[go: up one dir, main page]

JP2016179547A - 強化繊維基材の製造方法 - Google Patents

強化繊維基材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016179547A
JP2016179547A JP2015059531A JP2015059531A JP2016179547A JP 2016179547 A JP2016179547 A JP 2016179547A JP 2015059531 A JP2015059531 A JP 2015059531A JP 2015059531 A JP2015059531 A JP 2015059531A JP 2016179547 A JP2016179547 A JP 2016179547A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing fiber
jig
fiber bundle
bundle layer
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015059531A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6439528B2 (ja
Inventor
將之 佐藤
Masayuki Sato
將之 佐藤
真吾 三浦
Shingo Miura
真吾 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2015059531A priority Critical patent/JP6439528B2/ja
Publication of JP2016179547A publication Critical patent/JP2016179547A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6439528B2 publication Critical patent/JP6439528B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

【課題】強化繊維の廃棄量を大幅に低減でき、賦形時に基材の形態を保ちつつ型の形状に沿って変形することが可能な、生産性と賦形性に優れた強化繊維基材の製造方法の提供。
【解決手段】強化繊維束を一方向に引き揃えた強化繊維束層を少なくとも1層有し強化繊維束が補助糸により一体化された強化繊維基材の製造方法であって、a)の工程を経た後、b)〜e)の工程を有する強化繊維基材の製造方法。a)一方向に引き揃えた強化繊維束層を開口部を有する第1の治具の表面上に配置する工程、又は開口部を有する第1の治具の所定位置に一方向に引き揃えた強化繊維束層を形成する工程b)強化繊維束層を挟み込むように開口部を有する第2の治具を設置する設置工程c)第1の治具及び第2の治具に挟み込み強化繊維束層を把持する工程d)第1の治具及び/又は第2の治具の開口部から強化繊維束層を補助糸で一体化する工程e)第1の治具及び第2の治具を取り外す工程
【選択図】図6

Description

本発明は、強化繊維基材の製造方法に関する。
生産性に優れた繊維強化プラスチック(iber einforced lastics:FRP)の成形方法として、ドライの強化繊維布帛からなる基材積層体を成形型内に配置し、マトリックス樹脂を型内に注入し強化繊維基材積層体内に含浸させ、樹脂を硬化させた後、成形品を脱型させる、いわゆるRTM成形方法が知られている。そして、比較的大型の成形品や肉厚の成形品を製造する場合には、効率のよい成形方法として、先に強化繊維基材積層体(例えば、複数枚の強化繊維基材)を所定形状に賦形して、FRPの成形前躯体である強化繊維基材積層体のプリフォームを作製し、そのプリフォームを成形型内に配置して、マトリックス樹脂を型内に注入し、基材に含浸した樹脂を硬化させる成形方法が採用されている。このようなRTM成形に用いられる強化繊維布帛として、主に織物基材やNCF(ノンクリンプファブリック)基材が用いられることが多い。これらの基材は織機もしくは経編機により、量産に適したロール形態で生産されており、前記のプリフォームを製造する場合には、前記強化繊維布帛をロールから必要量引き出し、所望の形状に裁断、積層するなどされる。
ところが、このようにロールから必要量の基材を引き出して製品に対応する形状に裁断する方法では、製品形状を切り出した後に余る強化繊維布帛の端材が多く、強化繊維の廃棄量が増加し、コスト上昇の一因になるという問題があった。
そこで、ロールから裁断するのではなく、必要箇所に強化繊維束を順次配置していくことで廃棄量を大幅に低減させる、ファイバープレイスメント法が注目されている。
例えば、特許文献1などでは、ロボットハンドに取り付けたヘッドがタック性を有する強化繊維束を3次元形状型に直接貼り付ける方法が開示されている。この方法においては、強化繊維束を所望の量だけ型に貼り付けることができるため、強化繊維の廃棄量を大幅に低減できるほか、直接3次元型に貼り付けるため、プリフォーム作製工程が不要になるという利点がある。しかし、型形状に沿わせて貼り付けるため、形状が複雑になるほど速度が遅くなり、複雑な形状を有しながらも高い生産性を求められる自動車部材等の生産には用いることが困難である。
また、特許文献2などでは、ヘッドが基布の上に強化繊維束を配置すると同時に縫い付けることで2次元の製品形状シートを作製する、いわゆるTFP(テイラードファイバープレイスメント)法が開示されている。この方法においては、一般的に強化繊維を平面上に配置していく手法であるため、前述の3次元型に直接配置するような方法に比べて配置速度が速い点が利点である。しかしながら、原理的に強化繊維束をステッチ糸で縫い付けるために基布が必要となり、後工程まで基布が混入してしまう制約がある。また、強化繊維束の配置とステッチ糸による基布への縫い付けを同時に行うため、縫い付け速度が律速になる可能性も考えられる。
さらに、特許文献3では、ファイバープレイスメントヘッドにより強化繊維束を平面状に配置した後、熱可塑性樹脂繊維をバインダとして接着し、前記強化繊維束を一体化し強化繊維布帛を作製する方法が開示されている。上記方法は、強化繊維を平面上に配置していくものであるため、前述の3次元型に直接配置するような方法に比べて強化繊維の配置速度が速く、さらにTFP法のように基布を製品内に残さない利点がある。しかし、上記手法では熱可塑性樹脂繊維をバインダとして一体化しているため、隣り合う強化繊維束同士は両者にまたがり存在するバインダの接着力のみに依存することから、強化繊維布帛の形態が不安定になり、賦形の際に強化繊維布帛を構成する強化繊維束の間に亀裂が生じやすく、局所的に強化繊維の密度が著しく低下する部分が発生して、力学物性が低下するという課題を有する。
特表2013−525140号公報 特開2014−100911号公報 特表2013−532739号公報
上記のように、いわゆるファイバープレイスメント法は、所望の箇所に強化繊維束を順次配置していくため、強化繊維の廃棄量を大幅に低減させることが可能である。特に、平面形状に配置する場合には、強化繊維の配置速度を高くすることができるため、生産性にも優れている。しかし、平面上に強化繊維束を配置した後にバインダを用いて一体化した場合には、後工程の賦形時に、織物基材やNCF基材のように基材としての形態(特に、NCF基材の場合においては繊維配向や繊維間隔等)を保ちつつ、型の形状に沿って変形することが困難であった。
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術の現状に鑑み、強化繊維の廃棄量を大幅に低減でき、なおかつ賦形時に基材としての形態を保ちつつ型の形状に沿って変形することが可能な、生産性に優れた強化繊維基材の製造方法を提供することにある。
本発明はかかる課題を解決するために以下の構成を採るものである。すなわち、
(1)強化繊維束を一方向に引き揃えた強化繊維束層を少なくとも1層有し、前記強化繊維束が補助糸により一体化された強化繊維基材の製造方法であって、a−1)またはa−2)いずれかの工程を経た後、b)〜e)の工程を有する強化繊維基材の製造方法。
a−1)一方向に引き揃うように強化繊維束を所定位置に配置し、前記強化繊維束を保持させた少なくとも1層の強化繊維束層を、開口部を有する第1の治具の表面上に配置する繊維配置工程
a−2)開口部を有する第1の治具の所定位置に、一方向に引き揃うように強化繊維束を配置した強化繊維束層を少なくとも1層形成する繊維配置工程、
b)前記強化繊維束層を挟み込むように、開口部を有する第2の治具を設置する設置工程
c)前記第1の治具および前記第2の治具に挟み込み圧力もしくは張力を付与して前記強化繊維束層を把持する把持工程
d)前記第1の治具および/または前記第2の治具の開口部から前記強化繊維束層を前記補助糸で一体化する一体化工程
e)前記第1の治具および前記第2の治具を取り外す取り外し工程
(2)前記強化繊維束層が2層からなる、(1)に記載の強化繊維基材の製造方法。
(3)前記a−1)工程において、静電吸着可能な架台上に前記強化繊維束層を静電吸着させる、(1)または(2)に記載の強化繊維基材の製造方法。
(4)前記a−2)工程において、静電吸着可能な架台上に前記第1の治具を配置し、前記強化繊維束層を静電吸着させる、(1)または(2)に記載の強化繊維基材の製造方法。
(5)前記第1の治具および/または前記第2の治具に、複数の開口部を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の強化繊維基材の製造方法。
(6)前記開口部のうち、縫合エリアの幅が2.5mm以上300mm以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の強化繊維基材の製造方法。
このように、本発明に係る強化繊維基材の製造方法によれば、強化繊維の廃棄量を大幅に低減でき、なおかつ賦形時に基材としての形態を保ちつつ型の形状に沿って変形することが可能な、生産性と賦形性に優れた強化繊維基材を製造することができる。
本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである繊維配置工程の一実施態様である。 本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである繊維配置工程の別の実施態様である。 本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである設置工程の一実施態様である。 本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである把持工程の一実施態様である。 本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである一体化工程の一実施態様である。 本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである取り外し工程の一実施態様である。 本発明に係る第1の治具または第2の治具の説明図である。 本発明に係る補助糸のピッチおよび間隔の説明図である。
本発明の強化繊維基材の製造方法は、強化繊維束を配置する繊維配置工程、配置した強化繊維束を第1の治具および第2の治具で挟まれた状態にする設置工程、第1の治具および第2の治具を固定する把持工程、補助糸で強化繊維束のみを一体化させる一体化工程、さらに、第1の治具および第2の治具を取り外す取り外し工程から構成される。以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明が図面に記載された発明に限定されるものではない。
<繊維配置工程>
図1は本発明に係る強化繊維基材の製造工程の1つである繊維配置工程の一実施態様を表す。クリール115から引き出された強化繊維束114は、ファイバープレイスメントヘッド113により、架台112の上に一方向に引き揃うように配置され、強化繊維束層116が少なくとも1層以上形成される。形成された強化繊維束層116は搬送装置117により第1の治具110上に配置される。
ここで、用いる強化繊維の種類は限定しないが、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維などが挙げられ、特に軽量化の効果が高いことから炭素繊維が好ましい。また、強化繊維束として、複数種の強化繊維から構成される強化繊維束を用いることもできる。
ファイバープレイスメントヘッド113は、強化繊維束114を所定の長さにカットする機構と、所定の位置に配置する機構を有するものであって、この所定の位置に配置する機構として、所定の箇所に強化繊維束を押し付けるローラおよびその加圧機構を用いてもよい。さらに、強化繊維束114としてバインダ等が付着しているものを使用する場合には、これを軟化・溶融させる加熱機構を有していてもよい。
架台112は所定の箇所に配置された強化繊維束114を保持する機構を有することが好ましい。保持機構としては、配置時には保持機能の発動と解除が容易である機構が好ましく、例えば架台表面上に静電気力を発生させて強化繊維束を吸着させる静電吸着機構や、架台表面上に負圧を発生させて強化繊維を吸着させる真空吸引機構が挙げられるが、この限りではない。特に、架台表面全体に対して、均一に吸着効果を発生させることが容易である静電吸着機構は端部の繊維であっても安定して吸着できるため、より好ましい。
搬送装置117は、一方向に引き揃うように配置された強化繊維束層116の形態を保持したまま第1の治具110上に搬送できる機構を有していればよく、例えば前述した静電吸着機構を有するロボットハンドが挙げられるが、この限りではない。
図2は本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである繊維配置工程の別の実施態様を表す。クリール125より引き出された強化繊維束124は、ファイバープレイスメントヘッド123により、架台122に設置された第1の治具120の上に一方向に引き揃うように配置され、強化繊維束層126が少なくとも1層以上形成される。架台122上には、前述の実施態様と同様の強化繊維束124を保持する機構を有していてもよい。
<設置工程>
図3は本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである設置工程の一実施態様を表す。第1の治具130の上に配置された強化繊維束層136を挟み込むように、第2の治具138を設置する。
ここで前記第1の治具130および前記第2の治具138はそれぞれ複数の開口部131を有しており、それぞれの開口部が前記強化繊維束層136を介してそれぞれの開口部が重なりあうように設置する。
前記第1の治具130および前記第2の治具138は、後の把持工程時や運搬時に前記強化繊維束層136の強化繊維が乱れることなく挟み込めるだけの剛性があればその材質に限定はなく、例えば鉄やアルミニウムといった金属や、アクリルや塩化ビニルといった樹脂が挙げられるがこの限りではない。
前記開口部131の形状は特に限定はないが、後の一体化工程で強化繊維束層を効率よく縫合するには、開口部のうち、縫合エリアの幅は一定であることが望ましい。例えば縫合エリアの幅Wが一定であれば、開口部の形状は図7(a)のように矩形状であったり、端部が半円状であっても良いし、図7(b)のように曲線状であってもよい。
また、前記開口部131の幅Wは2.5mm以上300mm以下であることが好ましく、さらに、5mm以上100mm以下がより好ましい。前記開口部131の幅Wが2.5mm未満である場合、一体化工程で補助糸縫合ヘッドの針が第1の治具130および/または第2の治具138と干渉するおそれがあるだけでなく、前記強化繊維束136を十分に縫合できない。また、前記開口部131の幅Wが300mmよりも大きい場合、開口部が大きすぎるために後の把持工程で強化繊維束層を十分に把持することができず、一体化工程で縫合時に強化繊維の乱れが生じやすくなる。それに対し、特に、5mm以上100mm以下とすることで、前記の強化繊維束を十分に保持しつつ、さらに、一体化工程の際、補助糸縫合ヘッドの針の干渉や縫合不十分といった問題を発生させることがない。
隣り合う前記開口部131同士の距離間Lは2.5mm以上50mm以下であることが好ましく、さらに、2.5mm以上10mm以下がより好ましい。隣り合う前記開口部131同士の距離間Lが2.5mm未満であると、作製した強化繊維布帛の縫合密度が高くなりすぎて、縫合糸が賦形時の強化繊維の変形を阻害するため、十分な賦形性が得られない。隣り合う前記開口部131同士の距離間Lが50mmよりも大きいと、作製した強化繊維布帛の縫合密度が小さくなりすぎて、強化繊維布帛としての形態保持性に劣る。それに対し、特に、2.5mm以上10mm以下とすることで、縫合密度が最適となるように強化繊維束層を縫合することが可能となる。
<把持工程>
図4は本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである把持工程の一実施態様を表す。把持機構149を第1の治具140と第2の治具148に取り付けることにより、前記第1の治具140と前記第2の治具148とに挟み込み圧力もしくは張力を付与する。これにより、前記把持機構149により前記第1の治具140、前記第2の治具148および強化繊維束層146は一体として扱え、運搬することができる。
前記把持機構149は、前記第1の治具140と前記第2の治具148とに挟まれた前記強化繊維束層146の強化繊維が乱れないように保持され、かつ開口部141が少なくとも一部重なる箇所に干渉しなければ、その把持機構は限定されず、例えばクランプや万力、ベルトローラーのように機械的な機構で挟み込んでもよいし、電磁気力を用いた機構で挟み込んでもよい。
<一体化工程>
図5は本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである一体化工程の一実施態様を表す。補助糸縫合ヘッド152により、第1の治具150、第2の治具158が有する開口部151に補助糸157を縫合することで強化繊維束層156を一体化する。
前記補助糸縫合ヘッド152は、前記開口部151を貫通することで強化繊維束層を縫合・一体化するため、貫通時に縫合針に強化繊維が引きずられて強化繊維乱れが生じやすいが、本発明では前記強化繊維束層156が前記第1の治具150と前記第2の治具158とに挟まれて挟み込み圧力もしくは張力を付与されているため、繊維乱れを生じることなく強化繊維束層を縫合・一体化することができる。
補助糸157の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホン、無機繊維(例えば炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維)、あるいはこれらの混紡等が挙げられるが、この限りではない。
補助糸157の縫合パターンは特に限定されず、例えば鎖編、1/1トリコット編、あるいは鎖編と1/1トリコット編を複合した変則1/1トリコット編等が挙げられるが、この限りではない。
補助糸157のピッチpは、2.5mm以上10mm以下が好ましい。前記ピッチpが2.5mm未満の場合、作製した強化繊維布帛の縫合密度が高くなりすぎて、縫合糸が賦形時の強化繊維の変形を阻害するため、十分な賦形性が得られない。前記ピッチpが10mmよりも大きい場合、作製した強化繊維布帛の縫合密度が小さくなりすぎて、強化繊維布帛としての形態保持性に劣る。
補助糸157同士の間隔tは、5mm以上50mm以下が好ましい。前記補助糸157同士の間隔wが2.5mm未満の場合、作製した強化繊維布帛の縫合密度が高くなりすぎて、縫合糸が賦形時の強化繊維の変形を阻害するため、十分な賦形性が得られない。前記補助糸157同士の間隔wが50mmよりも大きい場合、作製した強化繊維布帛の縫合密度が小さくなりすぎて、強化繊維布帛としての形態保持性に劣る。
縫合パターンの一例を図8に示す。図8(a)は縫合パターンが鎖編の場合の、図8(b)は縫合パターンが1/1トリコット編の場合の補助糸187のピッチpおよび補助糸187同士の間隔tを表している。このような縫合パターンを採用することにより、強化繊維束同士が相互に離散することなく、また縫合された後も十分な賦形性を有する強化繊維布帛とすることができる。
<取り外し工程>
図6は本発明に係る強化繊維布帛の製造工程の1つである取り外し工程の一実施態様を表す。第1の治具160、第2の治具168、把持機構169を取り外すことにより、強化繊維束層166が補助糸により一体化された強化繊維布帛200が得られる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
<強化繊維>
強化繊維束として、東レ株式会社製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700Sを使用した。本実施例においては、強化繊維束の幅が10mm、強化繊維束の単糸数が12000本の強化繊維束を使用した。
<第1の治具および第2の治具>
第1の治具および第2の治具は、矩形形状の開口部を20か所有するアクリル板(サイズ:500mm四方、厚み:1mm)を用いた。開口部は幅10mm、長さ400mm、隣り合う開口部同士の距離間は10mmとした。
<繊維配置工程>
静電吸着機構を有する架台を準備し、ファイバープレイスメントヘッドを用いて架台上に強化繊維束を一方向に隙間なく引き揃え、400mm四方の強化繊維束層を2層作製した。
次に、静電吸着機構を有したロボットハンドを用いて強化繊維束層をそれぞれ吸着・運搬し、それぞれの強化繊維束層の配向角度差が90°となるように、別の架台上に準備した第1の治具の上に配置・積層した。
<設置工程>
積層した強化繊維束層を介して、第1の治具と第2の治具それぞれの開口部の位置が一致するように、第2の治具を積層した強化繊維束層の上に設置した。
<把持工程>
第1の治具および第2の治具の外周に沿った、対向する外端部を、磁力で固定する機構を有する固定治具(幅:5mm、長さ:400mm、厚み:5mm)で挟み込むことにより、第1の治具、第2の治具および強化繊維束層を把持した。
<一体化工程>
把持工程にて把持された第1の治具および第2の治具の開口部に、補助糸縫合ヘッドを用いて強化繊維束層を縫合・一体化した。補助糸にはポリエステル繊維(繊度:30dtex)を用い、縫合パターンは鎖編(ピッチp:5mm、補助糸同士の間隔t:5mm)とした。
<取り外し工程>
固定治具を取り外し、縫合・一体化された強化繊維布帛を得た。強化繊維布帛を用いてアルミニウム製半球型(直径:120mm、高さ:60mm)に賦形を試みた結果、強化繊維布帛は強化繊維束間に割れが生じることなく、型形状に沿った良好な賦形性能が確認できた。
(実施例2)
<強化繊維>
強化繊維束として、Zoltek社製炭素繊維“Panex35”を使用した。本実施例においては、強化繊維束の幅が25mm、強化繊維束の単糸数が50000本の強化繊維束を使用した。
<第1の治具および第2の治具>
第1の治具および第2の治具は、矩形形状の開口部を4か所有するアクリル板(サイズ:500mm四方、厚み:1mm)を用いた。開口部は幅100mm、長さ450mm、隣り合う開口部同士の距離間は10mmとした。
<繊維配置工程>
静電吸着機構を有する架台を準備し、ファイバープレイスメントヘッドを用いて前記架台上に前記強化繊維束を一方向に隙間なく引き揃え、450mm四方の強化繊維束層を2層作製した。
次に、静電吸着機構を有したロボットハンドを用いて前記強化繊維束層をそれぞれ吸着・運搬し、それぞれの強化繊維束層の配向角度差が120°となるように、別の架台上に準備した第1の治具の上に配置・積層した。
<設置工程>
積層した強化繊維束層を介して、第1の治具と第2の治具それぞれの開口部の位置が一致するように、第2の治具を積層した強化繊維束層の上に設置した。
<把持工程>
第1の治具および第2の治具の外周に沿った、対向する外端部を、磁力で固定する機構を有する固定治具(幅:5mm、長さ:450mm、厚み:5mm)で挟み込むことにより、第1の治具、第2の治具および強化繊維束層を把持した。
<一体化工程>
把持工程にて把持された第1の治具および第2の治具の開口部に、補助糸縫合ヘッドを用いて強化繊維束層を縫合・一体化した。補助糸にはポリエステル繊維(繊度:30dtex)を用い、縫合パターンは1/1トリコット編(ピッチp:5mm、補助糸同士の間隔t:10mm)とした。
<取り外し工程>
固定治具を取り外し、縫合・一体化された強化繊維布帛を得た。強化繊維布帛を用いてアルミニウム製半球型(直径:120mm、高さ:60mm)に賦形を試みた結果、強化繊維布帛は強化繊維束間に割れが生じることなく、型形状に沿った良好な賦形性能が確認された。
(実施例3)
本実施例においては、実施例1と同様の強化繊維束、第1の治具、第2の治具を用いた。
<繊維配置工程>
静電吸着機構を有する架台と、その上に第1の治具を準備し、ファイバープレイスメントヘッドを用いて第1の治具上に強化繊維束を一方向に隙間なく引き揃え、400mm四方の強化繊維束層を1層作製した。
<設置工程>
実施例1と同様に、強化繊維束層を介して、第1の治具と第2の治具それぞれの開口部の位置が一致するように、第2の治具を強化繊維束層の上に設置した。
<把持工程>
第1の治具および第2の治具の外周に沿った、対向する外端部を、磁力で固定する機構を有する固定治具(幅:5mm、長さ:400mm、厚み:5mm)で挟み込むことにより、第1の治具、第2の治具および強化繊維束層を把持した。
<一体化工程>
実施例1と同様に、把持工程にて把持された第1の治具および第2の治具の開口部に補助糸縫合ヘッドを用いて、強化繊維束層を縫合・一体化した。補助糸にはポリエステル繊維(繊度:30dtex)を用い、縫合パターンは鎖編み(ピッチp:5mm、補助糸同士の間隔t:5mm)とした。
<取り外し工程>
実施例1と同様に、第1の治具、第2の治具および強化繊維束層を把持している固定治具を取り外し、縫合・一体化された強化繊維布帛を得た。強化繊維布帛を用いてアルミニウム製半球型(直径:120mm、高さ:60mm)に賦形を試みた結果、強化繊維布帛は強化繊維束間に割れが生じることなく、型形状に沿った良好な賦形性能が確認された。
(比較例1)
本比較例においては、第1の治具、第2の治具を用いなかった以外は実施例1と同様にして繊維配置工程まで実施した。
<一体化工程>
繊維配置工程で積層された強化繊維束層に補助糸縫合ヘッドを用いて強化繊維束層の縫合を試みたが、縫合針を強化繊維束層に貫通させる際に、強化繊維束の一部が縫合針に引きずられて乱れ、強化繊維束層を縫合・一体化することができなかった。
(比較例2)
本比較例においては、第1の治具、第2の治具を用いなかった以外は実施例3と同様にして繊維配置工程まで実施した。一体化工程では、強化繊維束層を補助糸で縫合・一体化する方法ではなく、強化繊維束層に樹脂バインダ(エポキシ樹脂製)を散布・一体化する方法を用いた。
<一体化工程>
樹脂バインダとして用いるエポキシ樹脂を樹脂タンク内で200℃に加熱した後、樹脂散布装置を用いて強化繊維束層の片面に6g/mの目付けで散布し、100℃の鉄板で加圧・含浸して、強化繊維束層を一体化し、強化繊維布帛を得た。強化繊維布帛を用いて半球型に賦形を試みた結果、強化繊維布帛は強化繊維束間に割れが生じ、強化繊維布帛が形態を保持できず、良好な賦形性を得られなかった。
110、120、130、140、150、160 第1の治具
111、121、131、141、151、161、171 開口部
112、122 架台
113、123 ファイバープレイスメントヘッド
114、124、184 強化繊維束
115、125 クリール
116、126、136、146、156 強化繊維束層
117 搬送装置
118 X軸リニアガイド
119 Y軸リニアガイド
138、148、158、168 第2の治具
149、159、169 把持機構
152 補助糸縫合ヘッド
157、167、187 補助糸
170 第1の治具または第2の治具
200 強化繊維布帛

Claims (6)

  1. 強化繊維束を一方向に引き揃えた強化繊維束層を少なくとも1層有し、前記強化繊維束が補助糸により一体化された強化繊維基材の製造方法であって、a−1)またはa−2)いずれかの工程を経た後、b)〜e)の工程を有する強化繊維基材の製造方法。
    a−1)一方向に引き揃うように強化繊維束を所定位置に配置し、前記強化繊維束を保持させた少なくとも1層の強化繊維束層を、開口部を有する第1の治具の表面上に配置する繊維配置工程
    a−2)開口部を有する第1の治具の所定位置に、一方向に引き揃うように強化繊維束を配置した強化繊維束層を少なくとも1層形成する繊維配置工程
    b)前記強化繊維束層を挟み込むように、開口部を有する第2の治具を設置する設置工程
    c)前記第1の治具および前記第2の治具に挟み込み圧力もしくは張力を付与して前記強化繊維束層を把持する把持工程
    d)前記第1の治具および/または前記第2の治具の開口部から前記強化繊維束層を前記補助糸で一体化する一体化工程
    e)前記第1の治具および前記第2の治具を取り外す取り外し工程
  2. 前記強化繊維束層が2層からなる、請求項1に記載の強化繊維基材の製造方法。
  3. 前記a−1)工程において、静電吸着可能な架台上に前記強化繊維束層を静電吸着させる、請求項1または2に記載の強化繊維基材の製造方法。
  4. 前記a−2)工程において、静電吸着可能な架台上に前記第1の治具を配置し、前記強化繊維束層を静電吸着させる、請求項1または2に記載の強化繊維基材の製造方法。
  5. 前記第1の治具および/または前記第2の治具は、複数の開口部を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維基材の製造方法。
  6. 前記開口部のうち、縫合エリアの幅が2.5mm以上300mm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維基材の製造方法。
JP2015059531A 2015-03-23 2015-03-23 強化繊維基材の製造方法 Active JP6439528B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015059531A JP6439528B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 強化繊維基材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015059531A JP6439528B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 強化繊維基材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016179547A true JP2016179547A (ja) 2016-10-13
JP6439528B2 JP6439528B2 (ja) 2018-12-19

Family

ID=57131414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015059531A Active JP6439528B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 強化繊維基材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6439528B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018065999A (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 東レ株式会社 強化繊維基材、強化繊維積層体および繊維強化樹脂
WO2019171982A1 (ja) * 2018-03-06 2019-09-12 東レ株式会社 ファイバープレイスメント用ドライテープ材料およびその製造方法、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018039218A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 東レ株式会社 強化繊維基材の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009502547A (ja) * 2005-07-22 2009-01-29 エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー Tfpプロセスによって単層又は多層の繊維構造プレフォームを製造する方法及び基材層
JP2009506221A (ja) * 2005-07-22 2009-02-12 エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー Tfpプロセスによって所望表面形状を有する繊維構造プレフォームを製造する為の装置
WO2014171481A1 (ja) * 2013-04-19 2014-10-23 東レ株式会社 強化繊維シートの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009502547A (ja) * 2005-07-22 2009-01-29 エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー Tfpプロセスによって単層又は多層の繊維構造プレフォームを製造する方法及び基材層
JP2009506221A (ja) * 2005-07-22 2009-02-12 エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー Tfpプロセスによって所望表面形状を有する繊維構造プレフォームを製造する為の装置
WO2014171481A1 (ja) * 2013-04-19 2014-10-23 東レ株式会社 強化繊維シートの製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018065999A (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 東レ株式会社 強化繊維基材、強化繊維積層体および繊維強化樹脂
JP7087337B2 (ja) 2016-10-19 2022-06-21 東レ株式会社 強化繊維基材、強化繊維積層体および繊維強化樹脂
WO2019171982A1 (ja) * 2018-03-06 2019-09-12 東レ株式会社 ファイバープレイスメント用ドライテープ材料およびその製造方法、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体
JPWO2019171982A1 (ja) * 2018-03-06 2021-01-07 東レ株式会社 ファイバープレイスメント用ドライテープ材料およびその製造方法、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体
US11465372B2 (en) 2018-03-06 2022-10-11 Toray Industries, Inc. Dry tape material for fiber placement, method of manufacturing the same, and reinforcing fiber laminate and fiber-reinforced plastic molded body produced with the same
JP7290107B2 (ja) 2018-03-06 2023-06-13 東レ株式会社 ファイバープレイスメント用ドライテープ材料およびその製造方法、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP6439528B2 (ja) 2018-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2401740C2 (ru) Способ изготовления одно- или многослойной волокнистой заготовки согласно tfp-технологии
JP6699752B2 (ja) 複合材料用強化基材、複合材料および複合材料用強化基材の製造方法
CN107428033B (zh) 片状增强纤维基材、预成型体及纤维增强树脂成型品
JP6946666B2 (ja) 強化繊維積層シートおよび繊維強化樹脂成形体
KR101688717B1 (ko) 열가소성 수지 보강 시트재 및 그의 제조 방법
JP2015030959A (ja) 織物、織物を構成するための繊維束及び繊維強化複合材
JP6439528B2 (ja) 強化繊維基材の製造方法
JP7087337B2 (ja) 強化繊維基材、強化繊維積層体および繊維強化樹脂
US20190070829A1 (en) Reinforced fiber laminate sheet, fiber-reinforced resin molded body, and method of manufacturing reinforced fiber laminate sheet
JP2009019201A (ja) 成形材料、プリフォームおよび繊維強化樹脂
JP6938987B2 (ja) 強化繊維基材の製造方法、強化繊維プリフォームの製造方法および繊維強化複合材料成形体の製造方法
JP2018039218A (ja) 強化繊維基材の製造方法
JP2017065066A (ja) プリフォームの製造方法および製造装置
JP2015040348A (ja) 織物基材とその製織方法および織機
US11111610B2 (en) Methods for forming composite articles from non-crimp fabrics
KR20180080950A (ko) 부분 고정방식의 기능성선재가 부설된 면상체, 그 제조장치 및 제조방법
JP6650296B2 (ja) 繊維強化プラスチック用基材、繊維強化プラスチック用多層基材、繊維強化プラスチック用プリフォーム及びその製造方法
JP2006002302A (ja) 炭素繊維積層クロス
US10456999B2 (en) Positioning member for positioning a semifinished product, method for preparing the semifinished product, and semifinished product
CN109923254B (zh) 复合材料用增强基材、复合材料以及复合材料用增强基材的制造方法
JP2005023469A (ja) バイアス強化繊維シート
US20240059046A1 (en) Reinforcing fiber base material for resin transfer molding, method of producing same, reinforcing fiber laminate for resin transfer molding, and fiber-reinforced plastic
JP2018165045A (ja) 強化繊維積層シートおよび樹脂成形品の生産方法
JP2003236958A (ja) 強化繊維シート及びその製造方法
JP2019112738A (ja) 炭素繊維テープ材およびそれを用いた炭素繊維積層シート、ならびに炭素繊維強化プラスチック成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181012

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181105

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6439528

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151