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JP2017031105A - 食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤 - Google Patents

食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤 Download PDF

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JP2017031105A JP2015153641A JP2015153641A JP2017031105A JP 2017031105 A JP2017031105 A JP 2017031105A JP 2015153641 A JP2015153641 A JP 2015153641A JP 2015153641 A JP2015153641 A JP 2015153641A JP 2017031105 A JP2017031105 A JP 2017031105A
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徹哉 久原
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明男 山田
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Takuma Sakurai
琢磨 桜井
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Daisuke Ochi
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Abstract

【課題】摂取する糖類の種類に関わらず、食後血糖値の上昇を抑制可能な技術を提供すること。
【解決手段】
カゼイン加水分解物を含有する、難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤、および、難消化デキストリンと、カゼイン加水分解物とを含有する血糖値上昇抑制剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本開示は、食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤に関する。より詳しくは、難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤及び血糖値上昇抑制剤に関する。
近年、食生活の欧米化や運動不足により、糖尿病をはじめとする生活習慣病の増加が問題視されている。糖尿病とは、血糖値が病的に高い状態を示す疾患であり、口渇、多尿、意識障害、昏睡といった高血糖そのものによる症状の他、高血糖状態が長期に及ぶことにより、体内の微小血管が徐々に破壊されていき、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症など、様々な臓器に重大な障害を及ぼす場合もある。
糖尿病予備群や糖尿病の早期段階においては、空腹時血糖値が正常域(110mg/dL未満)を示す場合も多くみられる。しかし、空腹時の血糖値が正常範囲であっても、食後の血糖値が急激に増加し高血糖が持続するという食後高血糖が見られるケースが多く、食後高血糖は、血液中の糖分増加により、血管内皮細胞がダメージを受け、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞といった重大なリスク増加させることが、非常に問題になっている。
食後の血糖上昇を抑制する方法としては、食事療法の他、食事に反応した生理的なインスリン分泌を回復する速効型インスリン分泌促進薬、ブドウ糖の吸収を遅らせるα−グルコシダーゼ阻害薬、または作用の早いインスリン注射などを用いた治療が行われる。
また、最近では、天然物由来の食後血糖上昇抑制剤が様々に開発されている。例えば、特許文献1では、白菜、キャベツ、ナタネ、からし菜、ブロッコリ、カリフラワー、ケール、コールラビ、はつかだいこん、ターニップ(かぶ)、ルタバガ(カブハボタン)などのアブラナ科植物が産生するインドール誘導体であるブラシニン及びブラシニンの類縁体に、血糖上昇抑制作用があることが開示されている。
食事によって摂取される糖類によって食後の血糖が上昇するが、血糖を上昇させる糖類の種類は、グルコースのような単糖から澱粉のような多糖類まで様々である。糖類の吸収を抑制することができれば、食後の血糖上昇を防ぐことにつながるが、従来から血糖上昇抑止が知られている物質であっても、全ての種類の糖類の吸収を抑制できるとは限らないことが分かっている。
例えば、非特許文献1では、難消化性デキストリンには、絨毛膜二糖類分解酵素と関連したグルコース輸送路を抑制することにより、ショ糖及びマルトースに対する血糖上昇抑制効果は認められるが、グルコース、異性化糖及びラクトース負荷試験後の血糖値には、優位な上昇抑制効果を示さないことが開示されている。
その他、非特許文献2では、豆鼓エキスには、グルコシダーゼ阻害活性により、二糖類の分解を抑制し、スクロース負荷試験後の血糖値上昇抑制効果があることが開示されている。
特開2008−74745号公報
日本栄養・食糧学会誌 Vol.46 No.2 131−137 1993 American Society for Nutritional Sciences 2001,131:1211−1213
前述の通り、従来から、消化酵素の活性を阻害することにより、二糖以上の糖類の分解を抑制し、その結果、食後血糖値の上昇を抑制する技術は多く存在する。しかしながら、現代の食事や間食には、単糖であるグルコースが含有されているものが多い。前述のような消化酵素の阻害活性は、直接小腸内に入るグルコースには影響しないため、グルコースによる食後血糖値の上昇を抑制することはできないという問題があった。
そこで、本技術では、摂取する糖類の種類に関わらず、食後血糖値の上昇を抑制可能な技術を提供することを主目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、多糖類と単糖の両方に対して、食後血糖値の上昇抑制効果を示す物質の探索について、鋭意検討を行なった結果、単糖による食後血糖値の上昇には効果がないことが周知の難消化デキストリンに対し、カゼイン加水分解物を併用することで、意外にも、単糖による食後血糖値の上昇にも効果を発揮することを見出し、本技術を完成させるに至った。
即ち、本技術では、カゼイン加水分解物を含有する、難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤を提供する。
本技術に係る剤に用いる前記カゼイン加水分解物としては、分子量が1000ダルトン以下のカゼイン加水分解物を選択することができる。
また、前記カゼイン加水分解物としては、その分解率が、20〜30%のカゼイン加水分解物を選択することも可能である。
更に、前記カゼイン加水分解物としては、これに含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下のカゼイン加水分解物を選択することも可能である。
本技術では、次の(a)乃至(d)を満たす難消化デキストリンとカゼイン加水分解物とを含有する血糖値上昇抑制剤:
(a)前記カゼイン加水分解物の分子量が、1000ダルトン以下、
(b)前記カゼイン加水分解物の分解率が、20〜30%、
(c)前記カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下、
(d)前記難消化デキストリンと前記カゼイン加水分解物とが質量比で、
難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1
の割合で含有する、を提供する。
前述した本技術に係る剤又は血糖値上昇抑制剤は、機能性食品の形態で提供することができる。
本技術では、前述した本技術に係る血糖値上昇抑制剤を含有し、血糖値上昇抑制の用途が表示された飲食品も提供する。
本技術によれば、摂取する糖類の種類に関わらず、食後血糖値の上昇を抑制することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本明細書において、数値範囲を「下限〜上限」で表現するものに関しては、上限は「以下」であっても「未満」であってもよく、下限は「以上」であっても「超」であってもよい。
1.カゼイン加水分解物
(1)原料
原料であるカゼインは、乳由来の蛋白質を主成分とするものであり、該カゼインは特に限定されないが、例えば、市販の各種カゼイン、カゼイネート等が利用することができる。より具体的には、乳酸カゼイン、硫酸カゼイン、塩酸カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、マグネシウムカゼイネート又はこれらの任意の混合物等が挙げられる。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳から常法により精製したカゼイン等を利用することもできる。
本技術の有効成分であるカゼイン加水分解物は、生体材料として比較的安価な乳由来の原料であるカゼインを加水分解することにより製造されるため、安定して簡便に、しかも大量に製造することができる。
(2)カゼイン加水分解物の製造方法
カゼイン加水分解物の製造方法は特に限定されないが、蛋白分解酵素等の酵素を用いて製造する方法等が挙げられる。以下、蛋白分解酵素を用いて、カゼイン加水分解物を製造する方法について、具体的に説明する。
まず、原料(カゼイン)を水に分散し溶解させる。
該溶解液の濃度は特に限定されないが、通常、蛋白質換算で5〜15質量%前後の濃度範囲にするのが効率性及び操作性の点から好ましい。
次に、溶解液のpHを、使用する蛋白分解酵素の至適pH付近に調整することにより原料水溶液を調製する。具体的には、溶解液のpHを、アルカリ溶液を用いて、多くの蛋白質分解酵素の至適pHがその範囲内に含まれるpH7〜10に調整することが好ましい。
pH調整に用いるアルカリ剤は特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
次に、調製した原料水溶液に蛋白質分解酵素を添加する。
蛋白質分解酵素としては、細菌由来、動物由来、植物由来の蛋白質分解酵素等があり、いずれのものも使用することができる。
細菌由来の蛋白質分解酵素は特に限定されないが、例えば、バシラス属由来のエンドプロテアーゼとして、アルカラーゼ(ノボザイムズ社製)、ニュートラーゼ(ノボザイムズ社製)、プロチンA(大和化成社製)、プロチンP(大和化成社製)、プロレザー(天野エンザイム社製)、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)、コロラーゼ7089(樋口商会社製)、ビオプラーゼ(ナガセケムテック社製)、オリエンターゼ90N(エイチビイアイ社製)、オリエンターゼ22BF(エイチビイアイ社製)等が挙げられる。
動物由来の蛋白質分解酵素は特に限定されないが、例えば、トリプシンを主成分とするPTN(ノボザイムズ社製)、トリプシンV(日本バイオコン社製)等が挙げられる。
植物由来の蛋白質分解酵素は特に限定されないが、パパイン(天野エンザイム社製)、ブロメライン(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
また、上述した蛋白質分解酵素は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
蛋白質分解酵素は、4〜10℃の冷水に分散し、溶解して使用することが好ましい。該蛋白質分解酵素の溶解液の濃度は特に限定されないが、通常、酵素濃度が3〜10%程度となる量で使用することが効率性及び操作性の点から望ましい。
カゼイン加水分解に用いる蛋白質分解酵素の使用量は、基質濃度、酵素力価、反応温度、及び反応時間等により異なるが、一般的には、カゼインの蛋白質換算質量1g当たり1000〜20000単位(活性単位)の割合を望ましい態様として挙げられる。
蛋白質分解酵素の活性単位は、使用する蛋白質分解酵素の種類に応じて測定することができる。
蛋白質分解酵素の添加に当たっては、1種類ずつ溶解し、添加することが望ましいが、添加の順番は特に制限されない。
酵素反応中、反応系の温度は特に限定されず、酵素作用の発現する最適温度範囲を含む実用に供され得る範囲から選ばれ、通常30〜60℃の範囲から選ばれる。
反応継続時間は、反応温度、初発pH等の反応条件によって進行状態が異なり、例えば、酵素反応の反応継続時間を一定とすると製造バッチ毎に異なる理化学的性質を有する分解物が生じる可能性等の問題があるため、一概に決定することができない。したがって、酵素反応をモニターすることにより、カゼイン加水分解物の理化学的性質が所望の値となるように反応継続時間を決定する。
ここで、本技術に用いるカゼイン加水分解物としては、その分子量が1000ダルトン以下のカゼイン加水分解物を選択することが好ましい。また、本技術に用いるカゼイン加水分解物としては、その分解率が、20〜30%のカゼイン加水分解物を選択することが好ましい。そのため、本技術においては、加水分解の程度を、加水分解に伴って発生する不溶物を濾過により除去した後の濾液中に含まれるカゼイン加水分解物の分子量が、1000ダルトン以下となるように、及び/又は、その分解率が20〜30%となるように、反応温度、反応継続時間等の反応条件を決定することが好ましい。
<分子量の算定方法>
本技術におけるカゼイン加水分解物の平均分子量は、以下の数平均分子量の概念により求めるものである。
数平均分子量(Number Average of Molecular Weight)は、例えば文献(社団法人高分子学会編、「高分子科学の基礎」、第116〜119頁、株式会社東京化学同人、1978年)に記載されているとおり、高分子化合物の分子量の平均値を次のとおり異なる指標に基づき示すものである。
すなわち、タンパク質加水分解物等の高分子化合物は不均一な物質であり、かつ分子量に分布があるため、タンパク質加水分解物の分子量は、物理化学的に取り扱うためには、平均分子量で示す必要があり、数平均分子量(以下、Mnと略記することがある。)は、分子の個数についての平均であり、ペプチド鎖iの分子量がMiであり、その分子数をNiとすると、次の数式(1)により定義される。
Figure 2017031105
<分解率の算定方法>
カゼイン加水分解物の分解率は、下記の数式(2)で算出することができる。
Figure 2017031105
なお、酵素反応のモニタリング方法としては、例えば、前記反応溶液の一部を採取し、蛋白質の分解率等を測定する方法等が挙げられる。
次に、酵素反応を停止させる。
酵素反応の停止は、加水分解液中の酵素を失活させることにより行われる。失活処理は、常法、例えば、加熱失活処理等により実施することができる。
加熱失活処理の条件(加熱温度、加熱時間等)は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができ、例えば、80〜130℃の温度範囲で30分間〜2秒間の保持時間で行うことができる。
酵素反応停止後、得られた加水分解失活液を、(a)濾過、(b)精密濾過、限外濾過膜等の膜分離処理、及び(c)樹脂吸着分離からなる群から選択される、いずれか1種又はこれらの2種以上の組合せによって精製することが好ましい。
上述した精製を行うことにより、当該失活液中に含まれる不溶物の除去、脂肪や乳糖、その他の不要な成分の低減等を行うことができる。その結果、溶液状態で透明であり、かつ、溶液状態での長期保存においても混濁、沈殿、凝集及び褐変等が生じない、いわゆる保存安定性に優れたカゼイン加水分解物を得ることができる。
また、上述した精製を行うことにより、本技術で用いるカゼイン加水分解物の風味、外観等も向上させることができる。
(a)の濾過は、公知の方法により実施することができ、例えば、珪藻土を用い、公知の装置により実施することができる。
濾過を行うことにより、加水分解失活液中に存在する加水分解反応時及び/又は酵素加熱失活時に生成した不溶物を除去できる。
(b)の膜分離処理は、公知の装置を用いて行うことができる。公知の装置としては特に限定されないが、例えば、精密濾過モジュール等、限外濾過モジュールSEP1053(旭化成社製、分画分子量3,000)、SIP1053(旭化成社製、分画分子量6,000)、SLP1053(旭化成社製、分画分子量10,000)等が挙げられる。
この場合、膜分離処理後の膜透過画分としてカゼイン加水分解物を含有する溶液が得られる。
膜分離処理を行うことにより、(a)の濾過と同様、加水分解失活液中に存在する加水分解反応時及び/又は酵素加熱失活時に生成した不溶物を除去できる。
(c)の樹脂吸着分離は、公知の方法により実施することができ、例えば、樹脂をカラムに充填し、前記加水分解失活液を、当該カラムを通過させることにより実施することができる。樹脂としては特に限定されないが、例えば、商品名:ダイヤイオン、セパビーズ(三菱化学社製)、アンバーライトXAD(オルガノ社製)、KS−35(味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
樹脂吸着分離は、これらの樹脂をカラムに充填して前記加水分解失活液を連続的に流入させ、流出させることによる連続方式で行うこともでき、また、前記加水分解失活液中に樹脂を投入し、一定時間接触させた後、加水分解失活液と樹脂とを分離するバッチ方式で行うこともできる。
加水分解失活液中には、保存期間中に混濁、沈殿、凝集及び褐変等を惹起する因子(例えば、疎水性アミノ酸を多く含むペプチド等)が残存している可能性があり、樹脂吸着分離を行うことにより、これらの因子を除去できる。
また、精製後、得られたカゼイン加水分解物を含有する溶液を殺菌してもよい。
殺菌方法は、常法による加熱処理方法等を用いることができる。
加熱処理時の加熱温度と保持時間は、充分に殺菌できる条件を適宜設定すればよく、例えば、70〜140℃で2秒間〜30分間加熱処理することにより殺菌できる。
加熱殺菌の方式は、バッチ方式、連続方式のいずれの方式も可能であり、連続方式においてもプレート熱交換方式、インフュージョン方式、インジェクション方式等の方式を用いることができる。
さらに、得られたカゼイン加水分解物を含有する溶液は、そのまま使用することもでき、また、必要に応じて、該溶液を公知の方法により、濃縮した濃縮液として使用することもできる。また、該濃縮液を公知の方法により乾燥し、粉末にして使用することもできる。
加えて、カゼイン加水分解物の前記不溶物の成分を除去した後、風味改善又は物性改善等を目的として、エンドプロテアーゼ又はエキソプロテアーゼを添加して、二次的な加水分解を行い、以後の処理を行うこともできる。
(3)遊離アミノ酸の質量合計の割合
本技術で用いるカゼイン加水分解物としては、これに含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下のカゼイン加水分解物を選択することが好ましく、5質量%以下のカゼイン加水分解物を選択することがより好ましい。
<アミノ酸遊離率の算定方法>
本技術において、遊離アミノ酸の質量合計の割合は、例えば、以下の手順で求めることができる。
(a)アミノ酸組成の測定
トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミノ酸については、試料を6N塩酸で110℃、24時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及びメチオニンについては、過ギ酸処理後、6N塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸分析機(日立製作所製、835型)により分析し、アミノ酸の質量を測定する。
なお、この方法では、試料のグルタミンとグルタミン酸の量は、両者を合わせた合計量であるグルタミン酸分析値として定量される。
(b)遊離アミノ酸の質量合計の割合の算定
試料中の各アミノ酸組成を前記(a)の方法により測定し、これを合計して試料中の全アミノ酸の質量を算出する。次いで、スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、残留する各遊離アミノ酸の質量を前記(a)の方法により測定し、これを合計して試料中の全遊離アミノ酸の質量を算出する。これらの値から、試料中の遊離アミノ酸の質量合計の割合を下記の数式(3)により算出する。
Figure 2017031105
遊離アミノ酸の質量合計の割合は、カゼインを加水分解させる際の酵素の種類、酵素の添加量、反応時間、及び/又は加水分解後の精製条件(膜分離、樹脂吸着分離)等により調整することができる。
2.カゼイン加水分解物の食後血糖値上昇抑制効果
以上のようにして得られたカゼイン加水分解物は、難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる効果を有する。後述する実施例で示す通り、難消化デキストリンも、カゼイン加水分解物も、多糖類や二糖類による食後血糖値上昇を抑制することはできるが、いずれも、単糖による食後血糖値上昇は抑制しないことが分かっている。しかしながら、意外にも、これらを併用することにより、単独では効果が無かった単糖による食後血糖値上昇に対しても、抑制効果を示すことを見出した。
そして、この併用効果は、全ての血糖上昇抑制効果がある物質に認められるのではなく、カゼイン加水分解物と難消化デキストリンとの併用に特有の効果であることも見出した。例えば、後述する実施例で示す通り、多糖類や二糖類による食後血糖値上昇抑制効果を有する豆鼓エキスと、カゼイン加水分解物を併用した場合、単糖による食後血糖値上昇に対しては、抑制効果が認められないことが分かった。
本技術に係る剤及び血糖値上昇抑制剤(以下、「剤等」ともいう)は、その優れた食後血糖値上昇抑制効果を利用して、糖尿病予防剤及び糖尿病治療剤としても好適に用いることができる。
3.医薬品、医薬部外品
本技術に係る剤等は、その優れた食後血糖値上昇抑制効果を利用して、食後血糖値上昇抑制や糖尿病の予防、改善及び/又は治療のためのヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品等の有効成分として、これらに配合して使用可能である。
医薬品に配合する場合、該医薬品は、経口投与や非経口投与などの投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。その剤形は特に限定されないが、経口投与の場合、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。非経口投与の場合、例えば、座剤、噴霧剤、吸入剤、軟膏剤、貼付剤、注射剤等に製剤化することができる。本開示では、経口投与の剤形に製剤化することが好ましい。
なお、製剤化は剤形に応じて、適宜、公知の方法により実施できる。
製剤化に際しては、適宜製剤担体を配合する等して製剤化してもよい。また、本開示のペプチドのほか、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。更に、公知の又は将来的に見出される疾患や症状の予防、改善及び/又は治療の効果を有する成分を、適宜目的に応じて併用することも可能である。
前記製剤担体としては、剤形に応じて、各種有機又は無機の担体を用いることができる。固形製剤の場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
前記結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
前記崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
前記滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
前記安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
前記矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
本技術に係る剤等に用いるカゼイン加水分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り、年齢、症状等に応じて自由に設定することができる。本技術では、特に、カゼイン加水分解物の含有量を、製剤の最終組成物に対し、0.001〜1質量%に設定することができる。
また本技術に係る血糖値上昇抑制剤に用いる難消化デキストリンの含有量も、本技術の効果を損なわない限り、年齢、症状等に応じて自由に設定することができる。本技術では、例えば、1食あたりの難消化デキストリンの量を5g程度とする場合、難消化デキストリンの含有量を、製剤の最終組成物に対し、1〜10質量%に設定することができる。
このように、本技術に係る血糖値上昇抑制剤は、難消化デキストリンとカゼイン加水分解物との個々の含有量は特に限定されないが、これらの含有量の割合としては、質量比で、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1、の割合で含有することを特徴とし、特に、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=1:0.001〜10:1、の割合で含有することが好ましい。
4.飲食品
本技術に係る剤等は、その優れた食後血糖値上昇抑制効果を利用して、食後血糖値上昇抑制や糖尿病の予防、改善及び/又は治療のためのヒト若しくは動物用の健康食品、機能性食品、病者用食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方に適した食品等の許可表示がされた特定保健用食品、血糖値の上昇抑制を助け、血糖値の上昇をおだやかにする、食後の血糖値が気になる方に適した、又は高血糖の改善に役立つ、等の旨が表示された機能性表示食品、栄養機能食品等の有効成分として、これらに配合して使用可能である。
本技術に係る剤等は、公知の飲食品に添加して調製することもできるし、飲食品の原料中に混合して新たな飲食品を製造することもできる。
前記飲食品は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。
前記小麦粉製品としては、例えば、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。
前記即席食品類としては、例えば、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
前記農産加工品としては、例えば、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。
前記水産加工品としては、例えば、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
前記畜産加工品としては、例えば、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
前記乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
前記油脂類としては、例えば、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
前記基礎調味料としては、例えば、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
前記冷凍食品としては、例えば、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
前記菓子類としては、例えば、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
前記飲料としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
上記以外の市販食品としては、例えば、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
また、本開示で定義される飲食品は、特定の用途(特に保健の用途)や機能が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本開示の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、病者用食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、機能性表示食品制度、これらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。より具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、機能性表示食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を挙げることができる。この中でも典型的な例としては、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、食品表示法(平成25年法律第70号)に定められた機能性表示食品としての表示及びこれらに類する表示である。
本技術に係る剤等に用いるカゼイン加水分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り、年齢、症状等に応じて自由に設定することができる。本技術では、特に、カゼイン加水分解物の含有量を、飲食品の最終組成物に対し、0.001〜1質量%に設定することができる。
また本技術に係る血糖値上昇抑制剤に用いる難消化デキストリンの含有量も、本技術の効果を損なわない限り、年齢、症状等に応じて自由に設定することができる。本技術では、例えば、1食あたりの難消化デキストリンの量を5g程度とする場合、難消化デキストリンの含有量を、飲食品の最終組成物に対し、1〜10質量%に設定することができる。
このように、飲食品の形態で提供される血糖値上昇抑制剤は、難消化デキストリンとカゼイン加水分解物との個々の含有量は特に限定されないが、これらの含有量の割合としては、質量比で、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1、の割合で含有することを特徴とし、特に、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=1:0.001〜10:1、の割合で含有することが好ましい。
5.飼料
本技術に係る剤等は、その優れた食後血糖値上昇抑制効果を利用して、食後血糖値上昇抑制や糖尿病の予防、改善及び/又は治療のための動物用の飼料の有効成分として、使用可能である。本技術に係る剤等は、公知の飼料に添加して調製することもできるし、飼料の原料中混合して新たな飼料を製造することもできる。
前記飼料の原料としては、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。また、前記飼料の形態としては、例えば、愛玩動物用飼料(ペットフード等)、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
本技術に係る剤に用いるカゼイン加水分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り、体重、症状等に応じて自由に設定することができる。本技術では、特に、カゼイン加水分解物の含有量を、飼料の最終組成物に対し、0.001〜1質量%に設定することができる。
また本技術に係る血糖値上昇抑制剤に用いる難消化デキストリンの含有量も、本技術の効果を損なわない限り、体重、症状等に応じて自由に設定することができる。本技術では、例えば、1食あたりの難消化デキストリンの量を5g程度とする場合、難消化デキストリンの含有量を、飼料の最終組成物に対し、1〜10質量%に設定することができる。
このように、飼料の形態で提供される血糖値上昇抑制剤は、難消化デキストリンとカゼイン加水分解物との個々の含有量は特に限定されないが、これらの含有量の割合としては、質量比で、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1、の割合で含有することを特徴とし、特に、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=1:0.001〜10:1、の割合で含有することが好ましい。
なお、本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
[1]
カゼイン加水分解物を含有する、難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤。
[2]
前記カゼイン加水分解物の分子量が、1000ダルトン以下である[1]記載の剤。
[3]
前記カゼイン加水分解物の分解率が、20〜30%である、[1]又は[2]に記載の剤。
[4]
前記カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の剤。
[5]
次の(a)乃至(d)を満たす難消化デキストリンとカゼイン加水分解物とを含有する血糖値上昇抑制剤:
(a)前記カゼイン加水分解物の分子量が、1000ダルトン以下、
(b)前記カゼイン加水分解物の分解率が、20〜30%、
(c)前記カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下、
(d)前記難消化デキストリンと前記カゼイン加水分解物とが質量比で、
難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1
の割合で含有する。
[6]
[1]から[4]のいずれかに記載の剤、又は、[5]記載の血糖値上昇抑制剤が機能性食品の形態で提供されるものである、[1]から[4]のいずれかに記載の剤、又は、[5]記載の血糖値上昇抑制剤。
[7]
[1]から[4]のいずれかに記載の剤、又は、[5]記載の血糖値上昇抑制剤を含む糖尿病予防又は治療剤。
[8]
[1]から[4]のいずれかに記載の剤、又は、[5]記載の血糖値上昇抑制剤を含有し、血糖値上昇抑制の用途が表示された飲食品。
[9]
難消化デキストリンとカゼイン加水分解物とが質量比で、難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1の割合で含有する[8]に記載の飲食品。
[10]
[1]から[4]のいずれかに記載の剤、又は、[5]記載の血糖値上昇抑制剤を使用した血糖値上昇抑制方法。
[11]
[1]から[4]のいずれかに記載の剤、又は、[5]記載の血糖値上昇抑制剤を使用した糖尿病予防又は治療方法。
[12]
難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させるための、カゼイン加水分解物の使用。
[13]
難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤の製造のための、カゼイン加水分解物の使用。
[14]
カゼイン加水分解物を使用することを特徴とする難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤の製造方法。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
[カゼイン加水分解物の製造例]
市販のカゼイン(ニュージーランドデーリーボード社製)100mgに水900mgを加え、よく分散させ、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、カゼインを完全に溶解し、濃度約10%のカゼイン水溶液を調製した。
該カゼイン水溶液を85℃で10分間加熱殺菌し、50℃に温度調整し、水酸化ナトリウムを添加してpHを9.0に調整した後、パンクレアチン2mg(天野エンザイム社製)、プロテアーゼAを4mg(天野エンザイム社製)を添加して、加水分解反応を開始した。8時間後に80℃で6分間加熱して酵素を失活させて酵素反応を停止し、10℃に冷却した。
この加水分解液を分画分子量1000の限外ろ過膜(日本ポール社製)で限外ろ過し、濃縮後凍結乾燥し、カゼイン分解物を85mg得た。
カゼイン加水分解物は、分解率25%、平均分子量400Da、アミノ酸遊離率10%であった。これらは上述の<アミノ酸の分解率>、<平均分子量の算定方法>、<アミノ酸遊離率の算定方法>にて算定した。
[クッキーミール試験]
小麦粉デンプン、マルトース由来の糖質が75g含有された検査食(ミールテストC:サラヤ株式会社製)を15分かけて摂食させ、摂食前を0分として以降30、60、90、120分まで血糖値を測定した。なお、検査食摂取の直前に、難消化デキストリン(ファイバーソル:松谷化学工業株式会社製)を5g/ヒト投与した群を難消化デキストリン群、豆鼓エキス(日本サプリメント株式会社製)を500mg/ヒト投与した群を豆鼓エキス群、前記で得られたカゼイン加水分解物を250mg/ヒト投与した群をカゼイン加水分解物群、加水分解前のカゼインを250mg/ヒト投与した群をコントロールとした。
血糖値の測定結果を下記表1に示す。また、AUC(血中濃度−時間曲線下面積、Area Under the blood concentration-time Curve)を下記表2に示す。
Figure 2017031105
Figure 2017031105
表1及び2に示す通り、加水分解前のカゼインを投与したコントロールに比べ、難消化デキストリン群、豆鼓エキス群、及びカゼイン加水分解物群のすべての群において、食後血糖値の上昇抑制効果が確認できた。この結果から、難消化デキストリン、豆鼓エキス、及びカゼイン加水分解物には、多糖類及び二糖類による食後血糖値上昇を抑制する効果を有することが証明された。
[クッキーミール・グルコース液併用試験]
前記クッキーミール試験における検査食の半量と、1瓶(225mL)にグルコースが75g含有されたトレーランG液75g(株式会社陽進堂)を0.5瓶(112.5mL、グルコース:37.5g)とを、15分かけて摂食させ、摂食前を0分として以降30、60、90、120分まで血糖値を測定した。なお、検査食摂取の直前に、豆鼓エキス(日本サプリメント株式会社製)を500mg/ヒト投与した群を豆鼓エキス群、豆鼓エキス(日本サプリメント株式会社製)を500mg/ヒトとカゼイン加水分解物を250mg/ヒトを併用投与した群を豆鼓エキス+分解物群、難消化デキストリン(松谷化学工業株式会社製)を5g/ヒト投与した群を難消化デキストリン群、難消化デキストリン(松谷化学工業株式会社製)を5g/ヒトとカゼイン加水分解物を250mg/ヒトを併用投与した群を難消化デキストリン+分解物250群、難消化デキストリン(松谷化学工業株式会社製)を5g/kgとカゼイン加水分解物を500mg/ヒトを併用投与した群を難消化デキストリン+分解物500群、加水分解前のカゼインを250mg/ヒト投与した群をコントロールとした。
豆鼓エキス群及び豆鼓エキス+分解物群の血糖値の測定結果を下記表3に、難消化デキストリン群及び難消化デキストリン+分解物群の血糖値の測定結果を下記表4に示す。また、AUC(血中濃度−時間曲線下面積、Area Under the blood concentration-time Curve)を下記表5に示す。
Figure 2017031105
Figure 2017031105
Figure 2017031105
表3及び5に示す通り、豆鼓エキス群、及び豆鼓エキス+分解物群のいずれも、加水分解前のカゼインを投与したコントロールと同様に、食後血糖値の上昇抑制効果が認められなかった。この結果から、豆鼓エキス、及びカゼイン加水分解物には、単糖による食後血糖値上昇を抑制する効果がないことが分かった。
表4及び5に示す通り、難消化デキストリン群には、加水分解前のカゼインを投与したコントロールと同様に、食後血糖値の上昇抑制効果が認められなかった。この結果から、難消化デキストリンには、単糖による食後血糖値上昇を抑制する効果がないことが分かった。一方、加水分解前のカゼインを投与したコントロールに比べ、難消化デキストリン+分解物250群及び難消化デキストリン+分解物500群は、食後血糖値の上昇抑制効果が確認できた。これらの結果から、難消化デキストリンとカゼイン加水分解物とを併用することにより、多糖類と単糖の両方に対して、食後血糖値上昇を抑制する効果が得られることが証明された。特に、難消化デキストリン+分解物250群の90分における結果及び難消化デキストリン+分解物500群の120分における結果については、有意差がついており、多糖類と単糖の両方に対して、食後高血糖状態を有意に防止し得ることが分かった。また、その効果は、カゼイン加水分解物の用量に依存することも分かった。
以上の結果から、豆鼓エキス、難消化デキストリン及びカゼイン加水分解物をそれぞれ単独で投与しても、単糖による食後血糖値上昇を抑制することはできないにも関わらず、難消化デキストリン及びカゼイン加水分解物を併用することにより、用量依存的に、単糖による食後血糖値上昇を抑制する効果を発現させることが可能であることが分かった。
本発明で用いるカゼイン加水分解物は、天然由来のため、安全性が高く、医薬品、飲食品等の幅広い分野で利用することが可能である。

Claims (7)

  1. カゼイン加水分解物を含有する、難消化デキストリンによる食後血糖値の上昇抑制を促進させる剤。
  2. 前記カゼイン加水分解物の分子量が、1000ダルトン以下である、請求項1に記載の剤。
  3. 前記カゼイン加水分解物の分解率が、20〜30%である、請求項1又は2に記載の剤。
  4. 前記カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の剤。
  5. 次の(a)乃至(d)を満たす難消化デキストリンとカゼイン加水分解物とを含有する血糖値上昇抑制剤:
    (a)前記カゼイン加水分解物の分子量が、1000ダルトン以下、
    (b)前記カゼイン加水分解物の分解率が、20〜30%、
    (c)前記カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が、10質量%以下、
    (d)前記難消化デキストリンと前記カゼイン加水分解物とが質量比で、
    難消化デキストリン:カゼイン加水分解物=10:0.001〜1:1
    の割合で含有する。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の剤又は請求項5に記載の血糖値上昇抑制剤が機能性食品の形態で提供されるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の剤、又は請求項5に記載の血糖値上昇抑制剤。
  7. 請求項5に記載の血糖値上昇抑制剤を含有し、血糖値上昇抑制の用途が表示された飲食品。
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