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JP2017190522A - 鋼材 - Google Patents

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JP2017190522A
JP2017190522A JP2016220915A JP2016220915A JP2017190522A JP 2017190522 A JP2017190522 A JP 2017190522A JP 2016220915 A JP2016220915 A JP 2016220915A JP 2016220915 A JP2016220915 A JP 2016220915A JP 2017190522 A JP2017190522 A JP 2017190522A
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JP2016220915A
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English (en)
Inventor
至 寒澤
Itaru Samuzawa
至 寒澤
塩谷 和彦
Kazuhiko Shiotani
和彦 塩谷
長谷 和邦
Kazukuni Hase
和邦 長谷
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JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
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Abstract

【課題】抗菌性および耐微生物腐食性に優れる鋼材を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.50%以下、Si:1.00%以下、Mn:0.10%以上3.00%以下、P:0.030%以下、S:0.0100%以下、N:0.0100%以下およびAl:0.010%以上0.500%以下を含有し、さらにCu:0.010%以上2.000%未満、Ni:0.010%以上2.000%以下、Mo:0.010%以上1.000%以下、W:0.010%以上1.000%以下およびSn:0.010%以上0.500%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする、鋼材を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌性および耐微生物腐食特性に優れた鋼材に関し、特に、食品加工機器、事務機器、厨房機器、家電機器といった生活関連用品、および自動車用部材、建築用部材、機械部材、船舶部材、油田付帯設備用部材といった構造用部材に好適な、抗菌性および耐微生物腐食特性に優れた低合金の鋼材に関する。
従前、大腸菌、サルモネラ菌に代表される病原性細菌、および硫酸塩還元菌、硫黄酸化細菌に代表される腐食性細菌などのような、我々の社会生活の中で、衛生的および工業的側面から、その増殖を忌避すべき細菌が知られている。特に近年では、分析および生物学分野の著しい進歩に伴い、細菌による社会生活への負の影響が広く認知されてきている。その一つが微生物腐食現象である。微生物腐食は非常に局部腐食性が高い腐食現象であり、構造物に生じた微生物腐食部が貫通孔となり、深刻な事故を招く危険性がある。そのため、細菌増殖抑制効果(抗菌性)を有する材料に対する関心が高まってきている。このような流れから、鋼材分野においても、鋼素材に抗菌性を付与する試みが行われている。
例えば、鋼素材そのものに抗菌性を付与する技術として、特許文献1では、Ag:0.001〜0.09%、Cu:0.30%超4.0%以下を、Ag/(Ag+Cu)<0.07(ここで、Ag,Cu:各元素の含有量(mass%))を満足することで、優れた抗菌性を得るオーステナイト系ステンレス鋼が報告されており、特許文献2では、Ag:0.001〜0.09%、Cu:0.05%〜2.0%を、Ag/(Ag+Cu)<0.07(ここで、Ag,Cu:各元素の含有量(mass%))を満足することで、優れた抗菌性を有するフェライト系ステンレス鋼が報告されている。
また、特許文献3では、普通鋼および炭素鋼に代替し得る安価な抗菌性鋼素材が報告されており、鋼中にCuを2.0〜5.0%の範囲で含有させることで、優れた抗菌性が付与されるとしている。
一方、表面に抗菌機能を付与する技術として、特許文献4では、アルミニウム又はアルミニウム合金めっき層の表面にモリブデン金属粉末を露出状態で付着させることにより、優れた抗菌性を有するアルミニウム系めっき鋼板が提案されている。
また、特許文献5では、銀イオン:0.0001〜1.0mol/l、硝酸:1〜200g/lを含む硝酸水溶液に浸漬することが記載されており、これにより、材料表面へAg粒子を析出付着させ、コストを抑えつつ良好な抗菌性を安定して引き出すことが可能であるとしている。
特開2005-232511号公報 特開2005-232510号公報 特開2000-160295号公報 特開2001-40489号公報 特開2001-11659号公報
特許文献1および特許文献2に記載されたステンレス鋼は、抗菌性は十分に有していると考えられるものの、ステンレス鋼は非常に高価であるために、特別に高い耐食性が要求されるような過酷な用途以外では過剰性能となる。すなわち、従来、低合金の鋼材が適用されているような部材に対しては、コスト上、使用が現実的ではない。
また、特許文献3に記載の鋼素材は、安価な低合金鋼材において、高い抗菌性を得ていると考えられるものの、Cuを2.0%以上含有する必要があり、製造性の観点から実用性は不十分である。また、特許文献4に記載されたアルミニウム系めっき鋼板は、低合金鋼材への適用によっても抗菌性を得ることができるために、汎用性の高い抗菌技術であるといえるが、衝撃や切創等により、ひとたび表面に傷がついてしまった場合には、傷がついた部分の抗菌性は期待できず、長期的な抗菌性を得ることは難しい。特許文献5に記載されているAg粒子の析出付着技術に関しても、同様の理由から、金属製品への長期的な抗菌性の付与は期待できない。
このように、低合金の鋼材分野において、めっきや表質改善による抗菌性の向上手法は、長期的な抗菌性の担保の観点から、その効果が十分ではない。そのため、材料そのものの抗菌性を向上させる技術が有効になる。しかしながら、従来の抗菌性を有する鋼材に関する技術は、大量のCu添加が必須であり、製造上の観点から実用性は不十分である。すなわち、熱間圧延工程にて、大量のCu添加に起因する熱間脆性による割れが発生し、製品として品質を担保することが困難となる。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、製造上実用的な、抗菌特性および耐微生物腐食特性に優れた低合金の鋼材を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた。
その結果、抗菌特性を向上させるためには、Alの添加が有効であり、さらにCu、Ni、Mo、W、Snのうち少なくとも1種を添加することが効果的であるとわかった。本発明は、上記の新規な知見に基づき、さらに検討を重ねた末に完成されたもので、その要旨構成は、以下の通りである。
1.質量%で、
C:0.50%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:0.10%以上3.00%以下、
P:0.030%以下、
S:0.0100%以下、
N:0.0100%以下および
Al:0.010%以上0.500%以下
を含有し、さらに
Cu:0.010%以上2.000%未満、
Ni:0.010%以上2.000%以下、
Mo:0.010%以上1.000%以下、
W:0.010%以上1.000%以下および
Sn:0.010%以上0.500%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする、鋼材。
2.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ca:0.0001%以上0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上0.0200%以下および
REM:0.0010%以上0.2000%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1に記載の鋼材。
3.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ti:0.005%以上0.100%以下、
Zr:0.005%以上0.100%以下、
Nb:0.005%以上0.100%以下および
V:0.005%以上0.100%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1または2に記載の鋼材。
4.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Co:0.01%以上0.50%以下
を含有することを特徴とする、上記1から3のいずれかに記載の鋼材。
5.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
B:0.0001%以上0.0300%以下
を含有することを特徴とする、上記1から4のいずれかに記載の鋼材。
6.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Cr:0.01%以上0.50%以下
を含有することを特徴とする、上記1から5のいずれかに記載の鋼材。
7.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ag:0.003%以上0.100%以下
を含有することを特徴とする、上記1から6のいずれかに記載の鋼材。
本発明によれば、食品加工機器、事務機器、厨房機器、家電機器といった生活関連用品や、自動車用部材、建築用部材、機械部材、船舶部材、油田付帯設備用部材といった構造用部材に使用した場合に、従来と比較してより安価に抗菌特性を得ることが可能であり、それによって高い耐微生物腐食特性を得ることが可能である。
また、鋼材製造過程での、表面欠陥の発生が、従来に比べて抑制され、表面手入等の工程を省略することができ、生産性の向上と製造コストの低減効果が得られ、産業上極めて有用である。
以下、本発明の一実施形態による低合金鋼材について説明する。まず、鋼材の成分組成の限定理由について述べる。なお、本明細書において、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.50%以下
Cは、鋼の強度確保に必要な元素であり、好ましくは0.02%以上で添加する。一方で、0.50%を超える添加では加工性、溶接性が著しく劣化するため、本発明では0.50%以下に制限した。好ましくは0.40%以下であり、より好ましくは0.30%以下である。
Si:1.00%以下
Siは、脱酸のため添加するが、1.00%を超えると靭性や溶接性を劣化させるため、Si含有量は1.00%以下とする。なお、十分な脱酸効果を得るためには0.01%以上が好ましく、0.01%以上0.80%以下の範囲とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.03%以上0.70%以下の範囲である。
Mn:0.10%以上3.00%以下
Mnは、強度、靭性を改善するために添加するが、0.10%未満ではその効果が十分でなく、一方3.00%を超えると溶接性が劣化するため、Mn含有量は0.10%以上3.00%以下とする。好ましくは0.20%以上2.00%以下の範囲である。
P:0.030%以下
Pは、含有量が多くなると、靭性及び溶接性を劣化させるため、Pの含有量は0.030%以下に抑制するものとした。好ましくは0.025%以下である。0.002%未満とするのは工業的規模の製造では難しいため、0.002%以上の含有は許容される。
S:0.0100%以下
Sは、鋼の靭性および溶接性を劣化させる有害元素であるので、極力低減することが望ましい。加えて、含有量が多くなると、抗菌特性を持たない硫化析出物の形成が促進され、抗菌特性の観点からも悪影響を及ぼす可能性がある。特に、Sの含有量が0.0100%を超えると、母材靭性および溶接部靭性の劣化が大きくなる。よって、S量は0.0100%以下とする。好ましくは0.0080%以下、さらに好ましくは0.0060%以下である。0.0002%未満とするのは工業的規模の製造では難しいため、0.0002%以上の含有は許容される。
N:0.0100%以下
Nは、多量に添加されると、粗大な窒化物を形成し、鋼の靱性および溶接性を低下させる。加えて、含有量が多くなると、抗菌特性を持たない窒化析出物の形成が促進され、抗菌特性の観点からも悪影響を及ぼす可能性がある。このため、Nは0.0100%以下に限定した。好ましくは0.0070%以下である。0.0010%未満とするのは工業的規模の製造では難しいため、0.0010%以上の含有は許容される。
Al:0.010%以上0.500%以下
本発明の鋼において、抗菌特性の観点から重要な元素であり、その効果は0.010%以上の含有において顕著となる。Alは鋼材表面からAl3+イオンとして容易に遊離する性質を持つ。遊離したAl3+イオンは、微生物の酵素活性を低下させ、鋼材の抗菌性を高める。また、遊離したAl3+イオンは、環境中の水分子と加水分解反応を起こし、鋼材表面のpHを低下させ、後述する鋼材中のCu、Ni、Mo、W、Snのイオンの遊離化を促進させる。これにより、Cu、Ni、Mo、W、Snの抗菌作用が大きく向上することとなる。一方、Alの過剰添加は、溶接金属部の靭性を低下させる。そのため0.500%を上限とした。好ましくは0.015%以上0.300%以下の範囲である。
Cu:0.010%以上2.000%未満、Ni:0.010%以上2.000%以下、Mo:0.010%以上1.000%以下、W:0.010%以上1.000%以下およびSn:0.010%以上0.500%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Cu、Ni、Mo、W、Snは、本発明の鋼材において、抗菌特性を得るために重要な元素であり、少なくとも1種以上を含有させる。それぞれ、鋼材表面からCu2+イオン、Ni2+イオン、MoO4 2−イオン、WO4 2−イオン、SnO2−イオンとして遊離し、微生物の酵素系のチオール基と結びつき、代謝を阻害することで、抗菌性を発現する。この効果は、上記の成分組成のいずれかを0.010%以上含有することにより得ることができる。また、上述のとおり、Alが共存した場合において抗菌特性の効果が顕著に高くなる。しかしながら、いずれの成分組成についても、多くの量を含有させた場合には、溶接性や靱性を劣化させるため、また、コストの観点からも不利になるため、Cuを0.010%以上2.000%未満、Niを0.010%以上2.000%以下、Moを0.010%以上1.000%以下、Wを0.010%以上1.000%以下、Snを0.010%以上0.500%以下、の添加量の範囲とした。好ましくはCuを0.030%以上1.000%以下、Niを0.030%以上1.000%以下、Moを0.030%以上0.800%以下、Wを0.030%以上0.800%以下、Snを0.030%以上0.400%以下、の添加量の範囲とする。より好ましくはCuを0.030%以上0.800%以下、Niを0.030%以上0.800%以下、Moを0.030%以上0.600%以下、Wを0.030%以上0.600%以下、Snを0.030%以上0.300%以下、の添加量の範囲とする。
以上、本発明の基本成分について説明した。上記成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物であるが、その他にも必要に応じて、以下の元素を適宜含有させることができる。
Ca:0.0001%以上0.0100%以下、Mg:0.0001%以上0.0200%以下およびREM:0.0010%以上0.2000%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Ca、Mg、REMは、溶接部の靱性を確保する目的で、1種または2種以上を含有させることができる。しかしながら、添加量が多い場合には、溶接部の靱性劣化やコスト増加を招くため、Ca含有量は0.0001%以上0.0100%以下、Mg含有量は0.0001%以上0.0200%以下、REM含有量は0.0010%以上0.2000%以下の範囲とする。
Ti:0.005%以上0.100%以下、Zr:0.005%以上0.100%以下、Nb:0.005%以上0.100%以下およびV:0.005%以上0.100%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Ti、Zr、Nb、Vは、目的とする強度を確保するために、1種または2種以上を含有させることができる。しかしながら、いずれも多く含有させた場合には、靱性と溶接性を劣化させることから、0.005%以上0.100%以下の添加量の範囲とした。好ましくは0.005%以上0.050%以下の範囲である。
Co:0.01%以上0.50%以下
Coは、鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有させることができる。鋼材の強度を高めるためには、Coを0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、0.50%を超えて含有させると靱性や溶接性が劣化するため、上記の範囲で含有させることとした。好ましくは0.01%以上0.30%以下の範囲である。
B:0.0001%以上0.0300%以下
Bは鋼材の焼入性を向上させる元素である。また、鋼材の強度を確保する目的でBを含有させることができる。しかしながら、過剰に含有させた場合、靱性の大幅な劣化を招く。強度の向上効果は、Bの含有量が0.0001%未満では乏しく、靱性の劣化は、0.0300%を超えた場合に顕著となるため、Bの含有量は0.0001%以上0.0300%以下の範囲とした。
Cr:0.01%以上0.50%以下
鋼材の耐食性を高める目的で、Crを含有させることができる。鋼材の耐食性を高めるためには、Crを0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、多量添加した場合には、溶接部特性が大きく劣化してしまう。そのため、含有量は0.01%以上0.50%以下の範囲とした。
Ag:0.003%以上0.100%以下
鋼材の抗菌性を一層高める目的で、Agを含有させることができる。鋼材の抗菌性を高めるためには、Agを0.003%以上含有させることが好ましい。しかし、Agは高価な金属であるため、過剰な含有量とすることはコスト上好ましくない。そのため、含有量は0.003%以上0.100%以下の範囲とした。
なお、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。
次に、本発明に係る鋼材の製造条件について説明する。
上記した成分組成を有する溶鋼を、転炉や電気炉等の公知の炉で溶製し、連続鋳造法や造塊法等の公知の方法でスラブやビレット等の鋼素材とする。なお、溶製に際して、真空脱ガス精錬等を実施しても良い。
溶鋼の成分調整方法は、公知の鋼製錬方法に従えばよい。
次に、上記の鋼素材を所望の寸法形状に熱間圧延する際には、1000℃〜1350℃の温度に加熱する。加熱温度が1000℃未満では変形抵抗が大きく、熱間圧延が難しくなるためであり、一方、1350℃を超える加熱は、表面痕の発生原因となったり、スケールロスや燃料原単位が増加するためである。好ましくは、1050〜1300℃の範囲で加熱する。なお、鋼素材の温度が、もともと1000〜1350℃の範囲の場合には、加熱せずに、そのまま熱間圧延に供してもよい。なお、熱間圧延後、再加熱処理、酸洗、冷間圧延を施し、所定板厚の冷延板としてもよい。
熱間圧延では、熱間仕上圧延の終了温度を適正化することが好ましく、具体的には600℃以上850℃以下とすることが好ましい。熱間仕上圧延の終了温度が600℃未満では、変形抵抗の増大により圧延荷重が増加し、圧延の実施が困難となるためであり、一方、850℃超とすると所望の強度を得られないことがあるためである。熱間仕上圧延の終了後の冷却は、空冷または冷却速度:150℃/s以下の加速冷却とすることが好ましいが、後工程において熱処理を施す場合はこの限りではない。
その他の製造条件は、鋼材の一般的な製造方法に従えばよい。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
表1に示す組成の溶鋼を、通常公知の手法により溶製、連続鋳造してスラブ(鋼素材)とした。ついで、1230℃に加熱後、熱間圧延により板厚20mmの熱延板とした。
Figure 2017190522
上記により得られた鋼板から25mm×25mm×3.5mmt(tは厚さを意味する)の試験片を採取し、JIS Z2801の規定に準拠したフィルム密着法により、抗菌特性を評価した。評価手順と方法を以下に示す。
サンプルの25mm×25mm表面をアルミナ研磨材により鏡面研磨で仕上げ、エタノールを用いて洗浄・脱脂した。サンプル表面に1/500に普通ブイヨンで調整した菌液0.2mL(フィルム1枚あたり1.0×105CFU、CFU:コロニー形成単位)を、20mm×20mmのフィルムで密着させた後、35℃±1.0℃、RH(相対湿度)90%以上を確保した条件にて保存した。サンプル上の菌液について、試験開始から24時間後の生菌数を測定した。
抗菌特性は以下の式より算出された24時間後の菌減少率に基づき評価した。
菌減少率(%)=[(対照の菌数−試験後の菌数)/(対照の菌数)]×100
対照とは、ポリエチレンフィルム上で同様の試験を実施した結果であり、値は1.6×107CFU/枚であった。
なお、試験開始時点での生菌数を維持した場合での菌減少率は99.4%である。すなわち、この減少率より大きい値であれば抗菌性を有しているといえる。なお、本発明においての「優れた」抗菌特性は菌減少率が99.9%以上であることを指す。
併せて、耐微生物腐食性に関しては、同じ鋼板について、硫酸塩還元細菌を含む海水への浸漬腐食試験を行い評価した。評価手順と方法を以下に示す。
上記鋼板から、20mm×40mm×3mmt(tは厚さを意味する)の試験片を切り出し、片面を番手600の研磨面で仕上げた。ついで、裏面および端面は腐食しないようにテープでシールし、35℃にて試験片を海水に浸漬した。試験海水は予め、リアルタイムPCR分析により硫酸塩還元菌の存在が認められた海水を用いた。
上記浸漬を90日間行った後に、試験片を取り出し、表面に付着したさびをスポンジ等で洗い流したのち、インヒビターを添加した酸中で完全にさびを除去した。ついで、純水で洗浄したのち、エタノール中で洗浄し、風乾した。その後、試験片の表面の孔食深さを3次元レーザー顕微鏡(レーザー波長658nm、測定ピッチ0.5μm)により測定し、最大孔食深さを評価した。
耐微生物腐食特性はこの最大孔食深さ値より、以下の基準にて評価した。
○:30μm未満
△:30μm以上50μm未満
×:50μm以上
得られた結果を表2に記載する。
表2に示したとおり、発明例は、全て、99.9%以上の菌減少率を示し、優れた抗菌特性を有している。また、そのために、最大腐食深さが全て30μm未満であり、優れた耐微生物腐食特性を有している。一方、比較例のNo.29は、鋼中にCu、Ni、Sn、W、Moを含まず、かつAl量が本発明で規定される下限値を下回っているため、比較例のNo.30,57は、鋼中にCu、Ni、Mo、W、Snを含まないため、比較例のNo.31〜35,38,49はAl量が本発明で規定される下限値を下回っているため、比較例のNo.36〜37,50〜54は鋼中のCu、Ni、Mo、W、Sn量が本発明で規定される下限値を下回っているため菌減少率は99.9%に満たず、優れた抗菌性を有しているとはいえない。また、そのために、最大腐食深さが全て30μm以上であり、優れた耐微生物腐食特性を有しているとはいえない。
Figure 2017190522

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.50%以下、
    Si:1.00%以下、
    Mn:0.10%以上3.00%以下、
    P:0.030%以下、
    S:0.0100%以下、
    N:0.0100%以下および
    Al:0.010%以上0.500%以下
    を含有し、さらに
    Cu:0.010%以上2.000%未満、
    Ni:0.010%以上2.000%以下、
    Mo:0.010%以上1.000%以下、
    W:0.010%以上1.000%以下および
    Sn:0.010%以上0.500%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする、鋼材。
  2. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Ca:0.0001%以上0.0100%以下、
    Mg:0.0001%以上0.0200%以下および
    REM:0.0010%以上0.2000%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼材。
  3. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Ti:0.005%以上0.100%以下、
    Zr:0.005%以上0.100%以下、
    Nb:0.005%以上0.100%以下および
    V:0.005%以上0.100%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の鋼材。
  4. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Co:0.01%以上0.50%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の鋼材。
  5. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    B:0.0001%以上0.0300%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の鋼材。
  6. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Cr:0.01%以上0.50%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の鋼材。
  7. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Ag:0.003%以上0.100%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の鋼材。
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