JP2017004605A - リチウム硫黄二次電池及びセパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解液に溶出したポリサルファイドの負極への拡散を効果的に抑制して、充放電効率の低下を抑制することで充放電容量を高めることが可能なリチウム硫黄二次電池及びセパレータの製造方法を提供する。【解決手段】硫黄を含む正極活物質を有する正極Pと、リチウムを含む負極活物質を有する負極Nと、電解液L中で正極と負極とを隔絶するセパレータSとを備える本発明のリチウム硫黄二次電池Bは、セパレータSが、基材Sbと、基材の正極側及び負極側の少なくとも一方の表面に設けられた無機固体電解質膜Sfとを含み、無機固体電解質膜の厚みの合計は、60nm以上である。【選択図】図1
Description
本発明は、リチウム硫黄二次電池及びリチウム硫黄二次電池用のセパレータの製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は高エネルギー密度を有することから、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の携帯機器等だけでなく、ハイブリッド自動車、電気自動車、電力貯蔵蓄電システム等にも適用が拡がっている。このようなリチウムイオン二次電池の1つとして、近年、リチウムと硫黄の反応により充放電するリチウム硫黄二次電池が高容量化を期待できることから注目されている。このようなリチウム硫黄二次電池として、硫黄を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、電解液中で正極と負極とを隔絶するセパレータとを備えるものが例えば特許文献1で知られている。このものでは、セパレータが高分子不織布や樹脂製微多孔フィルムで構成されている。
ところで、リチウム硫黄二次電池の正極では、放電時に硫黄とリチウムイオンとが多段階で反応してポリサルファイドが生成するが、ポリサルファイド(Li2Sx、2<x≦8)は電解液に溶出し易く、溶出したポリサルファイドは陰イオンとして電解液中を拡散する。このとき、上記特許文献1の如く、セパレータが高分子不織布や樹脂製微多孔フィルムで構成されていると、ポリサルファイドの陰イオンがセパレータを透過して負極へ拡散してしまう。その結果、ポリサルファイドが負極のリチウムと反応して充電反応が促進されず(所謂レドックス・シャトル現象が起こり)、充放電容量や充放電効率が低下するという問題を招来する。
本発明は、以上の点に鑑み、電解液に溶出したポリサルファイドの負極への拡散を効果的に抑制して、充放電効率の低下を抑制することで充放電容量を高めることが可能なリチウム硫黄二次電池及びセパレータの製造方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、硫黄を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、電解液中で正極と負極とを隔絶するセパレータとを備える本発明のリチウム硫黄二次電池は、セパレータが、基材と、当該基材の前記正極側及び前記負極側の少なくとも一方の表面に設けられた無機固体電解質膜とを含み、前記無機固体電解質膜の厚みの合計が60nm以上であることを特徴とする。
本発明のように、基材と基材の表面に無機固体電解質膜が設けられたセパレータにおいて、無機固体電解質膜の厚みが60nm以上であると、リチウムイオン(陽イオン)の通過を許容しつつ、ポリサルファイド(陰イオン)の通過を抑制する。これにより、電解液に溶出したポリサルファイドの負極への到達を抑制でき(つまり、レドックス・シャトル現象の発生を抑制でき)、充放電効率の低下を抑制することで充放電容量を高めることができる。本発明において、無機固体電解質膜の厚みとは、基材を除いた無機固体電解質膜自体の厚みをいうものとする。
本発明において、基材の一方の表面のみに無機固体電解質膜を積層したものを用いる場合、基材の他方の表面がその全体に亘って電解液と接触するため、基材に対して電解液を安定して供給できるという利点がある。また、基材の両方の表面に夫々無機固体電解質膜を積層したものを用いる場合、基材の反りの発生を抑制できるため、基材の一方の表面のみに無機固体電解質膜が形成されたものに比べて耐久性を向上できるという利点がある。
本発明において、前記無機固体電解質膜は、非晶質のリン酸リチウム系化合物を含むことが好ましい。これによれば、加熱処理を行うことなく、無機固体電解質膜が得られるため、耐熱性の低い基材を使用できて有利である。リン酸リチウム系化合物は、非晶質のLi3PO4、LiPONおよびLi3.6Si0.6P0.4O4から選択される化合物を含むことが好ましい。
本発明は、正極が、集電体と、集電体表面に直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備える場合に適用することが好ましい。この場合、導電性とイオン伝導性を十分に確保することで正極に含浸する硫黄活物質量を増加しても十分な電池特性が得られ、電池全体の容量を増加させることが可能となる反面、電解液に溶出する放電生成物のポリサルファイド量も増加することとなる。ここで本発明を適用することで、負極へのポリサルファイドの拡散を効果的に抑制することができる。
上記リチウム硫黄二次電池に用いられる本発明のセパレータの製造方法は、基材と無機固体電解質膜の材料を構成するターゲットとを配置し、所定圧力および希ガス雰囲気下においてターゲットをスパッタリングして、基材表面に無機固体電解質膜を成膜することを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態のリチウム硫黄二次電池の構成を示す模式的断面図である。図1において、リチウム硫黄二次電池Bは、硫黄を含む正極活物質を有する正極Pと、リチウムを含む負極活物質を有する負極Nと、電解液L中で正極Pと負極Nとを隔絶するセパレータSとを備え、電解液Lを介して正極Pと負極Nとの間でリチウムイオン(Li+)を伝導できるようになっている。また、正極Pは、正極集電体P1と、正極集電体P1の表面に形成された正極活物質層P2とを備える。セパレータSは、基材Sbと、基材Sbの正極側及び負極側の表面に夫々積層した無機固体電解質膜Sfとを備える。
図2は、図1に示す正極Pの正極集電体P1及び正極活物質層P2を拡大して示す模式的断面図である。図2に示すように、正極集電体P1は、例えば、基体P1aと、基体P1aの表面に5〜50nmの膜厚で形成された下地膜(「バリア膜」ともいう)P1bと、下地膜P1bの上に0.5〜5nmの膜厚で形成された下地膜P1cとを有する。基体P1aとしては、例えば、Ni、Al、ステンレスまたはPtからなる金属箔や金属メッシュを用いることができる。下地膜P1bは、例えば、Al、Ti、V、Ta、Mo及びWから選択される少なくとも1種の金属またはその金属の窒化物から構成される。下地膜P1cは、例えば、Ni、FeまたはCoから選択される少なくとも1種の金属から構成される。正極活物質層P2は、正極集電体P1の表面にこの表面側を基端として当該表面に直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブP2aと、各カーボンナノチューブP2aの表面を夫々覆う硫黄P2bとから構成される。硫黄P2bで覆われたカーボンナノチューブP2a相互間に間隙を有しており、この間隙に後述の電解液Lを流入させるようになっている。
ここで、電池特性を考慮して、カーボンナノチューブP2aの各々は、例えば、長さが100〜1000μmの範囲内で、直径が5〜50nmの範囲内である高アスペクト比のものが有利であり、また、単位面積当たりの密度が、1×1010〜1×1012本/cm2の範囲内となるように成長させることが好ましい。そして、各カーボンナノチューブP2a表面全体を覆う硫黄P2bの厚さは、例えば、1〜3nmの範囲とすることが好ましい。
上記正極Pは、以下の方法により形成することができる。即ち、基体P1aたるNi箔の表面に、下地膜P1bとしてのAl膜と下地膜P1cとしてのFe膜を順次形成して正極集電体P1を得る。下地膜P1bと下地膜P1cの形成方法としては、例えば、公知の電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、触媒金属を含む化合物の溶液を用いたディッピングを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。得られた正極集電体P1を公知のCVD装置の処理室内に設置し、処理室内に原料ガス及び希釈ガスを含む混合ガスを100Pa〜大気圧の作動圧力下で供給し、600〜800℃の温度に正極集電体P1を加熱することにより、集電体P1の表面に、当該表面に直交する配向させてカーボンナノチューブP2aを成長させる。カーボンナノチューブP2aを成長させるためのCVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、ホットフィラメントCVD法を用いることができる。原料ガスとしては、例えば、メタン、エチレン、アセチレン等の炭化水素や、メタノール、エタノール等のアルコールを用いることができ、また、希釈ガスとしては、窒素、アルゴン又は水素を用いることができる。また、原料ガス及び希釈ガスの流量は、処理室の容積に応じて適宜設定でき、例えば、原料ガスの流量は10〜500sccmの範囲内で設定でき、希釈ガスの流量は100〜5000sccmの範囲内で設定できる。カーボンナノチューブP2aが成長した領域の全体に亘って、その上方から、1〜100μmの範囲の粒径を有する顆粒状の硫黄を撒布して、正極集電体P1を管状炉内に設置し、硫黄の融点(113℃)以上の120〜250℃の温度に加熱して硫黄を溶融させる。空気中で加熱すると、溶解した硫黄が空気中の水分と反応して硫酸が生成するため、ArやHe等の不活性ガス雰囲気中、または真空中で加熱することが好ましい。溶融した硫黄はカーボンナノチューブP2a相互間の間隙に流れ込み、カーボンナノチューブP2aの各々の表面の一部もしくは全体が硫黄P2bで覆われ、隣接するカーボンナノチューブP2a相互間に間隙が存する(図2参照)。このとき、カーボンナノチューブP2aの密度に応じて、上記配置する硫黄の重量を設定することができる。例えば、カーボンナノチューブP2aの成長密度が1×1010〜1×1012本/cm2である場合、硫黄の重量をカーボンナノチューブP2aの重量の0.7倍〜10倍に設定することが好ましい。このようにして形成された正極Pは、カーボンナノチューブP2aの単位面積当たりの硫黄P2bの重量(含浸量)が2.0mg/cm2以上のものとなる。
上記負極Nとしては、例えば、Li単体のほか、LiとAlもしくはInとの合金、または、リチウムイオンをドープしたSi、SiO、Sn、SnO2もしくはハードカーボンを用いることができる。
電解液Lは、電解質と電解質を溶解する溶媒とを含み、電解質としては、公知のリチウムビス(トリフルオロメタルスルホニル)イミド(以下「LiTFSI」という)、LiPF6、LiBF4等を用いることができる。また、溶媒としては、公知のものを用いることができ、例えば、テトラヒドロフラン、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエトキシエタン(DEE)、ジメトキシエタン(DME)などのエーテル類、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどのエステル類のうちから選択された少なくとも1種を用いることができる。また、放電カーブを安定させるために、この選択された少なくとも1種にジオキソラン(DOL)を混合することが好ましい。例えば、溶媒としてジエトキシエタンとジオキソランの混合液を用いる場合、ジエトキシエタンとジオキソランとの混合比を9:1に設定することができる。
ここで、上記正極Pでは、硫黄とリチウムとが多段階で反応する途中でポリサルファイドが生成する。ポリサルファイド(特に、Li2S4やLi2S6)は電解液Lに溶出し易く、溶出したポリサルファイドは陰イオンとして拡散する。このポリサルファイドの陰イオンがセパレータSを通過して負極に到達すると、レドックス・シャトル現象が起こり充放電容量や充放電効率が低下する。このため、ポリサルファイドとLiとの反応を如何にして抑制するかが重要である。
本実施形態のセパレータSは、正極Pと負極Nとを隔てて両極の接触短絡を防止すると共に、両電極間のリチウムイオンの通過を許容する。リチウムイオンは、セパレータSの空孔内、および無機固体電解質膜Sf中の固体電解質同士が接触している部分を通過することで電極間を移動する。
本実施形態では、セパレータSを、基材Sbと、基材Sbの正極側及び負極側の表面に夫々積層した無機固体電解質膜Sfとを含み、各無機固体電解質膜Sfの厚みが30nm以上、すなわち、各無機固体電解質膜Sfの厚みの合計が60nm以上となるように構成した。本実施形態のように、セパレータSの各無機固体電解質膜Sfの厚みの合計が60nm以上であると、リチウムイオン(陽イオン)の通過を許容しつつ、ポリサルファイド(陰イオン)の通過を抑制する。これにより、電解液に溶出したポリサルファイドの負極への到達を抑制でき(つまり、レドックス・シャトル現象の発生を抑制でき)、充放電効率の低下を抑制することで充放電容量の劣化を抑制することができる。無機固体電解質膜Sfの合計の厚みの上限値は、特に限定されず、成膜時間(生産性)や電池のエネルギー密度を考慮して適宜設定することができるが、セパレータS内部に電解液を十分含浸でき、リチウムイオンが通過可能である点で、無機固体電解質膜Sfの合計が1000nm以下であることが好ましい。また、本実施形態において、充放電効率の観点から、無機固体電解質膜の厚みの合計は、80nm以上500nm以下であることが好ましく、80nm以上200nm以下であることがより好ましい。本実施形態のセパレータSにおいて、無機固体電解質膜Sfの厚みとは、基材Sbを除いた無機固体電解質膜Sf自体の厚みをいうものとする。
基材Sbとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の多孔質体または不織布を用いることができる。無機固体電解質膜Sfとしては、非晶質のリン酸リチウム系化合物を用いることができ、具体的には、Li3PO4、LiPONおよびLi3.6Si0.6P0.4O4から選択して用いることができる。また、基材Sbの両方の表面に無機固体電解質膜Sfを形成することにより、基材Sbの反りの発生を抑制できるため、基材Sbの一方の表面のみに無機固体電解質膜Sfを形成したものに比べて耐久性を向上できるという利点がある。無機固体電解質膜Sfの形成方法としては、量産性を考慮してスパッタリング法を用いることができるが、電子線蒸着法やパルスレーザー堆積法などの公知の成膜方法を用いることができる。
次に、基材Sbとしてポリプロピレン製の多孔質体を用い、この基材Sb表面に非晶質のLi3PO4からなる無機固体電解質膜Sfをスパッタリング法により形成する場合を例に、本実施形態のセパレータSの製造方法について説明する。
図3を参照して、スパッタリング装置SMは、セパレータSの製造に用いられるスパッタリング装置であり、処理室10を画成する真空チャンバ1を備える。真空チャンバ1の側壁には排気管11を介して真空ポンプPが接続され、真空チャンバ1内を所定圧力(例えば1×10−5Pa)まで真空引きできるようにしている。また、真空チャンバ1の側壁には、ガス源12からのガス導入管13が接続され、マスフローコントローラ14により流量制御されたアルゴン等の希ガスを真空チャンバ1内に導入できるようにしている。以下においては、「上」、「下」といった方向を示す用語は図3を基準として説明する。
真空チャンバ1の上部には、カソードユニットCが設けられている。カソードユニットCは、ターゲット2と、このターゲット2の上方に配置された磁石ユニット3とから構成されている。ターゲット2はLi3PO4製であり、基板Wの輪郭に応じて、公知の方法で平面視円形や矩形に形成されたものである。ターゲット2は、成膜時にターゲット2を冷却する銅製のバッキングプレート21に図示省略のインジウムやスズなどのボンディング材を介して接合され、この状態でターゲット2のスパッタ面2aを下方にして絶縁板Iを介して真空チャンバ1の上部に取り付けられている。ターゲット2には、スパッタ電源Eたる高周波電源の出力が接続され、スパッタリング中、ターゲット2に例えば13.56MHzの高周波電力が投入される。磁石ユニット3は、スパッタ面2aの下方空間に磁場を発生させ、スパッタリング時にスパッタ面2aの下方で電離した電子等を捕捉してターゲット2から飛散したスパッタ粒子を効率よくイオン化する公知の構造を有するものであり、ここでは詳細な説明を省略する。
真空チャンバ1の下部には、ターゲット2に対向した位置で基材Sbを保持するステージ4が設けられている。ステージ4には、図示省略の静電チャック用の電極が設けられ、この電極にチャック電圧を印加することで基材Sbを位置決め保持できるようになっている。真空チャンバ1内には、ステンレス等の金属製である上下一対の防着板5u,5dが設けられ、スパッタリングによる成膜中、真空チャンバ1の内壁面にスパッタ粒子が付着することを防止している。上記スパッタリング装置SMは、公知のマイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた図示省略の制御手段を有し、スパッタ電源Eの作動、マスフローコントローラ14の作動、真空ポンプPの作動等を統括制御するようにしている。
上記真空チャンバ1内(処理室10)を所定の真空度まで真空引きし、図外の搬送ロボットにより真空チャンバ1内に基材Sbを搬送し、ステージ4上に基材Sbを位置決め保持する。次いで、スパッタガスたるアルゴンガスを0.5〜1.0sccmの流量で真空チャンバ1内に導入し(このときの圧力は0.5〜1.0Pa)、スパッタ電源Eからターゲット2に例えば13.56MHz、100W〜300Wの高周波電力を投入することにより、処理室10内にプラズマ雰囲気を形成する。これにより、ターゲット2がスパッタされ、これにより生じたスパッタ粒子が飛散して基材Sbの表面に付着、堆積して非晶質のLi3PO4膜が成膜される。このLi3PO4膜の成膜を基材Sbの裏面に対しても行うことで、上記セパレータSが得られる。このように、スパッタリング法を用いて成膜した非晶質のLi3PO4膜は、加熱処理を別途行うことにより結晶化させなくても、上記ポリサルファイドの通過を抑制する機能を果たすため、ポリプロピレンのような耐熱性の低い材料で構成される基材Sbを用いることができ有利である。
次に、本発明の効果を確認するために以下のようにコインセルを作製し、充放電効率を評価する実験(実施例)を行った。
本実験では、先ず、以下のように正極Pを作成した。即ち、基体P1aを直径14mmφ、厚さ0.020mmのNi箔とし、Ni箔1上に下地膜P1bたるAl膜を50nmの膜厚で電子ビーム蒸着法により形成し、Al膜2の上に下地膜P1cたるFe膜を2nmの膜厚で電子ビーム蒸着法により形成して正極集電体P1を得た。得られた正極集電体P1を熱CVD装置の処理室内に載置し、処理室内にアセチレン100sccmと窒素5000sccmを供給し、作動圧力:1気圧、温度:700℃、成長時間:60分の条件で、正極集電体P1表面に垂直配向させてカーボンナノチューブP2aを200μmの長さで成長させた。カーボンナノチューブP2a上に顆粒状の硫黄を配置し、これを管状炉内に配置し、Ar雰囲気下で120℃、5分加熱してカーボンナノチューブP2aを硫黄P2bで覆うことにより、正極Pを作製した。この正極Pでは、カーボンナノチューブP2aの単位面積当たりの硫黄P2bの重量(含浸量)が3mg/cm2であった。また、基材Sbをポリプロピレン製の多孔質体(セルガード(登録商標)#2400)とし、この基材Sbの両面にスパッタリング法により無機固体電解質膜SfたるLi3PO4膜を夫々30nm(合計60nm)の厚みで成膜してセパレータSを得た。スパッタリング条件は、アルゴンガス流量:0.6sccm(処理室10の圧力:0.8Pa)、ターゲット投入電力:13.53MHz、100Wとした。負極Nを直径15mmφ、厚さ0.6mmの金属リチウムとし、これら正極P及び負極NをセパレータSを介して対向させ、セパレータSに電解液Lを保持させてリチウム硫黄二次電池のコインセルを作製した。ここで、電解液Lは、電解質たるLiTFSIを、ジエトキシエタン(DEE)とジオキソラン(DOL)との混合液(混合比9:1)に溶解させて濃度を1mol/lに調整したものを用いた。このように作製したコインセルを「発明品1」とした。
セパレータSの無機固体電解質膜SfたるLi3PO4膜の厚みを夫々40nm(合計80nm)とした点を除き、上記発明品1と同様に作製したコインセルを「発明品2」とした。また、無機固体電解質膜Sfを成膜しない点を除き、上記発明品1と同様に作製したコインセルを比較品1とした。さらに、無機固体電解質膜Sfの厚みを夫々20nm(合計80nm)とした点を除き、上記発明品1と同様に作製したコインセルを比較品2とした。
これら発明品1,2及び比較品1,2について、夫々放電電流密度0.50mA/cm2で1.5V vs.Li/Li+まで放電を行った後、充電電流密度0.50mA/cm2で2.8V vs.Li/Li+まで充電を行った際の充放電特性を測定した。得られた充放電曲線を図4に示す。これによれば、比較品1,2では、レドックス・シャトル現象により充電が完了しないことが確認されたが、発明品1,2では、充電が完了することが確認され、無機固体電解質膜Sfの合計の厚みを60nm以上に設定すればレドックス・シャトル現象を抑制できることが確認された。また、発明品1,2について、硫黄単体1gあたりの充電容量Qa(mAh/g)と硫黄単体1gあたりの放電容量Qb(mAh/g)とを測定し、充放電効率(%)=(Qb/Qb)×100により各サイクルにおける充放電効率(%)を求めたところ、発明品1の初期充放電効率は71.7%であり、発明品2の初期充放電効率は88.8%であった。これら発明品1と発明品2の比較から、無機固体電解質膜Sfの合計の厚みを80nmにすると、初期の充放電効率が更に改善することが確認された。
次に、上記発明品2の充放電容量及び充放電効率を測定し、その測定結果を図5に示す。これによれば、40サイクル目でも1100mAh/g以上の高い充電容量及び900mAh/gの高い放電容量を実現でき、83%以上の高い充放電効率が得られることが確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されない。リチウム硫黄二次電池の形状は特に限定されず、上記コインセル以外に、ボタン型、シート型、積層型、円筒型等であってもよい。
また、上記実施形態では、基材Sbの両面に無機固体電解質膜Sfを形成しているが、基材Sbの正極P側及び負極N側の一方の表面に無機固体電解質膜Sfを形成してもよい。これによれば、基材Sbの他方の表面がその全体に亘って電解液Lと接触するため、基材Sbに対して電解液Lを安定して供給できるという利点がある。この場合、無機固体電解質膜Sfの厚みは60nm以上に設定すれば、上記実施形態と同様にポリサルファイドの通過を十分に抑制することができる。
また、正極として、硫黄活物質およびカーボン等の導電性助剤を含み、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の樹脂バインダーを含むシート状正極や、集電体に塗布して作製する正極といった公知のものを用いることができるが、導電性とイオン伝導性を十分に確保して電池容量を増加させるべく上記実施形態に記載の正極Pを用いる場合に本発明を適用すれば、電解液中に溶出するポリサルファイドが負極に拡散することを効果的に抑制できて有利である。
また、上記実施形態では、セパレータSを基材Sbと無機固体電解質膜Sfとで構成しているが、セパレータSを無機固体電解質のみで構成してもよい。
B…リチウム硫黄二次電池、P…正極、N…負極、L…電解液、S…セパレータ(無機固体電解質体)、Sb…基材、Sf…無機固体電解質膜(Li3PO4膜)、P1…集電体、P1a…基体、P2a…カーボンナノチューブ、P2b…硫黄。
Claims (5)
- 硫黄を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、電解液中で正極と負極とを隔絶するセパレータとを備えるリチウム硫黄二次電池において、
前記セパレータは、基材と、当該基材の前記正極側及び前記負極側の少なくとも一方の表面に設けられた無機固体電解質膜とを含み、
前記無機固体電解質膜の厚みの合計は60nm以上であることを特徴とするリチウム硫黄二次電池。 - 前記無機固体電解質膜は、非晶質のリン酸リチウム系化合物を含むことを特徴とする請求項1記載のリチウム硫黄二次電池。
- 前記リン酸リチウム系化合物は、Li3PO4、LiPONおよびLi3.6Si0.6P0.4O4から選択される化合物を含むことを特徴とする請求項2記載のリチウム硫黄二次電池。
- 前記正極は、集電体と、当該集電体表面にこの集電体表面側を基端として集電体表面に直交する方向に配向するように成長させた複数本のカーボンナノチューブと、各カーボンナノチューブの表面を夫々覆う硫黄とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のリチウム硫黄二次電池。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のリチウム硫黄二次電池に用いられるセパレータの製造方法であって、
前記基材と前記無機固体電解質膜の材料を構成するターゲットとを配置し、所定圧力および希ガス雰囲気下において前記ターゲットをスパッタリングして、前記基材表面に前記無機固体電解質膜を成膜することを特徴とするセパレータの製造方法。
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CN108963151A (zh) * | 2018-06-28 | 2018-12-07 | 肇庆市华师大光电产业研究院 | 一种应用于锂硫电池正极的功能性隔层的制备方法 |
CN109428053A (zh) * | 2017-09-04 | 2019-03-05 | 比亚迪股份有限公司 | 锂电池正极片及其制备方法和全固态锂电池以及预固态锂电池 |
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2015
- 2015-06-04 JP JP2015113968A patent/JP2017004605A/ja active Pending
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CN109428053A (zh) * | 2017-09-04 | 2019-03-05 | 比亚迪股份有限公司 | 锂电池正极片及其制备方法和全固态锂电池以及预固态锂电池 |
CN109428053B (zh) * | 2017-09-04 | 2020-11-20 | 比亚迪股份有限公司 | 锂电池正极片及其制备方法和全固态锂电池以及预固态锂电池 |
JP2019121456A (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-22 | トヨタ自動車株式会社 | 固体電池 |
CN108963151A (zh) * | 2018-06-28 | 2018-12-07 | 肇庆市华师大光电产业研究院 | 一种应用于锂硫电池正极的功能性隔层的制备方法 |
CN108963151B (zh) * | 2018-06-28 | 2021-05-25 | 肇庆市华师大光电产业研究院 | 一种应用于锂硫电池正极的功能性隔层的制备方法 |
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