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JP2016160455A - 銅含有粒子、導体形成組成物、導体の製造方法、導体及び装置 - Google Patents

銅含有粒子、導体形成組成物、導体の製造方法、導体及び装置 Download PDF

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JP2016160455A
JP2016160455A JP2015038203A JP2015038203A JP2016160455A JP 2016160455 A JP2016160455 A JP 2016160455A JP 2015038203 A JP2015038203 A JP 2015038203A JP 2015038203 A JP2015038203 A JP 2015038203A JP 2016160455 A JP2016160455 A JP 2016160455A
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Kosuke Urashima
航介 浦島
元気 米倉
Genki Yonekura
元気 米倉
恭 神代
Yasushi Kamishiro
恭 神代
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Abstract

【課題】低温での融着性に優れる銅含有粒子、前記銅含有粒子を含む導体形成組成物、低温で実施可能な導体の製造方法、低温で製造可能な導体、及び前記導体を含む装置を提供する。
【解決手段】銅を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物と、を有し、長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下である銅含有粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、銅含有粒子、導体形成組成物、導体の製造方法、導体及び装置に関する。
金属パターンの形成方法として、銅等の金属粒子を含むインク、ペースト等の導電材料をインクジェット印刷、スクリーン印刷等により基材上に付与する工程と、導電材料を加熱して金属粒子を融着させ、導電性を発現させる導体化工程とを含む、いわゆるプリンテッドエレクトロニクス法が知られている。導電材料に含まれる金属粒子としては、金属の酸化を抑制して保存性を高めるために表面に被覆材としての有機物を付着させたものが知られている。
特許文献1には、低温で融着でき、良好な導電性を発現する有機物で被覆された銅粒子及びその製造方法が記載されている。特許文献1に記載の銅粒子は、シュウ酸銅等の銅前駆体とヒドラジン等の還元性化合物とを混合して複合化合物を得る工程と、前記複合化合物をアルキルアミンの存在下で加熱する工程とを有する方法によって製造されるものである。特許文献1の実施例では、作製した銅粒子を含むインクをアルゴン雰囲気中、60℃/分で300℃まで昇温して30分保持することで導体化を達成している。特許文献2には、特許文献1に記載の方法において、銅前駆体として脂肪酸銅を用いる銅粒子の製造方法が記載されている。特許文献2の実施例には、得られた銅粒子の薄膜が200℃の加熱で導体化したと記載されている。
特開2012−72418号公報 特開2014−148732号公報
近年、生産効率の向上、使用する基材の種類の多様化等を背景として、より低温(例えば、150℃以下)での金属粒子の融着を可能にする技術の開発が求められている。そこで、特許文献1及び特許文献2に記載されている温度よりも更に低い温度で融着できる金属粒子及びそれを用いた導体化方法の開発が求められている。
本発明は上記課題に鑑み、低温での融着性に優れる銅含有粒子、前記銅含有粒子を含む導体形成組成物、低温で実施可能な導体の製造方法、低温で製造可能な導体、及び前記導体を含む装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1>銅を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物と、を有し、長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下である銅含有粒子。
<2>長軸の長さが最長である銅含有粒子の長軸の長さが350nm以下である<1>に記載の銅含有粒子。
<3>前記有機物は、アルキルアミンに由来する物質を含む<1>又は<2>に記載の銅含有粒子。
<4><1>〜<3>のいずれか1項に記載の銅含有粒子と、分散媒と、を含む導体形成組成物。
<5><4>に記載の導体形成組成物を加熱する工程を有する導体の製造方法。
<6><1>〜<3>のいずれか1項に記載の銅含有粒子が融着した構造を有する導体。
<7><6>に記載の導体を含む装置。
本発明によれば、低温での融着性に優れる銅含有粒子、前記銅含有粒子を含む導体形成組成物、低温で実施可能な導体の製造方法、低温で製造可能な導体、及び前記導体を含む装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。また、本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。本明細書において「膜」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本明細書において「導体化」とは、金属含有粒子を融着させて導体に変化させることをいう。「導体」とは、導電性を有する物体をいい、より具体的には体積抵抗率が300μΩ・cm以下である物体をいう。
<銅含有粒子>
本発明の銅含有粒子は、銅を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物と、を有し、長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下である。
本明細書において銅含有粒子の長軸とは、銅含有粒子に外接し、互いに平行である二平面の間の距離が最大となるように選ばれる二平面間の距離を意味する。長軸の長さの平均値は、無作為に選択される200個の銅含有粒子について測定した長軸の長さの算術平均値である。
本発明の銅含有粒子は上記構成であることにより、低温(例えば、150℃)で導電性の良好な導体を形成することができる。
すなわち、本発明の銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物が保護材としての役割を果たし、コア粒子の酸化を抑制する。このため、大気中での長期保存後も低温での良好な融着性が維持される。なお、この有機物は銅含有粒子を融着させて導体を製造する際の加熱により熱分解して消失する。
更に、銅含有粒子の長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下であることで、低温で導電性の良好な導体を形成することができる。その理由は明らかではないが、本発明者らは次のように考えている。銅含有粒子は本来、小さいほど溶融しやすい傾向にある。しかし、粒子表面の有機物が脱離しやすく酸化の影響を受けやすい、粒子表面の触媒活性が高く溶融を妨げる物質を生成する等の何らかの要因により、小さいことによる溶融のしやすさが相殺される場合がある。その結果、本発明の銅含有粒子においては小径粒子の方が大径粒子よりも融着しにくいという現象が生じていると考えている。本発明者らはこの点に着目し、銅含有粒子の粒子径が従来よりも大きくなるように設定することで、低温でも良好な融着性を実現している。一方、銅含有粒子の粒子径が大きすぎないように設定することで、いわゆるナノサイズ効果による融点低下が十分に生じるようにしている。
特許文献1及び特許文献2には、銅粒子の平均粒径が50nm以下であり、更には平均粒径が20nmであると記載されている。また、特許文献2には、実施例で得られた銅粒子中に粒子径が10nm以下の銅粒子と、粒子径が100nm〜200nmの銅粒子とが混在していたと記載されている。しかしながら、いずれの特許文献にも長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下である銅粒子は記載されていない。
低温での融着性の観点からは、銅含有粒子の長軸の長さの平均値は55nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましく、90nm以上であることが更に好ましい。
低温での融着性の観点からは、銅含有粒子の長軸の長さの平均値は250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましい。
低温での融着性の観点からは、長軸の長さが最長である銅含有粒子(以下、最大径粒子ともいう)の長軸の長さが350nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。本明細書において最大径粒子の長軸の長さは、無作為に選択される200個の銅含有粒子中で長軸の長さが最長である銅含有粒子の長軸の長さである。
低温での融着性の観点からは、長軸の長さが最短である銅含有粒子(以下、最小径粒子ともいう)の長軸の長さが5nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましい。本明細書において最小径粒子の長軸の長さは、無作為に選択される200個の銅含有粒子中で長軸の長さが最短である銅含有粒子の長軸の長さである。
銅含有粒子の長軸の長さは、例えば、後述する銅含有粒子の製造方法における原材料の種類、原材料を混合する際の温度、反応時間、反応温度、洗浄工程、洗浄溶媒等の条件を調節することによって行うことができる。
本発明の銅含有粒子は、粒子径分布が狭くても、広くてもよく、銅含有粒子の用途にあわせて選択できる。また、粒子径分布のピークは1つであっても、2つ以上であってもよい。最密充填化の容易性の観点からは、粒子径分布のピークが2つ以上であることが好ましい。粒子径分布は、粒子径アナライザーによる一般的な手法で測定できる。粒子径分布のピークが2つ以上である銅含有粒子は、粒子径分布の異なる銅含有粒子の混合物であってもよい。
粒子径分布のピークが2つ以上である場合の銅含有粒子としては、例えば、粒子径が50nmを超え500nm以下の範囲に第一のピークを有し、かつ、粒子径が1nm〜50nmの範囲に第一のピークよりも小さい第二のピークを有するものが挙げられる。このような粒子径分布を有する銅含有粒子においては、第一のピークに該当する粒子(以下、小径粒子ともいう)は主に導電性の機能を担い、第二のピークに該当する粒子(以下、小径粒子ともいう)は溶融により大径粒子同士を結合して導電パスを形成する機能を担うと考えられる。その結果、大径粒子のみが存在している場合、又は小径粒子のみが存在している場合に比べ、良好な導体が形成される傾向にある。
銅含有粒子の形状は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、銅含有粒子の長軸と短軸の比(長軸/短軸)であるアスペクト比は1.0〜10.0の範囲から選択できる。銅含有粒子を分散媒等と混合したものを印刷法によって基材に付与する場合は、銅含有粒子の長軸と短軸の比(長軸/短軸)であるアスペクト比の平均値が1.5〜8.0であると混合物の粘度の調整が容易であるために好ましい。銅含有粒子の短軸とは、銅含有粒子に外接し、互いに平行である二平面の間の距離が最小となるように選ばれる二平面間の距離を意味する。銅含有粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡による観察等の通常の方法によって調べることができる。
本発明のある実施態様では、アスペクト比の平均値が1.0〜8.0であることが好ましく、1.1〜6.0であることがより好ましく、1.2〜3.0であることが更に好ましい。本明細書においてアスペクト比の平均値は、無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の算術平均値と短軸の算術平均値をそれぞれ求め、得られた長軸の算術平均値を短軸の算術平均値で除して得られる値である。
銅含有粒子のアスペクト比は、例えば、後述する銅含有粒子の製造方法において使用される脂肪酸の炭素数等の条件を調節することによって行うことができる。
銅含有粒子の長軸の長さ及びアスペクト比は、電子顕微鏡による観察等の公知の方法により測定することができる。電子顕微鏡で観察する場合の倍率は特に制限されないが、例えば20倍〜50000倍で行うことができる。なお、粒子径が3nm未満の銅含有粒子は測定の対象から除外する。
本発明のある実施態様では、銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物は、アルキルアミンに由来する物質を含む。有機物及びアルキルアミンの存在は、窒素雰囲気中で有機物が熱分解する温度以上の温度で銅含有粒子を加熱し、加熱前後の重量を比較することで確認される。アルキルアミンとしては、後述する銅含有粒子の製造方法に用いられるアルキルアミンが挙げられる。
コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物は、その割合がコア粒子及び有機物の合計に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。有機物の割合が0.1質量%以上であると、充分な耐酸化性が得られる傾向にある。有機物の割合が20質量%以下であると、低温での融着性が良好となる傾向にある。コア粒子及び有機物の合計に対する有機物の割合は0.3質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
コア粒子は、少なくとも金属銅を含み、必要に応じてその他の物質を含んでもよい。銅以外の物質としては、金、銀、白金、錫、ニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む化合物、後述する脂肪酸銅、還元性化合物又はアルキルアミンに由来する有機物、酸化銅、塩化銅等を挙げることができる。導電性に優れる導体を形成する観点からは、コア粒子中の金属銅の含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
銅含有粒子は、コア粒子の表面の少なくとも一部に有機物が存在しているために、大気中で保存しても銅の酸化が抑制されており、酸化物の含有率が小さい。例えば、ある実施態様では、銅含有粒子中の酸化物の含有率が5質量%以下である。銅含有粒子中の酸化物の含有率は、例えばXRD(X−ray diffraction、X線回折)によって測定することができる。
<銅含有粒子の製造方法>
銅含有粒子の製造方法は特に制限されない。例えば、銅含有粒子は脂肪酸と銅との金属塩と、還元性化合物と、アルキルアミンと、を含む組成物を加熱する工程を有する方法によって製造される。前記方法は、必要に応じて加熱工程後の遠心分離工程、洗浄工程等の工程を有していてもよい。
前記方法は、銅前駆体として、脂肪酸と銅との金属塩を使用するものである。これにより、銅前駆体としてシュウ酸銀等を用いる特許文献1に記載の方法と比較して、より沸点の低い(すなわち、分子量の小さい)アルキルアミンを反応媒として使用することが可能になると考えられる。その結果、得られる銅含有粒子においてコア粒子の表面に存在する有機物がより熱分解又は揮発しやすいものとなり、導体化を低温で実施することがより容易になると考えられる。
(脂肪酸)
脂肪酸は、RCOOHで表される1価のカルボン酸(Rは鎖状の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい)である。脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。コア粒子を効率的に被覆して酸化を抑制する観点からは、直鎖状の飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸は1種のみでも、2種以上であってもよい。
脂肪酸の炭素数は、9以下であることが好ましい。炭素数が9以下である飽和脂肪酸としては、酢酸(炭素数2)、プロピオン酸(炭素数3)、酪酸及びイソ酪酸(炭素数4)、吉草酸及びイソ吉草酸(炭素数5)、カプロン酸(炭素数6)、エナント酸及びイソエナント酸(炭素数7)、カプリル酸及びイソカプリル酸及びイソカプロン酸(炭素数8)、ノナン酸及びイソノナン酸(炭素数9)等を挙げることができる。炭素数が9以下である不飽和脂肪酸としては、上記の飽和脂肪酸の炭化水素基中に1つ以上の二重結合を有するものを挙げることができる。
脂肪酸の種類は、銅含有粒子の分散媒への分散性、融着性等の性質に影響しうる。このため、銅含有粒子の用途に応じて脂肪酸の種類を選択することが好ましい。粒子形状の均一化の観点からは、炭素数が5〜9である脂肪酸と、炭素数が4以下である脂肪酸とを併用することが好ましい。例えば、炭素数が9であるノナン酸と、炭素数が2である酢酸とを併用することが好ましい。炭素数が5〜9である脂肪酸と炭素数が4以下である脂肪酸とを併用する場合の比率は、特に制限されない。
脂肪酸と銅との塩化合物(脂肪酸銅)を得る方法は特に制限されない。例えば、水酸化銅と脂肪酸とを溶媒中で混合することで得てもよく、市販されている脂肪酸銅を用いてもよい。あるいは、水酸化銅、脂肪酸及び還元性化合物を溶媒中で混合することで、脂肪酸銅の生成と、脂肪酸銅と還元性化合物との間で形成される錯体の生成とを同じ工程中で行ってもよい。
(還元性化合物)
還元性化合物は、脂肪酸銅と混合した際に両化合物間で錯体等の複合化合物を形成すると考えられる。これにより、還元性化合物が脂肪酸銅中の銅イオンに対する電子のドナーとなり、銅イオンの還元が生じやすくなり、錯体を形成していない状態の脂肪酸銅よりも自発的な熱分解による銅原子の遊離が生じやすくなると考えられる。還元性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
還元性化合物として具体的には、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン等のヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン誘導体等のヒドロキシルアミン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム化合物などを挙げることができる。
脂肪酸銅中の銅原子に対して配位結合を形成しやすい、脂肪酸銅の構造を維持した状態で錯体を形成しやすい等の観点からは、アミノ基を有する還元性化合物が好ましい。アミノ基を有する還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程(以下では加熱工程ともいう)における加熱温度を低くする(例えば、150℃以下)観点からは、アルキルアミンの蒸発又は分解を生じない温度範囲において銅原子の還元及び遊離を生じる錯体を形成可能な還元性化合物を選択することが好ましい。このような還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。これらの還元性化合物は、骨格を成す窒素原子が銅原子との配位結合を形成して錯体を形成することができる。また、これらの還元性化合物は一般にアルキルアミンと比較して還元力が強いため、生成した錯体が比較的穏和な条件で自発的な分解を生じ、銅原子の還元及び遊離が生じる傾向にある。
ヒドラジン又はヒドロキシルアミンの代わりにこれらの誘導体から好適なものを選択することで、脂肪酸銅との反応性を調節することができ、所望の条件で自発分解を生じる錯体を生成することができる。ヒドラジン誘導体としては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、イソブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、イソペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、イソヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン、2−ヒドラジノエタノール、アセトヒドラジン等を挙げることができる。ヒドロキシルアミンの誘導体としては、N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキシルアミン等を挙げることができる。
脂肪酸銅に含まれる銅と還元性化合物の比率は、所望の錯体が形成される条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:還元性化合物)はモル基準で1:1〜1:4の範囲とすることができ、1:1〜1:3の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:2の範囲とすることがより好ましい。
(アルキルアミン)
アルキルアミンは、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体の分解反応の反応媒として機能すると考えられる。更に、還元性化合物の還元作用によって生じるプロトンを捕捉し、反応溶液が酸性に傾いて銅原子が酸化されることを抑制すると考えられる。
アルキルアミンはRNH(Rは炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される1級アミン、RNH(R及びRは同じであっても異なっていてもよい炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される2級アミン、炭化水素鎖に2つのアミノ基が置換したアルキレンジアミン等を意味する。アルキルアミンは、1つ以上の二重結合を有していてもよく、酸素、ケイ素、窒素、イオウ、リン等の原子を有していてもよい。アルキルアミンは、1種のみであっても2種以上であってもよい。
アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は、7以下であることが好ましい。アルキルアミンの炭化水素基の炭素数が7以下であると、銅含有粒子を融着させて導体を形成するための加熱の際にアルキルアミンが熱分解しやすく、良好な導体化が達成できる傾向にある。アルキルアミンの炭化水素基の炭素数は6以下であることがより好ましく、3以上であることが更に好ましい。
1級アミンとして具体的には、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン等を挙げることができる。
2級アミンとして具体的には、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等を挙げることができる。
アルキレンジアミンとして具体的には、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノドデカン等を挙げることができる。
アルキルアミンは、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、低温での融着性により優れる銅含有粒子を製造することができる。アルキルアミンは1種単独で用いても、2種以上を併用してよい。アルキルアミンは、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンと、炭化水素基の炭素数が8以上のアルキルアミンと、を含んでもよい。炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンと炭化水素基の炭素数が8以上のアルキルアミンとを併用する場合、アルキルアミン全体に占める炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンの割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
脂肪酸銅に含まれる銅とアルキルアミンの比率は、所望の銅含有粒子が得られる条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:アルキルアミン)はモル基準で1:1〜1:8の範囲とすることができ、1:1〜1:6の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:4の範囲とすることがより好ましい。
(加熱工程)
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を実施するための方法は特に制限されない。例えば、脂肪酸銅と還元性化合物とを溶媒に混合した後にアルキルアミンを添加して加熱する方法、脂肪酸銅とアルキルアミンとを溶媒と混合した後に更に還元性化合物を添加して加熱する方法、脂肪酸銅の出発物質である水酸化銅、脂肪酸、還元性化合物及びアルキルアミンを溶媒に混合して加熱する方法、脂肪酸銅とアルキルアミンとを溶媒に混合した後に還元性化合物を添加して加熱する方法等を挙げることができる。
加熱工程は、銅前駆体として炭素数が9以下である脂肪酸銅を用いることにより、比較的低温で行うことができる。例えば、150℃以下で行うことができ、130℃以下で行うことが好ましく、100℃以下で行うことがより好ましい。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物は、更に溶媒を含んでもよい。脂肪酸銅と還元性化合物による錯体の形成を促進する観点からは、極性溶媒を含むことが好ましい。ここで極性溶媒とは、25℃で水に溶解する溶媒を意味し、アルコールであることが好ましい。アルコールを用いることで錯体の形成が促進される傾向にある。その理由は明らかではないが、固体である脂肪酸銅を溶解させながら水溶性である還元性化合物との接触が促進されるためと考えられる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
25℃で水に溶解するアルコールとしては、炭素数が1〜8であり、分子中に水酸基を1つ有するアルコールを挙げることができる。このようなアルコールとしては、直鎖状のアルキルアルコール、フェノール、分子内にエーテル結合を有する炭化水素の水素原子を水酸基で置換したもの等を挙げることができる。より強い極性を発現する観点からは、分子中に水酸基を2個以上含むアルコールも好ましく用いられる。また、製造される銅含有粒子の用途に応じてイオウ原子、リン原子、ケイ素原子等を含むアルコールを用いてもよい。
アルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ピナコール、プロピレングリコール、メントール、カテコール、ヒドロキノン、サリチルアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、スクロース、グルコース、キシリトール、メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等を挙げることができる。
アルコールのうち、水に対する溶解度が極めて大きいメタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールが好ましく、1−プロパノール及び2−プロパノールがより好ましく、1−プロパノールが更に好ましい。
<導体形成組成物>
本発明の導体形成組成物は、本発明の銅含有粒子と、分散媒とを含む。本発明の導体形成組成物は、低温での融着性に優れる本発明の銅含有粒子を含むため、低温での導体化が可能である。導体形成組成物としては、導電塗料、導電ペースト、導電インク等が挙げられる。
導体形成組成物に含まれる銅含有粒子の形状は特に制限されない。具体的には、球状、長粒状、扁平状、繊維状等を挙げることができ、銅含有粒子の用途にあわせて選択できる。導体形成組成物を印刷法に適用する場合は、銅含有粒子の形状は球状又は長粒状であることが好ましい。
分散媒の種類は特に制限されず、導体形成組成物の用途に応じて一般に用いられる有機溶媒から選択でき、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。導体形成組成物を印刷法に適用する場合は、導体形成組成物の粘度コントロールの観点から、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロターピネオール及びジヒドロターピネオールアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
導体形成組成物の粘度は特に制限されず、導体形成組成物の使用方法に応じて選択できる。例えば、導体形成組成物をスクリーン印刷法に適用する場合は、粘度が0.1Pa・s〜30Pa・sであることが好ましく、1Pa・s〜30Pa・sであることがより好ましい。導体形成組成物をインクジェット印刷法に適用する場合は、使用するインクジェットヘッドの規格にもよるが、粘度が0.1mPa・s〜30mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜20mPa・sであることがより好ましい。
導体形成組成物は、必要に応じて銅含有粒子及び分散媒以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、シランカップリング剤、高分子化合物、ラジカル開始剤、還元剤等が挙げられる。
<導体の製造方法>
本発明の導体の製造方法は、本発明の導体形成組成物を加熱する工程(加熱工程)を有する。加熱工程では、導体形成組成物に含まれる銅含有粒子の表面の有機物を熱分解させ、かつ、銅含有粒子を融着させる。本発明の導体形成組成物は低温での導体化が可能であるため、200℃以下、好ましくは150℃以下の温度で加熱工程を行うことができる。
加熱工程が実施される雰囲気中の成分は特に制限されず、通常の導体の製造工程で用いられる窒素、アルゴン等から選択できる。また、水素、ギ酸等の還元性物質を、窒素等に飽和させた雰囲気中で加熱してもよい。加熱時の圧力は特に制限されないが、減圧とすることでより低温での導体化が促進される傾向にある。
加熱工程は一定の昇温速度で行っても、不規則に変化させてもよい。加熱工程の時間は特に制限されず、加熱温度、加熱雰囲気、銅含有粒子の量等を考慮して選択できる。加熱方法は特に制限されず、熱板による加熱、赤外ヒータによる加熱、パルスレーザによる加熱等を挙げることができる。
導体の製造方法は、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、加熱工程前に導体形成組成物を基材に付与する工程、加熱工程前に導体形成組成物中の揮発成分の少なくとも一部を乾燥等により除去する工程、加熱工程後に還元雰囲気中で加熱により生成した酸化銅を還元する工程、加熱工程後に光焼成を行って残存成分を除去する工程、加熱工程後に得られた導体に対して荷重をかける工程等を挙げることができる。
<導体>
本発明の導体は、本発明の銅含有粒子が融着した構造を有する。導体の形状は特に制限されず、薄膜状、パターン状等を挙げることができる。本発明の導体は、種々の電子部品の配線、被膜等の形成に使用できる。特に、本発明の導体は低温で製造できるため、樹脂等の耐熱性の低い基材上に金属箔、配線パターン等を形成する用途に好適に用いられる。また、通電を目的としない装飾、印字等の用途にも好適に用いられる。
基材上に導体形成組成物を付与し、加熱して導体を形成する場合、基材の材質は特に制限されず、導電性を有していても有していなくてもよい。具体的には、Cu、Au、Pt、Pd、Ag、Zn、Ni、Co、Fe、Al、Sn等の金属、これら金属の合金、ITO、ZnO、SnO、Si等の半導体、ガラス、黒鉛、グラファイト等のカーボン材料、樹脂、紙、これらの組み合わせなどを挙げることができる。本発明の導体は低温での加熱で得られるため、特に、耐熱性が比較的低い材質からなる基材を用いる場合に好適に適用することができる。耐熱性が比較的低い材質としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。基材の形状は特に制限されず、板状、棒状、ロール状、フィルム状等であってよい。
導体の体積抵抗率は100μΩ・cm以下であることが好ましく、65μΩ・cm以下であることがより好ましく、50μΩ・cm以下であることが更に好ましく、30μΩ・cm以下であることが特に好ましい。
本発明の導体は、種々の用途に用いることができる。具体的には、積層板、太陽電池パネル、ディスプレイ、トランジスタ、半導体パッケージ等の電子部品に使用される、電気配線、放熱膜、表面被覆膜等の部材として利用することができる。特に、本発明の装置に含まれる導体は樹脂等の基材上に形成できるため、フレキシブルな積層板、太陽電池パネル、ディスプレイ等の製造に好適である。
<装置>
本発明の装置は、本発明の導体を含む。装置の種類は特に制限されない。例えば、本発明の導体からなる配線、被膜等を有する積層板、太陽電池パネル、ディスプレイ、トランジスタ及び半導体パッケージ等の電子部品が挙げられる。また、これらの電子部品を内蔵する電子機器、家電、産業用機械、輸送用機械等も本発明の装置に含まれる。
以下、本発明について実施例をもとに説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1−1>
[1.1]ノナン酸銅の合成
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[1.2]銅含有粒子の合成
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール10mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を1−プロパノール12mLに溶解させた溶液を脂肪酸銅の溶液に加え、氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、10分で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は55nmであった。
上記で得た銅ケーク(60質量部)、テルピネオール(20質量部)、及びイソボルニルシクロヘキサノール(商品名:テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社)(20質量部)を混合して導体形成組成物を調製した。得られた導体形成組成物をポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上に塗布し、加熱して金属銅の薄膜を形成した。加熱は、圧力500Pa窒素雰囲気のオーブン内で、140℃で60分間保持することによって行った。
<実施例1−2>
反応時間を30分に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は100nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
<実施例1−3>
反応時間を50分に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は140nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
<実施例1−4>
反応時間を120分に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は200nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
<実施例1−5>
反応時間を120分に変更し、反応温度を100℃に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は280nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
<比較例1−1>
反応時間を5分に変更し、反応温度を70℃に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は8nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
<比較例1−2>
反応時間を120分に変更し、反応温度を120℃に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は350nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
<比較例1−3>
反応時間を15分に変更し、反応温度を70℃に変更した以外は実施例1−1と同様にして、銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。得られた銅含有粒子の長軸の長さの平均値は30nmであった。この銅ケークを用いて、実施例1−1と同様にして導体形成組成物を調製し、金属銅の薄膜を形成した。
(評価)
各実施例及び各比較例で得られた金属銅の薄膜の体積抵抗率を、4端針面抵抗測定器で測定した面抵抗値と、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)で求めた膜厚とから計算した。結果を表1に示す。
表1に示すように、長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下の範囲内にある実施例の銅含有粒子から得られる導体は体積抵抗率が低く、長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下の範囲内にない比較例の銅含有粒子から得られる導体は体積抵抗率が実施例よりも高かった。
以上より、本発明の銅含有粒子によれば、150℃以下の低温処理で良好な導電性を有する導体を形成できることが分かる。

Claims (7)

  1. 銅を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物と、を有し、長軸の長さの平均値が50nmを超え300nm以下である銅含有粒子。
  2. 長軸の長さが最長である銅含有粒子の長軸の長さが350nm以下である請求項1に記載の銅含有粒子。
  3. 前記有機物は、アルキルアミンに由来する物質を含む請求項1又は請求項2に記載の銅含有粒子。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の銅含有粒子と、分散媒と、を含む導体形成組成物。
  5. 請求項4に記載の導体形成組成物を加熱する工程を有する導体の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の銅含有粒子が融着した構造を有する導体。
  7. 請求項6に記載の導体を含む装置。
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