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JP2017097357A - 光拡散フィルムの製造方法 - Google Patents

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JP2017097357A JP2016245337A JP2016245337A JP2017097357A JP 2017097357 A JP2017097357 A JP 2017097357A JP 2016245337 A JP2016245337 A JP 2016245337A JP 2016245337 A JP2016245337 A JP 2016245337A JP 2017097357 A JP2017097357 A JP 2017097357A
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健太郎 草間
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知生 大類
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Abstract

【課題】面内方向で光学特性の均一な光拡散フィルムを得ることができる光拡散フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】下記工程を含む光拡散フィルムの製造方法等。(a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程、(b)光拡散フィルム用組成物を工程シート2に対して塗布し、塗布層1を形成する工程、(c)隣接する板状部材210の主面がそれぞれ対向するように配置された複数の板状部材210からなる入射角度調節部材200であって、複数の板状部材210が、塗布層1の表面の法線に対して所定角度で傾斜するように配置されてなる傾斜板状部材210である入射角度調節部材200を、線状光源125と塗布層1との間、かつ、線状光源125からの活性エネルギー線の放射領域中に配置する工程、(d)塗布層1に対し、線状光源125からの活性エネルギー線を、入射角度調節部材200を介して照射する工程。【選択図】図5

Description

本発明は、光拡散フィルムの製造方法に関する。
従来、例えば、液晶表示装置等が属する光学技術分野において、特定の方向からの入射光を特定の方向へ拡散させ、それ以外の方向からの入射光はそのまま直進透過させることができる光拡散フィルムの使用が提案されている。
このような光拡散フィルムとしては、様々な態様が知られているが、特に、フィルム内において、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に配置してなるルーバー構造を有する光拡散フィルムが広く知られている(例えば、特許文献1)。
すなわち、特許文献1には、それぞれの屈折率に差がある分子内に1個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物の複数からなる樹脂組成物を、膜状に維持し、特定の方向から紫外線を照射して該組成物を硬化させる第1の工程と、得られた硬化物上に樹脂組成物を膜状に維持し第1の工程とは別の方向から紫外線を照射して硬化させる第2の工程からなり、必要に応じて第2の工程を繰り返すことを特徴とする光制御板(光拡散フィルム)の製造方法が開示されている。
一方、別のタイプの光拡散フィルムとしては、フィルム内において、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムが広く知られている(例えば、特許文献2〜3)。
すなわち、特許文献2には、光硬化性樹脂組成物膜と離隔対向するように線状光源を配置し、光硬化性樹脂組成物膜および線状光源の少なくとも一方を移動させながら、線状光源から光を照射して光硬化性樹脂組成物膜を硬化させて光制御膜(光拡散フィルム)を形成する製造装置であって、線状光源の軸方向と移動方向とが交差し、お互いに対向する複数枚の薄板状の遮光部材が、光硬化性樹脂組成物膜と線状光源との間に、移動方向に対して略垂直方向に所定間隔で、かつ遮光部材の、光硬化性樹脂組成物膜と対向する一辺が、それぞれ移動方向と同方向となるように設けられていることを特徴とする光制御膜(光拡散フィルム)の製造装置が開示されている。
また、特許文献3には、光硬化性化合物を含む組成物をシート状に設け、このシートに所定の方向Pから平行光線を照射して組成物を硬化させて、シート内部に方向Pに平行に延在している複数の棒状硬化領域の集合体を形成せしめる光拡散フィルムの製造方法であって、線状光源とシートとの間に、方向Pに平行に配置した筒状物の集合を介在させ、この筒状物を通して光照射を行うことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3の製造方法または製造装置により得られる光拡散フィルムは、フィルム面内における箇所にかかわらず、常に一様な光拡散特性を有していることから、例えば、特定の位置から大型ディスプレイを観察している観察者に対して、大型ディスプレイ上の各箇所からの画像表示光を集中させるといった様々な要求に応えられないという問題が見られた。
そこで、かかる問題を解決すべく、フィルム面内における箇所ごとの光拡散特性が異なる光拡散フィルムが開示されている(例えば、特許文献4)。
すなわち、特許文献4には、入射角により拡散性が変化し、該拡散性において散乱中心軸を有する異方性拡散媒体(光拡散フィルム)において、該異方性拡散媒体(光拡散フィルム)には複数の柱状物が形成されており、該異方性拡散媒体(光拡散フィルム)表面上に引いた所定の直線と、その直線から立ち上げた法線とを含む面内にある複数の散乱中心軸の向きが、直線の一端から他端に変位するにつれて次第に変化することを特徴とする異方性拡散媒体(光拡散フィルム)が開示されている。
また、その製造方法としては、まず第1の製造方法として、図23(a)に示すように、光硬化性樹脂上に点光源を配置する工程と、当該光硬化性樹脂層と当該点光源との相対位置を変化させることなく当該点光源から光を照射する工程と、を含むことを特徴とする、その層を貫く方向に配向した複数の散乱中心軸が硬化樹脂層の平面方向に亘って形成されており、複数の柱状体(柱状物)が形成されている異方性拡散媒体(光拡散フィルム)の製造方法が開示されている。
また、第2の製造方法として、図23(b)に示すように、光硬化性樹脂層上に線状光源を配置する工程と、当該光硬化性樹脂層と線状光源との間に、当該光源の線状の方向と垂直な方向に複数の遮光平板を、当該線状光源からの光が当該遮光平板の間の狭い板状の空間を通るように配置する工程と、当該光硬化性樹脂層を当該線状光源の長軸方向に移動させながら当該線状光源から光を照射する工程と、を含むことを特徴とする、その層を貫く方向に配置した複数の散乱中心軸が硬化樹脂層の平面方向に亘って形成されており、複数の柱状体(柱状物)が形成されている異方性拡散媒体(光拡散フィルム)の製造方法が開示されている。
特開昭63−309902号公報(特許請求の範囲) 特開2009−173018号公報(特許請求の範囲) 特開2005−292219号公報(特許請求の範囲) 特許5090861号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献4の光拡散フィルムは、確かに、フィルム面内における箇所ごとの光拡散特性が異なっているものの、図23(a)〜(b)に示すように、フィルム内に形成される柱状物の傾斜角が、光源の位置によって決まってしまう。
また、光硬化性樹脂層における箇所ごとの光源との距離が大きく異なることから、光拡散特性にムラが生じやすいという問題が見られた。
すなわち、光硬化性樹脂層における箇所ごとの光源との距離が大きく異なることから、光源から近い箇所においては複数の柱状物を明確に形成することができる一方、光源から遠い箇所においては、複数の柱状物を明確に形成することが困難になり、その結果、光拡散特性にムラが生じやすいという問題が見られた。
さらに、フィルム内に形成される柱状物の傾斜角を調節するためには、光源の位置を変える必要があることから、それに伴い逐一光硬化性樹脂層に対する照度の調節をしなければならず、作業が煩雑になり易いという問題も見られた。
本発明によれば、下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
(a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)隣接する板状部材の主面がそれぞれ対向するように配置された複数の板状部材からなる入射角度調節部材であって、複数の板状部材が、塗布層の表面の法線に対して所定角度で傾斜するように配置されてなる傾斜板状部材であるとともに、塗布層の表面の法線の角度を0°とした場合における板状部材の系射角をθ1とした場合に、傾斜板状部材の傾斜角θを−60〜60°の範囲内の値とし、隣接する板状部材における傾斜角θ1が、一定であり、かつ、複数の板状部材における傾斜角θ1の符号が、全てプラスまたはマイナスで一定である入射角度調節部材を、線状光源と塗布層との間、かつ、線状光源からの活性エネルギー線の放射領域中に配置する工程
(d)塗布層に対し、線状光源からの活性エネルギー線を、入射角度調節部材を介して照射する工程
すなわち、本発明の光拡散フィルムの製造方法であれば、線状光源を用いて活性エネルギー線を照射する際に、線状光源と塗布層との間に所定の入射角度調節部材を介在させていることから、面内方向で光学特性の均一な光拡散フィルムを得ることができる。
また、塗布層における箇所ごとの線状光源との距離が大きく変化しないことから、得られる光拡散フィルムにおける光拡散特性にムラが生じることを安定的に抑制することができる。
さらに、フィルム内に形成される柱状物等の傾斜角を調節するにあたり、所定の入射角度調節部材を変更するのみでよく、線状光源の位置を変える必要がないことから、作業効率を効果的に向上させることができる。
また、このように実施することにより、線状光源および入射角度調節部材が過度に大きくなることを避けることができる。
また、このように実施することにより、フィルム面全体に光を入射させた場合に、フィルム全体として所定の斜め方向に方向づけられた拡散光を得ることができる。
また、本発明の光拡散フィルムの製造方法を実施するにあたり、(d)工程において、塗布層を移動させながら、当該塗布層に対し、線状光源からの活性エネルギー線を、入射角度調節部材を介して照射することが好ましい。
このように実施することにより、長尺状の光拡散フィルムを効率よく製造することができ、かつ、その短尺方向において、箇所ごとの光拡散特性を高い自由度で調節することができる。
図1(a)〜(b)は、等方性光拡散フィルムの概略を説明するために供する図である。 図2(a)〜(b)は、等方性光拡散フィルムにおける入射角度依存性および等方性光拡散を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、異方性光拡散フィルムおよび楕円形状光拡散フィルムを説明するために供する図である。 図4(a)〜(c)は、本発明の製造方法により得ることができる光拡散フィルムの一例を説明するために供する図である。 図5(a)〜(c)は、本発明の製造方法の概略を説明するために供する図である。 図6(a)〜(b)は、活性エネルギー線の入射角と、柱状物等の傾斜角との関係を説明するために供する図である。 図7(a)〜(c)は、入射角度調節部材の態様を説明するために供する図である。 図8(a)〜(b)は、入射角度調節部材の配置について説明するために供する図である。 図9(a)〜(b)は、異方性光拡散フィルムおよび楕円形状光拡散フィルムを製造する場合の入射角度調節部材の配置を説明するために供する図である。 図10(a)〜(b)は、活性エネルギー線照射工程を説明するために供する図である。 図11(a)〜(d)は、カラム構造の態様を説明するために供する図である。 図12は、参考例1の光拡散フィルムにおける断面の様子を説明するために供する図である。 図13(a)〜(c)は、参考例1の光拡散フィルムにおける断面の様子を説明するために供する写真である。 図14(a)〜(c)は、参考例1の光拡散フィルムにおける光拡散具合を説明するために供する図および写真である。 図15(a)〜(c)は、参考例1の光拡散フィルムにおける光拡散具合を説明するために供する別の図および写真である。 図16(a)〜(c)は、参考例1の光拡散フィルムにおける光拡散具合を説明するために供するさらに別の図および写真である。 図17(a)〜(b)は、参考例1の光拡散フィルムにおけるコノスコープにより測定された光拡散特性を説明するために供する図および写真である。 図18(a)〜(b)は、参考例1の光拡散フィルムにおけるコノスコープにより測定された光拡散特性を説明するために供する別の図および写真である。 図19(a)〜(b)は、参考例1の光拡散フィルムにおけるコノスコープにより測定された光拡散特性を説明するために供するさらに別の図および写真である。 図20(a)〜(b)は、比較例1の光拡散フィルムにおける断面の様子を説明するために供する図および写真である。 図21(a)〜(c)は、比較例1の光拡散フィルムにおける光拡散具合を説明するために供する図および写真である。 図22(a)〜(b)は、比較例1の光拡散フィルムにおけるコノスコープにより測定された光拡散特性を説明するために供する図および写真である。 図23(a)〜(b)は、従来の光拡散フィルムの製造方法を説明するために供する図である。
本発明の実施形態は、下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法である。
(a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)隣接する板状部材の主面がそれぞれ対向するように配置された複数の板状部材からなる入射角度調節部材であって、複数の板状部材のうち少なくとも一部の板状部材が、塗布層の表面の法線に対して所定角度で傾斜するように配置されてなる傾斜板状部材である入射角度調節部材を、線状光源と塗布層との間、かつ、線状光源からの活性エネルギー線の放射領域中に配置する工程
(d)塗布層に対し、線状光源からの活性エネルギー線を、入射角度調節部材を介して照射する工程
以下、本発明の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明するが、かかる説明の理解を容易にするため、まず、光拡散フィルムにおける光拡散の基本原理について説明する。
1.光拡散フィルムにおける光拡散の基本原理
(1)等方性光拡散フィルム
最初に、図1〜2を用いて等方性光拡散特性を有する光拡散フィルムについて説明する。
まず、図1(a)には、等方性光拡散フィルム10の上面図(平面図)が示してあり、図1(b)には、等方性光拡散フィルム10を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印方向に眺めた場合の等方性光拡散フィルム10の断面図が示してある。
また、図2(a)には、フィルム内にカラム構造を有する等方性光拡散フィルム10の全体図を示し、図2(b)には、図2(a)の等方性光拡散フィルム10をX方向から見た場合の断面図を示す。
かかる図1(a)の平面図に示すように、等方性光拡散フィルム10は、相対的に屈折率が高い柱状物12と、相対的に屈折率が低い領域14とからなるカラム構造13を有している。
また、図1(b)の断面図に示すように、相対的に屈折率が高い柱状物12と、相対的に屈折率が低い領域14は、等方性光拡散フィルム10に対する法線方向(膜厚方向)において、それぞれ所定の幅を有して交互に配置された状態を保持している。
これにより、図2(a)に示すように、入射光の入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、等方性光拡散フィルム10によって拡散されると推定される。
すなわち、図1(b)に示すように、等方性光拡散フィルム10に対する入射光の入射角が、カラム構造13の境界面13aに対し、所定の角度範囲の値、つまり、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(52、54)は、カラム構造内の相対的に屈折率が高い柱状物12の内部を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行方向が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射光が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が等方性光拡散フィルム10によって拡散され、拡散光(52´、54´)になると推定される。
一方、等方性光拡散フィルム10に対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合には、図1(b)に示すように、入射光56は、等方性光拡散フィルムによって拡散されることなく、そのまま等方性光拡散フィルム10を透過し、透過光56´になるものと推定される。
なお、本発明において、「光拡散入射角度領域」とは、光拡散フィルムに対し、点光源からの入射光の角度を変化させた場合に、拡散光を出光するのに対応する入射光の角度範囲を意味する。
また、かかる「光拡散入射角度領域」は、図2(a)に示すように、光拡散フィルムにおけるカラム構造等(以下、カラム構造、並びに、後述するルーバー構造および薄片状物が複数配列された所定の内部構造を併せてカラム構造等と称する場合がある。)の屈折率差や傾斜角等によって、その光拡散フィルムごとに決定される角度領域である。
以上の基本原理により、カラム構造13を備えた等方性光拡散フィルム10は、例えば、図2(a)に示すように、光の透過と拡散において入射角度依存性を発揮することが可能となる。
また、図2(a)に示すように、カラム構造13を有する等方性光拡散フィルム10は、通常、「等方性」を有することになる。
これは、カラム構造13では、図1(b)に示す断面と垂直な断面においても、図1(b)に示す断面の場合と同様に、カラム構造13の内部を入射光が反射を繰り返しながら通り抜けることによると推定される。
ここで、本発明において「等方性」とは、図2(a)に示すように、入射光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面内での、その光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって変化しない性質を意味する。
より具体的には、図2(a)に示すように、拡散された出射光の拡散具合は、フィルムと平行な面内において円状となる。
また、図2(b)に示すように、本発明において、入射光の「入射角θ2」と言った場合、入射角θ2は、光拡散フィルムの入射側表面の法線の角度を0°とした場合の角度(°)を意味するものとする。
また、本発明において、「光拡散角度領域」とは、光拡散フィルムに対して、入射光が最も拡散される角度に点光源を固定し、この状態で得られる拡散光の角度範囲を意味するものとする。
さらに、本発明において、「拡散光の開き角」とは、上述した「光拡散角度領域」の角度幅(°)であり、図2(b)に示すように、フィルムの断面を眺めた場合における拡散光の開き角θ3を意味するものとする。
なお、光拡散角度領域の角度幅(°)と、光拡散入射角度領域の幅は、略同一になることが確認されている。
また、図2(a)に示すように、等方性光拡散フィルムは、入射光の入射角が光拡散入射角度領域に含まれる場合には、その入射角が異なる場合であっても、出光面側においてほぼ同様の光拡散をさせることができる。
したがって、得られた等方性光拡散フィルムは、光を所定箇所に集中させる集光作用を有すると言うことができる。
なお、カラム構造内の柱状物12の内部における入射光の方向変化は、図1(b)に示すような全反射により直線状にジグザグに方向変化するステップインデックス型となる場合のほか、曲線状に方向変化するグラディエントインデックス型となる場合も考えられる。
また、図1(b)では、相対的に屈折率が高い柱状物12と、相対的に屈折率が低い領域14と、の界面を簡単のために直線で表わしたが、実際には、界面は僅かに蛇行しており、それぞれの柱状物は分岐や消滅を伴った複雑な屈折率分布構造を形成している。
その結果、一様でない光学特性の分布が光拡散特性を高めているものと推定される。
(2)異方性光拡散フィルム
次に、図3(a)を用いて異方性光拡散特性を有する光拡散フィルムについて説明する。
まず、図3(a)には、フィルム内にルーバー構造を有する異方性光拡散フィルム10´の全体像が示してある。
かかる図3(a)に示すように、異方性光拡散フィルム10´は、フィルム面に沿った任意の一方向に、相対的に屈折率が高い板状領域12´と、相対的に屈折率が低い板状領域14´と、が交互に平行配置されたルーバー構造13´を備えている。
したがって、上述した等方性光拡散フィルムと同様の基本原理により、ルーバー構造13´を備えた異方性光拡散フィルム10´は、例えば、図3(a)に示すように、光の透過と拡散において入射角度依存性を発揮することが可能となる。
但し、図3(a)に示すように、ルーバー構造13´を有する異方性光拡散フィルム10´は、その光拡散特性として、通常、「異方性」を有することになる。
ここで、本発明において「異方性」とは、図3(a)に示すように、入射光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面内でのその光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって異なる性質を意味する。
より具体的には、図3(a)に示すように、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びる板状領域に垂直な向きについては、選択的に光の拡散が生じる一方、板状領域に平行な向きにおいては、光の拡散が生じにくいため、異方性光拡散が実現するものと推定される。
したがって、異方性を有する光拡散フィルムにおける拡散光の拡散具合は、フィルムと平行な面内において棒状となる。
(3)楕円形状光拡散フィルム
次に、図3(b)を用いて楕円形状光拡散特性を有する光拡散フィルムについて説明する。
まず、図3(b)には、フィルム内に所定の内部構造を有する楕円形状光拡散フィルム10´´の全体像が示してある。
かかる図3(b)に示すように、楕円形状光拡散フィルム10´´は、相対的に屈折率が低い領域14´´の中に相対的に屈折率が高い複数の薄片状物12´´を、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って複数列配列させてなる所定の内部構造13´´を備えている。
また、一列に配列した複数の薄片状物12´´は、所定の間隔を隔てて配置されており、その間隙には、相対的に屈折率が低い領域14´´が介在している。
すなわち、薄片状物12´´は、屈折率が高いルーバー構造の延在を、相対的に屈折率が低い領域14´´により分断することにより形成された端部と、2つの端部により挟まれる板状部分からなる。
なお、図3(b)では、簡単のため薄片状物12´´を直方体で表したが、実際には角が丸まった形状をしている。
したがって、上述した等方性光拡散フィルムと同様の基本原理により、所定の内部構造13´´を備えた楕円形状光拡散フィルム10´´は、例えば、図3(b)に示すように、光の透過と拡散において入射角度依存性を発揮することが可能となる。
但し、図3(b)に示すように、所定の内部構造13´´を有する楕円形状光拡散フィルム10´´は、その光拡散特性として、通常、楕円形状の光拡散特性を有することとなる。
これは、楕円形状光拡散フィルム10´´における所定の内部構造13´´は、謂わば、等方性光拡散フィルム10におけるカラム構造13および異方性光拡散フィルム10´におけるルーバー構造13´のハイブリット構造とみなすことができることから、その光拡散特性についても、等方性および異方性の中間である楕円形状光拡散特性を示すものと推定される。
(4)光拡散特性の調節
次に、図4(a)〜(c)を用いて、フィルム面内における箇所ごとの光拡散特性を調節した光拡散フィルム、すなわち、本発明の製造方法によって得ることができる光拡散フィルムの具体例を説明する。
まず、図4(a)には、フィルムの断面を矢印X方向に眺めた場合に、柱状物12が中央から両側に向かって連続的に傾斜していくように形成された等方性光拡散フィルム10が示してある。
また、図4(b)には、フィルムの断面を矢印X方向に眺めた場合に、板状領域(12´、14´)が左側から右側に向かって連続的に傾斜していくように形成された異方性光拡散フィルム10´が示してある。
さらに、図4(c)には、フィルムの断面を矢印X方向に眺めた場合に、薄片状物12´´が右側から左側に向かって連続的に傾斜していくように形成された楕円形状光拡散フィルム10´´が示してある。
これら図4(a)〜(c)に示す光拡散フィルムは、それぞれカラム構造、ルーバー構造、所定の内部構造を有することから、図2(a)〜(b)および図3(a)〜(b)に示す光拡散フィルムと同様に、それぞれ等方性光拡散特性、異方性光拡散特性、楕円形状光拡散特性を有する。
しかしながら、図2(a)〜(b)および図3(a)〜(b)に示す光拡散フィルムは、フィルム面内における箇所にかかわらず、常に一様な光拡散特性を有しているのに対し、図4(a)〜(c)に示す光拡散フィルムは、フィルム面内における箇所ごとの光拡散特性が異なっている点で相違している。
より具体的には、図4(a)〜(c)に示す光拡散フィルムは、それぞれの内部構造の傾斜角が、矢印Y方向に沿って変化しているため、フィルム面内において矢印Y方向に沿って光を入射する箇所を変えた場合には、その箇所における内部構造の傾斜角に依存して、その光拡散特性も変化することになる。
以下、本発明の光拡散フィルムの製造方法について、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
2.工程(a):光拡散フィルム用組成物を準備する工程
かかる工程は、所定の光拡散フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物、光重合開始剤および所望によりその他の添加剤を混合する工程である。
また、混合に際しては、室温下でそのまま攪拌してもよいが、均一性を向上させる観点からは、例えば、40〜80℃の加温条件下にて攪拌して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、塗工に適した所望の粘度となるように、希釈溶剤をさらに加えることも好ましい。
以下、光拡散フィルム用組成物について、より具体的に説明する。
(1)高屈折率重合性化合物
(1)−1 種類
屈折率が異なる2つの重合性化合物のうち、屈折率が相対的に高い方の重合性化合物(以下、(A)成分と称する場合がある。)の種類は、特に限定されないが、その主成分を複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとすることが好ましい。
この理由は、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、(A)成分の重合速度を、屈折率が相対的に低い方の重合性化合物(以下、(B)成分と称する場合がある。)の重合速度よりも速くして、これらの成分間における重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域と、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域と、からなるカラム構造等の内部構造を効率よく形成することができる。
また、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、単量体の段階では(B)成分と十分な相溶性を有しつつも、重合の過程において複数繋がった段階では(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、カラム構造等の内部構造をさらに効率よく形成することができるものと推定される。
さらに、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、カラム構造等の内部構造における(A)成分に由来した領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に調節することができる。
したがって、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、後述する(B)成分の特性と相まって、カラム構造等の内部構造を効率的に形成することができる。
なお、「複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基部分に複数の芳香環を有する化合物を意味する。
また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
また、このような(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラシル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ナフチルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸アントラシルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニルオキシアルキル等、若しくは、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルキル等によって置換されたもの等を挙げることができる。
また、(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとして、ビフェニル環を含有する化合物を含むことが好ましく、特に、下記一般式(1)で表わされるビフェニル化合物を含むことが好ましい。
(一般式(1)中、R1〜R10は、それぞれ独立しており、R1〜R10の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表わされる置換基であり、残りは、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基およびハロゲン原子のいずれかの置換基である。)
(一般式(2)中、R11は、水素原子またはメチル基であり、炭素数nは1〜4の整数であり、繰り返し数mは1〜10の整数である。)
この理由は、(A)成分として、特定の構造を有するビフェニル化合物を含むことにより、(A)成分および(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、(A)成分と、(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、両成分同士の共重合性を低下させることができると推定されるためである。
また、(A)成分に由来した領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
また、一般式(1)におけるR1〜R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1〜4の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる炭素数が4を超えた値となると、(A)成分の重合速度が低下したり、(A)成分に由来した領域の屈折率が低くなり過ぎたりして、カラム構造等の内部構造を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、一般式(1)におけるR1〜R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1〜3の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、一般式(1)におけるR1〜R10が、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子以外の置換基、すなわち、ハロゲンを含まない置換基であることが好ましい。
この理由は、光拡散フィルムを廃棄する際に、焼却によるダイオキシンの発生を防止して、環境保護の観点から好ましいためである。
なお、従来の光拡散フィルムにおいては、カラム構造等の内部構造を得るにあたり、モノマー成分を高屈折率化する目的で、モノマー成分においてハロゲン置換が行われることが一般的であった。
この点、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物であれば、ハロゲン置換を行わない場合であっても、高い屈折率とすることができる。
したがって、本発明における光拡散フィルム用組成物を光硬化してなる光拡散フィルムであれば、ハロゲンを含まない場合であっても、良好な入射角度依存性を発揮することができる。
なお、「良好な入射角度依存性」とは、光拡散入射角度領域と、入射光が拡散されずにそのまま透過する非拡散入射角度領域との区別が、明確に制御されていることを意味する。
また、一般式(1)におけるR2〜R9のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基であることが好ましい。
この理由は、一般式(2)で表わされる置換基の位置を、R1およびR10以外の位置とすることにより、光硬化させる前の段階において、(A)成分同士が配向し、結晶化することを効果的に防止することができるためである。
さらに、光硬化させる前のモノマー段階で液状であり、希釈溶媒等を使用しなくとも、見掛け上(B)成分と均一に混合することができる。
これにより、光硬化の段階において、(A)成分および(B)成分の微細なレベルでの凝集・相分離を可能とし、カラム構造等の内部構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
さらに、同様の観点から、一般式(1)におけるR3、R5、R6およびR8のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基であることが特に好ましい。
また、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを、通常1〜10の整数とすることが好ましい。
この理由は、繰り返し数mが10を超えた値となると、重合部位と、ビフェニル環とをつなぐオキシアルキレン鎖が長くなりすぎて、重合部位における(A)成分同士の重合を阻害する場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを、1〜4の整数とすることがより好ましく、1〜2の整数とすることが特に好ましい。
なお、同様の観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、通常1〜4の整数とすることが好ましい。
また、重合部位である重合性炭素−炭素二重結合の位置が、ビフェニル環に対して近すぎて、ビフェニル環が立体障害となり、(A)成分の重合速度が低下する場合をも考慮すると、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、2〜4の整数とすることがより好ましく、2〜3の整数とすることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物の具体例としては、下記式(3)〜(4)で表わされる化合物を好ましく挙げることができる。
(1)−2 分子量
また、(A)成分の分子量を、200〜2,500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の分子量を所定の範囲とすることにより、(A)成分の重合速度をさらに速くして、(A)成分および(B)成分の共重合性をより効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、カラム構造等の内部構造を、より効率的に形成することができる。
すなわち、(A)成分の分子量が200未満の値となると、立体障害により重合速度が低下して、(B)成分の重合速度に近くなり、(B)成分との共重合が生じ易くなる場合があるためである。一方、(A)成分の分子量が2,500を超えた値となると、(B)成分との分子量の差が小さくなるのにともなって、(A)成分の重合速度が低下して(B)成分の重合速度に近くなり、(B)成分との共重合が生じ易くなるものと推定され、その結果、カラム構造等の内部構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の分子量を、240〜1,500の範囲内の値とすることがより好ましく、260〜1,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(A)成分の分子量は、分子の組成と、構成原子の原子量から得られる計算値から求めることができ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量として測定することもできる。
(1)−3 単独使用
また、本発明における光拡散フィルム用組成物は、カラム構造等の内部構造における屈折率が相対的に高い領域を形成するモノマー成分として、(A)成分を含むことを特徴とするが、(A)成分は一成分で含まれることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、(A)成分に由来した領域における屈折率のばらつきを効果的に抑制して、カラム構造等の内部構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(A)成分における(B)成分に対する相溶性が低い場合、例えば、(A)成分がハロゲン系化合物等の場合、(A)成分を(B)成分に相溶させるための第3成分として、他の(A)成分(例えば、非ハロゲン系化合物等)を併用する場合がある。
しかしながら、この場合、かかる第3成分の影響により、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域における屈折率がばらついたり、低下し易くなったりすることがある。
その結果、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域との屈折率差が不均一になったり、過度に低下し易くなったりする場合がある。
したがって、(B)成分との相溶性を有する高屈折率なモノマー成分を選択し、それを単独の(A)成分として用いることが好ましい。
なお、例えば、(A)成分としての式(3)で表わされるビフェニル化合物であれば、低粘度であることから、(B)成分との相溶性を有するため、単独の(A)成分として使用することができる。
(1)−4 屈折率
また、(A)成分の屈折率を1.5〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節して、カラム構造等の内部構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、有効な光拡散角度領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(B)成分との見かけ上の相溶状態さえも形成困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率を、1.52〜1.62の範囲内の値とすることがより好ましく、1.56〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
(1)−5 含有量
また、光拡散フィルム用組成物における(A)成分の含有量を、後述する相対的に屈折率が低い重合性化合物である(B)成分100重量部に対して、25〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の含有量が25重量部未満の値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域の幅が過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有する内部構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向における内部構造の長さが不十分になり、光拡散性を示さなくなる場合があるためである。一方、(A)成分の含有量が400重量部を超えた値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が多くなって、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域の幅が過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有する内部構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向における内部構造の長さが不十分になり、光拡散性を示さなくなる場合があるためである。
したがって、(A)成分の含有量を、(B)成分100重量部に対して、40〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)低屈折率重合性化合物
(2)−1 種類
屈折率が異なる2つの重合性化合物のうち、屈折率が相対的に低い重合性化合物((B)成分)の種類は、特に限定されず、その主成分として、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリロイル基含有シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、ウレタン(メタ)アクリレートとすることが好ましい。
この理由は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B)成分に由来した領域の屈折率のばらつきを有効に抑制し、カラム構造等の内部構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
したがって、以下においては、(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートについて、主に説明する。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
まず、ウレタン(メタ)アクリレートは、(B1)イソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物、(B2)ポリオール化合物、好ましくはジオール化合物、特に好ましくはポリアルキレングリコール、および(B3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから形成される。
なお、(B)成分には、ウレタン結合の繰り返し単位を有するオリゴマーも含むものとする。
このうち、(B1)成分であるイソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート、およびこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、キシリレンジイソシアナート系3官能アダクト体)等を挙げることができる。
また、上述した中でも、脂環式ポリイソシアナートであることが、特に好ましい。
この理由は、脂環式ポリイソシアナートであれば、脂肪族ポリイソシアナートと比較して、立体配座等の関係で各イソシアナート基の反応速度に差を設けやすいためである。
これにより、(B1)成分が(B2)成分とのみ反応したり、(B1)成分が(B3)成分とのみ反応したりすることを抑制して、(B1)成分を、(B2)成分および(B3)成分と確実に反応させることができ、余分な副生成物の発生を防止することができる。
その結果、カラム構造等の内部構造における(B)成分に由来した領域、すなわち、低屈折率領域の屈折率のばらつきを効果的に抑制することができる。
また、脂環式ポリイソシアナートであれば、芳香族ポリイソシアナートと比較して、得られる(B)成分と、(A)成分との相溶性を所定の範囲に低下させて、カラム構造等の内部構造をより効率よく形成することができる。
さらに、脂環式ポリイソシアナートであれば、芳香族ポリイソシアナートと比較して、得られる(B)成分の屈折率を小さくすることができることから、(A)成分の屈折率との差を大きくし、光拡散性をより確実に発現するとともに、光拡散角度領域内における拡散光の均一性の高い内部構造をさらに効率よく形成することができる。
また、このような脂環式ポリイソシアナートの中でも、イソシアナート基を2つのみ含有する脂環式ジイソシアナートが好ましい。
この理由は、脂環式ジイソシアナートであれば、(B2)成分および(B3)成分と定量的に反応し、単一の(B)成分を得ることができるためである。
このような脂環式ジイソシアナートとしては、イソホロンジイソシアナート(IPDI)を特に好ましく挙げることができる。
この理由は、2つのイソシアナート基の反応性に有効な差異を設けることができるためである。
また、ウレタン(メタ)アクリレートを形成する成分のうち、(B2)成分であるポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキシレングリコール等が挙げられ、中でも、ポリプロピレングリコールであることが、特に好ましい。
この理由は、ポリプロピレングリコールであれば、粘度が低いことから無溶剤で取り扱うことができるためである。
また、ポリプロピレングリコールであれば、(B)成分を硬化させた際に、当該硬化物における良好なソフトセグメントとなり、光拡散フィルムのハンドリング性や実装性を、効果的に向上させることができるためである。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、主に、(B2)成分の重量平均分子量により調節することができる。ここで、(B2)成分の重量平均分子量は、通常、2,300〜19,500であり、好ましくは4,300〜14,300であり、特に好ましくは6,300〜12,300である。
また、ウレタン(メタ)アクリレートを形成する成分のうち、(B3)成分であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、得られるウレタン(メタ)アクリレートの重合速度を低下させ、カラム構造等の内部構造をより効率的に形成する観点から、特に、ヒドロキシアルキルメタクリレートであることがより好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであることがさらに好ましい。
また、(B1)〜(B3)成分によるウレタン(メタ)アクリレートの合成は、常法に従って実施することができる。
このとき(B1)〜(B3)成分の配合割合を、モル比にて(B1)成分:(B2)成分:(B3)成分=1〜5:1:1〜5の割合とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合割合とすることにより、(B2)成分の有する2つの水酸基に対してそれぞれ(B1)成分の有する一方のイソシアナート基が反応して結合し、さらに2つの(B1)成分がそれぞれ有するもう一方のイソシアナート基に対して、(B3)成分の有する水酸基が反応して結合したウレタン(メタ)アクリレートを効率的に合成することができるためである。
したがって、(B1)〜(B3)成分の配合割合を、モル比にて(B1)成分:(B2)成分:(B3)成分=1〜3:1:1〜3の割合とすることがより好ましく、2:1:2の割合とすることがさらに好ましい。
(2)−2 重量平均分子量
また、(B)成分の重量平均分子量を、3,000〜20,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の重量平均分子量を所定の範囲とすることにより、(A)成分および(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるためである。
その結果、光硬化させた際に、カラム構造等の内部構造を効率良く形成することができる。
すなわち、(B)成分の重量平均分子量が3,000未満の値となると、(B)成分の重合速度が速くなって、(A)成分の重合速度に近くなり、(A)成分との共重合が生じ易くなる結果、カラム構造等の内部構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の重量平均分子量が20,000を超えた値となると、カラム構造等の内部構造を形成することが困難になったり、(A)成分との相溶性が過度に低下して、塗布段階で(A)成分が析出したりする場合があるためである。
したがって、(B)成分の重量平均分子量を、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがより好ましく、7,000〜13,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
(2)−3 単独使用
また、(B)成分は、分子構造や重量平均分子量が異なる2種以上を併用してもよいが、(B)成分に由来した領域の屈折率のばらつきを抑制する観点からは、1種類のみを用いることが好ましい。
すなわち、(B)成分を複数用いた場合、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域における屈折率がばらついたり、高くなったりして、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域との屈折率差が不均一になったり、過度に低下する場合があるためである。
(2)−4 屈折率
また、(B)成分の屈折率を1.4〜1.55の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節して、カラム構造等の内部構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(A)成分との相溶性が極端に悪化し、カラム構造等の内部構造を形成することができないおそれがあるためである。一方、(B)成分の屈折率が1.55を超えた値となると、(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の屈折率を、1.45〜1.54の範囲内の値とすることがより好ましく、1.46〜1.52の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(B)成分の屈折率を意味する。
そして、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
また、上述した(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を所定の範囲内の値とすることにより、光の透過と拡散におけるより良好な入射角度依存性、およびより広い光拡散入射角度領域を有する光拡散フィルムを得ることができるためである。
すなわち、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造等の内部構造内で全反射する角度域が狭くなることから、光拡散における開き角が過度に狭くなる場合があるためである。一方、かかる屈折率の差が過度に大きな値となると、(A)成分と(B)成分の相溶性が悪化しすぎて、カラム構造等の内部構造を形成できないおそれがあるためである。
したがって、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.05〜0.5の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいう(A)成分および(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分および(B)成分の屈折率を意味する。
(2)−5 含有量
また、光拡散フィルム用組成物における(B)成分の含有量を、光拡散フィルム用組成物の全体量100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の含有量が10重量部未満の値となると、(A)成分に対する(B)成分の存在割合が少なくなって、(B)成分に由来した領域が、(A)成分に由来した領域と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有する内部構造を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の含有量が80重量部を超えた値となると、(A)成分に対する(B)成分の存在割合が多くなって、(B)成分に由来した領域が、(A)成分に由来した領域と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有する内部構造を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の含有量を、光拡散フィルム用組成物の全体量100重量部に対して、20〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)光重合開始剤
また、本発明における光拡散フィルム用組成物においては、所望により、(C)成分として、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光重合開始剤を含有させることにより、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的にカラム構造等の内部構造を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
かかる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン]等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、光重合開始剤を含有させる場合の含有量としては、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)他の添加剤
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、上述した化合物以外の添加剤を添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、およびレベリング剤等が挙げられる。
なお、このような添加剤の含有量は、一般に、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.工程(b):塗布工程
工程(b)は、図5(a)に示すように、光拡散フィルム用組成物を工程シート2に対して塗布し、塗布層1を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、およびポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、およびラミネート紙等が挙げられる。
なお、工程シートとしては、シート強度および表面平滑性に優れることから、プラスチックフィルムであることが好ましい。
また、後述する工程を考慮すると、工程シートとしては、熱や活性エネルギー線に対する寸法安定性に優れたプラスチックフィルムであることがさらに好ましい。
このようなプラスチックフィルムとしては、上述したもののうち、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムおよびポリイミド系フィルムが好ましく挙げられる。
また、工程シートに対しては、光硬化後に、得られた光拡散フィルムを工程シートから剥離し易くするために、工程シートにおける光拡散フィルム用組成物の塗布面側に、剥離層を設けることが好ましい。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、工程シート上に光拡散フィルム用組成物を塗布する方法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、およびグラビアコート法等、従来公知の方法により行うことができる。
また、塗布層の膜厚を80〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、塗布層の膜厚をかかる範囲内の値とすることにより、カラム構造等の内部構造を、より一段と効率的に形成することができるためである。
すなわち、塗布層の膜厚が80μm未満の値となると、形成される内部構造のフィルムの膜厚方向における長さが不足して、内部構造内を直進してしまう入射光が増加し、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、塗布層の膜厚が700μmを超えた値となると、塗布層に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造等の内部構造を形成する際に、初期に形成された内部構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望の内部構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、塗布層の膜厚を100〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、120〜300μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.工程(c):入射角度調節部材の配置工程
工程(c)は、図5(b)に示すように、隣接する板状部材210の主面がそれぞれ対向するように配置された複数の板状部材210からなる入射角度調節部材200であって、複数の板状部材210のうち少なくとも一部の板状部材210が、塗布層1の表面の法線に対して所定角度で傾斜するように配置されてなる傾斜板状部材210´である入射角度調節部材200を、線状光源125と塗布層1との間、かつ、線状光源125からの活性エネルギー線の放射領域中に配置する工程である。
すなわち、図5(b)に示すように、所定の入射角度調節部材200を配置することにより、図5(c)に示すように、線状光源125を用いて活性エネルギー線を照射する際に、線状光源125と塗布層1との間に所定の入射角度調節部材200を介在させることにより、塗布層1の表面における箇所ごとの活性エネルギー線60の入射角を高い自由度で調節することができる。
ここで、図5(c)の入射角度調節部材200等を矢印Yに沿って眺めた図である図6(a)に示すように、光拡散フィルム10の内部に形成されるカラム構造13等の内部構造における柱状物12等の傾斜角は、塗布層1に照射される活性エネルギー線60の入射角に依存する。
したがって、所定の入射角度調節部材200を用いることにより、光拡散フィルム10の内部に形成されるカラム構造13等の内部構造における柱状物12等の傾斜角を調節することができ、ひいては、得られる光拡散フィルム10のフィルム面内における箇所ごとの光拡散特性を高い自由度で調節することができることになる。
なお、図面において、板状部材を210(210´)と表記している場合があるが、これは、傾斜板状部材210´が板状部材210に含まれる概念であることによる。
以下、フィルム内にカラム構造を有する等方性光拡散フィルムを製造する場合を例に挙げて、入射角度調節部材の配置工程について具体的に説明する。
まず、フィルム内にカラム構造を形成するためには、塗布層に対し、いずれの方向から見た場合であっても広がりを持たない略平行な光、すなわち平行光を照射する必要がある。
したがって、フィルム内にカラム構造を形成するためには、例えば、図5(b)に示すように、塗布層1の上方から眺めた場合に、入射角度調節部材200における板状部材210の延び方向と、線状光源125の軸線方向とが交差するように入射角度調節部材200を配置する必要がある。
この理由は、図5(c)の入射角度調節部材200等を矢印Xに沿って眺めた図である図6(b)に示すように、線状光源125においては、線状光源125の軸線方向と直交する成分については、遮光部材等を用いることにより、活性エネルギー線50の照射方向を略平行に統一することができるものの、図6(a)に示すように、線状光源125の軸線方向と平行な成分については活性エネルギー線50の照射方向がランダムとなるためである。
すなわち、図6(a)に示すように、入射角度調節部材200は、線状光源125による活性エネルギー線50のうち、光の向きがランダムとなる線状光源125の軸線方向と平行な方向において、複数の板状部材210を用いて光の向きを統一することにより、隣接する板状部材210の間ごとに、活性エネルギー線50を、容易に平行光60に変換することができる。
より具体的には、線状光源125による活性エネルギー線50のうち、板状部材210に対する平行度が低い光は、板状部材の壁面で吸収される。
したがって、隣接する板状部材210の間ごとに、板状部材210に対する平行度が高い光のみが、入射角度調節部材200を通過することになり、結果として、線状光源125による活性エネルギー線50が、隣接する板状部材210の間ごとに、線状光源125の軸線方向と平行な活性エネルギー線の照射方向も、直交する活性エネルギー線の照射方向も、ともに略平行な光(平行光)60に変換されることになる。
また、図7(a)〜(c)に示すように、塗布層1の表面の法線の角度を0°とした場合における板状部材210の傾斜角をθ1とした場合に、傾斜板状部材210´の傾斜角θ1を−60〜60°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、傾斜板状部材の傾斜角θ1をかかる範囲内の値とすることにより、線状光源および入射角度調節部材が過度に大きくなることを避けることができるためである。
すなわち、傾斜板状部材の傾斜角θ1が−60°未満の値となると、線状光源および入射角度調節部材が過度に大きくなる場合があるためである。一方、傾斜板状部材の傾斜角θ1が60°を超えた値となっても、同様に線状光源および入射角度調節部材が過度に大きくなる場合があるためである。
したがって、傾斜板状部材の傾斜角θ1を−50〜50°の範囲内の値とすることがより好ましく、−40〜40°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、傾斜角θ1は、図7(a)〜(c)に示す通り、板状部材が右側に傾いているときの傾斜角をプラスで表記し、板状部材が左側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
かかる表記のルールは、入射角度調節部材を眺める方向によって変化するものであり、説明のための便宜的なものに過ぎない。
また、図7(a)〜(b)に示すように、傾斜板状部材210´における傾斜角θ1が、全て一定ではなく、少なくとも一部において変化することが好ましい。
これにより、得られる光拡散フィルム全体として、より広い角度で拡散光を出射することができるためである。
さらに、複数の隣接する傾斜板状部材210´における傾斜角θ1が、連続的に変化する領域を含むことが好ましい。
この理由は、複数の隣接する傾斜板状部材における傾斜角θ1が、連続的に変化することにより、得られる光拡散フィルムの内部構造における傾斜角の急峻な変化を抑制し、ひいては、フィルム面内の光学特性に急激な変化が生じてムラが発生することを防ぎ、かつ、フィルム全体として出射する拡散光の角度を有効に広げることができるためである。
なお、言うまでもないが、全ての傾斜板状部材210´の傾斜角θ1が必ずしも変化している必要はなく、傾斜角θ1が一定となっている傾斜板状部分の領域が存在していてもよい。
ここで、図7(a)は、板状部材が中央から両側に向かって徐々に傾斜角θ1の絶対値が大きくなるように、連続的に変化している場合を示しており、図7(b)は、板状部材が左側から右側に向かって徐々に傾斜角θが大きくなるように、連続的に変化している場合を示している。
また、傾斜角θ1が連続的に変化する領域における隣接する板状部材の傾斜角θ1の差の絶対値が、0.1〜10°の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、隣接する板状部材における傾斜角θ1の差の絶対値をかかる範囲内の値とすることにより、得られる光拡散フィルムの内部構造における傾斜角の急峻な変化を抑制し、ひいては、フィルム面内の光学特性に急激な変化が生じてムラが発生することを防ぎ、かつ、フィルム全体として出射する拡散光の角度を有効に広げることができるためである。
すなわち、隣接する板状部材における傾斜角θ1の差の絶対値が10°を超えた値となると、得られる光拡散フィルムの内部構造における傾斜角が急峻に変化し、ひいては、フィルム面内の光学特性に急激な変化が生じてムラが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、傾斜角が連続的に変化する領域における隣接する板状部材の傾斜角θ1の差の絶対値を0.5〜8°の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図7(b)〜(c)に示すように、複数の板状部材210(210´)における傾斜角θ1の符号が、全てプラスまたはマイナスで一定であることが好ましい。
この理由は、複数の板状部材における傾斜角θ1の符号が一定であることにより、フィルム面全体に光を入射させた場合に、フィルム全体として所定の斜め方向に方向づけられた拡散光を得ることができるためである。
すなわち、入射光をフィルムに対して斜め方向にのみ拡散させる光拡散フィルムを得ることができる。
また、図7(a)に示すように、複数の板状部材210(210´)における傾斜角θ1の符号が、プラスからマイナスに、またはマイナスからプラスに変化することも好ましい。
この理由は、複数の板状部材における傾斜角θ1の符号が変化することにより、フィルム面全体に光を入射させた場合に、フィルム全体として正面を含む広い角度に拡散した拡散光を得ることができるためである。
また、図7(a)に示すように、複数の板状部材210(210´)のうち、中央部に配置された板状部材210において傾斜角θ1の符号が、プラスからマイナスに、またはマイナスからプラスに変化することが好ましい。
この理由は、複数の板状部材のうち、中央部に配置された板状部材において傾斜角θ1の符号が変化することにより、フィルム面全体に光を入射させた場合に、フィルム全体として中央部を中心として、正面を含む広い角度に拡散した拡散光を得ることができるためである。
また、図7(c)に示すように、隣接する板状部材210(210´)における傾斜角θ1が、一定であることも好ましい。
この理由は、隣接する板状部材における傾斜角θ1が、一定であることにより、面内方向で光学特性の均一な光拡散フィルムを得ることができるためである。
なお、図7(a)〜(c)においては、板状部材の枚数を9枚としているが、これは単なる例であり、実際の板状部材の枚数は、活性エネルギー線の照射対象である塗布層の幅や、複数の板状部材の下端における間隔L1といった諸条件によって決定されるものである。
また、図7(a)に示すように、複数の板状部材210(210´)の下端における間隔L1を1〜100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、複数の板状部材の下端における間隔L1をかかる範囲内の値とすることにより、活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、より効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、複数の板状部材の下端における間隔L1が1mm未満の値となると、入射光調節部材を構成する板状部材の数が過度に多くなって、線状光源からの照射光が塗布層にまで到達するのを阻害する場合があるためである。一方、複数の板状部材の下端における間隔L1が100mmを超えた値となると、線状光源からの照射光の進行方向を平行化する作用が過度に低下して、所定の平行度を有する平行光への変換が困難になる場合があるためである。
したがって、複数の板状部材の下端における間隔L1を5〜75mmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図8(a)に示すように、板状部材210(210´)の塗布層1の移動方向における長さL2は、特に制限されるものではないが、通常、10〜1000mmの範囲内の値とすることが好ましく、50〜500mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、図8(a)に示す入射角度調節部材200の横幅L4は、活性エネルギー線の照射対象である塗布層1の幅によって決定されるものであるが、通常、100〜1000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、線状光源125の軸線方向から見た直径は、通常、5〜100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、図8(a)は、図7(a)に示す入射角度調節部材200等を、塗布層1の上方から眺めた上面図である。
また、板状部材の厚さを0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、板状部材の厚さをかかる範囲内の値とすることにより、入射角度調節部材による影の影響を抑制しつつ、活性エネルギー線の吸収に起因した板状部材の熱によるひずみについても効果的に抑制することができるためである。
すなわち、板状部材の厚さが0.1mm未満の値となると、活性エネルギー線に起因してひずみが生じ易くなる場合があるためである。一方、板状部材の厚さが5mmを超えた値となると、板状部材の影の影響が大きくなって、塗布層における照度ムラを抑制することが困難になる場合があるためである。
したがって、板状部材の厚さを0.5〜2mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.7〜1.5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
さらに、板状部材の材料物質については、板状部材に対する平行度の低い光を吸収できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、耐熱黒塗装を施したアルスター鋼板等を用いることができる。
また、図8(b)に示すように、板状部材210(210´)における上端から下端までの高さL3を10〜1000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、板状部材における上端から下端までの高さL3をかかる範囲内の値とすることにより、活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、さらに効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、かかる高さL3が10mm未満の値となると、線状光源からの照射光のうち平行度の低い光が、入射角度調節部材の内部をそのまま透過し易くなり、線状光源からの照射光の進行方向を平行化する作用が過度に低下して、所定の平行度を有する平行光への変換が困難になる場合があるためである。一方、かかる高さL3が1000mmを超えた値となると、線状光源と、塗布層との距離が過度に大きくなって、塗布層の表面において、十分な照度を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、板状部材における上端から下端までの高さL3を20〜750mmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜500mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図8(b)は、図7(a)に示す入射角度調節部材200を、線状光源125の軸線方向から眺めた側面図である。
また、図8(b)に示すように、入射角度調節部材200の上端と、線状光源125の下端と、の間の最短距離L5を0.1〜1000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、距離L5をかかる範囲内の値とすることにより、線状光源からの照射光を、さらに効率的に所定の平行度を有する平行光に変換しつつ、塗布層に対して十分量の活性エネルギー線を照射することができるためである。
すなわち、かかる距離L5が0.1mm未満の値となると、板状部材が線状光源からの熱エネルギーを過度に吸収しやすくなり、熱による入射角度調節部材の劣化を防止するための対策が必要になる場合があるためである。一方、かかる距離L5が1000mmを超えた値となると、線状光源の軸線方向と平行な方向における照射光の広がりが過度に大きくなって、塗布層の表面において、十分な照度を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、入射角度調節部材の上端と、線状光源の下端と、の間の最短距離L5を0.5〜500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図8(b)に示すように、入射角度調節部材200の下端と、塗布層1の表面と、の間の距離L6を0.1〜1000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、距離L6をかかる範囲内の値とすることにより、入射角度調節部材による影の影響をより効果的に抑制しつつ、塗布層に対して十分量の活性エネルギー線を照射することができるためである。
すなわち、かかる距離L6が0.1mm未満の値となると、板状部材の影の影響が過度に大きくなるばかりか、照射時のわずかな振動により入射角度調節部材の下端と塗布層の表面とが接触してしまう場合があるためである。一方、かかる距離L6が1000mmを超えた値となると、板状部材の影をぼやかすことができる反面、塗布層との距離が過度に大きくなって、塗布層の表面において、十分な照度を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、入射角度調節部材の下端と、塗布層の表面と、の間の距離L6を0.5〜500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、フィルム内にルーバー構造を有する異方性光拡散フィルムを製造する場合には、図9(a)に示すように、入射角度調節部材200と、線状光源125との位置関係を変える以外は、上述した等方性光拡散フィルムを製造する場合と同様に入射角度調節部材200を配置することができる。
すなわち、フィルム内にルーバー構造を形成するためには、例えば、図9(a)に示すように、塗布層1の上方から眺めた場合に、入射角度調節部材200における板状部材210(210´)の延び方向と、線状光源125の軸線方向とが平行、あるいはほぼ平行となるように入射角度調節部材200を配置する必要がある。
この理由は、フィルム内にルーバー構造を形成するためには、塗布層に対し、ルーバー構造における板状領域の延び方向にはランダムであり、板状領域の幅方向には平行なベクトルを有する活性エネルギー線を照射する必要があるためである。
また、フィルム内にルーバー構造を有する異方性光拡散フィルムを製造する場合には、線状光源を複数本用いることが好ましい。
この理由は、線状光源が単数の場合、入射角度調節部材を通過して塗布層に対して照射される活性エネルギー線の量が、塗布層の表面における箇所ごとに不均一になり易くなるためである。
例えば、図9(a)において、中央の線状光源125のみを使用した場合、入射角度調節部材200の中央部を通過できる活性エネルギー線は比較的多い一方で、入射角度調節部材200の両端部付近を通過できる活性エネルギー線は比較的少なくなることがわかる。
なお、このような問題を解決する手段として、前述のように複数の線状光源125を用いる以外にも、線状光源の直下に拡散素子等を配置し、活性エネルギー線の量を入射角度調節部200の入光側において均一にすることも好ましいと考えられる。
また、フィルム内に所定の内部構造を有する楕円形状光拡散フィルムを製造する場合には、図9(b)に示すように、入射角度調節部材200における複数の板状部材210(210´)の上端から下端までの高さL3に対する、下端における間隔L1の割合(L1/L3)を大きくする以外は、上述した等方性光拡散フィルムを製造する場合と同様に入射角度調節部材200を配置することができる。
この理由は、フィルム内に所定の内部構造を形成するためには、塗布層に対し、所定の内部構造における薄片状物の配列方向にはある程度ランダムであり、薄片状物の幅方向には平行なベクトルを有する活性エネルギー線を照射する必要があるためである。
したがって、フィルム内に所定の内部構造を有する楕円形状光拡散フィルムを製造する場合には、入射角度調節部材における複数の板状部材の上端から下端までの高さL3に対する、下端における間隔L1の割合(L1/L3)を0.17〜0.84の範囲内の値とすることが好ましく、0.26〜0.71の範囲内の値とすることがより好ましく、0.36〜0.58の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.工程(d)活性エネルギー線照射工程
工程(d)は、図5(c)に示すように、塗布層1に対し、線状光源125からの活性エネルギー線50を、入射角度調節部材200を介して照射する工程である。
より具体的には、図10(a)に示すように、線状の紫外線ランプ125に集光用のコールドミラー122が設けられた紫外線照射装置120(例えば、市販品であれば、アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX等)により、活性エネルギー線50を、入射角度調節部材200を介して、工程シート2の上に形成された塗布層1に対し、平行光60等として照射する。
また、等方性光拡散フィルムまたは楕円形状光拡散フィルムを製造する場合には、入射角度調節部材200と塗布層1との間に遮光部材123a、bを設けることにより、平行光60の平行度をさらに向上させることが好ましい。
さらに、等方性光拡散フィルムまたは楕円形状光拡散フィルムを製造する場合には、平行光60の平行度を向上させる観点から、線状光源125と入射角度調節部材200との間に遮光板121を設け、活性エネルギー線50を線状光源125からの直接光のみとすることも好ましい。
なお、線状の紫外線ランプ125は、塗布層1の上方から眺めた場合に、塗布層1の移動方向と直交する方向を基準(0°)として、通常−80〜80°の範囲内の値、好ましくは−50〜50°の範囲内の値、特に好ましくは−30〜30°の範囲内の値となるように設置される。
また、等方性光拡散フィルムまたは楕円形状光拡散フィルムを製造する場合、入射角度調節部材における上方から眺めた場合の板状部材の延び方向における活性エネルギー線の照射角としては、図10(b)に示すように、塗布層1の表面の法線の角度を0°とした場合の照射角θ4を、通常−80〜80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる照射角が−80〜80°の範囲外の値となると、塗布層1の表面での反射等の影響が大きくなって、十分なカラム構造等を形成することが困難になる場合があるためである。
また、照射角θ4は、1〜80°の幅(照射角度幅)θ4´を有していることが好ましい。
この理由は、かかる照射角度幅θ4´が1°未満の値となると、塗布層の移動速度を過度に低下させなければならず、製造効率が低下する場合があるためである。一方、かかる照射角度幅θ4´が80°を超えた値となると、照射光が分散し過ぎて、カラム構造等を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、照射角度θ4の照射角度幅θ4´を2〜45°の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、照射角度幅θ4´を有する場合、その丁度中間位置の角度を照射角度θ4とする。
また、活性エネルギー線照射における塗布層の表面におけるピーク照度を0.01〜50mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、活性エネルギー線照射におけるピーク照度をかかる範囲内の値とすることにより、フィルム内においてカラム構造等の内部構造をより安定的に形成することができるためである。
すなわち、かかるピーク照度が0.01mW/cm2未満の値となると、カラム構造等の内部構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかるピーク照度が50mW/cm2を超えた値となると、硬化速度が速くなり過ぎるものと推定され、カラム構造等の内部構造を明確に形成できない場合があるためである。
したがって、活性エネルギー線照射における塗布層の表面におけるピーク照度を0.05〜30mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜40mW/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線照射における塗布層の表面における積算光量を1〜1000mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、活性エネルギー線照射における積算光量をかかる範囲内の値とすることにより、フィルム内においてカラム構造等の内部構造をより安定的に形成することができるためである。
すなわち、かかる積算光量が1mJ/cm2未満の値となると、カラム構造等の内部構造を上方から下方に向けて十分に伸長させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる積算光量が1000mJ/cm2を超えた値となると、得られる光拡散フィルムに着色が生じる場合があるためである。
したがって、活性エネルギー線照射における塗布層の表面における積算光量を2〜500mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜200mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図5(b)等に示すように等方性光拡散フィルムを製造する場合には、入射角度調節部材を介して平行化された照射光の平行度を10°以下の値とすることが好ましい。
この理由は、照射光の平行度をかかる範囲内の値とすることにより、フィルム内においてカラム構造をさらに安定的に形成することができるためである。
すなわち、かかる平行度が10°を超えた値となると、カラム構造を形成することができない場合がある。
したがって、照射光平行化部材を介して平行化された照射光の平行度を5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることがさらに好ましい。
また、図9(b)に示すように楕円形状光拡散フィルムを製造する場合には、入射角度調節部材を介して照射される照射光における、板状部材の主面と対向する方向から見た場合の平行度を10°以下の値とすることが好ましく、5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることがさらに好ましい。
一方、入射角度調節部材を介して照射される照射光における、板状部材の主面と直交する側面から見た場合の平行度については10〜40°の範囲内の値とすることが好ましく、15〜35°の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜30°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図9(a)に示すように異方性光拡散フィルムを製造する場合には、入射角度調節部材を介して照射される照射光における、板状部材の主面と直交する側面から見た場合の平行度を10°以下の値とすることが好ましく、5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることがさらに好ましい。
一方、入射角度調節部材を介して照射される照射光における、板状部材の主面と対向する方向からみた場合には、光の進行方向はランダムであればよい。
また、活性エネルギー線の照射は、塗布層を固定した状態で行うこともできるが、図5(c)に示すように、塗布層1を移動させながら、当該塗布層1に対し、線状光源125からの活性エネルギー線50を、入射角度調節部材200を介して照射することが好ましい。
この理由は、塗布層の移動速度をかかる範囲内の値とすることにより、長尺状の光拡散フィルムを効率よく製造することができ、かつ、その短尺方向において、箇所ごとの光拡散特性を高い自由度で調節することができるためである。
また、塗布層の移動速度を0.1〜10m/分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、塗布層の移動速度をかかる範囲内の値とすることにより、入射角度調節部材の影に起因した照度ムラを、より効果的に抑制することができるためである。
すなわち、塗布層の移動速度が0.1m/分未満の値となると、入射角度調節部材の影の影響が大きくなり、照度ムラを十分に抑制することが困難になる場合があるためである。一方、塗布層の移動速度が10m/分を超えた値となると、塗布層の硬化、言い換えれば、カラム構造等の内部構造の形成よりも速く、塗布層に対する活性エネルギー線の照射角度が変化してしまい、カラム構造等の内部構造の形成が不十分になる場合があるためである。
したがって、塗布層の移動速度を0.2〜5m/分の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜3m/分の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、塗布層の上面に対し、活性エネルギー線透過シートをラミネートした状態で活性エネルギー線を照射することも好ましい。
この理由は、活性エネルギー線透過シートをラミネートすることにより、酸素阻害の影響を効果的に抑制して、より効率的にカラム構造等の内部構造を形成することができるためである。
すなわち、塗布層の上面に対し、活性エネルギー線透過シートをラミネートすることで、塗布層の上面が酸素と接触することを安定的に防止しながら、当該シートを透過させて、効率的に塗布層に対して活性エネルギー線を照射することができるためである。
なお、活性エネルギー線透過シートとしては、工程(b)(塗布工程)において記載した工程シートのうち、活性エネルギー線が透過可能なものであれば、特に制限なく使用することができる。
また、塗布層が十分に硬化する積算光量となるように、工程(d)としての活性エネルギー線照射とは別に、さらに活性エネルギー線を照射することも好ましい。
このときの活性エネルギー線は、塗布層を十分に硬化させることを目的とするものであるため、平行光ではなく、個々のベクトルが制御されていないランダムな光(散乱光)を用いることが好ましい。
6.光拡散フィルム
本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムは、フィルム面内における箇所ごとの光拡散特性が高い自由度で調節された等方性光拡散フィルム、異方性光拡散フィルム、楕円形状光拡散フィルム等である。
以下、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムについて、等方性光拡散フィルムを例に挙げて具体的に説明する。
(1)屈折率
カラム構造において、屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を0.01以上の値とすることにより、カラム構造内において入射光を安定的に反射させて、入射角度依存性および拡散光の開き角をより向上させることができるためである。
すなわち、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下したり、拡散光の開き角が過度に狭くなったりする場合があるためである。
したがって、カラム構造における屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、屈折率の差は大きい程好ましいが、カラム構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
(2)最大径
また、図11(a)に示すように、カラム構造において、柱状物の断面における最大径Scを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大径を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、入射角度依存性および拡散光の開き角をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる最大径が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度に関わらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大径が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、カラム構造において、柱状物の断面における最大径を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、柱状物の断面形状については、特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、多角形、不定形等とすることが好ましい。
また、柱状物の断面とは、フィルム表面と平行な面によって切断された断面を意味する。
なお、柱状物の最大径や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより算出することができる。
(3)柱状物間の距離
また、図11(a)に示すように、カラム構造において、柱状物間における距離、すなわち、隣接する柱状物におけるスペースPを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる距離を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、入射角度依存性および拡散光の開き角をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる距離が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる距離が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、カラム構造において、柱状物間における距離を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)厚さ
また、カラム構造の厚さLaを5〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚さが5μm未満の値となると、柱状物の長さが不足して、カラム構造内を直進してしまう入射光が増加し、十分な入射角度依存性および拡散光の開き角を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる厚さが500μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、カラム構造の厚さを40〜310μmの範囲内の値とすることがより好ましく、95〜255μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図11(c)に示すように、カラム構造は、フィルムの膜厚方向における上下端部分にまで形成されてなくてもよい。
すなわち、カラム構造が形成されない上下端部分の幅Lbは、フィルムの厚さにもよるが、一般に、0〜50μmの範囲内の値であることが好ましく、0〜5μmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
(5)傾斜角
また、図11(b)〜(c)に示す柱状物12の傾斜角θaは、図6(a)を用いて説明したように、塗布層1に照射される活性エネルギー線60の入射角に依存する。
また、かかる活性エネルギー線60の入射角は、入射角度調節部材200における板状部材210(210´)の傾斜角θ1に依存する。
したがって、図11(b)〜(c)に示す柱状物12の傾斜角θaは、板状部材の傾斜角θ1で入射した活性エネルギー線の、塗布層中での屈折した入射角と同じ、あるいはほぼ同じ角度となる。
また、図11(d)に示すように、柱状物が屈曲していることも好ましい。
この理由は、柱状物が屈曲していることにより、カラム構造内を直進してしまう入射光を減少させて、光拡散の均一性を向上させることができるためである。
なお、このような屈曲した柱状物は、活性エネルギー線照射を行う際に、照射光の照射角度を変化させながら光を照射することによって得ることができるが、カラム構造を形成する材料物質の種類にも大きく依存する。
また、θaは入射角度調節部材における板状部材と直交する面によってフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面の法線の角度を0°とした場合の柱状物の傾斜角(°)(該法線と柱状物の為す角度のうち狭い側の角度)を意味する。なお、図11(b)〜(c)に示すとおり柱状物が右側に傾いているときの傾斜角をプラスで表記し、柱状物が左側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
(6)膜厚
また、本発明の製造方法によって得られる光拡散フィルムの膜厚を50〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光拡散フィルムの膜厚が50μm未満の値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、光拡散フィルムの膜厚が500μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、光拡散フィルムの膜厚を80〜350μmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜260μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(7)粘着剤層
また、本発明の製造方法によって得られる光拡散フィルムは、その片面または両面に、被着体に対して積層するための粘着剤層を備えていてもよい。
かかる粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知のアクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ゴム系等の粘着剤を使用することができる。
(8)異方性光拡散フィルム
また、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムが、フィルム内にルーバー構造を有する異方性光拡散フィルムの場合も、基本的に上述したフィルム内にカラム構造を有する等方性光拡散フィルムの場合と同様である。
但し、「柱状物の最大径」を「屈折率が比較的高い板状領域の幅」に、「柱状物間の距離」を「屈折率が比較的低い板状領域の幅」に読み替えるものとする。
(9)楕円形状光拡散フィルム
また、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムが、フィルム内に所定の内部構造を有する楕円形状光拡散フィルムの場合も、基本的に上述したフィルム内にカラム構造を有する等方性光拡散フィルムの場合と同様である。
但し、フィルム上方から眺めた場合に、薄片状物の幅を0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、薄片状物のフィルム面に沿った配列方向における長さを0.11〜300μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.56〜200μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.1〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、薄片状物のフィルム面に沿った配列方向での複数の隣接する薄片状物の間の距離を0.1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜75μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
さらに、複数列配列された薄片状物の列間の距離を0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
以下、実施例を参照して、本発明の光拡散フィルムの製造方法等をさらに詳細に説明する。
[参考例1]
1.(B)成分の合成
容器内に、(B2)成分としての重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、(B1)成分としてのイソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、および(B3)成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って反応させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
なお、ポリプロピレングリコールおよびポリエーテルウレタンメタクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記条件に沿って測定したポリスチレン換算値である。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC−8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
2.光拡散フィルム用組成物の調製
次いで、得られた(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、(A)成分としての下記式(3)で表わされる分子量268のo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)100重量部と、(C)成分としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン10重量部とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、光拡散フィルム用組成物を得た。なお、(A)成分および(B)成分の屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ(株)製、アッベ屈折計DR−M2、Na光源、波長:589nm)により、JIS K0062に準じて測定したところ、それぞれ1.58および1.46であった。
3.光拡散フィルム用組成物の塗布
次いで、得られた光拡散フィルム用組成物を、工程シートとしてのフィルム状の透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETと称する。)に対して塗布し、膜厚200μmの塗布層を得た。
4.入射角度調節部材の配置
次いで、図10(a)に示すような線状の高圧水銀ランプ(直径25mm、長さ0.4m、出力4.5kW)に集光用のコールドミラーが付属した紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX)からなる線状の紫外線ランプを準備した。
次いで、線状の紫外線ランプと、塗布層との間に、図5(b)に示すように、隣接する板状部材の主面がそれぞれ対向するように配置された複数の板状部材からなる入射角度調節部材であって、複数の板状部材のうち少なくとも一部の板状部材が、塗布層の表面の法線に対して所定角度で傾斜するように配置されてなる傾斜板状部材である入射角度調節部材を、線状の紫外線ランプと塗布層との間、かつ、線状の紫外線ランプからの活性エネルギー線の放射領域中に配置した。
このとき、塗布層の上方から眺めた場合に、塗布層の移動方向と、板状部材の伸び方向とが一致するように入射角度調節部材を配置した。
また、入射角度調節部材における11枚の板状部材の下端における間隔(図7(a)におけるL1)は15mm、板状部材の塗布層の移動方向における長さ(図8(a)におけるL2)は150mm、板状部材の上端から下端までの長さ(図8(b)におけるL3)は70mm、板状部材の厚さは1mmであり、材料は耐熱黒塗装が施されたアルスター鋼材であった。
また、入射角度調節部材における11枚の板状部材の傾斜角度(図7(a)におけるθ1)は図7(a)の右側から順に、20°、16°、12°、8°、4°0°、−4°、−8°、−12°、−16°、−20°であった。
さらに、入射角度調節部材の横幅(図8(a)におけるL4)は300mm、入射角度調節部材の上端と、線状の紫外線ランプの下端と、の間の最短距離(図8(b)におけるL5)は250mm、入射角度調節部材の下端と、塗布層の表面と、の間の距離(図8(b)におけるL6)は180mmであった。
また、線状の紫外線ランプは、塗布層の移動方向と、線状の紫外線ランプの長軸方向と、が直交するように、かつ、紫外線ランプから鉛直下方に向けて活性エネルギー線(紫外線)が照射されるように配置した。
5.紫外線の照射
次いで、入射角度調節部材を介して、剥離フィルム越しに塗布層に対して線状の紫外線ランプから紫外線を照射した。
その結果、膜厚192μmの光拡散フィルムが得られた。
その際の剥離フィルム表面のピーク照度は2.04mW/cm2、積算光量、21.31mJ/cm2、ランプ高さは500mmとし、塗布層の移動速度は0.6m/分とした。
なお、光拡散フィルムの膜厚は、定圧厚さ測定器(宝製作所(株)製、テクロック PG−02J)を用いて測定した。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向と直交する面で切断し、その断面を塗布層の移動方向に沿って眺めた断面の模式図を図12に示す。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向と直交する面で切断し、その断面を塗布層の移動方向に沿って眺めた断面写真を図13(a)〜(c)に示す。
すなわち、図13(a)は、図12における右側部分の断面写真であり、図13(b)は、図12における中央部分の断面写真であり、図13(c)は、図12における左側部分の断面写真である。
6.評価
(1)拡散光の写真
得られた光拡散フィルムの各箇所における拡散光の写真撮影を行った。
すなわち、図12における右側部分を切り出した試験片を用意し、図14(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=12°の光を入射して拡散させ、拡散光の写真を撮影した。得られた写真を図14(b)に示し、かかる写真から起こした線図を図14(c)に示す。
また、図12における中央部分を切り出した試験片を用意し、図15(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=0°の光を入射して拡散させ、拡散光の写真を撮影した。得られた写真を図15(b)に示し、かかる写真から起こした線図を図15(c)に示す。
また、図12における左側部分を切り出した試験片を用意し、図16(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=−12°の光を入射して拡散させ、拡散光の写真を撮影した。得られた写真を図16(b)に示し、かかる写真から起こした線図を図16(c)に示す。
図14〜図16の写真および図から確認された拡散光の拡散具合は、図12および図13(a)〜(c)に示す断面の様子から予測される光拡散特性と一致するものであった。
すなわち、入射角度調節部材により活性エネルギー線の入射角度が制御され、図12における右側部分における入射角は12°、中央部分における入射角は0°、左側部分における入射角は−12°であった。
活性エネルギー線は、塗布層に入射する際にそれぞれ8°、0°、−8°に屈折するので、この角度の傾斜角を有する柱状物からなるカラム構造が形成されていることが図13(a)〜(c)から理解される。
フィルム面内の異なる箇所で膜厚方向に異なる傾斜角を有する柱状物からなるカラム構造が形成されているため、フィルム面内の箇所ごとに得られる光拡散特性が異なり、それぞれの箇所ごとに12°、0°、−12°を中心とした光拡散角度領域を有する拡散光が得られていることが図14〜16から理解される。
(2)コノスコープによる測定
得られた光拡散フィルムの各箇所における光拡散特性を、コノスコープを用いて測定した。
すなわち、図12における右側部分を切り出した試験片を用意し、コノスコープ(autronic−MELCHERS GmbH社製)を用いて、図17(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=12°の光を入射して拡散させた。得られた光拡散具合を示す写真を図17(b)に示す。
なお、図17(b)に示すコノスコープ像における放射状に引かれた線は、それぞれ方位角方向0〜180°、45〜225°、90〜270°、135〜315°を示し、同心円状に引かれた線は、内側から順に極角方向20°、40°、60°、80°を示す。
また、コノスコープ像において、入射光が拡散されていない方向は黒で示され、入射光が強く拡散されている方向は白で示される。
また、図12における中央部分を切り出した試験片を用意し、コノスコープを用いて、図18(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=0°の光を入射して拡散させた。得られた光拡散具合を示す写真を図18(b)に示す。
また、図12における左側部分を切り出した試験片を用意し、コノスコープを用いて、図19(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=−12°の光を入射して拡散させた。得られた光拡散具合を示す写真を図19(b)に示す。
このように、フィルム面内の異なる箇所で膜厚方向に異なる傾斜角を有する柱状物からなるカラム構造が形成されているため、フィルム面内の箇所ごとに得られる光拡散特性が異なり、それぞれの箇所ごとに12°、0°、−12°を中心とした光拡散角度領域を有する拡散光が得られていることが図17〜19から理解される。
[比較例1]
比較例1では、入射角度調節部材における11枚の板状部材の傾斜角度(図7(a)におけるθ1)を全て0°として、塗布層に対して紫外線を照射した。
また、その際の剥離フィルム表面のピーク照度は2.18mW/cm2、積算光量は20.15mJ/cm2とし、塗布層の移動速度は0.6m/分とし、それ以外の条件は参考例1と同様とした。その結果、膜厚192μmの光拡散フィルムを得た。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向と直交する面で切断し、その断面を塗布層の移動方向に沿って眺めた断面の模式図を図20(a)に示す。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向と直交する面で切断し、その断面を塗布層の移動方向に沿って眺めた断面写真を図20(b)に示す。
なお、図20(b)は、図20(a)における中央部分の断面写真であるが、図20(a)における右側部分および左側部分の断面写真も、中央部分の断面写真とほぼ同じであった。
また、図20(a)における中央部分を切り出した試験片を用意し、図21(a)に示すように試験片における活性エネルギー線の照射側から、入射角θ2=0°の光を入射して拡散させ、拡散光の写真を撮影した。得られた写真を図21(b)に示し、かかる写真から起こした線図を図21(c)に示す。
なお、図20(a)における右側部分および左側部分における拡散光の写真も、中央部分における拡散光の写真とほぼ同じであった。
さらに、図22(a)に示すように、同じ試験片における活性エネルギー線の照射側から、コノスコープを用いて、入射角θ2=0°の光を入射して拡散させた場合の光拡散具合を示す写真を図22(b)に示す。
なお、図20(a)における右側部分および左側部分における光拡散具合を示す写真も、中央部分における光拡散具合を示す写真とほぼ同じであった。
以上、詳述したように、本発明によれば、所定の入射角度調節部材を介して塗布層に対して活性エネルギー線を照射することにより、面内方向で光学特性の均一な光拡散フィルムを得ることができるようになった。
したがって、本発明の光拡散フィルムの製造方法は、反射型液晶装置における光制御膜の他、視野角制御フィルム、視野角拡大フィルム、プロジェクション用スクリーン等に使用される光拡散フィルムの製造効率の向上、およびこれらの製品の高品質化に著しく寄与することが期待される。
1:塗布層、2:工程シート、10:等方性光拡散フィルム、10´:異方性光拡散フィルム、10´´:楕円形状光拡散フィルム、12:屈折率が相対的に高い柱状物、12´:屈折率が相対的に高い板状領域、12´´:屈折率が相対的に高い薄片状物、13:カラム構造、13´:ルーバー構造、13´´:所定の内部構造、14:屈折率が相対的に低い領域、14´:屈折率が相対的に低い板状領域、14´´:屈折率が相対的に低い領域、50:活性エネルギー線光源からの活性エネルギー線、60:平行光、121:遮光板、122:集光用のコールドミラー、123:遮光部材、125:線状光源、200:入射角度調節部材、210:板状部材、210´:傾斜板状部材

Claims (2)

  1. 下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
    (a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程
    (b)前記光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
    (c)隣接する板状部材の主面がそれぞれ対向するように配置された複数の板状部材からなる入射角度調節部材であって、前記複数の板状部材が、前記塗布層の表面の法線に対して所定角度で傾斜するように配置されてなる傾斜板状部材であるとともに、前記塗布層の表面の法線の角度を0°とした場合における前記板状部材の傾斜角をθ1とした場合に、前記傾斜板状部材の傾斜角θ1を−60〜60°の範囲内の値とし、隣接する前記板状部材における前記傾斜角θ1が、一定であり、かつ、前記複数の板状部材における前記傾斜角θ1の符号が、全てプラスまたはマイナスで一定である入射角度調節部材を、線状光源と前記塗布層との間、かつ、前記線状光源からの活性エネルギー線の放射領域中に配置する工程
    (d)前記塗布層に対し、前記線状光源からの活性エネルギー線を、前記入射角度調節部材を介して照射する工程
  2. 前記(d)工程において、前記塗布層を移動させながら、当該塗布層に対し、前記線状光源からの活性エネルギー線を、前記入射角度調節部材を介して照射することを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルムの製造方法。
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