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JP2016143676A - ダイボンディングシート - Google Patents

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JP2016143676A
JP2016143676A JP2015015793A JP2015015793A JP2016143676A JP 2016143676 A JP2016143676 A JP 2016143676A JP 2015015793 A JP2015015793 A JP 2015015793A JP 2015015793 A JP2015015793 A JP 2015015793A JP 2016143676 A JP2016143676 A JP 2016143676A
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meth
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group
adhesive composition
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JP2015015793A
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English (en)
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泰紀 柄澤
Yasunori Karasawa
泰紀 柄澤
正憲 山岸
Masanori Yamagishi
正憲 山岸
善男 荒井
Yoshio Arai
善男 荒井
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Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
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Abstract

【課題】加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きを抑制できるダイボンディングシートを提供する。【解決手段】ダイボンディングシート10は、基材11の一方の表面11a上に接着剤層13を備えている。基材は、ポリオレフィン系樹脂を含み、接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面の表面粗さが0.9μm以上であり、測定する部分の長さが15mmであり、幅が4.5mmである試験片とした場合、その長さ方向の一端を固定し、他端を19.6mNの力で引いたときに、70℃に加熱された状態での長さL2と、50℃に加熱された状態での長さL1との差が、L1の1%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に接着剤層を備えたダイボンディングシートに関する。
半導体チップは、通常、裏面が研削された半導体ウエハを用いて作製されるが、裏面の研削時に、半導体ウエハの回路面はバックグラインドテープの貼付によって保護される。そして、裏面が研削された半導体ウエハは、その研削面にダイボンディングシートやダイシングダイボンディングシート等(以下、まとめて「ダイボンディングシート」と略記することがある)が貼付された状態で、これらシートの基材表面(背面)をチャックテーブルの表面に密着させた状態で搬送される。このとき、これらシートが貼付された半導体ウエハは、チャックテーブルの裏面側(ダイボンディングシートの基材が接触している側とは反対側)を減圧することで、チャックテーブルの表面に吸引されて固定される。
一方、バックグラインドテープは、半導体ウエハの裏面を研削後に、加熱した状態で半導体ウエハから剥離されることがある。そして、半導体ウエハはダイボンディングシートが貼付された状態のまま、チャックテーブルから取り外される。しかし、バックグラインドテープを剥離させるための加熱の影響によって、減圧を解除しても、ダイボンディングシートの基材がチャックテーブルの表面に張り付いてしまい、半導体ウエハを取り外すことができなくなることがあるという問題点があった。一方で、半導体ウエハの加工時において、ブロッキングなど、ウエハ加工用シートの基材の表面(背面)の張り付きを防止する手法としては、基材の対象面の表面形状を粗くする手法が知られている(特許文献1参照)。
特開2007−053325号公報
しかし、特許文献1で開示されている手法は、上述のチャックテーブルの表面への基材の張り付きを抑制するのに必ずしも有効ではなく、このような問題点を根本的に解決できるダイボンディングシートは、従来知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きを抑制できるダイボンディングシートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材の一方の表面上に接着剤層を備えてなり、前記基材は、ポリオレフィン系樹脂を含み、前記接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面の表面粗さが0.9μm以上であり、前記基材は、測定する部分の長さが15mmであり、幅が4.5mmである試験片とした場合、その長さ方向の一端を固定し、他端を19.6mN(2gf)の力で引いたときに、70℃に加熱された状態での長さLと、50℃に加熱された状態での長さLとの差が、前記Lの1%以下であることを特徴とするダイボンディングシートを提供する。
本発明のダイボンディングシートは、前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体であるものが好ましい。
本発明によれば、加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きを抑制できるダイボンディングシートが提供される。
本発明に係る第1実施形態のダイボンディングシートの一例を模式的に示す断面図である。
<<ダイボンディングシート>>
本発明に係るダイボンディングシートは、基材の一方の表面上に接着剤層を備えてなり、前記基材は、ポリオレフィン系樹脂を含み、前記接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面の表面粗さが0.9μm以上であり、前記基材は、測定する部分の長さが15mmであり、幅が4.5mmである試験片とした場合、その長さ方向の一端を固定し、他端を19.6mNの力で引いたときに、70℃に加熱された状態での長さLと、50℃に加熱された状態での長さLとの差(L−L、以下、「加熱時の変形量」と略記することがある)が、前記Lの1%以下であることを特徴とする。本明細書においては、以下、「[L−L]/L×100」の値を、「加熱時の変形量の割合」と略記することがある。
前記基材がポリオレフィン系樹脂を含むことで、これを備えたダイボンディングシートは、優れたエキスパンド性を有し、半導体チップのピックアップ適性に優れるなど、半導体チップの製造への使用に特に好適なものとなる。一方で、半導体ウエハに貼付されたダイボンディングシートにおいて、前記基材はポリオレフィン系樹脂を含むことで、その表面(接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面、背面)がチャックテーブルの表面に減圧条件下で密着され、さらに加熱された状態となると、チャックテーブルの表面に張り付いて過密着となり易い。
これに対して、本発明に係るダイボンディングシートは、基材の表面粗さと加熱時の変形量の割合が、それぞれ特定の範囲にあることにより、加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きが抑制され、基材とチャックテーブルとが過密着となる状態を回避できる。
・第1実施形態
本発明に係る第1実施形態のダイボンディングシートは、前記基材上に粘着剤層を介して前記接着剤層を備えてなり、ダイシングダイボンディングシートと称することもある。
前記粘着剤層及び接着剤層は特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。
<基材>
前記基材は、ポリオレフィン系樹脂を含み、ポリオレフィン樹脂を主成分とすることが好ましい。すなわち、基材は、ポリオレフィン系樹脂からなるか、又はポリオレフィン系樹脂及びそれ以外の成分を含んでなり、ポリオレフィン系樹脂以外の成分を含む場合、上述の加熱時の変形量の割合がポリオレフィン系樹脂からなるものと同等のものである。基材は、ポリオレフィン系樹脂の含有量が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
前記基材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることで、優れたエキスパンド性を有し、半導体チップのピックアップ適性に優れるなど、特性に優れたダイボンディングシートを構成できるだけでなく、加熱時の変形量の割合を容易に調節できる。
前記基材が含有するポリオレフィン系樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂は、公知のものでよく、特に限定されず、オレフィンの重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂等が例示できる。
オレフィンの重合体としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE等))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン等が例示できる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、モノマーとして少なくともエチレン及びα,β−不飽和カルボン酸を共重合させて得られたものであり、本発明の効果を損なわない範囲内において、エチレン及びα,β−不飽和カルボン酸以外に、α,β−不飽和カルボン酸エステルに該当しない1種又は2種以上のその他のモノマーを共重合させて得られたものでもよい。
ただし、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンから誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)との合計値(合計含有比率)が、(前記共重合体の全質量に対して)90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、モノマーとして少なくともエチレン、α,β−不飽和カルボン酸及びα,β−不飽和カルボン酸エステルを共重合させて得られたものであり、本発明の効果を損なわない範囲内において、エチレン、α,β−不飽和カルボン酸及びα,β−不飽和カルボン酸エステル以外に、1種又は2種以上のその他のモノマーを共重合させて得られたものでもよい。
ただし、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンから誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導された構成単位の含有比率(質量比)との合計値(合計含有比率)が、(前記共重合体の全質量に対して)90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の炭素数3〜8の不飽和カルボン酸;前記炭素数3〜8の不飽和カルボン酸の塩;マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等)等の前記炭素数3〜8の不飽和カルボン酸のエステル等が例示できる。
これらの中でも、前記α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体は、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸又はマレイン酸モノエステルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸)であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。
また、本明細書において「誘導体」とは、特に断りのない限り、元の化合物の1個以上の水素原子が、水素原子以外の基(置換基)で置換されたものを意味する。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体又はエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル等の、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸のアルキルエステルが例示できる。
前記アルキルエステルのアルキル基は、炭素数が1〜12であることが好ましく、このようなアルキル基としてより具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が例示できる。これらの中でも、前記アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましい。
前記α,β−不飽和カルボン酸エステルは、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、n−ブチルエステル又はイソブチルエステルであることが特に好ましい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、前記α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導された構成単位を含むことで、柔軟性が向上する。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸エステルは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体で好ましいものとしては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等が例示できる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)が、エチレンから誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)との合計値に対して、1〜20質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の前記含有比率が前記下限値以上であることで、前記基材の融着を抑制する効果が高くなる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体で好ましいものとしては、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が例示でき、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体で、アルキルエステルのアルキル基の炭素数が1〜8であるものがより好ましく、前記炭素数が1〜4であるものが特に好ましい。このような前記共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・メタクリル酸イソブチル共重合体等が例示できる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)が、エチレンから誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導された構成単位の含有比率(質量比)との合計値に対して、1〜20質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率が前記下限値以上であることで、前記基材の融着を抑制する効果が高くなる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導された構成単位の含有比率(質量比)が、エチレンから誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸から誘導された構成単位の含有比率(質量比)と、α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導された構成単位の含有比率(質量比)との合計値に対して、1〜20質量%であることが好ましく、3〜18質量%であることがより好ましい。
前記基材において、前記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体又はエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体であることが好ましく、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体であることがより好ましく、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体であることが特に好ましい。
前記基材が、ポリオレフィン系樹脂及びそれ以外の成分を含有する場合、ポリオレフィン系樹脂以外の成分は、特に限定されず、樹脂成分であってもよいし、樹脂以外の成分であってもよい。そして、ポリオレフィン系樹脂以外の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
基材は、ポリオレフィン系樹脂以外の成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
前記基材は、前記接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面、すなわち、使用時においてチャックテーブルの表面と接触する表面の表面粗さが、0.9μm以上であり、0.95μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、1.05μm以上であることが特に好ましい。基材の前記表面粗さが前記下限値以上であることで、基材の表面とチャックテーブルの表面との接触面積が適度に低減され、加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きが抑制される効果が高くなる。
一方、前記基材は、前記他方の表面の表面粗さが、10μm以下であることが好ましい。基材の前記表面粗さが前記上限値以下であることで、ダイボンディングシートが貼付された半導体ウエハを、減圧時にチャックテーブルの表面により安定して固定できる。
なお、本明細書において「表面粗さ」とは、特に断りのない限り、JIS B0601で規定される算術平均粗さ(Ra)を意味する。
前記基材は、前記接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面以外に、接着剤層を備えている側のもう一方の表面が、同様の表面粗さであってもよい。
また、前記基材は、前記他方の表面の十点平均粗さ(Rz)が、7.5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましい。基材の前記十点平均粗さが前記下限値以上であることで、基材の前記表面粗さが前記下限値以上である場合と同様の効果が得られる。
一方、前記基材は、前記他方の表面の十点平均粗さが、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。基材の前記十点平均粗さが前記上限値以下であることで、基材の前記表面粗さが前記上限値以下である場合と同様の効果が得られる。
なお、本明細書において「十点平均粗さ(Rz)」は、JIS B0601−1994で規定されるものを意味する。
前記基材は、測定する部分の長さが15mmであり、幅が4.5mmである試験片とした場合、この試験片について、その長さ方向(長手方向)の一端を固定した状態で、50℃に加熱しながら他端を19.6mNの力で引いたときの長さLと、同様にその長さ方向の一端を固定した状態で、70℃に加熱しながら他端を19.6mNの力で引いたときの長さLとを求めた場合、L−Lで算出される加熱時の変形量が、Lの値の1%以下となるものである。すなわち、基材(試験片)の前記加熱時の変形量の割合([L−L]/L×100)は1%以下であり、0.9%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.7%以下であることがさらに好ましく、0.6%以下であることが特に好ましい。前記変形量の割合がこのような範囲であることで、加熱時の基材はチャックテーブルの表面への追従性が適度に低減され、加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きが抑制される効果が高くなる。そして、前記変形量の割合の下限値は、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂を含む基材において、これよりも小さな値を得られる可能性が低いことから、通常は0.01%である。
前記試験片の厚さは、本発明に係るダイボンディングシートにおける基材の厚さと同様であればよく、特に限定されない。
前記基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、各層の材質はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同じであってもよい。
前記基材の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、50〜300μmであることが好ましく、60〜150μmであることがより好ましい。基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
前記基材は、その上に設けられる粘着剤層との接着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理や、コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が、少なくとも粘着剤層が設けられる側の表面に施されたものでもよい。また、前記基材は、少なくとも粘着剤層が設けられる側の表面がプライマー処理を施されたものでもよい。そして前記基材は、粘着剤層が設けられる側とは反対側の表面に、これらの処理が施されたものでもよい。
これらの中でも基材は、ダイシング時のブレードの摩擦による基材の断片の発生が抑制される点から、特に表面が電子線照射処理を施されたものが好ましい。
前記基材としては、表面粗さと加熱時の変形量の割合が、それぞれ所定の範囲である市販品を用いてもよいし、加熱時の変形量の割合が所定の範囲である市販品を用いて、その少なくとも前記他方の表面(背面)を、表面粗さが所定の範囲となるように加工(表面加工)したものを用いてもよく、表面粗さと加熱時の変形量の割合が、それぞれ所定の範囲となるように公知の方法により製造したものを用いてもよい。前記基材は、例えば、その構成成分に対応した成分を含有する樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物)を用いて、これを加熱成形することで製造できる。また、前記基材は、例えば、その構成成分や成形条件を調節することで、加熱時の変形量の割合を調節できる。前記基材の表面粗さを所定の範囲とするためには、例えば、粗いロール面を基材の表面に圧着させて、ロール面の模様を基材の表面に転写する粗面化処理等を行えばよい。
<粘着剤層>
前記粘着剤層は、これを構成するための各種成分を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。粘着剤組成物中の非揮発性成分同士の含有量の比率は、粘着剤層においても同じとなる。
前記粘着剤層が、エネルギー線の照射により重合する成分を含んでいる場合には、エネルギー線を照射してその粘着性を低下させることで、半導体チップのピックアップが可能となる。このような粘着剤層は、例えば、エネルギー線の照射により重合する、エネルギー線重合性のアクリル重合体を含有する各種の粘着剤組成物を用いて形成できる。
前記粘着剤組成物で好ましいものとしては、前記アクリル重合体とエネルギー線重合性化合物とを含有するもの(以下、「粘着剤組成物(i)」と略記することがある)、水酸基を有し、且つ重合性基を側鎖に有するアクリル重合体(例えば、水酸基を有し、且つウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するもの)と、イソシアネート系架橋剤と、を含有するもの(以下、「粘着剤組成物(ii)」と略記することがある)が例示できる。
また、前記粘着剤組成物としては、エネルギー線の照射により重合する成分を含有しない非エネルギー線硬化性粘着剤組成物(以下、「粘着剤組成物(iii)」と略記することがある。)を用いてもよい。
[粘着剤組成物(i)]
粘着剤組成物(i)は、前記アクリル重合体とエネルギー線重合性化合物とを必須成分として含有する。
以下、各成分について説明する。
(アクリル重合体)
粘着剤組成物(i)における前記アクリル重合体で好ましいものとしては、モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じて用いられる非(メタ)アクリル酸エステルとを重合して得られた、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が例示できる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート(ミリスチル(メタ)アクリレート)、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート(パルミチル(メタ)アクリレート)、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、イソオクタデシル(メタ)アクリレート(イソステアリル(メタ)アクリレート)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が炭素数1〜18の鎖状構造であるアルキル(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;
ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロアルケニル(メタ)アクリレート;
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のシクロアルケニルオキシアルキル(メタ)アクリレート;
イミド(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が例示できる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念とする。
前記非(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーであり、好ましいものとしては(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、N−メチロールアクリルアミド等が例示できる。
アクリル重合体を構成する前記(メタ)アクリル酸エステル、非(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーは、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)が含有するアクリル重合体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)のアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物(i)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、粘着剤組成物(i)のアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物(i)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して99質量%以下であることが好ましく、91質量%以下であることがより好ましい。
(エネルギー線重合性化合物)
前記エネルギー線重合性化合物は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射により重合して硬化する化合物であり、分子内にエネルギー線硬化性二重結合を有する。
前記エネルギー線重合性化合物としては、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(単官能又は多官能のモノマー及びオリゴマー)が例示でき、より具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリレート;ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート等の環状脂肪族骨格含有アクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマー等のアクリレート系化合物が例示できる。
前記エネルギー線重合性化合物は、分子量が100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
粘着剤組成物(i)が含有するエネルギー線重合性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)のエネルギー線重合性化合物の含有量は、前記アクリル重合体の含有量100質量部に対して、1〜125質量部であることが好ましく、10〜125質量部であることがより好ましい。
(光重合開始剤)
粘着剤組成物(i)は、アクリル重合体及びエネルギー線重合性化合物以外に、光重合開始剤を含有していてもよい。
前記光重合開始剤は、公知のものでよく、具体的には、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が例示できる。
粘着剤組成物(i)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
光重合開始剤を用いる場合、粘着剤組成物(i)の光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線重合性化合物の含有量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。光重合開始剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、光重合開始剤を用いたことによる効果が十分に得られる。また、光重合開始剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、過剰な光重合開始剤からの副生成分の発生が抑制されて、粘着剤層の硬化がより良好に進行する。
(架橋剤)
粘着剤組成物(i)は、アクリル重合体及びエネルギー線重合性化合物以外に、架橋剤を含有していてもよい。
前記架橋剤としては、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物等が例示できる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物並びにこれら化合物の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体や、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が例示できる。前記アダクト体は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて若しくは一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートのいずれか一方又は両方を付加した化合物;リジンジイソシアネート等が例示できる。
前記有機多価イミン化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が例示できる。
架橋剤としてイソシアネート化合物を用いる場合、アクリル重合体としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤がイソシアネート基を有し、アクリル重合体が水酸基を有する場合、これらイソシアネート基と水酸基との反応によって、粘着剤層に架橋構造を簡便に導入できる。
粘着剤組成物(i)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
架橋剤を用いる場合、粘着剤組成物(i)の架橋剤の含有量は、前記アクリル重合体の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜16質量部であることがより好ましい。
(溶媒)
粘着剤組成物(i)は、アクリル重合体及びエネルギー線重合性化合物以外に、さらに溶媒を含有することが好ましい。
前記溶媒は、特に限定されないが、好ましいものとしては、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が例示できる。
粘着剤組成物(i)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)が溶媒を含有する場合の溶媒の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
粘着剤組成物(i)は、アクリル重合体及びエネルギー線重合性化合物以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、光重合開始剤、架橋剤及び溶媒に該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、染料、顔料、劣化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シリコーン化合物、連鎖移動剤等の各種添加剤が例示できる。
粘着剤組成物(i)が含有する前記その他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
[粘着剤組成物(ii)]
粘着剤組成物(ii)は、水酸基を有し、且つ重合性基を側鎖に有するアクリル重合体(例えば、水酸基を有し、且つウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するもの)と、イソシアネート系架橋剤と、を必須成分として含有する。
粘着剤組成物(ii)を用いた場合には、アクリル重合体が重合性基を側鎖に有することにより、粘着剤組成物(i)の場合のように、エネルギー線重合性化合物を用いて、エネルギー線の照射により重合反応させた場合よりも、重合反応(硬化)後の粘着剤層の粘着性低下による被着体からの剥離性が向上し、半導体チップのピックアップ性が向上する。
なお、本明細書においては、粘着剤組成物(ii)における「アクリル重合体」との記載は、特に断りのない限り、「重合性基を側鎖に有するアクリル重合体」を意味するものとする。
(アクリル重合体)
上述の重合性基を側鎖に有するアクリル重合体としては、モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基含有(メタ)アクリレート等の水酸基含有化合物とを共重合させ、得られた水酸基含有共重合体の水酸基に、イソシアネート基及び重合性基を有する化合物のイソシアネート基を反応させて、ウレタン結合を形成して得られたものが例示できる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、粘着剤組成物(i)における(メタ)アクリル酸エステルのうち、水酸基含有(メタ)アクリレート以外のものと同じものが例示できる。
また、前記水酸基含有化合物としては、粘着剤組成物(i)における水酸基含有(メタ)アクリレートと同じものが例示できる。
前記アクリル重合体を構成する、(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
前記イソシアネート基及び重合性基を有する化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステル等が例示できる。
前記アクリル重合体を構成する、前記イソシアネート基及び重合性基を有する化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)が含有するアクリル重合体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)のアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物(ii)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、粘着剤組成物(ii)のアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物(ii)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましい。
(イソシアネート系架橋剤)
前記イソシアネート系架橋剤としては、粘着剤組成物(i)における架橋剤である前記有機多価イソシアネート化合物と同じものが例示できる。
粘着剤組成物(ii)が含有するイソシアネート系架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)中のイソシアネート系架橋剤が有するイソシアネート基のモル数は、粘着剤組成物(ii)中のアクリル重合体が有する水酸基のモル数に対して0.2倍以上であることが好ましい。このようにすることで、硬化後の粘着剤層の粘着性低下による被着体からの剥離性が向上し、半導体チップのピックアップ性が向上する。
また、粘着剤組成物(ii)中のイソシアネート系架橋剤が有するイソシアネート基のモル数は、粘着剤組成物(ii)中のアクリル重合体が有する水酸基のモル数に対して3倍以下であることが好ましい。このようにすることで、イソシアネート系架橋剤同士の副生成物の発生をより抑制できる。
粘着剤組成物(ii)のイソシアネート系架橋剤の含有量は、イソシアネート基のモル数が上述のような範囲となるように適宜調節すればよいが、このような条件を満たしたうえで、アクリル重合体の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜15質量部であることがより好ましく、0.3〜10質量部であることが特に好ましい。
(光重合開始剤)
粘着剤組成物(ii)は、アクリル重合体及びイソシアネート系架橋剤以外に、光重合開始剤を含有していてもよい。
前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(i)の場合と同じものが例示できる。
粘着剤組成物(ii)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
光重合開始剤を用いる場合、粘着剤組成物(ii)の光重合開始剤の含有量は、アクリル重合体の含有量100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましい。光重合開始剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、光重合開始剤を用いたことによる効果が十分に得られる。また、光重合開始剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、過剰な光重合開始剤からの副生成分の発生が抑制されて、粘着剤層の硬化がより良好に進行する。
(溶媒)
粘着剤組成物(ii)は、アクリル重合体及びイソシアネート系架橋剤以外に、さらに溶媒を含有することが好ましい。
前記溶媒としては、粘着剤組成物(i)の場合と同じものが例示できる。
粘着剤組成物(ii)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)が溶媒を含有する場合の溶媒の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
粘着剤組成物(ii)は、アクリル重合体及びイソシアネート系架橋剤に、本発明の効果を損なわない範囲内において、光重合開始剤及び溶媒に該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分としては、粘着剤組成物(i)の場合と同じものが例示できる。
粘着剤組成物(ii)が含有する前記その他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
[粘着剤組成物(iii)]
粘着剤組成物(iii)としては、例えば、前記アクリル重合体及び架橋剤を含有するものが挙げられ、溶媒、溶媒に該当しないその他の成分等の任意成分を含有していてもよい。粘着剤組成物(iii)が含有する前記アクリル重合体、架橋剤、溶媒及びその他の成分は、いずれも粘着剤組成物(i)におけるものと同様のものである。
粘着剤組成物(iii)のアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物(iii)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、粘着剤組成物(iii)のアクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物(iii)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して99質量%以下であることが好ましく、91質量%以下であることがより好ましい。
粘着剤組成物(iii)の架橋剤の含有量は、前記アクリル重合体の含有量100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。
粘着剤組成物(iii)は、上述の点以外は、粘着剤組成物(i)と同様のものである。
粘着剤組成物(i)〜(iii)等の前記粘着剤組成物は、アクリル重合体と、前記アクリル重合体以外の成分のような、各粘着剤組成物を構成するための成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記粘着剤層の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、1〜100μmであることが好ましく、2〜60μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
[接着剤層]
前記接着剤層は、感圧接着性を有するものが好ましく、加熱硬化性を有するものが好ましく、感圧接着性及び加熱硬化性を共に有するものがより好ましい。感圧接着性及び加熱硬化性を共に有する接着剤層は、未硬化状態では各種被着体に軽く押圧することで貼付できる。また、接着剤層は、加熱して軟化させることで各種被着体に貼付できるものであってもよい。接着剤層は、熱硬化を経て最終的には耐衝撃性が高い硬化物となり、かかる硬化物はせん断強度にも優れ、厳しい高温・高湿度条件下においても十分な接着特性を保持し得る。
接着剤層は、バインダー樹脂(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)を含有する接着剤組成物を用いて形成されたものが好ましい。接着剤組成物中の非揮発性成分同士の含有量の比率は、接着剤層においても同じとなる。
(バインダー樹脂(a))
バインダー樹脂(a)は、接着剤層に造膜性及び可撓性を付与するための重合体化合物である。
バインダー樹脂(a)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダー樹脂(a)としては、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー、フェノキシ樹脂等を用いることができ、アクリル系樹脂が好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体を用いるこができる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が小さ過ぎると、接着剤層と前記粘着剤層との接着力が高くなって、半導体チップのピックアップ不良が生じることがある。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が大き過ぎると、被着体の凹凸面へ接着剤層が追従できないことがあり、ボイド等の発生要因になることがある。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが低過ぎると、接着剤層と前記粘着剤層との剥離力が大きくなって、半導体チップのピックアップ不良が起こることがある。また、アクリル系樹脂のTgが高過ぎると、半導体ウエハを固定するための接着力が不充分となるおそれがある。
アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが例示できる。
また、アクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、N−メチロールアクリルアミド等のモノマーが共重合されたものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。他の化合物との結合は、後述する架橋剤(f)を介して行われてもよいし、又は架橋剤(f)を介さずに前記官能基が他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂がこれら官能基により結合することで、ダイボンディングシートを用いた半導体装置のパッケージ信頼性が向上する傾向がある。
接着剤組成物の固形分中でのアクリル系樹脂の含有量は、10〜85質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
本発明においては、前記粘着剤層の接着剤層からの剥離性を向上させて、易ピックアップ性を向上させたり、被着体の凹凸面への接着剤層の追従によってボイド等の発生を抑制するために、(a)バインダー樹脂として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が1000〜10万のものが好ましく、3000〜8万のものがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が例示できる。
前記熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂の使用により、上述のような効果が得られる一方、硬化前の接着剤層が高温に晒された際の硬さが低下し、未硬化又は半硬化の状態における接着剤層のワイヤボンディング適性が低下する懸念がある。そこで、接着剤組成物のアクリル系樹脂の含有量は、このような影響を考慮した上で設定することが好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂(b))
エポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、エポキシ樹脂及び熱硬化剤からなる。
エポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ樹脂としては、公知のものが挙げられ、具体的には、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が例示できる。
また、前記エポキシ樹脂としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ樹脂の一部が不飽和炭化水素基を含む基に変換されてなる化合物が例示できる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へアクリル酸を付加反応させることにより製造できる。また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を含む基が直接結合した化合物等が例示できる。不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、具体的には、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が例示でき、アクリロイル基が好ましい。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。このため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を含む接着剤組成物を用いることで、半導体装置のパッケージ信頼性が向上する。
前記エポキシ樹脂は、易ピックアップ性が向上する点から、軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
前記エポキシ樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、接着剤層の硬化性や硬化後の強度及び耐熱性の観点から、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、300〜800g/eqであることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱硬化剤は、エポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が例示できる。前記官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸基が無水物化された基等が例示でき、フェノール性水酸基、アミノ基、酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基、アミノ基であることがより好ましく、フェノール性水酸基であることが特に好ましい。
前記熱硬化剤のうち、フェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する硬化剤)としては、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が例示できる。
前記熱硬化剤のうち、アミン系硬化剤(アミノ基を有する硬化剤)としては、DICY(ジシアンジアミド)等が例示できる。
前記熱硬化剤は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤としては、フェノール樹脂の水酸基の一部を、不飽和炭化水素基を含む基で置換してなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を含む基が直接結合した化合物等が例示できる。熱硬化剤における不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
前記熱硬化剤は、易ピックアップ性が向上する点から、軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
前記熱硬化剤の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
前記熱硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物の熱硬化剤の含有量は、前記エポキシ樹脂の含有量100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少な過ぎると硬化不足で接着性が得られないことがあり、熱硬化剤の含有量が過剰であると接着剤層の吸湿率が高まって、パッケージ信頼性を低下させることがある。
接着剤組成物のエポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量(エポキシ樹脂及び熱硬化剤の総含有量)は、バインダー樹脂(a)の含有量100質量部に対して、100〜800質量部であることが好ましく、300〜700質量部であることがより好ましい。
接着剤層は、その各種物性を改良するために、バインダー樹脂(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)以外に、さらに必要に応じて、これらに該当しない他の成分を含有する接着剤組成物を用いて形成されたものでもよい。
接着剤組成物が含有する他の成分で好ましいものとしては、無機充填材(c)、硬化促進剤(d)、カップリング剤(e)、架橋剤(f)、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)に該当しないその他の熱硬化性樹脂(g)、汎用添加剤(h)等が例示できる。
(無機充填材(c))
接着剤組成物は、さらに無機充填材(c)を含有することにより、その熱膨張係数の調整が容易となり、半導体チップや金属又は有機基板に対して、硬化後の接着剤層の熱膨張係数を最適化することで、パッケージ信頼性を向上させることができる。
また、接着剤組成物は、さらに無機充填材(c)を含有することにより、硬化後の接着剤層の吸湿率を低減することもできる。
好ましい無機充填材(c)としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末;これらシリカ等を球形化したビーズ;これらシリカ等の単結晶繊維;ガラス繊維等が例示できる。
これらの中でも、無機充填材(c)は、シリカフィラー又はアルミナフィラーであることが好ましい。
無機充填材(c)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(c)を用いる場合、接着剤組成物の無機充填材(c)の含有量は、1〜80質量%であることが好ましい。
(硬化促進剤(d))
硬化促進剤(d)は、接着剤組成物の硬化速度を調整するために用いられる。
好ましい硬化促進剤(d)としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が例示できる。
硬化促進剤(d)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(d)を用いる場合、接着剤組成物における硬化促進剤(d)の含有量は、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(d)の含有量がこのような範囲であることで、接着剤層は、高温・高湿度条件下でも優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、高いパッケージ信頼性を達成できる。硬化促進剤(d)の含有量が少な過ぎると、硬化促進剤(d)を用いたことによる効果が十分に得られず、硬化促進剤(d)の含有量が過剰であると、高極性の硬化促進剤(d)は、高温・高湿度条件下で接着剤層中において被着体との接着界面側に移動して偏析することにより、パッケージの信頼性を低下させる。
(カップリング剤(e))
カップリング剤(e)として、無機化合物と反応する官能基及び有機官能基と反応する官能基を有するものを用いることにより、接着剤層の被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(e)を用いることで、接着剤層を硬化して得られる硬化物について、その耐熱性を損なうことなく、耐水性を向上させることができる。
カップリング剤(e)は、バインダー樹脂(a)、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)等が有する官能基と反応する官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることが望ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が例示できる。
カップリング剤(e)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤(e)を用いる場合、接着剤組成物のカップリング剤(e)の含有量は、バインダー樹脂(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(e)の含有量が少な過ぎると、カップリング剤(e)を用いたことによる上述の効果が得られないことがあり、カップリング剤(e)の含有量が多過ぎると、アウトガスが発生する可能性がある。
(架橋剤(f))
バインダー樹脂(a)として、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有する、上述のアクリル系樹脂を用いる場合、この官能基を他の化合物と結合させて架橋するために架橋剤(f)を用いることができる。架橋剤(f)を用いて架橋することにより、接着剤層の初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(f)としては、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物等が例示できる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物並びにこれら化合物の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物、例えば、トリメチロールプロパンアダクトキシリレンジイソシアネート等)や、有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が例示できる。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基にトリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートを付加した化合物、リジンジイソシアネート等が例示できる。
前記有機多価イミン化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が例示できる。
架橋剤(f)としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合、バインダー樹脂(a)である前記アクリル系樹脂としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(f)がイソシアネート基を有し、アクリル系樹脂が水酸基を有する場合、架橋剤(f)とアクリル系樹脂との反応によって、接着剤層に架橋構造を簡便に導入できる。
架橋剤(f)を用いる場合、接着剤組成物における架橋剤(f)の含有量は、バインダー樹脂(a)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
(その他の熱硬化性樹脂(g))
その他の熱硬化性樹脂(g)は、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)における前記エポキシ樹脂に該当しないものであればよく、熱硬化性ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が例示できる。
(汎用添加剤(h))
汎用添加剤(h)としては、公知の可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料、ゲッタリング剤等が例示できる。
(溶媒)
接着剤組成物は、さらに溶媒を含有することで、希釈によって取り扱い性が良好となる。
接着剤組成物が含有する溶媒は、上述の粘着剤組成物における溶媒と同様のものでよい。
接着剤組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
接着剤組成物が含有する溶媒は、接着剤組成物で用いる各成分を均一に混合する点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
接着剤層の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。
図1は、本発明に係る第1実施形態のダイボンディングシートの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示すダイボンディングシート10は、基材11の表面11a上に粘着剤層12及び接着剤層13をこの順に備えてなるものであり、さらに接着剤層13の表面13a上に剥離フィルム14を備えている。接着剤層13は、粘着剤層12の表面12aの一部に積層されており、粘着剤層12の表面12aのうち、接着剤層13が積層されていない露出面と、接着剤層13の表面13a(上面及び側面)の上に、剥離フィルム14が積層されている。
ただし、本発明に係るダイボンディングシートは、ここに示すものに限定されない。
・第2実施形態
本発明に係る第2実施形態のダイボンディングシートは、前記基材上に粘着剤層を介さずに前記接着剤層を備えてなるものであり、基材上に接着剤層が直接接触して設けられているものである。
第2実施形態のダイボンディングシートは、粘着剤層を備えていない点以外は、第1実施形態のダイボンディングシートと同じである。第2実施形態のダイボンディングシートの一例としては、図1に示す第1実施形態のダイボンディングシート10において、粘着剤層12を備えておらず、基材11の表面11aの一部に接着剤層13が直接積層され、基材11の表面11aのうち、接着剤層13が積層されていない露出面と、接着剤層13の表面13a(上面及び側面)の上に、剥離フィルム14が積層されているものが挙げられる。
本発明に係るダイボンディングシートは、基材の接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面(チャックテーブルと接触する側の表面)の表面粗さと、基材の加熱時の変形量の割合とが、それぞれ特定の範囲にあることにより、加熱時にチャックテーブルへの基材の張り付きが抑制され、基材とチャックテーブルとが過密着となる状態を回避できる。例えば、ウエハ加工用シートにおいて、基材の表面粗さを特定の範囲に限定することについては、「特開2007−053325号公報」でも開示されている。しかし、この文献に記載されているウエハ加工用シートは、チャックテーブルへの基材の張り付きの抑制を目的とするものではなく、これら文献に基材の加熱時の変形量については何ら開示されていない。
<<ダイボンディングシートの製造方法>>
本発明に係るダイボンディングシートは、基材上に前記接着剤組成物を用いて接着剤層を形成することで製造できる。前記ダイボンディングシートが、基材上に粘着剤層及び接着剤層がこの順に積層されてなるものである場合には、基材上に前記粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成し、前記粘着剤層上に接着剤組成物を用いて接着剤層を形成することで製造できる。
前記粘着剤層を備えた第1実施形態のダイボンディングシートの場合、粘着剤層は、基材の表面(図1においては基材11の表面11a)に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成できる。このとき必要に応じて、塗布した粘着剤組成物を加熱することで、架橋してもよい。加熱条件は、例えば、100〜130℃で1〜5分間とすることができるが、これに限定されない。また、剥離材の剥離層表面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成した粘着剤層を、基材の表面に貼り合わせ、前記剥離材を取り除くことでも粘着剤層を形成できる。
粘着剤組成物の基材の表面又は剥離材の剥離層表面への塗布は、公知の方法で行えばよく、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が例示できる。
接着剤層は、接着剤組成物を用いて、上述のような基材上に粘着剤層を形成する場合と同様の方法で形成できるが、通常は、粘着剤層上に接着剤組成物を直接塗布することは困難である。そこで、例えば、剥離材の剥離層表面に接着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成した接着剤層を、粘着剤層の表面に貼り合わせ、前記剥離材を取り除くなど、接着剤層を別途形成しておき、これを粘着剤層の表面に貼り合わせる方法が好ましい。
また、第1実施形態のダイボンディングシートは、上述の方法以外にも、例えば、前記粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成し、前記接着剤組成物を用いて接着剤層を形成した後、これら粘着剤層及び接着剤層を重ね合わせて積層体とし、この積層体の前記粘着剤層の表面に基材を貼り合わせることによって、製造することもできる。
この場合の粘着剤層及び接着剤層の形成条件は、上述の方法と同じである。
第2実施形態のダイボンディングシートは、接着剤組成物を用いて、基材の表面に直接接着剤層を形成することで、製造できる。この場合の接着剤層は、粘着剤組成物に代えて接着剤組成物を用いる点以外は、上述の第1実施形態のダイボンディングシートの粘着剤層を形成する方法と同じ方法で形成できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<ダイボンディングシートの製造>
[実施例1]
(粘着剤組成物の製造)
2−エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」と略記することがある)(60質量部)、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と略記することがある)(30質量部)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」と略記することがある)(10質量部)を反応させて得られた共重合体(重量平均分子量400000、100質量部)に対して、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(18質量部)を添加し、固形分の濃度が25質量%となるようにメチルエチルケトン(MEK)を添加して、粘着剤組成物としてMEK溶液を得た。
(ダイボンディングシートの製造)
シリコーン処理により剥離処理された剥離シート(リンテック社「SP−PET381031」)の前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物を塗布し、100℃で1分間乾燥させることで、厚さが10μmの粘着剤層を形成した。
また、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(アキレス社製「EANU−80」、厚さ80μm)の表面をコロナ処理しておき、このコロナ処理面に、上記の粘着剤層を貼り付けて、基材上に粘着剤層を備えた粘着シートを得た。
一方で、アクリル樹脂(15質量%)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(25質量%)、トリフェニレン型エポキシ樹脂(25質量%)、フェノール樹脂(34質量%)及びイミダゾール系化合物(硬化促進剤、1質量%)を含有する接着剤層(厚さ20μm)の両面を、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムである2枚の剥離材で挟み込んだシートを作製した。そして、その一方の剥離材を取り除いて、露出された接着剤層の表面に、上記で得られた粘着シートの粘着剤層を貼り合わせて、ダイボンディングシート(ダイシングダイボンディングシート)を得た。
次に、リング保護テープを準備した。このリング保護テープは、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)、アクリル系ポリマー及びトリレンジイソシアネート系架橋剤を含有する粘着剤層(厚さ5μm)、ポリ塩化ビニル製基材フィルム(厚さ5μm)、アクリル系ポリマー及びトリレンジイソシアネート系架橋剤を含有する粘着剤層(厚さ5μm)、並びに剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)がこの順に積層されてなるものである。このリング保護テープから一方の剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムを取り除いた。
上記のとおり得たダイボンディングシートは、残った剥離材を取り除き、接着剤層の表面を露出させた。あらかじめ円型の抜き刃を入れることで、直径330mmの丸抜き加工が施されたリング保護テープ(このとき、リング保護テープの残った一方の剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムには抜き刃を入れずに、ポリ塩化ビニル製基材フィルム及びその両面に設けられた前記粘着剤層のみを切断及び除去した。)の、前記粘着剤層の表面を、ダイボンディングシートの接着剤層の表面に貼り合わせた。そして、この貼り合わせたものを、リング保護テープの丸抜きの円と同心円となるように直径370mmの円形に型抜きする(このとき、リング保護テープの残った一方の剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルムには抜き刃を入れずに、他の層は切断して、型抜きした円形状の外部を除去した)ことにより、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム上に保持され、周縁部にリング保護テープが設けられた円形状のダイボンディングシートを得た。
[比較例1]
表1に示すように、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(アキレス社製「EANU−80」、厚さ80μm)に代えて、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(アキレス社製「EANU−140」、厚さ140μm)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でダイボンディングシートを製造した。
[比較例2]
表1に示すように、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(アキレス社製「EANU−80」、厚さ80μm)に代えて、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(リケンテクノス社製「EN09 80T」、厚さ80μm)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でダイボンディングシートを製造した。
[比較例3]
表1に示すように、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(アキレス社製「EANU−80」、厚さ80μm)に代えて、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(リケンテクノス社製「EN09 140T」、厚さ140μm)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でダイボンディングシートを製造した。
[比較例4]
表1に示すように、エチレン・メタクリル酸共重合体を主成分とする基材(アキレス社製「EANU−80」、厚さ80μm)に代えて、塩化ビニル樹脂を主成分とする基材(アキレス社製「PVC80」、厚さ80μm)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でダイボンディングシートを製造した。
<ダイボンディングシートの評価>
上記の各実施例及び比較例で得られたダイボンディングシートについて、それぞれ下記方法で基材のチャックテーブルとの密着性を評価した。また、用いた基材について、それぞれ下記方法で表面粗さを測定し、加熱時の変形量の割合を算出した。結果を表1に示す。
(基材の表面粗さの測定)
接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製「SV3000」)を用いて、JIS B 0601に従って、表面粗さ(算術平均粗さ、Ra)を測定した。また、このとき同時に、十点平均粗さ(Rz)を測定した。
(基材の加熱時の変形量の割合の算出)
TMA装置(ブルカーAXS社製「TMA4000」)を用いて、荷重19.6mN、温度範囲40〜80℃(測定温度は50℃、70℃)、昇温速度3℃/分.の条件で測定した。試験片のサイズは、長さ20mm、幅4.5mmであり、厚さは各実施例及び比較例ごとに異なる。試験片のその長さ方向における両端の2.5mmの部分を治具によりつかむ部分としたため、残りの長さが15mmの部分が、試験片の測定対象の部分となる。試験片のその長さ方向に対して垂直な断面の面積は、0.36mm(実施例1)、0.63mm(比較例1)、0.36mm(比較例2)、0.63mm(比較例3)、0.36mm(比較例4)であり、この断面の単位面積当たりにかかる荷重は、5.56gf/mm(実施例1)、3.17gf/mm(比較例1)、5.56gf/mm(比較例2)、3.17mm(比較例3)、5.56gf/mm(比較例4)である。
(基材のチャックテーブルとの密着性の評価)
直径300mmのシリコンウエハ(厚さ900μm)の鏡面側に、貼付装置(リンテック社製「RAD−3510」)を用いて、回路保護テープ(リンテック社製「ADWILL P−7125」)を貼付圧0.3MPa、貼付速度60mm/秒、温度23℃の条件で貼付した。
次いで、グラインダー(ディスコ社製「DPG−8760」)を用いて、このシリコンウエハの回路保護テープが貼付されていない側の表面を、シリコンウエハの厚さが50μmとなるまで研削した。
次いで、上記の各実施例及び比較例で得られたダイボンディングシートから、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(剥離材)を取り除いた後、接着剤層をシリコンウエハの前記研削面に、貼付圧0.5MPa、貼付速度20mm/秒、温度50℃の条件で貼付した。貼付装置としては、リンテック社製「DFM−2700」を用いた。このとき、リング保護テープをリングフレームに貼付した。
次いで、貼付したダイボンディングシートの基材の表面(背面)をチャックテーブル(ポーラステーブル)の表面に密着させ、減圧下で吸着させることで、このダイボンディングシート貼付済みシリコンウエハを装置内に固定した。そして、このダイボンディングシート貼付済みシリコンウエハの回路保護テープに、230℃/9秒の条件でヒートシールテープ(リンテック社製「S−75」)を圧着してヒートシールし、さらに剥がし速度10mm/秒で回路保護テープをヒートシールテープごとシリコンウエハから剥離させた。その後、減圧による吸着を解除し、ダイボンディングシート貼付済みシリコンウエハの回収を試み、このときに基材のチャックテーブルへの過密着(張り付き)の有無を目視で確認した。
Figure 2016143676
上記結果から明らかなように、基材の表面粗さが大きく、かつ基材の加熱時の変形量の割合が小さい実施例1のダイボンディングシートは、チャックテーブルへの基材の張り付きは認められず、過密着の状態ではなかった。
これに対して、比較例1のダイボンディングシートは、基材の表面粗さが小さく、チャックテーブルへの基材の張り付きが認められ、過密着の状態であった。
比較例4のダイボンディングシートは、基材の加熱時の変形量の割合が大きく、チャックテーブルへの基材の張り付きが認められ、過密着の状態であった。
比較例2及び3のダイボンディングシートは、基材の表面粗さが小さく、かつ基材の加熱時の変形量の割合が大きく、チャックテーブルへの基材の張り付きが認められ、過密着の状態であった。
本発明は、半導体チップ等の製造に利用可能である。
10・・・ダイボンディングシート、11・・・基材、11a・・・基材の表面、12・・・粘着剤層、12a・・・粘着剤層の表面、13・・・接着剤層、13a・・・接着剤層の表面、14・・・剥離フィルム

Claims (2)

  1. 基材の一方の表面上に接着剤層を備えてなり、
    前記基材は、ポリオレフィン系樹脂を含み、前記接着剤層を備えている側とは反対側の他方の表面の表面粗さが0.9μm以上であり、
    前記基材は、測定する部分の長さが15mmであり、幅が4.5mmである試験片とした場合、その長さ方向の一端を固定し、他端を19.6mNの力で引いたときに、70℃に加熱された状態での長さLと、50℃に加熱された状態での長さLとの差が、前記Lの1%以下であることを特徴とするダイボンディングシート。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のダイボンディングシート。
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