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JP2017145198A - トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体、それからなる有機電子デバイス形成用アルコール不溶性塗膜、及びそれを用いた有機電子デバイス - Google Patents

トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体、それからなる有機電子デバイス形成用アルコール不溶性塗膜、及びそれを用いた有機電子デバイス Download PDF

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JP2017145198A JP2016025894A JP2016025894A JP2017145198A JP 2017145198 A JP2017145198 A JP 2017145198A JP 2016025894 A JP2016025894 A JP 2016025894A JP 2016025894 A JP2016025894 A JP 2016025894A JP 2017145198 A JP2017145198 A JP 2017145198A
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Abstract

【課題】アルコール溶媒に対して不溶で、かつ、塗布法により機能分離された積層構造を形成することができる新規化合物、具体的には、下層のホール輸送層及び上層の電子輸送層を溶解させることなく積層可能な発光層の高い三重項状態の励起エネルギー及び電荷注入・輸送を併せ持つりん光ホスト材料として好適な新規化合物、及び該新規化合物を用いた有機電子デバイスの提供。
【解決手段】式(1)で代表される化合物を含むトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体。
Figure 2017145198

【選択図】なし

Description

本発明は、塗布型有機電子デバイスに好適に用いることができる新規トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体、及びそれを用いた有機電子デバイスに関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という。)のような有機電子デバイスは、高度に機能分離された積層構造やドーピングが必要不可欠である。一般に、有機EL素子用材料には低分子系有機物と高分子系有機物とがある。このうち、低分子系有機物には、薄膜を成膜して積層構造を形成するのに、真空蒸着法を用いることが一般的であり、蒸着法を用いることにより独立の機能を有する有機層の積層構造を容易に形成することができ、高性能な有機EL素子を作製することができる。現在では、有機EL素子において優れた性能を発現する低分子系有機物が合成され、実用化レベルまで達している。しかしながら、蒸着法では、真空中で成膜するために大面積化が難しく、材料の利用効率も充分ではない。
一方、高分子系有機物は、その製造方法として、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、浸漬法、スプレー法及び印刷法等の塗布法が用いられる。これらは大気圧下に成膜することが可能であり、蒸着法に比べて大面積化が容易である。また、材料の利用効率も高いためにコスト面で有利である。しかしながら、積層構造を形成する際に下層の有機物が溶剤に溶けてしまい、積層化が難しい。また、高分子系有機物は低分子系有機物に比べると精製が難しく、不純物の影響が現れやすい。また、塗布法を用いるために、積層化が難しく、それゆえ、機能分離も難しく、有機EL素子の性能は蒸着法にて成膜する低分子系有機物に比べて低い傾向にある。したがって、高分子系有機物よりも性能面で優れる低分子系有機物を用いて、大気圧で成膜することが可能で、大面積化が容易である塗布法により有機EL素子を作製する方法が要望されている。
ところで、特許文献1には、低分子系のりん光ホスト材料として、例えば、以下のようなインドロカルバゾール化合物が開示され、これを使用した有機EL素子は、高効率かつ高い駆動安定性を示すことが開示されている。
Figure 2017145198
特許文献2には、例えば、以下のようなインドロカルバゾール化合物が開示され、これを使用した有機EL素子は発光特性、駆動寿命及び耐久性において優れることが開示されている。
Figure 2017145198
さらに、特許文献2には、インドロカルバゾール化合物として、インドロカルバゾール骨格の窒素上にN−置換カルバゾリル基を有することにより、正孔及び電子の注入輸送特性を示し、かつ、高い耐久性を有することができ、さらに、もう一方の窒素上の芳香環の種類又は数を変えることにより、正孔及び電子の移動速度を調整でき、かつ、イオン化ポテンシャル(Ip)、電子親和力(Ea)及び三重項状態の励起エネルギー(T1)が制御できることが開示されている。また、インドロカルバゾール化合物中に芳香環を連結することで、共役系を介した分子の電子的安定性から、移動度の高い材料を提供できることが期待できるとして、例えば、発光層中でドーパントとのキャリアバランスを調整することで、大幅に性能を改善した有機EL素子が実現できる可能性があることが開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2のいずれも、これらの化合物を真空蒸着法によって積層させており、大面積化が難しい、又は、材料の利用効率が十分でない、といった蒸着法を用いることの問題点は依然としてある。
一方、特許文献3には、塗布法により発光層の上に電子輸送層を積層可能な発光層のホスト材料として、以下のようなフェニルカルバゾール基置換ジフェニルケトン化合物が開示されている。
Figure 2017145198
しかしながら、前記フェニルカルバゾール基置換ジフェニルケトン化合物は、従来の有機EL素子と比べて駆動寿命が短いという問題点が存在する。
したがって、大面積化が難しい、又は、材料の利用効率が十分でない、といった蒸着法を用いることの問題点を解決し、かつ、高い三重項状態の励起エネルギー(T1)及び電荷注入・輸送性を併せ持つ低分子材料を開発する必要があった。
国際公開第2008/056746号 国際公開第2013/088973号 特開2014−156420号公報
本発明は、塗布型有機電子デバイスの材料として好適な新規トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を提供することを課題とする。
本発明は、上記した従来技術における課題を解決するものであり、以下の事項からなる。
本発明のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、下記構造式(1)〜(4)のいずれかで表されることを特徴とする。
Figure 2017145198
本発明の有機電子デバイス形成用アルコール不溶性塗膜は、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体からなることを特徴とする。
本発明の有機電子デバイスは、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体、又は上記アルコール不溶性塗膜を用いて得られることを特徴とする。
本発明の有機電子デバイスの製造方法は、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を塗布成膜した層上に、塗布成膜により層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、有機電子デバイスの積層に通常用いられるアルコール溶媒に対して、耐溶媒性を示すため、塗布型有機EL素子の材料として好適である。
上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を用いた有機電子デバイスは、既存のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を用いた有機電子デバイスと同等の低い駆動電圧、及び同等の高い発光効率を示す。
本発明によれば、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体がアルコール溶媒に対して耐溶剤性を示すため、発光層ホスト材料であるトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を、下層のホール輸送層を溶解させることなく積層することができ、また、発光層上に電子輸送層を溶解させることなく積層することができる。よって、本発明のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を用いれば、塗布法による有機EL素子における積層構造の形成が可能である。このような製造方法によれば、大気中での作業が可能となり、有機電子デバイスの大型化・量産化を安価かつ容易に実現できることが期待される。
図1(a)は化合物(1)のメタノールに対する残膜性試験におけるUV−vis吸収スペクトルを表し、図1(b)は化合物(2)のメタノールに対する残膜性試験におけるUV−vis吸収スペクトルを表し、図1(c)は化合物(3)のメタノールに対する残膜性試験におけるUV−vis吸収スペクトルを表し、図1(d)は化合物(4)のメタノールに対する残膜性試験におけるUV−vis吸収スペクトルを表す図である。 図2は、既存の化合物A−2のメタノールに対する残膜性試験におけるUV−vis吸収スペクトルを表す図である。 図3は、塗布型有機EL素子の層構成を示した概略断面図である。 図4(a)は、塗布型有機EL素子に電流5mA/cm2を流したときのELスペクトルを表す図である。 図4(b)は、塗布型有機EL素子の電流密度−電圧特性の関係を表す図である。 図4(c)は、塗布型有機EL素子の輝度−電圧特性の関係を表す図である。 図4(d)は、塗布型有機EL素子の電流効率−電流密度の関係を表す図である。 図4(e)は、塗布型有機EL素子の電力効率−電流密度の関係を表す図である。 図4(f)は、塗布型有機EL素子の外部量子効率−電流密度の関係を表す図である。 図5は蒸着型の有機EL素子の層構成を示した概略断面図である。 図6(a)は、蒸着型有機EL素子に電流5mA/cm2を流したときのELスペクトルを表す図である。 図6(b)は、蒸着型有機EL素子の電流密度−電圧特性の関係を表す図である。 図6(c)は、蒸着型有機EL素子の輝度−電圧特性の関係を表す図である。 図6(d)は、蒸着型有機EL素子の電流効率−電流密度の関係を表す図である。 図6(e)は、蒸着型有機EL素子の電力効率−電流密度の関係を表す図である。 図6(f)は、蒸着型有機EL素子の外部量子効率−電流密度の関係を表す図である。 図6(g)は、蒸着型有機EL素子に電流4.25mA/cm2を流したときの相対輝度−時間の関係を表す図である。 図7は有機EL素子の典型的な構成を示す図である。 図8は、化合物(1)の1H−NMRスペクトルを表す図である。 図9は、化合物(2)の1H−NMRスペクトルを表す図である。 図10は、化合物(3)の1H−NMRスペクトルを表す図である。 図11は、化合物(4)の1H−NMRスペクトルを表す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体]
本発明のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、下記構造式(1)〜(4)のいずれかで表されることを特徴とする。以下、構造式(1)〜(4)で表されるトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を、それぞれ化合物(1)〜(4)と記載する。
Figure 2017145198
上記化合物(1)〜(4)は、下記構造式で表される共通骨格を有する。
Figure 2017145198
上記共通骨格は、インドロカルバゾール骨格及びトリアジン骨格を含む骨格である。このような骨格は高い電荷輸送性を有する。上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、このような共通骨格に加えて、1つ以上のカルバゾリル基を含む共役系構造を有することにより、良好な正孔及び電子の輸送特性を示す。そして、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を用いた有機電子デバイスは高い耐久性を有する。
上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体の分子量は、化合物(1)及び(2)では970.15であり、化合物(3)では894.05であり、化合物(4)では1059.25である。上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、アルコール溶媒に対して不溶又は難溶である。一方、例えば、既存の化合物A−2の分子量は563.66と低く、後述する実施例の残膜率試験において示すように、アルコール溶媒に可溶である。つまり、本発明では、芳香環の数を増加させて分子の剛直性を高くし、トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体の分子量を1000程度にまで増加させることにより、アルコール溶媒に対して不溶化させることを可能としている。
上記したような共役系構造を有するトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、充分に高い三重項状態の励起エネルギー(T1)、及び、正孔及び電子の輸送特性を併せ持ち、発光層中のホスト材料として優れる。
上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、種々の公知の方法により製造することができる。化合物(1)〜(4)は、例えば、実施例に示すような方法により合成することができるが、これらの方法に限られず、種々の公知の方法を組み合わせて合成することができる。
[有機電子デバイス]
本発明の有機電子デバイスは、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体よりなる。
ここで、図7に有機電子デバイスの一形態である有機EL素子の典型的な層構造を示す。
上記有機EL素子は、典型的には、基板1上に陽極2として、例えば、ITO等を成膜し、その上に正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7及び陰極8がこの順に積層されてなる。
本発明では、基板1上に、陽極2、上記した層、及び陰極8が積層されてなる有機EL素子の少なくとも一層に上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を含有させることにより、優れた有機電子デバイスを与える。具体的には、発光層5、正孔輸送層4又は電子輸送層6に上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を含有させることが好ましく、発光層5のホスト材料として、りん光発光ドーパントとともに、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を含有させることがより好ましい。
基板1には、透明かつ平滑であって、少なくとも70%以上の全光線透過率を有するものが用いられ、具体的には、フレキシブルな透明基板である、数μm厚のガラス基板や特殊な透明プラスチック等が用いられる。
基板上に形成される、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、及び陰極8といった薄膜は、真空蒸着法又は塗布法で積層される。真空蒸着法を用いる場合、通常10-3Pa以下に減圧した雰囲気で、蒸着物を加熱して行う。各層の膜厚は、層の種類や使用する材料によって異なるが、通常、陽極2及び陰極8は100nm程度、発光層5を含む他の層は50nm未満である。なお、電子注入層7等は、例えば1nm以下の厚みで形成されることもある。
陽極2には、例えば、ITOのように、仕事関数が大きく、また全光線透過率は通常80%以上であるものが用いられる。陽極2の膜厚は、通常10〜200nmである。
正孔注入層3には、陽極2から発光した光を透過させるため、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、りんモリブデン酸、ポリアニリン、及びその他の電荷輸送性材料が用いられる。
発光層5には、ホスト材料となる本発明のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体とともに、有機EL素子で用いられる他の発光層と同様に、ドーパントを併用することが好ましい。ドーパントとしては、例えば、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)、ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジルフェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)(Firpic)及びビス(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン(アセチルアセトン)(III)(Ir(MDQ)2(acac))等が挙げられる。発光層5を構成する成分中、ホスト材料(すなわち、トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体)に対するドーパントの添加率は、通常0.1〜70wt%、好ましくは1〜20wt%である。
陽極2から正孔を効率良く発光層に輸送するために陽極2と発光層5の間に正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層4を形成する正孔輸送材料には、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、(4,4’,4’’トリ−9−カルバゾリルトリフェニルアミン(TCTA))及び(4,4’,4’’トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン))等が挙げられる。
また、陽極2と正孔輸送層4との間に、バッファとしての正孔注入層3が設けられる。正孔注入層3を形成する正孔注入材料には、上記したPEDOT/PSSやポリアニリンの他に、例えば、KLHIP:PPBi、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HATCN)及び銅フタロシアニン(CuPc)等が挙げられる。
陰極から電子を効率良く発光層に輸送するために、陰極8と発光層5の間に電子輸送層6が設けられる。電子輸送層6を形成する電子輸送材料には、例えば、ビフェニルオキシアルミニウムビスキノレート(BAlq2)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、B3PymPm、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、1,3−ビス[5−(4−t−ブチルフェニル)−2−[1,3,4]オキサジアゾリル]ベンゼン(OXD−7)、3−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、バソクプロイン(BCP)及び1,3,5−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBi)等が挙げられる。
また、陰極にはAlやAgなどの金属を使用することが多いため、電子輸送層6と発光層5との間に、電子注入層7が設けられる。電子注入層7を形成する電子注入材料には、例えば、ポリエチレンイミンエトキシレート(PEIE)及び酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子からなるハイブリッドナノ粒子、フッ化リチウム(LiF)、8−ヒドロキシキノリノラト−リチウム(Liq)、及びリチウム2−(2’,2’’−ビピリジン−6’−イル)フェノラート(Libpp)等が挙げられる。
電子注入材料に、電子の輸送性に向いた材料を選択することで、より速く電子を移動させたり、電子注入性のよい材料を選択することで、より電子の注入効率を上げる役割を果たす。
上記各層の他に、さらに、正孔阻止層、電子阻止層及び励起子阻止層等の層が必要に応じて形成される。このとき、上記トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は、正孔阻止層や電子阻止層に含有させてもよい。
上記各層の成膜方法には、蒸着法及び塗布法のいずれを用いることもできるが、上記したように、本発明のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体は有機溶媒、特に、有機電子デバイスの積層に通常用いられるアルコール溶媒に不溶又は難溶であり、素子の大面積化や材料の利用効率の面で有利な成膜において、特に優位性を発揮しうるのであるから、塗布法がより好ましい。
以上のとおり、本発明の有機電子デバイスは、発光層中のホスト材料として優れ、かつ、アルコール溶媒に対して不溶又は難溶なトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を用いることで、既存の有機電子デバイスと同等かそれ以上の性能を示す。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
[合成物の同定]
合成物の同定に使用した機器及び測定条件は以下のとおりである。
(1)質量分析(MS)装置
日本電子(株)製JMS−K9[卓上GCQMS]及びWaters(株)製Zspray(SQ検出器2)
(2)1H核磁気共鳴(NMR)装置
日本電子(株)製(400MHz)JNM−EX270FT−NMR型
[残膜率及び光学特性評価]
残膜率及び光学特性評価に用いた機器及び測定条件は以下のとおりである。
紫外・可視(UV−vis)分光光度計
(株)島津製作所製 UV−3150
測定条件;スキャンスピード 中速、測定範囲 200〜800nm サンプリングピッチ 0.5nm、スリット幅 0.5nm
[光学特性評価]
光学特性評価に用いた機器及び測定条件は以下のとおりである。
(1)光電子収量分光(PYS)装置
住友重機械工業(株)製イオン化ポテンシャル測定装置
イオン化ポテンシャル測定装置を用いて、真空中でイオン化ポテンシャル(Ip)の測定を行った。
(2)発光量子収率(PLQY)測定装置
浜松ホトニクス(株)製 絶対PL量子収率測定装置
[素子性能評価]
有機EL素子の評価に用いた機器は以下のとおりである。
EL(エレクトロルミネッセンス)測定装置
浜松ホトニクス(株)製 PHOTONIC MULTI−CHANNEL ANALYZER PMA−1
〔実施例1〕化合物(1)の合成
[化合物cの合成]
撹拌子を備えた三口フラスコに3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール(化合物a)2.50g(6.23mmol)、9−フェニルカルバゾール−3−ボロン酸(化合物b)1.79g(6.23mmol)、2M炭酸カリウム(K2CO3)水溶液41.6ml(炭酸カリウム83.2mmol)、及びテトラヒドロフラン(THF)125mlを加え1時間窒素バブリングを行った。そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)350mg(0.31mmol)を加え、終夜加熱撹拌を行った。
反応溶液を室温に戻し、溶媒を留去した。残渣にジクロロメタンを加え再溶解した後、飽和食塩水にて洗浄を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ別した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1:4)を行い、目的物である化合物cを収量1.32g(0.24mmol)、収率38%で得た。
Figure 2017145198
[化合物dの合成]
撹拌子を備えた耐圧管に化合物c 500mg(0.89mmol)、11,12−ジヒドロインドロ[2,3−a]カルバゾール(化合物1)226mg(0.89mmol)、炭酸カリウム730mg(5.30mmol)、ヨウ化銅(CuI)600mg(3.17mg)、キノリン9mlを加え、減圧後、密閉を行い、バス温190℃にて72時間撹拌を行った。反応液を室温に戻し、ジクロロメタンを加え再溶解した後、飽和食塩水にて洗浄を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ別した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=3:7)を行い、化合物dを311mg(0.42mmol)、収率47%で得た。
Figure 2017145198
[化合物(1)の合成]
撹拌子を備えた三口フラスコに水素化ナトリウム18mg(0.75mmol)、化合物d 111mg(0.15mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)3.0mlを加え窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌を行った。そこにN,N−ジメチルホルムアミド2.0mlに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物2)201mg(0.75mmol)を溶解させ滴下した。滴下後、終夜加熱還流にて撹拌を行った。その後、トルエン及び飽和食塩水にて抽出、洗浄を行った。硫酸マグネシウムにて乾燥を行い、乾燥剤をろ別した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=3:7)を行い、化合物(1)を収量91mg(0.094mmol)、収率64%で得た。
目的物の同定はMS及び1H−NMRにて行った。
EIMS:m/z=969.36[M+
1H−NMR測定の結果を図8に示す。
Figure 2017145198
〔実施例2〕化合物(2)の合成
[化合物gの合成]
撹拌子を備えた三口フラスコに3−ブロモカルバゾール(化合物e)984mg(4.00mmol)、9−フェニルカルバゾール−3−ボロン酸(化合物f)1.26g(4.40mmol)、2Mリン酸三カリウム(K3PO4)水溶液20ml(リン酸三カリウム40.0mmol)、キシレン40ml、エタノール20mlを加え1時間窒素バブリングを行った。そこにトリス(ジベンシジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)256mg(0.28mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)230mg(0.56mmol)を加え終夜加熱撹拌を行った。溶媒を除去した後、トルエン及び飽和食塩水にて抽出、洗浄を行った。その後、硫酸マグネシウムにて乾燥を行い、乾燥剤をろ別した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1:1)にて精製を行った。目的物gを937mg(2.30mmol)、収率57%で得た。
Figure 2017145198
[化合物iの合成]
撹拌子を備えた試験管型フラスコに化合物g594mg(0.69mmol)、4−ブロモヨードベンゼン(化合物h)195mg(0.69mmol)、リン酸三カリウム292mg(1.38mmol)、ヨウ化銅(I)3.8mg(0.02mmol)を加え30分窒素フローを行った。トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン4.56mg(0.04mmol)の脱気1,4−ジオキサン17.5ml溶液を別途調製し、そのうち3.5mlを系内に加え、終夜加熱撹拌を行った。反応溶液を室温に戻し、溶媒を留去した。残渣にトルエンを加え再溶解した後、飽和食塩水にて洗浄を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ別した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=3:7)にて二回精製を行った。化合物iを収量114mg(0.20mmol)、収率29%で得た。
Figure 2017145198
[化合物jの合成]
撹拌子を備えた25mL三口フラスコに化合物i 662mg(1.17mmol)、インドロカルバゾール(化合物1)300mg(1.17mmol)、炭酸カリウム972mg(7.04mmol)、脱水キシレン25mlを加え1時間窒素バブリングを行った。そこに酢酸パラジウム(II)10.2mg(0.045mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン39μl(0.234mmol)を加え、バス温135℃にて終夜加熱撹拌を行った。反応液を室温に戻し、溶媒を留去した。そこにトルエンを加え再溶解した後、飽和食塩水にて洗浄を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ別し、ろ液を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=3:7)にて精製を行った。目的物jを766mgg(1.04mmol)、収率89%で得た。
Figure 2017145198
[化合物(2)の合成]
撹拌子を備えた三口フラスコに水素化ナトリウム(NaH)24mg(0.54mmol)、化合物j333mg(0.45mmol)を加えた後、系内の脱気を行い、その後、窒素雰囲気にした。そこに、N,N−ジメチルホルムアミド10mlを加え窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌を行った。その後、N,N−ジメチルホルムアミド6.0mlに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物2)603mg(2.25mmol)を溶解させ滴下した。滴下後、終夜加熱還流にて撹拌を行った。反応液を室温に戻し、溶媒を留去した。そこにトルエンを加え再溶解した後、飽和食塩水にて洗浄を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥後、ろ別し、ろ液を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:19)にて精製し、不純物を除去した。次に、アルミナ薄層クロマトグラフィー(TLC)(トルエン:ヘキサン=1:1→1:0)にて精製を行い、化合物(2)を360mg(0.37mmol)、収率68%で得た。
目的物の同定はMS及び1H−NMRにて行った。
EIMS:m/z=969.36[M+
1H−NMR測定の結果を図9に示す。
Figure 2017145198
〔実施例3〕化合物(3)の合成
[化合物kの合成]
撹拌子を備えた50mL三口フラスコに3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール(化合物a)2.00g(4.99mmol)、カルバゾール2.50g(15.0mmol)、リン酸三カリウム2.33g(10.98mmol)、ヨウ化銅(I)190mg(0.100mmol)、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン114mg(0.100mmol)、脱水1,4−ジオキサン50mlを加え、窒素雰囲気下終夜還流撹拌を行った。反応終了後、セライトろ過を行い、不溶部を除去した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=3:1→7:3)にて精製を行い、化合物kを収量1.04g(2.13mmol)、収率43%で得た。
Figure 2017145198
[化合物lの合成]
撹拌子を備えた三口フラスコに化合物k 244mg(1.72mmol)、インドロカルバゾール(化合物1)411mg(1.72mmol)、炭酸カリウム1.43g(10.35mmol)、脱水キシレン35mlを加え1時間窒素バブリングを行った。そこに酢酸パラジウム(II)15mg(0.067mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン60μlを加えバス温135℃を保持し、終夜加熱撹拌を行った。反応終了後不溶部を除去し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=7:3)にて精製を行い、目的物である化合物lを収量817mg(1.23mmol)、収率72%で得た。
Figure 2017145198
[化合物(3)の合成]
撹拌子を備えた三口フラスコに化合物lを440mg(0.66mmol)、水素化ナトリウムを44mg(1.01mmol)加え脱気した。脱気した三口フラスコに脱水N,N−ジメチルホルムアミド3mlを加え窒素雰囲気下1時間撹拌した。別途、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物2)1.77g(6.6mmol)を脱気後、脱気した脱水N,N−ジメチルホルムアミド9mlを加え加熱溶解し、これを先の反応溶液に加え、バス温70℃を保持し、終夜加熱攪拌した。反応混合物を室温に戻した後、水を加え反応を終了した。ジクロロメタンで抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=3:1)を行い、化合物(3)を収量255.7mg(0.286mmol)、収率43%で得た(原料45%回収)。
目的物の同定はMS及び1H−NMRにて行った。
EIMS:m/z=893.33[M+
1H−NMR測定の結果を図10に示す。
Figure 2017145198
〔実施例4〕化合物(4)の合成
[化合物nの合成]
撹拌子を備えた100mL三口フラスコにカルバゾール1.61g(9.63mmol)、9−ベンジル−3,6−ジブロモカルバゾール1.00g(2.41mmol)、炭酸カリウム5.32g(38.5mmol)、脱水キシレン50mlを加え1時間窒素バブリングを行った。そこに酢酸パラジウム(II)27mg(0.12mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン113μl(0.48mmol)を加え、バス温135℃にて終夜加熱撹拌を行った。反応終了後、セライトろ過にて不溶部を除去し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=7:3)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=2:1)にて精製を行い、化合物nを収量913mg(1.55mmol)、収率64%で得た。
Figure 2017145198
[化合物oの合成]
撹拌子を備えた200mL三角フラスコに化合物n 799.2mg(1.36mmol)、ジメチルスルホキシド42.4mlを加え、大気下室温で撹拌した。そこにカリウムtert−ブトキシド(1MTHF溶液)13.6ml(13.6mmol)を加え、さらに撹拌を行った。1時間後反応液にイオン交換水59.2mlを加え反応を終了させた。反応混合物を吸引ろ過、減圧乾燥し、白色固体の粗生成物623mgを定量的に得た。
Figure 2017145198
[化合物pの合成]
撹拌子を備えた25mL三口フラスコに、化合物o 623mg(1.25mmol)、4−ブロモヨードベンゼン(化合物h)530mg(1.87mmol)、リン酸三カリウム530mg(2.50mmol)、ヨウ化銅(I)7.3mg(0.0383mmol)を加え脱気した。別途trans−1,2−シクロヘキサンジアミン6.9mg(0.060mmol)を脱水1,4−ジオキサン25mlに溶解し、そのうち6.3mlを加え、バス温115℃にて終夜加熱撹拌を行った。反応終了後、セライトろ過を行い、不溶部を除去した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=3:1→1:1)にて精製を行い、目的物である化合物pを収量596mg(0.914mmol)、収率73%で得た(原料回収41.8mg(0.0840mmol、6.7%))。
Figure 2017145198
[化合物rの合成]
撹拌子を備えた50mL三口フラスコに化合物p1.09g(1.67mmol)、インドロカルバゾール(化合物1)428mg(1.67mmol)、炭酸カリウム1.38g(9.98mmol)、脱水キシレン33mlを加え1時間窒素バブリングを行った。そこに酢酸パラジウム(II)14.6mg(0.065mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン59μl(0.25mmol)を加え、バス温135℃にて終夜加熱撹拌を行った。反応終了後、不溶部をろ別し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=2:1)及び、メタノールにて再沈殿を行い、目的物である化合物rを収量1.30g(1.57mmol)、収率94%で得た。
Figure 2017145198
[化合物(4)の合成]
撹拌子を備えた100mL三口フラスコに化合物r 1.29g(1.56mmol)、水素化ナトリウム103mg(2.36mmol)を加え脱気した。脱気した脱水N,N−ジメチルホルムアミド31.4mlを加え窒素雰囲気下、1時間撹拌した。そこに別途、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物2)2.10g(7.84mmol)の脱水N,N−ジメチルホルムアミド20.9ml溶液を加え、バス温70℃で終夜加熱攪拌した。反応混合物を室温に戻した後、水を加え反応を終了した。反応混合物を酢酸エチルで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ別し溶媒を留去した後、アルミナカラムクロマトグラフィー(トルエン→トルエン:酢酸エチル=1000:1)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=3:1→3:2)を2回行い、さらにメタノールにて再沈殿を行い、化合物(4)を収量1.27g(1.20mmol)、収率77%で得た。
目的物の同定はMS及び1H−NMRにて行った。
EIMS:m/z=1058.38[M+
1H−NMR測定の結果を図11に示す。
Figure 2017145198
〔比較例1及び2〕
以下に示す構造式を有する既存の化合物A−1及びA−2を用いた。
Figure 2017145198
〔溶解度試験〕
実施例1〜4で得られた化合物(1)〜(4)について、粉末状態での溶解度試験を行った。サンプル管に各試料1mgを秤量し、表1に示す溶媒を加えた。溶媒を加えた後、超音波及び加熱を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2017145198
表1より、化合物(1)〜(4)は、THF、p−キシレン、酢酸ブチル及び2−エトキシエタノールには溶解したものの、メタノールには溶解しなかった。すなわち、化合物(1)〜(4)は、有機EL素子の層形成に通常用いられるアルコール溶媒に対して耐溶媒性を示すことがわかった。このことから、化合物(1)〜(4)は塗布型有機ELのホスト材料として有用であることが示唆された。
〔残膜率試験〕
化合物(1)〜(4)がアルコール溶媒に対して耐溶媒性を持っていることがわかったため、化合物(1)〜(4)及び化合物A−2について、薄膜にした場合の耐溶剤性を調べた。
石英基板上に各試料をTHFに溶解させて成膜した後、UV−vis吸収スペクトルを測定し、その後、メタノールにてリンスを行った。リンス前後でのUV−vis吸収スペクトルの変化から、残膜率を算出した。なお、メタノールは、有機EL素子の上層の塗布によく用いられる溶媒である。
結果を図1及び2に示す。
図1(a)〜(d)に示すように、化合物(1)〜(4)から成膜された試料は、それぞれ、リンス前後においてUV−vis吸収スペクトルのピーク波形がほぼ一致した。具体的にいうと、化合物(1)、(2)及び(4)はメタノールによるリンス処理後も薄膜の吸光度は変わらず、100%の残膜率を維持し、化合物(3)もメタノールにほぼ不溶であり、96.8%の残膜率を示した。このことから、化合物(1)〜(4)から成膜された試料は、アルコール溶媒に対して耐溶媒性を有することがわかった。
一方、図2に示すように、化合物A−2はリンス後において、スペクトルがほとんど観測できなかった。つまり、化合物A−2はリンス処理により溶解してしまうことがわかった。
〔光学特性評価〕
化合物(1)〜(4)を成膜して作製した試料について、光学特性評価を行った。バンドギャップ(Eg)は、UV−vis吸収スペクトルの吸収端から、イオン化ポテンシャル(Ip)はイオン化ポテンシャル測定装置(PYS;photoelectron yield spectroscopy)から、電子親和力(Ea)はバンドギャップ(Eg)及びイオン化ポテンシャル(Ip)から算出した。
さらに、化合物(1)〜(4)をホスト材料とし、ドーパントとして緑色りん光材料としてIr(ppy)3を8wt%の濃度で添加した薄膜を作製し、発光量子収率(PLQY)の測定を行った。
なお、化合物(1)〜(4)のガラス転位温度(Tg)に関しては、示差走査熱量測定(DSC)にて測定を行ったが、得られなかった。
結果を表2に示す。
Figure 2017145198
表2より、化合物(1)〜(4)はいずれもIpが5.6〜5.7(eV)であり、これらのイオン化ポテンシャルはホール輸送層からの効率的な電荷の注入が可能であると考えられる。
〔塗布型有機EL素子の作製・評価〕
下記に示す素子構造からなる塗布型有機EL素子を作製した。層構成を図3に示す。図3中、括弧内の数字は厚み(nm)を表し、ZnONPsはZnOナノ粒子を意味する。
ITO/PEDOT:PSS(30)/TFB(20)/発光層(EML)(70)/ZnO(10)/PEIE(20)/Al(100)
ITO基板上に、正孔注入材料であるPEDOT:PSSの水分散液を、大気下、6500rpmで30秒間成膜した後、200℃で10分間焼成した。次いで、グローブボックスにて、PEDOT:PSS層上に、正孔輸送材料であるTFBのp−キシレン溶液を5000rpmで30秒間成膜し、200℃で1時間焼成した。TFB層上に、発光層(EML)形成材料のTHF溶液を2500rpm(化合物A−1は3000rpm)で30秒間成膜後、130℃で10分間焼成した。さらに、発光層上に、電子注入材料であるZnOナノ粒子のメタノール分散液を2000rpmで30秒間成膜後、100℃で10分間焼成し、さらにZnO層上に、電子注入材料であるPEIEのメタノール溶液を2000rpmで30秒間成膜後、100℃で10分間焼成した。PEIE層上に、Alを1000Å/秒から2500Å/秒に蒸着速度を変化させながら真空蒸着にて成膜した。塗布成膜ではすべてスピンコーターを使用した。
ここで、発光層(EML)形成材料は以下の4種類である。いずれもIr(ppy)3が8wt%の濃度でドープされた材料である。
発光層(EML)形成材料 化合物A−1:8wt% Ir(ppy)3
化合物(1):8wt% Ir(ppy)3
化合物(2):8wt% Ir(ppy)3
化合物(3):8wt% Ir(ppy)3
化合物(4):8wt% Ir(ppy)3
PEDOT:PSS、TFB、PEIE、及びIr(ppy)3の構造式を以下に示す。
Figure 2017145198
各素子のELスペクトルを測定した。結果を図4に示す。
結果として、電極以外を塗布成膜した塗布型有機EL素子の作製に成功した。また、図4より、化合物(1)〜(4)は、化合物A−1と同等の効率を示し、大幅に低電圧化に成功した。低電圧化された理由は、化合物(1)〜(4)はバイポーラ性を有しているため、効率良く電荷が注入されたためである。
〔蒸着型有機EL素子の作製・評価〕
次に、下記に示す素子構造からなる蒸着型有機EL素子を作製した。層構成を図5に示す。括弧内の数字は厚み(nm)を表す。
ITO/PMA(10)/TFB(20)/EML(30)/BAlq2(10)/Alq3(40)/Liq(1)/Al(100)
ITO基板上に、正孔注入材料として、グローブボックスにてアセトニトリルに溶解したりんモリブデン酸(PMA)を4000rpmで30秒間成膜した後、150℃で10分間焼成した。PMA層上に、正孔輸送材料として、p−キシレンに溶解したTFBを5000rpmで30秒間成膜し、表面を拭き取った後、200℃で1時間焼成した。TFB層上に、発光層(EML)形成材料のTHF溶液を4000rpmで30秒間成膜し、表面を拭き取った後、130℃で10分間焼成した。電子輸送材料であるBAlq2及びAlq3と、電子注入材料であるLiqと、陰極Alは、発光層(EML)上にすべて真空蒸着にて成膜した。塗布成膜ではすべてスピンコーターを使用した。
ここで、発光層(EML)形成材料は以下の4種類である。いずれもIr(ppy)3が8wt%の濃度でドープされた材料である。
発光層(EML)形成材料 化合物A−1:8wt% Ir(ppy)3
化合物A−2:8wt% Ir(ppy)3
化合物(1):8wt% Ir(ppy)3
化合物(2):8wt% Ir(ppy)3
化合物(3):8wt% Ir(ppy)3
化合物(4):8wt% Ir(ppy)3
Alq3、BAlq2、及びLiqの構造式を以下に示す。
Figure 2017145198
各素子のELスペクトルを測定した。結果を図6に示す。
結果として、化合物A−1が若干高電圧化したが、各化合物とも同様の挙動が得られた。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (4)

  1. 下記構造式(1)〜(4)のいずれかで表されるトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体。
    Figure 2017145198
  2. 請求項1に記載のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体からなる有機電子デバイス形成用アルコール不溶性塗膜。
  3. 請求項1に記載のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体、又は請求項2に記載のアルコール不溶性塗膜を用いた有機電子デバイス。
  4. 請求項1に記載のトリアジン置換インドロカルバゾール誘導体を塗布成膜した層上に、塗布成膜により層を形成する工程を含む、有機電子デバイスの製造方法。
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