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JP2016512215A - 陰イオン交換クロマトグラフィーによるビタミンk依存性タンパク質の精製方法 - Google Patents

陰イオン交換クロマトグラフィーによるビタミンk依存性タンパク質の精製方法 Download PDF

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JP2016512215A JP2015562204A JP2015562204A JP2016512215A JP 2016512215 A JP2016512215 A JP 2016512215A JP 2015562204 A JP2015562204 A JP 2015562204A JP 2015562204 A JP2015562204 A JP 2015562204A JP 2016512215 A JP2016512215 A JP 2016512215A
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Abstract

本発明は、陰イオン交換樹脂材料で、高収量および高純度で、特に活性タンパク質に富む、ビタミンK依存性タンパク質を精製する方法、前記方法により入手可能なビタミンK依存性タンパク質、ならびに前記方法を実行するための手段を含むキットに関する。

Description

本発明は、陰イオン交換樹脂材料で、高収量および高純度でビタミンK依存性タンパク質、特に(組換え)FIXを精製する方法、好ましくは前記方法により入手可能なビタミンK依存性タンパク質、特にFIX、ならびに前記方法を実行するための手段を含むキットに関する。
組換え技術の出現から、多くの哺乳動物のタンパク質が、宿主細胞中で産生されており、例えば細胞を、前記タンパク質をコードするDNAでトランスフェクトして、前記タンパク質の発現に好都合な条件下で組換え細胞を成長させることによって産生されている。細胞によって細胞の培養培地に分泌された、または細胞内部にあるタンパク質は、クロマトグラフ技術、例えばイオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、および同種のものを使用して、培養培地および他の成分から分離することができる。さらなる医薬用途のためには、純度が特に重要である。しかしながら、それと同時に、対象のタンパク質を徹底的に精製した後でもタンパク質の生物活性が保存されていなければならない。
ほぼ30年前、陰イオン交換樹脂から2価陽イオンによってカルシウム結合タンパク質を溶出させるという概念が初めて報告された。ウシ血漿からのウシ第VII因子の単離には成功したが、ヒト第VII因子の精製はそれでもなお問題があり、すなわち産生された材料が部分的にしか純粋ではないか、または極めて少量しか得られなかった。当分野における研究者は、2価陽イオン、すなわちクエン酸バリウムにタンパク質を吸着させ、次いで陰イオン交換クロマトグラフィーでタンパク質を分離することによって十分な量で(およそ30%の収量で)ヒト血漿からヒト第VII因子を単離することに成功した。さらに、従来のイオン交換樹脂、例えば陰イオン交換樹脂により、2価陽イオン、例えばカルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、バリウムイオン(Ba2+)、およびストロンチウムイオン(Sr2+)を含有する溶離液を使用して、様々な特異的な活性を有するビタミンK依存性タンパク質を産生する細胞培養培地からビタミンK依存性タンパク質を回収して精製する方法が利用可能となった。
さらに、溶液中の第IX因子(FIX)を精製する方法であって、FIXを含有する溶液を陰イオン交換樹脂に適用する工程、樹脂からFIXを溶出させるのに必要な導電率より低い導電率を有する溶液で陰イオン交換樹脂を洗浄する工程、および2価陽イオンを包含する第一の溶離液で陰イオン交換樹脂からFIXを溶出させて、第一の溶出液を形成する工程を含む方法が利用可能となった。次いで第一の溶出液をヘパリンまたはヘパリン様樹脂に適用して、第二の溶出液を形成し、第二の溶出液をヒドロキシアパタイトに適用して、第三の溶出液を形成し、ここで洗浄工程で高い導電率の洗浄剤が利用される。
第IX因子(FIX)は、ペプチダーゼファミリーS1に属する凝固系のビタミンK依存性セリンプロテアーゼである。FIXは、第XIa因子または第VIIa因子によって活性化されない限り不活性である。その活性化のためには、カルシウム、および膜リン脂質が必要である。FIXの欠乏は、遺伝的に劣性の出血障害である血友病Bを引き起こすが、これは、翻訳後修飾された、すなわちリン酸化および硫酸化されたFIXの投与によってうまく処置することができる。FIXはさらに、「活性化された」(さらにプロセシングされた)FIX、すなわちFIXaに変換される可能性がある。FIXaは、所与のFIX組成物に負の影響を与える可能性があるため(例えば、文献で説明されているように、その血栓形成性を増加させることにより)、FIX製品は、選択的に低FIXa含量を含有するものでなければならない。「活性化された」FIX、すなわち、さらにプロセシングされたFIXであって、上述した場合により負の作用を有するFIXaを、所与の対象において所望の活性を有し、例えばFXIaまたはFVIIaによってそれ以上プロセシングされていないFIXである活性なFIXと混同しないように注意を払う必要がある。したがって、FIX製品は、好ましくは低い含量の「活性化された」FIXaと共に、高い含量の活性なFIXを有し、かつ低い含量の不活性なFIXを有することが等しく重要である。可能性のある不活性なFIXは、プロペプチドを有するFIX、低いガンマ−カルボキシル化を有するFIX、酸化されたFIX、脱アミド化されたFIX、不正確な三次構造を有するFIXなどであり得る。
さらに、第VII因子(FVII)は、組織因子(TF)と共に凝固プロセスを開始させるという凝固カスケードにおいて重要な役割を果たすビタミンK依存性セリンプロテアーゼである。血管が傷害を受けると、TFは血液に晒されて、FVIIを循環させる。FVIIは、TFに結合すると、トロンビン、第Xa因子、第IXa因子、第XIIa因子、ならびに基質がFXおよびFIXであるFVIIa−TF複合体によって活性化されてFVIIaになる。
したがって、本発明の根底にある課題は、高収量および高純度で、好ましくは不活性なFIXを低い含量で、ビタミンK依存性タンパク質を精製するため改善された方法を提供することである。上記の技術的な課題の解決は、特許請求の範囲で特徴付けられる実施形態によって達成される。
本発明は、好ましい実施形態(項目1)において、ビタミンK依存性タンパク質を精製する方法であって、
(a)2価陽イオンの非存在下または低い2価陽イオン濃度で、陰イオン交換樹脂材料(以下、「第一の陰イオン交換樹脂材料」ともいう)にローディング緩衝液中のビタミンK依存性タンパク質をローディングし、続いて適宜1から3回洗浄する工程;
(b)カルシウムと対陰イオンとを含む溶離液を用いて、ビタミンK依存性タンパク質を溶出させて、ビタミンK依存性タンパク質を含有する溶出液を形成する工程
を含み、ここで、
− 該溶離液には1〜3mMのカルシウムが含まれ、
− 該溶離液は、14〜23mS/cm(25℃)の導電率を有し、
− 該溶離液のpHは、7.0から9.0の間である、精製方法に関する。
それに関して、上述したような工程(a)は、好ましくは、遊離の2価陽イオンの非存在下で実行される。その文脈における「遊離の」2価陽イオンは、錯体化していない2価陽イオンを意味するものとする。すなわち、例えばおよそ1mMのCa++がEDTAに錯体化された状態で存在したとしても、それは、それでもなお(遊離の)2価陽イオンの非存在下であるとみなされると予想される。
さらに好ましい実施形態において、精製方法は、以下の工程:
(c)得られた溶出液のプールを希釈して((1)適宜それにより導電率を低下させ)、カルシウムの濃度を増加させる工程、
(d)第二の陰イオン交換樹脂材料に、工程(c)の後に得られた溶出液をローディングする工程;および
(e)ビタミンK依存性タンパク質を含有する流出液を収集する工程
をさらに含む。
適宜行われる(optional)工程c(1)の導電率を低下させることは、最後の適宜行われる洗浄工程において導電率がまだ低下されていない場合にのみに必要であり、好ましくは、導電率を低下させることは、以下でより詳細に説明されるように、洗浄工程3で実行される。
以下で、不活性なビタミンK依存性タンパク質の分離にとって決定的であるものとして示される好ましいパラメーターの組合せを説明する。本明細書で説明される全ての本発明のパラメーターの範囲は、溶出工程(b)に対して述べられる。
工程(b)において:
− 導電率が、7.0〜7.4のpHおよび1mMのCa++で、18から20mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.4〜7.6のpHおよび1mMのCa++で、18.5から21mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび1mMのCa++で、19から22.5mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、8.0〜9.0のpHおよび1mMのCa++で、20から23mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.0〜7.4のpHおよび2mMのCa++で、15から17.0mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.4〜7.6のpHおよび2mMのCa++で、16から18mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび2mMのCa++で、16.5から19.5mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび2mMのCa++で、17.5から21mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、8.0〜9.0のpHおよび2mMのCa++で、19.5から22mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.0〜7.4のpHおよび3mMのCa++で、14.0から15mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.4〜7.6のpHおよび3mMのCa++で、15から15.5mS/cm(25℃)の間であるか、
− 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび3mMのCa++で、14から16.5mS/cm(25℃)の間であるか、または
− 導電率が、8.0〜9.0のpHおよび3mMのCa++で、15から19mS/cm(25℃)の間である、項目1に係る方法。
溶出(b)の特に好ましい実施形態において、導電率およびpHの範囲は、1mMのCa++の濃度に関しては図2Aの斜線の領域から選択され、一方で導電率およびpHの範囲は、2mMのCa++の濃度に関しては図2Bの斜線の領域から選択され、一方で導電率およびpHの範囲は、3mMのCa++の濃度に関しては図2Cの斜線の領域から選択される。
溶出(b)のさらに好ましい実施形態において、導電率およびCa++濃度は、
− 図3Aの斜線の領域に基づき、7.0のpHに関して、
− 図3Bの斜線の領域に基づき、8.0のpHに関して、および
− 図3Cの斜線の領域に基づき、9.0のpHに関して
選択される。
上述したような溶離液(すなわち溶出緩衝液)のカルシウム濃度、pHおよび導電率のパラメーターは全て、重要なパラメーターである。これら全てが、陰イオン交換樹脂上で起こる溶出に干渉して、所望のタンパク質の最終的な純度に影響を及ぼす可能性がある。
極めて驚くべきことに、本発明者らはまた、有利な結果を達成するために従来技術においてこれまでに考えられていた濃度より低い濃度のCa++が必要であったことを示すこともできた。
本発明者らは、驚くべきことに、不活性な標的タンパク質を活性な標的タンパク質から分離しようとする場合、これらのパラメーターは、これまでに考えられていたよりもより狭い範囲で、特には互いに特異的な関係で制御される必要があることを見出した。本発明者らは、上記のパラメーターを本明細書で説明されているように制御された状態に維持することによって、例えば不活性なrFIXを活性なrFIXから分離できることを示した。特に、本発明で説明される精製スキームで、不活性なFIXを効率的に分離することができた。極めて驚くべきことに、本発明者らはまた、パラメーターの範囲を、上述したように、または添付した図(enclosed figures)の斜線の領域で示されるように固定している限りは、ローディング/洗浄から第一の陰イオン交換材料での溶出へのpHのシフトは必要ないことも示すことができた。
「活性なFIX」は、所与の対象において所望の活性を有するFIXである。本発明者らは、これは単なる仮説であり、それにとらわれるべきでもないが、活性なFIXは、全長の単一鎖の分子であり、N末端にガンマカルボキシル化を持ち、完全な構造的完全性(正しくジスルフィド結合した二次および三次構造)に加えてグリコシル化を有するプロ−FIXを含まないと考えている。「不活性なFIX」は、所与の対象において所望の活性を有さないFIXである。1つの考えられる理論によれば、不活性なFIXは、少ないカルボキシル化、プロペプチド含量、酸化、脱アミド、構造的な崩壊、ジスルフィド結合の転換などに起因して生じる可能性がある。所与の組成物中の不活性なFIXの含量は、不活性なFIXの存在下ではより低い特異的なFIX活性を測定することによって決定することができる。不活性なFIXのみを含有する画分は、いかなる特異的なFIX活性も全く有さないと予想される。
実験の部で、本発明者らは、第一の陰イオン交換工程(ローディングと溶出)中に、およそ25%の割合の完全に不活性なビタミンK依存性タンパク質を分離して除くことができることを示すことができた。これは明らかに、例えばCHO細胞でのFIXの組換え産生から生じたものなどのローディング材料は、最終的な医薬製剤中に好ましくは含まれるべきではない不活性なFIXをおよそ25%含むことを示す。本発明の好ましい実施形態において、ビタミンK結合タンパク質は、CHO細胞中で組換え産生された、FIX、FVIIまたはFXから選択され、最も好ましくはCHO細胞中で組換え産生されたFIXである。本発明の精製スキームにより活性なビタミンK依存性タンパク質から不活性なビタミンK依存性タンパク質を分離した後、得られた製剤は、活性なビタミンKに富み、好ましくは不活性なビタミンKを本質的に含まない。
このようにして、本発明の陰イオン交換樹脂でのクロマトグラフ法は、活性なおよび不活性なrFIX(全長)ポリペプチドの分離を可能にする。
また、溶出工程(b)にとっては以下の実施形態も好ましく、ここで導電率、Ca++濃度およびpHの好ましい組合せは、添付した実験に基づいて再現される。
Figure 2016512215
Figure 2016512215

Figure 2016512215
また添付した図の斜線の領域は、添付した実験に基づき数学的に決定することもできる。
溶出後におけるFIX Ag[%]の計算
Log(FIX_Ag[%]溶出後)=0.150456×(溶出_pH)−0.0582981×(溶出の導電率[mS/cm])−0.166317×(溶出のCa濃度[mM])−0.514886×(洗浄2_pH)−0.333007×(洗浄2_LF[mS/cm])+0.0445826×(洗浄2_pH)×(洗浄2_LF[mS/cm])+5.90989(LF=導電率)。
以下に、特に好ましい実施形態を記載する。
標的分子の結合を許容する条件下で(例えば中性pH、NaCl<220mM)、ポリペプチドの混合物を陰イオン交換樹脂上にローディングする。pH8.0で、2mMのCaCl、180mMのNaClを用いて選択的な溶出を行う。これらの条件下では、不活性なrFIXのおよそ25%はカラムから溶出せず、活性なrFIXが溶出する。特に、この工程で全長の不活性なFIXが活性なFIXから分離される。
パラメーターであるカルシウム、pHおよび導電率に関して、選択的な溶出手法のロバスト性および境界を調査するために、「実験計画法」(DOE)の研究を行った(実施例を参照)。実験および計算されたモデルから、溶出モデル中に活性なおよび不活性なFIX種のロバストな分離を確実なものにする溶出緩衝液に関するpH、導電率およびカルシウム濃度のパラメーターの範囲が得られた。実験およびモデルから得られたパラメーターの範囲は、そのパラメーター設定で行われた実験の99.7%で、活性なおよび不活性なFIX種のロバストな分離が起こると予想されるという3S範囲(3S range)(中心点の試行の平均値±標準偏差)に関して計算される。FIXのトランケート型をさらに分離するためには、本明細書で説明される「洗浄2」の工程が特に好適である。
したがって、本発明は、好ましい実施形態において、図1、2a、2b、2c、3a、3b、または3cのいずれか1つで示される平均値周辺の3S範囲から選択されるパラメーターの組合せを用いた溶出工程(b)も包含する。
重要なことに、上記モデルはまた、溶出手法の選択性は、カルシウム濃度が所与の範囲を超えて増加したときに失われることも示しており、それによって選択的な溶出挙動を維持する特に有利なパラメーターの組合せがもたらされる。
2. ローディングする工程の後、2価陽イオンの非存在下、ただし対陰イオンの存在下での、洗浄緩衝液(1)、(2)および/または(3)を用いた1回または複数の洗浄工程(1)、(2)および/または(3)が行われる、項目1に係る方法。
好ましい対陰イオンは、これらに限定されないが、塩化物イオン(最も好ましい)、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンである。
3. ローディング緩衝液および/または洗浄緩衝液の少なくとも1つは、工程(b)の溶離液のpHより少なくとも0.5pH単位低いpHを有し、好ましくはローディング緩衝液および/または洗浄工程(2)の緩衝液のいずれかは、工程(b)の溶離液のpHより少なくとも0.5pH単位低いpHを有する、項目1または2に係る方法。
本明細書で説明される具体的なパラメーター条件が維持される限りは、ビタミンK依存性タンパク質の不活性型を活性型から分離するのに上述したpHのシフトは必ずしも必要ではない。
4. 工程(b)における溶離液は、工程(a)におけるローディング緩衝液の導電率および適宜行われる洗浄緩衝液より高い導電率を有し、工程(c)において補充された溶出液は、工程(b)における溶離液の導電率より低い導電率を有する、項目1から3のいずれか1つまたは複数に係る方法。
好ましい実施形態において、溶出緩衝液の導電率は、14から23mS/cm(RT)の間であり、好ましくは19〜20mS/cm(RT)である。適宜行われる洗浄工程2が行われる場合(「酸性の洗浄」)、導電率は、好ましくは14から19mS/cm(RT)の間であり、より好ましくは16から18mS/cm(RT)の間であり、そうすることにより、全てのケースにおいて、上記項目4の必要条件および上記パラメーターに関して説明された範囲(すなわち図の「h」の領域)が満たされると予想される。
5. 第一および第二の陰イオン交換樹脂材料は、それぞれ独立して、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、ジメチルアミノエタン(DMAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級アミノアルキル、四級アミノエタン(QAE)、および四級アンモニウム(Q)からなる群より選択される正電荷を有する基を有する、項目1から4のいずれか1つに係る方法。
6. 第一および第二の陰イオン交換樹脂材料はそれぞれ独立して、リガンドとして、アミノヘキシル、ベンズアミジン、リジン、およびアルギニンからなる群より選択される第一アミンを有する、項目1から5のいずれか1つに係る方法。
7. ビタミンK依存性タンパク質は、2価陽イオン結合タンパク質、好ましくはカルシウム結合タンパク質である、項目1から6のいずれか1つに係る方法。「カルシウム結合タンパク質」は、Ca++に結合することによって例えばカルシウム細胞シグナル伝達経路に参加するタンパク質である。ビタミンK依存性タンパク質のカルシウム結合は、例えば活性化された血小板の負電荷を有する細胞表面へのタンパク質の結合、または例えば細胞のシグナル伝達に必要である
8.本発明のビタミンK依存性タンパク質は、好ましくは、Glaドメインとして広く知られているタンパク質領域中の特異的なグルタミン酸残基の存在を特徴としており、このグルタミン酸残基は、酵素のカスケード、特に補酵素としてビタミンKを用いるガンマ−カルボキシラーゼおよびビタミン−K−オキシドレダクターゼのカスケードによってカルボキシグルタメートにカルボキシル化される、項目1から7のいずれか1つに係る方法。この反応は、酸素、二酸化炭素およびビタミンKの還元型を必要とするビタミンK依存性カルボキシラーゼによって触媒される。ビタミンKは、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)によって再利用される。
9.ビタミンK依存性タンパク質は、第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインSからなる群より選択され、特に好ましくは第IX因子(FIX)、第VII因子(FVIIa)および第X因子からなる群より選択される、項目1から8のいずれか1つに係る方法。
上記のタンパク質のいずれか1種は、自然源、例えば血漿、または組換え技術のいずれかによって得ることができる。
最も好ましくは、本発明は、FIX、特に組換えFIXの精製、さらにより好ましくは、CHO細胞中の組換え発現によって産生された組換えFIXの「下流」精製に関する。
10a. 適宜行われる洗浄工程が行われるケースにおいては、工程(a)におけるpHは、6.8から7.5、好ましくは7.0から7.4であり、適宜行われる洗浄工程が行われないケースにおいては、そのpHは、5.5から6.5、好ましくは5.9から6.1である、項目1から10のいずれか1つに係る方法。
10b 適宜行われる洗浄工程(3)のpHは、7.0から8.2の間であり、好ましくは7.3から8.0の間であり、さらにより好ましくは7.3から7.5の間である、項目1〜10のいずれか1つに係る方法。
特に好ましい実施形態は、以下の工程:
− 陰イオン交換カラムに、2価陽イオンの非存在下で、7.0〜7.4のpHで、組換えFIX、FVIIまたはFX産生からの細胞培養上清をローディングする工程、
− 第一の洗浄、およそ5.5〜6.5のpHおよび16.5〜19mS/cm(25℃)の導電率を用いた第二の洗浄、ならびに7.3から7.5のpHを用いた第三の洗浄を行う工程、
− 好ましくは全て本発明のパラメーターの範囲に従って選択された、1〜3mMのCa、17〜22mS/cm(25℃)および7〜9のpHを含む溶出緩衝液で、溶出させる工程、
− 適宜、ウイルスを不活性化するための溶媒/洗浄剤(S/D)工程を行う工程、
− 適宜、希釈して、導電率を好ましくは15〜18mS/cm(25℃)に低下させる工程、
− Ca++の濃度を6mMに増加させ、7.6〜7.8のpHに調整する工程、
− 第二の陰イオン交換カラムに希釈した溶出液のプールをローディングする工程、および
流出液を収集する工程
を有する。
11. ローディングと溶出との間に、活性物質の結合を確実なものにする条件での、例えば6.0〜8.0のpHおよび200mM未満のNaClの導電率での、1回または複数の洗浄工程を含む、項目10に係る方法。
12. 適宜行われる洗浄工程(1)におけるpHは、7.3から7.5であり、適宜行われる洗浄工程(2)のpHは、好ましくは5.5から6.5、好ましくは5.9から6.1である、項目1から10のいずれか1つに係る方法。
13. 工程(b)における溶出緩衝液(すなわち溶離液)は、2mMのカルシウムを含有し、180mMのNaClの添加により得られた約8.0のpHおよび18〜19mS/cm(25℃)の導電率を有する、項目1から12のいずれか1つに係る方法。
14. ローディングする工程(d)におけるローディング緩衝液のpHは、ローディングする工程(a)におけるローディング緩衝液のpH、またはローディング(a)の後に続く洗浄のpHのいずれかより高い、上記項目1〜13のいずれかに係る、特に項目3に係る方法。
上記文脈において、また下記でも述べられるように、「ローディング(a)の後に続く洗浄」は、本明細書において、「酸性の洗浄」または洗浄2を指す。
ここで説明される「酸性の」洗浄は、全長タンパク質から、ビタミンK依存性タンパク質、例えばFIXのトランケート型を分離するのに好適である。
15. ローディングする工程(d)における導電率は、ローディング(a)の後に続く洗浄の導電率に等しいか、またはそれより低い、上記項目1〜14のいずれかに係る、特に項目3に係る方法。
16. 工程(d)におけるローディング緩衝液のCa++濃度は、工程(b)における溶出緩衝液のCa++濃度より高い、上記項目1〜15のいずれかに係る、特に上記項目3に係る方法。
17. 低い導電率を有する得られた溶出液のプールを提供する工程は、適切な希釈緩衝液での希釈によって、その代わりに緩衝液の組成を変化させることによって、またはその代わりに透析、透析ろ過もしくはゲルろ過によって実行される、項目1〜16のいずれかに記載の方法。
18. 上記項目1〜17のいずれか1つに係る方法により得られた、ビタミンK依存性タンパク質。
19. 上記項目1〜17のいずれか1つに係る方法により得られた、(r)FIX。
20. 少なくとも270l.U./mgのFIX Agの特異的な活性、好ましくは270から350I.U./mgのFIX Agの特異的な活性、より好ましくは270から320I.U./mgのFIX Agの特異的な活性、特に好ましくは280から300I.U./mgのFIX Agの特異的な活性を有する、項目19に係る(r)FIX。
21.約2.5〜3の対数減少値のCHO HCPの減少率を有する、項目19または20で規定された(r)FIXを含む医薬組成物。
2.5〜3の対数減少値は、全体のCHO HCP減少の対数表示である。CHO HCP減少は、229(工程1から工程2)および1.75(工程2から工程3)であり、すなわち1.75×229=およそ440と示されるため、それらの対数は2.6となる。
22. 50μg/mg未満のFIX Ag、好ましくは20μg/mg未満のFIX Ag、さらにより好ましくは10μg/mg未満のFIX AgのCHO HCP不純物を有する、項目19もしくは20で規定された、および/または項目21に係る(r)FIXを含む医薬組成物。
23. 組成物は、10pg/ml未満のCHOのDNA、好ましくは5pg/ml未満のCHOのDNA、さらにより好ましくは1pg/ml未満のCHOのDNAを含む、項目19もしくは20に規定された、および/または項目21または22に係る(r)FIXを含む医薬組成物。
24. (r)FIX組成物は、1mU未満のFIXa(活性化されたFIX)活性/FIX凝固活性単位、好ましくは0.75mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位、より好ましくは0.5mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位、さらにより好ましくは0.3mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位を含む、項目19もしくは20で規定された、および/または項目21〜23のいずれか1つに係る(r)FIXを含む医薬組成物。
1mUのFIXa活性/FIX凝固活性単位は、1IU/mlのFIX凝固活性当たりの0.1%の発色活性に等しい(後述されるアッセイ方法を参照)。
25. 組成物は、活性な単一鎖および全長のFIX種に富んでいる、項目19もしくは20のいずれか1つで規定された、および/または項目21〜24のいずれか1つに係る(r)FIXを含む医薬組成物。
好ましくは、得られた組成物は、不活性な(全長)FIXを本質的に含まない。
26. 項目1〜17のいずれか1つに係る方法を実行するための手段を含むキット。
27. (r)FIX組成物は、1mU未満のFIXa(活性化されたFIX)活性/FIX凝固活性単位、好ましくは0.75mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位、より好ましくは0.5mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位、さらにより好ましくは0.3mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位を含む、項目1〜17のいずれか1つに記載の方法により入手可能な(r)FIX組成物。
28. 項目19〜25のいずれか1つで規定された特色の1つまたは複数をさらに特徴とする、項目27に係る(r)FIX組成物。
29. (r)FIX組成物は、1mU未満のFIXa(活性化されたFIX)活性/FIX凝固活性単位、好ましくは0.75mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位、より好ましくは0.5mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位、さらにより好ましくは0.3mU未満のFIXa活性/FIX凝固活性単位を含む、(r)FIX組成物。
30. 項目20〜25のいずれか1つで規定された特色の1つまたは複数をさらに特徴とする、項目29に係る(r)FIX組成物。
したがって、本発明はまた、上記の方法により入手可能な精製されたビタミンK依存性タンパク質、および上記の方法を実行するための手段を含むキットにも関する。したがって本発明はまた、本発明の方法により入手可能な、または本発明の方法により得られたFIX、好ましくは組換えFIXにも関する。本発明はまた、低含量のFIXaを有する、FIXまたはFIX組成物、好ましくは組換えFIXまたはFIX組成物にも関する。FIXまたはFIX組成物は、本発明の方法により入手可能なものであってもよく、または本発明の方法によって得られたものでもよく、これらは、それらの特に低含量の不活性なFIXを特徴とする。
一態様において、本発明は、ビタミンK依存性タンパク質を精製するための方法であって、
(a)2価陽イオンの非存在下または低い2価陽イオン濃度で、陰イオン交換樹脂材料(以下、「第一の陰イオン交換樹脂材料」ともいう)にローディング緩衝液中のビタミンK依存性タンパク質をローディングする工程、適宜それに続く1から3回の洗浄工程;
(b)2価陽イオンと対陰イオンとを含む溶離液を用いて、2価陽イオンに結合しているタンパク質を溶出させて、ビタミンK依存性タンパク質を含有する溶出液を形成する工程
を含み、ここで、
− 該溶離液には1〜3mMのカルシウムが含まれ、
− 該溶離液は、14〜23mS/cm(25℃)の導電率を有し、
− 該溶離液のpHは、7.0から9.0の間である、精製するための方法に関する。
さらに好ましい実施形態において、精製するための方法は、以下の工程:
(c)得られた溶出液のプールを希釈して((1)適宜それにより導電率を低下させ)、カルシウム濃度を増加させる工程;
(d)第二の陰イオン交換樹脂材料に、工程(c)の後に得られた溶出液をローディングする工程;および
(e)2価陽イオンに結合しているタンパク質を含有する流出液を収集する工程
をさらに含む。
本発明の方法は、好ましくは、生成物が結合する様式で操作される第一のカラムと、生成物が結合しない様式で操作される第二のカラムとを有する2種の陰イオン交換カラムによる手法を使用する。
この手法の原理は、好ましい実施形態において、ビタミンK依存性タンパク質(例えばrFIX)溶液を、キレート化剤、例えばEDTAの存在下で、中性または酸性pH(pH=6.8〜7.5、好ましくは7.0〜7.4、例えば7.0〜7.2)で陰イオン交換樹脂と接触させること(すなわちそれにローディングすること)を必要とする。生成物の収量をさらに改善しようとする場合、EDTAが、好ましい可能性がある。EDTAは、2価陽イオンに結合しているタンパク質、例えばFIXの結合を改善することができる。好ましい実施形態において、1回または複数の洗浄(例えば以下でより詳細に規定されるようなpHで)の後、1〜3mMのカルシウムを含有する緩衝液(上記で規定されたような極めて具体的な範囲内のpHおよび導電率を有する)で、生成物を溶出させる。得られたビタミンK依存性タンパク質、例えば溶出液のプール中に含有されるrFIXは、低含量の不活性なFIXを有し、それに加えて、かつ驚くべきことに、活性な全長の単一鎖FIX種に富んでいる。
次いで、好ましい実施形態において、得られた溶出液のプールを希釈して、導電率を低下させ、カルシウム濃度を増加させる。希釈した溶液は、例えば7.6〜7.8のpHを有する。次いで第一の陰イオン交換による精製工程の調節された溶出液のプールは、第二の陰イオン交換カラムに移され(例えばポンプ注送され)、ここで、適用された条件下(特には、濃度を増加させた2価陽イオン、およびわずかに塩基性のpH、および約15〜21mS/cm(RT)の導電率の存在下)では、例えばrFIXのようなビタミンK依存性タンパク質は結合しないが、それに対してタンパク質不純物は結合する。得られたビタミンK依存性タンパク質、例えば第二の陰イオン交換による精製のカラム流出物中に含有されるrFIXは、高純度および高い特異的な活性を有する。特に、このビタミンK依存性タンパク質は、特に低含量の不活性なFIXを有する。
以下の図面により本発明をさらに説明する。
図1:不活性なFIX形態の除去能力に関する捕獲工程(「CPN」)溶出緩衝液の設計空間の評価(可変パラメーター:カルシウムおよび導電率、pH=一定)。
捕獲工程のDOE研究のためのスモールスケールにおけるロバスト性研究のデータの評価を設計し、ソフトウェアツールMode(バージョン9.1)を用いて評価した。このグラフにおいて、高塩濃度洗浄中のFIX抗原の含量(溶出後=画分)を、高塩濃度洗浄緩衝液のパラメーターである導電率およびカルシウム含量を考慮して調査した。斜線の領域は、優れた不活性な全長FIX抗原除去能力をもたらすと予想される緩衝液の組成に関する設計空間を提示する。さらなる領域において、不活性なFIXポリペプチドは、主要な生成物のプールを用いて共に溶出させることができた。
pH=8における1〜3mM(カルシウム)および導電率に関して14〜23mS/cm(25%)のパラメーター範囲内の、データ評価の等高線図。
図2:不活性なFIX形態の除去能力に関する捕獲工程(CPN)溶出緩衝液の設計空間の評価(可変パラメーター:カルシウムおよび導電率、pH=7〜9)。
図2A:Ca++=1mM
図2B:Ca++=2mM
図2C:Ca++=3mM。
図3:実験スケールのDOE実験について範囲を試験することを包含する、CPN工程で試験されたプロセスパラメーターの概説。
図面および実施例の部で示される本発明の実験データから導き出せるように、パラメーターである溶出緩衝液の「カルシウム濃度」は、分離と極めて高い関連を有し、パラメーターであるpHおよび導電率は、溶出は陰イオン交換樹脂上で起こることから、溶出にとって重要でありそれに干渉する。pHおよび導電率は、溶出中の効率的な分離がうまく実行できる範囲のシフトに関与する。極めて驚くべきことに、1〜3mMの低いCa++濃度におけるローディングからの不活性なビタミンK依存性タンパク質の分離を達成することが可能である。
用語「2価陽イオンの非存在下」は、本明細書で使用される場合、緩衝液中に遊離の2価陽イオンが存在しないことを指し、ここでタンパク質に結合するか、または例えばキレート化剤、例えばEDTAによって錯体化される2価陽イオンは存在する可能性がある。用語「低い2価陽イオン濃度で」は、μM範囲の2価陽イオン濃度を指し、特に最大で1000μM、好ましくは最大で800μM、さらにより好ましくは最大で500μMの濃度を指す。本出願に関して、用語「2価陽イオンの非存在下」は、上記の「低い2価陽イオン濃度で」に関する定義も包含するように意図されている。
すでに上述した通り、一実施形態において、タンパク質に結合したカルシウム、例えばEDTAに結合したカルシウムが許容され得る。カルシウムがタンパク質に結合している場合、それは、本発明の状況においては「不活性な」カルシウムとみなされる。したがって、そのようなカルシウムは生成物の結合に干渉しない。一方で、遊離のカルシウムは生成物の結合に干渉する可能性がある。
2価陽イオンの非存在下で、第一の陰イオン交換樹脂材料にローディング緩衝液中のビタミンK依存性タンパク質をローディングすること(a)は、当業界において公知のあらゆる方法によって実行することができる。特に、陰イオン交換樹脂材料にビタミンK依存性タンパク質をローディングするのに好適な条件は、当業者に周知である。生成物の結合を許容するローディング緩衝液の導電率に関する具体的な条件は、タンパク質および使用される陰イオン交換樹脂材料(例えばリガンドの密度、リガンドの提示など)の特定の特性によって決まる。2価陽イオンは、通常高度に酸性な(すなわち負電荷を有する)領域でタンパク質に結合する。2価陽イオンが結合すると、負電荷はマスキングされる。しかしながら、2価陽イオンの非存在下で陰イオン交換材料にビタミンK依存性タンパク質をローディングすることによって、例えば、キレート化剤、例えばEDTAにより結合した2価陽イオンを取り除くことによって、タンパク質は、陰イオン交換リガンドへの強い結合を可能にする表面上に高度に負電荷を有する区画を持つようになる。さらに陰イオン交換樹脂材料上にタンパク質をローディングするための条件は、pHと対イオン、例えばClの濃度とのバランスを常に必要とする。対イオンの化学的性質も溶出挙動に影響を与え、例えばClは1の負電荷を有し、中性pHでのリン酸イオンは2の負電荷を有する。後者は、導電率がより低い場合であっても、Clと比較してより高い溶出力を有する可能性がある。
陰イオン交換カラム1(すなわち工程(a))のローディングを、好ましくは、6.8〜7.5、好ましくは7.0〜7.4のpHで行い、それに続いて洗浄1を7.3〜7.5のpHで行いローディングを完了させ、洗浄2を酸性条件(pH5.5〜6.5、好ましくは5.8〜6.2、より好ましくは5.9〜6.1)で行う。さらなる実施形態において、適宜、カラムを溶出用に調製するためのpH7.0〜8.2、好ましくは7.3〜8.0、例えばpH7.3〜7.5での洗浄3(低い導電率での洗浄、これは、溶出の直前に実行される洗浄である)を実行してもよい。溶出は、7.5〜8.5、より好ましくは7.8〜8.2のpHで行われる。本発明の一実施形態において、溶出緩衝液のpHは、先行する洗浄2(高い導電率での洗浄、上述したような導電率の条件を参照)のpHより少なくとも0.5pH単位高い。この第二の「酸性」の高い導電率での洗浄は、それでもなお溶出の導電率より低い導電率を有する。しかしながら、添付した図面の斜線の領域、加えて上記の好ましいパラメーター範囲の説明から明らかなように、pHが一定に維持されていたとしても、活性なFIXからの不活性なFIXの優れた分離を達成することが可能である。
一実施形態において、第一の陰イオン交換のローディングする工程は、適宜行われる洗浄工程(複数可)が行われる場合、中性からわずかに酸性のpHで、例えば6.8〜7.5で、好ましくは7.0〜7.4のpHで実行される。好ましくは、このローディングする工程に続いてpH=7.3〜7.5での第一の洗浄を行いローディングを完了させ、酸性条件(pH5.5から6.5、好ましくは5.8から6.2)での第二の洗浄および7.3〜7.5のpHでのでの洗浄3を行い、溶出用にカラムを調製する。第一の陰イオン交換カラムのローディングする工程のpHは、適宜行われる洗浄工程(複数可)が行われる場合、5.5から6.5、より好ましくはpH5.9〜6.1に設定される。一実施形態において、溶出工程を実行する前に、好ましくは、pHを少なくとも0.5pH単位高くする。この増加は、全ての段階で行うことができ、例えば、間に洗浄工程が実行されない場合、ローディングする工程から直接溶出工程までの間に行うことができる。代替の実施形態において、pHの増加は、上述したような酸性の洗浄の後に行われる。溶出は、後述するように、好ましくは、溶出工程に関するパラメーター範囲の好ましい実施形態で説明したようなpHで実行される。
1回のみの洗浄工程、すなわち洗浄工程(1)が実行されるケースでは、この洗浄工程は、塩を添加せずに実行されると予想される。その結果として、pHは、洗浄工程において差し迫った重要性は持たない。
好ましい一実施形態において、2回の洗浄工程、すなわち洗浄工程(1)および(2)が実行される場合、またはストリンジェントな洗浄工程(2)のみ(以下も参照)が実行される場合、このローディング緩衝液は、上記で規定されたような中性からわずかに酸性の領域のpHを有していてもよいが、第二の洗浄工程(すなわち洗浄工程2)が5.5から6.5、または5.9〜6.1のより低いpHを有していた場合に限り、本発明の原理に従って許容できると予想される。ローディングする工程がこのより低いpHですでに実行された場合、洗浄工程(2)も、好ましくはこのより低いpHを有すると予想される。洗浄工程(2)は、好ましい実施形態において、上記で規定されたような高い導電率で実行される。
さらに好ましい実施形態において、3回の洗浄工程、すなわち洗浄工程(1)、(2)および(3)が実行される場合、洗浄工程(3)は、好ましくはいかなる塩も含有しないと予想される。その結果として、2回の洗浄工程を用いたケースに関して述べられたような上記条件が規定され、溶出工程中に、好ましくはローディングおよび/または洗浄工程(2)と比較してpHが少なくとも0.5pH単位高い限りは、この工程におけるpHは重要ではないと予想される。洗浄(3)は、好ましくは、低い導電率での洗浄である(このケースにおいて、得られた溶出液の導電率がすでに低い場合、工程c(1)は実行する必要はない、)。
特に好ましい実施形態において、洗浄工程(3)におけるpHは、溶出工程のpHのレベルにすでに高められている。したがって、洗浄工程(3)の好ましいpHは、7.0から8.2の間であり、好ましくは7.3から8.0の間であり、さらにより好ましくは7.3〜7.5である。この特定のpH条件で洗浄工程(3)が行われる場合、洗浄工程(3)が行われないか、または前記工程が、異なるpHで、例えばおローディングならびに/洗浄工程(1)および(2)中に使用されるpHとそれでもなお同等に低いpHで行われる状況と比較して、溶出した所望の生成物に含まれる不純物の程度がさらに低下することを本発明者らは見出した。本発明者らは、この仮説に縛られることを望まないが、洗浄工程(3)のpHを溶出と同じpHに調整することにより、溶出中のpH勾配が回避されると考えている。溶出中のpH勾配は、一部の不純物を生成物と共に溶出させる干渉の原因となり得る。上述したような洗浄3は、溶出に有利なようにカラムを調整する。この洗浄の高いpHおよび低い導電率は、それに続く溶出中に不純物が共に溶出されることを防ぐ。
さらにより好ましくは、洗浄工程(3)は、極めて低い、またはゼロに近い導電率、特に溶出力を有する。このような極めて低い導電率は、好ましくは1〜15mS/cm(RT)であり、より好ましくは5mS/cm(RT)未満であると予想される。
好ましい実施形態において、ローディングする工程(a)におけるローディング材料は、タンパク質、所望の生成物、およびアミノ酸、ビタミン、糖、微量金属などを包含する細胞培養培地の全ての化合物(KCl、NaCl、Caを包含し、約13mS/cm(RT))を含む溶液である。ローディングする工程の後、好ましくは、洗浄工程1を実行して、次いでローディングを完了させる(好ましくは中性pHの近くかまたは中性pHで、低い導電率で)。その後、好ましくは第二の洗浄工程2が続いて行われ、これは、ストリンジェントな洗浄とみなされ、好ましくは低いpHおよび150から210、好ましくは170から190mM、最も好ましくは180mMを用いて実行され(NaClを用いて実行される場合、様々な塩ごとの好ましい条件は当業者の知識の範囲内と予想される)、さらに好ましい実施形態において、それに続いて溶出用にローディングされたカラムを準備する洗浄工程3が行われる。この第3の洗浄工程は、好ましくは、上記で規定されたような低い導電率およびpHで実行される。この洗浄工程は、カラム中の導電率を低下させて、以前の洗浄が低いpHであったためにpHを中性に戻し、さらには上述したようにカラムを溶出のpHに近づけるという主要なタスクがある。これらの処置は、カルシウムを用いて擬似的な親和性溶出のためにカラムを準備し、溶出緩衝液と洗浄2緩衝液との間の境界面で不純物が共に溶出されることを予防する。
溶出は、好ましくは、カルシウムと、150から210、好ましくは170から190mM、最も好ましくは180mMのNaClとを含有する緩衝液を用いて実行される。第一の陰イオン交換カラムからの溶出にとって好ましいパラメーター範囲に関して上述したように、対イオン、例えばNaClの含量は、所望の導電率が得られるように調整される。上記の塩化物イオン(最も好ましい)に加えて、これらに限定されないが、例えば酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどの他の対陰イオンも可能であると予想される。
さらに、ビタミンK依存性タンパク質が陰イオン交換材料に結合するという条件下で、本発明の方法の工程(a)における陰イオン交換材料にビタミンK依存性タンパク質をローディングするのに好適なローディング緩衝液は、当業界において周知である。例えば、上述したように適宜行われる洗浄工程(複数可)が実行される場合、ローディング緩衝液は、pH6.8から7.5、好ましくはpH7.0から7.4のpHを有していてもよい。ローディング緩衝液は、ビタミンK依存性タンパク質が陰イオン交換樹脂材料に結合するのに好適なあらゆる塩濃度を含有していてもよく、このような濃度は当業者によって容易に決定することができる。好ましい実施形態において、ローディング緩衝液は、キレート剤、例えばEDTA、好ましくは0.5から10mMのEDTA、より好ましくは1から5mMのEDTA、好ましくはおよそ2mMのEDTAを含有していてもよい。また可能性のある代替のキレート剤を使用してもよく、それらは当業者に周知である。本発明の方法において陰イオン交換樹脂材料に適用され得るビタミンK依存性タンパク質を含有するローディング緩衝液は、例えば20mMのMESおよび2mMのEDTAを含有していてもよい。MESは、pH6の場合の緩衝剤の例であり、pH7およびそれを超える場合、例えばトリス緩衝液の使用が考えられる。好ましい実施形態において、ローディング材料は、例えばCHO細胞株での組換え産生からの細胞培養上清であり、これは基本的に炭酸塩およびアミノ酸によって緩衝化されていることから、ローディング緩衝液は必ずしも存在しなければならないとは限らない。
本発明の方法は、好ましくは、2価陽イオンの非存在下で、ローディングされた陰イオン交換樹脂材料を洗浄緩衝液で洗浄する工程を含む。この洗浄工程は、当業界において公知のあらゆる方法によって実行することができる。ビタミンK依存性タンパク質を本質的に溶出させることなく陰イオン交換材料から不純物を洗浄して除くのに好適な洗浄緩衝液は当業界において周知である。例えば、洗浄緩衝液は、ローディング緩衝液のpHより少なくとも1.0または少なくとも0.5pH単位低いpHを有し、好ましくは、5.5〜6.5、好ましくは5.9〜6.1である。洗浄緩衝液は、ビタミンK依存性タンパク質を有意な量で溶出させることなく、陰イオン交換樹脂材料を洗浄するのに好適なあらゆる塩濃度を含有していてもよく、このような濃度は当業者によって容易に決定することができる。例えば、洗浄緩衝液は、例えばビストリス、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液のような好適な緩衝化剤を含有していてもよく、好ましくは20mMビストリスを含有していてもよい。好ましくは、洗浄1および3は洗浄緩衝液としてトリスを有し、一方で洗浄2はMESを有する。加えて、洗浄緩衝液は、例えばEDTAのようなキレート剤を含有していてもよく、好ましくは0.5から10mMのEDTA、より好ましくは1から5mMのEDTA、好ましくはおよそ2mMのEDTAを含有していてもよい。さらに、洗浄緩衝液は、例えばNaClのような、洗浄緩衝液の導電率を調節するための好適な塩、例えば以下の陽イオンと陰イオンとの塩:K、Na、Li、NH と、塩化物イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオンのような陰イオンとの塩を含有していてもよく、これらは、≦200mMの濃度で存在していてもよく、好ましくは100mMから200mM、より好ましくは150mMから200mM、より好ましくは170mMから190mM、最も好ましくは175mMから185mMの濃度で存在していてもよい。本出願の別の好ましい実施形態において、洗浄緩衝液は、100から200mMのNaClを含有する。塩濃度の絶対値は、精製しようとするビタミンK依存性タンパク質によって決まり、最適な純度を達成するために、どのビタミンK依存性タンパク質がより低いまたはより高い塩濃度を必要とするかを決定することは、当業者の知識の範囲内である。
好ましくは、本発明のビタミンK依存性タンパク質を精製するための方法によれば、第二の洗浄工程は、上述の第一の洗浄工程の後に実行される。この洗浄工程は、溶出の直前の洗浄である場合、低い導電率で実行される。この導電率は、好ましくは、ローディングおよび第一の洗浄工程における導電率より低い。さらにより好ましくは、第3の洗浄工程を行うことができる。この実施形態は、上記で詳細に説明されている。
カルシウムを含む溶離液でビタミンK依存性タンパク質を溶出させる工程は、当業界において公知のあらゆる方法によって実行することができる。特に、好適な対陽イオンを含有する好適な溶離液は当業界において周知である。溶出緩衝液は、洗浄緩衝液のpHより高いpHを有していてもよい。pHは、好ましくは、少なくとも0.5、好ましくは1.0pH単位高い。溶出緩衝液は、本明細書に示された好ましい組合せの実施形態に従って選択されたようなpH、特に図1〜3の斜線の領域内の実施形態を有していなければならない。溶出緩衝液は、不純物、特に不活性なFIXを有意な量で溶出させずに、第一の陰イオン交換樹脂材料からビタミンK依存性タンパク質を溶出させる工程にとって好適であると本発明者らによって決定されたような塩濃度を含有する。
特に、第一の陰イオン交換カラムからの溶出工程のためにpH、導電率およびCa++濃度のパラメーターに関するパラメーター範囲内で作業することにより、25%もの不活性なビタミンK依存性タンパク質を活性なビタミンK依存性タンパク質から分離して、その活性なビタミンK依存性タンパク質含量で得られたビタミンK依存性タンパク質に富み、好ましくは不活性型を本質的に含まない、特に不活性な全長型を含まない製剤にすることが現在可能である。
例えば、溶出緩衝液は、例えばHEPES、トリス、好ましくは20mMトリス、トリス/酢酸塩、ヒスチジン、Gly−Gly、MOPS、またはトリシンのような好適な緩衝化剤を、典型的には5から50mMの範囲の濃度で含有していてもよい。また溶出緩衝液は、例えばNaClのような、緩衝液の導電率を調節するための好適な塩、例えば以下の陽イオンと陰イオンとの塩:K、Na、Li、NH と、塩化物イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオンのような陰イオンとの塩を含有していてもよく、これらは、120〜205mMの濃度で存在していてもよい。
以下は、特に好ましい緩衝液の一覧である:
トリス:pH=8.06±1.0での緩衝液、
HEPES:pH=7.7±1.0での緩衝液、
MOPS;pH=7.3±1.0での緩衝液、
トリシン:pH=8.3±1.0での緩衝液、
ヒスチジン:pH=7.6±1.0での緩衝液、
Gly−Gly:pH=7.4±1.0での緩衝液、
ビストリス:pH=6.35±1.0での緩衝液、
ACES(N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸):pH=7.0±1.0での緩衝液、
ADA(N−(2−アセトアミド)−イミノ二酢酸):pH=7.0±1.0での緩衝液、
MES:pH=およそ6.0での緩衝液。
溶出緩衝液はまた、例えばNaClのような、洗浄緩衝液の導電率を調節するための好適な塩を含有していてもよく、これらは、120〜205mMの濃度で存在していてもよい。
溶出工程の後、得られた溶出液のプールを希釈して、導電率を低下させ、陰イオンの濃度、好ましくはカルシウム濃度を増加させる。この処置は、第二の陰イオン交換樹脂への生成物の結合を防ぎ、宿主細胞のタンパク質の結合を容易にする条件をもたらす。このような希釈は当業者公知であり、周知の方法に従って行われる。例えば、1カラム容積の希釈緩衝液の添加は、Ca++を増加させて、導電率をわずかに低下させる。希釈された溶液は、好ましくは7から8、より好ましくは7.5から7.9の最終的なpHを有する。
当業者は、得られた溶出液のプールの導電率を減少させるさらなる手法も、溶出液のプールを希釈して導電率を低下させることの定義に含まれることを理解している。したがって、溶出液のプールの導電率を低くするさらなる可能性は、例えば低塩緩衝液での希釈によって、または透析によって、または透析ろ過を使用することによって緩衝液の組成を変化させることと予想される。
本明細書で使用される場合、用語「陰イオン交換樹脂材料」は、具体的な限定の基礎とならない。本発明によれば、第一および第二の樹脂としては、当業界において公知の陰イオン交換クロマトグラフィーに好適なあらゆる材料が挙げられ、例えばアガロースベースのクロマトグラフィー材料、例えばFast FlowまたはCaptoのようなセファロース、高分子合成材料、例えばToyopearlのようなポリメタクリレート、ポリスチレン/ジビニルベンゼン、例えばPoro、Source、またはセルロース、例えばCellufineが挙げられる。本発明の具体的な実施例において、第一および第二の陰イオン交換樹脂材料は、改変されたアガロースをベースとするセファロースであり、その多糖鎖は架橋されて三次元ネットワークを形成している。好ましい実施形態において、第一および第二の陰イオン交換樹脂材料としては、これらに限定されないが、リガンドとして第一アミンを有する樹脂、例えばアミノヘキシルセファロース、ベンズアミジンセファロース、リジンセファロース、またはアルギニンセファロースなどが挙げられる。別の好ましい実施形態において、第一および第二の陰イオン交換樹脂材料としては、これらに限定されないが、中性pHで正電荷を有する部分を有する樹脂、例えばジエチルアミノエタノール(DEAE)、ジメチルアミノエタン(DMAE)、またはトリメチルアミノエチル(TMAE)のようなアルキルアミノエタン、ポリエチレンイミン(PEI)、四級アミノアルキル、四級アミノエタン(QAE)、四級アンモニウム(Q)、および同種のものなどが挙げられる。特に好ましい実施形態において、陰イオン交換樹脂材料は、Q−Sepharose Fast Flow(Q−Sepharose FF)である。本発明の方法によれば、第一および第二の陰イオン交換樹脂材料は、同じであってもよいし、または異なっていてもよい。
第二の陰イオン交換工程のためのローディング緩衝液(工程d)は、第一の陰イオン交換工程で上述したものと同じであってもよい。本発明に従って提供されるような2つの陰イオン交換工程間の差は、本質的に以下の通りである。
a)第一の陰イオン交換カラムに、出発原料、すなわち好ましい実施形態においては細胞培養材料をローディングする。これは、高度に不純物を含む出発原料である。第二の陰イオン交換カラムに、すでにある程度精製された材料をローディングし、ここでこのような材料は、溶出(および補充)工程後に得られた材料である。
b)2価陽イオンの非存在下で第一の陰イオン交換カラムにローディングした後、生成物を溶出するために、2価陽イオンを用いて第一の陰イオン交換工程を実行する。
c)第二の陰イオン交換のためのローディングのpHおよび2価陽イオンの濃度は、好ましい実施形態において、ローディング(d)のpHがより高くなり、ローディング(a)後の(酸性、例えば洗浄2)洗浄または洗浄工程が使用されない場合はローディング(a)それ自体のいずれかのpHになるように選択される。さらに、ローディング(d)の導電率は酸性の洗浄と等しいが、この洗浄が実行される場合、好ましくはそれより低い。2価陽イオン濃度、例えばCa++濃度は、ローディング(d)において、工程(b)の溶出緩衝液より高い。
d)その結果として、第一の陰イオン交換カラムでは、生成物はカラムに結合し、第二の陰イオン交換カラムでは、生成物は結合しない。
本発明に係るビタミンK依存性タンパク質は、例えばカルシウム結合タンパク質のような2価陽イオンに結合しているタンパク質である。好ましい実施形態において、ビタミンK依存性タンパク質は、第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインSからなる群より選択され、特に好ましくは第IX因子、第VII因子および第X因子からなる群より選択される。
ビタミンK依存性タンパク質のための出発原料(「サンプル」)は、当業者に公知の方法を使用して得てもよく、例えば血漿由来タンパク質、遺伝子導入により産生されたタンパク質、または例えばCHO細胞を使用して組換え産生されたタンパク質が挙げられる。細胞培養からタンパク質を抽出するための分泌による方法および分泌によらない方法が当業者に周知である。その例としては、(i)遺伝子工学による、例えばRNAの逆転写および/またはDNAの増幅を介した組換えDNA産生、(ii)トランスフェクションによる、例えばエレクトロポレーションまたはマイクロインジェクションを介した原核または真核細胞への組換えDNAの導入、(iii)例えば連続式またはバッチ式での前記形質転換細胞の培養、(iv)例えば構成的な、または誘導による、ビタミンK依存性タンパク質の発現、および(v)未精製ビタミンK依存性タンパク質を得るための、例えば培養培地からの、または形質転換細胞を回収することによるタンパク質の単離に関する当業界において公知のあらゆる方法を挙げることができる。加えて、ビタミンK依存性タンパク質をコードする組換えDNA、例えばプラスミドはまた、組換えDNAでうまくトランスフェクトされた細胞を選択するための選択マーカーをコードするDNA配列を含有していてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法の出発原料は、FIXを含む材料、好ましくはFIXまたは組換え産生されたFIXを含む血漿である。FIXの組換え産生は当業界において周知である。rFIXは、組換えFIXであり、好ましい実施形態に従って細胞培養上清(CCS)中に分泌され、次いでこのCCSは本発明の方法のための出発原料として使用される。
不純物を減らすために、例えばゲル電気泳動、クロマトグラフィー、ゲルろ過、遠心分離、ろ過、沈殿、結晶化または他のあらゆる当業界において公知の方法によってタンパク質を予備精製してもよい。用語「不純物」は、本明細書で使用される場合、ビタミンK依存性タンパク質産生によって発生するあらゆる不純物を包含し、例えば、宿主細胞由来タンパク質(HCP)不純物、核酸不純物、ポリペプチド不純物、緩衝液および塩不純物、細胞培養培地から発生する不純物、目的物質由来不純物(product related impurities)、例えば二量体またはフラグメント、ならびにそれらの組合せを挙げることができる。
本明細書で説明されているような本発明の方法は、活性なFIX生成物からの、例えばFIXの不活性型およびトランケート型の除去または分離を可能にする。また本方法は、目的物質由来不純物(例えば分解産物、生成物の凝集体、粒子)の形成を極めて低いレベルに制御または維持することも可能にする。さらには、本方法は、活性化されたFIX(FIXa)の量を特に低いレベルに維持する条件を提供する。
加えて、活性なFIX生成物から製造工程由来不純物(process related impurities)(CHO HCP、CHOのDNA、培地成分)を分離して除くことにおいて、本方法は特に強力である。
特にFIX製剤中に、さらにはFIX医薬製剤中にも存在する追加の不純物は、活性化されたFIX、すなわちFIXaである。FIXaは、血栓形成性を高めることから、得られた所望のFIX製剤に負の影響を与えることが示されている。したがって、FIX製剤中のFIXa含量を低下させる方法を提供することが極めて望ましい。
本発明の方法は、本発明の方法により入手可能な製剤中でのFIXaの形成を防ぐことによってこの目的を達成する。
有利で驚くべき方法において、使用される出発原料が、細胞培養または細胞培養上清中の組換え産生されたFIXである場合、本発明に従って宿主細胞由来タンパク質(HCP)、特にCHO細胞HCPの含量を低下させることも可能である。
さらなる有利で驚くべき方法において、本発明の方法により入手可能な組成物中の、宿主細胞のDNA、特にCHOのDNAの含量を低下させることが追加で可能である。
上記の結果はさらに、本発明によって提供される収量および特異的な活性における改善に対するものである。
好ましい実施形態において、本発明の方法に従って精製されたビタミンK依存性タンパク質は、宿主細胞由来タンパク質(HCP)不純物に関して、総タンパク質中、少なくとも95%w/w、最も好ましくは少なくとも99.5%w/wのビタミンK依存性タンパク質の純度を有する。したがって、好ましい実施形態において、精製されたビタミンK依存性タンパク質中のHCP不純物の含量は、5%w/w未満、より好ましくは2%w/w未満、より好ましくは1%w/w未満、最も好ましくは0.5%w/w未満である。HCP不純物のパーセンテージ値は、生成物、すなわち精製されたビタミンK依存性タンパク質のw/wを指し、例えばHPLCまたはELISAによって測定することができる。
さらに、本発明の別の態様において、本発明の方法により入手可能な、または本発明の方法により得られた精製されたビタミンK依存性タンパク質が提供され、またさらには、本発明の方法を実行するための手段を含むキットも提供される。特に、本発明のキットは、本発明に係る陰イオン交換樹脂材料を使用したビタミンK依存性タンパク質の精製に好適な、ローディング緩衝液および/または溶離液および/または洗浄緩衝液および/または2価陽イオンの溶液を含有していてもよい。好ましい実施形態において、ローディング緩衝液、洗浄緩衝液および/または溶離液は、上記で規定された通りである。さらに、本発明のキットは、好適な陰イオン交換樹脂材料を含有していてもよい。
本発明はさらに、ビタミンK依存性タンパク質を精製するための、上記で規定されたような本発明の方法および/または上記で規定されたような本発明のキットの使用に関する。
本発明は、生成物の高収量に付随する製造工程由来タンパク質不純物を高度に低下させることを可能にする、陰イオン交換樹脂材料を使用したビタミンK依存性タンパク質を精製するための効率的な方法を提供する。
次いで第一の陰イオン交換による精製工程の希釈された溶出液のプールを、第二の陰イオン交換カラム上にローディングし、ここでビタミンK依存性タンパク質は、適用された条件下では結合しないと予想される。得られた、第二の陰イオン交換による精製のカラム流出物(affluent)中に含有されるビタミンK依存性タンパク質は、高純度および高い特異的な活性を有する。さらに、上記カラム流出物は、低含量の(CHO)HCP、低含量の(CHO)DNAおよび低含量のFIXaを有する。
第FIXa因子の含量は、その活性によって測定され、第IX因子活性に対する活性のパーセンテージとして示される。
組換えFIX(rFIX)生成物の効力(国際単位、IUで)は、世界保健機関(WHO)の第IX因子濃縮物に関する国際規格に対して較正された参照を使用した広く公知の容認されたインビトロの1段階凝固アッセイを使用して決定される。1国際単位は、1mLのプールした正常ヒト血漿中に存在するFIX活性の量である(Barrowcliffe TW, Standardization of FVIII and FIX assays, Haemophilia 2003;9:397-402)。
前記生成物中のFIXaは、一般的に当業者に周知のアッセイを使用して測定される。一例は、世界保健機関(WHO)の第IXa因子に関する国際規格に対して較正された参照を用いた市販の発色FIXaキット(例えば、Rox FIX−A、商品番号950030;Rossix、Molndal、Sweden)である。このようなアッセイを実行するために、FVIII、トロンビン、カルシウムおよびリン脂質の存在下で、FIXaによりヒトFXをFXaに活性化する。切断されるとFXaの量に比例する量でp−ニトロアニリンを放出すると予想される特異的なFXa基質を用いて、生成したFXaの量を測定する。このアッセイは、FIXaに対して極めて高感度であり、定量下限濃度は0.10mIU/mLである。
最終産物(例えば本発明の方法により得られたもの)中の予備活性化されたFIX(rFIXa)のレベルは、一貫して極めて低かった。認められた限定は、≦0.10%のFIXa活性(発色IU/mL)/FIX活性(凝固IU/mL)と設定される。しかしながら、15種の試験された本発明のバッチの実際のFIXa含量は、≦0.02%のFIXa/FIXもの低さであった。ここで特許請求された精製プロセス後に得られた全てのFIX製剤は、0.02%未満のFIXa/FIX値を有していた。単一のBeneFIXロット(E94791、市販の比較製品として)を同じアッセイで分析したところ、相対的なFIXa含量は、0.11%として測定された。
総合すると、全てのロットの相対的なFIXa含量は一貫して低く、見たところ比較製品のFIXa含量より最大10分の1低かった。
特に、本発明の方法は、以下の一般的な原理に基づく。一般的に、陰イオン交換樹脂材料へのタンパク質の結合は、より低い導電率およびより高いpH値で増加する。逆もまた同様であり、陰イオン交換樹脂材料へのタンパク質の結合は、より高い導電率およびより低いpH値で減少する。本発明の方法において、ビタミンK依存性タンパク質は、好ましくは、上記で詳細に説明したように低いpHでローディングおよび/または洗浄され、なおそれでも第一の陰イオン交換材料へのビタミンK依存性タンパク質の結合は可能であり、ビタミンK依存性タンパク質の構造的な完全性または活性も害されない。多くのタンパク質不純物は、第一の陰イオン交換樹脂材料に結合しないと予想されることから、生成物を確かに第一の陰イオン交換カラムに結合させながらも、第一の陰イオン交換樹脂材料への不純物の結合を大幅に低下させる。これらの条件下で第一の陰イオン交換樹脂材料に結合し、洗浄で除かれないタンパク質不純物は、溶出中のpHを増加させることにより共に溶出されないようにする。溶離液中のpH増加を可能にすることで、全てのタンパク質を第一の陰イオン交換樹脂材料によりいっそう強く結合させながらも、カルシウムは、溶出を引き起こす生成物と特異的に相互作用する。
第一の陰イオン交換カラムの溶出緩衝液を調節して、
− 導電率を(上述したような範囲に)、特にpHおよびCa++濃度のパラメーターと関連して具体的な範囲内に調整したり、
− pHを、導電率およびCa++濃度のパラメーターと関連して特定された範囲内に調整したり、
− カルシウム濃度を、(ローディング(a)の場合より多くに)、1〜3mMの間になるように、ただしここでもpHおよび導電率のパラメーターと関連して選択されるように増加させたりする。
これらの処置は、陰イオン交換樹脂における、不純物、特に不活性なFIXの選択的な結合、ならびに選択的な非結合および活性物質の溶出のための条件をもたらす。
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、本明細書で説明されているように、溶出液中のパラメーターの選択により、ビタミンK依存性タンパク質だけが第二の陰イオン交換材料に結合しないように、溶出液がさらに調節される。この状況において、注目すべきことに、上述したように、一般的にタンパク質はより高いpH値でより強く陰イオン交換樹脂材料に結合することから、陰性クロマトグラフィー、すなわち流出液中に精製しようとするタンパク質が存在すると予測される陰イオン交換クロマトグラフィーにとって、工程(d)でローディングするためにpHを酸性の洗浄と比較して増加させることは、極めて異例である。
重要なことに、1〜3mMのCa++を含む第一の陰イオン交換樹脂材料のための溶出緩衝液を使用することによって、本発明の方法は、驚くべきことに、かつ有利なことに、陰イオン交換クロマトグラフィーによる活性なビタミンK依存性タンパク質生成物の優れた含量を達成する。
また、工程(b)のCaによって誘導された生成物溶出中の適宜行われるpH増加(溶出緩衝液は、工程(a)のローディング緩衝液または工程(a)の酸性の洗浄より高いpHを有する)、および工程(d)のためのローディングの調節(工程(a)の酸性の洗浄より高いpH、工程(b)の溶離液より高いカルシウム)も、ビタミンK依存性タンパク質の選択的な精製を提供し、不純物が共に溶出されることを防ぐ。高いpHおよび高いカルシウムでの第二の陰イオン交換樹脂材料のローディングは、2価陽イオンを補充することによって精製しようとするタンパク質の結合を防ぎつつ、不純物を第二の陰イオン交換樹脂材料に結合させる。本発明によれば、上記の条件は、高純度および高収量のビタミンK依存性タンパク質をもたらす。本発明の方法は、例えば、低いpHで陰イオン交換樹脂材料上にタンパク質溶液をローディングし、具体的に選択されたpHおよび導電率で、1〜3mMのカルシウムを含む溶離液により生成物を溶出させ、高いpH、および増加させたカルシウム濃度下で、ただし特に溶出中の具体的に選択されたパラメーターによって、第二の陰イオン交換樹脂材料上に溶出液をローディングし、流出液を収集することによる、製造工程由来ポリペプチド不純物の有意な低減を提供することができる。
精製の方策は、とりわけビタミンK依存性タンパク質の独特な生化学的特性に基づく。例えばGla−ドメインにおいて、約12の負電荷が短いアミノ酸ストレッチ内に集中している。この負電荷は、系に2価陽イオン(例えばCa2)を添加することによって中和することができ、または正電荷にも変換することができる。この作用に基づき、例えばrFIXは、1の比電荷状態でイオン交換樹脂に結合して、Ca2の除去(または付加)により電荷を変換することによってゲルから溶出させることができる。この分離の原理は、「偽親和性クロマトグラフィー」と呼ばれる。この原理は、Gla−ドメインを含まないビタミンK依存性タンパク質にも反映される。例えばrFIXのようなビタミンK依存性タンパク質の精製に適用される本発明の方法は、活性なビタミンK依存性タンパク質に富み、好ましくは不活性なビタミンK依存性タンパク質、特に不活性な全長ビタミンK依存性タンパク質を本質的に含まない、優れたビタミンK依存性タンパク質の医薬製剤の提供を可能にする特定のパラメーター(paramenter)範囲を導入する。
rFIXの精製手法
本発明者らは、CHO DXB11親(parenteral)細胞株をベースとした組換えヒト第IX因子を発現する組換えCHO細胞株を開発した。プロ−FIXのFIXへの細胞内成熟を改善するために組換えヒトフューリンを共に発現するように細胞株を加工した。産生プロセスのために、ケモスタット様式で細胞を懸濁液中で成長させ、それらを、哺乳動物または血漿由来タンパク質が全く添加されていない化学組成が既知の培地に適応させた。成長培地にダイズペプトンを添加して、クローンの生産性を改善した。
ケモスタット生産作業において、Cuno深型フィルター(正のゼータ電位を有する)およびPVDFまたはPESフィルター膜上の0.2pmの膜ろ過での深層ろ過によって、収集された細胞培養の回収物を透明化し、細胞と死細胞片を除去した。ろ過した細胞非含有の回収物を、rFIXの精製プロセスを開発するための出発原料の代表的なものとした。
説明された本発明の方法および生成物における様々な改変およびバリエーションは、本発明の範囲および本質から逸脱することなく、当業者に明らかであると予想される。具体的な好ましい実施形態に関連して本発明を説明したが、このような実施形態に過度に限定されないものとする。
パラメーター範囲の決定および不活性なFIXの除去
目的
この一連の実験では、緩衝液のパラメーターであるpH、導電率およびカルシウム含量の、捕獲工程の性能に対する影響を調査する。統計的設計アプローチを使用して、生成物の収量および製品品質に対する作用を評価した。
導入
rFIXの下流の産生工程「CPN」は、陰イオン交換カラムでの、この実施例ではQ−Sepharose Fast Flowでのクロマトグラフによる精製である。ローディング材料は、2mMのEDTAを補充した発酵からの透明化した回収材料である。rFIXの臨床的産生に適用されたラージスケールでの精製プロセスは、典型的には、2mMのEDTAが補充されpHが約7.0〜7.4の透明化した回収物をローディングしたQ−Sepharose Fast Flowでの、陰イオン交換クロマトグラフィーによる捕獲工程から開始される。この捕獲工程の主要な目的は、製造工程由来不純物(培地成分、産生細胞由来不純物)の低減、目的物質由来不純物(トランケート型rFIX種、カルシウム感受性のないrFIX種、FIX−desGLA)の除去、および生成物の濃縮である。「偽」親和性溶出のためにカルシウムの作用を利用するクロマトグラフの陰イオン交換による精製工程にとって重要なパラメーターをリスクアセスメントによって規定した。rFIXの下流プロセス工程であるCPN(捕獲工程)をさらに評価するために、DOEアプローチを適用して、重要とみなされたパラメーター、すなわちpH(洗浄2の緩衝液および溶出緩衝液)、導電率(洗浄2の緩衝液および溶出緩衝液)およびカルシウム含量(溶出緩衝液)を包含するスモールスケールでの研究を行った。パイロット規模でのrFIXの臨床第III相生産から試験材料を得た。適切な条件を満たした、またはバリデーションされた分析方法を適用することによって、クロマトグラフによる精製の試行を分析した。得られたデータを、臨床生産データと比較して評価し、現行のパラメーター設定に関して工程のロバスト性に関する情報を得た。FIX捕獲工程のクロマトグラフの詳細は、後述される。サンプルローディングのためのタンパク質のローディング量は、樹脂1ml当たり0.8〜1.1mgのFIX抗原であった。収集は、0.2AUより大きいかまたはそれに等しいUV280傾きの有意な増加(光路長(optical pass length):5mm)に応じて開始させ、4.5CVの後に終わらせた。平衡化、洗浄1および洗浄3にはQFF−平衡緩衝液を使用し、洗浄2にはQFF−洗浄緩衝液を使用した。溶出にはQFF−溶出緩衝液を使用した。200mMのEDTAストック溶液は、室温でpH7.4±0.1であった。上記ストック溶液は、25℃で30〜35mS/cmの導電率を有していた。バリエーションおよび数種のパラメーターの作用を決定するために計画されたバリエーションを、研究される設計に対応する洗浄および溶出緩衝液ごとに導入した。臨床第3相生産作業から、凍結/融解工程を用いずに、rFIXローディング材料を採取した。捕獲工程は、カラムの活性化、平衡、生成物のローディング、洗浄1、2、3および溶出を包含する。カラムのクリーニング手法を使用して、確実に変性タンパク質のバッチ間の持越しが起こらないようにし、カラム性能に影響を及ぼす可能性があるカラムの汚染を防いだ。
実験の設計
表1に示すように、QFF−洗浄(洗浄2)緩衝液およびQFF−溶出(溶出)緩衝液の、pH、導電率およびカルシウム濃度などの5種のパラメーターを変更した。
Figure 2016512215
以下の表2において、捕獲工程で実際に使用されたプロセスパラメーターを確認する。
Figure 2016512215
Figure 2016512215
驚くべきことに、1〜3mMのカルシウム範囲が特に好適であり、極めて具体的に選択された導電率およびpHの範囲と組み合わせる必要があることを見出した本発明者らによって行われた調査の後初めて、微調整ができるようになった。
rFIX分解産物のさらなる調査
方法
・FIX欠乏血漿を使用した1工程での凝固手法によりFIXの効力を決定した。
・ 反応速度論評価方法を用いて形成された活性を測定する発色アッセイによって、FIXの効力を決定した。FIXは、キット中に含有されるFXIaおよびトロンビンによってFIXaに変換される。
・コーティングおよび検出に親和性によって精製されたポリクローナル抗体を使用したサンドイッチELISAにより、FIX抗原を分析した。
・ リン脂質、カルシウムおよび活性化されたFVIIIの存在下でFXaを生成する発色アッセイにより、FIXaを決定した。FXaは、発色性ペプチド基質を切断して、405nmで測定されるpNAを放出する。
・ 還元条件下で12%ゲルを使用してSDS−PAGEを行った。一次抗体としてポリクローナル抗FIXIgGを用いて、分離したポリペプチドのウェスタンブロット分析を行った。
・ 濃度測定:
Image Scanner III(GE Healthcare)およびLabscan6.0ソフトウェアを使用して、新たに展開させたウェスタンブロットをデジタル化した。ソフトウェアパッケージImageQuantTL(GE Healthcare)を用いて濃度測定を行った。縦軸に沿ってバンドの強度と幅を決定し、濃度曲線下面積とバンドの抗原量とを相関させる。全てのバンドの合計を100%として固定し、個々のバンドを総量のパーセンテージで示す。
結果
具体的なパラメーター範囲で作業することにより(データ示さず)、捕獲のための陰イオン交換による精製工程での不活性な全長rFIX種の除去が可能になった。結果は、DOE計算に反映され、図1〜2に示される。本発明者らは、(「第一の」)陰イオン交換クロマトグラフィーの溶出工程における導電率およびpHの両方に対して、1〜3mMのカルシウムの濃度に関するパラメーター範囲を同定することに成功したことが明らかになる。これらの範囲内で作業する場合、これらの図で示されるような斜線の領域内で溶出が行われている限りは、問題となっているプロセスの要求にパラメーターを適応させることができる。またこれらの領域は、上記した本発明の概説部分における好ましい実施形態としても規定される。
したがって、本発明は、不活性な全長FIXを本質的に含まないFIX製剤を提供することに関する分野に貢献するものとして有利なパラメーター範囲を提供する。
捕獲による精製は、Q−Sepharose Fast Flow樹脂で、低いpHでの高塩濃度洗浄および高いpHでのカルシウムによって誘導された生成物溶出を適用して行われる。表3に、rFIXの臨床生産のために適用されるような精製手法を概説し、表4に、緩衝液調合物を要約する。
Figure 2016512215
Figure 2016512215
SDS−PAGEおよび抗FIXウェスタンブロッティングによってサンプルを分析した。SDS−PAGEで(結果は示さず)、ローディング、洗浄2中に、有意な量の不純物(CHO HCPおよびトランケート型FIXタンパク質)が除去されるか、またはカラムに残り、高塩濃度のクリーニング工程で溶出されることを示すことができる。pH=8.0でのカルシウムによって誘導された溶出中に、生成物は、高純度および均一に溶出する。主要なトランケートされた形態が存在する場所は、主として洗浄2である。
流出液画分
この画分において、60kDaの類似の分子量を有する主要なトランケート型FIX種と、51kDaの分子量を有する微量のrFIX種とを見出すことができる。このゲル系において、全長FIXは、約75kDaの見かけの分子量を示す。この画分中でのトランケート型rFIXポリペプチドの量は極めて低く、凝固または発色活性を測定することはできなかった(データ示さず)。抗原のELISAデータによれば、この洗浄画分中にローディングされた抗原総量の約1〜1.5%を見出すことができ、濃度測定分析によれば、ローディングされたタンパク質総量の約0.4〜0.5%が、この画分中で見出されたトランケート型FIX種であることが示される。
洗浄2の画分
この画分において、60kDaの類似の分子量を有するトランケート型FIX種は、カラムから洗浄されて除かれる。全長FIXは、このゲル系において約75kDaの見かけの分子量を示す。トランケート型rFIXポリペプチドは、凝固または発色活性を有さない。N末端の配列決定結果から、トランケーションはC末端でなければならないこと、N末端のGLAドメインは不完全であることが示された。抗原のELISAデータによれば、この洗浄画分にローディングされた抗原総量の約6〜8%を見出すことができ、濃度測定分析によれば、ローディングされたタンパク質総量の約15〜16%が、この画分中で見出されたトランケート型FIX種であることが示される。
ろ過した回収物とCPN捕獲工程のクロマトグラフ画分と比較したところ、トランケート型FIX種の量が増加していないことから、rFIXのトランケーションは、細胞内で、または細胞培養上清中で、まだ未同定の細胞プロテアーゼにより発酵中に起こる可能性が強い。下流工程であるCPNは、このトランケート型rFIX種の含量に寄与しないかまたはそれを増加させない。
溶出液のプール画分
SDS−PAGEの結果から、全長FIX種は、溶出液のプール中で富化され、トランケート型FIX種はほんのわずかしか検出できないことが示される。FIXの特異的な活性から、特異的な活性は溶出液のプール中でより有意に高いことが示される。溶出液のプール中での特異的な活性の増加は、洗浄2および高塩濃度でのカラムクリーニング工程中、この精製工程で有意な量の不活性なFIX種が除去されるという事実と相関する。ELISA方法によってろ過した回収物(=ローディング)中で検出されたFIX抗原の約61〜72%が、捕獲による精製工程CPNの溶出液のプール中に見出される。濃度測定分析から、CPN工程でローディングされたFIX総量の約68〜75%が、溶出液のプール中では全長rFIXとして見出され、これは、FIXのELISAデータ(データ示さず)と相関することが示される。
高塩濃度クリーニング画分(溶出後液)
カラムの高塩濃度クリーニング画分中で、有意な量の不活性な全長FIXを検出することができる。抗原のELISAデータによれば、ローディングされたFIX抗原総量の約23〜28%を、このカラムクリーニング画分中に見出すことができ、濃度測定分析によれば、ローディングされたFIX抗原総量の約22〜30%が、この分画中で全長の不活性なFIXとして見出されることが示される。
CPN工程における不活性なFIX種の除去のロバスト性
スモールスケールにおけるロバスト性研究の際に、溶出条件に関連するプロセスパラメーターを調査した。
溶出緩衝液に関して、パラメーターである導電率、pHおよびカルシウム濃度をスモールスケールのDOE研究で調査した。6mMのカルシウムの溶出条件下では、不活性なFIX抗原の一部は生成物と共に溶出するようであり、高塩濃度のクリーニング画分中のFIX抗原は5.9%に低下する。高い導電率の溶出緩衝液の条件下でも、不活性なFIX抗原の一部は生成物と共に溶出するようであり、高塩濃度のクリーニング画分中のFIX抗原は16.4%に低下する。どちらのケースにおいても、FIX生成物のプールは、所定のパーセンテージの全長不活性なFIXで汚染されていると予想される。
標的タンパク質としてFVIIを使用したさらなる実験を行った。説明されたパラメーター範囲で作業している際、不活性なタンパク質の除去を確認することができた(データ示さず)。

Claims (13)

  1. ビタミンK依存性タンパク質を精製する方法であって、
    (a)2価陽イオンの非存在下または低い2価陽イオン濃度で、陰イオン交換樹脂材料(以下、「第一の陰イオン交換樹脂材料」ともいう)にローディング緩衝液中のビタミンK依存性タンパク質をローディングし、続いて適宜1から3回洗浄する工程;
    (b)カルシウムと対陰イオンとを含む溶離液を用いて、ビタミンK依存性タンパク質を溶出させて、ビタミンK依存性タンパク質を含有する溶出液を形成する工程
    を含み、ここで、
    − 該溶離液には1〜3mMのカルシウムが含まれ、
    − 該溶離液は、14〜23mS/cm(25℃)の導電率を有し、
    − 該溶離液のpHは、7.0から9.0の間である、精製方法。
  2. 以下の工程:
    (c)得られた溶出液のプールを希釈して((1)適宜それにより導電率を低下させ)、カルシウムの濃度を増加させる工程、
    (d)第二の陰イオン交換樹脂材料に、工程(c)の後に得られた溶出液をローディングする工程;および
    (e)ビタミンK依存性タンパク質を含有する流出液を収集する工程
    をさらに含む、請求項1に記載の精製方法。
  3. 工程(b)において:
    − 導電率が、7.0〜7.4のpHおよび1mMのCa++で、18から20mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.4〜7.6のpHおよび1mMのCa++で、18.5から21mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび1mMのCa++で、19から22.5mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、8.0〜9.0のpHおよび1mMのCa++で、20から23mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.0〜7.4のpHおよび2mMのCa++で、15から17.0mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.4〜7.6のpHおよび2mMのCa++で、16から18mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび2mMのCa++で、16.5から19.5mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび2mMのCa++で、17.5から21mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、8.0〜9.0のpHおよび2mMのCa++で、19.5から22mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.0〜7.4のpHおよび3mMのCa++で、14.0から15mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.4〜7.6のpHおよび3mMのCa++で、15から15.5mS/cm(25℃)の間であるか、
    − 導電率が、7.6〜8.0のpHおよび3mMのCa++で、14から16.5mS/cm(25℃)の間であるか、または
    − 導電率が、8.0〜9.0のpHおよび3mMのCa++で、15から19mS/cm(25℃)の間である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 導電率およびpHの範囲が、1mMのCa++の濃度に関しては図2Aの斜線の領域から選択され、一方で導電率およびpHの範囲は、2mMのCa++の濃度に関しては図2Bの斜線の領域から選択され、一方で導電率およびpHの範囲は、3mMのCa++の濃度に関しては図2Cの斜線の領域から選択される、請求項1から3に記載の方法。
  5. Ca++の導電率および濃度が、
    − 図3Aの斜線の領域に基づき、7.0のpHに関して、
    − 図3Bの斜線の領域に基づき、8.0のpHに関して、および
    − 図3Cの斜線の領域に基づき、9.0のpHに関して
    選択される、請求項1から4に記載の方法。
  6. ローディングする工程の後、2価陽イオンの非存在下、ただし対陰イオンの存在下での、洗浄緩衝液(1)、(2)および/または(3)を用いた1回または複数の洗浄工程(1)、(2)および/または(3)が行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 第一および第二の陰イオン交換樹脂材料が、それぞれ独立して、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級アミノアルキル、四級アミノエタン(QAE)、および四級アンモニウム(Q)からなる群より選択される正電荷を有する基を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ビタミンK依存性タンパク質が、2価陽イオン結合タンパク質、好ましくはカルシウム結合タンパク質であり、より好ましくは、第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインSからなる群より選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程(b)における溶出緩衝液(すなわち溶離液)が、2mMのカルシウムを含有し、180mMのNaClの添加により得られた約8.0のpHおよび18〜19mS/cm(25℃)の導電率を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により得られたビタミンK依存性タンパク質。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により得られた(r)FIX。
  12. 請求項10に記載のビタミンK依存性タンパク質または請求項11に記載の(r)FIXを含む医薬製剤。
  13. 活性FIXに富み、好ましくは不活性なFIXを本質的に含まないことを特徴とする、請求項12に記載の医薬製剤。
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