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JP2016113680A - 結晶セレン膜の形成方法および光電変換素子 - Google Patents

結晶セレン膜の形成方法および光電変換素子 Download PDF

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Kazunori Miyakawa
和典 宮川
成亨 為村
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成亨 為村
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Kenji Kikuchi
健司 菊地
節 久保田
Setsu Kubota
節 久保田
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Abstract

【課題】下地膜としてテルル膜を形成することなく、所定の形状の結晶セレン膜を形成できる結晶セレン膜の形成方法を提供する。【解決手段】真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、蒸着法によりセレン膜を成膜する成膜工程を含む結晶セレン膜の形成方法とする。成膜工程が、非結晶セレン膜を成膜する工程であり、成膜工程の後に、非晶質セレン膜を熱処理して結晶化する結晶化工程を含む方法であってもよい。成膜工程において、加熱しながらセレン膜を成膜してもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、結晶セレン膜の形成方法および光電変換素子に関する。
従来、光電変換撮像管、冷陰極光電変換撮像板、固体撮像素子などの光電変換素子において、光電変換部に非晶質(アモルファス)セレン膜を用いたものがある。これらの光電変換素子では、駆動電圧を低減させ、感度を向上させるとともに、熱に対する安定性を向上させるため、光電変換部に結晶セレン膜を用いることが検討されている。
また、光電変換部に結晶セレン膜を用いた光電変換素子としては、太陽電池が挙げられる。
光電変換部として機能する結晶セレン膜を形成する方法としては、テルル(Te)膜の上に非晶質セレン膜を形成し、その後、非晶質セレン膜を熱処理して結晶化する方法が提案されている。
例えば、非特許文献1には、厚さ55Åのテルル膜を成膜し、その上に非晶質セレン膜を成膜し、その後200℃で熱処理することで結晶セレン膜が得られることが報告されている。さらに、非特許文献1には、上記の方法で作製した結晶セレン膜が、太陽電池の光電変換部として機能することが報告されている。
JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS VOL.23,No.8,AUGUST,1984 pp.L587-L589 Efficient ITO/Se Heterojunction Solar Cells
しかしながら、上記の結晶セレン膜の形成方法では、結晶セレン膜を形成するための下地膜として、テルル膜を形成する必要がある。テルル膜は、表面がザラザラしているものである。このため、例えばテルル膜上に形成した結晶セレン膜を、固体撮像素子の光電変換膜に適用した場合、撮像した画像にスリ硝子状の固定パターンノイズが表示されてしまう場合があった。また、テルル膜が、固体撮像素子の暗電流を増大させてしまうため、撮像した画像の品質が著しく低下するという問題があった。
しかし、テルル膜を形成せずに、ガラス基板上に直接非晶質セレン膜を形成すると、これを結晶化するための熱処理を行うことにより、結晶セレン膜が著しく縮小したり、剥離したりする。このため、下地膜としてテルル膜を形成することなく、所定の形状の結晶セレン膜を形成することはできなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、下地膜としてテルル膜を形成することなく、所定の形状の結晶セレン膜を形成できる結晶セレン膜の形成方法を提供することを課題とする。
また、この結晶セレン膜の形成方法によって得られた結晶セレン膜からなる光電変換部を有する光電変換素子を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、セレン膜を蒸着法により成膜する場合の成膜条件に着目して鋭意検討を重ねた。通常、セレン膜を蒸着法により成膜する場合、真空度1.0×10−7Torr程度の真空中で成膜する。本発明者は、真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、蒸着法によりセレン膜を成膜する工程を含むことで、下地膜としてテルル膜を形成することなく、所定の形状の結晶セレン膜を形成できることを見出した。具体的には、上記の雰囲気中で蒸着した非結晶セレン膜に、結晶化するための熱処理を行っても、結晶セレン膜が縮小したり、剥離したりしない。また、上記の雰囲気中で加熱しながらセレン膜を成膜することで、所定の形状で結晶セレン膜を形成できる。このように結晶セレン膜の製造途中で結晶セレン膜が変形したり剥離したりせずに、所定の形状の結晶セレン膜が得られる理由は、上記の雰囲気中で蒸着したセレン膜が、真空中で蒸着したセレン膜と比較して、低密度のものになるためと推定される。
さらに、本発明者は、上記の雰囲気中で蒸着したセレン膜を熱処理する方法または上記の雰囲気中で加熱しながらセレン膜を成膜する方法を用いることで、光電変換素子の正孔注入阻止強化層、電子注入阻止強化層、電極に用いられる透明信号電極のいずれの上に形成する場合であっても、所定の形状で結晶セレン膜を形成できることを確認し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は、以下の発明に関わるものである。
(1)真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、蒸着法によりセレン膜を成膜する成膜工程を含むことを特徴とする結晶セレン膜の形成方法。
(2)前記成膜工程が、非結晶セレン膜を成膜する工程であり、前記成膜工程の後に、前記非晶質セレン膜を熱処理して結晶化する結晶化工程を含むことを特徴とする(1)に記載の結晶セレン膜の形成方法。
(3)前記熱処理が、前記非晶質セレン膜を加熱温度70℃〜250℃で0.5分〜5時間保持する処理であることを特徴とする(2)に記載の結晶セレン膜の形成方法。
(4)前記成膜工程において、加熱しながらセレン膜を成膜することを特徴とする(1)に記載の結晶セレン膜の形成方法。
(5)前記ガスが、アルゴンガスと空気との混合ガス、アルゴンガス、窒素ガス、空気から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の結晶セレン膜の形成方法。
(6)透明信号電極と、正孔注入阻止強化層と、光電変換部と、電子注入阻止強化層とがこの順に積層された光電変換素子であって、前記光電変換部が、(1)〜(5)のいずれかに記載の結晶セレン膜の形成方法を用いて形成した結晶セレン膜からなることを特徴とする光電変換素子。
本発明の結晶セレン膜の形成方法は、真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、蒸着法によりセレン膜を成膜する成膜工程を含む方法であり、成膜工程を行うことにより、真空中で蒸着したセレン膜と比較して、低密度のセレン膜が得られる。このため、例えば、上記の雰囲気中で蒸着した非結晶セレン膜を熱処理したり、上記の雰囲気中で加熱しながらセレン膜を成膜したりすることで、下地膜としてテルル膜を形成することなく、所定の形状の結晶セレン膜を形成できる。よって、光電変換素子の光電変換部に好適に用いることのできる結晶セレン膜が得られる。
本発明の光電変換素子は、光電変換部が結晶セレン膜からなるものであるので、低電圧で駆動でき、高感度で熱に対する安定性に優れたものとなる。本発明の光電変換素子は、光電変換撮像管、冷陰極光電変換撮像板、固体撮像素子、太陽電池などに好適に用いることができる。また、本発明の光電変換素子を、光電変換撮像管、冷陰極光電変換撮像板、固体撮像素子などに用いた場合、テルル膜に起因する撮像画像の品質の低下が生じることはなく、良好な撮像画像が得られる。
図1(a)は、本発明に係る光電変換素子を備えた光電変換撮像管の一例を示した断面模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示す光電変換撮像管の製造方法を説明するための断面模式図である。 図2は、本発明に係る光電変換素子を備えた冷陰極光電変換撮像板の一例を示した断面模式図である。 図3は、本発明に係る光電変換素子を備えた固体撮像素子の一例を示した断面模式図である。 図4は、実施例1の光電変換撮像管の入射光ありと入射光なしのときの撮像画像を示した写真である。 図5は、真空度1×10−7Torr(アルゴンガス導入なし)、0.5Torr、1.5Torrで成膜を行った結晶セレン膜について、結晶化工程前と後の状態を撮影した写真である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
<第1実施形態>
「光電変換素子」
図1(a)は、本発明に係る光電変換素子を備えた光電変換撮像管の一例を示した断面模式図である。
図1(a)に示す光電変換撮像管11は、透明基板(フェースプレート)1と、透明基板1上に設けられた光電変換素子10と、光電変換素子10の電子注入阻止強化層5側の面に電子を放射する電子銃6とを有している。光電変換素子10は、透明基板1を介して入射した光(図1(a)において矢印で示す)を、電気に変換するものである。
透明基板1としては、光電変換撮像管11の透明基板1として従来公知の材料を用いることができる。例えば、透明基板1として、ガラス基板、アクリル基板、シリコン基板、ベリリウム(Be)基板などを用いることができる。
光電変換素子10は、図1(a)に示すように、透明信号電極2と、正孔注入阻止強化層3と、光電変換部4と、電子注入阻止強化層5とが、透明基板1側からこの順で積層されたものである。
透明信号電極2としては、光電変換素子10の透明信号電極2として従来公知の材料を用いることができる。例えば、透明信号電極2の材料として、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、インジウム錫(IT)、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウム、金、ニッケルなどを用いることができる。
また、透明基板1として、ベリリウム(Be)基板またはシリコン(Si)基板を用いた場合には、透明基板1が透明信号電極2を兼ねていてもよい。
正孔注入阻止強化層3としては、光電変換素子10の正孔注入阻止強化層3として従来公知の材料を用いることができる。例えば、正孔注入阻止強化層3の材料として、CeO、Ga、In、GeO、SiCなどを用いることができる。
光電変換部4としては、後述する結晶セレン膜の形成方法を用いて、正孔注入阻止強化層3上に形成した結晶セレン膜が用いられる。
電子注入阻止強化層5としては、光電変換素子10の電子注入阻止強化層5として従来公知の材料を用いることができる。例えば、電子注入阻止強化層5の材料として、Sb、In、AsSeなどを用いることができる。
「光電変換素子の製造方法」
次に、図1(a)に示す光電変換撮像管11の製造方法を例に挙げて、本発明の結晶セレン膜の形成方法の一例を説明する。図1(b)は、図1(a)に示す光電変換撮像管11の製造方法を説明するための断面模式図である。
本実施形態においては、まず、透明基板1上に、スパッタ法などを用いて、ITOなどからなる透明信号電極2を形成する。次いで、透明信号電極2上に、蒸着法などを用いて、CeOなどからなる正孔注入阻止強化層3を形成する。
次に、正孔注入阻止強化層3上に、結晶セレン膜からなる光電変換部4を形成する。まず、正孔注入阻止強化層3上に、真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、非結晶セレン膜を蒸着法により成膜する(成膜工程)。
成膜工程における真空度が1.0Torr未満であると、形成された非結晶セレン膜の密度が、真空で蒸着した場合と比較して十分に低くならない。このため、後述する結晶化工程を行うことにより、結晶セレン膜が縮小したり、剥離したりする。成膜工程における真空度が1Torr以上であると、形成された非結晶セレン膜の密度が十分に低いものとなる。このため、結晶化工程における結晶セレン膜の縮小および剥離が抑制され、所定の形状の結晶セレン膜を形成できる。成膜工程における真空度は、1.5Torr以上であることが好ましい。
また、成膜工程における真空度が2.0Torr以下であると、形成された非結晶セレン膜の厚みのばらつきが十分に小さいものとなり、後述する結晶化工程を行うことにより、光電変換素子10の光電変換部4に好適な結晶セレン膜を形成できる。また、成膜工程における真空度が2.0Torr以下であると、形成された非結晶セレン膜の密度が低すぎることにより、結晶化工程後に得られる結晶セレン膜が脆くなることを防止できる。また、通常、非結晶セレン膜を成膜する蒸着装置には、成膜中の蒸着膜の厚みを検出するための水晶振動子が設置されている。水晶振動子を用いて成膜中の蒸着膜の厚みを制御する蒸着装置を用いる場合、成膜工程における真空度が2.0Torrを超えると、水晶振動子の動作が不安定になり、水晶振動子の誤作動が発生しやすくなる。このため、蒸着膜の膜厚制御がし難くなる。成膜工程における真空度は、非結晶セレン膜の密度が低くなりすぎることを防止するとともに、水晶振動子を安定して動作させて、より均一な厚みの非結晶セレン膜を得るために、1.8Torr以下であることが好ましい。
非結晶セレン膜の密度は、成膜工程における真空度に伴って変化する。具体的には、成膜工程における真空度を1.0〜2.0Torrにすることで、密度が2.70〜4.20g/cmの範囲である非結晶セレン膜が得られる。
また、非結晶セレン膜の成膜は、正孔注入阻止強化層3までの各層の形成されている透明基板1を回転させながら行うことが好ましい。この場合、より均一な厚みの非結晶セレン膜を形成できる。
成膜工程は、結晶セレン膜を形成させずに、選択的に非結晶セレン膜を形成するために、40℃以下で行うことが好ましく、20〜30℃の室温で行うことが好ましい。
成膜工程におけるガスの種類は、特に限定されるものではなく、不活性ガスであってもよいし、不活性ガスと、空気および/または酸素との混合ガスであってもよい。不活性ガスとしては、アルゴンまたは窒素ガスが挙げられる。不活性ガスと空気との混合ガスとしては、例えば、アルゴン中に30質量%程度の空気を含むガスが挙げられる。また、不活性ガスと酸素との混合ガスとしては、空気が挙げられる。成膜工程において用いられる上記のガスの中でも特に、アルゴンガスと空気との混合ガス、アルゴンガス、窒素ガス、空気から選ばれるいずれか1種を用いることが好ましい。
次に、得られた非結晶セレン膜を熱処理して結晶化する(結晶化工程)。このことにより、結晶セレン膜からなる光電変換部4が得られる。
結晶化工程における熱処理は、非晶質セレン膜の厚みなどに応じて適宜決定できる。結晶化工程における熱処理は、非晶質セレン膜を加熱温度70℃〜250℃で0.5分〜5時間保持する処理であることが好ましい。非晶質セレン膜の加熱温度を70℃以上とし、かつ保持時間を0.5分以上とすることで、非晶質セレン膜を十分に結晶化できる。また、非晶質セレン膜の加熱温度を250℃以下とし、かつ保持時間を5時間以下とすることで、非晶質セレン膜が溶解することを確実に防止できる。また、保持時間を5時間以下とすることで、熱処理時間が長時間となって、光電変換素子10の生産性に支障を来すことを防止できる。さらに、非晶質セレン膜の加熱温度は、150℃〜200℃であることが好ましく、保持時間は、1分〜3分であることが好ましい。
結晶化工程における雰囲気は、特に限定されるものではない。結晶化工程における熱処理は、例えば、真空中、大気中、窒素中、アルゴンガス中で行うことができる。
次いで、光電変換部4上に、蒸着法などを用いて、Sbなどからなる電子注入阻止強化層5を形成する。
以上の工程を行うことにより、図1(b)に示すように、透明基板1上に光電変換素子10が形成される。
その後、従来公知の方法により、電子銃6を設置して、図1(a)に示す光電変換撮像管11が完成する。
本実施形態の結晶セレン膜の形成方法は、真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、非結晶セレン膜を蒸着法により成膜する成膜工程を行ってから、非晶質セレン膜を熱処理して結晶化する結晶化工程を行う方法であるので、結晶化工程において結晶セレン膜が縮小したり、剥離したりしない。この理由は、上記の真空度で成膜した非結晶セレン膜の密度が、真空中で蒸着したセレン膜と比較して、十分に小さいことによるものと推定される。よって、光電変換素子10の光電変換部4に好適に用いることのできる所定の形状の結晶セレン膜が得られる。
また、図1(a)に示す光電変換撮像管11を形成している光電変換素子10は、光電変換部4が結晶セレン膜からなるものであるので、低電圧で駆動でき、高感度で熱に対する安定性に優れたものとなる。
<第2実施形態>
図2は、本発明に係る光電変換素子を備えた冷陰極光電変換撮像板の一例を示した断面模式図である。
図2に示す冷陰極光電変換撮像板12は、図1(a)に示す光電変換撮像管11と同様に、透明基板(フェースプレート)1と、透明基板1上に設けられた光電変換素子10とを有している。図2に示す冷陰極光電変換撮像板12において、図1(a)に示す光電変換撮像管11と同じ部材については、同じ符号を付して、説明を省略する。
図2に示す冷陰極光電変換撮像板12は、透明基板1を介して入射した光(図2において矢印で示す)を、電気に変換するものである。
図2に示す冷陰極光電変換撮像板12では、光電変換素子10の電子注入阻止強化層5側の面に、図1(a)に示す光電変換撮像管11における電子銃6に代えて、冷陰極アレイ61を有している。冷陰極アレイ61は、電圧を印加することにより、画素毎に電子を放射する。冷陰極アレイ61としては、冷陰極光電変換撮像板12の冷陰極アレイ61として従来公知のものを用いることができる。
図2に示す冷陰極光電変換撮像板12は、冷陰極アレイ61を設置する工程を除いて、図1(a)に示す光電変換撮像管11と同様にして製造できる。
また、本実施形態においても上述した第1実施形態の結晶セレン膜の形成方法と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
図3は、本発明に係る光電変換素子を備えた固体撮像素子の一例を示した断面模式図である。
図3に示す固体撮像素子13は、信号読み出し回路の設けられたシリコン基板7と、シリコン基板7上に設けられた光電変換素子10aとを有している。図3に示す固体撮像素子13において、図1(a)に示す光電変換撮像管11と同じ部材については、同じ符号を付して、説明を省略する。
図3に示す固体撮像素子13は、図3において矢印で示すように、光電変換素子10aの透明信号電極2側から入射した光(図3において矢印で示す)を、電気に変換するものである。
図3に示す固体撮像素子13では、光電変換素子10aの電子注入阻止強化層5側の面に、シリコン基板7を有している。シリコン基板7は、画素電極など信号読み出し回路が設けられたものである。信号読み出し回路としては、固体撮像素子13の信号読み出し回路として従来公知の回路を設けることができる。具体的には、シリコン基板7は、電荷結合素子(CCD)または相補性金属酸化膜半導体(CMOS)が設けられたものであることが好ましい。
図3に示す固体撮像素子13における光電変換素子10aは、図1(a)における光電変換素子10と同様に、透明信号電極2と、正孔注入阻止強化層3と、光電変換部4と、電子注入阻止強化層5とが、この順で積層されたものである。しかし、図3に示す固体撮像素子13における光電変換素子10aは、形成時の積層順序が、図1(a)における光電変換素子10と反対である。したがって、光電変換部4としては、上記の結晶セレン膜の形成方法を用いて、電子注入阻止強化層5上に形成した結晶セレン膜が用いられる。
なお、積層された各層の形成方法は、図1(a)における光電変換素子10と同じであるので省略する。
本実施形態においても上述した第1実施形態の結晶セレン膜の形成方法と同様の効果が得られる。なお、成膜工程において、上記の成膜条件で成膜した非結晶セレン膜は、光電変換素子の正孔注入阻止強化層3の上に成膜したものであっても電子注入阻止強化層5の上に成膜したものであっても、結晶化するための熱処理によって、結晶セレン膜が縮小したり、剥離したりしない。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の光電変換素子は、上述した光電変換撮像管、冷陰極光電変換撮像板、固体撮像素子だけでなく、太陽電池などにも好適に用いることができる。
また、上述した実施形態においては、結晶セレン膜の形成方法として、真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、好ましくは40℃以下の温度で、蒸着法により非結晶セレン膜を成膜(成膜工程)し、その後に、非晶質セレン膜を熱処理して結晶化する(結晶化工程)場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明の結晶セレン膜の形成方法は、上述した方法に限定されるものではなく、真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、蒸着法により加熱しながらセレン膜を成膜することにより、結晶セレン膜を形成してもよい。この場合にも、下地膜としてテルル膜を形成することなく、所定の形状の結晶セレン膜を形成できる。また、上記の雰囲気中で蒸着法により加熱しながらセレン膜を成膜する場合、非結晶セレン膜を成膜した後に非晶質セレン膜を熱処理する場合と比較して、少ない工程で効率よく形成できる。
加熱しながらセレン膜を成膜する際の加熱温度は、70℃〜250℃であることが好ましい。加熱しながらセレン膜を成膜する際の加熱温度を70℃以上とすることで、十分に結晶化された結晶セレン膜が得られる。また、加熱温度を250℃以下とすることで、成膜された結晶セレン膜が溶解することを確実に防止できる。
また、加熱しながらセレン膜を成膜する際の雰囲気ガスは、上述した結晶セレン膜の形成方法と同様のものを用いることができる。
「実施例1」
以下に示す製造方法により、図1(a)に示す光電変換撮像管11を製造し、評価した。
まず、透明基板1として、直径17.5mm、厚み1.5mmのガラス基板を用意した。そして、ガラス基板上に、DC(直流)スパッタ方式で酸素ガス分圧7.6×10−3Pa、アルゴンガス分圧6.0×10−1Paの条件で、直径12.4mm、厚み30nmのITOからなる透明信号電極2を形成した。次いで、透明信号電極2上に、抵抗加熱蒸着法を用いて、真空度2×10−7Torrの条件で、直径12.6mm、厚み10nmのCeOからなる正孔注入阻止強化層3を形成した。
次に、正孔注入阻止強化層3上に、結晶セレン膜からなる光電変換部4を形成した。まず、正孔注入阻止強化層3上に、室温(20℃)の真空度1.5Torrのアルゴンガス雰囲気中で、直径13.6mm、厚み1μmの非結晶セレン膜を抵抗加熱蒸着法により成膜した(成膜工程)。非結晶セレン膜の成膜工程は、正孔注入阻止強化層3までの各層の形成されている透明基板1を、1分間に6回転の回転速度で回転させながら行った。
次に、非結晶セレン膜までの各層の形成されている透明基板1を、ホットプレートを用いて、大気中で200℃の加熱温度で1分間保持する熱処理を行って、非結晶セレン膜を結晶化した(結晶化工程)。このことにより、結晶セレン膜からなる光電変換部4を得た。
次いで、光電変換部4上に、抵抗加熱蒸着法を用いて、アルゴンガス分圧2.8×10−1Paの条件で、直径14.4mm、厚み70nmのSbからなる電子注入阻止強化層5を形成した。
以上の工程を行うことにより、図1(b)に示すように、透明基板1上に光電変換素子10を形成した。
その後、従来公知の方法により、電子銃6を設置して、図1(a)に示す光電変換撮像管11を得た。
このようにして得られた実施例1の光電変換撮像管11について、以下に示す方法により、撮像動作を確認した。
すなわち、実施例1の光電変換撮像管11の光電変換部4に電圧14Vを印加し、透明基板1を介して照度10500Lux、絞りF8.0、減光(ND)フィルタ入り(光量1/80減衰)の光を入射させた時と、光の入射なしの時の撮像画像を得た。
図4は、実施例1の光電変換撮像管11の入射光ありと入射光なしのときの撮像画像を示した写真である。図4に示すように、実施例1の光電変換撮像管11では、良好な撮像画像が得られることが分かった。
「実験1」
実施例1において使用したガラス基板上に、実施例1と同様にしてITO膜を形成した。次いで、ITO膜上に、以下に示す方法により結晶セレン膜を形成した。
まず、蒸着装置の蒸着容器内を真空度1×10−7Torrに真空排気し、その後、真空度を1.5Torrのアルゴンガス雰囲気とし、室温(20℃)で、ITO膜上に、直径13.6mm、厚み1μmの非結晶セレン膜を抵抗加熱蒸着法により成膜した(成膜工程)。非結晶セレン膜の成膜工程は、ITO膜の形成されているガラス基板を、1分間に6回転の回転速度で回転させながら行った。また、蒸着装置として、水晶振動子を用いて成膜中の蒸着膜の厚みを測定しながら、蒸着膜を成膜するものを用いた。
次に、ITO膜と非結晶セレン膜の形成されているガラス基板を、ホットプレートを用いて、大気中で200℃の加熱温度で1分間保持する熱処理を行って結晶セレン膜を得た(結晶化工程)。
また、非結晶セレン膜の成膜工程におけるアルゴンガス雰囲気中の真空度を、1×10−7Torr(アルゴンガス導入なし)、0.5Torr、0.6Torr、1.0Torr、1.7Torr、1.8Torr、2.0Torr、10.0Torrに変化させたこと以外は、同様にして結晶セレン膜を得た。
なお、各結晶セレン膜のうち、真空度2.0Torr、10.0Torrで成膜を行った結晶セレン膜では、成膜中における水晶振動子の動作が不安定であるため、成膜中の蒸着膜の厚みを測定しながら、蒸着膜を成膜することはできなかった。
このように真空度の異なる条件で成膜工程を行ってから、結晶化工程を行って得られた各結晶セレン膜の状態を観察した。なお、結晶化工程後のセレン膜が結晶化されているか否かは、結晶化工程後のセレン膜を顕微鏡で観察することにより確認した。
その結果、真空度1×10−7Torr(アルゴンガス導入なし)および0.5Torrで成膜を行った結晶セレン膜では、結晶化工程において結晶セレン膜の直径が13.6mmから1mmまで縮小した。
また、真空度0.6Torrで成膜を行った結晶セレン膜では、結晶化工程を行っても結晶化されていない部分があった。また、真空度0.6Torrで成膜を行った結晶セレン膜では、結晶化工程を行うことにより剥離した。
真空度1.0Torr、1.5Torr、1.7Torr、1.8Torr、2.0Torrで成膜を行った結晶セレン膜は、結晶化工程において縮小したり、剥離したりしなかった。また、これらの結晶セレン膜は、結晶性が良好であった。
また、真空度10.0Torrで成膜を行った結晶セレン膜は、結晶化工程を行うことにより粉状になった。
図5は、真空度1×10−7Torr(アルゴンガス導入なし)、0.5Torr、1.5Torrで成膜を行った結晶セレン膜について、結晶化工程前と後の状態を撮影した写真である。
図5に示すように、真空度1.5Torrで成膜を行った結晶セレン膜は、結晶化工程において縮小したり、剥離したりしなかった。これに対し、真空度1×10−7Torr(アルゴンガス導入なし)、0.5Torrで成膜を行った結晶セレン膜は、結晶化工程において縮小し、点状になった。
また、真空度1×10−7Torr(アルゴンガス導入なし)、0.5Torr、1.0Torr、1.5Torrで成膜を行った結晶化工程前の非結晶セレン膜の密度を、XRR(X線反射率測定装置)を用いて測定した。その結果を、表1に示す。
表1に示すように、真空度1×10−7Torrで成膜を行った非結晶セレン膜と、真空度0.5Torrで成膜を行った非結晶セレン膜とでは、結晶化工程前の非結晶セレン膜の密度の差が見られなかった。
これに対し、真空度1.0Torr、1.5Torrで成膜を行った非結晶セレン膜では、真空度1×10−7Torrで成膜を行った非結晶セレン膜と比較して、低密度であった。この密度の違いによって、真空度1.0Torr、1.5Torrで成膜を行った非結晶セレン膜は、下地膜としてテルル膜を形成しなくても、変形したり剥離したりすることなく結晶化されたと考えられる。
1 透明基板、2 透明信号電極、3 正孔注入阻止強化層、4 光電変換部、5 電子注入阻止強化層、6 電子銃、7 シリコン基板、10 光電変換素子、11 光電変換撮像管、12 冷陰極光電変換撮像板、13 固体撮像素子、61 冷陰極アレイ。

Claims (6)

  1. 真空度が1.0〜2.0Torrのガス雰囲気中で、蒸着法によりセレン膜を成膜する成膜工程を含むことを特徴とする結晶セレン膜の形成方法。
  2. 前記成膜工程が、非結晶セレン膜を成膜する工程であり、
    前記成膜工程の後に、前記非晶質セレン膜を熱処理して結晶化する結晶化工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶セレン膜の形成方法。
  3. 前記熱処理が、前記非晶質セレン膜を加熱温度70℃〜250℃で0.5分〜5時間保持する処理であることを特徴とする請求項2に記載の結晶セレン膜の形成方法。
  4. 前記成膜工程において、加熱しながらセレン膜を成膜することを特徴とする請求項1に記載の結晶セレン膜の形成方法。
  5. 前記ガスが、アルゴンガスと空気との混合ガス、アルゴンガス、窒素ガス、空気から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の結晶セレン膜の形成方法。
  6. 透明信号電極と、正孔注入阻止強化層と、光電変換部と、電子注入阻止強化層とがこの順に積層された光電変換素子であって、
    前記光電変換部が、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の結晶セレン膜の形成方法を用いて形成した結晶セレン膜からなることを特徴とする光電変換素子。
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