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JP2016173355A - 機械部品の製造方法 - Google Patents

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JP2016173355A
JP2016173355A JP2015170343A JP2015170343A JP2016173355A JP 2016173355 A JP2016173355 A JP 2016173355A JP 2015170343 A JP2015170343 A JP 2015170343A JP 2015170343 A JP2015170343 A JP 2015170343A JP 2016173355 A JP2016173355 A JP 2016173355A
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洋輔 阿部
Yosuke Abe
洋輔 阿部
智夫 池田
Tomoo Ikeda
池田  智夫
優作 仁井田
Yusaku Niida
優作 仁井田
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Abstract

【課題】機械部品を、シリコン材料で精度よく且つ充分な耐久性を有するように、しかも容易に製造できるようにする。
【解決手段】(a)〜(f)の工程で、シリコン基板20をエッチング加工して、機械部品であるひげぜんまい10を形成すると共に、その一部分だけがシリコン基板20のエッチングされなかった部分に接続した状態で支持されるように加工基板20Aを形成し、(g)〜(j)の工程で、そのひげぜんまい10が加工基板20Aのひげぜんまい10以外の部分と接触しないように、加工基板20Aを加工して加工基板20Cを形成する。(k)の工程で、そのひげぜんまい10に表面を平滑化する表面処理として水素アニール処理を施し、その後(l)の工程で、ひげぜんまい10を上記接続した部分を切断して加工基板20Cから分離する。
【選択図】図4

Description

この発明は、機械式時計用部品等の機械部品の製造方法に関する。
機械式時計は、歩度(一日あたりの時計の進み又は遅れの程度)を一定に保つために、ひげぜんまいとテン輪等によって構成する調速機構(てんぷ)が用いられている。ひげぜんまいは、優れた等時性を有するように設計され、そのひげぜんまいのバネ力によって、てんぷは規則正しく往復運動を行う。
さらに、そのてんぷにはガンギ車とアンクルで構成される脱進機構が接続されており、ひげぜんまいからエネルギーが伝達されて、てんぷの往復運動が回転運動に変換される。
ひげぜんまいは、通常、金属を加工して形成されるが、加工精度のばらつきや金属が有する内部応力の影響などによって、設計通りの形状が得られない場合が多い。
そこで、金属材料ではなく、シリコン等の結晶構造を有する材料を用いて、エッチング技術によってひげぜんまいを製造する提案がなされている。エッチング加工技術は、よく知られているように、結晶材料を高精度に加工することが可能であり、一般的な金属によるひげぜんまいよりも加工精度のばらつきが少ないので、設計どおりの形状のひげぜんまいを製造することができる。
また、シリコンは金属よりも温度特性が良好なので、金属よりも環境温度に対して変形しにくいという特徴がある。
しかしながら、シリコン等の結晶構造を有する材料は脆性材料であるので、それを用いたひげぜんまいは耐衝撃性や耐久性などに問題があった。
そのため、例えば特許文献1には、シリコン等の結晶構造を有する材料で形成したひげぜんまいの表面に、金属等の導電性材料層を成膜して機械的な強度を高めることが提案されている。
特開2007−256290号公報(第4頁、図2)
しかしながら、上述した方法でひげぜんまいの強度を高めるには、シリコン等をエッチング加工して形成したひげぜんまいの表面に、導電性材料層を均一に成膜する作業工程が不可欠となる。このような導電性材料層をひげぜんまいの表面に均一に形成することは難しく、ひげぜんまいの形状にばらつきが生じ、等時性が悪化してしまうことがある。また、ひげぜんまいの製造工程が複雑になり、量産性に大きな問題が生じる。
このような問題は、機械式時計に使用する他の部品、例えばガンギ車、アンクル、歯車等、あるいは一般の精密機器等に使用する機械部品をシリコン等で製造する場合にも、同様に生じる。
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、機械式時計用部品等の機械部品を、シリコン材料で精度よく且つ充分な耐久性を有するように、容易に製造できるようにすることを目的とする。
この発明による機械部品の製造方法は、上記の目的を達成するため、シリコン基板をエッチング加工して、機械部品を形成すると共にその一部分だけが該シリコン基板のエッチングされなかった部分に接続した状態で支持されるように加工基板を形成する工程と、上記機械部品が上記加工基板の該機械部品以外の部分と接触しないように該加工基板を加工する工程と、該工程で加工された上記加工基板の上記機械部品に、表面を平滑化する表面処理を施す工程と、上記機械部品を、上記接続した部分を切断して上記加工基板から分離する工程とを有することを特徴とする。
この機械部品の製造方法において、上記シリコン基板として、シリコンウエハによる支持層上に二酸化珪素のボックス層とシリコンの活性層とを順に形成した基板を使用し、上記加工基板を形成する工程では、上記活性層をエッチング加工して、上記機械部品を形成すると共にその一部分だけが該活性層のエッチングされなかった部分に接続した状態で上記ボックス層上に支持されるようにし、上記加工基板を加工する工程では、上記支持層における少なくとも上記機械部品と対応する領域に開口を形成した後、上記ボックス層をエッチングによって除去するようにするとよい。
上記加工基板を形成する工程では、上記シリコン基板を深掘りRIE技術によるエッチング加工を行うのが望ましい。
上記表面処理を施す工程における表面処理が水素アニール処理であるとよく、その場合、800℃から1200℃の高温水素雰囲気中で予め設定した時間アニール処理を行うとよい。
あるいは、上記表面処理が樹脂膜形成処理又は無機膜形成処理であってもよい。
上記機械部品として、機械式時計の調速機構又は脱進機構を構成する部品を製造するとよい。
この発明による機械部品の製造方法によれば、機械式時計用部品等の機械部品を、シリコン材料で精度よく且つ充分な耐久性を有するように、比較的容易に製造することができる。
この発明による製造方法で製造する機械部品の一例であるひげぜんまいの製造中の状態を示す平面図である。 図1のA−A線に沿う断面の端面図である。 この発明の製造方法で機械部品の表面を平滑化する表面処理として実施する水素アニール処理に関する説明図である。 この発明の一実施形態であるひげぜんまいの製造方法を説明するための工程図である。 この発明に至る過程で試行したひげぜんまいの製造方法の一例を説明するための要部の工程図である。 同じく他の例を説明するための要部の工程図である。 この発明の他の実施形態であるガンギ車の製造方法を説明するための平面図とそのB−B線に沿う断面の端面図である。 この発明のさらに他の実施形態であるアンクルの製造方法を説明するための平面図とそのC−C線に沿う断面の端面図である。 この発明によるアンクルの製造方法の他の実施形態を説明するための図4と同様な工程図である。 この発明による製造方法で表面を平滑化する表面処理として樹脂膜形成処理が施されたアンクルの例を示す平面図である。 図10のD−D線に沿う拡大断面図である。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔機械部品の一例であるひげぜんまい〕
先ず、この発明による製造方法で製造する機械部品の一例であるひげぜんまいについて、図1及び図2によって説明する。図1はそのひげぜんまいの製造中の状態を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面の端面図である。
ひげぜんまい10は、機械式時計の調速機構に使用する部品であり、細い渦巻き形状のぜんまい部11、そのぜんまい部11の中心に位置するひげ玉12、そのぜんまい部11の終端に位置するひげ持ち13が一体に構成されている。そして、この製造工程では、ひげ持ち13に続く幅の狭い接続部14のみでシリコン基板20に接続されている。
したがって、接続部14を切り離すだけで、このひげぜんまい10をシリコン基板20から分離して取り出すことができる。
20aは、このひげぜんまい10を形成するために、シリコン基板20にエッチング加工によって形成された渦巻き形状の隙間(空間)である。
ひげ玉12は、回転軸体と嵌合する貫通孔12aを有している。また、ひげ玉12とぜんまい部11とは接続部15によって接続されている。すなわち、ぜんまい部11は、接続部15を介してひげ玉12を中心にひげ玉12を巻回している形状である。
このひげぜんまい10の大きさは特に限定されないが、その一例をあげると、図2に示すようにぜんまい部11の厚さをt、幅をwとしたとき、t=100〜300μm、w=20〜70μm程度であり、大凡の直径は5〜7mm程度の範囲である。
〔水素アニール処理について〕
このように、シリコン基板をRIE(Reactive Ion Etching)技術等でエッチング加工して形成したひげぜんまい10のようなシリコン製の機械部品1は、そのRIE加工表面に図3の(a)に示すような連続した凹面状のえぐれ(スキャロップ)やマイクロクラック等のミクロな凹凸が発生しており、縁部はエッジ状の角になっている。それらが、このようなシリコン製の機械部品1の耐衝撃性や耐久性を低下させる原因となっている。
そこで、この発明による製造方法では、シリコン基板をエッチング加工して形成した機械部品1に、表面を平滑化する表面処理を施す。その表面処理として高温の水素雰囲気中で水素アニール処理を行うとよい。
水素アニールにおける水素の役割は未だ完全には解明されていないが、最近の研究で、シリコン基板表面を水素終端することによって、清浄なシリコン基板表面が得られるという報告がなされている。清浄なシリコン(Si)表面原子は、表面エネルギーが高い凸部から、表面エネルギーが低い凹部へ、つまりエネルギー的に安定な方向へ拡散して、図3の(b)に示すように表面を平滑化する作用をなす。
それによって、シリコン製の機械部品の形状を保持したまま、エッチング加工時に形成されたスキャロップ等の加工荒れを除去して平滑化し、角部に丸み(R)を付けることもできる。それによって、シリコン製の機械部品の品質を向上させ、耐衝撃性及び耐久性を高めることができる。
このようなシリコン構造体に対する水素アニール処理については、種々の研究報告がなされている。そして、シリコンウエハに高温の水素雰囲気中で水素アニール処理を行なって、表層の結晶欠陥を大幅に低減させる技術も公知になっている。
しかし、シリコン製の機械部品の製造工程で水素アニール処理を行なって、その強度を高めることは実施されていなかった。実際にシリコン基板をエッチング加工して形成した機械部品を、そのまま、あるいは別のシリコン基板上に支持して水素アニール処理を行うと、その機械部品の少なくとも一部がシリコン基板に接触するため、水素アニール処理中にシリコン分子同士が反応して張り付きを起こし、水素アニール処理後に機械部品の回収が不能になってしまう問題が生じてしまった。この問題の詳細については、後に説明する。
そこで、シリコン以外の張り付きが発生しない支持部材を使用する方法もあるが、水素アニール処理中にその材料も水素と反応し、その分子によってシリコン部分が破壊されてしまうことがあるため好ましくない。
この発明による機械部品の製造方法は、上述したような問題を解消して、シリコン基板をエッチング加工して形成した機械部品を、その製造工程中で表面を平滑化する水素アニール処理等の表面処理を行なってその強度を高め、その後容易に回収できるようにする。
〔この発明によるひげぜんまいの製造方法〕
そこで、この発明の一実施形態として、ひげぜんまい製造方法を図4によって説明する。
図4は、そのひげぜんまいの製造方法を説明するための工程図である。この図4におけるひげぜんまい10は、図1のA−A線に沿う断面の図2に示した端面に相当するが、図示の便宜上大幅に簡略化して示している。
この実施形態のひげぜんまいの製造方法では、図4に示す(a)〜(l)の工程を順に実行する。
(a)の工程では、シリコン基板20としてSOI(Silicon On Insulator)基板(「SOIウエハ」ともいう)を準備する。SOI基板は、シリコンウエハによる支持層21の上面に二酸化珪素(SiO)によるエッチングストップ層であるボックス層22が、さらにそのボックス層22の上面にシリコン(Si)による活性層23が、順に積層された構造になっている。活性層23がひげぜんまいを形成するシリコン層である。
シリコン基板20として、SOI基板を使用せずに、単結晶シリコン基板の内部に、SiOの層(ボックス層に相当)を形成し、単結晶シリコンの層でこのSiOの層を上下(上が活性層、下が支持層に相当)から挟んだような基板を使用してもよい。
(b)の工程では、シリコン基板20の活性層23上にさらに、エッチングマスクを形成するための二酸化珪素(SiO)膜31を成膜する。
そして、(c)の工程で、その二酸化珪素膜31上の全面にフォトレジスト32を塗布し、それをフォトリソグラフィ技術によって、製造するひげぜんまいの平面形状にパターニングする。
(d)の工程では、そのひげぜんまいの形状にパターニングされたフォトレジスト32をマスクとして二酸化珪素膜31をRIE技術によってエッチングし、製造するひげぜんまいの平面形状にパターニングする。
(e)の工程ではさらに、そのパターニングされた二酸化珪素膜31をエッチングマスクとして、深掘りRIE(Deep-RIE)技術によって、活性層23をひげぜんまい10の平面形状に、ボックス層22に達するまでエッチングする。
その深掘りRIE技術は、エッチングガスとして六フッ化硫黄(SF)や、それと八フッ化シクロブタン(C)との混合ガスなどを使用するアスペクト比が高いエッチングが可能なドライエッチングであるが、これは公知の技術である。
このとき、ひげぜんまい10は、その一部分が図1に示した接続部14によって、活性
層23のエッチングされなかった部分に接続した状態で支持されている。シリコン基板20をこのように加工した状態を加工基板20Aとする。
その後、(f)の工程で二酸化珪素膜31上のフォトレジスト32を除去する。ここまでの工程が、シリコン基板20をエッチング加工して、機械部品であるひげぜんまい10を形成すると共に、その一部分だけがシリコン基板20のエッチングされなかった部分に接続した状態で支持されるように加工基板20Aを形成する工程である。
ここまでは、シリコン基板をエッチング加工してひげぜんまいのような機械部品を製造する際の従来の工程と同様である。
次の(g)の工程からがこの実施形態に特有の工程である。
(g)の工程では、加工基板20Aの支持層21の下面の全面にフォトレジスト33を塗布し、それをフォトリソグラフィ技術によって、少なくともひげぜんまい10に対応する全領域を含む大きさの開口33aを形成するようにパターニングする。
そして、(h)の工程で、開口33aを形成したフォトレジスト33をマスクとして、加工基板20Aの支持層21を、RIE技術又は深掘りRIE技術によってボックス層22に達するまでエッチングする。それによって、フォトレジスト33の開口33aと同じ大きさの開口21aを支持層21に形成する。この状態のシリコン基板を加工基板20Bとする。
その後、(i)の工程でフォトレジスト33を剥離し、(j)の工程で、フッ酸によって加工基板20Bのボックス層22とマスクに使用した二酸化珪素膜31を除去する。ボックス層22は、支持層21と活性層23に挟まれた部分が、エッチングされずに僅かに残る。この状態のシリコン基板を加工基板20Cとする。
この加工基板20Cでは、ひげぜんまい10が図1に示した接続部14のみによって活性層23と接続された片持ち状態で、支持層21の開口21a内にすべて露出する。そのため、ひげぜんまい10は自重と弾性によって、ひげ玉12を設けた中央部が最も低くなるように下がって若干傾斜するが、支持層21の開口21a内で下がるため、支持層21に接触することはない。
上記(g)〜(j)の工程が、機械部品であるひげぜんまい10が加工基板20Cのひげぜんまい10以外の部分と接触しないように加工基板20Aを加工する工程である。
この状態で、次の(k)の工程で、ひげぜんまい10を保持する加工基板20C全体を水素アニール処理用のチャンバー内に配置し、そのチャンバー内全体を高温の水素雰囲気にして水素アニール処理を行う。その処理条件として、例えば、水素(H)ガスの流量を0.5slm、圧力50kPaで、温度を800℃で5分、1100℃で15分、800℃で5分の処理を順次実施するとよい。
水素アニールの処理条件はこれに限るものではなく、求められる性能により800℃から1200℃程度の高温水素雰囲気中で、予め設定したガス流量、圧力、時間、例えばガス流量0.5〜2slm、圧力5〜100kPaで、15分〜6時間ほどアニール処理を行うとよい。
この水素アニール処理によって、ひげぜんまい10の表面のスキャロップ等の加工荒れが除去されて表面が平滑化し、角部に丸み(R)が付く。それによって、シリコンで形成されたひげぜんまい10の品質が向上し、耐衝撃性及び耐久性が高まる。
そして、ひげぜんまい10は水素アニール処理中、図1に示した接続部14以外は加工基板20Cのどこにも接触していないので、その全表面に均一に水素アニール処理を施して平滑化することができる。しかも、張り付きが発生することはない。
そのため、(l)の工程で、図1に示した接続部14を切断すれば、加工基板20Cから、ひげ玉12を設けたひげぜんまい10を、損傷することなく分離して容易に取り出すことができる。
この工程が、機械部品であるひげぜんまい10を、活性層23と接続した部分(接続部14)を切断して加工基板20Cから分離する工程である。
このようにして、水素アニール処理によって表面を平滑化して強度を高めたシリコン製のひげぜんまいを、容易且つ確実に製造することができる。
なお、このひげぜんまい10は、半導体部品を製造する場合と同様に、1枚のシリコン基板20から同時に複数個あるいは多数個製造することができる。その場合、加工基板20Bの支持層21の開口21aを、各ひげぜんまい10に対応する領域に個別に形成してもよいが、活性層23によって複数個あるいは全てのひげぜんまいを保持できる場合は、複数個のひげぜんまい10を含む領域に対して1個、若しくは全てのひげぜんまい10を含む領域に対して1個形成してもよい。
このようにすれば、水素アニール処理したシリコン製のひげぜんまいを効率よく製造することができる。
〔この発明に至るまでの試行例〕
ここで、この発明に至る過程で試みたひげぜんまいの製造方法の試行例について、図5及び図6によって説明する。
図5は、その第1の試行例の図4における(f)以降の工程に相当する工程図である。
図4における(a)〜(f)と同様な工程によって、シリコン基板20の活性層23をエッチング加工して、図5の(f)の工程に示すように、ボックス層22上にひげぜんまい10を形成した加工基板20Aを形成する。
そして、(g)の工程で、フッ酸によって加工基板20Aのボックス層22とマスクに使用した二酸化珪素膜31を除去し、加工基板20Dにする。
すると、ひげぜんまい10は、図6で右端側の接続部のみで活性層23と接続された片持状態になるため、自重と弾性によって少なくともひげ玉が設けられた中央部がボックス層22の厚さ分だけ降下して、支持層21の上面に接触する。
そこで、(h)の工程で、ひげぜんまい10と活性層23との接続部を切断して、ひげ玉を設けたひげぜんまい10を加工基板20Dから分離して取り出す。
そして、(i)の工程で、そのひげぜんまい10を別の新規なシリコン基板(シリコンウエハ)40上に載置し、(j)の工程で、全体を高温の水素雰囲気にして水素アニール処理を行った。
その後、ひげぜんまい10をシリコン基板40上から回収しようとしたが、ひげぜんまい10とシリコン基板40との接触部が張り付き、水素アニール処理後のひげぜんまい10を、シリコン基板40から分離して回収することができなかった。
(h)の工程でシリコン基板20から分離して取り出したひげぜんまい10を、シリコン以外の張り付きが発生しない支持部材上に置いて、水素アニール処理をすることも考えられる。しかし、そうすると、水素アニール処理中にその支持部材の材料も水素と反応し、その分子によってシリコン部分が破壊されてしまうことがあるため、そのような支持部材は使用できない。
図6は、その第2の試行例の図4における(f)以降の工程に相当する工程図である。
この場合も、図4における(a)〜(f)と同様な工程によって、シリコン基板20の活性層23をエッチング加工して、図6の(f)の工程に示すように、ボックス層22上にひげぜんまい10を形成した加工基板20Aを形成する。
そして、(g)の工程で、フッ酸によって加工基板20Aのボックス層22とマスクに使用した二酸化珪素膜31を除去し、加工基板20Dにする。
すると、ひげぜんまい10は、図6で右端側の接続部のみで活性層23と接続された片持状態になるため、自重と弾性によって少なくともひげ玉が設けられた中央部がボックス層22の厚さ分だけ降下して、支持層21の上面に接触する。
その状態で、(h)の工程で、全体を高温の水素雰囲気にして水素アニール処理を行った。
その後、ひげぜんまい10と活性層23との接続部を切断して、ひげぜんまい10を加工基板20Dから分離して回収しようとしたが、ひげぜんまい10の少なくともひげ玉12と支持層21との接触部が張り付き、水素アニール処理後のひげぜんまい10を、加工基板20Dから分離して回収することができなかった。ひげぜんまい10を無理に回収しようとしたら、破損してしまった。
このように、従来のひげぜんまいの製造工程に、容易に考えられる方法で水素アニール工程を追加しても、機械部品によっては水素アニール処理後に、その機械部品をシリコン基板から分離して回収できなくなってしまう。
ひげぜんまい10の場合は、仮にひげぜんまい10の左右両側あるいはそれ以上の個所で加工基板20Dの活性層23と接続したとしても、ひげ玉12を設けた中央部が自重によって下がり、そこに支持層21が存在するとそれに接触してしまう。そのため、その状態で水素アニール処理を行うと、ひげぜんまい10のひげ玉12を設けた中央部と加工基板20Dの支持層21とが張り付き、ひげぜんまい10を加工基板20Dから分離して回収できなくなる。
この発明によれば、シリコン基板をエッチング加工して形成した機械部品が、シリコン基板の他の部分と接触しないようにシリコン基板を加工して、その機械部品の表面を平滑化する水素アニール処理等の表面処理を行うことによってこの問題を解決した。
〔ガンギ車及びアンクルの製造方法の実施形態〕
この発明は、ひげぜんまいに限らず各種の機械部品の製造に適用できる。その一例として機械式時計の脱進機構に使用するガンギ車及びアンクルの製造方法の実施形態について、図7と図8によって説明する。
図7は、ガンギ車の製造方法の実施形態を説明するための図であり、図4における(j)の工程に相当する工程を示し、(a)は平面図、(b)はそのB−B線に沿う断面の端面図である。なお、便宜上、シリコン基板20を加工した加工基板20Cと、それを構成する支持層21、ボックス層22及び活性層23は、図4に示した加工基板20Cと同じ符号を使用する。
図4における(a)〜(f)の工程と同様の工程によって、図7に示すように、シリコン基板の活性層23をエッチング加工してガンギ車50を形成する。このガンギ車50は、外周に一定間隔で多数の爪状の歯部51を設けたリング部52と、それを支持するハブ部53及び4本の支持アーム54からなる。ハブ部53の中心には軸孔53aが形成されている。
このガンギ車50は、図7の(a)に示すように、活性層23の開口23a内に残された先細り形状の接続部23bの先端部のみによって活性層23と接続されて、シリコン基板に保持されている。
そして、図7の(b)に示すように、シリコン基板の支持層21の少なくともガンギ車50に対応する領域に開口21aを形成し、ガンギ車50を下から支持していたボックス
層22をエッチングによって除去する。この状態が加工基板20Cである。
それによって、ガンギ車50は自重と弾性によって、接続部23bと反対側(図7で左側)の端部が最も低くなるように若干下がって傾斜する。しかし、支持層21の少なくともガンギ車50と対応する領域には開口21aが形成されているため、ガンギ車50が支持層21に接触することはない。
この状態で、図4における(k)の工程と同様に、ガンギ車50を保持する加工基板20C全体を水素アニール処理用のチャンバー内に配置し、そのチャンバー内全体を高温の水素雰囲気にして水素アニール処理を行う。それによって、シリコンで形成されたガンギ車50の表面を平滑化し、角部に丸みを付けて強度を高めることができる。
そして、このガンギ車50は水素アニール処理中、接続部23bの先端部以外に加工基板20Cのどこにも接触していないので、ガンギ車50の全表面に均一に水素アニール処理を施して平滑化することができ、張り付きが発生することはない。
そのため、水素アニール処理後に、接続部23bを切断すれば、加工基板20Cから、ガンギ車50を損傷することなく容易に取り出すことができる。
このようにして、水素アニール処理によって表面を平滑化して強度を高めたシリコン製のガンギ車を、容易且つ確実に製造することができる。
図8は、アンクルの製造方法の実施形態を説明するための図であり、図4における(j)の工程に相当する工程を示し、(a)は平面図、(b)はそのC−C線に沿う断面の端面図である。なお、この図8においても、便宜上、加工基板20Cとその各層には、図4に示した加工基板20Cと同じ符号を使用する。
図4における(a)〜(f)の工程と同様の工程によって、図8に示すように、シリコン基板の活性層23をエッチング加工してアンクル60を形成する。このアンクル60は、サオ61と腕62とがT字状に形成され、腕62の両端部にサオ61と反対方向に突出する爪部63を有し、腕62の中央部に軸孔64が設けられている。
このアンクル60は、図8の(a)に示すように、活性層23の開口23c内に延びる先細り形状の接続部23dの先端部のみによって活性層23と接続されて、シリコン基板に保持されている。
そして、図8の(b)に示すように、シリコン基板の支持層21の少なくともアンクル60に対応する領域に開口21aを形成し、アンクル60を下から支持していたボックス層22をエッチングによって除去する。この状態が加工基板20Cである。
それによって、アンクル60は自重と弾性によって、接続部23dと反対側(図8で左側)の端部が最も低くなるように若干下がって傾斜するが、支持層21に開口21aが形成されているため、支持層21に接触することはない。
この状態で、図4における(k)の工程と同様に、アンクル60を保持する加工基板20C全体を水素アニール処理用のチャンバー内に配置し、そのチャンバー全体を高温の水素雰囲気にして水素アニール処理を行う。それによって、シリコンで形成されたアンクル60の表面を平滑化し、角部に丸みを付けて強度を高めることができる。
そして、このアンクル60は水素アニール処理中、接続部23dの先端部以外に加工基板20Cのどこにも接触していないので、アンクル60の全表面に均一に水素アニール処理を施して平滑化することができ、張り付きが発生することもない。
そのため、水素アニール処理後に、接続部23dを切断すれば、加工基板20Cから、アンクル60を損傷することなく容易に取り出すことができる。
このようにして、水素アニール処理によって表面を平滑化して強度を高めたシリコン製
のアンクル60を、容易且つ確実に製造することができる。
このようにガンギ車50あるいはアンクル60を製造する場合も、前述したひげぜんまいを製造する場合と同様に、1枚のシリコン基板20から同時に複数個あるいは多数個製造することができる。その場合、加工基板20Cの支持層21の開口21aは、各ガンギ車50あるいはアンクル60に対応する領域に個別に形成することになる。しかし、活性層23によって複数個若しくは全てのガンギ車50又はアンクル60を保持できる場合は、支持層21の開口21aを、複数個のガンギ車50又はアンクル60を含む領域に対して1個、若しくは全てのガンギ車50又はアンクル60を含む領域に対して1個形成すればよい。
そのようにすれば、水素アニール処理したシリコン製のガンギ車又はアンクルを一層効率よく製造することができる。
〔アンクルの製造方法の他の実施形態〕
次に、この発明によるアンクルの製造方法の他の実施形態を図9によって説明する。図9は、そのアンクル製造方法の各工程を示す図4と同様な工程図であり、図4と対応する図分には同一の符号を付している。
この実施形態のアンクル製造方法では、図9に示す(a)〜(l)の工程を順に実行する。
(a)の工程では、シリコン基板25としてSOI基板ではなく、単結晶シリコン基板(「シリコンウエハ」ともいう)を準備する。
そして、(b)の工程では、そのシリコン基板25の上面に、エッチングマスクを形成するための二酸化珪素(SiO)膜31を成膜する。
(c)の工程で、その二酸化珪素膜31上の全面にフォトレジスト32を塗布し、それをフォトリソグラフィ技術によって、図8の(a)に示したような製造するアンクルの平面形状にパターニングする。
(d)の工程では、そのアンクルの形状にパターニングされたフォトレジスト32をマスクとして二酸化珪素膜31をRIE技術によってエッチングし、製造するアンクルの平面形状にパターニングする。
(e)の工程ではさらに、そのパターニングされた二酸化珪素膜31をエッチングマスクとして、前述した深掘りRIE(Deep-RIE)技術によって、シリコン基版25をアンクルの平面形状に、その厚さに達するまでエッチングする。
それによって、シリコン基板25の上半部にアンクル60となる部分と図8に示した接続部23dに相当する接続部25dとを残して開口25cが形成され、アンクル60となる部分の外周側面は、エッチングされなかった接続部25dのみでシリコン基板25の内周面に接続した状態になる。シリコン基板25をこのように加工した状態を加工基板25Aとする。
その後、(f)の工程で二酸化珪素膜31上のフォトレジスト32を除去する。ここまでの工程が、シリコン基板25をエッチング加工して、機械部品であるアンクル60を形成すると共に、その一部分だけがシリコン基板25のエッチングされなかった部分に接続した状態で支持されるように加工基板25Aを形成する工程である。
(g)の工程では、加工基板25Aの下面の全面にフォトレジスト33を塗布し、それをフォトリソグラフィ技術によって、少なくともアンクル60に対応する全領域を含む大きさの開口33aを形成するようにパターニングする。
そして、(h)の工程で、開口33aを形成したフォトレジスト33をマスクとして、
加工基板20Aを、RIE技術又は深掘りRIE技術によってアンクル60となる部分に達するまでエッチングする。それによって、フォトレジスト33の開口33aと同じ大きさの開口25aを加工基板25Aに形成する。この状態のシリコン基板を加工基板25Bとする。
その後、(i)の工程でフォトレジスト33を剥離し、(j)の工程で、フッ酸によって加工基板25Bのマスクに使用した二酸化珪素膜31を除去する。この状態のシリコン基板を加工基板25Cとする。
この加工基板25Cでは、アンクル60が図8に示した接続部23dに相当する接続部25dのみによって、シリコン基板25のエッチングされなかった部分に接続した状態で片持ち状態で支持され、開口25a内にすべて露出する。そのため、アンクル60は自重と弾性によって、接続部25dと反対側(図9で左側)の端部が最も低くなるように若干下がって傾斜するが、加工基板25Cの開口25a内で傾斜するため、加工基板25Cのアンクル60以外の部分と接触することはない。
上記(g)〜(j)の工程が、機械部品であるアンクル60が加工基板25Cのアンクル60以外の部分と接触しないように加工基板25Aを加工する工程である。
この状態で、次の(k)の工程で、アンクル60の表面を平滑化する表面処理として、例えば、前述したひげぜんまい10の製造方法の場合と同様に、全体を高温の水素雰囲気にして水素アニール処理を行う。
水素アニールの処理条件は、求められる性能により800℃から1200℃程度の高温水素雰囲気中で、予め設定したガス流量、圧力、時間、例えばガス流量0.5〜2slm、圧力5〜100kPaで、15分〜6時間ほどアニール処理を行うとよい。
この水素アニール処理によって、アンクル60の表面のスキャロップ等の加工荒れが除去されて表面が平滑化し、角部に丸み(R)が付く。それによって、シリコンで形成されたアンクル60の品質が向上し、耐衝撃性及び耐久性が高まる。
そして、アンクル60は水素アニール処理中、接続部25dの先端部以外に加工基板25Cのどこにも接触していないので、その全表面に均一に水素アニール処理を施して平滑化することができる。しかも、張り付きが発生することはない。
そのため、(l)の工程で、接続部25dを切断すれば、加工基板25Cから、アンクル60を損傷することなく分離して容易に取り出すことができる。
この工程が、機械部品であるアンクル60を、加工基板25Cと接続した部分(接続部25d)を切断して加工基板25Cから分離する工程である。
このようにして、水素アニール処理によって表面を平滑化して強度を高めたシリコン製のアンクルを、容易且つ確実に製造することができる。
なお、この場合も1枚のシリコン基板25から同時に複数個あるいは多数個のアンクル60を製造することができる。その場合、加工基板25Bの開口25aを、複数個あるいはすべてのアンクル60を含む領域に対して1個形成すればよい。
この実施形態と同様に、単結晶のシリコン基板(シリコンウエハ)をエッチング加工して、ガンギ車やその他の機械部品も製造することができる。
この製造方法では、前述したSOI基板を使用する製造方法と比較すると、深掘りRIE技術によって機械部品の厚さ方向のエッチングを行う際のエッチングストップ層となるボックス層がないため、機械部品の厚さ精度を出しにくい。しかし、アンクルやガンギ車のように比較的厚さ寸法が大きく、その精度も特に厳しくはない機械部品を製造する場合にはあまり問題にならない。むしろ、安価に効率よく各種の機械部品を製造できる。
〔表面を平滑化する表面処理の他の例〕
この発明による機械部品の製造方法において、機械部品の表面を平滑化する表面処理として樹脂膜形成処理を施してもよい。
図10は、この発明による製造方法で表面を平滑化する表面処理として樹脂膜形成処理が施されたアンクルの例を示す平面図であり、図11は、図10のD−D線に沿う拡大断面図である。図10において図8に示したアンクル60の各部と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
シリコン基板を深掘りRIE技術によって厚さ方向にエッチングを行って形成したアンクル60には、その厚さ方向の外周側面であるエッチング面に、図11に示すようにスキャロップやマイクロクラック等のミクロな凹凸5が連続して発生している。それが、このようなシリコン製の機械部品の耐衝撃性や耐久性を低下させる原因となっている。
前述した各実施形態では、このようなシリコン製の機械部品の表面を平滑化する表面処理として水素アニール処理を施したが、この実施形態ではそれに代えて気相重合法による樹脂膜形成処理を施す。
すなわち、図10及び図11に示す例では、アンクル60(図11は爪部63の拡大断面を示す)の全表面に薄い樹脂膜7を形成して、ミクロな凹凸5を樹脂膜7で被覆(コーティング)して平滑化している。
この樹脂膜形成処理としては、ポリパラキシリレン系ポリマー膜を形成する処理を施すとよい。ポリパラキシリレン系ポリマーは、日本パリレン合同会社によって提供されているパリレン(登録商標)であり、気相重合プロセスにより、数百オングストロームから75μmの厚さの薄い樹脂膜を形成することができる。
このポリパラキシリレン系ポリマー膜を形成する処理は、まず、原料となる固体のジパラキシリレン(二量体)を約150℃で気化する。そして、その気化した二量体ガスを約680℃に加熱して熱分解し、メチレン−メチレン結合を切断して両端がラジカル化されたパラキシリレン・モノマーを生成する。
このモノマーガスを、例えば図8に示した状態でアンクル60を支持した加工基板20Cを配置した真空チャンバー内に導入し、アンクル60のシリコン基材表面上で蒸着・重合させ、ポリパラキシリレン系ポリマー膜を形成する。真空チャンバー内の真空度は、0.1Torr(13Pa)程度でよい。図9に示した製造工程の場合は、(k)の工程でアンクル60を支持した加工基板25Cを真空チャンバー内に配置し、モノマーガスを導入して、アンクル60の表面にポリパラキシリレン系ポリマー膜を形成する。その膜厚は5μm程度あるいはそれ以下でよい。
このモノマーガスによる蒸着・重合工程では、気体のモノマー分子が対象のあらゆる面に万遍なく接触して成膜が行われるため、ピンホールが発生することなく、非常に均一で薄い樹脂膜7を形成することができる。
また、この成膜工程には液相が全く存在しないため、液体特有の表面張力による液だまりや液だれ、架橋現象や毛細管現象による凹凸やエッジ部の成膜不良などの欠陥が生じることはない。
この樹脂膜形成処理は、アンクルの製造に限らず、前述したひげぜんまいやガンギ車をはじめ各種の機械部品を製造する場合にも、その表面を平滑化する表面処理として、前述した水素アニール処理に代えて行うことができる。
ひげぜんまいを製造する場合は、例えば図4に示した製造工程における(k)の工程で、ひげぜんまい10を支持した加工基板20Cを真空チャンバー内に配置し、ガンギ車を製造する場合は、例えば図7に示したガンギ車50を支持する加工基板20Cを真空チャ
ンバー内に配置して、上述した樹脂膜形成処理を施す。
ひげぜんまいは、寸法精度の要求が極めてシビアであるが、形成する樹脂膜の膜厚を5μm以下にすれば、寸法精度に与える影響は極めて僅かである。
なお、シリコン製の機械部品の表面にこの樹脂膜を形成することによって、耐衝撃性及び物理的耐久性が高まるだけでなく、電気的絶縁性や化学的耐久性も大幅に高まる。
また、表面処理としては、このような気相重合法による樹脂膜形成に限定されない。例えば、気相合成法によるダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon;DLC)膜を形成する等の無機膜形成処理でも同様な効果を得ることができる。
この発明は、機械式時計に使用する他の機械部品、例えばテン輪や各種の歯車、指針などの製造にも同様に適用できる。さらに、時計以外のカメラや計測器、その他各種精密機械の部品の製造にも適用することができる。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、その実施形態の各部の具体的な構成や処理の内容等は、そこに記載したものに限るものではない。
また、この発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載された技術的特徴を有する以外は、何ら限定されるものではないことは言うまでもない。
さらに、以上説明してきた各実施形態の構成例、動作例及び変形例等は、適宜変更又は追加したり、一部を削除してもよく、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施することも可能であることは勿論である。
この発明による機械部品の製造方法は、機械式時計をはじめ種々の精密機器に使用する部品の製造に適用することができる。
1:シリコン製の機械部品 5:ミクロな凹凸 7:樹脂膜
10:ひげぜんまい 11:ぜんまい部 12:ひげ玉 12a:貫通孔
13:ひげ持ち 14,15:接続部
20:シリコン基板(SOI基板) 20a:隙間(空間)
20A,20B,20C,20D:シリコン基板20の加工基板 21:支持層
21a:支持層の開口 22:ボックス層 23:活性層
23a,23c:活性層の開口 23b,23d,25d:接続部
25:シリコン基板(単結晶シリコン基板)
25a,25c:シリコン基板25の開口
25A,25B,25C:シリコン基板25の加工基板
31:二酸化珪素膜 32,33:フォトレジスト 33a:フォトレジストの開口 40:別のシリコン基板 50:ガンギ車 51:歯部 52:リング部
53:ハブ部 53a:軸孔 54:支持アーム 60:アンクル
61:サオ 62:腕 63:爪部 64:軸孔

Claims (7)

  1. シリコン基板をエッチング加工して、機械部品を形成すると共にその一部分だけが該シリコン基板のエッチングされなかった部分に接続した状態で支持されるように加工基板を形成する工程と、
    前記機械部品が前記加工基板の該機械部品以外の部分と接触しないように該加工基板を加工する工程と、
    該工程で加工された前記加工基板の前記機械部品に、表面を平滑化する表面処理を施す工程と、
    前記機械部品を、前記接続した部分を切断して前記加工基板から分離する工程と
    を有することを特徴とする機械部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の機械部品の製造方法において、
    前記シリコン基板として、シリコンウエハによる支持層上に二酸化珪素のボックス層とシリコンの活性層とを順に形成した基板を使用し、
    前記加工基板を形成する工程では、前記活性層をエッチング加工して、前記機械部品を形成すると共にその一部分だけが該活性層のエッチングされなかった部分に接続した状態で前記ボックス層上に支持されるようにし、
    前記加工基板を加工する工程では、前記支持層における少なくとも前記機械部品と対応する領域に開口を形成した後、前記ボックス層をエッチングによって除去することを特徴とする機械部品の製造方法。
  3. 前記加工基板を形成する工程では、前記シリコン基板を深掘りRIE技術によるエッチング加工を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の機械部品の製造方法。
  4. 前記表面処理が水素アニール処理であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の機械部品の製造方法。
  5. 前記水素アニール処理を、800℃から1200℃の高温水素雰囲気中で予め設定した時間だけ行うことを特徴とする請求項4に記載の機械部品の製造方法。
  6. 前記表面処理が、樹脂膜形成処理又は無機膜形成処理であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の機械部品の製造方法。
  7. 前記機械部品が、機械式時計の調速機構又は脱進機構を構成する部品であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の機械部品の製造方法。
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