JP2017100697A - サスペンション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ダイナミックダンパと減衰力発生要素の両方を横並びに設ける従来のサスペンション装置では、取り付けスペースを十分に確保できず実現性に乏しかった。そこで、ダイナミックダンパと減衰力発生要素の両方を容易に設けられ、実用性の高いサスペンション装置を提供する。
【解決手段】 サスペンション装置S1は、車輪W、アーム4等のばね下部材Lを制振するダイナミックダンパ3と、車体B、サスペンションメンバ等のばね上部材Uに連結されるとともに前記ばね下部材Lにリンク5Aを介して連結される減衰力発生要素であるアクチュエータ2とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 サスペンション装置S1は、車輪W、アーム4等のばね下部材Lを制振するダイナミックダンパ3と、車体B、サスペンションメンバ等のばね上部材Uに連結されるとともに前記ばね下部材Lにリンク5Aを介して連結される減衰力発生要素であるアクチュエータ2とを備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、サスペンション装置に関する。
従来、サスペンション装置をスカイフック制御する場合、車両の乗り心地を良好にする上では、ダイナミックダンパを利用してばね下共振周波数及びその周辺領域の周波数の振動を抑制するのが好適であるとされている。なぜなら、ばね上部材とばね下部材の間に介装される通常のダンパを利用してばね下部材の振動を抑制しようとすると、上記ダンパはばね上部材で支えられつつばね下部材の振動を抑制する減衰力を発揮するので、当該減衰力の反力をばね上部材で受ける構造になるのに対し、ダイナミックダンパは、付加質量となる錘を備え、ばね下部材が振動する際に上記錘の慣性力を反力として与えてばね下部材の振動を抑制するので、振動を抑制する力の反力をばね上部材で受けない構造にできるためである。
具体的に、ダイナミックダンパを利用するサスペンション装置の中には、上下に並んで車輪を上下動可能に支持するアッパーアームとロアアームのうち、ロアアームと車体との間に電磁式ショックアブソーバと懸架ばねとを介装し、アッパーアームにダイナミックダンパを取り付けたものがある(例えば、特許文献1)。
上記従来のサスペンション装置では、ダイナミックダンパを備えていない公知のサスペンション装置におけるダンパ等の減衰力発生要素の取り付けスペースに、減衰力発生要素である電磁式ショックアブソーバとダイナミックダンパの両方を並列(横並び)に設けた構造になっている。しかしながら、ダイナミックダンパは、制振に必要な質量確保の観点から錘の小型化には限界があるとともに、当該錘の振動スペースをも確保しなければならず、小型化が難しい。加えて、サスペンション装置のために車体と車輪との間のスペースを大幅に拡大するのも現実的でない。このため、空間的制約から車体と車輪との間のスペースにダイナミックダンパと減衰力発生要素の両方を並列させるのが難しく、実用性に乏しい。
そこで、本発明は、ダイナミックダンパと減衰力発生要素の両方を容易に設けられ、実用性の高いサスペンション装置の提供を目的とする。
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、ばね下部材を制振するダイナミックダンパと、ばね上部材に連結されるとともに、前記ばね下部材にリンクを介して連結される減衰力発生要素とを備える。このため、車体と車輪との間のスペースから減衰力発生要素を余所へ移して上記スペースをダイナミックダンパ設置用に利用できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の構成に加えて、前記ダイナミックダンパは、前記ばね下部材に連結されるロッドと、前記ロッドに軸方向移動可能に取り付けた錘と、前記錘を支持するばねとを有する。当該構成によれば、ダイナミックダンパがばね下部材に直接取り付けられているので、ダイナミックダンパでばね下部材の振動を抑制する効果が高い。
請求項3に記載の発明では、請求項2の構成に加えて、前記錘は、内側に前記ロッドが挿入される外筒である。このため、ダイナミックダンパがダイナミックダンパ用減衰力発生要素を有する場合に部品数を削減できる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の構成に加えて、前記錘が、内側に前記ロッドが挿入される外筒であり、前記ダイナミックダンパが、前記外筒内に軸方向移動可能に挿入されるとともに前記ロッドに連結されて、前記外筒内を二つの部屋に区画するピストンと、前記二つの部屋を連通するとともに、前記二つの部屋を行き交う流体の流れに抵抗を与える減衰通路とを有する。当該構成によれば、ダイナミックダンパがダイナミックダンパ用減衰力発生要素を含むので、ばね下共振周波数と、その周辺領域の周波数の振動を抑制できる。
請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の構成に加えて、前記ロッドが前記リンクの一部を構成するとともに、両端が前記外筒から外方へ突出している。当該構成によれば、ダイナミックダンパが両ロッド型となっており、ロッドをリンクの一部として利用できるので、部品数を削減できる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の構成に加えて、前記ばね上部材は、車体を含み、前記リンクは、前記ばね上部材に取り付けられて、前記車体の前後へ延びる軸を中心に回転可能なリンク部材を有して構成され、前記リンク部材は、前記ロッドに連結されるアーム部と、前記減衰力発生要素に連結されるアーム部とを有する。このため、エンジンルーム等の空きスペースを利用して減衰力発生要素を設けられる。
請求項7に記載の発明では、請求項1から4の何れか一項に記載の構成に加えて、前記ばね下部材が車輪と、前記車輪と前記ばね上部材とを連結するアームとを有し、前記リンクが前記アームから延長されるレバーを有して構成される。当該構成によれば、レバーとばね上部材との間にリニア型の減衰力発生要素を設けられ、減衰力発生要素を容易に取り付けられる。
請求項8に記載の発明では、請求項1から4の何れか一項に記載の構成に加えて、前記ばね上部材は車体を含み、前記リンクが前記ばね上部材に取り付けられて、前記車体の左右へ延びる軸を中心に回転可能なリンク部材を有して構成され、前記リンク部材は、前記軸に沿って設けられ前記ばね上部材に取り付けたブラケットに回転可能に支持されるバー部と、前記バー部の両端から相対向して延びる一対のアーム部とを有し、一方の前記アーム部の先端が前記ばね下部材に連結されるとともに、他方の前記アーム部の先端が前記減衰力発生要素に連結される。このため、エンジンルーム等の空きスペースを利用して減衰力発生要素を設けられない場合にも、減衰力発生要素の取り付けが可能になる。
請求項9に記載の発明では、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項2,3,若しくは4を引用する請求項7、又は請求項2,3,若しくは4を引用する請求項8に記載の構成に加えて、前記錘が蓄電池である。このため、錘がデッドウェイトにならず、車両の重量を軽減できる。
請求項10に記載の発明では、請求項1から9の何れか一項の構成に加えて、前記減衰力発生要素がアクチュエータ又は流体圧ダンパである。このように、減衰力発生要素がアクチュエータである場合には、公知のシリンダ装置、モータ等を利用できる。また、減衰力発生要素が流体圧ダンパである場合には、シリンダ、ピストン、ロッド等を有して構成される公知のコンベンショナルなダンパ、及びハウジング、シャフト、ベーン等を有して構成される公知のロータリダンパ等を利用できる。
請求項11に記載の発明では、請求項1から9の何れか一項に記載の構成に加えて、前記減衰力発生要素がシリンダと、前記シリンダ内に軸方向に移動可能に挿入されるロッドとを有し、伸縮時に減衰力を発生する流体圧ダンパと、前記ロッドを軸方向に駆動可能なアクチュエータとを有する。このため、アクチュエータの小型化と省エネルギ化が可能になる。
請求項12に記載の発明では、請求項1から11の何れか一項の構成に加えて、前記減衰力発生要素がリニア型であり、前記ばね上部材に対する前記ばね下部材の上下動が前記リンクにより直線運動に変換される。当該構成によれば、リンクの利用により公知のリニア型の減衰力発生要素を容易に設けられる。
請求項13に記載の発明では、請求項1から10の何れか一項の構成に加えて、前記減衰力発生要素がロータリ型であり、前記リンクの回転軸部に設けられている。当該構成によれば、リンクの利用により公知のロータリ型の減衰力発生要素を容易に設けられる。
本発明のサスペンション装置によれば、ダイナミックダンパと減衰力発生要素の両方を容易に設けられ、実用性を高くできる。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
<第一の実施の形態>
図1に示す本発明の第一の実施の形態に係るサスペンション装置S1は、自動車等の車両に搭載されており、車体Bと車輪Wとの間に介装される懸架ばね1及びアクチュエータ2と、車輪Wに取り付けられるダイナミックダンパ3とを備える。車両において、懸架ばね1で支持される車体B、サスペンションメンバ(図示せず)等を含む部材がばね上部材Uであり、懸架ばね1に吊り下がる車輪W、アーム4(図2)等を含む部材がばね下部材Lである。さらに、サスペンション装置S1は、ばね上部材Uの上下方向速度を検出するセンサ(図示せず)と、当該センサで検出された情報を基にスカイフック理論に基づきアクチュエータ2の推力を制御する制御装置(図示せず)とを備える。
図1に示す本発明の第一の実施の形態に係るサスペンション装置S1は、自動車等の車両に搭載されており、車体Bと車輪Wとの間に介装される懸架ばね1及びアクチュエータ2と、車輪Wに取り付けられるダイナミックダンパ3とを備える。車両において、懸架ばね1で支持される車体B、サスペンションメンバ(図示せず)等を含む部材がばね上部材Uであり、懸架ばね1に吊り下がる車輪W、アーム4(図2)等を含む部材がばね下部材Lである。さらに、サスペンション装置S1は、ばね上部材Uの上下方向速度を検出するセンサ(図示せず)と、当該センサで検出された情報を基にスカイフック理論に基づきアクチュエータ2の推力を制御する制御装置(図示せず)とを備える。
このように、サスペンション装置S1をスカイフック制御すると、アクチュエータ2を図1中二点鎖線で示すスカイフックダンパDのように機能させ、ばね上部材Uの振動を抑制できる。また、後に詳述するダイナミックダンパ3は、ばね下部材Lの振動をばね上部材Uに伝えないので、当該ダイナミックダンパ3でばね下部材Lの共振周波数と、その周辺領域の周波数の振動を抑制すると、車両の乗り心地を極めて良好にできる。なお、サスペンション装置S1の制御は、スカイフック制御以外であってもよく、適宜変更できる。
つづいて、ダイナミックダンパ3は、ばね下部材Lに質量を付加するとともに、当該付加質量をダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aとばね要素3Bとで支えるようになっている。具体的には、図3に示すように、ダイナミックダンパ3は、外筒30と、この外筒30内に摺動自在に挿入されるピストン31と、外筒30内に挿通されて外周に上記ピストン31が固定されるロッド32と、外筒30を支持するばね33とを有する。外筒30は、所定の質量をもつ錘であり、内部にピストン31で区画される二つの部屋R1,R2が形成されている。これらの部屋R1,R2には、作動油等の液体が充填されている。
また、ピストン31には、二つの部屋R1,R2を連通し、これらの部屋R1,R2を移動する液体の流れに抵抗を与える減衰通路31aが設けられている。減衰通路31aを移動する液体の流れに抵抗を与えるには、オリフィス、バルブ、又はこれらの組み合わせ等、適宜構成を採用できる。上記構成によれば、外筒30がロッド32に対して軸方向に動くと、液体が減衰通路31aを通過するとともに二つの部屋R1,R2に差圧が生じ、当該差圧によって外筒30とロッド32の相対移動が抑制される。つまり、外筒30、ピストン31、及びロッド32を備えて外筒(錘)30の移動を抑制するダイナミックダンパ用減衰力発生要素3A(図1)が構成される。さらに、何れかの部屋R1,R2には、アキュムレータ(図示せず)が接続されており、温度変化による液体の体積変化が補償される。
また、図2に示すように、ロッド32は、外筒30の軸方向の両端から外筒30外へそれぞれ延びており、後述するリンク5Aの一部を構成する。当該ロッド32において、外筒30からアーム4側(下方)へ延びる部分の外周にばね受け34が設けられ、当該ばね受け34と外筒30との間に介装されるばね33により、ダイナミックダンパ3のばね要素3B(図1)が構成されている。
上記構成によれば、車両が凹凸のある路面を走行する等してばね下部材Lが上下に振動する際に外筒30が同調して上下に振動することで、ばね下部材Lに外筒30の慣性力を反力として与えてばね下部材Lの振動を抑制できる。このため、錘としての外筒30の質量は、ばね下部材Lの質量と、当該ばね下部材Lを制振するための慣性力に応じて最適に設定される。図2からも明らかであるように、上下に振動する場合の「上下」とは、高低差があれば鉛直方向の上下に限られず、斜め上方・斜め下方も含む。
なお、上記ダイナミックダンパ3では、ダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aが液体を利用して減衰力を発揮するが、当該減衰力を得るための構成を適宜変更できる。例えば、上記液体を気体に替えてもよいし、ピストン31と外筒30との摩擦により錘である外筒30の振動を抑制してもよい。
また、上記ダイナミックダンパ3では、ばね要素3Bであるばね33がコイルばねであるが、皿ばね、エアばね等のコイルばね以外のばねであってもよい。さらに、上記ばね33は、外筒30の外側であって、外筒30の下方にのみ配置されているが、外筒30から上方へ突出するロッド32の外周にばね受け(図示せず)を設け、当該ばね受けと外筒30との間に介装するばね(図示せず)と上記ばね33とで外筒30を挟み、これらでばね要素3Bを構成してもよい。また、ばね要素3Bを外筒30内に設けるとしてもよく、ばね要素3Bの弾性力がばね上部材Uに伝わらず、ばね下部材Lに伝わるような配置であれば、ばね要素3Bの配置は適宜変更できる。
さらに、上記ダイナミックダンパ3は、付加質量としての外筒(錘)30と、ばね要素3Bとしてのばね33に加えて、ダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aを備えているため、ばね下部材Lの共振周波数と、その周辺領域の周波数の振動を抑制できるが、ダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aを廃してもよい。
つづいて、リンク5Aは、車輪Wを上下動可能に支持するアーム4に揺動可能に連結されてアーム4から車体Bへ向けて斜め上方へ延びる上記ロッド32と、車体Bに当該車体Bの前後へ延びる軸を中心に回転可能に連結されるとともに、ロッド32とアクチュエータ2との間に介装されるリンク部材50とを備える。リンク部材50は、上記軸が中心を通る回転軸部50aからダイナミックダンパ3側へ延びるアーム部50bと、回転軸部50aからアクチュエータ2側へ延びるアーム部50cとを有する。そして、アーム部50bの先端にロッド32の上端が揺動可能に連結されるとともに、アーム部50cの先端にアクチュエータ2のロッド21の上端が揺動可能に連結されている。
上記アクチュエータ2は、リニア型(直動型)のシリンダ装置であり、外筒20と、外筒20内に出入りする上記ロッド21とを備えており、ロッド21が外筒20に出入りすることで伸縮作動する。当該アクチュエータ2の伸縮作動は、油圧、電動等、如何なる方法で実現させてもよい。具体的には、アクチュエータ2が電動であり、モータを有する場合には、送り螺子機構を利用してモータの回転運動をロッド21の直線運動に変換してもよく、モータをリニアモータにしてもよい。そして、外筒20が車体Bに揺動可能に連結されるとともに、ロッド21がリンク5Aを介してアーム4に連結されており、アクチュエータ2がリンク5Aを介してばね上部材Uとばね下部材Lとの間に介装されるようになっている。
上記構成によれば、アクチュエータ2に伸長方向の推力を発揮させると、当該推力がリンク部材50を図2中反時計回りに回転し、ロッド32を介して車輪Wを押し下げる方向に作用する。反対に、アクチュエータ2に収縮方向の推力を発揮させると、当該推力がリンク部材50を図2中時計回りに回転し、ロッド32を介して車輪Wを引き上げる方向に作用する。よって、アクチュエータ2の推力を制御すると、当該推力をばね上部材Uの振動を抑制する方向に作用させることができ、アクチュエータ2が振動を抑制(減衰)するための減衰力発生要素として機能する。
また、上記サスペンション装置S1では、懸架ばね1がコイルばねであってアクチュエータ2の外周に装着されており、当該アクチュエータ2とともにリンク5Aを介してばね上部材Uとばね下部材Lとの間に介装されている。しかし、上記懸架ばね1は、皿ばね、板ばね、エアばね等のコイルばね以外のばねであってもよく、アクチュエータ2と別置きされて、リンク5Aを介さずにばね上部材Uとばね下部材Lとの間に介装されていてもよい。
以下、本実施の形態に係るサスペンション装置S1の作用効果について説明する。
本実施の形態において、減衰力発生要素はアクチュエータ2である。このため、例えば、サスペンション装置S1をスカイフック制御すると、車両の乗り心地を極めて良好にできる。なお、減衰力発生要素は、外部からの振動入力を受けて当該振動を抑制する減衰力を発揮する流体圧ダンパでもよく、上記減衰力を可変にしてもよい。このように、サスペンション装置S1は、アクティブ、セミアクティブ、パッシブの何れでもよい。
また、本実施の形態において、アクチュエータ(減衰力発生要素)2はリニア型(直動型)であり、ばね上部材Uに対するばね下部材Lの上下動がリンク5Aにより直線運動に変換される。当該構成によれば、リンク5Aの利用により公知のリニア型の減衰力発生要素を容易に設けられる。なお、アクチュエータ(減衰力発生要素)2はリニア型に限らず、ロータリ型(回転型)であってもよい。このように、減衰力発生要素がロータリ型である場合には、リンク5Aの回転軸部(例えば、回転軸部50a)に設けることができ、リンク5Aの利用により公知のロータリ型の減衰力発生要素を容易に設けられる。
例えば、減衰力発生要素がリニア型のアクチュエータである場合には、図2に示すような公知のシリンダ装置、又はラックアンドピニオン型のアクチュエータ等を利用できる。また、減衰力発生要素がリニア型の流体圧ダンパである場合には、シリンダ、ピストン、ロッド等を有して構成される公知のコンベンショナルなダンパ等を利用できる。また、減衰力発生要素がロータリ型のアクチュエータである場合には、公知のモータ等を利用でき、ロータリ型の流体圧ダンパである場合には、ハウジング、ベーン、シャフト等を有して構成される公知ロータリダンパ等を利用できる。そして、減衰力発生要素がモータである場合には、遊星歯車等を利用した減速機、又は変速機を備えるものであってもよい。
さらに、減衰力発生要素は、図4,5に示すように、流体圧ダンパと電動のアクチュエータとを一体化させた構成であってもよい。
具体的に、図4に示す減衰力発生要素9Aの流体圧ダンパ90は、シリンダ900と、シリンダ900内に摺動可能に挿入されるピストン901と、下端がピストン901に連結されて上端がシリンダ900外へ突出するロッド902と、シリンダ900内の反ロッド側に摺動可能に挿入されるフリーピストン903とを備える。シリンダ900内は、ピストン901で二つの部屋R3,R4に区画されており、各部屋R3,R4には作動油等の液体が充填されている。また、これら二つの部屋R3,R4は、減衰通路904で連通されている。減衰通路904は、二つの部屋R3,R4の間を移動する液体の流れに抵抗を与える。さらに、シリンダ900内には、フリーピストン903により気室Gが形成されている。気室Gには、気体が封入されている。
上記構成によれば、ロッド902がシリンダ900に出入りして流体圧ダンパ90が伸縮し、ピストン901がシリンダ900内を軸方向に移動すると、二つの部屋R3,R4のうち、一方の部屋の液体が減衰通路904を移動して他方の部屋へ移動する。すると、二つの部屋R3,R4の圧力に差圧が生じ、当該差圧がピストン901に作用して、流体圧ダンパ90が伸長作動を妨げる減衰力を発揮する。
また、流体圧ダンパ90が伸縮し、シリンダ900に出入りしたロッド体積分、シリンダ内容積が拡大又は縮小すると、フリーピストン903がシリンダ900内を軸方向に移動して気室Gが拡大又は縮小する。よって、流体圧ダンパ90が片ロッド型であっても、シリンダ900に出入りするロッド体積分のシリンダ内容積変化を気室Gで補償できる。さらに、温度変化により液体の体積が変化しても、当該体積変化も気室Gで補償できる。
つづいて、減衰力発生要素9Aのアクチュエータ91は、シリンダ900の上側に同軸に連なる筒状のケース910と、ケース910の内周にボールベアリング914を介して回転自在に取り付けられるボール螺子ナット911と、ロッド902の上側に同軸に連なり外周にボール螺子ナット911が螺合する出力軸912と、ケース910に収容されてボール螺子ナット911を回転駆動するモータ913とを備える。
減衰力発生要素9Aでは、流体圧ダンパ90のシリンダ900がばね上部材Uに連結され、アクチュエータ91の出力軸912がリンク5Aを介してばね下部材Lに連結される。そして、流体圧ダンパ90のロッド902は、出力軸912を介してばね下部材Lに連結され、アクチュエータ91のケース910は、シリンダ900を介してばね上部材Uに連結される。
このように減衰力発生要素9Aが車両に取り付けられると、出力軸912とボール螺子ナット911の共回りが阻止される。よって、モータ913でボール螺子ナット911を回転駆動すると、送り螺子機構によりボール螺子ナット911の回転運動が出力軸912の直線運動に変換されて、アクチュエータ91が伸縮作動する。そして、モータ913のトルクの制御により、アクチュエータ91が発揮する推力の大きさと方向を制御できる。
前述のように、アクチュエータ91の出力軸912には、流体圧ダンパ90のロッド902が連結されている。このため、減衰力発生要素9Aでは、アクチュエータ91で流体圧ダンパ90のロッド902を駆動できる。そして、アクチュエータ91でロッド902を駆動すると、ロッド902がシリンダ900に出入りして流体圧ダンパ90が伸縮し、減衰力を発揮する。
このように、図4に示す減衰力発生要素9Aでは、構造(配置)上、流体圧ダンパ90とアクチュエータ91が直列となっているが、流体圧ダンパ90の減衰力とアクチュエータ91の推力が並列に発揮されるようになっており、機能上は流体圧ダンパ90とアクチュエータ91が並列となる。このため、サスペンション装置S1がアクチュエータ2に代えて減衰力発生要素9Aを備える場合にも、当該サスペンション装置をアクティブサスペンションにできるのは勿論、アクチュエータ91の推力が不足する場合、当該不足分の推力を流体圧ダンパ90で補える。
なぜなら、例えば、外力によりばね上部材Uとばね下部材Lが離間する場合であって、アクチュエータ91に上記離間を抑制する推力、即ち、収縮方向の推力を発揮させる場合、流体圧ダンパ90が伸長することにより発生する減衰力も、上記離間を抑制する方向に作用するためである。同様に、外力によりばね上部材Uとばね下部材Lが接近する場合であって、アクチュエータ91に上記接近を抑制する推力、即ち、伸長方向の推力を発揮させる場合には、流体圧ダンパ90が収縮することにより発生する減衰力も、上記接近を抑制する方向に作用する。
よって、流体圧ダンパ90と電動のアクチュエータ91とを一体化させた、ダンパ・アクチュエータ一体型の減衰力発生要素9Aによれば、モータ913の小型化と省エネルギ化が可能である。そして、モータ913を小型化すると、減衰力発生要素9A自体を小型化できるので、減衰力発生要素9Aの搭載性が良好になる。さらに、流体圧ダンパ90とアクチュエータ91が一体化されていることからも、減衰力発生要素9Aの搭載性が良好である。また、流体圧ダンパ90とアクチュエータ91が、直列(縦並び)に配置されているので、減衰力発生要素9Aが径方向に嵩張らず、減衰力発生要素9Aの搭載性を一層良好にできる。
つづいて、図5に示す減衰力発生要素9Bは、図4の減衰力発生要素9Aのアクチュエータ91をリニアモータ92に変更したものである。当該リニアモータ92は、シリンダ900の上側に同軸に連なる筒状のケース920と、ケース920の内周に取り付けられるコイル921と、ロッド902の上側に同軸に連なる出力軸922と、出力軸922に保持されてコイル921に対向する界磁923とを備える。界磁923は、出力軸922の軸方向に並ぶ複数の永久磁石924と、永久磁石924の間に介装されるヨーク925とを有する。永久磁石924は、出力軸922の軸方向に沿ってS極とN極が交互に現れるように配置される。また、コイル921は、ケース920の内周に軸方向に沿って複数設けられている。そして、各コイル921に流れる電流量と方向を制御することで、リニアモータ92に発揮させる推力の大きさと、その方向を制御できる。
このように、アクチュエータがリニアモータ92である場合には、アクチュエータ部に回転する要素がないため、慣性モーメント等の余分な慣性力が発生しない。一般的に、こういった慣性力が大きいと振動伝達特性に悪影響を与えるため、上記構成によれば、慣性力による乗り心地の悪化を低減でき、車両の乗り心地を一層良好にできる。
なお、ダンパ・アクチュエータ一体型の減衰力発生要素の構成は、図4,5に示す限りではなく、適宜変更できる。例えば、減衰力発生要素9A,9Bでは、流体圧ダンパ90のシリンダ900とアクチュエータ91又はリニアモータ92のケース910,920が一体形成されており、一つの部品となっているが、これらが個別に形成(別体形成)された後、溶接、螺合等で連結されて一体化されてもよい。同様に、流体圧ダンパ90のロッド902と、アクチュエータ91又はリニアモータ92の出力軸912,922が一体形成されており、一つの部品となっているが、これらが個別に形成された後、溶接、接着等で連結されて一体化されてもよい。
また、減衰力発生要素9A,9Bでは、流体圧ダンパ90のロッド902がシリンダ900から上方へ突出し、アクチュエータ91又はリニアモータ92が流体圧ダンパ90の上側に配置されている。しかし、流体圧ダンパ90のロッド902がシリンダ900から下方へ突出し、アクチュエータ91又はリニアモータ92と流体圧ダンパ90の配置が上下逆になっていてもよい。
また、減衰力発生要素9A,9Bでは、流体圧ダンパ90が片ロッド型であり、ロッド902がピストン901の片側からシリンダ900外へ突出する。そして、ロッド出没体積分のシリンダ内容積変化、及び温度変化による液体の体積変化を気室Gで補償する(以下、温度補償等という)。しかし、流体圧ダンパ90が両ロッド型に設定されて、ロッド902がピストン901の両側からシリンダ900外へ突出するとしてもよい。また、気室Gは、フリーピストン903で部屋R4と区画されているが、これらがブラダ又はベローズで区画されていてもよい。さらに、流体圧ダンパ90が気室Gに代えて、液溜室と気室とを有するリザーバを備え、当該リザーバで温度補償等をするとしてもよい。また、流体圧ダンパ90では、気室Gがシリンダ900内に形成されており、流体圧ダンパ90が単筒型となっているが、気室G又はリザーバを有するタンクをシリンダ900と別置き型に設けたり、シリンダ900の外周に外筒を設けてこれらの間に気室G及び液溜室を設けてもよい。さらに、流体圧ダンパ90では、作動流体として液体を利用しているが、気体を利用してもよい。
また、本実施の形態において、ばね上部材Uは車体Bを含み、リンク5Aがばね上部材Uに取り付けられて、車体Bの前後へ延びる軸を中心に回転可能なリンク部材50を有して構成される。そして、上記リンク部材50は、ロッド32に連結されるアーム部50bと、アクチュエータ(減衰力発生要素)2に連結されるアーム部50cとを有する。軸が車体Bの前後へ延びた状態とは、軸が左右へ多少傾いた状態も含み、全体として前後方向へ延びていればよい。上記構成によれば、アクチュエータ(減衰力発生要素)2をエンジンルーム内に設け易い。加えて、本実施の形態において、ダイナミックダンパ3のロッド32がリンク5Aの一部を構成するとともに、両端が外筒30から外方へ突出している。このように、本実施の形態では、ダイナミックダンパ3が両ロッド型となっているので、ロッド32をばねアクチュエータ(減衰力発生要素)2とばね下部材Lとを連結するためのリンク5Aを構成するリンク部材として利用でき、部品数を削減できる。
なお、本実施の形態のリンク5Aは、二つのリンク部材により構成されており、一方のリンク部材がロッド32、他方のリンク部材がリンク部材50であるが、リンク5Aの構成は適宜変更できる。例えば、リンク5Aが一又は三以上のリンク部材を備えて構成されるとしてもよく、減衰力発生要素とばね下部材Lとの連結構造を適宜変更できる。例えば、ロッド32の下端がアーム4ではなく、車輪Wを支持するナックル(図示せず)に直接接続されていてもよい。また、図6に示すように、サスペンション装置S2が、上下に並んで車輪Wを上下動可能に支持するアッパーアーム40及びロアアーム41を備える場合、リンク5Bがアッパーアーム(アーム)40から延長されるレバー51であってもよく、この場合にも、上記サスペンション装置S1と同様に、エンジンルーム内にアクチュエータ(減衰力発生要素)2を設け易い。また、上記レバー51は、ロアアーム41から延長されるとしてもよい。このような変更は、減衰力発生要素がアクチュエータである場合にも、流体圧ダンパである場合にも、ダンパ・アクチュエータ一体型である場合にも可能である。
さらに、上記サスペンション装置S2のように、リンク5Bがダイナミックダンパ3のロッド32を含まずに構成される場合には、ダイナミックダンパ3が片ロッド型になっていてもよいし、両ロッド型とされてロッド32の上端がばね上部材Uに取り付けた軸受6(図7)又はアーム8(図8)で上下動可能に支えられていてもよい。また、図2,6に記載のサスペンション装置S1,S2では、エンジンルーム内にアクチュエータ(減衰力発生要素)2を設けられるが、ハイブリッド車であればエンジンがダウンサイジングされており、電気自動車(EV)であればエンジン不要になるので、従来のガソリン車と比較するとアクチュエータ2等の減衰力発生要素の取り付けスペースを確保しやすい。また、車両がハイブリッド車又は電気自動車である場合には、蓄電池をダイナミックダンパ3の錘として利用してもよい。この場合、ダイナミックダンパ3の錘がデッドウェイトにならず、車両の軽量化が可能になる。そして、このような変更は、減衰力発生要素の構成、及びリンク5Aの構成によらず可能である。
また、本実施の形態において、上記ダイナミックダンパ3は、ロッド32に連結されて外筒30内を二つの部屋R1,R2に区画するピストン31と、二つの部屋R1,R2を連通するとともに、二つの部屋R1,R2を行き交う液体の流れに抵抗を与える減衰通路31aとを有する。つまり、上記ダイナミックダンパ3では、外筒30、ピストン31、及びロッド32を備えて外筒(錘)30の移動を抑制するダイナミックダンパ用減衰力発生要素3A(図1)を構成し、当該ダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aでロッド32と外筒(錘)30の相対移動を抑制する減衰力を発揮できるので、ばね下部材Lの共振周波数と、その周辺領域の周波数の振動を抑制できるが、ダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aを廃してもよい。また、ダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aが減衰力を発揮するための構成も上記の限りではなく、適宜変更できる。
また、本実施の形態において、ダイナミックダンパ3の錘は、内側にロッド32が挿入される外筒30である。このため、錘である外筒30をダイナミックダンパ用減衰力発生要素3Aの一部として部品数を削減できるが、外筒として機能する部材と、錘として機能する部材を別々に設けてもよく、ダイナミックダンパ3の構成を適宜変更できる。
また、本実施の形態において、ダイナミックダンパ3は、ばね下部材Lに連結されるロッド32と、このロッド32に軸方向移動可能に取り付けた外筒(錘)30と、この外筒30を支持するばね33とを有する。このように、本実施の形態では、ダイナミックダンパ3が直接ばね下部材Lに連結されているので、ばね下部材Lの振動抑制効果が高い。なお、ダイナミックダンパ3がばね上部材Uに取り付けられて、間接的にばね下部材Lの振動を抑制するようにしてもよい。
また、本実施の形態において、サスペンション装置S1は、ばね下部材Lを制振するダイナミックダンパ3と、ばね上部材Uに連結されるとともに、ばね下部材Lにリンク5Aを介して連結されるアクチュエータ(減衰力発生要素)2とを備えている。つまり、ばね上部材Uとばね下部材Lとの間に介装されるアクチュエータ(減衰力発生要素)2が、リンク5Aを介してばね下部材Lに連結されているので、リンク5Aの構成に応じてアクチュエータ(減衰力発生要素)2の取付位置を自由に変えられる。
よって、ダイナミックダンパを備えていない従来のサスペンション装置において、減衰力発生要素を設けていた車輪Wと車体Bとの間のスペースKから減衰力発生要素を余所に移し、上記スペースKをダイナミックダンパ3の設置用に利用できるので、ダイナミックダンパ3の取り付けスペースを容易に確保できる。さらに、前述のように、アクチュエータ(減衰力発生要素)2は、リンク5Aを介してばね下部材Lに連結されればよく、その位置をリンク5Aの構成に応じて自由に選択できるので、減衰力発生要素の取り付けスペースの確保も容易である。つまり、上記サスペンション装置S1によれば、ダイナミックダンパ3と減衰力発生要素の両方を容易に設けられ、実用性が高い。
さらに、上記サスペンション装置S1では、ダイナミックダンパ3とアクチュエータ(減衰力発生要素)2とを併用しているので、アクチュエータ(減衰力発生要素)2を小型化できる。すると、アクチュエータ(減衰力発生要素)2の設置空間に余裕ができるので、アクチュエータ(減衰力発生要素)2及びリンク5Aの設置場所の自由度が向上する。
そして、上記効果は、リンク5A及び減衰力発生要素の構成によらず得られるので、上記サスペンション装置S2、及びアクチュエータ2を減衰力発生要素9A,9Bに代えたサスペンション装置でも得られるのは勿論である。
<第二の実施の形態>
次に、本発明の第二の実施の形態に係るサスペンション装置S3について説明する。図7に示す本実施の形態のサスペンション装置S3は、ダイナミックダンパ3のロッド32がリンク5Cを構成せず、リンク5Aと異なるリンク5Cを備える点で上記サスペンション装置S1と異なるが、他の構成は上記サスペンション装置S1と同様である。よって、本実施の形態のサスペンション装置S3において、第一の実施の形態のサスペンション装置S1と異なる構成について以下詳細に説明し、他の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第二の実施の形態に係るサスペンション装置S3について説明する。図7に示す本実施の形態のサスペンション装置S3は、ダイナミックダンパ3のロッド32がリンク5Cを構成せず、リンク5Aと異なるリンク5Cを備える点で上記サスペンション装置S1と異なるが、他の構成は上記サスペンション装置S1と同様である。よって、本実施の形態のサスペンション装置S3において、第一の実施の形態のサスペンション装置S1と異なる構成について以下詳細に説明し、他の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態においてダイナミックダンパ3のロッド32は、車輪Wを上下動可能に支持するアーム4に揺動可能に連結されており、アーム4から車体B側へ向けて鉛直方向上方へ延びている。また、上記ロッド32の上端は、車体Bに固定された環状の軸受6内に挿入され、当該軸受6で上下動自在に支えられている。そして、ダイナミックダンパ3の錘である外筒30は、ばね33で支えられている。このため、ダイナミックダンパ3は、車両が凹凸のある路面を走行する等してばね下部材Lが上下に振動する際に、外筒(錘)30が上下に振動することでばね下部材Lに外筒30の慣性力を反力として与えてばね下部材Lの振動を抑制できる。
つづいて、本実施の形態におけるリンク5Cは、アーム4に車体Bの前後方向へ揺動可能に連結される第一リンク部材52と、この第一リンク部材52の先端に連結されて車体Bの左右へ延びる軸を中心に回転する第二リンク部材53とを備える。第二リンク部材53は、平面視で略U字状とされており、ばね上部材Uに固定されるブラケット7に回転自在に支持されて車幅方向へ延び、上記軸が中心を通るバー部53aと、このバー部53aの両端から相対向して延びる一対のアーム部53b,53cとを有する。そして、一方のアーム部53bの先端が第一リンク部材52の先端に連結され、他方のアーム部53cの先端が減衰力発生要素であるアクチュエータ2のロッドの先端に連結されている。また、図示しないが、図7に示す車輪Wと左右で対となる車輪にも、上記アーム4、第一リンク部材52及び第二リンク部材53を介してアクチュエータ2が左右対称に取り付けられている。軸が車体Bの左右へ延びた状態とは、軸が前後へ多少傾いた状態も含み、全体として左右方向へ延びていればよい。
上記構成によれば、アクチュエータ2に伸長又は収縮方向の推力を発揮させると、当該推力が第二リンク部材53のアーム部53b,53cを上方又は下方へ回転させ、第一リンク部材52を介して車輪Wを引き上げる方向又は押し下げる方向に作用する。よって、アクチュエータ2の推力を制御すると、当該推力をばね上部材Uの振動を抑制する方向に作用させることができ、アクチュエータ2が振動を抑制(減衰)するための減衰力発生要素として機能する。また、第二リンク部材53に弾性、例えば、スタビライザのような捻じれ応力を発生させる機構を持たせてクッションのように機能させてもよく、この場合には、路面凹凸による衝撃がアクチュエータ2に伝わるのを緩和できる。
以下、本実施の形態に係るサスペンション装置S3の作用効果について説明する。
本実施の形態において、ダイナミックダンパ3は両ロッド型であり、ロッド32の上端がばね上部材Uに取り付けた軸受6で上下動可能に支持されている。このため、ばね下部材Lの振動がロッド32を介してばね上部材Uに伝達されるのを防ぐとともに、ダイナミックダンパ3が振動により初期に設定された角度から傾くのを抑制できる。しかし、ダイナミックダンパ3は、図8に示すように、ロッド32の上端がばね上部材Uに揺動可能に取り付けたアーム8で上下動可能に支持されるとしてもよく、図6に示すように、片ロッド型とされてもよく、適宜構成を変更できる。
また、本実施の形態において、ばね上部材Uは車体Bを含み、リンク5Cは、ばね上部材Uに取り付けられて、車体Bの左右へ延びる軸を中心に回転可能な第二リンク部材(リンク部材)53を有して構成される。この第二リンク部材(リンク部材)53は、ばね上部材Uに取り付けたブラケット7に回転可能に支持されて、上記軸に沿って設けられるバー部53aと、このバー部53aの両端から相対向して延びる一対のアーム部53b,53cとを有する。そして、一方のアーム部53bの先端がばね下部材Lに連結されるとともに、他方のアーム部53cの先端がアクチュエータ(減衰力発生要素)2に連結される。このため、サスペンション装置S3では、エンジンルームにアクチュエータ2等の減衰力発生要素を取り付けられない場合においても、減衰力発生要素を車輪Wと車体Bとの間のスペースKから移設して、当該スペースKをダイナミックダンパ3用に利用できる。
また、本実施の形態において、サスペンション装置S3は、第一の実施の形態のサスペンション装置S1と同様に、減衰力発生要素がリニア型のアクチュエータ2であって、ばね上部材Uに対するばね下部材Lの上下動がリンク5Cにより直線運動に変換される。このため、当該構成による第一の実施の形態と同様の効果を得られるが、上記サスペンション装置S3の減衰力発生要素も、第一の実施の形態と同様に、流体圧ダンパであっても、ダンパ・アクチュエータ一体型であっても、ロータリ型であってもよく、サスペンション装置S3がアクティブでも、セミアクティブでも、パッシブでもよい。そして、上記サスペンション装置S3の減衰力発生要素がモータである場合には、例えば、第二リンク部材53のバー部53aとブラケット7の連結部等に設けられる。
また、本実施の形態において、サスペンション装置S3は、第一の実施の形態のサスペンション装置S1と同様に、ばね下部材Lを制振するダイナミックダンパ3と、ばね上部材Uに連結されるとともに、ばね下部材Lにリンク5Cを介して連結されるアクチュエータ(減衰力発生要素)2とを備えている。つまり、本実施の形態においても、ばね上部材Uとばね下部材Lとの間に介装されるアクチュエータ(減衰力発生要素)2が、リンク5Cを介してばね下部材Lに連結されているので、ダイナミックダンパ3と減衰力発生要素の両方を容易に設けられ、実用性が高い。さらに、上記サスペンション装置S3でも、ダイナミックダンパ3とアクチュエータ(減衰力発生要素)2とを併用しているので、アクチュエータ(減衰力発生要素)2を小型化できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形及び変更が可能である。
B・・・車体、L・・・ばね下部材、R1,R2・・・部屋、S1,S2,S3・・・サスペンション装置、U・・・ばね上部材、W・・・車輪、2・・・アクチュエータ(減衰力発生要素)、3・・・ダイナミックダンパ、5A,5B,5C・・・リンク、7・・・ブラケット、9A,9B・・・減衰力発生要素、30・・・外筒(錘)、31・・・ピストン、31a・・・減衰通路、32・・・ロッド、33・・・ばね、40・・・アッパーアーム(アーム)、50・・・リンク部材、50b,50c・・・アーム部、51・・・レバー、53・・・第二リンク部材(リンク部材)、53a・・・バー部、53b,53c・・・アーム部、90・・・流体圧ダンパ、91・・・アクチュエータ、92・・・リニアモータ(アクチュエータ)、900・・・シリンダ、902・・・ロッド
Claims (13)
- ばね下部材を制振するダイナミックダンパと、
ばね上部材に連結されるとともに、前記ばね下部材にリンクを介して連結される減衰力発生要素とを備える
ことを特徴とするサスペンション装置。 - 前記ダイナミックダンパは、前記ばね下部材に連結されるロッドと、前記ロッドに軸方向移動可能に取り付けた錘と、前記錘を支持するばねとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。 - 前記錘は、内側に前記ロッドが挿入される外筒である
ことを特徴とする請求項2に記載のサスペンション装置。 - 前記ダイナミックダンパは、前記ロッドに連結されて前記外筒内を二つの部屋に区画するピストンと、前記二つの部屋を連通するとともに、前記二つの部屋を行き交う液体の流れに抵抗を与える減衰通路とを有する
ことを特徴とする請求項3に記載のサスペンション装置。 - 前記ロッドは、前記リンクの一部を構成するとともに、両端が前記外筒から外方へ突出している
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のサスペンション装置。 - 前記ばね上部材は、車体を含み、
前記リンクは、前記ばね上部材に取り付けられて、前記車体の前後へ延びる軸を中心に回転可能なリンク部材を有して構成され、
前記リンク部材は、前記ロッドに連結されるアーム部と、前記減衰力発生要素に連結されるアーム部とを有する
ことを特徴とする請求項5に記載のサスペンション装置。 - 前記ばね下部材は、車輪と、前記車輪と前記ばね上部材とを連結するアームとを有し、
前記リンクは、前記アームから延長されるレバーを有して構成される
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のサスペンション装置。 - 前記ばね上部材は、車体を含み、
前記リンクは、前記ばね上部材に取り付けられて、前記車体の左右へ延びる軸を中心に回転可能なリンク部材を有して構成され、
前記リンク部材は、前記軸に沿って設けられ前記ばね上部材に取り付けたブラケットに回転可能に支持されるバー部と、前記バー部の両端から相対向して延びる一対のアーム部とを有し、
一方の前記アーム部の先端が前記ばね下部材に連結されるとともに、他方の前記アーム部の先端が前記減衰力発生要素に連結される
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のサスペンション装置。 - 前記錘は、蓄電池である
ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項2,3,若しくは4を引用する請求項7、又は請求項2,3,若しくは4を引用する請求項8に記載のサスペンション装置。 - 前記減衰力発生要素は、アクチュエータ又は流体圧ダンパである
ことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載のサスペンション装置。 - 前記減衰力発生要素は、シリンダと、前記シリンダ内に軸方向に移動可能に挿入されるロッドとを有し、伸縮時に減衰力を発生する流体圧ダンパと、前記ロッドを軸方向に駆動可能なアクチュエータとを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載のサスペンション装置。 - 前記減衰力発生要素は、リニア型であり、
前記ばね上部材に対する前記ばね下部材の上下動が前記リンクにより直線運動に変換される
ことを特徴とする請求項1から請求項11の何れか一項に記載のサスペンション装置。 - 前記減衰力発生要素は、ロータリ型であり、前記リンクの回転軸部に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載のサスペンション装置。
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