以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態における液体を吐出する装置の一例について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同装置の機構部の平面説明図、図2は同じく要部側面説明図、図3は同じくヘッド構成の説明に供する平面説明図である。なお、図3はヘッドを上方から透過した状態で示している。
この装置は、シリアル型装置である。左右の側板10A、10Bに架け渡されるガイド部材1などのガイド部材でキャリッジ3を主走査方向に往復移動可能に保持している。そして、キャリッジ3は、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に架け渡したタイミングベルト8を介して主走査方向に往復移動する。
このキャリッジ3には、2つの液体吐出ユニット4を搭載している。液体吐出ユニット4は、液体吐出ヘッド34とサブタンクであるヘッドタンク35を一体化して構成している。
ここで、液体吐出手段である液体吐出ヘッド34は、図3に示すように、ノズル面34aに、複数のノズル34nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有している。そして、例えば、一方の液体吐出ヘッド34は、一方のノズル列Naからブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbからイエロー(Y)の液滴を吐出するように割り当てられている。他方の液体吐出ヘッド34は、一方のノズル列Naからシアン(C)の液滴を、他方のノズル列Nbからマゼンタ(M)の液滴を吐出するように割当てられている。
なお、液体吐出ヘッド34としては、例えば、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを用いることができる。
ヘッドタンク35は、それぞれ各液体吐出ヘッド34の2つのノズル列Na、Nbに対応して、各色の液体を収容する2つのタンク部を対にした複数のタンク部を備える構成である。なお、2つのノズル列Na、Nb、あるいは、複数の液体吐出ヘッドが同じ色を吐出する場合でも1つの液体吐出ヘッドについて複数のタンク部又は複数のヘッドタンク35を備える構成とすることもできる。
そして、装置本体側には、各色の液体を収容したメインタンク50(50y、50m、50c、50k)が交換可能に装着されるカートリッジホルダ51が配置されている。このカートリッジホルダ51には送液ポンプ部52が設けられ、メインタンク50から送液ポンプ部52によって各色の供給チューブ(液体供給経路ともいう。)56を介して各ヘッドタンク35に各色の液体が供給される。
一方、用紙Pを搬送するために、用紙Pを静電吸着して液体吐出ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されている。
そして、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。この搬送ベルト12は、周回移動しながら後述する帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に液体吐出ヘッド34の維持回復を行う維持回復機構20が配置されている。他方側には搬送ベルト12の側方に液体吐出ヘッド34から空吐出で吐出される液体を受ける空吐出受け28がそれぞれ配置されている。
なお、空吐出とは、ヘッドの状態の維持ないし回復のために液体を吐出することであり、例えば装置の目的が画像の形成(印刷)であるときには印刷以外の目的(これを目的外吐出という。)で行う吐出の1つである。
維持回復機構20は、例えば液体吐出ヘッド34のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする吸引キャップ21及び保湿キャップ22と、ノズル面を払拭するワイパ部材23、空吐出される液体を受ける空吐出受け24などで構成されている。
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール123を張り渡し、キャリッジ3にはエンコーダスケール123のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ124を設けている。これらのエンコーダスケール123とエンコーダセンサ124によってキャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)122を構成している。
また、搬送ローラ13の軸にはコードホイール125を取り付け、このコードホイール125に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ126を設けている。これらのコードホイール125とエンコーダセンサ126によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)を構成している。
このように構成した装置においては、用紙Pが帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。
記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pを図示しない排紙トレイに排紙する。
次に、ヘッドタンクの一例について図4及び図5を参照して説明する。図4は同ヘッドタンクの模式的上面説明図、図5は同じく模式的正面説明図である。
ヘッドタンク35は、タンクケース201の開口部を撓むことが可能な部材であるフィルム部材203で密閉して液体収容部(タンク部)202を形成している。なお、ここでは、両側に開口部を有して、仕切り部201aで仕切られた2つの液体収容部202、202を形成するタンクケース201を使用し、2つのヘッドタンク35を一体に形成している。
そして、タンクケース201の液体収容部202内に配置した弾性部材としてのバネ204の復元力によってフィルム部材203を常時外方へ勢いを付けている。タンクケース201のフィルム部材203にバネ204の復元力が作用していることで、タンクケース201の液体収容部202内の液体残量が減少することによって負圧が発生する。
また、タンクケース201の外側には、一端部側を軸206で揺れ動くことが可能なように支持されたフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205を有している。
変位部材205は、スプリング210によってタンクケース201側に向けて勢いを付けられ、フィルム部材203に押し付けられている。これにより、液体残量に応じて変位するフィルム部材203の動きに連動して変位部材205が変位する。
この変位部材205をキャリッジ3に設ける第1検知手段(第1センサ、キャリッジ側検知手段)251や装置本体側に配置された第2検知手段(第2センサ、本体側検知手段)301などで検知することでヘッドタンク35内の液体残量や負圧などを検知することができる。
また、タンクケース201の上部には、メインタンク50から液体を供給するための供給口部209があり、液体供給チューブ56に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放手段である大気開放機構207が設けられている。
この大気開放機構207は、液体収容部202内に通じる大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備えている。
そして、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって、弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内が大気開放状態(外気に通じた状態)になる。
また、ヘッドタンク35内の液体液面を検出するための電極ピン208(208aと208b)が取り付けられている。液体は電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所まで液面が到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、液面高さが所定高さ以下になったことを検出することができる。
次に、この装置における液体供給排出系について図6を参照して説明する。図6は同供給排出系の模式的説明図である。
まず、メインタンク50からヘッドタンク35に対する液体供給は、送液手段である送液ポンプ252によって供給チューブ56を介して行なわれる。なお、送液ポンプ252は、チューブポンプなどで構成した可逆型ポンプであり、メインタンク50からヘッドタンク35に液体を供給する送液動作と、ヘッドタンク35からメインタンク50に液体を戻す逆送動作とを行なえるようにしている。
また、維持回復機構20は、前述したように液体吐出ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ21と、吸引キャップ21に接続された吸引ポンプ82を有している。吸引キャップ21でキャッピングした状態で吸引ポンプ82を駆動することで吸引チューブ81を介してノズル34nから液体を吸引することによってヘッドタンク35内の液体を吸引することができる。なお、吸引された廃液は廃液タンク100に排出される。
装置本体101側にはヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する部材である大気開放ソレノイド302が配置され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気開放機構207を開放することができる。
キャリッジ3には変位部材205を検知する第1検知手段である光学センサからなるキャリッジ側センサとしての第1センサ251が設けられている。また、装置本体101側には変位部材205を検知する光学センサからなる本体側センサとしての第2検知手段である第2センサ301が設けられている。これらの第1センサ251と第2センサ301の検知結果を使用してヘッドタンク35に対する送液及び逆送動作を制御する。
なお、上述した送液ポンプ252、大気開放ソレノイド302、吸引ポンプ82の駆動制御、本発明に係る送液動作などの制御は制御部500によって行なわれる。
次に、この装置の制御部の概要について図7を参照して説明する。図7は同制御部のブロック説明図である。
制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明における供給制御手段などの各種制御手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503を含む主制御部を備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
制御部500は、液体吐出ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた液体吐出ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509とを備えている。
制御部500は、キャリッジ3を移動走査する主走査モータ5、搬送ベルト12を周回移動させる副走査モータ16、維持回復機構20の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。維持回復モータ556は、吸引ポンプ82の駆動、キャップ21、22、ワイパ部材23の昇降機構の駆動を行う。
制御部500は、帯電ローラ15にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する装置本体101側に設けられた大気開放ソレノイド302、送液ポンプ252を駆動する供給系駆動部512を備えている。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。また、印刷制御部508は、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含んでいる。そして、駆動信号生成部から1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される液体吐出ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に液体吐出ヘッド34の液体を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで液体吐出ヘッド34を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、装置の制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御、ヘッドタンク35に対する送液などに使用する。
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、電極ピン208a、208bが含まれる。また、センサ群515には、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどが含まれる。I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
次に、走査中の送液動作を行うための差分供給量の検出動作の第1例について図8を参照して説明する。図8は同説明に供する平面説明図である。
前述したように、ヘッドタンク35内の液体残量に応じて変位する変位部材205と、変位部材205を検知するキャリッジ3上に固定された第1センサ251と、装置本体101側に固定された第2センサ301とを有している。
そこで、この例では、図8に示すように、第2センサ301による充填満タン位置でのキャリッジ3の位置(キャリッジ位置:リニアエンコーダ122によって得られる。)401と、第1センサ251で変位部材205を検知した位置でのキャリッジ3の位置402との差分を検出して、これを差分供給量として記憶保持する。
つまり、装置本体101側の第2センサ301が変位部材205を検知する位置を第2位置とし、この第2位置を充填満タン位置とする。また、キャリッジ3側の第1センサ251が変位部材205を検知する位置を第1位置とし、この第1位置は第2位置よりもヘッドタンク35内の液体残量が少ない位置とする。そして、第1位置と第2位置との差分に相当する量(液体量)を差分供給量として記憶保持する。なお、供給量は送液ポンプ252の単位時間当たりの送液量×駆動時間で得られるので、差分供給量は、液体量そのものに代えて、送液ポンプ252の駆動時間で記憶保持することもできる。
そして、キャリッジ3の走査中は、ヘッドタンク35の変位部材205が、液体残量が減少する方向に変位して第1センサ251で検知されたときから所定量の液体が消費されたときに、メインタンク50からヘッドタンク35への送液を開始する。
この送液で液体残量が増加する方向に変位部材205が変位して第1センサ251で検知されるので、第1センサ251で変位部材205を検知した後、記憶保持している差分供給量相当の送液を行うことで、変位部材205が充填満タン位置になるまでヘッドタンク35に送液を行うことができる。
次に、走査中の送液動作を行うための差分供給量の検出動作の第2例について図9を参照して説明する。図9は同説明に供する変位部材205の各位置の説明図である。
この例では、第2センサ301で検知する第2位置を大気開放位置Fとし、大気開放位置Fから所定量のインクを逆引きした位置を充填満タン位置Gとし、第1センサ251で検知する位置を第1位置Hとする。なお、大気開放位置Fは、大気開放機構207によって液体収容部202を大気に開放したときの変位部材205の位置である。
そして、第1位置Hから差分供給量B分の送液を行ったときに変位部材205が充填満タン位置Gになるようする。
ヘッドタンク35に対する送液は、例えば、変位部材205がヘッドタンク25内の液体残量が減少する方向に変位するときに第1センサ251に検知されたときから液体消費量を計測する。そして、液体消費量が所定液体消費量Wになった位置を供給開始位置Iとして、送液ポンプ252を駆動して送液を開始する。
そして、変位部材205がヘッドタンク35内の液体残量が増加する方向に変位するときに第1センサ251に検知されたときを基準として、差分供給量Bの供給を行ったときに供給を停止する。
このようにしても、キャリッジ走査中に充填満タン位置まで送液することができる。
次に、制御部による差分供給量の算出(検出)処理について図10のフロー図を参照して説明する。
まず、ヘッドタンク35を大気開放状態にして液体を充填する。このときには、電極ピン208が液面を検知したときに充填完了とする。
この状態で、キャリッジ3を移動させて、第2センサ301で変位部材205(以下、図中では「フィラ」と表記する。)を検知する。これにより、ヘッドタンク35の変位部材205は大気開放位置になっている。
そして、変位部材205が大気開放位置にある状態から送液ポンプ252の逆転動作にて、第1センサ251が変位部材205を検知するまで液体をメインタンク50に逆送してから逆転動作を停止する。
次いで、第2センサ301が変位部材205を検知する位置までキャリッジ3の移動を開始し、リニアエンコーダ122によるカウントを開始して、第2センサ301が変位部材205を検知したときにカウントを停止する。
これにより、大気開放位置(第2位置)と第1センサ251が変位部材205を検知する第1位置との間の変位部材205の変位量(差分)が検出される。この差分から予め定めた所定変位量を減じた値(差分変位量)を得て、この差分変位量に相当する液体量を差分供給量(差分送液量)として記憶保持する。
また、ここでは、大気開放位置を第2位置としているが、上述したように、充填満タン位置そのものを第2位置として、第2位置と第1位置との間の変位量に相当する供給量を差分供給として記憶するようにすることもできる。これは、充填満タン位置の決定の仕方によるものである。
次に、印刷動作中の送液制御(印字中充填処理)について図11のフロー図を参照して説明する。
印字動作中は、充填満タン状態から液体が消費されることで、変位部材205はヘッドタンク35の液体残量が減少する方向に変位するので、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。
そして、ヘッドタンク35の液体残量が減少する方向に変位部材205が変位して第1センサ251が変位部材205を検知したときには、供給開始位置決定処理をする。
この供給開始位置決定処理では、印刷する画像データからキャリッジ3の主走査位置と画像データを印刷するために液体吐出ヘッド34から吐出して消費される液体消費量との関係から、液体吐出ヘッド34から吐出して消費される液体消費量が所定量Wになると予測されるキャリッジ3の主走査位置(この位置を「キャリッジ供給開始位置」という。)を決定する。
その後、キャリッジ3が決定されたキャリッジ供給開始位置になったか否かを判別する。
そして、キャリッジ3がキャリッジ供給開始位置になったときには、キャリッジ3の走査幅(走査距離)を拡大する処理を行い、ヘッドタンク35に対して送液を行っていないときの走査幅よりもヘッドタンク35に対して送液を行うときの走査幅を広く(走査距離を長く)する。
その後、送液ポンプ252を正転駆動してメインタンク50からヘッドタンク35への送液(供給)を開始し、第1センサ251が、液体残量が増加する方向に変位する変位部材205を検知したか否かを判別する。
そして、第1センサ251が変位部材205を検知したときには、差分供給量の送液を行った後、送液ポンプ252の駆動を停止する。
そして、キャリッジ3の走査幅を元に戻し、印字を継続する。
このように、本実施形態では、キャリッジ3の走査中にヘッドタンク35に送液するときには、ヘッドタンク35に送液しないときよりも走査幅を長くする。
なお、本実施形態では、印刷する画像データに基づいて第1センサ251が変位部材205を検知してからの液体消費量が所定量Wになるキャリッジ3の位置を決定して、印字中の送液を開始するようにしているが、これに限られない。
例えば、第1センサ251が変位部材205を検知した後の液体消費量を算出(計測)し、液体消費量が所定量W以上になったときに、送液を開始することもできる。
ここでの液体消費量の算出は、例えば画像形成のために吐出された滴数や印字動作中の空吐出動作で吐出された滴数をカウントし、そのカウント値に当該滴の滴量を乗じることで計算上得ることができる。これを、「ソフトカウント」といい、ソフトカウントで液体消費量計測手段を構成する。また、液体吐出ヘッド34から液体を吸引するクリーニング動作を行なったときには、当該吸引による液体消費量(吸引量)は予め定められているので、当該吸引量を加算すればよい。
次に、キャリッジ3の走査幅の変更について図12ないし図14も参照して説明する。図12は同説明に供する平面説明図、図13は同じく正面説明図、図14は具体的な走査幅の変更過程の一例の説明図である。
図12に示すように、例えば主走査方向の幅Lpの媒体PAに印字を行っているとき、ヘッドタンク35に対する送液を行っていない非供給時には、キャリッジ3の最大走査幅は、画像サイズ(主走査方向の幅)にキャリッジ3の幅分を加算した幅となり、例えば図12の幅Lsとなる。なお、通常、印刷時の走査幅は画像サイズに応じて変動し、画像サイズが小さければ小さいほど通常印刷時の走査幅は小さくなる制御を行っている。
ここで、上述したように変位部材205を第1センサ251で検知して印字中(キャリッジ走査中)の送液動作を行う場合、キャリッジ3の加減速領域においては変位部材205のばたつきが発生して正確な送液制御ができなくなるおそれがある。したがって、印字中の送液動作はキャリッジ3の等速領域で行うことが好ましい。
しかしながら、媒体Pの幅が狭いときにはキャリッジ3の走査幅も短くなり、キャリッジ3の走査中の等速領域も狭くなるので、送液によって変位する変位部材205を正確に検知ができなくなることがある。
そこで、本実施形態では、キャリッジ3の走査中にヘッドタンク35に対して送液を行うときには、キャリッジ3の走査幅を、送液を行っていない通常の印刷時の走査幅よりも長く(広く)する制御を行っている。
このようにキャリッジ3の走査幅を通常印刷時の走査幅よりも広く走査することで、キャリッジ3の等速領域が広くなり、変位部材205を正確に検知できるようになるので、送液ポンプ252によるヘッドタンク35への送液を安定して実施することができる。
つまり、ヘッドタンク35の液体残量が多く、ヘッドタンク35への送液を行っていないときには、図13(a)に示すように走査幅を短くする。一方、ヘッドタンク35の液体残量が減少してヘッドタンク35への送液を行うときには、図13(a)に示すように走査幅を長くし、キャリッジ3の等速領域を確保する。
具体的には、キャリッジ3の走査中に供給開始位置になったか否かを判別して、供給開始位置になったときには、次のキャリッジ走査(スキャン)のタイミングで走査幅を長くするように変更する。
例えば、写真媒体(KGサイズ:幅102mm)に印刷を行う場合、キャリッジ3の走査幅が短いため、送液(供給)が必要なタイミングで、図12のA4サイズ幅(210mm)の走査幅L4以上まで走査幅を拡大した状態で送液を実施する。なお、液体吐出ヘッド34からの一定時間当りの吐出量に対し、送液量が不足する場合には、走査幅を図12の装置最大幅Lmaxまで拡大することで、等速領域における供給量(送液量)を増加させることができる。
また、送液を行なってヘッドタンク35内が満タンになった後は、キャリッジ3の走査幅を通常印刷時の走査幅に戻している。具体的には、キャリッジ走査中に満タンになったか否かを判定し、満タンになった場合には、次のキャリッジ走査のタイミングで走査幅を元の媒体に合わせた走査幅に変更する(元の走査幅に戻す)。
これにより、例えば、図14に示すように、印字開始(非供給時)には画像サイズにキャリッジ幅分を加算した走査幅でキャリッジ3を走査し、途中で、送液が必要になったときには、例えばA4サイズにキャリッジ幅分を加算して走査幅を長く変更する。
そして、送液が終了すれば、画像サイズにキャリッジ幅分を加算した走査幅に戻し、再度、送液が必要になったときには、例えばA4サイズにキャリッジ幅分を加算して走査幅を長く変更する。そして、送液が終了すれば、画像サイズにキャリッジ幅分を加算した走査幅に戻して印字を継続し、最終的に印字を終了する。
なお、拡大する(長くする)走査幅は、印刷に使用する液体吐出ヘッド34からの吐出量や送液を行う送液ポンプ252の流量に応じて、キャリッジ3の最大走査幅Lmax以内に設定すればよい。
また、ページ間などで印刷を実施していない時間があるときには、その期間中に、送液を実施することで走査幅を変更する回数を低減できる。この場合には、第1センサ251で変位部材205を検知してから供給を開始するまでの液体消費量(所定液体消費量)に余裕を持たせて、所定液体消費量を消費しても当該ページの印刷を行うに十分な液体残量となるように、所定液体消費量Wを所定すればよい。
また、図11の処理においては、媒体のサイズに関係なく、つまり、通常印刷動作における走査幅に関係なく、常に走査幅の拡大が行われるが、媒体のサイズを判別して、所定サイズ以下のときにのみ走査幅の拡大を行うようにすることもできる。
次に、本発明の第2実施形態における印刷動作中の送液制御(印字中充填制御)について図15のフロー図を参照して説明する。
なお、装置構成は前記第1実施形態と同様である。また、ここでは、説明を簡単にするため、ヘッドタンク35を2つとし、一方のヘッドタンク35に関わる部分を「1色目」、他方のヘッドタンク35に関わる部分を「2色目」と表記して区別する。
まず、1色目の第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。そして、前記第1実施形態と同様にして、第1センサ251が変位部材205を検知したときには、供給開始位置決定処理をし、キャリッジ3の位置が供給開始位置決定処理で決定したキャリッジ供給開始位置になったか否かを判別する。
そして、キャリッジ3がキャリッジ供給開始位置になったときには、2色目の第1センサ251が変位部材205を検知済か否かを判別する。つまり、2色目のヘッドタンク35について、変位部材205が第1センサ251による第1位置よりも液体残量が少ない位置にある状態であるか否かを判別する。
ここで、2色目の第1センサ251が変位部材205を検知済でなければ、1色目の送液ポンプ252を正転駆動して、1色目のヘッドタンク35に対する送液を開始する。
そして、1色目の第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別し、1色目の第1センサ251が変位部材205を検知したときから1色目のヘッドタンク35に対して差分供給量の送液を行い、送液ポンプ252を停止する。
一方、2色目の第1センサ251が変位部材205を検知済であれば、1色目及び2色目の各送液ポンプ252を正転駆動して、1色目のヘッドタンク35及び2色目のヘッドタンク35に対する送液を開始する。
そして、1色目の第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別し、1色目の第1センサ251が変位部材205を検知したときから1色目のヘッドタンク35に対して差分供給量の送液を行う。
その後、2色目の第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別し、2色目の第1センサ251が変位部材205を検知したときから2色目のヘッドタンク35に対して差分供給量の送液を行った後、送液ポンプ252を停止する。
なお、本実施形態でも、図示していないが、前述した第1実施形態と同様に、送液を行うときには、送液を行わないときよりもキャリッジ3の走査幅を長くする処理、送液終了後に走査幅を元に戻す処理を行っている。
このように、1つのヘッドタンクについて印字中の送液動作を行う状態になったときには、第1センサ251で変位部材205が検知されて供給開始位置決定処理(液体消費量の算出)を行っている他のヘッドタンク35に対しても繰り上げて印字中の送液動作を行う。
すなわち、印字中の送液を行うためにキャリッジ3の走査幅を長くして走査すると、送液する回数が増加するほどキャリッジ3の走査幅を長くする回数が増加し、印刷速度の低下につながる。
そこで、一のヘッドタンクについて印字中の送液動作を行うときには、液体消費量が減少している他のヘッドタンクについても併せて印字中の送液動作を行う。
これにより、ヘッドタンクごとに印字中の送液動作を行う場合に比べて、キャリッジ3の走査幅を長くする回数が減少し、印刷速度の低下を抑制することができる。
なお、この場合、送液を停止するタイミングは、それぞれの色のヘッドタンク35が満タンになった(差分供給量を供給した)タイミングである。送液回数が増加し、送液ポンプ252の耐久性能によっては、同じタイミングで供給する/しないを切り替えられる仕組みとし、同じタイミングで供給しないを選択すれば、同じ送液ポンプ252を駆動する回数は減少する。
なお、本実施形態では2つのヘッドタンクで説明しているが、3つ以上のヘッドタンクを使用する場合でも同様に実施することができる。
次に、本発明の第3実施形態における印刷動作中の送液制御(印字中充填制御)について図16のフロー図を参照して説明する。
なお、装置構成は前記第1実施形態と同様である。
まず、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。そして、前記第1実施形態と同様にして、第1センサ251が変位部材205を検知したときには、供給開始位置決定処理をし、キャリッジ3の位置が供給開始位置決定処理で決定したキャリッジ供給開始位置になったか否かを判別する。
ここで、キャリッジ3が供給開始位置になったときには、空吐出動作を行う空吐出タイミングになったか否かを判別する。
そして、空吐出タイミングになったときには、キャリッジ3を空吐出位置(空吐出液を受ける手段である空吐出受け28又は空吐出受け24若しくは吸引キャップ21に対向する位置)に移動して空吐出動作を実施する。このとき、空吐出位置は印字領域よりも外側に位置しているのでキャリッジ3の走査幅が拡大される。
その後、送液ポンプ252を正転駆動して、ヘッドタンク35に対する送液を開始し、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205を検知したときからヘッドタンク35に対して差分供給量の送液を行い、送液ポンプ252を停止する。
そして、印字を継続する。このとき、キャリッジ3は空吐出位置から媒体Pに対して印字を行う位置に移動するので、キャリッジ3の走査幅は元に戻る。
つまり、キャリッジ3の走査幅を拡大すると印刷速度の低下に繋がるため、印刷中に液体吐出ヘッド34の維持回復のために定期的に実施する空吐出動作のタイミングに合わせて、キャリッジ走査中の送液動作を行う。これにより、印刷速度の低下を抑制できる。
定期的な空吐出動作は、空吐出受け28又は空吐出受け24若しくは吸引キャップ21に対して空吐出用の液体を吐出する。定期的な空吐出動作では、液体吐出ヘッド34内のすべてのノズルで実施し、数十秒に1回の周期で実施される。空吐出動作を実施する周期は。環境温湿度や印刷モード選択による画像解像度等によって変更される。
1回の空吐出実施時間内に送液が完了しなかった(差分供給量を供給できなかった)場合には、次のキャリッジ走査幅を通常印刷時の走査幅より広くし、ヘッドタンク35が満タンになるまで送液を行って、差分供給量の供給が終了した後、キャリッジ3の走査幅を元に戻す。
次に、本発明の第4実施形態における液体を吐出する装置について図17及び図18も参照して説明する。図17は同装置の外観斜視説明図、図18は同じく側面模式的説明図である。なお、前記第1実施形態の構成に対応する部分について同じ符号を付して説明を簡略にする。
この装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体701と、装置本体701の下側に配置した給紙装置702とを備えている。
装置本体701の内部には、両側板にガイド部材であるガイド部材1及びガイドステー2が掛け渡されている。そして、これらのガイド部材1及びガイドステー2にキャリッジ3が図16の矢印A方向(主走査方向)に移動可能に保持されている。
キャリッジ3は、主走査モータ5によって、駆動プーリ6、従動プーリ7及びタイミングベルト8を介して主走査方向に往復移動される。
キャリッジ3には、液体吐出ヘッド34及びヘッドタンク35を含む所要数の液体吐出ユニット4が搭載され、所要の色の液体を吐出する。液体吐出ユニット4のヘッドタンク35には、メインタンク50から供給チューブ56を介して各色の液体が供給される。
一方、キャリッジ3の主走査領域のうち、記録領域(印字領域)では、給紙装置702からロール状媒体(以下、「ロール紙」という。)Rが給送され、搬送手段721によってキャリッジ3の主走査方向と直交する方向(副走査方向:矢印B方向)に間欠的に搬送される。
搬送手段721は、給紙装置702から給紙されるロール紙Rを搬送する回転体(回転部材)である搬送ローラ723及び搬送ローラ723に対向配置した加圧ローラ724を有している。そして、複数の吸引穴が形成された搬送ガイド部材725と、搬送ガイド部材725の吸引穴から吸引を行う吸引手段としての吸引ファン726を有している。
この搬送手段721の下流側には、液体吐出ヘッド34で画像が形成されたロール紙Rを所定の長さで切断する切断手段としてのカッタ727が配置されている。
このカッタ727は、例えばワイヤ或いはタイミングベルトに取り付けられ、ワイヤ或いはタイミングベルトを主走査方向Aに移動することで、カッタ727でロール紙Rを所定の長さに切断する。
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ガイド部材725の側方に液体吐出ヘッド34の維持回復を行う維持回復機構720が配置されている。
給紙装置702は、スプール軸受け台811を有している。スプール軸受け台811内部にはロール体812からロール紙Rを繰り出し、ロール紙Rを巻き戻す繰り出し機構が設けられている。
ロール体812は、芯部材である管814に長尺のロール状媒体であるロール紙Rをロール状に巻き付けたものである。なお、ロール体は管814及びロール紙Rを合わせた部材の総称とする。
そして、スプール軸受け台811に装着したロール体812を回転させて、ロール紙Rをガイド部材830に沿って下流側に送り出す。
スプール軸受け台811の送り出し方向下流側には、ロール体812から送り出されたロール紙Rを湾曲させて上方に給送する搬送ローラ対831が配置されている。また、スプール軸受け台811と搬送ローラ対831の間には、ロール紙120の下面を案内するガイド部材830が配置されている。
搬送ローラ対831を回転駆動することで、ロール体812から繰り出されるロール紙Rは、搬送ローラ対831で搬送され、搬送ローラ対831を経て、搬送手段721の搬送ローラ723と加圧ローラ724との間に送り込まれる。
このように構成した装置においては、キャリッジ3を主走査方向に移動し、給紙装置702から給送されるロール紙Rを、搬送手段721によって間欠的に送りながら、液体吐出ヘッド34を画像情報(印字情報)に応じて駆動して液体を吐出させることによって、ロール紙R上に所要の画像が形成される。
そして、画像形成後のロール紙Rは、カッタ727で所定の長さにカットされ、装置本体701の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
次に、本実施形態における送液制御について図19のフロー図を参照して説明する。
まず、本実施形態では、書き込みスキャン毎の液体消費量をカウントする液体消費量カウント手段を備えている。液体消費量カウント手段は、例えば、ノズルからの液体吐出量(吐出回数)をカウントする、或いは、スキャンデータの画像データの画素パターンをカウントし、液体吐出量を検出する画素パターンカウント手段などが使用できる。
また、本実施形態では、画像データと液体消費量カウント手段などの情報から印刷終了までに要する時間を算出する印刷完了カウント手段を備える。
また、ヘッドタンク35の変位部材205を検知する構成については、前記第1実施形態と同様として説明する。
そこで、図19を参照して、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。そして、前記第1実施形態と同様にして、第1センサ251が変位部材205を検知したときには、供給開始位置決定処理をし、キャリッジ3の位置が供給開始位置決定処理で決定したキャリッジ供給開始位置になったか否かを判別する。
そして、キャリッジ3の位置がキャリッジ供給開始位置になったときには、印刷終了までに要する時間が乾燥時間以下であるか否かを判別する。乾燥時間は、ロール紙Rを排出する排出処理に要する時間であり、ロール紙Rに着弾した液体が乾燥するまで排出を待つ予め定めた乾燥待ち時間である。
ここで、印刷終了までに要する時間が乾燥時間以下でないとき、つまり、印刷終了までに要する時間が乾燥時間を超えるときには、前記第1実施形態と同様に、キャリッジ3の走査幅の拡大を行って印字中の送液(供給)を実施したのち、キャリッジ3の走査幅を元に戻す処理をして印字を継続する。
これに対し、印刷終了までに要する時間が乾燥時間以下であるときには、キャリッジ3の走査幅を拡大する制御行わないで、送液(供給)を実施する。液体供給の実施中に画像形成が完了し、その後の液体乾燥待ち時間の経過でロール紙Rを排出することで、走査幅拡大に伴う印刷速度の低下を抑制することができる。
なお、液体乾燥待ち時間(乾燥時間)の設定に当たっては媒体のサイズや印刷モード、温湿度条件を考慮して複数の閾値を変動させるようにすることが好ましい。
次に、本発明の第5実施形態における送液制御について図20のフロー図を参照して説明する。
ここでも、第1センサ251が変位部材205を検知したか否かを判別する。そして、前記第1実施形態と同様にして、第1センサ251が変位部材205を検知したときには、供給開始位置決定処理をし、キャリッジ3の位置が供給開始位置決定処理で決定したキャリッジ供給開始位置になったか否かを判別する。
そして、キャリッジ3の位置がキャリッジ供給開始位置になったときには、印刷終了までに要する時間がカット時間以下であるか否かを判別する。カット時間は、ロール紙Rを排出する排出処理に要する時間であり、カッタ727によってロール紙Rをカットするときに要する時間である。
ここで、印刷終了までに要する時間がカット時間以下でないとき、つまり、印刷終了までに要する時間がカット時間を超えるときには、前記第1実施形態と同様に、キャリッジ3の走査幅の拡大を行って印字中の送液(供給)を実施したのち、キャリッジ3の走査幅を元に戻す処理をして印字を継続する。
これに対し、印刷終了までに要する時間がカット時間以下であるときには、キャリッジ3の走査幅を拡大する制御をしないで、送液(供給)を実施する。液体供給の実施中に画像形成が完了し、その後のカット時間の経過でロール紙R(カッタされたもの)を排出することで、走査幅拡大に伴う印刷速度の低下を抑制することができる。
なお、カット時間については媒体の幅に応じて閾値を切り替えられるようにすることができる。
上記各実施形態においては、キャリッジの走査中における送液制御では、予め検出して記憶保持している差分供給量に基づく送液量制御行っているが、固定値で制御することもできる。
例えば、予め第1センサで変位部材を検知する位置を基準として液体残量が少なくなる方向における供給開始用液体量及び液体残量が多くなる方向における供給停止液体量を予め実験的に求めて固定値として記憶保持しておく。
そして、第1センサが変位部材を検知してから液体残量が減少する方向での液体消費量が供給開始用液体量になったときに送液を開始し、変位部材が液体残量が増加する方向に変位して第1センサで検知されたときから供給停止液体量の送液を行って送液を停止する。この場合、固定値であるために、負圧が過大、あるいは、過少にならないようにマージンを持たせる必要があるものの、差分検出を行う必要がなくなる。
このような構成でも変位部材の検知結果を使用して送液制御を行うために、変位部材のばたつきが少ない領域での送液を行うためにキャリッジの走査幅の拡大を行うことができる。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド若しくは液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッド若しくは液体吐出ユニットを駆動させて、液体を吐出させる装置の意味である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なもの(液体付着対象)に対して液体を吐出することが可能な装置、気中又は液中に向けて液体を吐出する装置が含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド若しくは液体吐出ユニットと、液体吐出動作を制御する制御手段と、液体付着対象の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
また、「液体を吐出する装置」には、記録装置、印刷装置、画像形成装置、液滴吐出装置、液体吐出装置、処理液塗布装置、立体造形装置、噴射造粒法で微粒子を製造する装置、プリンタ、マルチファンクションプリンタ(MFP)、3Dプリンタなどと称される装置を含む。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着するもの」とは液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。「液体が付着する部材」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドと別の機能部品や機構とを一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体を意味する。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持機構、主走査移動機構の構成を任意に液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、液体吐出ヘッドと別の機能部品/機構とが一体化しているとは、例えば、締結部材や接着若しくは熱カシメで固定、若しくはチューブ等で接続、若しくは互いに係合(一方が他方に対して摺動可能に係合しているものも含む)しているものを含む。また、液体吐出ヘッドと別の機能部品/機構とが直接、固定、接続、係合しているものに限らず、間に中間部材を介して固定、接続、係合しているものであっても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクとが、締結部材や接着などで固定されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクとが一体化されているものを挙げることができる。また、液体吐出ヘッドとヘッドタンクとが、チューブなどで相互に接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクとが一体化されているものを挙げることができる。また、これらの液体吐出ユニットにヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加したものを挙げることができる。
また、液体吐出ヘッドとキャリッジとが、締結部材や接着などで固定されて、液体吐出ヘッドとキャリッジとが一体化されているものを挙げることができる。また、液体吐出ヘッドとキャリッジとが、取り付ける取り付け部材を介して固定されて、液体吐出ヘッドとキャリッジとが一体化されているものを挙げることができる。
また、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に摺動可能に係合(若しくは取り付けた)させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構を一体化したものを挙げることができる。また、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に摺動可能に係合(若しくは取り付けた)させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構を一体化したものを挙げることができる。
また、液体吐出ヘッドに、維持機構の一部であるキャップを締結部材等で固定させて、液体吐出ヘッドと維持機構とを一体化したものを挙げることができる。液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持機構の一部であるキャップを締結部材等で固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持機構とを一体化したものを挙げることができる。
また、液体吐出ヘッドの外部から内部に液体を供給するためのチューブが、液体ヘッドに接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構とを一体化したものを挙げることができる。また、チューブが接続された流路部品を液体吐出ヘッドに取り付けることで、流路部品を介して液体吐出ヘッドと供給機構とを一体化したものを挙げることができる。また、チューブが接続されたヘッドタンクを液体吐出ヘッドに取り付けることで、液体吐出ヘッドとヘッドタンクと供給機構とを一体化したものを挙げることができる。
上記主走査移動機構は、液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させるための機構である。例えば、主走査移動機構は、液体吐出ヘッド又はキャリッジを案内するガイド部材、これらに駆動源、キャリッジの移動機構を組み合わせて構成される。ガイド部材単体も主走査移動機構に含むものとする。
供給機構は、液体吐出ヘッドの外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッドに供給するための機構である。例えば、供給機構は、液体カートリッジを装着する装填部及びチューブで構成される。また、チューブ単体、装填部単体でも供給機構に含むものする。
維持機構は、液体吐出ヘッドの性能の維持、回復を行うための機構である。例えば、維持機構は、キャップ、ワイパ部材、キャップに通じる吸引ポンプなどの吸引手段、空吐出受けのいずれか2以上を組み合わせたものである。
・維持機構が何を維持するのか説明するため、維持機構の機能を補足お願いします。
さらに、「液体吐出ユニット」として、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構と維持機構と供給機構とを一体化したものを挙げることができる。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。