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JP2017073908A - 車上制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄道車両の走行位置での風の状況を捉えて、鉄道車両の個別的かつ適正な運転規制を実現するための技術を提供すること。【解決手段】車上制御装置10において、自然風データ算出部23は、計測風データ取得部22が取得した計測風向および計測風速と、走行速度取得部21が取得した走行速度とから自然風向および自然風速を算出する。転覆限界風速算出部24は、転覆限界風速自然風データ算出部23が算出した自然風向および走行速度取得部21が取得した走行速度に応じた転覆限界風速を算出する。運転規制用制御発動制御部26は、運転規制条件決定部25が転覆限界風速に基づき決定した運転規制条件を満たす場合に、所定の運転規制用制御を実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、風による鉄道車両の転覆に対する安全上の運転規制のための制御を行う車上制御装置に関する。
鉄道車両が側方から風を受けると、車両に風圧による抗力(横力)が生じる。風速が大きい場合車両を転覆させようとする横力が大きくなり、ある限界風速以上の風が吹くと、車両は転覆・脱線することがある。
このような事故を未然に防ぐため、鉄道の沿線に設置した風速計により風観測を行って強風時に運転を抑止し、あるいは走行速度を制限する運転規制が行われている。例えば、特許文献1には、鉄道沿線に風向風速計を設置し、風向と風速とを考慮して強風時運転規制を行う技術が開示されている。
特開2013−159259号公報
運転規制は、規制区間内の鉄道沿線に設置された風速計の計測値に基づいて、当該規制区間を走行する鉄道車両に対して発令されるのが通常であった。風速計は、運転規制が発令され得る区間において最も強風が吹きやすいことが想定される箇所に設置されている。しかし、風速計の設置箇所における風速と、運転規制の対象となる鉄道車両周辺における風速とが一致しているとは限らない。そのため、例えば風速計の設置箇所周辺でのみ局所的に強風が吹いており、実際の走行位置では運転規制を要するほどの強風が吹いていないといった場合もあり得た。しかし、従来は、そのような場合であっても、対象とする区間全体に対して運転規制が発令されたため、運行ダイヤの乱れを招く要因となっていた。
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、鉄道車両の走行位置における風の状況を捉えて、鉄道車両の個別的かつ適正な運転規制を実現するための技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明は、
鉄道車両に設けられた風向風速計によって計測された計測風向および計測風速と、前記鉄道車両の走行速度とを用いて、自然風の風速(以下「自然風速」という)を算出する算出部(例えば、図3の自然風データ算出部23)と、
前記自然風速を用いて、前記鉄道車両の転覆に対する安全上の運転規制をかける条件である所与の運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に前記鉄道車両の運転を規制するための所定の運転規制用制御を実行する発動制御部(例えば、図3の転覆限界風速算出部24、運転規制条件決定部25、運転規制用制御発動制御部26)と、
を備えた車上制御装置である。
この第1の発明によれば、鉄道車両に設けられた風向風速計によって走行中の鉄道車両に働く風を計測した上で、鉄道車両の走行速度を用いて自然風速を算出することができる。そして、自然風速を用いて所与の運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に所定の運転規制用制御を実行することができる。したがって、走行位置における風の状況を捉えて、鉄道車両の個別的かつ適正な運転規制を実現することが可能となる。これによれば、鉄道車両の転覆に対する安全性を確保しつつ、運行ダイヤの乱れを抑えて輸送の安定性を高めることが可能となる。
第2の発明は、第1の発明の車上制御装置であって、
前記算出部は、前記計測風向および前記計測風速と、前記走行速度とを用いて、自然風の風向(以下「自然風向」という)を更に算出し、
前記発動制御部は、前記自然風向および前記走行速度を用いて前記運転規制条件を決定し、前記自然風速を用いて当該運転規制条件を満たすか否かを判定する、
車上制御装置である。
この第2の発明によれば、自然風向を算出した上で、自然風向および走行速度を用いて運転規制条件を決定することができる。そして、自然風速を用い、決定した運転規制条件を満たすか否かを判定できる。
第3の発明は、第2の発明の車上制御装置であって、
前記発動制御部は、前記自然風向および前記走行速度に応じて定められる転覆限界風速に対して前記自然風速が所与の接近条件を満たしたことを前記運転規制条件として決定する、
車上制御装置である。
この第3の発明によれば、自然風向と走行速度とに応じた転覆限界風速に対して自然風速が接近した場合に、運転規制用制御を発動することが可能となる。
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の車上制御装置であって、
前記発動制御部は、前記走行速度を所与の低減速度と仮定して前記計測風向および前記計測風速を用いて算出した自然風速(以下「自然風速仮定値」という)が、前記運転規制条件を満たさない前記低減速度のうちの上限速度を決定し、前記走行速度を当該上限速度以下に低減させるための制御を前記運転規制用制御として実行する(例えば、図3の運転規制用制御発動制御部26,図6のステップA116,A119)、
車上制御装置である。
この第4の発明によれば、自然風速仮定値を用いて運転規制条件を満たさない低減速度のうちの上限速度を決定することができ、走行速度を上限速度以下に低減させるための制御を行うことができる。これによれば、走行速度を制限する速度規制が必要な場合であっても、必要以上に減速する事態を防止できる。
また、第5の発明は、鉄道車両に設けられた当該鉄道車両の輪重又は輪重に相応する指標値(以下包括して「輪重指標値」という)を計測する計測器によって計測された指標値(例えば、図7の輪重センサ81〜84)を用いて、前記鉄道車両の転覆に対する安全上の運転規制をかける条件である所与の運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に前記鉄道車両の運転を規制するための所定の運転規制用制御を実行する(例えば、図7の運転規制用制御発動制御部35)車上制御装置である。
この第5の発明によれば、鉄道車両に設けられた計測器によって、走行中の鉄道車両の輪重指標値を計測することができる。そして、輪重指標値を用いて所与の運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に所定の運転規制用制御を実行することができる。したがって、走行位置における風の状況を捉えて、鉄道車両の個別的かつ適正な運転規制を実現することが可能となる。これによれば、鉄道車両の転覆に対する安全性を確保しつつ、運行ダイヤの乱れを抑えて輸送の安定性を高めることが可能となる。
また、第6の発明は、第5の発明の車上制御装置であって、
前記鉄道車両が平坦な線路上に停車状態で位置している際の前記輪重指標値である静止時指標値を基準とする走行中の前記指標値の変動を算出する算出部(例えば、図7の指標値変動算出部33)と、
前記変動を用いて前記運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に前記運転規制用制御を実行する発動制御部(例えば、図7の運転規制用制御発動制御部35)と、
を備えた車上制御装置である。
この第6の発明によれば、静止時指標値を基準とする輪重指標値の変動を算出することができる。そして、算出した変動を用いて運転規制条件を決定し、運転規制条件を満たすか否かを判定できる。
また、第7の発明は、第6の発明の車上制御装置であって、
前記運転規制条件には、複数の規制速度ごとに、前記変動の閾値条件が定められており、
前記発動制御部は、前記変動に所定の余裕値を見込んだとしても満たさない前記閾値条件のうち、最も高い前記規制速度に基づいて前記運転規制用制御を実行する(例えば、図7の運転規制用制御発動制御部35,図10のステップA231〜A233)、
車上制御装置である。
この第7の発明によれば、輪重指標値の変動に所定の余裕値を見込んだとしても満たさない規制速度のうちの最も高い規制速度に基づいて、運転規制用制御を実行することができる。これによれば、走行速度を制限する速度規制が必要な場合であっても、必要以上に減速する事態を防止できる。
鉄道車両に働く風と自然風との関係を示す図。 自然風の風向角および走行速度と、転覆限界風速との関係の一例を示す図。 第1の実施形態における車上制御装置の機能構成例を示すブロック図。 第1の実施形態における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャート。 変形例1における低減速度の決定方法を説明する図。 変形例1における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャート。 第2の実施形態における車上制御装置の機能構成例を示すブロック図。 第2の実施形態における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャート。 変形例2における規制速度の決定方法を説明する図。 変形例2における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャート。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
[第1の実施形態]
鉄道車両に側方からの自然風(横風)が作用すると、鉄道車両には風による横力が生じる。横風が弱いときには鉄道車両は転覆することなく安全に走行できる。しかし、横風が強いときには、風上側の輪重つまりレールが車輪から受ける垂直下方の力が小さくなる。そして、風速が増すと風上側の輪重はさらに減少し、ある風速に達すると、風上側の車輪がレールから浮き上がって鉄道車両が転覆・脱線する可能性が生じる。この転覆・脱線する可能性が生じる風速の最小値を転覆限界風速と呼ぶ。
図1は、鉄道車両1に働く風と自然風との関係を示す図である。ここで、風が線路方向となす風向のことを風向角という。図1に示すように、鉄道車両1の進行方向を0[°]とし、この進行方向を基準とする鉄道車両1とのなす風向角が角度αである自然風が吹いている場合を考える。鉄道車両1は、無風状態の中を走行しているときには相対的に走行速度と同じ大きさで反対向きの風を受けている。したがって、風向角が角度αである自然風の中を走行中の鉄道車両1には、走行に伴って生じる走行速度vの逆ベクトル−vと、自然風のベクトルwとの合成風が鉄道車両1に働く風として作用し、合成風のベクトルuと鉄道車両1とのなす風向角は角度βとなる。
ところで、上記した転覆限界風速は、自然風の風向角αと、走行速度vとによって定めることができる。図2は、自然風の風向角αおよび走行速度vと、転覆限界風速との関係の一例を示す図である。風向角αに着目すれば、転覆限界風速は、横風となる風向角αが90[°]の付近で小さい値となる。逆に、図示していないが、風向角αが0[°]の付近や180[°]の付近では向かい風や追い風となるため、転覆限界風速は大きい値(理論上は無限大)となる。また、走行速度vに着目すると、転覆限界風速は、走行速度vが高速であるほど小さく、低速ほど大きい値となる。この転覆限界風速は、風向角α(自然風の風向)および走行速度vを変数とする関数Wc(α,v)[m/s]で表すことができる。
よって、鉄道車両1に働く風の風向および風速を計測すれば、これらの各値によって定まる合成風のベクトルuと、走行速度によって定まる逆ベクトル−vとから自然風のベクトルwを求めることができ、自然風の風向(自然風向)および風速(自然風速)を算出できる。そして、図2に示す関係(関数Wc(α,v))から、自然風向および走行速度に応じた転覆限界風速を算出することができる。
そこで、第1の実施形態では、鉄道車両に風向風速計を設置して随時風向および風速を計測し、計測された風向(計測風向)および風速(計測風速)と、別途取得した鉄道車両の走行速度とから自然風向および自然風速を算出する。そして、自然風向と走行速度とに基づき上記の要領で転覆限界風速を算出して運転規制条件を決定し、自然風速が運転規制条件を満たす場合に、鉄道車両の運転を規制するための所定の運転規制用制御を実行する。
運転規制には、一般に、運転を完全に取りやめる運転抑止と、走行速度を所定の速度以下に制限する速度規制とがある。第1の実施形態では、これら2種類の運転規制に対応する接近条件を定めておく。
先ず、運転抑止用の接近条件は、「転覆限界風速との差が第1の接近値以下まで接近したこと」とし、第1の接近値を予め定めておく(仮に「5」とする)。そして、運行中は定期的に自然風向および自然風速を算出してその都度転覆限界風速を算出し、算出した転覆限界風速から第1の接近値「5」を減算した風速を運転抑止用閾値wR1として設定する。その後、自然風速が運転抑止用閾値wR1に達している場合に、所定の運転規制用制御を実行する。このようにすることで、運転抑止用の接近条件を満たすことを運転規制条件として決定し、運転規制条件を満たす場合(自然風速が運転抑止用閾値wR1に達した場合)に運転抑止の運転規制用制御を発動することができる。
次に、速度規制用の接近条件は、「転覆限界風速との差が第1の接近値以下までは接近していないものの、第2の接近値以下まで接近したこと」とし(第1の接近値<第2の接近値)、第2の接近値を予め定めておく(仮に「10」とする)。そして、運行中に定期的に算出される転覆限界風速から第2の接近値「10」を減算した風速を、速度規制用閾値wR2として設定する。その後、自然風速が運転抑止用閾値wR1には達していないものの速度規制用閾値wR2に達している場合に、所定の運転規制用制御を実行する。このようにすることで速度規制用の接近条件を満たすことを運転規制条件として決定し、この運転規制条件を満たす場合(自然風速が速度規制用閾値wR2に達した場合)に速度規制の運転規制用制御を発動することができる。
図3は、第1の実施形態における車上制御装置10の機能構成例を示すブロック図である。車上制御装置10は、鉄道車両に搭載される。この車上制御装置10は、図3に示すように、操作部101と、表示部103と、音出力部105と、通信部107と、処理部20と、記憶部40とを備えて構成される一種のコンピュータであり、風向風速計70やブレーキ機構(制動装置)109等と接続されていて、運転台等の鉄道車両の適所に設けられる。
操作部101は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で実現される入力装置であり、操作入力に応じた操作信号を処理部20に出力する。表示部103は、例えばLCD等で実現される表示装置であり、処理部20からの表示信号に応じた表示を行う。音出力部105は、例えばスピーカ等で実現される音出力装置であり、処理部20からの音信号に応じた音出力を行う。通信部107は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、TA、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される有線或いは無線の通信装置であり、外部装置(例えば、司令所に設置された列車運行制御装置)との間で通信を行う。
車上制御装置10は、鉄道車両の例えば屋根上等に設けられた風向風速計70と接続されており、この風向風速計70から計測風向および計測風速の各値が随時処理部20に入力される。
処理部20は、例えばCPU等の演算装置で実現され、記憶部40に記憶されたプログラムやデータ、操作部101からの操作信号、通信部107を介した外部装置からの指示信号等に基づいて車上制御装置10を構成する各部への指示やデータの転送を行い、車上制御装置10の動作を統括的に制御する。この処理部20は、走行速度取得部21と、計測風データ取得部22と、算出部としての自然風データ算出部23と、転覆限界風速算出部24と、運転規制条件決定部25と、発動制御部としての運転規制用制御発動制御部26とを備える。
走行速度取得部21は、例えば運転台から走行速度を入力することで、鉄道車両の走行速度を随時取得する。なお、走行速度は、運転台からの入力により取得する構成に限らず、鉄道車両の車軸を回転駆動する主電動機に設けられて駆動軸の回転を検出するパルスジェネレータや速度発電機等の回転検出器の検出信号から取得してもよい。例えば、パルスジェネレータの検出信号であるPG信号に基づき軸速度を検出し、走行速度として取得する構成でもよい。
計測風データ取得部22は、風向風速計70から入力される計測風向および計測風速を随時取得する。
自然風データ算出部23は、図1を参照して説明した要領で、計測風データ取得部22が取得した計測風向および計測風速と、走行速度取得部21が取得した走行速度とから自然風向および自然風速を算出する。
転覆限界風速算出部24は、自然風データ算出部23が算出した自然風向および走行速度取得部21が取得した走行速度に応じた転覆限界風速を算出する。例えば、図2を参照して説明した関数Wc(α,v)に自然風向および走行速度を代入することで転覆限界風速を算出する。関数Wc(α,v)のデータは、転覆限界風速算出式43として予め記憶部40に記憶されている。
ここで、転覆限界風速は、実際には自然風向および走行速度だけでなく、鉄道車両の諸元によっても変動する。そのため、関数Wc(α,v)は、車上制御装置10が搭載された鉄道車両の諸元に応じて予め定められる。また、転覆限界風速は、走行する線路の線形や、沿線の地理条件、線路構造物(例えば高架橋か否か等)といった走行位置によっても変動する場合があることから、転覆限界風速を算出する際に走行位置を考慮するようにしてもよい。
なお、関数Wc(α,v)のデータを記憶しておき転覆限界風速を算出する構成に限らず、走行速度毎に自然風向と転覆限界風速との関係を定めたデータテーブルを記憶部40に記憶しておき、当該データテーブルから自然風向および走行速度に応じた転覆限界風速を読み出す構成としてもよい。その際、当該データテーブルの転覆限界風速の値が離散的にある場合には、最近傍挿入法などの挿入法を用いて、自然風向および走行速度に応じた転覆限界風速の値を適宜補間して求めることとしてもよい。
運転規制条件決定部25は、運転抑止用の接近条件に基づき運転抑止用閾値wR1を設定し、速度規制用の接近条件に基づき速度規制用閾値wR2を設定することで運転規制条件を決定する。運転抑止用および速度規制用の各接近条件に関する閾値データ(具体的には第1の接近値および第2の接近値)は、接近条件データ42として予め記憶部40に記憶されている。
運転規制用制御発動制御部26は、運転規制条件を満たす場合に運転規制用制御を実行する機能部である。運転規制用制御としては、運転抑止の場合であれば、ブレーキ機構109を駆動して自動的に鉄道車両の走行を停止させる制御を行う。また、これに代えて、鉄道車両の走行を停止させるために、所定のメッセージを表示部103に表示し、あるいは音出力部105から警告音を音出力して運転抑止の発令を運転士に報知する制御を運転規制用制御として実行してもよい。この場合には、運転士がメッセージや警告音を確認し手動制御部111によりブレーキ機構109を手動で制御することで、鉄道車両の走行が停止されることとなる。
一方、速度規制の場合には、運転規制用制御発動制御部26は、運転規制用制御として、ブレーキ機構109を駆動して走行速度を所定の徐行速度に減速させる制御を行う。また、これに代えて、運転抑止の場合と同様に、表示部103へのメッセージ表示や音出力部105からの警告音の音出力によって速度規制の発令を運転士に報知する制御を運転規制用制御として実行してもよい。この場合には、運転士がメッセージや警告音を確認し手動制御部111によりブレーキ機構109を手動で制御することで、鉄道車両の走行速度が前述の徐行速度まで減速されることとなる。
記憶部40は、IC(Integrated Circuit)メモリやハードディスク、光学ディスク等の記憶媒体により実現されるものである。記憶部40には、車上制御装置10を動作させ、車上制御装置10が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、当該プログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶され、或いは処理の都度一時的に記憶される。
この記憶部40には、第1運転規制処理プログラム41と、接近条件データ42と、転覆限界風速算出式43と、風向風速データ44と、運転規制条件データ45とを記憶する。
処理部20は、記憶部40から第1運転規制処理プログラム41を読み出して実行することにより、走行速度取得部21や計測風データ取得部22、自然風データ算出部23、転覆限界風速算出部24、運転規制条件決定部25、運転規制用制御発動制御部26等の機能を実現する。
また、風向風速データ44は、計測風データ取得部22が取得した計測風向および計測風速を時系列で記憶する計測風データ441と、自然風データ算出部23が算出した自然風向および自然風速を時系列で記憶する自然風データ443とを含む。
運転規制条件データ45は、運転規制条件決定部25が運転規制条件を決定するにあたり設定した運転抑止用閾値wR1および速度規制用閾値wR2を随時書き換えて保持する。
図4は、第1の実施形態における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャートである。この運転規制発令処理は、鉄道車両が走行している間繰り返し行われる。本処理は、処理部20が記憶部40から第1運転規制処理プログラム41を読み出して実行することにより実現できる。
先ず、走行速度取得部21が、鉄道車両の走行速度を取得する(ステップS101)。続いて、計測風データ取得部22が、風向風速計70によって計測された計測風向および計測風速を取得する(ステップS103)。そして、自然風データ算出部23が、ステップS103で算出した計測風向および計測風速と、ステップS101で取得された走行速度とから自然風向および自然風速を算出する(ステップS105)。
続いて、転覆限界風速算出部24が、転覆限界風速算出式43に従い、関数Wc(α,v)にステップS105で算出された自然風向およびステップS101で取得された走行速度を代入して転覆限界風速を算出する(ステップS107)。そして、運転規制条件決定部25が、ステップS107で算出された転覆限界風速をもとに、接近条件データ42の第1の接近値に従って運転抑止用閾値wR1を設定するとともに、第2の接近値に従って速度規制用閾値wR2を設定する(ステップS109)。
その後は、運転規制用制御発動制御部26が、ステップS105で算出された計測風速が運転規制条件を満たすか否かを判定する。すなわち先ず、運転規制用制御発動制御部26は、計測風速が速度規制用閾値wR2に達しているか否かを判定し、達していなければ(ステップS111:YES)、運転規制レベルを通常運行として(ステップS113)、ステップS125に移行する。
また、運転規制用制御発動制御部26は、計測風速が速度規制用閾値wR2に達している場合には(ステップS111:NO)、計測風速が運転抑止用閾値wR1に達しているか否かを判定する。そして、達していない場合は(ステップS115:YES)、運転規制レベルを速度規制とし(ステップS117)、速度規制の運転規制用制御を実行する(ステップS119)。
一方、計測風速が運転抑止用閾値wR1に達している場合には(ステップS115:NO)、運転規制用制御発動制御部26は、運転規制レベルを運転抑止とし(ステップS121)、運転抑止の運転規制用制御を実行する(ステップS123)。
そして、ステップS125では、運転規制用制御発動制御部26は、通信部107を介して、当該列車の運転規制レベルを指令に伝送する処理を行う。
なお、ステップS123で運転抑止の運転規制用制御を実行して運転抑止の運転規制を発令した場合は、所定の待機時間の間、規制状態を保った後、運転規制発令処理の繰り返しを再開する。例えば、運転抑止の運転規制を発令した後、所定時間(例えば30分)が経過した後で運転規制発令処理を再開することとすると好適である。その結果、停止位置での風が弱まっておりステップS111で自然風速<速度規制用閾値wR2と判定したのであれば、運転規制レベルが通常運行とされ、運転規制は解除となる。また、自然風速が速度規制用閾値wR2に達していても、運転抑止用閾値wR1に達していなければ(ステップS115:YES)、運転規制レベルが速度規制とされて運転規制が緩和される。依然として風が強く自然風速が運転抑止用閾値wR1に達していれば(ステップS115:NO)、運転規制レベルは運転抑止のままとなり、再び待機することとなる。
また、ステップS119で速度規制の運転規制用制御を実行して速度規制の運転規制を発令した場合には、所定の保持時間(例えば15分)の間は、運転規制レベルを通常運行とすることなく、運転規制発令処理を繰り返すこととすると好適である。具体的には、ステップS119で速度規制の運転規制用制御を実行して速度規制の運転規制を発令した場合には、所定の保持時間の間、ステップS111での判定処理をスキップし、ステップS109の処理の後、ステップS115の処理を実行することとする。こうすることで、所定の保持時間の間は、最低限、速度規制の運転規制用制御が実行されることとなり、もしも保持時間の間に、自然風速が運転抑止用閾値wR1に達した場合には(ステップS115:NO)、運転抑止の運転規制用制御が実行されることとなる。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、自然風向および走行速度を考慮することで転覆限界風速を精度よく算出できる。そして、この転覆限界風速に自然風速が接近した場合に運転規制を発令することができる。より詳細には、転覆限界風速に対して段階的に小さくなるように運転抑止用閾値wR1および速度規制用閾値wR2を設定し、自然風速が速度規制用閾値wR2に達している場合には速度規制の運転規制を、運転抑止用閾値wR1に達している場合には運転抑止の運転規制を発令することができる。したがって、鉄道車両の走行位置における風の状況を捉えて運転規制条件を決定することができるので、鉄道車両周辺での強風を見逃して運転規制を発令しなかったり、逆に鉄道車両周辺で強風が吹いていないのにも関わらず運転規制を発令する事態を防止でき、鉄道車両の個別的かつ適正な運転規制用制御を実現することができる。また、強風が予想される規制区間外であっても運転規制用制御を適正に発動できる。一方、運転規制を緩和または解除するにあたっても、転覆限界風速を算出した上で運転規制条件を満たしているか否かを再度判定することができ、運転規制を適正に緩和または解除することができる。これによれば、鉄道車両の転覆に対する安全性を確保しつつ、運行ダイヤの乱れを最低限に抑えて輸送の安定性を高めることが可能となる。
[変形例1]
第1の実施形態では、速度規制の運転規制時に所定の徐行速度に減速させるための制御を行うこととした。これに対し、速度規制の運転規制用制御として、転覆限界風速と走行速度との関係から低減速度の上限速度を決定し、決定した上限速度以下に減速させるための制御を行う構成としてもよい。
図5は、変形例1における低減速度の決定方法を説明する図であり、ある自然風向での走行速度と転覆限界風速との関係の一例を示している。この関係は、転覆限界風速の関数Wc(α,v)から求めることができる。また、図5では、併せて変形例1において走行速度毎に設定される風速閾値を示している。
変形例1では、運転規制の要否を判定するための第1の接近値と、風速閾値を算出するための第2の接近値とを予め定めておく。第1の接近値と第2の接近値とは異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。例えば、何れも仮に「5」とするとする。運行中は、自然風向と走行速度とに応じた転覆限界風速から第1の接近値「5」を減算した風速を、要否判定用閾値として設定する。そして、自然風速が要否判定用閾値に達している場合に、運転規制が必要と判定する。
また、運転規制が必要と判定した場合は、図5に例示するように、自然風向における走行速度と転覆限界風速との関係を求め、各走行速度での転覆限界風速から第2の接近値を減算することで、走行速度毎に風速閾値を設定する。そして、自然風速が対応する風速閾値に達している走行速度は運転規制条件を満たしており、自然風速がその風速閾値に達していない走行速度は運転規制条件を満たさないとして運転規制条件を満たさない走行速度のうち、最も高い速度を上限速度として決定する。
例えば、運転規制が必要と判定しそのときの自然風向から図5の関係が求まった場合であって、自然風速が「30」であったとする。このとき、走行速度を40[km/h]と仮定すると、対応する風速閾値「31」を自然風速が下回っており運転規制条件を満たさない。30[km/h]以下の各走行速度も同様である。一方、走行速度が50[km/h]の場合、自然風速はその風速閾値「29」に達しているため運転規制条件を満たす。したがって、本例の場合、走行速度を40[km/h]以下に低減させればよく、40[km/h]を上限速度として決定する。
ここで、第1の実施形態のように、所定の徐行速度として一律に速度制限する速度規制の運転規制用制御を実行する場合、徐行速度は、安全面を考えて例えば10[km/h]等の十分に低い低減速度とされる。このようにすると、本例のように運転規制条件を満たさない上限速度が40[km/h]であっても、走行速度はそれよりも低速に規制されることとなる。これに対し、変形例1では、走行速度と転覆限界風速との関係から運転規制条件を満たさない低減速度のうちの上限速度を決定することができるので、安全性を確保しつつ、列車運行の乱れを最小限に抑えて輸送の安定性をより一層高めることが可能となる。
図6は、変形例1における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャートである。図6において、第1の実施形態と同様の工程には同一の符号を付している。
変形例1では、ステップS107で転覆限界風速を算出した後、第1の接近値に従って転覆限界風速から要否判定用閾値を設定する(ステップA108)。そして、ステップS105で算出された自然風速が要否判定用閾値に達していなければ運転規制は不要と判定し(ステップA109:NO)、ステップS113に移行する。
一方、自然風速が要否判定用閾値に達している場合は(ステップA109:YES)、転覆限界風速の関数Wc(α,v)に従い、ステップS105で算出された自然風向での走行速度と転覆限界風速との関係を求める(ステップA114)。αを算出された自然風向とし、vを段階的に変化させて各値を関数Wc(α,v)に代入することで求めることができる。続いて、第2の接近値に従って走行速度毎に風速閾値を設定する(ステップA115)。そして、ステップS105で算出された自然風速が運転規制条件を満たさない(ステップA115で算出された風速閾値に達しない)走行速度を特定し、上限速度を決定する(ステップA116)。
その後、発令する運転規制の種類を判別する。具体的には、ステップA116で決定された上限速度が0[km/h]の場合、または、ステップA116の結果ステップA114で算出された関係から走行速度を0[km/h]と仮定しても運転規制条件を満たす場合は、発令する運転規制を運転抑止と判別する(ステップA117:YES)。この場合は、ステップS121に移行する。
一方、ステップA116で決定された上限速度が0[km/h]ではない場合は速度規制と判別し(ステップA117:NO)、運転規制レベルを速度規制とする(ステップA118)。そして、走行速度をステップA116で決定された上限速度以下に減速させるための制御を速度規制の運転規制用制御として行う(ステップA119)。
なお、以上説明した第1の実施形態および変形例1では、自然風向および走行速度と、転覆限界風速との関係を表す関数Wc(α,v)を定めておき、算出した自然風向および取得した走行速度に応じた転覆限界風速を算出する構成を例示した。これに対し、転覆限界風速は必ずしも自然風向を考慮した値でなくてもよい。例えば、走行速度と転覆限界風速との関係を予め定めておき、取得した走行速度から転覆限界風速を算出するようにしてもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した転覆限界風速に代えて、輪重或いは輪重に相応する指標値(以下包括して「輪重指標値」という)を計測して用い、運転規制条件を満たすか否かの判定を行う。上記したように、鉄道車両に横風が作用すると、風上側の輪重が減少する。逆にいえば、この風上側と反対側である風下側で輪重は増加する。したがって、輪重指標値から運転規制の要否判定を行うことが可能である。
輪重指標値の常時計測方法としては、幾つかの方法が考えられ、公知の手法を適用することもできる。
例えば、軸箱支持装置に搭載したロードセル等を利用して輪重を車上測定する手法や、空気ばねの内圧を利用して間接的に輪重を測定する手法、軸ばねのばね長を計測して間接的に輪重を測定する手法等が考えられる。より具体的には、空気ばねの内圧を利用する手法としては、鉄道車両の車体と台車(台車枠)との間に介在して車体を支持する空気ばねの内圧を輪重指標値として用いることができる。
輪重指標値の値自体は鉄道車両によって異なるため、計測された輪重指標値から輪重指標値減少率を算出し、運転規制条件の判定に用いる。輪重指標値減少率Dは、輪重指標値Pと、静止時指標値Pとから、次式(1)で求めることができる。静止時指標値Pは、平坦な線路上に停車状態で位置している際の輪重指標値Pの値に基づき予め定めておく。例えば、平坦な線路上で空車・静止時の輪重指標値Pを計測し、その値を静止時指標値Pとする。
=(P−P)/P ・・・(1)
そして、走行中は、運転抑止用閾値DFR1およびこれより小さい速度規制用閾値DFR2を用い、運転規制条件を満たすか否かを判定する。第2の実施形態では、輪重指標値を常時計測するための輪重センサを、鉄道車両の左前側、右前側、左後側、および右後側に設けることとする。この各輪重センサそれぞれについて、計測された輪重指標値から算出した輪重指標値の輪重指標値減少率Dのうち、何れかの値が運転抑止用閾値DFR1に達している場合に運転規制条件を満たすと判定して運転抑止の運転規制用制御を実行する。また、運転抑止用閾値DFR1には達していないものの速度規制用閾値DFR2に達している場合も運転規制条件を満たすと判定し、この場合は、速度規制の運転規制用制御を実行する。運転抑止用閾値DFR1は運転抑止が必要となる輪重指標値減少率Dの値とし、速度規制用閾値DFR2は速度規制が必要となる輪重指標値減少率Dの値として予め定めておく。
図7は、第2の実施形態における車上制御装置10aの機能構成例を示すブロック図である。この車上制御装置10aは、図7に示すように、操作部101と、表示部103と、音出力部105と、通信部107と、処理部30と、記憶部50とを備えて構成される一種のコンピュータであり、ブレーキ機構(制動装置)109等と接続されていて、運転台等の鉄道車両の適所に設けられる。
また、車上制御装置10aは、鉄道車両の左前側、右前側、左後側、および右後側に設けられた輪重センサ81,82,83,84と接続されており、各輪重センサ81,82,83,84から、計測された輪重指標値が随時処理部30に入力される。
処理部30は、輪重指標値取得部31と、算出部としての指標値変動算出部33と、発動制御部としての運転規制用制御発動制御部35とを備える。
輪重指標値取得部31は、輪重センサ81,82,83,84から入力される鉄道車両の左前側、右前側、左後側、および右後側の輪重指標値を随時取得する。
指標値変動算出部33は、上記式(1)に従い、輪重センサ81,82,83,84が計測した鉄道車両の左前側、右前側、左後側、および右後側の各輪重指標値の輪重指標値減少率を算出する。
運転規制用制御発動制御部35は、運転規制条件を満たす場合に運転規制用制御を実行する。運転規制条件に関するデータ(具体的には運転抑止用閾値DFR1および速度規制用閾値DFR2)は、運転規制条件データ53として予め記憶部50に記憶されている。
記憶部50には、第2運転規制処理プログラム51と、運転規制条件データ53と、輪重指標値データ55と、輪重指標値減少率データ57とを記憶する。
処理部30は、記憶部50から第2運転規制処理プログラム51を読み出して実行することにより、輪重指標値取得部31や指標値変動算出部33、運転規制用制御発動制御部35等の機能を実現する。
輪重指標値データ55は、輪重指標値取得部31が取得した左前側、右前側、左後側、および右後側の各輪重指標値を時系列で記憶する。また、輪重指標値減少率データ57は、指標値変動算出部33が算出した左前側、右前側、左後側、および右後側の各輪重指標値の輪重指標値減少率を時系列で記憶する。
図8は、第2の実施形態における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャートである。この運転規制発令処理は、第1の実施形態の場合と同様に、鉄道車両が走行している間繰り返し行われる。本処理は、処理部30が記憶部50から第2運転規制処理プログラム51を読み出して実行することにより実現できる。
先ず、輪重指標値取得部31が、輪重センサ81,82,83,84によって計測された各輪重指標値を取得する(ステップS201)。そして、指標値変動算出部33が、ステップS201で取得された各輪重指標値から輪重指標値減少率を算出する(ステップS203)。
その後は、運転規制用制御発動制御部35が、ステップS203で算出された輪重指標値減少率が運転規制条件を満たすか否かを判定する。すなわち先ず、運転規制用制御発動制御部35は、運転規制条件データ53の速度規制用閾値DFR2を用い、各輪重指標値の輪重指標値減少率を当該閾値と比較する。そして、何れの輪重指標値減少率も速度規制用閾値DFR2に達していない場合は(ステップS205:NO)、運転規制レベルを通常運行として(ステップS207)、ステップS219に移行する。
また、運転規制用制御発動制御部35は、いずれかの輪重指標値減少率が速度規制用閾値DFR2に達している場合には(ステップS205:YES)、その輪重指標値減少率が運転抑止用閾値DFR1に達しているか否かを判定する。そして、達していない場合は(ステップS209:NO)、運転規制レベルを速度規制とし(ステップS211)、速度規制の運転規制用制御を実行する(ステップS213)。例えば、第1の実施形態と同様に、走行速度を所定の徐行速度に減速させるための制御を行う。一方、その輪重指標値減少率が運転抑止用閾値DFR1に達している場合には(ステップS209:YES)、運転規制用制御発動制御部35は、運転規制レベルを運転抑止とし(ステップS215)、運転抑止の運転規制用制御を実行する(ステップS217)。
なお、ステップS217で運転抑止の運転規制用制御を実行して運転抑止の運転規制を発令した場合は、第1の実施形態で説明したのと同じように、所定の待機時間の間、規制状態を保った後、運転規制発令処理の繰り返しを再開すると好適である。また、ステップS213で速度規制の運転規制用制御を実行して速度規制の運転規制を発令した場合も、第1の実施形態と同じように、所定の保持時間の間は、運転規制レベルを通常運行とはせずに運転規制発令処理を繰り返すこととすると好適である。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、輪重指標値を随時取得して、予め運転規制条件として定められた速度規制用閾値DFR2に達している場合に速度規制の運転規制用制御を発動し、運転抑止用閾値DFR1に達している場合に運転抑止の運転規制用制御を発動することができる。したがって、鉄道車両の走行位置における風の状況(正確には横風を受けているかどうか)を捉えて、鉄道車両の個別的かつ適正な運転規制用制御を実現することができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
[変形例2]
第2の実施形態では、速度規制の運転規制時に所定の徐行速度に減速させるための制御を行うこととした。これに対し、速度規制の運転規制用制御として、予め定めておいた規制速度と輪重指標値減少率の閾値との関係から特定した規制速度に基づいて速度規制の運転規制用制御を実行することとしてもよい。
図9は、変形例2における規制速度の決定方法を説明する図であり、予め定められる規制速度と輪重指標値減少率閾値との関係の一例を示している。変形例2では、図9に示すように、低減速度として想定される複数の規制速度毎に閾値条件として輪重指標値減少率閾値を設定した閾値テーブルを予め用意しておく。
一方、走行中は、随時算出される輪重指標値減少率に所定の余裕値を加算した見込値を用い、見込値が対応する輪重指標値減少率閾値に達している規制速度は閾値条件を満たしており、見込値がその輪重指標値減少率閾値に達していない規制速度は閾値条件を満たさないとして、閾値条件を満たさない規制速度のうちの最も高い規制速度に基づき運転規制用制御を実行する。これによれば、速度規制の運転規制を発令する場合に、輪重指標値減少率に所定の余裕値を見込んだとしても対応する閾値条件を満たさない規制速度のうち、最も高い規制速度に基づき運転規制用制御を実行することができる。
図10は、変形例2における運転規制発令処理の流れを説明するフローチャートである。図10において、第2の実施形態と同様の工程には同一の符号を付している。
変形例2では、ステップS211で運転規制レベルを速度規制とした後、予め用意しておいた閾値テーブルを参照して、ステップS203で算出した輪重指標値減少率に所定の余裕値を加算した見込値が閾値条件を満たさない規制速度のうちの最も高い規制速度を特定する(ステップA231)。そして、例えば、走行速度をステップA231で特定した規制速度以下に減速させるための制御を速度規制の運転規制用制御として行う(ステップA233)。
なお、以上説明した第2の実施形態および変形例2では、輪重指標値から輪重指標値減少率を一旦求めた上で、輪重指標値減少率を用いて運転規制条件を満たすか否かを判定することとした。これに対し、輪重指標値減少率を算出せず、計測された輪重指標値を閾値処理(閾値との比較演算処理)して運転規制条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。この場合は、輪重指標値の運転抑止用閾値および速度規制用閾値を予め定めておく。
また、輪重指標値の測定手法として、台車枠と車軸との間に介在する軸箱を支持する軸ばねに作用する荷重(軸ばね作用荷重)や車体ロール角を計測する手法を採用するならば、これら軸ばね作用荷重や車体ロール角の各値を輪重指標値として用いて閾値処理し、運転規制条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。この場合は、軸ばね作用荷重および車体ロール角の運転抑止用閾値および速度規制用閾値を予め定めておく。
また、上記した第2の実施形態等では、鉄道車両に配設されている複数の輪重センサそれぞれが計測した輪重指標値のうちの何れかの輪重指標値の輪重指標値減少率が運転抑止用閾値DFR1または速度規制用閾値DFR2に達している場合に運転規制条件を満たすこととした。これに対し、左右一対の2つの輪重センサの輪重指標値の差またはその変動の差を算出し、算出した差を閾値処理して運転規制条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。差が大きい場合、鉄道車両が右側方または左側方からの横風を受けていると考えられる。この場合は、輪重指標値の差またはその変動の差について運転抑止用閾値および速度規制用閾値を予め定めておく。
また、左右の何れか一方の輪重センサ(例えば左前側および左後側の2つの輪重センサ)の輪重指標値またはその変動を閾値処理し、運転規制条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。その場合は、輪重指標値またはその変動が大きくなる横風を受けている場合の閾値と、小さくなる横風を受けている場合の閾値との上下の閾値を設定して運転規制条件を定めればよい。例えば、左の輪重センサの輪重指標値等が小さい場合は右の輪重センサの輪重指標値等が大きくなり、逆に右が小さい場合は左が大きくなるため、左右の何れか一方の輪重指標値等を監視対象とすれば済む。勿論、運転規制条件の閾値条件として、運転抑止用閾値の上下の閾値の間に、速度規制用閾値の上下の閾値が設定されるように定められる。
10,10a 車上制御装置
20,30 処理部
21 走行速度取得部
22 計測風データ取得部
23 自然風データ算出部
24 転覆限界風速算出部
25 運転規制条件決定部
26 運転規制用制御発動制御部
31 輪重指標値取得部
33 指標値変動算出部
35 運転規制用制御発動制御部
40,50 記憶部
41,51 第1,第2運転規制処理プログラム
42 接近条件データ
43 転覆限界風速算出式
44 風向風速データ
45,53 運転規制条件データ
55 輪重指標値データ
57 輪重指標値減少率データ

Claims (7)

  1. 鉄道車両に設けられた風向風速計によって計測された計測風向および計測風速と、前記鉄道車両の走行速度とを用いて、自然風の風速(以下「自然風速」という)を算出する算出部と、
    前記自然風速を用いて、前記鉄道車両の転覆に対する安全上の運転規制をかける条件である所与の運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に前記鉄道車両の運転を規制するための所定の運転規制用制御を実行する発動制御部と、
    を備えた車上制御装置。
  2. 前記算出部は、前記計測風向および前記計測風速と、前記走行速度とを用いて、自然風の風向(以下「自然風向」という)を更に算出し、
    前記発動制御部は、前記自然風向および前記走行速度を用いて前記運転規制条件を決定し、前記自然風速を用いて当該運転規制条件を満たすか否かを判定する、
    請求項1に記載の車上制御装置。
  3. 前記発動制御部は、前記自然風向および前記走行速度に応じて定められる転覆限界風速に対して前記自然風速が所与の接近条件を満たしたことを前記運転規制条件として決定する、
    請求項2に記載の車上制御装置。
  4. 前記発動制御部は、前記走行速度を所与の低減速度と仮定して前記計測風向および前記計測風速を用いて算出した自然風速(以下「自然風速仮定値」という)が、前記運転規制条件を満たさない前記低減速度のうちの上限速度を決定し、前記走行速度を当該上限速度以下に低減させるための制御を前記運転規制用制御として実行する、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の車上制御装置。
  5. 鉄道車両に設けられた当該鉄道車両の輪重又は輪重に相応する指標値(以下包括して「輪重指標値」という)を計測する計測器によって計測された輪重指標値を用いて、前記鉄道車両の転覆に対する安全上の運転規制をかける条件である所与の運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に前記鉄道車両の運転を規制するための所定の運転規制用制御を実行する車上制御装置。
  6. 前記鉄道車両が平坦な線路上に停車状態で位置している際の前記輪重指標値である静止時指標値を基準とする走行中の前記指標値の変動を算出する算出部と、
    前記変動を用いて前記運転規制条件を満たすか否かを判定し、満たす場合に前記運転規制用制御を実行する発動制御部と、
    を備えた請求項5に記載の車上制御装置。
  7. 前記運転規制条件には、複数の規制速度ごとに、前記変動の閾値条件が定められており、
    前記発動制御部は、前記変動に所定の余裕値を見込んだとしても満たさない前記閾値条件のうち、最も高い前記規制速度に基づいて前記運転規制用制御を実行する、
    請求項6に記載の車上制御装置。
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