JP2016223460A - 旋回軸受のシール構造および旋回軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内外輪に対してシール部材が傾いて組み込まれているか否かを目視で確認することができる旋回軸受のシール構造および旋回軸受を提供する。
【解決手段】 このシール構造は、内外輪1,2間の軸受空間6の軸方向端部を密封する弾性体製のシール部材7A,7Bを備えた旋回軸受に適用される。シール部材7A,7Bは、内外輪1,2のうちのいずれか一方の軌道輪2に保持される基部20と、この基部20からそれぞれ異なる向きで内外輪1,2のうちの他方の軌道輪1に向かって延びる三つのシールリップ21,22,23とを有する。これら三つのシールリップのうちの少なくとも軸受空間6に近い二つのシールリップ21,22が他方の軌道輪1の対向する周面1aに接触する。軸受空間6から最も遠いシールリップ23は、シール部材7Aが正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 このシール構造は、内外輪1,2間の軸受空間6の軸方向端部を密封する弾性体製のシール部材7A,7Bを備えた旋回軸受に適用される。シール部材7A,7Bは、内外輪1,2のうちのいずれか一方の軌道輪2に保持される基部20と、この基部20からそれぞれ異なる向きで内外輪1,2のうちの他方の軌道輪1に向かって延びる三つのシールリップ21,22,23とを有する。これら三つのシールリップのうちの少なくとも軸受空間6に近い二つのシールリップ21,22が他方の軌道輪1の対向する周面1aに接触する。軸受空間6から最も遠いシールリップ23は、シール部材7Aが正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、例えば、風力発電装置のヨー、ブレード用の旋回座や、デッキクレーン、建設機械、物揚機械等、屋外または屋内に近接して使用される諸機械の旋回部に使用される旋回軸受のシール構造および旋回軸受に関する。
風力発電装置のヨー、ブレード用の旋回座等に使用される旋回軸受は、一般的にグリースにて潤滑される。この旋回軸受には、外部からの異物混入および軸受内部からのグリース漏れを防ぐためにゴム製のシール部材が装着されている(例えば特許文献1,2)。特許文献1,2の例にも見られるように、一般的なシール部材は2枚のシールリップを備えている。軸方向の内側に位置するシールリップは主リップであり、軸受内部からのグリース漏れを防ぐことが主な役割である。軸方向の外側に位置するシールリップは副リップであり、外部から水分、塵埃等の異物が軸受内部へ侵入するのを防ぐことが主な役割である。
上記ヨー、ブレード用の旋回軸受は、軸および軸箱に組み込まれていないため、一般の軸受と比較して、軸受の周辺部の剛性が低い。また、軸受自体も、大きさの割には軸方向、径方向寸法(断面)が小さいため、内外輪の剛性が低い。このように周辺部および内外輪の剛性が低いため、運転時に内外輪の変形が発生し易い。
一般的なシール部材は、ゴム材の内部に金属環からなる芯金を備えたものが多い。芯金を備えたシール部材は、金属の剛性があるため変形し難い。しかし、ヨー、ブレード用の旋回軸受では、内外輪間の狭い軸受空間内にシール部材を設ける必要があるため、芯金を備えたシール部材を採用することが難しい。
また、一般的なシール部材では、シールリップの緊迫力を保つため、ガータスプリングを使用することも多い。しかし、ヨー、ブレード用の旋回軸受は、先に記載したように軸方向、径方向寸法(断面)が小さいため、シール部材の断面厚さが薄く、ガータスプリングを使用した構成とすることも難しい。
したがって、ヨー、ブレード用の旋回軸受のシール部材は、ニトリルゴム等のゴム材だけで構成せざるを得ない。このようなゴム材だけからなるシール部材は、芯金を備えたシール部材やガータスプリングを使用したシール部材よりも、ゴム材の経年寸法変化によるシールリップと軌道輪との締代の減少が大きい。そこで、ヨー、ブレード用の旋回軸受のシール部材では、前記内外輪の変形や、ゴム材の経年寸法変化による締代の減少を見込んで、初期締代を設定している。
しかし、シール部材の組込み精度に問題があると、シールリップの締代が不十分となりグリース漏れが発生する可能性がある。特に、ヨー、ブレード用の旋回軸受は、直径が1000mmを超えるものが大半であり、シール部材の組込みが人の手作業で行われるため、組込み精度のばらつきが生じ易い。このため、組込み精度のばらつきを十分に考慮した設計とすることが重要である。
組込み精度で問題となるのは、軌道輪に対するシール部材の傾斜、つまり軌道輪の軸心とシール部材の中心とが一致せずに組み込まれることである。ニトリルゴム等のゴム材は金属部品と比較すると弾性変形量が大きく、理想の組込み位置からのずれや、傾きが大きくなる可能性がある。ずれ、傾きの向きによっては、軸受内部からのグリース漏れに繋がる。
例えば、図10に示す特許文献1のシール構造の場合、シール部材7が取り付けられる一方の軌道輪、例えば外輪2に対してシール部材7が傾いていると、シールリップ21,22の接触不良が生じる。すなわち、図11(A)のように軸方向内側のシールリップ21が内輪1の外周面1aから離れるか、または図11(B)のように軸方向外側のシールリップ22が内輪1の外周面1aから離れる。図11(A)の場合には、軸受空間6からのグリース漏れが生じ、図11(B)の場合には、外部から水分、塵埃等の異物が軸受空間6へ侵入が生じる。
特に、主リップであるシールリップ21は副リップであるシールリップ22に隠れて外から見えないので、図11(A)のように、シールリップ21の接触不良があっても目視で確認することが難しい。そのため、シール部材7が正しく組み込まれているか否かを容易に確認できる方法が求められる。
この発明の目的は、内外輪に対してシール部材が傾いて組み込まれているか否かを目視で確認することができる旋回軸受のシール構造および旋回軸受を提供することである。
この発明の旋回軸受のシール構造は、軌道輪である内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ軌道溝が形成され、これら内外輪の軌道溝間に複数の転動体が設けられ、前記内外輪間の軸受空間の軸方向端部を密封する弾性体製のシール部材を備え、前記シール部材は、前記内外輪のうちのいずれか一方の軌道輪に保持される基部と、この基部からそれぞれ異なる向きで前記内外輪のうちの他方の軌道輪に向かって延びる三つのシールリップとを有し、これら三つのシールリップのうちの少なくとも前記軸受空間に近い二つのシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触し、前記軸受空間から最も遠いシールリップは、前記シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態としたことを特徴とする。
この構成によると、三つのシールリップのうちの少なくとも軸受空間に最も近いシールリップおよび軸受空間に二番目に近いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触する。軸受空間に最も近いシールリップは、軸受空間からのグリース漏れを防止し、かつ軸受空間に二番目に近いシールリップは、外部から軸受空間への水分、塵埃等の異物の侵入を防止する。
軸受空間から最も遠いシールリップは、シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態であるため、このシールリップの状態を観察することで、シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で確認することができる。
軸受空間から最も遠いシールリップは、シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態であるため、このシールリップの状態を観察することで、シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で確認することができる。
この発明において、前記軸受空間から最も遠いシールリップは、前記シール部材が正しい組込み状態にあるとき前記他方の軌道輪の前記対向する周面に非接触であると良い。
この構成によると、シール部材の組込み時において、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に非接触である場合は、シール部材が正しく組み込まれたと判断され、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触している場合は、シール部材が傾いて組み込まれたと判断される。この判断は、目視により容易に行える。また、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に非接触であると、通常運転時のトルクの増大を招かずに済む。
この構成によると、シール部材の組込み時において、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に非接触である場合は、シール部材が正しく組み込まれたと判断され、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触している場合は、シール部材が傾いて組み込まれたと判断される。この判断は、目視により容易に行える。また、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に非接触であると、通常運転時のトルクの増大を招かずに済む。
上記構成において、前記内輪および外輪が互いに相対的に傾斜して、前記三つのシールリップのうちの前記軸受空間に最も近いシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面から離れた状態となった場合に、前記軸受空間から最も遠いシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する形態とすると良い。
この構成によると、内輪および外輪が互いに相対的に傾斜した場合に、軸受空間に最も近いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面から離れた状態となっても、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触することで、軸受空間からのグリース漏れを防止できる。この場合、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触することによりトルクが増大するが、軸受空間に最も近いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面から離れたことによりトルクが減少するため、全体としてのトルクはほとんど変動しない。
この構成によると、内輪および外輪が互いに相対的に傾斜した場合に、軸受空間に最も近いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面から離れた状態となっても、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触することで、軸受空間からのグリース漏れを防止できる。この場合、軸受空間から最も遠いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面に接触することによりトルクが増大するが、軸受空間に最も近いシールリップが他方の軌道輪の対向する周面から離れたことによりトルクが減少するため、全体としてのトルクはほとんど変動しない。
この発明において、前記一方の軌道輪は前記シール部材を保持するための嵌合凹部を有し、前記シール部材は、前記嵌合凹部に一部分を嵌め込むことで前記基部が保持されると良い。
この構成は、シール部材を一方の軌道輪の正しい位置に正しい姿勢で取り付けるのに有効である。
この構成は、シール部材を一方の軌道輪の正しい位置に正しい姿勢で取り付けるのに有効である。
この発明において、前記三つのシールリップのうちの前記軸受空間に最も近いシールリップは、前記基部から前記他方の軌道輪に向かうに従い前記軸受空間に近づく傾斜姿勢であり、残りの二つのシールリップは、前記基部から前記他方の軌道輪に向かうに従い前記軸受空間から遠ざかる傾斜姿勢であっても良い。
軸受空間に最も近いシールリップは、主に軸受空間からのグリース漏れを防止する役割を持つ。同シールリップが軸受空間に近づく傾斜姿勢であると、運転時に軸受空間の内圧を受けた場合に、他方の軌道輪の対向する周面に強く押し付けられて、グリース漏れの防止に有効に作用する。
軸受空間に2番目に近いシールリップは、主に外部から軸受空間への異物の侵入を防止する役割を持つ。同シールリップが軸受空間から遠ざかる傾斜姿勢であると、外圧を受けた場合に、他方の軌道輪の対向する周面に強く押し付けられて、異物の侵入防止に有効に作用する。
軸受空間から最も遠いシールリップは、主にシール部材が正しい組込み状態か否かの判断材料となる役割を持つ。同シールリップは、通常時はグリース漏れの防止にも異物の侵入防止にも関与しないので、シール性能に関しては傾斜の向きは特に問われない。同シールリップを、軸受空間に2番目に近いシールリップと同じ向きの傾斜姿勢とすることで、シール部材をコンパクトな構成とすることができる。
軸受空間に2番目に近いシールリップは、主に外部から軸受空間への異物の侵入を防止する役割を持つ。同シールリップが軸受空間から遠ざかる傾斜姿勢であると、外圧を受けた場合に、他方の軌道輪の対向する周面に強く押し付けられて、異物の侵入防止に有効に作用する。
軸受空間から最も遠いシールリップは、主にシール部材が正しい組込み状態か否かの判断材料となる役割を持つ。同シールリップは、通常時はグリース漏れの防止にも異物の侵入防止にも関与しないので、シール性能に関しては傾斜の向きは特に問われない。同シールリップを、軸受空間に2番目に近いシールリップと同じ向きの傾斜姿勢とすることで、シール部材をコンパクトな構成とすることができる。
上記構成において、前記三つのシールリップのうちの前記軸受空間に最も近いシールリップの先端面は、前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が小さく、
前記軸受空間に2番目に近いシールリップの先端面は、前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも小さく、
前記軸受空間から最も遠いシールリップの先端面は、前記内輪および外輪が互いに相対的に傾斜したときに前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が小さいのが望ましい。
前記軸受空間に2番目に近いシールリップの先端面は、前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも小さく、
前記軸受空間から最も遠いシールリップの先端面は、前記内輪および外輪が互いに相対的に傾斜したときに前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が小さいのが望ましい。
軸受空間に最も近いシールリップは、前述のように、軸受空間からのグリース漏れを防止する役割を持つ。また、軸受空間から最も遠いシールリップは、シール部材が正しい組込み状態か否かの判断材料となる役割の他に、内輪および外輪が互いに相対的に傾斜した場合に軸受空間からのグリース漏れを防止する役割を併せ持つ。このように、軸受空間からのグリース漏れを防止する役割を持つシールリップについては、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が小さいことが、グリース漏れの防止に有効である。
軸受空間に2番目に近いシールリップは、前述のように、外部から軸受空間への異物の侵入を防止する役割を持つ。このシールリップについては、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも小さいことが、異物の侵入防止に有効である。
軸受空間に2番目に近いシールリップは、前述のように、外部から軸受空間への異物の侵入を防止する役割を持つ。このシールリップについては、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも小さいことが、異物の侵入防止に有効である。
この発明の旋回軸受は、前記いずれかのシール構造を適用したものであり、風力発電装置のブレードを主軸に対して、主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持するものであっても良く、また風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持するものであっても良い。
この発明の旋回軸受のシール構造は、軌道輪である内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ軌道溝が形成され、これら内外輪の軌道溝間に複数の転動体が設けられ、前記内外輪間の軸受空間の軸方向端部を密封する弾性体製のシール部材を備えた旋回軸受のシール構造において、前記シール部材は、前記内外輪のうちのいずれか一方の軌道輪に保持される基部と、この基部からそれぞれ異なる向きで前記内外輪のうちの他方の軌道輪に向かって延びる三つのシールリップとを有し、これら三つのシールリップのうちの少なくとも前記軸受空間に近い二つのシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触し、前記軸受空間から最も遠いシールリップは、前記シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態としたため、内外輪に対してシール部材が傾いて組み込まれているか否かを目視で確認することができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図5と共に説明する。
この旋回軸受は、例えば風力発電装置のブレードを主軸に対して主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持する軸受、または風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持する軸受として使用される。
この旋回軸受は、例えば風力発電装置のブレードを主軸に対して主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持する軸受、または風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持する軸受として使用される。
図1に示すように、旋回軸受は、軌道輪である内輪1および外輪2と、これら内外輪1,2の互いに対向する周面である外周面1aおよび内周面2aにそれぞれ形成された軌道溝1b,2b間に転動自在に介在する複数の転動体としてのボール3とを備える。周方向に隣合うボール3,3間には、間座または保持器が介在している(図示せず)。
前記内外輪1,2の軌道溝1b,2bは、いずれも二つの曲面で構成されている。各軌道溝1b,2bを構成する二つの曲面は、それぞれボール3よりも曲率半径が大きく、曲率中心が互いに異なるゴシックアーチ状の断面円弧状である。各ボール3は、内輪1の軌道溝1bおよび外輪2の軌道溝2bの前記各曲面に接点で接して4点接触する。つまり、この旋回軸受は4点接触玉軸受として構成されている。前記間座は例えば樹脂材料からなる。この間座は、両側の転動体接触面が、中心部に至るに従って深く凹む球面を成す凹面形状とされている。前記保持器は、例えば鉄板から製造される。この鉄板からなる保持器は、内外輪1,2間に配置され、ボール3が入るポケットを有している。
内輪1には、複数の貫通孔4が円周方向一定間隔おきに設けられている。これら貫通孔4は、例えば、内輪1を後述のナセルのケーシング等に連結固定するために用いられる。外輪2にも、複数の貫通孔5が円周方向一定間隔おきに設けられている。これら貫通孔5は、例えば、外輪2を後述の支持台等に連結固定するために用いられる。内外輪1,2の各貫通孔4,5は、軸受軸方向に平行に形成されている。
シール構造について説明する。
内外輪1,2間の軸受空間6にはグリースが充填され、前記軸受空間6の軸方向の両端すなわち上下端がシール部材7A,7Bによりそれぞれ密封されている。軸受空間6の上端のシール構造も下端のシール構造も同じ構造であるので、代表して上端のシール構造について説明する。
内外輪1,2間の軸受空間6にはグリースが充填され、前記軸受空間6の軸方向の両端すなわち上下端がシール部材7A,7Bによりそれぞれ密封されている。軸受空間6の上端のシール構造も下端のシール構造も同じ構造であるので、代表して上端のシール構造について説明する。
図2は軸受空間6の上端のシール構造の分解図である。同図に示すように、外輪2の内周面2aの上端部には、シール部材7Aを取り付けるための環状切欠き10が設けられている。環状切欠き10は、外輪2の内周面2aから上端面2cに渡る断面形状が略長方形の主部11と、この主部11の径方向中間部から下方に延びる嵌合凹部12とで構成される。主部11の底面となる外輪2の上面の高さは嵌合凹部12の両側で異なっており、内径側上面13の方が外径側上面14よりも低く形成されている。内径側上面13は水平面であり、外径側上面14は外径側に行くに従い低位となる傾斜面である。嵌合凹部12の外周側の壁面には、圧入代としての環状溝15が形成されている。この例の場合、環状溝15は、嵌合凹部12の軸方向の中間部よりも若干上側に位置し、断面形状が円弧状である。
シール部材7Aは、ニトリル系、アクリル系等の弾性体からなり、前記環状切欠き10に取り付けられる基部20と、この基部20からそれぞれ異なる向きで内径側に延びる三つのシールリップ21,22,23とからなる。軸受空間6に最も近いシールリップ21は、外輪2の軸方向の内側に延び、残りの二つのシールリップ22,23は前記軸方向の外側に延びている。なお、前記軸方向の「内側」、「外側」とは、軸受空間6に対して内側であるか外側であるかを指す。
前記三つのシールリップのうちの軸受空間6に近い二つのシールリップ21,22は、図1に示すシール部材7Aの正しい組込み状態において内輪1の外周面1aに接触する。軸受空間6に最も近いシールリップ21は、主に軸受空間6からのグリース漏れを防ぐ主リップであり、軸受空間6に2番目に近いシールリップ22は、主に外部から水分、塵埃等の異物が軸受空間6へ侵入するのを防ぐ副リップである。軸受空間6から最も遠いシールリップ23は、図1に示すシール部材7Aの正しい組込み状態において内輪1の外周面1aに非接触である。このシールリップ23は、シール部材7Aが正しく組み込まれた否かを判断する傾斜検知用リップである。
シール部材7Aの基部20は、前記環状切欠き10の主部11に配置される基部本体20aと、この基部本体20aから軸方向の内側に突出し前記嵌合凹部12に嵌まり込む嵌合凸部20bとからなる。嵌合凸部20bの軸方向の突出長さは、嵌合凹部12の軸方向深さよりも寸法が短い。また、嵌合凸部20bの径方向の幅は、嵌合凹部12の径方向の幅よりも若干狭い。
嵌合凸部20bの外径側の面には、嵌合凹部12の前記環状溝15に圧入嵌合させる第1の環状突起25が突出している。この第1の環状突起25は、環状溝15に対応する軸方向の位置にあり、かつ断面形状が円弧状である。また、嵌合凸部20bの内径側の面には、第1の環状突起25よりも径方向寸法および軸方向寸法が共に小さい第2の環状突起26が突出している。
シール部材7Aを外輪2の環状切欠き10に組み込むにあたっては、図1のように、基部本体20aを環状切欠き10(図2)の主部11(図2)に配置させ、かつ嵌合凸部20bを環状切欠き10の嵌合凹部12に圧入により嵌め込む。嵌合凸部20bを嵌合凹部12に嵌め込んだ状態において、環状切欠き10の主部11の周面16にシール部材7Aの基部本体20aの端面29が当接する。環状切欠き10の前記内径側上面13とシール部材7Aの基部本体20aの内径側下面27とは互いに離れている。また、環状切欠き10の前記外径側上面14とシール部材7Aの基部本体20aの外径側下面28も互いに離れている。さらに、嵌合凹部12の底面17と嵌合凸部20bの下面30も互いに離れている。
このシール部材7Aの組込み状態では、嵌合凹部12に嵌合凸部20bが嵌まり込むことで、シール部材7Aの基部20が外輪2の環状切欠き10に保持される。このとき、第1の環状突起25が環状溝15に係合することで、嵌合凹部12から嵌合凸部20bが抜けなくしている。また、第2の環状突起26が嵌合凹部12の内周側の壁面に押されて変形し、圧入代として機能する。これにより、シール部材7Aの嵌合凸部20bは、外輪2に対して周方向、径方向、および軸方向に完全に固定された状態となる。嵌合凹部12を嵌合凸部20bの底面および壁面に接着剤で固定すれば、嵌合凸部20bの固定力がより一層高まる。
この実施形態の場合、環状切欠き10の主部11の周面16が、組込み状態においてシール部材7Aを適正姿勢に維持させる基準面となる。周面16は、軸方向に沿う面である。この基準面に当接させるシール部材7Aの当接面は、基部本体20aの端面29である。図の例では、基準面が前記周面16だけであるが、基準面を2面以上としてもよい。その場合、基準面は、軸方向に沿う面であってもよく、軸方向と垂直な面であっても良い。
図3は、各リールリップ21,22,23の詳細を示す図である。
軸受空間6に最も近い主リップとしてのシールリップ21は、基部20から外輪2の軸方向の内側に斜めに延びている。つまり、先端側に行くに従い軸受空間6に近づく傾斜姿勢である。また、このシールリップ21の先端面は、内輪1の外周面1aに接触する接点P1から内向きに延びる内向き面21aと、外向きに延びる外向き面21bとで構成される。内向き面21aと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ1a、外向き面21bと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ1bとした場合、θ1a>θ1bの関係となるようにしてある。
軸受空間6に最も近い主リップとしてのシールリップ21は、基部20から外輪2の軸方向の内側に斜めに延びている。つまり、先端側に行くに従い軸受空間6に近づく傾斜姿勢である。また、このシールリップ21の先端面は、内輪1の外周面1aに接触する接点P1から内向きに延びる内向き面21aと、外向きに延びる外向き面21bとで構成される。内向き面21aと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ1a、外向き面21bと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ1bとした場合、θ1a>θ1bの関係となるようにしてある。
主リップであるシールリップ21は、前述のように、軸受空間6からのグリース漏れを防止する役割を持つ。シールリップ22が軸受空間6の中心に近づく傾斜姿勢であると、運転時に軸受空間6の内圧を受けた場合に、内輪1の外周面1aに強く押し付けられて、グリース漏れの防止に有効に作用する。また、内向き面21aと内輪1の外周面1aとが成す角度θ1aよりも、外向き面21bと内輪1の外周面1aとが成す角度θ1bの方が小さいと、グリース漏れの防止に有利である。
軸受空間6に2番目に近い副リップとしてのシールリップ22は、基部20から外輪2の軸方向の外側に延びている。つまり、先端側に行くに従い軸受空間6の中心から遠ざかる傾斜姿勢である。また、このシールリップ22の先端面は、内輪1の外周面1aに接触する接点P2から内向きに延びる内向き面22aと、外向きに延びる外向き面22bとで構成される。内向き面22aと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ2a、外向き面22bと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ2bとした場合、θ2a<θ2bの関係となるようにしてある。
副リップであるシールリップ22は、前述のように、外部から軸受空間6への異物の侵入を防止する役割を持つ。シールリップ22が軸受空間6の中心から遠ざかる傾斜姿勢であると、外力を受けた場合に、内輪1の外周面1aに強く押し付けられて、異物の侵入防止に有効に作用する。また、内向き面22aと内輪1の外周面1aとが成す角度θ2aの方が、外向き面22bと内輪1の外周面1aとが成す角度θ2bよりも小さいと、異物の侵入防止に有利である。
軸受空間から最も遠い傾斜検知用リップとしてのシールリップ23も、シールリップ22と同様に、基部20から外輪2の軸方向の外側に延びている。つまり、先端側に行くに従い軸受空間6の中心から遠ざかる傾斜姿勢である。また、このシールリップ23の先端面は、内輪1の外周面1aに接触した場合の接点P3から内向きに延びる内向き面23aと、外向きに延びる外向き面23bとで構成される。内向き面23aと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ3a、外向き面23bと内輪1の外周面1aとが成す角度をθ3bとした場合、θ3a>θ3bの関係となるようにしてある。
傾斜検知用リップであるシールリップ23は、前述のシール部材7Aが正しい組込み状態か否かの判断材料となる役割の他に、後述するように内輪1および外輪2が互いに相対的に傾斜した場合に軸受空間6からのグリース漏れを防止する役割を併せ持つ。但し、通常時には、シールリップ23は、グリース漏れの防止に関与しない。そのため、グリース漏れの防止には不利であるが、シール部材7Aのコンパクト化を図るのに有利なように、シールリップ22と同じ軸受空間6の中心から遠ざかる傾斜姿勢としてある。一方で、グリース漏れの防止に有利なように、内向き面23aと内輪1の外周面1aとが成す角度θ3aよりも、外向き面23bと内輪1の外周面1aとが成す角度θ3bの方が小さくしてある。
このシール構造の作用を図4、図5と共に説明する。
シール部材7Aの正しい組込み状態では、図4(A)のように、外輪2の基準面である周面16にシール部材7Aの当接面である端面29が当接することで、固定状態の嵌合凸部20bを除くシール部材7Aの部分が外側へ浮き上がるのを規制する。つまり、軸受空間6の内圧上昇により、シールリップ21,22,23が外側へ変位するように弾性変形するのを規制する。これにより、主リップであるシールリップ21が内輪1の外周面1aに接触する状態に保たれて、軸受空間6からのグリース漏れが防止される。このようにシール部材7Aが正しく組み込まれた状態での運転時には、シールリップ23が内輪1の外周面1aに非接触であるため、トルクの増大を招かない。
シール部材7Aの正しい組込み状態では、図4(A)のように、外輪2の基準面である周面16にシール部材7Aの当接面である端面29が当接することで、固定状態の嵌合凸部20bを除くシール部材7Aの部分が外側へ浮き上がるのを規制する。つまり、軸受空間6の内圧上昇により、シールリップ21,22,23が外側へ変位するように弾性変形するのを規制する。これにより、主リップであるシールリップ21が内輪1の外周面1aに接触する状態に保たれて、軸受空間6からのグリース漏れが防止される。このようにシール部材7Aが正しく組み込まれた状態での運転時には、シールリップ23が内輪1の外周面1aに非接触であるため、トルクの増大を招かない。
組込み時に外力が加わることで、図4(B)のように、シール部材7Aが軸受空間6の内側へ倒れ込むことがある。その場合、傾斜検知用リップであるシールリップ23が内輪1の外周面1aに接触する。このようにシールリップ23が内輪1の外周面1aに接触した場合、シール部材7Aが正しく組み込まれていないと判断する。逆に、シールリップ23が内輪1の外周面1aに非接触である場合は、シール部材7Aが正しく組み込まれたと判断する。このように、シールリップ23が内輪1の外周面1aに接触しているか接触していないかを観察するだけで良いので、この判断は目視により容易に行える。
また、図5のように、運転中に内輪1および外輪2が互いに相対的に傾斜することがある。その場合、主リップであるシールリップ21が内輪1の外周面1aから離れた状態となる。しかし、傾斜検知用リップであるシールリップ23が内輪1の外周面1aに接触することで、軸受空間6からのグリース漏れを防止できる。この場合、シールリップ23が内輪1の外周面1aに接触することによりトルクが増大するが、シールリップ21が内輪1の外周面1aから離れたことによりトルクが減少するため、全体としてのトルクはほとんど変動しない。
以上に説明した上端のシール構造では、シール部材7Aを取り付けるための環状切欠き10が外輪2に設けられ、シール部材7Aのシールリップ21,22が内輪1の外周面1aに接触する。つまり、外輪2が請求項で言う一方の軌道輪であり、内輪1が請求項で言う他方の軌道輪である。
対して、下端のシール構造では、シール部材7Bを取り付けるための環状切欠き10が内輪1に設けられ、シール部材7Bのシールリップ21,22が外輪2の内周面に接触する。つまり、内輪1が請求項で言う一方の軌道輪であり、外輪2が請求項で言う他方の軌道輪である。
但し、これはこの実施形態に限ってのことであり、一方の軌道輪は内輪1、外輪2のいずれであっても良く、他方の軌道輪は外輪2、内輪1のいずれであっても良い。
対して、下端のシール構造では、シール部材7Bを取り付けるための環状切欠き10が内輪1に設けられ、シール部材7Bのシールリップ21,22が外輪2の内周面に接触する。つまり、内輪1が請求項で言う一方の軌道輪であり、外輪2が請求項で言う他方の軌道輪である。
但し、これはこの実施形態に限ってのことであり、一方の軌道輪は内輪1、外輪2のいずれであっても良く、他方の軌道輪は外輪2、内輪1のいずれであっても良い。
以上のように、このシール構造は、主リップ(21)および副リップ(22)の外側に傾斜検知用リップ(23)を設けたことにより、シール部材7Aが正しい組込み状態か否か判断することができると共に、内輪1および外輪2が互いに相対的に傾斜した場合における軸受空間6からのグリース漏れを防止することができる。このシール構造に用いられるシール部材7A,7Bは、主リップ(21)および副リップ(22)だけからなるシール部材に比べて、傾斜検知用リップ(23)の分だけ多くの材料を要するが、製造工程は変わらないので、わずかなコストアップにしかならない。
図6は上記シール構造の異なる適用例を示す。この適用例では、内輪1の上端の高さが、シール部材7Aの傾斜検知用リップであるシールリップ23の先端の高さよりも低い。そのため、図6(B)のように、シール部材7Aが傾斜して組み込まれていても、シールリップ23の先端が内輪1の外周面1aに接触しない。そこで、この適用例の場合は、シールリップ23の先端の径方向位置を直接測定し、この測定値φxxxと、予め分かっている内輪1の外周面1aの径方向位置とを比較することで、シール部材7Aが傾斜しているか否かを判断する。
上記のように、シールリップ23の先端の径方向位置を直接測定するのに代えて、図7のように傾斜検知用治具40を用いても良い。傾斜検知用治具40は、例えば内輪1と同径の円形体であり、内輪1の上に内輪1と軸心を一致させて載置して使用される。この場合、シール部材7Aが傾斜していると、シールリップ23の先端が傾斜検知用治具40の外周面40aに接触する。すなわち、傾斜検知用治具40を用いることで、図4に示す適用例と同様に、シール部材7Aが傾斜しているか否かを目視で判断することができる。
図8および図9は風力発電装置の一例を示す。この風力発電装置51は、支持台52上にナセル53を水平旋回自在に設け、このナセル53のケーシング54内に主軸55を回転自在に支持し、この主軸55のケーシング54外に突出した一端に、旋回翼であるブレード56を取り付けてなる。主軸55の他端は増速機57に接続され、増速機57の出力軸58が発電機59のロータ軸に結合されている。
ナセル53は、旋回軸受BR1により旋回自在に支持される。前記各実施形態のうちのいずれかのシール構造が適用された旋回軸受において、例えば、外輪2の外周面にギヤ等が設けられたものが、前記ナセル53用の旋回軸受BR1に用いられる。図8に示すように、ケーシング54に複数の駆動源60が設置され、各駆動源60に図示しない減速機を介してピニオンギヤが固定される。外輪2(図1)の前記ギヤが前記ピニオンギヤに噛み合うように配置される。例えば、外輪2が複数の貫通孔5により支持台52に連結固定され、内輪1(図1)がケーシング54に固定される。複数の駆動源60を同期して駆動させ、この旋回駆動力を外輪2へ伝達する。よって、支持台52に対してナセル53が相対的に旋回可能となる。
ブレード56は、旋回軸受BR2により旋回自在に支持される。この旋回軸受BR2は、前記各実施形態のうちのいずれかのシール構造が適用された旋回軸受において、例えば、内輪1の内周面にギヤを設けたものが適用される。主軸55の突出した先端部55aには、ブレード56を旋回駆動する駆動源が設けられる。前記先端部55aにこの旋回軸受の外輪2が連結固定され、内輪1の内周面に設けたギヤが、前記駆動軸のピニオンギヤに噛み合っている。この駆動源を駆動させ、この旋回駆動力を内輪1に伝達することで、ブレード56が旋回可能となる。したがって、旋回軸受BR2は、風力発電装置のブレード56を主軸55に対して、主軸軸心L1に略垂直な軸心L2回りに旋回自在に支持する。このように、ブレード56の角度およびナセル53の向きを風の状態に合わせて随時変更する。
この発明の旋回軸受を、風力発電装置以外の油圧ショベル、クレーン等の建設機械、工作機械の回転テーブル、砲座、パラボラアンテナ等にも適用できる。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…内輪(他方の軌道輪)
1a…外周面(対向する周面)
1b…軌道溝
2…外輪(一方の軌道輪)
1b…内周面(対向する周面)
2b…軌道溝
3…ボール(転動体)
6…軸受空間
7A,7B…シール部材
12…嵌合凹部
20…基部
21,22,23…シールリップ
21a,22a,23a…内向き面
21b,22b,23b…外向き面
53…ナセル
56…ブレード
BR1,BR2…旋回軸受
P1,P2,P3…接点
1a…外周面(対向する周面)
1b…軌道溝
2…外輪(一方の軌道輪)
1b…内周面(対向する周面)
2b…軌道溝
3…ボール(転動体)
6…軸受空間
7A,7B…シール部材
12…嵌合凹部
20…基部
21,22,23…シールリップ
21a,22a,23a…内向き面
21b,22b,23b…外向き面
53…ナセル
56…ブレード
BR1,BR2…旋回軸受
P1,P2,P3…接点
Claims (8)
- 軌道輪である内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ軌道溝が形成され、これら内外輪の軌道溝間に複数の転動体が設けられ、前記内外輪間の軸受空間の軸方向端部を密封する弾性体製のシール部材を備えた旋回軸受のシール構造において、
前記シール部材は、前記内外輪のうちのいずれか一方の軌道輪に保持される基部と、この基部からそれぞれ異なる向きで前記内外輪のうちの他方の軌道輪に向かって延びる三つのシールリップとを有し、これら三つのシールリップのうちの少なくとも前記軸受空間に近い二つのシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触し、前記軸受空間から最も遠いシールリップは、前記シール部材が正しい組込み状態か否かを目視で判断できる形態としたことを特徴とする旋回軸受のシール構造。 - 請求項1に記載の旋回軸受のシール構造において、前記軸受空間から最も遠いシールリップは、前記シール部材が正しい組込み状態にあるとき前記他方の軌道輪の前記対向する周面に非接触である旋回軸受のシール構造。
- 請求項2に記載の旋回軸受のシール構造において、前記内輪および外輪が互いに相対的に傾斜して、前記三つのシールリップのうちの前記軸受空間に最も近いシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面から離れた状態となった場合に、前記軸受空間から最も遠いシールリップが前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する形態とした旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の旋回軸受のシール構造において、前記一方の軌道輪は前記シール部材を保持するための嵌合凹部を有し、前記シール部材は、前記嵌合凹部に一部分を嵌め込むことで前記基部が保持される旋回軸受のシール構造。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の旋回軸受のシール構造において、前記三つのシールリップのうちの前記軸受空間に最も近いシールリップは、前記基部から前記他方の軌道輪に向かうに従い前記軸受空間に近づく傾斜姿勢であり、残りの二つのシールリップは、前記基部から前記他方の軌道輪に向かうに従い前記軸受空間から遠ざかる傾斜姿勢である旋回軸受のシール構造。
- 請求項5に記載の旋回軸受のシール構造において、前記三つのシールリップのうちの前記軸受空間に最も近いシールリップの先端面は、前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が小さく、
前記軸受空間に2番目に近いシールリップの先端面は、前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも小さく、
前記軸受空間から最も遠いシールリップの先端面は、前記内輪および外輪が互いに相対的に傾斜したときに前記他方の軌道輪の前記対向する周面に接触する接点から内向きに延びる内向き面と、前記接点から外向きに延びる外向き面とを有し、前記内向き面と前記対向する周面とが成す角度よりも、前記外向き面と前記対向する周面とが成す角度の方が小さい、
旋回軸受のシール構造。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシール構造を有し、風力発電装置のブレードを主軸に対して、主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持する旋回軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシール構造を有し、風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持する旋回軸受。
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