JP2016200436A - 電流センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】本明細書は、一対のシールド板の間の無駄な空間を低減した上で電流センサの精度を高める技術を提供する。
【解決手段】電流センサ2は、X方向で並んでいるとともに、Y方向に平行に延びている2本のバスバ3、13を流れる電流を計測する。センサ素子4は、Z方向でバスバ3を通る直線上にて、感磁方向がX方向を向くように配置されている。一対のシールド板5、6は、Z方向でバスバ3とセンサ素子4を挟んでいる。バスバ3は、センサ素子4と下シールド板5の間に位置している。センサ素子4は、下シールド板5よりも上シールド板の近くに位置している。Z方向からみたときにセンサ素子4と重なる範囲において、上シールド板6の厚みが、下シールド板5の厚みよりも大きい。
【選択図】図2
【解決手段】電流センサ2は、X方向で並んでいるとともに、Y方向に平行に延びている2本のバスバ3、13を流れる電流を計測する。センサ素子4は、Z方向でバスバ3を通る直線上にて、感磁方向がX方向を向くように配置されている。一対のシールド板5、6は、Z方向でバスバ3とセンサ素子4を挟んでいる。バスバ3は、センサ素子4と下シールド板5の間に位置している。センサ素子4は、下シールド板5よりも上シールド板の近くに位置している。Z方向からみたときにセンサ素子4と重なる範囲において、上シールド板6の厚みが、下シールド板5の厚みよりも大きい。
【選択図】図2
Description
本発明は、電流センサに関する。特に、平行に延びている2本の導体の一方を流れる電流を計測する電流センサに関する。
磁電変換素子を使った電流センサが知られている。磁電変換素子は、導体を流れる電流に起因して発生する磁界の強度を計測する。導体を流れる電流の大きさと発生する磁界の強度には一意の関係がある。電流センサは、その関係を使って、磁電変換素子が計測した磁界の強度から導体を流れる電流の大きさを特定する。
計測対象の導体が発する磁界以外の磁界を磁電変換素子が検知してしまうと、電流の計測精度が低下する。以下では、「計測対象の導体が発する磁界」以外の磁界を「ノイズ磁界」と称する。ノイズ磁界から磁電変換素子を遮断するため、磁電変換素子と導体を一対の磁気シールド板で挟み込むことが提案されている(例えば、特許文献1)。なお、本明細書における「ノイズ磁界」は、特許文献1では「外部磁界」と表記されている。
特許文献1において次の点が指摘されている。ノイズ磁界が一対の磁気シールド板に吸収される結果、夫々の磁気シールド板を磁束が流れ、一対の磁気シールド板の間で磁界が発生する。一対の磁気シールド板の間で発生した磁界を磁電変換素子が検知してしまうと、電流計測精度が低下してしまう。特許文献1には、ノイズ磁界に起因して一対の磁気シールド板の間に発生する磁界の影響を低減する技術も提案されている。
ここで、説明の便宜上、座標系を定義する。導体の延びる方向をY方向と定義し、導体の延びる方向と直交する2つの方向を夫々、X方向、Z方向と定義する。導体と磁電変換素子が並んでいる方向をZ方向と定義する。X方向、Y方向、Z方向との表記は、より一般的に、それぞれ、第1方向、第2方向、第3方向と表記してもよい。また、説明の便宜上、計測対象が発する磁界を計測磁界と表記する。ノイズ磁界に起因して一対の磁気シールド板の間に発生する磁界をシールド間磁界と表記する。また、磁気シールド板を単純にシールド板と称する場合がある。
磁電変換素子は、検知する磁界の方向(感磁方向)が決まっている。磁電変換素子は、感磁方向と直交する方向の磁界は検知しない。導体が発する磁界は、導体を中心とした円を描く。導体の断面が矩形の場合は、導体が発する磁界は、導体を中心とした楕円を描く。導体はY方向に延びており、磁電変換素子はZ方向で導体と並んでいる。従って、計測磁界は、磁電変換素子をX方向に沿って貫く。それゆえ、計測磁界と感磁方向が一致するように、磁電変換素子は、その感磁方向がX方向を向くように配置される。また、一対のシールド板は、Z方向で磁電変換素子と導体を挟んでいる。
特許文献1に開示された、シールド間磁界の影響を低減する技術の説明に戻る。特許文献1では、磁電変換素子は、センサ基板の一面に形成されている。感磁方向は、センサ基板の一面と平行な方向を向いている。センサ基板は、磁電変換素子が形成された一面が導体と対向するように配置される。センサ基板の一面はZ方向と直交し、感磁方向はX方向に一致する。一対のシールド板は、X軸とZ軸がなす平面でカットした断面において、一対のシールド板の対向面(内壁面)が形成する輪郭線が、特定の直線(基準線)に対して線対称となるように配置される。基準線は、対称軸と呼ぶことができる。一対のシールド板は、その対称軸がセンサ基板の上記一面に接しつつX方向に延びるように配置される。シールド間磁界(その磁束線)は、一方のシールド板から他方のシールド板に向かう曲線を描くが、一対のシールド板の上記配置によって、シールド間磁界も対称軸に対して対称となる。従って、シールド間磁界の向きは対称軸に対して直交することになる。一方、磁電変換素子の感磁方向は、X方向、即ち、対称軸の方向に一致する。シールド間磁界の方向は感磁方向と直交することになる。その結果、シールド間磁界が磁電変換素子に与える影響が抑制される。
特許文献1の技術は、別言すれば、XZ平面でカットした断面において一対のシールド板の対向面が線対称となるように一対のシールド板を配置し、その対称軸上に磁電変換素子を配置するものである。そのような配置を採用すると、磁電変換素子と一方のシールド板との間に導体を配置するだけの間隔Aが必要となる一方で、磁電変換素子と他方のシールド板の間には何も配置しないにもかかわらず間隔Aを設ける必要が生じる。特許文献1の図1、図6等には、磁電変換素子と一方のシールド板の間に導体が配置されており、磁電変換素子と他方のシールド板の間には無駄な空間が設けられている。先に述べたように、シールド板磁界は、一方のシールド板から他方のシールド板に向かう曲線を描く。それゆえ、無駄な空間を狭めると、対称軸が磁電変換素子から外れ、シールド間磁界が磁電変換素子の位置において感磁方向の成分を有することになる。その結果、電流センサの計測精度が低下する。本明細書は、電流センサの精度低下を抑えつつ、一対のシールド板の間の無駄な空間を狭めることのできる技術を提供する。
なお、特許文献1の技術は、一対のシールド板に同じ強度の磁界が作用することが前提となっていると考えられる。一対のシールド板に同じ強度の磁界が作用するから、対向面が線対称となるように配置された一対のシールド板の間に発生する磁界も対称軸に対して線対称となる。なお、磁界の方向は夫々のシールド板で互いに反対向きであってもよい。同じ強度の磁界が一対のシールド板に作用する状況として、ノイズ磁界の発生源の導体が、X方向で計測対象の導体に並んでいる状況が想定し得る。例えば、平行に延びている三相交流モータ用の3本の導体のうち、一つの導体の電流を計測する電流センサが想定される。残りの導体がノイズ磁界の源になる。本明細書が開示する技術は、X方向(第1方向)に並んでいるとともに、X方向と直交するY方向(第2方向)に平行に延びている2本の導体のうち、一方の導体を流れる電流を計測する電流センサが対象である。本明細書は、そのような電流センサにおいて、電流センサの精度低下を抑えつつ、一対のシールド板の間の無駄な空間を狭めることのできる技術を提供する。
本明細書が開示する技術が対象とする電流センサの構造を、先に定義した座標系を用いて表現する。2本の導体はX方向(第1方向)で並んでおり、X方向(第1方向)に直交するY方向(第2方向)に平行に延びている。磁電変換素子は、X方向(第1方向)及びY方向(第2方向)に対して直交するZ方向(第3方向)で一方の導体を通る直線上にて感磁方向がX方向(第1方向)を向くように配置されている。一対のシールド板(一対の磁気シールド板)は、Z方向(第3方向)で一方の導体と磁電変換素子を挟んでいる。
本願の発明者は、一方のシールド板と他方のシールド板に異なる特性を与え、シールド間磁界の線対称性を意図的にくずすことによって、一対のシールド板に同じ特性を与えた場合と比較して、対称軸と異なる位置でシールド間磁界の感磁方向成分が小さくなるのではないかと推測した。様々なシミュレーションを行った結果、以下の知見が得られた。即ち、センサ素子に近い側のシールド板の厚みをセンサ素子から遠い側のシールド板の厚みよりも大きくすれば、センサ素子の位置におけるシールド間磁界の感磁方向成分を小さくすることができる。さらに詳細には、少なくともZ方向からみたときに磁電変換素子と重なる範囲において、センサ素子に近い側のシールド板の厚みをセンサ素子から遠い側のシールド板の厚みよりも大きくすれば、センサ素子の位置におけるシールド間磁界の感磁方向成分を小さくすることができる。
本明細書が開示する電流センサでは、一方の導体は、磁電変換素子と一方のシールド板の間に位置しており、磁電変換素子は、一方のシールド板よりも他方のシールド板の近くに位置している。少なくともZ方向からみたときに磁電変換素子と重なる範囲において、他方のシールド板(センサ素子に近い側のシールド板)の厚みが一方のシールド板(センサ素子から遠い側のシールド板)の厚みよりも大きくなっている。一対のシールド板に、上記条件を満足する厚みを与えることによって、対称軸から外れた位置に配置された磁電変換素子に対するシールド間磁界の影響を低減することができる。本明細書が開示する技術は、磁電変換素子を対称軸上に配置する必要性を無くし、電流センサの精度低下を抑制しつつ、一対のシールド板の間の無駄な空間を狭めることができる。シミュレーション結果を含む詳細な説明は、以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
図面を参照して実施例の電流センサ2を説明する。図1に、電流センサ2の模式的斜視図を示す。図2に、図1のII−II線に沿った電流センサ2の断面図を示す。電流センサ2は、平行に延びる2本バスバ3、13の夫々を流れる電流を同時に計測することができるセンサである。「バスバ」とは、細長い金属板又は金属棒で作られている導体であり、ワイヤケーブルなどと比較して抵抗が小さい導体である。バスバは、大電流を伝送するのに適している。バスバ3、13とその電流を計測する電流センサ2は、例えば、電気自動車において、三相交流モータを駆動するインバータ内で用いられる。バスバ3、13は、三相交流のうち2相を伝送する導体であり、電流センサ2は、三相交流のうち2相の電流を計測する。
電流センサ2は、バスバ3に隣接配置されているセンサ素子4と、バスバ13に隣接配置されているセンサ素子14と、センサ素子4、14を固定するセンサ基板7と、一対のシールド板5、6と、樹脂パッケージ8を備える。
ここで、説明の便宜のため、座標系を定義する。バスバ3、13の並び方向をX方向と定義する。バスバ3、13の延びる方向をY方向と定義する。X方向とY方向は、互いに直交している。X方向とY方向の双方と直交する方向をZ方向とする。さらに、説明の便宜のため、Z軸の正方向を「上」と表現し、Z軸の負方向を「下」と表現する。
2本のバスバ3、13は、X方向で並んでいるとともに、Y方向に平行に延びている。センサ素子4は、Z方向でバスバ3に隣接配置されている。センサ素子4は、その中心のX方向の位置が、バスバ3の中心のX方向の位置と一致するように配置されている。センサ素子4は、バスバ3を流れる電流に起因して発生する磁界の強度を計測する。バスバ3を流れる電流と、その電流に起因して発生する磁界の強度の間には一意の関係がある。電流センサ2は、その関係を使ってバスバ3を流れる電流の大きさを特定する。センサ素子4は、磁電変換素子の一種であり、具体的には、ホール素子である。
センサ素子4は、計測できる磁界の向きが決まっている。計測できる磁界の向きは、感磁方向と呼ばれる。バスバ3を流れる電流に起因してバスバ3の回りに磁界が発生する。その磁界は、バスバ3を中心として円状、又は、楕円状に拡がる。センサ素子4は、Z方向でバスバ3に隣接して配置されている。センサ素子4の位置では、バスバ3を流れる電流に起因する磁界はX方向を向く。それゆえ、センサ素子4は、その感磁方向がX方向を向くように配置される。先に述べたように、センサ素子4とバスバ3は、Y方向の位置が同じである。従って、別言すれば、センサ素子4は、Z方向でバスバ3を通る直線上において、感磁方向がX方向を向くように配置されている。
センサ素子14は、Z方向でバスバ13に隣接して配置されている。センサ素子14は、その中心のX方向の位置が、バスバ13の中心のX方向の位置と一致するように配置されている。センサ素子14も、磁電変換素子の一つのであり、具体的には、ホール素子である。センサ素子14は、その感磁方向がX方向を向くように配置されている。センサ素子14とバスバ13は、X方向の位置が同じである。従って、別言すれば、センサ素子14は、Z方向でバスバ13を通る直線上にて、感磁方向がX方向を向くように配置されている。センサ素子14は、バスバ3に対するセンサ素子4と同じ側でバスバ13に隣接配置されている。別言すれば、センサ素子4、14は、共に、バスバ3、13の上側に配置されている。センサ素子14は、バスバ13を流れる電流に起因して発生する磁界の強度を計測する。センサ素子14による電流計測の原理は、センサ素子4の原理と同じであるので説明は省略する。
センサ素子4、14は、センサ基板7に固定されている。センサ基板7には、センサ素子4、14に供給する電力を中継するとともに、センサ素子4、14の計測信号を上位の制御回路に送信するための回路が搭載されている。センサ基板7からは、上位の制御回路と通信するための信号線と電力供給線が延びているが、それら信号線は図示を省略した。磁界の強度を電流の大きさに変換する回路(変換回路)は、センサ基板7に搭載されていてもよいし、センサ基板7と通信する上位の制御回路に搭載されていてもよい。その場合には、その上記の制御回路も電流センサ2に含まれる。
一対のシールド板5、6は、バスバ3、13とセンサ素子4、14とセンサ基板7をZ方向で両側から挟みこんでいる。一対のシールド板5、6は、磁気シールドの一種であり、磁界をよく吸収する材料で作られている。一対のシールド板5、6は、電流計測対象のバスバ3の電流に起因する磁界以外の磁界からセンサ素子4を遮断するため、及び、電流計測対象のバスバ13の電流に起因する磁界以外の磁界からセンサ素子14を遮断するため、に備えられている。一対のシールド板5、6は、例えば、鉄、あるいは、パーマロイ等で作られている。なお、一方のシールド板5の厚みは他方のシールド板6の厚みとは異なっている。一対のシールド板5、6の厚みの相違については、後に詳しく説明する。また、以下では、シールド板5を「下シールド板5」と表記し、シールド板6を「上シールド板6」と表記して、図において夫々のシールド板を区別し易くする。
センサ素子4、14、センサ基板7、及び、一対のシールド板5、6は、バスバ3、13の一部とともに、樹脂パッケージ8に封止されている。なお、図1、図2では、図を理解し易くするため、樹脂パッケージ8について、一対のシールド板5、6の外側を囲む部分は図示を省略した。
先に述べたように、センサ素子4は、バスバ3を流れる電流に起因して発生する磁界の強度を計測する。センサ素子14は、バスバ13を流れる電流に起因して発生する磁界の強度を計測する。センサ素子4は、バスバ13よりもバスバ3の近くに配置されており、センサ素子14は、バスバ3よりもバスバ13の近くに配置されている。しかしながら、バスバ13が発する磁界はセンサ素子4に影響を及ぼし、バスバ3が発する磁界はセンサ素子14に影響を及ぼす。バスバ13が発する磁界のセンサ素子4への影響、及び、バスバ3が発する磁界のセンサ素子14への影響を抑制することが、電流センサ2の計測精度の向上に貢献する。電流センサ2は、隣接するバスバの影響を抑制するために、一対のシールド板5、6の厚みを異ならしめている。次に、一対のシールド板5、6について、詳しく説明する。なお、以下では、バスバ3が発する磁界を検出するセンサ素子4に着目し、バスバ13をノイズ磁界の発生源として、説明を続ける。
一対のシールド板5、6は、共に平板である。一対のシールド板5、6は、平行に配置されている。一対のシールド板5、6は、センサ素子4を通りX方向とZ方向に拡がる平面でカットした断面において、次の関係を満たすように、配置されている。即ち、一対のシールド板5、6は、それらの対向面(下シールド板5の上面5aと上シールド板6の下面6a)がX方向に延びる直線CLに対して線対称となるように配置されている。以下、直線CLを対称軸CLと表記する。図2に、X方向とZ方向に拡がる平面でカットした電流センサ2の断面を示す。バスバ3は、対称軸CLの下側に配置されており、センサ素子4は対称軸CLの上側に配置されている。別言すれば、バスバ3は、上シールド板6よりも下シールド板5の近くに配置されており、センサ素子4は、下シールド板5よりも上シールド板6の近くに配置されている。電流センサ2は、下シールド板5の厚みを上シールド板6の厚みとは異ならしめることで、一対のシールド板が同じ厚みの場合と比較して、センサ素子4の位置におけるノイズ磁界の影響を抑制する。ここでのノイズ磁界とは、バスバ13に流れる電流に起因する磁界のことをいう。なお、バスバ13は概ね、一対のシールド板5、6の中間に位置しているので、夫々のシールド板5、6に作用する磁界の強度は概ね同じである。なお、バスバ3、13は、Y方向のどの位置でも断面形状が同じである。また、センサ素子4、14も、Y方向のどの位置でも断面形状が同じである。さらに、シールド板5、6も、Y方向のどの位置でも断面形状が同じである。即ち、Y方向のどの位置でカットしても、図2に示した断面形状が表れる。
図3は、ノイズ磁界がセンサ素子4に与える影響を説明する図である。図3では、計測対象のバスバ3とセンサ基板7と樹脂パッケージ8は図示を省略した。また、図3では、理解を助けるために、各部品の大きさと位置関係を、図1、図2の場合とは変えて描いてある。図3においてバスバ13を示す矩形の中の印は、電流が紙面手前側から奥側へ流れていることを示している。このとき、バスバ13の周囲において、ノイズ磁界の向きは、紙面で右回りとなる。図3の符号FLが示す曲線が、ノイズ磁界を表す磁束線を意味する。
ノイズ磁界は、一対のシールド板5、6に吸収される。ノイズ磁界を表す磁束線FLは、下シールド板5を通り(FL1)、その端部から出て(FL2)、上シールド板6の端部へ入る(FL3)。なお、図3において、上シールド板6の右側の端部から出て下シールド板5の右側の端部へ入る磁束線は図示を省略した。
一対のシールド板5、6を通過する磁束は、下シールド板5の上面5aからも漏れる。漏れた磁束は、上シールド板6へと向かう。符号FL4が、漏れた磁束線を表している。以下では、ノイズ磁界に起因して一対のシールド板5、6の間に発生する磁界をシールド間磁界と表記する。
一対のシールド板5、6が同じ厚みを有しており、断面において対向面(下シールド板5の上面5aと上シールド板6の下面6a)が線対称となる場合、シールド間磁界の形状(プロファイル)は対称軸CLに対して線対称となる(図3のFL4)。その場合、シールド間磁界の磁束線は、対称軸CLを垂直に横切る。図3の矢印A1が、対称軸CL上でのシールド間磁界の向きを示している。シールド間磁界は、対称軸CLの上においてはX方向成分(感磁方向成分)を有さない。従って、仮にセンサ素子4を対称軸CLの上に配置すれば、シールド間磁界は、センサ素子4に影響を及ぼさない。しかし、対称軸CLにセンサ素子4を配置すると、センサ素子4と下シールド板5の間にバスバ3(図2参照)を配置するための間隔が必要となる一方、同じ間隔をセンサ素子4と上シールド板6の間にも設けなければならない。センサ素子4と上シールド板6の間の空間は無駄であり、電流センサ2が大きくなってしまう。一方、一対のシールド板5、6の間の無駄な空間を排し、上シールド板6をセンサ素子4に近づけた場合、対称軸CLはセンサ素子4の位置から下へ移動することになる。その場合、センサ素子4の位置におけるシールド間磁界はX方向成分(感磁方向成分)を有することになる(図3の矢印A2参照)。シールド間磁界のX方向成分(感磁方向成分)は、センサ素子4の計測値、即ち、電流センサ2の計測精度に影響する。
電流センサ2では、一対のシールド板5、6の夫々に異なる厚みを与えることで、シールド間磁界の線対称性を意図的にくずし、センサ素子4の位置におけるシールド間磁界のX方向成分を小さくする。例えば、シールド間磁界の磁束線が図3の点線FL5の曲線を描くとき、センサ素子4の位置におけるシールド間磁界はZ方向を向く(図3の矢印A3)。このとき、センサ素子4の位置におけるシールド間磁界のX方向成分(感磁方向成分)がゼロとなる。少なくともシールド間磁界の形状(プロファイル)を上シールド板6寄りにシフトできれば、一対のシールド板5、6が同じ厚みである場合と比較して、シールド間磁界がセンサ素子4に与える影響を抑制できる。別言すれば、シールド間磁界のX方向成分がゼロとなるポイントを上シールド板6寄りにシフトできれば、一対のシールド板5、6が同じ特厚みである場合と比較して、シールド間磁界がセンサ素子4に与える影響を抑制できる。
一対のシールド板5、6の夫々の厚みを変えてシミュレーションを行った結果、センサ素子4に近い側のシールド板(上シールド板6)の厚みを、センサ素子4から遠い側のシールド板(下シールド板5)の厚みよりも大きくすれば、シールド間磁界のX方向成分を小さくできることが解った。
以下、シミュレーションについて説明する。シミュレーションでは、上記条件を満たす場合と満たさない場合のセンサ素子位置におけるシールド間磁界の磁束密度のX方向成分を比較した。シミュレーションの条件を図4に示す。シミュレーションでは、センサ基板7とセンサ素子14と樹脂パッケージ8は無視した。ノイズ源であるバスバ13は、一対のシールド板5、6の間の中央に配置した。従って、バスバ13を流れる電流に起因する磁界は、両方のシールド板5、6に対して同じ強度で作用する。
一対のシールド板5、6の間の距離Lは、6.5[mm]である。シールド板5、6の幅Wは60[mm]である。シールド板5、6には、JIS規格(C 2552−1986)で規定されている無方向性電磁鋼帯「50A290」を採用した。X軸、Z軸の原点を、下シールド板5の上面5aの上に設定した。
シミュレーションのケース1では、上下シールド板の厚みの相違による効果を確認した。ケース1では、上シールド板6の厚みTuを2.0[mm]とし、下シールド板5の厚みTlを1.0[mm]とした。2つの比較例のシミュレーションも行った。比較例1の条件は、上シールド板6の厚みTu=下シールド板5の厚みTl=1.5[mm]である(他の条件はケース1と同じ)。比較例2の条件は、上シールド板6の厚みTu=1.0[mm]、下シールド板5の厚みTl=2.0[mm]である(他の条件はケース1と同じ)。
ケース1の結果を図5に示す。グラフの縦軸は、下シールド板5の上面5aからの高さhを表している。縦軸の単位は[mm]である。高さh=3.25[mm]の破線は、一対のシールド板5、6の間の距離Lの半分の値(L/2)である。高さL/2を通る直線は、先に述べた対称軸CLを意味している。横軸は、センサ素子4が対応する高さにあるときにそのセンサを貫く磁界(シールド間磁界)の磁束密度TのX方向成分を表している。横軸の単位は、[×10−6T(テスラ)]である。以下では、説明を簡単にするため、シールド間磁界の磁束密度のX方向成分を単純に「密度のX成分」と表記する。密度のX成分が正値のときは、磁束密度が図4においてX軸の正方向成分を有していることを意味する。密度のX成分が負値のときは、磁束密度が図4においてX軸の負方向成分を有していることを意味する。グラフの縦軸と横軸の意味は、以降のグラフでも同様である。なお、バスバ3に対応する高さの範囲でも数値が示されている。バスバ3とセンサ素子4が重なることは物理的には不可能であるが、シミュレーションでは可能である。バスバ3は導体であり、センサ素子4が受けるシールド間磁界に与える影響は小さいことに留意されたい。
まず、比較例1(上下シールド板の厚みが同じ場合)から説明する。グラフGR1が比較例1の結果を示している。比較例1では、高さhがゼロから増加するにつれて、密度のX成分が最小値(負値)からほぼ直線的に大きくなる。高さhが対称軸CLに一致するところで密度のX成分がゼロとなる。グラフGR1は、概ね、対称軸CLとの交点を中心にして点対称となっている。グラフGR1は、上下のシールド板5、6の特性(厚みと透磁率)が等しいときには、シールド間磁界のプロファイル(形状)が図4の曲線FL4のように対称軸CLに対して線対称となることを意味している。
グラフGC1がケース1の結果を示している。グラフGC1は、比較例1のグラフGR1が上方にシフトしたプロファイル(形状)を有している。ケース1では、高さhが約4.5[mm]の位置で密度のX成分がゼロとなる。このことは、上シールド板6の厚みTuが下シールド板5の厚みTlよりも大きい場合に、シールド間磁界のプロファイルが図4の点線FL5のようになることを意味している。
グラフGR2は、比較例2(下シールド板5の厚みTl>上シールド板6の厚みTuの場合)の結果を示している。グラフGR2は、ケース1のグラフGC1とは逆に、比較例1のグラフGR1を下にシフトしたプロファイルを有している。ケース1、比較例1、2の結果から、一対のシールド板5、6の一方の厚みを他方の厚みよりも大きくすると、シールド間磁界のプロファイルが、厚みの大きいシールド板の側に偏ることが解る。別言すれば、一対のシールド板5、6の一方の厚みを他方の厚みよりも大きくすると、密度のX成分がゼロとなる位置が厚みの大きいシールド板の側に偏ることが解る。このことから、センサ素子4に近い側のシールド板(上シールド板6)の厚みを、センサ素子4から遠い側のシールド板(下シールド板5)の厚みよりも大きくすると、一対のシールド板5、6が同じ特性を有する場合と比較して、シールド間磁界がセンサ素子4に与える影響を抑制できることが解る。
(参考例)透磁率の異なる2枚のシールド板を一対のシールド板5、6として用いたときのシールド間磁界をシミュレーションにて確認したので説明する(ケース2)。なお、シミュレーションの都合上、透磁率をパラメータにすることができず、鉄損をパラメータとした。鉄損と透磁率は、概ね反比例の関係にある。すなわち、鉄損が小さいほど、透磁率が大きくなる。例えば、特開2006−241519号公報の図2にそのことが示されている。
ケース2では、下シールド板5として、JIS規格「C 2552−1986」で規定されている「50A1300」の無方向性電磁鋼帯を採用した。上シールド板6には、ケース1と同様に、「50A290」の無方向性電磁鋼帯を採用した。「50A290」の鉄損は、2.90[W/kg、W15/50、AT 1.5T/50Hz]以下であり、「50A1300」の鉄損は、13.00[W/kg、W15/50、AT 1.5T/50Hz]である。「50A290」の鉄損は、「50A1300」の鉄損よりも小さい。即ち、上シールド板6の透磁率Muは、下シールド板5の透磁率Mlよりも大きい。なお、一対のシールド板5、6の厚みはいずれも1.5[mm]とした。
ケース2の結果を図6に示す。グラフの縦軸と横軸の意味は図5の場合と同じである。比較例3の結果を示すグラフGR3は、ケース1の比較例1と同じである。即ち、比較例3のグラフGR3は、厚みと透磁率が同じである一対のシールド板を使用したときの結果を表している。グラフGR3は、上下のシールド板5、6の特性(厚みと透磁率)が等しいときには、シールド間磁界のプロファイルが図4の曲線FL4のように対称軸CLに対して線対称になることを意味している。
グラフGC2がケース2の結果を示している。グラフGC2も、先のグラフGC1と同様に、比較例3のグラフGR3が上方にシフトしたプロファイルを有している。ケース2では、高さhが約3.9[mm]の位置で密度のX成分がゼロとなる。このことは、上シールド板6の透磁率Muが下シールド板5の透磁率Mlよりも大きい場合に、シールド間磁界のプロファイルが図4の点線FL5のようになることを意味している。
比較例4では、上シールド板6として、「50A1300」の無方向性電磁鋼帯を採用し、下シールド板5として、「50A290」の無方向性電磁鋼帯を採用した。厚みはいずれも1.5[mm]である。グラフGR4が、比較例4の結果を示している。グラフGR4は、ケース2のグラフGC2とは逆に、比較例3のグラフGR3を下にシフトしたプロファイルを有している。ケース2、比較例3、4の結果から、一対のシールド板5、6の一方の透磁率を他方の透磁率よりも大きくすると、シールド間磁界のプロファイルが、透磁率の大きいシールド板の側に偏ることが解る。別言すれば、一対のシールド板5、6の一方の透磁率を他方の透磁率よりも大きくすると、密度のX成分がゼロとなる点が、透磁率の大きいシールド板の側にシフトすることが解る。このことから、センサ素子4に近い側のシールド板(上シールド板6)の透磁率を、センサ素子4から遠い側のシールド板(下シールド板5)の透磁率よりも大きくすると、一対のシールド板5、6が同じ特性を有する場合と比較して、シールド間磁界がセンサ素子4に与える影響を抑制できることが解る。
図7を参照して、夫々のシールド板5、6とセンサ素子4の間の距離と、夫々のシールド板5、6の透磁率の関係について考察する。図7において、符号Ruは、上シールド板6とセンサ素子4の間の距離を表している。符号Rlは、下シールド板5とセンサ素子4の間の距離を表している。符号FLuは、上シールド板6を通る磁束を表している。符号FLlは、下シールド板5を通る磁束を表している。また、上シールド板6の透磁率を符号Muで表し、下シールド板5の透磁率を符号Mlで表すことにする。
図7の符号Buは、上シールド板6を通る磁束FLuによってセンサ素子4の位置に表れる密度のX成分(磁束密度のX方向成分)を表している。符号Blは、下シールド板5を通る磁束FLlによってセンサ素子4の位置に表れる密度のX成分を表している。上シールド板6を通る磁束FLuと下シールド板5を通る磁束FLlの向きが互いに反対方向であることに留意されたい。それゆえ、磁束FLuに起因する磁界のX方向成分と、磁束FLlに起因する磁界のX方向成分は、互いに反対方向を向く。図7において、密度のX成分Buと密度のX成分Blの夫々が示す矢印が反対方向を向いていることが、磁界の向きを表している。発明者の検討によると、密度のX成分Bu、Blについて、以下の関係が成立する。
上記の(数1)において、記号Hは、夫々のシールド板5、6における磁界の強度を表している。先に述べたように、夫々のシールド板5、6には、同じ強度のノイズ磁界が作用する。それゆえ、磁界の強度Hは上シールド板6と下シールド板5で同じである。また、(数1)において、記号M0は、真空中の透磁率を表している。記号PAIは、円周率を表している。記号auは、上シールド板6における漏れ磁束係数を表している。記号alは、下シールド板5における漏れ磁束係数を表している。(数1)から、次の(数2)が結論できる。
(数2)は、次のことを意味している。即ち、上シールド板6の透磁率Muと、上シールド板6とセンサ素子4の間の距離Ruとの積(Mu・Ru)が、下シールド板5の透磁率Mlと、下シールド板5とセンサ素子4の間の距離Rlとの積(Ml・Rl)に等しければ、センサ素子4の位置において密度のX成分(磁束密度のX方向成分)がゼロになる。上記の関係が満たされれば、ノイズ磁束がセンサ素子4へ与える影響を顕著に抑制することができる。別言すれば、上記の関係が満たされれば、一対のシールド板5、6の無駄な空間を狭めた上で、電流センサの計測精度を顕著に向上させることができる。(参考例はここまで)
先に示したシミュレーション(ケース1)では、ノイズ源であるバスバ13は一対のシールド板5、6の間に配置した。バスバ13をX方向で一対のシールド板5、6の外側に配置した場合についてもシミュレーションした。シミュレーションの条件を図8に示す。バスバ3とセンサ素子4は、X方向において一対のシールド板5、6の中央に配置した。バスバ13(ノイズ源の導体)は、X方向において一対のシールド板5、6の外側に配置した。Z方向においては、バスバ13は一対のシールド板5、6の中央に配置した。それゆえ、バスバ13に流れる電流に起因する磁界は、夫々のシールド板5、6に対して同じ強度で作用する。一対のシールド板5、6、バスバ3、13、センサ素子4のレイアウト以外の条件は、先のシミュレーションの場合と同じである。
ケース3では、上シールド板6と下シールド板5の厚みを異なるものとした。ケース3の条件は、上シールド板6の厚みTu=2.0[mm]、下シールド板5の厚みTl=1.0[mm]である。夫々のシールド板5、6に採用した材料は、いずれも、JIS規格「C 2552−1986」で規定されている「50A290」の無方向性電磁鋼帯である。
図9のグラフGC3がケース3のシミュレーション結果を示している。他に、比較例5、6についてもシミュレーションした。比較例5の条件は、上シールド板6の厚みTu=下シールド板5の厚みTl=1.5[mm]である(他の条件はケース3と同じ)。比較例6の条件は、上シールド板6の厚みTu=1.0[mm]、下シールド板5の厚みTl=2.0[mm]である。グラフGR5が比較例5の結果を示しており、グラフGR6が比較例6の結果を示している。グラフGC3、GR5、GR6は、ケース1(図5)と同じ傾向を示している。従って、図9の結果からも、センサ素子4に近い側のシールド板(上シールド板6)の厚みを、センサ素子4から遠い側のシールド板(下シールド板5)の厚みよりも大きくすると、一対のシールド板5、6が同じ特性を有する場合と比較して、シールド間磁界がセンサ素子4に与える影響を抑制できることが解る。
(参考例)透磁率の異なる2枚のシールド板を一対のシールド板5、6として用いた場合についても、ノイズ源であるバスバ13をX方向で一対のシールド板5、6の外側に配置した場合についてシミュレーションした(ケース4)。ケース4では、上シールド板6に透磁率Muの高い材料を採用し、下シールド板5に透磁率Mlの低い材料を採用した。具体的には、上シールド板6として、JIS規格「C 2552−1986」で規定されている「50A290」の無方向性電磁鋼帯を採用した。下シールド板5には、「50A1300」の無方向性電磁鋼帯を採用した。いずれのシールド板も厚みは1.5[mm]とした。これら条件は、ケース2の条件と同じである。
図10のグラフGC4がケース4のシミュレーション結果を示している。他に、比較例7、8についてもシミュレーションした。比較例7では、上シールド板6と下シールド板5に同じ材料「50A290」を採用した(他の条件はケース4と同じ)。比較例8では、ケース4の場合と材料を入れ替えた。即ち、上シールド板6に透磁率Muの低い材料(50A1300)を採用し、下シールド板5に透磁率Mlの高い材料(50A290)を採用した(他の条件はケース4と同じ)。グラフGR7が比較例7の結果を示しており、グラフGR8が比較例8の結果を示している。グラフGC4、GR7、GR8は、ケース2(図6)と同じ傾向を示している。従って、図10の結果からも、センサ素子4に近い側のシールド板(上シールド板6)の透磁率を、センサ素子4から遠い側のシールド板(下シールド板5)の透磁率よりも大きくすると、一対のシールド板5、6が同じ特性を有する場合と比較して、シールド間磁界がセンサ素子4に与える影響を抑制できることが解る。(参考例はここまで)
図11〜図14を参照して他の実施例の電流センサ102を説明する。図11に実施例の電流センサ102の斜視図を示す。電流センサ102は、三相交流モータに電力を供給する3本のバスバ20a、20b、20cの夫々を流れる電流を計測する。電流センサ102は、平行に配置されている3本のバスバ20a、20b、20cと、バスバ20a、20b、20cの上側に配置されているセンサユニット53と、バスバ20a、20b、20cの下側に配置されているシールドユニット54を備えている。本明細書では、バスバ20a、20b、20cをまとめてバスバ20と称する場合がある。本実施例の電流センサ102は、バスバ20の形状にも特徴があるので、その形状に特徴のあるバスバ20を電流センサ102の構成に含むものである。図中では、Y方向に長く延びるバスバ20の一部が示されていることに留意されたい。電流センサ102は、電動車両に搭載されるインバータの内部に備えられる。インバータは、バッテリの電力を走行用モータの供給に適した電力に変換するためのデバイスである。インバータには、モータと接続される出力端子が設けられている。電流センサ102は、その出力端子とインバータに内蔵されたインバータ回路を繋ぐバスバの一部に備えられる。走行用のモータは三相交流モータであり、インバータは三相交流を出力する。それゆえ、出力端子とインバータ回路が3本のバスバ20で繋がれている。電動車両では、要求トルクでモータを駆動するために、モータの電流フィードバック制御が実行される。電流センサ102で計測された電流値は、電流フィードバック制御の制御量を決定するために利用される。
図11に示すように、センサユニット53は、バスバ20の上側の夫々に設けられた切欠21a、21b、21cに嵌合している。センサユニット53には、3個のセンサ素子34a、34b、34cが内側に備えられている。センサ素子34a、34b、34cは、磁界の強さを計測する磁電変換素子である。センサ素子34a、34b、34cは、計測可能な磁界の方向が一方向だけである。詳細は後述するが、センサユニット53が切欠21a、21b、21cに嵌合することで、夫々のセンサ素子34a、34b、34cが夫々の切欠21a、21b、21cの内側に位置決めされる。なお、以下、センサ素子34a、34b、34cを区別なく示す場合、センサ素子34と称する。また、シールドユニット54は、バスバ20の下側の夫々に設けられた切欠22a、22b、22c(切欠22bは図11では不図示、図12を参照)に嵌合している。
図12を参照して、バスバ20の構成について説明する。図12は、電流センサ102から、センサユニット53とシールドユニット54を外し、バスバ20のみを示した斜視図である。電動車両のモータには、大電流が流れる。そのため、内部抵抗を小さくするように細長い金属板により構成されたバスバ20が採用される。図12に示すように、バスバ20は、細長い金属板である。バスバ20a、20b、20cは、その幅広の側面が対向するように平行に配置されている。さらに、バスバ20a、20b、20cは、その幅狭の側面が上下方向(Z方向)で揃うように配置されている。別言すれば、3本のバスバ20a、20b、20cは、X方向に並んでいるとともに、Y方向に平行に延びている。また、バスバ20a、20b、20cのX方向の厚みは同じである。
図12に示すように、バスバ20a、20b、20cの夫々には、長方形の切欠21a、21b、21c及び長方形の切欠22a、22b、22cが設けられている。切欠21a、21b、21cは同じ形状であり、切欠22a、22b、22cも同じ形状である。バスバ20aにおいて、切欠21aはバスバ20aの上側に位置しており、切欠22aはバスバ20aの下側に位置している。切欠21aと切欠22aはバスバ20aの延設方向(即ち、Y方向)の同位置に配置されている。他のバスバ20b、20cにおいても、バスバ20aと同様の位置関係で切欠21b、22c及び切欠22b、22cが設けられている。
また、切欠21a、21b、21cは、上から見たとき(即ち、Z方向から見たとき)にV字形に配置されている。別言すれば、バスバ20aの切欠21aは、バスバ20aに隣接するバスバ20bの切欠21bと延設方向(Y方向)で重ならないように配置されている。同様に、バスバ20bの切欠21bは、バスバ20bに隣接するバスバ20cの切欠21cと延設方向(Y方向)で重ならないように配置されている。
図13を参照して、センサユニット53の構成について説明する。図13は、電流センサ102を上から見たとき(即ち、Z方向から見たとき)の平面図である。センサユニット53は、3個のセンサ素子34a、34b、34cと、センサ素子34が接続されるセンサ基板33と、上シールド板32とを、射出成型により絶縁性の樹脂でモールドすることにより構成される。以下、センサ素子34とセンサ基板33と上シールド板32を覆っている絶縁性の樹脂を樹脂パッケージ31と称する。樹脂パッケージ31は、センサ素子34とセンサ基板33と上シールド板32の周囲全面を覆っている。別言すれば、センサ素子34とセンサ基板33と上シールド板32は樹脂パッケージ31の内側に埋設されている。センサユニット53の外形、即ち、樹脂パッケージ31の外形は、平板形状である。図13に示すように、センサユニット53は、バスバ20の上に配置されており、樹脂パッケージ31には、バスバ20aに対応した切欠38aと、バスバ20b、20cの夫々に対応したスリット38b、38cが設けられている。切欠38a及びスリット38b、38cは、樹脂パッケージ31の上面から下面まで貫通しており、樹脂パッケージ31の内側に備えられているセンサ基板33と上シールド板32も貫通している。スリット38b、38cは、バスバの延設方向(即ち、Y方向)に長い長方形であり、同じの形状を有している。図13に示すように、切欠38aは樹脂パッケージ31の側面(X軸負方向の側面)に設けられている。スリット38bは樹脂パッケージ31のX軸正方向側の側面から伸びており、スリット38cは樹脂パッケージ31のX軸負方向側の側面から伸びている。即ち、切欠38aとスリット38b、38cは、V字形に配置されている。別言すれば、切欠38aとバスバの延設方向(Y方向)に並ぶ部位である嵌合部39a、及び、スリット38b、38cと一直線をなす部位である嵌合部39b、39cがV字形に配置されている。このV字形に配置される嵌合部39a、39b、39cが、同様にV字形に配置されるバスバ20の切欠21a、21b、21cの夫々に嵌合することでセンサユニット53がバスバ20に取り付けられる。このとき、スリット38b、38cは、対応するバスバ20b、20cに嵌合する。
センサ素子34は、バスバ20を流れる電流に起因する磁界の強度を計測し、磁界の強度に応じた電圧信号を出力する。図13に示すように、センサ素子34aは、嵌合部39aの内側に配置されている。嵌合部39aが切欠21aに嵌合することで、センサ素子34aが切欠21aの内側に配置される。これにより、センサ素子34aはバスバ20aに対向するように配置され、センサ素子34aによりバスバ20aを流れる電流に起因する磁界の強度が計測される。バスバ20aは、Y方向に延びており、センサ素子34aは、Z方向で対応するバスバ20aを通る直線上でその感磁方向がX方向を向くように配置されている。同様に、センサ素子34b、34cも、夫々嵌合部39b、39cの内側に配置されている。嵌合部39b、39cが切欠21b、21cに嵌合することで、センサ素子34b、34cが夫々切欠21b、21cの内側に配置される。バスバ20b、20cは、Y方向に延びており、センサ素子34b、34cは、Z方向で対応するバスバ20b、20cを通る直線上でその感磁方向がX方向を向くように配置されている。センサ素子34b、34cの夫々により、バスバ20b、20cの夫々を流れる電流に起因する磁界の強度が計測される。
図13に示すように、センサユニット53のバスバ20の並び方向(X方向)における端部には、出力端子35が設けられている。出力端子35はセンサ基板33に接続されている。センサ素子34から出力される電圧信号は、センサ基板33を介して出力端子35からセンサユニット53の外部へと出力される。
図14を参照して、センサユニット53についてさらに説明するとともに、シールドユニット54についても説明する。図14は、図13のXIV−XIV線における断面図である。図13におけるXIV−XIV線は、バスバの延設方向(Y方向)に直交する断面であって、センサ素子34a、34cを通過する断面を示す。図14に示すように、センサ素子34a、34cは、樹脂パッケージ31に覆われている。図14において破線で描かれているセンサ素子34bも樹脂パッケージ31に覆われている。
センサ素子34a、34b、34cの上には、センサ基板33が位置しており、センサ基板33の上には上シールド板32が位置している。センサ基板33と上シールド板32も樹脂パッケージ31に覆われている。センサ素子34a、34b、34cの上面には電極(不図示)が露出しており、その電極がセンサ基板33に接続されている。上シールド板32は、透磁率の高い材料で作られている。上シールド板32の外側で発生する他の電子部品等(例えば、インバータ回路に備えられる電子部品)から発生するノイズとなる磁界は上シールド板32に集磁される。よって、センサ素子34a、34b、34bは、上シールド板32の外側で発生するノイズとなる磁界から遮断される。なお、上述したように、樹脂パッケージ31は、射出成型により形成される。したがって、センサ素子34a、34b、34c、センサ基板33、上シールド板32は、樹脂パッケージ31に密着している。
電流センサ102の利点について説明する。以下では、センサ素子34cで代表して説明する。図14に示すように、切欠21cと切欠22cを設けることにより、切欠21cと切欠22cの間にはバスバ20cの切欠の無い部位より横断面の面積の小さい部位(幅狭部WN)が形成される。幅狭部WNを通過する電流の電流密度は、バスバ20cの切欠が無い部位を通過する電流の電流密度より高くなる。幅狭部WNにより電流密度が高められることで、幅狭部WNの周囲に発生する磁界の強度も高められる。センサ素子34cはその高められた磁界強度を感知するため、センサ素子34cは、本来計測すべき磁界の強度(バスバ20cが発する磁界の強度)と、ノイズとなる磁界(例えば、他の電子部品や隣接するバスバから発生する磁界)の強度との比(SN比)が大きくなる。センサ素子34cは高い精度でバスバ20cを通過する電流により発生する磁界の強度を検出することができる。センサ素子34a、34bについても同様の効果が得られる。
なお、バスバ20はY方向に延びており、バスバ20とセンサ素子34は、Z方向で隣接している。図1〜図10の実施例の場合と同様に、センサ素子34は、その感磁方向をX方向に向けて配置されている。
また、樹脂パッケージ31の嵌合部39bがバスバ20cの切欠21cに嵌合することで、センサ素子34cをバスバ20cに対して精度よく位置決めすることができる。さらに、より良い精度を得るためにも、センサ素子34cとバスバ20cの間隔を所望の距離に規定するとともに、センサ素子34cをバスバ20cになるべく近づけることが望ましい。上述の構成によれば、センサ素子34cとバスバ20cの間隔は、樹脂パッケージ31の下面を切欠21cの底面24に当接することで簡易に規定することができる。さらに、その間隔は、樹脂パッケージ31の厚みにより簡易に調整することができる。また、樹脂パッケージ31は絶縁体であるので、センサ素子34cとバスバ20cの間の絶縁性も確保することができる。センサ素子34a、34bについても同様の効果が得られる。
また、上述したように、電流センサ102のバスバ20bに設けられている切欠21bは、隣接するバスバ20a、20cに設けられている切欠21a、21cとバスバの延設方向(Y方向)で重ならないように配置されている。別言すれば、バスバ延設方向(Y方向)において、3本のバスバ20のうち、両側のバスバ20a、20cの切欠21a、21cは同じ位置に設けられている。そして、中央のバスバ20bの切欠21bは両側のバスバ20a、20cの切欠21a、21cとは異なる位置に設けられている。夫々のセンサ素子34は、対応するバスバ20の切欠21の内側に配置されている。このような構成によれば、同様に、バスバ20a、20cの幅狭部を通過する電流により発生する磁界は、バスバ20bの切欠21bに配置されているセンサ素子34bに大きな影響を与えない。同様に、バスバ2bの幅狭部を通過する電流により発生する磁界は、バスバ20a、20cの切欠21a、21cに配置されているセンサ素子34a、34cにも大きな影響を与えない。
図14を参照してシールドユニット54について説明する。図14に示すように、シールドユニット54は、下シールド板42の周囲を全て絶縁性の樹脂でモールドしている。下シールド板42の周囲を覆う絶縁性の樹脂を樹脂パッケージ41と称する。シールドユニット54は、センサユニット53と同様の形状をしている。シールドユニット54にもセンサユニット53と同様に配置されたスリットが設けられており、シールドユニット54は、センサユニット53と同様にバスバ20の下側の切欠22a、22b、22cに嵌合している。シールドユニット54により、シールドユニット54の外側で発生するノイズとなる磁界からも、センサ素子34を遮断することができる。即ち、センサ素子34が、センサユニット53の上シールド板32とシールドユニット54の下シールド板42により上下に挟まれることにより、センサ素子34は、電流センサ102の上下で発生するノイズとなる磁界から遮断される。
図14に示されているように、バスバ20cの幅狭部WNとセンサ素子34cは、一対のシールド板(上シールド板32と下シールド板42)によって挟まれている。バスバ20cの幅狭部WNは、センサ素子34cと下シールド板42の間に位置しており、センサ素子34cは、下シールド板42よりも上シールド板32の近くに位置している。そして、図14によく示されているように、センサ素子34cに近い上シールド板32の厚みが、下シールド板42の厚みよりも大きい。この厚みの相違により、図1〜図10で説明した電流センサ2と同様の効果が得られる。
センサ素子34a(34b)についても同様である。即ち、バスバ20a(20b)の幅狭部とセンサ素子34a(34b)は、一対のシールド板(上シールド板32と下シールド板42)によって挟まれている。バスバ20a(20b)の幅狭部は、センサ素子34a(34b)と下シールド板42の間に位置しており、センサ素子34a(34b)は、下シールド板42よりも上シールド板32の近くに位置している。そして、センサ素子34a(34b)に近い上シールド板32の厚みが、下シールド板42の厚みよりも大きい。センサ素子34a、34bについても、センサ素子34cと同様の効果を得ることができる。
ここまで説明してきた電流センサ、及び、シミュレーションでは、シールド板の厚みが一定であった。センサ素子を通りX方向とZ方向に拡がる平面でカットした断面において、シールド板の中央の厚みと縁の厚みが異なっていてもよい。Z方向からみたときに、少なくともセンサ素子と重なる範囲において、センサ素子に近い側のシールド板の厚みが、センサ素子から遠い側のシールド板の厚みよりも大きければよい。そのことをシミュレーションで確かめた。以下、シミュレーションについて説明する。
シミュレーションの条件を図15に示す。図15は、図4と同様に、電流センサをXZ平面でカットした断面図に相当する。図を見やすくするために、断面を表すハッチングは省略した。また、シミュレーションでは、センサ基板7とセンサ素子14と樹脂パッケージ8は無視した。上シールド板106と下シールド板5は、Y方向のどの位置でカットした断面も図15と同じである。即ち、Y方向に沿っても、センサ素子4と重なる範囲において、上シールド板106の厚みは下シールド板5の厚みよりも大きくなっている。
ノイズ源であるバスバ13は、X方向においては一対のシールド板5、106の外側に配置した。また、バスバ13は、Z方向においては、一対のシールド板5、106の間の中央に配置した。従って、バスバ13を流れる電流に起因する磁界は、両方のシールド板5、106に対して同じ強度で作用する。
シールド板5、106には、JIS規格(C 2552−1986)で規定されている無方向性電磁鋼帯「50A290」を採用した。X軸、Z軸の原点を、下シールド板5の上面5aの上に設定した。
上シールド板106は、XZ断面において凸形状をなしている。図15に示すように、上シールド板106、下シールド板5、センサ素子4、及び、バスバ3は、X方向の中心線(図中のZ軸)に対して対称となるように配置されている。別言すれば、上シールド板106の凸部分は、Z方向でセンサ素子4の直上に位置している。下シールド板5は、平板である。
下シールド板5、上シールド板106のX方向の幅W1は60[mm]である。下シールド板5の厚みTlは、1.0[mm]である。下シールド板5と上シールド板106の間の隙間Lは6.5[mm]である。上シールド板106の端部の厚みTu1は、1.0[mm]である。上シールド板106の凸部分の厚みTu2は、2.0[mm]である。なお、センサ素子4のX方向の幅は6.0[mm]である。即ち、上シールド板106は、Z方向からみたときにセンサ素子4と重なる範囲の厚みが端部の厚みよりも大きくなっている。
凸部分の横幅W2(X方向の幅)をいくつか変えてシミュレーションした。ケースAではW2=6.0[mm]とし、ケースBではW2=12.0[mm]とし、ケースCではW2=30.0[mm]とした。即ち、ケースAでは、凸部分の幅W2は、センサ素子4の幅と同じであり、ケースBでは、凸部分の幅W2は、センサ素子4の幅の2倍である。
シミュレーション結果を図16に示す。なお、図16の比較例は、上シールド板として、厚み1.0[mm]の平板を採用した場合のシミュレーション結果である。グラフの縦軸と横軸の意味は、図4のグラフと同じである。高さ3.25[mm]の位置に描いた破線CLは、一対のシールド板5、106の中間の線(先に述べた対称軸CL)を意味している。グラフGR9が比較例の結果を示している。比較例では、シールド間磁界は対称軸CLに対して線対称になるので、対称軸CLの位置において、シールド間磁界のX方向成分がゼロとなる。
グラフGC−AがケースAの結果を示しており、グラフGC−BがケースBの結果を示しており、グラフGC−CがケースCの結果を示している。ケースA(凸部分の幅W2=センサ素子4の幅)の場合でも、シールド間磁界のX方向成分がゼロとなる高さが上シールド板106の側にシフトしている。ケースB(凸部分の幅W2=センサ素子4の幅×2)のグラフGC−Bは、ケースC(凸部分の幅W2=30[mm])のグラフGC−Cとほぼ重なっている。即ち、上シールド板106の凸部分の幅W2がセンサ素子4の幅と同じかそれ以上であれば、センサ素子4が上シールド板106に近い側に位置していた場合にシールド間磁界の影響を低減することができる。凸部分の幅W2がセンサ素子4の幅の2倍あれば、幅W2が30[mm]の場合とほぼ同等の効果を得ることができる。
参考に、上シールド板の形状と寸法を様々に変えてシミュレーションを行ったのでその結果を説明する。図17から図19に、シミュレーションで採用した上シールド板の形状を示す。下シールド板、及び、バスバ3とセンサ素子4の配置については、図15のケースと同じである。
ケースDでは、凸レンズ型の形状を採用した(図17)。寸法は次の通り。上シールド板の幅W1=60[mm]、端における厚みTu1=1.0[mm]、中央の厚みTu2=2.0[mm]。ケースEでは、凹形状を採用した(図18)。寸法は次の通り。上シールド板の幅W1=60[mm]、端における厚みTu1=3.0[mm]、中央の厚みTu2=2.0[mm]、窪みの横幅W2=30[mm]。ケースFでは、凹レンズ型の形状を採用した(図19)。寸法は次の通り。上シールド板の幅W1=60[mm]、端における厚みTu1=3.0[mm]、中央の厚みTu2=2.0[mm]。ケースGでは、ケースEと比較して厚みの薄い凹形状を採用した。ケースEの上シールド板の形状は、ケースEの形状(図18)と同じであり、寸法のみがケースEと異なる。ケースGの場合の寸法は次の通り。上シールド板の幅W1=60[mm]、端における厚みTu1=2.0[mm]、中央の厚みTu2=1.0[mm]、窪みの横幅W2=30[mm]。
シミュレーション結果を図20に示す。図20では、図16に示したケースCのグラフ(GC−C)と、比較例のグラフ(GR9)も示してある。ケースCからケースF(GC−CからGC−F)のグラフは、ほぼ重なる。ケース3からケースFは、いずれも、Z方向からみたときにセンサ素子4と重なる範囲において、センサ素子4に近い側の上シールド板の厚みが2.0[mm]であり、センサ素子4から遠い側の下シールド板の厚みが1.0[mm]である。これらのケースでは、比較例と比較して、上シールド板に近い位置でシールド間磁束のX方向成分がゼロとなる。従って、センサ素子4を上シールド板に近い位置に配置したときに、シールド間磁束の影響を低減できる。
ケースGは、Z方向からみたときにセンサ素子4と重なる範囲において、上シールド板と下シールド板の厚みは共に1.0[mm]である。この場合のグラフGC−Gは、比較例のグラフ(GR9)にほぼ重なる。即ち、Z方向からみてセンサ素子4と重なる範囲で上シールド板と下シールド板の厚みが同じであれば、上シールド板の端の厚みが大きくても、シールド間磁束を低減する効果は小さい。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。実施例では、バスバ3を計測対象の導体とし、バスバ13をノイズ源とした。センサ素子14に着目すると、バスバ13が計測対象の導体となり、バスバ3がノイズ源の導体となる。この場合にも、上記した説明と同様のことがいえる。他の実施例についても同様である。
本明細書が開示する技術は、平行に延びる複数の導体の夫々に対して磁電変換素子が配置されている電流センサに適用することも可能である。一つの導体とこれに対応する磁電変換素子に着目すると、残りの導体はノイズ磁界の源に相当し、残りの磁電変換素子の存在は無視し得る。本明細書が開示する技術は、導体の数が3以上の場合にも適用することができる。
実施例の説明において、「磁電変換素子は磁界の強度を計測する」と説明した。磁界お強度と磁束密度は比例関係にあるので、「磁電変換素子は磁界の磁束密度を計測する」と表現してもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:電流センサ 3、13:バスバ 4、14:センサ素子 5:下シールド板 6、106:上シールド板 7:センサ基板 8:樹脂パッケージ 20、20a、20b、20c:バスバ 21a、21b、21c、22a、22b、22c:切欠 24:底面 31、41:樹脂パッケージ 32:上シールド板 33:センサ基板 34、34a、34b、34c:センサ素子 38a:切欠 38b、38c:スリット 39a、39b、39c:嵌合部 42:下シールド板 53:センサユニット 54:シールドユニット 102:電流センサ
Claims (2)
- 第1方向で並んでいるとともに、前記第1方向と直交する第2方向に平行に延びている2本の導体のうち、一方の導体を流れる電流を計測する電流センサであり、
前記第1方向及び前記第2方向に対して直交する第3方向で前記一方の導体を通る直線上にて、感磁方向が前記第1方向を向くように配置されている磁電変換素子と、
前記第3方向で前記一方の導体と前記磁電変換素子を挟んでいる一対の磁気シールド板と、
を備えており、
前記一方の導体は、前記磁電変換素子と一方の磁気シールド板の間に位置しており、
前記磁電変換素子は、前記一方の磁気シールド板よりも他方の磁気シールド板の近くに位置しており、
前記第3方向からみたときに少なくとも前記磁電変換素子と重なる範囲において、前記他方の磁気シールド板の厚みが前記一方の磁気シールド板の厚みよりも大きいことを特徴とする電流センサ。 - 前記第3方向からみたときに前記磁電変換素子と重なる範囲の前記他方の磁気シールド板の厚みが当該他方の磁気シールド板の端部の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
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