JP2016211685A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャンセラ室を有する自動変速機において、Nレンジにシフト操作された際に発生する意図しないクラッチの係合による車両移動を防止できる車両の制御装置を提供する。【解決手段】ニュートラルレンジへ切り替えられた際に、キャンセラ室38の機能が低下していると判定されるときには、車両6を制動状態に制御することによって、ニュートラルレンジへの切替後において、油圧室32で発生する遠心油圧に起因する意図しない第1クラッチC1の係合による車両6の移動を防止することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、遠心油圧キャンセラ室を有する自動変速機を備えた車両の制御に関するものである。
自動変速機において、その自動変速機に備えられるクラッチの係合油室内に残存するオイルが高回転で回転させられることで発生する遠心油圧によって、意図しないクラッチの係合を抑制するように、そのクラッチの係合油室と隣り合う位置に形成され、その係合油室の遠心油圧を相殺する油圧を発生させるキャンセラ室を設けたものが知られている。特許文献1の自動変速機がそれである。上記キャンセラ室内にオイルが充填されると、クラッチの係合油室で発生する遠心油圧を相殺する油圧がキャンセラ室で発生するため、クラッチの意図しない係合が防止される。
ところで、例えばエンジン始動からの経過時間が短い場合や、動力伝達レンジであるドライブレンジ(Dレンジ)から非動力伝達レンジであるニュートラルレンジ(Nレンジ)へのシフト操作が実行されてからの経過時間が短い場合、キャンセラ室に十分なオイルが充填されずにキャンセラ室の機能が低下し、クラッチの係合油室内に残存したオイルの遠心油圧によって、クラッチが係合側に作動し、車両が移動する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、キャンセラ室を有する自動変速機において、DレンジからNレンジにシフト操作された際に発生する意図しないクラッチの係合による車両の移動を防止できる車両の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、第1発明の要旨とするところは、(a)クラッチの係合油室内のオイルによって発生する遠心油圧を相殺するためのキャンセラ室を有する自動変速機を備えた車両の制御装置であって、(b)ニュートラルレンジへの切替を検出する検出部と、(c)前記キャンセラ室の機能低下を判定する判定部と、(d)前記検出部によってニュートラルレンジへの切替を検出し、且つ、前記判定部によって前記キャンセラ室の機能低下を判定した場合に、前記車両を制動状態に制御する制動部とを、備えることを特徴とする。
このように、ニュートラルレンジへ切り替えられた際に、キャンセラ室の機能が低下しているときには、車両を制動状態に制御することによって、ニュートラルレンジへの切替後において、係合油室で発生する遠心油圧に起因する意図しないクラッチの係合による車両の移動を防止することができる。
また、第1発明の車両の制御装置において、前記制動部は、車両停止レンジであるパーキングレンジへ切り替えるものである。これより、車両が機械的にロックされ、車両の移動が確実に防止される。
また、第1発明の車両の制御装置において、前記制動部は、車輪に設けられている制動装置を作動させるものである。これより、車輪に制動力が付与されることにより、車両の移動が確実に防止される。
また、第1発明の車両の制御装置において、前記判定部は、エンジンの始動からの経過時間が予め設定されている所定値未満である場合、ならびに、ニュートラルレンジに切り替えられてからの経過時間が予め設定されている所定値未満である場合に、キャンセラ室の機能が低下したものと判定する。エンジン始動からの経過時間が短い場合やニュートラルレンジへの切替からの経過時間が短い場合には、キャンセラ室に十分なオイルが充填されず、キャンセラ室において係合油室で発生する遠心油圧を相殺する油圧を発生させることが困難となる。従って、判定部は、上記条件を満たす場合には、キャンセラ室の機能低下を判定する。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両6(図2参照)に備えられる自動変速機10の断面図の一部を示している。自動変速機10は、油圧式摩擦係合装置であるクラッチ(C1、C2等)およびブレーキ(B1、B2等)を複数個備えて構成されており、これらクラッチおよびブレーキの係合状態が切り替えられることで、複数の変速段に変速可能に構成されている。図1は、車両発進時に係合される第1クラッチC1および第1クラッチC1の内周側に配置される第2クラッチC2の断面図に対応している。なお、第1クラッチC1が、本発明のクラッチに対応している。
第1クラッチC1および第2クラッチC2は、何れも回転軸線Cまわりに配置されている。第1クラッチC1は、第1回転部材12と第2回転部材14とを断接可能に設けられている。第1クラッチC1は、径方向において第1回転部材12と第2回転部材14との間に設けられている摩擦係合要素16と、摩擦係合要素16を押圧するためのピストン18と、ピストン18を軸線C方向(以下、軸線方向)で摩擦係合要素16から遠ざかる方向に付勢するスプリング20と、スプリングを保持する仕切り壁22とを、含んで構成されている。
第1回転部材12は、一方が開口する有底円筒状に形成され、回転軸線Cまわりに回転可能に配置されている。第1回転部材12は、径方向外側に位置する円筒状の円筒部12aと、円筒部12aの軸線方向の一端に連結されて径方向内側に伸びる底部12bとから構成されている。第1回転部材12の円筒部12aの内周側に第1クラッチC1の摩擦係合要素16が配置されている。
第2回転部材14は、一方が開口する有底円筒状に形成され、回転軸線Cまわりに回転可能に配置されている。第2回転部材14の径方向外側に位置する円筒状の円筒部14aの外周側には、第1クラッチC1の摩擦係合要素16が配置され、その円筒部14aの内周側には、第2クラッチC2の摩擦係合要素が配置されている。
径方向において第1回転部材12の円筒部12aと第2回転部材14の円筒部14aとの間に、摩擦係合要素16が配置されている。摩擦係合要素16は、第1回転部材12の円筒部12aの内周面に相対回転不能かつ軸線方向への移動可能にスプライン嵌合されている複数枚の摩擦プレート24と、第2回転部材14の円筒部14aの外周面に相対回転不能かつ軸方向への移動可能にスプライン嵌合されている複数枚の摩擦プレート26と、第1回転部材12の円筒部12aの内周面に軸方向への移動不能に設けられているスナップリング28とを、含んで構成されている。摩擦プレート24と摩擦プレート26とは、軸線方向で交互に積層されて配置されている。スナップリング28は、軸線方向においてピストン18から遠ざかる側に配置されており、摩擦プレート24および摩擦プレート26の軸線方向の一方への移動を規制するために設けられている。
ピストン18は、その内周部が、第1回転部材12の底部12bに形成されている環状溝30の内周面と外周面との間に摺動可能に嵌合されている。また、ピストン18の外周部には、摩擦係合要素16を押圧するための押圧部18aが形成されている。
ピストン18と、第1回転部材12の環状溝30とによって油密な油圧室32が形成されている。この油圧室32内にオイルが供給されることにより、ピストン18が、軸線方向で摩擦係合要素16を押圧する方向に移動させられる。すなわち、油圧室32内のオイルの油圧によってピストン18が摩擦係合要素16を押圧する押圧力が制御される。この油圧室32には、油圧制御回路40(図2参照)から、軸線Cを中心に回転可能に配置されている回転軸34に形成されている油路34a、第2回転部材14の内周端部に連結されている円筒部材36に形成されている油路36a、第1回転部材12に形成されている油路12cを介してオイルが供給される。なお、油圧室32が、本発明の係合油室に対応している。
仕切り壁22は、円盤状に形成されており、内周端部がスナップリングによって第1回転部材12に軸線方向への移動不能に固定され、外周端部がピストン18の押圧部18aに形成されている内周面に摺接させられている。この仕切り壁22とピストン18との間にスプリング20が介挿されており、ピストン18を軸線方向において摩擦係合要素16から遠ざかる方向に付勢している。従って、油圧室32にオイルが供給されない状態では、スプリング20の付勢力によって、ピストン18が摩擦係合要素16を押圧しない位置に移動させられる。
ここで、仕切り壁22、ピストン18、および第1回転部材の底部12bによって囲まれた油密な空間であるキャンセラ室38が形成されている。キャンセラ室38は、ピストン18を隔てて油圧室32と軸線方向で隣り合う位置に形成されている。キャンセラ室38には、第1回転部材12に形成されている油路12dや円筒部材36に形成されている油路36bを介してオイル(潤滑油)が供給される。このキャンセラ室38に供給されるオイルは、エンジン8(図2参照)によって駆動される図示しないオイルポンプから吐出されるオイルの一部であり、オイルポンプが所定時間以上駆動すると、キャンセラ室38に十分なオイルが充填されることとなる。
上記のように構成される第1クラッチC1の作動について説明する。油圧室38にオイルが供給されると、ピストン18がスプリング20の付勢力に抗って軸線方向で摩擦係合要素16側に移動させられ、その摩擦係合要素16を押圧する。ここで、摩擦プレート24、26の軸線方向においてピストン18と反対側にはスナップリング28が固設されているために摩擦プレート24、26の軸線方向への移動が規制され、ピストン18が摩擦係合要素16を押圧するに従って、摩擦プレート24、26が摩擦係合させられる。そして、摩擦係合要素16が完全係合させられると、第1回転部材12と第2回転部材14との接続が完了する。
また、例えばシフトレンジが動力伝達遮断レンジであるニュートラルレンジへ切り替えられるなどして、第1クラッチC1が係合された状態から第1クラッチC1を解放する指令が出力された際には、油圧室32内のオイルが排出されるが、油圧室32内にオイルが残存していると、例えばアクセルペダルが踏み込まれるなどして油圧室32が高速で回転させられた場合には、油圧室32のオイルによる遠心油圧が発生する。この遠心油圧によってピストン18が摩擦係合要素16側に移動させられ、ピストン18が摩擦係合要素16を押圧する可能性がある。これに対して、油圧室32のピストン18を隔てた隣にキャンセラ室38が形成されているため、このキャンセラ室38に充填されているオイルによっても油圧が発生し、油圧室32の遠心油圧が相殺される。このようにして、油圧室32内で発生する遠心油圧によるピストン18の移動が抑制される。
ところで、エンジン始動からの経過時間が短い場合、或いは、動力伝達レンジであるドライブレンジ(Dレンジ)から動力伝達遮断レンジであるニュートラルレンジ(Nレンジ)への切替からの経過時間が短い場合では、キャンセラ室38に十分なオイルが充填されず、キャンセラ室38の機能が低下する。このような場合には、油圧室32内のオイルの遠心油圧によってピストン18が摩擦係合要素16側に移動させられて摩擦係合要素16を押圧する可能性がある。また、第1クラッチC1は、発進時に係合される発進クラッチであることから、摩擦係合要素16が押圧されると、第1クラッチC1においてトルクが伝達され、車両6が移動する可能性があった。
これに対して、本実施例では、上述する制御を実行することによって、キャンセラ室38の機能が低下した場合であっても車両6の移動を防止する。図2は、図1の自動変速機10を備えた車両6の全体構造、およびその車両6の制御系統ならびに制御機能の要部を説明する図である。
車両6は、エンジン8と、トルクコンバータ9と、自動変速機10と、差動歯車機構11と、左右車軸13と、左右駆動輪15(車輪)とを、含んで構成されている。エンジン8のトルクは、トルクコンバータ9、自動変速機10、差動歯車装置11、および左右車軸13を介して左右駆動輪15に伝達される。
車両6は、図2に示すような電子制御装置50(本発明の制御装置に対応)を備えている。電子制御装置50は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン8の出力制御や自動変速機10の変速制御等を実行するようになっている。この電子制御装置50は、必要に応じてエンジン制御用や変速制御用等に分けて構成される。
上記電子制御装置50には、アクセル開度センサ52により検出されたアクセルペダル53の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル操作量信号、エンジン回転速度センサ54により検出されたエンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Neを表す信号、スロットル弁開度センサ56により検出された電子スロットル弁の開度θthを表すスロットル弁開度信号、タービン回転速度センサ58により検出されたトルクコンバータ9のタービン軸(自動変速機10の入力軸)の回転速度であるタービン回転速度Nt(入力軸回転速度Nin)を表す信号、車速センサ60により検出された自動変速機16の出力軸の回転速度Noutすなわち車速Vに対応する車速信号、ブレーキスイッチ62によって検出されるブレーキ踏力に対応するブレーキペダル63の操作量Brを表す信号、シフト操作装置64からのシフトポジションPshを表す信号、油温センサ66によって検出される油圧制御回路40内のオイルの油温Toilを表す信号などがそれぞれ供給される。
また、電子制御装置50からは、電子スロットル弁の開度θthを操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、エンジン8の点火時期を指令する点火信号、エンジン8の吸気管または筒内に燃料を供給し或いは停止する燃料噴射装置によるエンジン8への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、等のエンジン制御信号Seが出力される。また、自動変速機10の変速段を切り替えるために油圧制御回路40内の図示しないリニアソレノイド弁を制御する変速制御信号Sc、各車輪15(駆動輪15)に設けられている制動装置68によって制動力を発生させる制動信号Brk、自動変速機10の出力軸を機械的にロックするパーキングロック機構70へのパーキングロック信号Plockなどが出力される。
本実施例の車両6にあっては、シフト操作装置64からのシフトポジション信号Pshに基づいて、油圧制御回路40に設けられている各種ソレノイドを電気的に制御してシフトレンジを切り替える、所謂シフトバイワイヤ方式(SBW方式)が採用されている。また、ブレーキペダル63の操作量Brを表す信号に基づいて制動装置68に備えられるソレノイドを制御してブレーキ油圧Pbrを電気的に制御する、すなわち制動力Fbrを電気的に制御する、所謂ブレーキバイワイヤ方式(BBW方式)が採用されている。
電子制御装置50は、シフト切替検出部80、機能低下判定部82、および制動制御部84を機能的に含んで構成されている。シフト切替検出部80は、動力伝達レンジであるドライブレンジ(Dレンジ)から、動力伝達遮断レンジであるニュートラルレンジ(Nレンジ)への切替を検出するものである。シフト切替検出部80は、シフト操作装置64からのシフトポジションPshを表す信号に基づいて、DレンジからNレンジへの切替を検出する。なお、シフト切替検出部80が本発明の検出部に対応し、機能低下判定部82が本発明の判定部に対応し、制動制御部84が本発明の制動部に対応している。
機能低下判定部82は、第1クラッチC1のキャンセラ室38の機能が低下しているか否か、具体的には、キャンセラ室38内に油圧室32の遠心油圧を相殺できるだけのオイルが充填されているか否か判定する。
機能低下判定部82は、シフト切替検出部80によってDレンジからNレンジへの切替が検出されると、エンジン始動から予め設定されている所定時間T1以上経過したか否か判定する。エンジン始動直後にあっては、エンジン8によって駆動されるオイルポンプの駆動時間も短いことから、キャンセラ室38に充填される充填量も少なくなり、キャンセラ室38の機能が低下する。そこで、機能低下判定部82は、エンジン始動から経過時間が所定時間T1未満である場合には、キャンセラ室38の機能が低下しているものと判定し、エンジン始動から所定時間T1以上経過した場合には、キャンセラ室38が正常に作動するものと判定する。
ここで、上記所定時間T1は、予め実験的に求められ、キャンセラ室38へのオイル充填特性を考慮し、キャンセラ室38において遠心油圧を相殺できるだけのオイルが充填される時間に設定されている。また、オイルの油温Toilが低い場合には粘度が高くなることから、キャンセラ室38にオイルが充填されるのに要する時間が長くなる。そこで、所定時間T1は、オイルの油温Toilが低くなるほどその値が大きくなるように設定されている。所定時間T1は、例えば予め求められて記憶されている、所定時間T1と油温Toilとの図示しない二次元マップから、実際の油温Toilを参照することで求められる。
また、機能低下判定部82は、DレンジからNレンジへの切替から予め設定されている所定時間T2以上経過したか否か判定する。DレンジからNレンジへ切り替えられると、油圧室32内のオイルが排出されるものの、切替からの経過時間が短いと油圧室32内に残存するオイルの量も多く、油圧室32で発生する遠心油圧も大きくなる。このような場合には、油圧室32で発生する遠心油圧が、キャンセラ室38で発生する油圧よりも相対的に大きくなるため、相対的にはキャンセラ室38の機能が低下する。そこで、機能低下判定部82は、DレンジからNレンジへ切り替えられてからの経過時間が所定時間T2未満である場合には、キャンセラ室38の機能が低下しているものと判定し、前記経過時間が所定時間T2以上である場合には、キャンセラ室38が正常に作動するものと判定する。
ここで、所定時間T2は、予め実験的に求められ、油圧室32内のオイルの排出特性を考慮し、油圧室32内のオイルが排出されて油圧室32の遠心油圧によってピストン18が移動することがない値に設定されている。また、油圧室32内のオイルの排出特性は、オイルの油温Toilにも影響される。オイルの油温Toilが低いと粘度が高くなるため、油圧室32のオイルが排出されにくくなる。そこで、所定時間T2は、オイルの油温Toilが低いほどその値が大きくなるように設定されている。所定時間T2は、例えば予め求められて記憶されている、所定時間T2と油温Toilとからなる図示しない二次元マップから、実際の油温Toilを参照することで求められる。
制動制御部84は、機能低下判定部82に基づいてキャンセラ室38の機能が低下したと判定されると実行され、車両6に制動力を付与して車両6を制動状態に制御することで、車両6の意図しない移動を防止する。制動制御84は、例えば車両停止レンジであるパーキングレンジ(Pレンジ)に切り替える。Pレンジに切り替えられると、自動変速機10において、油圧制御回路40が制御されることでNレンジと同様に動力伝達遮断状態に制御される。さらに、パーキングロック機構70を作動させる図示しない電動アクチュエータに駆動信号が出力されることで、パーキングロック機構70が作動させられ、自動変速機10の出力軸が回転不能に機械的にロックされる。このように、車両6に機械的な制動力を発生させることで、車両6の移動が防止される。
また、制動制御部84は、各車輪15に設けられている制動装置68を制御して、ブレーキ油圧Pbrを上昇させることで、各車輪15に制動力Fbrを発生させる。このように制動装置68によって制動力Fbrを発生させることでも、車両6に制動力が発生するため、車両6の移動が防止される。制動制御部84は、Pレンジへの切替(パーキングロック機構70の作動)および制動装置68による制動力Fbrの付与の何れか一方、または両方を実行することによって、車両6に制動力を付与して車両6の移動を防止する。
また、機能低下判定部82は、キャンセラ室38が機能低下したものと判定された状態から、キャンセラ室38が正常に作動する状態に切り替わった否かを判定する。具体的には、機能低下判定部82は、エンジン始動から前記所定時間T1経過し、且つ、Nレンジへの切替から前記所定時間T2経過したか否かを判定する。エンジン始動から所定時間T1経過し、且つ、Nレンジへの切替から所定時間T2経過すると、キャンセラ室38に十分なオイルが充填されるため、機能低下判定部82は、キャンセラ室38が正常に作動するものと判定する。これを受けて、制動制御部84は、シフトレンジがPレンジに切り替えられている場合には、シフトレンジをPレンジからNレンジに切り替える。具体的には、制動制御部84は、パーキングロック機構70の作動を解除する。また、制動制御部84は、制動装置68によって制動力Fbrが付与されている場合には、制動装置68のブレーキ油圧Pbrを低下させて制動力の発生を解除(制動力を0)する。このように制動制御部84による制動力の付与が解除されても、キャンセラ室38が正常に作動するため、ピストン18が移動することもなくなり車両6の移動は生じない。
図3は、本発明の電子制御装置40の制御作動の要部、すなわちDレンジからNレンジに切り替えられたときに車両6の移動を確実に防止できる制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、シフト切替検出部80によってDレンジからNレンジへの切替が検出される毎に実行される。
DレンジからNレンジへの切替が検出されると、機能低下判定部82の機能に対応するステップS1(以下、ステップを省略する)において、エンジン始動から所定時間T1以上経過したか否かが判定される。S1が否定される場合、後述するS4に進む。S1が肯定される場合、S2に進む。機能低下判定部82の機能に対応するS2では、DレンジからNレンジへの切替から所定時間T2以上経過したか否かが判定される。S2が否定される場合、S4に進む。S2が肯定される場合、キャンセラ室38が正常に作動するものと判断され、S3においてDレンジからNレンジに切替られる。
制動制御部84の機能に対応するS4では、Pレンジに切り替える(パーキングロック機構70を作動させる)、もしくは制動装置68によって車輪に制動力Fbrを発生させることで、車両6に制動力が付与され、車両6の移動が防止される。機能低下判定部82の機能に対応するS5では、エンジン始動から所定時間T1以上経過したか否かが判定される。S5が否定される場合、S4に戻り、Pレンジ、もしくは制動装置68による制動力付与が維持される。S5が肯定される場合、機能低下判定部82の機能に対応するS6において、DレンジからNレンジへの切替から所定時間T2以上経過したか否かが判定される。S6が否定される場合、S4に戻り、Pレンジ、もしくは制動装置68による制動力が維持される。S6が肯定される場合、制動制御部84の機能に対応するS7において、Pレンジに切り替えられている場合にはNレンジに切り替えられ(パーキングロック機構70の作動解除)、制動装置68によって車輪に制動力Fbrが発生している場合には、その制動力が解除される。
上記のように制御されることによって、キャンセラ室38の機能が低下している状態であっても油圧室32の遠心油圧に起因する第1クラッチC1のトルク伝達による車両6の移動が防止される。
上述のように、本実施例によれば、ニュートラルレンジへ切り替えられた際に、キャンセラ室38の機能が低下しているときには、車両6を制動状態に制御することによって、ニュートラルレンジへの切替後において、油圧室32で発生する遠心油圧に起因する意図しない第1クラッチC1の係合による車両6の移動を防止することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、有段式の自動変速機10について本発明が適用されているが、例えば無段式の自動変速機であっても本発明は適用され得る。本発明は、キャンセラ室を有するクラッチを備えた自動変速機であれば適宜適用することができる。
また、前述の実施例では、エンジン始動からの経過時間およびDレンジからNレンジへの切替からの経過時間に基づいてキャンセラ室38の機能が低下しているか否かを判定したが、これらの何れか一方に基づいて判定するものであっても構わない。
また、前述の実施例では、SBW方式のシフト切替機構が採用されるとともに、BBW方式のブレーキ機構が採用されているが、必ずしもSBW方式ならびにBBW方式に限定されず、機械的にシフトレンジが切り替えられるとともに、機械的に制動装置が作動する構造のものであっても構わない。
また、前述の実施例では、制動制御部84は、Pレンジへの切替、もしくは制動装置68による制動力Fbrの付与の何れか一方を実行するものであったが、これらの制御の両方が実行されても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
6:車両
10:自動変速機
32:油圧室(係合油室)
38:キャンセラ室
50:電子制御装置(制御装置)
80:シフト切替検出部(検出部)
82:機能低下判定部(判定部)
84:制動制御部(制動部)
C1:第1クラッチ(クラッチ)
10:自動変速機
32:油圧室(係合油室)
38:キャンセラ室
50:電子制御装置(制御装置)
80:シフト切替検出部(検出部)
82:機能低下判定部(判定部)
84:制動制御部(制動部)
C1:第1クラッチ(クラッチ)
Claims (1)
- クラッチの係合油室内のオイルによって発生する遠心油圧を相殺するためのキャンセラ室を有する自動変速機を備えた車両の制御装置であって、
ニュートラルレンジへの切替を検出する検出部と、
前記キャンセラ室の機能低下を判定する判定部と、
前記検出部によってニュートラルレンジへの切替を検出し、且つ、前記判定部によって前記キャンセラ室の機能低下を判定した場合に、前記車両を制動状態に制御する制動部とを、備える
ことを特徴とする車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2015096925A JP2016211685A (ja) | 2015-05-11 | 2015-05-11 | 車両の制御装置 |
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Cited By (1)
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CN116572909A (zh) * | 2023-04-26 | 2023-08-11 | 中国矿业大学 | 一种单轨吊油压调节式超速保护器及液压系统 |
-
2015
- 2015-05-11 JP JP2015096925A patent/JP2016211685A/ja active Pending
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CN116572909A (zh) * | 2023-04-26 | 2023-08-11 | 中国矿业大学 | 一种单轨吊油压调节式超速保护器及液压系统 |
CN116572909B (zh) * | 2023-04-26 | 2023-10-13 | 中国矿业大学 | 一种单轨吊油压调节式超速保护器及液压系统 |
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