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JP2017069039A - 蓄電素子用負極及び蓄電素子 - Google Patents

蓄電素子用負極及び蓄電素子 Download PDF

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JP2017069039A JP2015193419A JP2015193419A JP2017069039A JP 2017069039 A JP2017069039 A JP 2017069039A JP 2015193419 A JP2015193419 A JP 2015193419A JP 2015193419 A JP2015193419 A JP 2015193419A JP 2017069039 A JP2017069039 A JP 2017069039A
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Abstract

【課題】蓄電素子用負極において、負極合剤層の多孔度が小さい場合の電解液浸透性を改善する方法の提供。【解決手段】塊状の負極活物質(塊状活物質)と鱗片状黒鉛とを含む負極合剤層を備えた蓄電素子用負極であって、鱗片状黒鉛の割合が、塊状活物質と鱗片状黒鉛の合計の20〜40質量%であり、負極合剤層の多孔度が20%以下である蓄電素子用負極。塊状活物質が黒鉛材、炭素材、シリコン、シリコン合金、及びシリコン化合物から選択される一つ以上の物質を含むこと、及び負極合剤相の多孔度が15%以下であることが好ましい蓄電素子用負極。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電素子用負極、特に鱗片状黒鉛を用いた負極、及び、その負極を備えた蓄電素子に関する。
リチウム二次電池に代表される蓄電素子は、携帯用端末、電気自動車、ハイブリッド自動車等に広く用いられており、今後もエネルギー密度の向上が期待されている。現在、実用化されているリチウム二次電池の負極活物質には炭素材料、正極活物質にはリチウム遷移金属酸化物、電解液には環状カーボネートと鎖状カーボネートを組み合わせた非水電解液が主に用いられている。
リチウム二次電池(非水電解液二次電池)としては、よりコンパクトなものが要求され、質量あたりのエネルギー密度だけでなく、体積あたりのエネルギー密度も高いことが要求されている。そこで、電極の密度を上げることにより電池容器内の充填量を高め、電極及び電池としての体積あたりのエネルギー密度を高めることが検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、高電極密度にすることにより、電極内の空孔は減少し、通常、空孔内に存在する電極反応に重要な電解液の不足を招いたり、電解液の電極内の浸透が遅くなるという問題が生じてくる。
上記の問題を解決するために、特許文献1においては、「電極活物質及び繊維径1〜1000nmの炭素繊維を含み、かつ空隙率が25%以下である高密度電極に、高分子固体電解質が含浸してなることを特徴とする高密度電極。」(請求項1)の発明が提案されている。
また、特許文献1には、「炭素繊維の含有量は、高密度電極中0.05〜20質量%の範囲がよく、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。含有量が20質量%を超えると、高密度電極中の電極活物質比率が小さくなるため、電気容量が小さくなる。含有量が0.05質量%未満では高密度電極に対する電解液浸透性の効果が現れない。」(段落[0022])と記載されている。そして、実施例には、球状黒鉛粒子:炭素繊維(気相成長黒鉛繊維等):ABの比が、95:2〜5:0〜3であり、空隙率が13.9〜24.2%の負極を用いることにより、炭素繊維を含まない電極と比較して、電解液及び高分子固体電解質用組成物の浸透速度の向上した電極が得られることが示されている(段落[0078]の表1、段落[0081]の表2)。
特許文献2には、(A)特定の球状化または楕円体状化天然黒鉛+(B)特定のバルクメソフェーズ黒鉛化物を85質量%以上〜100質量%未満、(C)特定の鱗片状黒鉛を15質量%以下〜0質量%超で含むリチウムイオン二次電池用負極材料(請求項1)について、「発明のリチウムイオン二次電池負極は、上記に(A)〜(C)で特定される3種の黒鉛を特定量比で含む、本発明の負極材料で形成されることにより、活物質層の密度を高くした場合にも、集電体の変形や破断が生じることがなく、また、各黒鉛の潰れや配向が抑えられ、電解液の浸透性に優れる。そして、各黒鉛の周りに、電解液が存在しやすいので、リチウムイオンの拡散性が良くなる。そのため、本発明の負極を用いたリチウムイオン二次電池(本発明のリチウムイオン二次電池)は、体積当たりの放電容量が高く、急速充電性、急速放電性、サイクル特性等の電池性能が良好である。」(段落[0019])、「負極合剤層の密度は、負極の体積容量を高めることから、1.70g/cm3以上、特に1.75g/cm3以上であることが好ましい。」(段落[0067])と記載されている。
特許文献3には、「天然黒鉛と、炭素質または黒鉛質とが複合化した複合黒鉛粒子を含有する非水系二次電池用負極材料であって、当該黒鉛粒子が圧力を加えて成形されたものであり、当該複合粒子を用いて電極活物質密度が1.8±0.03g/cm3である電極を作成した際に、当該電極の断面像を計測し得られる電極内空隙率が7.5%以上、30%以下となることを特徴とする、非水系二次電池用負極材料。」(請求項1)の発明が記載されている。
また、特許文献3には、「複合黒鉛粒子の表面にある球状黒鉛粒子中の黒鉛粒子を、該複合黒鉛粒子の製造時の粉砕・磨砕によって、捏合前の原料の状態である球状黒鉛粒子中の黒鉛粒子に比べて、少なくともその一部を立てる事で、複合黒鉛粒子内への電解液の浸透性が向上し、リチウムイオンの拡散が円滑になり、良好なる充電受入性が発現する。また、この様な複合黒鉛粒子の形状を有する事で、塗布・圧延後に電極内部に適度な空隙が確保され、電極への電解液の浸液性が向上する。」(段落[0022])と記載されている。
さらに、特許文献3には、「本発明の非水系二次電池用複合黒鉛粒子(以下、「複合黒鉛粒子(A)」と略記する場合がある)は、単独で非水系二次電池用負極材料とすることもできるが、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長性炭素繊維、導電性カーボンブラック、非晶質被覆黒鉛、樹脂被覆黒鉛、非晶質炭素、及び、それらに適当な処理等を施したものよりなる群から選ばれる1種以上の、上記複合黒鉛粒子とは形状又は物性の異なる炭素質粒子(以下、「炭素質粒子(B)」と略記する)を更に含有させて非水系二次電池用負極材料とすることも好ましい。」(段落[0038])、「炭素質粒子(B)のうちで、天然黒鉛としては、例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いることができる。」(段落[0040])と記載されている。そして、実施例には、複合黒鉛粒子と球状黒鉛粒子(軽度球形化処理した黒鉛粒子)を6:4の比で混合した負極材料の電極の電極内空隙率が10.6%、9.1%、10.1%、8.9%であることが示されている(段落[0104]、[0115]、[0116]、[0117]、[0119]、[0120]、[0121])。
また、種々の目的で、鱗片状黒鉛と球状黒鉛等を組み合わせて、蓄電素子用負極とすることが提案されている(特許文献4〜7参照)。
特許文献4には、「負極活物質である鱗片状黒鉛と、球状黒鉛、塊状黒鉛、繊維状黒鉛、難黒鉛化炭素又はカーボンブラックのうち少なくとも一種類以上の炭素材料とからなる負極活物質混合体を含有し、当該負極活物質混合体は、上記一種類以上の炭素材料を1重量%以上、50重量%以下の範囲で含有することを特徴とする負極。」(請求項1)の発明が記載されている。
また、特許文献4には、「鱗片状の黒鉛を負極活物質として用いる場合、解決しなければならない問題がある。第一に、鱗片状黒鉛は配向性が大きいために、圧延により充填性が上がるが、逆に充填性が上がりすぎて電極内の空孔部分が制限され、電池の電極を形成したとき電極内部に電解質が浸透しないため電極表面部分でした電池反応が行われず、電極の反応利用率の低下、あるいは高負荷放電に適さないという課題が生じる。」([0008])、「鱗片状黒鉛に対する、球状黒鉛、塊状黒鉛、繊維状黒鉛、難黒鉛化炭素又はカーボンブラックの混合量を、負極活物質混合体全体に対して1重量部以上、50重量部以下の範囲とすることで、高い充放電容量を保持したまま、負極活物質層と負極集電体との結着性を高めるとともに、負極活物質の利用効率を向上させて高負荷特性、高サイクル特性を実現することができる。」(段落[0034])と記載されている。
特許文献5には、「負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層とを備え、前記負極活物質層は、鱗片状黒鉛と粒状黒鉛とバインダーとを含み、・・・ことを特徴とする二次電池用負極。」(請求項1)の発明が記載されている。
また、特許文献5には、「本発明によれば、負極活物質層が鱗片状黒鉛と粒状黒鉛とを含むため、黒鉛粒子間の大きな隙間の少ない負極活物質層とすることができ、黒鉛の充填密度を高くすることができる。このことにより、負極のイオンの吸蔵容量を大きくすることができる。」(段落[0006])、「負極活物質層3は、鱗片状黒鉛7と粒状黒鉛8と(以後、これらを黒鉛粒子ともいう)を含むため、各黒鉛粒子間に空隙を有する。この空隙は、非水電解液二次電池としたとき、電解液が存在し、電解液と黒鉛粒子の界面においてリチウム挿入脱離反応が生じる。この空隙が小さすぎると、負極活物質層8内での電解液の流通が阻害され、または、電解液のイオン伝導が阻害されるため、電池容量が低下する場合や電池の反応性が低下する場合がある。・・・負極活物質層3の空孔率は、例えば、37.0%以上45%以下とすることができる。」(段落[0019])と記載されている。
特許文献6には、「鱗片状黒鉛質粒子(A)及び炭素質粒子(B)を含有する非水系二次電池負極用炭素材であって、鱗片状黒鉛質粒子(A)は非水系電解液に難溶性のポリマーが添着され、炭素質粒子(B)のアスペクト比が1以上4以下であることを特徴とする非水系二次電池負極用炭素材。」(請求項1)の発明が記載され、「本発明は上記従来技術の問題点を解決し、初期充放電効率に優れ、ガス発生が少なく、良好な充放電レート特性とサイクル特性を有する非水系二次電池負極用炭素材、当該炭素材料を用いて得られる非水系二次電池用負極、及び当該負極を備える非水系二次電池を提供することを目的とする。」(段落[0009])と記載されている。
また、特許文献6には、実施例として、「鱗片状黒鉛質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の総量に対する鱗片状黒鉛質粒子(A)の質量割合が95質量%となるように、鱗片状黒鉛質粒子(A)と炭素質粒子(B)を混合してサンプルを得た」(段落[0169])ことが記載されている。
特許文献7には、「正極と、負極活物質とバインダーとを含む負極合剤層が負極集電体上に形成された負極と、非水電解液とを備えた非水電解質二次電池において、上記の負極活物質が、スズとコバルトと炭素を含有する複合合金粉末と黒鉛粉末とを含むと共に、上記の負極集電体上に形成された負極合剤層の空隙率が5〜20体積%の範囲であることを特徴とする非水電解質二次電池。」(請求項1)の発明が記載されている。
また、特許文献7には、「本発明における非水電解質二次電池においては、上記の負極活物質とバインダーとを含む負極合剤層を負極集電体上に形成するにあたり、この負極合剤層の空隙率が5〜20体積%の範囲になるようにしたため、充放電により負極活物質が膨張、収縮しても、負極活物質相互の接触点が減少するのが抑制されて、負極における導電性ネットワークが適切に維持されるようになり、充放電により負極の内部抵抗が増大するのが防止される。」(段落[0018])、「上記の負極活物質としては、上記の黒鉛粉末と複合合金粉末との合計量に対する黒鉛粉末の割合が20〜60質量%の範囲のものを用いることが好ましく、より好ましくは、黒鉛粉末の割合が30〜50質量%の範囲のものを用いるようにする。」(段落[0031])と記載されている。そして、実施例1、3〜5には、鱗片状の人造黒鉛粉末を負極活物質中の40質量%とし、負極合剤層の空隙率を14〜16体積%とした負極が示され(段落[0049]、[0074]表2)、実施例6には、鱗片状の人造黒鉛粉末と複合合金粉末とを5:5の質量比になるように混合した負極活物質を用いて、負極合剤層の空隙率を11体積%とした負極が示されている(段落[0076]、[0077])。
特開2005−340152号公報 特開2013−211254号公報 特開2013−179101号公報 特開2002−008655号公報 特開2012−129170号公報 特開2014−165018号公報 特開2008−311209号公報
特許文献1に記載されているように、球状黒鉛粒子に炭素繊維を添加して電極とすることにより、炭素繊維を添加しない電極と比較して、電解液の浸透速度の向上した電極が得られるが、炭素繊維を添加した場合、製造工程で絡まり、ダマが形成される可能性があり、多量に添加することができず、負極合剤層の多孔度が小さい場合に、電解液浸透性の改善は十分ではなかった。
特許文献2には、特定の球状化(楕円体状化)天然黒鉛、バルクメソフェーズ黒鉛化物、鱗片状黒鉛の3種を特定量比で混合して負極とすることにより、負極合剤層の電解液浸透性を改善することが記載されている。しかし、鱗片状黒鉛の混合割合は少なく、鱗片状黒鉛を混合することで、電解液浸透性が向上するとの記載は一切ない。
特許文献3には、球状黒鉛粒子中の黒鉛粒子の一部が製造時の粉砕・磨砕によって立っている複合黒鉛粒子(A)を負極材料として用いることにより、負極への電解液浸透性を向上させることが記載されているが、複合黒鉛粒子(A)に「上記複合黒鉛粒子とは形状又は物性の異なる炭素質粒子(炭素質粒子(B)」を更に含有させて負極材料とすること、炭素質粒子(B)として「高純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いること」が記載されているから、複合黒鉛粒子(A)は鱗片状黒鉛とは形状又は物性が異なるものであり、鱗片状黒鉛を混合することで、電解液浸透性を向上させるものではない。また、複合黒鉛粒子と球状黒鉛粒子を混合した負極材料の電極の電極内空隙率を8.9〜10.6%とすることが示されているだけで、複合黒鉛粒子と鱗片状黒鉛を混合した負極材料は示されていない。
特許文献4には、鱗片状黒鉛と球状黒鉛等を混合して負極とすることが記載されているが、鱗片状黒鉛を主体とするものであり、負極合剤層の多孔度についての記載はなく、鱗片状黒鉛を混合することで、負極合剤層の電解液浸透性を改善することは示されていない。
特許文献5には、鱗片状黒鉛と粒状黒鉛を混合して負極とすることが記載されているが、負極活物質層の空孔率は、例えば、37.0%以上45%以下と大きく、負極活物質層の空孔率(負極合剤層の多孔度)が小さい場合の電解液浸透性を改善することは示されていない。
特許文献6には、鱗片状黒鉛と炭素質粒子を混合して負極とすることが記載されているが、負極合剤層の多孔度についての記載はなく、具体的に記載されている負極は、鱗片状黒鉛を主体とするものであり、鱗片状黒鉛を混合することで、負極合剤層の電解液浸透性を改善することは示されていない。
特許文献7には、「スズとコバルトと炭素を含有する複合合金粉末」と鱗片状黒鉛を混合して、負極合剤層の空隙率が11〜16体積%の負極を得ることが記載されているが、この発明は、特定の複合合金粉末を用いるものであり、また、負極合剤層の多孔度が小さい場合の電解液浸透性を改善することを課題とするものではない。
負極合剤層の多孔度を小さくし高密度化した場合、電解液浸透性が悪く、含浸速度が遅くなることによる電池(蓄電素子)の製造時間の長時間化が懸念される。そのため、負極合剤層の電解液浸透性を改善する必要がある。しかし、上記のように、従来技術には、負極合剤層の電解液浸透性を改善するという課題は示されていないか、又は、負極合剤層の多孔度が小さい場合に、電解液浸透性を改善するという課題を解決することが十分ではないものであった。
本発明は、上記の知見に鑑みなされたものであり、蓄電素子用負極において、負極合剤層の多孔度が小さい場合の電解液浸透性を改善することを課題とする。
本発明においては、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)塊状の負極活物質と鱗片状黒鉛とを含む負極合剤層を有する蓄電素子用負極であって、前記鱗片状黒鉛の割合が、塊状の負極活物質と鱗片状黒鉛の合計の20〜40質量%であり、負極合剤層の多孔度が20%以下であることを特徴とする蓄電素子用負極。
また、本発明の実施の態様においては、さらに以下の手段を採用してもよい。
(2)前記塊状の負極活物質が黒鉛材、炭素材、シリコン、シリコン合金、及びシリコン化合物から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする前記(1)の蓄電素子用負極。
(3)前記黒鉛材が球状人造黒鉛及び/又は球状加工した天然黒鉛であることを特徴とする前記(2)の蓄電素子用負極。
(4)前記負極合剤層の多孔度が15%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか1項の蓄電素子用負極。
(5)正極、負極及び電解液を備えた蓄電素子であって、前記(1)〜(4)のいずれか1項の負極を備えた蓄電素子。
本発明の蓄電素子用負極によれば、塊状の負極活物質(以下、「塊状活物質」という)に、鱗片状黒鉛を特定の割合で混合することにより、負極合剤層の多孔度20%以下の低多孔度領域で、電解液浸透性を改善することができる。
塊状活物質と鱗片状黒鉛の混合物を負極とした場合の電解液の浸透経路の概要を示す図 塊状活物質のみを負極とした場合の電解液の浸透経路の概要を示す図 鱗片状黒鉛のみを負極とした場合の電解液の浸透経路の概要を示す図 本実施形態に係る蓄電素子を示す外観斜視図 本実施形態に係る蓄電素子を複数個集合した蓄電装置を示す概略図
(本実施形態の負極の構成)
本実施形態の蓄電素子用負極は、塊状活物質と鱗片状黒鉛とを含む。
塊状活物質のみを用いた場合、図2に示すように、電解液は湾曲した活物質表面を這うような浸透経路をたどる。これに適度に鱗片状黒鉛を混合することで、図1に示すように、電解液は板状のベーサル面を伝って浸透する。浸透経路が直線的になることで、浸透がスムーズになり、時間が短縮されると推定している。
一方、図3に示すように、鱗片状黒鉛のみになると、配向による閉塞性を持つため、浸透経路が確保されず、液の浸透性が悪くなる。
(塊状活物質)
本実施形態の負極に用いる塊状活物質は、球体、多面体、形が立体かつ不規則である活物質であり、平たさを持った形(繊維状、板状)ではない。塊状活物質のアスペクト比は、3.0未満が好ましく、2.0以下がより好ましい。
例としては、人造球状黒鉛(メソカーボンマイクロビーズ、バルクメソフェーズ黒鉛化物等)、球状加工した天然黒鉛等の塊状黒鉛材、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等の塊状炭素材が挙げられる。
人造球状黒鉛の例として挙げられるメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)は、ピッチの炭素化過程で生じるメソフェーズ小球体を高温で熱処理し黒鉛化して得ることができる球状粒子である。MCMBは、002面の面間隔(d002)が3.35〜3.42Å、BET比表面積が0.7〜5m/gであることが好ましい。MCMBは、例えば、タール、ピッチ等の石炭系重質油を、300〜500℃程度の低温で熱処理してメソフェーズ小球体を得、これを2000〜3000℃程度の高温で熱処理することにより得ることができる。
バルクメソフェーズ黒鉛化物は、石炭系のタール及び/又はピッチを加熱して得られるメソフェーズ焼成炭素(バルクメソフェーズ)を原料とし、これを粉砕、酸化、炭化及び黒鉛化してなるバルクメソフェーズ黒鉛化物が好ましい。これは、例えば、石炭系のタール、ピッチを250〜400℃で熱処理し重合して、粉砕したのち、空気中で300〜500℃で加熱し粒子表面を酸化して不融化を行い、その後、不活性雰囲気にて500〜1300℃で炭化したのち、2500〜3300℃で黒鉛化を行うことにより得ることができる。
球状加工した天然黒鉛は、扁平状、鱗片状の天然黒鉛に、高い剪断力を付与し、湾曲させて球状化するか、又は、転動操作を付与し、同心円状に造粒して球状化する等により得ることができる。
人造球状黒鉛、球状加工した天然黒鉛の平均粒子径は、2〜35μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
本実施形態の負極に用いる塊状ハードカーボンは、グラファイト結晶構造が発達しにくい高分子を炭化処理することにより、得ることができる。炭化処理の条件としては、80℃〜3000℃で0.1〜50時間保持する工程を、窒素やヘリウムガスなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。原材料としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コールタール、ピッチ、並びに、タールおよびピッチを架橋処理した化合物などを用いることができる。ハードカーボンの平均粒子径は、2〜30μmが好ましい。
塊状ソフトカーボンは、グラファイト結晶構造が発達しやすい高分子を炭化処理することにより、得ることができる。原材料としては石油コークスなどを用いることができる。ソフトカーボンの平均粒子径は2〜30μmが好ましい。
また、本実施形態の負極には、シリコン、シリコン合金、及びシリコン化合物等の塊状活物質を用いることもできる。これらの平均粒子径は、1〜30μmが好ましい。
シリコン合金の例としては、Ni−Si合金、及びTi−Si合金等の遷移金属元素を含む合金等が挙げられる。
シリコン化合物として、SiとOとを構成元素に含む材料を用いることにより、放電容量の大きい、高エネルギー密度の蓄電素子を得ることができる。
SiとOとを構成元素に含む材料は、一般式SiO(x<2)で表される物質が好ましい。
SiとOとを構成元素に含む材料は、粒子表面の少なくとも一部を導電性物質で被覆して活物質とすることが好ましい。SiとOとを構成元素に含む材料を導電性物質で被覆した活物質を用いることにより、充放電サイクル特性に優れた蓄電素子を得ることができる。
SiとOとを構成元素に含む材料を被覆する導電性物質としては、Cu、Ni、Ti、Sn、Al、Co、Fe、Zn、Ag若しくはこれらの二種以上の合金又は炭素材料が挙げられる。なかでも、炭素材料を用いることが好ましい。
(鱗片状黒鉛)
本実施形態の負極において、鱗片状黒鉛は、鱗片状であれば、天然黒鉛であるか人造黒鉛であるかを問わず用いることができ、コークス、樹脂炭化物などの原料を焼成により黒鉛化して鱗片状としたものなどでもよい。また、鱗片状とは、いわゆる魚の鱗のような薄い小片であればよく、屈曲した状態や、粒子端部が丸められた状態であってもよく、円形、楕円形、多角形に類する形状の薄い小片の黒鉛も用いることができる。
鱗片状黒鉛の平均粒子径は、1〜15μmであることが好ましい。
鱗片状黒鉛の平均アスペクト比は、3.0以上であることが好ましい。
鱗片状黒鉛は高い結晶性を有することが好ましい。結晶性が高いと軟質であり、負極合剤層の密度を高くすることに寄与する。002面の面間隔(d002)は、0.337nm以下が好ましい。
(負極の作製)
本実施形態においては、上記の塊状活物質を80〜60質量%、鱗片状黒鉛を40〜20質量%の割合で混合して、負極活物質とする。鱗片状黒鉛の混合割合が少なすぎる場合、又は、多すぎる場合には、負極合剤層の電解液浸透性は改善されない。
負極活物質の含有量は、負極の総質量に対して50〜99質量%とすることが好ましく、70〜99質量とすることがより好ましい。
負極活物質に、バインダー、必要に応じて導電剤、増粘剤、フィラー等の他の構成成分を混練し、溶媒と混合して、スラリーとする。このスラリーを銅箔等の集電体の上に塗布又は圧着し、乾燥して負極を作製する。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。バインダーの添加量は、負極の総質量に対して1〜50質量%とすることが好ましい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等を用いることができる。溶媒としては、水、N―メチルピロリドン等を用い、ミキサー等を用いてスラリーとする。
スラリーの塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
塗布後の乾燥は、50〜200℃の温度で、5〜30分間、加熱乾燥することが好ましい。
(負極合剤層の多孔度)
また、本実施形態において、負極合剤層の多孔度は、20%以下とする。多孔度が20%以下の場合に、鱗片状黒鉛の割合を、塊状活物質と鱗片状黒鉛の合計の20〜40質量%とすることにより、負極合剤層の電解液の浸透性が向上する。多孔度は15%以下とすることが好ましく、13%以下とすることがさらに好ましい。多孔度の下限は、特にないが、電解液浸透性の観点からみて5%以上とすることが好ましい。
ロールプレス機などでプレスすることにより、上記の多孔度とすることができる。
(負極合剤層の組成の分析)
SOC0%まで放電した電池を解体して負極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄後、真空乾燥する。負極の断面をSEMにて観察し、塊状活物質と鱗片状黒鉛の面積比率を求める。塊状活物質と鱗片状黒鉛それぞれの真密度の値を用いて、塊状活物質と鱗片状黒鉛の合計に対する鱗片状黒鉛の質量比を算出する。
(正極活物質)
上記の正極活物質としては、二酸化マンガン、五酸化バナジウムのような遷移金属化合物や、硫化鉄、硫化チタンのような遷移金属カルコゲン化合物、LiMeO(MeはCo、Ni及びMnから選択される一種以上の遷移金属)で表されるα−NaFeO型、又はLiMn等のスピネル型のリチウム遷移金属複合酸化物、これらの複合酸化物の遷移金属サイト又はリチウムサイトをAl、V、Fe、Cr、Ti、Zn、Sr、Mo、W、Mgなどの金属元素、若しくはP、Bなどの非金属元素で置換した化合物、LiFePO等のオリビン型のリン酸化合物を用いることができる。
この中では、Li1+αMe1−α(0<α、MeはCo、Ni及びMnから選択される一種以上の遷移金属)で表されるリチウムが過剰なα−NaFeO型の正極活物質が、負極活物質の高容量性を活かす組み合わせとして好ましい。
(正極の作製)
正極活物質及びバインダーに、必要に応じて導電剤、増粘剤、フィラー等の他の構成成分を混練し、溶媒と混合した後、負極と同様の手段を用いてアルミニウム箔等の集電体の上に塗布又は圧着し、80〜200℃の温度で加熱乾燥処理して正極を作製することができる。
正極のバインダーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。負極と同じ樹脂材料を用いてもよい。また、バインダーの添加量は、正極の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。
(非水電解液)
本実施形態の蓄電素子に用いる電解液は、限定されるものではなく、一般に非水電解液二次電池等への使用が提案されている非水電解液を用いることができる。非水電解液に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン若しくはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソラン若しくはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトン若しくはその誘導体等の単独、又はそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解液に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF6,LiPF,LiB(C,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,LiB10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CH)4NBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(C)4N−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、又は2種類以上を混合して用いることが可能である。
非水電解液における電解質塩の濃度としては、高い特性を有する蓄電素子を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/Lである。
(セパレータ)
セパレータとしては、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等を用いることができ、特に、合成樹脂微多孔膜が好適に用いることができる。その材質としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、およびポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィンが例示される。なかでもポリエチレンおよびポリプロビレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などのポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で好適に用いられる。
その他の蓄電素子の構成要素としては、端子、絶縁板、ケース等があるが、これらの部品は従来用いられてきたものをそのまま用いて差し支えない。
(非水電解液二次電池の構成)
図4に、本実施形態に係る蓄電素子である矩形状の非水電解液二次電池1の外観斜視図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図4に示す非水電解液二次電池1は、電極群2が電池容器3に収納されている。電極群2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
本実施形態に係る非水電解液二次電池等の蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本実施形態は、上記の蓄電素子(非水電解液二次電池)を複数個集合した蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図5に示す。図5において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解液二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
(実施例1)
人造球状黒鉛(メソカーボンマイクロビーズ、平均粒子径:22μm)80質量%と鱗片状黒鉛(人造黒鉛、平均粒子径:10μm、アスペクト比:4.0)20質量%を混合して負極活物質とした。この負極活物質と、バインダーとしてのSBR(スチレンブタジエンゴム)と、増粘剤としてのCMC(カルボキシメチルセルロース)とを固形分質量比で97.6:2.1:1.2の割合で含有し、溶媒としての水を含むスラリーを、プラネタリミキサーを用いて作製した。
作製したスラリー(負極合剤)を、銅箔(20μm)上に塗布し、80℃ホットプレート上で15分間乾燥した。負極合剤の塗布質量は10mg/cmとした。
ロールプレス機で負極合剤層の多孔度が8%になるようにプレスした。その後、100℃の真空雰囲気にて14時間以上乾燥させた。
上記のようにして、実施例1に係る負極を作製した。
(多孔度の測定方法)
負極合剤層の多孔度は、次の方法で測定した。SOC0%まで放電した電池を解体して負極を取り出し、ジメチルカーボネートで洗浄後、真空乾燥した。負極を所定のサイズ(例えば、2cm角)に切り出し、質量W及び厚みTを測定した。負極合剤層に含まれるバインダーが溶解する溶媒(例えば、水やアセトン)を用いて、負極から負極合剤層を剥離し、負極集電体の質量W及び厚みTを測定した。負極及び負極集電体の質量及び厚みから、式1を用いて、負極合剤層の密度Dを算出した。
=(W−W)/4(T−T) (式1)
剥離した負極合剤層を真空乾燥したのち、JIS Z 8807:2012に準拠した気層置換法を用いて、負極合剤層の真密度Dを測定した。式2を用いて、負極合剤層の多孔度P(%)を算出した。
P(%)=(D−D)/D×100 (式2)
(実施例2〜6、比較例1〜7)
人造球状黒鉛(以下、「球状黒鉛」という)と鱗片状黒鉛の混合割合、負極合剤層の多孔度(以下、「多孔度」という)を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6、比較例1〜7に係る負極を作製した。
(液含浸試験)
作製した負極(実施例1〜6、比較例1〜7)のそれぞれの負極合剤上にマイクロシリンジで1μLのプロピレンカーボネート(電解液溶媒)を滴下し、滴が合剤内に吸収されて見えなくなるまでの時間(秒)を測定し、浸透時間secとして記録した。
試験は気温25℃、露点−50℃のドライルームで行った。
実施例1〜6、比較例1〜7の負極について、液含浸試験の結果を、球状黒鉛と鱗片状黒鉛の混合割合(%は質量%)、多孔度と共に、表1に示す。
表1に示されるように、多孔度20%以下の低多孔度領域で、鱗片状黒鉛を20〜40質量%混合した負極で浸透時間が短くなった(実施例1〜6参照)。
すなわち、多孔度が8%の場合、球状黒鉛100質量%の負極では、浸透時間が6515sec(比較例1)であり、球状黒鉛40質量%、鱗片状黒鉛60質量%の負極では、浸透時間が7780sec(比較例2)であるのに対して、球状黒鉛80質量%、鱗片状黒鉛20質量%の負極では、浸透時間が3017sec(実施例1)であり、球状黒鉛60質量%、鱗片状黒鉛40質量%の負極では、浸透時間が2314sec(実施例2)である。
多孔度が10%の場合、球状黒鉛100質量%の負極では、浸透時間が4741sec(比較例4)であるのに対して、球状黒鉛80質量%、鱗片状黒鉛20質量%の負極では、浸透時間が2260sec(実施例3)であり、球状黒鉛60質量%、鱗片状黒鉛40質量%の負極では、浸透時間が2998sec(実施例4)である。
多孔度が13%の場合、球状黒鉛40質量%、鱗片状黒鉛60質量%の負極では、浸透時間が4492sec(比較例5)、球状黒鉛100質量%の負極では、浸透時間が4141sec(比較例5)であるのに対して、球状黒鉛80質量%、鱗片状黒鉛20質量%の負極では、浸透時間が1420sec(実施例5)である。
多孔度が15%の場合、球状黒鉛100質量%の負極では、浸透時間が847sec(比較例7)であるのに対して、球状黒鉛80質量%、鱗片状黒鉛20質量%の負極では、浸透時間が773sec(実施例6)である。
多孔度が17%の場合、球状黒鉛100質量%の負極では、浸透時間が601sec(比較例8)であるのに対して、球状黒鉛80質量%、鱗片状黒鉛20質量%の負極では、浸透時間が568sec(実施例7)である。
したがって、多孔度20%以下の低多孔度領域で、鱗片状黒鉛を20〜40質量%混合することにより、浸透時間が短くなっていることが分かる。さらに、多孔度が15%以下の低多孔度領域では、鱗片状黒鉛を20〜40質量%混合することにより、大幅に浸透時間が短くなっていることが分かる。
これに対して、多孔度が24%の場合、球状黒鉛100質量%の負極では、浸透時間が177sec(比較例11)であるのに対して、球状黒鉛80質量%、鱗片状黒鉛20質量%の負極では、浸透時間が174sec(比較例10)であるから、鱗片状黒鉛を混合しても、負極活物質層の電解液浸透性改善の効果は小さい。
したがって、本実施形態においては、多孔度20%以下の低多孔度領域で、鱗片状黒鉛を20〜40質量%混合することにより、負極活物質層の電解液浸透性が改善されるといえる。特に、多孔度15%以下の低多孔度領域で、鱗片状黒鉛を混合したことによる電解液浸透性改善の効果は大きい。
(符号の説明)
1 非水電解液二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
本発明の負極を用いることにより、高電極密度とした場合でも電解液浸透性が優れた、体積当たりのエネルギー密度の高い蓄電素子が得られるので、車載用・定置用などの幅広い用途の蓄電素子として有用である。

Claims (5)

  1. 塊状の負極活物質と鱗片状黒鉛とを含む負極合剤層を備えた蓄電素子用負極であって、鱗片状黒鉛の割合が、塊状の負極活物質と鱗片状黒鉛の合計の20〜40質量%であり、負極合剤層の多孔度が20%以下であることを特徴とする蓄電素子用負極。
  2. 前記塊状の負極活物質が黒鉛材、炭素材、シリコン、シリコン合金、及びシリコン化合物から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子用負極。
  3. 前記黒鉛材が球状人造黒鉛及び/又は球状加工した天然黒鉛であることを特徴とする請求項2に記載の蓄電素子用負極。
  4. 前記負極合剤層の多孔度が15%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子用負極。
  5. 正極、負極及び電解液を備えた蓄電素子であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の負極を備えた蓄電素子。
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