカー(コヴィディエンジャパン株式会社製、製品名ステップシステム バーサステップ 5MM)に通過できるか否かを評価した。
(実施例1)
1重量%コラーゲン水溶液を調製し、矩形状の金属製容器中に所定量充填し、−20℃で約12時間凍結した。得られた凍結物を凍結乾燥機(東京理化器械株式会社製、製品名FDU−2100)中において、約24時間、減圧下(約13Pa(1Torr)以下)で凍結乾燥した後、圧縮機(株式会社マサダ製作所製、15tプレス機)により980N/cm2 (100kgf/cm2 )の圧力で圧縮した。得られた凍結乾燥物を、バキュームドライオーブン(東京理化器械株式会社製、製品名VOS−300VD)中において、約24時間、減圧下(約13Pa(1Torr)以下)で熱脱水架橋を施した。これにより、架橋コラーゲン(C−Col)スポンジ状シートを得た。
次に、1重量%γ−PGA水溶液を調製し、矩形状の金属製容器中に所定量充填し、−20℃で約12時間凍結し、スポンジ状多孔体を得た。その後、このスポンジ状多孔体を、減圧下で約24時間凍結乾燥した後に、架橋コラーゲンスポンジ状シートを積層して圧着した。これにより、接着層としてのγ−PGAスポンジ状シートと被覆層としての架橋コラーゲンスポンジ状シートとが圧着された、本実施例1に係るシート状止血材を得た。
このシート状止血材は、2.5cm×2.5cmで90mgであり、架橋コラーゲンスポンジ状シートとγ−PGAスポンジ状シートとの重量比が30:70であった。このシート状止血材を用いて、前述したように止血性能および貼り直し性能を評価した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
架橋コラーゲンスポンジ状シートとγ−PGAスポンジ状シートとの重量比が25:75となるように、1重量%コラーゲン水溶液および1重量%γ−PGA水溶液の金属製容器中への充填量を変更した以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2に係るシート状止血材を得た。このシート状止血材は、2.5cm×2.5cmで80mgであり、前記の通り、架橋コラーゲンスポンジ状シートとγ−PGAスポンジ状シートとの重量比が25:75であった。このシート状止血材を用いて、前述したように、止血性能および貼り直しを評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1に係るシート状止血材として、2.5cm×2.5cmで123mgのサージセルニューニット(登録商標、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)を用いて、前述したように止血性能および貼り直しを評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2017196406
(実施例3)
実施例3に係るシート状止血材として、前記実施例1と同様にして、3.0cm×2.5cmのものを作製した。このシート状止血材を用いて、前述したようにトロッカー通過性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例2)
比較例2に係るシート状止血材として、3.0cm×2.5cmのタコシール(登録商標、CSLベーリング株式会社)を用いて、前述したようにトロッカー通過性を評価した。その結果を表2に示す。
(比較例3)
1重量%γ−PGA水溶液を調製し、キャスト法により3.0cm×2.5cmのγ−PGAシートを作製し、比較例3に係るシート状止血材とした。このγ−PGAシートを用いて、前述したようにトロッカー通過性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2017196406
(実施例および比較例の比較)
実施例1および2に係るシート状止血材であれば、生体組織に貼り付けて軽く押えるだけで、良好な接着性および止血性能を発揮することができた。また、一度生体組織に貼り付けてから剥がして貼り直すことが可能であった。一方、比較例1に係るサージセルニューニットでは、生体組織に貼り付けてから3分間押えることで止血性能を発揮できたが、本開示に係るシート状止血材とは異なり、貼り直しはできなかった。
また、実施例3に係るシート状止血材であれば、ロール状にすることでトロッカーを容易に通過できるが、タコシール(比較例2)では、潰したロール状とすることでかろうじてトロッカーを通過できるものの破損してしまった。さらに、γ−PGAシート(比較例3)は、γ−PGA単層でスポンジ状でないため、柔軟性がなく折り曲げると割れてしまい、ロール状にできなかった。
このように、本開示に係るシート状止血材は、従来のものに比べて、フィブリノゲンを用いることなく止血性能に優れるとともに、良好な柔軟性および取扱性を実現することができる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、シート状止血材およびその製造方法の分野に広く好適に用いることができる。
10A〜10E シート状止血材
11 接着層
12 被覆層
13 中間層
111 部分接着層(スポンジ状)
121 部分被覆層
121a〜121c 部分被覆層
141 部分接着層(非多孔質層)


Claims (12)

  1. 出血箇所への貼付面に設けられ、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される接着層を備えることを特徴とする、
    シート状止血材。
  2. さらに、前記貼付面の反対面に設けられ、前記ポリ−γ−グルタミン酸を除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成される被覆層を備え、
    前記接着層および前記被覆層の少なくとも一方が単一のシートであることを特徴とする、
    請求項1に記載のシート状止血材。
  3. 前記接着層が前記単一のシートであるときには、当該接着層はスポンジ状シートであることを特徴とする、
    請求項2に記載のシート状止血材。
  4. 前記接着層が前記単一のシートでない部分層であるときには、当該接着層は、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成されるスポンジ状シート、もしくは、非多孔質層であることを特徴とする、
    請求項2に記載のシート状止血材。
  5. 前記被覆層は、少なくとも架橋コラーゲンで構成されるスポンジ状シートであることを特徴とする、
    請求項2から4のいずれか1項に記載のシート状止血材。
  6. 前記接着層および前記被覆層の双方が単一のシートであるか、もしくは、
    前記被覆層が、前記反対面に部分的に設けられる部分層であることを特徴とする、
    請求項2、3、または5に記載のシート状止血材。
  7. 前記接着層および前記被覆層は、少なくとも一部分が互いに異なる色彩を有していることを特徴とする、
    請求項2から6のいずれか1項に記載のシート状止血材。
  8. 前記接着層の重量比が、前記シート状止血材の全重量の10〜90重量%の範囲内にあることを特徴とする、
    請求項1から7のいずれか1項に記載のシート状止血材。
  9. さらに、前記接着層および前記被覆層の間に介在する、少なくとも1層の中間層を備え、
    これら各層が一体的に固着されていることを特徴とする、
    請求項2から8のいずれか1項に記載のシート状止血材。
  10. 少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される第一層状体と、前記ポリ−γ−グルタミン酸を除く少なくとも1種の生体分解性材料で構成される第二層状体とを積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体を接着もしくは圧着することにより、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される接着層と、前記生体分解性材料で構成される被覆層と、を備える、シート状止血材を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、
    シート状止血材の製造方法。
  11. 前記第一層状体は、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成される第一スポンジ状多孔体、当該第一スポンジ状多孔体に圧力を加えて得られるスポンジ状第一シート、または、少なくともポリ−γ−グルタミン酸で構成され、かつ、単一のシートではない第一部分シートであり、
    前記第一部分シートは、スポンジ状またはスポンジ状ではない非多孔質状であるとともに、
    前記第二層状体は、前記生体分解性材料で構成される第二スポンジ状多孔体、当該第二スポンジ状多孔体に圧力を加えて得られるスポンジ状第二シート、または、前記生分解性材料で構成され、かつ、単一のシートではない第二部分シートであることを特徴とする、
    請求項10に記載のシート状止血材の製造方法。
  12. 先に、前記第二スポンジ状多孔体に圧力を加えて前記スポンジ状第二シートとしてから、前記第一スポンジ状多孔体に積層して圧着することにより、前記積層体を形成することを特徴とする、
    請求項11に記載のシート状止血材の製造方法。
JP2017078019A 2016-04-20 2017-04-11 ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法 Pending JP2017196406A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2017/015604 WO2017183640A1 (ja) 2016-04-20 2017-04-18 ポリ-γ-グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法
US16/095,317 US20190134260A1 (en) 2016-04-20 2017-04-18 Sheet-like hemostatic material employing poly-gamma-glutamic acid, and method of manufacturing same
EP20182793.8A EP3733218A1 (en) 2016-04-20 2017-04-18 Sheet-like hemostatic material employing poly-y-glutamic acid, and method of manufacturing same
EP17785978.2A EP3446719A4 (en) 2016-04-20 2017-04-18 SHEET-LIKE HEMOSTATIC MATERIAL USING POLY-GLUTAMIC ACID AND MANUFACTURING METHOD THEREOF

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016084551 2016-04-20
JP2016084551 2016-04-20

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017196406A true JP2017196406A (ja) 2017-11-02

Family

ID=60236857

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017078019A Pending JP2017196406A (ja) 2016-04-20 2017-04-11 ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017196406A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109731127A (zh) * 2019-02-27 2019-05-10 西南交通大学 一种多孔止血海绵及其制备方法
JP2019076169A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 ニプロ株式会社 ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法
JP7128556B1 (ja) * 2021-12-03 2022-08-31 恵子 江俣 糊付けによる鼻美容整形方法及び鼻美容整形用糊

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005046228A (ja) * 2003-07-30 2005-02-24 Chisso Corp マット及びそれを用いた医療品
JP2009089837A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Idemitsu Technofine Co Ltd 創傷被覆材
JP2013013743A (ja) * 2003-06-26 2013-01-24 Zuiko Corp 創傷被覆材および創傷被覆材キット
JP2015139603A (ja) * 2014-01-29 2015-08-03 泉工医科工業株式会社 創傷被覆材及び血液中の血球成分と血漿成分との分離方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013013743A (ja) * 2003-06-26 2013-01-24 Zuiko Corp 創傷被覆材および創傷被覆材キット
JP2005046228A (ja) * 2003-07-30 2005-02-24 Chisso Corp マット及びそれを用いた医療品
JP2009089837A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Idemitsu Technofine Co Ltd 創傷被覆材
JP2015139603A (ja) * 2014-01-29 2015-08-03 泉工医科工業株式会社 創傷被覆材及び血液中の血球成分と血漿成分との分離方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019076169A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 ニプロ株式会社 ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法
CN109731127A (zh) * 2019-02-27 2019-05-10 西南交通大学 一种多孔止血海绵及其制备方法
CN109731127B (zh) * 2019-02-27 2020-06-16 西南交通大学 一种多孔止血海绵及其制备方法
JP7128556B1 (ja) * 2021-12-03 2022-08-31 恵子 江俣 糊付けによる鼻美容整形方法及び鼻美容整形用糊

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10653810B2 (en) Ready to use biodegradable and biocompatible device and a method of preparation thereof
JP4854084B2 (ja) 創傷被覆材および生命を脅かす重篤な出血を抑制するための方法
JP4332030B2 (ja) 創傷被覆材、および重篤で生命にかかわる出血を制御する方法
TWI387467B (zh) 局部用與內用的止血劑
ES2659173T3 (es) Matriz sintética reabsorbible reforzada para aplicaciones hemostáticas
CA2740582C (en) Implant formed from a porous layer comprising a self-crosslinked compound of a functionalized collagen and a glycosaminoglycan
US20100111919A1 (en) Delayed gelation compositions and methods of use
JP2007516050A (ja) 生命を脅かす重大な出血を制御するための創傷包帯および方法
EP4545107A1 (en) Peg two-component self-adhesive absorbable biological mesh, method for preparing same, and use thereof
US20190083676A1 (en) Composite bioadhesive sealant
JP2009534063A (ja) 層状創傷包帯
CA2400401A1 (en) Novel natural polymer-based material with improved properties for use in human and veterinary medicine and the method of manufacturing such
JP2021531933A (ja) 止血用ペースト及びその製造方法
JP2017196406A (ja) ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法
CN115814173A (zh) 自粘性可吸收生物补片及其制备方法和应用
CN115845122A (zh) 一种光敏和温敏混合型高强度水凝胶
US11724010B2 (en) Adherent resorbable matrix
CN106075552B (zh) 一种医用止血海绵及其制备方法
US20220160929A1 (en) Solution Blow Spun Polymer Constructs, Compositions and Methods of Fabrications and Uses Relating Thereto
KR20220084885A (ko) 키토산 및 젤라틴을 포함하는 조직 보강용 점착 조성물 및 이의 제조방법
Carbon Evaluation of biodegradable fleece-bound sealing: history, material science, and clinical application
JPWO2012011429A1 (ja) 組織接着用シート製剤
US20190134260A1 (en) Sheet-like hemostatic material employing poly-gamma-glutamic acid, and method of manufacturing same
WO2017183640A1 (ja) ポリ-γ-グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法
JP2019076169A (ja) ポリ−γ−グルタミン酸を用いたシート状止血材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210629