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JP2017003419A - 隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステム - Google Patents

隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステム Download PDF

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JP2017003419A
JP2017003419A JP2015117417A JP2015117417A JP2017003419A JP 2017003419 A JP2017003419 A JP 2017003419A JP 2015117417 A JP2015117417 A JP 2015117417A JP 2015117417 A JP2015117417 A JP 2015117417A JP 2017003419 A JP2017003419 A JP 2017003419A
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将宏 伊藤
Masahiro Ito
将宏 伊藤
白丸 信彦
Nobuhiko Shiromaru
信彦 白丸
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Abstract

【課題】専門的な技術を必要とせず、隙間腐食を可視化し、短期間で予測するための隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステムを提供する。【解決手段】第1の浸漬電極22と、前記第1の浸漬電極22との間で流体が入り込む隙間34を形成するように配置された第2の浸漬電極26と、前記第1の浸漬電極22と前記第2の浸漬電極26に接続された無抵抗電流計20と、を有し、前記無抵抗電流計20は、前記隙間34において発生する隙間腐食に起因して前記第1の浸漬電極22と前記第2の浸漬電極24の間に発生する電位差を相殺する相殺電圧を前記第1の浸漬電極22と前記第2の浸漬電極26との間に印加するとともに、前記相殺電圧を印加時の電流値を測定し、前記第2の浸漬電極26の浸漬面積は、前記第1の浸漬電極22の浸漬面積よりも小さいことを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステムに関する。
海水機器や関連配管に発生する隙間腐食は、事故事例などによる経験則や、現地試験などを長期間(1年以上)行い、事前検討することによってその腐食速度を予測することが通常行われている。特許文献1は、事前に孔食電位、孔食深さ、経時変化のデータを予め取得しておくことにより、材料の孔食進展量を予測する技術を開示している。特許文献2は、充填材により実環境と同様の隙間環境を形成し、電位測定により腐食環境を評価する技術を開示している。
特許文献3は、スポット溶接などによって接合された金属の平板に作成された隙間環境に対し、温度制御を組み込んで電位測定を実施することにより、隙間腐食を評価する技術を開示している。非特許文献1は、高い腐食性を有する塩化第二鉄溶液を用いて、試験片に隙間腐食を発生させ、試験片の耐食性を試験片に発生した隙間腐食の深さにより評価する手法を開示している。隙間は、試験片に樹脂製の治具を取り付けることにより形成している。
特許第4793457号公報 特開2014−66620号公報 特許第3196707号公報
ASTM G48−03,Standard Test Method for Pitting and Crevice Corrosion Resistance of Stainless Steels and Related Alloys by Use of Ferric Chloride Solution.
しかし、非特許文献1では、塩化第二鉄溶液を用いて腐食を加速させているが、実海水に対する腐食加速率が不明瞭であり、定量的な評価とはならない。また、特許文献1では、新しい材料や環境に対応するために別途データベースの構築が必要になるという問題がある。特許文献2,3は電位測定により評価という判断に専門性を要する。このように、専門的な技術が必要であることや、時間が必要であることから、設計に短時間で反映することは困難である。
そこで、本発明は、専門的な技術を必要とせず、隙間腐食を可視化し、短期間で予測するための隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る隙間腐食センサは、第1には、第1の浸漬電極と、前記第1の浸漬電極との間で流体が入り込む隙間を形成するように配置された第2の浸漬電極と、前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極に接続された無抵抗電流計と、を有し、前記無抵抗電流計は、前記隙間において発生する隙間腐食に起因して前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極の間に発生する電位差を相殺する相殺電圧を前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極との間に印加するとともに、前記相殺電圧を印加時の電流値を測定し、前記第2の浸漬電極の浸漬面積は、前記第1の浸漬電極の浸漬面積よりも小さいことを特徴とする。
上記構成により、腐食が起きている隙間内では水素イオン濃度が上昇するためpHが低下する。また、第2の浸漬電極の浸漬面積は、第1の浸漬電極の浸漬面積よりも小さいため、第2の浸漬電極では、隙間腐食を起こす面積比が第1の浸漬面積よりも大きい。これにより、第2の浸漬電極周囲のpHの平均値が第1の浸漬電極周囲のpHの平均値よりも低くなるので、第2の浸漬電極の電位が第1の浸漬電極の電位よりも高くなる形で電位差が発生する。また、第2の浸漬電極の電位は、その電極材料の腐食の活性域における腐食速度のピークとなる電位に近づくため、第2の浸漬電極における隙間腐食に起因する腐食電流が第1の浸漬電極よりも著しく大きくなる。よって、隙間腐食は第2の浸漬電極において支配的に発生する。しかし、この腐食電流を直接測定することは不可能である。
そこで、上記構成のように、無抵抗電流計が、第1の浸漬電極と第2の浸漬電極との電位差を相殺する相殺電圧を印加すると、その際に無抵抗電流計を流れる電流が第2の浸漬電極の隙間腐食に起因する腐食電流に実質的に等しくなる。また、第2の浸漬電極の材料に関する物理量、及び第2の浸漬電極の隙間腐食を起こしている部分の腐食面積は既知とすることができる。
よって、無抵抗電流計が測定した電流値、前記物理量、前記腐食面積から第2の浸漬電極における隙間腐食の当該測定時期における単位時間当たりの減肉量(腐食速度)を算出することができる。さらに電流値を時間方向で積分すれば、隙間腐食の減肉量(腐食深さ)を、時間を追って監視することができ、さらに当該電流値が一定の値に収束した場合には将来の腐食量を予測することができる。以上より、専門的な技術を必要とせず、隙間腐食を可視化し、短期間で予測するための隙間腐食センサとなる。
第2には、前記隙間は、1mm以下であることを特徴とする。
上記構成により、毛細管現象により流体が隙間内部に吸い込まれるとともに、新たな流体の流入は隙間により制限されるため、隙間腐食を確実に進行させることができる。
第3には、前記第1の浸漬電極は、貫通孔を有する部材であり、前記第2の浸漬電極は、前記貫通孔に挿通される部材であり、その側面が前記貫通孔との間で前記隙間を形成していることを特徴とする。
上記構成により、簡易な構成で隙間腐食センサを構築することができるとともに、平板のような角を有しないので、角における急激な腐食を防止して腐食電流の誤差を低減することができる。
第4には、前記第2の浸漬電極の側面には、絶縁部材が巻きつけられていることを特徴とする。
上記構成により、例えば配管のフランジとパッキンとの接触部分の隙間に対応した構成になるため、当該部分の腐食電流を高精度にモニタリングすることができる。
第5には、前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極は、絶縁性の固定部材に螺合して一体となっていることを特徴とする。また、第6には、前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極は、絶縁性の固定部材に嵌め込まれて一体となっていることを特徴とする。
上記構成により、第1の浸漬電極と第2の浸漬電極の位置関係が螺合または嵌め込みにより定まるので、製造バラつきに起因した腐食電流のバラつきを抑制することができる。
第7には、前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極は、それぞれ平板形状を有していることを特徴とする。
上記構成により、簡易な構成で隙間腐食センサを構築することができる。また平板を円形とすることにより、角を廃して角に起因する急激な腐食を防止することができる。
第8には、前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極との間には、絶縁部材が挟み込まれていることを特徴とする。
上記構成により、例えば配管のフランジとパッキンとの接触部分の隙間に対応した構成になるため、当該部分の腐食電流を高精度にモニタリングすることができる。
一方、本発明に係る隙間腐食モニタリングシステムは、第1には、前述の隙間腐食センサを用いた隙間腐食モニタリングシステムであって、測定対象となる配管に取り付けられ、前記配管中を流れる流体を分岐させる分岐配管と、前記分岐配管から排出された前記流体を蓄える貯水槽と、を有し、前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極に形成された前記隙間において、前記隙間の下端の開口部から前記隙間の高さ方向の途中位置までが前記貯水槽に蓄えた前記流体に浸漬していることを特徴とする。
上記構成により、第1の浸漬電極と第2の浸漬電極との間の隙間の隙間腐食以外の隙間腐食を防止して、隙間腐食に伴う腐食電流を高精度に測定することができる。
第2には、前述の隙間腐食センサを用いた隙間腐食モニタリングシステムであって、前記第1の浸漬電極が、モニター対象となる配管であり、前記貫通孔が、前記配管の側壁に配置され前記配管に連通したフランジの開口部であり、前記貫通孔を封止するように前記フランジに接続する絶縁性の蓋部が設けられ、前記第2の浸漬電極が前記蓋部に取り付けられた状態で前記配管内部に配置されるとともに、前記開口部の内壁と前記第2の浸漬電極との間で前記隙間を形成していることを特徴とする。
上記構成により、第1の浸漬電極となる配管中の流れる流体に第2の浸漬電極を直接浸漬させるので、隙間腐食センサにより測定される腐食電流を実モデルとなる配管系の隙間で生じる隙間腐食に伴う隙間電流に近似させることができ、隙間腐食のモニタリングを高精度に行うことができる。
第3には、前述の隙間腐食センサを用いた隙間腐食モニタリングシステムであって、前記第1の浸漬電極が、モニター対象となる配管であり、前記貫通孔が、前記配管の側壁に配置され前記配管に連通したフランジの開口部であり、前記固定部材が、前記フランジに螺合して前記開口部を封止する蓋部であり、前記第2の浸漬電極が前記蓋部に螺合した状態で前記配管内部に配置されるとともに、前記開口部の内壁と前記第2の浸漬電極との間で前記隙間を形成していることを特徴とする。
上記構成により、第1の浸漬電極となる配管中を流れる流体に第2の浸漬電極を直接浸漬させるので、隙間腐食センサにより測定される腐食電流を実モデルとなる配管系の隙間で生じる隙間腐食に伴う隙間電流に近似させることができ、隙間腐食のモニタリングを高精度に行うことができる。さらに、第1の浸漬電極となる配管と、第2の浸漬電極の位置関係が螺合により定まるので、第2の浸漬電極の配置位置のバラつきを抑制して腐食電流のバラつきを抑制することができる。
本発明に係る隙間腐食センサによれば、無抵抗電流計が測定した電流値、第2の浸漬電極の材料に関する物理量、第2の浸漬電極の隙間腐食を起こしている部分の腐食面積から第2の浸漬電極における隙間腐食の当該測定時期における単位時間当たりの減肉量(腐食速度)を算出することができる。さらに電流値を時間方向で積分すれば、隙間腐食の減肉量(腐食深さ)を、時間を追って監視することができ、さらに当該電流値が一定の値に収束した場合には将来の腐食量を予測することができる。以上より、専門的な技術を必要とせず、隙間腐食を可視化し、短期間で予測することができる。
また、本発明に係る隙間腐食モニタリングシステムによれば、第1の浸漬電極と第2の浸漬電極との間の隙間の隙間腐食以外の隙間腐食を防止して、隙間腐食に伴う腐食電流を高精度に測定することができる。また、第1の浸漬電極を配管とした場合、配管中の流れる流体に第2の浸漬電極を直接浸漬させるので、隙間腐食センサにより測定される腐食電流を実モデルとなる配管系の隙間で生じる隙間腐食に伴う隙間電流に近似させることができ、隙間腐食のモニタリングを高精度に行うことができる。さらに、第1の浸漬電極となる配管と、第2の浸漬電極の位置関係が定まるので、第2の浸漬電極の付け替えに伴う腐食電流のバラつきを抑制することができる。
第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図である。 図1の破線で囲った部分における配管中の隙間腐食の例を示す断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の分解斜視図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の断面図(絶縁シートを巻きつけた場合)である。 実験で用いた腐食電流測定用の浸漬電極の断面図である。 無抵抗電流計が検出した腐食電流のグラフである。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第1変形例の断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第2変形例の断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第3変形例の分解図(平面図)である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第3変形例(嵌め込み後)の平面図である。 図11のA−A線断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第4変形例の平面図である。 図13のA−A線断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第5変形例の断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第6変形例(その1)の断面図である。 第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の第6変形例(その2)の断面図である。 第2実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図である。 図18の破線で囲った部分の断面図である。 第2実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの変形例の図17の破線で囲った部分の断面図である。 第3実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図である。 第4実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1に、第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図を示す。本実施形態の隙間腐食モニタリングシステム10は、例えば、測定対象となるステンレス製の配管100に取り付けられ、配管100中を流れる流体(淡水または海水)を分岐させる分岐配管12と、分岐配管12から排出された流体を蓄える貯水槽18と、隙間腐食センサ(無抵抗電流計20、第1の浸漬電極22、第2の浸漬電極26)と、を有する。
分岐配管12の途中には減圧弁14が取り付けられ、先端には開閉バルブ16が取り付けられている。貯水槽18には一定量の流体が蓄えられているが、開閉バルブ16を常時開放して貯水槽18内の流体を常に入れ替えるようにしてもよいし、例えば週に1回程度を目安として開閉バルブ16を開放して貯水槽18内の流体の入れ替えを行ってもよい。
無抵抗電流計20は、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26に接続されており、後述のように第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26との電位差により第2の浸漬電極26に生じる隙間腐食に係る腐食電流を測定するものである。
図2に、図1の破線で囲った部分における配管中の隙間腐食の例を示す断面図を示す。図2に示すように、配管100は、その両端がフランジ102となっており、互いに隣接する配管100同士は、テフロン(登録商標)やゴムなどの樹脂で形成されたパッキン104を挟んだ状態でフランジ102同士をボルト106とナット108を用いてボルト締めしている。このような形態において、本願発明者は、配管100のフランジ102(金属)とパッキン104(樹脂)との隙間で腐食(隙間腐食)が最も顕著に表れることを見出している。
一般に、金属の腐食は表面において酸化反応と還元反応が電気的中性条件を維持しつつ以下のように起きている。
酸化反応:Fe→Fe2++2e
還元反応:O+2HO+4e→4OH
表面全体がほぼ均一に腐食する全面腐食の場合は、その表面に微小な酸化領域と微小な還元領域が多数交互に形成されるが、そのトータルの面積比は1対1であり、その腐食速度は非常にゆっくりとしたものになる。
一方、前述のような隙間がある場合、その隙間における新たな流体の流入はほとんどないため酸素が不足することになる。このため、隙間においては以下のような反応が発生することが知られている(J.Lopez De La Cruz,et al.Finite Element Modelling of Iron Passivation Proc.IEEC 17th ICC No.3850(2009))。
O→H+OH
Fe2++HO→FeOH+H(鉄の加水分解)
Fe2++CI→FeCl(錯体形成反応)
これらの反応により、隙間においてHが相対的に増加してpHが下がり、これにより隙間の電位が上昇する。よって、金属表面において隙間がアノードとなり、それ以外の部分がカソードとなり、アノードにおける電子の供給速度が速くなる(腐食電流が大きくなる)。これにより、アノード(隙間)における腐食速度が増加することになる。しかし、前述のように、金属全体としては電気的中性条件を維持しているので、腐食電流を直接計測することはできない。
そこで、本実施形態では、隙間腐食を発生している部分と、それ以外の部分と、を絶縁させた電極を構築し、両電極間の電位差から腐食電流を近似的に求めることにしている。なお、上記隙間腐食では、フランジ(金属)とパッキン(樹脂)との間の隙間で起こる旨説明したが、金属表面に形成された溝(傷)内部においても同様の隙間腐食が発生する。
図3に、第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の分解斜視図を、図4に、第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の断面図を、図5に、第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の断面図(絶縁シートを巻きつけた場合)を示す。
第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26は、絶縁性接着剤32により接合されている。第1の浸漬電極22は、円筒形の形状を有しており、軸方向に貫通する貫通孔24が形成されている。第2の浸漬電極26は、貫通孔24に挿通される円柱形の挿通部28と、挿通部28の上端に接続され、第1の浸漬電極22の上端と絶縁性接着剤32により接合された接合部30を有する。
貫通孔24の内壁と挿通部28の外壁との間には隙間腐食を形成するための隙間34が形成されている。この隙間34は、貫通孔24と挿通部28とを平面視で同心状に配置して、高さ方向及び挿通部28の周方向において隙間34の幅が均一になるように形成することが望ましい。これにより、隙間34(挿通部28の側面)において隙間腐食を均一に形成して、隙間腐食形成のバラつきを抑制し、隙間腐食のモニタリングの信頼性を高めることができる。なお、本実施形態では、貫通孔24の断面形状を3角形や4角形などの多角形とし、挿通部28の断面形状を貫通孔24の断面形状に倣った多角形とすることもできる。
隙間34の幅(W)は、毛細管現象を起こす幅であることが必要であり、1mmを上限とする。また、幅(W)の下限は、水分子が入る程度の幅(0.6nm)までと考えることができるが、工作精度を考えると0.05mm程度とすることが現実的である。また、毛細管現象を確実に発生させるため、隙間34の長さ(深さ)(L)は、隙間34の幅の10倍程度あるいはそれ以上あることが望ましい。
図4では、隙間34を貫通孔24と挿通部28により形成しているが、図5に示すように、挿通部28の外周に前記隙間34の幅(W)よりも厚みの薄い絶縁シート38を巻きつけ、挿通部28の外周と絶縁シート38との間に隙間34aを形成することもできる。これにより、前記隙間34を形成する工作精度0.05mmより更に狭い隙間を形成することができ、図2に示す隙間腐食に最も近い形の隙間腐食を第2の浸漬電極26に形成することができる。
図4に示すように、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26からなる一体物は、その途中の高さ位置(挿通部28の下端よりは高くなる位置)に水面が来る程度に貯水槽18の流体に浸漬させている。第2の浸漬電極26(挿通部28)を浸漬させると、毛細管現象により隙間34(及び隙間34a、以後同様とする)の下端にあるリング状に開口部36から流体が吸い上げられる(入り込む)。このとき、隙間34に流体が入り込んだ分隙間34にあった空気は外部に排出される。そして、毛細管現象により吸い上げられる力と隙間34に残った空気の気圧が釣り合う位置まで流体が上昇する。よって、貯水槽18の水面と、隙間34に吸い込まれた流体の水面(上端)の高さは一般的に一致しない。また、後述の隙間34以外での隙間腐食を防止するため、隙間34の上端にまで流体に浸漬させないようにする必要がある。例えば、隙間34の幅が0.5mmのときは、挿通部28を3mm以上浸漬させないようにする。なお、毛細管現象によりどれくらい流体が吸い上げられるかは、浸漬電極の材料や隙間34の幅を変化させてその都度確認する等の作業が必要である。
図4(図5)において(他の実施形態も同様)、第2の浸漬電極26(挿通部28)の浸漬面積の、第1の浸漬電極22との浸漬面積に対する比率は10分の1、あるいはそれ以下であることが望ましい。図では、挿通部28の長さが第1の浸漬電極22よりも短くなっているが、これに限定されず、例えば、同じ長さにしてもよい。一方、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26を全て流体に浸漬させると、隙間34以外の部分でも隙間腐食が発生するため、無抵抗電流計20が測定する測定値に誤差が生じるため好ましくない。
上記構成により、腐食が起きている隙間34内では水素イオン濃度が上昇するためpHが低下する。また、第2の浸漬電極26(挿通部28)の浸漬面積は、第1の浸漬電極22の浸漬面積よりも小さいため(10分の1以下)、第2の浸漬電極26では、隙間腐食を起こす面積比が第1の浸漬面積22よりも大きい。これにより、第2の浸漬電極26の周囲のpHの平均値が第1の浸漬電極22周囲のpHの平均値よりも低くなるので、第2の浸漬電極26の電位が第1の浸漬電極22の電位よりも高くなる形で電位差が発生する。また、第2の浸漬電極26の電位は、その電極材料の腐食の活性域における腐食速度のピークとなる電位に近づくため、第2の浸漬電極26における隙間腐食に起因する腐食電流が第1の浸漬電極22よりも著しく大きくなる。よって、隙間腐食は第2の浸漬電極26において支配的に発生するが、これに伴う腐食電流を直接測定することは困難である。
しかし、無抵抗電流計20が、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26との電位差を相殺する相殺電圧を印加すると、その際に無抵抗電流計20を流れる電流が第2の浸漬電極26の隙間腐食に起因する腐食電流に実質的に等しくなる。また、第2の浸漬電極26の材料に関する物理量、及び第2の浸漬電極26の隙間腐食を起こしている部分の腐食面積は既知とすることができる。
物理量としては、無抵抗電流計20が測定した電流値I[A]、測定時間t[s]、腐食部分(挿通部28の側壁)の面積S[cm](2π×挿通部28の半径×挿通部28が流体により浸漬された長さ)、腐食物質の原子量M[g/mol](例えば、Fe=55.845g/mol)、腐食物質の腐食反応の反応定数z「A→Az++ze」(例えばFe、z=2)、腐食物質の密度d「g/cm」(例えば、Fe=7.874g/cm)、ファラデー定数F=96500[C/mol]を用いる。
そして、ファラデーの法則により、腐食物質のモル量は、ISt/(zF)[mol/cm]であり、これを重量に直すと、MISt/(zF)[g/cm]となる。また、挿通部28の側面において隙間腐食が均一に発生していると仮定すれば、その腐食深さは、MiSt/(zFd)[cm]であり、検出している時間「t」が一年の場合、これが年間腐食量となり、これを微分すれば単位時間当たりの腐食量になる。
よって、無抵抗電流計20が測定した電流値I、前記物理量、腐食面積Sから第2の浸漬電極26における隙間腐食の当該測定時期における単位時間当たりの減肉量(腐食速度)を算出することができる。さらに電流値を時間方向で積分すれば(腐食電流の総和を計算すれば)、隙間腐食の減肉量(腐食深さ)を、時間を追って監視することができ、さらに当該電流値が一定の値に収束した場合には将来の腐食量を予測することができる。以上より、専門的な技術を必要とせず、隙間腐食を可視化し、短期間で予測するための隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステム10となる。
なお、本実施形態では、挿通部28の腐食深さを計算により算出しているが、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26からなる一体物を引きあげて分解し、挿通部28の直径を測定することにより、実際の腐食深さを測定できることは言うまでもない。
図6に、実験で用いた腐食電流測定用の浸漬電極の断面図を、図7に、無抵抗電流計が検出した腐食電流のグラフを示す。本願発明者は、本実施形態の隙間腐食モニタリングシステム10による腐食電流を測定した。測定に用いた第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26は、ともにSUS(Steel Special Use Stainless[JIS規格])304を材料として用いた。
第1の浸漬電極22としては、内径16mm、外形22mmの円筒形状の材料を用い、第2の浸漬電極26としては、直径15mmの円柱形状の材料を用いた。そして、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26が同軸となり、かつ第2の浸漬電極26の先端が第1の浸漬電極22の開口部から7mmとなる位置にまで挿通した状態で、第1の浸漬電極22の上端と第2の浸漬電極26の側面を含む領域をシリコンシーラント等の絶縁性接着剤32によりリング状に充填させて第2の浸漬電極26を第1の浸漬電極22に対して固定した。このとき、第1の浸漬電極22の内壁と第2の浸漬電極26の側面との間には幅が0.5mmの隙間34が形成される。
また、第2の浸漬電極26の第1の浸漬電極及び充填材からの露出部分は絶縁フィルム(不図示)等で被覆している。一方、電極を浸漬させる試験環境としては、塩分濃度3.5%の人口海水(静止環境)を用いた。そして、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26を、図6に示す態様で人口海水に浸漬させると、毛細管現象により第2の浸漬電極26の下端から4mm、すなわち、絶縁性接着剤の下端から3mm下の位置まで人口海水が上昇することを確認した。このとき、カソード(第1の浸漬電極22)とアノード(第2の浸漬電極26)の浸漬面積比は10対1となる。
上記第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26からなる一体物を人口海水に浸漬させ、100000秒にわたって無抵抗電流計20により電流値(腐食電流)を測定した。なお、無抵抗電流計20は、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26との間の電位差を相殺する相殺電圧を、常時印加するのではなく、所定の時間ごとに電流値を測定するときのみ印加している。
図7に示すように、電流値は0〜70000秒では一定の範囲で推移しているが、80000秒前後においてピークを有している。これは挿通部28表面において局所的に不動態の皮膜破壊が発生し、隙間腐食が当該箇所において急激に進行したものと考えられる。また、図7では、80000秒前後のピークを除いて電流値が比較的安定しているので、電流値の平均値を評価することができ、これにより、第2の浸漬電極26(挿通部28)の予想年間腐食量を164.7μm/yearと算出することができた。
このように、本実施形態では、隙間腐食の腐食量を予め予測することができるので、さらに以下のような効果を有する。
(1)対象とする海水機器や関連配管の設計前の現地評価が簡易になり、工数が削減される。
(2)現地の隙間腐食データを事前に得ることができるので、設計の安全性が向上する。
(3)隙間腐食モニタリングの実施により、プラント停止に至る腐食事故を事前に検出可能となる。
(4)通常、隙間腐食は、オンタイムのモニタリングが不可であり、隙間腐食の腐食深さは試験片の抜き取りなどによって実施されている。また、実際に腐食が発生するまでの試験期間が必要であり、設計時に試験結果を反映させることが難しい。しかし、無抵抗電流計20を用いた本実施形態では、隙間腐食のオンタイムモニタリングが可能になることや、定常となった電流値から隙間腐食の腐食深さを予測することができるため、上記の問題を解決できる。
(5)また、第1の浸漬電極22(配管100)の材料を第2の浸漬電極26よりも耐食性の高い金属に変えた場合は、配管100に対して溶接などで熱の影響を受け、耐食性が下がった場合の模擬を行うことができる。このように、材料や物性を変えて、環境の模擬を行った状態でのモニタリングや、短期の事前検討が可能となる。
その他、本実施形態の適用対象として、海水淡水化設備や、海水ポンプ、海水熱交換器など海水通水機器があるが、上記製品では、海水中の塩化物イオンが隙間腐食を誘起することが知られており、隙間腐食による事故事例が多数ある。よって、本実施形態の隙間腐食モニタリングシステム10を用いてこれらの事故を未然に防ぐことにより、プラントの信頼性及び稼働率を保証することができる。
なお、本実施形態(以後の実施形態も同様)は、適用対象が通水環境であることを前提として説明したが、土壌中やコンクリート中など、保水されている環境であれば適用可能である。これにより通常腐食モニタリングが難しい構造物中や、土壌中でも隙間腐食のモニタリングの実施が可能である。
図8から図17に、第1実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの浸漬電極の変形例を示す。以下に示す第1変形例乃至第6変形例では、いずれも毛細管現象により隙間34に流体が吸い込まれるが、第1実施形態と同様に隙間34の上端にまで流体が吸い込まれないようにする必要がある。
図8に示す第1変形例では、絶縁性の円盤状の固定部材40を用い、その外周には第1の浸漬電極22に螺合する雄ネジ40aが形成され、その中央には第2の浸漬電極26に螺合する雌ネジ40bが形成されている。第1の浸漬電極22は、その上部に雄ネジ40aに螺合する雌ネジ22aを有し、第2の浸漬電極26は、その上部に雌ネジ40bに螺合する雄ネジ26aを有している。
図9に示す第2変形例では、絶縁性の円盤状の固定部材42を用い、その周縁部には第1の浸漬電極22の上部が嵌め込まれるリング状の凹部42aと、凹部42aの外側の内壁に形成され第1の浸漬電極22の上部に螺合する雌ネジ42bが形成されている。また固定部材42の中央には第2の浸漬電極26に螺合する雌ネジ42cが形成されている。第1の浸漬電極22は、その上部に雌ネジ42bに螺合する雄ネジ22bを有している。第2の浸漬電極26の雄ネジ26aは、雌ネジ42cに螺合している。
第1変形例及び第2変形例では、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26の位置関係が固定部材40,42への螺合により定まるので、いずれの変形例においても、製造バラつきに起因した腐食電流のバラつきを抑制することができる。
図10(分解図)、図11(平面図)、図12(図11のA−A線断面図)に示す第3変形例は、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26が絶縁性の板状の固定部材44に水平方向から嵌め込み可能な構成を有している。第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26は4角柱形状を有しており、第1の浸漬電極22の貫通孔24の断面も四角形となっている。第1の浸漬電極22の上部(固定部材44への嵌め込み位置)は、固定部材44への嵌め込み方向に沿った長手方向とする直方体の一対の嵌め込み部22cが配置されている。また、嵌め込み部22cの外側の壁面には、嵌め込み部22cと平行な方向に延びる溝部22dが設けられている。また、第2の浸漬電極26の上部には、固定部材44に嵌め込まれる括れ部26bが設けられ、括れ部26bより下の部分が第2の浸漬電極26の挿通部28であり、括れ部26bよりも上の部分が係留部26cとなる。
一方、固定部材44には、嵌め込み部22cの外径に倣った形状を有し、嵌め込み部22cをその長手方向の端部から嵌め込み可能な凹部44aと、凹部44aの外側の内壁において凹部44aに嵌め込まれた嵌め込み部22cの溝部22dに対向する位置に形成され、溝部22dの外形に倣った形状の凸部44bが形成されている。また、固定部材44の中央には、括れ部26bの長さと同じ厚みとなるように、固定部材44の端部から所定の位置まで薄肉に形成した薄肉部44cが形成されている。また、薄肉部44cには、括れ部26bの外径に倣った形状を有し、薄肉部44cの端部から括れ部26bを嵌め込むととともに所定の位置において括れ部26bに当接する端部44eを有するスリット44dが形成されている。
第3変形例では、第2の浸漬電極26(挿通部28)を第1の浸漬電極22の貫通孔24内部に配置した状態で凹部44a(凸部44b)と嵌め込み部22c(溝部22d)との嵌め込みと、スリット44dと括れ部26bとの嵌め込みを同時に行う態様で、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26を固定部材44に水平方向から嵌め込むことができる。第3変形例では、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26の位置関係が固定部材44への嵌め込みにより定まるので、製造バラつきに起因した腐食電流のバラつきを抑制することができる。
なお、第1変形例、第2変形例では、第2の浸漬電極26を、それぞれ固定部材40,42に捻じ込み、第3変形例では、第2の浸漬電極26を固定部材に嵌め込む態様となっている。よって、第2の浸漬電極26と、固定部材40,42,44との接触部分の気密性が低くなっている場合、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26を流体に浸漬させた場合に、隙間34中の空気が、当該接触部分を経由して漏出し、流体が隙間34の上端まで到達するおそれがある。これを防ぐため、隙間34を形成する内壁に撥水コーティングを施してもよい。
図13(平面図)、図14(図13のA−A線断面図)に示す第4変形例では、平板により第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26を形成し、その主面同士を対向させている。第4実施例では、第2の浸漬電極26を第1の浸漬電極22よりも小さく設計し、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26とを板状(若しくはシート状の)絶縁部材46により挟み込み、第1の浸漬電極22、第2の浸漬電極26、絶縁部材46を貫通する絶縁性ボルト48と絶縁性のナット50によりボルト締めした構成となっている。このとき、第1の浸漬電極22と絶縁部材46、第2の浸漬電極26と絶縁部材46との間で隙間腐食が発生し得るが、上述の理由により第2の浸漬電極26の絶縁部材46との隙間34aにおいて隙間腐食が支配的に進行する。
図15に示す第5変形例は、第4変形例同様に平板状の第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26を用いるが、両者で絶縁部材52を挟み込み絶縁部材52に接着させるとともに、絶縁部材52を流体に浸漬させない態様で用いるものである。すなわち、第1の浸漬電極22及び第2の浸漬電極26は、それぞれ上部を残して貯水槽18の流体に浸漬され、絶縁部材52は、その下端が少なくとも貯水槽18の水面よりも上方に配置され、第1の浸漬電極22の上部及び第2の浸漬電極26の上部に接合している。このとき、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26との間に隙間34ができ、上述同様に第2の浸漬電極26の隙間34に対向する面において隙間腐食が支配的に進行する。なお、第4変形例、第5変形例において、第1の浸漬電極22と第2の浸漬電極26は、その主面を矩形の平板としてもよいが、円形の平板としてもよい。これにより、矩形の角における急激な腐食を回避できるので、腐食電流の誤差を抑制することができる。
図16に示す第6変形例は、第1実施形態に類似するが、第2の浸漬電極26の挿通部28の先端が円錐形、または半球形に形成されている点で相違する。このような形態とすることにより、隙間34の幅が挿通部28の先端に行くほど大きくなるので、毛細管現象の効果は低減される。しかし、円錐の底の部分の側面のエッジが鈍角になるので、エッジにおける急速な腐食を低減することができる。さらに半球形とすることによりエッジが消滅するので、前述の急激な腐食をさらに低減することができる。なお、挿通部28の直径が大きい場合は、図17に示すように、挿通部28の先端が平坦で、エッジの部分を面取りした形状となる。
図18に、第2実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図、図19に、図18の破線で囲った部分の断面図を示す。第2実施形態の隙間腐食モニタリングシステム10Aでは、第1の浸漬電極22が、モニター対象となる配管100であり、貫通孔24が、配管100の側壁に配置され配管100に連通したフランジ110の(円形の)開口部112となっている。また、開口部112を封止するようにフランジ110に接続する絶縁性の蓋部114が設けられている。そして、(円柱形の)第2の浸漬電極26が蓋部114に(絶縁性接着剤32による接合により)取り付けられた状態で配管100内部に配置されるとともに、開口部112の内壁と第2の浸漬電極26との間で隙間34を形成している。無抵抗電流計20は、配線20aにより配管100(第1の浸漬電極22)と接続され、また蓋部114を貫通する被覆配線20bにより第2の浸漬電極26に接続されている。本実施形態においても、開口部112の内壁と第2の浸漬電極26の側面により隙間34が形成され、第2の浸漬電極26の側面おいて隙間腐食が進行する。
第2実施形態によれば、第1の浸漬電極22となる配管100中を流れる流体に第2の浸漬電極26を直接浸漬させるので、無抵抗電流計20により測定される腐食電流を実モデルとなる配管100系の隙間で生じる隙間腐食に伴う隙間電流に近似させることができ、隙間腐食のモニタリングを高精度に行うことができる。
図20に、第2実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの変形例の図18の破線で囲った部分の断面図を示す。第2実施形態の変形例に係る隙間腐食モニタリングシステムでは、図9に示す第1実施形態の第2変形例を第2実施形態に適用したものである。すなわち、固定部材42が、フランジ110に螺合して開口部112を封止する蓋部116となっている。そして、第2の浸漬電極26が蓋部116に螺合した状態で配管100内部に配置されるとともに、開口部112の内壁と第2の浸漬電極26との間で隙間34を形成している。
この変形例の効果は第2実施形態と共通であるが、前述のように、実際の隙間腐食の腐食量を測定するために第2の浸漬電極26を蓋部116とともに取り出して測定し、測定後再び蓋部116をフランジ110に螺合させて第2の浸漬電極26を配管100内部に配置することができる。よって、第1の浸漬電極22となる配管100と、第2の浸漬電極26の位置関係が螺合により定まるので、第2の浸漬電極26の配置位置のバラつきを抑制して腐食電流のバラつきを抑制することができる。
図21に、第3実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図を示す。第3実施形態の腐食隙間モニタリングシステムでは、貯水槽18に標準電極が浸漬され、標準電極54を基準とした第2の浸漬電極26の電位を電位計56で測定している。標準電極54は流体に対して浸漬電位が不変となる材料により形成されている。本実施形態では、腐食電流を測定するときに無抵抗電流計20が前述の相殺電圧を印加するが、当該相殺電圧を電位計56で測定される電位により補正して腐食電流をより正確に測定することが可能となる。
図22に、第4実施形態の隙間腐食モニタリングシステムの模式図を示す。第4実施形態の隙間腐食モニタリングシステムは、分岐配管12が第1の浸漬電極22になっており、分岐配管12の先端の開口部を封止するように第2の浸漬電極26が取り付けられている。本実施形態においても、第2の浸漬電極26の挿通部28が分岐配管12(第1の浸漬電極22)に挿通されているが、分岐配管12と第2の浸漬電極26は互いに絶縁している。また、図において、分岐配管12には減圧弁14が取り付けられているが、これは省略してもよい。
専門的な技術を必要とせず、隙間腐食を可視化し、短期間で予測するための隙間腐食センサ、及び隙間腐食モニタリングシステムとして利用できる。
10………隙間腐食モニタリングシステム、12………分岐配管、14………減圧弁、16………開閉バルブ、18………貯水槽、20………無抵抗電流計、20a………配線、20b………被膜配線、22………第1の浸漬電極、22a………雌ネジ、22b………雄ネジ、22c………嵌め込み部、22d………溝部、24………貫通孔、26………第2の浸漬電極、26a………雄ネジ、26b………括れ部、26c………係留部、28………挿通部、30………接合部、32………絶縁性接着剤、34………隙間、34a………隙間、36………開口部、38………絶縁シート、40………固定部材、40a………雄ネジ、40b………雌ネジ、42………固定部材、42a………凹部、42b………雄ネジ、42c………雌ネジ、44………固定部材、44a………凹部、44b…かい部、44c………薄肉部、44d………スリット、44e………端部、46………絶縁部材、48………絶縁性ボルト、50………ナット、52………絶縁部材、54………標準電極、56………電位計、100………配管、102………フランジ、104………パッキン、106………ボルト、108………ナット、110………フランジ、112………開口部、114………蓋部、116………蓋部。

Claims (11)

  1. 第1の浸漬電極と、
    前記第1の浸漬電極との間で流体が入り込む隙間を形成するように配置された第2の浸漬電極と、
    前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極に接続された無抵抗電流計と、を有し、
    前記無抵抗電流計は、
    前記隙間において発生する隙間腐食に起因して前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極の間に発生する電位差を相殺する相殺電圧を前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極との間に印加するとともに、前記相殺電圧を印加時の電流値を測定し、
    前記第2の浸漬電極の浸漬面積は、
    前記第1の浸漬電極の浸漬面積よりも小さいことを特徴とする隙間腐食センサ。
  2. 前記隙間は、1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の隙間腐食センサ。
  3. 前記第1の浸漬電極は、貫通孔を有する部材であり、
    前記第2の浸漬電極は、前記貫通孔に挿通される部材であり、その側面が前記貫通孔との間で前記隙間を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の隙間腐食センサ。
  4. 前記第2の浸漬電極の側面には、絶縁部材が巻きつけられていることを特徴とする請求項3に記載の隙間腐食センサ。
  5. 前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極は、絶縁性の固定部材に螺合して一体となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の隙間腐食センサ。
  6. 前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極は、絶縁性の固定部材に嵌め込まれて一体となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の隙間腐食センサ。
  7. 前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極は、それぞれ平板形状を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の隙間腐食センサ。
  8. 前記第1の浸漬電極と前記第2の浸漬電極との間には、絶縁部材が挟み込まれていることを特徴とする請求項7に記載の隙間腐食センサ。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の隙間腐食センサを用いた隙間腐食モニタリングシステムであって、
    測定対象となる配管に取り付けられ、前記配管中を流れる流体を分岐させる分岐配管と、
    前記分岐配管から排出された前記流体を蓄える貯水槽と、を有し、
    前記第1の浸漬電極及び前記第2の浸漬電極に形成された前記隙間において、前記隙間の下端の開口部から前記隙間の高さ方向の途中位置までが前記貯水槽に蓄えた前記流体に浸漬していることを特徴とする隙間腐食モニタリングシステム。
  10. 請求項3または4に記載の隙間腐食センサを用いた隙間腐食モニタリングシステムであって、
    前記第1の浸漬電極が、モニター対象となる配管であり、
    前記貫通孔が、前記配管の側壁に配置され前記配管に連通したフランジの開口部であり、
    前記貫通孔を封止するように前記フランジに接続する絶縁性の蓋部が設けられ、
    前記第2の浸漬電極が前記蓋部に取り付けられた状態で前記配管内部に配置されるとともに、前記開口部の内壁と前記第2の浸漬電極との間で前記隙間を形成していることを特徴とする隙間腐食モニタリングシステム。
  11. 請求項5に記載の隙間腐食センサを用いた隙間腐食モニタリングシステムであって、
    前記第1の浸漬電極が、モニター対象となる配管であり、
    前記貫通孔が、前記配管の側壁に配置され前記配管に連通したフランジの開口部であり、
    前記固定部材が、前記フランジに螺合して前記開口部を封止する蓋部であり、
    前記第2の浸漬電極が前記蓋部に螺合した状態で前記配管内部に配置されるとともに、前記開口部の内壁と前記第2の浸漬電極との間で前記隙間を形成していることを特徴とする隙間腐食モニタリングシステム。
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