以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の給湯システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態の給湯システムは、複数台の貯湯式給湯機1A,1B,1C,1Dと、リモコン5とを備えている。なお、以下の説明では、4台の貯湯式給湯機1A〜1Dを備える給湯システムを例示したが、本発明は、2台、3台、または5台以上の給湯機を備える給湯システムにも適用可能である。
貯湯式給湯機1A〜1Dは、共通の給湯対象(図示せず)に対して温水を供給する。貯湯式給湯機1Aは、タンクユニット2A、ヒートポンプユニット3A及び制御装置4Aを備えている。貯湯式給湯機1Bは、タンクユニット2B、ヒートポンプユニット3B及び制御装置4Bを備えている。貯湯式給湯機1Cは、タンクユニット2C、ヒートポンプユニット3C及び制御装置4Cを備えている。貯湯式給湯機1Dは、タンクユニット2D、ヒートポンプユニット3D及び制御装置4Dを備えている。
タンクユニット2A,2B,2C,2Dは、貯湯タンクに貯えた温水を給湯対象に供給する機能を有する。タンクユニット2A,2B,2C,2Dは、後述する共通の給湯ヘッダ19に接続される。ヒートポンプユニット3A,3B,3C,3Dは、それぞれタンクユニット2A,2B,2C,2Dから導入された低温水を加熱する(沸上げる)加熱手段の例である。制御装置4A,4B,4C,4Dは、それぞれ貯湯式給湯機1A,1B,1C,1Dに設けられた制御部である。制御装置4A,4B,4C,4Dは、それぞれ貯湯式給湯機1A,1B,1C,1Dの運転状態を制御する。
リモコン5は、宅内(例えば、浴室、台所など)に設置される。リモコン5は、本給湯システムの運転状態を変更したり、各種の設定値を変更したりするための操作を行う装置である。また、リモコン5は、本給湯システムの運転情報の報知を行うための装置である。リモコン5は、端末装置の例である。リモコン5は、給湯システムが備える複数台の貯湯式給湯機1A〜1Dのうちの任意の一台に対して接続できる。本実施の形態では、リモコン5は、リモコン通信線6を介して、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aと接続されている。リモコン5は、リモコン通信線6を介して、制御装置4Aと双方向にデータ通信を行うことができる。ユーザーは、リモコン5を操作することにより、給湯対象に供給される温水を所望の温度に調整することができる。本給湯システムでは、リモコン5と直接通信可能に接続された貯湯式給湯機1Aが、マスター(主装置)となる。それ以外の貯湯式給湯機1B〜1Dは、スレーブ(従装置)となる。このため、以下の説明では、「マスターの貯湯式給湯機1A」、「スレーブの貯湯式給湯機1B〜1D」等と表記する場合がある。
リモコン5は、本給湯システムの運転情報を表示する表示部(図示省略)を備える。当該表示部は、報知手段の例である。本発明における報知手段は、当該表示部に限定されない。当該表示部に代えて、音声により報知するアナウンス装置が報知手段として備えられていても良い。また、本発明における報知手段は、リモコン5以外の箇所に備えられていても良い。
スレーブの貯湯式給湯機1B〜1Dの構成は、制御装置4B〜4Dがリモコン5と直接接続されていない点を除いて、マスターの貯湯式給湯機1Aと同様である。貯湯式給湯機1A〜1Dの制御装置4A〜4Dは、給湯機間通信線7を介して、互いにデータ通信可能に接続されている。貯湯式給湯機1A〜1Dの制御装置4A〜4Dは、識別番号を設定可能な設定手段を有する。当該設定手段は、例えば、ディップスイッチ(スライドスイッチ、プッシュロックスイッチ、またはロータリースイッチ等)で構成できる。本給湯システムの施工時に、貯湯式給湯機1A〜1Dの制御装置4A〜4Dの各々の設定手段を施工作業者が操作することで、貯湯式給湯機1A〜1Dの各々に対して、互いに異なる識別番号が設定される。貯湯式給湯機1A〜1Dの制御装置4A〜4Dは、設定された識別番号により、貯湯式給湯機1A〜1Dの各々を識別できる。
マスターの貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、リモコン5からの命令に応じて、スレーブの貯湯式給湯機1B〜1Dの制御装置4B〜4Dへ通信命令を送信することで、スレーブの貯湯式給湯機1B〜1Dを制御する。
本明細書では、給湯ヘッダ19から給湯対象に供給される温水の温度を「給湯温度」と表記し、当該給湯温度の目標値を「目標給湯温度」と表記する。また、個々の貯湯式給湯機1A〜1Dから給湯ヘッダ19に供給される温水の温度を「個別給湯温度」と表記し、当該個別給湯温度の目標値を「個別目標給湯温度」と表記する。リモコン5は、ユーザーの操作により、目標給湯温度を設定する。
図2は、本実施の形態の給湯システムが備える貯湯式給湯機1Aを示す構成図である。以下、図2を参照して、貯湯式給湯機1A〜1Dのうち、代表して貯湯式給湯機1Aの構成について説明する。前述したように、貯湯式給湯機1B〜1Dの構成は、制御装置4B〜4Dがリモコン5と直接接続されていない点を除いて、以下に説明する貯湯式給湯機1Aの構成と同様である。
貯湯式給湯機1Aのタンクユニット2Aは、貯湯タンク8、給水口9、第一給水配管9a、第二給水配管9b、第三給水配管9c、減圧弁10、給湯温度センサ11、ヒートポンプ往き配管13、ヒートポンプ戻り配管14、給湯混合弁15、第一湯水配管16a、第二湯水配管16b、給湯口17等を備えている。貯湯タンク8は、ヒートポンプユニット3Aにより加熱された高温水を貯留する。貯湯タンク8の下部には、低温水流入口8a及び低温水取出口8bが設けられている。貯湯タンク8の上部には、高温水流入口8c及び高温水取出口8dが設けられている。
給水口9は、市水等の水源に接続される。給水口9には、第一給水配管9aが接続されている。第一給水配管9aには、減圧弁10を介して第二給水配管9b及び第三給水配管9cが接続されている。第二給水配管9bは、減圧弁10により規定の圧力に調整された低温水を貯湯タンク8の低温水流入口8aに導入する。貯湯タンク8の低温水取出口8bは、ヒートポンプ往き配管13を介してヒートポンプユニット3Aの流入側に接続されている。ヒートポンプユニット3Aの流出側は、ヒートポンプ戻り配管14を介して貯湯タンク8の高温水流入口8cに接続されている。
貯湯式給湯機1Aの沸上げ運転時には、貯湯タンク8の低温水取出口8bからヒートポンプ往き配管13に取出された低温水がヒートポンプユニット3Aにより加熱されて高温水となる。この高温水は、ヒートポンプ戻り配管14を介して貯湯タンク8の高温水流入口8cに流入する。これにより、貯湯タンク8には、上部側ほど水温が高くなるように温水が貯留される。なお、貯湯タンク8の表面には、図示しない複数の温度センサが異なる高さ位置に取付けられている。制御装置4Aは、これらの温度センサの出力に基いて貯湯タンク8内の残湯量を検出し、残湯量等に基いて沸上げ運転の開始及び停止等を制御する。
給湯混合弁15は、貯湯タンク8の高温水取出口8dから第一湯水配管16aに取出された高温水と、減圧弁10から第三給水配管9cに供給される低温水とを混合しつつ、両者の流量比を調整することにより、所望温度の温水(中温水)を生成するものである。給湯混合弁15により生成された中温水は、第二湯水配管16bを介して給湯口17に供給される。第二湯水配管16bには、給湯口17から給湯ヘッダ19に供給される温水の温度(個別給湯温度)を検出する給湯温度センサ11が設けられている。制御装置4Aは、給湯温度センサ11の検出結果に基いて給湯混合弁15を制御することにより、個別給湯温度が個別目標給湯温度と一致するように、当該個別給湯温度を調整する。なお、給湯混合弁15を含めて、タンクユニット2A及びヒートポンプユニット3Aに搭載された各種の弁類、ポンプ類等の作動は、制御装置4Aにより制御される。
個々の貯湯式給湯機1A,1B,1C,1Dの給湯口17は、図2に示すように、それぞれ給湯配管18A,18B,18C,18Dを介して給湯ヘッダ19に接続されている。給湯ヘッダ19は、貯湯式給湯機1A及び貯湯式給湯機1B〜1Dから給湯される湯水を1つの流路に合流させて給湯対象に供給する。給湯ヘッダ19は、給湯対象に接続される給湯口19aを備えている。
(給湯温度制御)
次に、上述した給湯システムの給湯温度制御について説明する。まず、ユーザーによりリモコン5が操作され、目標給湯温度が設定または変更されると、リモコン5は、リモコン通信線6を介して、目標給湯温度を含む情報をマスターの貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aに送信する。制御装置4Aは、リモコン5から受信した情報を記憶すると共に、給湯機間通信線7を介して当該情報をスレーブの貯湯式給湯機1B〜1Dの制御装置4B〜4Dに送信する。この結果、リモコン5により設定された目標給湯温度は、個々の貯湯式給湯機1A〜1Dにおける個別目標給湯温度として、すべての貯湯式給湯機1A〜1Dの制御装置4A〜4Dに共有される。
この状態で、ユーザーにより給湯栓が開かれる等の給湯操作が行われると、個々の貯湯式給湯機1A〜1Dにおいて、制御装置4A〜4Dにより個別目標給湯温度と一致するように温度が調整された中温水が生成され、これらの中温水は、給湯配管18A〜18D及び給湯ヘッダ19を介して給湯対象に供給される。これにより、ユーザーは、リモコン5の設定内容に応じた所望の湯温で給湯を受けることができる。このように、給湯温度制御では、制御装置4A〜4D間の通信状態が正常であれば、リモコン5の設定情報がマスターの貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aに受信され、この設定情報がスレーブの貯湯式給湯機1B〜1Dの制御装置4B〜4Dに送信されることにより、システム全体としての給湯温度を制御できる。
本実施の形態であれば、給湯温度以外のリモコン5の設定情報についても、上記と同様にして、システム全体の複数台の貯湯式給湯機1A〜1Dで共有できる。このため、本実施の形態であれば、一つのリモコン5を操作することでシステム全体の複数台の貯湯式給湯機1A〜1Dの設定情報を変更でき、使い勝手が優れる。
図3は、本実施の形態における貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aが有する機能を示すブロック図である。制御装置4Aは、第一通信判定部41、第二通信判定部42、自己認識部43、及び給湯動作制御部44を備える。第一通信判定部41は、リモコン5との通信が可能か否かを判定する。第二通信判定部42は、リモコン5との通信が可能と第一通信判定部41が判定した場合に、他の貯湯式給湯機との通信が可能であるか否かを判定する。自己認識部43は、リモコン5との通信が可能である場合には自己をマスター(主装置)として認識する。自己認識部43は、リモコン5との通信が不能である場合には自己をスレーブ(従装置)として認識する。給湯動作制御部44は、前述した沸上げ運転の制御、給湯温度制御などの、給湯動作の制御を行う。
制御装置4B〜4Dの構成は、制御装置4Aと同様である。すなわち、制御装置4B〜4Dの各々は、第一通信判定部41、第二通信判定部42、自己認識部43、及び給湯動作制御部44を備える。図示を省略するが、制御装置4A〜4Dの各々は、プロセッサ及びメモリを備える。メモリは記憶手段の例である。制御装置4B〜4Dの各々の機能は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、達成される。制御装置4B〜4Dの各々は、複数のプロセッサを備えても良い。制御装置4B〜4Dの各々は、複数のメモリを備えても良い。すなわち、制御装置4B〜4Dの各々の機能は、複数のプロセッサ及び複数のメモリが連携することで達成されても良い。
図4及び図5は、本実施の形態の給湯システムが実行する処理の一例を示すフローチャートである。複数台の貯湯式給湯機1A〜1Dの制御装置4A〜4Dの各々が当該フローチャートに示すルーチンを実行する。
まず、図4のステップS1では、制御装置4A〜4Dの各々の第一通信判定部41は、リモコン5との直接の通信が可能か否かを判断する。例えば、第一通信判定部41は、通信状態を確認するための確認信号をリモコン5へ向けて送信する。リモコン5は、当該確認信号を受信すると、応答信号を制御装置4Aへ返信する。第一通信判定部41は、リモコン5からの応答信号を受信すると、リモコン5との通信が可能であると判定する。第一通信判定部41は、確認信号を送信してから一定の時間内にリモコン5からの応答信号を受信しなければ、リモコン5の通信が不能であると判定する。
ステップS1で、リモコン5との通信が可能であると第一通信判定部41が判定した場合には、ステップS2へ移行する。図1に示すように、本実施の形態では、リモコン5は、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aに対して直接接続されている。このため、制御装置4Aの第一通信判定部41は、リモコン5との直接の通信が可能であると判定する。その結果、制御装置4Aは、ステップS2へ移行する。ステップS2では、制御装置4Aの自己認識部43は、自己(貯湯式給湯機1A)をマスター(主装置)として認識する。ステップS2の後、制御装置4Aは、ステップS3へ移行する。
ステップS1で、リモコン5との通信が不能であると第一通信判定部41が判定した場合には、ステップS26へ移行する。本実施の形態では、貯湯式給湯機1B〜1Dの制御装置4B〜4Dに対しては、リモコン5は直接接続されていない。このため、制御装置4B〜4Dの各々の第一通信判定部41は、リモコン5との直接の通信が不能であると判定する。その結果、制御装置4B〜4Dの各々は、ステップS26へ移行する。ステップS26では、制御装置4B〜4Dの各々の自己認識部43は、自己(貯湯式給湯機1B〜1D)をスレーブ(従装置)として認識する。自己をスレーブとして認識した制御装置4B〜4Dは、ステップS26の後、本ルーチンの処理を終了する。
自己をマスターとして認識した制御装置4Aは、ステップS3で、システム認識フラグがクリアされているかどうかを判断する。システム認識フラグは、マスターの制御装置4Aが給湯システムの構成(例えば、接続されている貯湯式給湯機の台数等)を認識しているかどうかを表すフラグである。マスターの制御装置4Aが認識した給湯システムの構成に関する情報を「システム情報」と称する。システム情報は、スレーブの貯湯式給湯機の台数の情報を含む。システム認識フラグがクリアされている場合には、マスターの制御装置4Aは、給湯システムの構成をまだ認識していないと判断する。システム認識フラグがセットされている場合には、マスターの制御装置4Aは、給湯システムの構成をすでに認識していると判断する。
ステップS3で、システム認識フラグがクリアされている場合には、ステップS4へ移行する。ステップS3で、システム認識フラグがセットされている場合には、ステップS17(図5)へ移行する。
システム認識フラグがクリアされている場合には、マスターの制御装置4Aの第二通信判定部42は、以下のようにして、他の貯湯式給湯機との通信が可能であるか否かを判定する。まず、ステップS4では、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aから、貯湯式給湯機1Bの制御装置4Bへ、確認信号を送信する。制御装置4Bは、当該確認信号を受信すると、応答信号を制御装置4Aへ返信する。
ステップS4の後、ステップS5へ移行する。ステップS5では、制御装置4Aの第二通信判定部42は、制御装置4Bからの応答信号を受信したかどうかを判断する。ステップS5で、制御装置4Bからの応答信号を受信しない場合には、制御装置4Aの第二通信判定部42は、ステップS7へ移行する。
ステップS5で、制御装置4Bからの応答信号を受信した場合には、制御装置4Aの第二通信判定部42は、ステップS6へ移行する。ステップS6で、制御装置4Aの第二通信判定部42は、応答信号のあった貯湯式給湯機1Bをスレーブの貯湯式給湯機として認識する。例えば、制御装置4Aの第二通信判定部42は、貯湯式給湯機1Bに対する認識フラグをセットすることで、貯湯式給湯機1Bをスレーブの貯湯式給湯機として認識する。ステップS6の後、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aから、貯湯式給湯機1Cの制御装置4Cへ、確認信号を送信する。制御装置4Cは、当該確認信号を受信すると、応答信号を制御装置4Aへ返信する。
ステップS7の後、ステップS8へ移行する。ステップS8では、制御装置4Aの第二通信判定部42は、制御装置4Cからの応答信号を受信したかどうかを判断する。ステップS8で、制御装置4Cからの応答信号を受信しない場合には、制御装置4Aの第二通信判定部42は、ステップS10へ移行する。
ステップS8で、制御装置4Cからの応答信号を受信した場合には、制御装置4Aの第二通信判定部42は、ステップS9へ移行する。ステップS9で、制御装置4Aの第二通信判定部42は、応答信号のあった貯湯式給湯機1Cをスレーブの貯湯式給湯機として認識する。例えば、制御装置4Aの第二通信判定部42は、貯湯式給湯機1Cに対する認識フラグをセットすることで、貯湯式給湯機1Cをスレーブの貯湯式給湯機として認識する。ステップS9の後、ステップS10へ移行する。
ステップS10では、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aから、貯湯式給湯機1Dの制御装置4Dへ、確認信号を送信する。制御装置4Dは、当該確認信号を受信すると、応答信号を制御装置4Aへ返信する。
ステップS10の後、ステップS11へ移行する。ステップS11では、制御装置4Aの第二通信判定部42は、制御装置4Dからの応答信号を受信したかどうかを判断する。ステップS11で、制御装置4Dからの応答信号を受信しない場合には、制御装置4Aの第二通信判定部42は、ステップS13へ移行する。
ステップS11で、制御装置4Dからの応答信号を受信した場合には、制御装置4Aの第二通信判定部42は、ステップS12へ移行する。ステップS12で、制御装置4Aの第二通信判定部42は、応答信号のあった貯湯式給湯機1Dをスレーブの貯湯式給湯機として認識する。例えば、制御装置4Aの第二通信判定部42は、貯湯式給湯機1Dに対する認識フラグをセットすることで、貯湯式給湯機1Dをスレーブの貯湯式給湯機として認識する。ステップS12の後、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、制御装置4Aは、第二通信判定部42の判定動作の開始から所定時間が経過しているかどうかを判断する。ステップS13で、当該所定時間がまだ経過していない場合には、制御装置4Aは、ステップS4に移行する。このようにして、制御装置4Aは、当該所定時間が経過するまでの間、ステップS4の後、ステップS12の処理を繰り返し実行する。ステップS13で、当該所定時間が経過している場合には、制御装置4Aは、ステップS14へ移行する。
本実施の形態では、貯湯式給湯機1B〜1Dの制御装置4B〜4Dが給湯機間通信線7を介して正常に制御装置4Aに接続されている場合には、上述した第二通信判定部42が実行する判定動作により、貯湯式給湯機1B〜1Dの3台がスレーブの貯湯式給湯機として認識される。図4では省略しているが、第二通信判定部42は、制御装置4Aに対して接続可能な最大数の貯湯式給湯機に対して順次応答信号を送信する。当該最大数は、予め設定されている。マスターの制御装置4Aは、第二通信判定部42が実行する判定動作により、給湯機間通信線7を介して正常に接続されている他のすべての貯湯式給湯機をスレーブとして認識できる。
ステップS14では、マスターである貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、スレーブとして認識された貯湯式給湯機1B〜1Dの情報を含むシステム情報をリモコン5へ送信する。ステップS14では、リモコン5は、当該システム情報を表示部に表示することで、当該システム情報を施工作業者等に報知する。当該システム情報は、スレーブとして認識された貯湯式給湯機1B〜1Dの各々の認識フラグの情報を含んでも良い。当該システム情報は、スレーブとして認識された貯湯式給湯機1B〜1Dの台数の情報を含んでも良い。当該システム情報は、スレーブとして認識された貯湯式給湯機1B〜1Dと、マスターの貯湯式給湯機1Aとの合計台数の情報を含んでも良い。当該システム情報は、スレーブとして認識された貯湯式給湯機1B〜1Dの各々の識別番号の情報を含んでも良い。
施工作業者等は、報知された上記システム情報に基づいて、複数台の貯湯式給湯機1A〜1Dが給湯機間通信線7を介して正常に接続されているかどうかを容易に確認できる。例えば、報知されたシステム情報における貯湯式給湯機の台数が、実際の台数に比べて少ない場合には、給湯機間通信線7の断線または接続忘れ等があることを施工作業者等が容易に推認できる。
ステップS14の後、ステップS15へ移行する。ステップS15では、マスターの制御装置4Aは、システム認識フラグをセットする。ステップS15の後、ステップS16へ移行する。ステップS16では、マスターの制御装置4Aは、上記システム情報をメモリに記憶する。マスターの制御装置4Aは、システム情報を不揮発性メモリに記憶することが望ましい。マスターの制御装置4Aは、停電などの異常状態から復帰した後においても、不揮発性メモリに記憶されたシステム情報に基づいて、スレーブである他の貯湯式給湯機1B〜1Dを正しく認識できる。
ステップS16の後、図5のステップS17へ移行する。ステップS17では、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、メモリに記憶されたシステム情報(認識フラグの情報など)を読み出す。ステップS17の後、ステップS18へ移行する。
ステップS18では、制御装置4Aは、貯湯式給湯機1Bに対する認識フラグがセットされているかどうかを判断する。貯湯式給湯機1Bに対する認識フラグがセットされていない場合には、ステップS20へ移行する。
ステップS18で、貯湯式給湯機1Bに対する認識フラグがセットされている場合には、ステップS19へ移行する。ステップS19で、制御装置4Aは、給湯動作に関する指令(例えば、リモコン5から受信した目標給湯温度の情報)を、貯湯式給湯機1Bの制御装置4Bへ送信する。ステップS19の後、ステップS20へ移行する。
ステップS20では、制御装置4Aは、貯湯式給湯機1Cに対する認識フラグがセットされているかどうかを判断する。貯湯式給湯機1Cに対する認識フラグがセットされていない場合には、ステップS22へ移行する。
ステップS20で、貯湯式給湯機1Cに対する認識フラグがセットされている場合には、ステップS21へ移行する。ステップS21で、制御装置4Aは、給湯動作に関する指令(例えば、リモコン5から受信した目標給湯温度の情報)を、貯湯式給湯機1Cの制御装置4Cへ送信する。ステップS21の後、ステップS22へ移行する。
ステップS22では、制御装置4Aは、貯湯式給湯機1Dに対する認識フラグがセットされているかどうかを判断する。貯湯式給湯機1Dに対する認識フラグがセットされていない場合には、ステップS24へ移行する。
ステップS22で、貯湯式給湯機1Dに対する認識フラグがセットされている場合には、ステップS23へ移行する。ステップS23で、制御装置4Aは、給湯動作に関する指令(例えば、リモコン5から受信した目標給湯温度の情報)を、貯湯式給湯機1Dの制御装置4Dへ送信する。ステップS23の後、ステップS24へ移行する。
上述したように、マスターである貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、メモリに記憶されたシステム情報(認識フラグの情報など)に基づいて、スレーブとしてすでに認識された貯湯式給湯機1B〜1Dの制御装置4B〜4Dの各々に対して、給湯動作に関する指令を送信する。スレーブとしてすでに認識された貯湯式給湯機1B〜1Dは、第二通信判定部42による判定動作において通信可能と判定された貯湯式給湯機である。マスターである貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、第二通信判定部42による判定動作において通信可能と判定された貯湯式給湯機のみに対して、給湯動作に関する指令を送信する。このため、制御装置4Aは、給湯動作に関する指令を送信する動作を迅速に無駄なく行うことができる。
ユーザーは、給湯システムの構成を再認識する要求をリモコン5に入力可能である。給湯システムの構成を再認識する要求は、第二通信判定部42による判定動作を再度実行させる指令に相当する。リモコン5は、給湯システムの構成を再認識する要求が入力されると、当該要求を貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aへ送信する。ステップS24で、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、給湯システムの構成を再認識する要求をリモコン5から受信したかどうかを判断する。給湯システムの構成を再認識する要求をリモコン5から受信していない場合には、ステップS3に移行する。
ステップS24で、給湯システムの構成を再認識する要求をリモコン5から受信した場合には、ステップS25に移行する。ステップS25で、貯湯式給湯機1Aの制御装置4Aは、システム認識フラグをクリアする。ステップS25の後、ステップS3に移行する。システム認識フラグがクリアされると、ステップS3の判断が肯定されるので、第二通信判定部42によるステップS4からステップS12の判定動作が再度実行される。
以上説明したように、本実施の形態の給湯システムであれば、マスターの貯湯式給湯機と、スレーブの貯湯式給湯機とが自動的に認識されるので、各々の貯湯式給湯機に対してマスターかスレーブかを設定する作業が必要ない。このため、良好な施工性が得られる。また、本実施の形態であれば、互いに同じ構成の複数台の貯湯式給湯機を接続し、そのうちの任意の一台に対してリモコン5(端末装置)を接続することで給湯システムを形成できる。このため、給湯システムを容易に施工できる。
本実施の形態であれば、給湯システムの構成を再認識する必要がある場合には、給湯システムの構成を再認識する要求をリモコン5に入力することで、第二通信判定部42による判定動作を再度実行させることができる。このため、給湯システムを構成する貯湯式給湯機の台数を追加または削減したような場合、あるいは、故障の修理をした後にシステムを再設定するような場合には、第二通信判定部42による判定動作を再度実行させることで、システム情報を容易に再設定できる。
本実施の形態では、複数台の貯湯式給湯機を接続する給湯システムを例に説明したが、本発明は、貯湯式給湯機以外の給湯機を複数台接続する給湯システムにも適用可能である。また、本実施の形態では、給湯機の制御装置に対して端末装置が有線接続される例を説明したが、本発明では、給湯機の制御装置に無線通信装置を設け、給湯機の制御装置に対して端末装置を無線通信可能に接続しても良い。また、給湯機間の接続についても、有線接続に限定されない。すなわち、本発明では、複数台の給湯機間の通信が無線通信により行われる構成でも良い。