JP2016128298A - タイヤトレッド及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂材料と、前記樹脂材料中に分散したゴム材料と、を含み、前記樹脂材料100質量部に対して、前記ゴム材料の含有量が5質量部〜50質量部であるタイヤトレッドである。
【選択図】なし
Description
[2] 前記ゴム材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して10質量部〜30質量部である[1]に記載のタイヤトレッド。
[3] 前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂エラストマーを含む[1]又は[2]に記載のタイヤトレッド。
[4] 前記熱可塑性樹脂エラストマーがポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー又はポリアミド系熱可塑性樹脂エラストマーである[3]に記載のタイヤトレッド。
[5] 接着剤を更に含む[1]〜[4]のいずれか1つに記載のタイヤトレッド。
[6] 射出成形によって成形される[1]〜[5]のいずれか1つに記載のタイヤトレッド。
[7] [1]〜[6]のいずれか1つに記載のタイヤトレッドと、タイヤ骨格体と、を備えるタイヤ。
本発明のタイヤトレッドは、樹脂材料と、上記樹脂材料中に分散したゴム材料と、を含み、樹脂材料100質量部に対して、ゴム材料の含有量が5質量部〜50質量部である。
また、樹脂材料の弾性率よりも小さいゴム材料を使用する場合、樹脂材料中に特定量のゴム材料が分散して存在することにより、タイヤトレッド全体の柔軟性が向上して路面との接触が向上し、ドライグリップ性能が向上するものと推察される。
本発明のタイヤトレッドは、樹脂材料を含む。ゴム材料との相性及び射出成形性等の観点から、樹脂材料が熱可塑性樹脂エラストマーを含むことが好ましい。熱可塑性樹脂エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性樹脂エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂エラストマーを用いることができる。ゴム材料との相性の観点から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂又はポリアミド系熱可塑性樹脂エラストマーを用いることが好ましい。上記熱可塑性樹脂エラストマーは1種を単独で用いてもよいし、適宜2種以上を組み合わせて用いてもよい。
タイヤトレッド中の樹脂材料の含有率は、タイヤトレッドの弾性率や強度の観点から、65質量%〜95質量%であることが好ましく、75質量%〜95質量%であることが更に好ましく、80質量%〜95質量%であることが特に好ましい。
上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーは、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、上記ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料を意味し、例えば、JIS K6418:2007に規定されるポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー(TPO)が挙げられる。
上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー中のポリオレフィン含有率は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーにおける、ハードセグメント(x)とソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜95:5が好ましく、50:50〜90:10が更に好ましい。
更に、上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーとしては、例えば、市販品の(株)プライムポリマー製の「プライムTPO」シリーズ(例えば、E−2900H、F-3900H、E−2900、F−3900、J−5710、J−5900、E−2910、F−3910、J−5910、E−2710、F−3710、J−5910、E−2740、F−3740、R110MP、R110E、T310E、M142E等)等も用いることができる。
上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーとしては、例えば、酸性基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー(酸変性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー)を用いることもできる。
ここで「酸変性」とはカルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物をオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーに結合させることをいう。例えば、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(一般的には、無水マレイン酸)を用いるとき、オレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーに、不飽和カルボン酸の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
上記酸性基を有する不飽和化合物添加量が過少であるとオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーへのグラフト量が低下する。また、添加量が過多になると樹脂中の未反応の不飽和カルボン酸が多くなり、十分な接着強度が得られず、加工性が悪化する。
上記有機過酸化物の添加量はグラフト反応を行うのに十分な量が添加されればよく、例えば、0.01重量部〜5重量部が好ましく、0.03重量部〜1重量部が更に好ましい。
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン,t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート,t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート,t−ブチルパーオキシラウレート,2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ペルオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−3−メトキシブチル パーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチルパーオキシカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記酸変性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーとしては、例えば、市販品の三井化学社製の「タフマー」シリーズ(MA8510、MH7007、MH7010、MA7020、MP0610、MP0620等)、同社の「アドマー」シリーズ(例えば、LB548、QB510、QF500、QF551、QE060、QE840、NE065等)を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、弾性を有する高分子化合物であり、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
上記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、上記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
上記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
本発明のタイヤトレッドはゴム材料を含む。本発明のタイヤトレッドは、連続相を形成する樹脂材料のマトリックス中にゴム材料が分散相(ドメイン)として分散した所謂海島構造を有する。上述のように、タイヤトレッドにおいて樹脂材料がマトリックス(連続相)を形成し、ゴム材料がドメイン(分散相)となる海島構造を有していると、マトリックス表面にドメインが分散して露出し、路面に食い込むことでドライグリップ性能を向上させることができると思われる。また、樹脂材料と比較して柔らかい傾向にあるゴム材料が樹脂材料中に分散して存在することにより、タイヤトレッド全体の柔軟性が向上して路面との接触が向上し、ドライグリップ性能を向上させることができると思われる。
上記エチレンプロピレンゴムとしては、加硫によって強度を高めやすい観点から、EPDM又はその変性物が好ましい。
上記エチレンプロピレンゴムとしては、特に限定はないが、例えば、三井化学(株)の市販品「EPT X−3012P」等を用いることができる。
ゴム材料がゴム粒子である場合、ドライグリップ性能の向上及び射出成形性の向上の観点から、ゴム粒子の平均粒径は0.01mm〜1mmであることが好ましく、0.01mm〜0.1mmであることが更に好ましい。尚、ゴム粒子の平均粒径は、大塚電子(株)製、光散乱光度計「DLS−7000DL」等の粒度分布計で測定することができる。
ゴム粒子としては、例えば、村岡ゴム工業(株)製の市販品「TB30」や「TB200」等を用いることができる。
ゴム材料がゴム組成物の分散体である場合、例えば、上記ゴムを含むゴム組成物を上記樹脂材料と混練することにより、樹脂材料からなる連続相中にゴム組成物を分散させて分散体とすることができる。
本発明における弾性率は、JIS K6251:2010に則った手法で実施しており、ダンベル5号のサイズのサンプル片を引張り速度100mm/minで引っ張る測定条件で測定した引張り弾性率(20Nと40Nの傾きより算出)である。
本発明のタイヤトレッドは、上記樹脂材料と上記ゴム材料との接着性を向上させる観点から、接着剤を更に含んでいてもよい。接着剤としては特に限定されず、当該技術分野で公知の接着剤を使用することができる。例えば、樹脂材料、ゴム材料及び接着剤を混練することにより、連続相である樹脂材料と分散相であるゴム材料との間に接着剤を介在させることができる。
また、タイヤトレッドとその他のタイヤ部材との接着性を向上させるために、タイヤトレッド表面に接着剤を付与してもよい。
上述の各種添加剤のうち幾つかの具体例を挙げると、上記老化防止剤としては、例えば、国際公開WO2005/063482号公報に記載の老化防止剤が挙げられる。具体的には、例えばフェニル−2−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン等のナフチルアミン系、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系などのアミン系老化防止剤や、これらの誘導体若しくは混合物などが挙げられる。
また、上記加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤などを用いることができる。上記加硫促進剤としては、公知の加硫促進剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類などを用いることができる。上記脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などが挙げられ、また、これらはステアリン酸亜鉛のように塩の状態で配合されてもよい。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。また、金属酸化物としては、亜鉛華(ZnO)、酸化鉄、酸化マグネシウムなどが挙げられ、中でも亜鉛華が好ましい。上記プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい。
本発明のタイヤトレッドは、上述の樹脂材料及びゴム材料、並びに所望によりその他の成分を含むトレッド用組成物を混練して成形することにより製造することができる。各材料の混練は公知の手法を用いることができる。当該混練に用いることのできる混練機としては、例えば、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、2軸混練押出機等が挙げられる。成形方法は特に限定されないが、生産性の向上の観点からは、射出成形を使用することが好ましい。本発明では、樹脂材料を含んでいるため、容易に射出成形することができる傾向にある。また、ゴム材料の材料として未加硫ゴムを使用する場合、射出成形する際に加熱することによりゴム材料を加硫することも可能である。
例えば、本発明のタイヤトレッドを形成する場合には、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンを有する帯状のトレッド部材を射出成形で形成することができる。この場合、トレッド部材1周分をタイヤ骨格体に巻き付け、ホットランナー等を用いてタイヤ骨格体側の温度よりもトレッド部材側の温度を高く設定し、加熱によってタイヤ骨格体のクラウン部表面にトレッド部材を溶着させることができる。これにより、タイヤ骨格体のクラウン部表面にトレッド部が溶着されたタイヤを形成することができる。その他、タイヤ骨格体を形成した後、当該タイヤ骨格体を金型に設置し、金型中に樹脂材料やゴム材料を含む組成物を注入し、その後冷却して、タイヤ骨格体のクラウン部表面にトレッド部が溶着されたタイヤを形成してもよい。但し、本発明のタイヤトレッドの製造方法はこれら方法に限定されるものではなく、公知の方法を適宜組み合わせて利用することができる。
本発明のタイヤは、上述の本発明のタイヤトレッドと、タイヤ骨格体と、を備える。本発明のタイヤは、上述の本発明のタイヤトレッドを備えるため、優れたドライグリップ性能を有する。
本発明におけるタイヤ骨格体の材料は特に限定されず、ゴム又は樹脂のいずれでもよいが、タイヤトレッドとの相性等の観点からは、タイヤ骨格体は、樹脂で形成されたタイヤ骨格体(以下、単に「樹脂骨格体」と称することがある)であることが好ましい。樹脂骨格体に使用される樹脂材料としては、本発明のタイヤトレッドに含まれる樹脂材料と同じ樹脂が挙げられる。タイヤ骨格体及びタイヤトレッドに含まれる樹脂材料は同種でも異なっていてもよいが、成形性の向上や生産効率の向上等の観点からは、同種であることが好ましい。また、タイヤトレッドとタイヤ骨格体とは、直接接着していてもよいし、接着層等を介していてもよい。
上記酸変性ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーを用いてタイヤ骨格体を形成すると、補強コードがタイヤ骨格体の外周部に直接巻回されている場合や、補強コード層が補強コードをタイヤ骨格体の外周部に埋設して形成されている場合に、補強コードとの密着性を向上させることができる。
本発明のタイヤの製造方法は特に限定されず、公知の製造方法を使用することができる。例えば、本発明のタイヤトレッドと別途製造されたタイヤ骨格体とを熱融着してもよく、又は接着層を介して接着してもよい。また、生産性の向上の観点からは、本発明のタイヤトレッドとタイヤ骨格体とを一括して形成することも可能である。この場合、例えば、タイヤトレッドの連続相である樹脂材料と同種の樹脂材料をタイヤ骨格体に使用して、射出成形することによって、タイヤを製造することができる。
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、第1実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
まず、上述のようにポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーを含む樹脂材料を用いて、タイヤケース半体を形成する。これらタイヤケースの形成は、射出成形で行うことが好ましい。次に、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、上記接合金型はタイヤケース半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する樹脂材料の融点(又は軟化点)以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱や加圧されると、上記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって上記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して、タイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、図を省略するが、補強コード26を巻き付けたリール、コード加熱装置、各種ローラ等を備えたコード供給装置を用い、加熱した補強コード26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤケース17のクラウン部16の外周側に補強コード層28を形成することができる。
次に、タイヤケース17の外周面にトレッド30が設置される。トレッド30の形成方法やタイヤケース17への装着方法については特に限定はないが、例えば、予め射出成形によって路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンを有する帯状のトレッド30を形成し、トレッド30の1周分をタイヤケース17に巻き付け、ホットランナー等を用いてトレッド30を加熱することでタイヤケース17の外周面にトレッド30を溶着させることができる。トレッド30は、射出形成後に加硫されていてもよい。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が、樹脂材料によって形成され、更にトレッド30が、ゴム材料が分散したポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマーを用いて形成されているため、タイヤトレッドのドライグリップ性能が向上する。また、タイヤ10は従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。更に、タイヤケース17及びトレッド30を射出成形でき、更に、トレッド30をタイヤケース17に直接溶着させていることから、トレッド30をタイヤケース17に装着する際に接着剤を塗布する工程を省略することができる。このため、本実施形態のタイヤ10は生産性にも非常に優れる。
まず、下記表1に記載の連続相及び分散相の材料をラボプラストミル装置((株)東洋精機製)で5分間混練してトレッド用組成物を作製した。
上記トレッド用組成物を用いて、射出成型によってタイヤトレッドとタイヤ骨格体とを備える図1に示す構造を有するタイヤを製造した。
上記タイヤ骨格体の材料として、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(プライムポリマー(株)製「プライムTPO F−3740」;エチレン−プロピレン共重合体)を使用した。また、補強コードとしてのスチールコードを、酸変性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学(株)製「アドマーQE060」、エチレン−プロピレン共重合体の酸変性体)を用いてタイヤ骨格体に溶着させた。
製造したタイヤのドライグリップ性を、室内のドラム試験機を用いて評価した。
ドラム試験機では、ドラム試験機に装着された試験タイヤを一定速度で転動させ、徐々にスリップ角を与えて車を操縦している状態でのフロントタイヤをシュミレートし、この時に試験タイヤから発生するサイドフォースを測定した。また、試験タイヤの装着された車を、乾燥状態とされた一定の真円コースを旋回走行させ、コーナーリングできる最大の横加速度(G)を測定した。尚、試験結果は、比較例1の樹脂トレッドを備えるタイヤを100とする指数表示とした指数表示とし、数値の大きい程良好であることを示す。結果を表1に示す。
耐摩耗性は、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率25%の摩耗量を測定し、その逆数の値を用いて、比較例1における値を100とした指数で表示した。従って数値が大きい程、耐摩耗性は良好であることを表す。結果を表1に示す。
実施例及び比較例を通じて射出成形によってタイヤトレッドを作製できたものを「A」、射出成形によってタイヤトレッドを作製できなかったものを「C」として射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、歪み0.3%、周波数35Hzで損失正接(tanδ)を測定し、以下の基準で評価した。なお、tanδが小さい程、低ロス性(低転がり抵抗性)に優れている。
A:tanδが0.12以下
B:tanδが0.12より大きく0.15以下
C:tanδが0.15より大きい
また、上記測定方法で得られた低ロス性の実測値に対して、最も低ロス材料であった比較例2の実測値(tanδC2)が100となるように、下記式に従って計算を行い、換算値を求めた。併せて表1に示す。なお、この換算値が大きいほど低ロス性に優れている。
式:換算値=(tanδC2/tanδ)×100
分散相の種類又は含有量を表1に示す通り変更したこと以外は実施例1と同様にしてタイヤを製造し、ドライグリップ性、耐摩耗性及び射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
トレッド用組成物に、接着剤(東亞合成製(株)、「アロンメルトPPET」)を表1に示す含有量で更に添加したこと以外は実施例2と同様にしてタイヤを製造し、ドライグリップ性、耐摩耗性及び射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
タイヤトレッドを表1に示すゴムAを用いて形成したこと以外は実施例1と同様にしてタイヤを製造し、ドライグリップ性、耐摩耗性及び射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
タイヤトレッドを表1に示す樹脂Aを用いて形成したこと以外は実施例1と同様にしてタイヤを製造し、ドライグリップ性、耐摩耗性及び射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
分散相に使用されるゴム粒子Aの含有量を表1に示す通り変更したこと以外は実施例1と同様にしてタイヤを製造し、ドライグリップ性、耐摩耗性及び射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
連続相を表1に示すゴムAに変更したこと以外は実施例1と同様にしてタイヤを製造し、ドライグリップ性、耐摩耗性及び射出成形性を評価した。結果を表1に示す。
・樹脂A:オレフィンブロックコポリマー樹脂、ダウコーニング製(製品名「INFUSE 9507」)
・ゴムA:下記の配合処方で作製したゴム組成物
*2:「ニプシールAQ」、東ソー・シリカ(株)製
*3:デグッサ社製、商標「Si69」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
*4:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*5:N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*6:ジフェニルグアニジン
*7:ジベンゾチアジルジスルフィド
・リクレイムゴムA:村岡ゴム工業(株)製(商品名「タイヤリク白線」)
Claims (7)
- 樹脂材料と、
前記樹脂材料中に分散したゴム材料と、を含み、
前記樹脂材料100質量部に対して、前記ゴム材料の含有量が5質量部〜50質量部であるタイヤトレッド。 - 前記ゴム材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して10質量部〜30質量部である請求項1に記載のタイヤトレッド。
- 前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂エラストマーを含む請求項1又は請求項2に記載のタイヤトレッド。
- 前記熱可塑性樹脂エラストマーが、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂エラストマー又はポリアミド系熱可塑性樹脂エラストマーである請求項3に記載のタイヤトレッド。
- 接着剤を更に含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤトレッド。
- 射出成形によって成形される請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤトレッド。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のタイヤトレッドと、タイヤ骨格体と、を備えるタイヤ。
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