JP2017050924A - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用駆動電動機の制御に弱め界磁制御が選択的に適用される電動車両において、電動機の温度検出精度を向上する。
【解決手段】昇圧コンバータによる昇圧が禁止された退避走行では、弱め界磁制御が適用された正弦波PMW制御、および、弱め界磁制御が非適用の正弦波PWM制御を選択してモータジェネレータが制御される。後進走行時には、モータジェネレータの推定温度が、弱め界磁制御の非適用時および適用時の間で異なるマップを用いて、モータジェネレータMGの出力トルクおよび温度センサの検出温度から算出される。弱め界磁制御の適用時に用いられるマップは、弱め界磁制御の非適用時に用いられるマップと比較して、出力トルクが同一値の下で、検出温度と推定温度との温度差が大きくなるように構成される。
【選択図】図5
【解決手段】昇圧コンバータによる昇圧が禁止された退避走行では、弱め界磁制御が適用された正弦波PMW制御、および、弱め界磁制御が非適用の正弦波PWM制御を選択してモータジェネレータが制御される。後進走行時には、モータジェネレータの推定温度が、弱め界磁制御の非適用時および適用時の間で異なるマップを用いて、モータジェネレータMGの出力トルクおよび温度センサの検出温度から算出される。弱め界磁制御の適用時に用いられるマップは、弱め界磁制御の非適用時に用いられるマップと比較して、出力トルクが同一値の下で、検出温度と推定温度との温度差が大きくなるように構成される。
【選択図】図5
Description
この発明は、電動車両に関し、より特定的には、車両駆動用電動機の温度推定に関する。
ハイブリッド自動車を始めとする電動車両において、直流電力源である蓄電装置と、車両駆動用電動機に交流電圧を供給するインバータとの間に、昇圧コンバータを配置する構成が、特開2009−225633号公報(特許文献1)等に記載されている。
特許文献1には、電動機の動作点が所定の共振域に含まれる場合には、制御精度に優れる正弦波PWM制御を適用することが記載されている。これにより、昇圧コンバータにより形成されるLC回路での電圧や電流の共振の発生を防止することができる。さらに、特許文献1には、電動機の動作点が所定の共振域に含まれる場合に、弱め界磁制御を適用することが記載されている。
特許文献2には、特許文献1と同様の昇圧コンバータでの共振の発生を回避するために、昇圧コンバータでの昇圧を非実行とする走行(上アームオン走行)において、共振域では、電動機での出力トルクを制限して矩形波電圧制御モードの適用を禁止することが記載されている。
電動車両では、電動機温度の上昇時には、電動機からの出力制限によって、電動機を過熱から保護する制御が行われることがある。しかしながら、温度センサの配置制約等によって、温度センサによる検出温度のみでは、電動機温度を正確に検出できないケースが想定される。この場合には、電動機温度の推定が必要となる。
一方で、特許文献1,2にも示されるように、複数の制御モードの選択的な適用を伴って、電動機の出力は制御される。したがって、制御モード間での特性の違いを考慮しなければ、電動機温度の推定精度が低下する虞がある。特に、弱め界磁制御の適用時は、電動機出力の拡大が可能となる一方で、電動機での電力損失が増大する方向に電流位相が変化されるので、電動機の温度上昇が大きくなることが懸念される。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、車両用駆動電動機の制御に弱め界磁制御が選択的に適用される電動車両において、電動機の温度推定精度を向上することである。
この発明のある局面では、電動車両は、車両駆動力を発生する電動機と、蓄電装置と、昇圧機能を有する昇圧コンバータと、インバータと、温度センサと、温度推定部とを備える。昇圧コンバータは、前記蓄電装置および電力線の間に接続される。インバータは、前記電力線上の直流電圧を、前記電動機を駆動するための交流電圧に変換する。温度センサは、電動機のコイル温度を検出する。温度推定部は、電動機の温度を推定するように構成される。昇圧コンバータによる昇圧が禁止されているときの走行において、電動機の出力を制御するためのインバータでの電力変換は、弱め界磁制御を非適用とした正弦波PWM制御である第1の制御モードと、前記弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御である第2の制御モードとを選択して制御される。温度推定部は、前記後進走行時において、前記第1の制御モードでは第1のマップを用いて前記推定温度を算出する一方で、前記第2の制御モードでは第2のマップを用いて前記推定温度を算出する。第2のマップは、前記電動機の出力トルクが同一値の下で、前記推定温度および前記検出温度の温度差が前記第1のマップよりも大きくなるように構成される。
上記電動車両によれば、昇圧コンバータによる昇圧が禁止されているときの走行(退避走行)において、弱め界磁制御の適用によって、制御精度に優れた正弦波PWM制御による電動機の出力範囲を拡大できる。さらに、推定演算によって電動機温度を推定する後進走行時には、第1および第2のマップの切換えによって、弱め界磁制御の適用による電動機での電力損失の増大を反映して、電動機温度の推定精度を確保することができる。この結果、推定された電動機温度に基づいて、電動機を過熱から保護するための制御を適切に起動することができる。
この発明によれば、車両用駆動電動機の制御に弱め界磁制御が選択的に適用される電動車両において、電動機の温度推定精度を向上することができる。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態による電動車両の電気システムを示した図である。
図1を参照して、電動車両100は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ10と、インバータ20と、モータジェネレータMGと、駆動輪35と、動力伝達ギヤ36と、高電圧側の電力線PL1,PL2と、低電圧側の電力線NLと、平滑コンデンサC0,C1とを備える。また、電動車両100は、制御装置40と、電圧センサ52,54と、電流センサ56と、回転角センサ58と、シフトレバー61と、シフトポジションセンサ62とをさらに備える。
図1を参照して、電動車両100は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ10と、インバータ20と、モータジェネレータMGと、駆動輪35と、動力伝達ギヤ36と、高電圧側の電力線PL1,PL2と、低電圧側の電力線NLと、平滑コンデンサC0,C1とを備える。また、電動車両100は、制御装置40と、電圧センサ52,54と、電流センサ56と、回転角センサ58と、シフトレバー61と、シフトポジションセンサ62とをさらに備える。
蓄電装置Bは、再充電可能な直流電源であり、たとえばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池によって構成される。蓄電装置Bは、走行用の電力を蓄える。なお、蓄電装置Bとして、二次電池に代えて、電気二重層キャパシタや大容量のコンデンサ等を用いてもよい。
蓄電装置Bは、電力線PL1およびNLと接続される。電力線NLは、たとえば、接地配線である。平滑コンデンサC0は、電力線PL1およびNLの間に接続される。平滑コンデンサC0は、電力線PL1およびNL間の電圧変動の交流成分を平滑化する。以下では、蓄電装置Bの出力電圧を、直流電圧VBとも表記する。
昇圧コンバータ10は、蓄電装置Bと、電力線PL2の間に接続される。昇圧コンバータ10は、いわゆる昇圧チョッパ回路の構成を有しており、リアクトルLと、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する。)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
平滑コンデンサC1は、電力線PL2およびNLの間に接続される。平滑コンデンサC1は、電力線PL2およびNL間の電圧変動の交流成分を平滑化する。
インバータ20は、いわゆる三相インバータの回路構成を有し、昇圧コンバータ10およびモータジェネレータMGの間に接続される。インバータ20は、U相アーム22と、V相アーム24と、W相アーム26とを含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、電力線PL2およびNLの間に並列に接続される。U相アーム22は、直列に接続されたスイッチング素子Q11,Q12を含む。V相アーム24は、直列に接続されたスイッチング素子Q13,Q14を含む。W相アーム26は、直列に接続されたスイッチング素子Q15,Q16を含む。各相アームの中間点は、モータジェネレータMGのステータコア(図示せず)に巻回された各相のコイルCLにそれぞれ接続されている。
なお、上記のスイッチング素子Q1,Q2および後述のスイッチング素子Q11〜Q16として、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2,Q11〜Q16に対して、ダイオードD1,D2,D11〜D16が逆並列に接続される。
モータジェネレータMGは、交流電動発電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える三相交流電動発電機によって構成される。モータジェネレータMGは、動力伝達ギヤ36を経由して、駆動輪35に機械的に連結される。これにより、モータジェネレータの出力トルクによって、電動車両100の走行トルクを発生することができる。モータジェネレータMGが正方向に回転することによって、電動車両100は前進方向に走行する。一方で、モータジェネレータMGが負方向に回転することによって、電動車両100は後進方向に走行する。以下では、モータジェネレータMGを正回転方向に回転駆動するためのトルクを正トルク、負回転方向に回転駆動するためのトルクを負トルクとも称する。
また、モータジェネレータMGは、電動車両100の制動時には、車両の運動エネルギーを駆動輪35から伝達された状態で、車両の走行を妨げる方向のトルクを発生することによって発電することができる。たとえば、電動車両100の前進走行時において、モータジェネレータMGが負トルクを出力することによって、回生発電が実行される。なお、電動車両100がハイブリッド車両である場合には、モータジェネレータMGは、図示されないエンジンに機械的に連結され、エンジンの動力を用いて発電し、かつ、エンジンの始動も行なうものであってもよい。
昇圧コンバータ10は、制御装置40からの信号CNVに基づいて、電力線PL2およびNL間の直流電圧VH(以下「システム電圧VH」とも称する。)を電圧指令値に従って制御する。平滑コンデンサC0の直流電圧VL(すなわち、VL=VB)に対して、昇圧コンバータ10は、システム電圧VHをVH≧VLの範囲に制御する。すなわち、昇圧コンバータ10は、昇圧機能を有している。
具体的には、スイッチング素子Q1およびQ2を交互にオンオフ制御する際のデューティ比について、システム電圧VHが電圧指令値よりも低い場合には、スイッチング素子Q2のオンデューティーを大きくすることによって、電力線PL1から電力線PL2へ電流を流すことによりシステム電圧VHを上昇させることができる。これに対して、システム電圧VHが電圧指令値電圧よりも高い場合には、スイッチング素子Q1のオンデューティーを大きくすることによって、電力線PL2から電力線PL1へ電流を流すことにより、システム電圧VHを低下させることができる。
インバータ20は、制御装置40からの信号INVに基づいて、電力線PL2上の直流電力を、モータジェネレータMGを駆動するための交流電力(三相交流電圧)に変換する。また、インバータ20は、電動車両100の回生制動時には、信号INVに基づいて、モータジェネレータMGにより発電された三相交流電力を直流電圧に変換して、電力線PL2へ出力する。たとえば、制御装置40は、モータジェネレータMGの出力トルクがトルク指令値Tqcomに従って制御されるように、信号INVを生成する。電動車両100の前進走行時には、加速時にはTqcom>0(正トルク)に設定され、回生制動時には、Tqcom<0(負トルク)に設定される。電動車両100の後進走行時には、モータジェネレータMGは負トルクを出力する。
電圧センサ52は、平滑コンデンサC1の端子間電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置40へ出力する。電圧センサ54は、蓄電装置Bの電圧VBを検出し、その検出値を制御装置40へ出力する。電流センサ56は、蓄電装置Bに入出力される電流IBを検出し、その検出値を制御装置40へ出力する。回転角センサ58は、モータジェネレータMGのロータの回転角θを検出し、その検出値を制御装置40へ出力する。回転角センサ58の出力から、モータジェネレータMGの単位時間当たりの回転数(以下、「MG回転数」)を算出することができる。
運転者は、シフトレバー61の操作により、少なくとも、リバースレンジ(Rレンジ)、ニューラルレンジ(Nレンジ)、ドライブレンジ(Dレンジ)およびパーキングレンジ(Pレンジ)のいずれかを選択できる。シフトポジションセンサ62は、シフトレバー61の操作により現在選択されているレンジを示す信号を制御装置40へ出力する。
制御装置40は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU)により構成され、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。あるいは、制御装置40の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
制御装置40は、電圧VH,VB(VB=VL)および電流IBの各検出値に基づいて、昇圧コンバータ10を駆動するための信号CNVを生成して昇圧コンバータ10へ出力する。また、制御装置40は、モータ電流、回転角θおよび電圧VHの各検出値、ならびに、図示されない外部ECUからのトルク指令値Tqcomに基づいて、モータジェネレータMGを駆動するための信号INVを生成してインバータ20へ出力する。シフトポジションセンサ62からの信号は、トルク指令値Tqcomを設定する外部ECUにも伝達されている。
制御装置40は、モータジェネレータMGのトルク制御(以下、単に「MG制御」とも称する)について、複数の制御モードを選択する。選択された制御モードに従って、インバータ20における電力変換が制御される。
図2は、図1に示したモータジェネレータMGの制御モードを説明する図である。図2を参照して、電動車両100では、MG制御、すなわちインバータ20における電力変換について、PWM制御モードと矩形波電圧制御モードとを切替えて使用する。
PWM制御モードは、正弦波PWM制御と過変調PWM制御とを含む。正弦波PWM制御では、正弦波状の電圧指令と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って、各相上下アーム素子のオン/オフが制御される。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティが制御される。
なお、正弦波状の電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲に制限されるこの正弦波PWM制御では、モータジェネレータMGへの印加電圧(以下、単に「モータ印加電圧」とも称する。)の基本波成分を入力電圧の約0.61倍程度までしか高めることができない(以下、入力電圧(システム電圧)に対するモータ印加電圧(線間電圧)の基本波成分(実効値)の比を「変調率」と称する。)。
過変調PWM制御は、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。特に、電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませること(振幅補正)によって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御での最高変調率から0.78の範囲まで高めることができる。なお、過変調PWM制御では、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きいため、モータジェネレータMGに印加される線間電圧は、正弦波ではなく歪んだ電圧となる。
矩形波電圧制御モードでは、矩形波電圧制御の実行により、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分がモータジェネレータに印加される。これにより、矩形波電圧制御では、変調率は0.78まで高められる。なお、矩形波電圧制御では、モータ印加電圧の振幅が固定されるので、トルク指令値に対する偏差に基づく矩形波電圧パルスの位相制御によってトルク制御が実行される。
正弦波PWM制御は、電圧および電流(すなわち、出力トルク)の制御精度が高い一方で、変調率の限界から出力範囲が限られる。一方で、矩形波電圧制御は、制御精度は相対的に低下するが、高出力への対応が可能となる特徴を有する。過変調PWM制御は、正弦波PWM制御および矩形波電圧制御の境界領域を分担する役割を有する。
制御モードの切替については、概略的には、低トルク低回転数域では、トルク変動を小さくするために正弦波PWM制御が用いられ、中トルク中回転数域では、過変調PWM制御が用いられる。そして、高トルク高回転数域では、モータジェネレータMGの出力向上を実現可能な矩形波電圧制御が適用される。上記の制御モードのいずれを用いるかについては、基本的には、実現可能な変調率の範囲内で決定される。すなわち、高出力領域でPWM制御を適用するためには、変調率を下げるためにシステム電圧VHを上昇させる必要がある。
(電動車両の退避走行と昇圧コンバータでの共振現象)
再び図1を参照して、昇圧コンバータ10は、スイッチング素子Q2をオフ固定すると、昇圧機能がオフされて、VH=VLとなる。この際に、スイッチング素子Q1をオンすると、電力線PL2から電力線PL1に回生電流を受け入れることができる。
再び図1を参照して、昇圧コンバータ10は、スイッチング素子Q2をオフ固定すると、昇圧機能がオフされて、VH=VLとなる。この際に、スイッチング素子Q1をオンすると、電力線PL2から電力線PL1に回生電流を受け入れることができる。
したがって、電圧センサ52の故障等によって昇圧コンバータ10での昇圧が禁止された場合にも、スイッチング素子Q1をオン、スイッチング素子Q2をオフに固定した状態(以下、「上アームオン状態」とも称する)で昇圧コンバータ10を動作することにより、電動車両100は、VH=VLの制限下で、車両走行を継続することができる。この結果、通常時の加速能力は得られなくても、安全な場所まで車両を移動させる等の緊急的な車両走行(以下、「退避走行」とも称する)を継続することが可能となる。
このような、昇圧が禁止された退避走行では、システム電圧VHを高めることができないので、変調率を下げることが困難である。しかしながら、昇圧コンバータ10を上アームオン状態で動作させた下で、矩形波電圧制御モードを適用すると、特許文献2にも記載されるように、以下のような共振現象の発生が懸念される。
図3には、昇圧コンバータの上アームオン状態における電気システムの等価回路図が示される。
図3を参照して、昇圧コンバータ10の上アームオン状態では、スイッチング素子Q1を経由して、平滑コンデンサC1と昇圧コンバータ10のリアクトルLとによるLC回路が連続的に形成される。当該LC回路は、インバータ20と接続される。
一方で、矩形波電圧制御モードでは、MG回転数に依存した矩形波電圧がインバータ20に印可される。したがって、MG回転数に依存したトルクリップルが発生すると、このトルクリップルに応じた電圧リップルが電力線PL2(システム電圧VH)に発生する。
電圧リップルの周波数が、平滑コンデンサC1およびリアクトルLにより形成されるLC回路の共振周波数に近づくと、電圧リップルに誘引されて当該LC回路が共振することによって、過電流や過電圧が発生し得る。
より詳しく説明すると、平滑コンデンサC1および昇圧コンバータ10のリアクトルLにより形成されるLC回路の共振周波数f1は、次式によって表される。
f1=1/{2π√(L×C)} …(1)
ここで、Lは、リアクトルLのインダクタンスを示し、Cは、平滑コンデンサC1の容量を示す。
ここで、Lは、リアクトルLのインダクタンスを示し、Cは、平滑コンデンサC1の容量を示す。
一方、モータジェネレータMGのトルクリップルに応じて発生する電力線PL2の電圧リップルの変動周波数f2は、たとえば次式によって表される。
f2=Nmg×4×6/60 …(2)
ここで、モータジェネレータMGのロータの永久磁石は4極対とし、変動周波数f2は、6次高調波成分の周波数としている。なお、Nmgは、1分間当たりのMG回転数を示す。
ここで、モータジェネレータMGのロータの永久磁石は4極対とし、変動周波数f2は、6次高調波成分の周波数としている。なお、Nmgは、1分間当たりのMG回転数を示す。
上記のように、電圧リップルの変動周波数f2はMG回転数Nmgに依存し、変動周波数f2がLC回路の共振周波数f1に近くなるようなMG回転数NmgになるとLC回路が共振する。
特に、上述した、昇圧コンバータ10での昇圧が禁止された下での退避走行では、図3に示されたLC回路が常時形成されることになるので、LC回路の共振による、過電圧および/または過電流が発生し易くなってしまう。
ここで、式(1)および(2)から、モータジェネレータMGについて、f2=f1が成立する共振回転数を求めることができる。この結果、MG回転数Nmgについて、当該共振回転数を含む所定の共振領域を設定することができる。共振領域は、回路シミュレーションおよび/または実機実験等によって、予め定めることができる。すなわち、MG回転数Nmgが当該共振領域内に入ると、LC回路の共振を回避するために、矩形波電圧制御モードの適用を禁止することが好ましい。
図4には、昇圧禁止での退避走行時におけるモータジェネレータMGの動作範囲を説明するための概念図が示される。
図4の横軸には、MG回転数の絶対値(|Nmg|)が示され、縦軸にはモータジェネレータMGの出力トルクの絶対値(|T|)が示される。すなわち、図4の特性図は、前進走行および後進走行に共通に適用することができる。
図4を参照して、モータジェネレータMGの最大出力線101は、各回転数|Nmg|における出力最大トルクの集合に相当する。昇圧コンバータ10が正常に昇圧機能を発揮できる場合には、最大出力線101よりも内側の領域内で、モータジェネレータMGの動作点(回転数×トルク)を設定することができる。
図4中には、矩形波電圧制御禁止ライン110がさらに示される。矩形波電圧制御禁止ライン110は、昇圧コンバータ10が上アームオン状態であるとき(すなわち、VH=VL=VB)のときに、正弦波PWM制御モードでモータジェネレータMGを制御可能な、最大出力線に相当する。したがって、VH=VBの下で、矩形波電圧制御禁止ライン110を超えた出力範囲(図中で矩形波電圧制御禁止ライン110よりも右側の領域)でモータジェネレータMGを動作させる場合には、矩形波電圧制御モード(または、過変調PWM制御)の適用が必要となる。言い換えると、矩形波電圧制御禁止ライン110を超えた出力範囲において正弦波PWM制御モードを適用するには、システム電圧VHの昇圧が必要となる。
ここで、昇圧が禁止された退避走行では、緊急的な走行のための必要最低限の車両駆動力(走行トルク)を確保することが目的となる。このため、図1に示した電気システム内に過電流や過電圧が発生することを優先的に回避するべく、モータジェネレータMGについては、制御性能に優れた正弦波PWM制御を適用して走行することが好ましい。
一方で、矩形波電圧制御禁止ライン110では、高回転数領域におけるトルクが大幅に制限される。しかしながら、出力確保のために矩形波電圧制御モードを適用すると、上述した共振現象の問題が生じてしまう。図6中では、N1≦|Nmg|≦N2が共振領域として示される。
少なくとも上記共振領域では、出力トルク拡大のためには、矩形波電圧制御モードではなく、弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御を用いる必要がある。通常、正弦波PWM制御では、d軸電流およびq軸電流の指令値がそれぞれ設定されて、d軸電流およびq軸電流を指令値に近付けるためのフィードバック制御に従って、インバータ20からモータジェネレータMGへ供給される交流電圧が制御される。同一出力トルクに対応するd軸電流指令値およびq軸電流指令値の組み合わせは複数存在し、d軸電流指令値およびq軸電流指令値の比の設定によって電流位相は制御される。
弱め界磁制御が非適用とされる、通常の正弦波PWM制御では、モータジェネレータMGの電流位相は、電力損失が最小となる最適値に制御される。これにより、同一電流振幅に対するモータジェネレータMGの出力トルクは最大となる。
これに対して、弱め界磁制御が適用された正弦波PWM制御では、同一出力トルク下で、d軸電流が増加するようにモータジェネレータMGの電流位相が制御される。d軸電流の増加により、モータジェネレータMGの各相での誘起電圧が低下することにより、出力トルクを拡大することが可能となる。一方で、モータジェネレータMGでの電力損失は、通常の正弦波PWM制御と比較して増加する。すなわち、モータジェネレータMGの効率は低下する。
図4に示されるように、非昇圧(VH=VL)において弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御による最大出力線120(以下、単に、「弱め界磁制御の最大出力線120」とも称する)は、矩形波電圧制御禁止ライン110よりも高トルク領域でのモータジェネレータMGでの動作を可能とする。この結果、昇圧が禁止された退避走行での最大出力線は、矩形波電圧制御禁止ライン110(N<N1)および、弱め界磁制御適用時の最大出力線120(N≧N1)の組み合わせによって得られる。
図5は、昇圧禁止での退避走行におけるモータジェネレータMGの制御モードの状態遷移図である。
図5を参照して、昇圧禁止(VH=VL)での退避走行が開始されると、最適電流位相による、すなわち弱め界磁制御を非適用とした、通常の正弦波PWM制御によって、モータジェネレータMGの出力は制御される。
MG回転数(|Nmg|)が、判定値Ntよりも高くなると、弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御が用いられる。本実施の形態では、Nt=N1とすることにより、共振領域(N1≦|Nmg|≦N2)において、弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御が用いられるものとする。
なお、|Nmg|>N2の領域においても、出力トルクの急変を回避するために、弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御を用い続けることが好ましい。一方で、|Nmg|≦N1に復帰した場合には、通常の正弦波PWM制御に、制御モードを復帰することが好ましい。かかる低回転数領域では、通常の正弦波PWM制御でも、出力トルクの不足は発生し難いからである。
(モータジェネレータの熱保護制御)
モータジェネレータMGは、トルク出力のための通電によって発熱する。したがって、モータジェネレータMGの温度(以下、単に「MG温度」とも称する」が上昇すると、機器保護のために、モータジェネレータMGの出力(具体的には、トルク)を制限する必要が生じる。
モータジェネレータMGは、トルク出力のための通電によって発熱する。したがって、モータジェネレータMGの温度(以下、単に「MG温度」とも称する」が上昇すると、機器保護のために、モータジェネレータMGの出力(具体的には、トルク)を制限する必要が生じる。
図6は、モータジェネレータMGの冷却機構の概略を示す概念図である。
図6を参照して、電動車両100において、モータジェネレータMGは、他の駆動系部品と共に、トランスアクスルケース60内に格納されている。トランスアクスルケース60の内部には、作動油(ATF)を溜めるためのオイルパン70が設けられる。オイルポンプ65は、トランスアクスルケース60の内部で当該ATFを循環するために配置される。オイルポンプ65は、たとえば、モータジェネレータMGのロータの回転に伴って駆動される。オイルポンプ65が駆動するとオイルパン70に溜められたATFは、油路75を経由して吸い上げられて、予め設けられた排出口66から排出される。
図6を参照して、電動車両100において、モータジェネレータMGは、他の駆動系部品と共に、トランスアクスルケース60内に格納されている。トランスアクスルケース60の内部には、作動油(ATF)を溜めるためのオイルパン70が設けられる。オイルポンプ65は、トランスアクスルケース60の内部で当該ATFを循環するために配置される。オイルポンプ65は、たとえば、モータジェネレータMGのロータの回転に伴って駆動される。オイルポンプ65が駆動するとオイルパン70に溜められたATFは、油路75を経由して吸い上げられて、予め設けられた排出口66から排出される。
排出口66は、ATFがモータジェネレータMG(特に、コイルCL)全体に掛るような位置に予め配置される。ATFがモータジェネレータMGに対して出力されることによって、モータジェネレータMGは冷却される。すなわち、ATFがモータジェネレータMGの冷媒としても作用する。
モータジェネレータMGには、MG温度を推定するための温度センサ67が設けられている。温度センサ67は、たとえば、コイルCL(図1)の温度を検出するように配置される。コイル温度は、コイルCLを通過する電流による電力損失(銅損)によって上昇する他、ステータコア(図示せず)での発熱が伝達されることによっても上昇する。
コイルCLの通過電流は、モータジェネレータMGのトルク増加に応じて増大する。一方で、トルクが同一値であっても、モータジェネレータMGの電流位相に応じて電力損失が増加すると、ステータコアでの温度上昇が大きくなる。したがって、弱め界磁制御の適用時には、同一のトルク値のもとで、モードジェネレータMGの温度上昇が大きくなることが懸念される。
図7は、モータジェネレータに対する冷媒(ATF)の供給態様を説明するための概念図である。図7(a)には、平坦路走行時におけるATFの供給態様が模式的に示される一方で、図7(b)には、坂道行時におけるATFの供給態様が模式的に示される。
図7(a)を参照して、平坦路走行時には、排出口66から出力されるATFは、前方側の経路71および後方側の経路72に略均等に分割されてモータジェネレータMGに供給される。一方で、温度センサ67は、経路71側のみに配置されている。
図7(b)には、前進方向での降坂および、後進走行での登坂方向の坂道走行時における、ATFの供給態様が示される。図7(b)では、電動車両100の傾きにより、排出口66から流出されるATFが経路71に大量に流れる一方で、経路72のATF流量は小さくなる。
この結果、図7(b)の坂道走行時には、温度センサ67に対して大量のATFが通流することになる。この結果、温度センサ67の検出温度が低下する。図8には、図7(b)の坂道走行時における温度挙動が示される。
図8を参照して、坂道走行時には、温度センサ67を多量のATFが通過する。したがって、図中に点線で示される、コイルCLの実温度Tclの上昇に対して、温度センサ67による検出温度Tsnがあまり上昇しない。このため、実温度Tclおよび検出温度Tsnの温度差ΔTclが、坂道走行時には大きくなることが懸念される。この結果、検出温度Tsnに基づいてMG温度を推定すると、温度上昇を過小評価してしまう虞がある。
特に、後進走行での登坂時には、モータジェネレータMGから大きな負トルクを出力することが必要になるため、温度差ΔTclの影響で、モータジェネレータMGの熱保護が不十分となる虞がある。
一方で、前進走行での降坂時には、モータジェネレータMGはあまり大きなトルクを出力する必要がない。このため、モータジェネレータMGの熱保護のために出力制限が必要となる可能性は低い。また、前進走行での登坂時には、図7(b)とは逆に、温度センサ67の検出温度Tsnは、ATF量の低下によって、平坦路走行時よりも上昇する可能性があるが、この温度差は、熱保護の観点からは安全側に作用する。
図9は、本実施の形態におけるモータジェネレータMGの熱保護のための制御処理を説明するフローチャートである。図9に示すフローチャートの各ステップの処理は、たとえば、制御装置40によるハードウェア処理および/またはソフトウェア処理によって実行される。
図9を参照して、制御装置40は、MG温度を推定するためのステップS100を実行した後、熱保護のためのステップS300を実行する。ステップS100は、ステップS110〜S130およびS200を含む。
制御装置40は、ステップS110により、前進走行中であるかどうかを判定する。ステップS110による判定は、たとえば、シフトポジションセンサ62(図1)の出力に基づいて実行することができる。制御装置40は、Dレンジの選択時には、ステップS110をYES判定とする一方で、後進走行のためのRレンジが選択されている場合には、ステップS110をNO判定とする。
制御装置40は、前進走行時(S110のYES判定時)には、ステップS120により、コイル温度センサ76による検出値(検出温度Tsn)を取得する。さらに、制御装置40は、ステップS130により、MG温度Tmg=Tsnとする。すなわち、前進走行時には、コイル温度センサ76による検出温度Tsnに従って、MG温度が推定される。
制御装置40は、後進走行時(S110のNO判定時)には、ステップS200により、コイル温度センサ76による検出温度TsnおよびモータジェネレータMGの出力トルク(|T|)からの推定演算によって、MG温度(Tmg)を推定する。
図10は、図9のステップS200による、モータジェネレータの温度推定のための制御処理を説明するフローチャートである。図10を参照して、ステップS200(図9)は、ステップS210〜S270を有する。
制御装置40は、ステップS210により、コイル温度センサ76による検出値(検出温度Tsn)を取得するとともに、ステップS220により、トルク絶対値(|T|)を取得する。たとえば、トルク指令値Tqcomから、トルク絶対値を取得することができる(|T|=|Tqcm|)。さらに、制御装置40は、ステップS230により、弱め界磁制御の適用中であるかどうかを判定する。
制御装置40は、弱め界磁制御の非適用時(S230のNO判定時)には、MG温度推定のためのマップとして、マップ1を選択する。一方で、制御装置40は、弱め界磁制御の適用時(S230のYES判定時)には、マップ2を選択する。
このように、弱め界磁制御が非適用とされた正弦波PWM制御、すなわち、通常の正弦波PWM制御は「第1の制御モード」に対応し、弱め界磁制御が適用とされた正弦波PWM制御は「第2の制御モード」に対応する。
マップ1およびマップ2の各々は、検出温度Tsnおよびトルク絶対値|T|の入力に対して、MG温度(Tmg)を出力するように構成される。マップ1およびマップ2は、たとえば、実験結果やシミュレーション結果等に基づいて予め作成される。
制御装置40は、ステップS260では、選択されたマップ(マップ1またはマップ2)に、コイル検出温度Tsnおよびトルク絶対値|T|を入力して、MG温度の推定値(Tmg#)を算出する。さらに、制御装置40は、ステップS270により、ステップS260で算出された推定温度Tmg#を、MG温度(Tmg)とする。(Tmg=Tmg#)
図11には、温度推定のためのマップ1およびマップ2の特性を比較する概念図が示される。
図11には、温度推定のためのマップ1およびマップ2の特性を比較する概念図が示される。
図11を参照して、マップ2は、弱め界磁制御の適用によって、モータジェネレータMGでの電力損失が大きくなるときの温度推定に用いられる。一方で、マップ1は、弱め界磁制御の非適用時、すなわち、モータジェネレータMGでの電力損失が最小となる電流位相の適用時における温度推定に用いられる。
したがって、弱め界磁制御の適用中に用いられるマップ2は、弱め界磁制御の非適用中に用いられるマップ1と比較して、同一のトルク絶対値に対して、温度差ΔTclが大きくなるように作成される。ここで、温度差ΔTcl=Tmg#−Tsnである。
これにより、弱め界磁制御の適用/非適用が選択される、昇圧が禁止された退避走行において、後進走行時におけるMG温度の推定演算(S200)の精度を確保することができる。具体的には、弱め界磁制御適用によるモータジェネレータMGでの電力損失増加による温度上昇の増加を、推定演算に適切に反映することができる。このように、制御装置40が、ステップS200を含むステップS100による制御処理を実行することによって、「温度推定部」の機能を実現することができる。
再び図9を参照して、熱保護のためのステップS300は、ステップS310〜S330を有する。制御装置40は、ステップS310では、ステップS100で推定されたMG温度(Tmg)を、所定のしきい値Txと比較する。
制御装置40は、MG温度Tmgがしきい値Tx以下であるときには(S310のNO判定時)、ステップS330により、熱保護制御をオフする。この場合には、図4に示した、矩形波電圧制御禁止ライン110(N<N1)および、弱め界磁制御適用時の最大出力線120(N≧N1)の組み合わせによって、昇圧が禁止された退避走行におけるモータジェネレータMGの最大出力が規定される。
これに対して、制御装置40は、MG温度Tmgがしきい値Txを超えているとき(S310のYES判定時)には、ステップS320に処理を進めて、モータジェネレータMGのさらなる温度上昇を抑制するための熱保護制御をオンする。たとえば、熱保護制御では、モータジェネレータMGの出力が制限される。すなわち、昇圧が禁止された退避走行時においては、モータジェネレータMGの動作領域は、保護制御オフの場合よりも制限されることになる。特に、MG温度Tmgの上昇量が大きい場合には、モータジェネレータMGによるトルク出力が禁止されてもよい。
このように、本実施の形態に従う電動車両によれば、昇圧が禁止された退避走行において、昇圧コンバータでの共振現象を回避するとともにモータジェネレータMGの出力を拡大するために弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御を用いた場合にも、モータジェネレータMGの温度を正確に推定することができる。この結果、図7に示したように、坂道走行時および平坦路走行時の間で、モータジェネレータMGの温度センサの出力挙動が変化する場合にも、MG温度を適切に推定することができるので、適切な熱保護制御を行なうことができる。特に、登坂走行の降坂時において、モータジェネレータMGの熱保護が不十分になるという問題点を解消することができる。
なお、推定されたMG温度の活用については、図9に例示された熱保護制御(S300)に限定されることなく、任意の態様で実行することが可能である。
また、図9の制御処理において、電動車両100に路面勾配を検出するためのセンサが搭載されている場合には、ステップS110については、「Rレンジ選択、かつ、路面勾配が閾値よりも大きい」ときに限ってNO判定とすることも可能である。言い換えると、図9に示された、後進走行時に推定演算によってMG温度を推定する制御処理では、路面勾配の検出センサが搭載されていない場合にも、後進走行での登坂時(図7(b))におけるモータジェネレータMGの熱保護を図ることができる。
また、図10の制御処理における、弱め界磁制御非適用時のマップ1については、退避走行以外(通常走行時)での温度推定精度を向上するために、図2に示された制御モード(正弦波PWM制御、過変調PWM制御および、矩形波電圧制御)毎に別個に作成することが望ましい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 昇圧コンバータ、20 インバータ、22,24,26 各相アーム、35 駆動輪、36 動力伝達ギヤ、40 制御装置、52,54 電圧センサ、56 電流センサ、58 回転角センサ、60 トランスアクスルケース、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、65 オイルポンプ、66 排出口、67 温度センサ、70 オイルパン、71,72 経路(ATF)、75 油路(ATF)、76 コイル温度センサ、100 電動車両、101 最大出力線(通常)、110 矩形波電圧制御禁止ライン、120 最大出力線(弱め界磁制御適用時)、B 蓄電装置、C0,C1 平滑コンデンサ、CL コイル(モータジェネレータ)、CNV,INV 信号、D1,D2,D11〜D16 ダイオード、IB 電流(蓄電装置)、L リアクトル、NL,PL1,PL2 電力線、Nm MG回転数、Q1,Q2,Q11,Q12,Q13,Q14,Q15,Q16 スイッチング素子、Tcl 実温度(コイル)、Tqcom トルク指令値、Tsn 検出温度(コイル)、VB 直流電圧(蓄電装置)、VH 直流電圧(システム電圧)。
Claims (1)
- 車両駆動力を発生する電動機を搭載した電動車両であって、
蓄電装置と、
前記蓄電装置および電力線の間に接続された、昇圧機能を有する昇圧コンバータと、
前記電力線上の直流電圧を、前記電動機を駆動するための交流電圧に変換するインバータと、
前記電動機のコイル温度を検出する温度センサと、
前記電動機の温度を推定するための温度推定部とを備え、
前記温度推定部は、車両の前進走行時には、前記温度センサによる検出温度から電動機温度を推定する一方で、前記車両の後進走行時には、前記温度センサによる検出温度および前記電動機の出力トルクからの推定演算によって前記電動機温度を推定するように構成され、
前記昇圧コンバータによる昇圧が禁止されているときの走行では、弱め界磁制御を非適用とした正弦波PWM制御である第1の制御モードと、前記弱め界磁制御を適用した正弦波PWM制御である第2の制御モードとを選択して、前記電動機の出力を制御するための前記インバータでの電力変換が制御され、
前記温度推定部は、前記後進走行時において、前記第1の制御モードでは第1のマップを用いて前記推定温度を算出する一方で、前記第2の制御モードでは第2のマップを用いて前記推定温度を算出し、
前記第2のマップは、前記電動機の出力トルクが同一値の下で、前記推定温度および前記検出温度の温度差が前記第1のマップよりも大きくなるように構成される、電動車両。
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JP2019024288A (ja) * | 2017-07-24 | 2019-02-14 | 株式会社デンソー | 電子制御装置 |
CN113783496A (zh) * | 2021-09-15 | 2021-12-10 | 中山亿泰克电动车有限公司 | 一种电动高尔夫球车自动增加动力的算法 |
WO2023228436A1 (ja) * | 2022-05-23 | 2023-11-30 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置 |
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