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JP2016108372A - 樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法 Download PDF

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JP2016108372A
JP2016108372A JP2014244468A JP2014244468A JP2016108372A JP 2016108372 A JP2016108372 A JP 2016108372A JP 2014244468 A JP2014244468 A JP 2014244468A JP 2014244468 A JP2014244468 A JP 2014244468A JP 2016108372 A JP2016108372 A JP 2016108372A
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fiber
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thermoplastic resin
resin composition
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JP2014244468A
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哲生 安部
Tetsuo Abe
哲生 安部
杉田 泰久
Yasuhisa Sugita
泰久 杉田
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Lion Idemitsu Composites Co Ltd
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Lion Idemitsu Composites Co Ltd
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Abstract

【課題】強度が低下することなく軽量化した樹脂組成物を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、融点および分解開始温度が熱可塑性樹脂(A)の融点より高い有機繊維(C)と、を所定の含有量で含有する。熱可塑性樹脂(A)は20質量%以上99質量%以下、中空微小球(B)は1質量%以上80質量%以下であり、有機繊維(C)は熱可塑性樹脂(A)と中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上100質量%以下で含有する。熱可塑性樹脂(A)は、軽量で混練や成形の容易さにより、ナイロンまたはポリオレフィン系樹脂が好ましい。中空微小球(B)は、耐圧強度を有したガラスバブルが好ましい。有機繊維(C)は、混練性や成形性の観点から、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれる少なくとも1種以上の合成繊維が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法に関する。
例えば自動車や家電、住宅設備などでは、軽量化が望まれている。そこで、自動車や家電、住宅設備などの構成部品を、微細な中空ガラスなどを含有した樹脂組成物を用いて形成し、軽量化することが検討されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
特許文献1に記載のものは、液晶ポリエステル樹脂に中空球体と無機繊維とを配合してなる樹脂組成物の成形品である。
特許文献2に記載のものは、1種以上の熱可塑性樹脂と、ガラスバブルなどの中空微小球と、ガラス繊維やグラファイト繊維、ケブラー繊維などの1種以上の繊維補強充填材と、を含有する樹脂組成物を成形した複合材である。
特開2001−172479号公報 特表2007−530739号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載のように、補強を目的として無機の繊維補強材を用いる構成では、繊維補強材の密度が比較的に高く、十分な軽量化が図れないことから、さらなる軽量化が望まれている。
本発明は、強度が低下することなく軽量化した樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の樹脂組成物は、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)が20質量%以上99質量%以下と、中空微小球(B)が1質量%以上80質量%以下と、有機繊維(C)が前記熱可塑性樹脂(A)と前記中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上100質量%以下と、を含有してなり、前記有機繊維(C)は、融点および分解開始温度が前記熱可塑性樹脂(A)の融点より高いことを特徴とする。
この発明では、有機繊維(C)により強度が得られるとともに、中空微小球(B)および有機繊維(C)により軽量化が得られる。さらに、有機繊維(C)として融点および分解開始温度が熱可塑性樹脂(A)の融点より高いものを用いるので、混練時に有機繊維(C)が溶融したり分解したりすることを防止でき、有機繊維(C)による補強が損なわれず、強度の低下を防止できる。
ここで、熱可塑性樹脂(A)は、加熱して溶融する樹脂であればよく、例えばポリオレフィン系樹脂、芳香族ビニル化合物系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリスルフィド系樹脂などが例示され、1種もしくは2種以上を用いることができる。
中空微小球(B)は、有機物および無機物のいずれでも適用でき、双方を併用することもできる。また、中空としては、例えば多孔質部材など、多数の微細な中空も含むものである。さらに、球としては、例えば真球に限らず、例えば楕円球や円盤状などの偏平となったもの、破砕物のような粒子状のものも含む。
有機繊維(C)は、1種類に限らず、複数種の有機繊維を併用できる。
分解開始温度は、熱重量(Thermogravimetric:TG)分析により減量が20%となった時点の温度をいう。
そして、本発明では、前記熱可塑性樹脂(A)は、ポリアミド系樹脂およびポリオレフィン系樹脂の少なくともいずれか一方であることが好ましい。
この発明では、熱可塑性樹脂(A)として、ポリアミド系樹脂およびポリオレフィン系樹脂の少なくともいずれか一方を用いることで、住設、家電、自動車用途、特に自動車用途において低比重かつ高結晶性であることから高い軽量化効果および耐油、耐薬品性が得られる。
ここで、ポリアミド系樹脂としては、1種類のポリアミドに限らず、例えば重縮合や共縮重合で得られる各種ナイロンや、これらの混合物を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、1種類のポリオレフィンに限らず、例えばエチレン−プロピレンなどの共重合体、さらにはこれらの混合物を用いることができる。
さらに、本発明では、前記熱可塑性樹脂(A)は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂であることが好ましい。
この発明では、熱可塑性樹脂(A)として、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂を用いることで、住設、家電、自動車用途、特に自動車用途において低比重かつ高結晶性であることから高い軽量化効果および耐油、耐薬品性が得られる。
ここで、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂としては、プロピレンの単独重合体に限らず、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、および、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体、さらにはこれらの混合物を用いることができる。
また、本発明では、前記有機繊維(C)は、少なくとも1種以上の合成繊維であることが好ましい。
この発明では、有機繊維(C)として少なくとも1種以上の合成繊維を用いることで、軽量性を損なわずに耐衝撃性や剛性を向上できる。
さらに、本発明では、前記有機繊維(C)は、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれる少なくとも1種以上の合成繊維であることが好ましい。
この発明では、有機繊維(C)として、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれる少なくとも1種以上とすることで、軽量性を損なわずに耐衝撃性や剛性を向上できる。
そして、本発明では、前記有機繊維(C)は、繊維長が1mm以上15mm以下であることが好ましい。
この発明では、有機繊維(C)として繊維長が1mm以上15mm以下のものを用いることで、強度向上の機能が得られるとともに、有機繊維(C)を均一分散できる。
また、本発明では、前記中空微小球(B)は、ガラスバブルであることが好ましい。
この発明では、中空微小球(B)としてガラスバブルを用いることで、広く流通されて入手が容易で、中空体として比較的に大きな耐圧強度を有し、強度の低下を抑制できるとともに、異方性も小さく、外観不良も発生しにくい。さらに、中空による軽量化や遮熱性の他、耐熱性や耐薬品性、低導電性を向上できる。
そして、本発明では、前記ガラスバブルは、粒子半径をR、中空部分の半径をrとした場合、10μm≦R≦60μmかつ、9.5μm≦r≦55μmであることが好ましい。
この発明では、ガラスバブルを所定の粒子形状とすることで、軽量化が得られるとともに、強度の低下を防止できる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明では、本発明の樹脂組成物を成形してなるので、強度が低下することなく軽量化した成形体を提供できる。
本発明の成形体の製造方法は、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)を20質量%以上99質量%以下と、中空微小球(B)を1質量%以上80質量%以下と、融点および分解開始温度が前記熱可塑性樹脂(A)の融点より高い有機繊維(C)を前記熱可塑性樹脂(A)と前記中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上100質量%以下とを、前記熱可塑性樹脂(A)の融点より高く、かつ前記有機繊維(C)の融点より低い温度で混練する工程と、混練した混練物を成形する工程と、を実施することを特徴とする。
この発明では、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、融点および分解開始温度が熱可塑性樹脂(A)の融点より高い有機繊維(C)とを、それぞれ所定量で、熱可塑性樹脂(A)の融点より高く、かつ有機繊維(C)の融点より低い温度で混練して成形するので、有機繊維(C)が混練時に溶融したり分解したりすることを防止でき、有機繊維(C)による補強が損なわれず、得られる成形体の強度の低下を防止できる。
以下、本発明の成形体の実施形態について説明する。
[成形体]
本発明の成形体は、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、有機繊維(C)と、を含有してなる樹脂組成物が、例えば射出成形などにより成形されたものである。
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)が20質量%以上99質量%以下、中空微小球(B)が1質量%以上80質量%以下、有機繊維(C)が熱可塑性樹脂(A)と中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上100質量%以下で含有することが好ましい。
ここで、(熱可塑性樹脂(A)/中空微小球(B))が(20/80)〜(99/1)、好ましくは(25/75)〜(95/5)、より好ましくは(40/60)〜(90/10)、より好ましくは(70/30)〜(90/10)である。
(熱可塑性樹脂(A)/中空微小球(B))が(99/1)より大きな値、すなわち中空微小球(B)が少なくなると、軽量化が得られなくなるおそれがある。一方、(熱可塑性樹脂(A)/中空微小球(B))が(20/80)より小さい値、すなわち中空微小球(B)が多くなると、例えば脆い無機系材料の場合には外力により中空微小球(B)が破壊することによる強度低下を生じるおそれがあるためである。
また、有機繊維(C)が熱可塑性樹脂(A)と中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%より少なくなると、十分な補強が得られなくなって強度低下を生じるおそれがある。一方、有機繊維(C)が熱可塑性樹脂(A)と中空微小球(B)との総量100質量%に対して100質量%より多くなると、均一分散が困難となって成形体の外観不良が生じるおそれがある。このことから、有機繊維(C)は、熱可塑性樹脂(A)と中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%で含有することが好ましい。
樹脂組成物としては、その他、例えば顔料やフィラー、さらには酸化防止剤、滑剤、耐候剤などの添加物を適宜添加してもよい。
顔料としては、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄などを挙げることができる。特に、質量が軽い有機性の顔料が好ましい。
フィラーとしては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、カオリン、珪藻土、硫酸カルシウム、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカなどを挙げることができる。特に、剛性向上効果が高い塩基性硫酸マグネシウムウィスカが好適である。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが例示でき、特に長期性能向上の理由から、上記3種のうちの少なくとも2種以上の併用が好ましい。
滑剤としては、流動パラフィン、脂肪族アミド、金属せっけん、脂肪酸エステルなどが例示でき、特に混練安定性の理由から金属せっけんが好ましい。
耐候剤としては、紫外線吸収剤、光安定剤などが例示でき、特に長期性能向上の理由からこれらを併用することが好ましい。が好ましい。
なお、顔料やフィラーなどの添加物は、樹脂組成物全量に対して例えば0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下で添加される。ここで、添加物が30質量%より多くなると、引張特性、耐衝撃性、疲労特性、高温クリープ特性などが低下するおそれがある。
(熱可塑性樹脂(A))
熱可塑性樹脂(A)は、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂が用いられる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、芳香族ビニル化合物系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリスルフィド系樹脂などが用いられ、一種若しくは二種以上を用いることができる。
特に、エンジニアリングプラスチック(Engineering plastic)に比べて融点が低く、有機繊維(C)を溶融することなく混練することが容易にできることから、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂を用いることがより好適である。
ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、少なくとも1種類のポリオレフィンに限らず、例えばエチレン−プロピレンなどの共重合体、さらにはこれらの混合物を用いることができる。特に、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂が好ましい。
少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂としては、プロピレンの単独重合体に限らず、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、および、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体、さらにはこれらの混合物を用いることができる。
そして、熱可塑性樹脂(A)は、密度0.7g/cm以上1.80/cm以下、210℃でのメルトフローレートが0.1g/10分以上2000g/10分以下であることが好ましい。
密度が0.7g/cmより小さくなると過度に低密度となって混練安定性が低下するおそれがある。一方、密度が1.80/cmより大きくなると過度に高密度となって軽量性が損なわれるおそれがあるためである。
メルトフローレートが上記範囲から外れると、均一分散が困難となったり、ガラスバブルの破損に繋がるといった不都合を生じるおそれがある。
(中空微小球(B))
中空微小球(B)は、中空で微細な粉粒物で、無機系や有機系の各種のものが用いられる。
ここで、中空とは、1つの中空に限らず、複数の微細な中空のものも含むものである。さらに、球としては、例えば真球に限らず、例えば楕円球や円盤状などの偏平となったものも含む。
中空微小球(B)としては、例えば樹脂マイクロカプセル、ガラスバブルなどが挙げられる。特に、ガラスバブルは、広く流通されて入手が容易で、中空体として比較的に大きな耐圧強度を有し、強度の低下を抑制できる点で、好適である。ガラスバブルとしては、例えばスリーエム ジャパン株式会社製の商品名ガラスバブルズシリーズ、ポッターズ・バロティーニ株式会社製の商品名Sphericel 60P18などが好適に用いられる。
なお、中空微小球(B)としてガラスバブルを用いる場合では、粒子半径をR、ガラスバブルの内部の中空部分の半径をrとした場合、10μm≦R≦60μm、9.5μm≦r≦55μm、好ましくは10μm≦R≦30μm、9.5μm≦r≦28μmである。
粒子半径Rが上記範囲から外れると、ある程度の軽量化を図るために肉薄に形成する必要があり、耐圧強度が小さくなって、混練や成形時に破損や損壊の割合が多くなって、成形体の耐衝撃性や外観性の悪化などを招くおそれがあるためである。
また、r/Rが(9〜9.5)/10程度が好ましい。この範囲から外れると、極めて肉薄となって耐圧強度が得られなくなったり、質量が増加して軽量化が図れなくなったりするおそれがあるためである。
(有機繊維(C))
有機繊維(C)は、天然繊維および合成繊維のうちの少なくともいずれか1種以上で、少なくとも1種以上の合成繊維であることが好ましい。
天然繊維としては、パルプ、ジュート、マニラ麻、サイザル麻、ガンピ、ミツマタ、コウゾ、スギ、タケ、カカオ、ケナフ、バナナ、パイナップル、サトウキビ、ココヤシ、トウモロコシ、バガス、ヤシ、ヨシ、エスパルト、サバイグラス、シュロ、バショウ、マツ、クワ、リュウゼツラン、ムギ、イネ、ユーカリ及びヒノキなどが挙げられ、繊維自体の引張強度が高く、軽量であることからジュートが好ましい。
合成繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維(例えばナイロン6やナイロン66)、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などが挙げられる。
有機繊維(C)は、特に、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれる少なくとも1種以上の合成繊維が、混練性や成形性の観点から好適である。
なお、有機繊維(C)は、融点および分解開始温度が熱可塑性樹脂(A)の融点より高い、好ましくは10℃程度高いことが好ましい。すなわち、有機繊維(C)は、混練により溶融したり分解したりすることがなく、有機繊維(C)による強度の確保および軽量化が得られる融点および分解開始温度としたものを用いることが好ましい。
有機繊維(C)は、繊維長が1mm以上15mm以下であることが好ましい。
ここで、繊維長が1mmより短くなると強度向上の機能を十分に発揮できなくなるおそれがある。一方、繊維長が15mmより長くなると、均一分散が困難となり、短時間で容易に安定した性状の成形体を製造しにくくなる。このことから、繊維長は、1mm以上、好ましくは3mm以上、特に5mm以上であり、15mm以下、好ましくは12mm以下、特に10mm以下の有機繊維(C)が好適である。
有機繊維(C)は、繊維径が1μm以上50μm以下であることが好ましい。
ここで、繊維径が1μmより細くなると、繊維自体の強度が低くなり、補強効果が得られなくなるおそれがある。一方、繊維径が50μmより太くなると、混練に不都合が生じるおそれがある。このことから、繊維径が1μm、好ましくは3μm以上、特に5μm以上であり、50μm以下、好ましくは40μm以下、特に30μm以下の有機繊維(C)が好適である。
[成形体の製造]
次に、成形体の製造方法について説明する。
成形体の製造は、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、有機繊維(C)とを混練する混練工程と、混練された混練物を成形する成形工程とを実施することで得られる。
混練工程では、熱可塑性樹脂(A)の融点より高く、かつ有機繊維(C)の融点より低い温度で、熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、有機繊維(C)とを混練する。
樹脂組成物の混練方法としては、特に限定されず、例えばバンバリーミキサーなどのバッチ式混合機、単軸や二軸などの連続押出機など、各種の樹脂材料の混練方法を用いることができる。混練時の温度は、熱可塑性樹脂(A)の融点より高く、かつ有機繊維(C)の融点より低い温度とすることが好ましい。この混練温度とすることで、有機繊維(C)が混練時に溶融したり分解したりすることを防止でき、有機繊維(C)による補強が損なわれず、得られる成形体の強度の低下を防止できる。
成形工程では、混練工程で得られた混練物を成形し、成形体を得る。
成形方法としては、特に限定されず、例えばカレンダー成形や射出成形など、各種の熱可塑性樹脂の成形方法を利用できる。
なお、樹脂組成物のペレットを製造する方法としては、特に限定されず、例えば通常の長繊維ペレット製造方法を好適に用いることができる。
成形方法としては、成形機による射出成形の場合には背圧を0.1MPa以上8.0MPa以下にすることで、有機繊維(C)の折損抑制や中空微小球(B)の圧壊抑制などの観点から好ましい。
[実施形態の効果]
上記実施形態の成形体では、少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、有機繊維(C)と、を含有してなる。
このため、有機繊維(C)により強度、特に衝撃強度の向上が得られるとともに、中空微小球(B)および有機繊維(C)により軽量化が得られ、強度と軽量化との双方が得られる。
そして、上記実施形態では、成形体の製造に際して、熱可塑性樹脂(A)と、中空微小球(B)と、有機繊維(C)とを、熱可塑性樹脂(A)の融点より高く、かつ有機繊維(C)の融点より低い温度で混練している。
このため、混練時に有機繊維(C)が溶融したり分解したりすることを防止でき、有機繊維(C)による補強が損なわれず、得られる成形体の強度の低下を防止できる。
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されるものではない。
[原料]
実施例および比較例で用いる原料は以下の通りである。
○熱可塑性樹脂(A)
・ナイロン6:宇部興産株式会社製 商品名;UBEナイロン1013B(融点235℃)
・ポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 商品名;J709QG(融点165℃)
・ポリエチレン:株式会社プライムポリマー製 商品名;1300J(融点128℃)
○中空微小球(B)(ガラスバブル)
・ガラスバブル:スリーエム ジャパン株式会社製 商品名;ガラスバブルiM16K(表面処理ありとなし)
・ガラスバブル:ポッターズ・バロティーニ株式会社製 商品名;Sphericel 60P18
・ガラスビーズ(中実):ポッターズ・バロティーニ株式会社製 商品名;EGB731
○有機繊維(C)
・ナイロン6繊維:東レ・アムテックス株式会社製 商品名;アミラン・タフバインダー(繊維長3mm、15mm)(融点235℃)
・アラミド繊維:東レ・デュポン株式会社製 商品名;ケブラー(繊維長2mm)(融点無し、分解開始温度450℃)
・炭素繊維:三菱レイヨン株式会社製 商品名;TR06UB4E
・ポリアリレート繊維:株式会社クラレ製 商品名;ベクトラン(繊維長3mm)(融点250℃)
・ガラス繊維:日本電気硝子株式会社製 商品名;ECS03T−480PW(繊維長3mm)
・ジュート繊維:バングラデッシュ産(繊維長15mm)(融点無し、分解開始温度320℃)
[試験片]
上記原料を以下の表1に示す割合で配合し、表1に示すシリンダー温度に設定した二軸噛合い同方向連続押出機(株式会社日本製鋼所製 商品名;TEX30α)を用いて溶融混練した。なお、実施例10については、バンバリーミキサー(株式会社東洋精機製作所製)により混練した。
混練温度に対応したシリンダー温度180℃〜260℃に設定された射出成形機(日精樹脂工業株式会社製)を用いて、ASTMファミリー型を用い、試験片を作製した。
得られた試験片の密度(ASTM規格D792に準拠)と、曲げ弾性率(ASTM規格D790に準拠)とを測定した。
具体的には、密度については、上述の方法で作製した試験片について、株式会社島津製作所製の比重測定装置を用いて測定した。
また、曲げ弾性率については、上述の方法で作製した試験片について、株式会社東洋精機製作所製の自動曲げ試験機を用いて測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2016108372
[評価]
(外観評価)
上述の方法で作製した試験片について、目視により確認し、以下の評価内容で評価した。その結果を表1に示す。
○:成形品表面外観が平滑で光反射による光沢が目視で確認できる状態
△:成形品表面は平滑であるが、光沢は低い状態
×:成形品表面に微細な凹凸が確認でき、光沢が低いことが一様に確認できる状態
(ノッチ付アイゾット衝撃)
ノッチ付アイゾット衝撃は、ASTM規格D256に準拠する方法で評価した。
具体的には、上述の方法で作製した試験片について、株式会社東洋精機製作所製のデジタル衝撃試験機を用いて測定した。その結果を表1に示す。
(反り率)
直径150mm、厚さ寸法2mmの円盤状に射出成形され、射出成形から48時間経過後の成形体について、ハイトゲージ(株式会社ミツトヨ製)を用いて、反りの最大の点(最大高さ)とその点に対して円周状の反対の点の反りをそれぞれ測定し、以下の式(1)により成形体の反り率[%]を求めた。その結果を表1に示す。
反り率={((最大高さ+円周上の反対の点の高さ)/2)/直径}×100…(1)
[結果]
表1の結果で示されるように、有機繊維(C)が熱可塑性樹脂(A)および中空微小球(B)の総量に対して120質量%の比較例1では混練ができず、試験片を作製できなかったものの、有機繊維(C)を90質量%とした実施例10ではバンバリーミキサーにより混練でき、試験片を作製できた。
また、ガラスバブルを90質量%で配合した比較例2では混練ができず、試験片を作製できなかったものの、ガラスバブルを75質量%で配合した実施例3では試験片を作製できた。
そして、ガラス繊維を配合した比較例3では、比重が大きくなり外観も悪化していた。さらに、が、有機繊維であるポリアクリレートを配合した実施例9では密度が小さく、軽量化できていることが認められ、外観も良好であった。
また、炭素繊維を配合した比較例4では、外観が悪化していた。さらに、炭素繊維自体の黒色により成形品の色彩も黒に近い色に限られてしまい、製品化が限られてしまう知見が得られた。

Claims (10)

  1. 少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)が20質量%以上99質量%以下と、
    中空微小球(B)が1質量%以上80質量%以下と、
    有機繊維(C)が前記熱可塑性樹脂(A)と前記中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上100質量%以下と、を含有してなり、
    前記有機繊維(C)は、融点および分解開始温度が前記熱可塑性樹脂(A)の融点より高い
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物において、
    前記熱可塑性樹脂(A)は、ポリアミド系樹脂およびポリオレフィン系樹脂の少なくともいずれか一方である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物において、
    前記熱可塑性樹脂(A)は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
    前記有機繊維(C)は、少なくとも1種以上の合成繊維である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
    前記有機繊維(C)は、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の中から選ばれる少なくとも1種以上の合成繊維である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
    前記有機繊維(C)は、繊維長が1mm以上15mm以下である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
    前記中空微小球(B)は、ガラスバブルである
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の樹脂組成物において、
    前記ガラスバブルは、粒子半径をR、中空部分の半径をrとした場合、10μm≦R≦60μmかつ、9.5μm≦r≦55μmである
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる
    ことを特徴とする成形体。
  10. 少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(A)を20質量%以上99質量%以下と、中空微小球(B)を1質量%以上80質量%以下と、融点および分解開始温度が前記熱可塑性樹脂(A)の融点より高い有機繊維(C)を前記熱可塑性樹脂(A)と前記中空微小球(B)との総量100質量%に対して1質量%以上100質量%以下とを、前記熱可塑性樹脂(A)の融点より高く、かつ前記有機繊維(C)の融点より低い温度で混練する工程と、
    混練した混練物を成形する工程と、を実施する
    ことを特徴とする成形体の製造方法。
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