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JP2016188343A - セルロースナノファイバー及びその製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー及びその製造方法 Download PDF

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賢志 高市
Kenji Takaichi
賢志 高市
武史 中山
Takeshi Nakayama
武史 中山
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Abstract

【課題】本発明は、加熱時に着色しないセルロースナノファイバー及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】カルボキシル基量が0.6mmol/g〜2.0mmol/g、数平均繊維長100〜3000nm、且つ数平均繊維径が2〜1000nmであるセルロースナノファイバーであって、セルロースナノファイバーより作成した厚さ50±5μmのフィルムの260nmにおける紫外線吸収スペクトルのピーク値をA、290nmにおける紫外線吸収スペクトルのピーク値をB、フィルムの膜厚をXμmとしたとき、A/Xが0.055/μm以下、且つB/Xが0.050/μm以下であることを特徴とするセルロールナノファイバー。【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバー及びその製造方法に関する。具体的には、酸化セルロースに還元処理を行うことで、アルデヒド基及びケトン基の量を減少させた、加熱時に着色が発生しないことを特徴とするセルロースナノファイバー、及びその製造方法に関する。
セルロース原料を2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(以下、TEMPOとも呼ぶ)と安価な酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムとの共存下で処理するとセルロースミクロフィブリル表面にカルボキシル基を効率よく導入できることが知られている。こうして得られた酸化セルロースは、わずかな解繊エネルギーを付与することにより、均一で透明なセルロースナノファイバー水分散液へと調製することができる。このような酸化セルロースの製造方法や、セルロースナノファイバーの製造方法に関して、様々な研究が行われている(特許文献1)。
特開2008−001728号公報
しかしながら、引用文献1に開示されているセルロースナノファイバーは、加熱時に着色する問題があった。加熱時に着色が発生すると、セルロースナノファイバーを工業的に利用する際に、熱加工により成形する際に、製品が変色してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、加熱時に着色しないセルロースナノファイバー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の[1]〜[2]を提供する。
[1] カルボキシル基量が0.6mmol/g〜2.0mmol/g、数平均繊維長100〜3000nm、且つ数平均繊維径が2〜1000nmであるセルロースナノファイバーであって、セルロースナノファイバーより作成した厚さ50±5μmのフィルムの260nmの紫外線吸収スペクトルのピーク値をA、290nmの紫外線吸収スペクトルのピーク値をB、フィルムの膜厚をXμmとしたとき、A/Xが0.055/μm以下、且つB/Xが0.050/μm以下であることを特徴とするセルロールナノファイバー。

[2] 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする[1]に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
(i)N−オキシル化合物、及び臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で、セルロース原料を酸化して酸化セルロースを調製する工程
(ii)前記酸化セルロースに還元処理を施す工程
(iii)前記還元処理を施した酸化セルロースを解繊・分散処理する工程
本発明によれば、加熱時に着色しないセルロースナノファイバー及びその製造方法を提供することができる。
本発明のセルロースナノファイバーは、カルボキシル基量が0.6mmol/g〜2.0mmol/g、繊維長100〜3000nm、且つ繊維径が2〜1000nm、であり、セルロースナノファイバーより作成した厚さ50±5μmのフィルムの260nmにおける紫外線吸収スペクトルのピーク値をA、290nmにおける紫外線吸収スペクトルのピーク値をB、フィルムの膜厚をXμmとしたとき、A/Xが0.055/μm以下、且つB/Xが0.050/μm以下であることを特徴としている。
なお、紫外線吸収スペクトルは、分光光度計により測定することができ、紫外線吸収スペクトルのピーク値(吸光度)は、以下の式で表される。
吸光度=−log10(I/I) I;透過光強度、I;入射光強度

また、本発明のセルロースナノファイバーは、(i)N−オキシル化合物、及び臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で、セルロース原料を酸化して酸化セルロースを調製する工程、(ii)前記酸化セルロースに還元処理を施す工程、(iii)前記還元処理を施した酸化セルロースを解繊・分散処理する工程を経ることにより製造することができる。
本発明のセルロースナノファイバーが優れた効果(加熱時の着色少ない)を発現する理由は次のように推測される。
カルボキシル基量が0.6mmol/g〜2.0mmol/gのセルロースナノファイバーは、N−オキシル化合物(TEMPO、TEMPO誘導体など)などの酸化触媒及び酸化剤を用いたセルロース原料の酸化、又はオゾンを用いたセルロース原料の酸化によって得られる酸化セルロースを解繊することで得ることができる。
しかしながら、例えば、N−オキシル化合物を酸化触媒とした酸化セルロースの製造においては、C6位に選択的にカルボキシル基が生成される一方、副反応としてN−オキシル化合物や次亜塩素酸ナトリウムによるセルロースのC2位、C3位の二級アルコールの酸化が起こり、C2位及びC3位にケトン基が生成される。また、TEMPO触媒によるC6位のカルボキシル基への酸化は、アルデヒドを経由した二段階反応であり、一部のアルデヒド基がカルボキシル基まで酸化されず残った状態となる。このようにケトン基やアルデヒド基が存在していると、加熱された際に、ケトン基やアルデヒド基を足場としてβ脱離反応が起こる。その結果、新たに生成したセルロースの非還元末端には、ケトン基からは2,3−ジケトンが、アルデヒドからはα,β−不飽和アルデヒドが生成する。更に、新たに生成したセルロースの還元末端からはピーリング反応が起こり、2,3−ジケトンを有する着色物質が蓄積する。
このようなメカニズムにより、従来のカルボキシル基量が0.6mmol/g〜2.0mmol/gのセルロースナノファイバーは、加熱時に着色するといった問題が発生していた。これに対して、本発明のセルロースナノファイバーは、酸化セルロースに還元処理を施すことにより、アルデヒド基量及びケトン基の量を減少させることで、優れた効果が発現すると推測される。
なお、紫外線吸収スペクトルの吸光度にいて、260nmはアルデヒド特有のピークであり、290nmはケトン基に特有なピークである。


(1)セルロース原料
本発明において、セルロース原料とは、セルロースを主体とした様々な形態の材料をいい、パルプ(晒又は未晒木材パルプ、晒又は未晒非木材パルプ、精製リンター、ジュート、マニラ麻、ケナフ等の草本由来のパルプなど)、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロース、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等の何らかの溶媒に溶解した後に紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース原料に加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル等の機械的処理等をすることによってセルロースを解重合した微細セルロースなどが例示される。

(2)酸化処理
上記のセルロース原料を、N−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することでカルボキシル基をセルロースに導入した酸化セルロースを得ることができる。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物である。本発明で用いるN−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
N−オキシル化合物の使用量は、セルロースをナノファイバー化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、コストの観点から、現在工業プロセスにおいて最も汎用されている安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。
セルロースの酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってパルプを構成するセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを9〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、好ましくは2〜6時間、さらに好ましくは4〜6時間程度である。しかしながら本発明においては、前述のとおり酸化時間を低減できるので、反応時間は30分以上120分が好ましく、30〜100分がより好ましく、30〜70分がさらに好ましい。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、セルロース原料に効率よくカルボキシル基を導入でき、セルロース原料の酸化を促進することができる。
酸化セルロースのカルボキシル基量が、セルロースの絶乾質量に対して、0.2mmol/g以上となるように条件を設定することが好ましい。この場合のカルボキシル基量は、より好ましくは0.6mmol/g〜2.0mmol/g、さらに好ましくは1.0mmol/g〜1.8mmol/gである。カルボキシル基量は、酸化反応時間の調整、酸化反応温度の調整、酸化反応時のpHの調整、N−オキシル化合物や臭化物、ヨウ化物、酸化剤の添加量の調整などを行なうことにより調製できる。
なお、酸化セルロース中のカルボキシル基量は、以下の手順で測定することができる:
酸化セルロースの0.5質量%スラリーを60ml調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース〕= a〔ml〕× 0.05/酸化セルロース質量〔g〕。

(3)還元処理
本発明の還元処理に用いられる還元剤としては、酸化セルロースの部分的に生成したアルデヒド基及びケトン基をアルコールに還元できるものであれば、いずれの還元剤も使用でき、例えば、チオ尿素、ハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられる。還元剤の使用量としては、酸化セルロース原料100質量部に対して、0.1〜150質量部、好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜50質量部程度である。また、還元処理温度は、還元処理の効率、繊維の劣化抑制の点から、10〜90℃程度が望ましく、20〜70℃とすることが更に好ましい。また、還元処理時のpHは、使用する還元剤によって適宜調整すればよいが、通常pH2〜12であり、好ましくいはpH3〜10である。還元反応における反応時間は、還元の進行の程度に従って適宜設定することができ、特に限定されないが、通常0.5〜6時間、好ましくは1〜5時間、さらに好ましくは1〜4時間である。

(4)解繊
還元処理を施した酸化パルプは、解繊されてセルロースナノファイバーへと変換される。解繊は、例えば、高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザーなどの混合・攪拌、乳化・分散装置を必要に応じて単独もしくは2種類以上組合せて行うことができる。この際、繊維がほぐれてシングルミクロフィブリルを形成するのと同時に、酸化パルプの大きさ(繊維長及び繊維径)が小さくなる。特に、100MPa以上、好ましくは120MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上の圧力を可能とする超高圧ホモジナイザーを用いると、セルロースナノファイバーの短繊維化と分散が効率よく進行し、水分散液としたときに低い粘度を有するセルロースナノファイバーを効率よく製造することができるので好ましい。

本発明のセルロースナノファイバーの繊維長は、好ましくは100〜3000nmであり、より好ましくは150〜1500nm、更に好ましくは200nm〜1000nmである。繊維径は、好ましくは2〜1000nm、より好ましくは2.5〜100nm、更に好ましくは3〜10nmである。
本発明のセルロースナノファイバーは、分散液として使用できる。また、本発明のセルロースナノファイバーは、シート、あるいは成型物に含有させて使用することができる。

(5)フィルム
本発明において、セルロースナノファイバーからなるフィルムは、延伸等の力を加えることなく乾燥若しくは固化することで得ることができる。
次に実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(パルプの酸化)
針葉樹由来の漂白済み未叩解パルプ(日本製紙社製)5g(絶乾)を、TEMPO(東京化成社製)78mg(0.5mmol)と臭化ナトリウム(和光純薬社製)756mg(7.35mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで攪拌した。ここに次亜塩素酸ナトリウム(和光純薬社製)2.3mmolを水溶液の形態で加え、次いで、次亜塩素酸ナトリウムをパルプ1g当たり0.23mmol/分の添加速度となるように送液ポンプを用いて徐々に添加し、パルプの酸化を行った。次亜塩素酸ナトリウムの全添加量が22.5mmolとなるまで添加を継続した。反応中は系内のpHは低下するが、3N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。水酸化ナトリウム水溶液を添加し始めてから(すなわち、酸化反応が開始されてpHの低下が見られた時点から)、添加を終了するまで(すなわち、酸化反応が終了してpHの低下が見られなくなった時点まで)の時間を反応時間とした。反応後の液をガラスフィルターで濾過し、十分に水洗することで酸化処理したパルプを得た。
(酸化処理したパルプのカルボキシル基量の測定)
酸化パルプのカルボキシル基量は、次の方法で測定した:
酸化パルプの0.5質量%スラリーを60ml調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化パルプ〕= a〔ml〕× 0.05/酸化パルプ質量〔g〕。
この測定の結果、得られた酸化パルプのカルボキシル基量は1.60mmol/gであった。
(酸化パルプの還元)
濃度1%(w/v)の酸化パルプのスラリー500mLに、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬社製)を2g加え、温度を40℃に保ちながら3時間かけて還元処理を行った。還元処理後のパルプのスラリーをガラスフィルターで濾過し、十分に水洗することで、還元処理を行った酸化パルプを得た。

(酸化パルプの解繊及び分散液の調製)
上記還元処理を経た濃度1%(w/v)の酸化パルプのスラリー500mLを超高圧ホモジナイザー(20℃、140MPa)で5回処理したところ、透明なゲル状であるセルロースナノファイバー分散液が得られた。
(セルロースナノファイバーの粘度測定)
TV−10型粘度計(東機産業社製)を用いて測定したB型粘度(60rpm、20℃)が1000mP・aとなるセルロースナノファイバー水分散液の濃度(%(w/v))を、粘度の指標として用いた。この条件で、3%(w/v)以上の値となる場合は、「濃度3%(w/v)の際のB型粘度(60rpm、20℃)が1000mPa・s以下である」といえる。
(セルロースナノファイバーの平均繊維長測定)
マイカ切片上に固定したセルロースナノファイバーの原子間力顕微鏡像(3000nm×3000nm)から、繊維長を測定し、数平均繊維長を算出した。繊維長測定は、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用い、長さ100nm〜2000nmの範囲で行った。
(セルロースナノファイバーの平均繊維径測定)
セルロースナノファイバーの濃度が0.001質量%となるように希釈したセルロースナノファイバー水分散液を調製した。この希釈分散液をマイカ社製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した形状像の断面高さを計測し、数平均繊維径を算出した。

(セルロースナノファイバーのフィルム化)
上記の濃度1%のセルロースナノファイバー15ml分を量り取り、直径5cmのシャーレに注いだ後、送風乾燥器にて温度40℃で2日間静置した。その後、厚さ50μmのセルロースナノファイバーのフィルム化物を得た。
(セルロースナノファイバーの加熱後の着色の評価)
上記で得られたフィルム化物を、送風乾燥器にて温度120℃で15分間かけて加熱処理を行った。加熱処理後のフィルム化物を白色のシートの上に置いて色味を目視で確認した。
(アルデヒド基およびケトン基の確認)
フィルム化により得られたセルロースナノファイバーのフィルムを送風乾燥器にて温度150℃で30分間かけて加熱処理を行った。この加熱処理後のセルロースナノファイバーのフィルム化物に対し、紫外可視近赤外分光光度計V−670(日本分光社製)を用いて、紫外線吸収スペクトル(190nm〜400nmの範囲)の吸光度を測定した。ケトン基に特有な290nmのピークと、アルデヒド基に特有な260nmの波長のピーク値を測定した。
[実施例2]
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.25g添加し、温度25℃、pH10で1時間の還元反応を行った以外は、実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー分散液を得た。

[比較例1]
酸化パルプの還元反応を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー分散液を得た。
Figure 2016188343

実施例1〜2のセルロースナノファイバーは、比較例1のセルロースナノファイバーに比べて、平均繊維長、平均繊維径、粘度ともに物性に大きな違いは見られないが、加熱後の着色に明確な差がある。加熱後の着色が発生しないことは、セルロースナノファイバーの工業的利用において、加熱処理による変色の影響を受けないという点から、有利であるといえる。

Claims (2)

  1. カルボキシル基量が0.6mmol/g〜2.0mmol/g、数平均繊維長100〜3000nm、且つ数平均繊維径が2〜1000nmであるセルロースナノファイバーであって、セルロースナノファイバーより作成した厚さ50±5μmのフィルムの260nmにおける紫外線吸収スペクトルのピーク値をA、290nmにおける紫外線吸収スペクトルのピーク値をB、フィルムの膜厚をXμmとしたとき、A/Xが0.055/μm以下、且つB/Xが0.050/μm以下であることを特徴とするセルロールナノファイバー。
  2. 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
    (i)N−オキシル化合物、及び臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で、セルロース原料を酸化して酸化セルロースを調製する工程
    (ii)前記酸化セルロースに還元処理を施す工程
    (iii)前記還元処理を施した酸化セルロースを解繊・分散処理する工程
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