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JP2017166922A - 構造物の固有振動数検出方法及び構造物の固有振動数検出装置 - Google Patents

構造物の固有振動数検出方法及び構造物の固有振動数検出装置 Download PDF

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JP2017166922A JP2016051408A JP2016051408A JP2017166922A JP 2017166922 A JP2017166922 A JP 2017166922A JP 2016051408 A JP2016051408 A JP 2016051408A JP 2016051408 A JP2016051408 A JP 2016051408A JP 2017166922 A JP2017166922 A JP 2017166922A
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Abstract

【課題】構造物の固有振動数の時間による変化をより確実に検出する構造物の固有振動数検出方法を提供する。
【解決手段】支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出方法S1であって、構造物の初期の固有振動数である初期固有振動数を求め、構造物における支持体よりも上方に取付けられた振動センサにより、水平面に沿う水平方向の振動と鉛直方向の振動を第一の時刻に検出する振動検出工程S8と、水平方向の振動及び鉛直方向の振動を入力として、振動数によるコヒーレンス関数の変化を求めるコヒーレンス演算工程S10と、初期固有振動数に値が最も近いコヒーレンス関数のピーク値に対応する振動数を、第一の時刻における構造物の固有振動数とする固有振動数特定工程S12と、を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、構造物の固有振動数検出方法及び構造物の固有振動数検出装置に関する。
従来、橋脚等の構造物の固有振動数を特定するために、一般的に衝撃振動試験が実施されている。衝撃振動試験では、特定される固有振動数の精度は高い。しかし、衝撃振動試験を行うには危険を伴い、衝撃振動試験は固有振動数を常時モニタリングするのには適していない。
一方で、固有振動数を常時モニタリングをすることを目指した手法として、例えば特許文献1に記載された橋脚の健全性評価システムが知られている。
この橋脚の健全性評価システムでは、橋脚の天端(上面)に設けた振動検出部(振動センサ)で計測された振動から得られるフーリエスペクトルのピークにのみ着目し、ピークを示す際の振動数を固有振動数とみなしている。そして、固有振動数がしきい値を超えているときには橋脚が安定であると評価し、固有振動数がしきい値を下回るときには橋脚が不安定であると評価する。
特許第4698466号公報
しかしながら、付帯構造物や地盤の振動の影響等を強く受けるケース等では、固有振動数以外のピークが多数卓越して、固有振動数を正しく特定できない場合がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、構造物の固有振動数の時間による変化をより確実に検出する構造物の固有振動数検出方法及び構造物の固有振動数検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の構造物の固有振動数検出方法は、支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出方法であって、前記構造物の初期の固有振動数である初期固有振動数を求め、前記構造物における前記支持体よりも上方に取付けられた振動センサにより、水平面に沿う水平方向の振動と鉛直方向の振動を第一の時刻に検出する振動検出工程と、前記水平方向の振動及び前記鉛直方向の振動を入力として、振動数によるコヒーレンス関数の変化を求めるコヒーレンス演算工程と、前記初期固有振動数に値が最も近い前記コヒーレンス関数のピーク値に対応する前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とする固有振動数特定工程と、を行うことを特徴としている。
また、本発明の構造物の固有振動数検出装置は、支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出装置であって、前記構造物における前記支持体よりも上方に取付けられた振動センサと、前記振動センサの検出結果に基づいて前記構造物の固有振動数を演算する制御部と、を備え、前記制御部は、前記振動センサにより第一の時刻に検出された水平面に沿う水平方向の振動と鉛直方向の振動を入力として、振動数によるコヒーレンス関数の変化を求め、予め求められた前記構造物の初期の固有振動数に値が最も近い前記コヒーレンス関数のピーク値に対応する前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とすることを特徴としている。
これらの発明によれば、振動センサが第一の時刻に検出した水平方向の振動及び鉛直方向の振動を入力とした振動数によるコヒーレンス関数の変化を求める。そして、初期固有振動数に値が最も近いコヒーレンス関数のピーク値に対応する振動数を、第一の時刻における構造物の固有振動数とする。振動のフーリエスペクトルから構造物の固有振動数を特定しようとしても、固有振動数以外のピークが多数卓越して構造物の固有振動数を正しく特定できない場合がある。コヒーレンス関数から構造物の固有振動数を求めることで、第一の時刻における構造物の固有振動数を確実に特定し、構造物の固有振動数の時間による変化をより確実に検出することができる。
また、上記の構造物の固有振動数検出方法において、前記振動センサは、前記構造物の上面の端部に取付けられていてもよい。
この発明によれば、構造物は構造物の下部を中心に振動するため、構造物の振動の振幅は上面の振幅が最も大きくなる。このため、振動センサによって振動をより確実に検出することができる。
また、上記の構造物の固有振動数検出方法において、前記振動検出工程、前記コヒーレンス演算工程、及び前記固有振動数特定工程を組にして複数回行ってもよい。
この発明によれば、構造物の固有振動数を複数回連続的に検出することができる。
また、本発明の構造物の固有振動数検出方法は、支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出方法であって、前記構造物の初期の固有振動数である初期固有振動数を求め、前記構造物における前記支持体よりも上方に第一の振動センサ及び第二の振動センサを取付け、前記第一の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記構造物の回転中心とを結ぶ線と鉛直方向とのなす角度をα、前記第二の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記回転中心とを結ぶ線と前記鉛直方向とのなす角度をβ、前記第一の振動センサが検出した水平面に沿う水平方向の第一の時刻における振動をAx、前記第一の振動センサが検出した前記鉛直方向の前記第一の時刻における振動をAz、前記第二の振動センサが検出した前記鉛直方向の前記第一の時刻における振動をBzとしたときに、前記支持体の前記第一の時刻における前記水平方向の振動Gxを(1)式により求める支持体振動演算工程と、振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の関係において、前記位相差が0ラジアンからπラジアンまで変化する範囲で前記位相差がπ/2ラジアンとなるときの前記振動数、及び、前記位相差が0ラジアンから−πラジアンまで変化する範囲で前記位相差が−π/2ラジアンとなるときの前記振動数のうち前記初期固有振動数に値が最も近い前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とする固有振動数特定工程と、を行うことを特徴としている。
Gx=Ax−(Az−Bz)/(tanα+tanβ) ・・(1)
また、本発明の構造物の固有振動数検出装置は、支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出装置であって、前記構造物における前記支持体よりも上方に取付けられた第一の振動センサ及び第二の振動センサと、前記第一の振動センサ及び前記第二の振動センサの検出結果に基づいて前記構造物の固有振動数を演算する制御部と、を備え、前記第一の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記構造物の回転中心とを結ぶ線と鉛直方向とのなす角度をα、前記第二の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記回転中心とを結ぶ線と前記鉛直方向とのなす角度をβとしたときに、前記制御部は、前記第一の振動センサにより第一の時刻に検出された、水平面に沿う水平方向の振動Ax、前記鉛直方向の振動Az、及び前記第二の振動センサにより前記第一の時刻に検出された前記鉛直方向の振動Bzから、前記支持体の前記第一の時刻における前記水平方向の振動Gxを(2)式により求め、振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の関係において、前記位相差が0ラジアンからπラジアンまで変化する範囲で前記位相差がπ/2ラジアンとなるときの前記振動数、及び、前記位相差が0ラジアンから−πラジアンまで変化する範囲で前記位相差が−π/2ラジアンとなるときの前記振動数のうち、予め求められた前記構造物の初期の固有振動数に値が最も近い前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とすることを特徴としている。
Gx=Ax−(Az−Bz)/(tanα+tanβ) ・・(2)
これらの発明によれば、2つの振動センサが検出する振動は、それぞれ地盤の振動の影響を受ける。このため、2つの振動センサの振動の差を演算することで、地盤の振動の影響を抑制した構造物自体の振動を求めることができる。一般的に、構造物の水平方向の振動と支持体の水平方向の振動の位相差は、構造物の固有振動数付近の振動数で反転する。
第一の時刻における位相差を求め、この位相差が±π/2ラジアンとなる振動数を構造物の固有振動数とする。これにより、第一の時刻における構造物の固有振動数を確実に特定し、構造物の固有振動数の時間による変化をより確実に検出することができる。
また、上記の構造物の固有振動数検出方法において、前記第一の振動センサ及び前記第二の振動センサは、前記構造物の上面に取付けられていてもよい。
この発明によれば、構造物は構造物の下部を中心に振動するため、構造物の振動の振幅は上面の振幅が最も大きくなる。このため、第一の振動センサ及び第二の振動センサによって振動をより確実に検出することができる。
また、上記の構造物の固有振動数検出方法において、前記支持体振動演算工程及び前記固有振動数特定工程を組にして複数回行ってもよい。
この発明によれば、構造物の固有振動数を複数回連続的に検出することができる。
本発明の構造物の固有振動数検出方法及び構造物の固有振動数検出装置によれば、構造物の固有振動数の時間による変化をより確実に検出することができる。
本発明の第1実施形態の構造物の固有振動数検出装置で固有振動数を検出する対象となる橋梁の概要を示す斜視図である。 同構造物の固有振動数検出装置のブロック図である。 本発明の第1実施形態の構造物の固有振動数検出方法を示すフローチャートである。 同構造物の固有振動数検出方法で検出された橋軸直角方向の振動のフーリエスペクトルの一例を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法で求められた振動数によるコヒーレンス関数の変化の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態の構造物の固有振動数検出装置のブロック図である。 橋脚及び振動センサの長さや角度等の規定を説明するための図である。 本発明の第2実施形態の構造物の固有振動数検出方法を示すフローチャートである。 同構造物の固有振動数検出方法で検出された橋軸直角方向の振動のフーリエスペクトルの一例を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法で求められた振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の一例を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた振動数に対する位相差の一例を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた、河川の流れの上流側となる第一の振動センサで検出された橋軸直角方向の加速度と鉛直方向の加速度との関係を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた、河川の流れの下流側となる第二の振動センサで検出された橋軸直角方向の加速度と鉛直方向の加速度との関係を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた推定した地盤の振動と実際に測定した地盤の振動との違いを、振動数と加速度スペクトルとの関係で示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた推定した地盤の振動と実際に測定した地盤の振動との違いを、振動数と位相差との関係で示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた、実際に測定した橋脚の上面の端部の橋軸直角方向の振動と実際に測定した地盤の橋軸直角方向の振動とによるフーリエスペクトル比と振動数との関係を示す図である。 同構造物の固有振動数検出方法を確認するための実験で得られた、実際に測定した橋脚の上面の端部の橋軸直角方向の振動と推定した地盤の橋軸直角方向の振動とによるフーリエスペクトル比と振動数との関係を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る橋脚(構造物)の固有振動数検出装置(以下、単に検出装置とも略称する)の第1実施形態を、図1から図5を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本検出装置1は、地盤である川底(支持体)R2a上に配置された橋梁Bの橋脚B1の固有振動数を検出するためのものである。以下では、橋梁Bが鉄道橋である場合を例にとって説明する。図2では、橋梁Bのうち橋脚B1のみを示している。
橋梁Bは、橋軸方向Yに間隔をおいて配置された橋脚B1上に橋桁B2が支持されて構成されている。橋桁B2上には、軌道B3が固定されている。橋桁B2及び軌道B3は橋軸方向Yに延び、軌道B3の幅方向が橋軸直角方向(水平方向)Xとなる。これら橋軸方向Y及び橋軸直角方向Xは、例えば水平面に沿う方向である。
橋脚B1は、石材、レンガ又はコンクリート等の剛体で構成されている。橋桁B2及び軌道B3は、主に鋼材で形成されている。
図2に示すように、橋脚B1の下部に設けられた基礎B5は、初期においては河川R1の二点鎖線で示す川底R2に固定されている。河川R1を流れる水によって基礎B5の周辺の川底R2がえぐられる洗掘Sが生じると、川底R2の形状が川底R2aのようになる。洗掘Sが生じた橋脚B1は、川底R2aに対する固定が不安定になる。
本検出装置1は、橋脚B1の上面B1aに取付けられた振動センサ11と、振動センサ11の検出結果に基づいて橋脚B1の固有振動数を演算する制御部16と、を備えている。
振動センサ11には、例えば互いに直交する2方向の振動(速度又は加速度)を検出可能な公知の速度センサ又は加速度センサを用いることができる。振動センサ11は、橋脚B1における川底R2aよりも上方である、橋脚B1の上面B1aの端部に取付けられている。振動センサ11は、検出した振動を例えば電位差として出力する。
制御部16は、バス17に接続された演算回路18、メモリ19、入力部20、表示部21、及び入出力I/F(インターフェイス)22を有している。
演算回路18は、中央処理部(CPU)等を有している。
メモリ19には、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)が用いられる。メモリ19には、演算回路18を制御するためのプログラム等が記憶されている。プログラムには、後述する高速フーリエ変換を行ったり、コヒーレンス関数を演算したりするためのプログラムが含まれる。
入力部20は、図示しないキーボード、及びマウス等のポインティングデバイスを有している。使用者がキーボード等から入力した指示は、入力部20から演算回路18に送信される。
表示部21は、図示しない液晶パネル等を有している。表示部21は、演算回路18から送信された信号を液晶パネルに表示する。
入出力I/F22は、USB(Universal Serial Bus)等の規格に対応している。入出力I/F22は、振動センサ11が接続可能になっている。
これらバス17、演算回路18、メモリ19、入力部20、表示部21、及び入出力I/F(インターフェイス)22を有する制御部16としては、公知のパーソナルコンピュータを用いることができる。
次に、以上のように構成された本検出装置1の作用について説明する。図3は本発明の第1実施形態における橋脚の固有振動数検出方法(以下、単に検出方法とも略称する)S1を示すフローチャートである。本検出装置1が起動されると、制御部16の演算回路18はメモリ19に記憶されたプログラムを読み込む。
まず、初期固有振動数特定工程(ステップS6、図3参照)において、使用者は公知の衝撃荷重試験等を行い、橋脚B1の初期の固有振動数である初期固有振動数を予め求める。例えば、初期固有振動数が18Hz(ヘルツ)と求められたとする。使用者は、この初期固有振動数を表示部21の表示を確認しながら入力部20から入力し、制御部16のメモリ19に記憶させる。
次に、振動検出工程(ステップS8)において、振動センサ11により、橋軸直角方向Xの振動と鉛直方向Zの振動を第一の時刻に検出する。なお、水平方向を橋軸方向Yとしてもよいし、橋軸直角方向Xと橋軸方向Yとの間の方向としてもよい。振動センサ11は、検出した各振動を信号に変換して制御部16に送信する。
次に、コヒーレンス演算工程(ステップS10)において、制御部16の演算回路18は、橋軸直角方向Xの振動及び鉛直方向Zの振動を入力として、振動数によるコヒーレンス関数の変化を求める。
具体的には、使用者は橋脚B1の上面B1aに振動センサ11を取付ける。橋脚B1に振動センサ11を取付けるには、公知の接着剤等を用いることができる。橋脚B1は橋脚B1の下部を中心に振動するため、橋脚B1の振動の振幅は上面B1aの振幅が最も大きくなる。このため、振動センサ11によって橋脚B1の振動がより確実に検出される。
振動センサ11が検出した橋軸直角方向Xの振動及び鉛直方向Zの振動を高速フーリエ変換し、各振動のフーリエスペクトルを演算する。図4に、橋軸直角方向Xの振動のフーリエスペクトルの一例を示す。図4の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸は加速度スペクトル(μm/s・s)を表す。
図4の振動のフーリエスペクトルでは、固有振動数以外のピークが多数卓越し、18Hzである初期固有振動数ωに値が近い加速度スペクトルのピーク値を特定しにくい。一般的に、橋脚B1に洗掘Sが生じると初期固有振動数よりも固有振動数が小さくなる。例えば、初期固有振動数よりも固有振動数が2、3割低下したときに洗掘Sが生じたとみなす、と規定される。
演算回路18は、コヒーレンス関数を演算するためのプログラムを用いて橋軸直角方向Xの振動及び鉛直方向Zの振動を入力として求めた振動数によるコヒーレンス関数の変化を演算する。図5に、振動数によるコヒーレンス関数の変化を示す。図5の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸はコヒーレンスを表す。コヒーレンスは0以上1以下の値をとり、値が1に近づくにしたがって変数間の相関が高くなる。振動センサ11が検出した橋軸直角方向Xの振動及び鉛直方向Zの振動は橋桁B2及び軌道B3の影響を受けるため、コヒーレンスは1にはなりにくい。
次に、固有振動数特定工程(ステップS12)において、初期固有振動数ωに値が最も近いコヒーレンス関数のピーク値に対応する振動数を、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数とする。具体的には、図5において18Hzである初期固有振動数ω近くでは、約11.4Hzの振動数ω、約17.6Hzの振動数ωがコヒーレンス関数のピーク値となっている。|x|が変数xの絶対値を表すとしたときに、|ω−ω|は約6.6Hz、|ω−ω|は約0.4Hzとなる。このため、初期固有振動数ωに値が最も近いコヒーレンス関数のピーク値に対応する振動数ωは、ピーク値に対応する振動数と初期固有振動数ωとの差の絶対値が最も小さいもので、振動数ωの約17.6Hzとなる。この振動数ωを、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数とする。この場合、固有振動数の低下率は(18−17.6)/18の式から0.02なので、例えば洗掘Sは生じていないと判断される。
このように、橋脚B1の健全性が評価される。
以上で、本検出方法S1の全ての工程を終了する。こうして、橋脚B1の固有振動数が初期固有振動数ω、第一の時刻において固有振動数ωと、橋脚B1の固有振動数の時間による変化が検出される。
必要に応じて、初期固有振動数特定工程S6の後で、振動検出工程S8、コヒーレンス演算工程S10、及び固有振動数特定工程S12を組にして複数回行ってもよい。すなわち、振動検出工程S8において第一の時刻よりも後の第二の時刻における橋軸直角方向Xの振動と鉛直方向Zの振動を検出し、コヒーレンス演算工程S10において振動数によるコヒーレンス関数の変化を求める。固有振動数特定工程S12において、第二の時刻における橋脚B1の固有振動数を演算する。工程S8、S10、S12を複数回行うことで、さらに第二の時刻よりも後の第三の時刻、第四の時刻、‥、における橋脚B1の固有振動数が演算される。
本検出方法S1をこのように行うことで、橋脚B1の固有振動数が複数回連続的に検出される。
以上説明したように、本実施形態の検出装置1及び検出方法S1によれば、振動センサ11が第一の時刻に検出した橋軸直角方向Xの振動及び鉛直方向Zの振動を入力とした振動数によるコヒーレンス関数の変化を求める。そして、初期固有振動数ωに値が最も近いコヒーレンス関数のピーク値に対応する振動数ωを、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数とする。振動のフーリエスペクトルから橋脚B1の固有振動数を特定しようとしても、固有振動数以外のピークが多数卓越して橋脚B1の固有振動数を正しく特定できない場合がある。コヒーレンス関数から橋脚B1の固有振動数を求めることで、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数を確実に特定し、橋脚B1の固有振動数の時間による変化をより確実に検出することができる。
本検出方法S1は振動が微小である場合を基にしたものであるため、橋脚B1に振動センサ11を一旦取付ければ、現地となる橋脚B1付近でのその後の作業は不要となり、使用者の安全を確保することができる。
また、従来の振動が微小である場合を基にした検出方法と比較して、橋脚B1の固有振動数をより正確に推定できるため、橋脚B1の健全度を正確に評価することができる。
振動センサ11は、橋脚B1の上面B1aに取付けられている。橋脚B1は橋脚B1の下部を中心に振動するため、橋脚B1の振動の振幅のうち上面B1aのものが最も大きくなる。このため、振動センサ11によって振動をより確実に検出することができる。
振動検出工程S8、コヒーレンス演算工程S10、及び固有振動数特定工程S12を組にして複数回行うことで、橋脚B1の固有振動数を複数回連続的に検出することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6から図17を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態の検出装置2は、第1実施形態の検出装置1の振動センサ11及び制御部16に代えて、第一の振動センサ31、第二の振動センサ32、及び制御部36を備えている。
振動センサ31、32は、振動センサ11と同様に構成されている。振動センサ31、32は、橋脚B1における川底R2aよりも上方である、橋脚B1の上面B1aの端部に取付けられている。例えば、第一の振動センサ31は上面B1aの橋軸直角方向Xの一方(上流)側の端部に取付けられ、第二の振動センサ32は上面B1aの橋軸直角方向Xの他方(下流)側の端部に取付けられている。振動センサ31、32は、入出力I/F22に接続可能になっている。
制御部36は、制御部16のメモリ19に代えてメモリ37を備えている。メモリ37に記憶されるプログラムには、後述する高速フーリエ変換を行ったり、位相差の反転を検出したりするためのプログラム等が含まれる。
ここで、橋脚B1、振動センサ31、32の長さや角度等について、図7に示すように規定を行う。
橋脚B1が振動するときの回転中心をCとする。橋脚B1の上面B1aにおける振動センサ31、32を取付けた位置をP1、P2とする。振動センサ31、32は、同じ高さに配置されているとする。回転中心Cを通り水平面に平行な基準面Tを規定する。位置P1、P2を基準面Tに対して鉛直方向Zに投影した点を、P1a、P2aとする。回転中心Cから振動センサ31、32までの鉛直方向Zの距離をh(m)とする。位置P1と回転中心Cとを結ぶ線L1と鉛直方向Zとのなす角度をα(ラジアン)とし、位置P2と回転中心Cとを結ぶ線L2と鉛直方向Zとのなす角度をβ(ラジアン)とする。
橋脚B1が振動するときに、回転中心Cを中心に第一の振動センサ31が移動する軌跡の位置P1における接線の傾きをaとする。橋脚B1が振動するときに、回転中心Cを中心に第二の振動センサ32が移動する軌跡の位置P2における接線の傾きを−bとする。ただし、a及びbは正の数である。傾きaは、位置P1における接線が橋軸直角方向Xに1変化したときの鉛直方向Zの変化量である。傾き−bは、位置P2における接線が橋軸直角方向Xに1変化したときの鉛直方向Zの変化量である。
橋軸直角方向Xは、上流側から下流側に向かう向きを正とする。鉛直方向Zは、下方から上方に向かう向きを正とする。このとき、(3)式及び(4)式の関係が成り立つ。
tanα=a ・・(3)
tanβ=b ・・(4)
回転中心Cと点P1aとの距離、及び回転中心Cと点P2aとの距離は、(5)式及び(6)式のように求められる。
h×tanα=ah ・・(5)
h×tanβ=bh ・・(6)
すなわち、回転中心Cは点P1a、P2a間をa:bに内分する点である。
第一の振動センサ31が検出した橋軸直角方向Xの振動(振動波形)を、Axとする。同様に、第一の振動センサ31が検出した鉛直方向Zの振動を、Azとする。第二の振動センサ32が検出した橋軸直角方向Xの振動を、Bxとする。第二の振動センサ32が検出した鉛直方向Zの振動を、Bzとする。川底R2aについて推定される橋軸直角方向Xの振動を、Gxとする。川底R2aについて推定される鉛直方向Zの振動を、Gzとする。
橋軸直角方向Xの振動Axのうち、橋脚B1の一次振動(橋脚B1自体の振動)による成分をAsxとする。橋軸直角方向Xの振動Bxのうち、橋脚B1の一次振動による成分をBsxとする。鉛直方向Zの振動Azのうち、橋脚B1の一次振動による成分をAszとする。鉛直方向Zの振動Bzのうち、橋脚B1の一次振動による成分をBszとする。
なお、例えば、振動Axの単位はmであり、振動Axは、時間t(秒)の関数としてAx(t)と表すことができる。
このとき、振動Az、Bzは(7)式及び(8)式のように近似することができる。
Az=Asz+Gz ・・(7)
Bz=Bsz+Gz ・・(8)
また、傾きa、bの幾何学的関係から、(9)式が導かれる。
Asz=(−a/b)・Bsz ・・(9)
(7)式から(9)式より、
Asz=Az−Gz
=Az−(Bz−Bsz)
=Az−Bz−(b/a)・Asz ・・(10)
したがって、(11)式が得られる。
Asz={a/(a+b)}・(Az−Bz) ・・(11)
振動Azと振動Bzとの差を求めることで、川底R2aの振動の影響を除外した橋脚B1自身の振動が得られる。
振動Asxと振動Aszとの幾何学的関係から、(12)式が導かれる。
Asx=(1/a)・Asz ・・(12)
(12)式の右辺に(11)式を代入すると、(13)式が導かれる。
Asx={1/(a+b)}・(Az−Bz) ・・(13)
また、振動Axを(14)式のように近似することができる。
Ax=Asx+Gx ・・(14)
(14)式及び(13)式から、(15)式が得られる。
Gx=Ax−Asx
=Ax−(Az−Bz)/(a+b) ・・(15)
(15)式に(3)式及び(4)式を代入すると、(16)式が導かれる。
Gx=Ax−(Az−Bz)/(tanα+tanβ) ・・(16)
次に、以上のように構成された本検出装置2の作用について説明する。図8は本発明の第2実施形態における検出方法S21を示すフローチャートである。本検出装置2が起動されると、制御部16の演算回路18はメモリ37に記憶されたプログラムを読み込む。
まず、前述の、初期固有振動数特定工程S6(図8参照)を行い、橋脚B1の初期の固有振動数である初期固有振動数ωを予め求める。例えば、初期固有振動数ωが17Hzと求められたとする。使用者は、この初期固有振動数ωを入力部20から入力し、制御部16のメモリ37に記憶させる。
次に、センサ取付け工程(ステップS26)において、使用者は橋脚B1の上面B1aに振動センサ31、32を取付ける。
次に、支持体振動演算工程(ステップS28)において、制御部36の演算回路18は、振動センサ31、32により第一の時刻における振動Ax、Az、Bx、Bzを検出し、橋脚B1の第一の時刻における橋軸直角方向Xの振動Gxを(16)式により求める。なお、振動Bxは検出しなくてもよい。橋脚B1は橋脚B1の下部を中心に振動するため、橋脚B1の振動の振幅のうち上面B1aのものが最も大きくなる。このため、振動センサ31、32によって振動がより確実に検出される。
演算回路18は、第一の振動センサ31で測定した橋軸直角方向Xの振動等を高速フーリエ変換し、振動のフーリエスペクトルを求める。このとき求められたフーリエスペクトルは、例えば図9に示すようになる。なお、図9は後述する実験の結果である。図9の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸は加速度スペクトル(gal・s)を表す。1galは、0.01m/sである。図9の振動のフーリエスペクトルでは、固有振動数以外のピークが多数卓越し、17Hzである初期固有振動数ωに値が近い加速度スペクトルのピーク値を特定しにくい。
次に、固有振動数特定工程(ステップS30)において、振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の関係において、この位相差が0ラジアンからπラジアンまで変化する振動数の範囲で位相差がπ/2ラジアンとなるときの振動数、及び、位相差が0ラジアンから−πラジアンまで変化する振動数の範囲で位相差が−π/2ラジアンとなるときの振動数のうち初期固有振動数ωに値が最も近い振動数を、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数とする。
一般的に、橋脚B1の橋軸直角方向Xの振動と川底R2aの橋軸直角方向Xの振動の位相差は、橋脚B1の固有振動数付近の振動数でπ/2ラジアン又は−π/2ラジアンとなる。
図10に、振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の関係を示す。図10の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸は位相差(ラジアン)を表す。
17Hzである初期固有振動数ωに値が最も近い位相差が±π/2ラジアンとなるときの振動数は約17.0Hzであるため、この振動数を、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数ωとする。すなわち、第一の時刻の固有振動数ωは初期固有振動数ωから変化がなく、橋脚B1の健全度は初期の状態と第一の時刻の状態とで変化がないと評価する。
この場合、固有振動数に変化がないため、洗掘Sは生じていないと判断される。
以上で、本検出方法S21の全ての工程を終了する。こうして、橋脚B1の固有振動数が初期固有振動数ω、第一の時刻において固有振動数ωと、橋脚B1の固有振動数の時間による変化が検出される。
必要に応じて、センサ取付け工程S26の後で、支持体振動演算工程S28及び固有振動数特定工程S30を組にして複数回行ってもよい。すなわち、振動検出工程S28において第一の時刻よりも後の第二の時刻における振動Ax、Az、Bx、Bzを検出し、橋軸直角方向Xの振動Gxを求める。固有振動数特定工程S30において、第二の時刻における橋脚B1の固有振動数を演算する。工程S28、S30を複数回行うことで、さらに第二の時刻よりも後の第三の時刻、第四の時刻、‥、における橋脚B1の固有振動数が演算される。
本検出方法S21をこのように行うことで、橋脚B1の固有振動数が複数回連続的に検出される。
次に、模型の橋脚B1を用いて実験した結果について説明する。
模型の橋脚B1では、橋脚B1の下部の地盤に加速度センサである補助振動センサを取付けて実験した。この実験では、前述の距離hは0.29m、振動センサ31、32間の距離である(ah+bh)の値は0.25mとした。この場合、(a+b)の値は(17)式より0.86となる。
0.25/0.29=0.86 ・・(17)
第一の振動センサ31で測定した橋軸直角方向Xの振動と、補助振動センサで測定した橋軸直角方向Xの振動との位相差は、図11に示すようになる。図11の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸は位相差(ラジアン)を表す。位相差が±π/2ラジアンとなる振動数から、固有振動数が17Hz付近であるであることが分かる。
模型の橋脚B1の固有振動数が知られた(既知の)状態で、固有振動数付近の振動数でband pass filter処理を行い、図12及び図13に示すようにリサージュ曲線を描いた。図12は、河川の流れの上流側となる第一の振動センサ31の検出結果である。横軸は橋軸直角方向Xの加速度(gal)を表し、縦軸は鉛直方向Zの加速度(gal)を表す。橋軸直角方向Xの加速度と鉛直方向Zの加速度とを最小二乗法により直線の式で近似したときに、直線L6の式は(18)式のようになった。
y=0.5044x−0.2269 ・・(18)
図13は、河川の流れの下流側となる第二の振動センサ32の検出結果である。横軸は橋軸直角方向Xの加速度(gal)を表し、縦軸は鉛直方向Zの加速度(gal)を表す。橋軸直角方向Xの加速度と鉛直方向Zの加速度とを最小二乗法により直線の式で近似したときに、直線L7の式は(19)式のようになった。
y=−0.372x−0.3158 ・・(19)
すなわち、図7における傾きaが0.5044となり、傾きbが0.372となる。この場合、(a+b)の値は0.87となり、(17)式の値と概ね一致した。
この実験条件を用いて、図14に推定値である橋軸直角方向Xの振動Gxを表す実線の曲線L9と、実際に測定した補助振動センサによる橋軸直角方向Xの振動を表す点線の曲線L10とを示す。図14の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸は加速度スペクトル(gal・s)を表す。図14から、推定した地盤の振動と実際に測定した地盤の振動とがよく一致していることが分かる。図15は、推定値である振動Gxと実際に測定した振動との位相差を示す。図15の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸は位相差(ラジアン)を表す。振動数(Hz)によらず位相差が0に近く、推定した地盤の振動と実際に測定した地盤の振動とがよく一致していることが分かる。
このことから、橋脚B1の一次振動による固有振動数を求めるという目的において必要な振動数帯域については、本発明において前提とした「橋脚B1の振動は、橋脚B1の一次振動による成分と地盤の振動の和と近似される」という、(7)式及び(8)式の仮定が妥当であることが分かる。
従来の固有振動数検出方法では、前述の図9のみから橋脚B1の固有振動数を判断している。
既存の知見として、橋脚の振動を実際に測定するだけでなく、地盤の振動も実際に併せて測定していれば、例えば橋脚の上面の端部の橋軸直角方向の振動と地盤の橋軸直角方向の振動との差のフーリエスペクトル比が卓越する振動数を、固有振動数とすることができることが知られている。
図16は、模型の橋脚B1において第一の振動センサ31で実際に測定した橋脚B1の上面B1aの端部の橋軸直角方向Xの振動から得られるフーリエスペクトルのフーリエ振幅と、補助振動センサで実際に測定した地盤の橋軸直角方向Xの振動から得られるフーリエスペクトルのフーリエ振幅との比であるフーリエスペクトル比と、振動数との関係を示す図である。図16の横軸は振動数(Hz)を表し、縦軸はフーリエスペクトル比(−)を表す。17Hzである固有振動数ωでフーリエスペクトル比が卓越していることが分かる。
ただし、実際の河川では、橋脚の下部の地盤の橋軸直角方向の振動を測定するのは困難である。
実際に測定した地盤の橋軸直角方向Xの振動に代えて、前述の方法で推定した地盤である川底R2aの橋軸直角方向Xの振動Gxを用いて得られたフーリエスペクトル比と振動数との関係を図17に示す。図16と同様に、17Hzである固有振動数ωでフーリエスペクトル比が卓越していることが分かる。図17から、卓越しているフーリエスペクトル比に対応する振動数ωが17Hzと分かり、これを橋脚B1の固有振動数とする。
このフーリエスペクトル比を用いた固有振動数の特定は、前述の図9による固有振動数の特定よりも容易である。
位相差が反転するときの振動数において、併せてこの振動数においてフーリエスペクトル比が卓越していることを確認することで、固有振動数の特定精度を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態の検出装置2及び検出方法S21によれば、振動センサ31、32が検出する振動は、それぞれ地盤である川底R2aの振動の影響を受ける。このため、振動センサ31、32の振動の差を演算することで、川底R2aの振動の影響を抑制した橋脚B1自体の振動を求めることができる。
第一の時刻における位相差を求め、この位相差が±π/2ラジアンとなる振動数を橋脚B1の固有振動数とする。これにより、第一の時刻における橋脚B1の固有振動数を確実に特定し、橋脚B1の固有振動数の時間による変化をより確実に検出することができる。
振動センサ31、32は、橋脚B1の上面B1aに取付けられている。橋脚B1は橋脚B1の下部を中心に振動するため、橋脚B1の振動の振幅は上面B1aの振幅が最も大きくなる。このため、振動センサ31、32によって振動をより確実に検出することができる。
支持体振動演算工程S28及び固有振動数特定工程S30を組にして複数回行うことで、橋脚B1の固有振動数を複数回連続的に検出することができる。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態では、振動センサ11は、橋脚B1の上面B1aでなく橋脚B1の鉛直方向Zの中間部に取付けられてもよい。振動センサ31、32についても同様である。
支持体は川底R2aでなく、地盤やコンクリート等の基礎であってもよい。
橋梁Bは鉄道橋であるとしたが、橋梁は道路橋等であるとしてもよい。構造物は橋脚B1に限定されず、橋梁B自体や、建築物等でもよい。
1、2 検出装置(橋脚の固有振動数検出装置)
11 振動センサ
31 第一の振動センサ
32 第二の振動センサ
B1 橋脚(構造物)
B1a 上面
C 回転中心
L1、L2 線
R2a 川底(支持体)
S1、S21 検出方法(橋脚の固有振動数検出方法)
S8 振動検出工程
S10 コヒーレンス演算工程
S12、S30 固有振動数特定工程
S28 支持体振動演算工程
X 橋軸直角方向(水平方向)
Z 鉛直方向
ω 初期固有振動数

Claims (8)

  1. 支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出方法であって、
    前記構造物の初期の固有振動数である初期固有振動数を求め、
    前記構造物における前記支持体よりも上方に取付けられた振動センサにより、水平面に沿う水平方向の振動と鉛直方向の振動を第一の時刻に検出する振動検出工程と、
    前記水平方向の振動及び前記鉛直方向の振動を入力として、振動数によるコヒーレンス関数の変化を求めるコヒーレンス演算工程と、
    前記初期固有振動数に値が最も近い前記コヒーレンス関数のピーク値に対応する前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とする固有振動数特定工程と、
    を行うことを特徴とする構造物の固有振動数検出方法。
  2. 前記振動センサは、前記構造物の上面の端部に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の固有振動数検出方法。
  3. 前記振動検出工程、前記コヒーレンス演算工程、及び前記固有振動数特定工程を組にして複数回行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の固有振動数検出方法。
  4. 支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出方法であって、
    前記構造物の初期の固有振動数である初期固有振動数を求め、
    前記構造物における前記支持体よりも上方に第一の振動センサ及び第二の振動センサを取付け、
    前記第一の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記構造物の回転中心とを結ぶ線と鉛直方向とのなす角度をα、前記第二の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記回転中心とを結ぶ線と前記鉛直方向とのなす角度をβ、前記第一の振動センサが検出した水平面に沿う水平方向の第一の時刻における振動をAx、前記第一の振動センサが検出した前記鉛直方向の前記第一の時刻における振動をAz、前記第二の振動センサが検出した前記鉛直方向の前記第一の時刻における振動をBzとしたときに、
    前記支持体の前記第一の時刻における前記水平方向の振動Gxを(1)式により求める支持体振動演算工程と、
    振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の関係において、前記位相差が0ラジアンからπラジアンまで変化する範囲で前記位相差がπ/2ラジアンとなるときの前記振動数、及び、前記位相差が0ラジアンから−πラジアンまで変化する範囲で前記位相差が−π/2ラジアンとなるときの前記振動数のうち前記初期固有振動数に値が最も近い前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とする固有振動数特定工程と、
    を行うことを特徴とする構造物の固有振動数検出方法。
    Gx=Ax−(Az−Bz)/(tanα+tanβ) ・・(1)
  5. 前記第一の振動センサ及び前記第二の振動センサは、前記構造物の上面に取付けられていることを特徴とする請求項4に記載の構造物の固有振動数検出方法。
  6. 前記支持体振動演算工程及び前記固有振動数特定工程を組にして複数回行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の構造物の固有振動数検出方法。
  7. 支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出装置であって、
    前記構造物における前記支持体よりも上方に取付けられた振動センサと、
    前記振動センサの検出結果に基づいて前記構造物の固有振動数を演算する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記振動センサにより第一の時刻に検出された水平面に沿う水平方向の振動と鉛直方向の振動を入力として、振動数によるコヒーレンス関数の変化を求め、
    予め求められた前記構造物の初期の固有振動数に値が最も近い前記コヒーレンス関数のピーク値に対応する前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とすることを特徴とする構造物の固有振動数検出装置。
  8. 支持体上に配置された構造物の固有振動数を検出する構造物の固有振動数検出装置であって、
    前記構造物における前記支持体よりも上方に取付けられた第一の振動センサ及び第二の振動センサと、
    前記第一の振動センサ及び前記第二の振動センサの検出結果に基づいて前記構造物の固有振動数を演算する制御部と、
    を備え、
    前記第一の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記構造物の回転中心とを結ぶ線と鉛直方向とのなす角度をα、前記第二の振動センサを前記構造物に取付けた位置と前記回転中心とを結ぶ線と前記鉛直方向とのなす角度をβとしたときに、
    前記制御部は、
    前記第一の振動センサにより第一の時刻に検出された、水平面に沿う水平方向の振動Ax、前記鉛直方向の振動Az、及び前記第二の振動センサにより前記第一の時刻に検出された前記鉛直方向の振動Bzから、前記支持体の前記第一の時刻における前記水平方向の振動Gxを(2)式により求め、
    振動数に対する振動Axと振動Gxとの位相差の関係において、前記位相差が0ラジアンからπラジアンまで変化する範囲で前記位相差がπ/2ラジアンとなるときの前記振動数、及び、前記位相差が0ラジアンから−πラジアンまで変化する範囲で前記位相差が−π/2ラジアンとなるときの前記振動数のうち、予め求められた前記構造物の初期の固有振動数に値が最も近い前記振動数を、前記第一の時刻における前記構造物の固有振動数とすることを特徴とする構造物の固有振動数検出装置。
    Gx=Ax−(Az−Bz)/(tanα+tanβ) ・・(2)
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